Vol.7 - 筑波大学医学医療系

2011/12/10 発行 Vol. 7
筑波大学大学院 人間総合科学研究科
����科�������
筑波大学����科 �� ����
前回のニュースレターでも触れましたが、3 月 11
有難いことに、我が筑波大学循環器内科教室員或
日に発生した東日本大震災では東北地方の太平洋沖
いは同門会の先生方とご家族の方には命を落とされ
の広い範囲を震源とするマグニチュード 9.0 という
た方や被災され避難を強いられている方はおられな
未曽有の巨大地震と大津波が発生しました。
いと伺い、安堵しています。我々も被災県である茨
発生から 8 ヶ月が経過した 11 月 11 日現在、死者
城県に生活するものとして大震災とその後に続いて
15,836 人のみならず、行方不明者も依然として
発生した福島原発における人災を重く受けとめると
3,652 人を数え、合計 19,488 人の方が命を落とされ
共に、被害のより大きな福島、宮城、岩手県の皆様
ました(警察庁調べ)
。寒さの厳しい季節を迎えるに
に何ができるのかを考えて過ごしていきたいもので
も拘らず、11 月 17 日現在 328,903 人もの方が家を
す。
失い、学校や公民館での避難生活を送っておられる
さて、東日本大震災以外で、今年の我が国の出来
777 人を含めて、今も全国 47 都道府県各地で避難生
事の中で、特筆すべきものを一つ挙げよと言えば、
活を送っておられる、或いは仮設住宅で過ごしてお
明るい話題として日本にもいよいよ女性の時代が到
られるという現状が突きつけられています(政府復
来したという事ではないでしょうか。皆さんもご存
興対策本部調べ)
。ここに、再度東日本大震災の犠牲
じのように、サッカーワールドカップにおけるなで
となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被
しこ Japan、バレーボールワールドカップにおける
災されました皆様に心からお見舞申し上げます。愛
火の鳥 Nippon の活躍を見れば、
スポーツ界における
する家族を震災で亡くされ、突然身に降りかかった
日本女子の台頭がいかに素晴らしいものであるかは
不幸を今もまだ納得できずに引きずっておられる
明白です。なでしこ Japan は体のつくりが全く違う
方々の本当に辛い胸の内は、我々の想像も及ばない
ドイツ・アメリカ等、
欧米の選手と互角以上に戦い、
深い悲しみに包まれているものと推察いたします。
胸のすく活躍の結果ワールドカップサッカー優勝と
1
いう金字
定され、循環器病の分野でも今後ますます女性医師
塔を打ち
パワーが全開となる事が予見されます。
立てまし
2011 年(平成 23 年)がそろそろ終わりを迎え、
た。また、
西暦で 1900 年台から 2000 年台へと移って既に 11
火 の 鳥
年が経過し、年号が昭和から平成へと移って既に 23
Nippon も
年が経過し、時の移ろいの早さを実感しています。
平均身長
この間、社会は良い方向に進んでいるとは考えられ
が 10 ㎝以
ず、益々混乱の度合いを増しています。また人々の
上も高い
暮らしは一向に改善されず、更に逼迫の度合いを強
欧米のチ
めているといっても過言ではないかもしれません。
ームと互
この様な時代のしわ寄せは、まずは高齢者や病める
角以上に
人等、必ず弱者に降りかかります。更に世界の基軸
戦い、ドイ
通貨であるドルの下落とユーロ圏の不安定さが露呈
ツ・アメリ
するにつれ、世界同時株安の懸念も取りざたされ、
カという
世界情勢の劇的な変化が流動的な大きなうねりとし
強豪を打
て感じられますが、この様な不安定な時代にあって
ち破り 4 位入賞を果たしました。男子サッカーの侍
こそ、我々医療人は病める人に対して優しく慈しむ
Japan、男子バレーボールの龍神 Nippon も勿論頑張
心を持って、真心を込めて接し、しっかりとした眼
ってはいますが、侍 Japan の力はワールドカップで
差しで病を抱える人々と向き合っていきたいもので
優勝するには未だ程遠い力量である事、龍神 Nippon
す。この様な我々の弱者である患者に誠心で向き合
もベスト 10 にはまったく力が及ばない事を考える
うという医療の原点に対する考えに賛同していただ
と、これら日本女子チームの活躍が如何に素晴らし
き、2012 年度も女性医師 1 名を含む 5 名もの新しい
いものであるかが解ります。この様に日本女性の活
医師が我が循環器内科に参加いただけるようになり
躍が日本を世界のひのき舞台に押し上げているとい
ました。この 5 名の新たな教室員の詳細は、次号で
う事実が、これからの日本の未来を暗示している気
紹介させていただきますが、筑波大学内科グループ
がしてなりません。
の中でも、特筆すべき優秀な人材がこの循環器内科
医学の分野でも、欧米では以前から女性医師の進
に集う事は我々の大きな喜びでもあり、かつ大きな
出が目立っており、循環器全般でも、不整脈の分野
誇りでもあります。高い理念を抱き、皆で進んでい
でも女性医師の進出には目覚ましいものがありまし
る筑波大学循環器内科教室に、今後とも限りない応
たが、我が国においても女性医師の力は益々パワー
援を切にお願い申し上げます。
アップしています。身近なところでは、筑波大学循
最後に 2011 年も数えるばかりとなりましたが、
教
環器内科同門会においても女性医師の比率がどんど
室員と OB の皆様の来る新年が素晴らしいものとな
ん増加していることはご存じであると思います。先
る様祈念し、ご挨拶に代えさせていただきます。
エム
日、筑波大学循環器内科女性医師の会として坂根m
クリニックにおいて循環器内科女医の会のミーティ
ングが開かれ、15 名以上の多くの女性医師が参加さ
れたと聞きました。筑波大学循環器内科の方針とし
て、今後は女性医師の社会進出の手助けを大きな柱
の一つとして捉え、女性医師のキャリアアップのた
めの道筋と応援の手段を真剣に考え、日本女性の世
界への挑戦と進出に全面的に協力したいと思ってい
ます。
また、日本循環器学会でも法人化移行後の新社員
(従来の評議員)の 1 割に女性を登用することが決
2
《就任の言葉》
●筑波大学 保健管理センター所長・教授 久賀圭祐
この度、青沼和隆教授、山口 巖名誉教授、榊
原 謙臨床医学系長、大塚盛男保健管理センター
前所長のご高配により、10 月 1 日に、保健管理セ
ンター担当の教授を拝命致しました。これに先立
つ1年半前の平成 22 年 4 月には、保健管理セン
ター所長に就任しております。先代の大塚盛男所
長は 10 年間もつつがなく所長を勤続され、後任
として身の引き締まる思いです。これまで公私に
渡りご指導頂きました先生方には厚く御礼申し
上げます。
保健管理センターについては、年に 1 回あるい
は 2 回健康診断を受けに行くところという認識だ
と思いますが、学内組織でありながら業務につい
てはあまり知られていないようですので、この機
