工業教育誌2014年60号ダウンロード

倉敷川畔伝統的建造物群保存地区の移り変わり
*1
明治末期
*2
*2
昭和 53 年
*2
平成 17 年
昭和 32 年
昭和 53 年
平成 17 年
2014年
工
業
教
育
60号
編集・岡山県高等学校教育研究会工業部会
目
●
巻
頭
次
言
・産業教育130年を経てこれからの工業教育
岡山県高等学校教育研究会工業部会長
岡山県高等学校工業教育協会理事長
●
特
高
柳
克
彦
1
吉
田
博
充
2
岡山県高等学校工業教育協会工業教育基本問題研究委員会
7
集
・倉敷川畔伝統的建造物群保存地区の町並み保存について
倉敷市教育委員会
生涯学習部文化財保護課
・工業教育の将来展望
課長主幹
~工業科主幹教諭・指導教諭連絡協議会を開催して~
・県教育委員会・産業労働部等との連携による
「高校生のものづくり技能取得支援事業」への取組(4年目)
岡山県高等学校工業教育協会
事務局長
内
田
範
政
9
岡山県高等学校工業教育協会 事務局次長 髙
林
康
徳
12
髙
田
国
宏
13
窪
木
浩
之
河
原
紫
穂
末
廣
御
船
岡
岡山県立岡山工業高等学校
岡山県立東岡山工業高等学校
・県教育委員会・産業労働部等との連携による
「高校生ジュニアマイスター1000人創出事業」への取組(1年目)
●
教
育
研
究
・文部科学省委託事業
~工業高校生の専門的職業人として必要な資質・能力の評価手法の調査研究~
岡山県立倉敷工業高等学校
・備前市片上地区1園2校合同避難訓練を実施して
~こども園・小学校・高校の校種,年代を越えた連携と共助~
岡山県立備前緑陽高等学校
●
専
門
研
聡
18
博
士
22
本
茂
樹
27
宮
井
雄
大
32
難
波
好
幸
36
大
嶋
岳
42
北
田
尚
稔
谷
森
口
和
泰
士
治
究
・地域貢献活動を通した技術者倫理の育成
岡山県立岡山工業高等学校
・実習における教育用ワンボードマイコン(Raspberry Pi)の活用
岡山県立岡山工業高等学校
・工業教育における ICT の活用と生徒評価 ~建築科の製図教育を中心に~
・江川式小屋組について
・研究助成「工業化学教育に興味をもたせる教材研究」
~金属表面処理技術を用いてのものづくり Part Ⅰ~
岡山県立東岡山工業高等学校
・倉敷ファッションフロンティア2014~最終審査会までの道のり~
岡山県立倉敷工業高等学校
小
林
千妃呂
46
岡山県立津山工業高等学校
三
宅
宏
48
三
宅
宏
51
木
村
善
幸
亀
井
大
輔
河
本
智
弓
藤
原
亨
祐
高
原
邦
保
57
早
瀬
一
英
62
清
原
孝
二
66
岡山県立津山工業高等学校
高
田
健
一
68
・制服に思うこと
岡山県立高梁城南高等学校
西
村
毅
70
・人力発電と私・エピソード2
岡山県立玉野光南高等学校
板
野
尚
吾
71
妹
尾
和
弘
75
岡山県高等学校工業教育協会
事務局次長 髙
林
康
徳
81
岡山県高等学校工業教育協会
岡山県立岡山工業高等学
事務局長
内 田
内 田
範
範
政
政
82
83
林
康
徳
84
出
口
恭
平
85
木
村
浩
二
86
平
井
総一郎
87
・津山工業高校における地域連携の取組
・工業高校の特色を活かした東日本大震災の被災地の継続支援
岡山県立津山工業高等学校
・地域と連携したデザイン科の取組について
~地域貢献を目指した「津工デザインファクトリー」~
岡山県立津山工業高等学校
55
・平成25年度産業教育長期専門研修報告~建設現場における土質試験の技術習得~
岡山県立笠岡工業高等学校
・工業技術科コラボレーション(2)
~土砂災害実験装置の作成~
岡山県立新見高等学校
・省エネカーの製作~鈴鹿サーキットから高校生テクノフォーラムまでの奮闘記~
岡山県立勝間田高等学校
●
随
・国語科雑感
●
行
筆
生徒に気づかせることの大切・自戒編
事
・第51回岡山県高等学校工業教育研究発表大会
岡山県立新見高等学校
●
報
告
・第23回全国産業教育フェア愛知大会
・きらり輝け!岡山さんフェア2013
・2014高校生テクノフォーラム
さんフェア愛知2013
・岡山県職業能力開発協会との連携による
「第52回技能五輪全国大会見学ツアー」の実施(2年目)
岡山県高等学校工業教育協会 事務局次長 髙
・平成26年度岡山県産学官連携による企業現場体験報告
岡山県立岡山工業高等学校
・平成26年度全国設備工業教育研究会第50回静岡大会
岡山県立東岡山工業高等学校
・平成26年度全国電子機械教育研究会第28回総会・研究協議会
岡山県立東岡山工業高等学校
・平成26年度「高校生ものづくりコンテスト(電気工事部門・電子回路組立部門)」中国地区大会
岡山県立水島工業高等学校
安
達
・第45回「工業高校建築教育研修会」
岡山県立津山工業高等学校
・平成26年度全国工業教育指導者養成講習会
神
原
岡山県立笠岡工業高等学校
兼
森
毅
88
祥
訓
89
俊
浩
90
・第22回全国高等学校ロボット競技大会岡山県予選会及び平成26年度岡山県高等学校ロボット競技大会
・平成26年度企業現場体験研修報告
岡山県立笠岡工業高等学校
兼
森
俊
浩
92
岡山県倉敷市立工業高等学校
河
崎
富
雄
93
大
村
佳
苗
96
大
村
佳
苗
97
大
村
佳
苗
98
三
宅
・平成25年度「高校生ものづくりコンテスト(自動車整備部門)」全国大会
おかやま山陽高等学校
・平成26年度「高校生ものづくりコンテスト(自動車整備部門)」中国地区大会
おかやま山陽高等学校
・第9回若年者ものづくり競技大会競技職種「自動車整備」
おかやま山陽高等学校
・日本工業化学教育研究会第62回全国大会(滋賀大会)
宏
99
・平成26年度工業教育関係講習会・産業見学会等一覧
岡山県立津山工業高等学校
編 集 事 務 局
100
・平成26年度内地留学・研究助成・研修会等一覧
・生徒研究成果発表等のイベント参加状況
編 集 事 務 局
編 集 事 務 局
103
104
岡山県高等学校工業教育協会
109
岡山県立笠岡工業高等学校
橋
本
文
彦
113
・機械系部会報告
岡山県立東岡山工業高等学校
佐
藤
弘
典
114
・電気系部会報告
岡山県立水島工業高等学校
安
達
毅
114
・工業化学系部会報告
岡山県立津山工業高等学校
三
宅
宏
115
・土木系部会報告
岡山県立岡山工業高等学校
春
田
正
一
115
・建築系部会報告
岡山県立水島工業高等学校
佐
藤
輝
明
116
・デザイン系部会報告
岡山県立津山工業高等学校
藤
原
亨
祐
116
・進路指導部会報告(平成25年度第2回) 岡山県立津山工業高等学校
・進路指導部会報告(平成26年度第1回) 岡山県立津山工業高等学校濱
濱 田
田 浩
浩
昭
昭
117
117
・定時制部会報告
逢
親
秀
118
・岡山県高等学校工業教育協会事業報告
●
学
校
短
信
・岡山県立笠岡工業高等学70周年
●
部
会
報
告
岡山県倉敷市立工業高等学校
坂
●
平成26年度(2014年)学校要項
編 集 事 務 局
119
●
編集後記
編 集 事 務 局
120
巻頭言
産業教育 130 年を経てこれからの工業教育
岡山県高等学校教育研究会工業部会長
岡山県高等学校工業教育協会理事長
高
柳
克
彦
会員の皆様には,日頃から本県工業教育の充実・発展にご尽力いただき,心から感謝申し上げます。今
年度も素晴らしい教育活動や研究成果を本誌に寄稿いただき,本県工業教育の1年間の歩みをまとめた機
関誌「工業教育」第 60 号を発刊できますことは,誠に同慶の至りであり,今後の工業教育の活性化さら
には充実・発展につながるものと期待しております。
2014 年(平成 26 年)は,1883 年(明治 16 年)に中等教育機関としての実業学校を制度化した最初の
規定である「農学校通則」が制定されてから産業教育は 130 年を迎え,11 月 16 日に記念式典が挙行され
ました。工業についてはそれから遅れること 16 年,1899 年(明治 32 年)に実業学校令が公布され,これ
に基づいて「工業学校規定」が制定されたことにより,工業教育が制度化されました。以来工業教育は,
明治の殖産興業,日露戦争後の産業の急激な発展,第二次世界大戦敗戦からの復興,高度経済成長,バブ
ル崩壊後の低成長期に,それぞれの時代の要請に応える中堅技術者を育成し,資源のない国ではあるが「も
のづくり」で付加価値を生み出し,日本の繁栄に寄与してきました。
そして現在は,世界の社会情勢も不安定であり,日本経済もデフレ脱却への期待感はあるものの先行き
不透明で,少子高齢化,グローバル化,高度情報化など,教育を取り巻く環境は多くの課題をかかえてい
ます。そういった中,国においても教育改革の大きな動きがあり,工業教育に関係する内容も多く含まれ
ているので注視が必要です。
まず,平成 21 年に改定された「学習指導要領」ですが,平成 27 年度から全ての学年で実施されること
になります。職業に関する各教科・科目の改訂に当たって,①将来のスペシャリストの育成,②地域産業
を担う人材の育成,③人間性豊かな職業人の育成,を基本的な観点としています。工業の教科の目標は,
「工業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ,現代社会における工業の意義や役割を
理解させるとともに,環境及びエネルギーに配慮しつつ,工業技術の諸問題を主体的,合理的に,かつ倫
理観をもって解決し,工業と社会の発展を図る創造的な能力と実践的な態度を育てる」であり,この機会
にもう一度,担当する科目の指導内容について確認することが大切です。
平成 23 年の中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」答申,
平成 25 年に閣議決定された「第二期(平成 25~29 年度)教育振興基本計画」
,平成 26 年の教育再生実行
会議「今後の学制等の在り方について」第五次提言などによると,職業教育・専門高校の重要性に触れた
上で,次のような課題をあげています。体験的活動を通じ専門分野に必要な実践力を身に付けること,大
学・産業界との連携強化,先端技術や技術・技能の高度化への対応,実習等での協働作業をとおしたコミ
ュニケーション能力や課題研究等での課題解決能力の育成,社会・職業へ円滑に移行できるように知識や
技術を活用する力並びに社会人基礎力を身に付けることなどであります。また,今後導入が予定されてい
る達成度テストについても,注目しておかなくてはなりません。
学校経営予算重点事業枠の「岡山県地域人材育成事業」
,
「岡山県高校生のものづくり技能取得支援事業」
「若年技能者人材育成支援等事業」
「岡山県高校生ジュニアマイスター1000 人創出事業」など継続中の事
業や,今年度新たに企業団体などから見学の受け入れや,技術指導などの積極的な支援も多くありました。
様々な課題をふまえながらこれらを活用しつつ期待に応えられるよう,更なる工業教育活性化に向けて,
まず教員自身が活力を持ってその原動力にならなくてはなりません。
結びにあたり,今年度から3年間編集の労を賜ります水島工業高校の先生方のご尽力に,心よりお礼申
し上げます。そして,本県工業教育を支えていただきました皆様方に感謝申し上げますとともに,今後と
も一層のお力添えをよろしくお願いいたします。
-1-
特集
倉敷川畔伝統的建造物群保存地区の町並み保存について
倉敷市教育委員会
生涯学習部文化財保護課 課長主幹
吉田 博充
◇はじめに
年間 350 万人前後の観光客が訪れる岡山県下屈指の観光地『倉敷美観地区』
。白壁土蔵のなまこ壁に軒
を連ねる格子窓の町家,そして川面に映る柳並木…。情緒豊かな町並みが形づくられています。
その美しい町並みを将来に引き継ぐために,倉敷市が行っている取り組みを,地域住民の活動も含めて
紹介します。
◇沿革
(1)江戸期までの倉敷
美観地区は,標高 36.8mの鶴形山の南麓に位置しています。鶴形山の周辺一帯は『阿知の潟』と呼ばれ
る浅海でしたが,高梁川の沖積作用による堆積が進み,天正 12 年(1584)に宇喜多秀家による潮止め工事
が大々的に行われ新田が開発されました。集落の中心に人工的に倉敷川を造り,上流域で高梁川と,下流域
で児島湾と通じさせたため,物資輸送の中継地という重要な役割を担う港として大変な賑わいを見せるよ
うになりました。
また,当時はこの地域には多くの水夫(船を操る船頭。
『かこ』と読みます。
)が居住しており,豊臣秀吉
の朝鮮出兵などに船を操って兵糧を運んだことが認められ,免税地となり,この地が税の優遇を受けるよ
うになったことも,もう一つの繁栄した要因といわれています。
慶長5年(1600)には備中国奉行領になり,更なる干拓や検地を行い,徐々に市街化されていきます。そ
して,寛永 19 年(1642)に幕府直轄地(天領)として幕府の支配下におかれ,物資輸送の集散地として,ま
た,急速に開発が進んだ周辺新田地帯の中心地として繁栄していく中で,有力な商業地主(後に『古禄』と
呼ばれている。
)が現れ,倉敷の政治,経済を掌握するようになりました。すると,権力者のもとで働く場を
求める人や商人で人口も急増し,活況を呈するようになりました。
こうした背景のなかで,美観地区の特性である本瓦葺き塗屋造りの町家と土蔵造りの蔵などを中心とし
た町並みが形成されていきました。
(2)明治初期の倉敷
慶應4年(1868)に代官所が廃止され,明治維新によって社会が大きく変動します。明治 24 年(1891)
に山陽鉄道が開通すると,物資の輸送手段が水運から鉄道に変わり商業の中心が駅前に移ったため,一時
ほどの賑わいが無くなってしまいます。
(3)先覚者の時代
そのような状況の中で,倉敷はもとより,関西の経済界に大きな足跡を残した実力者が登場し,『商人の
町』で知られた倉敷は新たな経済の時代を迎えることとなりました。その実力者の一族は,経済活動と共
に社会事業にも尽力し,倉敷の文化の発展を信じ,生涯を通じて社会事業,芸術文化などの支援に私財を投
入して先見的な貢献をしました。彼らの発案で,倉敷川畔にも洋風建築のモダンな美術館や商館が建てら
れましたが,それがまた周辺の江戸期以来の建物や自然環境などと溶け合って,独特のムードを作りだし
ています。
-2-
彼ら一族の中に,町並み保存の重要性に着目した人物がいました。彼は,『倉敷をドイツの歴史的都市ロ
ーテンブルクのようにしたい。
』との考えを抱いたのですが,戦争を目前にして実行に移すことはできませ
んでした。しかし,この思想は後の文化人に多大な影響を与え,建築や民藝といった立場での戦後の保存活
動へと繋がっていきました。
◇倉敷市の取り組み
(1)条例の制定
先覚者の意志を引き継ぐ形で行政が町並み保存の取り組みを本格的に始めるのは昭和 40 年代に入って
からのことです。
倉敷,児島,玉島の旧3市が合併した昭和 42 年(1967)に,市長の諮問機関である倉敷市の将来像に関す
る懇談会から倉敷川畔一帯の歴史的町並みの重要性と保存の必要性を指摘した報告書の提出があり,それ
を受けて,翌年の昭和 43 年(1968)に町並み保全を目的にした自主条例の『倉敷市伝統美観保存条例』を
制定しました。
この時代は,まだ,町並み全体を文化財として守るというような考えがない時代でしたので,同年制定の
金沢市の『町並み保存条例』とともに,全国から景観条例の先駆けとして注目されました。
そういった動きを後押しする形で,国は,昭和 50 年(1975)に文化財保護法を改正し,『重要伝統的建造
物群保存地区』
(以下『伝建地区』という。
)の制度を創設しました。
倉敷の場合は,前途の『倉敷市伝統美観保存条例』により独自に守っていましたが,昭和 47 年(1972)
の文化庁による集落町並み予備調査,昭和 49 年(1974)の倉敷町並み保存調査を経て,昭和 53 年(1978)
-3-
に『倉敷市伝統的建造物群保存地区保存条例』を制定し,翌昭和 54 年(1979)に 13.5ha の特に重要な区
域が伝建地区の選定を受けました。
(その後,平成 10 年(1998)に 15.0ha に拡大しています。
)
選定を受けたことで,国から補助金が得られるようになったほか,市条例により固定資産税や都市計画
税の減額や建築基準法の制限を一部緩和することが可能になり,より一層の町並み保存の推進につながり
ました。
また,伝建地区に選定されなかった地区(従来から守っていた地区)については,当初の『倉敷市伝統美
観保存条例』を改正することにより,引き続き伝統美観保存地区(以下『伝美地区』という。
)として守っ
ています。
(2)経費の補助
伝建地区内の建物の外観を修理する場合,伝統的建物には経費の8割で限度額 800 万円,伝統的でないと
される建物には経費の7割で限度額 500 万円が補助されます。また,伝美地区内の場合は,建物の外観を修
理する経費の6割で限度額 400 万円の補助があります。その他,工作物,防災設備などにも補助を行ってい
ます。
補助の実績としては,平成 25 年度(2013)までに伝建地区で 520 物件(補助総額 22 億円),伝美地区で
63 件(補助総額 2.3 億円)があります。
(3)条例の制定(背景保全条例)
平成2年(1990)には,バブル経済の中,土地の乱開発と瀬戸大橋開通後の観光客増により,伝建地区周
辺にホテルなどの高層ビル建設計画が相次いで浮上してきました。
市が調査を行うと,地上 13m を超えると地区の美観を損なうことが明らかになったため,伝建地区の背景
を守るための条例『倉敷市倉敷川畔伝統的建造物群保存地区背景保全条例』を,同年に日本で初めて制定
しています。
この条例施行により,当時,建設計画のあったホテルなどの事業者には,階数変更や意匠変更をお願いし
交渉は難航しましたが,損失補償を行うなどして景観に配慮していただきました。
その後も,中高層ビルの計画が数棟ありましたが,伝建地区から見えても構わないが,落ち着いた色にす
るのと表面をシンプルな形にしてもらうことで了解をもらっています。
(4)条例の制定(法的根拠の裏付け)
自主条例の『倉敷市伝統美観保存条例』では法的拘束力がなく,幾度かの問題にも直面したため,平成 12
年(2000)に,都市計画法上の美観地区として都市計画決定を行い,建物の高さ制限を規制した建築基準法
に基づく『倉敷市美観地区景観条例』を施行しました。その後,平成 17 年(2005)に景観法が全面施行さ
れたことにより景観法に基づく内容に改正を行っています。
(5)国指定重要文化財
町並みの中心になっている建物に,『旧大原家住宅』と『井上家住宅』の国指定重要文化財があります。
『旧大原家住宅』は,前途した一族の住まいで外観のみ見学可能です。
『井上家住宅』は日曜公開を行っていましたが,老朽化が進んでいるため平成 24 年度(2012)から6ヵ
年を要して保存修理工事を行っています。全解体修理という大がかりな工事で,現在は見学できませんが,
今後,工事途中にも,文化財の修理事業を広く知っていただくため,随時,見学会を催す計画がありますし,
完成後には一般公開を行うことになります。
伝建地区の選定では外観のみに制約がありますが,建物の指定となると内部まで制限が加わり,江戸期
若しくは明治初期の様式を保存することになります。2つの重要文化財は,この地域における歴史的環境
の形成に今後も重要な役割を果たすものです。
-4-
井上家住宅
旧大原家住宅
(6)くらしきまちや賞
ユニークな表彰制度を紹介します。
『歴史的景観の維持・促進に貢献した人』,『歴史的価値を広く周知させた人』などを対象に推薦をい
ただいて選考し,表彰する制度『くらしきまちや賞』を行っています。
平成 25 年度(2013)までに 72 件(80 名,1団体)の受賞者がおられます。受賞者には住民の方はもち
ろん,左官さん,造園職人さん,修理現場の監督さんら普段ではあまり受賞対象にならない人も含まれてい
ます。
(7)公有化事例
伝建地区内の重要な建築物が所有者の相続問題で転売の問題になり,取り壊しの恐れがあったため平成
13 年(2001)に土地を買い取り,建物は寄付を受けた事例があります。
現在は,建物の改修と周辺整備を行い,観光施設の『倉敷物語館』として活用されています。
(8)夜間景観照明
観光部局の取り組みの『新しい倉敷の夜を提供しよう。
』というもので,平成 17 年(2005)から5ヵ年
で実施しました。
白壁や蔵を照らす街路灯,町家の軒下には柔らかいスポット照明を配置するなど,場所ごとに配慮され
た灯りで地域の安全・安心度を増すとともに,夜の観光客増加にも一役買っています。
-5-
(9)電線類地中化・道路美装化
土木部局が担当した事業ですが,昭和 62 年度(1987)から順次施工が始まり,平成 26 年度(2014)で美観
地区全域が完了します。
張り巡らされた電線と電柱がなくなると,すっきりとした景観がよみがえりました。
◇地域住民の取り組み
平成 10 年(1998)頃になると,観光客目当ての商業施設が乱立してきました。景観破壊を起こすことに
危機感を抱いた地域住民は,自分たちの町は自分で守ろうという考えのもとに多数集まり始め,行政側と
の折衝窓口として組織の設立を目指しました。そして,平成 18 年(2006)に『倉敷伝建地区をまもり育て
る会』として発足,7つの部会でバリアフリー化の推進や通行車輛対策などの活動を行っています。
また,同時期に,NPO法人『倉敷町家トラスト』の活動が始まり,景観保全や町家の利活用など地域の
活性化に寄与してもらっています。特に空き家対策では所有者との仲介や借りたい人の募集など,行政で
は不動産の仲介はできませんので大変助かっています。
平成 22 年(2010)には,この二つの団体と倉敷市が三者一体で国土交通省から都市景観大賞の『美しい
まちなみ大賞』を受賞しています。
◇最後に
およそ 400 年の歴史をもつ町並みは,天災に見舞われることも少なく,戦災にも遭うことなく現在に至っ
ています。しかし,それだけではよりよい保存は望めません。町並みの文化的価値にいち早く目を向けた
先覚者たちの多大な尽力と地域住民の町を愛する気持ちがあったからだと考えます。
市としては,このように先覚者の時代から地域住民を主体に守り続けた歴史的景観を,町並み保存とし
て今後も全力で取り組んでいかなければと考えています。
-6-
工業教育の将来展望
~工業科主幹教諭・指導教諭研究協議会を開催して~
岡山県高等学校工業教育協会
工業教育基本問題研究委員会
1
はじめに
昨年度,本研究委員会では,各学校や先生方が
4 その他
平素感じている課題等を調査・分析するため,ア
5 まとめ・助言・閉会挨拶
ンケートを実施し,今後の将来展望に向けた解決
策を提案した。それを具現化するため,ミドルリ
3 議事概要
ーダーとして各校で活躍している,工業科の主幹
委員会事務局から,昨年度の工業教育誌に掲載
教諭・指導教諭の先生方に集まっていただき,研
した
「工業教育の将来展望」
について報告を行い,
究協議を開催することとした。
特に,Ⅰ教員間のコミュニケーションの円滑化,
協議では,主幹教諭の先生方に,Ⅰ教員間のコ
Ⅱ授業の充実 が課題であり,それを主幹教諭,
ミュニケーションの円滑化を図るために,学校運
指導教諭の先生方に検討いただきたい旨を説明し
営の組織化及び教職員の横断的協働化の観点に
た。
ついて。指導教諭の先生方に,Ⅱ授業の充実を図
協議では,主幹教諭・指導教諭の2グループに
るために,基礎学力及び教員の指導力の向上等の
分かれ,各学校での主幹教諭・指導教諭の業務の
観点について,工業教育の充実発展に向けて検討
現状と課題点を出し合い,解決に向けた方策を検
していただいた。同時に,設置されて日の浅い,
討した。協議の内容を,出席者全員で共有するた
主幹教諭・指導教諭の業務について,各校での役
め,それぞれの代表が発表し,質疑や意見,補足
割や立場について情報交換を行うこととした。
等を行った。
2 全体概要
4 共有した内容
日 時:平成 26 年9月 17 日(水)14:00~17:00
①県工業教育の充実発展について
場 所:県立岡山工業高校 100 周年記念会館
主幹教諭
参加者:県教委:佐々木指導主事(副参事)
・若手に仕事を持たせ,先輩に相談させること
岡工協:高柳理事長,内田事務局長
により,コミュニケーション力が養える。
主幹教諭:3名
(東岡工の防犯ホタルがよい例)
指導教諭:5名(1名欠席)
・専門科同士のつながりが難しい。県の事業の
委員会:楢原委員長,文谷(事務局)
ようなものに学校として取り組んでいく中
日 程:1 開会挨拶
でつながりが深まる。しかし,他の業務を精
2 基本問題研究委員会 報告
選しないと負担が増える。
・学校によって,課科長兼任と全体の主幹との
3 協議
2種類に分かれるので,立場が異なる。
①県工業教育の充実発展について
・「主幹」のポジションが不安定という状態で
②今後の本会の在り方について
-7-
は,引き継ぎがうまくいくか不安。
めるかを検討課題として欲しい。
・主幹教諭が岡工協の仕事を分担できるので
・ICTの有効活用は,たとえば理科には常設
は?(中工研のとりまとめなど)
してあるが空き時間は他教科が使用するな
指導教諭
ど,工夫の余地がある。
ICT教育の充実
・公開授業には,工業科の教員は実習があるか
・設備が整わない。
ら行きにくいという声を聞くが,誘われなけ
・ある機材をどう工夫して使うかが大切。
れば,命令されなければ行けない。
・周年行事費で購入予定の学校もある。
・他教科の授業も勉強になる。
・学校を越えたICT研修を実施しては?
・科を越えて,ポイントを絞って公開するのも
公開授業を含めた研修
よいのでは?
・管理職しか来ない。
(工業科の指導教諭公開授
・主幹教諭は管理職とのつなぎ役である
業の参加率が最も低い)
・他校や小中学校の授業や観点別評価を見に行
・特に若手が来ない。
けば,目からうろこが落ちる。
・年二回,必ず全員がやる学校もある。
・生徒は動く広告塔。わかる授業をしていると
・小学校に授業参観に行くのは勉強になる。
いうことが,中学校に伝わる。
・特別支援や定時制へも行くとよいのでは?
・出前授業などは小学校3~4年生が効果的。
・わかる授業は募集にもつながる。
・具体的に何をするか,テーマを決めながら,
・学び直しが必要。
今後も開催してもらいたい。
・TT,小人数による,きめ細かい指導が必要。
6 まとめ
・授業だけで理解できない生徒には,授業外で
の対応が不可欠。
今回,初めて工業科の主幹教諭・指導教諭研究
授業,評価の在り方
協議会を開催し,各校における現状と課題や,本
・観点別評価の浸透には差がある。
委員会で明確となった課題をもとに協議したが,
・小中学校はできている。
あらためて主幹教諭の校内での位置付け,立場が
・どうすれば評価できるかから始めないといけ
曖昧であることが浮き彫りになった。逆に,指導
教諭は業務が明確化されており,授業の充実に向
ない。
けて,取り組むべき内容もはっきりしているが,
②今後の本会の在り方
・今後も希望。
物理的な課題や運営上の問題から,十分な成果が
・中身があった。
表れていない状況が垣間見えた。
主幹教諭・指導教諭とも,各校のミドルリーダ
・やらないといけないことが見えてきた。
・情報が共有できた。
ーとしての活躍が期待されており,管理職と先生
・教材などの共有化ができるのでは?
