対モンテネグロ 国別援助方針(案) 2015 年 4 月 1. 援助の意義 モンテネグロ経済は,2006 年にセルビア・モンテネグロから独立以降,低インフ レ率,観光収入の伸び,外国からの直接投資の増大等に支えられ,順調に推移してき た。2008 年後半以降の世界金融危機及びそれに続く欧州債務危機の影響を受け,一 時マイナス成長に陥ったが,2010 年以降,おおむね回復基調にある。 同国は,EU加盟を目標とし,持続可能な経済成長を通した安定したマクロ経済環 境の維持及び海外直接投資の呼び込みに取り組んでいる。中でも主要産業である観光 業の促進に向けた規制緩和やインフラ整備などのビジネス環境改善,サービスの質の 向上などによる民間セクターの競争性の強化に注力している。 一方で,同国では,経済開発の進展に伴い,自然環境の悪化が指摘されており,2007 年に同国が策定した「 持続可能な開発のための国家戦略(National Strategy of Sustainable Development of Montenegro)」では,生物多様性保全,大気汚染,水管 理や廃棄物管理などを取り組むべき課題として掲げている。 我が国が同国に対して,このような EU 加盟を目指した持続可能な経済成長に向け た努力を支援していくことは,我が国との友好関係の一層の強化に資することに加え, 同国のみならず,西バルカン地域全体の安定にとっても重要である。 2. 援助の基本方針(大目標):持続可能な経済成長に向けた支援 民間セクターの開発や環境保全といった,我が国の優れた技術や知見を活用できる 分野を中心にモンテネグロの持続可能な経済成長に向けた取組を支援する。 3. 重点分野(中目標) (1) 民間セクター開発 モンテネグロの持続可能な経済成長のために重要な,中小企業振興,観光振興等の 分野において,技術協力を通じた支援を行っていく。 (2) 環境保全 同国は大気汚染,水管理や廃棄物管理などを含む環境保全分野で課題を抱えている。 EU 加盟に向けて,環境分野で EU が定める様々な基準を達成するために更なる取組 が必要とされていることから,我が国の有する技術と知見を活かした支援を行ってい く。 (3) 保健医療・教育 同国による都市部と地方との間の経済社会サービスの格差是正に向けた取組を支 援する。具体的には,保健医療・教育分野を中心に女性・女児を含む社会的弱者が直 接裨益するような支援を行っていく。 4. 留意事項 モンテネグロ経済は EU 経済への依存度が高いため,EU 経済の動向が同国に及 ぼす影響に留意する必要がある。 (了) 別紙: 事業展開計画 国別援助方針 別紙 対モンテネグロ 事業展開計画 2015年 4月 現在 基本方針 (大目標) 重点分野1 (中目標) 持続可能な経済成長に向けた支援 民間セクター開発 【現状と課題】 モンテネグロは、EU加盟を目標とし、持続可能な経済成長を通した安定したマクロ経済環境の維持及び海外直接 融資の呼び込みに取り組んでいるが、今後の経済成長のためには中小企業振興及び観光振興等の促進が重要な課題 である。 【開発課題への対応方針】 本分野では、これまでも中小企業振興、投資環境の整備に向けて、専門家派遣や研修員受 入を中心に協力を進めてきており、今後も研修事業を中心に中小企業振興や観光振興等の 分野における我が国の知見をいかした支援を行っていく。 実施期間 支援額 協力プログラム名 協力プログラム概要 案件名 スキーム 開発課題 (小目標) 民間セクター開発 西バルカン地域(セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ)にお ける中小企業メンターサービス構築・普及促進プロジェクト 市場経済主義にのっとり、投資・輸出 民間セクター開発プ 促進等の課題に取り組み、民間セク 観光振興 ログラム ターの開発を通じたモンテネグロの経 済成長に寄与する。 