2011年度帰国後ミーティングの記録

2011 年度 海外語学研修@スタンフォード
帰国後ミーティング
2011. 10.19
参加者:安部(経2)
、市川(社4)
、稲垣(社2)
、石原(社2)
、井浦(商4)、川村(商
2)
、久保(商)
、水村(経2)
、野崎(法2)、岡崎(社2)、菅野(商3)、武村(経2)、
寺西(商2)
、臼杵(商2)、山江(法1)
、山本(商4)
質問者:川本(商学研究科/英語科教員)
――寮生活やルームメイト、他国からの留学生との交流について教えて下さい。
野崎:台湾の子と同室でしたが、性格や、しゃべり方まで自分と似ていて、選んだ人はど
うやって気が合うのが分かったのだろうかと不思議に思いました(注:部屋割りは、学生
たちの面接を担当したディレクターが行います)。
久保:早稲田の学生と一緒でした。出国前から意気投合していた友達だったので、自由で
楽しかった。テンションが高くて、みんなに funny と言われて、他の部屋から人が集まっ
てきて、夜遅くまで騒ぐような部屋でした。
武村:最初の頃にスタンフォードのコーディネーターに open door policy の話をされまし
た。最初はみんな互いになじみがないので、お互い自由に入ってこられる環境を作りまし
ょうといわれた。やってみると、自分たちの部屋と、向かいの部屋の人が一つの四人部屋
のような状態になって、にぎやかでした。
山江:ルームメイトは日本人でしたが、どちらかというとラウンジで過ごす時間が多かっ
たかもしれません。
山本:早稲田の学生と一緒でしたが、四年生どうしで話が合いました。でも、やっぱり台
湾の人と一緒だった方がいろいろ勉強になったかな。
寺西:台湾の女の子と一緒でした。仲良く気も合い、相談も夜中に二時間したこともあり、
出発前は三日連続で、二人で泣いていました。
井浦:授業でも、韓国、台湾からの学生はとてもまじめでした。日本人だけならだらけて
いたかもしれませんが、彼らがいたから引き締まりました。
武村:台湾の人は買い物好きで、みんなよくショッピングモールでブランドものを買って
いました。親や自分、友達の分もたくさん買っていてびっくりしました。
稲垣:買いすぎてしまったからといって$600のスーツケースを買ってた人もいました。
その人は一週間で十万円くらい使っていましたね。
水村:寮のカフェテリアは、肉とフルーツはおいしかった。
岡崎:時々うっかりパスタとか食べてしまうと・・・赤いソースのパスタは、甘かったり
するんですよ。
野崎: 食堂の人ががんばって miso soup を作ってくれるのはいいんですが、甘くてとろ
みがあって・・・。何日か続くうちに味が変わってきて、急に酸っぱくなる日もあったり
して。
井浦:韓国人のおばさんが食堂にいて、
「こくまろ」でカレーを作ったからね、なんて話し
かけてくれて。親切にしていただきました。
――授業についての感想は。
野崎:TDの方はとても大変でした。ECは一橋でも取れる英語スピーキングの授業のよ
うな感じだったのですが、先生に「日本ではこんなアクティブな授業はないでしょう?!」
と聞かれて、ちょっと答えに困りました。
久保:でも先生がフレンドリーで、授業を受けていてすごく楽しいんですよ。
武村:最後のフィードバックの時に、「君のいちばんいいところは、授業の流れを分断する
ところだ」と先生に言われて、そうなんだと思いました。
山本:台湾出身の学生は、質問の仕方が上手でした。先生が何も言わなくても、自分から
積極的に質問をするんです。
稲垣:そう、台湾の学生は、「俺はこう思う」と自分の持論をたくさん語ってくれる感じで
した。普段の場では静かな子も、授業では自分の意見をちゃんと持っているのがすごいな
と思いました。
水村:ECでは、毎週小さなプレゼンをして人前で話すというのが、とてもよい練習にな
りました。テーマの大きさや難しさを変えつつ、全員が毎週話す形だったので。
武村:学期の初めに不思議な知能テストのようなものでレベル分けをしたんですが、同じ
クラスの中でも結構レベルがまちまちだったかもしれません。
稲垣:先生はレベルごとのクラスはバランスよく分けられていると言っていましたが、レ
ベル6には台湾の学生などが多く、日本人は下の方のレベルにかたまっていました。とは
言え、下の方のレベルにいる台湾の学生は、すごくしゃべれたりするんですよね。