会に紹介させて頂きます。保健管理センターの業
務は多々ありますが、最も重要な業務は学生と教
職員の健康診断と健康管理です。健康管理の基本
は、健康診断を実施し、学生 17000 名、職員 5500
名の個人データを入力し不断に更新し、健康診断
データとつきあわせたデータベースを作成して、
有所見者などをピックアップして管理すること
にあります。データベースプログラミング作業、
データ入力・更新・抽出作業は思った以上に手間
と時間がかかり、またルールに当てはまらない例
外が必ずあり、神経を使う作業です。診療部門と
して、学生に対しては「保健管理センター」で簡
単な診療を行っており、職員に対しては「文部科
学省支部診療所」で保険診療を行っています。内
科では年間で学生約 3400 名、職員約 1400 名を診
療しています。精神科の受診者数は 4200 名を超
え、医師の負担また医薬品費の増加など大きな課
題となっています。「保健管理センター」の中に
「支部診療所」と 2 つの医療機関が併設されてい
る問題を保健所に指摘され改善を勧告されまし
たが、支部診療所は大規模な国立大学法人として
は筑波大学にしかないユニークなサービス部門
ですので、是非存続させていきたいと思っていま
す。このような行政に対する対応も業務の 1 つで
す。学生・職員の健康診断、入試の救護、を初め
とする諸行事の年間予定の策定および人員の配
置の調整も、全学に関係するので重要な業務です。
学内の大きな会議に諮るときには間違いがない
ように気を遣います。次年度計画策定あるいは中
長期的な重点施策・課題や予算の策定、業務報告
書などの作成なども、小さいながらも 1 つの部局
3
として対応しなければな
らないので、かなりの数
になります。また学生支
援も保健管理センターに
求められている大きな課
題です。昨今の学生を取
り巻く社会状況、不況な
どが学生生活に負の影響
を及ぼしており、メンタ
ル面での支援が大きなウ
ェイトを占めます。大学
の執行部からも対応を求められており、危急の課
題として重責を感じております。
保健管理センターには 19 年の長きに渡り勤め
ておりますが、所長業務、管理運営業務について
は、常々駆け出しであることを痛感しております。
1 周り、1 年すれば年中行事、仕事の要領も覚え
て余裕も出るかと思ったのですが、去年度よりも
今年の方が人の異動や震災の影響などで忙しく
感じております。センター業務で夕方過ぎまでセ
ンターにおり、自分の仕事や研究に学系に戻るの
は夜になってからという生活ですが、余裕が出て
くればもっと循環器内科の仕事もしたいと思っ
ております。
抱負というほどのことは述べられませんが、私
は筑波大学の 2 回生で、学生宿舎と校舎以外周り
には何もなく、毎日学内のどこかで新しい校舎を
作る杭打ち機の音が響いていた時からこの大学
におり、この大学には愛着をもっておりますので、
まず学生が健康で快適に過ごせるキャンパスに
したいと思っております。日本でも有数の快適で
安全なキャンパスを目標として、微力ながら母校
の発展に貢献する所存でおります。
健診の診断医師、入試を初めとする学内行事の
救護の担当医師を、大学院の先生方に忙しい中を
お願いしております。負担をおかけして申し訳な
く思っておりますが、大学の重要な業務でありご
協力にこの場を借りて心から御礼を申し上げま
す。
保健管理センター担当のため、異色の挨拶の言
葉となってしまいましたが、皆様方には保健管理
センターの業務について重ねてご理解を賜り、ご
協力、ご指導をお願いする次第です。今後とも宜
しくお願い申し上げます。
●筑波大学 医学医療系 教授 本間
覚
医療安全とリスクマネージメント
筑波循環器内科グルー
プの皆様、甚だ僭越なが
ら、筑波大学人間総合科
学研究科医学医療系(病
院診療研究グループ:臨
床医療管理部)教授を拝
命しましたのでご挨拶さ
せて戴きます。
「医療の質
と安全」の向上を目指し
た教育、研究および病院
管理等を専任するポストを、本学においては全国
の国立大学に先駆けて設置することになり、過日
着任させて戴きました。
私が医療の質と安全管理に携わることになっ
たのは、平成 15 年に山口 巖前教授が附属病院
長に就任されたときに始まります。この当時、医
療事故関連の報道が日常化し、全国的に医療訴訟
が増加し、医療現場には不安と疑念、いわゆる医
療崩壊が進行しておりました。「病院の安全管理
システムを改善し、よい品質の医療を提供するこ
と」は、医療界はもとより国民にとっても喫緊の
課題でした。このときが私にとってやりがいのあ
る人生の転機でしたが、正直申して成算があった
わけではありません。
このような中、山口 巖病院長(当時)には 4
年間にわたり暖かく懇切なご指導を賜りました。
周りが逆境だっただけにこのときのご指導には
適切な言葉が見つからないほど感謝しておりま
す。その後、山田信博先生(現学長)、五十嵐徹
也先生(現病院長)と 3 代の附属病院長のもとで
病院医療の質と安全の向上に努めました。幸いに
してこの 7 年余を経て大学病院には大きな医療事
故が発生せず、医療の可視化が進み、品質をかな
り自律的に管理できるようになったと思います。
現在、附属病院の職員数は 2 千人を超え、年間
3 千件のインシデント等を、53 組織のリスクマネ
ージャーと共に分析して、病院で行われる主要な
医療行為の作業手順を改善しています。また、教
育・研修では、学生から職員までが一貫して医療
安全の知識と技能と態度を修得できるような環
境をこれも数年をかけて整備しています。
この 10 月、国立大学附属病院の医療安全に関
わる諸問題を協議する全国大会を筑波で開催し、
今後、全ての国立大学附属病院に医師の医療安全
管理専任者を配置する提言がまとまりました。ま
た、11 月には東京大学の永井良三先生が第 6 回医
療の質・安全学会を開催したところ、各界からの
参加者が2千人を超えるなど、「医療安全学」を
創設し、医療安全を実現する方法を研究し、医療
安全の専門家を育成しようとする機運は高まっ
ています。
この 20 数年間、医学は確かに進歩しました。
新しい医療技術は強力であればあるほど有害に
もなりえる側面を持っており、取り扱う者は、安
全な方法、事故発生時の対応、すぐれた品質管理
法にも知悉しなくてはなりません。また、医療技
術を享受する側もその利害を知らなければなり
ません。それは、例えば原子力のような強大な力
を平和利用するためには、安全管理・危機管理・
品質管理を適切に行い、かつ国民の理解を得るこ
とが必要不可欠であることに似ています。
私の願いは、これからの医療従事者は、これら
の知識・技能・態度を身につけ、誇りと自信をも
って国民に献身できるようにすることです。
以上、私が「医療の質と安全」に関わった経緯
と抱負を述べさせて戴きました。実は私の発想の
大部分は、臨床、それも循環器内科臨床の中で培
われたものです。そもそも医療とは患者をできる
