校風をつなぐ女性科学者の育成 - 大学院 人間文化創成科学研究科

校風をつなぐ女性科学者の育成 │第2のマリー・キュリーを目指せ│ 平 成
若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラム(ITP)
校風をつなぐ女性科学者の育成
−第 2 のマリー・キュリーを目指せ−
平成 20 年度 実施報告書
年度 実施報告書
20
お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科理学専攻
お茶の水女子大学大学院
人間文化創成科学研究科理学専攻
目 次
■はじめに
人間文化創成科学研究科理学専攻 教授 鷹野 景子… ………
■若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラム(ITP)に寄せて
3
学 長 郷 通子… ………
4
人間文化創成科学研究科理学専攻 専攻長 浜谷 望… ………
4
University of Wuppertal 教 授 Per Jensen… ………
5
本事業の目的と特徴… …………………………………………………………………………
6
Project outline … ………………………………………………………………………………
7
海外パートナー機関… …………………………………………………………………………
8
Partner Universities and Institutions … ……………………………………………………
9
Free University of Brussels 教 授 Michel Herman… ………… 5
■若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラム(ITP)の事業概要
■平成 20 年度実施概要
派遣生名簿… …………………………………………………………………………………… 10
担当教員名簿… ………………………………………………………………………………… 11
担当職員名簿… ………………………………………………………………………………… 11
プログラムカレンダー… ……………………………………………………………………… 12
■研修留学 University of Wuppertal(ドイツ)
研修留学について… …………………………………………………………………………… 13
留学生活便り(平成 21 年 1 月)
平成 20 年度 若手 ITP 評価会議「学生による成果発表会プログラム」… ………………… 24
評価会議報告
評価委員リスト… ……………………………………………………………………………… 25
各派遣生… ……… 14
人間文化創成科学研究科理学専攻 教授 奥村 剛… ……… 25
■研修留学を終えて… ………………………………………………………………………………
■研究留学… …………………………………………………………………………………………
■研究留学を終えて… ………………………………………………………………………………
■帰国報告会 … ………………………………………………………………………………………
■指導教員から
各指導教員 …………
■編集後記… …………………………………………………………………………………………
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はじめに
はじめに
お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科理学専攻では、日本学術振興会によるサポートを受け
て、平成 20 年度から 5 年間の予定で、大学院生を対象とする若手研究者派遣(留学派遣)事業を開始しま
した。経済的に支援くださっている日本学術振興会に、心より感謝申し上げます。
若い内に留学経験を積むことの重要性については、多くの方々が指摘している通りであり、男女を問わ
ず当てはまります。本学は女子大学として、国際的視野に立ってリーダーシップを発揮できる女性人材の
育成に取り組んでおりますが、女性にとって、大学院在学中という早期海外留学は、さらに大きな意味を
もちます。それは、理系で一般的となっている学位取得後の留学が、女性のライフサイクルにおいて結婚
や出産の時期と重なって、必ずしも容易でないからです。
本プログラムでは、3 つの段階を経て社会に羽ばたく「ホップ・ステップ・ジャンプモデル」による人材
育成を目指しています。博士前期課程学生対象の 1 セメスター(4 ヶ月)の講義履修〔第 1 段階 = ホップ〕
により外国で学ぶという経験を経て、国際的な視野をもつことに意識が目覚めた学生を、博士後期課程で
4 ∼ 12ヶ月の中長期の研究留学に送り出します
〔第 2 段階 = ホップ〕
。学位取得後には、
国際的な視野をもっ
た実力ある女性人材として世に送り出します〔第 3 段階 = ジャンプ〕
。このような構想の下に本プログラ
ムを開始して、1 年が過ぎようとしています。幸いなことに、今年度の研修留学者の中から、次の研究留
学を目指す学生が複数現われたり、研究留学を経験した学生が、他のファンドを得て学位取得後に研究員
として留学することが予定されていたり、本プログラムで意図したことが 1 年目にして早くも実を上げ始
めたことを実感しております。その詳細は、本報告書に記載されている派遣生の報告からも読み取れると
思いますので、生の声をぜひご覧ください。さらに、学部生の間にも外国での勉学や研究に目を向ける空
気が広がったことは、予想以上のうれしい波及効果でした。
この 1 年間の事業実施を通して、本プログラムが国際的視野をもつ理系の女性人材の育成に貢献できる
ことを確信致しました。また、理学専攻にとって、十人規模の学生を同時に「留学」に派遣することは初め
ての経験でしたが、大過なく、無事に学生派遣事業を実施することができました。実施にあたっては、大
学としての取組みとして、郷通子学長、内田伸子理事(国際・研究機構長)
、佐々木泰子グローバル教育セ
ンター長、浜谷望理学専攻長をはじめとする多数の方々のご理解とご協力を賜りました。本プログラム担
当者を代表して、深く感謝申し上げます。
平成 21 年 3 月
若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラム
「校風をつなぐ女性科学者の育成 −第 2 のマリーキュリーをめざせ−」
担当責任者 鷹野景子
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ITP に寄せて
若手研究者インターナショナル・トレーニング・
プログラム(ITP)に寄せて
●● 若手研究者 ITP 第一期生を派遣するにあたり
学長 郷 通子
若手 ITP のプログラムに積極的な姿勢を示してくださった派遣学生の皆さんに、拍手と声援を送ります。
日本のお茶の水女子大学には、自然科学の研究者をめざして日夜研究に励んでいる、元気な女性たちが
沢山いることを、海外で知ってもらってください。できるだけ多くの研究者と交流を深め、会話を楽しんで
ください。
また、一つだけでよいですから、料理、生け花、茶道、着物、等の日本の文化を紹介してきてください。
「お
茶大生の意気ここにあり」
、です。
みなさん、よい旅立ちを !
平成 20 年 9 月 10 日 ●● 若手研究者 ITP に寄せて
人間文化創成科学研究科理学専攻 専攻長 浜谷 望
このプログラムは大学院学生の皆さんにとって、大変魅力的なものだと思います。第一に、海外の大学
の授業を受けられること。未だ知らない世界への扉を開いてくれます。第二に、インターナショナルな環境
で研究を進めることができること。これは皆さんの将来に大きな財産になることは間違いありません。第三
には自分の語学力のアップ。渡航前の集中的なトレーニングもさることながら、留学後の語学の上達には目
を見張るものがあったと聞いています。第四に手厚い財政援助。留学の希望はあっても経済的な理由で実
現が難しいこともあると思います。このプログラムはほぼ完全な経済的サポートを保証しています。今年度
に留学した院生の報告に出席できませんでしたが、目の輝きを一層強くした皆さんの熱気が渦巻いた報告
会であったに違いないと確信しています。これからも学生の皆さんをワクワクさせ続けるプログラムであっ
て欲しいと思います。
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ITP に寄せて
●● A message
from Prof.
Per Jensen of University of Wuppertal, Germany
It has been an interesting and pleasant experience to receive the exchange students from Ochanomizu
University here at University of Wuppertal. The students fought valiantly, and successfully, to
overcome all the difficulties associated with studying in a foreign country. We hope that what they
learned here, in the classrooms and elsewhere, will assist them not only in their academic or business
careers but also in their lives in general. In the globalized 21st-century world it is obviously important
to be able to act“internationally”and we hope that we have helped the students from Ochanomizu
University a little along the way to achieve this. We thank them because they have helped us to
become a more international and to show the students here that there is world outside Wuppertal. We
are looking forward to receiving more students from Ochanomizu University in the future.
●● A message
from Prof.
Michel Herman of Free University of Brussels, Belgium
Hello
I had the chance to participate in the evaluation of the Japanese students(all ladies I understood!)at
University of Wuppertal. It looked like a fruitful experience to them and I am sure they will integrate it
in their professional and personal lifes.
Very best
Michel
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事業概要
若手研究者インターナショナル・トレーディング・
プログラム
(ITP)の事業概要
●● 本事業の目的と特徴
本事業では、女性人材育成の土壌のある欧州研究機関に学生を派遣する。国際的視野をもつ女性研究者
を育成することによって、第 3 期科学技術基本計画において期待されている女性研究者の採用目標、「自
然科学系 25 パーセント」の実現に貢献すると共に、国際的視野をもつ人材の育成プログラムとして、3
つの段階を経て社会に羽ばたく「ホップ・ステップ・ジャンプモデル」を構築し、学内外へ発信すること
を目的とする。本事業計画の特色は、以下の 3 つである。
1)物理・化学をそれぞれ専攻する学生たちが隣接分野の科目を共に履修することにより、科学的視野が
拡がるよう意図されていること。
2)書類選考・面接・学長による審査を経て選考された派遣学生に対して入念な事前研修を行い、語学研
修はもちろんのこと、プレゼンテーション研修、危機管理研修、異文化理解講座など、基本的な自己
表現技術および国際的な視野につながる基礎知識の習得を支援すること。
3)
(第 1 段階 = ホップ)博士前期課程学生対象の 1 セメスター(4 ヶ月)の研修プログラム(単位認定)と(第
2 段階 = ステップ)博士後期課程学生対象の研究留学プログラムを組み合わせることによる実効的な
人材育成を行うこと。第 1 段階で学生は、外国で学ぶことの経験を経て、国際的な視野をもつことに
意識を持ち始める。この経験を踏まえて、さらに研鑽を積むことの重要性に目覚めた博士後期課程学
生を第 2 段階として研究留学に送り出し、博士論文指導を行って、国際的な視野をもった実力ある女
性人材として世に送り出す(第 3 段階 = ジャンプ)
。
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事業概要
●● Project outline
In this program, students are sent to the European research institutes where many female researchers have been raised to national
prominence. The aim of the program corresponds to the Third Phase of Basic Program for Sciences and Technology that promotes
the increase of newly hired female researchers’ ratio in natural science institutes to 25 % . This three-step program is also targeted to
establish a successful model of human resource development that shall be prevailed in and out of our institute.
Three characteristics of the program are stated below.
1)This program is designed to broaden academic horizon of the students. In this program, students majoring in physics or chemistry
have to take subjects from related fields of their study.
2)The selected students will be enrolled in a support program in which they will take various courses such as language training,
presentation skills, crisis management and cross-cultural understanding to acquire basis of self-presentation and global view.
3)In conjunction with the first step of this program in which master’s students will participate in the 1-semester or 4 months oversee
training program, the second step, the oversee research program for doctoral students, will accomplish its overall goal of effective
human resource development. From experience during the first step of the program, students will become aware of the importance
of broadening their own views and may exert themselves at school work. In the second step of the program, they will go further to
develop their research work and write a thesis. Finally, they will enter the workforce as the promising young women with global
standpoint(The third step)
.
