フレキシブルな働き方 JULY 2013 「働くために生活する」にしろ「生活するために働く」にしろ、「お仕事 は何ですか?」とよくきかれるものです。多くの人にとって仕事は自己形 成の一環であり、何を仕事にしているかはその人のアイデンティティと切 っても切れない関係にあります。でも、どのように働いているのか、とい うことは、どこで働いているのかと同じぐらい重視されることは少ないの です。 一般的なオフィスの職場はテクノロジーによっ て大きな変貌を遂げ、それと共に社員も変わらざ るをえなくなっています。携帯デバイスやノート パソコンの利用によって場所や空間の境界線がぼ やけてきました。以前なら「オフィスの外」では 仕事をしていませんでしたが、今日では必ずしも そうではありません。 生産性と実績に焦点をあてることは企業にも個 人にも有益であり、フレキシブルな人材活用はそ の助けになります。フレキシビリティとは単に時 間に関するフレキシビリティに限りません。どの ようなプロセスで仕事をするか、なぜそうするの かを、社員と経営者がオープンにクリエイティブ に問い直す戦略的なあり方なのです。「仕事は『 行く』ものから『する』ものへと急速に変化しつ つあることを1、企業は早急に理解する必要があり ます。 ワーク・ライフ・エフェクティブネス(WLE) は、企業が女性とビジネスにとってよりインクル ーシブな職場環境を創出し、職場環境のみならず 生活も変えてしまうような文化の変革を推進する 重要なツールです2。企業と個人が仕事や「理想の 社員」についての固定観念を問い直し、女性と男 性の両方の仕事にまつわる行動とスタイルの幅を 広げられるようになります。多くの社員は、子育 てや介護の問題にかぎらず自分のスケジュールを もっとコントロールできるようになることを望ん でいます3。職場のフレキシビリティを、子育てや 介護のための例外規定としてではなくワーク・ラ www.catalyst.org © Catalyst 2013 イフ・フィットを向上させる総合的戦略としてと らえている経営者は、理由はともあれ、能力の高 い社員の採用と維持という点で、一歩先を行って いるといえるでしょう。 カタリストは50年以上のリサーチとコンサルテ ィングの経験から、職場のフレキシビリティに関 するいくつかの要点を明らかにしました。以下で は、よくある懸念、前進を妨げる壁、フレキシビ リティに関する誤解を固定化するような誤った通 説などを取り上げています。職場の声は世界各地 からの個人的な体験談で、世界の働く人々や誰も が必要とするフレキシビリティについて気づきを 与えてくれます(人名はすべて仮名)。各分野の 専門家のリサーチによる知識は、通説を打ち砕き 事実を明確にします。フレキシビリティの実践で は、あなたの会社でフレキシビリティを実践する ときのヒントになる提言や一流企業の例を紹介し ています。 重要語句 アジャイル・ワーキング(機動性のある労働) 人やプロセスを効果的に繋ぎ、テクノロジーを有 効活用することにより、規定の範囲内ではあるが 境界線に捕らわれない業務の遂行を可能にする4。 テレワーク 自宅やオフィス以外の場所で働くフレキシブルな 就労形態の一つ。一般にテクノロジーを介してオ フィスとつながっている12。 高齢者介護 高齢の親族、その他の成人の被扶養者の介護。情 緒的・経済的支援から通院の送り迎えなど不定期 な支援まで幅広い5。 バーチャル・ワーク リモート・ワークとも呼ばれるが、バーチャルと いう語は社員として貢献しながらも物理的には職 場にいないという状態を指し、リモートという語 の閉鎖的でインクルーシブではないニュアンスと は異なる13。 フェイスタイム(顔見せ時間。メールなどではな く、直接顔を合わせる時間) 自分の仕事への熱意や生産性が高いことを伝える ために(しばしば必要以上に)職場で時間を過ご すこと。プレゼンティーイズムともいう6。 フレキシビリティ いつ、どこで、どのように仕事をし、どのように キャリアを形成していくのかを決められること7。 フレキシブルな就労形態(FWA) 仕事の時間、範囲、場所の調整など個人の状況に 合わせ、個別に取り決めをする雇用条件8。 ジョブ・シェアリング 1人分のフルタイムの仕事を、2人またはそれ以上 の社員で給与や手当を案分して行うパートタイム 労働の形態9。 ワーク・ライフ・バランス(WLB) WLBは、世界で最も広範に使われている用語とい える。1980年代末から、仕事と生活の責任のやり くりという意味で使用されるようになった 14 。バ ランスには個人が仕事と生活の均衡を常に保つよ う努力すべきという意味が込められることがある が、現実には優先順位の程度は日・週・月・年単 位で、またライフサイクルの過程で変化する。こ のコンセプトはワーク・ライフ・フィット、ワー ク・ライフ・ハーモニーとしても知られている。 ワーク・ライフ・イフェクティブネス(WLE) 現状を問い直し、企業と社員が適時に適材適所で 仕事に集中できるようにする管理ツール。WLEを 通して、企業は積極的に人材を管理し、現在のプ ロセスを精査し、機動性を高め、優先事項を実行 し、相互に有益なソリューションを推進できる15。 サンドイッチ世代 子どもを養いながら高齢の親の介護もする世代10。 *用語は文化や地域によって異なることがあります。 戦略的フレキシビリティ フレキシビリティを活用した人材・リソース・コ ストの管理。明確に定義されたビジネスケースが あり、透明性、とクリアなコミュニケーションを 実施し、経営者にも社員にも「ウィン・ウィン」( 双方に利益がある)であるとみなされる柔軟な勤務 体系の戦略11。 フレキシブルな働き方 | 2 職場のフレキシビリティ:構造的な課題 職場の声 中国のリーピンは、同僚と同じように午前8時30分に出社し午後6時に退社という従来通りの勤 務時間で働いています。ところがグローバルチームのサポートもしているので、毎日、現地時 間の午後10時(米国本社の午前7時、米国内の最も大きい支社で午前10時)に電話会議をしなけ ればなりません。その電話会議で、米国時間でその日中に終えなくてはならない新しい仕事を 頼まれることがよくあります。リーピンは「まるでタイムゾーンをさまよっているみたい。就 業時間を過ぎてからその日の仕事が来るのです。いつも後れをとっているような気分になりま す」と言っています。 要点 賢い企業はフレキシビリティに優先順位を置きます。