生涯学習通信 (第54号) 発行日:平成16 年6月 発 行 者 :「 風 の 便 り 」 編 集 委 員 会 ◆「現代の寺子屋」◆ ー民間活力の活用と総合的「子育て支援」ー そもそも初 めはすべて「私 事 」であった。当 然 、子 どもを寺 子 屋 へ通 わせることも「私 事 」であり、 寺 子 屋 は私 塾 であった。浪 人 や寺 社 の関 係 者 など当 時 の知 識 階 級 のパートタイムの職 業 であった。 しかし、寺 子 屋 に期 待 された機 能 は現 代 となんら変 わらない。寺 子 屋 は庶 民 の付 託 に応 える「守 役 」であり、「守 役 」の任 務 は「一 人 前 」を育 てる「全 人 教 育 」であった。礼 儀 も、作 法 も、肉 体 の鍛 錬 も、学 問 も「守 役 」の役 目 である。庶 民 は暮 らしに追 われて必 死 であった。結 果 的 に、守 役 に全 面 依 存 せざるを得 ない。その意 味 では保 育 も教 育 も兼 ねていた事 はいうまではない。 現 代 、 市 民 の暮 ら しは 大 きく 変 わったが、現 代 の寺 子 屋 に 求 められる 機 能 の複 合 性 は 変 わら ない。 ◆ 1 ◆ 今 、なぜ、「養 育 」の社 会 化 か? 保 護 者 (特 に女 性 )を支 援 し、少 子 化 に歯 止 め をか け る こ と で あ る 。 少 子 化 に 歯 止 め を か け る 社 会 的 方 法 は、 女 性 の「 育 児 負 担 」に 対 す る地 域 社 会 の直 接 的 支 援 システムを創 設 す ることである。男 性 の育 児 ・家 事 への回 帰 を待 っていたらますます少 子 化 は進 行 する。 あらゆる少 年 問 題 を総 合 的 に分 析 すると、 家 庭 と 学 校 だけ で は 子 ども は 一 人 前 に は 育 た ない。社 会 が有 効 な方 法 を工 夫 して地 域 の教 育 プログラムを充 実 させなければならない。そ れが「子 育 て支 援 」である。「子 育 て支 援 」の 当 面 の目 標 は子 ども達 の「生 きる力 」を育 み、 ● ● ● ● ● ● ● 「現代の寺子屋」-民間活力の活用と総合的「子育て支援」- 失った口上、忘れた舞台 子どもの復讐―なぜ人間の中の「悪」を教えないのか? 教育行政の面従腹背 分野横断型生涯学習プログラムの創造 Message To and From 編集後記 「挑戦者の誉れ」 1 P1 P5 P6 P8 P 10 P 11 P 11 ◆ 2 ◆ 現 代 の「子 育 て支 援 」は「複 合 課 題 」である 「子 育 て支 援 」には、保 護 者 の支 援 機 能 が あり、 青 少 年 の 健 全 育 成 機 能 があり、 地 域 教 育 力 の活 性 化 機 能 も含 んでいる。結 果 的 に、 少 子 化 対 策 機 能 を 果 たし、 男 女 共 同 参 画 の 促 進 機 能 を果 たす。短 期 的 には、学 社 連 携 や学 校 週 5日 制 対 応 機 能 も 果 たす。これだけ 多 面 的 な目 標 があり、多 様 な機 能 を必 要 とす る以 上 、単 独 の行 政 部 門 では到 底 対 応 不 可 能 である。青 少 年 健 全 育 成 は学 校 教 育 と社 会 教 育 にまたがる。保 護 者 の子 育 て支 援 は 生 涯 学 習 と 福 祉 に ま た がる 。 地 域 の 活 力 ・ 活 性 化 問 題 は市 役 所 ・役 場 の全 部 署 に関 わる。 少 子 化 対 策 も同 様 である。男 女 共 同 参 画 は 女 性 政 策 に関 わる。それゆえ、現 行 の縦 割 り 行 政 では分 野 横 断 型 の事 業 には歯 が立 たな い。「 子 育 て支 援 」 事 業 に 碌 なも のがないの は そのためである。「学 童 保 育 」は存 在 しても青 少 年 の健 全 育 成 事 業 にはほど遠 い。「子 ども の居 場 所 」を作 っても少 年 集 団 は形 成 出 来 ず、 活 動 メニューの指 導 者 すら確 保 できていない。 相 談 事 業 も子 育 てサロンもきれいごとの看 板 だけで、全 面 的 な支 援 が必 要 な子 どもにも、 保 護 者 にも行 政 サービスは届 いてはいない。 「生 きる力 」の創 造 のためには子 どもの活 動 プログラムが必 要 である。大 勢 の子 どもの活 動 のためには広 くて、安 全 な拠 点 が必 要 である。 ◆ 3 ◆ 活 動 プログラムが子 どもの興 味 関 心 の多 様 性 に対 応 しようとすれば、多 様 な指 導 者 の発 掘 と確 保 が不 可 欠 になる。それゆえ、高 齢 者 の 能 力 を地 域 に活 かし、高 齢 者 自 身 の元 気 を 回 復 するためには、子 育 て支 援 の指 導 者 とし て彼 等 をお願 いすることがもっとも身 近 な対 応 策 である。労 働 の季 節 を終 了 した熟 年 層 を放 置 すれば、必 然 的 に「衰 弱 と死 」に向 かって急 降 下 する。高 齢 者 を現 代 の「守 役 」として活 用 する事 は、子 どものためにも、高 齢 者 のために も一 石 二 鳥 の意 味 があるのである。 子 育 て支 援 事 業 は現 代 の行 政 における 「プロジェクト・マネジメント」を必 要 とする典 型 で ある。「子 育 て支 援 」を本 格 化 しようとすれば、 学 校 と社 会 教 育 と福 祉 と男 女 共 同 参 画 の担 当 課 はプロジェクトチームの最 低 限 の構 成 要 因 で ある 。 学 校 は 「 子 ど も の 生 活 ・ 活 動 拠 点 」 を提 供 する。社 会 教 育 は、指 導 者 の発 掘 ・確 保 と研 修 を担 当 する。福 祉 は「保 育 の概 念 」 を拡 大 して、教 育 との融 合 を図 り、教 育 行 政 と 共 同 して、少 子 化 対 策 および子 育 て支 援 の 予 算 を確 保 する。男 女 共 同 参 画 の担 当 課 は、 教 育 行 政 、福 祉 行 政 と共 同 歩 調 をとって、女 性 の社 会 参 画 と安 心 の子 育 て支 援 システム を両 立 させるべく、総 合 的 子 育 て支 援 の意 味 を議 会 と住 民 に説 得 するのである。 