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事業概要
●● 海外パートナー機関
名称
専攻等
所在地
1 University of Wuppertal
化学科、物理学科
ブッパタール(ドイツ)
2 University Louis Pasteur
量子化学研究所 /
ストラスブール
遺伝学・分子細胞学研究所 (フランス)
3 Vienna University of Technology
応用合成化学研究所
4
The City of Paris Industrial Physics and
流体力学研究所
Chemistry Higher Educational Institution
ウィーン
(オーストリア)
パリ(フランス)
5 Montpellier 2 University
ナノ物質研究所
モンペリエ(フランス)
6 University of Strathclyde
物理学科
グラスゴー(イギリス)
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The French Research Institute for Exploration
情報基盤海洋データ部
of the Sea
ブレスト(フランス)
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事業概要
●● Partner Universities and Institutions
名称
専攻等
所在地
1 University of Wuppertal
Department of Chemistry/
Wuppertal(Germany)
Department of Physics
2 University Louis Pasteur
Laboratory of Quantum
Chemistry/ Institute of
Strasburg(France)
Genetics and Molecular
and Cellular Biology
3 Vienna University of Technology
Institute of Applied
Wien(Austria)
Synthetic Chemistry
4
The City of Paris Industrial Physics and H y d r o d y n a m i c s a n d
Paris(France)
Chemistry Higher Educational Institution
Mechanics Laboratory
5 Montpellier 2 University
Nanomaterials Laboratory Montpellier(France)
6 University of Strathclyde
Department of Physics
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Glasgow(UK)
The French Research Institute for Exploration Computing and Marine
Brest(France)
of the Sea
Data Department
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実施概要
平成 20 年度実施概要
●● 派遣生名簿
派遣生氏名
所属(指導教員名)
派遣先
派遣期間
1
人間文化創成科学研究科
出雲 沙理 理学専攻物理科学コース M1
(菅本晶夫教授)
University of Wuppertal
(独)
H20 年 10 月 6 日
∼ H21 年 2 月 8 日
2
人間文化創成科学研究科
山田 智未 理学専攻物理科学コース M1
(小林功佳教授)
University of Wuppertal
(独)
H20 年 10 月 6 日
∼ H21 年 2 月 8 日
3
人間文化創成科学研究科
米山 京子 理学専攻物理科学コース M1
(曺基哲准教授)
University of Wuppertal
(独)
H20 年 10 月 6 日
∼ H21 年 2 月 8 日
4
人間文化創成科学研究科
梅澤 規子 理学専攻化学・生物化学領域 D1
(近藤敏啓准教授)
University of Wuppertal
(独)
H20 年 10 月 6 日
∼ H21 年 2 月 8 日
5
人間文化創成科学研究科
齋藤真莉子 理学専攻化学・生物化学領域 D1
(近藤敏啓准教授)
University of Wuppertal
(独)
H20 年 9 月 12 日
∼ H21 年 2 月 8 日
6
人間文化創成科学研究科
University of Wuppertal
佐藤 香織 理学専攻化学・生物化学コース M1
(独)
(近藤敏啓准教授)
H20 年 10 月 6 日
∼ H21 年 2 月 8 日
7
人間文化創成科学研究科
楽 娜 理学専攻化学・生物化学領域 D1
(小川温子教授)
University of Wuppertal
(独)
H20 年 10 月 6 日
∼ H21 年 2 月 8 日
8
人間文化創成科学研究科
秋保 美幸 理学専攻情報科学コース M2
(河村哲也教授)
University of Wuppertal
(独)
H20 年 10 月 6 日
∼ H21 年 2 月 8 日
9
人間文化創成科学研究科
橋本 有莉 理学専攻情報科学コース M1
(河村哲也教授)
University of Wuppertal
(独)
H20 年 10 月 6 日
∼ H21 年 2 月 8 日
The City of Paris Industrial
人間文化研究科複合領域科学専攻 P h y s i c s a n d C h e m i s t r y H20 年 9 月 1 日
H i g h e r E d u c a t i o n a l ∼ H20 年 12 月 11
10 青柳 裕子 複雑系科学講座 D3
日
Institution
(奥村剛教授)
(仏)
H21 年 3 月 1 日
∼ H22 年 2 月 28
日
人間文化創成科学研究科
11 大西可奈子 理学専攻情報科学領域 D1
(小林一郎准教授)
University of Strathclyde
(英)
人間文化創成科学研究科
12 間野 晶子 理学専攻情報科学領域 D1
(河村哲也教授)
The French Research
H21 年 2 月 10 日
Institute for Exploration of
∼ H21 年 4 月 30
the Sea
日
(仏)
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実施概要
●● 担当教員名簿
氏 名
所 属
職 名
専門分野
1
鷹野 景子
人間文化創成科学研究科理学専攻 教授
量子化学
2
奥村 剛
人間文化創成科学研究科理学専攻 教授
ソフトマター物理学
3
今井 正幸
人間文化創成科学研究科理学専攻 教授
ソフトマター物理学
4
番 雅司
人間文化創成科学研究科理学専攻 教授
量子情報
5
北島佐知子
人間文化創成科学研究科理学専攻 准教授
量子情報
6
今野美智子
人間文化創成科学研究科理学専攻 教授
生物物理化学
7
近藤 敏啓
人間文化創成科学研究科理学専攻 准教授
界面物理化学
8
河村 哲也
人間文化創成科学研究科理学専攻 教授
数値流体力学
9
小林 一郎
人間文化創成科学研究科理学専攻 准教授
言語情報処理、知能情報処理
●● 担当職員名簿
氏 名
所 属
職 名
1
島田 達之
国際交流チーム
チームリーダー
2
海野 るみ
グローバル教育センター
講師
3
丸山 彰英
国際交流チーム
国際交流係長
4
井神 恵弥
国際交流チーム
国際交流係員
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実施概要
●● プログラムカレンダー
H20 年
4 月 23 日
平成 20 年度派遣者募集締め切り
応募者数 研究留学 2 名、研修留学 10 名
5月8日
派遣者決定 研究留学 2 名、研修留学 9 名
5 月 10 日∼ 21 日
奥村教授、協定締結と研究留学の打ち合わせのため ESPCI( フランス)
を訪問。
6月7日
英語および異文化理解研修開始
7 月 3 日∼ 7 月 8 日
奥村教授、研修留学の打ち合わせのため University of Wuppertal(ドイ
ツ)を訪問。
7 月 3 日∼ 7 月 10 日
鷹野教授、研修留学の打ち合わせのため University of Wuppertal( ド
イツ)を訪問。理系向語学研修の打ち合わせのため、The University of
Hull(イギリス)を訪問。
9 月 1 日∼ 12 月 8 日
青柳裕子、ESPCI(フランス)にて研究のため留学。
9 月 10 日
留学前プレゼンテーション発表会および壮行会(事前研修終了)
10 月 6 日
平成 21 年度研究留学生募集および
平成 20 年度研究留学生追加募集説明会開催
10 月 20 日
募集締め切り 応募者数 2 名(内 1 名追加募集枠)
11 月 10 日
派遣者決定 H20 年度研究留学生(追加)
1 名、
H21 年度研究留学生、1 名 計 2 名
10 月 6 日∼ H21 年 2 月 8 日 9 名の学生、University of Wuppertal(ドイツ)にて研修のため留学。
11 月 9 日∼ 11 月 16 日
鷹野教授、留学中の学生の指導のため、University of Wuppertal(ドイツ)
を訪問。
交流打ち合わせのため、Vienna University of Technologyを訪問。
11 月 12 日∼ 11 月 24 日
奥村教授、
留学中の学生の指導のため、University of Wuppertal(ドイツ)
および ESPCI(フランス)を訪問。
H21 年
1 月 27 日∼ 1 月 31 日
海野講師、評価会議のため、University of Wuppertal(ドイツ)を訪問。
1 月 27 日∼ 2 月 1 日
鷹野教授、評価会議のため、University of Wuppertal(ドイツ)を訪問。
1 月 28 日∼ 2 月 1 日
奥村教授、評価会議のため、University of Wuppertal(ドイツ)を訪問。
1 月 28 日∼ 2 月 2 日
近藤准教授、評価会議のため、University of Wuppertal(ドイツ)を訪問。
研究留学打ち合わせのため、University Luis Psteur を訪問。
1 月 29 日
University of Wuppertal(ドイツ)において評価会議を開催。
2 月 10 日
3 月 18 日
間野晶子、フランス国立海洋開発研究所(フランス)にて研究のため留学。
(H21 年 4 月 30 日帰国の予定)
帰国報告会および H21 年度募集説明会開催
3月1日
大西可奈子、University of Strathclyde(イギリス)にて研究のため留学。
(H22 年 2 月 28 日帰国の予定)
3 月 24 日∼ 4 月 2 日
小林一郎准教授、留学中の学生の指導のため、University of Strathclyde