たとえ不況の時期などで常識に反するよ うにみえるときも、それは変わりません。 求人の少ない不況の時期には、社員は仕事があるだけでも幸せでフレキシビリティを期待したり求めた りするようなリスクはおかせないと思いがちです。一方、経営者はそうした時期には「少ないものでより 多くを」と考えて人員や福利厚生を縮小し、ワーク・ライフ・バランスや福利厚生は「あればすばらしい が必要ではない」とみなし、それにしたがってリソースを削減します。 知識 フレキシビリティの実践:ユニリーバ リーピンの体験から学べる最も重要な点は、彼 女がフレキシビリティを求めたのはよりよいワー ク・ライフ・イフェクティブネスを望んだからと いうより、経済のグローバル化が進む中で社員が 日々直面する課題が明らかになったということで す。2005年から2012年まで経済が著しく不安定 な時期が続きましたが、2012年全国経営者研究 (National Study of Employers)では、仕事の時 間と場所のフレキシビリティを社員に提供するた めの投資が増えていました16。 2009年に開始されたユニリーバの「アジャイル ワーキング プログラム」は、単なるフレキシビ リティのプログラムから先駆的なキャリア・ワー ク・モデルへと発展しました。フレキシビリティ に関する内容が多いとはいえ、このプログラムは 他の多くのフレキシブル・ワーク・プログラムの 範疇を超え、持続可能な職場の構造改革を創出 し、全体的な社内文化の変革をも推進しました。 「アジャイルワーキング プログラム」は男女比 のバランスを改善するとともに、業務を遂行でき るかぎり、時間や場所を問わず働けるようにする ことで様々なメリットを社員に提供することがで きました。成果を重視し、いつ、どこで、どのよ うに働くかは重視されていません。このプログラ ムはジョブ・シェアリングも促進し、優秀な人材 を引きつけ、留まらせ、会社全体のパフォーマン スを向上させるのに貢献しています17。 検討課題 リーピンの例のような仕事を課す場合、 他にどんな働き方があるでしょうか。 フレキシブルな働き方 | 3 要点 フレキシビリティのプログラムの導入には大きな費用がかかることがありますが、通常はコス トを上回るメリットがあります。 知識 フレキシビリティの実践:提言 職場のフレキシビリティの実践は、計画的に設計 し実施すればコスト削減につながります。社員の 生産性の向上、設備投資費の削減、常習的な欠勤の 減少、離職率の低下により、いくつもの領域で節 約ができます――これはとりわけ魅力的な可能性で す。250件以上のケーススタディの分析によると、 在宅で半日勤務をする人が1人増えるにつき、年間1 万ドル以上の運営費を削減することできます18。 あまりコストをかけずに、ワーク・ライフの問 題を抱える社員を支援する方法はいくつもありま す。たとえば高齢者介護やその他のワーク・ライ フの問題に直面している社員は、支援サービスを 見つけるための基本的なリソースや紹介があるだ けでも助かることが多いのです。社員がこうした 問題を話すために集まれるようなランチタイム・ サポート・グループの結成と、実施のための会議 室の提供をすることも考えられます19。管理職が、 仕事スケジュールの圧縮やパートタイムのスケジ ュールについて社員から要望が出ることに不安が ある場合、画面共有やテレビ会議のソフトアプリ の無料版を試すパイロット・プログラムや試行期 間を設けることもよいかもしれません。 フレキシブルな働き方 | 4 要点 すべての社員が――子どものいる人も独身の人も、女性も男性も――職場のフレキシビリティを利用で きるようにすれば、それに関連するビジネス効果が高まります。 歴史的に、職場のフレキシビリティは女性の問題とみなされてきました。多くの国では女性が主な養育者・介護 者であることが多く、家事の大部分を負担する傾向があるからです。現在は多くの国で専業主夫の父親や主な家 計維持者である女性が増えているにもかかわらず、フレキシビリティは女性の問題だという認識はなお根強く残っ ています。 知識 フレキシビリティの実践:キャピタル・ワン 過去数十年間で仕事と家庭の両立の問題を経験 する男性の比率は著しく増え20、仕事の葛藤は家庭 での社員の生活のさまざまな側面の妨げになりう る(なる)という研究結果があります。21 たとえ ば、50歳以上の家族の介護をする人の60%近くが 就労しており、大半はフルタイムで働き、3分の2 が介護のために遅く出勤したり早退したり時間休 を取ったりしています 22 。「サンドイッチ世代」 の多くの社員は子どもと高齢者の両方の世話に責 任を負っています(あるリサーチでは50%にのぼ る)23。優秀な人材を引きとめるには、企業は社員 が求めているものを知ることが不可欠です。カタ リストの「The Great Debate: Flexibility vs. Face Time—Busting the Myth Behind Flexible Work Arrangement」の調査回答によると、ハイポ テンシャルの回答者はフレキシブルな就労形態は 「自分にとってとても重要」 ,または「きわめて 重要」と答え、子どもがいる人といない人とでは 重要性の認識に差はありませんでした24。 キャピタル・ワンは2001年から2002年にかけ て、女性社員の支援の向上の方法を探るため、社 内「女性ネットワーク」の社員満足度を評価する フォーカスグループを実施しました。また女性と 男性の優先傾向の差異を理解するために、男性に ついてもフォーカスグループを実施しました。結 論として、女性でも男性でも、最も多い要望はフ レキシビリティの拡大でした。それに応えて、キ ャピタル・ワンは現在フレキシブル・ワーク・ソ リューション(FWS)と呼ばれているパイロット・ プログラムを開発しました。2003年にパイロッ ト・プログラムとして公表され2004年に組織全体 に拡大されたこのプログラムは、構造化されたメ ニュー(フレックスタイム、パートタイム、週間 労働時間の圧縮、在宅勤務など)を提供し、社員 はその中から自分のスケジュールに最適なものを 選ぶことができます。 FWSを実施したことにより、仕事のやり方や場所 がよりフレキシブルになり、社内で協力する姿勢 の向上や社員の創造性、生産性、満足度も向上し ました。