総 合 的 「子 育 て支 援 」の関 係 図 女 性 の社 会 参 画 条 件 を整 備 し、子 ども の「生 きる力 」を育 み、熟 年 層 の活 動 舞 台 を 創 造 する行 政 分 野 横 断 型 の総 合 的 「子 育 て 支 援 」プロジェクトを図 示 すれば次 ページ(P3) のようになるであろう。 2 安心で、安全 な子 育 て支 援 システムを創 り たい。 安全に、遊ん で、いきいき学 ぶ活 動 プログラ ムを創 造 する。 放 課 後 も、長 期 休 暇 中 も女 性 政 策 ー 福 祉 ー学 校 ー生 涯 学 習 の統 合 プロジェ クト を創 設 する 。 拠点 施設 は、 通 い慣 れた学 校 を開 放 する。 図 ◆ 4 ◆ 子 どもの健 全 発 達 指 導 者 の確 保 は と女 性 の安 心 と社 熟 年 層 を中 心 とし 会 参 画 を保 障 し、 た「ボランティア指 熟 年 の能 力 を活 導 システム」を創 用 する。 設 する。 行 政 分 野 横 断 型 の総 合 的 「子 育 て支 援 」プロジェクト構 造 の関 係 図 組 織 横 断 型 ー分 野 横 断 型 「プロジェクト」の創 設 現 行 の行 政 機 構 を変 えることができない以 上 、 行 政 シ ス テムの 中 に 特 別 の「 プ ロジェ クト 」 を創 設 するしかないのである。「プロジェクト」と は、「特 定 の目 的 を達 成 するための活 動 計 画 」の意 味 である。したがって、日 常 業 務 の遂 行 システムでは実 行 出 来 ない特 別 課 題 の達 成 が目 的 である。「既 存 の組 織 においては、組 織 間 で壁 ができ易 く、複 数 の部 署 を巻 き込 ん だ横 の改 革 を拒 みがち」であり、「縦 割 りの組 織 においては、組 織 が細 分 化 されていることに 3 より、担 当 している職 務 に関 する合 理 性 は追 求 されているものの、各 組 織 において最 適 化 を 行 おうとするため」、全 体 の合 理 性 の追 求 が 難 しくなるのである ( * 1 ) 。 ◆ 5 ◆ (*1) E-Trainer.jp 著 、プロジェクトマネジメ ントの基 本 と仕 組 み、秀 和 システム、2000 年 、 p.21 豊 津 「寺 子 屋 」のPPP(Public 福 岡 県 京 都 郡 豊 津 町 の子 育 て支 援 事 業 は「寺 子 屋 」の名 称 で運 営 している。運 営 原 理 は子 育 てに関 係 する複 合 的 な目 的 をすべ て 網 羅 した PPP;Public Private Partnership の方 式 (自 治 体 経 営 における民 間 活 力 の活 用 法 )である。主 管 課 は人 権 対 策 課 の女 性 政 策 係 であるが、運 営 はプロジェクトの為 に立 ち 上 げた「実 行 委 員 会 」方 式 を採 用 している。 実 行 委 員 は男 女 共 同 参 画 懇 話 会 を経 験 した 委 員 の中 から様 々な職 業 的 背 景 を有 した 人 々を選 考 している。すべて民 間 人 である。子 育 て支 援 の拠 点 会 場 は学 校 にお願 いした。生 涯 学 習 施 設 として機 能 していない学 校 が子 育 て支 援 にその施 設 ・機 能 を開 放 したことは画 期 的 である。活 動 の指 導 者 は民 間 から募 集 し、 子 育 て支 援 に限 定 した研 修 プログラムを通 し て認 定 している。研 修 を受 講 していない者 は 指 導 に関 わることはできない。指 導 者 は「有 志 指 導 者 」 と 呼 ば れ、 活 動 の 指 導 に 従 事 す る ボ ランティ アで ある。日 本 社 会 の「ボランティ アた だ論 」の反 省 に立 って、「有 志 指 導 者 」のボラ ンティア活 動 には僅 かではあるが活 動 を支 援 する「費 用 弁 償 」を行 っている。参 加 児 童 は学 校 を経 由 した公 募 方 式 で呼 びかけ、一 日 100 円 の有 料 制 を採 用 している。子 ども達 の活 動 メニューは、「有 志 指 導 者 」の指 導 領 域 を勘 案 し て 実 行 委 員 会 が設 定 している。 P P Pによる 「 協 働 」原 理 の導 入 目 的 は、「最 少 のコス トで 行 政 サ ービスへの要 求 を満 たす 」 ことである。原 理 は「経 済 性 」、「効 率 性 」、「有 効 性 」であると換 言 することもできる ( * 2 ) 。豊 津 「寺 子 屋 」モデルはこれらの条 件 をすべて満 た している。PPP方 式 を採 用 しない限 り事 業 実 施 が可 能 ではなかったことが最 大 の証 明 であろう。 民 間 の活 力 を導 入 しない限 り、50名 を越 える 指 導 者 を確 保 することは到 底 不 可 能 であった。 Private Partnership)モデル 女 性 政 策 を担 当 する職 員 はたった一 名 である。 実 行 委 員 に よる 「 プ ロ ジ ェ クト 制 」 を 取 ら なけ れ ば、事 業 の運 営 は到 底 不 可 能 であった。 地 方 の生 涯 学 習 も福 祉 の子 育 て支 援 や 介 護 予 防 プログラムも活 動 プログラムの多 様 性 を欠 落 している。男 女 共 同 参 画 行 政 は口 ばかりで、子 育 て支 援 の実 施 発 想 はない。ま た、子 どもの活 動 を指 導 すべき生 涯 学 習 支 援 行 政 では、職 員 の給 与 にほとんどの行 政 資 金 を 投 入 せざ る を 得 な い ので 、 事 業 予 算 は 極 め て貧 弱 であり、具 体 的 事 業 はできないのが実 態 である。こちらも「地 域 の教 育 力 」などという 掛 け声 ばかりで実 質 的 な子 育 て支 援 ができな いのはそのためである。行 政 職 員 を削 減 して、 その給 与 分 の財 源 で民 間 に事 業 実 施 を委 託 する PPP 方 式 こそが豊 津 モデルの示 している 方 向 である。 (*2)杉 田 、光 多 、美 原 編 著 、日 本 版 公 共 サ ービスの民 間 開 放 、LEC、2002 年 、p.7 * 資 料 請 求 :豊 津 『寺 子 屋 』に関 する一 連 の 資 料 をご希 望 の方 は、直 接 豊 津 町 役 場 人 権 対 策 課 女 性 政 策 係 ( 〒 824-0121 福 岡 県 京 都 郡 豊 津 町 豊 津 ) まで 郵 送 料 /資 料 代 と して 1,000 円 または同 額 の切 手 を同 封 の上 ご 依 頼 ください。 4 久 々に風 邪 をこじらせて寝 込 んだ。筆 者 は病 気 に けて あ り、 片 側 には 手 習 い 子 の 机 が 積 んで ある。 机 に は 弱 く、 熱 に 弱 い。 本 人 は 正 直 苦 し い の で あ るが、 家 人 は 硯 があり、子 どもの名 前 が貼 ってある。それが学 習 者 と 「 オ ー バー 」 で ある 、 と し か 思 っ て は いな い。 そ れ ゆえ 、 少 教 育 者 がそ れ ぞれの 「 役 」 を 演 ずべ き 舞 台 である。 母 は 、 しぐらい唸 っても相 手 にしてはくれない。一 人 でじっと寝 用 意 した「授 業 料 」を目 録 に包 んで差 し出 し、頭 を畳 ま ているしかない。 でさげて口 上 する。『本 日 よりこの子 はお師 匠 さまを父 これ以 上 眠 れないというところまで眠 りに眠 った。2 上 のように敬 いま す。何 ごとによらずお師 匠 さまのお教 え 4時 間 近 くはうつらうつらと眠 った。熱 は少 し下 がったが、 はありがたくお受 け申 すよう、言 い聞 かせて参 りました。 胸 の 奥 底 にお りた咳 は 取 れない。 散 歩 の 相 手 が寝 込 ん よろしくお導 きくださいまし』。 でい るの だ 。 小 犬 の カ イ ザー も 致 し 方 な い 、 と 思 っ たの だ こ の 口 上 こ そ が 子 ど も の 「 学 習 者 」 宣 言 で あ る。 頭 を ろ う 。 心 配 そう に( と 私 には 見 え る ) 時 々 こ ち ら を 見 て は 、 さ げ る 事 は でき て も 、 子 ども に は ま だ 口 上 は 言 えな い 。 そ 足 も と や 横 腹 に くっ つ い て 一 日 中 付 き 合 っ て 眠 っ て いる 。 れ ゆえ、代 わりに母 が述 べる。母 が述 べても子 は自 分 が 驚 いた こ と に2 4 時 間 一 緒 で ある。 以 後 「 忠 犬 カイ ザ ー」 述 べたことと同 じだと了 解 している。これが学 校 へ送 る と呼 ぶことにしたい、と言 ってみたが妻 は返 事 もしない。 前 のしつけの原 点 である。それゆえ翌 日 から師 匠 は師 1日 眠 ったあと、さすがに退 屈 して寝 床 で読 みさし 匠 となり、学 習 者 は学 習 者 となって、学 習 が始 まる。 の本 を読 み始 めた。時 代 物 である。日 本 文 芸 家 協 会 が 指 導 を受 ける師 匠 の前 に正 座 して、平 伏 し保 護 者 編 集 した新 選 代 表 作 時 代 小 説 24「花 ごよみ夢 一 夜 」 と一 緒 に口 上 を述 べる。このようなイニシエーション(通 である。 当 代 作 家 の 短 編 を 集 め て いる。 タイ トル の おも し 過 儀 礼 ) を 通 るだ け で 学 習 の 半 分 は 成 っ たよう な も の で ろそうなものから順 に読 み始 めた。「手 習 い子 の家 」を初 ある。筆 者 は、小 説 を放 り出 し、熱 にけだるい頭 で開 講 めに選 んだ。現 在 関 わっている子 育 て支 援 事 業 の小 さ 式 を済 ませたばかりの現 代 の「寺 子 屋 」を思 い出 した。 な「寺 子 屋 」を思 い出 させるからである。作 者 の名 は聞 指 導 の 各 場 面 には か つ て の 緊 張 感 と 師 弟 対 面 の 舞 台 いたこ とがな い 。 梅 本 育 子 と あっ た。 物 語 は 少 年 の 日 の を復 活 させな ければならない。「有 志 指 導 者 」は「先 生 」 恋 人 同 士 が思 わぬことから別 れ別 れになり、それぞれの として子 ども達 の尊 敬 を受 けなければならない。子 ども 人 生 の 宿 命 を 生 きる。 後 年 、子 ども の 縁 でふたたび巡 り 達 には直 立 不 動 の姿 勢 で先 生 方 にごあいさつをさせよ 会 って若 き日 にはかなわなかった恋 を復 活 させ、目 出 う。終 わりには声 を揃 えて「有 難 うございました」と言 わせ た く結 ば れるという 物 語 である。主 題 の「手 習 い子 の 家 」 よう。後 片 付 けはすべて子 どもの力 で全 うさせよう。 現 代 は女 主 人 公 の娘 が通 う「筆 学 指 南 」の塾 であった。当 の寺 子 屋 もまた「型 から入 りて、型 から出 ずる」という原 時 のしきたりでは6歳 の年 の6月 6日 から読 み書 きの稽 点 の 精 神 を 復 活 さ せ な け れ ば な ら な い。 「 子 ども 」 が 「 学 古 を 始 める。 習 者 」・「児 童 」になれば、学 習 の半 分 は成 ったも同 じな 物 語 は千 変 万 化 に展 開 するが、筆 者 には何 より のであ る。筆 者 も気 合 いを入 れ直 して子 ども達 の指 導 に 入 塾 を依 頼 する母 子 が初 めて先 生 と対 面 する場 面 が あたってみようと決 心 した次 第 である。 ■ 新 鮮 であった。女 主 人 公 は幼 い娘 の手 を引 いて先 生 の 前 に出 る。『両 手 を ついて深 々と頭 を下 げる』。当 然 、子 どもも母 に倣 う。先 生 は正 装 で、正 座 している。花 が活 5 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 子 ど も の 復 讐 -なぜ人間の中の「悪」を教えないのか?またまた少 年 の残 虐 犯 罪 である。「風 の便 り」4 3号 に長 崎 の幼 児 殺 害 事 件 の感 想 「潜 在 光 景 」を 書 き、45号 に「『業 』と『原 罪 』ー人 間 性 の未 知 と教 育 の限 界 ー」を書 いた。人 間 の「業 」や「原 罪 」を野 放 しにすれば、小 学 校 の同 級 生 が同 級 生 を切 り殺 して も、中 学 生 が告 げ口 を恐 れて、幼 児 を高 所 から 突 き落 としても、夜 中 に 徘 徊 している高 校 生 が 何 者 か に殺 されても特 に驚 きはしない。