方,先生方同士のつなぎ役として,極めて重要な
・県主催の会は,小から特別支援まで一度にや
役割を担っている。その中で,各校の課題を克服
るので,薄まってしまうが,今回は工業だけ
するために,悩みも尽きることなく,苦労も絶え
だったので,濃い話ができた。
ない。これを解決するためにも,学校を越えた連
携,ネットワークづくりが必要不可欠である。そ
・ネットワークづくりのきっかけになった。
こで,岡工協として,
「主幹教諭・指導教諭部会」
の設置を模索したい。
同会の独自の活動を通して,
5 助言概要
各校の現状を相互に把握し,問題解決を図りなが
・本協会初めてのメンバーによる協議会,有意
ら,本県全体の工業教育の充実に向けたエネルギ
義な開催であった。
ーが生まれることを期待したいものである。
・今後,共通教科の主幹教諭や指導教諭まで含
-8-
県教育委員会・産業労働部等との連携による
「高校生のものづくり技能取得支援事業」への取組(4年目)
岡山県高等学校工業教育協会
事務局長 内 田 範 政
1 はじめに
平成 19 年度,本県産業の継続的な拡大・発展を
支えるために不可欠な産業人材の育成・確保を目的
とした「おかやま産業人材育成プラン」に基づき,
県内諸機関・団体の連携による「岡山県産業人材育
成コンソーシアム」において具体的な人材育成につ
いての検討が始まった。
平成 22 年度,第 25 期岡山県産業教育審議会の建
議により,産業界と連携した地域産業の担い手育成
の在り方等についての方向性が示された。
その具体策の一つとして,高校生の技能検定合格
に向けた支援を行う「高校生のものづくり技能取得
支援事業」が平成 23 年度から平成 25 年度までの 3
年間を目安に実施された。
平成 26 年度からも事業を継続することとなり,4
年目の取組を示す。
2 「高校生のものづくり技能取得支援事業」の概要
(1)事業の主な内容
① 事前講習の講師派遣
県内在住もしくは県内高校に通学する高校生
を対象に,県立高等技術専門校の職業訓練指導
員や「現代の名工」
,
「岡山マイスター」に認定
されている高度熟練技能者等を講師として派
遣し,技能検定合格に向けた事前講習を行う。
対象検定職種は,鋳造,普通旋盤,フライス
盤,機械系保全,電気系保全,シーケンスの6
職種(以下「重点6職種」という。
)である。
② 練習用材料費の支援
技能検定合格に向けた練習に使用する材料
等の経費を支援する(対象は,重点6職種)
。
③ 技能検定受検手数料の減免
実技試験の検定手数料の半額を補助する(対
象は,全職種)
。
(2)技能検定合格者数の推移
本県の高校生が技能検定を受検するようになっ
たのは平成 16 年度からであり,事業への取組前
までの重点6職種の受検者数・合格者数の推移は
次表のとおりである。
2級
受検者数 合格者数
3級
受検者数 合格者数
平成 16 年度
0人
0人
3人
3人
平成 17 年度
0人
0人
28 人
13 人
平成 18 年度
6人
0人
42 人
25 人
平成 19 年度
7人
3人
38 人
27 人
平成 20 年度
7人
3人
64 人
45 人
平成 21 年度
14 人
3人
87 人
64 人
平成 22 年度
13 人
7人
112 人
94 人
目 標 値
30 人
20 人
270 人
180 人
平成 21 年度の本県高校生の合格者実績は3級
が 64 名(合格者割合:全国第 23 位,中国地方最
下位)
。2級が3名(同:全国第 20 位,中国地方
第3位)であった。
(3)技能検定合格者の数値目標
本事業の実施によって,
平成 25 年度の合格者割
合 全国第5位以内(中国地方第 1 位)を目指し,
受検者数・合格者数の目標値が上表最下段のとお
り2級受検者 30 人合格者 20 人,3級受検者 270
人合格者 180 人に設定された。
3 事業実施1年目の取組結果とまとめ
(1)1年目合格者一覧(全職種)
《前期》 合計受検人数 271 人
合格発表 3級:8/26(金),2級:9/30(金)
-9-
職 種 級 岡
鋳 造
普通旋盤
東
倉
水
津
笠
新
商
山
3
10
1
9
0
0
0
0
0
0
2
0
0
1
1
0
0
0
0
0
3
12
7
3
3
1
2
1
4
5
機械系保全
電気系保全
3
54
29
31
0
0
0
0
0
0
《後期》 合計受検人数 189 人,合格発表 3/15(金)
3
13
1
3
0
0
5
0
0
0
職 種
級 岡 東
倉
水
津
笠
新
商
山
理
広告面粘着シート
電気めっき
3
0
0
0
0
4
0
0
0
0
3
11
6
2
9
1
0
0
0
1
0
3
0
0
0
8
0
0
0
0
0
2
7
0
0
0
0
0
0
0
0
1
合計 208
89
38
47
12
5
7
1
4
5
普通旋盤
機械系保全
電気系保全
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
10
0
0
0
0
0
0
0
0
0
機械検査
3
11
1
7
0
0
5
0
0
0
0
射出成形
3
0
0
0
15
6
0
0
0
0
0
2
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
14
0
0
0
0
0
0
0
0
0
合計 104
55
7
9
24
7
5
0
0
1
1
《後期》合計受検人数 56 人,合格発表 3/13(火)
職 種 級 岡
東
倉
水
津
笠
新
商
山
電気系保全 2
シーケンス制御 3
射出成形 3
6
0
1
0
0
0
0
0
0
10
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
6
7
0
0
0
0
建築大工
3
12
0
0
0
0
0
0
0
0
合計 43
28
1
1
6
7
0
0
0
0
建築大工
(2)事業実施1年目のまとめ
表のように,2級が 9 名,3級が 242 名,合計
251 名が合格した。3級合格者数については,目
標を大幅に上回る成果が得られたが,重点6職種
のうち,フライス盤作業職種の受検者がおらず,
2級合格者数も目標に達しないなどの課題が残
った。
2年目に向けては,1年目に浮き彫りとなった
様々な課題の解決のために,県・協会・各校が連
携を一層深めた取組が必要となった。
そうした中,協会では初年度に出てきた課題に
ついて協議の上,練習用材料費が負担となってい
た普通旋盤作業及びフライス盤作業(以下「機械
加工職種」という。
)実技試験受検者1人あたり
3,000 円を補助することを決定(承認は平成 24 年
度総会)した。
4 事業実施2年目の取組結果とまとめ
(1)前期検定合格者一覧(全職種)
《前期》 合計受検者人数 447 人
合格発表 3級:8/24(金),2級:9/28(金)
(2)事業実施2年目のまとめ
年間合格者は,3級は 450 名となり,昨年度の
年間合格者 242 名を大幅に上回る成果が得られた。
また,受検者のいなかったフライス盤作業について
は 14 名が受検し3名が合格した。残念ながら前
期には2級合格者はおらず,後期で 10 名が合格
した。
昨年度実施した機械加工職種実技試験受検者
への協会補助金(1人あたり 3,000 円)について
は,84 名(前期 52 名,後期 32 名)に合計 252,000
円を補助し,前期で 39 名(旋盤 36 名,フライス盤
3名)が合格した。
最終年度となる3年目に向けては,取組校の拡
大(現在 10 校)
,2級合格者数の目標達成(20
名以上)
,さらなる3級合格者増等が課題となる。
5 事業実施3年目の取組について
(1)前期検定合格者一覧(全職種)
《前期》 合計受検者人数 565 人
合格発表 3級:8/23(金),2級:10/ 4(金)
職種
級 岡 東 倉 水 津 笠 新 商 山 興 理
3
27
2
2
0
0
0
0
0
10
0
0
2
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
3
5
9
1
3
1
5
4
4
3
0
0
フライス
3
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
機械保全
3
0
14
0
19
4
55
11
8
電気保全
3
7
0
3
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
電子組立
3
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
広告粘着
3
0
0
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
電気めっき
3
0
6
0
24
2
0
0
0
0
0
0
31
10
2
4
18
8
大工工事
3
11
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
合計 466
128
64
36
60
57
8
18
4
32
4
55
職 種 級
岡
東
倉
水
津
笠
新
商
山
理
鋳 造
3
29
3
11
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
4
1
5
9
2
3
2
3
7
0
フライス盤
機械系保全
電気系保全
3
1
0
2
0
0
0
0
0
0
3
63
33
75
10
26
0
0
1
3
18
0
3
0
0
7
0
電子機器組立
広告面粘着シート
電気めっき
3
4
0
0
0
0
0
3
0
0
0
0
3
3
0
0
0
12
合計 356
119
37
96
31
普通旋盤
シーケンス制御
鋳造
普通
旋盤
-10-
72 47 30 31 51
(2)後期検定受検者一覧(全職種)
《後期》 合計受検人数 272 人,
合格発表 3/14(金)
職種
級 岡
東 倉 水 津 笠 新 商 山 興 理
6 事業実施4年目の取組について
(1)前期検定合格者一覧(全職種)
《前期》 合計受検者人数 565 人
合格発表 3級:8/22(金),2級:10/ 3(金)
職種
旋盤
3
11 10
0
10
0
0
2
0
1
0
0
機械保全
2
7
0
0
0
0
0
0
0
0
0
8
電気保全
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
12
0
0
0
0
0
0
0
0
0
機械検査
3
26
1
33
0
0
4
0
0
4
射出成形
3
0
0
0
11
3
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
3
6
0
0
0
0
0
65
11
33
21
3
4
3 48 2 12 0
0
0
0
0
0
0 13 0
0
2
1
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
6
4
1
5
2
4
1
0
2
3
1
0
0
機械保全
3 59 42 14 12 37 0 12 10 0
0
7
2 30
0
電気保全
3 11 0
3
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
電子組立
3
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
機械検査
3
4
0
3
0
0
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
電気めっき
3
0
7
0 16 6
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
大工工事
3
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
5
0
8
化学分析
3
0
0
0
4
3
0
0
0
0
0
0
0
0
132 55
33
38
48
8
13
10
2
3
21
2
30
鋳造
普通
旋盤
電子組立
大工工事
152
合計 395
(3)事業実施3年間のまとめ
平成23年度
平成24年度
(2)後期検定受検者一覧(全職種)
《後期》 合計受検人数 204 人,
合格発表 3/13(金)
平成25年度
目標値
前期
後期
前期
後期
前期
2
7
0
10
2
18
3
11
4
27
7
29
後期
2級
9
10
14
級 岡 東 倉 水 津 笠 新 備 玉 商 山 興 理
20
31
合格者数
20人
受検者数
30人
職種
36
356
0
463
135
268
45
443
0
558
247
3級
242
356
598
313
443
805
合格者数
180人
受検者数
270人
3級・2級いずれも受検者数・合格者数ともに,
「高校生のものづくり支援事業」3年間の取組の結
果,当初の目標値を達成することが出来た。
本事業が3年間で終了することなく継続できる
ように,技能検定を受検した在校生や卒業生にアン
ケートを行った。アンケートは,①技能検定に挑戦
しようと思った動機,②技能検定を受検(取得)し
て得られたこと,③今後の技能検定受検に対しての
要望についての3項目で実施した。在校生からは,
今後も引き続き受検料の軽減を望む回答が多く寄せ
られた。卒業生からは,学習した知識や内容や作業
の段取りが今の仕事に役立つとの記述あり,今後上
級の検定を受検したいとの回答が多かった。
「高校生のものづくり技能取得支援事業」への取
組校は,11 校となり更なる拡大が望まれる。
今後一層県・協会・学校が相互に連携しながら,
高校生がものづくりの資格を取得できる支援や,環
境を整備する必要がある。
東 倉 水 津 笠 新 商 山 理
旋盤
3
17 11
1
9
0
4
3
2
3
0
機械保全
2
2
0
0
0
0
0
0
0
0
16
電気保全
2
8
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
19
0
2
0
0
0
0
0
0
0
機械検査
3
45
8
19
1
0
1
0
1
9
0
射出成形
3
0
0
0
10
7
0
0
0
0
0
2
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
3
3
0
0
0
0
0
0
0
0
0
97
19
22
20
7
5
3
3
12
16
36
206
級 岡
電子組立
大工工事
204
(3)事業実施4年目のまとめ
昨年度から岡山県職業能力開発協会との連携・協
力による
「若年技能者人材育成等事業」
が始まった。
「ものづくりマイスター」指導を受け,材料費支
給等の支援を活用し,技能検定の合格を目指した取
組を行った。
更に今年度から一般社団法人 岡山工業
会とも連携しながら,高校生がものづくりの資格を
取得できる環境を整備している。
取組校は昨年より2校増え,13 校となってきたが
今後更なる拡大が望まれる。
-11-
県教育委員会・産業労働部等との連携による
「高校生ジュニアマイスター1000 人創出事業」への取組(1 年目)
岡山県高等学校工業教育協会
事務局次長 髙 林 康 徳
1 事業概要
定等及び競技大会・コンテスト等とする。ただし,
ものづくり現場で役立つ技能検定など各種資格
類型教養系及び技能検定(職業能力開発促進法第
取得に向けた講習等による支援を行い,数多くの資
44 条に規定する技能検定)該当する資格,検定等
格取得や競技大会での入賞者に与えられる「ジュニ
は除くものとする。表1に主な補助対象資格の例
アマイスター」の称号を有するものづくりに意欲溢
を示す。
れる優れた高校生を多数輩出することを目指すため、
表1 主な補助対象の例
JM№
資格・検定等の名称
従前の技能検定合格に向けた支援を行う「高校生の
141
ボイラー技士
ものづくり技能取得支援事業」に加えて,労働雇用
142~144
JIS 溶接技能者関係
145~147
自動車整備関係
政策課の平成 26 年度新規事業として,
「高校生ジュ
162
電気工事士
ニアマイスター1000 人創出事業」が設けられた。
181
測量士・測量士補
191~196
危険物関係
2 主な内容
197~203
消防設備士
(1)補助対象
211~213
公害防止管理者
214
毒物・劇物取扱責任者
①職業能力開発機関や企業OB,民間教育訓練機
244
品質管理検定(QC 検定)
関,高等学校教員等からの講師派遣による事前
401
高校生のものづくりコンテスト
講習の実施
412
若年者ものづくり競技大会
431
高等学校ロボット競技大会
②練習用材料費の支援
441
溶接競技大会
(2)補助金の額
253・254
高圧ガス製造保安責任者
土木施工管理技術検定
①講師謝礼
建築施工管理技術検定
126
1時間あたり 10,000 円以内とし,25,000 円
電気施工管理技術検定
管工事管理技術検定
を上限とする。
405
ジャパンマイコンカーラリー
②講師旅費
406
ジャパンマイコンカーラリー ベーシック部門
実費弁償とし,岡山県職員等の旅費に関する
4 実施状況
条例及び岡山県職員等の旅費支給規則の規定
本年度は,表 2 に示すとおり 8 校 15 講習 271 名
を準用し算出した額とする。
の受講者があった。
③会場借上
表2 平成26 年度高校生ジュニアマイスター1000 人創出事業実施実績
講習会に必要なマイク等の設備の借り上げ
学校名
JM№
資格・検定名
受講者数
岡山工
181
測量士補
10
を含み,1日あたり 30,000 円を上限とする。
108
グラフィックデザイン検定
80
④バス借上
173
色彩検定
10
津山工
講習会あたり 80,000 円を上限とする。
185
レタリング技能検定
40
172
カラーコーディネーター検定
10
⑤機器借上
新
見
142
JIS 溶接技能者評価試験
6
講習会あたり 30,000 円を上限とする。
401
高校生ものづくりコンテスト溶接
3
備前緑陽
⑥教材費
142
JIS 溶接技能者評価試験
24
401
高校生ものづくりコンテスト
5
講習会あたり 40,000 円又は補助基準額(単価
高梁城南
431
高校生ロボット競技大会
5
2,000 円×受講者数)のいずれか低い額とする。
162
電気工事士
4
3 補助対象資格試験等
162
電気工事士
7
倉市工
191
危険物取扱者
15
公益社団法人全国工業高等学校長協会ジュニ
玉野備南
191
危険物取扱者乙種4類
12
アマイスター顕彰制度実施要項 4.区分表「ジ
おかやま山陽
145
自動車整備
40
ュニアマイスター顕彰区分表」に掲げる資格・検
-12-
教育研究
文部科学省委託事業
~工業高校生の専門的職業人として必要な資質・能力の評価手法の調査研究~
岡山県立倉敷工業高等学校
髙 田 国 宏
窪 木 浩 之
河 原 紫 穂
倉敷工業高校では,文部科学省委託事業「工業高校生の専門的職業人として必要な資質・能力の評価
手法の調査研究」の研究指定校として,平成 25 年より研究に取組んできた。この研究は生徒が多様な
学習活動のなかで,工業高校生としての資質・能力の向上を図るための指導や評価を調査研究すること
を目的にしている。本校の研究について報告する。
1.はじめに
現在の高校教育においては,多様な生徒の能力,
適性,興味・関心,進路希望等に対応するため,多
様な高校教育の選択肢を提供するための制度の整備
や各都道府県における高校教育改革を通じた各学校
の特色化などが進められてきたが,一方で生徒の学
習意欲の低下など,高校教育に対する信頼性のゆら
ぎや質保証に対する社会からの要請に答えることが
求められている。
こうした状況を踏まえ文部科学省では,筆記試験
等では評価が困難な,高校生が身に付けるべき幅広
い資質・能力についての評価の妥当性の確保や信頼
性の向上等に向けて,高等学校での様々な学びのニ
ーズに対応した取組による,多様な学習成果につい
ての評価方法に関する調査研究を行うこととし,そ
の成果を普及していくことで,高校教育の質保証に
向けた取組を推進することとなった。
美術部(9名)の生徒とする。
本校のファッション技術科では授業,部活動(テ
キスタイル部,美術部)で制作した「倉工デニム」
,
「各種繊維製品」に関して倉敷市内,美観地区の企
業・施設に協力をして頂き,地域連携事業に取り組
んでいる。このような,専門性を生かした活動は他
の専門科でも実施しており,地域貢献,キャリア教
育・職業教育の学習の機会となっている。
(図1)
また,この研究を課題研究や実習などの評価手法
に導入したいと考えている。以上のことを考慮して
このような設定とした。
2.研究目的
倉敷工業高校では,身に付けた専門性を職場や地
域社会で発揮することにより,
「ものづくり」や「地
域産業」
に貢献できる職業人の育成を目指している。
本研究は生徒が学校,地域での体験活動を含めた多
様な学習活動から,学力のみならず工業高校生とし
て幅広い資質・能力の習得に至る課程を多面的に評
価することを目的としている。
3.研究内容
(1)対象教科・科目
対象教科・科目は「工業(ファッション技術科)
」
:
「課題研究」に設定し,対象生徒はファッション技
術科の生徒が中心であるテキスタイル部(12 名)
,
専門性を生かした取組み
倉敷工業高校
ファッション技術科
テキスタイル部,美術部
地域連携事業
・倉敷・児島地区の企業,美
観地区の商店との連携
・老人保健施設,病院などの
施設との連携
・社会人として専門性を発揮できる,幅
広い資質・能力の習得
図1 倉敷工業高校の取組み
-13-
(2)研究手法
ファッション技術科の生徒が中心である,テキス
タイル部,美術部の生徒による「髙梁川マルシェ」
への取り組みを,各ステップ(図5)において必要
な資質や能力を規定し,評価指標を作成していく。
ベースとするものは「社会人基礎力」
(図2)としな
がら,倉敷工業高校の生徒として育成したい資質・
能力「倉工スタンダード」
(図2)も独自に設定し,
~前に踏み出す力(アクション)~
主体性・働きのかけ力・実行力
図4 倉工ルーブリック
【研究計画 ~髙梁川マルシェプロジェクト~】
~考え抜く力(シンキング)~
4月〜5月
課題発見力・計画力・創造力
~チームで働く力(チームワーク)~
発信力・傾聴力・柔軟性・状況把握力
6月
規律性・ストレスコントロール力
+
〜
倉工スタンダード
【ステップ1】
活動実施計画
【ステップ2】
企業,学校と連携
した「ものづくり」
評 価
指 導
「髙梁川マルシェ」実行委
員会との連携事業の企画・立
案および活動計画の作成。
評 価
指 導
ファッション技術科,
テキス
タイル部の専門性を生かし
た綿,羊毛,デニムの各種製
品の企画・制作。
評 価
指 導
髙梁川マルシェ会場にて,作
品の展示およびスタッフへ
の製品提供(スタッフエプロ
ン,会場案内のぼり等)
。
評 価
指 導
岡山県高校デザイン展など
の イ ベ ン ト で 取 組 みの 報
告・展示などの言語活動を
行う。
評 価
指 導
倉工スキルアップシートを使
って活動を振り返り「社会人基
礎力」
,「倉工スタンダード」習
得について自己評価をする。
10
月
10
【ステップ3】
11
月
11
作品の展示,販売
など
〜
1月
図2 社会人基礎力・倉工スタンダード
2月 〜 3月
その2つの観点を盛り込んだ評価指標「倉工ルーブ
リック」
(図4)を作成する。各ステップで評価記入
用紙「倉工スキルアップシート」
(図3)を生徒に配
布し自己評価,教員評価,外部評価を含めたパフォ
ーマンス評価を行う。
【ステップ4】
活動報告,展示な
どの言語活動
【ステップ5】
ま と め
倉工スキルアップ評価表
の各ステップに1枚のシ
ートを使いその中で,自
己評価,教員評価,外部
評価を記入する。
生徒自己評価
教員評価
図5 髙梁川マルシェの各ステップ
(3)
「髙梁川マルシェ」とは
「髙梁川マルシェ」とは,日本の伝統的な食文化,
和食が世界無形文化財に登録されたことをきっかけ
にして『和』をテーマとしたマルシェを企画。大橋
家9代目中島屋平右衛門氏のご高配により,国指定
重要文化財「大橋家住宅」を主会場にして,日本の
伝統文化を現在につなぎ,これからの食と暮らしを
提案していくイベントである。
【主 催】
高梁川マルシェ実行委員会,生活に文化が薫るまち倉敷実行委員会,
岡山県,倉敷市,おかやま県民文化祭実行委員会
外部評価
【後 援】
岡山県備中県民局,倉敷市,倉敷観光コンベンションビューロー,
高梁川流域連盟,倉敷商工会議所,エフエムくらしき,倉敷ケーブルテレ
ビ,岡山県立大学,くらしき作陽大学,倉敷芸術科学大学GREEN DAY
実行委員会,STOP温暖化くらしき実行委員会
外部評価記入欄は,切り
離し可能で,会議などで生
徒の言動を確認しながらで
評価することができる。
図3 倉工スキルアップシート
-14-
(4)髙梁川マルシェでの取組みについて
「髙梁川マルシェ」実行委員会へ参加した生徒
(テキスタイル部3年生 女子2名)によるプレ
ゼンテーションで,
「倉工デニム」を使い,イ
ベントスタッフが着用するエプロンの企画・制
作を提案した。
4.研究経過
【~ステップ1,ステップ2~】
5月
・髙梁川マルシェ実行委員会参加
・スタッフジャンパーに代わる,倉工デニム制品の提案
テキスタイル部作品
6月
<髙梁川マルシェ実行委員会(5 月)>
倉工デニムを使ったスタッフエプロンの提案
マルシェ実行委員会
・倉工デニムで制作した,
「エプロン」を実行委員会で提案する。
・ 修正個所の指摘を受け,エプロンのプロトタイプを制作する。
・ 実行委員会より,会場案内用の「のぼり」制作を受ける。
会議では倉工デニムを使ったスタッフエプロン
を提案し様々なアドバイス,評価を実行委員の方
にしていただいた。
実行委員会へ作品の提案作品
7月
倉工デニムの裁断
・ エプロンが正式に採用になり,各資材を発注する。
・ 会場案内用のぼりの設置場所の下見および実行委員との打
ち合わせ。
資材(D カン,ネームラベル)
エプロンの制作
8月
<髙梁川マルシェ実行委員会(6月)>
エプロンプロトタイプのプレゼンテーション
6月の実行委員会では,スタッフエプロンのプロ
トタイプを提案することができ,各部の資材,ポケ
ットの位置・大きさ等が決まった。エプロンの最終
的なデザインが決定し,約 100 着のエプロンを制作
することになった。また,実行委員会の中で会場案
内用「のぼり」の制作の依頼があり,これについて
は部員,顧問で検討しエプロンの制作枚数が多いた
め,美術部で制作することにした。
-15-
のぼり設置会場の下見
・スタッフ用エプロンの制作(約 100 着)
・のぼりの試作 (作業効率化のため美術部が担当)
のぼり試作品
「髙梁川マルシェ」
ロゴの印刷
【~ステップ3,ステップ4~】
9月
・スタッフ用エプロンの制作(完成検査章の縫い付け等)
10月
髙梁川マルシェ参加(言語活動)
髙梁川マルシェにスタッフとして参加し,言語活動
を行う。
・スタッフエプロン配布時にアンケート依頼をし,結果の集
約をする。
(スタッフエプロン,倉工スタッフについて)
・出展している店舗にスタッフとして参加し,来店者とのコ
ミュニケーションを通じた言語活動を行う。
検査章の縫い付け
・倉工ブースを設置し,テキスタイル部の活動,実習の作品
等を展示し倉工のPRをする。
エプロン洗浄作業
倉工展示ブース
エプロン完成品
スタッフエプロンの配布
店舗スタッフとしての活動
会場案内用のぼり(美術部制作)
・のぼりは会場地図を入れた物を 10 枚制作
イベントのチラシ配布
-16-
5.まとめ
この研究の主題である「工業高校生の専門的職
業人として必要な資質・能力の評価手法の調査研
究」について,地域連携事業に取組む生徒を「倉
工ルーブリック」
(評価指標),「倉工スキルアッ
プシート」
(評価記入用紙)を用いたパフォーマ
ンス評価を行った。見えてきた,成果と課題を以
下に挙げる。
(1)研究成果
・倉工ルーブリック(評価指標)をあらかじめ
提示し,評価の観点を可視化することで「何
が評価されることがらなのか」について生徒
と情報を共有することができた。
・評価基準を共有することで,複数の評価者(外
部評価者,教員)で評価することができた。そ
のことが生徒の自己評価とのズレも抑制でき,
双方で納得ゆく評価につながった。
(2)今後の課題
この評価手法を,今後は課題研究や実習等の体
験学習の評価に取り入れたいと考えている。
髙梁川マルシェプロジェクトは,5ステップで
構成されているが,これは実習の授業を想定した
ものである。本校の機械科の実習では,4週〜6
週で次のショップへ変わる授業体系をとってい
る。よって,今回のプロジェックトの1スッテッ
プを実習の 1 週分(3時間)と考え,各週の実習
の評価基準を作成することでその実習のルーブ
リック(評価指標)(図6)が完成する。このよ
うなルーブリック(評価指標)を各実習で作成す
ることで,誰が担当しても評価の信頼性や妥当性
が確保されると考える。
【第1週】
【第 2 週】
安全教育とフライス盤,
形削り盤について
【第3週】
立フライス盤作業
6面体の制作①
立フライス盤作業
6面体の制作②
【第4週】
【第5週】
【第6週】
形削り盤作業
Vみぞ削り
横フライス盤作業
みぞ削り
まとめ
・生徒がその取組みの中で,「自分がどの段階に
いるのか」自らの学びを振り返りながら,自分
の成長の度合いを確認し,意欲的に努力する姿
勢が見られた。
・髙梁川マルシェを通して,地元企業でリーダー
シップを発揮している方々と交流できる機会
を持つことにより,学校で行われている評価と
は違う視点の評価をいただき,大変新鮮な刺激
を受けた。そのことが生徒自身の「ものづくり」
や「地域貢献」にかける想いを豊かに増幅し,
モチベーションの向上にもつながった。
・
「倉工スキルアップシート」により,自己評価,
教員評価,外部評価を1枚のシートにまとめる
ことができ,全体的にスムーズな評価の流れを
確認できた。
活動記録
生徒自己評価
教員評価
外部評価
図6 倉工ルーブリックの例 【Vブロックの製作 -第1週目- 】
6.むすびに
これまでの課題研究や実習等の体験活動を含
めた学習の評価方法については,統一的な評価基
準が確立されておらず,担当教員の主観に任せた
評価が多かった。それでは,生徒,教員間に評価
のズレが生じるとともに客観性にも疑問が残る。
この研究で実施した「倉工ルーブリック」(評価
指標)を用いた評価手法はそういったことを抑制
することも可能である。被評価者(生徒)と評価
者(教員)の双方に評価基準をあらかじめ提示し,
評価の観点を可視化することで評価の妥当性,信
頼性等を高めることができ,更には生徒や保護者
の学校への信頼にもつながると考える。
今後は,実践研究を重ね,学習指導と学習評価
のPDCAサイクルの中で 授業の構成や指導の
在り方,評価手法を工夫改善し,より良い授業に
つなげたいと思う。
倉工スキルアップシート記入例
-17-
備前市片上地区1園2校合同避難訓練を実施して
~こども園・小学校・高校の校種,年代を越えた連携と共助~
岡山県立備前緑陽高等学校
主幹教諭
末 廣
聡
本校は片上湾に面した西片上地区に立地し,地震・津波発生時には2次避難場所として海抜 50mの校外の
土地を指定している。平成 25 年から避難訓練において,地震・津波発生時における安全な対処・避難の
方法を体得する訓練を実施するにあたり,近隣の施設である片上小学校,片上認定こども園にも参加を呼
びかけ,備前市片上地区1園2校合同避難訓練を実施した。本年度で2回目の実施となった。
1 はじめに
本校の位置する備前市西片上北部は,高校である
本校と,片上小学校,片上認定こども園が隣接する
地区である。園児は約 100 名,小学生が 150 名,高
校生は 480 名と約 750 名の子どもたちがほぼ同じ場
所で園・学校生活をおくっている。
