Poster Award

No.70 2016.2
by Japanese Society for Food Factors 事務局
〒156-8502 東京都世田谷区桜丘1-1-1
東京農業大学応用生物科学部(栄養生理化学研究室内)
TEL:03-5477-2444,FAX:03-5477-2658
発行責任者 村上 明(兵庫県立大学 環境人間学部)
■学会出席報告
ISNFF2015
芦田 均(神戸大学)
The 8th Inter national Conference
and Exhibition for Nutraceuticals and
Functional Foods (ISNFF2015) が2015
年9月20日から23日までの4日間、中国
の無錫(Wuxi)にあるWorldhotel Grand
Junaで、Jiangnan University のProf.
Bo Jiang のお世話により開催された。
Jiangnan Universityをはじめとする近
隣の大学からの学生が大勢動員されて
いた模様で、参加者は公式には30カ
国から756名の参加者があったとされ
ている。600名くらいかと思われる。
日本からの参加者は、北大の宮下先
生、京大の佐藤先生、九大の松井先
生と私くらいであり、それ以外に現
地の日本企業の参加者が十数人参加
していた。また、Guelph University
のProf. Yoshinori Mine先生が、地元
のJiangnan University の客員教授を
されている関係で参加されていた。
詳細は、ISNFFのニュースレターを
参考にしてください(http://goo.gl/
KKHcz4)。
学会初日の9月20日は、登録と
Buf fet Dinnerであったが、会長招宴
と一般の夕食会とは違う会場で行わ
れた。21日から朝8時半からPlenar y
Sessionが3日間で10演題行われ、
Prof. Fereidoon Shahidiを皮切りに、
Prof. Young-Joon Surh, Prof. Chi-Tang
Ho, Prof. Pingfan Rao, Prof. Lucy Sun
HwangなどのJSoFFメンバーおなじみ
の先生方が登壇した (写真) 。なお、
小生も、最終日にPlenary Lectureをさ
せて頂いた。2日目から4日目までは、
10時ごろから27のシンポジウムが開
催され、プログラム上では156講演が
あった。一方で、ポスター会場は狭
かったが、連日張り替えることにより
252題のポスター発表が行われた。演
題数や参加者の数からもお判り頂ける
ように、大盛会であった。全般的に、
よくオーガナイズされており、ホスピ
タリティーも良かった。ただし、周辺
にほかのホテルがなく、会場のホテル
に泊まるしか選択肢はなかった。街の
治安もよく、空気の濁り以外は特に問
題はなかった。
次回のISNFFは、October 8-13,
2016, Rosen Shingle Creek Hotel,
Orlando, FL, USAで開催される(http://
goo.gl/TrTvJ0)。興味のある方は、
奮って参加してください。2017年は韓
国、2018年はトルコ、2019年は日本で
開催が予定されている。
*写真は学会公式HP(http://www.
isnff2015.org/detail.php?id=38)より転
載
ICPH2015
河合慶親(徳島大学)
The 7th International Conference on
Polyphenols and Health (ICPH 2015)
・会期:2015年10月27日∼30日
・会場:Vinci International Congress
Centre, Tours, France
・大会長:Dr. Christine
Morand(INRA)
・プログラム:http://www.icph2015.
com/index.php/program
ICPHはその名の通り、ポリフェ
ノールの健康に対する効果に焦点を
当てた国際会議で、2003年にフラン
ス・ヴィシーでの第1回大会以降、二
年に一度世界各国で開催されてきまし
た。2007年に寺尾純二教授(徳島大)を
Chairとして京都で第3回大会が開催さ
れたのは既に8年前にもなりますが、
いまだに記憶に新しいところです。第
7回となったICPH2015は、フランス中
部の街トゥールで開催されました。フ
ランスといえば一般的にはパリのイ
メージが強いですが、トゥールは高速
鉄道TGVでパリから南へ1時間ほどの
距離に位置し、ルイ11世の時代(15世
紀)には一時的にフランスの首都がお
かれていたという由緒ある街です。
会場はトゥール駅から歩いて数分の
Congress Center(写真1)で、徒歩圏
内にレストランやホテルも多く、昔の
面影を残した旧市街にも歩いて行くこ
とができるなど、非常にアクセスの
良い会場でした。ちなみにトゥール
駅は、後にオルセー美術館の建設に
携わることになる建築家ヴィクトー
ル・ラルーの設計で建てられたという
見た目も華やかな駅でした。今回の
ICPH2015は、フランス国立農学研究
写真1:会 場 と な っ た C o n g r e s s
Center
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Vol.20 No.3 / 2016
所(INRA)のDr. MorandがChairを務め
られ、同じくINRAのDr. Manachを中
心にINRAおよびフランス国立保健医
学研究機構(INSERM)の研究者で構成
されるOrganizing Committeeによって
運営されました。
初日は、お馴染みDr. Williamson
(University of Leeds)をトップバッ
ターとしたPlenary lectureの後、市庁
舎に場所を移してのウェルカムパー
ティーが開催されました。市庁舎もま
た非常に美しい建物で、その内部も彫
刻や壁画をふんだんに使った圧巻の装
飾となっており、フランスの歴史と芸
術性を十分に感じさせる会場でした
(写真2)。二年に一度の開催というこ
ともあり(主要な参加メンバーが毎回
ほぼ固定ということもありますが)、
顔馴染み同士の研究者も多く、非常に
和気あいあいとした雰囲気のウェルカ
ムパーティーでした。筆者が得た情報
が確かならば、今回のICPHには日本
からは30名余りが参加し、アジアから
はほぼ唯一の参加国だったということ
からも、日本のポリフェノール研究
の活発さを改めて感じました。日本
からは、静岡県立大学の下位香代子
先生(A role of quercetin conjugates as
a β2-adrenergic receptor antagonist)
と僭越ながら私(Dietar y flavonoids
induce autophagic degradation in
macrophages)がInvited Speakerと
して、また筑波大学の松川隼也さ
ん(The metabolism enhancement
effect of cyanidin-3-glucoside through
skeletal muscle, adipocyte and their
communications)が一般演題から口頭
発表し、また多くのポスター演題が発
表されました(写真3)。開催国フラン
スをはじめとする欧州各国では(動物
実験の厳しい規制もあり)かねてより
ヒト試験を中心としたアプローチにシ
フトチェンジした感があり、今回も吸
収・代謝を中心とする生体利用性研究
はもちろん、血管機能や認知機能、肥
満、バイオマーカーに至る幅広い指標
に対するポリフェノールの効果につい
てヒトを対象として評価した研究成果
が多く発表されていました。一方、日
本では筆者を含むいわゆる食品系研究
者が大規模にヒト試験を行うにはなか
なか高いハードルがあります。細胞実
験に動物実験にと様々な代替試験法を
用いて地道にメカニズムを追求する
のは日本のお家芸でもありますが、
「食」というあくまでヒトを対象とし
た研究テーマに取り組んでいることに
改めて気付かされるという点は、この
会議に参加する一つの大きな意味だ
と感じました(個々の演題については
Websiteよりプログラムをご覧くださ
い)。
3日目夜のGala Dinnerは、レオナル
ド・ダ・ヴィンチが最後の3年間を過
ごしたというクロ・リュセ城で行なわ
れました。ダ・ヴィンチが最期を迎え
たという寝室や芸術以外にも数々の発
明を残したとされるダ・ヴィンチの発
明品など見どころ満載の城内を見学し
た後、敷地内のパーティースペースで
Gala Dinnerが催されました。特徴的
な伝統料理のコースに美味しいワイン
を堪能し、あっという間の時間は過ぎ
ました。必要以上のスピーチやセレモ
ニーなどがなく、食事とお酒、そして
周りとの交流をじっくりと楽しむこと
ができる時間で、最後にカナダ・ケ
ベックでの次回開催がアナウンスさ
れ、二年後に思いを馳せながら宴の夜
は幕を閉じるのでした。今回、いわゆ
るフランス料理を食べる多く機会に恵
