2008年 10月号・2

ワイン課通信
2008年10月号
今回のワイン課通信は、9月9日にオザミ・デ・ヴァン本店で行われましたワイン会の報告です。
お忙しい中、遅くまで残って料理を作っていただきました本店調理場の皆様、ありがとうございました。
また、数々の貴重なワインを勉強会のために出庫していただいたこと、このような場を毎月提供して
いただいていることを改めて感謝いたします。ありがとうございました。
今回のワイン会は、ローヌ(主に南部地区)をテーマとさせていただきました。
これから迎えるジビエの季節にむけて、また、個人的にローヌのワインをもっとつっこんでみたい
という思いから選んだこの日のワインは以下の通りでした。
試飲リスト
① 03 Condrieu Coteau de Chery
Andre Perre ヴィオニエ100%。平均樹齢50年。
② 03 Côtes du Rhône Vie-ony est
Gramenon ヴィオニエ100%。Vie,on y estとは「人生、ここにあり」の意。樹齢20年。
③ 01 Côtes du Rhône Ceps Centenaire Le Mem Gramenon グルナッシュ100%。樹齢100年以上。セップ・ソントネールとは「100年株」
④ 96 Côtes du Rhône Ceps Centenaire Le Mem Gramenon の意。又メメは「おばあちゃん」の意)
⑤ 96 Côtes du Rhône Laurintiede
Gramenon グルナッシュ70∼80%、シラー20∼30%
⑥ 90 Cotes du Rhone Ch de Fonsalette
Rayneau
グルナッシュ50%、サンソー35%、シラー15%
⑦ 90 Cotes du Rhone Ch de Fonsalette Cv SyraRayneau
シラー100%。他のCVに使用していない北向きの畑のシラー。
今回のメインとなる二つのワイナリーについて簡単ではありますが、御紹介します。
ドメーヌ・グラムノン
Domaine GRAMENON
本拠地 : モンブリゾン村
代表者 : ミシェル・ローラン
アンドレ・ペレ
<ワイナリーの歴史>
フィリップ・ローランとミシェル・ローランの夫婦は1979年からぶどう栽培を
開始し、1990年に最初の瓶詰めをするまではマルセル・ギガルや、
ポール・ジャブレ・エネなどのネゴシアンにぶどうを売っていた。
それから急速に伸びていったが、1999年にフィリップが狩猟中に事故死。
その後は未亡人であるミシェルがドメーヌを運営し、今日の名声を
得ている。現在はブルゴーニュのドメーヌで修行した
息子のマキシム・フランソワも運営に参加している。
ch.フォンサレット
ラベルのデザインは全てミシェル・ローラン自身が手がけている。
シャトー・ド・フォンサレット
CH.De Fonsalette
グラムノン
本拠地 :シャトー・ヌフ・デュ・パプ
(畑はラガルド・パレオールというシャトーヌフ・デュ・パプから北へ15kmほど行った所)
代表者 :エマニュエル・レイノー
所有畑 :10ha
白:グルナッシュ・ブラン50%、マルサンヌ30%、クレレット20%
赤:グルナッシュ50%、サンソー35%、シラー15%
<ワイナリーの歴史>
シャトー・ヌフ・デュ・パプに本拠地を置くシャトー・ライヤス。その名声を不動のものにした当時の当主、ジャック・レイノーの父、
ルイ・レイノーが1945年に買収した。このシラーはルイ氏がエルミタージュのジェラール・シャーヴから入手した挿し木が基になっている
名手ジャック・レイノー氏は1997年1月に他界し、現在は妹のフランソワーズと甥のエマニュエルが後を継いでいる。エマニュエルは
ヴァケラスにもシャトー・デ・トゥールというドメーヌを運営している。
畑で収穫されたぶどうはすべてシャトー・ライヤスのセラーに運ばれ、シャトー・ライヤスのぶどうと同じように醸造、熟成される。
<ワイン造り>
収量は『ワインの良さは、畑の良さと収量の低さだ。』と先代の故ジャック・レイノー氏も語っていたように、20hl/haを下回るという
驚くべき低さ。平均樹齢35年。 除梗はしない。
醗酵から熟成まで全部で2年。醗酵はセメント槽で、その後、古いオークの大樽で12∼24ヶ月。