平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災(東北地
方太平洋沖地震による災害)は,改めて学校防災の
あり方を考え直す機会となったが,本年度の避難訓
練から,地震・津波発生時における安全な対処・避
難の方法を体得する訓練を実施するにあたり,片上
小学校,片上認定こども園にも参加を呼びかけ,備
前市片上地区1園2校合同避難訓練として実施して
いる。
本校が地震・津波発生時を想定した避難訓練を実
施するにあたっては,平成 24 年 12 月に実施した生
徒対象の学校評価アンケートがその契機となった。
「学校で地震や火災などの災害が起こった場合,ど
のように行動すればよいか知らされている。
」
の質問
項目について,
「あてはまらない,ややあてはまらな
い」と回答した生徒は全体の4割を越える結果とな
っていたのである。例年では3割程度の生徒がその
ように回答し,経年の顕著な変化は見られない項目
であったが,社会の防災意識の向上に伴い,その数
値が上昇したとものと推察される結果であった。こ
れまでも学校における防災教育は,年1回の避難訓
練や特別活動(ロングホームルーム)の時間などを
活用して実施してきたが,想定した災害は,多くが
学校内の施設火災や台風の影響による風水害であり,
地震・津波発生時を想定したものは今回が初めてで
ある。本校の防災計画には津波発生時の避難は,2
次避難場所である本校から 1.7 キロ離れた片上サイ
クリングターミナル(標高約 50m)としてあり,今回
は少し時間がかかったとしても2次避難場所への移
動も含めた,防災計画に従った避難訓練を実施する
ことになった。
学校評価アンケート結果(n = 456)
1)
2 避難訓練の概要
(1)目的
地震・津波発生時における安全な対処・避難の方
法を体得させ,生命尊重の意識を高める。さらに 1
園 2 校合同避難訓練を実施することで,園児,児童,
生徒の校種,年代を越えた交流を図り,同時に各校
園教職員の役割分担および担当者の確認,連携の機
会とする。
○こども園・小学校低学年生 行動目標
災害発生時に教職員の指示に従い,高校生と
-18-
共に,安全で適切な行動がとれるようにする。
○小学校中学年生 行動目標
自他の生命を尊重し,災害発生時に適切に判
断し,主体的に行動できるようにする。
○小学校高学年生 行動目標
自他の生命を尊重し,災害発生時の様々な場
面に応じて自ら安全で適切な行動がとれるよ
うにする。また,他の人々にも気配りができる
ようにする。
○高校生 行動目標
自他の生命を尊重し,災害発生時に社会人と
しての役割を自覚し行動できる態度を養う。
(2)日時
平成 25 年 19 月 13 日(金)9:30~11:30
平成 26 年 10 月 10 日(金)9:30~11:30
(3)想定
9:30 地震発生
避難が必要となるレベルの地震が発生し片上
地区へ避難指示発令を想定,校舎窓ガラス破
損,電気,水道,電話回線停止,携帯電話回線
不通,各校園の判断により,2次避難(片上サ
イクリングターミナル)を実施する。
(4)避難規模
片上認定こども園
片上小学校
備前緑陽高等学校
園児童生徒計(職員計)
H25
106 名(20)
148 名(15)
468 名(40)
722 名(75)
つなぎ避難補助にあたった。高校生は,こども園
玄関前で1列に整列し,園児と出会いペアリング
をする。また,高校3年生は,子ども園教職員の
指示を受け,主に0,1歳児の避難補助にあたっ
た。これは主に幼児移動用の押し車を牽引した。
備前市立片上小学校については,小学校1年生
(25 名),2年生(23 名)の避難補助を高校2年生 54
名が,北門から小学校校庭南入口から小学校校庭
へ移動し,現地で児童とペアリングされ手をつな
いで移動した。残りの高校生は1列で移動した。
(8)移動時間(平成 25 年度)
子ども園,小学校の避難開始から点呼完了まで
に要した時間は 35 分 44 秒 ,高校の点呼完了ま
での時間は 39 分 40 秒であった。備前緑陽高校
からサイクルセンターまでの大人の徒歩による
移動は,約 20 分程度ということから,この訓練
では約2倍の時間がかかっていることになる。園
児や小学校低学年児童の徒歩の速さを考えれば,
この結果も想定できたかも知れないが,年齢の異
なる集団の移動は最も弱者の立場で想定する必
要があることがわかった。
H26
94 名(25)
148 名(15)
472 名(48)
714 名(88)
(5)避難場所
備前市立片上認定こども園
1次避難/園庭 2次避難/片上サイクリングターミナル
備前市立片上小学校
1次避難/校庭 2次避難/片上サイクリングターミナル
岡山県立備前緑陽高等学校
1次避難/教室 2次避難/片上サイクリングターミナル
こども園裏手
(6)時程
9:30 地震発生(1 次避難 こども園小学校
は園庭・校庭)
9:32 2次避難指示
9:35 避難経路の安全確認報告
9:40 高等学校,こども園,小学校移動開始
(7)避難の実態(平成 25 年度)
備前市立片上認定こども園,
園児5歳児(31 名),
4歳児(17 名),3歳児(24 名),2歳児(12 名)に対
し,高校生が5歳児に対し1名,4歳児に対し1
名,3歳児に対し2名,2歳児に対し2名が手を
-19-
小学校前
3 まとめ
まず,生徒の感想を以下に掲載する。
『私の父は消防士という職柄か,日頃から災害の
時の話や,救助の話をしてくれることがあります。
その話の中で,阪神淡路大震災の時,母がおなかの
中にいる僕をかばう為にとっさにタンスに背を向
けて守ろうとしてくれたことがあることを聞きま
した。結局,タンスは倒れず無事だったのですが,
生まれる前に僕は守られました。もちろん,生まれ
た後も僕は父や母,他の大人の方々に守られて生き
てきました。しかし,今回の避難訓練でこども園の
子どもと手をつないで避難している時,子どもの笑
顔や,園での話を楽しそうに話してくれるのを聞い
て,なぜか先ほどの父の話を思い出して,「自分も
父や母,みんなが,してきてくれたように,この子
どもたちの笑顔や日常を大きな愛で守られるよう
になりたい」と強く思いました。
・・略・・』
(高校
2年)
『・・略・・今日の避難訓練で思ったことは,幼
児や小学生をつれて目的地まで行ったが,実際地震
が起きて避難することになったらここまで上手く
いかないと思う。自分の命も守らなければならな
い。日頃からよく考えて行動し,災害が自分の身の
周りで起きたとき,冷静に対処できるように訓練す
る必要があると思いました。また幼児と訓練してみ
て思ったことは,
「暑い?」,
「のど渇いた?」など
を聞いても緊張しているのか反応がない子もいる。
そういう時にいかに自分から異変に気づいてあげ
て,対処してあげるかが大切だと思う。今までも幼
児との避難訓練もありましたが,また新たに学ぶこ
とができた避難訓練でした。
・・略・・』
(高校2年)
『・・略・・本当に地震や津波がきたら自分がパ
ニックになってしまい小学生達を安心させられる
か不安だけど,その不安を顔に出すと小学生達にも
伝わって不安にさせてしまうので,今日みたいに楽
しい話をしつつ一人でも多くの人たちが助かるよ
うに頑張りたいです。今日訓練したことは大変貴重
なことだと思うので,この訓練を忘れないようにし
たいです。
・・略・・』
(高校2年)
避難する様子
『・・略・・今回の避難訓練はとても本格的で,
実際的な体験ができました。子どもたちと一緒に訓
練することができてとてもよかったです。また来年
もあるのであれば是非,積極的に参加したいと思い
ました。子どもたちとは途中から分かれてしまった
ので,次は帰るところまで一緒に居たいです。・・
略・・』
(高校2年)
『・・略・・最初は幼稚園児と一緒にいくと聞い
て楽しみとちゃんと連れて行かれるかという不安
な気持ちでした。実際に行ってみて,歩くペースと
か自分が道路側とかたくさん気を遣いました。サイ
クリングターミナルについてから,東備消防の矢本
さんの話を聞きました。
「必要なことは自分を守る,
命を守るということ,そして周りをよく見る,誰か
を助ける」ということです。本当に避難することに
なった場合,冷静に対処すること,焦らないことを
守っていきたいです。初めてこんな体験をしてみて
今日はとてもいい経験だったんじゃないかと思い
ます。これから先もこんなことがあるかもしれない
ので,今日のことをよく覚えておきたいです。・・
略・・』
(高校2年)
-20-
歩けなくなった園児をおんぶする高校生
状況の把握が十分にできないことや,訓練とはいえ
園児,小学低学年生の体力への負荷の大きさという
点である。今年度で2回目となる訓練を終えて,職
員も共通理解がすすんできたとすれば,2年に一度
の訓練にするなど,回数などを改善するべきである
と考える。
そして,現在は学校園だけの避難訓練であるが,
病院や福祉施設,そして地域へ広げた実際的な訓練
をすることも必要なことであり今後の課題とする。
【補足】
1)「学校で地震や火災などの災害が起こった
場合,どのように行動すればよいか知らさ
れている。
」という学校評価アンケートを
前述したが,このアンケート結果の「あて
はまる,ややあてまる」の数値は,59.0%
(H24)から 80.9%(H25)へと H25 年度は大
幅に改善した。
2次避難場所のサイクリングターミナル
訓練が終わり高校生にも慣れた園児
『私はカメラで記録写真を撮りながら,同時に東日
本大震災の津波の映像を思い浮かべていました。小
学生達が整然と歩き,高校生が手を引き園児が一生
懸命歩いている健気な姿を眺めながら,もしこれが
本当の避難ならと想像し,気持ちが高ぶりました。
東日本大震災の避難は,想像をできないほどつら
く,残酷なものだっただろうと思えました。この地
に勤める教員として,この子どもたちを守りたい,
守らないといけないという気持ちが強くなりまし
た』
(教員)
生徒の感想からも,
「災害発生時に社会人として
の役割を自覚し行動できる態度」を育成するという
訓練の目的はほぼ達成できたと思えるものであっ
た。子どもたちとの合同での避難で,おしゃべりや
体調をうかがう声かけなどが見受けられ,高校生の
姿勢にやや緊張感がないという面もあったが,高校
生が園児や児童との関わりの中で,子どもたちを守
るという使命を認識し,自覚を高めたことなど,訓
練で得たものは大きいと思われる。
訓練の課題については,約 800 名の隊列の避難
-21-
専門教育
地域貢献活動を通した技術者倫理の育成
岡山県立岡山工業高等学校
御 船 博 士
近年,倫理の欠如についてよく取りただされ,特に「コピペ問題」は重大な社会問題となっている。
私がはじめて技術者倫理について考えるようになったのは,自身の教育活動の違和感からである。課題
提出の際,一部の生徒はプリントでは他人のものを写し,調べ学習ではウェブサイト,参考書の丸写しで
提出する。確かに課題提出の目的は達成しているが,その行為に倫理的な罪悪感をもっていない生徒とそ
れを許容しようしている自分に不安を覚えた。それから,なるべく課題は全員違うものを与えるようにし
ているが,その対処は倫理観の育成には繋がってはいない。
そこで今回研究発表として,これまで私なりに技術者倫理の育成を目的とした授業の内容を振り返り報
告するものとする。
1.地域貢献活動
研究の題材となる地域貢献活動は,本校土木科3
年生の課題研究の授業の枠組みで,年度当初に生徒
の自由意思により分けられた研究班の1班(7名)
による活動である。 そして,この地域貢献活動の
始まりは,教育活動から発生した廃棄物を回収し,
リサイクルしたコンクリート(再生コンクリート)
製品として各校へ贈呈するなどして,産業副産物の
有効利用,環境負荷低減材料の開発を目指すことを
目的に平成 22 年から平成 24 年の3年間,本校が指
定され土木科が中心となり進めた「スーパーエンバ
イロメントハイスクール研究開発事業」の取り組み
のひとつである。現在この事業は完結しているが継
続事業として今年度も行っており,活動場所は本校
から北に 500mの位置にある岡山市立伊島小学校で
ある。また,伊島小学校での活動は今年で5年目を
迎えている。
2.再生コンクリート
使用済コンクリート(写真1左上)を粉砕し(写
真1右上,左下)
,粗骨材として利用したコンクリー
トのことで,配合や強度試験を行い全ての地域貢献
活動で製品化している(写真1右下)
。
写真1 再生コンクリート精製・試験状況
3.製品一覧
これまで私が関わった製品を紹介するが,設置場
所は全て前項で説明した伊島小学校の校内である。
○ 平成 22 年度 歌碑周辺整備
現状は歌碑の根元部が長年の風雨によって洗わ
れ露出してきており,歌碑の根元部の整備を依頼さ
れた。小学校側のニーズに合わせ,児童の安全とリ
サイクルにこだわり,伊島小学校より回収した角が
無いペットボトルを型枠として使用することにした。
写真2 歌碑施工前
-22-
写真3 歌碑施工完了
○ 平成 23 年度 歩道整備
校内の歩道の一部が,長年にわたる車両の通行,
降雨による軟弱化で最大 15cm 沈下し,児童の通行
困難にしている。舗装版の製作を行い,歩道下に暗
渠排水を設置して歩道を新設した。この歩道は後日
児童が「エコエコロード」と命名してくれた。
写真 10 伊島小学校の製品配置
写真4 歩道施工前
写真5 歩道施工完了
○ 平成 24 年度 防災ベンチ
当初,中庭のベンチの増設3台であったが,製品
の付加価値の追求をテーマに災害時には「かまど」
として使用できる防災ベンチを提案した。
4.学習目標
上記のように貢献活動として様々な製品を作製し
てきたが,図1で示したように「土木工事の流れ」
「環境への配慮」
「地域の方々への感謝の心」この3
つを正しく学ぶことで,
「技術者倫理の習得」を最大
の目標としている。
図1 地域貢献活動における学習目標
写真6 防災ベンチ
写真7防災ベンチ災害時
○ 平成 25 年度 花だん
児童の憩の場である中庭の周辺に雑草が茂り危険
で景観を損なっている区域を有効利用したいという
依頼があり,花だんを計画した。
今年の4月,この花だんを「なかよしエコ花だん」
と命名していただいた。
写真8 花だん施工前
5.技術者倫理の育成
技術者倫理とは,最近よく耳にする言葉でもある
が,企業倫理(モラル)
,法令遵守(コンプライアン
ス)と言い換えることもでる。そこで私はこう解釈
している。自分の行為が恥ずかしくないか,自分の
造ったものに胸を張れるかということである。
つまり,ばれなければよいではなく「労力を惜し
まないそれがものづくり」この精神が技術者倫理の
キーワードと考えている。
そこで,技術者倫理を育成するための地域貢献活
動の展開として,下記の3項を実践している。
① 土木事業の工程を全て行う。
→ 調査・開発・設計・施工
② 生徒主体で活動する。
→ 役割・製品開発・施主との協議
③ 取り組みは発表をもって完成とする。
→ 本校・小学校・研究発表会参加
写真9 花だん施工完了
○ 平成 26 年度 ツゲの保護を含む中庭整備
今年度は,児童の往来によりツゲが痛み発育を妨
げており,その保護と中庭の景観改善について現在
検討中である。
つまり,土木事業の流れを体験することで苦労や,
やりがいを実感させる。教員の手足になるのではな
く,自らで判断し,活動を展開させ,最後に自分た
ちの取り組みを披露することで自分の製品にほこり
を持てるようになることを到達目標としている。
-23-
そのためには,私の役割として下記の4項に重点
を置いている。
①
②
③
④
機会を作る(考える,チャレンジ,発表)
。
一つの建設会社をイメージさせる。
活動の方向修正(アドバイス,ブレーキ役)
。
失敗を受け入れる体制を整える。
なるべく前に出ず,生徒一人一人を引き立たせる
ような指導を心掛けている。そして生徒と図2を約
束事として設定している。
図2 課題研究6ヶ条
否定からは何も生まれないので,生徒のアイデア
をできるだけほめて推奨し,必要に応じては放課後
や休日作業があるので,日程は生徒と決めるように
している。生徒が不満に感じることのないよう,良
いものができているという成果を継続的に確認して
いくことも必要で,それが残業の必要性を認識させ
ることにも繋がると思われる。他にそれぞれの業務
に責任者を指定し,業務分担を明確にしている。
図4 役割分担表
(3)発注者(伊島小学校)との意見交換会
最初の校外活動として,発注者である伊島小学校
との意見交換会を行い,生徒が司会進行を行う。自
己紹介から始まり,伊島小学校教頭先生から整備の
要望を伺う。
毎年,
数々の要望をいた
だいているが,事
前に本校の取り組
みを理解していた
だき,快く協力し
ていただいている
写真 11 意見交換会
側面がある。 今後,この要望をもとに事業計画を立
案していくこととなる。
(4)調査
現地調査として地形測量で現状を把握し,平面図
を作成するだけでなく必要な写真撮影,小学校の先
生・児童の聞き取りを行う。
6.地域貢献活動の流れ
ここからは昨年の花だんの製作を例に授業の流れ
を説明する。
(1)年間活動内容
まず,活動時間は課題研究の授業内なので毎週金
曜日の4限~6限が主な活動時間となる。
写真 12 測量状況
図3 年間活動計画表
(2)役割分担の決定
生徒に地域貢献活動の目的や目標などを説明し,
役割分担を決める。
基本的には作業は全員で行うが,
責任の所在を明確にするために責任者,副責任者を
生徒の話し合いで決定する。
(5)製品アイデアの考案
重要視している点
は,①安全性②デザ
イン性③高環境④機
能性を満足させ,小
学校側の要望を膨ら
ます付加価値をアイ
デアに盛り込むこと
である。
-24-
図5 計画平面図
写真 13 発表会
まず各自でアイデアを考案し発表会を行い,それ
ぞれのアイデアを検討する。
最終的には3案に集約させる。そして3案に生徒
が分散し,提案書の作成を行う。
最後は岡山市教育委員会へ工事許可及び寄付願
を届出し,承諾を受け工事を行うことになる。ここ
までに非常に長い時間を費やすかたちとなるが,こ
の時間が非常に大切だと感じている。
(6)提案書作成
提案書は概要から平面図,配置図,完成予想図,
年間活動予定表や図6のように比較検討書も時間を
かけて作成する。
(9)花だんブロックの作製
景観に溶け込む配色を決定し,地中から出るとこ
ろは,型枠にモールドスター取り付けて打設する。
図9 一般図
図6 提案書表紙及び比較検討一覧表
(7)検討会議
提案書をもとに伊島小学校の先生方と,検討会議
を1学期末に第1回,夏休みに小学校で審議してい
ただき,修正をくわえて2学期当初に第2回目を開
催し伊島小学校側が満足する製品となるように修正
を加えていく。
写真 14 花だんブロック
(10)花だん作製
施工手順はこのように①伐採・除根②掘削③据え
付け④完了となる。
(8)詳細設計
9月の1ヶ月間をかけて詳細設計として,設計図
面,数量計算書,見積書など作成する。
(11)安全対策
実際の企業と同様の対策を施すことで,職業観を
養い,
倫理観と密接に関係していることを強調した。
① 作業開始前後
危険予知活動,安全点検,ツールボックスミーテ
ィング,ヒヤリ・ハットの導入。
図7 花だん構造一般図
写真 15 危険予知活動実施状況
② 作業場所
生徒考案の案内チラシを小学校に配布したり,作
業終了時はブルーシートで覆い,カラーコーンや手
作り看板で立ち入り禁止措置(現場養生)を行う。
図8 花だん完成予想図(3DCAD)
-25-
写真 16 案内チラシ
写真 17 現場養生
(12)見学会・発表会の実施
小学生の体験・見学会を実施し,生徒が児童と直
接触れ合う機会を作った。また,この活動の最終目
標である発表会は本校生徒,地域住民の方々,伊島
小学校生徒と対象者を変えて3回行った。
写真 18 見学会
写真 19 ESD 研究発表会
7.最後に
公共工事を主とする建設業(土木技術者)は,税
金を投入する事業である以上,他業種より厳密に倫
理観が備わっていなければならない。
よってこの取り組みは,
『土木』は社会資本整備を
担っているというプライドを持たせることで,技術
者倫理の育成に繋げる授業を目指してきた。現在も
試行錯誤している状態だが,この活動から生徒には
一つでも多くのこと感じ,世界に活躍の場を広げて
ほしいと考えている。今後も多くの方々の意見を参
考に土木教育の推進に取り組んでいきたい。
-26-
実習における教育用ワンボードマイコン(Raspberry Pi)の活用
岡山県立岡山工業高等学校
岡 本 茂 樹
平成 26 年度より本校の情報技術科において,教育用ワンボードマイコン(Raspberry Pi)を1年生の
工業技術基礎と2年生の制御プログラミング実習に取り入れて実習を始めた。本文は,付加したI/O
制御基板とアプリケーション,実習内容とその概要を紹介するものである。なお,実習は2年間で完結
する内容であるので,現時点では途中の報告ではあるが,工業教育の一助になることを願っている。
1 導入の目的
本校の学校経営計画に「ものづくりに生き甲斐を
持ち,額に汗し労をいとわない勤労観や職業観をも
った生徒を育成する」という目標計画があるが,現
状は,ものづくりの面白さの体験不足のためか,指
示された作業をこなすだけで,自ら課題を解決しな
がらものづくりを行っていく生徒が少ない。
そこで,新たに教材を開発し,実習内容を変更す
ることにより,この点を改善する。
2 実習内容の問題点
情報技術科では製図を3年生で履修するために
2・3年で行う選択実習や課題研究のものづくりに
おいて,図面や手仕上げの知識がないまま設計から
製作までの総合的なものづくりに挑戦しなければな
らず,知識や経験不足から失敗してしまい,ものづ
くりの面白さや達成感を体験することができないま
ま卒業していく生徒が多かった。
① はんだ付け作業を学習するために,簡単な電
子工作だけでI/O接続ができること。
② 手仕上げを学習するために,アルミシャーシ
の製作ができる,手ごろな大きさであること。
③ C 言語による制御プログラミングを学習する
ために,制御用のI/Oを持っていること。
④ 自宅学習もできるように,完成後はパソコン
として単体で動作すること。
⑤ 生徒負担を軽減するために,安価であること。
これらを考慮し,従来からあるマイクロコンピュ
ータと比較した。特に,条件④のパソコンとして単
体で動作する点は,Raspberry Pi しか持ち合わせて
いない。また,豊富な教材,製作例の多さ,新しい
製品であることから考えて,最も適した教材が
Raspberry Pi であると判断し採用した。
3 実習内容の変更による対策
図面の知識を早い段階で学習するために,1年生
で製図を履修するように変更すると,製図が普通科
目と選択となっていることから,教育課程を大幅に
変更する必要が出てくるので,短時間では実現が難
しい。
そこで,1年生の工業技術基礎の電子回路と,2
年生の実習のコンピュータ制御を変更して課題研究
の履修までに,ものづくりに必要な知識を得ること
ができようにした。
4 教材に必要な条件と Raspberry Pi の採用
目的を達成するために必要な実習教材の条件とし
て,以下のものを上げた。
-27-
図1
RaspberryPi の構成
5 RaspberryPi を利用した実習装置の概要
5.1 リモートディスクトップ機能の利用
現役を退いた WindowsXP マシンのディスプレ
イ・キーボード・マウスを,リモートディスクトッ
プ機能を使って利用した。これにより,従来の
WindowsXP パソコンもいままでどおり使用可能と
なるだけでなく,
スマホからの利用も可能となった。
図3
Google Cloud Print のプリンター管理画面
5.6 制御プログラミング実習への対応
図2
5.6.1 I/O 制御基板の設計
制御実習で使えるように,次の機能を持たせた。
パソコン
スマホ
RaspberryPi のディスクトップ
5.2 無線 LAN の活用
最近の無線LANのトングルの価格は1000円以下
であり,有線 LAN を敷設するよりトータルコスト
が安価になる。
① ゲームパッド感覚のスイッチ
生徒の興味付けを行うために,スイッチの配置を
ゲ ー ム パ ッ ド の よ う に UP ・ DOWN ・ LEFT
RIGHT キーの位置にして,それに対応したオリジ
ナルのブロック崩しゲームを C 言語で作成した。
5.3 ネットワークドライブの活用
プログラム開発を SD カード上で行うと,無限ル
ープなどにより,書き込みを短時間に何十万回も行
ってしまい寿命を極端に短くする危険性がある。
そこで,Windows サーバーのファイル共有と
RAM ディスクを用いることで,SD カードに書き
込む回数を減らし,寿命を延ばした。
図4
5.4 クラウドファイル共有の活用
無料のクラウドファイル共有 Box を利用して,自
宅からプログラミング実習の続きを行う事ができる
仕組みを用意した。
ゲームパッド感覚のスイッチとゲーム
② LED と LCD 表示
LEDオン・オフ制御とI2CによるLCD表示
ができるようにした。
5.5 クラウドプリントの活用
プリンターの機種や設置場所に依存しないよう
cups-pdf と Google Cloud Print を使って印刷する
ようにした。
図5
LEDオン・オフ制御と LCD 表示
③ サーボモーター制御
制御プログラムの ServoBlaster をインストール
して,モーター制御実習ができるようにした。
-28-
ワープロ
表計算
図6
I/O 制御基板とサーボモーター
5.6.2 プログラミングツール
プログラミングの知識がなくても,ブラウザを操
作するだけで I/O 制御を行う事ができる WebIOPi
と,C 言語のライブラリで,I/O 制御を関数呼び出
すことによりプログラミングを行うことができる
wiringPi をインストールした。
① ブラウザ利用の I/O 制御(WebIOPi)
プレゼン
SQL
図8
5.8 メディアサーバのインストール
自宅での利用の幅を広げるために家庭用のメディ
アサーバ(mindlna)をインストールした。
図9
図7
Libre Office の画面
テレビから見た RaspberryPi
6 実習・課題研究での活用
WebIOPi 制御画面
② ライブラリを使用した C 制御プログラミング
制御プログラミングがライブラリを利用して簡
単にできるように,wiringPi をインストールした。
以下に,スイッチのオン・オフの状態をLEDに
出力するプログラム例を示す。
#include <wiringPi.h>
// 使用する GPIO 番号の宣言
#define LED0 18
#define SW_L 2
int main(void) {
// WiringPi 初期設定を行う。エラー時は終了させる。
if(wiringPiSetupGpio() == -1) return 1;
// ピンの入出力モード設定
pinMode(LED0, OUTPUT);
pinMode(SW_L, INPUT);
// 入力ピンをプルアップに設定
pullUpDnControl(SW_L, PUD_UP);
// 入力データをそのまま出力する処理を繰り返す
while(1) {
digitalWrite(LED0, digitalRead(SW_L));
}
return 0;
}
5.7 オフィスアプリケーションのインストール
パソコン利用技術検定の実技練習での利用を考
えて,ワープロや表計算の機能を持ったオフィスア
プリケーション Libre Office をインストールした。
6.1 工業技術基礎(1 年)
3時間×6週のうち,前半の3時間×3週でアル
ミシャーシの設計・製作,後半の3時間×3週で I/O
制御基板の製作を行うショップを新設した。
また,できるだけ簡単な工作にして,成功した体
験を経験させ,ものづくりの楽しさや達成感を与え
られるようにした。
6.1.1 アルミシャーシの設計・製作(3時間×3週)
2・3年でのものづくに必要な基礎知識を,その
実習よりも早い時期に習得させるために以下の実習
項目を行う。
・図面の表し方
・寸法のはかり方
・工具の扱い方
・アルミ材料について
・手仕上げ
・け書き作業
・曲げ作業
・穴あけ作業
・ネジ切り作業
・やすりがけ作業
-29-
I/O 制御基板の
支え
図 10
アルミシャーシ生徒作品
6.1.2 I/O 制御基板の製作(3時間×3週)
2年生のC言語によるコンピュータ制御実習で使
用する制御対象を組み立てる。この実習では以下の
電子回路に関する知識を体験的に習得させるだけで
なく,自分で組み立てた基板を2年生になってから
もう一度使うことにより,自分の行った作業の有用
性を体験させるようにする。
・電子部品の知識
・実態配線図の作成
・半田付け作業
・ユニバーサル基盤による配線作業
現状では工業
技術基礎の時
間内では LCD
とサーボモー
ターの配線は
スペースを確
保するだけで
行わない。
図 11
I/O 制御基板生徒作品
6.2 実習(2年)
1年生で自ら製作した I/O 制御基板を使用して制
御プログラミングの実習をする。
(ただし,現2年生
は,内容を変更した工業技術基礎を行っていないた
め,1年生が作った基板を使い実習を行っている。
)
6.3 課題研究(3年)
課題研究で以下の3テーマを研究している。
① リモート温度センサの製作
A/D 変換のキットを利用して室温の温度変化
をネットワーク経由で離れた場所から測定する
方法を研究している。
② 監視カメラの製作
オプションのカメラを接続してネットワークを
経由した画像撮影方法について研究している。
③ サーボモーター制御の研究
2つのサーボモーターをスクリプト言語で同時
に制御する方法を研究している。
7 パソコン利用技術検定対策への利用
今回インストールした Libre Office は,
Microsoft
Office2003 とほぼ同等の機能と操作性を持ってお
り,パソコン利用技術検定の実技試験の練習に使用
することができないか評価した。検定合格者がテス
トしたところ,利用可能であることが分かった。
① パソコン利用技術検定3級での使用評価
ワープロソフトの Writer は,特にマニュアル
を見ることなく過去問題の入力をすることがで
きたが,操作のレスポンスは相当遅く,ストレス
がたまるようである。
② パソコン利用技術検定2級での使用評価
表計算ソフトの Calc は,特にマニュアルを見
ることなく過去問題の入力をすることができた。
③ パソコン利用技術検定1級での使用評価
データベースソフトの Base は,全国工業高校
校長協会から販売されている ZenSQL 問題集の
別売 CD のデータが使えないので,演習問題のデ
ータの移行が必要である。また,起動時に1~2
分時間がかかるが,操作のレスポンスなどは気に
ならない。ただ,SQL 文にエラーがある場合,実
行して数分間待たされることがあった。
8 今後の課題
この実習の取り組み期間は,まだ半年程度である
ので,1年生で製作したものを2年生になって自ら
使用したわけではない。この取り組みを継続し,生
徒自身で作った教材で実習を行うことにより,
「やり
がい感」を持たせて,教育効果を高めていきたい。
図 12
RaspberryPi を利用した制御実習
-30-
9 まとめ
工業技術基礎での作図,手仕上げと電子工作に関
して,大きな失敗をすることなく組み立てられてい
ることや,レポートの感想の内容から見て,ものづ
くりの楽しさを体験できていると考えられる。
今後も「ものづくりに生き甲斐を持ち,額に汗し
労をいとわない勤労観や職業観もった生徒を育成す
る」という目標に向かって努力していきたい。
最後に,この発表にあたり,色々な面から支援を
していただいた方々に感謝を申し上げる。
主な参考 HP
http://www.Raspberry Pi.org/(Raspberry Pi 本家)
http://www.myu.ac.jp/~xkozima/lab/raspTutorial1
.html(小嶋研究室)