社員が通勤で費やしている時間に自宅で 仕事を開始することができますし、午前9時から午 後5時まででも、その他の時間帯でも各自が最も生 産性の高い時間帯に働くことができます。ある管 理職は昼間に息子の少年フットボール・リーグの コーチをすることができました。調査では一貫し て、社員は同僚からのフィードバックが 得られる のが 早くなり、新しいプログラムを実施してから 全体的に満足度が高まったと報告しています25。 フレキシブルな働き方 | 5 要点 バーチャルに働くことができない業界や職種でも、フレキシビリティの選択肢を提供すること ができます。 実際にその場にいなければ仕事ができないような時間給従業員による職は、通常、月給ベースの社員よ りもずっと給与額が少なく、仕事と生活の必要をやりくりするのはさらに困難です。たとえば製造業や倉 庫業、飲食業、小売業、保育などの職がそうです。 知識 時間給従業員のスケジュールにフレキシビリテ ィを導入すると、従業員も経営者も大幅に成果が 向上するという研究結果があります。公正労働基 準法適用の時間給従業員のスケジュールは融通が 利かないうえ予測しにくく、ワーク・ライフのス トレスを増大させています。実際、直前の指示に よる強制的な残業を廃止すると、離職率や常習的 な欠勤が減り、生産性と仕事への熱意が高まるこ とがわかっています26。 フレキシビリティの実践:提言 あなたの職場のフレキシビリティを創造的に考 えてみましょう。あなたの会社では、職場の大き な改善につながるような小さなスケジュールの変 更は可能でしょうか――シフトの交換、予備要員 の確保、フレキシブルなシフト開始/終了時間、半 日休暇、従業員主導のスケージュール設計、勤続 年数ではなく対応可能性と技能に基づくシフト割 当、無給休暇など。 フレキシビリティの実践:ターク インコ ーポレイテッド ワーク・ライフ・エフェクティブネス・プログ ラム、とくにフレキシブルな就労形態は、時間給 の従業員にはあまり一般的ではありません。工 場、製造業、生産ラインで働く職種の人は、ター クの従業員の3分の2以上を占めています。ターク はこうした職種の人々が高率を占めているにもか かわらず、総合的福祉プログラム「Life Works@ TURCK」、またとくにフレキシビリティに関する「 ワーク/ライフの追求プログラム」を実施し、すべ ての従業員の福祉とフレキシビリティの実現に対 してコミットメントを表しています。 タークの従業員の大多数は製造現場で働いてい るので、全員が一度に在宅勤務をするのは現実的 に不可能です。こうした職種の多くはその性質 上、実際に工場での仕事を要します。それでも管 理職は、従業員が生活と仕事の両方の要求を満た せるように、フレキシビリティを提供するあらゆ る努力をしています。タークでは正式な有給休暇 を除いて、職場のフレキシビリティはあまりプロ グラム化・体系化されていません。体系化してし まうとフレキシビリティを取りにくくしてしまう からです。その代り、従業員と管理職は互いのニ ーズや優先事項について率直に話し合い、双方の 合意で取り決めを行うようにしています。 「Work/Life Pursuit(ワーク/ライフの追求) 」は、場所や職種に関わりなくタークのすべての 従業員が利用できます。たとえばフレキシブルな 有給休暇制度やパートタイムのスケジュール、そ して管理職は残業のシフトを組む際は少なくとも1 週間前には通知するという残業の指針など。従業 員は自主的に残業を申し出ることもできます。収 入を増やすために残業するか残業シフトに入らな いかを選ぶこともできます27。 フレキシブルな働き方 | 6 職場のフレキシビリティ:経営者やチームに関する検討事項 職場の声 チャールズはカナダのある一流企業のマーケティング担当バイス・プレジデントで、管理能力 については常に高い評価を得てきました。ところが、通勤時間を減らすことのできる別のオフィ スで働きたいというある社員の要望を拒否してから、自分の昇進が心配になってきました。優秀 な管理職としてのプライドはあるものの、日常的に顔をみることができない相手をどうすればう まく管理できるのかわかりません。「部下の目をまっすぐに見て、実際の行動を見るのでなけれ ば、どうやって把握できるだろうか。これまでは、表情やボディランゲージを読み取って信頼関 係を築いたり、仕事の配分を決めてきたのに。インスタント・メッセージでそれができるのだろ うか。」 要点 管理職はフレキシビリティの最高の擁護者になることができます。 訓練を受ければ、管理職はフレキシブルに働くバーチャルな社員を効果的に管理することができ、より 熱意のある生産的なチームという実りを得ることができるでしょう。 知識 フレキシビリティの実践:提言 有効な管理能力は長い時間と訓練によって形成 されるスキルです。フレキシブルな社員の管理に はこれまでとは違うスキルが必要で、別のかたち のコミュニケーションのツールや、説明責任、生 産性が求められます28。フレキシブルな就労形態は 通常、社員が短期または試行ベースのプランを提 案する交渉から始まり、管理職は社員の生産性が 少なくともこれまでより下がらないかどうかを判 断しなければなれません29。 ビジネスのコミュニケーションのために効果的 なテクノロジーはたくさんあります。たとえば GoToMeeting、Skype、Google Hangoutは視覚的な コミュニケーションを可能にするだけではなく、 社員と管理職に生産性とチームの協力をもたらし ます。 検討してみましょう チャールズはほかにどのような方法で社員 をよく知り関係を築くことができるでしょう か。また、ほかにどのような方法で表情やボ ディランゲージを読み取ることができるでし ょうか。 フレキシビリティの実践:キャンベル・ス ープ・カンパニー ダイバーシティとインクルージョンの確保はビ ジネスのあらゆる領域に関わるものですが、キャ ンベル・スープ・カンパニーのイニシアチブは、 キャンベルの事業戦略と「キャンベル・リーダ ーシップ・モデル」に綿密に組み込まれていま す。2002年に上層部のリーダーシップによって作 られたこのモデルは、「どんな」仕事を成し遂げ るかだけではなく「どのように」成し遂げるかの 重要性を強調しています30。 フレキシブルな働き方 | 7 要点 協力とイノベーションは、バーチャルでもタイムゾーンを横断しても達成できます 。 