だけ安全に治療目標に到達させることであり、
日々の医療そのものが危機管理(リスクマネージ
メント)の実践であると言えます。数ある診療科
の中でも循環器内科は、救急、集中治療、慢性疾
患いずれを診る過程においても、数々のリスクを
評価し、その制御を通じて患者の生命を生涯にわ
たって管理するという点で、診療におけるリスク
マネージメントのプロ集団であると私は考えて
います。
最後に、その循環器内科臨床を実践する場を現
在に至るまで私に与えてくださり、医療安全への
深いご理解とともにあらゆる面で私を支えてく
ださった青沼和隆教授に深甚なる感謝の気持ち
を表してご挨拶を終えたいと思います。筑波循環
器内科グループの皆様、今後ともご指導、ご鞭撻
をよろしくお願い申し上げます。
4
●筑波大学 医学医療系 准教授 佐藤
明
床実績に加えて、大学な
らではの基礎研究との融
合・臨床研究の発展がさ
らに望まれます。長い歴
史と伝統を受け継いでい
る筑波大学循環器内科及
び関連病院における優秀
な若いドクターたちと共
に、さらに新しい時代に
合致した専門知識と技術、
および基礎・臨床研究レベルの向上を構築すべく
努力して参りたいと存じます。今後とも、皆様の
御指導、ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。
2011 年 7 月 16 日付けで筑波大学大学院 医療
医学系 循環器内科の准教授を拝命いたしまし
た。青沼教授のご高配により、2008 年 4 月に筑波
大学に赴任して以来、早いもので3年半が経ちま
した。1990 年に東京医科歯科大学を卒業し、2年
間の内科初期研修を終了したのちは、循環器内科
に所属し、武蔵野赤十字病院、横須賀共済病院な
どの大学関連病院にて一貫して虚血性心疾患の
カテーテル治療に従事して参りました。特に虚血
性心疾患を研究分野として、心筋梗塞後の心室リ
モデリング・梗塞サイズの抑制や冠動脈不安定プ
ラークの画像診断に関する臨床研究を主要テー
マに行ってきました。今後は、循環器内科での臨
《2011 学内開催 講演会》
◆第 53 回 Current Topics Lecture in Tsukuba 12 月 20 日(火)19:30 臨床講義室 C
「疾患ゲノム研究の現状と近未来」
理化学研究所 副センター長 田中敏博先生
「全ゲノム SNP 関連解析による心房細動感受性遺伝子の同定と開精機」
理化学研究所 上級研究員 尾崎浩一先生
◆第 52 回 Current Topics Lecture in Tsukuba 10 月 25 日(火)19:30 臨床講義室 C
「ICD・CRT-D 患者の問題点」
国立循環器病研究センター 講師 野田
崇先生
「心臓再同期療法(CRT)による電気的逆リモデリングの分子生物学的機序」
国立循環器病研究センター 講師 相庭武司先生
◆第 51 回 Current Topics Lecture in Tsukuba 7 月 26 日(木)19:30 臨床講義室 C
「心房細動の発症基盤と薬物治療戦略」
大分大学医学部 病態生理学講座 教授 小野克重先生
◆第 50 回 Current Topics Lecture in Tsukuba 5 月 24 日(火)19:30 臨床講義室 C
「心臓カテーテルインターベンションの現状と未来」
千葉大学医学部循環病態医科学 循環器内科
教授 小林欣夫先生
◆次世代プログラム 5 月 10 日(月)19:00 臨床講義室 C
「カテーテルアブレーション治療:筑波大学の流儀」
筑波大学 循環器内科 教授 青沼和隆先生
◆Current Topics Lecture in Tsukuba 5 月 9 日(火)19:30 臨床講義室 C
「デバイスリード抜去:その実際と注意点」
小倉記念病院 循環器内科 部長 合屋雅彦先生
5
《近況報告》
●佐久間クリニック
佐久間
徹
神奈川県茅ケ崎市で開業している佐久間です。
体レーザー器を追加導入して治療しています。ま
筑波では、多々お世話になりました。筑波大一期
た、開業後、人間生命の科学と称するインド古代
生が卒業する前年からの筑波大学付属病院レジ
医学のアーユルヴェーダを勧められました。糖尿
デントとして、小関先生が創設なさった筑波記念
病や高血圧の食事療法や運動療法を西洋医学的
病院の開院スタッフとして(実際はレジデントと
に行っても、画一的でフィットしない患者さんが
してですが)、筑波メディカルセンターの開院ス
数多くいます。体型や体質、習慣などで適する食
タッフとして、守谷第一病院の開院スタッフとし
事や運動量が異なるとするアーユルヴェーダの
て、在籍させていただきました。新しいところで
理論は、実地診療をしている身に大いに共感でき
システムを作り上げ、成長させる喜びを体感させ
ました。アーユルヴェーダスクールに通って、そ
ていただきました。そのときに得た経験知識が、
の知識を得、患者さんの指導などに役立てていま
開業するにあたって、大変に役に立ちました。
す。診察室では、1/f ゆらぎの音楽を流しています。
ちなみに、ちょっと神経質なクラシックは 1/f2、
筑波メディカルセンターから、伊藤巌先生のお
力添えで六本木の心臓血管研究所に行かせてい
ハードロックは 1/f0(振動理論で言うとノイズで
ただきました。その後、守谷を経て、国立熱海病
す)。また、消毒と消臭、癒しのためにアロマキ
院循環器科に赴任したのですが、熱海病院を経て
ャンドルをつけています。アロマの香りは心拍変
開業するまで、心臓血管研究所にはずーっとお世
動解析上交感神経緊張を減弱させます。キャンド
話になっていました。
ルの炎の揺らぎは1/f です。人間本来持っている
心臓血管研究所と国立熱海病院時代に、人間の
治癒力を引き出そうとしながらのんびり診療し
みならず、自然界に調和する 1/f ゆらぎに興味を
ています。 とはいえ、開業医は、デスクワーク
もち、心拍変動解析の自律神経機能と、1/f ゆら
が主体で、自身が生活習慣病になりやすいです。
ぎの不思議な傾きについて勉強していました。茅
ですから、予防のためにフィールドワークも行っ
ヶ崎で開業してからも、アロマ香と1/f ゆらぎ、
ています。先日も、湘南国際マラソン大会をドク
自律神経機能の関係を調べたりしました。ゆらぎ
ターワッペン(主催者が作った私はドクターです
の勉強をしていると自然界—宇宙には、計り知れ
よというワッペンです)をつけて走り、倒れてい
ない調和が存在していると感じます。開業してか
る人を救助してきました。皆さんお忙しいでしょ
らのテーマは、副作用の少ない、体に優しい医療
うが、ご自分の体も大切にしてください。
です。侵襲の多いカテーテル検査や治療をいっぱ
いしてきた反省反動かもしれません。心地よい調
和が大事、心地よい調和は人間を健康にします。
その流れから、開院後すぐから副作用の全くと言
っていい程ない近赤外線治療器を使って、自律神
経機能改善や免疫力改善、治癒力向上など目的に