http://www.sbprojects.com/projects/Raspberry
Pi/webdav.php(SB-Projects)
http://projects.drogon.net/(wiringPi)
http://kingyo-bachi.blogspot.jp/2013/08/raspberrypigpiowebiopi.html(WebIOPi)
http://mag.switch-science.com/2013/07/30/use-i2clcd-brakeout-board-on-raspberry-pi/(I2C)
https://github.com/richardghirst/PiBits/tree/mast
er/ServoBlaster(ServoBlaster)
-31-
工業教育における ICT の活用と生徒評価
~建築科の製図教育を中心に~
岡山県立岡山工業高等学校
宮 井 雄 大
現代では生徒の学ぶ意欲や気力の低下,LD,ADHD などの生徒の増加が見られ,また障害でなくても
人間の五感や能力には個人差があり,
「見えづらい,聞きづらい,理解しづらい」といった目に見えない
バリアがある。授業においてはそのバリアが妨げになり,結果として学ぶ意欲が下がっている生徒もいる
と考えられる。よって多種多様な生徒が理解できる普遍的な授業,すなわち「授業のユニバーサルデザイ
ン化」を図り,授業に対する意欲や気力を向上することが重要であると考える。
1 はじめに
現代社会ではスマートフォンやタブレット端末
の普及によりメディア環境はめまぐるしく変化して
おり,若者には大きな影響を与えている。それは高
校生も同様で,現代の高校生の情報源はインターネ
ットが主流であり,新聞や書籍といった活字やラジ
オなどの音声によるものはあまり利用されていない。
そのような生徒達に物事を伝える上で有効なのは,
人間が得る情報の8割を占めると言われている「視
覚」に訴えるということである。
一方で文部科学省は「教育の情報化」として ICT
教育の充実を推進しており,本県では「晴れの国お
かやま生き活きプラン」の学力向上ブログラムの重
点施策に“教師の教える技術の向上”があげられて
いる。
これらのことから ICT 教育の充実が急務である
と考えられる。
2 研究目的と方法
〔研究目的〕
ICT 機器としてはパソコン,タブレット端末,書
画カメラ,デジタルカメラ,プロジェクター,スキ
ャナー,
レーザーポインター,
電子黒板などがある。
これらの機器をどのように利用すれば効果的に授業
がすすめられるのかを見出すことを目的とする。
〔研究方法〕
ICT 機器のうち本科で利用しているものを主に製
図の授業で活用し,
生徒の反応や理解度を考察する。
また,それぞれの ICT 機器を利用した授業について,
アンケート調査により生徒の評価を見出す。
3 ICT 機器について
授業で利用している ICT 機器の概要は以下の通
りであるが,基本的には何らかの情報機器をプロジ
ェクターに接続して,スクリーンに投影するといっ
たものである(図1)
。
(1)プロジェクター
パソコンやタブレット端末,DVDデッキ,カメ
ラなどと接続し,スクリーンなどの大画面に投影で
きる。
(2)ノートパソコン(Windows)
持ち運び可能なためプロジェクターと接続すれば,
教室を選ばず利用できる。また,少人数であれば直
接画面を見せることも可能であり,タブレット端末
に比べて各ソフトの互換性,操作性に優れる。
(3)タブレット端末(iPad)
ノートパソコンよりも持ち運びが容易であり,プ
ロジェクターと接続すれば,教室を選ばず利用でき
る。また,少人数であれば直接画面を見せてことも
可能であり,ノートパソコンに比べて起動が早く,
ズーム操作なども優れる。
(4)書画カメラ(実物投影機)
プロジェクターに接続することで,手元で行って
いる作業をスクリーンに映し出すことができる。
スクリーン
PC
iPad
プロジェクター
書画カメラ
図1 ICT 機器の基本的な利用形態
-32-
4 授業での取り組みと生徒の反応
ここでは主に建築科の製図の授業で取り組んでい
る ICT 教育の概要と生徒の反応を紹介する。
(1)iPad による図面や設計・デザインの説明
〔概要〕
生徒に模写(コピー)をさせる図面を iPad に取
り込み,図面を示したうえで各所の補足図面や実物
写真も示し,線一本一本の意味を説明している。ま
た,
自由設計の課題説明の際は,
注意点や参考図面,
建築家の作品などを示している。画像データを PDF
変換し,スライドを進めながら口頭や部分的に板書
で説明している。
〔生徒の反応〕
ズーム機能により図面のどの部分を説明している
かはっきりとわかるので,生徒はどこの説明をして
いるのか迷っている様子はない。また,図面が示し
ているものの実物写真を見せると「あーあれか」と
いった声があがり,生徒の理解は深まっている。
(4)生徒による iPad でのプレゼンテーション
〔概要〕
生徒の自由設計の図
面を画像データとして
iPad に取り込みスク
リーンに映し,生徒は
iPad を操作して自分
の作品のプレゼンテー
ションを行った
(図3)
。
A2 サイズのケント紙
に描いた図面を 40 人
の生徒が同時に均一に
見ることができた。
図3 iPad を操作する生徒
〔生徒の反応〕
練習の段階では図面の画像をズームしたりスライ
ドするのに苦戦している生徒もいたが,本番ではう
まく使いこなし,自分の説明したい図面や部屋を明
確に示したうえでプレゼンできていた。
(2)Google Sketch Up を用いた説明
〔概要〕
無料の3D ソフト,Google Sketch Up を利用し
て建物の外観や内観を立体図で説明している
(図2)
。
外観図,内観図を描く方法(以後透視図法)をまと
めた資料を配布し,その資料の流れに沿って説明す
る際に,Google Sketch Up を利用している。
〔生徒の反応〕
ほとんどの生徒にとって初めて見るソフトである
こともあり,スク
リーンを集中して
見ている。また,
平面的な図面を立
体的に立ち上げた
ときは,
「おー」と
いう声があがり,
生徒の興味・関心
図2 Google Sketch Up の画面
を引いている。
(5)QR コードを利用した建築物の紹介
〔概要〕
岡山市内・県内にある有名建築物を,Google Map
上にプロットしてまとめた QR コードを適宜生徒に
示した。地図上のマークをタッチすると建物名,種
類,構造,設計
者などが情報と
して示されるよ
うになっている
(図4)。iPad
を使用して,実
際にマップをみ
た際の画面を示
図4 建物のプロットマップの画面
した。
〔生徒の反応〕
QR コードを見せただけでは反応があまり見られ
なかったが,実際に使用している画面を示すと「お
ー」という声があがった。
(3)書画カメラを用いた説明
〔概要〕
透視図法で建物を描く際に,実際に教員が描いて
いる手元の状態をスクリーンに映して説明している。
生徒は演習課題を描ける状態で説明を聞き,描く流
れに沿って説明している。
〔生徒の反応〕
カメラで映しているので鉛筆で引く線によっては
スクリーンで確認しづらい部分もあり,一部の生徒
からは「見えにくい」という声があった。
5.生徒による授業評価について
以上のような取り組みについて生徒はどのように
感じているのかを把握するために,授業を受けた生
徒にアンケート調査を実施した。ここではその結果
について考察する。回答者の概要は以下の通り(表
1)で,80 人全て有効回答であった。
-33-
表1 回答者の概要
回答者
本校建築科の生徒
回答者数
80名(2年生40名、3年生40名)
男女
男子生徒59名、女子生徒21名
(1)回答者(生徒)の属性
ⅰ)授業に求めていること(複数回答可)
図5から多くの生徒が
「わかりやすさ」
「
,楽しさ,
面白さ」を授業に求めていることがわかる。また,
半数の生徒は「丁寧な説明」を求めており,このこ
とからも“教師の教える技術の向上”が必須である
と言える。
67
64
「わかりやすかった」
,
「設計の参考になった」とい
う項目は評価が高いことがわかる。実物の写真や図
面の線について明確に示し説明できるので,これら
の項目が評価されたと考えられる。
しかし,
「ノート,
メモを取りやすかった」という項目は他と比べて低
くなっている。
N=80
わかりやすかった
3.00
N=80
設計の参考
になった
40
2.56 楽しい、
2.00
面白かった
1.00
16
8
7
2
その他
先生との
対話
復習の
しやすさ
丁寧な説明
ノートの
とりやすさ
楽しさ、
面白さ
わかりやすさ
理解し、自身の
知識となった
2.19 ノート、メモを
2.58
取りやすかった
2.69
意欲的に
聞けた
図8 iPad を用いた授業の評価
図5 授業に求めていること
ⅱ)聞く力と理解力
図6,7は生徒の聞く力と理解力を自己評価した
結果であるが,集中して話を聞ける生徒は 90%を超
えており,多くの生徒は集中して話しが聞けること
がわかった。ただし,
「人の話を理解できるほうか」
という自己評価は半数の生徒が「理解できない」と
しており,42.5%の生徒は「話を集中して聞いてい
るが理解できない」状態であることがわかった。
N=80
聞けな
い
2.78
2.84
ⅱ)Google Sketch Up を用いた授業の評価
図9から全体的に高い評価になっており,
特に
「わ
かりやすかった」
,
「意欲的に聞けた」という項目は
評価が高いことがわかる。平面的な黒板や紙の上で
説明するのではなく,立体的に捉えることができる
ので,これらの項目が評価されたと考えられる。し
かし,iPad と同様に「ノート,メモを取りやすかっ
た」という項目は他と比べて低くなっている。
N=80
N=80
わかりやすかった
8.8%
3.00
聞ける
できない
できる
50.0%
50.0%
設計の参考
になった
2.69
2.86
2.55 楽しい、
2.00
面白かった
91.3%
1.00
図6 人の話を聞けるか
理解し、自身の
知識となった
図7 人の話を理解できるか
(2)各 ICT 機器を用いた授業の評価
評価は以下の6つの項目に対して,
「そう思う=3,
ややそう思う=2,そう思わない=1」としたとき
の平均値で示す。
〔評価項目〕
・わかりやすかったか
・楽しい,面白かったか
・ノート,メモを取りやすかったか
・意欲的に聞けたか(関心を持てたか)
・理解し,自身の知識となったか
・設計の参考になったか
ⅰ)iPad を用いた授業の評価
図8から全体的に高い評価になっており,特に
2.14 ノート、メモを
2.69
取りやすかった
2.75
意欲的に
聞けた
図9 Google Sketch Up を用いた授業の評価
ⅲ)書画カメラを用いた授業の評価
図 10 から iPad,Google Sketch Up と比べると全
体的に評価が低くなっており,特に「楽しかった,
面白かった」
,
「意欲的に聞けた」という項目は 0.3
程度低くなっている。用紙に図などを描いている手
元を大きくスクリーンに投影しているだけなので,
他の ICT 機器に比べると“新鮮さ”がないことが理
由と考えられる。ただし「ノート,メモを取りやす
かった」という項目は他の ICT 機器に比べ高くなっ
ていることから,従来の「板書したものをノートに
-34-
60%は「忘れていた」ということを理由にあげてい
る(図 12,13)
。すなわち「忘れていた」生徒がい
なければ,理論上は全体の 70%の生徒が QR コード
を利用していた可能性
N=80
があると言える。
利用した
22.5%
このことから生徒
にとって身近にあるス
利用しな
マートフォンを上手く
かった
活用することが,生徒
77.5%
の意欲や関心を引くこ
とにつながると言える。 図 12 QR コードの利用実態
書き写す」というスタイルに近い。
N=80
わかりやすかった
3.00 2.60
設計の参考
になった
2.60
2.25
2.00
楽しい、
面白かった
1.00
理解し、自身の
知識となった
2.23 ノート、メモを
2.56
取りやすかった
2.46
意欲的に
聞けた
図 10 書画カメラを用いた授業の評価
図 11 自身による iPad の利用について
ⅱ)QR コードの利用実態について
図 12 は岡山市内・県内にある有名建築物を
Google Map 上にまとめた QR コードの利用実態を
示している。実際に利用したのは 22.5%(18 人)
で,私が想像していた人数を大きく上回るものにな
った。また,利用者の多くは「スマホで見られる」
,
「手軽に見られる」といったことを,未利用者の約
6
その他
楽しい、
面白かった
5
スマホを持って
いない
2.35
7
面倒だから
が伝わった
図 13 利用した理由
6
興味がなかった
2.20 相手に考え
1.00
3
忘れていた
2.49
3
2
その他
意欲的に
取り組めた
N=62
38
4
何となく
2.00
6
わかりやすい
N=80
3.00 2.51
N=18
手軽に見れる
プレゼン
しやすかった
QRコードを利用しなかった理由
QRコードを利用した理由
スマホで見れる
(3)自身による ICT 機器利用について
評価は以下の4つの項目に対して,
「そう思う=
3,ややそう思う=2,そう思わない=1」とした
ときの平均値で示す。
〔評価項目〕
・プレゼンしやすかったか
・相手に自分の考えが伝わったか
・楽しい,面白かったか
・意欲的に取り組めたか
ⅰ)自身による iPad の利用について(プレゼン)
図 11 を見ると「プレゼンしやすかった」
,
「意欲
的に取り組めた」は高い評価になっているが,
「相手
に考えが伝わった」は低くなっている。自由回答欄
に「練習時間が取れず操作が不慣れだった」や「緊
張して操作を誤った」といった回答が見られた。こ
のことから評価が低くなったのは生徒自身に要因が
あったケースが多いと言える。
図 14 利用しなかった理由
(4)今後の希望など
図は今後も ICT 教育を希望するかを聞いた結果
N 8
であるが,79 名の生徒
希望しない
は「希望する」と回答
1.2%
した。残りの1名は
N=80
「iPad を操作しプレ
ゼンするのが恥ずかし
希望する
98.8%
い」という理由をつけ
ており,授業を受ける
こと自体は問題ないと
図 15 ICT 教育の希望
言える。
6.課題と今後の展開(まとめ)
ICT 機器を用いた授業は「わかりやすくかつ生徒
の意欲・関心を引くことができる」ということがわ
かった。ただし,ノートやメモを取りやすくするた
めにスライドや板書の方法を考慮しないといけない
こともわかった。また,生徒の身近にあるスマート
フォンを上手く活用することが生徒の意欲や関心を
引き,
主体性を育てることにつながると考えられる。
また,現段階では「どの機器をどのような授業で
使用すればよいか」というところまで追究できてい
ない。今後は最適の機器を適した授業に利用できる
ように更に研究していく。
-35-
江川式小屋組について
岡山県立東岡山工業高等学校
難波 好幸
平成 25 年3月,興譲館高等学校東館(旧講堂)が新校舎新築に伴い,保存,解体と紆余曲折の末,取
り壊されてしまった。2階講堂は,梁間7間,桁行き方向 11 間の江川式建築の講堂としては,現存する
もので最大規模のものであった。平成 24 年 12 月より実測調査を行い,高梁市教育委員会発刊「高梁市立
吹屋小学校調査報告書」に記載されている江川式小屋組と軸組構造についての調査と合わせて,このたび
国の登録有形文化財に指定された金光学園記念講堂の小屋組について触れてみたい。
1 はじめに
明治後半から昭和初期にかけて岡山県下の数々の
学校建築,公共建築,宗教建築から個人の住宅まで
設計監理した江川岡山県技師の自叙伝『生い立ちの
記』
に,
「第一着手として岡山県高等女学校の講堂
(梁
間9間桁行 12 間)2階建(写真1)及び雨天体操場
削小屋組にて,多年苦心せる江川式小屋組の直ちに
見ゆる様天井なしに建築す。
」とある。梁間(スパン)
9間の講堂は,約 16.4mにもなる。また,旧旭東,
旧倉敷幼稚園園舎には,平面計画上,八角形の遊技
写真1岡山高等女学校講堂
室が設置してある。これらの建物の構造を興譲館高
等学校の旧講堂解体に伴う実測調査と過去の建築模
型制作図面より検討してみたい。
2 小屋組の構造
木造の八角形遊戯室を設置した幼稚園として次の
ものが確認されている。旧旭東幼稚園舎は,1辺3
〇旧岡山市立旭東幼稚園舎(明治 41 年)
○旧井原市立井原幼稚園舎(大正3年)
〇旧倉敷市立倉敷幼稚園舎(大正4年)
○旧岡山女子師範学校付属幼稚園舎(大正 11 年)
○旧岡山市立深柢幼稚園舎(大正 13 年)
○旧総社市立総社幼稚園舎(昭和 10 年)
写真2旧旭東幼
写真3旧旭東幼模型
間の正八角形遊戯室の四辺に保育室と職員室が直結
した平面形から「梅鉢型幼稚園」と呼ばれた。
(写真
2・3)遊戯室の小屋組は,
八角形の8隅に4本の交叉梁
が中央芯柱(写真4)で支え
られ,その上に八角形の太鼓
楼を構成する8本の束が立ち,
その束に3本ずつの合掌が接
続される。非常に和風色の濃
小屋組となっている。
(図1,写真5)
写真4芯柱
旧倉敷幼稚園園舎(図2)
,
旧井原幼稚園舎(図3)は,
同じような平面形をもつ。八角形遊技室が保育室か
ら切り離され,
保育室の独立性が高められた。
また,
保育の邪魔になった遊戯室中央の芯柱は,無くなり
一層遊戯室が使いやすくなっている。八角形遊戯室
から玄関にかけてマンサードの大屋根が架けてある。
旧倉敷幼稚園遊戯室では,約 13.3mのスパンに陸梁
を架け,その上に対束が立つ。対束は,マンサード
屋根頂部まで伸び,マンサード屋根を構成する。そ
-36-
図4旧倉敷幼小屋伏せ図(※2)
図1遊戯室断面詳細図(※1)
図5旧倉敷幼小屋組図
写真5旧旭東幼骨組模型
して,外壁上部敷桁から対束に向かって合掌が架か
っている。また,トラス2重梁と陸梁は,直径 25φ
の吊りボルトで緊結される。玄関の反対側となる遊
戯室扇状部分の小屋組は,コーナー部より一番外側
の陸梁に飛び梁が渡り,その上に,和風小屋組のよ
うに母屋を支える束が立つ。また,最上部屋根は,
小屋梁の上に小屋束を立て母屋を支えている。
(図
4・5,写真6)
図2旧倉敷幼
図3旧井原幼
図6の旧総社幼稚園平面図をみると,八角形遊戯
室の回りに廊下を配置して四辺に保育室を接続して
写真6旧倉敷幼小屋組模型
いる。解体写真(写真7)を見
ると,4組の対束小屋組を交叉
させた構造となっている。
次に,2階に講堂をもつ木造
校舎に次のものがある。講
堂の大きさは,次のように
〇旧誕生寺小 6間×10 間
〇旧吹屋小 7間×10 間
図6旧総社幼
〇旧遷喬尋常小 7間×10 間
〇興譲館高校 7 間×11 間(平成 25,3 解体)
〇金光学園 5間×8 間(7間×10 間)
〇旧高松農高本館 6間×10 間(写真 21)
〇旧津山高校本館 6間×7間(写真 22)
なっている。旧津山高校本館(明治 33 年)
,旧高松
-37-
にある興譲館高等学校の旧講堂(写真 12)が解体さ
れた。講堂は,大正6年の竣工で,当初は,正面左
側に教室棟が付属していたが,平成元年,新館新築
のため,講堂部のみを残して引き移転したものであ
る。この時,正面ファサード,2階講堂天井組,小
屋組以外,部分改修されている。
『旧吹屋小学校調査
報告書』で明らかにされていない「江川式小屋組」
の詳細について調査した。
写真7旧総社幼遊戯室小屋組(※3)
農業高校本館(明治 35 年)は,江川が岡山県に着任
以前の建物である。共に梁間は,6間(約 11m)で
ある。旧高松農高の移築図面(※4)によると,講
堂の屋根を支える小屋組は,写真8に示す真束小屋
組が組んである。
写真 12 興譲館高校旧講堂
写真8 真束
写真9 対束
一方,江川は,木造で大きな空間を生みだすこと
に苦心した。 旧吹屋小学校校舎小屋組については,
高梁市教育委員会の『高梁市立吹屋小学校調査報告
書』
(2003,3)によると,福島県時代に橋の橋梁設
計からヒントを得て,
「対束小屋組の変形,すなわち
ダブルワーレントラスを架け渡した上に,真束小屋
組を載せた効果をもつ形式となっている。
」とある。
久世町の旧遷喬尋常小学校も写真 11 に示す対束小
屋組の変形のものが組んである。旧吹屋小学校の小
図7
図8
写真 11 旧遷喬尋常小小屋組
屋組と同じであることが分かる。
平成 25 年3月,保存,解体で二転三転した井原市
図7の陸梁伏せ図を見ると,妻側より陸梁に和風
の寄せ棟小屋組のように飛び梁(写真 13)が架かっ
ていて,その上に束が立ち隅合掌を支えている。こ
-38-
の部分で隅合掌に継手あり,添え合掌で補強されて
いる。
(写真 14)隅合掌をうける四隅の隅陸梁は短
く,隅の火打ち梁の上で止まっている。
写真 17 台形トラス
写真 13 飛び梁
写真 14 隅合掌
図9の小屋組,梁間・桁行
き方向の断面を見ると,桁行き方向に斜材が一切な
く水平力を妻側合掌で処理しているようである。妻
側から3つめの両トラス二重梁の上に,更に,対束
が立ち,その頭部を梁で結び,直角方向に真束に向
けて梁を架け,その上に隅真束が立ち,2本の隅合
掌を受ける構造となっている。
(写真 15・16)梁間
方向の断面では,陸梁の上に立つ対束とその頭部を
結ぶ二重梁の間には,2組の交叉筋交いが入り,陸
梁と二重梁は,直径 25φのボルトで緊結して,台形
トラスを構成する。
(写真 17)主トラスの二重梁の
上には合掌を受ける真束小屋組が載る。
(写真 18)
架構に圧倒された。
現在のようにクレ
ーンのない時代に,
どのようにしてこ
のような小屋組を
組んだのか。また,
解体現場に立ち会う
写真 19
と,仕口,継手,造作等の仕事の丁寧さには驚かさ
れる。
最後に,金光学園中学校・高等学校記念講堂をと
りあげたい。
(写真 20)明治 37 年3月に竣工し,昭
和 30 年頃,現校地に移築されたものである。
内部には,
写真 21 のような二重折り上げの和洋折
衷の豪華な格天井と頭部にハンマービーム状の方づ
写真 20 金光学園記念講堂
図9 小屋組
写真 15
写真 16
陸梁から棟木までの高さは4m以上にもなり,小
屋組内部に入ると部材断面の大きさと,その大胆な
写真 18 真束小屋組
写真 21 格天井
えが付く列柱(写真 22)が並ぶ。当初,講堂として
の内部利用を考えると,
柱は邪魔のように思えたが,
天井裏にあがると,列柱は,この格天井を組むため
に,屋根小屋組と一体に構成されていた。中央に講
堂を設置する校舎の場合,天井の折り上げ高さ分,
軒高を高くして講堂部分を強調することができるが,
この講堂は,規模が小さく軒高を高くすることがで
きないため,このような構造としたのであろう。
小屋裏は,外周の五寸角柱が直接列柱からの梁を
受ける折り置き組みとなってい
る。
(写真 23)これは,寺院の
金堂の骨組構造を思い浮かべる。
列柱は,柱頭で真束を載せた陸
梁を支える。折り置き部から真
束に向けて合掌が伸びる。そし
て,補強のために外周柱から列
柱,陸梁へと登り梁のような挟
写真 22 列柱
み方づえが取り付けてあり,16φ
-39-
写真 23
写真 24
図 10
写真 25
写真 26
写真 27
写真 28
の4角ボルトで固定してある。列柱の上部は,方づ
えで強固に補強されている。
(図 10・写真 24)
内部4隅の列柱から隅柱に向けて繋ぎ梁が伸び,
柱頭で折り置き組み処理され,その上に軒桁,隅合
掌が載る。
(写真 25)隅合掌は,隅の列柱,隅束2
本を経て隅真束へと向かう。
小屋組妻側は,興譲館高等学校旧講堂の小屋組と
共通点がある。妻側合掌を支えるために妻側軒桁よ
り飛び梁が陸梁に向かって架かる。
(写真 26)真束
小屋組なのに棟部での隅合掌の支持は,対束小屋組
と同様にしてある。
(写真 28)これも江川式小屋組
の特徴だろうか。また,隅合掌も興譲館高等学校で
補強してあったのと同様に,列柱上部,桁行き方向
と妻側の両敷桁交叉部に火打ち梁を架け,その上に
隅束の間隔を狭くして補強してある。
今回の実測調査で小屋組は非常に頑丈で,そのダ
イナミックな構成には圧倒された。江川の福島県時
代に,
「須賀川橋」の木造橋梁設計では,10 分の1
写真 29 方づえ
写真 30 方づえ
図 11
の模型まで制作して,更に,裁荷試験まで行い研究
した成果がいかされているのではないかと思う。
隅々の仕事ぶりは非常に丁寧で,小屋組内部に入る
と,
「一切妥協を許さない。
」という気迫が伝わって
くる。今では,殆ど施されない仕口,継手の加工技
術があり,解体時にそれらを見ると,今,加工した
かのように綺麗である。とても 100 年も経っている
とは思えない。また,外壁の造作は,外勾配となっ
ていて壁内へ雨水の浸入を防ぐ工夫がしてある。
江川は,体操場の設計では,江川式小屋組のダイ
ナミックな構造を,天井を張らずに見せ,奉安殿の
設置される講堂では好んで2重折り上げ格天井を用
いた。これは,講堂としての格式と,柱と陸梁との
接合部補強のために入れる方づえを隠すためにも折
り上げ格天井を用いたのであろう。
(写真 29・30)
また,屋根の勾配であるが,6寸勾配という報告
もあるが,
作図してみて6寸では実測値と合わない。
5.5 寸勾配でも実測値と合わない。興譲館高等学校
旧講堂 5.8 寸勾配,金光学園記念講堂 5.6 寸勾配で
ほぼ実測値と一致する。
写真 31 は,金光学園に現存する昭和 27 年ごろ建
築された木造体育館である。内部に入って上を見上
げると,
写真 32 のような豪快な木造トラス構造の小
-40-
写真 31 金光学園
写真 32 木造トラス
木造体育館
屋組が出現する。梁間は,約 18mある。江川が晩年,
金光教教団復興造営部技師を務め,技術指導した弟
子たちの作品だろうか。また,これが,江川が見せ
たかった小屋組ではないか。
3 軸組について
県下に現存する江川式建築の基礎を調べると,外
周のみ布基礎を用い,間仕切り壁の下には,布基礎
がない。写真 33 のように床束に土台が載り,その上
に柱が立つ構造となっている。
これは,屋根トラスが基本的に
2点支持のためであろう。
側土台には,基礎からの防湿
を考慮して大きく切れ欠きがあ
る。その上に建つ柱は全て通し
柱で胴差し(※5)がない。2
階床根太を支える胴繋ぎのみで
ある。2階床梁が通し柱を包み
込むように長枘と込みせん・羽
写真 33 床下
子板ボルトで接合される。
柱より外部に飛び出した枘
は,胴蛇腹の骨組となって
いる。胴蛇腹は,柱から出
る梁の長枘を隠すために用
いたのだろか。
(写真 35)
柱には,30×120mmの貫が 写真 34 旧興譲館講堂
入り,小舞壁となる。通し柱
(150×150mm)は,上部で敷
桁を受け,その上でトラスの陸
梁を受ける。上部荷重を直接基
礎に伝える構造となっている。
現存する閑谷資料館の矩計図を
見ると同様の構造となっている。
(図 12)同時代の建物と比較す
ると明治 35 年5月に竣工した
写真 35 胴蛇腹
高松農業高校の移築図面(※4)
を見ると,胴蛇腹と,胴差しがある。胴蛇腹の骨組
みは,別途,板で造作してある。明治 43 年に竣工し
た岡山偕行社の改修図面
(注6)
にも胴蛇腹が入り,
胴差しも入っている。昭和2年に竣工した仁堀尋常
小学校移築図面(注6)では,外壁に胴蛇腹がなく
写真 36 旧仁堀小
なり,胴差しが使用され
ている。
(写真 36)
江川の構造は,梁間方
向に鳥居形の門形ラーメ 図 12 閑谷資料館
(※7)
ンを 1 間間隔で規測正し
く配置し,桁行き方向を
貫と小舞壁,更に,筋交
いを入れて水平力に抵抗
している。これは,日本
古来から用いられ,地震
に強いといわれる「石端
建て工法」の手法がとら
写真 37
れていたのではないだろ
うか。
石端建て工法をモデル化して模型を制作し
(後
方)
,振動装置の上で揺らせてみると,短期振動では
殆ど揺れない。
(写真 37)
4 おわりに
14 才から堂宮大工の修業を始めた江川は,木材の
知識と日本古来からの工法を身につけると同時に伝
統的力学も身につけた。更に,福島県庁時代には,
各中央省庁の建築技師に指導を受け西洋の技術に接
した。また,橋の設計においては 10 分の 1 模型まで
制作し,裁荷試験までして取り組み力学的理解も深
めた。明治 35 年に,一足早く岡山県に転勤した福島
県時代からの上司であった林は,新旧の技術をもっ
た江川を岡山に呼びよせ,県土木掛を統括させた。
「江川式建築」とまでいわれる数々の建物を設計し
た。県内の公共建築物から宗教建築,商店建築,更
に,個人の住宅にいたるまで「江川式建築」一色に
し,
岡山の近代化に貢献した。
今でも作品の数点は,
岡山県内に現存し,今なおその輝きは色あせていな
い。
-41-
※1 協同組合岡山県設計技術センター
※2 (株)藤木工務店倉敷支店
※3 総社まちかど資料館
※4 岡山県立青少年農林文化センター三徳園
※5 2階の床の位置で床をうけ,通し柱を相互に繋ぎ,
上下階の管柱を受ける横架財
※6 (有)金光秀泰建築設計室
※7 岡山大学池田家文庫
研究助成「工業化学教育に興味を持たせる教材研究」
~金属表面処理技術を用いてのものづくり PartⅠ~
岡山県立東岡山工業高等学校
大 嶋
岳
谷 口 和 士
北 田 尚 稔
森
泰 治
工業高校でも化学嫌いな生徒が増加している。また,中学生の進路希望調査でも工業化学系は決して人
気が高い方ではない。結果が見えにくいものでもあり,なかなか興味を引くことが難しい。できるだけ目
にみえるものづくりを体験させ,少しでも工業化学に興味を持ってくれることを期待し,教材研究を行う
ことにした。
1 目的
金属表面処理の一種である,めっき作業の技術習
得と指導方法についての教材研究を行い,生徒に興
味関心を持たせることを目的とした。
2 研究内容
(1)ニッケルめっき
①目的
素材によるめっき方法の違いを,無電解めっき
と電気めっきにより理解させる。
・ポリウレタン樹脂に硬化剤を入れてヒイラ
ギに塗る。
・葉の芯に合わせるようにピアノ線をエポキ
シ樹脂で網目をつぶさないように薄く塗る。
(イ)エッチング(表面粗化)
・水酸化ナトリウム 25%溶液に5分間つける。
②ヒイラギのめっき工程
葉脈化→樹脂加工→表面粗化→中和→スズの
種付け→パラジウムへの置換→無電解銅めっき
→電気銅予備めっき→電気銅めっき→電気ニッ
ケルめっき
③作業内容
(ア)葉脈化と樹脂加工
・水酸化ナトリウム 10%溶液にヒイラギを入
れ加熱し葉脈化する。
写真 2 エッチング作業
(ウ)中和
・水酸化ナトリウムを中和するために 10%塩
酸溶液に 30 秒間つける。
(エ)センシタイジング
・表面にスズをつけるため 10 分間溶液につけ
る。
(オ)アクチベーティング
・表面のスズをパラジウムに置換するため 10
分間つける。
写真 1 ヒイラギと葉脈化したもの
(カ)無電解銅めっき
-42-
・パラジウムの上に銅をつけるため液温 18~
22℃で 20 分間つける。
(キ)銅ストライク
・葉脈の表面積からめっき電流を求め,0.3A
で 10 分間つけ銅の予備めっきをする。
写真5 葉脈と蝉の抜け殻のニッケルめっき
④結果
ビーカースケールでは,薬液の変質問題やめ
っきの光沢を向上させる課題が残っている。今
後めっき浴を1リットルのビーカーから,水槽
に変えた場合に,条件を再検討する必要はある
が,1年間の取り組みとしては,ある程度の成
果が表れている。
写真3 予備めっき作業
(ク)電気銅めっき
・電流0.6Aで10分間つける。
液温24~32℃
(2)ステンレス素材の鏡面加工及びカラー化
①目的
金属の研磨法には,電気分解で凸部の選択的溶
解によって,光沢化(鏡面化)を図る方法がある。
またステンレスの表面は,クロムを主成分とした
酸化皮膜で覆われており,この酸化皮膜の厚さを
0.1μm単位で変化させると,光の干渉現象によ
りステンレス表面は美しく発色して見える。この
方法により製品を作る。
(+)
(-)