菅野:僕はレベル6に入れられて、最初はずっと「overrate された」って文句言ってまし
たけどね。
野崎:TDは、宿題の量が半端じゃなかったです。
井浦:クラスによって課題の量が違うみたいで、ルームメイトは毎晩必死で夜中の12時
すぎまで宿題をやっていましたが、私の方はそれほどでもなかったりしました。
久保:宿題を始める時間は、僕がいちばん遅かった自信があります。夜中1時ごろからラ
ウンジに行って、3時ごろから始めるとか。一か月でレッドブルを何十本も飲みました。
武村:そういえばいつもボーっとしてたよね。
臼杵:リサーチのための街頭アンケートでは、みんなとてもフレンドリーに答えてくれま
した。日本で同じことをやっても無視されそうですけど、逆にこちらに質問してくる人も
いたりして。
稲垣:僕は逆に「さっきもう答えたから」と言われて、10人くらいに続けて断られて、
図書館の前に座ってへこんでました。スタンフォードの学生だけが対象のアンケートだっ
たので。
水村:最後の発表では、僕はうまくいかなかった。準備不足だったと先生に言われてしま
いました。
寺西:私は基本的に時差ボケが続いていて、授業ではとにかく眠かったです。
――コーディネーターについて教えて下さい。
稲垣:7人のコーディネーターの中には、大学院生もいれば、年齢が同じくらいの人もい
て、年齢が上の人がイベントなどを企画するような形になっていました。僕のコーディネ
ーターは僕より年下でしたが、ある時突然「バブルティー(タピオカが入ったミルクティ
ー)が飲みたい!」と言いだして、そのために夜遅く、車でどこかのショッピングモール
に連れて行かれたことがありました。
井浦:でも、みんな本当に献身的でしたよ。
山本:そう。世界的に有名なスタンフォード大学の学生なのに、僕らみたいな英語もしゃ
べれない留学生にものすごく優しくしてくれました。日本のことにも興味を持ってくれて、
いろいろ質問してくれたり、人間的にすばらしい人たちでした。
――企業訪問はどうでしたか。
井浦:私は Google に行ったんですが、とにかく社員のために環境が整えられていて、立
派なジムがあったり、フードやドリンクはすべて無料、といった感じでした。ビリヤード
台もあり、おしゃれでかわいい自転車が置いてあって、みんな乗り放題なんです。会社に
いる時間やアイディアを大事にしている様子でした。そういえば、仕事中のはずなのにビ
ーチバレーをやってましたね。
山本:僕はガレージベンチャーをいくつか訪ねたんですけど、まだ百人くらいの会社もあ
ったりで、それも貴重な経験でした。
市川:私はHPガレージ(注:Hewlett Packard 創業の場であり、シリコンバレーの発祥
の地であるともいわれる)に行ってきたんですが、自分が知っていれば勝手に行けるとい
うのが、このプログラムのいいところです。Facebook のオフィスにも勝手に歩いていっ
て、Mark Zuckerberg(注:Facebook の創設者)にも会えたんですよ。事前にディレク
ターに相談した時は、Facebook は秘密主義だし、無理だよって言われたのですが、あき
らめなかったんです。うまく時間を使えば、やりたいことが何でもやれるプログラムです。
菅野:僕は Paypal に行きました。いろんな質問にも包み隠さず答えてもらって、これはA
LCでしかできない経験だった。それと、僕も Google に行きたかったんですけど、訪問
日が Paypal と重なってしまって、行けませんでした。だから、企業訪問についてはちゃん
と前々からスケジュールを考えておかなければ駄目だなと思いました。
野崎: 私は Paypal と Youtube に行ったんですが、Youtube はいま Google の傘下にあ
って、似たところがありました。オフィスの真ん中に二階から一階に降りられる滑り台が
あって、社員はみんなそれで滑るんですが、降りたところにホワイトボードが置いてあっ
て、怪我した人はそこに書くんですよ、
「腕を怪我した」とか。私も滑ってみたいと言った
んですが、「訴えられたら困るから」とやらせてもらえませんでした。あと、馬がほしいと
ある社員さんが言ったら、上の方の人が本当に馬を連れてきてくれて、困ったという話も
聞きました。とにかく自由な雰囲気で、遊びをコンセプトに組みこんで、グーグルを発展