星状神経節照射をおこなってきました。星状神経
節照射をすると、若い頃の、あまり病気をしない、
元気な体を取り戻せるような感じがします。患者
さんにとても評判が良くて、現在は、低出力半導
6
●ゆきさだ内科
行定公彦
こんにちは、筑波大 3 期生の行定と申します。
私は、大学生であった 6 年間と研修医、大学院生
の 6 年間、合わせて 12 年間を筑波の地で過ごさ
せていただきました。大学院の時代には、同時期
に循環器にフィックスしていた野口先生、富沢先
生、大塚先生、久賀先生、宮本先生にかわいがっ
ていただき、またよき刺激を受けてきました。卒
業後はいくつかの病院を経て、6 年前より東京都
下の国立市にて開業医として働いております。国
立市といっても、あまりなじみのない方も多いと
思いますので、少し説明させていただきます。国
立市は隣接する国分寺市と立川市の中間に位置
することから両市名から一字ずつとって国立と
命名されたとのことです。実際、人口も 7 万程度
で、国分寺市、立川市、府中市に挟まれている狭
小な市という感じを受けます。市の特徴は、大正
時代に都心から移ってきた一橋大学を中心に発
展してきた学園都市であり、市の中心部の「大学
通り」は
美しい街
並みを呈
しており
ます。ち
ょうど、
筑波研究
学園都市
のミニチ
ュア版といったところでしょうか。市の医療施設
は、ほとんどが無床診療所で 2 つ病院があります
が、ともに泌尿器専門病院で救急などとても対応
できないといった状況です。したがって、入院の
必要な患者さんは近隣の市の病院(災害医療セン
タ-、多摩総合医療センタ-、立川共済病院など)
にお願いをせざるを得ないため、病診連携には格
別の努力をはらっております。幸い、テニス部の
後輩で 5 期生の鈴木誠司先生(代謝内分泌)が災
害医療センタ-にいるため、患者さんの紹介をス
ム-ズに受けていただいております。
当院は、住宅地内にあり、患者さんは、おおむ
ね地元の方々ですが、そばに保育園や小学校があ
るため、2 割ほどは小児であります。これは、小
児科のトレ-ニングを受けていない私にとって
ヒヤヒヤもので、小児科の教科書、参考書をわき
におきながら、時に知り合いの小児科の先生に電
話しながら何とか診療をしているという状況で
す。成人の患者さんの内訳は、風邪、下痢、肺炎
など感染症が 4 割、生活習慣病が 4 割、脳卒中、
うつ病、認知症など神経精神疾患が 1 割、よくわ
からないのが 1 割(一人暮らしで話相手がいない
ので来たとか)といったところでしょうか。専門
の循環器に関しては、年に数例の狭心症の患者さ
んを見つけ、専門医療機関に送っております。め
ずらしいところでは、Marfan の MR を見つけ、榊
原記念でオペしてもらった症例がおります。この
方には、ことのほか感謝され、今ではその方の夫、
母親、娘が通院してくれています。昔、飯田要先
生が「一人の患者さんを助けると、そこの家中の
人がかかってくれる。」といった言葉は真実だと
実感しております。勤務医時代には、カテをやっ
て、狭窄を見つけて、そこを広げてといった診療
スタイルでありました。それはそれで、大切なこ
とであると今でも思っておりますが、現在は、患
者さんとよく話し、家族構成から趣味に至るまで
よく把握し、健康アドバイスをして、病気の早期
発見に努め、地元の人たちから信頼を得ようとい
うスタイルに変わってきました。
最後に、筑波大循環器内科時代、手厚くご指導
していただいた諸先輩の先生方、関連病院時代、
一生懸命手助けしていただいた後輩の先生方に
感謝し
たいと
思いま
す。
7
●ますおか内科クリニック
増岡健志
平成 2 年に筑波大学大学院を修了後、日立製作
大洗町のグループホームで 36 人の認知症高齢者
所水戸総合病院、勝田病院、国立療養所晴嵐荘病
を預かっていますが、震災後ライフラインが停止
院と県央地区の病院に勤務し、平成 14 年にひた
し大変な騒ぎとなりました。まず地震当日は余震
ちなか市で開業しています。勤務医時代は PCI に
に備えて両ホームの入居者を近くの公民館に移
熱中し、インターベンション学会の指導医の資格
し、本当に眠れぬ夜を過ごしました。その後はひ
も取ったのですが、今はすっかり町医者として平
たちなか市のホームで 36 人をまとめて看ていた
穏に過ごしています。
のですが、職員を含めて 50 人分の水や食料の確
保に奔走し、クリニックの受水槽の水で何とか凌
ひたちなか市は日立製作所ひたちなか総合病
院を中心とした医療体制で廻っていますが、山内
いでいました。毎日が難民キャンプの様な状況で、
先生・小宅先生や同院に派遣される循環器内科の
近所の方からの差し入れや、職員・関係者の手助
先生方には本当にお世話になっています。また大
けには大変感謝しています。ひたちなか市は水道
学病院には主に心房細動アブレーションの患者
の再開が遅れ、この間入居者は入浴もできなかっ
様を紹介させて頂いていますが、すばらしい治療
たのですが、それ程体調を崩す方がいなかったの
成績で患者様には大変感謝されています。
はせめてもの幸いです。電気や水が復旧し、大洗
おかげさまでこの 12 月で開業 10 年目を迎える
の入居者が自分達のホームに戻って行った時は
のですが、1 番印象に残るの出来事は東日本大震
本当に安堵しました。こんな大災害は 2 度と起こ
災後のドタバタです。私の所ではひたちなか市と
っては欲しくないのですが、今は万一に備えて
色々手直しをしている最中です。
50 歳を超え、医師としてももうすぐ 30 年目を
迎える段階になりましたが、定まらない性分は相
変わらずで、唯々忙しいだけの毎日です。せめて
何か形のあるものを残したいとは思っています
が、趣味のゴルフも頭打ちで、どうやらシングル
には成れそうに有りません。でも最近大洗ゴルフ
倶楽部に入会しましたので、昔医局コンペでご一
緒した先生方ともう一度楽しく廻れたらと思っ
ています。では、また。
●仁保内科医院
仁保文平
清水の舞台から飛び降りる様な覚悟で、11 年間
これも偏にご指導いただきました諸先生・諸先
勤めた筑波記念病院を退職し、ここ桜川市真壁町
輩方、ならびに地域連携等でお世話になっており
で“仁保内科医院”を開業して早 6 年が過ぎまし
ます先生方のお陰と、感謝に絶えません。
現在私は桜川市、筑西市、下妻市の医師で構成
た。
される“真壁医師会”に所属し、理事として地域
幸い“経営”というものにほとんど無頓着でい
医療に関与させていただいております。
ても、何とか普通に生活できる程度には患者(様)
学校医(真壁高校、真壁小学校)、看護学校講師
がいらしてくれております。
8
(岩瀬高校看護専攻科、真壁医師会准看護学院)、
変厳しく、私の前にはとてつもなく大きな壁が立
桜川市嘱託医としての健診業務や予防接種、介護
ちはだかっております。
しかし今のこの危機的医療状態は、見方を変え
審査員、真壁警察署嘱託医として死体検案等々次
ると筑波大にとっては千載一遇のチャンスです。