写真4 電気銅めっき後のヒイラギ
研
電
(ケ)ニッケルめっき
・電流 0.6Aで 10 分間つける。液温 45℃
極
溶出
磨
物
電解液
(コ)ニッケルめっき応用編
図1 電解研磨の原理図
○陽極側での反応
M→M++e-
①
+
-
②
H2O→1/2O2+2H +2e
電解研磨のメカニズムは,①式及び②式にし
たがって酸素ガスと水素イオン及び電子が発
-43-
生する。酸素ガスは空気中に放出される。ステ
ンレス鋼中の鉄成分が優先的に金属イオンと
なって電解液中に溶け込む。
○陰極側での反応 2H++2e- →H2
発生した水素イオンは陰極に引き込まれ,電
子をもらって水素ガスとなり空気中に放出さ
れる。
○電解研磨の様子
電解研磨が始まると金属の一部が溶解し,金
属表面に溶解した金属濃度の高い電解研磨溶
液の層が出来る。この層は金属表面の凹凸によ
って凹部で厚く凸部で薄く,結果として電流は
最も電気の流れやすいところを流れるため,層
の薄い凸部で多くの電流が流れる。金属は電流
の多い部分で溶解が促進されるため,凸部が多
く溶解されていく。時間の経過とともに金属表
面の粗さは小さくなり,光沢化(鏡面化)が得
られるようになる。
②作業工程
脱脂→水洗→電解研磨→酸処理→水洗
③ステンレスの鏡面加工
(ア)浴組成と電解条件
・浴組成 :硫酸 150ml+リン酸 300ml
+水 50ml 容液
・電解条件:浴温度は室温~100℃
:電解時間は数分間
(ウ)完成品
写真7 ワッシャーをキーホルダーにしたもの
③ステンレスのカラー化
(ア)実験方法
・使用薬品
:硫酸 490g/l
:上村工業㈱
アサヒクロム特CUH250g/l
(無水クロム酸 82%,珪フッ化ナトリウム
2%,重クロム酸ナトリウム 14%含有)
(イ)実験方法
薬品を 80℃で加熱し,電解研磨後の製品を容
液につけ,時間による着色の様子を観察する。
(イ)電解研磨作業
・ステンレスワッシャーを8Vで 10 分間電
解する。
写真8 加熱作業
写真6 四方を電極で囲い中心に研磨物を固定
する
-44-
(ウ)完成品
電解後
8分間
15 分間
5分間
11 分間
写真9 時間によって緑・紫・金・青に変色
④結果
鏡面化するためには,品物に合わせ電極を加
工する必要がある。できあがりを見て電圧と時間
を決めることで,仕上がりの良い製品ができた。
連続して電解を行った場合,液温が上昇するので
冷却しながら液温を調整しておこなう必要があ
る。150mm×150mmの平板材(SUS304)を
40 枚組み合わせたものをパネルにしたものを文
化祭で発表した。その後岡山市東区にある,岡山
県立岡山東支援学校での「出前東工祭」で披露し
て寄贈した。カラー化は,大きな製品には実験デ
ータがないので,同じ条件で結果が出るのか今後
調べていく。また,ビーカー内に製品をどのよう
に配置するかによっても酸化状態が変わってく
るので,撹拌しながら温度条件を合わせる必要が
あることがわかった。
3 まとめ
研究の内容は,課題研究や文化祭におけるク
ラスの取り組みで,生徒と共に取り組んだ。電
気化学という難しい内容ではあるが,製品が出
来上がる工程や,製品の出来具合に大変興味を
持ち喜んでいた。平成 25 年度3年生の6名は
電気めっき技能士3級に合格し,成績優秀者と
して職業能力開発協会から表彰を受けた。授業
以外の所でも意欲的に挑戦し,工業高校生とし
てのすばらしい姿を見せてくれた。高校卒業後
も,ものづくりの経験が様々な場面に活かせら
れると思う。
来年度の授業内容に,「ものづくり実習」と
して今回の研究内容を取り入れることになっ
たので,来年度も「ものづくりPartⅡ」と
して,校外での児童生徒向けのものづくり体験
教室などにも取り入れるように,さらなる教材
づくりに励みたいと思っている。
終わりになりましたが,本研究を行うにあた
り御助成いただきました,岡山経済同友会に改
めて感謝申し上げます。
写真11 表彰された生徒達
(於 コンベックス岡山)
写真10 デザイン画とパネル
(於 岡山東支援学校)
-45-
倉敷ファッションフロンティア2014
~最終審査会までの道のり~
岡山県立倉敷工業高等学校
小 林
千 妃 呂
今年で19回目を迎えた「倉敷ファッションフロンティア」本校の生徒はジーンズ&カジュアル部門
に応募した。第一次審査会を経て,最終審査会に向けて衣装制作をすることとなり,デニム染色・パタ
ーン作成・縫製という流れで作品作りに取り組むこととなった。
1 はじめに
本校ではジーンズ・織り・染め・シルクスクリ
ーンなどを中心に生徒達が実習で作品製作に力を
入れている。近年ではデザイン画コンテストにも
多くの作品を応募している。デザイン画審査を通
過し,衣装製作に取り組むこととなった。
生徒達は,昨年よりも良い結果が残したいという
気持ちが強く,意欲的かつ熱心に衣装製作に取り
組もうとする姿勢が見られた。
3 パターン作成
第一次審査会を通過し,モデルさんの体形に合
わせて衣装を製作することになった。
各パーツのパターンを製作した。
2 デザイン画応募
今年のテーマは「脱・モジュール」
モジュール(MODULE)とは,機能単位のこと。
「規格・システム・枠にはまって生活している」
から抜け出し,肩の力を抜いて自由な発想で,機
能単位・規格単位・洋服づくりの型にはまること
のない考え方で新しいクリエーションにトライ。
これをテーマにデザイン画を描きあげた。
図 2 フレアーパーツ
図 3 バルーンパーツ
衣装の中でも最も目を引くバルーンスカートの
パターン。気球の形と似ていたことから気球と同
じパターンにした。
図 4 かぼちゃパンツパターン
かぼちゃパンツを着用することで少しスカート
にボリュームを出すことが出来る。
図 5 袖パターン
図 1 デザイン画
-46-
長袖のパターンを七分丈にカットし,身頃に装
着して上身頃完成となる。
5 完成 最終審査会
最終審査会前日リハーサルに行き,初の衣装点
検を経て,衣装の直しもなく無事本番を迎えるこ
ととなった。
図 6 前身頃パターン
前中心部分には,ファスナーを付ける為わでと
ることがないようにする。バスト部分はカーブ縫
いになるので気をつけて縫う。
図 8 仕上げのアイロン
ファッションフロンティア当日,生徒達は製作
した衣装を着てランウェイを歩くモデルさんを見
て感動していた。
審査結果は岡山県内特別賞・金賞を頂くことが
できた。
図 7 後身頃パターン
後中心は垂直のパターンになっていてファスナ
ーなど空きを作らなくてもよいのでわで裁断する
ことが出来る。後脇身頃もカーブになっているの
でズレがないようにしっかり合わせて縫う。
図 9 In a bag
6 おわりに
2年連続岡山県内特別賞を受賞し,デザイン画
を描く楽しさ,そして絵から衣装が完成していく
喜びを生徒達と共に分かち合うことができた。
「昨年銀賞だったから今年は金賞を狙いたい!」
と,制作に関わる生徒達の気持ちが強く今回の応
募にあたって大きな力となっていた。
自分達が一生懸命作りあげた衣装が金賞に輝い
た事は,生徒達にとって強みとなると確信した。
来年度もファッションフロンティアに取り組ん
でいきたいと思う。
4 染色・縫製
藍色のデニムをデザイン画と同じ色にするため
反応染料オレンジ 3%,浴比 50 倍で染色した。藍
色が緑色になり,裏は茶色になった。
1日天日干しして,アイロンをかけ裁断した。
各パーツごとに裁断し,縫い合わせていく。
立体感のある衣装のため生徒はループや,ポケ
ットを付ける作業に少し手こずっていたが,細か
い縫製部分にも気をつけながら縫う事が出来た。
-47-
津山工業高校における地域連携の取組
岡山県立津山工業高等学校
三 宅
宏
2006 年度から始めた出前授業は今年度で9年目を迎え,津工フェアも形を変えて8年目となる。出前
授業だけでなく本校生徒が地域に出向いて行う教育活動は徐々に広まっている。今年度は一つの区切りと
して出前授業を中心とした地域連携の取組について,その効果を検証し,地域貢献へとつながるさらなる
発展のサイクルを目指したい。
1 出前授業について
平成 18・19 年度に「飛び出せ!専門高校生地域実
践サポート事業」を受け,津山市内近郊の小中学校
対象に「ものづくり体験学習」や「文化祭のイベン
トでのミニ実験コーナー」として,出前授業を企画・
実施しました。当初の目的は津山工業高校としての
魅力を小中学校の児童・生徒に知ってもらうことに
より,学校と保護者・小学校・中学校との新たな関
係を築くことをねらいとしました。この出前授業が
平成 18・19 年度で終わることでは地域への連携も
単年度での取組に終わってしまうため,次年度から
本校の取組として継続してきました。
9年後の現在は出前授業として昨年度は津山市内の
6小学校に7学科がそれぞれの特徴を生かした「も
のづくり体験学習」をワークショップ形式で2時間
単位で行っています。
本校の参加生徒は延べ 163 名,
体験参加児童 562 名で年々その学校数は増加傾向に
あります。実施した学校での評価は児童の「やる気」
「満足感」
「想像力」が向上し。
「ものづくりの楽し
さ」を体感し,探求心を育てる糸口ができたのでは
ないかという評価でした。
2 津工フェア
平成 18 年度までは「津工フェア」として主に保
護者・中学生・中学校の先生や地域の方を対象とし
て郊外型のスーパーのスペースを借り,津山工業高
校の学習内容・学習状況・教育活動などの広報を主
な目的として展示を行ってきました。しかしパネル
展示だけでは広報活動も限られ,多くの人の興味を
引きつける魅力に欠けるということもあり,平成 19
年度から新たに発展した形の津工フェアにしました。
具体的には津山商店街の一角を借り,商店街の活性
化の取組のひとつとして6月~2月までの各月に一
週間程度の展示,さらには「まちかど子供工作教室」
を長期休業中にワークショップ形式で行うようにな
り,昨年度は7月~8月にかけて市と連携して「ま
ちかど子供工作教室」を5科がそれぞれ1回~2回
行ってきました。昨年度の本校参加生徒は延べ 58
名,体験参加者は5才~12 才の年齢の児童が 322
名でした。児童だけでなく保護者も参加し,本校の
ものづくりの一端を体験しました。市と協力するこ
とによって商店街の活性化について生徒も参加する
ことができ,地域貢献を考える上で貴重な教育活動
となっています。
-48-
できるのか,
を肌で感じる生徒も少なくありません。
「自分たちの住む地域はどのような問題点があ
るのか」
「自分たちの役割はどのようなことなのか」
など地域に密着し信頼される心豊かな生徒の育成が
期待できます。
3 企業と連携したものづくり
従来から地場産業と連携した取組は行ってきまし
たが,企業と連携した地域産業の担い手育成を目的
に「高校生のものづくり支援事業」の一環として技
能検定3級射出成形作業の取得を目指しました。具
体的には岡山県職業能力開発協会と株式会社オーエ
スケーの協力により技術指導を受け,その技能を育
成しました。この取組は4年目となり,過去3年間
で延べ 17 名受検し,合格者は 16 名(94.1% 1名
の不合格者はインフルエンザによる未受検)
,
熟練技
能者による技術指導により高い合格率となっていま
す。
(2)年齢や立場の違う人たちと関わることでコミ
ュニケーション能力が備わり,思いやりの心や豊か
な人間性が育まれることが期待できます。
このような取組も9年目を迎え,出前授業や津工フ
ェアを体験して,津山工業高校を希望してきた生徒
たちも少しずつですが入学しています。地域連携の
取組がやがては地域貢献の取組に徐々にですが発展
しています。
4 その他
その他の地域連携では津山や岡山のリユースの施
設や公民館との連携を行っています。主に工業化学
科の生徒たちが作った廃油石けんを配布し,東日本
の支援活動や環境の教育活動を生徒が広めています。
また地元の NPO 法人「エコネットワーク津山」と
連携し,デザイン科や工業化学科が地域の活性化や
町おこしのお手伝いをしています。
5 地域連携をおこなう教育的効果について
以上の本校が行っている教育的効果について考え
てみました。
(1)地域の小学校や公民館に出向いて地域の実
態を生徒が知ることができる。その良さを感じる生
徒もいますが,地域でどのようなことが自分たちに
6 今年度の新たな取組
本校が行っている地域連携の取組はそれぞれが大
切な教育活動であり,教育的な効果が高いことは参
加した生徒や体験した児童・保護者からのアンケー
トで立証済みです。しかし,それぞれの取組を結び
つけ,地域連携を地域貢献につなげるサイクルの必
要性を最近痛切に感じています。今年度は新たな取
り組みとして生徒が自ら,
(1)地域を知り,地域貢献の必要性を学ぶ。
(2)地域との連携を強化する。
(3)7学科が連携・協同し「ものづくり」によっ
て地域の活性化を図る。
以上を目指して,連携・貢献のサイクルになるよう
-49-
に「津山工業高校オープンファクトリープロジェク
ト」
を立ち上げました。
今年の1月から準備を始め,
従来の津工フェア(まちかど工作教室)をさらに発
展させ,津山市街地活性化協議会,津山市,地域の
商店街等と連携し,商店街の特設会場やデパート,
空店舗などの一角を借り,多くの会場で同時に「津
山工業高校の生徒によるものづくりの楽しさ」を小
学生に伝える
「津山工業高校オープンファクトリー」
を行いました。後の検証で述べますが,この取り組
みは単なるイベントではなく,地域を支えるものづ
くり人材育成の一環として生徒が自ら地域連携・地
域貢献について考え,地域の活性化を図り,実践で
きる取り組みに発展させたいと思っています。7月
27 日(日)に開催し,7つの専門学科の 21 の体験
ブースで本校 123 名の生徒が小学生に「ものづくり
の楽しさ」を伝え,延べ 988 名の児童がその楽しさ
を体験しました。専門学科の生徒教員だけでなく多
くの普通教科の教員も参加し,学校全体の取り組み
になりました。
(参加教員数 41 名)
7 今後の課題
本校が行っている地域貢献は,少しずつですがそ
の効果を上げ,昨年度は2小学校と3公民館が新た
に増え,今年度は 10 月末時点で本校参加生徒 245
名,体験児童数 1450 名を数え,その規模は広がり
つつあります。しかし,現在は出前授業や津山工業
高校オープンファクトリーのワークショップについ
ては各科で教材を工夫し,その負担を軽減する努力
は行っていますが,かかる費用は,広がれば広がる
だけその負担は重くなっています。持続性と発展性
をいかに両立していくかが一つの課題となっていま
す。昨年度までのそれぞれの取組が単発で,つなが
りに欠ける点は「津山工業高校オープンファクトリ
ー」でいくらか解消できたように思います。
「ものづ
くりの楽しさ」を柱とした,地域に貢献できる人材
の育成をさらに発展させ,持続したサイクルになる
ように取り組んでいきたいと思っています。
-50-
工業高校の特色を活かした東日本大震災の被災地の継続支援
岡山県立津山工業高等学校
三 宅
宏
木 村 善 幸
亀 井 大 輔
東日本大震災の被災地支援も今年度で3年目を迎えた。
「継続的支援」を掲げて,製造したペレット燃料お
よび義援金を贈呈すると共に現地を訪問した。
【1.緒言】
東日本大震災からもう3年が経過した。テレビや
新聞で取り上げられることが少なくなってきている
ように感じる方もいるかもしれない。本校が目指し
た工業高校の特色を活かした支援活動も3年目とな
る。3年間の取組を振り返ると共に,改めて津山工業
高校の被災地支援の在り方について考えたい。
【2.活動】
<1.目標>
〔1〕バイオマス資源の利用を促進する
〔2〕エネルギーの地産地消で地域の活性化を図る
〔3〕学んでいることが役立つことを実感する
〔4〕被災地との交流を通して人間的成長を図る
<2.具体的活動>
〔1〕募金活動をする
〔2〕工業高校の特色を活かす
〔3〕現地に直接持っていく
〔4〕現地の様子を報告する
<3.実績>
〔地震発生〕平成 23 年3月 11 日
〔第1回支援〕平成 23 年 12 月 13 日~16 日
・訪問先 宮城県
・訪問人数 生徒5名 教員2名
・ペレットストーブ1台 ペレット燃料 310kg
ペレットコンロ1台 ポスター 義援金
〔第2回支援〕平成 24 年 12 月 18 日~20 日
・訪問先 宮城県
・訪問人数 生徒1名 教員1名
・ペレット燃料 300kg 廃油石けん 義援金
〔第3回支援〕平成 25 年 12 月 16 日~18 日
・訪問先 宮城県
・訪問人数 生徒1名 教員1名
・ペレット燃料 300kg 義援金
<4.内容>
〔1〕募金活動をする
〔2〕工業高校の特色を活かす
これまでの募金活動は学校行事や PTA・同窓会か
らの寄付に大きく依存している(図1)
。
図1 義援金
本年度は,更なる安定的な集金を目指し,従来型の活
動に加えて新たな募金活動に取り組んだ。本校では,
地域から集めた廃油を原料に石けんを製造し,その
廃油石けんを地域にお返しすることで,学校を基点
とした循環型社会の構築を目指している(図2)
。
-51-
図2 廃油石けんの取組
石けんの製造は,工業化学科の実習で実施しており,
粉末石けんを 0.8 t/年,液体石けんを 1000 L/年生
産している。廃油を原料にしたという環境面だけで
なく,工業高校の特色を活かして石けんとしても高
い品質を追求している。
(1)廃油の臭いを取り除く 廃油石けんの最大の
課題である臭いを軽減する。廃油と水を高温で撹拌
することにより臭い成分を分解している。
(2)未反応油をなくす 未反応油は時間と共に染
み出て石けんを黄変させる。未反応油を生成した石
けんと分離,苛性ソーダを追添している。
(3)pH を調整する 一般的な廃油石けんはアル
カリ性が強く,汚れのひどい靴やシャツの襟など使
用用途が限定される。生成した石けんを分離し,水
で洗うことで過剰な苛性ソーダを除去,pH をアルカ
リ温泉レベル(pH=9~10)に調整している。
この廃油石けんを公民館などに置いてもらい募
金を集めることを試みた(図3)
。設置をお願いした
場所は次の通り。
(1)リユースプラザ津山「くるくる」
ゴミの減量とリユースを目的として,津山市が平成
12 年6月に開設した店舗。
(2)岡山市内の公民館
岡山市中央公民館を中心に全 11 館
岡山市中央公民館 北公民館 上南公民館 足守公
民館 藤田公民館 東公民館 南公民館 旭東公民
館 操南公民館 山南公民館 万富公民館
岡山市中央公民館
実際の様子
全体が気軽に集える,人間力の向上などを中心とし
たコミュニティー(地域社会)のためのサービスを
総合的に提供する拠点」と説明している。公民館は
全国に1万館以上あり,岡山県には約 430 の公民館
がある。1館あたりの平均利用者数は約2万人とさ
れる。
粉石けんは 400 g 詰,液体石けんは 500ml 詰であ
り,年間生産量から計算すると,粉石けんは 2000 袋,
液体石けんは 2000 本となる。募金額を粉石けん 30
円,液体石けん 10 円として,30 円×2000 袋=6万
円,10 円×2000 本=2万円,年間計8万円の集金を
目指す。
段取りに手間取り年度初めからの開始はできなか
ったが,岡山市内の公民館館長会での PR などが奏功
して,6月から2月の9ヶ月間で5万 9248 円の募金
を集めることができた。1ヶ月あたり約 6500 円で
(表1)
。
あり,年間に換算すると約7万 8000 円になる
目標金額には 2000 円ほど届かなかったが,まずまず
の募金を集金することができたと考える。廃油石け
ん自体の評判も悪くない。学校にも問い合わせの連
絡が度々入っており,リピーターも多いことから,継
続的に募金活動が展開できるものと推測する。
表1 石けん募金の概要
種類
粉石けん
液体石けん
外見
くるくる
生産量
生産数
内容量
設定額
目標額
募金額
提案したイメージ
図3 石けん募金の提案
公民館活動は戦後間もない昭和 21 年に開始され,そ
の歴史は 60 年以上。文部科学省のホームページに
よれば,「公民館は地域住民にとって最も身近な学習
拠点というだけでなく,交流の場として重要な役割
を果たしている。社会の要請に的確に対応した取組
や,子どもや若者,働き盛りの世代も含めて,地域住民
1t/年
1000L/年
2000 袋/年
2000 本/年
400g/袋
500ml/本
30 円/袋
10 円/本
8万円/年
約6万円(9ヶ月)
〔3〕現地に直接持っていく
(1)くりこま自然学校(図4)
くりこま自然学校は,不登校やニートを積極的に
受け入れている学校で,震災時は職員がボランティ
アとして活動した。震災後は,森林資源と再生可能エ
ネルギーで復興を目指している。平成 23 年度の訪
問でペレットストーブを寄贈して以来,本校製造の
木質ペレット燃料を贈っている。
-52-
石巻工業在籍時に被災した生徒はすでに卒業してい
たが,当時の様子や危機管理の大切さなどはしっか
りと後輩に引き継がれていた(図7)
。
地震から 33 分後
現在
1時間 53 分後
校舎が避難所に
2時間 53 分後
地震から2日後に脱出
図4 くりこま自然学校にて
(2)手のひらに太陽の家(図5)
この施設は,放射能による健康への不安を抱えな
がら生活をしている福島の子どもや親子の保養の受
け入れをしている。同じ悩みを持つ家族が入居し共
に暮らしながら,新しい生活を取り戻せるように支
援している復興共生住宅である。仮設住宅のように
復興後に取り壊すのではなく,永く使用する目的で
つくられている。震災直後から現在の様子まで詳し
く話をすることができた。
また,太陽熱を利用した給湯や太陽光発電,ペレット
ストーブ,ペレットボイラーなど,再生可能な自然エ
ネルギーを多く取り入れている。本校製造の木質ペ
レット燃料を贈ると共に,上述した石けん募金を寄
付した。
図7 当時の石巻工業高校
(4)被災地の様子
石巻市内は多くの車が行き交い,活気があるよう
に感じる。ガレキが除去され,土地区画整理が進む。
一方で,墓地には真新しいお墓が立ち並んでいた(図
8)
。
図5 手のひらに太陽の家にて
(3)宮城県立石巻工業高等学校
石巻工業高校は,地震では津波で大きな被害を受
けた。同窓会・PTA・生徒会から預かった義援金を
手渡し,現在の様子を伺うことができた(図6)
。
図8 石巻市内
図6 義援金を生徒会長に
南三陸町では鉄道路を利用したバス路線が整備さ
れ,ガレキも少なくなっている。震災当時最後まで避
難を呼び続けた庁舎はまだそのまま残っており,人
影はないものの多くの花が供えられていた(図9)
。
-53-
現在
【3.まとめ】
訪問した生徒会会長のまとめは次の通り。
1年前
図9 南三陸町
宮城県にも「津山」という地名がある。宮城県登
米市津山町。同じ中山間地域に位置している。特産
である杉材を PR する道の駅に立ち寄った。その先
には仮設住宅が立ち並んでいた(図 10)
。
ボランティアなどの直接的な支援はもちろん,講話
や発表などで活動内容を皆に伝え,風化させない
ようにしている人がたくさんいます。現地の方々と
話す機会がたくさんありましたが,全員「この経験,
思いを忘れるんじゃなく次に伝えることが大事」と
言われていました。自分たちにできることは限られ
ているかもしれませんが,震災の出来事を風化させ
ないことが大事だと思います。
石巻工業高校の新・旧生徒会会長と先生方の話の
中で私たちが考えなければいけない事がありました。
それは避難訓練に取り組む姿勢です。石巻工業では
震災を経験してから避難訓練を真面目にするように
なったそうです。津山工業に限らず岡山県は震災が
少なく防災の意識もあまり高くないと感じます。こ
の震災を通して意識の低さを変えられるようにして
いきたいです。
「高校生にできる被災地支援は何か」と現地を訪問
した生徒に聞くと次の2つを答えた。
(1)被災地の「今」を伝える
(2)震災を忘れない
図 10 登米市津山町
〔4〕現地の様子を報告する
平成 26 年1月 31 日,本校の体育館にて報告会を
実施する予定だったが,インフルエンザが流行し延
期。次年度に改めて報告会を実施したい。
平成 26 年2月6日,岡山市中央公民館にて石けん
募金のお礼と被災地の様子を報告した。
平成 26 年2月 22 日,津山市総合福祉会館にて岡
山高校生ボランティア・アワードに出場し,東北支援
の取組として被災地の様子を報告した(図 11)
。
東日本大震災の被災地支援をきっかけに,たくさ
んの方々と「つながり」を持つことができた。上述
したように,震災を風化させないのはもちろん,支援
活動を通じてできた「つながり」も大切にして,共に
頑張って歩んでいくことが,今後の支援の在り方だ
と思う。
本校の取組が,東日本大震災被災地の継続支援に
代表されるように,社会に役立っていると生徒が実
感することで,更なる勉学への動機付けとなればと
思う。
図 11 報告会の様子
-54-
地域と連携したデザイン科の取組について
~地域貢献を目指した「津工デザインファクトリー」~
岡山県立津山工業高等学校
河 本
藤 原
智 弓
亨 祐
本校デザイン科が開設されて5年目を迎えた。本科の目標はデザインの考え方を学び,デザインの視点
から地域に貢献できる人材を育成することである。そのためには,地元地域を知り,地域と連携した取組
による体験的活動が有効であると考え,様々な取組を試行してきた。
今年度からこうした活動を「津工デザインファクトリー」と称し,地域からの要請を受け,様々な活動
を行っている。本報ではこれまでの活動の経緯と2年間の主な活動事例について報告する。
1 はじめに
本校デザイン科では,新設当初から,地域に関係
したデザインの学習体験を通して,より身近な生活
の中での
「デザイン」
の役割や考え方を学ぶために,
地域と連携した学習を積極的に取り入れている。
本校の所在地である津山市や周辺の美作地域で
は人口減少にともない,駅前や商店街など街の活性
化やまちづくりに課題を抱えている。
様々な組織によって,にぎわいの創出やまちの活
性化について取組がなされているが,
ここ数年では,
津山市(新産業創出課)や美作県民局,津山市青年
会議所,岡山県産業労働部経営支援課等と連携し,
新商品開発やロゴマークの提案・イベント企画など
生徒が地域とともに関わり,アイデアを出していけ
るような取組に参加してきた。こうした地域貢献を
目指した取組を今年度から「津工デザインファクト
リー」という名称とし,より広く地域の方に知って
いただき,
「デザイン」を通して生徒が貢献できる活
動に発展させたいと考えている。
②美作建国 1300 年記念商品開発プロジェクト
(MDP津山市新産業創出課・菓子組合)
「新醍醐」
③美作建国 1300 年記念事業
高校生・大学生による商品開発プロジェクト
ロゴマーク・パッケージデザイン(美作県民局)
④岡山学生の夢 まちづくり提案(岡山県経済産業課)
⑤イベント「レッツゴー商店街ランド」開催(商店街)
2 つやまFネットの取組
つやまFネットとは,平成 24 年3月に策定した
「津山市農商工連携推進計画」を実行するために組
織された団体で,地域資源の把握と活用,新商品開
発,イベント開催,情報発信等による様々な連携を
行っている。本校デザイン科も参加団体として以下
の事業を実施した。Fネットに参加することで,地
域のイベントや農業・商工業者との情報交換ができ,
地域連携事業の軸になっている。
平成 25 年度の地域連携事業
①新商品開発プロジェクト
「しょうがドレッシング」
-55-
美作 1300 年記念事業
イベント「レッツゴー商店街ランド」
3「デザインファクトリーを立ち上げます!」
デザイン科は新設5年目の専門科であり,歴史が
浅いため,地域の方々にその活動を認知されている
とはいえない。学校での基礎的なデザインの学びを
生かし,地域の方々と連携して交流を深め,デザイ
ン科を知っていただくために,今年度「津工デザイ
ンファクトリー」を立ち上げた。また,実際にポス
ターやパッケージを協働して取り組むことにより,
生徒の技術力を高めることをねらいとしている。
(1)活動の内容と方法
①津工デザインファクトリーの開設
②天下一品漬物グランプリへの参画
・市内事業者からの事業を募集
・イベントの企画・運営
・PR用のチラシ・ポスターの制作
・ラベル等のデザイン提供
(2)現在までの状況
・津工デザインファクトリー(キャラクター・ロゴ
マーク・パンフレット制作)
・天下一品漬物グランプリ企画中
・津山産小麦パンミックス粉パッケージ制作中
商品開発や企画のプロセスを経験させていただく
ことが生徒の学びにつながり,社会人への一歩とし
て役立つと考えている。また,学校で学んだことを
地域に貢献できることで自信につながり,実際の商
品等が地域で販売されることで,更に生徒の関心や
意欲を高めることができた。
(2)期待される効果
生徒が地域と関わり,貢献することで地域の役に
立つことの喜びや地元愛を培うことができる。
学校と諸団体が連携し,地域について考えるため
の幅広い相互の交流の場や機会を持ち,さらに地域
課題の共通認識ができる。
作州絣保存会の方との連携事業
(3)研究・実践活動の内容と方法
①私たちの畑プロジェクト(綿花の栽培)
②ESDの視点で環境問題について考える
③作州絣についての講演および作品づくり
④デザイン科紹介展にて発表
⑤地域デザインについて考える
天下一品漬物グランプリ企画
企業の方に向けてのプレゼンテーション
4 地域の伝統工芸の手法を学びながら新しい産業
や地域のデザインについて考える
(1)ねらい
伝統的技法
「作州絣」
を学ぶことで技術を習得し,
ものづくりの基本とデザインの考え方を学ぶ。地域
の新しい産業の発展を目指し,学んだ技術を活かす
ことができる生徒を育てる。
5 成果と課題
地域と連携した活動は5年間で大きく拡がり,活
動の認知度は高まり,連携の依頼も増えてきた。
こうした活動が生徒の学習に対する意欲を高め,
主体性を育てる手立てとなることを実感している。
今後は活動の内容を発展させ,7科の連携による
活動も視野に入れたい。科の取組から学校としての
取組に発展させることで,地域への発進力をより高
めていきたいと考えている。
-56-
平成 25 年度産業教育長期専門研修報告
~建設現場における土質試験の技術習得~
岡山県立笠岡工業高等学校
高 原 邦 保
岡山県教育委員会は,技術的進歩の著しい産業界に人材を送り出す高等学校の教職員に,民間企業,研究
施設において,先端分野の理論や技術を習得させるなど,教職員の資質向上を図るため,産業教育長期専門
研修を実施している。平成25年度産業教育長期専門研修生として,(協)岡山県土質試験センターで1
年間研修した。その研修内容を報告する。
Ⅰ はじめに
解りやすい1つの目安」と考えておけばよい。
産業現場において重要化,多様化する土質試験(2)得られる項目
の知識・技術を習得し,実習等へ反映させること
含水比 w,間隙水の質量 m W ,
乾燥質量 m S
によって本県土木教育の推進を図る。東日本大震
災では,埋め立て地域を中心に広範囲で地盤の液(3)設計・施工への活用例
ア 地盤モデル作成時の基礎資料
状化現象により大きな被害を受け,地盤調査の重
イ 自然含水比w n からq U の推定
要性が再認識された。
ウ w n から平均体積圧縮指数m V
この研修では,県下最大級の設備を有し,年間
推定
700 件を越える分析依頼を受けている岡山県土質
エ w n から盛土高 H E の推定
試験センターでの研修を通して,必要な知識や技
(4)結果の解釈
術の習得に努めることとした。
ア 自然状態の土は,含水比から概略
の力学特性を知ることができる。
Ⅱ 研修内容
特に飽和土では含水比と間隙比は
(協)岡山県土質試験センターで,室内土質試験
一義的であり,その土の圧縮特性
を1年間にわたり学ばせていただいた。センター
や強度特性と密接な関係にある。
の方針により,年間を通して担当した室内土質試
イ 含水比wと間隙比e,間隙率n,
験の概要を報告する。
飽和度S r, 湿潤密度ρ t ,乾燥
密度ρ d は関係式で表現される。
1 土の含水比試験
