国別援助方針 別紙 対スーダン共和国 事業展開計画 2016年4月現在 基本方針 (大目標) 重点分野1 (中目標) 平和の定着を推進するとともに基礎生活の向上及び貧困削減を図る 平和の定着支援 【現状と課題】 ダルフールを含む国内紛争、南スーダンにおける混乱等により、スーダンでは、国連機関によれば約350万人とも言わ れる大量の紛争被災民(国内避難民、難民等)が発生している。これら被災民の再定住・社会再統合のためには、帰還・再 定住先コミュニティにおける基礎インフラ(給水、道路等)や基礎社会サービス(保健医療、教育)、さらに食料生産及び 生計手段の確保を含む総合的な基礎生活環境整備が必要である。そのため、これらを担う中央政府・州政府の行政能力向上 が早急に必要な課題となっている。 なお、紛争地域の地雷・不発弾等は復興開発支援を進める上で足かせとなっており、適切な地雷処理が必要となってい る。また各紛争当事者の武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)は、地域社会の安定確保のため重要な課題である。他方、 現在もダルフールや南部(青ナイル州や南コルドファン州)で散発的に戦闘が継続中であり、新規の地雷敷設や兵士動員も 実施されていることから、これら課題への対処は今後の紛争状況を見極めつつ取り組んでいく必要がある。 【開発課題への対応方針】 スーダンの紛争被災地はいずれも地方部に位置し、中央・地方間及び民族間の開発格差に伴う 地域住民の不満が紛争の背景にあると言われる。紛争再発予防・平和の定着のため、中央政府・ 州政府が住民に対し行政サービスを適切に提供し開発を進めると同時に、それを通じて政府・住 民間の信頼醸成を図っていく。支援にあたっては、分野横断的なコミュニティ開発支援、スキー ムの壁を越えた国際機関との柔軟な連携等による一層の強化を目指す。 ダルフール及び南部(青ナイル州や南コルドファン州)については、治安状況に鑑み、国際機 関と連携した緊急人道支援のほか、同地域を取り巻く政治・治安状況に留意しつつ、基礎インフ ラ及び基礎社会サービスを中心とした州政府の能力開発など、人道援助と早期復興支援の橋渡し を行いうる案件も実施・検討していく。 実施期間 協力プログラム名 協力プログラム概要 本プログラムでは中央政府(紛争被 災地開発に関連する部局)・州政府 の能力強化を図り、さらに基礎的イ ンフラ整備と基礎社会サービス等の 実際の活動を通じ、紛争被災地にお ける行政サービスを総合的に強化・ 普及していくことを目指す。 開発課題1-1 (小目標) 紛争被災地におけ る行政サービスの 強化・普及 紛争被災地に おける 行政サービス 強化・普及 プログラム 案件名 スキーム ダルフール3州における公共サービスの向上を通じた平和構築 プロジェクト 技プロ スーダン国内における難民・避難民保護・人道支援 マルチ 2015 年度 以前 2016 年度 2017 年度 2018 年度 支援額 2019 年度 2020 年度 備考 (億円) 13.27 国連難民高等弁務官 8.6百万USD 事務所(UNHCR),国 際移住機関(IOM) 国連開発計画 (UNDP) 東部での若者の雇用を通じた生計安定化支援 マルチ 2.0百万USD 南部諸州における若者の過激化を防止するための社会安定化支 援 マルチ 2.0百万USD UNDP 南部二州及び東部諸州における地雷除去 マルチ 紛争の影響を受けた地域及び食料不足地域における食料支援 マルチ スーダンにおける難民、国内避難民及び受入コミュニティーの 保護及び支援 マルチ 4.5百万USD UNHCR スーダンにおける人道航空サービス(UNHAS)支援 マルチ 1.7百万USD WFP 紛争被災地における行政サービス強化・普及分野の青年海外協 力隊 JOCV 紛争被災地における行政サービス強化・普及分野の課題別研修 課題別研修他 南コルドファン州の国内避難民居住区における女性と子どもの 生活環境改善 日本NGO 国連PKO局地雷 2.1百万USD 対策サービス部 (UNMAS) 世界食糧計画 1.0百万USD (WFP) 0.27 重点分野2 (中目標) 基礎生活分野支援 【現状と課題】 内戦により、スーダンの地方部では基礎インフラがほとんど整備されていないか破壊されたため、これまで十分な基礎社 会サービスが提供されず、国民の基礎生活環境が劣悪である。