させ、エンターテイメントに昇華させていこうっていう気概が感じられました。
――寮でのイベントはどんなものがありましたか。
安部:いろいろありましたが、ゾンビゲームという、夜中にコーディネーターがゾンビに
扮して鬼ごっこをするというイベントが楽しかった。夜中のスタンフォードキャンパス全
体を使うのですが、4つのチェックポイントがあって、それをチェックしてゴールすれば
勝ち、鬼につかまれば自分もゾンビになるという・・・。
山本:一度、コーディネーターが企画したサッカーイベントのようなものがあったんです
けど、まあ適当にやるのかなと思っていたら、これがすごい本格的で、対戦表とかしっか
り作っていて。
稲垣:そうそう、スポーツ新聞の記事のようなものが Facebook で送られてきて、
「この選
手はここがすごい」みたいなことまで書いてあって。
――ALCのレクチャーについて教えて下さい。
井浦:私はメディカル系に興味があったので、そういう関連のレクチャーに行きました。
コーディネーターの一人で、メディカル系の学生で病院ボランティアもやっている人が、
その分野の先生を招待してくれたりして企画してくれたものです。またその人は、スタン
フォードの先生やボランティアが運営している、保険に入っていない人のための、土曜日
だけ開業している病院でも働いているのですが、そこに私も連れていってもらって、先生
について見学したりもしました。みなさん献身的で、日本にはないシステムに感心しまし
た。私も、就職後はメディカル関係の仕事に就きたいので、勉強になりました。
武村:レクチャーの後にはテストがあるので、ちゃんと聞かないといけないんですよ。
――サンフランシスコ観光や、ヨセミテ旅行はどうでしたか。
野崎:サンフラシスコには行きましたが、一日にいろいろ詰め込んでいたので、ぱっと見
てぱっと行く、という感じで時間が足りませんでした。物足りなかった台湾の学生たちは、
勝手に翌日ユニオンスクエアに行って買い物したりしていました。チャイナタウンでは久
しぶりにおいしいものを食べました。
稲垣:ヨセミテでクマに追いかけられました。四十人くらいでジグザグな山道を登ってい
たら、後ろにいた人たちが血相を変えて走ってきて、「クマだ!」っていうから、見たら本
当にクマがいて、自分たちが歩いてきた道を歩いてて。前に逃げようとするんですけど、
四十人いるので全然進まなくて・・・すぐそこまで来てて、ヤバい!とか言って全速力で
山を登ってレスキュー隊というか、管理している人たちに電話したら、「大声を出して走れ
ば大丈夫」って言われました。
久保:クマの鮮明な写真を撮っている子もいました。
井浦:先頭の人はクマが見えないので、
「どこどこ?!」なんて言ってるんですけど、後列
の人は「速く行ってよ!」って感じで。
臼杵:私は、ヨセミテで一回道に迷いました。何とかなりましたけど。
菅野:宿泊場所はテント生地のロッジのようなものでした。10時以降はサイレントルー
ルというのがあって、消灯して話もしてはいけないというのがつらかった。
井浦:夜は懐中電灯がないと本当に歩けないくらい暗かったです。
水村:星が本当にきれいでした。
――最後に、それぞれいちばん心に残ったことを聞かせて下さい。
菅野:もちろん授業とかレクチャー、企業訪問もいい体験だったんですが、一か月同じ寮
でみんなで暮らすということで親近感がわいたし、ルームメイトとも仲良くなり、本当の
意味で外国人と仲良くなれたということが一つ。それから、英語をコミュニケーションツ
ールとして初めて使うことができたのがよかった。
寺西:授業はずっと寝ちゃったんで、授業からは得られるものが少なかったかもしれない
けど、時差ボケなので夜は元気だったんですよ。一人の人と長いことずっと話しこんだり。
いろんな人と仲良くなろうとしたら交友関係が広まりますし。
臼杵:いろんな違うバックグラウンドを持った人と出会えたのがいちばんでした。ルーム
メイトとも今でもチャットしますし、日本の他大学の人とも出会って、刺激を得たりしま
したし。たった一か月ですけど、いろんなことが深まりました。
井浦:やはり人間関係ですね。先ほども話したコーディネーターで、お医者さんになりた
くて3ヶ国語をしゃべれる人と仲良くなって、私も医療システムに興味があるので、一緒
にまた仕事をしたいねなんて言っていました。韓国、台湾の子たちとも、一か月過ごすこ