ウ 含水比は,土塊の水分量と土粒子群の重さ
(1)試験の目的
の比で定義され,特に細粒土(粘性土)では
土の含水比を求める。土に含まれる水分と土
力学特性に影響を与える。
(乾燥土)の比を表したもの。試験は,湿潤土の重
さを量った後,110℃の乾燥機に入れ,乾燥させた
後に土の重さを量って,土に含まれていた水分量
を求め,水分/乾燥土×100(%)の式で求める。
締固めた土の密度,強度(硬さ・強さ)は,含水比
によって変化する。また,含水比は単独で評価され
る(使われる)ことは少なくて,例えば含水比 20%
は粘性土では乾燥した状態,砂質土では湿った状
態,礫質土では飽和した状態,と土により異なった
評価となる。各種室内試験のほとんどに含水比試
含水比試験
験は関係してくるため,含水比は「土の状態を示す
-57-
2 土粒子の密度試験
ア 造成・道路等の盛土材の転圧基準
(1)試験の目的
イ ため池のコア土管理基準
土粒子の単位体積当たりの質量をいい,粘土地
ウ ロックフィルダムのコア土基準等
盤の上に構造物を建てるような場合に,その粘土(4)結果の解釈
層が将来的にどのくらい沈下するのか,いつまで
ア 実際の締固め施工にあたって目標とする締
沈下が続くのかを計算するために必要な基礎定
固め度と施工含水比の規定は,盛土の安定
数を求める。
性を確保するために必要。管理基準として
(2)得られる項目
室内の突固め試験結果を利用することが
土粒子の密度ρ S ,圧縮指数C C ,
多い。
体積圧縮係数m V ,圧密降伏応力P C
イ 土の締固めの管理方式には,締固めた土の
(3)設計・施工への活用例
品質で管理する方式,施工方法を規定し工
法で管理する方式及び両者を組み合わせ
ア 間隙比e,飽和度S r ,
イ 粒度試験の沈降試験,締固め試験の締固め
た方式等がある。
特性(空気間隙率曲線)等
ウ 品質管理方式には,「基礎となる室内突固め
ウ 圧密試験等
試験の最大乾燥密度等の密度比による」,
(4)結果の解釈
「空気間隙率または飽和度による」,「強度
ア 一般的な土粒子の密度は,ρ S ≒
特性及び変形特性による」の3つがある。
3
2.65(g/cm )
エ 我が国における仕様書の多くは,粗粒土系
イ 土粒子の密度が低い場合は有機物の混入,
には密度比,また細粒土系には空気間隙率
高い場合は重鉱物・重金属の含有が予想さ
等を採用し,締固め度・施工含水比・施工層
れる。
厚や水平敷き均し等を規定している。
密度試験
締固め試験
3 土の締固め試験
(1)試験の目的
4 土のコーン指数試験
締固め試験とは,現場管理(盛土管理)で必要と(1)試験の目的
なる基準密度を求める試験である。試験方法は,
コーン指数試験とは,建設機械の走行性にかか
土に含まれる水分量(含水比)を変えた土を同じ わる試験で,モールド内で締固めた盛土材料にコ
エネルギ-で突固めて,最もよく締まる時の含水 ーンを土中に貫入させたときの貫入抵抗力をコ
比(最適含水比)と乾燥密度(最大乾燥密度)を ーンの底面積で除した値によりコーン指数を求
求める。
める。
(2)得られる項目
コーン指数と建設機械の走行性の関係
ア 試料分取後の含水比及び乾燥法を用いた場 は,300(kN/m2) 以上で湿地ブルドーザ,
500(kN/m2) 以上で普通ブルドーザ,
合は乾燥処理後の含水比
1200(kN/m2)以上でダンプトラックが走行可能
イ 締固め曲線,ゼロ空気間隙曲線
の目安となる。
ウ 最大乾燥密度,最適含水比
(2)得られる項目
(3)設計・施工への活用例
-58-
ア 各,突固め回数(10,25,55,90)に対するコーン いる。3%以下では路床材料としては不適なので,
指数(貫入量上端面から 5,7.5,10cm 貫入し 路床改良(置換え,石灰・セメントの安定処理)が
必要となる。
たときの値)
(2)得られる項目
イ 供試体の含水比~湿潤密度
ア 供試体の含水比及び乾燥密度
(3)設計・施工への活用例
イ 膨張比
ア 建設発生土の土質区分への利用
ウ 貫入試験後の含水比
イ 土木工事の施工機械によるトラフィカビリ
エ CBR及びその貫入量
ティの判定
ウ 火山灰質粘性土の練返し強度特性の良否 (3)設計・施工への活用例
ア アスファルト舗装の構成及びその厚さを決
エ 粘性土を使用する土工事の建設機械のトラ
定する場合に利用(路床土のCBRは,設計
フィカビリティ判定指標
CBR)
オ 安定処理土の改良程度の判定
イ 路盤材料の強さを示すのに利用
(4)結果の解釈
(修正CBR)
ア 土のコーン指数試験と粒度試験を併用し,
ウ 材料の規定,締固め度の管理
第1種建設発生土・第2種建設発生土等の
エ トラフィカビリティの判定
建設発生土の土質区分算出に適用する。
オ 土の力学的性質の把握(安定処理土の配合
イ 関東ロームなどの火山灰質土は土工事にあ
設計にも適用)
たって,施工機械のトラフィカビリティの
低下の著しい土である。しかし,自然含水比(4)結果の解釈
ア 一般に,道路舗装の設計に用いる設計CB
あるいは判別分類結果ではこの程度を判
Rを求める場合は,自然含水比の試料を用
断することはできないため,基準による結
いた「締固めた土のCBR試験」が用いら
果を利用し,この程度を分類する。
れることが多い。
ウ この結果,材料が現場に使用可能かどうか
イ 盛土材料や路盤材料等の材料規格である修
の判断に適用する。
正CBRを求める場合は,最適含水比に調
整した試料を用いた「締固めた土のCBR
試験」が用いられることが多い。
ウ 現場の条件を乱すことなく施工ができ,か
つ土を乱すことによって極端に強度が低
下することがわかっている場合は,乱れの
少ない土のCBR試験や現場CBR試験
が用いられる。
エ 現場CBR試験は,現場における強度を直
接測定することになるため,トラフィカビ
リティの判定や路床,路盤材及び安定処理
コーン指数試験
した土等の施工管理等にも利用されてい
る。
5 CBR試験
(1)試験の目的
CBR(CaliforniaBearingRatio)試験とは,”路床
土支持力比”と呼ばれる試験で,路床や路盤の強さ
を評価するための試験である。所定の貫入量にお
ける荷重強さをその貫入量における標準荷重強
さに対する百分率で表したもので,路床のCBR
値により,その道路の舗装構成が決定される。カリ
フォルニアの一般的なクラッシャランを所定の
力で締固めた時の強さを基準値(100%)として
-59-
CBR試験
一軸圧縮試験
6 土の一軸圧縮試験
(1)試験の目的
7 室内配合試験
自立する供試体に対して,拘束圧が作用しない(1)試験の目的
状態で圧縮を行い,円柱状の供試体(高さは直径の
配合設計試験とは,固化材(セメントや石灰)の
1.8~2.5 倍)を1分間に高さの1%の圧縮速さで
量を3段階変えて土に混合し,目的の強度が得
圧縮して最大圧縮応力を求める試験である。
られる固化材添加量を求める試験。産業廃棄物
(2)得られる項目
(泥土)の持ち出し,路体改良のためには配合設
ア 一軸圧縮強さ
計(コ-ン試験)を,路床改良のためには配合設
イ 圧縮応力~ひずみ曲線
計(CBR試験)を,構造物基礎地盤の改良には
ウ 破壊ひずみ
配合設計(一軸圧縮試験)を,補強土壁等の裏込
エ 供試体直径,高さ
め材の改良,盛土の円弧すべり対策等は配合設
オ 湿潤密度,含水比
計(三軸圧縮試験)を,施工目的に合わせて試験
カ 供試体の破壊状況
を選ぶ。
キ 鋭敏比
良質な材料の入手難や,土捨て場の確保難,環
(3)設計・施工への活用例
境保全等の制約により,現地発生土を有効に利
ア 粘性土の強さの判断(q U )
用しようということでセメント及び石灰による
支持力,土圧,斜面の安定等
安定処理が広く行われるようになった。
イ 粘着力(c)
(2)結果の解釈
非排水せん断強さ(S U )の算定
地盤がゆるい所へ建造物を建てる時にセメント
c=S U =(q U /2)
の杭を地中に作り建造物の安定を図る場合,含
ウ 安定処理土の配合設計
水比の高いヘドロなどを運搬する時にダンプか
エ 即時沈下量の算定(E 50 の活用)
らこぼれる恐れがある場合,現場の土が悪くて
(4)結果の解釈
使えない場合等,そのままでは種々の用途に適
ア 一軸圧縮強度からの粘着力cの算定短期安
さない軟弱土に対し,セメント系固化材等を添
定問題に対して,q U /2 を原地盤の非排水せ
加混合して,土の強さ・安定性・耐久性を向上さ
ん断強度として利用する。(飽和粘性土の
せる。
場合)
イ 同一地点の試料で結果がばらついていると
きは,深度方向にプロットして,対象地盤を
代表する強度分布を定める。
ウ 変形係数E 50
試料が乱れを受けると,E 50 が小さくな
る。E 50 の深度分布から,乱れを強く受
けた部分を判
断することができる。
室内配合試験
Ⅲ 室内土質試験見学・実習セミナー
岡山県土質試験センターでは,官公庁やコンサ
ルタント,学校を対象に土質試験の見学・実習体験
ならびに,岡山県建設技術センターからの依頼で
建設業従事者を対象とした土質試験の技術研修
を行っている。見学や研修を通して,より多くの人
に土質試験の必要性や試験内容,活用法等を理解
してもらうようにする。
-60-
室内土質試験見学(大学生)
建設業従事者研修(施工業者対象)
Ⅳ ジオ・ラボネットワーク技術者交流会
全国に設立されている土質試験協同組合(9組
合)が,平成 19 年度に協同組合地盤環境技術研究
センターと連携協定を結び,ジオ・ラボネットワー
クとしている。毎年,技術者交流会を行い,地盤材
料試験に係わる共通のテーマで意見交換を行い,
知識・技能の水平展開・向上に,また,ジオ・ラボネ
ットワークの連携を図り絆を深めるよう努めて
いる。
内土質試験を通して,教育現場とは異なる視点か
ら,知識や技術を習得するとともに,業者の方々と
の交流を通して,仕事に対する心構え・姿勢等を学
ぶことができました。
土質試験については,多様化し高度化する新技
術等を,社員の方々から優しく丁寧に教えていた
だく中で,締固め試験やCBR試験,一軸圧縮試験
等の力学試験を中心に学ぶことができました。
また,見学やセミナーについては,見学者に対し
て,土質検査の内容や活用方法等を説明する中で,
自分自身の理解度をチェックすることができた
と同時に,同級生や教え子たちにたくさん会うこ
ともでき,昔話に花を咲かせたり,昨今の建設業界
を取り巻く状況等を聞くことができました。
ジオ・ラボネットワーク技術者交流会では,全国
各地で土質試験に携わっておられる方々からい
ろいろなお話をお聞きし,改めて土質試験の大切
さや難しさを学ぶことができるなど,1年間を通
して,大変有意義な研修となりました。
今後は,この研修で学んだ土質試験の知識や技
術等を,より多く学校現場で伝えることで,本県土
木教育の推進にいくらかでも貢献できたらと思
います。
終わりになりましたが,研修をさせていただい
た協同組合岡山県土質試験センターの原田局長
をはじめ,社員の皆様方,また,貴重な機会を与えて
くださいました岡山県教育委員会に厚く御礼申
し上げます。
岡山県土質試験センターにて
平成 25 年度は岡山大会だったため,スタッフの
一員として大会に参加させていただいた。
Ⅴ 終わりに
1年間にわたり,「精度の高いデータを迅速に」
をモットーにしているセンターのもとで行う室
-61-
工業技術科コラボレーション(2)
~土砂災害実験装置の作製~
岡山県立新見高等学校
早 瀬 一 英
岡山県北部は有数の土砂災害発生地域で,新見市にも 800 カ所を超える土砂災害危険箇所がある。この
ような現状から,そのメカニズムや形式を知るため,小規模ではあるが土砂災害を再現し観察できるよう
な装置を作製することを考えた。本報では設計の概略と作製課程、および実験方法とその結果について報
告する。実験方法についてはまだ固定された方法が確立されておらず,今後,今回作製したような装置に
適合した実験方法とその検証方法について開発が待たれるところである。
1 はじめに
本校は平成 17 年に旧新見高校と新見北高校が統
合し,新制新見高校として発足した。普通科,生物
生産科,工業技術科,総合ビジネス科を配した,学
科総合型の高等学校である。
現在,工業技術科は 1 年次に 40 名を募集し,共
通科目を学習した後,2 年次より電子機械コースと
土木コースに分かれて学習するシステムを取ってい
る。しかし 3 年次の課題研究だけは,電子機械コー
ス,
土木コースの枠組みを超えて自由に選択し,
様々
なものづくりに取り組んでいる。このため,土木コ
ース選択者が機械加工をしているようなケースもあ
るし,電子機械コース選択者が,土木コースの生徒
とともにフェロセメントカヌーの製作と,競技大会
への出場に取り組むようなケースもある。
このような課題研究での状況と,筆者の,専門は
土木であるが機械系の加工技術も多少心得があると
いう資質を生かすため,以前から,電子機械コース
と土木コースでより綿密に融合した,ものづくりが
できないかと模索していた。
ところで,岡山県北部は有数の土砂災害危険地域
であり,その中でも新見市は 800 カ所を超える土砂
災害危険箇所を有している。したがって,このよう
な地域の特徴を知り,土砂災害のメカニズムを知る
ことは大変有意なことと考えられ,筆者が土木基礎
力学2を担当するときは,土質力学の中でそのメカ
ニズムや形式を学習するようにしていた。
このようなことから,小規模ではあるが土砂災害
を再現し,観察できるような装置を作製することを
考えた。本報では設計計算,作製過程,実験方法に
ついて述べる。作製に当たっては生徒も参加してい
るが,基本的な設計は筆者が行っており,また一部
は高校生の教科書レベルを超える内容も登場するた
め専門分野として述べることにする。
2 土砂災害について
土砂災害は,山や崖などの斜面を構成する岩石や
土などが重力によって下方に移動を起こすことによ
って生じる災害である。これには「地すべり(地滑
り)」,「土砂崩れ(斜面崩壊・崖崩れ)」,「土石
流」,など様々なタイプがある。次表は,土木基礎
力学2の教科書の「自然斜面の破壊」という項目で
紹介されている「地すべり」「崖崩れ」「土石流」
の対比の一部である。
表1 地すべり・崖崩れ・土石流の対比
3 実験装置の仕様
装置の形状は水理実験用開水路を参考にした。装
置の基本的な仕様については次の通りとした。
・装置容器部は水槽のような形状にし、アクリル板
を使用して土砂の動きを横から見えるようにする。
・傾斜を自由に変更できるようにする。
傾斜装置については簡略化のため,足場用単管,
クランプを使用し,傾斜の変更は人力で行うものと
した。
4 実験装置の設計概略
4.1 容器の寸法(内法)と土材料の重量
作製途中で一部変更が生じたため
-62-
内寸:長さ 900mm×幅 400mm×深さ 445mm
とした。
土の密度と単位体積重量は,締固め試験の結果を
考慮しρs=2.2g/cm3 またγt=21560N/m3
したがって,実験装置の土材料の最大重量は
W=Vγt=3454N
となる。
4.2 容器側壁に作用する土の荷重
土材料は容器の上端 H=0.445m まで入れるものと
する。土圧は砂(内部摩擦角φ=30 ゚)が最も不利にな
る。なおク-ロンの主動土圧で求める。
1
φ

PA = γ t H 2 tan 2  45° − 
2

2
=712N/m
以上より,容器側板に 641N,容器背板に 285N が
作用する。
4.3 部品諸量
鉄鋼材料は SS400,ρFE=77.0kN/m3 とし,以下次
のような諸量を採用した。
等辺山形鋼:L40×40×t3(mm),1.83kg/m
底板:0.95×0.48×0.032×77000=113N
フレーム:(0.9×2+0.445×2)×1.83×9.8=17.9N
背板:0.445m×0.48m×0.0032m×77000=500N
アクリル板:0.9×0.445×0.1×2×11.7N/m2=113N
単管の材質は STK500 より,許容せん断応力度は
τ=127N/mm2
単管の重量は 1m あたり,2.17kg/m=21.26N/m
容器を載せる台は単管 2m×4 本,1m×3 本で 構成
するので,この部分の重量は 234N となる。
4.4 全荷重
全荷重は,容器内の土の重量,部品重量,単管重
量を総計したものである。よって,P=4079N
4.5 単管の強度計算
全死荷重が等分布荷重の合計であると考える。
等分布荷重 p=4079/0.94=4294N
このときのせん断力は pl/2=2040N
単管 D=48.6mm、肉厚 1.8mm を2本使用したときのせ
ん断応力は
s
2040
τ= =
= 3.86 N / mm 2 <127 N/mm2
A 264.64 × 2
よって安全である。
4.6 アクリル板の強度計算
アクリル材の強度は,一般的に 降伏点 76Mpa
=7600N/mm2 が与えられているため,今回は安全率
を 3 とし,許容応力度 2533 N/mm2とした。
また,アクリル板を等辺山形鋼で作成されたフレー
ムに取り付けるため4辺固定支持モデルで考えた。
このアクリル板は容器側面で使用するため、三角形
分布荷重が作用するが,代表的な荷重を板の中央に
作用させて検証した。
4辺固定支持のモデルにおいて,長方形板の最大
応力は
pa 2
σ max = β 2
t
であらわされる。ここに,p :板面に作用する荷重,
a:板の短辺の長さ,t:板厚,β:最大応力係数(長方
形板の長辺と短辺の比)
したがって,β=0.445/0.9=0.4944
641
p=
= 1600.5 N/m 2
0.9 × 0.445
t=0.01m
a=0.445m (短辺長)
したがって
1600.5 × 0.445 2
σmax = 0.494 ×
= 1566946 N/m 2
0.012
=156.7N/m2 < 2533 N/m2
4.7 ボルト強度計算
側板,背板,底板を相互に固定するのに M8 ボル
トを使用した。
M8 ボルト:有効断面積 36.6mm2 保証荷重 6767N
安全率 3 許容応力度をσb=61N/mm2
側板固定に 13 本使用すると,
容器側板に作用する
土圧 641N に対して
641/61=10.5<13 本
よって安全である。
背板固定に 7 本使用すると,土圧 285N に対して
285/61=4.67<7 本
よって安全である。
全荷重に対し,両側板,背板と底板を固定してい
るボルトの引張応力は
4079
σ=
= 3.4 N/mm 2
(13 × 2 + 7 ) × 36.6
< 61N/mm2
となり安全である。
5 実験装置の作製
5.1 使用材料
アクリル板はインターネットによる通信販売で
購入した。このショップでは希望の寸法で注文する
と,その通りに加工して送付してくれる。その他,
材料の一覧を表2に示す。
表 2-1 材料一覧
大きさ・個数など
項 目
鉄板
SS400
3×6 T=3.2 (1枚)
等辺山形鋼 SS400
L40mm×40mm×5.5m
×t=3mm、(2 本)
アクリル
900mm×445mm×10mm (2 枚)
-63-
表 2-2 材料一覧(続き)
項目
大きさ・個数など
単管
φ48.6mm 2m(5 本)1.5m(4本)
1.0m(7本)
ジョイント L 字(2個)十字(2個)
T 字(4個)
ネジ類
皿ネジ M8×25mm、ボルト M8×
25mm、ナット M8 用、座金 M8 用
クランプ
固定(20個)自在(3個)
5.2 材料取り
鉄板は,底板,背板,開口部に使用した。所定の
寸法になるようシャーで切断した。また,側板を形
成するためのフレームには等辺山形鋼を使用した。
こちらは高速切断機で切断した。
5.3 側板フレーム加工
まず,適当な長さに切断し
た等辺山形鋼に,所定の寸法
になるよう,部材長さや切り
欠き部を正確にけがき,金属
用手ノコで切断,および金工 図1手仕上げ作業
やすりで手仕上げをした。
次に,フレームとアクリル板を固定するための穴
や、フレームと底板を固定する穴の位置を,ポンチ
で定め,ボール盤で削孔作業をした。削孔時はドリ
ルをφ3mm,6mm,8.6mm の3段階であけた。8.6mm
の仕上げとしたのは,わずかな削孔のずれにより,
アクリル板とフレームを固定するボルトが通らなく
なるのを防ぐためである。
5.4 側板フレーム完成
鉄板上にフレーム部品を正確に配置し,ガス溶
接で接合した。最後に塗装して,側板フレームを
完成した。
5.5 アクリル板加工
フレームとアクリル板とを皿ねじで固定するよ
うにした。穴の位置を合わせるため,フレームとア
クリル板の位置を合わせてシャコ万力で固定し,イ
ンパクトドライバーにφ8.6mm ドリルを取り付け,
フレームの穴の位置でアクリル板に削孔した。この
あと,ボ-ル盤でφ13mm ドリルを使用し,アクリ
ル板に皿ねじ用の座ぐりをした。
5.6 側板の完成
アクリル板とフレームの固定には、出来るだけ
均等に力が加わるよう,ボルト締めに取り組んだ。
しかし、1箇所小さなひび割れを生じさせてしまっ
た。ただし,強度などには関係ない状態である。
5.7 底板・背板の加工
所定の寸法に切断後,それぞれを固定するための孔
をφ8.6mm ドリルで削孔した。この後それぞれ塗装
を行った。
5.8 容器部組み立て
側板・背板・底板をそれぞれ M8ボルトで固定
した。
5.9 装置本体フレ-ムの作製
まず固定フレ-ムを,高さ 1.5m×長さ 1.5m×幅
1.0mの直方体の状態に単管で組んだ。次に傾斜台
を,2mの単管4本と1mの単管2本,固定クラン
プ4個,切断した単管(16cm),ジョイント L 字(2個)
十字(2 個)T 字(4個)を用いて組んだ。この傾斜台を
自在クランプ2箇所で固定フレームに取り付けた。
5.10 散水装置
農業用ホースを蛇口に取付け、ホースの先にマル
チシャワーノズルを取り付けた。これを固定フレー
ムの単管に引っかけて固定し,雨を降らせるイメー
ジにした。
5.11 装置の完成
容器部を傾斜台に載せ,横滑り防止のためクラン
プで軽く留めた。また容器内に透明なナイロンを入
れて、アクリルに傷が付かないようにした。
図2 アクリル板削孔
図3 アクリル板座ぐり
図5 側板用フレ-ムと
アクリル板の固定
図4 塗装
6 実験
6.1 土質材料
今回の実験では,
グランド整備用の砂
約 70l を使用した。
図6 装置全景
粒径は 2mm をすべて通過し 0.805mm ふるいを 45%,
0.425mm ふるいを 97%通過したものである。
6.2 実験用地盤の作製
土試料の締め固めの状態で、水の浸透量も変化し
てくる。そこで、容器内で1層約 10cm の厚さに広
げたら、
2.5kg のランマーで1回通り全体を締め固め
るようにした。本報の実験では2層にした。また地
-64-
盤を形成後,傾斜を 20°に設定した。
図7ランマーによる
図8 傾斜の計測
突き固めとランマー
6.3 雨量の設定
マルチシャワーノズルをシャワーの設定にし,1
分間,メスシリンダーで計測をしながら水量を調整
した。シャワー状にするためには,ある程度の水量
が必要で,シャワーの有効面積から類推して
120mm/h 程度になった。
6.4 観察と実験結果
散水を始めてすぐ、水が土中に浸透していく様子
が見えた。またランマーで締め固めが十分でない所
は,浸透しやすくなっていた。そして途中から水路
状に浸食が始まった。
しばらくすると,土石流や鉄砲水のような流れ方
が生じた。また流路が形成され浸食が進行していく
と,その上の部分が自重を支えきれなくなって崩れ
るような状態が生じた。さらに円弧滑りや平面滑り
のような状態など、土砂災害の様々な形式を観察す
ることが出来た。
実験後,容器内土試料の含水比を求めたところ,
23%~30%の値になっており,初期状態から比べ
ると3~4倍の水を含んでいた。
図9 浸透
図 10 土石流のような流れ
図 11 浸食
図 12 円弧滑りのような動き
図 13 平面滑りのような動き
7 まとめ
散水装置については,雨量に対して水滴の大きさ
に問題があると思われた。今後新たな機構を作る必
要がある。
傾斜機構については,今回は単管でつくった傾斜
台に容器を載せて,人力で持ち上げて角度を付ける
ようなしくみである。ひとりではいささか操作しに
くい状態であるので,これについても新たな機構を
開発する必要がある。
実験中では,様々な土砂災害の形式が容器内で発
生しており,本実験装置が有用であるといえた。今
後,実験用地盤の作成方法や実験前後で土資料の状
態を測定し比較する方法などを検討し,科学的な検
証を行えるようにする必要がある。
8 おわりに
今回作成した装置は,現在一個の水槽のような形
をしているが,側板フレーム両縦材にボルト穴をあ
けているので,連結していくことが可能になってい
る。底板の接続方法を開発できれば流路の装置とし
ても使用可能となる。
また開口部を背板と同じ部品で閉じると水槽にな
る。透明ナイロンの用意は必要だが,水槽としての
使用も可能である。したがって土中の水が多分に存
在するような地盤の実験にも適用することが可能で
ある。
部品や装置を改良することで,実験の精度を向上
させたり,新たな実験を可能にするなど,今後の開
発が望まれる。
本報で述べたように,実験装置の作製は電子機械
コースで学ぶ機械加工の要素,また実験そのものは
土木コースの内容である。
電子機械コースの生徒は,
今まで気づかなかった所に自分達が学んだ技術が使
えることや,作製において様々工夫ができたことを
語っていたし,土木コースの生徒は,実験方法を考
えたり,装置のしくみについて電子機械コースの生
徒に注文するなど,それぞれのコースの特性が出た
コミュニケーションが図られていた。
このようなコラボレーションから,新たなものづ
くりの世界が広がることを多くの生徒に体感しても
らえればと思う。
-参考文献-
井上和也他:土の強さ,土木基礎力学2,実教出版,
pp234~240,2012
地盤工学会:土の一面せん断試験,土質試験-基本
と手引き-,地盤工学会,pp121~134,2012
有本靖:真空チェンバアクリル製天板強度につい
て http://nop.kek.jp/~arimoto/researches/prism
-ffag/docs/070207-acryl_kyodo-2.pdf,大阪大学,
-65-
省エネカーの製作
~鈴鹿サーキットから高校生テクノフォーラムまでの奮闘記~
岡山県立勝間田高等学校
清 原 孝 二
岡山県立東岡山工業高等学校の機械科では課題研究の中で平成6年から継続して省エネカーの製作に
取り組んでいる。代々指導する教員を引き継ぎながら伝承してきた。ここ数年出場しているのが「Honda
エコマイレッジチャレンジ鈴鹿大会」である。生徒が製作した車両に 50cc のカブのエンジンを載せて鈴
鹿サーキットを走り,燃費を競うレースである。このテーマで高校生テクノフォーラムに出場することが決
まっていたので,大きな課題を生徒に与えた。①必ず鈴鹿大会で完走する。②自分達なりに車両を作って鈴
鹿大会に臨む。③鈴鹿大会を終えた後,改良点を踏まえて新たにもう1台の車両を製作する(高校生テクノ
フォーラム出展用)
。④高校生テクノフォーラムで立派な発表をする。6月の鈴鹿大会から1月の高校生
テクノフォーラムまで 10 人の生徒たちが悪戦苦闘しながら最終的に自分たちの車両を完成させて後輩た
ちに託して卒業していった。そんな日々の一端の紹介である。
ものづくりは生徒にも,指導する先生にも楽しい
ものである。考えて,作って,失敗して,また考えて,作
って,また失敗して,そして完成する。成功の陰には
数々の失敗がある。うまく失敗するように導くのも
課題研究で必要なことである。最後はたとえ失敗で
も,成功でも,思い出深い貴重な体験になるのである。
ここ数年,課題研究「省エネカーの製作」の担当者
が次々と変わり,指導力の低下が否めなかった。私自
身も過去の遺産を頼りに先の見えないスタートだっ
た。前年まで出場していた車両は改良を重ねながら
使い続けてきたもので,新しい車両の製作が望まれ
ていた。高校生テクノフォーラムのテーマにするこ
とも決まっていたので,自信をもって発表できるよ
うに,メンバー10 人の手でゼロからの製作に挑戦さ
せた。
「君たちには卒業するまでに2台の省エネカー
を製作してもらう」と宣言した。1台は鈴鹿大会に
出場するため,もう1台は高校生テクノフォーラム
に出展するためである。ただし,大会は6月中旬のた
め 1 台目の製作期間には1か月少々しかない。放課
後の作業が中心となる。例年,大会へは数名を選抜し
て1台エントリーしていたが,この年は9名で2台
エントリーすることとした。1台は前年から引き継
いだ車両,もう1台は新たに製作した車両である。前
年から引き継いだ車両は鈴鹿大会を何度も完走して
いる実績があった。
「この車両は完走できる」という
勝算もあり本命としてエントリーを決めた。ドライ
バーは機械科で小柄な二人をスカウトした。問題は
新たに製作した車両がどこまで仕上がるかにかかっ
ていた。途中でリアタイヤすることになっても,レー
スには参加させたいと願っていた。しかし,現実には
車検すら通すことができなかった。前年の車両を真
似た車体フレームで更に軽量化を目指したことがあ
だとなり,フレーム剛性不足を招いた。また,ステア
リングの構造も安易に違った形式のものに変更した
ため,直進性,コーナリング性が著しく不安定なもの
になった。完成したのは出発の前日のことで,練習走
行も不十分な状態だった。オフィシャルの方に「こ
の車両で安全にこのサーキットを走行できると思い
ますか」
と車検のときに言われリタイヤを決断した。
一方,前年から引き継いだ車両も順調ではなかった。
練習走行の途中で燃料系にトラブルが発生し,急遽,
修理をして本番に臨んだ。完走はしたものの 41 チ
ーム中 21 位,完走チーム中の最下位だった。
-66-
図1 リタイヤした車両,1台目
表練習に明け暮れていた。歴代の省エネカーの資料
収集,鈴鹿大会の動画編集,舞台上に車両を持ち込み,
ライトアップ,ライブ中継による解説など,分かりや
すく,迫力のある発表に仕上げた。緊張の中,大舞台
で学校を代表して立派に発表することができ,
「2014 高校生テクノフォーラム」
において最優秀賞
を受賞した。
図2 完走した車両に集まる生徒たち
例年であれば,大役を終えた生徒たちは安堵する
のだが,今年に限っては,ここからが本格的な省エネ
カーの製作の始まりである。すぐに2台目の製作が
始まった。リタイヤの苦い経験を踏まえ,軽量を犠牲
にして十分な剛性のあるフレーム構造にした。また,
見よう見まねで製作していたステアリング周辺の部
品については,ホイールアライメントから考え直し,
図面に元づいた妥協しない部品作りを行った。
「作り
直し!」
「このくらいは?」こんなやり取りが何度あ
ったことか。設計通りに製作できるように部品溶接
のための治具を製作,本体フレームの角パイプを1
本仮止めする度にスコヤで直角などを確認させた。
溶接の得意な人,旋盤の得意な人,細かい作業が好き
な人,調整をする人,チームの中で自然に役割が決ま
っていた。
図4 テクノフォーラム出展車両,2台目
図5 テクノフォーラム展示会場にて
図3 製作の様子
2台目を製作する時には,作業の手順や効率,次は
何をするかなど,少しずつ要領がよくなっていた。全
員の進路が決まって,クラスの雰囲気が少し緩んだ
中,車両の完成と共に高校生テクノフォーラムの発
5月の連休には卒業生と共に学校に集合し,後輩
たちにレースのあれこれを話した。今年度の鈴鹿大
会は既に終わった。また担当の教員が変わり不安の
中の参加だったと思われる。先輩から後輩へ引き継
がれた真新しい車両でのレースは,残念ながら完走
することができなかったと聞いている。失敗をした
後輩たちが,また新たな車両づくりに挑戦する。そん
な歴史の一コマを経験した彼らが工業人として飛躍
することを祈る。
最後に,ご協力頂いた東岡山工業高等学校の先生
方に深く感謝申し上げる。これからも数々のものづ
くりに挑戦する「ものづくり大好き集団」であり続
けて下さい。
-67-
随 筆
..