から次へと仕事が降ってきます。
茨城県全域の医療体制を再構築し、各病院に全力
しかし今私の最も大きな悩みの種は県西地域
を挙げて医師を派遣し、これらを掌握することに
における医療崩壊です。
つくば市は単位人口あたりの医師数が茨城県
よって盤石な基礎を固めていただきたい。茨城県
内で唯一全国平均を上回っている地域ですので、
全体から広く症例を集めることによって、医師と
医療崩壊といってもあまりピンと来ないかもし
しての skill up を図り易くなり、より優れた医師
れませんが、ここ県西地区は年々医師が減少して
の養成やより多くの臨床研究が可能になります。
きて医療過疎が着実に進行しております。
医師のモチベーションが上がり、研修医にとって
現在の研修医制度の煽りを受けて 2 つの公立病
も魅力的な組織になると思います。医療体制改革
院の 1 つである筑西市民病院が消滅の危機に瀕し、
により筑波大が大きく飛躍することが、我が県の
現在自治医科大学からの寄付講座で何とか病院
医療崩壊を食い止めるとともに、より良い医療に
機能を保っております。県西総合病院も医師減少
つながって行くと考えます。
筑波大〜茨城県の医療改革に是非ともご協力
に歯止めが掛からず、補充の目処も立っておりま
を賜りたいと存じます。
せん。さらに今回の東日本大震災により筑西市民
病院の全部と県西総合病院の 1 部の建家が使用不
能になるなどの打撃が重なり、私立の協和中央病
院が頑張ってくれてはおりますが、到底この地域
の 2 次救急はカバーできず、つくば市内の病院や
笠間市の県立中央病院、自治医科大学病院、真岡
市の芳賀日赤病院などのお世話にならざるを得
ない状況です。
茨城県も筑西市・桜川市も根本的な打開策は何
も講じてくれておりません。私は目下この状態を
打開すべく孤軍奮闘しておりますが、一人では大
●Mayo Clinic
山田さつき
筑波大学循環器内科の皆さま、お久しぶりです。
諸先生方の日頃の循環器診療、そして東日本大
震災におけるご活躍に心から敬意を表します。茨
城県北部は、アメリカ全国ネットテレビ / 新聞
においてたびたび報道されました。被災地の一日
も早い復興をお祈りしております。
私は、前教授
山口巖先生の指導の下、内科 /
循環器内科臨床研修および大学院博士課程を修
了しました。その後、日本心臓財団および日本不
9
整 脈 学 会 か ら 留 学 支 援 を 受 け 、 Mayo Clinic
理学的異常についての研究を始めました。今夏、
Professor Andre Terzic の研究室において、不
American Heart Association National Scientist
整脈発生の基盤となる不全心筋の代謝 / 電気生
Development Award を受賞し、その研究助成をも
とにストレス不適応、加齢現象、画像解析、再生
療法、遺伝子治療などを研究しています。いつの
日か、日常不整脈治療の選択肢として、再生医療
に基づく生理学的ペーシング / 再同期療法が可
能になることを目指して、奮闘しています。私ど
もの研究、Mayo Clinic、そしてアメリカ医学研
究 / 臨床留学に興味がございましたら、ご連絡
ください。
アメリカにお越しの際は、ぜひ Mayo Clinic
Rochester にもお立ち寄りください。お待ちして
おります。
《留学体験記》
●留学生活のご紹介
ブリュッセル自由大学
丸山秀和
この 4 月から 1 年間の予定でベルギー王国ブリ
ので、留学
ュッセルのブリュッセル自由大学(Universite
生や外国人
Libre de Bruxelles: ULB)の生理学教室に肺高血
スタッフは
圧症の研究の目的で留学しています。ULB の医学
第二外国語
関係の施設はブリュッセルの西端に移転されて
がフランス
いるため、市の中心から地下鉄で向かって 20 分
語であった
くらいの終点が最寄駅になります。一つ手前の駅
国の出身で
を過ぎたころに地上にでて、田園地帯の中に附属
あることが多いです。このためか研究棟や医学部
病院、医学部、研究施設などをもつエラスムスキ
ではアジア人を見かけることは極めてまれです。
ラボ所属のため附属病院には現在のところ見
ャンパスが見えます。
こちらの生理学教室では Robert Naeije 教授の
学くらいしか行っていません。フランス語自治体
生理学教室のもと肺循環に関連する様々なテー
によって運営されている大学であるため、大学病
マで研究が行われています。大規模なものでは、
院ではフランス語が話されています。患者は主に
外国の高山に多国籍のチームで出かけて高地肺
フランス語話者ですが、時々オランダ語話者も来
高血圧研究のプロジェクトを行っているそうで
院します。日本人の肺高血圧患者もいらっしゃい
す。教授は日本での講演も多く、この一か月の間
ます。少し驚いたのですが、右心カテが循環器病
に 2 回日本に出かけています。ラボのメンバーの
棟の病室のすぐ隣の透視設備のないカテ室で基
大半はベルギー人ですが、私以外にもウクライナ、
本的には医師一人、看護師一人で行われています。
モロッコ、アルジェリア、コンゴ共和国出身の外
研究関連の手技があるときのみ担当者が集まっ
国人メンバーがいます。フランス語系の大学です
てきます。ベルギー中の肺高血圧症患者が紹介さ
10
れてくるので、
ろうと推測しましたが、適切な実験モデルがない
定期的なフォ
ため基礎研究が進められずにいました。よい機会
ローアップを
ですので培養細胞を用いてこちらでその作用機
行うには効率
序について研究を始めました。また、分子生物学
を上げないと
的手法を用いた新たな肺高血圧症の診断方法の
いけないよう
検討を、こちらでの肺組織および血液を用いて、
です。カテ以外
酒井俊先生と ULB との共同研究で始めました。
ブリュッセルはフランス語とオランダ語を併
でも外来や病棟での効率の良いデータ取集方法
用しています。ラボでは通常フランス語が話され
について多くを参考にしたいと思っています。
ブリュッセル南駅から鉄道でパリ、アムステル
ています。フランス語を全く知らず、英語も決し
ダムへは 2 時間以内で行けます。ラボでは国内を
て流暢ではない状態でこちらに来ましたので、こ
はじめ、フランス、オランダなどの隣国の研究施
ちらで語学を習い始めました。英会話の授業をフ
設と共同研究が進行中であり、定期的にそれらの
ランス語で、フランス語の授業を英語で受けると
施設間での肺高血圧研究の発表会が開かれてい
いう状態のため、混乱して自分が何者だかわから
ます。また毎週のラボミーティングにおいても他
なくなってきました。
ブリュッセルはヨーロッパの首都とも呼ばれ、
国からの講演が数多く行われます。ベルギーのフ
ランダース地域もしくはオランダの施設が参加
EU 本部、NATO 本部などがあります。このためか
する場合には、発表や質問は英語で行われます。
小さな都市であ
るにもかかわら