(イギリス)を訪問。
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研修留学(ドイツ)
研修留学 University of Wuppertal(ドイツ)
●● 研修留学について
研修留学は、本プログラムにおける「ホップ・ステップ・ジャンプモデル」の第1段階「ホップ」に当た
る部分です。世界に目を向け、国際的に活躍する研究者を目指す意識を醸成させる「意識づけ」のフェー
ズであり、第 2 段階である「ステップ=研究留学」に向け、専門英語の力および英語によるコミュニケー
ション力を向上させることを目指します。
研修留学参加学生は、University of Wuppertal(独)において、物理、化学、情報科学分野(下記 3 コー
ス)を中心に受講時間割を組み、1 学期間(10 月∼翌年2月上旬)の授業を受講します。
1
Physics Programme
2
Chemistry Programme
3
Computer Simulation in Science Programme
上記専門科目のほか、ドイツ語やドイツ文化に関する講座を受講できる可能性もあります。
9 名の派遣生
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研修留学(ドイツ)
■ 留学生活便り(平成21年1月)
●● 物理科学コース M1 出雲 沙理
① Wuppertal での生活について
まず言語についてですが、小さいお店の店員などは英語が話せないことが多いので、挨拶と数字位は
ドイツ語を覚えました。次に環境についてですが、ドイツ留学 3 年目の人の話によると、Wuppertal は
ドイツで一番水が美味しく、治安もいい街らしいです。日本食などはさすがに Dusseldorf まで行かなけ
ればありませんが、大抵のものはこの街で買え、しかも物価は全体的に安いです。そして寮から徒歩 5
分以内の距離に大学やスーパーがあり、また駅前にはバスで 5 分、徒歩でも 15 分ほどで出られます。寮
の部屋は一人部屋としては少し広い位で、家具も備え付けでインターネットもでき、本当に快適です。
寮母さんに英語が通じないのと、対応が遅いことだけが問題です。このように、生活環境に関しては大
変に恵まれており、日本に戻るのが憂鬱になるほどです。最後に、基本的にドイツ人は、仕事上の対応
(スーパーの店員など)は無愛想ですが、普段は皆とても親切でフレンドリーだと感じました。街中や、
とくに大学構内では、困っていると必ず誰かが優しく声を掛けてくれます。困っていなくても話しかけ
られます。皆さん本当に優しいです。
② 授業について
ある程度のリスニング力は留学当初からないと正直厳しいと思いました。初めて習う内容を、その場
で聞いて理解しながらノートを取るわけですし、成績評価などの大事な話も聞き逃しては大変ですので。
私はこれで最初のころ本当に苦労しました。あと、板書が、癖のある筆記体で書かれることが多いので、
筆記体を読めた方がいいと思いました。その他に感じたこととして、こちらの修士の授業は日本に比べ、
浅く広く内容をカバーしています。なので、専門科目を深く学ぶには少々物足りないです。しかし、こ
ちらの学生は非常に積極的に発言し、わからな
い時はもちろん、自分の理解の確認として、授
業の内容を自分の言葉でまとめて言ったりもし
ます。さらに、みな非常に発表慣れしており、
板書しながら説明するのが本当に上手です。あ
と、基礎の計算力が相当あると感じました。そ
の辺りはこちらに来て大変触発されました。
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研修留学(ドイツ)
●● 物理科学コース M1 山田 智未
① Wuppertal での生活について
私たちが住んでいる学生寮が、大学まで(授業が行われる教室まで)徒歩 10 分かからないところに立
地しているため、大学に行くにはかなり便利です。中心地より高台にありますが、歩けば 10 分ほどで駅
にたどり着くことができます。バスの便もある程度あるので、バスを利用すればさらに不便ではありま
せん。
ただ、ヨーロッパだからなのか、日曜日や祝日はほとんど店が閉まってしまうこと、大学周辺に夜に
飲食店がないことは残念です。また、正月よりもクリスマスの時期の店の閉まり方には驚きました。
日本で一人暮らしをしたことがないのでうまく日本との比較はできませんが、部屋のスペースはそれ
なりにあり、住みやすいです。最初、電球の明かりが弱かったので支給されたものから市販の明るいも
のへ取り換えました。あと、フライパンが支給の家具になっていなかったので買いました。鍋は家具の
一部になっているのですが、以前その部屋に住んでいた人がおいていったものが少ないと、その分少な
くなります。文句があるとすれば、バスタブがないのはやはりちょっと悲しいです。
②授業について
私は全部で 4 つの授業を履修しています。3 つはほかの派遣生と一緒の授業で、自分の専攻の授業を
一人で履修しています。専門科目の先生がとてもやさしくしてくださっているので、授業でやりにくい
ことはありません。ただ、週 2 回の講義と週 1 回のレポート提出、演習はつらいです。私に基礎知識が
不足しているのと英語力不足のため、毎回苦戦しながら課題を解いています。難易度としては普通なの
かもしれませんが、大変な思いをしながら毎回提出しています。
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研修留学(ドイツ)
●● 物理科学コース M1 米山 京子
① Wuppertal での生活について
寮から Wuppertal 中央駅までは徒歩 15 分バスで 5 分ほどです。平日は約 10 分から 15 分おき、土日で
も 20 分おきにあります。中央駅のすぐ近くにはショッピングモールがあり、たいていのものはそこで揃
えることができます。プリペイド式携帯電話も駅の近くで手に入れることができ、本体は大体 40 ユーロ
ぐらいで買うことができます。通話料、ショートメール共にそれほど高くないので重宝しています。
学生寮は十分な広さがあり、特に不自由することはありませんが、室内はかなり乾燥するので、お湯
を沸かしたり、うがいをこまめにするなどの風邪対策は必要です。うがい薬などを持参するといいかも
しれません。
② 授業について
授業の講義形態はお茶大とさほど差異はあり
ませんが、こちらの学生はよく質問をします。
板書の間違いなどもその都度学生側から指摘が
あり、授業に対して主体的に参加しているとい
う意識の高さを感じます。
授業は講義と演習があり、大抵演習の授業で
は、前の週に配られる演習問題を解いて行き、
問題ごとに、解けた学生が前に出て発表すると
入学式
いう形式をとっています。学生は皆発表するこ
とに慣れているようで、板書をしながら英語ですらすら解説をしています。ただし、プログラミングの
授業の演習は、前の週に提出した課題の解説を聞き、その週の課題について質問をする時間という位置
づけでした。演習の授業を見てくださるのはドクターの学生さんのようです。先生方は授業時間外でも
質問に快く答えてくださり、とても勉強しやす
い環境です。
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研修留学(ドイツ)
●● 化学・生物化学領域 D1 梅澤 規子
① ブッパタールでの生活について
旅立つ前はたくさんの心配と不安を抱いていましたが、特に困ることもなく平和に生活しています。
住民登録・ビザ取得等、チューター役の学生がとても親切に案内してくれるので大変助かりました。東
京の便利な生活に比べれば、休日はお店がしっかりお休みだったりするので多少の不便さは感じるかと
思いますが、スーパーや洋服店、郵便局など近場に揃っているので、物に困るということはあまりない
かと思います。EU 圏内は自由に旅行できるので、他の国の空気に触れることも可能ですが、ブッパター
ルはドイツの北の方なので、オランダへ行く以外は少々不便かもしれません。気候に関しては、雪がた
びたび降るので、雪に不慣れな私にとってはその点だけは憂鬱です。また、谷に立地されている大学な
だけあり、日頃の移動の高低差は運動不足な体には堪えます。
② 授業について
授業は全て英語です。どの講義も一番最初の授業で私たちがいるから英語で授業する由を先生が説明
してくれるのですが、ドイツの学生には大変うけがよろしくありません。その英語も得意な先生もいれ
ばあまり得意ではない先生もいらっしゃいます。ドイツへ来たばかりのころは生活に慣れるのに大変な
こともあり、常に英語という状況についていくのにいっぱいいっぱいでしたが、だんだんと耳が慣れて
きたと感じています。先生方は留学生の扱いに慣れていらっしゃるので、授業とは別に個別に質問する
機会を用意してくださったり、英語の授業を私たち用に開講してくださったりします。ヘタな英語でも
とりあえず先生はこちらの用件を汲み取ろうとしてくださいますので不安に思うことはありません。
学内の風景
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研修留学(ドイツ)
●● 化学・生物化学領域 D1 齋藤真莉子
1. Wuppertal での生活
私は現在 Wuppertal 大学の学生寮の一室に住んでおり、そこから毎日大学に通っています。寮と大学
は徒歩 10 分程度の距離にあり、とても近いです。また、寮の部屋はきれいで使いやすく非常に快適な生
活を送っています。
Wuppertal 大学には多くの学科・コースがあり、その違いによって講義を受ける教室が異なってくる
ようです。私の在籍している化学コースでは G 棟での講義が多くなっています。講義を受ける教室だけ
でなく、演習用に PC が設置されている部屋も存在します。また、この他にも大学内には図書館(英語の
本も所蔵)
、食堂、多くのカフェテリア、クナイぺ(夜から営業されるバー)
、生協のような文具や本の
販売所などがあります。特別な用事がなければ、基本的に学生生活は大学で用が済んでしまうと思いま
す。大学内ではお店でもほぼ英語が通じるため、便利だと思います。
郵便局へ行く、何か買い物をする時などにはバスで Wuppertal Hbf(中央駅)付近の街に行きます。こ
こには大きなショッピングセンターだけでなく、チケットセンター、携帯ショップ、電気店など様々な
お店があります。日本の食材などが買いたい場
合には、更に電車で Dusseldorf Hbf まで行きま
す。しかし、いずれの場合も学生証があれば運
賃はかかりません。学生登録の際に VRR 区間内
の乗り物がフリーになるように登録するため、乗
車料金や乗り間違いなどを恐れることなく、様々
な場所に出かけることができるのが非常に便利
です。ただし、街の小さいお店では英語が通じ
ない場合もあるので、最低限ドイツ語の数字を
覚えておくと良いかと思います(値段や量などが
分かります)
。
ちなみに、私はこちらに来た直後に体調を崩
写真 1:寮の部屋(家具は完備されています)
し Dusseldorf の病院に行きましたが、受付や予
約は英語、先生とは日本語で話すことができま
した。薬はあちこちにある薬局で処方箋を渡せ
ば担当の方が薬をくれます。こちらの説明も英
語でして頂くことが可能でした。ドイツでは英
語を話せる方が非常に多いです。
写真 2:寮の前から見える大学