保健医療分野では、全国レベルで乳児死亡率1000対57、5歳 以下幼児死亡率1000対78、妊産婦死亡率10万対216となっている。そのため、保健省は特にプライマリーヘルスサービスの 充実を優先課題としている。この背景として、施設及び医療従事者(医師:1万人対2.8人、看護師・助産婦:1万人対8.4 名)が圧倒的に不足しており、保健医療サービスへのアクセスが限られていることが挙げられる。 【開発課題への対応方針】 地方部を中心に、助産師の育成、医療施設・機材マネージメントの強化、保健行政の強化を通 じ母子保健分野を中心に、プライマリーヘルスケアの向上、5歳未満児や妊産婦の死亡率低下を目 指す。特に、スキーム間の連携を工夫し、相乗効果が高いプロジェクトを実施する。 実施期間 協力プログラム名 案件名 協力プログラム概要 助産師を含む保健人材の育成、保健 行政の強化等により、母子保健を中 ハルツーム州郊外保健サービス改善計画 心とした基礎保健医療サービス提供 範囲の拡大と質の向上を目指す。ま プライマリーヘルスケア拡大支援プロジェクト た、リファー先である病院について も、5S-Kaizenを活用した病院運営管 紛争の影響受けた4州における児童の生存・保護・社会調和推 理の強化を図る。 進 開発課題2-1 (小目標) 保健医療サービス の改善 保健医療支援 プログラム スキーム 2017 年度 2018 年度 支援額 2019 年度 2020 年度 技プロ 6.16 マルチ 4.9百万USD 保健医療分野の草の根技術協力 草の根技協 Dr.カー(移動型診療所)展開に関する運行支援普及・実証事 業 中小企業支援 超音波画像診断装置を活用した母子保健の向上に関する普及・ 実証事業 中小企業支援 JOCV 【開発課題への対応方針】 科学的根拠に基づいた流域単位の水収支に評価・調査を進める。飲料水衛生局(DWSU)を中心 に州水公社の運営維持管理能力強化を通じて、給水事業サービスの向上に貢献し、また、無償資 金協力を通じた給水施設の整備を目指す。他の技術協力プロジェクト、草の根・人間の安全保障 無償資金協力、国際機関の活動とも連携し、相乗効果の高いプロジェクトを実施する。 廃棄物については、無償資金協力で調達される機材を有効活用し、人材育成と併せて廃棄物管理 に関する行政サービスを向上させ、衛生環境の改善を目指す。 実施期間 増大する水需要と水資源量のギャッ プを踏まえ、持続的な水利用のため に、科学的根拠に基づいた流域単位 の水収支の評価・調査を進める。都 市部及び農村部における水施設の整 備及び維持管理能力強化し、州水公 社の経営能力管理強化を行う。 廃棄物収集・運搬能力や処分場の運 営管理の改善等を通じて、ハルツー ム州の廃棄物管理の効果的・効率的 なシステムを構築する。 開発課題2-2 (小目標) 水・衛生施設整備 及び維持管理能力 の強化 水・衛生支援 プログラム 案件名 協力プログラム概要 国際連合児童基 金(UNICEF) 課題別研修他 【現状と課題】 水資源は砂漠気候により絶対量が限られているほか、水資源量は地域的に偏在し、ナイル川流域からの水の恩恵を受けら れない地域では、水の需要量と資源量の差は大きい。水需要量の90%以上が農業と家畜用水に使用され、このため生活用水 の充当分は3%と限られている。安全な飲用水の普及率は約60%であり、井戸の掘削や水供給施設の維持管理に係る技術者も 絶対的に不足している状況にある。