まれましたが、前菜からデザートへと
続くメニューを美味しいお酒と会話、
そして食材一つ一つを楽しみながら
ゆったりと堪能するスタイルは、とて
も贅沢に感じました。日々慌ただしく
雑になりがちな食事の時間を大事にす
ることに気付かされた旅にもなりまし
た。
さて、トゥールは多くの古城が点在
するロワール川の拠点となる街で、
ちょうど学会会場のすぐ隣に古城巡り
ツアーの発着地ともなるインフォメー
ションセンターもあり、ツアーを予
約することも出来たので、筆者を含
む多くの参加者が最終日には(まだ講
演は残っていましたが・・・)古城ツ
アーへと出かけていました。筆者は、
下位先生、榊原先生(宮崎大)、向井先
生(徳島大)とご一緒させて頂き、シェ
ヴェルニー城とシャンボール城のツ
アーを満喫しました。余談となります
が、今回トゥール入りする前に寺尾先
生と二人で有名なワインの産地・ボル
ドーへ立ち寄ることができました。と
りわけ世界遺産にも登録されているサ
ンテミリオン地区は、周りには一面の
葡萄畑が広がっており、石造りを主体
とする中世の街並みをそのまま残しな
がらもワイン店をはじめとする多くの
店やレストランがあり、丸一日たっぷ
りと楽しめる街でした(写真4、5)。
ポリフェノール研究者の一人として代
表的なワインの産地、またその文化と
歴史に触れることが出来たことは貴重
な経験となりました。翌日、海辺のリ
ゾート街アルカションでテンコ盛りの
ムール貝を食べた後、向井先生も別
ルートからボルドーに合流しトゥー
写真2:ウェルカムパーティーの会場
(天井を見上げる3名)
写真3:筆者の発表風景
写真5:一面に広がる葡萄畑
写真4:サンテミリオンでの一枚
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ルへ向かうことになるわけですが、
Mr.ポリフェノール・寺尾先生のラス
トイヤーにラボのスタッフ揃ってポリ
フェノールゆかりの地でひと時を過ご
せたことは、とても良い思い出になり
ました。
最後に、今回のフランス・トゥール
でのICPH開催は、第1回がフランスで
あったことからも、「二周目に入っ
た」形となりました。必然的に第3回
を開催した日本が近い将来の開催候補
地になる可能性が高いようです。ご
存知の通り、2019年にはICoFFが芦田
均先生(神戸大)を会頭に神戸で開催さ
れることが決定しています。特にこ
のJSoFFレターを読んでいる学生さん
は、是非2019年の壇上に立っている自
分を想像して研究の道を進んでもらい
たいと思います。私も知らぬ間に「若
手」と言っていられる年齢は過ぎてし
まい、こういった大きな会議開催のお
手伝いをさせていただく機会を頂ける
ようになりました。来たるべき二つの
大きなイベントが成功するように末端
ながら微力を尽くしていきたいと決意
を新たに帰国の途についたのでした。
ICoFF2015
中村宜督(岡山大学)
The 6th International Conference on
Food Factors (ICoFF2015)
・会期:2015年11月22日∼25日
・会場:COEX(Seoul, Korea)
・大会長:Dr. Suk Hoo Yoon(Woosuk
University)
・プログラム:http://www.icoff2015.
org/index.php?g_page=program&m_
page=program02
ICoFF(International Conference on
Food Factors)は、食品に含まれる機
能性成分(食品因子)に関する研究成
果の発表の場として、1995年以来4
年に 1度 、 国 際 会議の形態で開催さ
れています。その歴史を振り返りま
すと、第1回は浜松(大澤俊彦会頭)、
第2回は京都(大東肇会頭)、第3回は
東京(荒井綜一会頭)、第4回は京都
(吉川敏一会頭)と国内開催が続いた
後、2011年の第5回に初めて国外(台
北、Lucy Sun Hwang会頭)で開催され
ました。その際に、第6回も引き続
き日本国外での開催が望ましいとい
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Vol.20 No.3 / 2016
う意見から、近年食品科学および食
品工学の発展が著しい韓国のソウル
が次の開催地として選ばれました。
そして今回、ICoFF 2015は韓国食品
科学工学会(Korean Society of Food
Science and Technology)会長である
Suk Hoo Yoon会頭の総指揮のもと、
“Bioconvergence for Food Factors(生
命科学の集約による機能性食品の開
発)”というテーマで、食品科学を含
めた広範な生命科学分野の研究者の結
集による機能性食品研究・開発のさら
なる発展を目的として行われました。
韓国では、2015年5月に中東呼吸器
症候群(MERS)の流行があり、演題登
録の時期と重なったことから、一時開
催自体が危ぶまれましたが、最終的
には42カ国から1837人もの参加者を
集め、実行委員会の大変なご苦労が
あったと拝推されます。ICoFF 2015
では、基調講演7題、特別講演2題、研
究講演(36セッション、234題の口頭発
表)及びポスター発表610題が行われ、
機能性食品・素材の組成分析・活性評
価から、前臨床研究を含めた応用まで
の幅広い分野について、活発な討論が
ありました。ヨーロッパやアメリカか
らの参加者は少なかったものの、日本
からは150人を超える参加者があり、
田之倉優先生の基調講演、阿部啓子
先生の特別講演@Korean Nightに加え
て、7名のセッション座長と44題の口
頭発表を担当しました。発表内容の詳
細は割愛させて頂きますが、日本から
の演者を複数配した機能性素材に関す
るセッション(Fruits and vegetables、
Herb and spices、Soy and legumes、
Coffee, cocoa and tea)は立ち見が出る
程盛況で、この学術分野への貢献度の
高さを垣間みることができました。先
述のMERSの問題などにより、座長や
講演時間の調整が開催直前まで行われ
ていたことや全体を通してタイトなス
ケジュールであったこと、機能性や疾
病に特化したセッションと素材のセッ
ションが平行して行われており、同時
間に近い分野の講演が重複していたこ
と、さらにキャパシティが足りていな
いセッションルームが多かったことな
どの意見を同行者から耳にしましたの
で、今後の検討課題として記憶したい
と思いますが、会の進行自体には大き
なトラブルもなく、概ね大盛会だった
のではないでしょうか。この結果、ア
ジアを中心とした世界中の食品研究者
の交流と意見交換が十分に果たされた
ものと思います。
会期中、特に印象的だったのは、
Suk Hoo Yoon会頭の親身で真摯な
hospitalityに触れた場面でしょうか。
Yoon会頭は、日本の農林水産省の食
品総合研究所で研究されていたことも
あり、知日家であることを小耳に挟ん
でおりましたが、段差を踏み外して重
傷を負われた某J先生や過労から体調
不良になられた某U先生への温かい対
応には感動しました。実際、側にいた
ものの慌て振り、心配は小さくなかっ
たですので、会頭の周りへの優しい言
葉も有り難かったのではないでしょ
うか。また、Invited Speakerが招待さ
れたPresidential Welcome Receptionや
Gala Dinnerでの韓国政府や学術組織
の要人からのメッセージから、機能性
食品研究推進に対する強い意気込みに
加えて、年長者や目上の人を敬う意識
の高さを感じることができました。個
人的には、初めての韓国訪問でしたの
で、美味しい料理とお酒を堪能できた
ことが忘れられません。日頃から韓国
料理店に通い激辛の訓練をしており
ましたが、本場の辛さには痺れました
し、一ランク辛いものに強くなった気
がします。日本語が堪能ではないオモ
ニのいる店で頂いたサムギョプサルと
炭酸の強いマッコリが忘れられず、近
いうちに再び訪れたいと思っていま
す。
なお、ICoFF国際委員会が会期中
の11月24日に開かれ、次回の第7回
ICoFF 2019は再び日本に戻り、神戸
で開催されることが決定致しました。
神戸大学の芦田均教授を隊長として、
2019年12月1日から12月5日までの5
日間、神戸コンベンションセンターで
開催される予定です。ICoFF 2015終
了後直ぐに実行委員会が結成され、4
年後に向けて動き出しました。会の詳
細が決まり次第、本誌を含めた様々な
メディアでお伝えするつもりですが、
ICoFF 2019に奮ってご参加頂きます
様、宜しくお願い致します。
最後に、本稿をまとめるにあたっ
て、多大なご助言を頂きました日本獣
医生命科学大学の中山勉日本フード
ファクター学会(JSoFF)理事長に心よ
り感謝致します。また、ICoFF 2015
への派遣にサポート頂きました飯島藤
十郎記念食品科学振興財団及びJSoFF
に厚く御礼申し上げます。
※ICoFFに関連する受賞者のコメント
については別添pdfをご覧ください(あ
いうえお順)。