筆 者 の感 想 の 要 点 は以 下 の通 りである。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 1 「教 育 の抑 止 力 」再 考 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ムを与 えて我 慢 させる事 もできる。やさしさや思 いやりの心 をボランティアのプログラムに翻 訳 して 体 験 させる事 もできる。 しかし、すべての努 力 を 尽 くして も、人 の 道 や 世 の中 の規 範 をどこまで内 面 化 できるかは依 然 として不 明 である。不 明 であっても目 指 すべき方 向 に向 かって努 力 を続 けなければならない。そ れが教 育 の宿 命 である。 人 間 は未 だに未 知 である。DNA の構 造 が科 学 的 に解 き明 かされる現 在 でも、欲 望 や精 神 の 領 域 はほとんどが未 知 に属 する。人 間 のことが 人 間 自 身 に良 く分 からないところがある以 上 、社 会 が対 処 できるものと、対 処 できないものがある のは、当 然 のことである。教 育 に関 して言 えば、 肉 体 を 鍛 え て 、 体 力 を 向 上 さ せ る こと はで き る 。 道 徳 律 を教 える事 も、法 律 の処 罰 を伝 えること も できる。世 の中 の 規 範 を教 え、困 難 なプログラ 2 なぜ人 間 の中 の「悪 」を教 えないのか? なのである。これらは神 や仏 の領 域 である。宗 教 的 努 力 を何 千 年 も続 けて来 ていまだ人 間 の 「悪 」はほとんど解 決 できていない。およそ教 育 な どの歯 の立 つ話 ではないのである。教 育 は人 間 の中 の「悪 」について教 えるべきである。世 間 も 自 分 の中 の「悪 」を棚 に上 げて、さも知 らなかっ たかのように、少 年 犯 罪 に驚 いてみせるベきでは ない。 人 間 の欲 求 や性 癖 は簡 単 には制 御 できない。 仏 教 はそれを人 の『業 』と呼 んだ。大 晦 日 に百 八 つの 鐘 を突 くのは人 の煩 悩 を払 うためだと云 う。 百 八 つの煩 悩 があるというのである。毎 年 、毎 年 そ れ を 行 な う の は、 人 は 『 業 』か ら 逃 げること は で きな い、とい うことを意 味 している。同 じようなこと を キリスト教 は人 間 の「原 罪 」と呼 んだ。要 するに、 人 は生 まれながらに邪 悪 欲 望 を背 負 った罪 人 3 教 育 努 力 の方 向 ■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 会 的 義 務 の遂 行 が先 である事 を教 えるべきであ った。戦 後 教 育 は規 律 を教 えず、道 徳 を教 えず、 社 会 的 義 務 を教 えず、人 権 や命 の大 切 さは「自 分 」を中 心 にしか教 えて来 なかった。 人 間 は そもそもが自 己 中 心 的 に できている。 戦 後 教 育 における努 力 の方 向 が間 違 ってい る。教 育 は「命 の大 切 さ」だけを教 えず、人 間 の 悪 を教 えるべきである。「自 分 の命 」の大 切 さを 教 えず、「他 者 の命 」の大 切 さを教 えるべきであ る。人 権 を教 えるなら「他 者 の人 権 」を教 え、社 6 ろのごとく捨 てて顧 みない。人 間 は「自 分 を 先 」に 置 くことしかできないのである。古 来 、日 本 人 が 喝 破 したとおり、「人 の痛 いのなら3年 でも辛 抱 で きる」のである。見 渡 せば、現 状 こそが戦 後 教 育 の成 果 (!?)である。 それが「存 在 の個 体 性 」である。痛 いのも、辛 い のも、悲 しいのも、うれしいのも、己 の肉 体 、人 間 の個 体 の感 覚 に頼 って理 解 するしかない。当 然 、 「命 の大 切 さ」を教 えれば、自 分 の命 だけを大 切 に 思 う 人 間 ができる 。 人 権 を 教 え れ ば 自 分 の 人 権 だけを考 える子 どもが育 つ。他 者 の権 利 はぼ 4 「耐 性 」教 育 の欠 如 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 幼 稚 な少 年 犯 罪 は「命 の大 切 さ」が分 かってい ないから起 ったのではない。己 の感 情 や欲 求 を 押 さえる耐 性 の欠 如 が深 く関 係 しているはずであ る。規 律 に従 えないのも、義 務 を遂 行 できないの も、すぐに切 れたり、欲 求 のままに振 る舞 うのは 基 本 的 に耐 性 の欠 如 が原 因 である。戦 後 の子 育 ても戦 後 の教 育 も過 剰 な保 護 が支 配 した。鍛 錬 という表 現 だけで教 員 は反 発 した。そのつけが 廻 って来 たのである。ブレーキの聞 かない欲 望 は 「業 」や「原 罪 」を野 放 しにすることである。自 分 の人 権 だけが大 切 な子 どもが感 情 の赴 くままに 残 虐 な犯 罪 を犯 しても今 更 驚 く事 はないのであ る。 「業 」も「原 罪 」も人 間 の「欲 望 」の別 名 である。 欲 望 にブレーキをかけるのは歴 史 的 に、宗 教 に よる禁 止 と 法 律 による 処 罰 と 教 育 の 教 えと個 人 の耐 性 であった。教 育 が育 てるべきブレーキは 「耐 性 」である。耐 性 は「行 動 耐 性 」や「欲 求 不 満 耐 性 」に分 類 される。「やりたくてもやらない」、 「やりたくなくても我 慢 してやる」ことができるのは、 個 人 に「耐 性 」が備 わっているからである。「耐 性 」は困 難 に耐 え抜 く鍛 錬 によってしか形 成 され ない。人 生 の欲 求 不 満 にたえるだけの能 力 を備 えるためには、多 くの「欲 求 不 満 」、多 くの困 難 、 多 くの挫 折 や失 敗 を耐 えぬかねばならない。鍛 錬 プログラムとは「困 難 プログラム」の別 名 である。 5 教 育 の為 すべき事 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ もちろん、すべてを承 知 の 上 で 、覚 悟 の自 殺 を遂 げる時 もある。