(道路を挟んですぐにキャンパスが見えます)
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2. 大学の講義
ドイツ語がわからない留学生がいる場合、基本的に講義は英語で行われます。講義の進め方は先生に
よって異なり、パワーポイントを使って進める場合もあれば板書が中心となる場合もあります。また、
講義と演習がセットになっている場合もあります。私のとっている講義の演習としては、先生が問題の
解き方の解説をしてくれたり、PC を使ってグループで Exercise を進めていく演習などがあります。簡
単なプレゼンテーションが評価に加算される授業もあり、授業内容に即するトピックス(article)を紹介
する 7 分程度のプレゼンテーションを行いました。
いずれの場合でも、学生は授業中または授業後に気軽に質問できる雰囲気があります。ドイツの学生
と先生との会話はドイツ語で行われることが多く分らないこともありますが、先生が英語で説明し直し
てくれる場合もあります。基本的に先生も学生も英語はかなり流暢ですが、私達に気を遣ってコミュニ
ケーションをとってくれます。私は休憩時間や講義の後に質問に行くことが多いですが、ゆっくり分か
りやすく説明をして下さることが多いです。講義の内容が難しい、説明が解らないといった問題はあり
ますが、これは自分の知識や理解力の問題ですので、英語でのコミュニケーションに関しては拙くても
何とかなるものだと思います。言葉だけでなく図や式も多用して何とか理解しようという研究のサバイ
バル能力のようなものは自然と身についてきたと思います。
現在私が感じている課題は、授業内容の大筋
だけではなく細かい部分の説明も理解・議論で
きるようになりたいという点、聞くだけでなく
話すコミュニケーション能力を伸ばしたいとい
う二点です。未熟で苦労することも多いですが、
日本とは違う文化を感じることができる有意義
な時間を過ごしています。
写真 3:Jensen 先生とご一緒に
(いつもにこやかに私達のお話を聞いて下さいます)
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研修留学(ドイツ)
●● 化学・生物化学コース M1 佐藤 香織
ヴッパータールでの生活はとても充実しています。私たち日本人の世話をしてくれている 2 人(Maren
と Victoria)にも助けられ、授業を受けるほかにもドイツの学生の生活を教えてもらったりしつつ新鮮な
日々を送っています。また International Student Team(IST)の学生たちが留学生に対して様々な企画
をしてくれ、他の国からの留学生とふれあい、英語を話す良いチャンスになっています。留学生たちは
皆とても流暢な英語が話せるだけでなく、何ヶ国語も話せたりしていて非常に刺激を受けました。
また私は世界をもっと知るため、時間を見つけてドイツや他の国の街に出掛け、そこの歴史を学んだ
り人々の雰囲気や空気を感じたり、その途中で出会った様々な国の人たちと話したりしました。将来の
ことを考えさせるような、とても貴重な体験でした。
授業は、化学専攻ではドイツ人 10 人ほどの中で日本人 3、4 人が一緒に授業を受けています。授業は
すべて英語ですが、はじめの頃と比べるとかなり耳が慣れてきたように感じます。特に化学に独特な言
い回しや単語は、今までも意識はしていたものの実際にその中で授業を受けると実感として分かり、普
段から学ぶ必要性を感じました。また、ドイツ
人の学生の授業中の活発な発言や、教授と対等
に近い立場から発言しているように感じるとこ
ろ、教授も学生に考えさせ発言させようとする
ところ、様々な年齢の学生がいることなど日本
との違いに驚き、考えさせられるところが多く
あります。
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研修留学(ドイツ)
●● 化学・生物化学領域 D1 楽 娜
ドイツへの研修留学はあっという間に半ばを過ぎた。今までここでの生活を振り返り、以下のように
まとめた。
ブッパタールでの生活について
10 月に到着した頃、既に寒くなっており、早々厚着をするようになった。ドイツの冬は相当寒く、長い。
しかし建物の保温性はかなり充実しており、実際に生活してみると、暖房をつけなくても問題なく過ご
せている。食生活に関しては、
半分食堂で半分自炊である。食堂の昼食は大体のパターンはメインディッ
シュ(日に三つから一つが選択できる)と三つの小鉢のもの(サラダやご飯やデザートなど)をセットで組
んでいて、
ボリュームである。しかも学生向けなので安くなっており、
ほとんど毎日食堂を利用している。
夜は、食堂が閉まるということもあり、自炊している。また毎週月曜日の 8 時から、Kneipe というとこ
ろで、国際交流会が開かれている。最初の数回だけ参加した。それ以外、何回か他の国から来た人たち
に誘われたりとか、
或いは ITP の同士と一緒に食事したりした。買出しは授業のない時間や土曜日に行っ
ている。週末にはたまに、周辺の街へ小旅行をした。
寮
学食の定食
学習について
私が履修している科目は全部で五科目であり、計算化学講義と演習、タンパク質と核酸、大気化学、微
生物学、macrochemistry である。一週間の時間割は均等でない。朝早い時は、8 時半から始まる。予定と
しては一コマが 2 時間に設定されているが、大概 15 分遅れで始まり、15 分早めに終わる。そのため授業の
時間は大体 90 分である。Jensen 先生の授業は内容がどちらかというと数学に偏っている。生化学出身の私
にとってはとても難しい。演習する時、一人一台のパソコンを確保できないため、もう一人と共有し、助け
合うようにやっている。タンパク質と核酸は五科目の中で、一番興味を持っている科目である。前半と後
半に分けて、
二人の先生が担当している。前半の先生は用意したスライドの通りに、
丁寧に説明してくださっ
た。後半の先生は授業中ほとんど質問しながら進めていくようなので、私も英語で先生とコミュニケーショ
ンする機会に触れた。微生物学の講義は割にシンプルな言葉で行い、まだ英語の上手でない私にとっては
非常に受けやすい内容だった。2 ヶ月の授業を聞いていた現在、まだ耳に慣れない言葉は常にあるが、やは
り勉強になったこともある。一方、苦労していることもあり、大気化学の先生は疑問に対していつもドイツ
語で説明しているため、授業への理解の大変さを感じている。以上は私のこの二ヶ月の研修生活だった。
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研修留学(ドイツ)
●● 情報科学コース M2 秋保 美幸
ここは東京に比べ自然が多く物価が安く住みやすい所です。ただ非常に寒く 11 月中旬過ぎには初雪が
降りました。
朝 8:15 から授業があるため早寝早起きの癖がつき規則正しい生活を送っています。
寮は学校の横にあり通いやすいがとても階段が多く、慣れるまでは大変でした。寮には様々な国から
の留学生が住んでいるため色んな考え方を持った人達と友達になれます。ここはヨーロッパ大陸なので
留学や海外旅行が簡単にできるという特徴もあります。冬休みは皆実家へ帰ってしまうため少し寂しく
なります。
学校内では英語で充分ですが一歩外に出るとそうとは限りません。標識はドイツ語のみですしドイツ
語を知っていた方がいいなという事は多々あります。学校の規模はもちろんお茶大より断然大きく図書
館やカフェテリア等の設備もしっかりしています。
私は Computer simulation の授業四つとドイツ語の授業を取っています。ドイツ語の授業以外は英語
です。先生によって話すスピードや黒板の字も様々です。最初の一ヶ月半位はどこをやっているかくら
いしかわからず先生の言っていることを理解するのは難しかったです。90 分も続けて英語を聞き、理解
するには相当の集中力と英語力が必要だと思いました。日本にいる時にもっとリスニング力をつけてお
くべきだったと感じます。課題は授業にもよりますが毎週のように出ます。
あと一ヶ月位なので修論も進めつつ頑張りたいと思います。
図書館
学食
学食
クリスマスマーケット
寮の外観
学校へ行くとき上る階段
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●● 情報科学コース M1 橋本 有莉
■ ブッパタールでの生活
寮は大学のすぐ脇にあります。部屋もとても
広くて快適です。街まではバスや徒歩で気軽に
行けるので環境はとても良いです。
授業は英語ですが、街や大学内ではドイツ語
で話しかけられます。普段生活していると自然と
知っていなくてはいけないドイツ語の単語は身
につきますが、やはり初めは何も分からずにとてもストレスでした。留学前に日常生活で使いそうなド
イツ語単語も少し学んでくれば良かったなと思いました。英語は大抵の人に通じるので心配ありません。
食生活については、昼食は学食で食べ、朝と夜は自炊をしています。学食は安いのでとても助かっていま
すが重かったり味に飽きたりしています。しかし、観光書に載っているようなドイツ料理も頻繁に出てくる
ので楽しんで食べています。ブッパタールは食料品の物価が安いので食費は思っていたほどかかりません。
週末は近辺にあるケルンやボンやデュッセルドルフなどに観光に行ったりしています。先日はベルリ
ンにも旅行に行ってきました。歴史や文化なども日本にいると触れられないものが多いので非常に良い
経験になっています。
■ 授業について
CSIS(Computer Simulation in Science)の授業はシミュレーションを軸にしているようで授業のほと
んどはシミュレーションに関係する授業を受けています。
始め、取りたかった気象学の授業がドイツ語で進められるために受けられないというトラブルもありま
した。CSIS の授業でも必修ではない授業は必ずしも英語で進めてくれるわけではないようです。しかし、
留学担当の先生に相談に行くと希望をきちんと聞いてもらえるので、私の場合も代替の授業を他の学科か
ら探してもらって受けさせてもらえることになりました。結果としては、代わりに取った授業の方が専門
に近かったので良かったです。こちらは生徒主体の雰囲気が強いのでなんでも希望を出した方が得をする
ことが多いと 2 ヶ月間が過ぎて感じます。
授業は非常に基本的なことを学んでいます。
しかし、以前に習ったことのある内容でも英語
で理解するとなると初めはリスニングや語彙の
問題もあってとても大変でした。復習は必ずす
るようにして 1 ヶ月程過ぎると、耳も慣れ専門的
な語彙も増えてくるので授業を受けることにそ
れほどストレスは感じなくなりました。
課題も定期的に出ますが、真面目に取り組め
ば必ず解ける程度のレベルのものなので授業に
ついていけなかったりする心配はありません。
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研修留学(ドイツ)
●● 平成 20 年度 若手 ITP 評価会議
『学生による成果発表会プログラム』
Program of the ITP Evaluation Meeting
January 29, 2009
Room: D.10.08
at University of Wuppertal Presentation(10 min.)+ Question(5 min.)