Pacifichem2015
宮下和夫(北海道大学)
5年に一度の南の島での学会が2015
年に開催された。日本化学会を始めと
して、アメリカ、カナダ、中国、台
湾、韓国などの環太平洋地域の化学会
協賛により、ホノルルで開かれる化学
の国際会議、通称Pacifichemである。
化学と言っても幅広い分野を網羅して
おり、いわゆる有機、無機、高分子、
生化学、医化学といったところから、
農業化学、農芸化学、栄養科学といっ
た我々に馴染み深いところまでとにか
くいろいろである。そのため、演題数
もけたはずれで、会場もコンベンショ
ンセンターだけでなく、7つのホテ
ルの会議場もあわせて使用された。
また、これだけ大規模な学会なので
PlenaryやInviteで呼ばれる研究者も化
学の分野で著名なノーベル賞級のメン
バーがそろっており、異分野の有名人
のスピーチを聞けるのも魅力的であっ
た。
機能性食品や栄養化学に関係する発
表会場も複数あったが、今回は、私が
オーガナイズしたセッションについて
紹介しようと思う。セッション名は、
Nutraceuticals and Functional Food
Ingredients: Chemistr y and Health
で、Bench to Bedside: Chemistr y of
Health Careというカテゴリーで開催
された。Pacifichem 2015の開催期間
は2015年の12月15日から20日までで
あったが、私たちのセッションは17日
と18日の2日間、朝から夕方までの口
頭発表と併設のポスターで行われた。
ただ、口頭発表はシェラトンワイキキ
で開催されたが、ポスター会場はアラ
モアナショッピングセンターの近くに
あるハワイコンベンションセンター
だった。この場合、かなりの距離を移
動しなければならず、なにせ、ポス
ターは午後7時から9時ということも
あり、思うようにはならなかった。と
いうのも、移動途中にもそれなりの誘
惑があり、私は特に関心は持たないの
だが、同行者の中には休みたいという
ものもあり、午後9時はとっくに過ぎ
ていた。
セッションの発表内容については、
Reducing the risk of chronic diseases、
Plant bioactives、Natural sources
of antioxidants、Preventing flavor
reversion and quality deterioration of
foods、Protection against oxidative
stressなどのキーワードを並べればお
おむねお分かりのことと思う。口頭発
表は2日間で40演題あり、そのうち
13題が日本人発表者で、多くはJSoFF
関係者であった。私にとっては居心
地のいいものであり、興味深く、ま
た、楽しいものであった。キーワー
ドが示しているように、内容の多く
は、天然抗酸化物質の機能性に関す
るものが多く、総説的な発表から最
新の知見まで幅広いものであった。
詳細については、Pacifichem 2015
Online Program を検索し、出てき
た画面からOnline Program→Topical
Areas→Bench to Bedside: Chemistr y
of Health Care→ThuまたはFri→セッ
ション名(番号#285)の順でクリックを
すると各演題が出てくるので、要旨を
ダウンロードしていただければ参考に
なると思う。
さて、なかなか充実した学会であっ
たが、最後に余談を紹介して終わりに
しようと思う。12月15日だったかと思
うが、夕食を京大の菅原先生と眞鍋先
生とシェラトンワイキキのレストラン
(ちなみにバッフェット)でとっていた
ときのこと、隣に若い東洋系のカップ
ルが座った。どうやら韓国人大学生の
ようで、とにかく楽しそうに、また、
かなり親密な様子であった。大変、ハ
ワイらしい光景であり、彼女・彼に幸
あれと思ったものである。それから2
日後、18日の午後、それまでキャンセ
ルもなく、順調に進んでいたセッショ
ンであったが、ブレーク後の演者5人
のうち、3人が会場に現れず、それで
はということで、ブレーク前の演者に
少しゆったりとしゃべっていただい
た。ブレーク後、すでに講演時間を過
ぎていたので、最初の二人の演者をと
ばそうと思っていたところ、二人が現
れた。それも、とくにあわてた様子も
なく、“さて、そろそろ終わったか
な”といった感じであった。私とCochairのShahidiは二人に発表を促した
が、その二人こそが15日にみかけた
カップルであった。発表はあまりほめ
たものではなく、スライドの形式は二
人共まったく同じで、試料が違うだけ
というものであった。しかも、発表を
終えるやいなや姿を消してしまった。
学生であるので、できるだけ暖かく見
守ろうと思ったが、ハワイであるとい
うことを差し引いても、ここは、やは
り教育的見地からまずいだろうという
ことをShahidiに話した。彼も当然同
意見であり、適切な指導、つまり、二
人の指導教員に一部始終を報告するこ
ととした。そのあとどうなったか私は
関知していないが、その指導教員もワ
イキキ海岸でゆったりしていたとすれ
ばあまり意味はなかったかもしれな
い。
■学会・研究会情報
日本農芸化学会2016年度
札幌大会 大会シンポジウム
平成28年3月29日(火)午前
食品機能研究なう!:食品機能研究の
過去、現在、そして未来
世話人: 榊原陽一(宮崎大)、榊原啓之
(宮崎大)、藤村由紀(九大)
講演予定者:寺尾純二(徳島大)、藤村
由紀(九州大)、榊原啓之(宮崎大)、佐
藤隆一郎(東京大)、立花宏文(九州大)
共催:日本フードファクター学会、
フードサイエンスフォーラム
概要:「食品機能研究なう!」では、
食品機能研究に関する草創期の研究か
ら現在に至る歴史を背景としてスター
トし、現在の新しい機能性研究にお
いてオミクス研究 (メタボロミクスや
プロテオミクス)を積極的に活用して
個々の分子に着目した研究から複数の
分子のネットワークとしての理解に至
る研究、生物時計を考慮した時間栄養
学によるスナップショット(昔)から経
時的変化(現在/未来)の理解、さらに
未来の食品機能研究や機能性食品に
ついて考える。ここでは一つのシ ン
ポジウムで食品機能研究に関連した歴
史から最先端の解析技術に関する知識
まで効率的に得ることができる。さら
に、将来の食品機能や将来出てくると
期待される全く新しいコンセプトの機
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Vol.20 No.3 / 2016
能性食品など夢が広がる食品機能の世
界へご招待いたします。
■会員情報
新理事(2016年11月∼)
菊崎泰枝(奈良女子大学)
新評議員(2016年11月∼)
高橋信之(東京農業大学)
藤村由紀(九州大学)
新理事長(2016年11月∼)
芦田 均(神戸大学)
新副理事長(2016年11月∼)
村上 明(兵庫県立大学)
■理事リレーコラム
「ICoFF2015:Bioconvergence?」
北海道大学・宮下和夫
昨年11月にソウルで開催された
ICoFFにはJSoFF関係者はもちろん、
多くの日本人研究者が参加した。各
セッションでは興味深い発表が多数
あり、ポスター会場も盛況であっ
た。Korean NightやGala Dinner共に
盛大に行われ(ビールの本数に制限が
あったことに対し、著名な出席者の
一部(もちろん私ではない)から多少
のブーイングはあったものの)、学会
は成功裡に幕を閉じた。ところで今
回のICoFF2015には「Bioconvergence
for Food Function」という副題が
つけられていたが、私は、この
Bioconvergenceという単語の意味が
分からなかった。学会ホームペー
ジには「The main theme of ICoFF
2015 is “Bioconvergence for Food
Function”. This includes food factors
for health promotion and disease
prevention, sources of food factors and
processing aspects of food factors.」と
あったが、それ以上の言及はなかっ
た。“Bioconvergence”を調べた限
りでは、例えば、Googleで最も多く
ヒットするのがBioConvergenceとい
う会社名であるが、食品とはあまり関
80
Vol.20 No.3 / 2016
係のない業務内容のようであった。ま
た、PubMedでBioconvergenceを検索
したところ、約240件がヒットし、そ
の著者の多くのが韓国の研究者であっ
た。ただ、幾つかの文献を見てみて
も、Bioconvergenceの何たるかは私の
頭脳では納得することはできず、“最
新のバイオ技術を駆使した食品の改変
や高度利用を目指した領域のこと”く
らいの感覚を得られただけであった。
なお、Korea大学にはDepar tment of
Bio-convergence Engineeringが、ソウ