研究設備は特に筑波大学と大きな違いはあり
ませんが、附属病院で肺移植が行われているため
ず外国人が多く、
肺高血圧症患者の肺組織の検体が得られます。摘
3 割以上を占め
出肺による病理組織検査や、肺動脈細胞の初代培
るといわれてい
養を用いた研究が確立しているため、私はそれに
ます。自分が外
乗っからせてもらっています。現在 2 つのテーマ
国人であること
に携わっています。一つは BMP アンタゴニストに
をあまり意識せずに生活できますし、住民の多く
ついてです。BMP シグナルの抑制が肺高血圧発症
は多かれ少なかれ英語(ひどいフランス訛りのこ
に大きく関与していると考えられています。また
とも)が話せます。ベルギー国内にも観光名所が
発生において BMP の内因性のアンタゴニストが組
多くありますが、国境の多い小さな国なので気軽
織形成に大きく関与していることが最近分かっ
に外国旅行に出かけることができます。ルクセン
てきました。それらのアンタゴニストの肺高血圧
ブルク、オランダには日曜日に日帰り旅行ができ
症 発 症 へ の関 与 を 調 べて い ま す 。も う 一 つ は
ました。春夏は緑が多くて比較的涼しく大変快適
PDGFR シグナル阻害に関連したものです。こちら
でしたが、10 月くらいから落葉が始まり今はすっ
に来る直前に、狭心症で用いられている特定の薬
かり寒くて暗い陰鬱な季節となりました。11 月末
剤が肺高血圧
から町の中心付近はクリスマスマーケットでに
患者に有効で
ぎわっていて、季節なりの息抜きはありそうです。
あったことを
筑波大学および住吉クリニック病院をはじめ、
経験しました。
このような機会をくださりまたご協力いただい
PDGF シ グ ナ ル
たすべての皆様に感謝しております。患者さまに
の阻害作用に
少しでも成果を還元できるよう、残り少ない期間
よるものであ
ですが研究に励みたいと思います。
11
●Asklepios Klinic St. Georg(ドイツ、ハンブルク市)に短期留学して
五十嵐
都
8月から3
カ月間、ドイ
ツのハンブル
ク市にある
Asklepios
Klinic
St.
George の EPU
labo で研修さ
せて頂きまし
た。
とはいえ、前半はさみしさやもどかしさで、早
ハンブルク
く日本に帰りたいと指折り数えていたのが正直
はドイツの北
なところです。でも徐々に環境や言葉、研修内容
に位置する大きな港町ですが、海に面していると
にも慣れ、フェローやナースが仲良くしてくれた
いうよりはエルベ川の河口からかなりさかのぼ
こともあり、後半は研修以外でも食事をしたり出
ったところにあります。街の中心部にはアルスタ
かけたり楽しむこともでき感謝しています。最終
ー湖という大きな湖もあり、水辺のとても美しい
日には labo のスタッフみんなから思いがけずハ
街でした。また、大きなデパートやショッピング
ンブルクの写真集と絵葉書をプレゼントしても
モール、ホテルやレストランも多く、電車やバス
らい、絵葉書には「君はチームの一員です」と書
も網羅され便利で治安のよい都会です。
いてあり、短期間でも言葉ができなくても少しで
病院では
も何か学びたい、仲間になりたい、という私の真
3つの labo
剣な思いが通じたのだな、とつらかったことを全
でそれぞれ
て忘れるほど嬉しかったです。
毎日大体3
最後に、貴重な経験をさせて下さいました青沼
件ずつ、計9
教授をはじめ、外勤や外来の件でご迷惑をおかけ
件アブレー
した先生方、ドイツで落ち込んでいるときにメー
ションが行
ルで励まして下さった先生方に心から感謝いた
われていま
します。本当にありがとうございました。今後、
す。年間 2000 例と世界有数の施設であり、海外
学んだことを臨床や研究に活かしていきたいと
からの紹介患者も多く、また常に海外からのフェ
思っています。
ローが学びにきており、一般病院でありながら教
育や研究にも積極的なようでした。私はひたすら
毎日アブレーションの見学と CARTO やラボの操作
をしていました。アブレーションは少し日本とや
り方の違うところもあり、最初は英語の指示も聞
き取れず、失敗ばかりして毎日ぐったりしていま
したが、少しずつ要領を得て大変よい勉強になり
ました。
12
《学会報告》
●第 75 回日本循環器学会学術集会に参加して
総合守谷第一病院
小島栄治
東日本大震災により延期となっていた日本循
ンと coronary plaque の関係についてのものでし
環器学会が 2011 年 8 月に開催され、研究発表を
た。現在は CT が日常診療にも一般的に非常に有
行うことができました。まず、このような機会を
用な画像診断ツールになっており、そういった意
与えてくださった青沼和隆教授、直接御指導いた
味でも多くの先生方に興味を持っていただけた
だいた佐藤明准教授、そして当時、相談に乗って
かと思います。症例の解析についてはなかなか本
くれた多くの同級生の先生方に深く御礼を申し
質の部分まで理解することはできなかったので
上げます。
すが、大学の研修ならではの academic な勉強は
久しぶりで、頭を悩ませながらなんとか仕上げる
学会は平日の開催となったこともあり、初日の
ことができました。
朝は会場に来られる先生方もはじめは少なかっ
現在、総合守谷第一病院に勤務しておりますが、
たのですが、徐々に多くの先生方が出席され、私
この経験を臨床に生かして多くの患者様、ひいて
のセッションでも活発な議論が交わされ、シンポ
ジウムも大盛況でありました。
は御指導いただいている斉藤巧先生、遠藤優枝先
私がまとめた話は、昨年の CVIT
生、吉田郁雄先生のお役に立てればと考えながら
(日本心血管インターベンシ
勤務しております。今後とも、多くの先生方の御
ョン治療学会)学術集会で発表
指導、御鞭撻を頂きたいと思います。よろしくお
した内容をさらに症例を増や
願い致します。
したもので、尿中微量アルブミ
●ESC Congress 2011 に参加して
筑波大学附属病院 クリニカルフェロー
2011 年 8 月 25 日から 8 月 31 日にフランスはパ
ます青沼先
リで開催された ESC Congress 2011 に参加してき
生はじめ、今
ました。初めての国際学会、そして医者になって
回の発表の
初めての海外で、それが「芸術の都」パリだけに
ご指導をい
観光も含めて行ってきました。
ただきまし
安達
亨
た佐藤先生、
ESC での発表は、水戸で研修していた 1 年前か
ら大学にお邪魔してデータを収集していた糖尿
そしてデー
病性網膜症の有無と冠動脈 CTA での病変の関連に
タの収集な
ついての解析でした。ルーマニアはじめ複数の海
らびに今回
外の先生からコメントをいただき、国際学会に参
の学会参加
加した実感が湧いてきました。今年度中に論文に
にあたりお
できますよう現在準備中です。いずれは目標とし
世話になり
ている不整脈のテーマで海外発表できるチャン
ました筑波メディカルセンター病院