企業が多様化しグローバル化するにつれ、さまざまな場所やタイムゾーンに社員がいることはイノベー ションと成功への障壁ではなく、ますます大切な資産になっていきます。 知識 フレキシビリティの実践:ダウコーニング テクノロジーによって仕事の方法がまったく新 しいかたちで再構成されましたが、賢い企業はそ れを上手に活用しています。チームのメンバーが 30分で行けるところにいようが、14時間の時差の あるところにいようが、人材の多様性は創造性と イノベーションをもたらします31。顔と顔を合わせ てのコミュニケーションが必要な場合もあります が、多くの会議はバーチャルで簡単に開くことが でき、時間と経費の節約になります。「バーチャ ル・ワークの第3の波」は「アーバン・ハブ」(よ く設備の整ったモバイル・ワーカーのための共有 空間)が多くのバーチャル社員のソリューション になることを指摘しています。アーバン・ハブは 他の人々も利用できる便利で代替的な仕事空間と なり、オフィスの強制的なフェイスタイムではな く有機的な結びつきを促します32。 ダウコーニングは、アジア、とくに日本と中国 の社員は週間労働時間の圧縮にはほとんど関心が なく、むしろ深夜の頻繁な電話会議を減らすこと に関心が強いことに気づきました。そこでダウコ ーニングは、アジア、オーストラリア/ニュージー ランド、南アメリカ、ヨーロッパ、米国の社員合 同の電話会議では定期的にタイムゾーンのローテ ーションを行うという指針を発表しました 33。 フレキシビリティの実践:提言 直接集まる会議の必要性の再評価が重要な最初 のステップです――これまでずっと会議は直接集 まることだったからといって、ずっとそうでなけ ればならない理由はありません。またタイムゾー ンの配慮に敏感になることも大切です。電話は現 状のように頻繁にする必要があるでしょうか。仕 事の依頼は真夜中の会議ではなくeメールでも同じ ぐらい効率的にできるのではないでしょうか。定 期的な会議が必要な場合、会議の時間設定はいつ も誰かあるいは一つのグループだけが不便な思い をしなくてすむようにタイムゾーンのローテーシ ョンで行うべきです。 フレキシブルな働き方 | 8 要点 在宅勤務の人はオフィスで働く人よりも生産的で質の高い仕事をすることがあります。 仕事のしかたは、人それぞれです。個人的な要因もありますし、社員はさまざまな仕事の責任を抱えて いることが多いということもあります。賢い企業は個人のニーズに敏感です。 知識 オープン・プラン式のオフィスは理想的な共同 作業のツールに思えるかもしれませんが、チーム だけで仕事をする社員はごく少数です。仕事に集 中するために静かな環境が必要なときは、自宅の ほうがうまくいく場合もあります。また在宅勤務 なら仕事を中断させられることが少なく、オフィ スでよくある歓送迎会、コーヒーブレイク、噂話 しなどに煩わされずにすみます34。 フレキシビリティの実践:提言 フレキシビリティの実践:コミュニスペ ース・コーポレーション コミュニスペースは、グローバルなオンライン コミュニティのクライアントに最もよいサービス を提供し、かつ社員のフレキシビリティの要望に 応えるため、妥当な範囲内で社員が自分自身に適 したスケジュールを組めるようにしています。上 級社員の中には週4日勤務の人もいますし、他のタ イムゾーンのクライアントに対応するため別の時 間帯に働く人もいます。遅い時間から仕事を始め る人もいれば早朝から始める人もいますし、私生 活とクライアントのニーズに合わせて「時間外」 に自宅で仕事をする人もいます35。 在宅勤務やジョブ・シェアリングなどのフレキ シビリティの経済的メリットは不動産費用の節約 です。オフィスやパーティションで区切った個室 などの専用スペースの必要は減りますが、電話の 音やおしゃべり等の雑音を逃れるスペースは設置 する必要があります。 フレキシブルな働き方 | 9 職場のフレキシビリティ:文化や地域に関する検討事項 職場の声 ドイツのアストリッドは子どものいる働く女性で、社内では数少ない女性社員の一人です。女 性社員の多くは子育てをしやすいようにパートタイムで働いています。ドイツでは保育所のネッ トワークがあまり発達しておらず、会社もそれほど子育てのサポートを提供していないので、ア ストリッドは難しい状況にあります36。上司に悩みを説明すると、他の同僚のようにパートタイム に移るように勧められました。アストリッドのキャリアの目標は高く、いつか上級管理職になる ことを目指しているので、パートタイム雇用を受け入れることが昇進の妨げになるのではないか と二の足を踏んでいます。 要点 フレキシビリティのプログラムや指針を作るときには、社会的要因や文化的規範を考慮するこ とが大切です。 フレキシビリティが組織全体で有効になるには、経営者が文化の違いに敏感にならなければなりません。 知識 フレキシビリティの実践:提言 どのワーク・ライフの問題にも国や業界や企業 を問わず適用できる「万能薬」のようなソリュー ションはありません――ソリューションは個別ニ ーズに合わせなければなりません。とくに多国籍 企業は、ある地域で何が通用し、そもそもフレキ シビリティが何を意味するのかを憶測で判断する のは百害あって一利なしです。ワーク・ライフの 問題は、たとえばアジアでは国によって大きな違 いがありますので、賢い企業はそれに合わせたソ リューションを作り出します37。 仕事の開始時間を1時間早く、あるいは1時間遅 くすると、保育所や学校への送り迎えに大きな違 いがあります。在宅勤務ならば自動的に通勤時間 がなくなり、フレキシブルな働き方の人はその時 間を仕事に使う傾向にあります。 検討してみましょう アストリッドの会社の経営者が子育ての支 援を迅速に提供するには、どんな方法がある でしょうか。 フレキシビリティの実践:ペプシコ・メキシコ メキシコでは、女性の役割は結婚して子どもと 家族の面倒をみることだというのが支配的な文化 的規範です。この社会的期待はしばしば家庭とキ ャリアを互いに相容れないものにし、家庭での責 任が職業生活より優先するために、メキシコでは 多くの女性が職場を去ります。ペプシコ・メキシ コはこの難しい状況と、それが一人ひとりの女性 や活用可能な人材プールに与える影響を認識し、 事業の全領域での女性のインクルージョンを推進 フレキシブルな働き方 | 10 し始めました。