ル大学にはMedicinal Bioconvergence
Research Centerなるものが設置され
ており、どうも知らないのは私だけ
のような気がした。JSoFFレターなの
で、恥をしのんでこのようなことを書
いたが、どなたかご教授いただけたら
幸いである。
「Bioconvergence」はともか
く、今や、「Functional Foods」、
「Nutraceuticals」などの造語は、
少なくとも、研究者の間では定着
した用語となっている。ICoFF2015
では、鈴木梅太郎先生から始まり、
藤巻正生先生、荒井綜一先生にいた
るまでの輝かしい食品機能研究につ
いて、阿部先生より紹介があった
が、和製英語「Functional Foods」
は、藤巻・荒井両先生により世界
に広まったといえよう。一方、
「Nutraceuticals」は「Nutrition」
と「Pharmaceuticals」をつなぎ合わ
せた造語で、「Functional Foods」
が健康増進成分を含む食品を指す
のに対し、「Nutraceuticals」は
特定の機能性食品成分のことを
示している。その他、研究の分
野名を示す「Nutrigenomics」、
「Proteomics」も良く知られた用語で
ある。「Bioinformatics」をもじった
「Foodinformatics」といった概念を
ご存知の方も多いかと思う。こうした
用語の使用頻度や、その時々の総説な
どを見るにつけ、食品因子を中心とし
た学問分野が、常にダイナミックに変
化していくのをこのごろ特に痛感して
いる。
ところで、食品因子の機能性研究の
ベースにあるのは栄養学であり、栄養
学はヒトが健康、かつ、できるだけ長
命で人生を全うするための学問ともい
える。そのために、何をどう食べたら
いいのかを研究してきたのが栄養学と
いえよう。人類の歴史の大半は、いか
に効率的に食糧を得るかにその精力が
費やされた。約4万年前に誕生した人
類の祖先は、当初、果実、種子、茎
葉、昆虫となどを食べていたが、二足
歩行を獲得することで行動範囲を拡大
させ、より多くの食糧を獲得できるよ
うになった。また、肩の構造を変化さ
せ、上手投げによる槍などの正確な投
擲を可能にすることで、狩猟技術も発
達させた。さらに、火を使った調理技
術を身につけたことにより、根茎類や
豆類などを加熱して摂取できるように
なった。約8,000年前の新石器時代に
なると、農耕と牧畜の開始によって社
会構造が著しく変化し、食物の貯蔵も
組織的に行われるようになった。これ
により、食糧を必要以上に摂ることの
できる支配階級(富裕層)も生まれた。
16世紀にもなるとヨーロッパなどの富
裕層の間で太りすぎが大きな問題とな
り、ダイエットの概念が生まれた。ダ
イエットの目的は健康的に体重や脂肪
重量をコントロールすることであるか
ら、栄養学の知識が求められることと
なった。
栄養学は食品中の化学成分(栄養素)
の人体への影響について明らかにする
学問であり、その発展は、化学抜きに
は語れない。18世紀後半のフランスの
化学者ラヴォアジエは近代栄養学の祖
ともよばれ、元素の概念を提唱し質量
保存の法則を発見した。原子や分子と
いった物質の反応や性質を論理的に解
明する化学の進歩により、私たちに
とって必要な栄養素がどのような化学
構造であるのかもわかるようになっ
た。これにより、それぞれの栄養素の
消化・吸収や代謝のメカニズムも明ら
かになり、たんぱく質、ビタミンなど
の必須性や、これらの不足によって引
き起こされる壊血病、くる病、脚気と
いった疾患についてもそのメカニズム
が解明された。現在では、5大栄養素
はもちろん、その他の微量栄養素の重
要性についても分子レベルでの機能が
ぞくぞくと解明されている。
それでは、今後のこの分野の方向性
はどうなるのか?あるいはどうすべき
なのか?会員の多くが、常にこの問い
かけに自問自答しておられるものと思
う。もちろん私も例外ではない。研究
費を得るためには、受けの良い申請書
を作成する必要があるが、本当にこれ
で良いのかと時々自己嫌悪に陥ること
も多々ある。そもそも、食品は現代人
にとってどうあるべきなのか?と考え
ると、食品中の1成分、それも主要成
分ではない化合物の機能や、その分子
機構について調べるだけでは、期待に
沿える成果は得られないのではないか
と思うことも多い。例えば、最近の論
文などを見てみると、牧草とトウモロ
コシ飼料を食べさせた乳牛のミルクか
ら得たバターの栄養効果は、明らかに
牧草を与えた乳牛からのもののほうが
優れていたが、その理由を含まれる化
学成分(栄養成分)からは説明できない
としている。また、食品成分の機能を
特定の遺伝子やタンパク質の発現制御
で説明できたとしても、それが薬剤と
どう違うのかと問われたら答えに窮す
る。定年まであまり余裕がない自分に
とって、今になってこのような問いか
けをするのも酷な気もするが、初心に
たちかえり、自分も含めた消費者に
とって、ベストな食品・食材は何か?
に答えるべく新たな気持ちで研究に励
んでみようと思っている。会員の皆様
ともこうした議論ができればと願って
いるところである。
■編集後記
JSoFF会員の皆様、お元気でお過ご
しのことと思います。韓国でのICoFF
が無事に終わりましたが、次回の
ICoFFは神戸で開催ということで芦田
会長を筆頭として、すでに準備が始
まっております。
さて、この場を借りてご挨拶がござ
います。2009年からJSoFFレターの編
集を担当させて頂き、現在まで総計13
編となりましたが、本号をもってお役
御免とさせて頂くことになりました。
慣れないことで色々と不備などもあっ
たと思いますが、どうかご容赦下さい
ませ。JSoFFレターは次号から、また
新しい感覚で生まれ変わりますので、
ご協力のほどをお願い致します。
(村上)
◇ICoFF2015 関連受賞者一覧
◇ ICoFF2015 関連受賞者一覧
§Young
音順)
§YoungInvestigator
InvestigatorAward
Award(JSoFF)
(JSoFF)受賞者(50
受賞者(50
音順)
名前
所属
演題名
安部 奈緒美 岡山大学大学院 環境生命科学研究科
荒木 彩花
日本大学大学院 生物資源科学研究科
五十嵐 洋子 京都大学大学院 農学研究科
伊藤 麻央
芝浦工業大学大学院 理工学研究科
伍樹松
鹿児島大学 連合農学研究科
奥江 紗知子 日本大学 生物資源科学部
齊藤 晃子
芝浦工業大学大学院 理工学研究科
菅 尚子
兵庫県立大学 環境人間学研究科
高木 智弘
東京農業大学 大学院農学研究科
高平 梨可
富山県立大学大学院 工学研究科
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中井 里香
神戸大学大学院 農学研究科
長野 智哉
神戸大学大学院 農学研究科
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額 惠理香
徳島大学大学院 栄養生命科学教育部
藤井 駿吾
東京農業大学大学院 農学研究科
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矢口 真実
日本大学大学院 生物資源科学研究科
矢野 敏史
鹿児島大学大学院 連合農学研究科
§Young
Investigator
Award
(ICoFF)
受賞者(50
音順) 音順)
§Young
Investigator
Award
(ICoFF)
受賞者(50
名前
所属
演題名
安部 奈緒美 岡山大学大学院 環境生命科学研究科
㼅㼑㼍㼟㼠㻌㼟㼏㼞㼑㼑㼚㼕㼚㼓㻌㼟㼥㼟㼠㼑㼙㻌㼏㼘㼍㼞㼕㼒㼕㼑㼐㻌㼠㼔㼑㻌㼙㼑㼏㼔㼍㼚㼕㼟㼙㻌㼛㼒㻌㼍㼚㼠㼕㼜㼞㼛㼘㼕㼒㼑㼞㼍㼠㼕㼛㼚㻌㼎㼥㻌㼎㼑㼚㼦㼥㼘㻌㼕㼟㼛㼠㼔㼕㼛㼏㼥㼍㼚㼍㼠㼑㻚
安田 佳織
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富山県立大学大学院 工学研究科
§Poster
Award
(ICoFF)
受賞者(50
音順)
§Poster
Award
(ICoFF)
受賞者(50
名前
音順)
所属
奥江 紗知子 日本大学 生物資源科学部
伍 樹松
鹿児島大学 連合農学研究科
加治屋 勝子 鹿児島大学 連合農学研究科
齊藤 晃子
芝浦工業大学大学院 理工学研究科
菅 尚子
兵庫県立大学 環境人間学研究科
高木 智弘
東京農業大学大学院 農学研究科
鶴留奈津子
鹿児島大学 連合農学研究科
松風 成美
日本大学 生物資源科学部
八木 美穂
大阪府立大学 生命環境科学研究科
山田 脩平
九州大学 農学研究院
演題名
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81
Vol.20 No.3 / 2016
名前
安部 奈緒美 (あべ なおみ)
所属
岡山大学大学院
環境生命科学研究科
食品生物化学(中村宜督)研究室
博士後期課程3年
学振特別研究員DC1
受賞内容
• JSoFF 2015 Young Investigator Award
• ICoFF 2015 Young Investigator Award
Nice!!