SDGsにおいて「2030年までに国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合 水資源管理を実施する。」と明記され、これを受けてスーダン政府はCOP21で気候変動問題へのコミットメントとして水資 源管理の実施を表明している。さらに、都市及び農村部での水供給量の拡大と、給水施設の維持管理体制構築のための人材 育成を重視する政策(国家25年給水戦略「2007年~2031年」)を掲げ、2031年までに給水率100%を目指している。また首都 ハルツーム州では、機材の老朽化、非効率な事業体制のため、廃棄物の収集率が65%程度に留まっている。結果、廃棄物が 市中に滞留し、低所得者居住区を中心に衛生環境が悪化している。 協力プログラム名 備考 (億円) 23.20 個別専門家 保健医療分野の課題別研修 2016 年度 無償 基礎的医療サービス(PHC)政策アドバイザー 保健医療分野の青年海外協力隊派遣 2015 年度 以前 コスティ市浄水場施設改善計画 スキーム 2015 年度 以前 2016 年度 2017 年度 2018 年度 支援額 2019 年度 2020 年度 備考 (億円) 無償 33.63 統合水資源管理能力強化プロジェクト 開発計画 4.61 ハルツーム州廃棄物管理能力向上計画 無償 15.34 ハルツーム州廃棄物管理強化プロジェクト 技プロ 2.08 州水公社運営・維持管理能力強化プロジェクト 技プロ 5.0 ダルフールの脆弱なコミュニティに対する緊急給水支援 マルチ 国連プロジェクト 1.8百万USD サービス機関 (UNOPS) 貧困住民のための北ダルフール州ファーシルにおける水質改善 プロジェクト マルチ 1.0百万USD UNOPS 水・衛生分野の課題別研修 カッサラ州における水衛生環境改善事業 課題別研修他 日本NGO 0.47 【現状と課題】 全国失業率18.5%、若年雇用層(15~24歳)の失業率は33.8%、さらに都市部における若年層女子の失業率は70%を越 え、深刻な雇用問題を抱えているが、現在の職業訓練は学校をドロップアウトした学生や、短期で特定技術を習得し、短期 間で収入向上に結び付けたい労働者のニーズに応えてはいない。失業率の改善のためには、労働市場が求める技術に適応し た職業訓練計画の策定と実施が急務となっている。また、増加する若年層(女子を含む)や社会的弱者への効果的な職業訓 練コースの開発と提供も必要である。 【開発課題への対応方針】 若年雇用層の職業能力を高めることで雇用を確保し、経済成長の担い手を育て、高い失業率か ら起こりうる社会不安の脅威を削減する。職業訓練分野の中長期的マスタープランに沿った職業 訓練システム整備、職業訓練関係機関の計画策定・実施能力の強化を行う。さらに貧困家庭の若 者、社会的弱者、難民・避難民などの就業を促進し収入向上を目指す。 実施期間 協力プログラム名 開発課題2-3 (小目標) 職業訓練支援 職業訓練 支援プログラム 教育 訓練サービスの改善に取り組み、産 業人材の育成を図る。具体的には、 職業訓練政策を司る労働省職業・徒 弟訓練評議会(SCVTA)の能力強化に 取り組むと共に、パイロットサイト にて職業訓練センターのソフト・ ハード強化を併せて構築・実施す る。 スキーム 州立職業訓練センターにおける職業訓練システム強化プロジェ クト 技プロ 職業訓練分野の青年海外協力隊派遣 JOCV 2015 年度 以前 2016 年度 2017 年度 2018 年度 支援額 2019 年度 2020 年度 備考 (億円) 4.38 課題別研修他 職業訓練分野の課題別研修 女性への職業訓練施設の建設・整 備。 職業訓練分野の草の根・人間の安全保障無償資金協力 草の根無償 0.09 初等教育施設(小学校)の建設・整 備。 