スをいただけるよう、今後とも精進していきます。
に心からの感謝を申し上げて、今回のご報告とさ
せていただきます。
普段から臨床に研究にご指導いただいており
13
掛札先生
●ESC 2011 に参加して
筑波大学大学院
博士課程 3 年次
井藤葉子
まとめて形にし、それを発展させるという全ての
過程が貴重な経験でした。
ESC は全ヨーロッパの学会であり、非常に規模
が大きく海外でどの様な研究がなされているの
かを少しでも見ることができ、大変刺激になりま
した。また、興味のあるポスターの発表者に質問
したり、説明を聞いたりすることも勉強になりま
した。
今回このような発表の機会を与えてくださり、
ご指導くださいました青沼先生はじめ、多くの先
2011 年 8 月 27 日~31 日までフランスのパリで
生方に心から感謝しております。この場を借りて
行われた ESC 2011 に参加しました。酷暑の日本
お礼申し上げます。
とは対照的にパリは涼しい風が心地よく、街中が
大きな美術館のような美しい街でした。
初めての国際学会への参加と発表で不安もあ
りとても緊張しておりましたが、慣れない学会会
場で瀬尾先生、石津先生、村越先生方がいろいろ
気にかけてくださり、本当に心強くうれしく思い
ました。
今回の発表に際し、先生方とのディスカッション
を通して自分自身の興味のあることや疑問点を
●ESC 2011 に参加して
筑波大学附属病院 クリニカルフェロー
中野恵美
2011 年 8 月、Paris で開催された EUROPEAN
SOCIETY OF CARDIOLOGY で発表する機会に恵まれ
ました。以前より興味があり研究をつづけてきた、
心室流出路起源のリエントリー性心室頻拍に関
する報告で、
「Unusual Aortic Sinus of Valsalva
Reentry
Circuit
Sites
of
Non-Ischemic
Ventricular Outflow Tract Tachycardia」とい
う演題名での口述発表です。
海外の学会での久しぶりの口述だったのです
が、昔に比べて神経が太くなったのか鈍くなった
自分の顔がパソコンに取り付けられたカメラを
のか、あまり実感も緊張もないまま現地入りして
通して巨大スクリーンに映し出されるという大
しまいました。しかし、前日に会場をのぞくと、
仕掛けになっていました。緊張と若干の後悔が襲
三百人以上の座席が並び、映画館ばりの巨大スク
ってきましたが、時すでに遅し。
リーンが設置されており呆然。しかも、発表中の
14
発表はともかく、苦手な英語での質疑応答が無
事にできるか心配しましたが、ここまできたらな
んとか乗りきるしかないですし、せっかくこんな
チャンスをいただいたので楽しもうと、若干やけ
くそで発表に望み、なんとか無事に?終了しまし
た。
このような貴重な機会を与えられて、とても感
謝しております。今後は、英語力を身につけ、質
疑応答を楽しめるように成長していきたいです。
●第 26 回日本不整脈学会総会
筑波大学附属病院 クリニカルフェロー
金城貴士
この度、第 28 回日本心電学会 学術総会(第 26
flecainide や propafenone といったⅠ群薬、
回 日本不整脈学会総会・第 4 回 Asia Pacific
verapamil や、β blocker でもこれまでにあまり
Heart Rhythm Society Scientific session 同時
言われてこなかった carvedilol の有効性など、
開催)に参加しました。
新しい内容が盛りだくさんでした。現在 CPVT に
もともと横浜で予定されていましたが、東日本
対するアブレーション成功例の case report を準
大震災および福島原発事故の影響で(今回は 3 学
備中で、いろいろ見直す機会ともなりました。今
会同時開催で海外からの参加者が多いことも考
回の経験で、自分が手がけている仕事に直接関係
慮されてでしょうか)福岡での開催となりました。
することだけでなく、広い分野にアンテナを広げ
(Home page および program に、福岡がいかに日
て、常に新しい知見を吸収する姿勢を持っていな
本の西に位置するかを示す図がありました。放射
いと、大きな収穫ができうる機会を有効活用でき
能汚染の心配はないよ、との message と思います
ない可能性がある、と、改めて学会参加への姿勢
が、福島出身である私にはちょっと複雑でした。)
を正す機会ともなりました。
今回の発表は、His 束領域起源の心房頻拍にお
最後に、平日開催で病棟業務にも負担を強いて
いて 12 誘導心電図下壁誘導での P 波形がアブレ
の参加を快く許してくれた同僚の先生方にお礼
ーション後の再発予測因子となりうる、との臨床
を申し上げます。ありがとうございました。
研究発表です。発表に際し、ご指導頂いた関口先
生、青沼先生はじめ諸先生方に深く感謝いたしま
す。
3 学会合同開催とあり、規模も、また発表され
る研究成果も多岐にわたっており、2 泊 3 日のや
や強行スケジュールでは十分に見て回れなかっ
たのが残念でした。ただ、その中でも興味深く、
また非常に有用であったのが、CPVT の最新の
lecture を聴くことができたことです。CPVT に対
する治療、特に薬物療法に関してはいろいろと新
しい知見があり、これまでのβ blocker に加え、
雪化粧の会津磐梯山と蒸気機関車
15
●APHRS 2011 学会体験記
筑波大学附属病院 クリニカルフェロー
黒木健志
で、リベンジに期待です(笑)。
APHRS2011 は 2011 年 9 月 18 日から 22 日まで福
岡のヒルトンシーホークで開催されました。丁度
今年の APHRS は 3 月 11 日の東日本大震災の影
台風が通過中であり、行き帰りの飛行機が飛ばな
響で急遽開催地が横浜から福岡に変更されまし
いかも、もしくは実際飛ばないなどという事態に
た。放射能問題も含めて諸外国からは敬遠されが
至り当地は大混乱でした。筑波大学からは今年も
ちな情勢の中での開催でしたが、本当に多くの海
多くの演題が出され、みんなで大挙して福岡へ乗
外の著名な先生方が訪日されました。一つのセッ
り込む予定でしたが、幸いスクリーンに“台風の
ションで Ouyang 先生、Hindricks 先生、Packer
ため発表者欠席”の文字が出ることはなかったよ
先生などがそれぞれレクチャーされていたりと、
うです。口述発表の方も沢山いましたがみなさん
まるで海外の学会に参加しているかのようでし
陸路空路を駆使して無事発表にかけつけた模様
た。学会期間中を通して、海外からは被災地日本
です。唯一問題となったのは、台風の影響で、懇
を励まそう!という心意気を感じましたし、また
親会場『河太郎』でイカの踊り食いにありつけな
東北を中心とした被災地からも多くの演題が発
かったこ
表されており、例年にない一体感があったように
とくらい
感じました。
でしょう