覚 悟 の自 殺 は「生 きた」ので あって、「死 んだ」のではない。自 分 の生 き方 を 貫 いたという事 である。人 間 の命 が肉 体 の存 続 だけではない、という前 提 に立 てば、「覚 悟 の死 」 は必 ずしも命 を粗 末 にしたという事 にはならない。 「 切 腹 」 以 来 、 「 恥 の 文 化 」 の 命 ず ると こ ろで もあ る。 他 の方 々はいざ知 らず筆 者 は屈 折 した少 年 であった。 多 くの 少 年 犯 罪 者 と 同 じ ように「 悪 」 も 様 々に想 像 した。実 行 しなかったのは、処 罰 が 割 にあわない、という判 断 、社 会 的 トレーニング が 作 り 上 げ た 我 慢 の ブ レ ーキ 、 親 が 哀 し む だ ろ う という思 い、 後 は偶 然 ながら完 全 犯 罪 の 機 会 が なかった等 々の組 み合 わせの結 果 である。 ■ 教 育 の為 すべき事 は二 つある。第 1は耐 性 を 鍛 える事 である。第 2は人 間 の悪 を教 え、他 者 の人 権 だけを教 え、他 人 に「迷 惑 をかけるな」と いうことだけを教 えることである。少 年 の犯 罪 が起 る度 にメディアにせっつかれた教 育 界 は「命 の大 切 さ」を合 唱 する。人 間 は自 分 の命 の大 切 さは 基 本 的 に知 っている。水 に放 り込 めば必 死 にも がいて助 かろうとする。生 きようとするのは肉 体 の 本 能 である。追 い詰 められて自 殺 をするものもい るが、それは耐 性 が欠 如 しているか、精 神 の病 いが原 因 であろう。根 性 が足 りない時 は根 性 を 鍛 えるしかない、耐 性 が欠 如 している時 は、我 慢 の教 育 を与 えるしかないのである。気 鬱 や精 神 を 病 んで 死 ぬ 場 合 は 、「 命 の 大 切 さ 」 を 教 え た と ころで防 ぐ事 はできまい。 7 教育行政の面従腹背 筆 者 は日 本 のシステムの構 造 改 革 を支 持 して いる。改 革 のスピードの遅 さに苛 々している。 技 術 が変 わり、生 産 やサービスのシステムが変 わ り、人 口 構 造 が変 わり、日 本 がおかれた国 際 環 境 が変 わったのに、教 育 や生 涯 学 習 のやり 方 は 昔 の ままであることが多 い。学 校 はその典 型 である。これまでの教 育 システム、今 までの教 員 、 これまでの方 法 や中 身 でこれからの日 本 が成 り立 つはずはないのである。 しかし、構 造 改 革 が必 要 だとしても分 野 の足 並 みはそろわない。筆 者 の思 い過 ごしであれば 幸 いだが、教 育 界 の改 革 スピードは意 図 的 に 遅 い 。大 学 教 育 分 野 の改 革 は自 分 自 身 がしくじ った苦 い経 験 がある。夜 間 開 講 制 も、サマース ク ール制 も、留 学 生 の全 面 受 け入 れも、論 文 を 書 かない教 員 の受 け入 れも、学 生 による教 員 評 価 の公 表 も、人 事 への反 映 も 、産 学 共 同 によ るイ ンターンシップの導 入 も 、 生 涯 学 習 キ ャンパス の創 造 も、 教 員 の契 約 雇 用 も、 すべて賛 成 は得 られなかったのである。 ■ 1 ■ 教 育 特 区 の革 命 生 涯 学 習 の改 革 を怠 れば、高 齢 社 会 の熟 年 の生 きる力 は保 持 出 来 ない。子 育 て支 援 の活 動 プログラムも創 出 できない。福 祉 と生 涯 学 習 を融 合 させなければ、介 護 予 防 や子 育 て 支 援 の実 質 的 効 果 は期 待 出 来 ない。結 果 的 に 、女 性 の社 会 参 画 条 件 を保 障 する事 もでき ない。教 育 は日 本 人 の考 え方 、生 活 のスタイ ルを変 えるのである。教 育 改 革 を断 行 しなけ れば、経 済 はもとより、福 祉 も、文 化 も、研 究 も、 恐 らくは日 本 人 自 身 の質 も世 界 とは太 刀 打 ち 出 来 ない。 既 得 権 を有 する抵 抗 勢 力 が改 革 の妨 害 をするが、少 しずつ時 代 は進 んでいる。突 破 口 は構 造 改 革 特 区 にある。しかし、その特 区 構 想 においてすら障 碍 は余 りにも明 らかである。 このたび株 式 会 社 立 の学 校 が全 国 に3校 誕 生 した。高 等 教 育 部 門 では、 IT やデジタル コンテンツの専 門 家 を育 てるデジタル大 学 院 大 学 が設 立 された。これも株 式 会 社 立 であ る。 問 題 はそれらに対 する運 営 上 の極 めて差 別 的 な処 遇 である。教 育 行 政 は自 分 達 が管 理 監 督 して来 た公 立 及 び私 立 学 校 の既 得 権 だけを守 ろうとしていないか?公 立 、私 立 の学 校 が、「会 社 立 」の学 校 に太 刀 打 ち出 来 ない ことを恐 れて敢 えて公 平 な条 件 を作 ろうとして いないのではないか?株 式 会 社 立 の学 校 に対 する極 めて不 公 平 な処 遇 は、基 本 的 に文 科 省 のサボタージュであると言 われても仕 方 があ るまい。教 育 行 政 は己 自 身 の改 革 をすすめる ためにも正 当 な競 争 から逃 げてはならない。公 立 も私 立 も財 政 的 に国 家 の支 援 ・保 護 を受 け ている。株 式 会 社 立 の学 校 だけが国 家 の保 護 を受 けていない。小 中 学 校 であれば、どの 学 校 も、形 態 は異 なっても義 務 教 育 の一 端 を になっている。株 式 会 社 立 の学 校 もなんら変 8 わりなく、責 任 と役 割 は同 じである。なぜ、公 私 立 の学 校 は同 じ土 俵 で株 式 会 社 立 の学 校 と 勝 負 しないのか?なぜ私 学 協 会 はこの不 公 平 な処 遇 に沈 黙 しているのか?誠 にアンフェアー である。教 育 の中 身 と方 法 で競 って、なぜ優 れた学 校 を国 民 ・保 護 者 に選 ばせようとはしな いのか? 同 じ義 務 教 育 をになう学 校 でありながら 株 式 会 社 立 の 学 校 が 私 学 助 成 を受 けら れな ■ 2 ■ いのは なぜ か ?