教育分野の草の根・人間の安全保障無償資金協力 草の根無償 0.17 アフリカ諸国にて産業開発を担う優 秀な若手人材を外国人留学生として 日本へ受入れ、本邦大学における修 インターンシップ・ 士課程教育と、企業への見学および インターンシップ実習を実施。アフ プログラム リカにおける産業開発に資する日本 とアフリカの間での人脈の形成等を 期待。 重点分野3 (中目標) 案件名 協力プログラム概要 アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイ ニシアティブ)「修士課程およびインターンシップ」プログラ ム 国別研修 農業開発 【現状と課題】 農業は、労働人口の80%が従事し、GDPの約30%を占める基幹産業であるが、農業生産性は長期にわたり停滞している。 人口増加率が高く(年率2.53%)、食料不足も大きな問題になっている。食料安全保障の実現は、スーダン政府にとって重 要な政策課題となっている。また石油に替わる産業として期待も高く、農業部門の開発が大きな課題となっている。 【開発課題への対応方針】 同国の貧困削減及び食料安全保障実現を支援する観点から、農業省の政策策定・実施能力の向 上、コメ等の農業生産性の向上、灌漑施設の改修及び施設の有効活用・維持管理能力の向上を実 施する。 実施期間 協力プログラム名 開発課題3 (小目標) 農業(食料生産基 盤整備) 農業プログラム 案件名 協力プログラム概要 農業省の政策策定・実施能力強化に 取り組み、また現場ではコメ等の生 産性向上を目指す。さらに灌漑施設 の改修を通じ、農業用水の安定供給 及び施設維持管理の負担軽減を図 り、食料増産及び生産性向上に貢献 する。 スキーム 2015 年度 以前 2016 年度 2017 年度 2018 年度 支援額 2019 年度 2020 年度 備考 (億円) リバーナイル州灌漑スキーム管理能力強化プロジェクト 技プロ 4.09 稲作振興能力開発プロジェクト 技プロ 5.50 大豆加工を通じた栄養状況の改善支援 マルチ 0.63百万USD 小規模組合方式によるタマネギ乾燥加工技術導入を通じた小農 生産者組合の収入向上案件化調査 中小企業支援 農業分野の課題別研修 課題別研修他 国際連合工業開 発機関(UNIDO) 【凡例】 「協準」(=全ての協力準備調査)、「詳細設計」(=詳細設計)、「技プロ」(=技術協力プロジェクト)、「開発計画」(=開発計画調査型技術協力)、「個別専門家」、「個別機材」、「国別研修」、「課題別研修他」(=課題別研修及び青年研修)、「JOCV」(=青年海外協力 隊)、「SV」(=シニア海外ボランティア)、「第三国専門家」、「第三国研修」、「現地国内研修」、「科学技術」(=科学技術協力(技プロ型及び個別専門家型))、「草の根技協」(=草の根技術協力)、「○○省技協」(=外務省・JICA以外の省庁及び独立行政法人等が実施している技術協 力)、「民間提案型技協」(=開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業)、「無償」(=以下に特記するサブ・スキームを除く全ての無償資金協力)、「水産無償」(=水産無償資金協力)、「食糧援助」(=食糧援助)、「一般文化」(=一般文化無償資金協力)、「草の根文化」 (=草の根文化無償資金協力)、「緊急無償」(=緊急無償資金協力)、「日本NGO」(=日本NGO連携無償資金協力)、「草の根無償」(=草の根・人間の安全保障無償資金協力)、「有償」(=円借款、海外投融資)、「マルチ」(=国際機関等を通じた多国間協力スキーム)、「中小企業支援」 (=中小企業海外展開支援事業「基礎調査」、「案件化調査」及び「普及・実証事業」、並びに中小企業連携促進基礎調査)、実線「―――」(=実施期間)、破線「- - - -」(=実施予定期間) ※この凡例にない略語を使用する場合は凡例に当概略語を記載したうえで使用する。
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