ここからは参加していただいた皆様からいただいた感想を、料理とのマリアージュを焦点に
まとめていきたいと思います
今回用意していただいた料理は4品。
① 03 Condrieu Coteau de Chery
Andre Perret
② 03 Côtes du Rhône Vie-ony est
Gramenon
1皿目は2種類の白ワインに合わせて、旬のフレッシュの白桃(ヴィオニエの香りの特徴の一つとして挙げられる)と
オマール海老の冷製。付け合せにはアスパラガスとモッツァレラチーズを。
ローヌで造られる白ワインといえば、ローヌ北部コンドリュー、シャトー・グリエのヴィオニエから造られるもの。
ルーサンヌ、マルサンヌを主体としたその他、ローヌ北部のワイン。南部ですと、グルナッシュブランが圧倒的です。
今回南部の造り手であるグラムノンのヴィオニエとコンドリューを比べてみました。
香り:①白桃、バニラ、オレンジピール、パウンドケーキ
②白桃、蜂蜜、干イチジク、白コショウ、アイスレモンティー
味わい:①穏やかな酸味と南らしいアルコールのボリューム感。フルーティー。後味にほんのりとした苦味。
②飲み口は①よりさらりとして、きれいな酸味がある。余韻も爽やか。
樽を使っている分、①のほうが香りの印象や余韻により強さが感じられたようです。
グラムノンは全体的な印象は①よりやわらかいものの、そのミネラル感が特徴的でした。
料理とはそのワインの自然な果実みの甘みとオマールの甘み、白桃の甘みと香りをあわせたてみたのですが、
おおむね好評でしたが、一部ワインの酸味が目立ってしまうという意見もあり、フレッシュのフルーツは
熟し加減も重要なのだなとおもいました。
③ 01 Côtes du Rhône Ceps Centenaire Le Meme ④ 96 Côtes du Rhône Ceps Centenaire Le Meme
⑤ 96 Côtes du Rhône Laurintiede
2皿目は、いのししのパテにロワール産のドライのプルーンをクローブなどのスパイスの香りをきかせて
戻したものを添えていただきました。
香り:③プルーン、干ぶどう、シナモン、黒コショウ、ブラックベリー
④ブラックベリー、シナモン、ナツメグ、スーボワ、クローブ、ユーカリ
⑤土、ブラックベリー、生肉、血、カシス、ドライフィッグ、ぬれた干草
味わい:③ねっとりしたジャムのような果実味。あとくちはきめのこまかいきれいなタンニン。
④果実味と酸味が溶け合い、まろやかな印象。果実の旨み。
⑤噛みしめるような黒果実系の味わい。タンニンはきめ細かく、あとくちに酸味がのこる。
01年のメメは果実味と酸が活き活きとしている分、パテのほうが勝ってしまったようです。
96年のメメになると、果実味も酸も丸みに磨きがかかって、香りもより複雑にアロマティックになり、余韻も長く、
パテに負けない熟成感でマリアージュは好評でした。
同じ96年のローランテッドは、まだ果実味も酸もはっきりして、メメほどの熟成感はまだ出ていませんでした。
⑥ 90 Cotes du Rhone Ch de Fonsalette
⑦ 90 Cotes du Rhone Ch de Fonsalette Cv Syrah
3皿目のメインは神戸牛ランプ肉のロースト、付け合せにごぼうと、きのこのデュクセルとじゃがいもを。
また、おまけで牛筋のスープも出していただきました。
香り:⑥ブラックベリー、黒糖、シナモン、スターアニス、腐葉土
⑦イチジク、プラム、白コショウ、シロツメクサ、干し肉
味わい:⑥伸びのある酸味と果実味のバランスがあり、あまりタンニンは強くない。
⑦ドライフルーツのような果実味の甘みと鉄分やエピス、長い余韻。
ワインの味わいは、どちらもまだまだ若い!ということ。まだまだ熟成するだろうということ。
⑥のほうが若干酸味が強いものの、どちらも果実味、酸味、タンニンがほどよく溶け合って、
噛みしめるような濃厚な味わいが、牛肉のメインと、特に⑦のほうがよくあったようです。
今回、初めての司会進行で不慣れなことも多く、いろいろな方にサポートしていただき本当にありがとうございました。
このワイン課通信も遅れての発行となってしまい、申し訳ございませんでした。
オザミトーキョー 萩原