2014 年度 2015 年度 2016 年度 2017 年度 2018 年度 (億円) 3カ国広域協力(セ ルビア、ボスニア・ ヘルツェゴビナ) 技プロ 国別研修 民間セクター開発プログラム関連課題別研修等 重点分野2 (中目標) 備考 2013 年度 以前 課題別研修他 環境保全 【現状と課題】 モンテネグロは大気汚染、水管理や廃棄物処理管理などを含む環境保全分野で課題を抱えており、EUが定める環 境基準を達成するために更なる取組が必要である。 【開発課題への対応方針】 環境保全は日本に比較優位のある分野であり、研修事業を中心に我が国の知見をいかして 支援を行っていく。 実施期間 開発課題 (小目標) 支援額 協力プログラム名 協力プログラム概要 案件名 スキーム 備考 2013 年度 以前 環境 環境保全プログラム 環境保全プログラム関連課題別研修等 課題別研修他 草の根・人間の安全保障無償(環境) 草の根無償 2014 年度 2015 年度 2016 年度 2017 年度 2018 年度 (億円) 環境問題の解決に向けて、各種支援を 実施する。 0.09 重点分野3(中 目標) 保健医療・教育 【現状と課題】 【開発課題への対応方針】 モンテネグロでは、都市部と地方との間に経済社会サービスの格差が生じ課題となっており、同国はそれら格差の 保健医療、教育分野を中心に社会的弱者が直接裨益するような支援を、草の根・人間の安 是正に向けた更なる取組が必要である。 全保障無償等を活用し、引き続き行っていく。 実施期間 開発課題 (小目標) 支援額 協力プログラム名 協力プログラム概要 案件名 スキーム 保健医療・教育 保健医療・教育 プログラム 重点分野4 (中目標) 人間の安全保障の観点から医療施設に 対する医療機材の供与や初等教育施設 の修復等保健医療、教育分野を含めた 草の根・人間の安全保障無償(保健医療・教育) 格差是正支援や女性・女児を含む社会 的弱者に直接裨益する支援を実施す る。 2014 年度 2015 年度 2016 年度 2017 年度 2018 年度 草の根無償 (億円) 0.25 その他 【現状と課題】 開発課題 (小目標) 備考 2013 年度 以前 【開発課題への対応方針】 実施期間 支援額 協力プログラム名 協力プログラム概要 プロジェクト名 スキーム 備考 2013 年度 以前 その他 情報通信分野課題別研修 2014 年度 2015 年度 2016 年度 2017 年度 2018 年度 (億円) 課題別研修他 【凡例】 「協準」(=全ての協力準備調査)、「詳細設計」(=詳細設計)、「技プロ」(=技術協力プロジェクト)、「開発計画」(=開発計画調査型技術協力)、「個別専門家」、「個別機材」、「国別研修」、「課題別研修他」(=課題別研修及び青年研修)、「JOCV」(=青年海外協 力隊)、「SV」(=シニア海外ボランティア)、「第三国専門家」、「第三国研修」、「現地国内研修」、「科学技術」(=科学技術協力(技プロ型及び個別専門家型))、「草の根技協」(=草の根技術協力)、「○○省技協」(=外務省・JICA以外の省庁及び独立行政法人等が実施してい る技術協力)、「民間提案型技協」(=開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業)、「無償」(=以下に特記するサブスキームを除く全ての無償資金協力)、「ノンプロ」(=ノン・プロジェクト無償及び中小企業ノン・プロジェクト無償資金協力)、「草の根無償」(=草の 根・人間の安全保障無償)、「日本NGO」(=日本NGO連携無償)、「一般文化」(=一般文化無償)、「草の根文化」(=草の根文化無償)、「有償」(=円借款)、「マルチ」(=国際機関等を通じた多国間協力スキーム)、「中小企業支援」(=中小企業製品・技術とODAのマッチング 事業「ニーズ調査」、「案件化調査」および「普及・実証事業」、かつ中小企業連携促進基礎調査)、実線「―――」(=実施期間)、破線「- - - -」(=実施予定期間) ※この凡例にない略語を使用する場合は凡例に当概略語を記載したうえで使用する。
© Copyright 2024 Paperzz