同社はこの問題に対処し流れを逆 転させるため、ワーク・ライフの問題から後継者 育成まで堅実で多様な戦略を実施しています。 ペプシコ・メキシコでは「女性役員協議会」が 先頭に立ち、フレキシブルな勤務やパートタイム を選択できる体制を確立しました。産休から復帰 する女性や働く母親を念頭において設計したこの プログラムは、現在では男女を問わずすべての社 員のプラスになっています。たとえばパートタイ ムの仕事は産休から職場復帰する移行期間の女性 を支援しますが、すべての社員が利用できます。 週間労働時間の圧縮や金曜日の半日勤務などの他 の方針も女性役員協議会が開始したもので、現在 では性別を問わずすべての社員に恩恵をもたらし ています38。 要点 経済成長の途上にある国で成功を収めたい企業は、先進国でしているのと同様に、ワーク・ラ イフやフレキシビリティのプログラムの実施に熱心に取り組むべきです。 フレキシビリティの効果を最大化するには、組織全体にわたって提供すべきです。 知識 フレキシビリティの実践:インフォシス カタリストがインドで行った、ハイポテンシャ ル人材の調査によると、女性は男性と同じような 関心とキャリアの目標を持っているにもかかわら ず、女性のほうがワーク・ライフ・エフェクティ ブネスの達成により多くの困難を感じていました39 。経営者は、フレキシブルな就労形態は全社員に 適用したほうが物理的な管理面でも法的にもマネ ージしやすいことに気づいています。この方法は スタッフの不満も削減します40。 2003年、インフォシスはさまざまな国籍の上級 社員の女性6人からなるグローバルな協議会を立 ち上げました。協議会に課せられた課題は、女性 を含めた最高の人材を引きつけ、雇用し、維持す ることができるようなジェンダーに敏感な環境を 創出するイニシアチブの構想を練り実施すること でした。グローバルなカウンセラー(プロジェク ト・マネージャー以上の女性でジェンダー関連の 事柄について――仕事と個人的状況の管理、子育 ての心配、家庭内の対立への対処、職場のハラス メント、個人の安全と安心など――他の社員を敏 感にさせ教育する訓練を受けた人)は、女性も男 性もキャリアと個人生活の両面で効果的な支援を 得られるように配慮しています42。 フレキシビリティの実践:提言 仕事が「広く分散し、国境やタイムゾーンを超 えて管理される」41グローバル経済で競争力を持つ には、全地域の管理職にワーク・ライフ・エフェ クティブネスのプログラムの運営をトレーニング する必要があります。 フレキシブルな働き方 | 11 要点 公共政策はフレキシビリティやワーク・ライフのプログラムによい影響を与えることがあります。 政府が職場の慣行について干渉してくることを企業が怖れることがあります。しかし公共政策はワー ク・ライフのプログラムを強制したりしませんし、かえってワーク・ライフの問題を正常化し企業が取り 組みやすくなるよう支援することができます。 知識 フレキシビリティの実践:提言 従業員の「要求する権利」を認めるEUの法律は フレキシブルなスケジュールを保証するものでは ありませんが、管理職が要望を丁寧に検討し、要 望を拒否する前に自らのフレキシビリティやジェ ンダー・バイアスについて熟考することを求めて います43。 フレキシブルな就労形態を管理職が自発的に承 認するプロセスに依拠しているかぎり、経営者は フレキシブルな働き方の要望を彼らが拒むのを正 当化しなければなりません。拒む理由を論理的に 把握することで、無意識的な性差別や偏見に対応 することができます。 フレキシブルな働き方 | 12 職場のフレキシビリティ:対人面での検討事項 職場の声 ロジャーはある米国企業の上級管理職で、会社には有給休暇、在宅勤務の選択、育児休暇など のワーク・ライフの福利厚生があります。妻は妊娠中で、二人にはすでに2歳の子どもがいます。 ロジャーの会社では、母親には復職が保証された90日間の有給の産休がありますが、父親には3日 間しかありません。ロジャーは妻が新生児と2歳の子どもの両方の世話をする最初の大変な数カ月 間にあまり助けになれないのではと心配しています。 要点 フレキシブルな就労形態の成功は、信頼と尊重の堅固な土台の上に築かれます。 経営者と社員の信頼関係がないと、仕事の有効性はたちまち損なわれてしまいます。とくにフレキシブ ルな就労形態の実施がそうです。 知識 フレキシビリティが効果を発揮するには(企業 と個人の両方を益するには)、信頼関係が不可欠 です。経営者がフレキシブルな働き方とは何かを 勝手に決めつけたり、逆に、社員がフレキシブル に働けることを悪用したりすると、信頼関係は損 なわれます44。たとえば経営者が、部下が在宅勤務 の時間を子どもの世話に使うだろうと決めつけ、 フレキシブルな就労形態を禁止することがあるか もしれません。社員が会社のフレキシビリティの 方針を悪用するなら――もちろんあまりないこと ですが――悪い前例を作り信頼関係を損ないま す。とはいえ、在宅勤務は生産性を大幅に向上さ せ45、信頼関係はフレキシビリティの成功の鍵であ ることがリサーチからわかっています。 フレキシビリティの実践:プライスウォ ーターハウスクーパースLLP カタリスト・アワードを受賞したプライスウォ ーターハウスクーパース(PwC)LLPのイニシアチ ブ、「Unique People Experience」(UPE)はトッ プレベルの人材の離職率と維持というコストの高 い問題への取り組みです。UPEは人々の多様性を認 識し、尊重し、管理することによって離職率の低 下、クライアント体験の向上、スタッフの生産性 の最大化をはかる一連のイニシアチブです。 PwCの調査データによると、退職の主な理由はワ ーク・ライフの質への不満でした。PwCはこの問 題に対処するため、長期休暇や週末の休暇を大切 にし、公式・非公式なフレキシビリティの選択肢 を利用することがマイナス要因にならない企業文 化の創出に力を注ぎました。PwCには労働時間の 短縮、フレックスタイム、PwC@home、PwCオフサ イト、ジョブ・シェアリング、週間労働時間の圧 縮、季節雇用など、フレキシビリティに関するい くつかの公式な指針やプログラムがあります。こ れらを利用することはマイナス要因にはならず、 フレキシブルな就労形態を利用しながらパートナ ーのレベルに昇進したスタッフは少なくありませ ん。労働時間の短縮を利用したスタッフの調査で は、95%の人がこのことが会社に残る決断に寄与 したと答えています46。 