発表タイトル
Yeast screening system clarified the mechanism of
antiproliferation by benzyl isothiocyanate
研究内容
機能性食品成分イソチオシアネート類の一つである、ベンジル
イソチオシアネート(BITC)はがん細胞の増殖を抑制しますが、
その詳細なメカニズムはよく分かっていません。本研究において、
出芽酵母を用いたスクリーニングを実施し、動原体タンパク質
Mis12がBITCの細胞増殖抑制作用において重要な役割を果た
すことを見出しました。
受賞しての一言
この度は、JSoFFとICoFFからYoung Investigator Awardを頂
くことができ、大変光栄に思います。4年前のICoFFで尊敬する
諸先輩方がこの賞を受賞されているのを見て以来、目標にして
いた賞ですので、受賞できて本当に嬉しいです。この受賞を励み
に、これからより一層研究に邁進する所存です。最後に、日頃よ
り熱い御指導を頂いている中村宜督教授をはじめ、共同研究者
の方々、研究室のメンバーにこの場をお借りして、心より感謝申
し上げます。
日本大学大学院 生物資源科学研究科
応用生命科学専攻 栄養生理化学研究室
博士前期課程 2年 荒木 彩花
Title: Diallyl
trisulfide prevents the acetaminophen-induced liver injury
through the posttranslational regulation of CYP2E1 protein expression
研究概要: ガーリックは様々な機能性を有する食品として知られていま
す。私の所属す る研究室では、ガーリッ クの香気成分の一つである
diallyl trisulfide(DATS) に着目し、その抗がん作用などについて研究を進
めてきました。
ICoFF 2015 では、鎮痛、解熱剤として広く用いられているアセトアミノ
フェン(APAP)の副作用のである急性肝障害に及ぼすDATSの影響につい
て発表させていただきました。DATSがAPAPを代謝する第一相薬物代謝
酵素シトクロムP4502E1(CYP2E1)タンパク質発現、酵素活性を抑制する
こと、さらにこの抑制はDATSがCYP2E1の活性中心を S-allyl 修飾すること
による可能性を明らかにしました。現在、DATSによるCYP2E1タンパク質分
解促進メカニズムについて検討しております。
JSoFF の Young Investigator Award を頂き
誠にありがとうございました。今回は4年に
一度の国際学会の年であったため、より多
くの方々に私の研究内容を知っていただく
よい機会となりました。受賞の報告を受け
我が研究室のボス関先生や良い結果も悪
い結果も共有し、困難を乗り越えてきた同
期、室員の存在に大変感謝しております。
この先短い研究室生活ではありますが、後
輩に託す前に、悔いの残らない研究をして
いきたいと考えております。
X’mas party @Lab.
芝浦工業大学大学院
理工学研究科 システム理工学専攻 食品科学研究
修士課程1年 伊藤麻央
演題
Flavan 3-ols retarded disuse atrophy by
hindlimb suspension in mice
~Flavan 3-ols の廃用性筋萎縮抑制効果の検証~
研究内容
先進国では近年、高齢化が進みそれに伴いロコモティブシンドローム罹患
者の増加が問題となっています。筋萎縮はロコモティブシンドロームを誘発
する原因の一つであると言われており、ポリフェノールは筋萎縮を抑制する
のではないかと期待されています。
私たちはこれまでに、ポリフェノールの交感神経刺激作用を見出していま
す。一方でアドレナリンアゴニストの筋肥大効果が報告されています。このこ
とから、ポリフェノールの筋萎縮抑制作用は交感神経の刺激によって起こっ
ていることが示唆され、その作用メカニズムを検証しました。
この度はYoung Investigator Award
という素晴らしい賞を頂きありがとう
ございます。初めての学会でこのよう
な賞を頂くことができ大変嬉しく思っ
ております。研究をしていて辛いこと
もたくさんありますが、このように評
価して頂けたことで励みになりました。
これからも研究に邁進していきたい
と思います。
日頃よりご指導してくださる越阪部先生、研究室のメンバーに感謝申し上げます。
京都大学大学院 農学研究科 食品生物科学専攻
生命有機化学研究室 修士2回 五十嵐洋子
発表タイトル
Possible contribution of zerumbone-induced
proteo-stress to its anti-inflammatory function
through the activation of heat shock factor 1
私は本大会において、植物二次代謝産物の一種であるゼルンボンが細胞内のタンパク質品質管
理機構を活性化することで、その抗炎症作用を部分的に発現しているという内容を発表しました。
ゼルンボンは東南アジアに自生するハナショウガの根茎に含まれるセスキテルペンであり、種々の
培養細胞や実験動物において抗炎症・がん予防・解毒酵素群の誘導といった生理活性を示しますが、
その詳細な機構は明らかになっていません。近年、我々は本化合物がタンパク質のチオール基に対
する非特異的な付加反応を介し、細胞に proteo-stress を与えることを見出しました。さらに、そのスト
レスに対抗するように、タンパク質の品質管理に関わる熱ショックタンパク質(HSP)などが活性化され
ることも見出されました。この HSP やその転写因子である HSF1 は抗炎症性を持つことが報告されて
いることより、我々はゼルンボンによる proteo-stress を介した HSF1 の活性化および HSP の誘導が、
本化合物の抗炎症作用と関連しているのではないかと考え、この仮説の妥当性を検証することを目
的としました。
今回、HSF1 を siRNA を用いてノックダウンすることがゼルンボン
の抗炎症作用にどのように影響を与えるかについて主に評価しま
した。ゼルンボンの iNOS 及び IL-1β 抑制活性が HSF1 ノックダウン
によって減少したことより、ゼルンボンによる抗炎症作用に HSF1 の
活性化が部分的に関わっていることを示唆しました。植物二次代
謝産物の中にはゼルンボンと同様に高い求電子性を持ち、細胞に
とってストレスとなりうるものが存在することから、本仮説は他の化
合物にも当てはまるのではないかと考え、研究を進めています。
この度、ICoFF2015 において JSoFF2015 Young Investigator
Award という賞を頂け、誠にありがたく思っております。研
究を始めて2年半がたちましたが、初めての国際学会でと
ても緊張しました。このような賞を頂けたことは初めてで、
恐縮するとともにとても嬉しく感じています。 自分の研究や
発表に自信を持てずにいましたが、皆様のおかげで1年前
の JSoFF における不甲斐ない発表よりは成長できたのかな
と思っている次第です。今後も、残りの学生生活や今後の
就職先での研究においても、より一層努力してさらに成長し
てきたいです。
ICoFF で一緒に過ごしてくださった兵庫県立大学、徳
島大学、岡山大学の皆様、おいしいお店(↑焼肉!)を
教えてくださった ICoFF staff の皆様、発表を聞きに来て
くださった全ての方、そして日頃よりご指導頂いている
村上明先生と研究室のメンバーに深く感謝申し上げま
す。
国立大学法人
鹿児島大学
KAGOSHIMA UNIVERSITY
鹿児島大学大学院連合農学研究科
応用生命科学専攻
博士課程2年 伍 樹松
講演タイトル
Protective Effects and Mechanisms of
Blue Honeysuckle on Nonalcoholic
Steatohepatitis in Mice Model
研究内容
Nonalcoholic steatohepatitis (NASH) is a common disease that causes inflammation and
accumulation of fat and fibrous tissue in the liver. Our previous studies revealed that blue
honeysuckle ethanol extract (BHE) suppressed arthritis through a crosstalk between antioxidation and anti-inflammation. The present study aims to investigate the preventive effects and
molecular mechanisms of BHE in a NASH mice model. NASH was induced by administrating
with a high fat diet (HFD) to develop obesity and then by treating with carbon tetrachloride
(CCL4) to induce steatohepatitis in C57BL/6N mice. Mice were fed by normal HFD or HFD with
BHE during the NASH processing. Our results indicated that HFD-fed mice showed obese with
fatty liver, while the mice treated with both HFD and CCl4 showed histopathological features
of steatohepatitis (fatty liver, inflammation, hepatocellular ballooning and fibrosis). Oral
administration with 0.5% or 1% of BHE in HFD significantly lowered serum levels of
transaminases, recovered the activities of antioxidant enzymes, and improved histopathological
features of steatohepatitis in NASH mice. Our data demonstrated that BHE decreased the risk of
NASH through suppressing the inflammation and enhancing the activity of antioxidant enzymes
in mice.