同 じく 他 の 私 学 と 同 じよう に 税 制 上 の優 遇 措 置 を受 けられないのはなぜか? もし、現 行 法 に制 約 があるのならなぜ学 校 の 設 立 だけを認 めて、法 律 の方 は特 例 を認 めた り、改 正 の努 力 をしようとしないのか?教 育 行 政 は株 式 会 社 立 の学 校 の失 敗 を願 っている のか?教 育 行 政 の担 当 者 は、これらの疑 問 に 公 の場 で明 確 に答 えるべきである。 新 しい教 育 には 新 しい基 準 を 教 育 の構 造 改 革 は、一 方 で、政 治 判 断 である特 区 構 想 を認 めながら、他 方 で行 政 上 の差 別 的 処 遇 を改 めようとしない。政 治 の指 示 に従 うべき行 政 でありながら教 育 行 政 は政 府 の方 針 に面 従 腹 背 している。同 じ税 金 を払 って、 子 どもを株 式 会 社 立 の学 校 へ行 かせて いる保 護 者 に何 と説 明 できるのか?デジタル ハリウッド社 長 の藤 本 氏 は言 う。デジタルハリウ ッド大 学 院 大 学 は「業 務 上 の実 績 を有 する実 務 家 教 員 だけで組 織 している。にもかかわらず、 なぜ教 員 審 査 の基 準 は研 究 業 績 の論 文 なの か?」「私 立 大 学 の経 営 を支 えている学 生 と 親 が望 んでいることは、学 生 が希 望 する職 業 に つく 事 で あ る 」 。 「 教 員 を 一 流 の 研 究 者 に 育 てる事 ではない」。「大 学 設 置 審 議 会 の構 成 見 直 し、研 究 者 以 外 の外 部 人 材 を入 れて」 「顧 客 志 向 を意 識 化 すべきである」(筆 者 要 ● ● ● ● ● 約 : 日 経 、’04年 6月 26日 )。大 学 審 査 の現 状 は藤 本 氏 の指 摘 の通 りである。大 学 紀 要 な どにあらわれる粗 雑 な論 文 を何 十 本 書 いたと ころで学 校 の質 も、教 育 の質 も変 わらないので ある。 さらに最 近 の新 聞 報 道 によって知 ったが、 株 式 会 社 立 の学 校 の職 員 は私 立 学 校 共 済 組 合 に 加 入 出 来 ない。 株 式 会 社 立 の学 校 は 「 私 立 学 校 」で は ないの か ?共 済 組 合 に 入 れ ないという 決 定 を 下 し ている のは だれか ?それ は競 争 相 手 の株 式 会 社 立 学 校 を閉 め出 すた めか?これらの疑 問 には、恐 らく誰 も答 えずに 黙 殺 が続 くのであろう。口 を噤 んで都 合 の悪 い 時 間 が過 ぎるのを待 っているので ある。改 めて 「日 本 人 の敵 は日 本 人 」であることを 実 感 せざ るを得 ない。 日 時 : 平 成 16年 7月 17 日 (土 )15時 〜 17時 場 所 : 福 岡 県 立 社 会 教 育 総 合 センタ ー テーマ: 夏 休 み自 然 体 験 プログラム 事 例 発 表 者 :福 岡 県 穂 波 町 「少 年 不 便 の家 」プログラムの思 想 と方 法 (仮 ) 参加論文:低学年を含む異年齢混合キャンプの指導と方法 (仮題) (報 告 書 三 浦 清 一 郎 ) フォ ーラム 終 了 後 センタ ー 食 堂 にて 「 夕 食 会 」 ( 会 費 約 60 0 円 ) を 企 画 して いま す。 準 備 の 関 係 上 、 事 前 参 加 申 込 みをお願 い致 します。(担 当 :朝 比 奈 )092ー947ー3511まで 9 第 46回 生 涯 学 習 フォーラム報 告 第 46回 フォーラムは総 合 的 プロジェクトの問 題 を取 り 上 げた。総 合 化 は生 涯 学 習 の行 政 改 革 に繋 がる。 今 回 は福 岡 県 春 日 市 の行 政 改 革 、宇 美 町 の生 涯 学 習 本 部 からご報 告 を頂 いた。春 日 市 は官 業 の民 間 委 託 率 日 本 一 の自 治 体 である。宇 美 町 は生 涯 学 習 を首 長 部 局 の下 で統 括 しようとしている数 少 ない自 治 体 である。春 日 市 からは行 政 管 理 課 の企 画 を担 当 する神 田 芳 樹 さんにおいでいただいた。報 告 は、これま で の 行 政 改 革 の 経 過 と 仕 事 を 通 し て 今 後 の 改 革 が ど の よ う な方 向 に 進 む べ き かを 中 心 に お 話 し い た だ い た。他 方 、宇 美 町 からは企 画 調 整 課 で生 涯 学 習 推 進 本 部 の事 務 局 長 を勤 める廣 畑 伸 暁 さんに、生 涯 学 習 推 進 本 部 の設 置 の 経 緯 と その 後 の 庁 内 の 分 野 横 断 型 事 業 の実 態 につ いてご報 告 頂 い た。 論 文 参 加 は「生 涯 学 習 の複 合 課 題 とプロジェクト・マネジメントーなぜ、総 合 的 なアプローチが必 要 か?ー」(三 浦 清 一 郎 )である。 1 受 託 する民 間 企 業 の「株 」を買 っておきたい。 春 日 市 における行 政 改 革 の挑 戦 2 春 日 市 は 「 住 み や す さ」 総 合 評 価 福 岡 県 内 1 宇 美 町 生 涯 学 習 推 進 本 部 の実 験 位 である(1997.6.10 西 日 本 新 聞 )。「住 民 1人 当 宇 美 町 は生 涯 学 習 機 能 を首 長 部 局 に移 した たりの人件費の少なさ」は全国1位である 数 少 ない事 例 である。それゆえ、生 涯 学 習 推 進 本 ( 2 003.11.25 日 経 )。また、「全 国 自 治 体 民 間 委 部 は 企 画 調 整 課 に 置 か れて い る 。 本 部 の 事 務 局 託 度 ランキング」も全 国 1位 である(2004.4.18 日 長 を勤 める廣 畑 さんの資 料 では、町 内 行 政 を統 経 )。2 00 3 年 度 末 の「 民 間 委 託 度 」ランキ ングの 括 する組 織 図 は見 事 に整 備 されている。問 題 は 民 間 委 託 に つい ては 福 岡 県 は 時 代 の 先 端 を 走 っ 機 構 が思 惑 通 り機 能 するか、否 かである。ここでも ている。1位 から4位 までを福 岡 県 の都 市 が 占 めた。 