国語科雑感
生徒に気づかせることの大切・自戒編
岡山県立津山工業高等学校
高 田 健 一
お父さん,この椅子は凍っているの。
県内を南北に走るJRの支線に乗車していた時の
話です。手持ちぶさたに窓から外を眺めていた息子
が不意にこんな事をいうので驚いて顔を向けると,
確かに窓外の待合室に「凍結注意」と注意書きが書
かれていました。
季節は晩秋のこと。朝夕すっかり冷え込むように
なり,昨夜も暖房の用意について食事時に触れてい
たような気もしきます。おそらく彼にとって急激な
冷気が突然ここにだけ押し寄せてきたように受け止
められたのでしょう。
しかしこれは当然
① 冬期になると滑りやすいから注意せよ。
の意であり,決して「ぺんき塗り立て」のように
② 今現在凍結しているから触れるべからず
と,現在の危険な状態を注意させるものではない。
周囲の状況を観察し考察すれば明らかな間違いで
あることは指摘できることでしょう。しかしこのと
きは咄嗟のことに答えあぐねてしまいました。愚息
にも皆様方にも実に寛恕を請う次第です。
思い違いというか思い込みは,学習の過程では,
致し方のないことだと思われます。
以然9年ほど勤務していたA高校は大学科として
農業と総合学科の併設した学年5クラスある県北の
高校です。(注 どこの高校のことかはすぐに分かっ
てしまうでしょうが,詮索はしないで下さい。)
国語総合の古典の指導の教材に「ふるさと」を用
いました。過去の助動詞「き」の確認が出来るかど
うかが,学習の主な狙いだったのですが,定期考査
に関連して次のような出題をしてみました。
...
問 傍線部「彼」の読みを現代仮名遣い一文字で
答えなさい。(原文 ママ)
兎おいし彼の山 小鮒釣りし彼の川
すると,国語総合を学習しているおよそ 200
名の
..
生徒の九割近くがしっかりと解答用紙に「かれ」と
二文字を用いて解答するのです。
彼の読みは,確かに「かれ」で正解です。しかし,
ご承知の通り求められる正答としては一文字の「か」
でしかありようがない。このときばかりは,生徒達
がどのような思い違いをしたのか,今後どのように
指導すればよいのかと随分と悩みました。
漢字の読みと言えば,教材の語句の確認として,
「徴候」が掲載されています。これが読めない。
一学期から二学期までの定期考査で都合四たび,
読みだけを繰り返し出題したことがあります。それ
ほど正答率が低かったからですが,指導の成果があ
ったのか,最終的には正答率を 75%まであげること
ができました。
一番多い誤答は「びこう」でした。未だに彼らの
間に流行している語彙の一つが「微妙」ですから,
この音に引っ張られた生徒がいたと言うことです。
そういう思い込みを読み取ることが出来ます。
「徴」は象徴の「ちょう」と説明し,「微」は顕
微鏡の「び」と区別をしても,実際は 75%。
ということは,依然四人に一人は間違えたままと
いうことになってしまいます。拘泥という言葉は心
得ていますし,このまま執拗に繰り返しても効果は
上がらないことは容易に想像がつきます。結果とし
て,将来に期待して,それでよしとました。
先日,生徒に「垂水」の読みを尋ねたところが,
一部の生徒が自信たっぷりに「ちょく」みずと答え
.
...
ます。様子からすぐさま垂直の「ちょく」に引っ張
られたことは想像がつきます。これも思い込みです
..
...
ね。また平家物語を定期考査の折に「ひらや
ものが
...
たり」と読んだ建築科の生徒も複数います。漢字の
読みは斯様に生徒の苦手とするところです。
考査のたびごとに彼らの実態がそこまでなのだと
切歯扼腕,歯痒い思いをしたことは屡々あります。
これらは指導を執念く続けるしか解決策はないで
しょう。長い道のりになりそうですが。
さて,次のような場合は別の問題なのでしょうか。
問 次の文の空欄部を埋めて四字の漢字の熟語を
完成させなさい。
① 一□二鳥
② 一□両得
A高校の六年間そして本校である津山工業高校に
勤務して三年間にわたって調査をしたところ,いず
れの場合も①の正答率はほぼ 100%です。
ところが,②の場合になると全く逆転します。
本校の場合だと 30%近くまで正答は出るのです
が,A高校だと 10%程度までしか正答率しか上がり
ませんでした。
-68-
A高校には普通科もあり,進学希望者も少なくな
いために,数度にわたって確認をしたのですが,よ
ほどこの字句に関心を持てないと見えて大きな変化
は見受けられませんでした。
いくら岡山県が自然が豊かとは言え,実際に石を
用いて野禽等を捕獲する場面に立ち会った経験は,
ほとんど彼らにはないはずです。
従ってこれは実体験ではない。一石二鳥の正答率
が高いのは,彼らが生育過程の中でこの表現を興味
深く受け止めた結果に違いありません。
すると一挙両得に対する結果が芳しくないのは,
指導が彼らの興味を乗り越えることができていない
ことの実証に過ぎません。思い込みではなく,学習
に対する態度の話になるのでしょう。
なかには「いっせきにちょう」の音だけの連想か
ら,石と鳥の漢字を用いる物と思い込んで,「いっ
ちょういっせき」の場合に,採点中本当に飯を口に
していればそれを吹き出すような解答をする生徒が
います。この場合はもちろん思い込みだと考えられ
ます。奇妙な戸惑いとともに時間を掛けて優しく訂
正することにしています。
とりとめもない話を続けていると言う自覚はあり
ますが,今しばしお付き合いのほど願います。
ある山寺の 坊主 ,慳貪なりけるが,飴を治して,
ただ一人食ひけり。よくしたためて,棚に置き置き
しけるを,一人ありける小児に食はせずして,
「これは,人の食ひつれば,死ぬる物ぞ。」
と言ひけるを,この児,あはれ,食はばや,食はば
やと思ひけるに,
(「児の知恵」『新編国語総合(教育出版)』)
ご承知の「児の知恵」です。生徒は「坊主」を年
少の人物と思い込む。すると話が複雑になります。
小僧が小僧を謀り水飴を強奪するという仲間同士の
いじめの話になってしまう。でも実は坊主は平たく
言うと和尚ですよね。これなども思い込みの弊害の
代表格となるでしょう。
「高名の木登り」も木に登ったのが木登り名人と
思い込んでしまうとおかしな話になります。
と,ばかり思ってきたのです。
結果少し神経質になってきたようで,視野狭窄に
なり大事なことを見落としていました。そのことに
気づいたことを結論にして本稿を仮綴じとします。
むかし,男ありけり。女のえ得まじかりけるを,
年を経てよばひわたりけるを,からうじて盗み出で
て,いと暗きにきけり。芥河といふ河を率ていきけ
れば,草のうへにおきたりける露を,「かれは何ぞ」
となむ男に問ひける。
(「伊勢物語 芥川」『新編国語総合』)
この草の上の露の大きさが一体どの程度の大きさ
なのかが分かっていない生徒がいます。
ある研究会に出席した折,同様のことを聞きまし
た。本校の生徒にも,口頭では確認しにくいので,
作図をさせてみました。
すると,案の定というか,草原に覆い被さるほど
余りに巨大な水滴の絵を描きます。かつて草の上の
露など知らぬ見たことないと答えるのです。これは
困ったぞ,とそのときは思いました。というか,ま
たしてもか,と慌てました。
これでは白玉の美しさが伝わらず作品の鑑賞がで
きない。加えて,つゆ知らずなどの副詞の指導も有
機的なイメージがさせにくくなる。果ては,蛇笏の
例の「芋の露連山影を正しうす」の解釈も,巨大な
露をイメージをされてしまっては妙味が読み取りに
くい,との思いに囚われてしまいました。
冷静になって考えてみれば,これは全く私の勝手
な思い込みでした。
先日CDで司馬遼太郎の講演を聞いておりました
ら,漱石だって圃場の稲が何の植物か知らなかった。
それを子規に尋ねているのです。江戸っ子ですから
漱石は米は食うが稲は知らない。稲の生育は彼の生
活に関係がないのです。
漱石にしてから斯くのごとし。生徒にとって草の
上の露などは,生活に関わりがないのです。本校の
生徒は多く自転車通学や徒歩で通ってきますが,駅
から学校までの通学路には注意をしないと草群も発
見できません。恐らく自宅周辺も場合によると同様
でしょう。
無知の知というかなんというか,これは一つの発見
でありました。
愚息の話に遡れば周囲の状況の観察・考察から誤
解は避けられると書きました。だとすれば,彼ら生
徒にその都度何かを気づきができるような体験をさ
せればよいということになります。それが確かな学
力に結びつくのなら,これこそ国語科に求められる
指導となるではないですか。
贅言になりますが思い込みは諸悪の根源です。し
かし生徒は思い込む,我々はそのことに気づいてや
る。その繰り返しが成果となって現れる。それでい
いのではないか。
輾転反側,この原稿を書きながらやっとこのこと
に私も気づいたのでありました。
-69-
制服に思うこと
岡山県立高梁城南高等学校
西 村
毅
制服について,学校に勤務するものとして,現
在の高校生の制服の着こなしがどうであるかを踏
まえ,また,制服の歴史的な背景も少し加えなが
ら,浅はかな自分なりの解釈で少し雑感を述べさ
せていただきたいと思う。
まず初めにそもそも制服とは何か,少し調べた
ので定義づけから入りたいと思う。制服とは,会
社や,あるいは自衛隊,警察,消防署など(これ
以外にもいっぱいあるが)
,一定の集団や組織の中
で,それぞれが目的にあったものを着用すること
であろう。その中では,男女共通の制服もあるだ
ろうし,男女で色分けしたものもある。英語では,
ユニフォームになるらしいが,日本語では,意味
が少し違って捉えられることもある。なぜ,制服
を設けなければならないのかを考えた場合に,社
会で言えば,他の会社,職種等からくる区別,学
校ならば,その学校色とでも言おうか,連帯感を
強くする意義や,自尊心や規律とかを求める為の
効果を期待するものかも知れない。勿論,その制
服が格好よいとか可愛いと思えば,あの制服を着
たいとか憧れを抱かせ,その職に就きたいと言う
ような思いも当然出てくる。そういう職場におい
ては,充分に制服の意義があるし,それを着るこ
とで身の引き締まる思いも出るだろうと思う。例
に自衛隊や警察等の制服を引き合いに出すのは,
適切であるかどうか分からないが,自衛隊におい
ては,陸・海・空によって,型が違い,また階級
によっても少しの差異を設けている。警察も同じ
ように少しの差が見られる。いずれにしても上司
との区別でそうなっているのだと思う。緊張感の
ある職種の制服については,着用することで身が
引き締まって勤務することが可能になるのかも知
れない。そういう意味においては制服の効果は大
きな意義があると言えよう。日本以外でも,一般
社会では制服を設けている国はあるが,制服を着
用することで,その仕事や職種に対して,誇りを
持てるのだろうから,それはそれで大きな意義が
あると言えよう。
さて,ここからは,学校の制服について浅学菲
-70-
才な思いを述べさせていただく。学校の制服とし
ては,
(幼児・児童・生徒・学生)が着用する。そ
れは,学校の序列を表すものではなく,一般の社
会と異なる制服の意義があると考える。大きな違
いとしては,一般社会人の制服は,仕事をしてい
る時間帯のみに着用することが多い。
(例外もある
かもしれないが)
。それに比べると,学校の制服と
言うのは,朝起きて,通学する時間帯から,帰宅
する時間帯に着用すると思う。そして,学校の制
服は,その所属する学校を表すシンボル的な役割
も果たしている。一方では,その制服を着用させ
ることで,学校側の生徒を管理すると機能にも繋
がるという要素も含んでいる。制服については,
各校で様々な議論がなされているとは思う。制服
の意義は前にも書いたが,連帯意識を持たせると
か,規律を保っていく為に有効な手段のひとつで
ある事には,間違いない。学校外でも,制服を着
用しているということで,生徒,学生の認識にも
一役買う事もあるだろう。小学校,中学校の制服
については,どのような制定をしているのか,詳
細は分からないが,全国的にみたら制服の着用率
については,多くの学校で着用していると思う。
本県の高校は,一部の学校で私服にしている学校
もあるが,まだまだ少ない。公立高では,詰襟学
生服の学校もあるが,大半がブレザー型かスーツ
型に分かれる。以前は,詰襟学生服が定番であっ
た。時代の流れによるものだろうが,今のような
制服に落ち着いている。私は高校に勤務している
ので,その立場で言わせてもらえれば,制服は,
やはり没個性で着こなさなくてはならないのでは
と常日頃,思っている。したがって,ズボンを少
しずらして履くとか,ネクタイがだらしなくなっ
ているとか,リボンがぶらさがったような状態や
スカートの丈を短くするとかになってくると,も
はや制服ではなくなってくる。制服まがいのもの
であって,制服ではないと思っている。制服には
個性(本当は個性ではない)を出すべきではない。
入学した学校の制服を着ると言うことは,その学
校に愛着を示すこと。その学校に誇りを持つこと。
そういう気持ちを持って着こなしをしてほしい。
電車に良く乗る機会があるが,中には,だらしな
いイメージだけが伝わってくる制服を見かける。
制服をきちんと当たり前に着こなすだけで,学校
のPRにも繋がる。制服の是非論はいろいろある
だろうが,制服がある以上,連帯意識や緊張感の
ある着用を期待したいものである。
「人力発電と私・エピソード2」
岡山県立玉野光南高等学校
板 野 尚 吾
前号からのつづき
平成 16 年 12 月 25 日には,
名古屋テレビの年末企
画「メーテレ大忘年会 2004~年に一度の狼 SP~」の
中でクリスマスツリーのイルミネーションを人力で
点灯できないかと依頼があり,放送局から送られて
きたフィラメント式(AC24V 制御)の物を改造,
4セットを直列にして DC100V で2組(約 200W)
を製作した。人力発電特有の過電圧の対策に逆耐圧
用のダイオードや定電圧ダイードを使用した。名古
屋には当時,倉工で同僚であった前原先生(現,倉
敷市立工業高校 機械科)のトラックで初の県外遠
征へ出向いた。テレビ局では当時売れっ子だった芸
人「ギター侍」やタレントに会うことが出来た。
写真1 名古屋テレビにて
名古屋への遠征で遠隔地での運用は大変なことが
よくわかった。
平成 17 年2月6日には,NHK 全国ネット「おー
いニッポン」で群馬県のイベント用に発電機一式を
コンテナで運搬して太陽光,風力,人力で前橋駅周
辺ライトアップイベントに貢献した。イベントは水
力発電で豊富な電力供給県をアピールするため,2
日間で空っ風による風力発電と太陽光発電で夜間の
ライトアップに必要な電力 1000Wh の蓄電を目指
し,不足分を人力発電で補う計画だった。実際には
風力 100Wh,太陽光 400Wh と少なく残り 500Wh
が人力となり市民の皆さんで発電しましたが,残り
3時間となって,最後は前橋工業高校自転車競技部
員によって劇的な目標達成となりました。イベント
に協力していた前橋工業高校にもお邪魔して話もで
きましたが,残念なことは有名な温泉地で温泉を堪
能することなく引き上げたことです。このイベント
では廃品のボロ自転車は映像に不向きという理由か
ら新品のものをあえて改造して利用したことは本意
ではありませんでした。
写真2 群馬県前橋市駅前にて
平成 17 年2月 22 日には,理科教育に熱心な尼崎
市の明城小学校の先生が車で引き取りにきて発電機
一式を貸し出し実験・実演に貢献しました。生徒さ
んは,たいへん興味・関心をもっていただいたよう
です。小学校などでも活用してもらえそうなので
HP でも積極的に貸し出し支援をすることを始めま
した。
写真3 尼崎市の明城小学校にて
平成 17 年 10 月 8~10 日には,横浜での連続3日
の長期イベントの依頼が舞い込んでパシフィコ横浜
展示ホールで,
「モーニング娘。
”あっちぃ地球を冷
ますんだっ!”
文化祭 2005」
の中で体験イベント
「人
力発体験」に貢献しました。肖像権などの問題でタ
レントが発電している様子は掲載できませんが会場
ではハロープロジェクトのファンの方や子供連れ家
族の皆さんなど千数百名以上の方が体験。
200W(ジューサー)
,500W(大型ライト)
,1000W
-71-
(ドライヤー)
と順次,
必要な電気を発電する事で,
エネルギーの大切さを体験してもらいました。
平成 19 年 7 月 21 日には,岡山リサーチパークに
て開催された「おもしろ体験でぇー」に倉工として
出展し,5時間で 400 人に発電を体験してもらい,
その電気で作ったミックスジュースを飲んでもらい
ました。学校の PR 用機材として継続活用が定着し
てきました。
平成 19 年 8 月 31~9 月 2 日には,岩手県盛岡市
アイスアリーナにて開催された「住まエネ フェス
タ 2007」にて,3日で約 800 人に発電を体験して
もらいました。体重制限と立ちこぎ禁止で最高発電
出力は 1232W でした。
写真4 パシフィコ横浜にて
平成 17 年 11 月 13 日には,倉敷市の平野瓦工業
所に発電機一式を貸し出し太陽光発電の普及に貢献
しました。太陽光は動きがないので人力発電による
クリーンエネルギーPR は子供達には,たいへん興
味・関心をもっていただいたようです。
写真7 岩手県盛岡市アイスアリーナにて
平成 19 年 10 月 5~6 日には,長野市ビッグハッ
トにて開催された「省エネ住まい EXPO2007」にて,
2日で約 400 人に発電を体験してもらいました。信
州プロレスのメンバーによって最高発電出力は塗り
替えられて 1454W になりました。
写真5 倉敷市の平野瓦工業所にて
写真6 岡山リサーチパークにて
平成 19 年 4 月 22 日には,玉島ライオンズクラブ
の祭典で発電機一式を玉島公民館に持ち込み環境問
題をアピール。
写真8 長野市ビッグハットにて
平成 19 年 11 月 24~25 日には,倉敷市ライフパ
ーク倉敷・倉敷科学センターにて開催された「青少
年のための科学の祭典」にて,2日で約 1000 人に
発電を体験してもらいました。晴天に恵まれ気温も
高く人力発電で作ったミックスジュースも大盛況で
した。
-72-
平成 20 年 6 月 7 日には,日本丸メモリアルパー
クにて開催された「横浜発・人力発電コンサート」
にて,活躍しました。最大発電力は,交流発電機で
最高発電出力となる 1358W を樹立しました。当日
は各地で大きなエコイベントが実施されましたが,
メイン音響自体に人力発電を使った所は他にはなか
ったように思えます。当日のリアルなコンサートが
YouTube にもアップされたことで反響が大きなも
のになりました。
写真9 倉敷科学センターにて
平成 20 年 5 月 24 日には,神戸青年会議所の依頼
で神戸港中突堤にて開催された「海王丸こうべ環境
フェスタ」にて,人力発電で綿菓子を作りました。
場所はすばらしいところで岡山には真似の出来ない
会場でした。
天候は雨で盛り上がりませんでしたが,
綿菓子作りには良かったかもしれません。
当初の経験から綿菓子機のヒーターの電力が人力
で賄うには大変で,不安定な加熱では綿菓子がうま
く出来ない事がわかっていましたので,あらかじめ
充電したバッテリーで加熱しながら,人力では回転
釜の回転やイベント用の機器の電力を賄い,余剰分
をバッテリーの充電に廻していましたが,過電圧で
充電器が破損して充電が出来なくなり,バッテリー
の電力の替わりに商用電源を使う事になりました。
それでも,離れたとろからコードリールをつないで
50m 以上になってしまい,綿菓子のヒーターには
70V 程度しか供給できない状態で,通常の半分の加
熱でなんとか砂糖を溶かして綿菓子を作る事で子供
たちになんとか綿菓子を食べてもらう事ができまし
た。
写真 10 神戸港中突堤にて
それでも悪天候にも関わらず 100 人以上の方に人力
綿菓子を食べてもらいました。
写真 11 日本丸メモリアルパークにて
平成 20 年 7 月 25,26 日には,岡山リサーチパー
クにて「おもしろ体験でぇー」に出展して,かき氷
に初めて挑戦し「人力発電でかき氷を作ろう!」を
行いました。25 日は8貫目の氷で約 400 人,26 日
は 10 貫目の氷で約 600 人に人力発電を体験して頂
いき,かき氷にして食べて頂きました。当初の予定
では 300W 程度の発電を3分間発電して頂いてかき
氷機とロボットの電源に使う予定でしたが。正味か
き氷機の電気を賄う1分 30 秒が精一杯でした。
写真 12 岡山リサーチパークにて
氷を挟んで負荷のかかった状態では負荷が大きすぎ
て直接まわす事が出来ませんでしたので。一度バッ
テリーに充電してインバータでかき氷機を使う事に
なりました。
平成 20 年 8 月 1 日には,生徒の就職先でもある
-73-
クラレ倉敷事業所 「サマーフェスタ 2008」
にて
「自
転車発電ゲーム」を行いました。職場対抗で 14 チ
ーム(56 人)の方に 30 秒間で発電量を競い合いま
した,さらに上位4チームにより競技を行い最大発
電量は 963W でした。
30 秒こぐだけでも皆さんバテバテだったようです。
エコにチャレンジする機会になったと思います。
写真 15 岡山市立京山中学校にて
平成 20 年 11 月 16 日には,倉敷市ライフパーク
倉敷・倉敷科学センターにて開催された「青少年の
ための科学の祭典」にて,都合で1日のみの実験で
したが約 300 人に発電を体験してもらいました。発
電した電気を使って作る綿菓子は大盛況でした。途
中,
綿菓子機が故障するアクシデントもありました。
写真 13 クラレ倉敷事業所にて
平成 20 年 9 月 13~15 日には,BMX で日本一周
の山田大地さんが岐阜県の根の上高原にて「根っこ
祭り」で野外ライブ電源に活用。
平成 20 年 9 月 20,21 日には,名古屋経済大学市
邨高校の文化祭でエコをテーマにした文化祭レンタ
ル装置として活用。
平成 20 年 10 月 4,5 日には,
「北九州エコスタイ
ルタウン 2008」サブステージ(リバーウォーク)に
て「PEDAL POWER STAGE」で利用されました。
写真 14 北九州にて
当初の計画では音響装置の電源すべてを賄う予定で
したが高価な音響設備に影響が出ると困るとの判断
で発電体験イベントなったことは残念でした。
平成 20 年 11 月 1 日には,岡山市立京山中学校の
文化祭で利用されました。
写真 16 倉敷科学センターにて
イベントを重ねるごとに装置がグレードアップさ
れ照明点灯の発電体験が音響の電源に利用,発電後
の提供品もミックスジュースに始まり,綿菓子,か
き氷とバリエーションが増えてきました。次回は人
力発電を紹介したホームページのアクセス数が上が
ると共に,貸し出し依頼にとどまらず製作アドバイ
スや毛色の変わった発電装置の相談がきっかけで,
自転車を使った発電からトレーニングマシン,足踏
みミシン等を使った人力発電,ポールダンサーによ
る発電へものづくりが変化してゆく様子を綴ること
にします。
-74-
行
第 51 回岡山県高等学校
工業教育研究発表大会
岡山県立新見高等学校
妹 尾 和 弘
事
(2)開会あいさつ
岡山県高等学校教育研究会工業部会長
高柳 克彦
当番校校長
松井 健一
(3)岡山県教育委員会あいさつ
岡山県教育庁指導課 指導主事(副参事)
佐々木 隆
2 講演
演題「ものづくり,ひとづくり」
講師 伯備建設株式会社 代表取締役
藤野 耕司
3 研究発表
(1)機械系 「本校における総合的な学習の時間
の取り組みについて」
岡山県立備前緑陽高等学校
総合学科
青山 和義
高橋 弘明
第 51 回岡山県高等学校工業教育研究発表大会が,
県下工業系高等学校 16 校 87 名の先生方の参加を得
て開催されました。
開会行事に続いて,伯備建設株式会社代表取締役
藤野 耕司 様から「ものづくり,ひとづくり」と
題して講演がありました。日々の教育の中で創意工
夫する力を養っていく教育が大事であるとの思いを
強くしました。
午後の研究発表では,機械系「本校における総合
的な学習の時間の取り組みについて」
,電気系「もの
づくり教室から始まった電子蛍の取り組み」
,
建築系
「建築模型づくり」
,自由研究・長期研修報告「建設
現場における土質試験の技術習得」の4題の発表が
行われました。
日 時 平成 26 年 10 月 16 日(木)9:30~
会 場 岡山県立新見高等学校(南校地)
視聴覚教室
主 催 岡山県高等学校教育研究会工業部会
後 援 岡山県教育委員会
新見市教育委員会
当番校 岡山県立新見高等学校(北校地)
1 開会行事
(1)開会
-75-
・機械科目を選択した生徒の取り組みにつ
いて
・エンジン油圧式薪割り機の製作について
(2)電気系 「ものづくり教室から始まった電子
蛍の取り組み」
岡山県立笠岡工業高等学校
電気情報科
林
章功
・電子ホタルについ
て
・親子ものづくり教
室について
・デンキングロボの
製作について
(3)建築系 「建築模型づくり」
岡山県立東岡山工業高等学校
設備システム科
難波 好幸
・建築研究部での取
組み
・江川技師および江
川式建築について
(4)自由研究 長期研修報告
「建設現場における土質試験の技術習得」
岡山県立笠岡工業高等学校
環境土木科
高原 邦保
・(協)岡山県土質試
験センターにおけ
る研修内容につい
て
・各種土質試験の方
法について
・技術者交流会につ
いて
4 指導講評
岡山県教育庁高校教育課 指導主事(副参事)
佐々木 隆
5 閉会行事
(1)閉会
(2)閉会挨拶
岡山県高等学校工業教育協会 副理事長
原田 一成
○講演
「ものづくり,ひとづくり」
伯備建設株式会社 代表取締役
藤野 耕司
1 自己紹介,会社業務紹介
本研究会がこのように盛大
に開かれますことに,まずお
喜び申し上げます。
そして毎日の授業でお忙し
いにもかかわらず研究を重ね
られてこのように報告される
ご苦労に対し大きな敬意を表
したいと思います。
この新見の地へようこそおいでくださいました。
改めて歓迎いたします。今ご紹介いただきました私
は当地新見にあります,伯備建設株式会社代表取締
役藤野耕司と申します。会社紹介をパワーポイント
でさせていただきます。
売上は4億円程度,職員 30 人,子会社に測量コ
ンサルタント。いわば地方の,
「小さななんでも屋」
的な仕事をやっています。ご多聞に違わず技術者,
職人不足に日々悩んでおります。公共的な仕事が少
なくなり,地方で生きていくには多軸経営を余儀な
くされています。
このような格式の高い場所に呼んでいただいた
のは何かの間違いで,全く場違いであると考えてい
ます。なぜかというと,私は実験研究大好きであり
ます。NHK の「 なるほど合点」
,OHK の「ガイヤの夜
明け」をよく見ていますが,いい番組ですね。これ
を見て満足しておればいいのですが,身の程を知ら
ず,研究開発に挑戦してことごとくうまくいかず,
家族,当社の職員からは白い目で見られ,新見の人
からも変人扱いです。よって皆様に成功例をお話し
して参考にしていただくということにはなりません。
しかし,
大変お世話になった方からの依頼ですので,
恥を忍んで私の取組みの数々をご報告し,そのとき
の感想,
思い等々述べさせていただこうと思います。
ぼやき漫談になろうかとは思いますが,ご容赦いた
だきたく思います。
2 研究大好き人間
私は,大学は日本大学工学部にお世話になりまし
た。1,2年と下宿で悪い先輩につかまり,遊びほ
うけました。車を買ってもらい旅行三昧。出席が無
いのですから単位が取れません。
親も呼ばれました。
