犬・猫用ニューキノロン抗菌剤 組成 効能・効果 用法・用量 使用上の注意

* 2014 年 3 月改訂(住所変更)
2012 年10月作成
貯法:室温保存
使用期限:外箱に記載
犬・猫用ニューキノロン抗菌剤
動物用医薬品
要指示
<オルビフロキサシン錠>
登録商標
ビクタス S S 錠は,大日本住友製薬株式会社で創製したニューキノロン
系抗菌剤であるオルビフロキサシンを有効成分とする犬・猫専用の錠剤
である.
オルビフロキサシンはグラム陰性菌およびグラム陽性菌の広範囲な菌種
に対して殺菌的に作用し,抗生物質との間に交差耐性を示さない.
本剤の消化管からの吸収は良好で,高い血漿中濃度と良好な組織移行性
を示し,生体内でほとんど代謝されない等の特長を持っている.
■組成
ビクタス S S 錠 10
ビクタス S S 錠 20
ビクタス S S 錠 40
ビクタス S S 錠 80
は 1 錠中オルビフロキサシン 10mg を含有する.
は 1 錠中オルビフロキサシン 20mg を含有する.
は 1 錠中オルビフロキサシン 40mg を含有する.
は 1 錠中オルビフロキサシン 80mg を含有する.
■効能・効果
有効菌種 本剤感受性の下記の菌種
ブドウ球菌属,レンサ球菌属,腸球菌属,大腸菌,クレブシェ
ラ属,プロテウス属,緑膿菌,パスツレラ・ムルトシダ,クロ
ストリジウム・パーフリンゲンス,カンピロバクター・ジェジュ
ニ
適応症
犬:細菌性尿路感染症,細菌性皮膚感染症,細菌性下痢症,
細菌性外耳炎
猫:細菌性尿路感染症,細菌性皮膚感染症,細菌性下痢症
(2)妊娠中の犬・猫に対する安全性は確認されていない.
2. 副作用
(1)副作用が認められた場合には,速やかに獣医師の診察を受ける
こと.
(2)本剤投与により,ときに嘔吐がみられることがあるので,異常
が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
3. 相互作用
類似化合物で,非ステロイド性消炎鎮痛剤との併用により,まれ
に痙攣が発現するとの報告がある.
4. 適用上の注意
本剤の投与にあたっては,病気の状態を良く観察して慎重に投与
すること.
【取り扱い上の注意】
本剤を分割投与する場合は,速やかに使用すること.
【保管上の注意】
(1)小児の手の届かないところに保管すること.
(2)本剤の保管は直射日光,高温及び多湿を避けること.
(3)誤用を避け,品質を保持するため,他の容器に入れかえないこと.
■用法・用量
1 日 1 回,体重 1kg 当たりオルビフロキサシンとして下記の量を
犬および猫に経口投与する.
犬:細菌性尿路感染症,細菌性皮膚感染症,細菌性下痢症;
2.5 ∼ 5.0mg 細菌性外耳炎;5.0mg
猫:細菌性尿路感染症,細菌性皮膚感染症,細菌性下痢症;
2.5 ∼ 5.0mg
■使用上の注意
■薬効・薬理
1. 抗菌作用
(1)オルビフロキサシンの抗菌スペクトルは広く,グラム陰性菌はもと
よりグラム陽性菌,マイコプラズマ等の広範囲の菌種に対して強い
抗菌力を示す.
(2)アンピシリン,オキシテトラサイクリン,カナマイシンなどの抗生
物質耐性菌にも抗菌力を示す.
2. 耐性
(1)本剤に対する自然耐性菌発現頻度は低い.
(2)本系統の薬剤は R プラスミドの伝達を阻害し,耐性は R プラスミド
により伝達されないと考えられている.
3. 作用機序
細菌特有のDNAジャイレースを阻害することによりDNAの複製を妨
げ,殺菌的に作用する.
■体内薬物動態
【一般的注意】
(1)本剤は要指示医薬品であるので獣医師等の処方せん・指示により
使用すること.
(2)本剤は第一次選択薬が無効の症例のみに限り使用すること.
(3)本剤は効能・効果において定められた適応症の治療にのみ使用す
ること.
(4)本剤は定められた用法・用量を厳守すること.
(5)本剤の使用にあたっては,耐性菌の発現等を防ぐため,原則とし
て感受性を確認し,適応症の治療上必要な最小限の期間の投与に
止めることとし,8 日以上の連続投与は避けること.
【使用者に対する注意】
誤って薬剤を飲み込んだ場合は,直ちに医師の診察を受けること.
【犬及び猫に対する注意】
1. 制限事項
(1)常用最高用量の 5 倍相当量(25mg/kg)を 10 日間連続投与した結
果,3ヵ月齢以下の犬の一部に,歩行異常を伴わない,関節面の
微細水疱(剖検所見)が認められたため,3ヵ月齢以下の犬への投
薬は慎重に行うこと.
−1−
1. 血漿中濃度
犬および猫に 5mg/kg を 1 回強制経口投与した時の血漿中濃度は,そ
れ ぞ れ 1 . 1 時 間 後 お よ び 1 . 3 時 間 後 に ピ ー ク ( 犬 ; 3 . 6 μg / m L ,
猫;3.5μg /mL)に達し,その消失半減期はそれぞれ 8.5 および 8.6 時
間であった.この値は皮下投与した時とよく一致しており,本剤の
消化管からの吸収は良好であることが示された.