Time
発表者氏名
Title
8:45-9:00
米山 京子
Kyoko Yoneyama
9:00-9:15
出雲 沙理
Sari Izumo
9:15-9:30
山田 智未
Satomi Yamada
Semiconductor-The Erectronic Structure of Sublattice Reversal-
9:30-9:45
佐藤 香織
Kaori Sato
Construction of Porphyrin Self-Assembled Monolayers with a
Planar Orientation on Au(111)
9:45-10:00
齋藤真莉子
Mariko Saito
Self-Sorting and Enantio-Differentiating Behaviors Ni( II)
Complex with Chiral Ligands Derived From 1,1'-Binaphthyl-2,2'Diamine(BINAM)
10:00-10:15
梅澤 規子
Noriko Umezawa
Construction of Atrazine Sensors Using Au(111)Electrodes
Modified with Self-Assembled Monolayers of Mercaptoquinone
Derivatives
10:15-10:30
楽 娜
Na Re
10:30-10:45
橋本 有莉
Yuri Hashimoto
Study of the Generation Process of the Vortex Using Computational
Fluid Dynamics
10:45-11:00
秋保 美幸
Miyuki Akiho
How the Wind Created Strangely-Shaped Rocks in Turkey by
Computer Simulation
Force Unification and Warped Extra Dimension
Today's Picture of the Universe and Theory of Everything
Screening of Glycoreceptors for Pancreatic α-mylase in Vivo
●● 評価委員リスト
Michel Herman
Free University of Brussels
Per Jensen
University of Wuppertal
Francesco Knechtli
University of Wuppertal
Andreas Klümper
University of Wuppertal
Keiko Takano
Ochanomizu University
Toshihiro Kondo
Ochanomizu University
Ko Okumura
Ochanomizu University
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研修留学(ドイツ)
●● 評価会議報告
奥村 剛 (人間文化創成科学研究科理学専攻教授)
本プログラムの評価会議は、別紙のプログラムに基づいて 2009 年 1 月 29 日にバーギシェ・ブッパター
ル大学で行った。2008 年秋よりバーギシェ大学大学院にて研修留学を行ってきた 9 名の学生(内 5 名が
物理・情報系、4 名が化学系)が、それぞれ、英語による 10 分程度のプレゼンテーションを成果発表と
して行った後、5 分程度の質問に答えるという形式をとった。評価委員は、別紙にあげた外部委員一名
とバーギシェ・ブッパタール大学と本学から 3 名ずつの計 7 名が務めた。会議の目的は、研修留学の成
果を、外部評価委員を含んだ評価システムで、ある程度客観的に評価することである。
プレゼンテーションの内容は、お茶の水女子大学にて行ってきている研究内容についてであったが、
留学出発の直前に行った事前研修の最後のプレゼンテーションと同等の内容であったため、本学の評価
委員は、研修前と研修後半の違いを明確に感じることができた。難しい質問もあったが、質疑応答もた
いへん活発に行われ、4 か月足らずの研修の効果は目覚ましいというのが我々の一致した見解であった。
特に、面接のときの英語のレベルを考えると雲泥の差があり、事前研修と研修留学による効果は非常に
大きいと感じた。したがって、研究者を育てていくことを狙った本プログラムにおいては、少なくとも
個人的には、今後の面接選抜において、その時点の英語の能力よりも、専門の学問に対する姿勢や意気
込みをより重視することも重要だと感じた。
成果発表会終了後、評価のための会議を行い、合議によって発表に対する総合評価を行った。総合評
価は 5 段階で行った。9 名の平均点は 4 点を超え、
すべての審査委員から高い評価を得たといえるだろう。
派遣生と評価委員
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研修留学を終えて
研修留学を終えて
●● 物理科学コース M1 出雲 沙理
私はこの度 ITP によって、4 ヶ月間ドイツの Wuppertal 大学に留学させて頂き、そこで本当に色々な
ことを学んできました。
勉強関連の点では、まず授業が英語で行われていたため、英語のリスニング力が飛躍的に向上しまし
た。また、ドイツの学生が授業中大変積極的に発言し、活発に議論している様子を見て、そんな彼らに
啓発され私もこの 4 ヶ月の間で随分堂々と自分の考えが言えるようになりました。さらに、Wuppertal
大学のカリキュラムとして、お茶の水女子大学よりも基礎勉強にかける時間が多くその分専門分野の勉
強を始めるのが遅いのですが、ひとたび専門分野の勉強を始めると猛烈な勢いで進めていました。そし
て学生はそれに付いて行くべく毎日大変良く勉強していましたし、基礎学力がしっかりできているので
実際に付いていっていました。これらのことにも大変啓発されました。一方で、海外では強気で積極的
に自己主張をしていかないと、また実力を見せつけることができないと、まったく相手にされないこと
を痛感しました。
次に異文化交流の点では、Wuppertal 大学には非常に多くの留学生が在籍していて、毎週末、留学生
同士の交流会が活発に行われていたので、その点では大変良い大学に留学できたと思います。今回私が
出会った人たちは、言葉や文化は違っても皆思いやりのある優しい人たちばかりで、外国人に対して非
常に好印象を持ちました。英語はもちろんのこと、他の言語も少しでも話せていればもっと親密になれ
ただろうと感じ、他言語の習得に興味がわきました。また休日を利用してヨーロッパ各地を旅行できた
ことで、ヨーロッパの歴史や文化、そして日本との価値観の違いを考えさせられる良い機会を得られま
した。さらに今回、スイスにある私の専門分野である素粒子物理学の世界最大の実験施設を訪問し見学
できたことは、大変貴重な経験となりました。
最後に、私は今回が初めての留学で、初めての寮生活だったのですが、この 4 ヶ月を乗り切れたことで、
海外で生活することへの不安がだいぶ解消されました。また、同じ寮に日本人が何人もいて、情報は何
でも共有し、困った時は助け合っていたおかげで乗り切れたのだと思います、ここで私は人間関係の大
切さを学びました。このことは生活面に限ったことではなく、一人では解決困難な課題がだされた時で
も、得意分野の違う数名で色々知恵を出し合うと結局大変効率よく解決することができるということも
わかりました。今回は同じ寮に大人数で留学できて本当に良かったと思います。
以上のことから、今後の展望としては、まずドイツの学生並みかそれ以上の勢いで基礎と専門分野の
勉強をして、実力と自信をつけていきたいと思います。また日本でも自分の意見を積極的に言うように
していきたいと思います。共同研究に発展する可能性もあるので、専門分野の違う人との会話も大切に
していきたいです。もちろん英語の勉強も続けていきたいと思いますし、他言語もできれば学んでいき
たいです。そして来年修士号を取得し、できれば博士課程でまた海外の大学へ研究留学として ITP で行
かせて頂き、その際は活躍してきたいと思います。
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研修留学を終えて
●● 物理科学コース M1 山田 智未
私は今回の留学で、自身の語学力と現在の自分の物理に対する知識量について再確認することができ
ました。
もともと英語が得意ではなかった私は、はじめの生活の中で話の内容の半分聞き取れていれば良いほ
うだったのではないかと思います。しかし、授業をうけたり日常生活をしたりしているうちにだんだん
と耳がなれていき聞き取ることができるようになりました。リスニング力が上がれば相手の言っている
ことを理解できるようになったので、自分の考えと違うときや否定をすることもできるようになりまし
た。ただ、話すことに関しては基礎がしっかりしてなかったため最後までたどたどしい英語になってし
まいました。今後、少しずつでも勉強してもっとスムーズに話せるようになりたいと考えています。
ただ、リスニング力がついたこと、自分の意見を言おうとする意思がもてたことに関しては今回の留
学で大きな成果だと思います。
また、研究室に配属されてから自分の研究ばかりで専門分野の基礎知識を学ぶ機会が少なかったの
で、今回の留学で固体物理学の授業を履修することは自分の勉強をする中でとても良い機会になりまし
た。まだまだ知らないことやきちんと理解していないことがたくさんあることを認識することができま
した。
10 月あたりの授業は学部のときの授業内容に近いものでしたが、英語力がない私には内容がわかって
いるので英語を身につけるための授業になりました。また、物理の授業に関しては毎週レポートを提出
するため、授業の復習・演習を毎週しました。そのことにより、英語の読解をしたり実際に自分で手を
動かして計算をしたり、しっかり時間をとって勉強をすることができました。問題を解く上で参考書を
読む機会もあったので、資料の探し方や英語を読む力も身につけることができました。
毎週レポートをやっていたため、自分の知っている内容以外の範囲を授業でやり始めたときにはすで
に、調べ方やリスニング力がある程度身についていたので、大変でしたが挫折することなく最後までや
り遂げることができました。
そのほかの情報の授業では、パソコンのしくみを理解したりプラグラムを作ったりしたのですが、プ
ログラムは大学の研究でも作っているので基礎の復習をすることができました。言語は違いましたが、
構成だったり作り方だったり基本的なプログラムを作成することにより自分がどのようにプログラムを
作るのか、どのようなところでミスをすることがあるのか知ることができました。
最後に、このプログラムに参加してよかったことは、日本にいてはできなかったこと、気がつけなかっ
たことが今回留学という環境を変えることにより確認することができたのが一番大きな結果だと思います。
今後、今回の留学で身につけた知識や自分に対する理解を活かし、残りの大学院生活、さらには自分
の人生にプラスになるよう努力したいと思います。
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研修留学を終えて
●● 物理科学コース M1 米山 京子
留学を通して学んだこととして、まず、授業に対する積極性が挙げられます。Wuppertal 大学では学
生は授業中に積極的に発言し、教官に疑問点を明確に伝えていました。私は日本での受け身の授業との
ギャップに戸惑い、なかなか発言することができませんでしたが、この姿勢は見習うべきものです。
また、お茶の水女子大学の大学院では、講義よりも輪講に重点を置いていましたが、Wuppertal 大学
では、修士の間はほとんど講義に出席するのみで、輪講等はとくに行われていないようでした。そのか
わり、かなり専門的なトピックに関しても講義が行われており、一貫したカリキュラムが存在していま
す。そして、講義と平行して演習の授業があり、授業で扱ったトピックに関して各自次の演習の授業ま
でに問題を解いていく形式になっています。最初は授業のみのスタイルに物足りなさを感じましたが、
講義、演習でしっかり基礎力をつけられるカリキュラムであることが伺えました。私個人としては日本
の輪講というスタイルも学生が主体的に学ぶことができ、長所は多々あると思っているのですが、同じ