受賞に関して一言
It is my great honor to get the
“YIA Travel Award” and “Poster
Award” during ICoFF 2015. I
would like to express my sincere
gratitude to all of the committee
members of JSoFF and ICoFF. I
enjoyed my trip to Korea, and
got a lot of frontier information,
as well as methods in the research
of functional foods. The lectures
were wonderful, and the foods in
Korea were delicious.
Anti-inflammatory activity of
diallyl trisulfide derived from garlic
ガーリック由来香気成分 diallyl trisulfide の抗炎症作用メカニズムの解明
日本大学大学院 生物資源科学研究科 応用生命科学専攻
博士前期課程1年 奥江 紗知子
受賞
ICoFF2015 Poster Award
JSoFF YIA for ICoFF2015
研究内容
近年、ライフスタイルの変化による生活習慣病が増加しており、最終的にがん、脳・心血
管疾患によって死亡するケースが後を絶ちません。
炎症は、生体外異物や組織損傷から体を守る生理的な生体防御機構です。しかしながら、
肥満状態の脂肪組織では、免疫細胞と脂肪細胞による慢性炎症が引き起こされ、炎症シグナ
ルが生活習慣病の発症・進展に密接に関与しています。
ガーリック由来有機硫黄化合物である diallyl trisulfide (DATS) は抗がん作用、抗炎症
作用、抗肥満作用、抗血栓形成などの薬理効果を示しますが、抗炎症作用についての詳細な
メカニズムは明らかになっていません。本研究では、Lipopolysaccharide (LPS) で炎症
様反応を惹起させた培養マクロファージにおけるDATSの抗炎症作用やDATSがLPS/D-ガラ
クトサミン誘導劇症肝障害モデルマウスに及ぼす影響について解析しました。
本研究では、DATSがマクロファージの細胞膜受容体に作用する可能性を明らかにし、マ
クロファージにおける炎症シグナルの阻害と、その後の炎症メディエーターの産生をDATS
が抑制することを in vitro, in vivo で明らかにしました。
実は初めての海外でした!!! 学会だけでなく韓国の方々は英語を話せる人が多かったです。もっと英語で
コミュニケーションをとれるようになりたいと強く実感しました。また、辛い物が苦手でも辛くなくて美
味しいソルロンタン(写真: 左)やチョッパル(写真: 右)があります!そして、ソウル大学に行ってきまし
た(写真: 中央)。敷地面積が広大で、建造物も多く、バス移動に驚きました!
芝浦工業大学 大学院理工学研究科
システム理工学専攻 食品科学研究
修士課程 1年 齊藤 晃子
指導教員 越阪部 奈緒美 先生
ポスタータイトル
Theaflavins improve circulatory function
through sympathetic nerve system
研究内容
紅茶の摂取は、血管内皮機能を向上させることや血圧を
低下させることが報告されています。しかしその作用メカ
ニズムは不明です。
本研究では、theaflavinsの交感神経刺激を介した循環
刺激作用と循環機能改善作用が示唆されました。
緊張の初国際学会…
発表終わりに
先生・仲間と韓国料理を食べました
受賞に関して一言
第20回JSoFF Young Investigator Award (ICoFF
2015)とICoFF Poster Awardの2つの賞をいただき、誠
にありがとうございます。研究の指導を熱心にして下さる
越阪部先生や共同研究の先生、研究室の仲間、家族、評価
して下さった方々に感謝いたします。
研究室のスローガンである「人の役に立つ研究」をかか
げて一丸となり、私も精進してまいります。
兵庫県立大学大学院
環境人間学研究科 環境人間学専攻
食品機能・フリーラジカル研究室
博士前期課程1年 菅 尚子
v ポスター発表
Effect of quinone derived from
5-hydroxytryptamine on expression of
genes in SH-SY5Y neuroblastoma cells
私たちの研究室では様々な疾病に関連する活
性酸素による生体成分の傷害機構の解明と、
食品成分によるその抑制に関する研究を行っ
ています。
本研究では、セロトニンの酸化物であるキノン
体トリプタミンダイオン(TD)の神経細胞内タン
パク質修飾と遺伝子発現に与える影響に注目
しました。この結果、TD は細胞内タンパク質を
短時間で修飾したのち時間依存的に修飾が
減弱すること、また、TD 処理によって、細胞内
の抗酸化遺伝子の発現を誘導することが明ら
かとなりました。
この度は、ICoFF2015 YIA Travel Award ならびに
Poster Award という素晴らしい賞をいただきまして
ありがとうございました。お知らせをいただいた時
には喜びよりも驚きの方で気持ちがいっぱいにな
りました。このような賞をいただけたのはひとえに
日々ご指導いただいている先生方やラボメンバー
の支えがあってのものだと感謝しています。いた
だいた賞は、これからの日々において大きな励み
とし、いつか社会に貢献できるような研究ができる
よう、邁進していきたいと思います。
Isothiocyanates suppress osteoclastogenesis by inhibiting not only
NFATc1, the master regulator of osteoclast differentiation, but also
DC-STAMP, a cell-cell fusion molecule.
ITC
鹿児島大学
農学部生物資源化学科
生分子機能学研究室
鶴留 奈津子
4年
ポスター賞受賞
会場にて参加メンバーと(向かって右が本人)
発表タイトル
Novel plant-derived components effective in reversing
contraction and relaxation of vascular smooth muscle
研究内容
私達の研究室では、世界でも日本でも死因の上位(約3割)を占めている
血管病(脳梗塞、心筋梗塞など)の予防を目指しています!私は、血管
病を予防するために、血管の柔軟性に着目し、その収縮と弛緩を担っ
ている血管平滑筋の正常な機能を維持できるようにしたいと考えまし
た。そこで、身近な天然物の中から、血管平滑筋に直接作用してしな
やかに伸び縮みさせる成分を探索し、作用機構についても検討してい
ます。本研究では、鹿児島県産の果樹類についての発表を行いました。
ちゃっかり観光もさせていただきました!
