Acquisition of Japanese Onomatopoeias サンフランシスコ州立大学 風間 彩 1. は じめ に 「雨がザーザー降ってきた。」、「ドアをコンコンとノックする。」、これらの文章の中の「ザーザ ー」、「コンコン」、といった表現は一般的にはオノマトペと呼ばれ、日本語の表現をより豊かにする 要素として重要な役割を担っている。我々日本人の生活の中にはこのようなオノマトペがあふれており 、日常の言語生活において必要不可欠な要素である。しかし、その用法の特異さから日本語学習者にと っては学習しにくく、長年日本語を学習している者ですら、オノマトペを完全に習得することは難しい と言われている。本研究は、日本語学習者のオノマトペの習得と、一般的な日本語能力、日本への滞在 期間、日本語の学習期間等の関連を比較、分析したものである。 2. 調 査方 法 ・ 被 験 者 サンフランシスコ市内の四年制大学で中級レベル以上のクラスを受講している学生と、日本語学校で 中級レベル以上のクラスを受講している学生、合わせて40人(男性20人、女性20人)に被験者になって もらい、総合的な日本語能力を測る日本語能力簡易試験Simple Performance-Oriented Test (SPOT)、ならびにオノマトペに関するクイズの問題を解いてもらい、オノマトペの習得度と一般的な 日本語の学習能力、日本への長期滞在経験の有無、日本語の学習期間等との関連性を分析した。 3. 結 果 一般的な日本語能力が高ければオノマトペの習得度も高くなるという傾向が強くなることがわかっ た。また、オノマトペの習得度は学習期間、滞在期間が長ければ長いほど高くなるという結果が出たが 、一般的な日本語能力は、学習期間、滞在期間が長いほど必ずしも高くなるというわけではないという 結果が出た。 4. 考察 オノマトペの習得度と滞在期間の関連は、日本における製品名や宣伝・キャッチコピーなどの接触率 が一つ大きな要因といえるだろう。また、谷内(2002)の偶発付随的語彙学習も、オノマトペの習得 に学習者が学習ストラテジーとしている可能性は高い。オノマトペを含め語彙の習得は学習者本人によ る地道な暗記に頼らざるを得ないところが大きいため、学習者にかかる負担は大きい。学習者が興味を 持てるような教材や、視聴覚教材を使い、日本語の音象徴の導入も入れた教育をする必要があるだろう 。 参 考 文 献 谷内美智子(2002)「第二言語としての語彙習得研究の概観―学習形態、法略の観点から―」『言語文化と日本 語教育』2002年5月特集号 155‐169
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