専門分野でも異なる方法で学んでいる学生がいることを知り、またそのような学生とともに学び、意見
交換できたことは貴重な体験でした。
さらに、ドイツの学生は発表がとてもうまく、英語であっても筋道のたったわかりやすい発表をしま
す。演習の授業では学生が各問題について黒板で説明をするのですが、発表することに慣れているため
か、まるで講義をしているように説明します。今回の留学で一番差を感じたのがこの発表能力でした。
演習の授業ではドイツの学生から学ぶことが多く、発表することは大変でしたが良い練習になり、とて
も有意義な時間でした。これから先プレゼンテーションをする機会は増えていくので、今回学んだこと
を生かしてわかりやすい発表を心がけていきたいと思います。
授業科目の点で、お茶の水女子大学では学べない科目の授業を受けることができたことも得たものの
一つです。お茶の水女子大学では理論の研究室に所属しているのですが、もともと実験にも興味があり、
実験と関連の深い研究をしたいと考えていました。しかし本学では実験に携わっている方の講義を受け
る機会はありませんでした。一方 Wuppertal 大学では同分野の実験の面にも力を入れているため、今回
の留学で実験に関する講義も受講することができ、実験の現状について学ぶことができました。
今後は、Wuppertal 大学で学んだことを研究活動に取り入れ、国内外の研究会や学会にも積極的に
参加したいと思います。また、今回の留学で、Wuppertal 大学で自分の興味のある分野の研究が行わ
れていることを知ることができたので、この先ダブルデグリーも視野に入れながら、研究留学で再び
Wuppertal 大学に留学したいと考えています。
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研修留学を終えて
●● 化学・生物化学領域 D1 梅澤 規子
言葉の壁はもちろん、生活・文化など全く異なる異国の地での研修は、海外へ 1 度旅行に行ったこと
があるだけの私にとってはとても不安でした。しかし、当研修プログラムにおいては受け入れ先大学と
の連携がしっかりとしており、学校の様子、授業の様子など事前に知りうる情報が多かったこともあり、
余計な不安に振り回されることなく勉強に専念できたと思います。ドイツという国も、日本人には馴染
みやすい国かと思いました。
留学当初は英会話の事前研修があるとはいえ、やはり日常の全てが英語という生活にとても疲労感を
感じました。それは耳が英語に慣れていない証拠でもありますが、帰国するころには毎日の講義も先生
とのお話も緊張することなく聞けるようになりました。
一方英語を話す機会については多いとは言えませんでした。もちろん自分から積極的に現地の学生に
話しかけるということをしなければいけないところですが、ペラペラ英語が話せるわけではありません
ので、なかなか難しいところでした。また、同時期に日本人がたくさんいたこともマイナス要因かもし
れません。1 対 1 での対話という状況が作りにくいからです。こちらがドイツ人学生の輪に入っていく
のをためらうのと同様に、ドイツ人学生にとっても、我々の輪に入ってくるのはためらわれたようです。
試験においては通常の筆記テストに加え、オーラルでの試験もあり、貴重な体験をさせていただきま
した。その講義の内容理解の確認だけでなく、4 か月の英語の成果の確認にもなるのではないかと思い
ます。
外国に住んでいれば当たり前なのかもしれませんが、外国人と対面しても臆することがなくなりまし
た。日本では外国人とお話する機会などないのに加え英語のスキルに自信がないこともあり、外国の方
を避けてしまいがちでした。ですが、研修を終えてからはこちらの留学生とも自信をもって話すことが
できるようになったと思います。これは英語が上達したというよりも、これまでの英語の知識でも十分
会話ができるということを学んだからかと思います。
この度の研修を終えて一番変わったことといえば、外国へ行くのに不安を抱かなくなったことです。
外国で生活するにあたっての英語力、度胸を身につけることができたと思います。今後海外で活躍でき
る機会があれば、積極的に参加したいと思います。
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研修留学を終えて
●● 化学・生物化学領域 D1 齋藤真莉子
Wuppertal 大学への研修留学から得たもの
ITP による Wuppertal 大学への研修留学は、4 ヶ月という短期間ながらも多くのものを得られた貴重な経験と
なりました。まず始めに挙げられるのが、当初の目的である「語学」の面です。毎日のように英語の講義を受ける
ことにより、聴きとる力や語彙力(専門用語)を少しずつ獲得することができたと思います。単なる語学留学の場
合にはもっと語学の壁というものがあったのかもしれませんが、私は化学専攻ということもあり化学式や構造と
いった情報を用いて議論することができたのが幸いでした。語学が不十分でも先生の書く板書やスライドを足
掛かりとして講義の内容を理解することができましたし、講義で大まかな話の流れを理解できたことでその後の
復習も比較的やりやすかったと思います。復習を重ねることで単語力も少しずつ増えていき、
講義の理解度も徐々
に増すという良いサイクルができました。先生方が積極的に質問を受け入れてくれたことも非常に有難かったで
す。このような英語に囲まれた環境に身を置くことにより、日本を発った頃よりも語学力が向上したと思います。
いわゆる英語がぺらぺら話せるという状態には及ばないかもしれませんが、研究を進める上でのコミュニケー
ションをとることはできると思います。言葉だけではなく図や式を多用しても良い、とにかく理解してほしいと
いう意思や理解したいという姿勢を見せることが大事だと感じました。
次に挙げられるのが「国際的な視点」の獲得です。日本から外に出て生活したことにより、日本がどのような
国であるのかを第三者的な視点で見直すことができました。まずは文化の違いです。ドイツに限られたことでは
なく海外では自分の意見を明確に提示することが大事だということを痛感しました。Yes か No かを明確に、な
るべく早く返答しないと困惑されてしまう場面が多かったです。まず始めに主張をすること、そして話を論理的
に展開すること(順序立てて話すと良い)が、議論を円滑に進める上で必要不可欠であると感じました。この点
は日本でもそうではないかと言われそうですが、筋道の通っていない話し方をするとすぐにそっぽを向いてしま
う人もいるという点で日本よりもハードルが高かったと思います。また、日本はヨーロッパの人々にとってアジア
の一国・小国にすぎないという認識を知ることができたのも貴重でした。日本は技術力が高く国内で十分な実験
が行えたり情報が得られることもあり、日本人は国内に留まりがちです。しかし、もはや国境が存在しないと言
える研究の世界に参入していくには、英語論文の発表だけでなく国際学会への参加、留学等の積極的な交流が
必要になると思います。英語は研究者の間での共通言語です。これを身につけることによって研究者自身も世
界に羽ばたき、
より大きな視点が得られますし、
世界にも日本の存在をアピールできるのではないかと感じました。
以前は日本国内で十分研究できると思っていた私がこのような意識を持つことができたことも大きな収穫の一つ
だと思います。
最後になりましたが、今回の留学経験を是非次の機会へと繋
げていきたいと思っています。今回の留学では慣れるまでに時
間を要し、コミュニケーションがとれるようになったかなと思っ
た時には帰国となってしまいました。もし次に海外で研究や議
論をする機会に恵まれましたら、積極的に世界の研究者と関わ
り知識や経験を深めていきたいと思っています。その時のため
にも、習得した能力を維持させるように努力を続けていくつもり
です。
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研修留学を終えて
●● 化学・生物化学コース M1 佐藤 香織
私はこの留学を通して非常に多くのことを学び、そして自分自身を成長させることが出来たと思いま
す。このような貴重な体験を大学院生の間に出来たことは、私の人生においてとても大きな意味を持つ
ことであったと感じています。海外で生活をし、他の国と比較することで日本という国を客観的に見る
ことが出来るようになり、日本の良いところを再認識すると共に問題点を見つける眼を持つことが出来
たところが、この留学で得た最も大切なことであったと思います。
授業では、ドイツの学生の意識の高さに驚きました。一度社会に出てから大学院に戻ってくる学生も
多く、おそらく学生と社会人との間の壁が低く働くことと学ぶことが日本よりも近い位置にあるのだろ
うと思います。授業中も教授と学生とのやりとりが多く活発で、学生が臆することなく教授と対等に渡
り合っているという印象を受けました。私たちはもっと強い意志を持って発言をしていかないと、これ
からの国際社会の中で生きていけないのだなと奮い立たされる思いでした。また、言語の違いによる考
え方のプロセスの違いに触れたことは興味深い経験でした。教育において感じたことは、私たちはもっ
と広い分野において基礎を根深く付けることが必要なのではないかということでした。
大学の授業以外での様々な国からの留学生たちとの交流では、皆が様々な活動に積極的に参加してい
るのが印象的でした。そしてまた言葉の壁を再認識させられることもありました。日本にも外国人がさ
らに増えてきている中で、適確なコミュニケーションが取れるよう今後も努力を続けたいです。日本語
を母国語とする私たちがヨーロッパの人々のように流暢な英語で話すことは難しいことだけれど、恥ず
かしがること無く意思をはっきりと伝えることが最も大切であるということも身をもって体験できまし
た。彼らは自国の文化も他国の文化も非常に大切にしていて、私たち日本人はもっと自分たちの文化を
大切にしていかなければならないと感じました。
私は環境問題に興味があり、今回留学先が環境先進国であるドイツということで多くのことを見聞す
る機会があり、とても勉強になりました。ドイツのエコバッグの普及率の高さや、一貫したペットボト
ルのリサイクルシステム、BIO 商品やフェアトレードの商品の多さなど、日本よりかなり進んだ意識が
あると知ることができた一方、街中の綺麗さなど日本の良いところにも気付くことができ、今後のため
になりました。
今後の展望としては、修士課程修了後は企業で働きたいと考えています。この留学という貴重な体験
を通して、さまざまな価値観に触れることのおもしろさと重要さを感じ、海外で働きたい、また海外と
のやり取りの多い職場で働きたいという思いを強くしました。日本の良さを再発見出来たことで、日本
がこれから世界においてさらに競争力をつけるために働きたいとも思いました。また、ドイツではどの
女性も強さを感じ、仕事における男女差がほとんどないように見られました。日本でも女性がドイツの
ように男性と対等に渡り合えるような社会になるよう、貢献していきたいと思います。
最後に、このプログラムに参加させて頂くにあたり、多くの方のご尽力、ご協力を賜りました。どう
もありがとうございました。
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研修留学を終えて
●● 化学・生物化学領域 D1 楽 娜
今回の留学は私にとっては、初めての留学ではない。中国から日本へ留学してもう何年間も経つとい
うこともあり、ドイツでも一人暮らしなどの生活面では特に心配ことはなく、実際に困ったことや慣れ
ないことはなかった。それ以上に、どのように今度の留学の機会を最大限に活かして、このプログラム
の目的に従って国際交流の力になる留学にするかを心がけて留学生活をおくってきた。単純な語学留学
と異なり、今回の海外への派遣を通して、科学分野の英語力をアップさせることができたと思う。留学
する以前から、研究の上で、英語論文を読むことは決して少なくなかった。しかしながら、専門用語を
見た瞬間すぐに理解できることとは一致せず、どうしても口頭で説明する時に言葉が出てこない気まず
さがあった。やはり口にする習慣はまだついていなかったことが原因だと考えた。化学分野の英語研修
のおかげで、大変有意義な言語環境に置かれ、まず耳でも専門用語に馴染むようになった。そしてその
環境下で、大事な向学心を引き出され、知っていることでも素直に英語版の本を用いて基礎から勉強し
ていた。そのうちに、聞き取れる単語の幅も少しずつ広がったように思った。4 ヶ月ということで、英