東大門
受賞に際して
この度はポスター賞を頂き、
大変嬉しく思っております。
実験を始めて1年足らずの
ひよっこですが、指導して
いただいている加治屋勝子
先生をはじめとした先生方、
研究室のメンバーには感謝
の気持ちでいっぱいです。
今回、初めて参加した学会
であるにもかかわらず、
このような素晴らしい賞を
いただき、研究への励みと
なりました。今後は加治屋
先生のような女性を目指し
ていきたいと思います。
ソウルタワー
★もう一つのポスター賞★
Effects of the WASHOKU-modified DASH diet
on blood pressure and cardiovascular risk
factors among subjects with high normal blood
pressure and stage 1 hypertension
和食がユネスコ無形文化遺産に登録された
こともあり、たくさんの方々に興味を持っ
ていただきました。発表者:加治屋勝子
加治屋 勝子 先生
南 雄二 先生
(左)本人、(右)加治屋先生
研究室の先生方の似顔絵です♪
(そっくり!?)
神戸大学 農学研究科 生命機能化学専攻
博士前期課程 1年 中井里香
Kaempferol modulates expression of
drug-metabolizing enzymes
through AhR and Nrf2 pathways
【背景】化学発がんの発症やその増悪、あるいは抑制に深く関与する
薬物代謝酵素の発現は、上流域でさまざまな制御を受けています。薬
物代謝酵素の発現を制御する因子として、AhRやNrf2などが報告され
ています。本実験ではケンフェロールによる薬物代謝酵素の発現調節
機構に努めました。
【結果】ケンフェロールはAhR、またはNrf2
の活性化によって誘導される薬物代謝酵
素の発現を抑制する効果がありました。ま
たルテオリンと共作用させたとき、ケンフェ
ロールの細胞内への取り込みが向上し、
より強い抑制効果を持つようになりました。
この度はJSoFF YIAを頂きまして、誠にあり
がとうございます。昨年の自分からしたら、
学会に参加させてもらえることだけでも有
難いことなのに、受賞もさせてもらえるな
んて思ってもみませんでした。自分の名
前を見つけてとても喜んでいます。食事も
美味しかったです。ご指導してくださった
芦田先生、山下先生、研究室の皆様、本
当にありがとうございました。今後ともよろ
しく御願いいたします。
神戸大学 農学研究科 生命機能科学専攻
博士前期課程 2年 長野智哉
発表タイトル
Catechin metabolites promote glucose uptake in myotubes
概要
【目的】EGCgを含むカテキン類は、生体内で腸内細菌によって代謝を受ける。
本研究では、ラット骨格筋由来L6筋管細胞において、糖取り込みの促進作用
を有するカテキン代謝物の探索とその作用機構解明を目的とした。
【結果と考察】カテキン代謝物23種類うち、
• 5-(3',5'-dihydroxyphenyl)-γ-valerolactone (BM6) と
• 5-(3‘-hydroxyphenyl)-γ-valerolactone (C6) が糖取り込み活性を促進した。
インスリン経路とAMPK経路の活性化を介してGLUT4の細胞膜移行を促進し、
糖取り込みを増加させたと考えられた。
グルコース
BM6
細胞膜
PI3K
AMPK
aPKC
GLUT4
石焼ビビンバがすげえ辛かったんすよ…。
うまいんすよ。でも辛いんすよ…。
研究室メンバー
このたびはYIAという素晴らしい賞をい
ただきまして、誠にありがとうございます。
いただいた賞を励みにこれかも精進し
てまいります。韓国でのICoFFでは、食事
が辛くて毎度汗だくになりました。次行く
際には辛くないものを頼める程度に韓
国語を学んでおき、間違ってもチゲなど
頼まないように気を付けたいと思います。
最後に、日ごろご指導いただいておりま
す芦田先生、山下先生と、研究室のメン
バーに感謝申し上げます。
ICoFF2015 YIA Travel Award
Polyphenols modulate
ATP-induced inflammation
in macrophages
学会会場にて。
LPS誘導性NO産生を増加させる、細胞外ATPの
作用メカニズムおよびそのATPシグナルに対する
食品由来ポリフェノールの作用について発表しました。
32cmアイス!!
明洞にて。
無事帰国!! 徳島駅前にて。
この度は国際学会に参加する貴重な機会を与えてくださり、ありがとうございます。
学会の様々なプログラムへの参加や、いろいろな方との交流、会場の近くやソウル市内の
観光など滅多にできないことばかりで、あっという間の4日間でした。
またこのような会に参加できるよう、大学院生活と研究にコツコツ取り組みたいと思います。
徳島大学大学院 栄養生命科学教育部 食品機能学分野
博士後期課程 1 年
額 惠理香
日頃指導してくださる先生方、
お世話になっている職員のみなさま、
研究室で一緒に過ごしている
個性的なみなさま、
いつもありがとうございます!!
眉山登頂
農学研究科 食品栄養学専攻
博士後期課程 3年 藤井駿吾
↓ ICoFF 2015にて先生方と院生と。
↓ 東京農大 生理機能学研究室メンバー
日本大学大学院 生物資源科学研究科
生物資源利用科学研究科
博士前期課程1年 松風成美
Nihon University
ICoFF 2015 Poster Award 受賞
Title
Responsible Factors for Cutaneous
Permeability of Wheat Gliadin
研究内容
近年、塩酸により加水分解した小麦タンパク質(Hydrolyzed Wheat Protein: HWP)を
含む石鹸を使用後、小麦含有製品を食した際に全身性のアレルギーを発症するという
症例が多数報告されました。私たちは、塩酸により小麦タンパク質が低分子化および
脱アミド化されていたことに着目し、 HWP含有石鹸による経皮感作誘導のメカニズムお
よび小麦製品摂取による食物アレルギー発症の要因解明を行っています。
本研究では、タンパク質の低分子化と界面活性剤が皮膚透過性を増大し、低分子化
と脱アミド化の両方が経皮感作に関与したことを明らかにしました。
受賞に関してのコメント
この度、ICoFF Poster Awardを受賞できたことを、大変嬉
しく光栄に存じます。今後は、研究をさらに進めると共に、
自分の研究を英語でも日本語でも、より分かりやすく説明
できるよう、精進していきたいと思います。
また、ご指導いただいている熊谷先生、赤尾先生、そし
て、一緒に頑張ってくれている後輩2人を始めとする研究
室の皆に心より感謝申し上げます。
ICoFF 2015に参加した日本大学 食品化学研究室(左3名)と栄養生理化学研究室のメンバー(右5名)
八木 美穂
大阪府立大学大学院
生命環境科学研究科
応用生命科学専攻
修士課程1年
ICoFF
Nov. 22~25, 2015
In Korea
Phenethyl isothiocyanate activates leptin signaling
by inhibiting protein tyrosine phosphatase 1B activity
in human SH-SY5Y neuronal cells
● Poster Award を受賞して...
この度は、Poster Awardという素晴らしい賞をいただきまして、ありがとうご
ざいました!ICoFFは、私にとって初めての学会でした。不慣れな上に、国
際学会ということで英語での発表が大変でしたが、この賞を受賞すること
ができたのも、赤川先生のご指導や
研究室の仲間の励ましのおかげで
す。感謝申し上げます。今回の授
賞を励みに、今後も研究室の皆と
切磋琢磨しながら研究活動を頑張り
たいと思います!