とで親近感がわいて、家族みたいになっていろいろ話せるようになったのが感動しました。
結婚しても子供も一緒に交友しようねっていうくらい、深い関係ができたんです。日本な
らあっという間の一か月なのに、すごく濃かった。大学最後の夏休みをこうして過ごせて
よかったです。
山本:僕も四年生なのですが、企業訪問などでキャリア観が変わりました。もっと早く来
ていれば、進む道自体が変わっていたかもしれませんね。
水村:アメリカでしかできないようなイベントの一つ一つが楽しかった。さっきのゾンビ
ゲームみたいに、日本ではやらないようなことを純粋でみんなで楽しめたのが、アメリカ
文化の貴重な体験かなと思って。寮で生活するのも、日本人どうしだとグループを作って、
お互い交流できなかったりするのに、英語だから逆に誰にでもフランクに、気軽に話しか
けられる雰囲気ができた。新しいコミュニケーションを学びました。
安部:授業などで英語力も上がったと思うけど、やはりみんなも言うように人間関係です
ね。帰国してからも台湾やマカオに遊びに行ったり・・・。そういう経験はなかなかない。
台湾やアメリカに大勢友達がいるって言えることも、貴重だと思います。
岡崎:英語のスキルは全然ないけど、そんなの構わず話しかけるという姿勢が得られまし
た。あと、一日ってこんなに時間があるんだ、こんなにいろんなことができるんだと思い
ました。
稲垣:周りの人から大きな影響を受けました。台湾の人は同い年でも、ある分野について
はものすごく勉強したりしていて、自分を振り返ってみると、特に得意な分野もないなと
思って、これからにつながる刺激になりました。自分ももっと、何かの分野で頑張れるよ
うにならなきゃと思いました。
市川:一つはとにかく Mark Zuckerberg に会えたこと!億万長者と握手ができて会話も
できて、ミーハーですが感動して、本当に興奮しました。でも、スタンフォード、シリコ
ンバレーというのは、こういうことが本当に起こる場所なんだなと。それからもう一つは、
自分はぬるいなって思ったことです。台湾の子で、日本語一年間勉強していた子がいたの
ですが、本当に日本語がしゃべれるんですよ。私は第二外国語でスペイン語を取っている
んですが、私がそれを話すと、みんなぐいぐい話しかけてきて、私は言葉を返せないんで
す。それが悔しくて。あと、文化についてですが、スタンフォードの学生や台湾の学生は
みんな日本のことをよく知っていて、いろいろ質問してくれるのですが、私の方が知らな
かったりして、それもまた悔しかった。
山江:僕は一年生なんですが、実は行く前にすごく迷ってたんです。海外もほとんど行っ
たことないし、一年生だし、不安がいっぱいだった。知らない人ばかりだし。でも結果的
に、かわいがってもらえたし、みんな優しくしてくれて、拙い英語でもちゃんとしっかり
聞こうとしてくれて、いい経験になりました。
武村:日本人は最初、向こうで劣等感を抱えているところが大きかったと思うけど、周り
の環境が整備されているせいもあるでしょうが、いろんな国の人がいて、裸の付き合いを
する中で、劣等感を忘れて、自分をさらけ出すことが自然にできるようになったと思いま
す。それから、日本や中国に興味のあるコーディネーターが多く、質問されるのですが、
自分はあまり台湾や中国のことを知らなくて。日本に帰ってきてから、台湾や中国のニュ
ースをチェックするようになりました。これらの国が、今までより身近に感じられるよう
になりました。
久保:初めての海外経験で、しかも初めての寮生活で初めて主体的に英語を使って、そう
いう環境の中で暮らして・・・一言でいえば衝撃でした。刺激的な体験の連続でしたが、
このプログラムだからこそできたことがたくさんあった。目的意識や自信を持ったかっこ
いいと思える人たちに出会えて、人生設計にも影響を受けました。この人間関係はこれか
らも大切にしていきたい。参加してよかったです。
野崎:ものすごくいろいろやることがあったんですけど、ちゃんとこなしていけば一人の
時間もちゃんと取れました。授業では与えてくれる題材とかが全然知らないことだったり、
これまで考えたことがなかったことだったりして、台湾ベースや日本ベースでいろんな問
題を考えていくことができました。これはアメリカだからというのもあるでしょうが、周
りの人とも協力して、いい授業を作り上げられているんだなと思いました。