語を完全に習得するにはあまりにも短かったが、自分の一番大きな変化は英語の感覚を持つようになっ
た。留学前は英語で声をかけられた時、いきなりに日本語が口に出てくることや、気持ちを入れ替える
時間が 5 秒ほどあった後英語が話せることはよくあった。それに対して留学後は英語で声をかけられた
時、意識せず英語でかえせることを実感した。つまり単に語学の進歩という以上に、英語の感覚を向こ
うでの日々で学んだということではないかと思う。
また、たくさんの国際交流の機会に触れることができた。EU になってから、EU 加盟国の人々が自由
に EU 圏内の他国へ留学することができるということで、ドイツでも、ドイツ人をはじめ、多くの国の
人との出会いができた。お互いに言葉を交わし、それぞれの文化、物の観点に至るまで、楽しい対話す
ることができた。またドイツ人の生活スタイル、生活環境などの仕組みからドイツの文化を肌で感じた。
その中には、ドイツ独特の物もあるが、ヨーロッパの共通点を含んだ面も反映されているため、ヨーロッ
パの社会までも、より深く理解することができた。これらの触れあいのうちに、更なるグローバル観を
持つようになった。
今回の留学は自分にとって 2 度目の留学だった。この貴重な経験は自分の成長へ大きな力になる一歩
だったと思う。ぜひ自らの留学経験を活かして、国際環境下・国際機関で時代の女性として生き生きと
研究・仕事をしようと考えている。この自分の理想像を持ちながら今後も目標に向かって頑張っていき
たいと思っている。
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研修留学を終えて
●● 情報科学コース M2 秋保 美幸
留学を通して学んだことは沢山あります。まず常識の違う人たちとどう接していけばいいかです。日
本と違い様々な国の人たちが暮らしているため様々な常識や宗教を持った人達と接しなければなりませ
ん。むこうの人たちが親切心でしてくれたこともこっちにとっては迷惑だったこともありました。また
挨拶の時に顔をくっつけキスをするのがどうしても慣れることができませんでした。しかし私は日本人
だから、と拒んでばかりはいられません。こういう習慣や常識もあるのかと気づかされることが多々あ
り、勉強の連続でした。向こうの人たちにとって何がいいのかをその場その場で考え、臨機応変に対応
していくことが大事なことだと思いました。また日本について説明する難しさです。なぜ日本語は 3 種
類の字を混ぜて使うのか、舞妓さんと芸者さんの違いは何かなど日本人である私でさえわからないこと
を聞かれ、答えるのに苦労しました。折り紙を持っていっただけで安心していましたが日本を紹介する
難しさについて改めて知りました。
留学前と後で変化したことは、ヨーロッパに対する意識が変わったことと自分の意見をはっきりいえ
るようになったことだと思います。はじめに私たちはアジアにいるためか普段どちらかというとアジア
の情報に触れる機会が多いと思います。留学中も感じましたが、もう少しヨーロッパの地理や歴史、人々
について知識を持っていれば話題も増え、旅行などもより楽しいものになったのではないかと思います。
しかし留学中の急激なユーロに対する円高や様々な国の人たちと話すことによる知識の増加によりヨー
ロッパに対して以前より興味を持つようになりました。ヨーロッパに関するニュースや番組を今までは
あまり意識してみていませんでしたが最近は興味を持って見られるようになりました。次に日本人は割
りと自分の意見をはっきり言わないタイプだと感じます。例えば何かに誘われて断りたいときに相手の
気持ちを考えてしまい、はっきり NO と言いません。しかし向こうの人たちは自分の意見や質問をはっ
きり言います。はじめは自分の意見をなかなか言えず笑ってごまかすこともあったためからかわれるこ
ともありました。しかしこのままの状況で日本人がなめられては困ると思い少しずつ自分の意見を言う
ようにしていきました。日本では自己主張が強いのはあまり受け入れられませんが、今後もし海外に行
く機会があればきちんと自分の意見を言うようにしたいと思います。
今後、社会人になるにあたって海外への出張や海外との取引などで何かと英語が必要になってくると
思います。ドイツ人の英語はわりと聞き取りやすかったのですがネイティブの英語はそう簡単にはいか
ないと思います。もっとリスニングの力を鍛え社会人としてのビジネス英語も勉強し海外で働けるくら
いまで力を伸ばしていきたいです。
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研修留学を終えて
●● 情報科学コース M1 橋本 有莉
ITP 派遣生として私は国際社会においてでも、自分の意見を主張するのに十分な語学力を身につける
こと。また、研究をする上での見聞を広めることを目的としました。そして、この目的を達成するため
に以下の目標を設定し、留学生活を始めました。
・Computer Simulation in Science のコースを選択し、数値計算の理解を深める。
・同じ専門分野をもつ人たちとの繋がりを持ち、国際的感覚を養う。
・ドイツの抱えている環境問題、環境対策など実際にみることで今後の研究の参考にしていく。
・躊躇することなく、迷うことがあればとにかく行動してみる。
4 ヶ月間の留学生活を終えて、これらの目標が達成されたかどうか、またその中で学び得たことを報
告いたします。
ブッパタール大学では CSIS(Computer Simulation in Science)に所属し、週 15 時間程度の授業を受
けました。CSIS の授業は数値計算を軸にしてコンピューターの基礎知識から実践的なプログラミング知
識までを学べるカリキュラムになっており予習復習を欠かさず、毎週の授業で出される課題をこなして
いく中で自然と数値計算の基礎を確認することができ理解を深める結果となりました。
また、CSIS の授業以外に工学系の学部の授業で自分の専門分野である数値流体力学に関わる授業をひ
とつ受け、演習などを通してクラスメートとの親睦を深めることができました。また、ブッパタール大
学は留学生が非常に多い大学だったのでクラスメートも含めクラス以外でも様々な国籍人種の友人と接
することができ自分も国際社会の一員であることを実感しました。友人とコミュニケーションを取るた
めには英語が必須でしたので、国際社会で生活するための英語の必要性をあらためて実感するとともに
友人と楽しく英語を学ぶ事ができ非常に良い経験となり、日常から国際的感覚を養うことができました。
ドイツは環境立国と言われていたのでどんな環境政策が成されているのか非常に楽しみにしていまし
たが、自分の身の回りにさほど日本との変化はなく少し期待はずれでした。しかし、ドイツの各地でみ
かける風力発電用の風車や、スペインへ旅行したときには数 100 枚には及ぶのではないかと思われる広
大なソーラーパネル群をいくつも発見することができ日本ではそれほどな大規模な環境対策をみること
はできないので貴重な経験になりました。また、休日やクリスマス休暇にはヨーロッパの各地を旅する
ことができ、歴史的建築物や美術品などヨーロッパの文化に触れるとともに日本の過去の偉人や伝統工
芸品とヨーロッパの意外な繋がりなどを知ることができ見聞を広めることが出来ました。
ドイツでの留学生活は慣れない言語や慣れない文化の中に身を置いているために毎日何かしら躊躇す
ること迷う事の連続でした。4 ヶ月という期間でまずは行動してみる勇気や思い切りを持つ姿勢を身に
つけることができたと思います。
当初「自分の意見を主張するのに十分な語学力を身につけること」ということを目的としていました
が、4 ヶ月間の留学を経験し沢山の留学生に囲まれて過ごして感じたこととして十分な語学力を身につ
けてから主張するのではなく、
主張してから語学力を身につけることが先なのかな。と感じました。ヨー
ロッパの学生は様々な言語と隣り合わせに生きているために英語が必要不可欠です、その環境の中でま
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研修留学を終えて
ずはつたない英語であっても意思を伝えようという積極的な姿勢がいつも感じられ、その姿勢は私に
とってとても新鮮なものでした。同時に彼らから非常に良い影響を受ける事が出来たと思います。
最後に留学中にお世話になった先生方、現地の学生には細かい部分まで気を使っていただき、非常に
大きな助けとなりました。また、このような留学の機会を与えてくださったことに感謝の意を表して最
終報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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研究留学
研究留学
●● 研究留学について
研究留学は、本プログラムにおける「ホップ・ステップ・ジャンプモデル」の第 2 段階「ステップ」に当
たります。
研究留学では、欧州(ドイツ、フランス、イギリス、オーストリー)の 7 つの海外パートナー機関の中
から、自身の研究内容に合致した留学先を指導教員と相談しながら決定します。指導教員は、学生の希
望を聞きながら、研究計画に沿った実りある留学となるよう、受け入れ先の教員と密に連絡を取りつつ、
学生指導を行います。留学期間は、原則として 90 日以上 1 年以内です。
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研究留学を終えて
●● 研究留学を終えて
複合領域科学専攻 複雑系科学講座 D3 青柳 裕子
私が留学を意識し始めたのは、昨年の今頃(2 月)指導教官である奥村先生とのゼミ中にある動画を見
たのがきっかけです。その動画はいくつかの実験ムービーで、私はその動画に釘付けになりました。こ
れまでの私の実験のイメージは、良く分からない実験装置を使って、結果が数値として出てくるといっ
た、何がどうなったか現象を実際に目にすることができないものというものでした。しかし、私がその
時見た実験は、目で見て何が起こっているかがわかり、とても興味深いものでした。先生からそれらの
実験がフランスの実験グループの仕事だと知り、こんな実験なら私もやってみたいと思うようになりま
した。
そんな折、若手インターナショナルトレーニングプログラムが始まることを知り、思い切って応募し、
念願のフランスの実験グループのところへ研究留学することが決まりました(ESPCI in パリへ 3 ヶ月)。
日本では理論と数値計算で研究を行っていた私にとって、初めての実験は何もかもが物珍しく、驚きと
興奮の連続でした。しかし、もともと、あまり語学に自信のない私は、些細なことでもうまく伝えられ
なかったり、聞き取れなかったりと歯がゆい場面も多く、その度に帰宅後、自分が言いたかったこと、
聞きたかったことを英語に訳して覚え、次の日にリベンジするというのを繰り返しました。また、他の
大学から訪れた研究者がいると、必ず「あなたの研究を教えてください。
」と言われ、初めてのときは全
然うまく説明できませんでしたが、いろんな人に説明していくうちに少しずつ上達したように思います。
フランスでは女性の研究者も非常に多く、そのことは知識として知ってはいましたが、実際に目の当た
りにしてとても衝撃的でした。女子生徒の割合もほぼ半々で、
私が何か研究のことで質問すると、
「ああ、
それは○○さんが詳しいよ」と紹介されるのが女性だったりしてすごく新鮮でした。日常生活は、学校
から電車と徒歩で 30 分くらいの ESPCI の寮で生活しました。初めての一人暮らしのせいか、渡仏 2 週
間で高熱を出したり、包丁で手を切ったり、洗濯物が縮んだり、洗面器の栓が外れなくなったり、暖房
のつけ方がわからなかったり、隣人の騒音に文句を言ってみたり…と最初はすこし大変でした。留学前
に、フランス人はフランス語を話せない人には冷たいと聞かされていましたが、私が接した限りではみ
んなとてもフレンドリーで、放課後、バトミントンサークルに誘ってくれたり、毎週パーティーに誘っ
てくれました。また、
よく行くお店では、
店員さんがメニューやよく使う単語の発音を教えてくれたりと、
楽しく過ごすことができました。
今回の留学を通して、まず、自分の語学力不足を痛感しました。また、異なる文化の人たちと接する
中で、日本との違いや、日本の文化(中国は漢字しかないのになぜ日本は漢字、カタカナ、ひらがなが
あるのか。専業主婦はなぜ働かないのか(フランスは共働きが普通)