研究室のみなさん☺
矢口真実
Yaguchi Manami
日本大学大学院
応用生命科学専攻
生物資源科学研究科
修士2年
発表タイトル
Diallyl trisulfide inhibits thrombus formation through the inhibition of
both platelet aggregation and extrinsic coagulation pathway
発表について
ガーリックは何世紀も昔からその健康利益が認識されており
抗血栓作用、抗がん作用など様々な効果が報告されています。
その作用には酵素的・非酵素的な反応を介して生成する
ガーリックに特徴的な香気成分である有機硫黄化合物が
重要な役割を果たしています。私は、ガーリック由来香気成分
diallyl trisulfide (DATS) の抗血栓作用メカニズムを明らかにすることを目的とし、
研究しています。現在までに、DATSは血栓形成に重要な血小板と外因系凝固の両
方の活性を調節することで血栓形成を抑制することが明らかとなり、その成果を
ICoFF 2015で発表させて頂きました。
Young Investigator Award (YIA) 受賞に際して
昨年に引き続き2度目のYIA受賞となり、選出してくださった皆様には心から感謝
しております。今回、このような素晴らしい評価をいただけたのは指導してくだ
さった先生方、切磋琢磨しあえる研究室員のおかげです。本当にありがとうござい
ました。来年度から、研究とは少し離れてしまいますが、研究生活最後まで精一杯
努力いたします。また、これまで築きあげてきたものを後輩へ引き継いでいけるよ
う頑張ってまいります。
韓国を満喫しました!ありがとうございました!
富山県立大学 工学部 生物工学科
機能性食品工学講座 研究員
安田 佳織
Kaori YASUDA
Young Investigator Award
Sesamin metabolism by drug-metabolizing enzymes and
drug-sesamin interaction
ゴマ中の主要リグナンであるセサミンは、抗血圧作用、抗酸化作用等のさまざまな生理作用
を有することが知られている成分です。それら生理作用の中には、抗酸化能のようにセサミ
ン自身よりも代謝物による寄与が大きいものも報告されており、体内での代謝を明らかにす
ることで、生理作用の個人差やメカニズム解明の手がかりになると考えられます。一方で、
機能性食品成分を安全に摂取するには、他の医薬品との併用の可能性も考慮し、医薬品
との相互作用を調べることが重要となってきます。6th IcoFFでは、肝ミクロソームや薬物代
謝酵素発現系を用いたin vitro実験およびラットを用いたin vivo実験を行うことにより、セ
サミンの薬物代謝酵素による代謝を報告するとともに、セサミン摂取による医薬品体内動
態への影響はほとんどみられず安全であることを発表しました。
受賞に際して
6th IcoFFのYoung Investigator Awardという素晴らしい賞
をいただき、大変嬉しく思っております。ご指導、ご助言いただ
きました榊教授、生城准教授を始めとし、一緒に実験を行った
学生の皆様、研究室メンバーのご支援により受賞することがで
きたと感じております。心より感謝申し上げます。
また、サントリーウエルネス株式会社の皆様にセサミンをご提供してい
ただき、動物実験を行うことが可能となりました。in vitroとin vivoの
両面から解析できたことが今回の受賞につながったと思っており、この
場を借りて厚くお礼を申し上げます。
この受賞を励みとし、今後も、人々の健康に貢献できる研究を目指して頑張っていきた
いと思います。
最後に・・・
6th IcoFFの開催にあたりまして、大会会長、
実行委員および審査委員の先生方、その他
関係者の皆様にこの場を借りて厚くお礼申
し上げます。次回のJsoFFは当研究室の
榊教授のもと、富山で開催されます。皆様、
どうぞ、よろしくお願いいたします。
JSoFF2015 YIA
受賞に際して
矢野 敏史
Satoshi
YANO
鹿児島大学大学院
連合農学研究科
食品分子機能学研究室
博士課程2年
発表タイトル
研究内容
“Wasabi 6-MSITC as a chemosensitizer
to improve the anti-cancer effects
in human colon cancer cells”
こ の た び は 、 JSoFF2015 Young
Investigator Awardという名誉ある賞
をいただき、大変光栄に思っておりま
す。JSoFFの先生方をはじめ、日頃よ
りご指導いただいている侯 徳興 教授、
坂尾 こず枝 助教、いつもお世話に
なっている先生方、また、研究室の皆
様に心より感謝申し上げます。この受
賞を励みとし、より一層研究に精進し
てまいりたいと思っております。今後
ともご指導、ご鞭撻のほどよろしくお
願い申し上げます。
韓国では
ユッケジャン、サムゲタン、
ビビンバ、カルグスク、チゲ、
プルコギ、キムパ、チヂミ、
マンドゥ、ナムル、チュッ・・・
と数え切れないおいしい料理を
食べました(^^)Oh yeah!!
夜の明洞はとてもきれいでした。
仁寺洞で売られてい
た”お面”のお土産
家に飾ると福が来る
そうで
“地下女将軍”ということで・・・ →
抗癌剤の誘導するNF-κBの活性化(副作用や薬剤耐
性の原因)を6-MSITCが抑制することで抗腫瘍効果
を増強させることを明らかにした。今後は、抗癌剤
においてアポトーシス(抗腫瘍効果)に抑制的に作
用するオートファジーが、6-MSITCではどのように
作用するのか、その機序を解析していく。
参加された鹿児島大学の先生方・学生との記念写真
The effect of green tea polyphenol EGCG on miRNAs
expression in melanoma cells
九州大学大学院 農学研究院 生命機能科学専攻 食糧化学研究室
博士課程1年 山田 脩平
Poster award受賞について
国際学会で英語で発表だったので不安でしたが、ポスター賞を受賞することがで
きて光栄です。これを励みにドクター生活もっともっと研究に力を入れていきたいと
思います。
韓国料理食べ過ぎて、日本に帰ってくるときにはかなり太ってました。いい思い出
になりました。
第 70 回
日本栄養・食 糧学会 大 会
70 t h Annual Meeting of the Japan Society of Nutrition and Food Science
2016 5月13日 15日
(日)
(金)
年
KOBE & NISHINOMIYA
13
14 15日
(土)
(金)
(日)
日
日
神戸ポートピア
ホテル
武庫川女子大学
ポートピ アホール
中央キャンパス
演題募集期間
2015 年 10月 20 日㈫∼ 12 月 10 日㈭
会 頭:
中野 長 久 (大 阪 府立 大学
名誉 教 授 )
http://jsnfs70.umin.jp/
事 務 局:〒599 - 8531大阪府堺市中区学園町 1-1 大阪府立大学 生物資源開発センター内
第70回日本栄養・食糧学会大会
運営事務局:株式会社 JTBコミュニケーションズ コンベンション事業局
〒530 - 0001 大阪市北区梅田 3 - 3 -10 梅田ダイビル 4 F
Tel: 06 - 6348 -1391 Fax: 06 - 6456 - 4105 E-mail: jsnfs70 @jtbcom.co.jp
(公社)日本食品科学工学会
第63回大会の参加・発表のご案内
期
日:平成28年8月25日(木)~8月27日(土)
会
場:名城大学
会
頭:小原章裕(名城大学農学部教授)
天白キャンパス
共通講義棟北(名古屋市天白区塩釜口)
1. 大会日程
第1日目
8月25日(木) 学会賞授賞式,受賞者講演,基調講演,シンポジウム,学術交流会,展示
第2日目
8月26日(金) 一般講演,シンポジウム,IUFoSTシンポジウム
ランチョンセミナー,ミキサー(若手の会を兼ねる),展示
第3日目
8月27日(土) 一般講演,シンポジウム,研究小集会(ランチョン形式),
国際シンポジウム,展示
(当日は,『名古屋ど真ん中祭り』と重なっております。宿舎はできるだけ早く予約してください。)
2. 一般講演募集要項
一般講演申し込み:Webによる申し込みのみの受付になります.(公社)日本食品科学工学会のホー
ムページ(http://www.jsfst.or.jp)より行ってください.
申し込み期限:平成28年3月31日(木)~平成28年5月12日(木) 17:00まで
なお,講演要旨の内容部分の訂正は平成28年5月16日(月)17:00まで受け付けます.
若手の会も準備しています。大会ホームページ(現在準備中)をご確認ください。
3. シンポジウム:詳細はおって大会ホームページにアップします.
4.大会開催に関する問い合わせ先
第63回大会事務局
総務幹事
林
利哉(名城大学農学部
応用生物化学科)
〒468-8502 名古屋市天白区塩釜口1-501
TEL
:052-832-1151(内線6235)
FAX
:052-833-5524(農学部事務室)
E-mail
:[email protected]