伝 統 的 な縦 割 り行 政 は分 野 横 断 型 の総 合 行 政 春 日 市 、小 郡 市 、宗 像 市 、筑 紫 野 市 の順 である。 を成 功 させた経 験 はほとんどない。然 るに、抵 抗 は その後 に全 国 の都 市 が続 く。民 間 委 託 が最 も進 ん 既 存 の 行 政 組 織 自 身 から起 ってくる。”生 涯 学 習 でいる施 設 は、公 園 ・児 童 遊 園 、コミュニティ・セン は社 会 教 育 でやればいい”という論 理 である。議 会 ター、市 区 民 会 館 ・公 会 堂 、市 区 営 病 院 ・診 療 や町 の執 行 部 の強 力 なリーダーシップがなければ、 所 と続 く。庁 舎 の受 付 や学 校 給 食 の委 託 も始 まっ 行 政 の 「 プ ロ ジ ェ ク ト ・ マ ネ ジ メ ント 」 は 不 可 能 で あ る 。 ている。認 可 保 育 所 の運 営 を受 託 し た企 業 もある。 筆 者 の提 案 はたった一 つ。象 徴 としての「プロジェク 従 来 の 生 涯 学 習 には 戦 略 的 ア ウトソ ーシングの 発 ト・マネジメント」の実 践 である。その具 体 例 は、最 も 想 が皆 無 であった。 緊 急 にして、最 も総 合 的 な「子 育 て支 援 」事 業 を 「財 政 難 を背 景 に、公 共 サービスの受 託 ビジネ 作 り 出 すこ と である 。 学 童 保 育 と 青 少 年 の 健 全 育 スが大 きく育 とうとしている」と日 本 経 済 新 聞 が指 成 をドッキングして全 保 護 者 に開 放 する。結 果 的 摘 した(日 経 2004年 4月 18日 )。市 場 規 模 は 6, に、男 女 共 同 参 画 の推 進 にも資 する。そのために 000億 円 にな るだろうと想 定 している。「財 政 難 」が は 生 涯 学 習 施 設 と して「 学 校 」を「 拠 点 施 設 」 とす 「受 託 ビジ ネス」を育 てるという背 景 には、役 所 でや る。指 導 者 には町 内 から熟 年 者 のボランティアに る と非 効 率 だが、民 間 に任 せれば管 理 が可 能 にな 加 勢 して頂 く。それが出 来 れば、文 字 通 りの「幼 老 ると いう 意 味 が隠 さ れてい る。「戦 略 的 アウトソーシ 共 生 」が実 現 する。廣 畑 さんはすでに「健 康 づくり」 ング」とはそういうことである。春 日 市 が今 後 生 涯 の散 歩 と「子 どもの見 守 り・声 かけ」運 動 をドッキン 学 習 分 野 においてどのようなアウトソ−シングを実 行 グした『みるみるウオーク』事 業 を作 り上 げている。 して 行 く のか 、 福 祉 と 教 育 を 融 合 し た「 介 護 予 防 」 福 祉 と教 育 の協 働 の領 域 に踏 み込 んでいるのであ プログラムは創 出 できるのか、総 合 的 「子 育 て支 る。こちら も 期 待 し て 見 守 り た い。 筆 者 の 論 文 は 巻 援 」は実 行 で きるのか、注 目 して見 守 り たい。当 面 、 頭 の小 論 にまとめている。論 文 が素 材 とした『豊 津 筆 者 としては、自 らの時 代 分 析 に賭 けて、官 業 を 寺 子 屋 』の夏 休 みプログラムは、時 代 の実 験 であ 10 る。ウィークデーの子 育 て支 援 は男 女 共 同 参 画 の 学 校 開 放 の試 行 であり、町 民 主 体 の実 行 委 員 会 最 終 目 標 であり、多 様 な活 動 メニューを揃 えた保 は官 民 協 働 の挑 戦 である。それゆえ、論 理 的 な作 育 は、総 合 的 子 育 て支 援 のパイロット事 業 である。 戦 上 は、行 政 組 織 横 断 型 の「プロジェクト・マネジメ 町 内 「有 志 」の指 導 者 は、ボランティアの実 験 であ ント」の壮 大 な実 験 となる可 能 性 の「芽 」を含 んで り、拠 点 を学 校 にしたのは、生 涯 学 習 施 設 としての いる。 メッセージをありがとうございました。今 回 もまたいつものように編 集 者 の思 いが広 がるままに、お便 りの御 紹 介 と御 返 事 を兼 ね た 通 信 に 致 し ま し た 。み な さま の 意 に 添 わ な い と こ ろが ござ い ま し た ら どう ぞ 御 寛 容 に お 許 し 下 さ い 。 ★ 埼玉県八潮市 松澤利行 様 うしようもない様 相 を呈 しています。現 在 の努 力 が 八 潮 市 の出 前 講 座 はその後 どのような展 開 にな 合 併 によ って 振 り 出 しに 戻 るのなら 余 計 なこと はや っているのでしょうか。生 涯 学 習 の必 須 事 業 は大 らない方 がましだ、という雰 囲 気 が漂 っています。 きく様 変 わりし、子 育 て支 援 と男 女 共 同 参 画 推 進 利 権 、金 権 が渦 巻 く地 方 議 会 の質 がここまで低 い の統 合 、 介 護 予 防 と 生 涯 学 習 の 統 合 など 行 政 の 中 で地 方 分 権 などできるはずはないでないか、と実 システム改 革 が不 可 欠 になってきたのではないでし 感 しています。 ょうか。 中 央 の 縦 割 りが 変 わら な いと すれば、 地 方 ★ 沖縄県那覇市 大城節子 様 は プ ロ ジ ェ ク ト ・ マ ネ ジ メ ント を 導 入 し て 分 野 横 断 型 「風 の便 り」送 付 名 簿 の記 載 もれはなんとも申 し の事 業 実 施 方 法 を工 夫 しなければならない時 代 わけございま せんでした。 外 にも同 様 の失 礼 があ る になったと思 います。巻 頭 小 論 「現 代 の寺 子 屋 」は のではないか、と大 いに心 配 しております。『豊 津 寺 筆 者 が関 わっているささやかな実 践 を土 台 にして 子 屋 』のサマープログラムの資 料 一 式 をお送 り致 し います。この度 は、二 重 に郵 送 料 を頂 戴 致 しまして ました。昨 年 の中 ・四 国 ・九 州 地 区 の生 涯 学 習 実 ありがとうございました。有 り難 く使 わせていただきま 践 研 究 交 流 会 に宮 崎 県 の木 の花 婦 人 会 の子 育 す。 て支 援 事 業 の発 表 がありました。その方 向 性 、そ ★ 島根県 吉山 治 様 の思 想 が大 いに参 考 になりました。