2. 組織中濃度
本剤の有効成分であるオルビフロキサシンは皮下投与により各臓器・
組織に広く分布し,その濃度は腎臓,肝臓,肺,皮膚などほとんどの
臓器・組織で血漿中濃度より高いかほぼ同等であり,良好な組織移行
性が認められた.
3. 代謝および排泄
オルビフロキサシンを皮下投与した時の主たる排泄経路は尿であり,
尿中代謝物の検討ではほとんど(犬;90%以上,猫;80%以上)が未変化
体であった.したがって,本剤は生体内で代謝を受けにくく,未変化
体の抗菌活性を持った状態で生体内に分布すると考えられている.
4. 相互作用
類似化合物でアルミニウムまたはマグネシウム含有の制酸剤との併用
により,吸収が低下し,効果が減弱するとの報告がある.
化学名:1-cyclopropyl-5, 6, 8-trifluoro-1, 4-dihydro-7-(cis -3, 5-dimethyl-1piperazinyl)-4-oxoquinoline-3-carboxylic acid
分子式:C19H20F3N3O3
分子量:395.38
融 点:約 263℃
性 状:白色∼微黄色の結晶性の粉末で,においはなく,味は苦い.酢
酸にやや溶けやすく,水,メタノールまたはクロロホルムに極
めて溶けにくく,エタノールまたはエーテルにはほとんど溶け
ない.希酢酸または希水酸化ナトリウム試液に溶ける.
■毒性
1. 急性毒性 LD50(mg/kg)
投与経路
動物種・性
静脈内
筋肉内
経 口
250
>500
>2,000
283
>500
>2,000
233
>200
>2,000
270
>200
>2,000
マウス(CD-1系)
■包装
ビクタス S S錠 10
ビクタス S S錠 20
ビクタス S S錠 40
ビクタス S S錠 80
ラット(CD系)
2. 亜急性毒性
ラットに 4 週間連続強制経口投与した試験での無毒性量は 50mg/kg/
日であった.最小中毒量の250mg/kg/日ではリンパ球比率の上昇,分
節核球比率の低下および盲腸重量の増加が認められた.
3. 慢性毒性
ラットに13週間経口投与した試験での無毒性量は50mg/kg/日であっ
た.毒性量の 150mg/kg/ 日ではγ- グロブリン比率の低下および盲腸
重量の増加が認められた.
4. 催奇形性
ラットおよびウサギに経口投与した器官形成期投与試験で,それぞれ
母動物に対する毒性量の500および100mg/kg/日においても催奇形性
は認められなかった.
100 錠(10 錠× 10)
100 錠(10 錠× 10)
100 錠(10 錠× 10)
60 錠(10 錠× 6)
製品に関するお問い合わせ先
お客様相談窓口 ※携帯電話・PHSからもご利用いただけます。
0120 -511022 (平日:9:00∼17:00)
■安全性
1. 犬における安全性
3カ月齢のビーグル犬に対して体重1kg当たり5mg(常用最高量),10mg
(2 倍量)および 25mg(5 倍量)を 1 日 1 回 10 日間連続経口投与する安全性
試験を行った.その結果,一部のニューキノロン系薬剤で報告されて
いる上部消化器障害および中枢神経障害はいずれも認められなかった.
しかし,10mg および 25mg 投与群の各 1 頭で試験期間中(13 日間)に 1
日あるいは 2 日,一過性の嘔吐がみられた.一般状態,体重,増体重
の推移,血液学的所見および生化学的検査所見に特に異常は認められ
なかった.また,ニューキノロン系薬剤投与により幼若犬で歩行障害
および関節障害が報告されているが,本試験において歩行状態には全
く異常を認めなかった.しかし,供試犬全例を投薬終了後 3 日目に病
理解剖し検査した結果,25mg投与群2頭の一部の関節で,関節液増量
を伴わない微細な水疱形成が認められた.即ち,常用量の 10日間連続
投与では,安全性に特に問題は認められなかった.
2. 猫における安全性
5∼9カ月齢の実験用雑種猫に対して体重1kg当たり5mg(常用最高量),
10mg(2 倍量)および 25mg(5 倍量)を 1 日 1 回 10 日間連続経口投与する
安全性試験を行った.その結果,10mgおよび 25mg 投与の雄で血色素
量およびヘマトクリット値の減少,雌で総ビリルビンの増加がみられ
た.しかし,これらの変化はいずれも正常範囲内の変動であり,問題
はないものと考えられた.その他の一般状態,血液学的検査所見,血
液生化学検査所見および剖検所見等に特に問題となる所見は認められ
なかった.即ち,常用投与量の 10 日間連続投与では,安全性に特に問
題は認められなかった.
■性状
1. 製剤
ビクタス S S錠 10
ビクタス S S錠 20
ビクタス S S錠 40
ビクタス S S錠 80
2. 有効成分
F
H3C
HN
は白色∼帯黄白色の割線付き素錠である.
は白色∼帯黄白色の割線付き素錠である.
は白色∼帯黄白色の割線付き素錠である.
は白色∼帯黄白色の割線付き素錠である.
O
F
COOH
N
N
F
H3C
*
一般名:オルビフロキサシン Orbifloxacin
−2−