化粧品消費税に関 する新政策、 新たな消費税改革 の幕開け

化粧品消費税に関
する新政策、
新たな消費税改革
の幕開け
2016年9月30日、財政部及び国家税務総局は『化粧品消費税政策の調整に
関する通知』(財税[2016] 103号、以下「103号文」)を公布し、化粧品に対する消
費税に関する基本規定を大幅に改正・調整した。103号文は2016年10月1日か
ら施行される。
基本要素
主な 変更点
税目
従来の「化粧品」という税目の名称を「高級化
主な内容
備考
税目範囲の縮小
粧品」に変更
課税範囲
「美容類、芳香類化粧品」を「高級美容品、メイ
クアップ化粧品、高級スキンケア化粧品及び
化粧品セット」に変更
一般美容品、メイクアップ化
粧品を課税対象から除外
税率
「㻟㻜㻑」の比例税率を「㻝㻡㻑」の比例税率に調整
税率の半減
課税基準
「特定化粧品を除くすべての化粧品に課税」を
「生産㻔輸入㻕時点における販売価格㻔増値税を
除く㻕が「㻝㻜元㻛㼙㼘㻔㼓㻕または㻝㻡元㻛枚㻔ピース㻕以
上の美容品、メイクアップ化粧品とスキンケア
化粧品に課税」に変更
高級化粧品の判定基準の明
確化
EYの所見
業に対し実際の手続きプロセス、または作成・提出した資
1. 化粧品業界の新たな機会と挑戦
料にも新たな要求が課されているため、 関連企業は早急
103号文の公布により、化粧品に対する消費税におけ
に内容を理解し、対応する必要がある。
る徴税プロセス以外の税収要素のほぼすべてが変更され
2. 新たな消費税改革の幕開け
た。化粧品に対する消費税改革の新規定に対応するため、
化粧品業界の企業は、下記の方面から慎重に対応を整
中国において、営業税の課税対象となっている特定業
え、そして化粧品に対する消費税からもたらされる新たな
種に対する税目を増値税へ変更する改革(以下、「営改
機会と挑戦に備えるべきである。
増」)が開始されてから、消費税の改革も税制改革項目の
►
新規定における化粧品に対する消費税の課税範囲お
一つとして提案されていた。それにより、現行の消費税の
よび課税ベースの調整に合わせて、課税製品をチェッ
課税製品の調整に関する一連の通達が公布されている。
クする。従来の化粧品の課税範囲に比べると、103号
通達
主な変更点
備考
『消費税政策調整に
関する通知』
(財税[2014]93号)
「酒及びアルコール」
という税目を「酒」に
変更した
アルコールを
消費税の課税
対象から除外
『電池、塗料に対する
消費税徴収に関する
通達』
(財税[2015]16号)
2015年2月1日より塗
料、電池に対して消
費税の徴収が開始
され、生産・委託加
工及び輸入が対象
となり、適用税率は
4%とした
塗料、電池を
課税対象項目
に含めた
『タバコに対する消費
税調整に関する通
達』
(財税[2015]60号)
タバコの卸売に対し、
税率を5%から11%ま
で引き上げ、また従
量税として0.005人民
元/本とした
タバコの卸売
に対する税率
を引き上げ、
従量課税方式
の追加により
複合税とした
文においては「生産(輸入)時点における販売価格(増
値税を除く)が「10元/ml(g)または15元/枚(ピース)以
上の美容品、メイクアップ化粧品およびスキンケア化
粧品」と調整され、大幅に課税範囲が縮小した。納税
企業にとっては、一刻も早く課税対象となる化粧品の
範囲を新規定と照合、整理し、103号文に基づき、課
税範囲に属する製品を明確にする必要がある。
►
新たな課税ベースに合わせて企業の課税対象となる
製品を比較し、コンプライア ンスを遵守することを前提
として、納税額の減少からもたらされる便益を十分に
享受する。103号文における最大の変化は、税率の引
き下げと課税範囲の縮小であり、新しい課税範囲は化