沖 縄 県 婦 人 会 西 日 本 各 地 の不 様 な合 併 騒 動 の報 道 に接 する でのご奮 闘 を期 待 しております。 時 、いかに雲 南 が先 行 して教 育 課 題 を分 析 し、関 係 の 方 々 が 努 力 な さっ た か よ く 分 り ま し た 。 合 併 を 前 に 生 涯 学 習 は 停 滞 し 、 投 げや り に な り 、すで にど ◆◆◆◆◆ 編集後記 挑 戦 者の誉れ ◆◆◆◆◆ 人 生 の終 わりが見 えて来 ると二 つの思 いの間 で 「出 藍 の誉 れ」は持 って生 まれた才 能 の誉 れであ 心 が揺 れる。「もう少 し頑 張 ろうか」という挑 戦 者 の る。「挑 戦 者 の誉 れ」は培 った意 思 と精 進 の誉 れ 意 志 と「この辺 でよかろう」という「足 るを知 る」諦 念 である。熊 本 県 阿 蘇 の研 修 会 で阿 蘇 郡 社 会 教 育 の気 分 である。筆 者 はどちらも大 事 だと思 ってどこ 委 員 連 絡 協 議 会 会 長 に お目 にかかった。 松 本 末 かでバラ ンスを 取 ろう とし ている 。 生 涯 現 役 が 可 能 男 さん、80歳 である。社 会 教 育 委 員 、公 民 館 長 だとは思 わないが、やれるところまでやってみようか、 の高 齢 化 が目 立 つ昨 今 、筆 者 は失 礼 は承 知 の上 という思 いである。今 回 は挑 戦 者 にお目 にかかっ で、年 寄 りは若 い方 々と交 替 して、公 職 は引 くべき た。 であると提 案 する。情 報 化 の時 代 に コンピューター 11 を習 おうとしない委 員 さんは辞 任 すべきであるとい 会 奉 仕 の継 続 は簡 単 ではない。もちろん、健 康 だ い、男 女 共 同 参 画 の時 代 に家 事 ひとつ担 当 しな からできたのであり、活 動 を続 けたから健 康 も維 持 い 男 性 委 員 は 社 会 教 育 で 発 言 す る な、 と も 言 う 。 することができたのである。「役 に立 つ事 」は「必 要 地 方 の生 涯 学 習 支 援 財 政 が逼 迫 した現 在 、社 とされる事 」であり、必 要 とされれば勉 強 もせざるを 会 教 育 委 員 はボランティアのひとつぐらい実 践 なさ 得 ない。松 本 会 長 のご提 案 で研 修 会 は午 後 のデ っては如 何 でしょうか、ともいい続 けている。そうする ィスカッショングループを組 織 化 し たという。物 事 は と中 には、社 会 教 育 委 員 もボランティアのようなも 「10年 為 し難 し、20年 偉 大 なり、30年 歴 史 とな ので・・・、などという恍 けた年 寄 り委 員 がいて、呆 る」である。いろいろ理 屈 は言 えようが30年 間 の継 れ返 る。社 会 教 育 を停 滞 させているのは社 会 教 続 はすさまじい。様 々な条 件 をすべてクリアした上 育 委 員 の不 勉 強 と時 代 錯 誤 と老 いである。行 政 で、なおかつ強 烈 な 意 志 を必 要 とする。まして、高 職 員 を奮 い立 たせて生 涯 学 習 の方 向 など示 せる 齢 期 の活 動 である。松 本 さんの意 気 軒 昂 は挑 戦 はずはない。逆 に、多 くの行 政 職 員 は法 律 で決 ま 者 の誉 れである。生 涯 現 役 などあり得 ないと思 って っ て いる の で 仕 方 なく 、 社 会 教 育 委 員 の「 お 守 」 を いる筆 者 であるが、熟 年 の「生 きる力 」を鍛 えて自 しているぐらいにしか思 っていないのである。 分 も見 習 いたい、と申 し上 げた。松 本 さんが発 する 松 本 さんは違 った。この30年 、阿 蘇 キャンプ協 気 のエネルギーに感 化 されたのである。一 隅 を照 ら 会 長 を お 務 め の か た わ ら 、 阿 蘇 町 の 町 営 キャ ン プ す、とはこのような事 なのであろう。日 本 の叙 勲 制 場 「坊 中 野 営 場 」の責 任 者 として無 償 のボランティ 度 にはこうした行 為 が対 象 になるか、否 かは知 らな アを続 けている。「ボランティアただ論 」に断 固 反 対 いが、 高 齢 社 会 の 新 し い 叙 勲 基 準 を作 ってもい い している筆 者 は「いくらなんでも30年 間 ただはない だろう。 でしょう!」と申 し上 げたら、「金 をもらったら当 方 の ところで、筆 者 が提 案 した生 涯 学 習 の総 合 プロジ 主 張 ができなくなる」、「これも作 戦 の内 だ」とおっし ェクト;「高 齢 者 のボランティア指 導 を活 用 した子 育 ゃる。キャンプ場 を閉 める冬 の間 もほとんど欠 かさ て支 援 」事 業 の主 旨 と方 法 は御 理 解 いただけたの ず 野 営 場 に 出 か けて 異 常 の 有 無 を 見 回 る と い う 。 であろうか?せっかく昼 食 を御 一 緒 し たのに、会 長 自 分 のためであれば趣 味 もスポーツも継 続 できる。 のチャレンジ・スピリットに聞 き 惚 れて、 肝 心 の 研 修 人 間 の 欲 求 に 鑑 み て で き ない 事 で は ない 。 又 、 給 会 提 案 の反 応 をお尋 ねすることを忘 れた。 料 や手 当 をもらってやるのであれば、生 活 の基 本 「九 州 横 断 特 急 」には3人 しか客 が乗 っていない 。 だから継 続 はいわば当 然 である。 辞 めてもらいたい 降 りしきる雨 に煙 って外 輪 山 も何 も見 えない梅 雨 公 民 館 長 や社 会 教 育 委 員 が辞 めないのは、肩 書 の阿 蘇 、一 の宮 であった。 きと金 が理 由 である。しかし、責 任 を伴 う無 償 の社 『編 集 事 務 局 連 絡 先 』 (代 表 ) 三浦清一郎 住 所 〒811ー4145 福 岡 県 宗 像 市 陵 厳 寺 2丁 目 15ー16 TEL/FAX 0940ー33ー5416 E-mail [email protected] 『風 の便 りの購 読 について』 購 読 料 は無 料 です。ただし、郵 送 料 の御 負 担 をお願 いしております。『編 集 事 務 局 連 絡 先 』まで90円 切 手 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