。等)について考えさせられる場面
が非常に多く、それは日本にいては感じることのできない体験でした。私は来年度、フランス政府給費
生として再び渡仏する予定です。それまでに、もっと語学を勉強して、さらに実りある体験にしていき
たいと思っています。
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帰国報告会
●● 帰国報告会
研修留学グループ A 山田智未・出雲沙理・佐藤香織
齊藤真莉子・秋保美幸(2009.3.18)
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帰国報告会
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帰国報告会
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帰国報告会
●● 帰国報告会
研修留学グループ B 楽 娜・梅澤規子・橋本有莉
米山京子(2009.4.6)
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帰国報告会
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帰国報告会
●● 帰国報告会
研究留学 青柳 裕子
(2009.3.18)
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帰国報告会
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指導教員から
指導教員から
●● 若手 ITP 報告書
曺 基哲
私は菅本晶夫教授と共に、物理科学コースの素粒子研究室にて大学院生の指導を行っている。当研究
室からは今回の若手 ITP に、2 名の院生(米山、出雲。いずれも前期課程 1 年)が参加した。2 名とも、
学部時代に卒業研究を行っていたときから、将来は研究者として素粒子理論の研究に携わりたいという
高いモチベーションを持って大学院入学後も勉学に励んでいたので、若い時期に海外の大学に滞在し、
国際的な物差しで自分たちの現在のレベルを計ることは非常に有意義であると思っていた。
留学中には、一度(12 月下旬)
、スカイプ(インターネット回線を利用した通信ソフト)によるテレビ
会議を開き、留学の現状について中間報告を、また 2 月の帰国後に改めて詳細な留学の報告を受けた。
留学プログラムで提供される規定の授業はすでに日本で学習済みの内容であったので、素粒子物理の教
授を個人的に訪ねて、研究室のゼミ等に参加させてもらうなど、積極的に学んできたようである。
留学期間、滞在先の大学の学生の姿を見ながら、授業、ゼミへの参加態度、また十分に発表内容を理
解した上でのプレゼンテーション等を通して非常に刺激を受け、自分たちの現在の水準を客観的に比較
することができたようであり、本人たちに取っては今後奮起して学ぶための良い動機付けになったと思
われる。また、具体的な研究テーマを発展させる上での基礎学力の充実、ということの重要性を認識し
た様子で、帰国後に自発的に基礎科目の勉強に取り組んでいる様子である。今回の留学で「学ぶ」という
ことについて多く得たものがあったようだが、今後は修士論文テーマに取り組みながら「研究する」方法
論・スタイルの確立へと結びつけてくれることを本人たちに期待している。
●● ITP の成果
小林 功佳
ITP で派遣された学生(山田、M1)からは、自身の研究の基礎となる固体物理学に関する勉強を集中
的に深く行えたこと、および、英語に関する勉強を留学後も継続して行う機会になったことなどを聞い
ています。これは、日本にいる時とは異なる環境で生活したことが要因であるようです。また、ドイツ
の学生のプレゼンテーションの上手さ等、見習うべきことや、式の計算を行う際の考え方の違い等、多
くのことを実感して帰ってきたようです。学生の意欲、
態度、
将来の展望などで、
留学前と留学後で目立っ
た変化は今のところ見られませんが、今後、自身の研究を進めていくにつれて、この経験の成果が少し
ずつ表れてくるのではないかと思っています。ITP を今後も継続して実施されることを期待します。
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指導教員から
●● 若手 ITP 事業に学生を派遣させていただいて
近藤 敏啓
平成 20 年度の標記事業に関して、当研究室より梅澤規子(D1)
、斎藤真莉子(D1)
、佐藤香織(M1)の
3 人を、研修留学としてドイツのブッパタール大学に派遣させていただいた。3 人とも派遣前と比べて、
英語力及び英会話力、そして特にコミュニケーション能力が大きく向上したと感じた。また学生の研究
への取り組みの意欲も派遣前と比べて強くなったものと思われる。今後、これらの力を今度は研究面に
生かして大きく羽ばたいてもらいたい。
本事業の研修留学についての要望であるが、修士課程の 2 年間において 3 ヶ月余の研修期間は、本来
の研究に関連したものとは言え、(特に実験系の)研究から離れる時間が大きく、修士論文の内容にも影
響してくる。今後、研修留学中の研究面でのサポート、具体的には留学先の研究機関との共同研究打ち
合わせ、あるいは関連研究室への出入り等を検討していただきたいと思う。
●● 楽 娜さんのドイツ留学研修についての感想
小川 温子
楽さんは中国、上海市出身の留学生で、現在は博士後期課程 2 年次生です。4 年前の秋から大学院前
期課程学生として入学し、私の研究室で生化学・糖鎖生物学分野の研究を行なってきました。今回、若
手 ITP プログラムによって、バーギシェ・ブッパタール大学へ研修生として派遣していただきました。
留学先の日本から、思いがけずドイツへの転留学の機会をいただき、楽さんは好奇心と挑戦者精神に富
む性格ですので、大変よろこんで参加しました。大変充実した楽しい留学であったと聞いております。
同時に今回の研修は、本人にとって日本での研究・学習の環境や自分の置かれている立場を見直す大変
よい機会でもあったことと推察します。そして、ドイツ留学前の彼女とは一味変わって帰ってきました。
修士までは、研究も学習も言われたことを忠実にやれば自然に道が用意されるだろうというような、や
や消極的な所があったように感じます。しかし本研修を機に、楽さんは今後の進路選択の岐路に立って
深く考えるようになったと思います。今後は本人が主体的に自分の立っている位置と目指す進路を考え、
その目標に向けて実践していくことが必要ですので、私も指導教員として見守り応援していきたいと思
います。また、来年度にはドイツからこちらの研究室に学生さんが来られる予定ですので、楽さんには
その折、留学の成果を生かして協力してもらいたいと考えています。最後になりましたが、貴重な機会
を楽さんに与えていただいた鷹野先生、奥村先生を始め、ご関係の皆様に厚くお礼を申し上げます。
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指導教員から
●● ITP 研修プログラムに 2 人の学生を派遣して
河村 哲也
私の研究室からは M2 の秋保美幸さんと M1 の橋本有苅さんが、ブッパタール大学で Computer
Simulation in Science のコースをとりました。
秋保さんは、学部は数学科で、物理やプログラミングには不慣れで少しハードルが高がかったかも知
れませんが、持ち前のファイトで頑張ったようです。英語は上達して帰ってきました。M2 だったため、
出発ぎりぎりまで修士論文のための研究を行い、また現地でも修論を書き、さらに帰国して修論審査会
や公開発表会の準備をするなどかなり多忙でしたが、これもなんとか切り抜けました。これらの努力の
経験は今後の人生の大きな糧になると思います。
橋本さんは、学部は物理学科で、数値計算やプログラミングは不慣れでしたが、英語はもともと得意
であり、英語での講義もかなり理解できたようで、シミュレーションの基礎を学ぶには絶好の機会だっ
たと思います。今後は修士論文に本格的に取り組むことになりますが、ドイツで得た知識を役立てて立
派な研究をすることを期待しています。
●● 若手 ITP 初年度を終えて
研究留学指導教員 奥村 剛
本年度は、初年度ということで、特に研修留学を軌道に乗せるためにブッパタールに 3 度足を運んだ。
負担は大きかったが、見違えるように成長していく学生を目の前にするとその苦労は吹き飛んだという
のが正直な感想である。昔の自分が学生だったときの留学経験がいかに自分に大きな影響を与えている
かを考えれば、見違えるような成長は驚くことではないが、それに教員として力を貸すことができたこ
とは大きな喜びであった。研修留学については、ブッパタール大学の教員が非常に好意的であったこと
が、本年度の成功のカギとなっている。そのため、次年度以降も出張の負担は軽くはないが、両大学の
教員がしばしば直接に顔を合わせてよい関係を維持していくことが極めて重要と思う。
研究留学についても、パリ市の ESPCI と協定を結び、自分の研究室の学生(青柳さん)を派遣するこ
とができた。青柳さんも、非常に大きな刺激を受けたようで、フランスでの女性研究者の多さや、自由
に楽しく研究に取り組む姿をきちんと肌で感じてきてくれたようである。なお、研究留学については、
おのずと学生の数が限られてくることもあり、学生の研究上最もふさわしい留学先に留学ができるよう
に、相手先の研究機関をフレキシブルに増加できるようにすることが、本プログラムの目的「研究者の
育成」にかんがみて相応しいと考えている。
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編集後記
●● 編集後記
リーダーシップ養成教育研究センター(事前研修担当)村山 真理
プログラムも 2 年目に入り、再び、学生を送り出す準備をしています。初年度と比べ、慣れた点もあ
りますが、新たな問題も発生し、結局四苦八苦する毎日です。
「初年度にはなかったこと」が起こるのは、
プログラム自身が前進し、進化している証しであり、たいへん喜ばしいことだと思います。実際、2008
年度に研修プログラムに参加した学生の中から研究プログラムに進む学生が数名出ておりますし、海外
パートナー校も増え、事前研修の内容もリニューアルし、ITP は学生のニーズに合わせ、より一層充実
してきています。これは、お茶大およびパートナー機関の先生方の行き届いたケアの成果で、こちらも
大変素晴らしいことだと思います。
以下は、これを読んでいる理学部の学生さんたちへ、私からのメッセージです。
最近「理系はスゴイ」としみじみ思うのです。研究成果が言語能力と密接にかかわっている文系と異な
り、理系の研究者は世界共通の言語を持っているからです。私は今の仕事が大好きですが、理系学生の
教育に携わるようになり、理系科目は得意だったのに理系に進学しなかった事を、少し残念に思ったり
しています。
「世界」を目指す文系の学生は多いのですが、理系学生の皆さんにこそ、世界への扉が、より大きく開
かれています。そのことを、ぜひ自分自身のために有効に活用して下さい。ITP もその一つです。英語
に自信がない、とか、4 か月も自分自身の研究テーマから離れてしまうことが不安(研修留学の場合)、
とか、参加しない理由はいろいろとありますが、勇気を持って挑戦すれば、英語はそれなりに何とかな
るものですし、海外生活の体験は必ず自身のプラスになります。2008 年度のプログラムを体験してきた
学生たちが、何を体験し、何を発見したか、読んで頂ければ一目瞭然です。
まだ ITP を体験していない方々、2010 年度のプログラムでお会いできることを楽しみにしています。
2009 年 7 月
若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラム(ITP)
校風をつなぐ女性科学者の育成
−第 2 のマリー・キュリーを目指せ−
平成 20 年度 実施報告書
2009 年 7 月発行
発行 お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科理学専攻
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印刷 株式会社 インフォテック
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