最後なりますが、不整脈グループがほぼ全員不
か。今年度
在の中、留守中病棟をフォローしていただいたク
の日循も
ラシック循内の先生方、心筋梗塞が来るなどいろ
福岡のよ
いろ大変だった様ですが、誠にありがとうござい
うですの
ました。
●AHA2011 に参加して
筑波大学
医学医療系
助教
野上佳恵
ました。来年も演題が採択されるようにまた頑張
11 月 12 日から 16 日までフロリダ・オーランド
りたいと思います。
で行われた American Heart Association に参加
し て き ま し た 。「 Diastolic suction in heart
貴重な経験を与えて下さった青沼先生をはじ
failure: Impact of left ventricular geometry、
め、アメリカに行く前も行った後もずっとお世話
untwist、 and flow mechanics」というテーマで
になりっぱなしだった瀬尾先生、石津先生、色々
オーラル発表しました。AHA は今回で 2 回目の参
アドバイスを頂いた多くの先生方にこの場を借
加になるのですが、海外学会では初めてのオーラ
りて厚く御礼申し上げます。今後も頑張っていき
ル発表で、国内学会とは一味違う雰囲気の中大変
たいと
緊張しました。中々うまく見に行けないセッショ
思いま
ンもあったのですが、見ることができたセッショ
すので、
ンでは色々と刺激を受けてきました。フロリダは
ご指導
大変暖かく、日中は半袖で過ごしている人も多か
よろし
ったのですが、会場内は凍えるほど寒かったです。
くお願
それでも半袖で過ごしているアメリカ人にびっ
い申し
くりです。オーランドの街は南国リゾートの雰囲
上げま
気たっぷりで、水辺も多く、あちこちにワニもい
す。
16
《受賞》
●� 1 �循環器������賞(症例報告部門)
受賞論文:Fatal Ostial Right Coronary Artery Coronary Stent Fracture and Perforation Induced by
Mechanical Stress Between the Sternum and Dilated Aortic Root.
Circulation 2011;123;1679-1682
筑波大学
医学医療系
診療講師
星
智也
この度、上記の論文が第 1 回循環器臨床研究奨
ものの、同時に治療効果の限
励賞(症例報告部門)をいただくこととなりまし
界もあることを考えさせら
た。授賞式は 2012 年 3 月の第 76 回日本循環器学
れました。今回、症例報告で
会学術集会にて行われるとの連絡を受けており
このような素晴らしい賞を
ます。この論文は、前任の筑波メディカルセンタ
受賞させていただくことと
ー病院で経験した症例を報告したものです。さま
なりました。臨床家として 1 症例に向き合って、
ざまな過程でご指導・ご協力いただいた多くの先
その病態原因問題点を深く考察することの重要
生方に深くお礼を申し上げます。この症例は非常
性を再認識しました。関連する先生方に深く感謝
に珍しい病態を呈した狭心症症例でした。冠動脈
を申し上げるとともに、今後も精進していきたい
ステントによる PCI 治療は確立された治療である
と思います。
●� 31 ���サルコイドーシス������患学��� �IA ��シ��
��賞
受賞講演:心サルコイドーシス患者に合併した心室頻拍に対する集学的治療とその治療成績
●�th Asia Pacific �eart Rhythm Society
�IA competition
2nd prize
受賞講演:Concomitant early repolarization increases occurrences of ventricular fibrillation in
patients with acute myocardial infarctions
茨城県立中央病院
循環器内科 成瀬代士久
9 月 22 日のアジア太平洋不整脈学会(APHRS
していたのは、多施設のデータ
2011)と 10 月 22 日の日本サルコイドーシス学会
をまとめた研究だということ
総会で立て続けに YIA を受賞することができまし
です。早期再分極の研究は筑波
た。
大学、メディカルセンター、県
APHRS 2011 では早期再分極を有していると心筋
立中央病院の症例を調べさせ
梗塞発症急性期の心室細動発生率が高いことを
ていただき、サルコイドーシス
発表しました。サルコイドーシス学会総会では、
の研究は筑波大学、武蔵野赤十
サルコイドーシスに合併した心室頻拍 35 症例の
字病院、さいたま赤十字病院の症例を調べさせて
治療法(ステロイドや抗不整脈薬による薬物療法
いただきました。多施設の研究を手がけるのは初
とカテーテルア
めてでしたが、青沼教授のご発案やご指導をはじ
ブレーション)
め、他施設の先生方にも多大なご協力、ご支援を
とその治療成績
いただき研究をまとめることができました。ここ
についてまとめ
に深く御礼申し上げます。
たものを発表し
論文化にむけてもうひと頑張りする所存です
ました。どちら
ので、これからもご指導ご鞭撻のほど何卒よろし
の研究にも共通
くお願い申し上げます。
17
《編集後記》
このニュースレターも創刊から早 3 年経ち、冬の号を手にすると、年末だなあ・・・という感じがす
るようになって参りました。毎日の診療や研究でお忙しい中、原稿執筆を快くお引き受け下さり迅速に
お寄せ下さいました先生方には、心より御礼申し上げます。今回、編集委員とは名ばかりで何のお手伝
いもできませんでしたので、次号では頑張りたいと思います。夏に引き続き、今年の冬は「節電の冬」
になりそうですが、お風邪など召されませんようどうぞ皆様ご自愛下さい。(町野智子)
《発行・編集》
筑波大学大学院
〒305-8575
人間総合科学研究科
疾患制御医学
循環器内科
茨城県つくば市天王台 1-1-1
TEL(医局)
029-853-3142, 3143
FAX(医局)
029-853-3143
e-mail(医局秘書)
[email protected]
[email protected]
循環器内科ホームページ
http://www.md.tsukuba.ac.jp/clinical-med/cardiology/index.html
循環器内科同門会ホームページ(氏名・パスワード必要)
http://tkbjyunnai.secret.jp/index.html
編集委員
石津智子
井藤葉子
町野
毅
町野智子
三好博子
額田真紀
◆次号に掲載希望の記事・写真(jpeg)は電子メールにて [email protected] までご送信下さい。
◆循環器内科ニュースレターの pdf 版は筑波循環器内科同門会のホームページで閲覧できます。
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