フレキシブルな働き方 | 13 要点 フレキシブルな就労形態の提案は、もはや人生の分岐点に直面した社員のための最後の手段で はなくなりました。 ワーク・ライフ・エフェクティブネスは、今や社員のキャリアのあらゆる段階での優先事項です。 知識 フレキシビリティの実践:提言 フレキシブルに働く社員は仕事に熱意があり、 退職しにくい傾向があるとはいえ47、配偶者の転勤 や新しいチャレンジへの欲求から去らざるをえな いことがあります。彼らはやはりフレキシブルな 就労形態を提供してくれるような新しい会社を探 すでしょう。またキャリアの初期段階にあるミレ ニアム世代の大多数は、たとえ今後の給与の大幅 な増額が見込めるとしても、私生活を犠牲にして まで職業生活を優先したくないと考えているとい う研究結果があります48。 2012年全国経営者調査(National Study of Employers)によると、最もフレキシビリティを 提供する傾向が強いのは、「トップや上級職に 女性や人種的・民族的マイノリティ」が多い非営 利団体や企業でした。企業の規模も要因の一つで す。一般的に大企業のほうが、実施と継続にコス トのかかる福利厚生を長期間にわたって提供して います 49。 要点 バーチャルな働き方は、最初の時点で経営者と社員が期待を設定しないと、仕事と私生活の境 界線がさらにぼやけることがあります。 フレキシビリティの選択肢は社員の業績を大きく向上させることができ、またそうなるはずですが、社 員がいつも「オンの状態」であることを経営者が期待するなら、いずれバーンアウト、燃え尽きてしまう でしょう 知識 フレキシビリティの実践:提言 ある調査は、在宅勤務は労働時間の短縮には有 効でなく単に「場所を変える」だけだと指摘して います50。バーチャルな働き方をする社員の労働時 間は減らず、フレキシブルな就労形態は夜でも週 末でも許容範囲の労働時間であるという期待を生 むことがあります。とはいえ、フレキシブルな働 き方の社員がより熱意があり生産的なのは、自律 性とコントロールがあるからです。社員のほうも 自分の仕事内容や管理職の期待値、そして自分自 身について妥当な期待を抱くよう訓練される必要 があります。 タワーズ・ワトソンの2012年グローバル労働力 調査(Global Workforce Study)では、回答者の 47%が「何らかのかたちでフレキシブルな形態で 働いており、オフィスで働く社員に比べて、自分 の仕事や会社について肯定的な認識をもつ傾向が ある」という結果が出ています51。 フレキシブルな働き方 | 14 要点 フレキシビリティの公式な指針は広く伝達され、リーダーが祝福して支援を表明すべきです 社員の中には、フレキシブルな就労形態を要望したことでキャリアトラックから外れたとみなされるの を怖れて、二の足を踏む人もいます。 知識 フレキシビリティの実践:デロイト トウシュ LLP キャリア開発に積極的に取り組むことは、どの ような労働状況においてもすべての社員に必要な ことです。ハイポテンシャルの女性と「重要な仕 事(hot job)」のチャンスに関するカタリストの最 新のレポートは、「与えられた仕事をひたすらこ なす」式の労働倫理は必ずしもキャリアの成功に 結びつかないことを実証しています52。キャリアの 成功のためにはバーチャルな社員もオフィスで働 く社員も、自分の貢献や仕事への熱意を伝え、は っきり表す必要があります。 デロイトの「女性イニシアチブ」のリーダーたち は2004年にビジョンと課題の見直しをしたとき、女 性も男性も仕事と生活の優先順位のやりくりに苦労 していることに気づきました。デロイトでは1990年 代中盤に正式にフレキシブルな就労形態(FWA)を 採用し、この問題に取り組んできたのですが、社員 のニーズに合っていなかったのです。社内のフォー カスグループの一連の取り組みにより、FWAを利用 する社員の半数はFWAが効果的だと考えているのに 対し、残りの半数は問題があると考えていることが わかりました。FWAがキャリアパスに及ぼす影響が 不明瞭だという点では、ほとんど全員が一致してい ました。フォーカスグループは、単発的な交渉によ る短期的ソリューションとしてのFWAの限界を明ら かにし、体系的・構造的ソリューションの必要を指 摘しました。 こうした問題に取り組むため、デロイトは「マ ス・キャリア・カスタマゼーション(MCC)」制度 を創設しました。MCCとFWAの基本的で根本的な違 いは、FWAは職場の例外規定や便宜という位置づけ だったのに対し、MCCはすべての社員に適用される ことです。MCCはメインストリームの基本的枠組 で、企業の人材管理システムとプロセスに組み込 まれています53。 フレキシブルな働き方 | 15 出典 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31. 32. 33. 34. 35. 36. 37. 38. 39. 40. 41. 42. 43. 44. Chee Sing Chan, “Building the Future Workplace,” Enterprise Innovation vol. 6, no. 3 (July/Aug 2010): p.16-18. Catalyst, Making Change: Building a Flexible Workplace (2002). Sue Shellenbarger, “Single and Off the Fast Track,” Wall Street Journal, May 23, 2012. Paul Allsopp, “What is ‘Agile Working’?” Personnel Today, July 15, 2010. Judith David, Alison Steiner, Elizabeth Hirschhorn Wilson, and Kathy Lynch, Elder Care (Balance Sheets, 1996). Bill Munck, “Changing a Culture of Face Time.”Harvard Business Review, November 2001, p. 125-131; Ruth Simpson, “Presenteeism, Power and