粧品の販売価格(あるいは、輸入関税価格) を基準と
►
した。化粧品企業にとっては、化粧品の販売価格(ある
た103号文、そして、営改増の全面的な普及に伴い、中国
いは、輸入関税価格)がその基準に近い場合、規格・
は「ポスト営改増」の時代に突入した。間接税の特殊な影
利益率などの経営指標を調整することにより、生産(輸
響に対する要求、地方財政への影響に対する要求、 消費
入)した化粧品を新規定の課税製品範囲に含めるかど
税の現代化に対する要求といった3重の圧力が、中国の
うかを合理的に計画することができる。
消費税改革を迅速かつ、全面的に推進させた。 すでに公
新しい消費税の確定申告について注意を払い、コンプ
布された通達によると、今回の消費税改革は以下の特徴
ライアンスを遵守する。新規定の公布に伴い、今後、
を有する。
化粧品に対する消費税の確定申告に関する新たな規
►
上述した消費税改革に関する通達および今回公布され
►
消費税徴収プロセスに対する改革
定や基準が出ることが予想される。化粧品企業はタイ
タバコの卸売時点での税率の大幅な上昇と酒類製品
ムリーにこれらの規定等に注目し、かつ、 適当な対応
の消費税課税範囲の縮小などの改革は、卸売時点を
と調整を行う必要がある。政策上の便益を享受すると
重視すること、および課税範囲を最終消費物品と定義
共にコンプライアンスに即した納税を行い、 徴税プロセ
する、という2つの点から、中国の消費物品に対する消
スにおける不規範な対応が及ぼす税務リスクを回避す
費税の徴収プロセスが消費時点に意向する傾向があ
る必要がある。
ることを示唆している。これに基づき、 消費税課税製品
化粧品に対する消費税管理規定の調整は、現行の商
の生産・加工・輸入企業だけではなく、卸売・小売消費
品サービスコード、税関部門による輸入消費税の委託
税課税製品の企業も今回の消費税改革に注目すべき
徴収に関わるコードの調整にも影響を及ぼす。関連企
である。
►
高汚染・ エネルギー高消耗製品に対する消費税課税
範囲の拡大
EY によるアドバイス
消費税の改革は、増値税改革以降、中国税制改革の
財税[2015]16号文により、塗料、電池という2種類の
高汚染製品が消費税課税範囲に含められた。 これは、
中国における消費税の課税範囲が引き続き拡大され、
拡大される範囲の基準と焦点が主に高汚染・エネル
ギー高消耗の業界と製品に集中する兆候と考え られ
るため、関連業界は引き続き注目すべきである。
新しい重点項目となり、課税範囲、徴収プロセス、課税
基準における多数の変更は、より多くの企業が消費税と
いう税目を重視し、注目する必要があることを示唆して
いる。特に現行の課税消費品を扱う卸売業者、小売業
者、ネット販売のプラットフォームを有する企業などは、
改革発展の流れの中で十分な準備と対応能力を持つた
めに、一刻も早く関心を持ち、対応策をとるべきである。
►
課税サービスが消費税改革範囲に含まれるか
EYは引き続き今回の消費税改革の新たな発展、新政策、
国際的視点に立つと、特定範囲の課税サービスに対
新たな変化および傾向に注意を払いし、タイムリーに動
しても消費税を徴収するのが一般的である。中国にお
向を皆様にお届けします。
ける営改増の実施後、間接税がサービス業界に対す
る税収調整機能を鈍化させたように、消費税について
も「寓禁于徴(高税率の課税を行うことにより経済取引
を制限すること)」により、サービス業に対しても同様の
税収調整機能を果たすことが考えられる。したがって、
サービス業界が消費税の徴税範囲に含められるかど
うかは、消費税改革においても注目すべき点である。
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