Organizational Change,” British Journal of Management, vol. 9 (September 1998): p. S37-S50. Lisa D’Annolfo Levey, Meryle Mahrer Kaplan, and Aimee Horowitz, Making Change—Beyond Flexibility: Work-Life Effectiveness as an Organizational Tool for High Performance (Catalyst, 2008). Catalyst, A New Approach to Flexibility: Managing the Work/Time Equation (1997). Dana E. Friedman, Workplace Flexibility: A Guide for Companies (When Work Works, 2008). George James, “In Person: A Survival Course for the Sandwich Generation,” The New York Times, January 17, 1999. Cali Williams Yost and Donna Miller, “The Strategic Use of Flexibility.” Talent Management, October 5, 2011. SHRM “Briefly Stated: Telework.” SHRM Briefly Stated, May 1, 2003. Emily Jasper, “Women Finding Balance in Remote Work Arrangements.” Forbes, January 17, 2012. Tom Brown, “Time to Diversify Your ‘Life Portfolio’?” Industry Week, November 10, 1986. D’Annolfo Levey, Kaplan, and Horowitz. Kenneth Matos and Ellen Galinsky, 2012 National Study of Employers (Families and Work Institute, 2012). Catalyst, Practices: 2013 Catalyst Award Winner Unilever—Global Reach With Local Roots: Creating a Gender-Balanced Workforce in Different Cultural Contexts (2013). Kate Lister, Workshifting Benefits: The Bottom Line (Telework Researchers Network, May 2010). Melissa Brown, “Towards an Elder-Care-Friendly Workplace,” The Sloan Center for Aging and Work AGEnda Aging & Work Blog, August 8, 2012. Kerstin Aumann, Ellen Galinsky, and Kenneth Matos, The New Male Mystique (Families and Work Institute, 2011). Jessica Keeney, Elizabeth M. Boyd, Ruchi Sinha, Alyssa F. Westring, and Ann Marie Ryan, “From ‘Work–Family’ to ‘Work–Life’: Broadening Our Conceptualization and Measurement,” Journal of Vocational Behavior, vol. 82, no. 3 (June 2013): p. 221-237. National Alliance for Caregiving (NAC) and AARP, Caregiving in the U.S. 2009 (November 2009). Paul Taylor, Kim Parker, Eileen Patten, and Seth Motel, The Sandwich Generation: Rising Financial Burdens for Middle-Aged Americans (Pew Research Center Social & Demographic Trends, 2013). Anna Beninger and Nancy M. Carter, The Great Debate: Flexibility vs. Face Time—Busting the Myths Behind Flexible Work Arrangements (Catalyst, 2013). Catalyst, Practices: Capital One—Flexible Work Solutions (FWS) (2009). Joan C. Williams and Penelope Huang, Improving Work-Life Fit in Hourly Jobs: An Underutilized Cost-Cutting Strategy in a Globalized World (The Center for Work-life Law, 2011). Catalyst, Practices: TURCK Inc.—Life Works @TURCK: Prioritizing Employee Well-Being and Flexibility (2012). World at Work, Survey on Workplace Flexibility (2012). Rachel Pruchno, Leon Litchfield, and Mindy Fried, Measuring the Impact of Workplace Flexibility (Boston College Center for Work & Family, 2000). Catalyst, Practices: 2010 Catalyst Award Winner Campbell Soup Company—Winning in the Workplace, Winning in the Marketplace, Winning With Women (2010). Catalyst, Why Diversity Matters (2013). Tammy Johns and Lynda Gratton, “The Third Wave of Virtual Work,” Harvard Business Review (January-February 2013). Catalyst, Practices: Dow Corning—Leaders and Managers Driving WLE (2008). Lister. Catalyst, Practices: Communispace Corporation—Recognizing Employees, Building Business (2008). Knowledge@Wharton, “Falling Behind: Working Women in Germany Grapple with Limited Child-Care Options,” March 28, 2007. Laura Sabattini and Nancy M. Carter, Expanding Work-Life Perspectives: Talent Management in Asia (Catalyst, 2012). Catalyst, Practices: PepsiCo Mexico—Promoting Gender Equality and Women’s Leadership: Creating Inclusive Environments and Developing Female Talent (2012). Laura Sabattini, Expanding Work Life Perspectives India (Catalyst, 2012). Ariane Hegewisch, Employers and European Flexible Working Rights: When the Floodgates Were Opened (Work Life Law, 2005). Towers Watson, 2012 Global Workforce Study (Towers Watson, 2012). Catalyst, Practices: Infosys—Driving Work-Life Effectiveness Through Employee Empowerment at Infosys (2009). Victoria L. Brescoll, Jennifer Glass, and Alexandra Sedlovskaya “Ask and Ye Shall Receive? The Dynamics of Employer-Provided Flexible Work Option and the Need for Public Policy” Journal of Social Issues, vol 69, no. 2 (June 2013): p. 367-388. Victoria L. Brescoll, Jennifer Glass, and Alexandra Sedlovskaya “Ask and Ye Shall Receive? The Dynamics of Employer-Provided Flexible Work Option and the Need for Public Policy” Journal of Social Issues, vol 69, no. 2 (June 2013): p. 367-388. フレキシブルな働き方 | 16 45. Nicholas Bloom, James Liang, John Roberts, and Zhichun Jenny Ying, Does Working From Home Work? Evidence from a Chinese Experiment (National Bureau of Economic Research Working Paper No. 18871, March 2013). 46. Catalyst, Practices: 2007 Catalyst Award Winner PricewaterhouseCoopers LLP—Unique People Experience (2007). 47. WorldatWork, Survey on Workplace Flexibility (2011). 48. PwC, PwC’s NextGen: A Global Generational Study: Evolving Talent Strategy to Match the New Workforce Reality (2013). 49. Matos and Galinksy. 50. Mary C. Noonan and Jennifer L. Glass “The Hard Truth About Telecommuting” Monthly Labor Review (June 2012). 51. Towers Watson. 52. Christine Silva, Nancy Carter, and Anna Beninger, Good Intentions, Imperfect Execution? Women Get Fewer of the “Hot Jobs” Needed to Advance (Catalyst, 2012). 53. Catalyst, Practices: Deloitte & Touche LLP—Mass Career Customization at Deloitte: A New Model for Building Careers and Developing Talent (2008). フレキシブルな働き方 | 17
© Copyright 2024 Paperzz