このままではいけないと,3年になり,一念発起。
土木材料実験室の,講師の先生のお手伝いをするこ
とにしました。先輩の食事の世話,下働き,コンク
リート材料の運搬,とりこわし,院生もいやがる作
業,徹夜の連続でのクリープ載荷試験,他にも,先
生のアルバイトの測量設計のお手伝い。ついている
先生が教授とか助教授ではなくただの講師ですから,
お金が無く,ビールが日当でいろいろなことを経験
させていただきました。大変面白い毎日でした。卒
研もその先生の研究「スクラップコンクリートの有
効利用に関する基礎研究」のお手伝いでした。40 年
前の高度成長期のまっただ中で,コンクリート骨材
のリサイクルなんて全く考えていない時代でした。
せん断に強くてクリープに特に優位性があることが
発見できてとてもうれしかったですね。すごい感激
でした。後でドクターがとれたと連絡があったとき
は自分のことのように飛び上がって喜びました。
私は親が狭心症の発作を起こすようになり,家業
の土建屋の手伝いをすべく新見に帰りました。その
ときに教わったことから,プログラム電卓のはしり
でプログラミングして測量計算を始め,そしてこれ
を発展させ,
測量会社を開設して今に至っています。
研究開発の面白さに大きなインパクトを受けており,
日頃の業務でも絶えず工夫という文字が頭から離れ
ません。社是も「誠意と工夫と努力する職員の育成」
となっています。日頃の業務の中では,今でも人海
戦術が主流である線路保守業務にも,いち早く線路
の上を走る機械を取り入れ,随所に社員が工夫を加
え,今では一定の評価を頂ける位置におります。こ
-76-
の近辺では,公共工事で難しい仕事は伯備建設と一
部では言われております。本当は儲からない面倒な
仕事しかとれないということです。
3 先行仮土留め工法の研究成果
急峻な地形の道路拡幅でもたれ擁壁が採用され
る時代の時,180 号井倉近辺の護岸擁壁,日南線の
谷沿いなどでは,斜面の長い掘削の後,作業員がコ
ンクリート擁壁と斜面の狭い空間に入って作業をし
ていました。それはとても危険な作業でした。ある
解決のアイデアが沸き,色々な材料で現場実験した
ところ有効であったので特許申請しました。しかし
社会に認めてもらうには,正規の実験データが必要
です。色々な所の門をたたきました。コンクリート
屋さん,プラスチック会社,金網屋さん。工業技術
センターでは補助金が出ることを知り,岡山大学へ
飛び込みました。大変勇気がいりました。その頃,
4年目ぐらいになって特許も審査が通過いたしまし
た。特許が通過したということは世界で初めての技
術と認められたということだと思いました。田舎か
ら世界に通じる技術を生んだということで,マスタ
ーベーションですがとてもうれしかったですね。折
しも岡山大学も地域に貢献する大学ということで,
地域共同研究センターを設立して間もない時でした。
気持ちよく共同実験を受け入れていただき,安価な
空隙コンクリート実験,先行仮土留の載荷実験をや
っていただきました。費用は 700 万円ぐらいで 1/2
の補助金を頂きました。
久々に学生達と実験しながら語りあい,焼き肉屋
で乾杯し,レポートをまとめる。昔を思い出し,楽
しい時間でしたね。最高でした。
このようにして得られた結果で意気揚々と岡山
県,その当時は岡山県東京事務所の紹介で国土交通
省へ説明に行きました。そして,新技術審査公開を
して優先的に公共事業で優先試験施工する NETIS に
も登録されました。さあこれからというとき,通常
使う護岸ブロックが,高さ制限5mから7mに許容
されることになるのと,予算抑制からもたれ擁壁が
ほとんど設計から無くなりました。補強土工がどん
どん採用されて来ました。
先行仮土留には金網を使った補強土工の原理も
使われるのですが,まさか金網だけの擁壁ができる
とは思いませんでした。表面を植生だけで済ませら
れるとは思っていませんでした。いずれは風雨で洗
われたり,
水没地では洗掘される可能性があるので,
防護的にも前面にコンクリート壁は必要だと思って
います。いつかは採用されるのではないかと期待し
ていますが,
今だその気配はありません。
ただ近年,
掘削斜面とコンクリート壁に入って作業する所は当
社の製品ではありませんが,埋め殺しの金網型枠が
採用され,危険な作業はなくなる方向に代わってき
ています。あの時,一生懸命訴えた我々現場労働者
の視点をすこし解ってもらえるきっかけにはなった
のではないかと自負しています。しかし,私共は残
念ながら民間人で企業人でありますので,ビジネス
になっていないということが残念です。
4 植物抑制マット工法
我々建設業は道路や鉄道の維持補修で草刈りを
委託されています。道路や鉄道,宅地と,自然との
取り合い部分では,自然に沿うべく緑地を残し,道
路には緑地帯や公園を作って,調和や憩いの場所を
つくっています。都会の人にはあこがれですが自然
の力は絶対的な強さがあり,植物は繁殖し広がり,
道路や鉄道ではそのうち交通障害になり,毎年の伐
採が必要になります。
その維持のための手数,伐採費用は莫大で毎年必
要であり,後に残るものはありません。我々建設業
者は夏の仕事としてたいへんありがたいのですが,
無駄だと感じていました。そこでなんとかグレーゾ
ーンは作れないものかと考えました。緑を増やす技
術もあるし,枯らす方法もある。しかし,その中間,
緑の植物はあるけど障害になるほど繁殖できないゾ
ーンを,つまり自然と人間とのせめぎあいのゾーン
を狭間に設置すればいいのではないか。それにはメ
ンテナンスのいらない物理的な方法で,と思ってい
たら,植物の根域制限の論文を見つけました。根の
-77-
繁殖を制限することでその根に比例して地上部も小
さくなるし,実も甘くなる。というもので,これを
利用してやって見ようということになりました。自
宅周り,知人の畑の許可をいただいて,市道,県道,
安全帯等で実験を行いました。根域を制限した環境
ですので,繁殖できる植物種が生き残り,風で飛散
して来た各種の雑草も自然と選別される効果もあり,
いけるのではないかと思いました。そこで補助金を
いただき,論理的なデータを得るため岡山大学農学
部花卉科に共同実験として,持ち込みました。ここ
でも院生さんに手伝ってもらいました。
芝種も匍匐性のある芝種だけが生き残り,制限特
定環境下で水分量でコントロールできることも分か
り,ある程度効果のあることが実証できました。
しかし,自然の力はすごい。5年ぐらいはその差
は分かるのですが,このころから雑草が繁殖しその
差はあまり感じられなくなりました。安全帯の中も
背の高い植物が生えかけました。根域制限範囲を地
上部で根域をまたいで繁殖しているのです。雑草の
力は強い。改めて実感しました。それはそうでしょ
うね。アスファルトの割れ目に根性大根ができた TV
の報道もありました。生き物には順応する力もある
し,岩をも割る力がある。某コンクリートブロック
メーカーさんもフレキシブルな連結タイルのような
ものを使って挑戦されていましたが,その隙間から
背の高い植物が繁殖し見苦しくなっています。ノン
メンテナンスで定量的にコントロールすることは
少々のことでは無理だと悟りました。国や県もこの
道路沿いの永遠に続く草刈メンテナンスはなんとか
せねばと検討されており,当社の方法も費用をもら
って実験し,検討していただきました。結果は,道
路沿いに路肩処理として張りコンクリートを打つと
いう方法に決定され,2年前ぐらいからお気づきで
しょうが,もうすでに道路周りで無骨なコンクリー
トで標準工法としてどんどん施工されています。雑
草の繁殖力には根域制限,光合成制限だけではだめ
で水分の制限調整も必要で,構造が複合した過大な
ものとなってコスト面で折り合いがつけにくいこと
が分かりました。
強い自然,雑草にはなかなか勝てません。ビジネ
スにできませんでした。改良を与えるなんらかの方
法が必要ですがまだひらめきません。芝種も匍匐性
のある芝種だけが生き残り,制限特定環境下での水
分量でコントロールできることも分かり,ある程度
効果のあることが実証できました。
今後の皆様のさらなる研究に期待します。
5 ウッディマットの研究報告
これまた懲りない私の研究報告です。私の会社の
隣の建物が近畿中国農林管理局森林技術支援センタ
ーです。あるとき所長さんが「産廃法が変わって,
用材を取るときに出る大量の木の皮を焼却処分がで
きなくなった。
困るよね。
何かいい方法がないかね。
」
と言われました。
しばらくたってアイデアをお話ししました。木の
皮は粉砕して,そのまま燃料にしたり,家畜舎の床
に敷き詰めて,糞の匂いを抑えたり,発酵させて肥
料にしたり,植栽のマルチング材として使われたり
しています。おが粉やチップは接着剤を混ぜてハー
ドボード,擬木等に使われています。これらとは全
く発想を変えて,接着剤を使用せず柔らかいマット
状のものを作って,穴をあけて山に植林する時に,
木の苗の周りを覆うように被せれば,苗木が雑草に
負けないのではないかと考えました。さらに,5年
もすると腐って土になり,山に害を与えないし,逆
に肥料となるのではと考えました。
今までは植林しても後の雑草に負けないように
毎年の下刈りがたいへんで,昨今のようにお年寄り
ばかりだと行き詰まってしまいます。しかし,この
方法だとこの下刈労苦を無くすことができるのでは
と,提案しました。ちょうど研究センターも同じよ
うな研究をされていて,所長さんもヒノキの皮でマ
ットを作ると,殺虫効果や匂いで獣害の忌避効果が
あるのではと,意気統合して岡山県森林加工技術セ
ンターを紹介いただきました。
センターも協力的で,その後木の繊維が持つリグ
ニンを利用して接着剤無しでマット化することがで
きました。少し硬く,リグニンが本当に効いている
のという感じでしたが,形が戻らないのでマット化
できたかなと思いました。網の目や繊維長,厚みを
変化させることで,山に置いた時地山に沿う柔らか
さをだすことが出来ました。お隣の農林研究所長の
所へ帰って国有林で実験させてもらうことになりま
-78-
した。また知り合いの山でも試験をしました。
1 年後では雑草にまかれませんでした。ヒノキで
は良く解りませんでしたが,成長が早い杉の木では
施工しないで下刈りしないものに比べ 1.3 倍の成長
増を認めることができました。
うれしかったですね。
しかし,残念なことに苗の周りが野兎の遊び場ステ
ージとなって木がかじられてしまいました。また,
マット下に繁殖したミミズをねらって猪がひっくり
返してしまうということがおきました。残念ながら
獣害の忌避効果は望めないことがわかりました。そ
れに植林する時は一人が一日に 200 本ぐらい苗を植
えるそうですが,このマットは重い。車が近くに寄
せられる場所しか利用できません。薄く軽くするに
はどうしても接着剤が必要で,それでは山を汚染し
てしまうことになってしまいます。今では無害の生
分解樹脂シートを使用してピンで固定することで技
術は進んでいると思いますが。生き物を相手に実験
しているわけで,結果を得るためには数年かかりま
す。そういう意味で,農業関係の品種改良の研究者
様には心から敬意を表します。
一方,別な利用方法でウッディマットが植生基盤
材として利用できないか研究することにしました。
プランタン他では椰子がら繊維が良く利用されます。
木の皮の方が保水力を期待でき,国内で調達できる
ので優位ではないかと考えました。屋上緑化といえ
ば土を屋上に持ち上げて緑化するのが今までは主流
であったので,本製品は土に比べて運搬しやすく比
重が軽い,雨にも流失しにくい。植生と相性が良け
ればこの利用法も有効な可能性があると考えました。
種子や苗を直植えする実験も行いましたが,
やはり,
他の報告にもあるようにリグニンの影響か種は発芽
率が悪かったです。ただ,ごく少量の土を表部に被
せることでこれは解決できました。苗で一度活着し
たものは良く繁殖してくれました。
芝やコケ,地被類の植生実験を数回繰り返しまし
た。
新見市に協力依頼をして熊谷中学校で屋上緑化,
教室温度の実験を行いました。生徒さんにも協力願
いました。
実験結果は良好でした。植生も順調で教室温度も
2度下げることができました。ビジネスとしては,
大面積の屋上緑化は木の皮を粉砕して堆肥化したも
のと,粘着剤,肥料等を混合させたものを屋上等に
吹付ける方が安価にできることが分かりました。そ
こで当社の製品は小規模のベランダ緑化でウッディ
マットをブロック化してアレンジして楽しんでいた
だけるように製品化しました。補助金をいただき,
コンサルタントを入れ,ホームページ,ペット雑誌
で PR し販売することにしました。
また岡山県の森林
加工技術センターと共同特許を取得しました。
製造では,ホットプレス工場で廃業したものがあ
ったので個人で購入しました。夏枯れで季節的に仕
事が少なくなる職員を使用し,夏期にストックを製
造しておくようにしました。雇用対策としての創業
でもあります。東京,通販では大阪で一部よく売れ
ましたが,思いのほか販売不振でした。この時期に
専門の営業マンを置いてもっと拡販すべきだったと,
今反省しています。
その内,類似品が出はじめ,営業力で負けて押さ
れてしまいました。また原発事故などが起き,屋上
には放射能を吸着しやすい屋上緑化より太陽光発電
パネルの方に関心が移ってしまったようで,問い合
わせも減ってきました。今さらなる有効利用法,価
値ある製品を目指しており,
あきらめず継続中です。
6 研究室を持つ企業になるのが夢
かつて日本人はものまね猿と言われました。しか
し,まじめに熱心に取り組むことから,独自の工夫
を加え,品質等に付加価値を与えました。ノーベル
賞で見るように創造力も世界に負けていない昨今で
す。外国の安い人件費に押されて,今中小企業はあ
えいでいます。しかし声を大きくして言いたい。こ
の日本人の特徴は世界に誇れる財産であり,これを
生かして,ますます工業,農業の研究開発,技術開
発に力を注ぐべきである。そしてその人材づくり,
育てる環境づくりが必要であり,明日の日本を作る
原動力だと思います。私もまだなし得ていませんが
研究室の持てる会社にするのが夢であります。
7 日本の未来を築くのは開発型中小企業
共同研究する中で大学の教授たちがぼやいていま
した。学校が特別法人化される中で,評価や結果を
早期に求められることが多くなった。お金にならな
い基礎研究の評価がさがり,研究予算が下がり,自
費を拠出して続行している。民間の研究機関はビジ
ネスに直結するものだから,結果のすぐ出るものは
民間の研究機関。
結果が長期にわたるもの,お金にならない基礎研
究に公の研究機関は特化すべきだと。全くその通り
だと思います。ましてやこちらの工業高校では,大
学ですらそうであるから予算もなく,時間もなく,
あえいでいらっしゃるのではないかと想像します。
頭のいい人が集まっているはずの霞が関が考える割
には,目先だけの対策でおそまつ過ぎ。私の会社で
もそうだが総務系の人は短期で結果を求め過ぎ。
しかし,現状の流れではいたしかた無い部分もあ
ります。お殿様に仕える武士も俸禄が下がり,
「武士
は食わねど高楊枝」と言っていられません。食べて
いかねばなりません。いざというときにお役に立た
-79-
なければいけない刀は質屋に出さず,傘貼りもしな
ければならない。公の研究機関は基礎研究が使命と
いうことを忘れず,地域振興,技術立国日本という
観点からその頭脳をぜひお貸し願いたい。地域中小
企業の現状,
切実なニーズを平成 25 年中小企業白書
から抜粋してきましたので見ていただきたく思いま
す。
8 補助金の有効活用
私の経験もふまえて補助金の有効活用について
お話しします。今,国や地方の経済活性化対策,雇
用対策から多くの補助制度が出ています。特に中小
企業には新技術に関して手厚くなっています。これ
を使わない手はありません。私の経験ではテーマに
必要ならば研究委託費,相談料,会議費,図書費,
実験器具,機械,人件費その他が経費として認めら
れます。
設備費が認められる種類の補助もあります。
費用の約 1/2 の経費が補助になるケースが多いよう
です。後 1/2 は企業の負担です。ほとんど研究室の
負担はありません。使いようによってはとても役に
立つ制度だと思います。ぜひ地域の企業と一緒に申
請していただきたく思います。私が利用させていた
だいた補助金,
役に立ちそうな補助金を 2~3 紹介し
ておきます。
地域の企業と共同開発すれば成果がでます。その
中で特許申請できるものはしましょう。私の企業も
4~5 件申請いたしましたし,岡山県との共同特許も
あります。いずれも収益を生んでいないので,大き
い顔で薦められませんが,今までの経験の中でいろ
いろ思うことがありますので,参考になればとお話
しします。
特許制度はある技術に関して研究開発のコスト
を還元するために一定年度の独占実施権を与えるこ
とを保障するもので民間の技術開発の振興に寄与す
るものです。結論から先に申しますと,公的研究機
関ももっとこの特許にかかわって欲しいと思うもの
であります。学術,文化に関する研究,基礎研究は
この特許制度にはそぐわない。むしろ眉を顰められ
る部分であろうかと思います。たしかにそうだと思
います。しかし,公的研究機関の費用が全く足らな
い今,収益のでる部分では収益を出し,収益を生ま
ない必要な部分をカバーすることはいたって自然な
ことです。逆に基礎的な部分を民間に取られてしま
うと、社会の技術開発を阻害してしまう恐れがある
場合もあります。公的機関が先に取って安く誰にで
も提供することで技術の進歩を進めることもできま
す。変な固定観念は捨てて柔軟に対処していただき
たい。
最後に,私の思いを述べます。地域の高校,大学
にはぜひ地域の中小企業の技術改善,新規開発,起
業希望者の技術的ブレーンになってほしいと思いま
す。また、私がそうであったように、学生に研究開
発に携われる機会を与えてあげてほしい。いままで
以上に創意、工夫力を養う授業を増やしてほしいと
思います。未来の日本のために。
以上で講演を終わります。
-80-
報 告
第 23 回全国産業教育フェア愛知大会
さんフェア愛知 2013
~専門高校等の生徒による学習成果発表の祭典~
岡山県高等学校工業教育協会
事務局次長 髙 林
・愛知県産業労働センター(ウインクあいち)会場
(1)立体電光掲示板
岡山県立東岡山工業高等学校
康 徳
1 開催期間
平成 25 年 11 月 9 日(土)~10 日(日)
2 会場
愛知県産業労働センター(ウインクあいち)
,愛知
県体育館,刈谷市産業振興センター,刈谷市総合
文化センター
3 主催
文部科学省,愛知県,愛知県教育委員会,公益財
団法人産業教育振興中央会,全国産業教育振興会
連絡協議会,愛知県産業教育振興会
4 主な催事
・意見・体験発表(全国の生徒による体験発表,意
見交換)
・作品・研究発表(実習等で製作した作品や研究に
ついての発表)
・展示即売(学校生産物,学校開発商品及び県内特
産品などの即売会)
・高校生等による体験コーナー(搾乳体験,木製ペ
ン立ての制作,食品サンプル作り体験,ビジネス
英語学習,ロープワーク体験,貝殻アクセサリー
製作,フラワーアレンジメント,脳年齢測定など)
・作品展示(全国の生徒が実習等において製作した
作品や研究成果の展示・実演)
・第 12 回全国高校生フラワーアレンジメントコン
テスト
・第 21 回全国高等学校ロボット競技大会
・全国高校生クッキングコンテスト
・全国高校生介護技術コンテスト
・県内高校生によるファッションショー
・キッズビジネスタウン(小・中学生対象の職業体
験や消費活動体験)
・知的財産に関する創造力・実践力開発推進事業成
果発表会
5 岡山県の工業科作品展示
(2)
「倉工デニム」の作品展示
岡山県立倉敷工業高等学校
・愛知県体育館会場
(3)エアロMECIA(メシア)
岡山県立水島工業高等学校
6 まとめ
今大会には,岡山県から 3 校の出展があった。い
ずれのブースも多くの見学者があり,参加した生
徒も出展作品の紹介や製作工程について説明をし
盛況であった。
-81-
ある岡山工業高等学校の作品を中心に展示した。
①機械系部会:溶接で作製した圧力容器
②電気系部会:マイコンカー(ライントレースカ
ー)
③工業化学系部会:無電解めっき作品(葉脈めっ
き,ほおずきのめっき)
・トンボ玉・樹脂封入ペ
ーパーウエイト・備前焼
④土木系:カラー再生コンクリートブロック
⑤建築系:住宅模型
⑥デザイン系:握り寿司型テープカッター
きらり輝け!
岡山さんフェア 2013
~専門高校等の生徒による学習成果発表会~
岡山県高等学校工業教育協会
事務局
内田
範政
1 きらり輝け!岡山さんフェアについて
平成 24 年度に専門高校生等の学習成果を発表
するため全国産業教育フェア岡山大会「さんフェ
ア岡山 2012」を開催した。大会の特色として,企
業と連携した取組や小中学校生などに産業教育の
魅力を発信するとともに,生徒の自主性を重んじ
る大会となった。
こうしたことから,きらり輝け!岡山さんフェ
アは,同フェアの成果を継承し,今後の実習や課題
研究等の学習の成果を発表する場を設け,専門高
校等の生徒の創造力・実行力・問題解決能力を伸
ばすとともに,地域社会に産業教育の魅力を発信
し,その活性化を図ることを目的としている。
会場は岡山県生涯学習センターであり,研究発
表等は,県立烏城高校体育館で実施した。その他は,
「人と科学の未来館サイピア」を利用した。
2 工業学科代表による研究発表会
県立水島工業高等学校が担当した。
有人トライブリッド動力飛行機の製作
「エアロメシア~夢への挑戦」
3 工業学科の展示パネルについて
「きらり輝け!岡山さんフェア 2013」での工業
学科の展示は,県立岡山工業高等学校が担当当番
校として実施した。
6部会(機械系,電気系,工業化学系,土木系,建築
系,デザイン系)の学科紹介パネルは,今回のフェ
アに向けて新たに作製した。写真等は,県下 18 校
の工業系学科を設置する高等学校に呼びかけ,実
習の様子などを中心に,設置されている県内の位
置などを加え,分かりやすくした。
4 工業学科作品展示について
6部会の実習作品を展示した。今回は担当校で
なお,この会場ではスタンプラリー用に次のよ
うな問題を作成し設置した。
問題
「電気科では,部品を基板に固定するために
○○○ごてを用います。それは何でしょう。
」
選択肢
①ホンダ,②パンダ,③ハンダ
5 体験コーナー
・県立水島工業高等学校 建築科
「ブックエンドの製作」
・県立水島工業高等学校 電気科
「七色に光る花かごの製作」
6 ロボットデモンストレーションと展示
今回のさんフェアでは,11 月に開催された第
21 回全国高等学校ロボット競技大会愛知大会に
参加したロボットを展示するとともにデモンス
トレーションを行った。
7 県指定事業展示
・県立高梁城南高等学校
スーパーエンバイロメントハイスクール研究
開発事業:
「廃棄オガクズの再利用による心の
循環ステージづくり」と題した研究内容を,展示
とポスターセッションにより代表生徒が紹介
した。
・県立水島工業高等学校
地域人材育成事業:技能検定合格に向けた取
組を,パネルを用いて代表生徒が紹介した。
-82-
「めっき技能検定 3 級(電気めっき作業)
」
「プラスチック成形技能検定 3 級(射出成形作業)
」
2014 高校生テクノフォーラム
岡山県立岡山工業高等学校
内 田 範 政
岡山県高等学校工業教育協会主催
「2014 高校生テ
クノフォーラム」が,平成 26 年1月 18 日(土),生涯
学習センター(烏城高校体育館・
「人と科学の未来館
サイピア」
)で開催され,工業系高校の生徒・教員約
500 名が参加した。
5校7科の生徒達が午前に4件,午後に3件の研
究発表を行った。
発表が終了した後,安田工業株式会社の高度熟練
技能者である児玉繁光氏に,「スーパーカーの名門フ
ェラーリ社に選ばれた技能と機械」と題してご講演
をいただいた。高精度のものづくりに必要な,「キサ
ゲ加工」
や機械中心部を恒温に保った金型加工など,
フェラーリ社に選ばれた熟練した技術・技能につい
て興味深い話を伺うことができた。
また,加工された
サンプルの展示もあり,大変参考になった。
2 研究発表
(1)「エコ発電防犯灯システムによる
地域への貢献」
県立東岡山工業高等学校 電気科
(2)「地域とともに歩むデザイン科の取り組み」
県立津山工業高等学校 デザイン科
(3)「廃棄オガクズ乾燥機の製作」
県立高梁城南高等学校 電気科
(4)「風力発電システムの状況推定とその応用」
岡山理科大学附属高等学校 電気情報科
(5)「省エネカーの製作」
県立東岡山工業高等学校 機械科
(6)「カスタマイズドモデルカーの製作」
岡山商科大学附属高等学校 総合学科
(7)「福祉用具の製作について」
県立津山工業高等学校 機械科
3 講 演
演題:
「スーパーカーの名門
フェラーリ社に選ばれた技能と機械」
講師:安田工業株式会社 高度熟練技能者
児玉 繁光 氏
1 開会行事
(1) 開会挨拶
生徒代表者会会長
倉敷工
岡山県高等学校工業教育協会
理事長
岡山県生涯学習センター
所 長
(2) 岡山県教育委員会挨拶
県教育庁高校教育課
副課長
川邉 梓沙
高柳 克彦
岡本
啓
白神 邦彦
4 指導講評
岡山県教育庁高校教育課
主幹
5 閉会行事
閉会挨拶
岡山県高等学校工業教育協会
副理事長
-83-
佐々木 隆
中桐 上雄
岡山県職業能力開発協会との連携による
「第 52 回技能五輪全国大会見
学ツアー」の実施(2年目)
岡山県高等学校工業教育協会
事務局次長 髙 林 康 徳
1 目的
技能五輪全国大会は国内の青年技能者の技能レ
ベルを競うことにより,青年技能者に努力目標を与
えるとともに,技能に身近に触れる機会を提供する
ものである。
技能五輪全国大会を見学して,大会参加選手の競
技に取り組む意欲や姿勢及び大会の技能水準や技能
のすばらしさを実感することにより,今後の技能五
輪全国大会の参加意欲促進並びに技能者として就
業・活躍を目指す将来目標を付与するものである。
2 1日コース(日帰り)
(1)期日 平成 26 年 11 月 29 日
(2)参加費 無料
(3)見学コース
【吹上ホール】抜き型・メカトロニクス・旋盤・
フライス盤・木型・電子機器組み立て・IT ネッ
トワークシステム管理
(4)見学行程
6:30 岡山駅西口出発
11:30~15:30 吹上ホール見学
20:30 岡山駅西口着
(5)参加実績 39 名参加
岡山工 生徒 10 名,教員3名
水島工 生徒2名,教員3名
その他専門学校等 21 名
(6)見学の様子
3 2日コース(1 泊)
(1)期日 平成 26 年 11 月 29 日・30 日
(2)宿泊 料理旅館わたなべ
(3)参加費 宿泊代 5,500 円/1人当たり
(4)見学コース
【豊橋総合体育館】配管・電工・建築大工・
造園・とび
【ポリテクセンター名古屋港】
曲げ板金・自動車工
【吹上ホール】抜き型・メカトロニクス・旋盤・
フライス盤・木型・電子機器組み立て・
IT ネットワークシステム管理
(5)見学行程
【11/29】
6:30 岡山駅西口出発
8:00 津山駅東側交番前出発
13:00~16:00 豊橋総合体育館見学
17:30 旅館着
【11/30】
8:00 旅館発(個別出発)
9:00~13:00 吹上ホール・ポリテクセンター
名古屋港等を個別見学
18:00 津山駅着
19:00 岡山駅西口着
(6)参加実績 29 名参加
岡山工 生徒4名,教員1名
津山工 生徒4名,教員1名
その他専門学校等 19 名
(7)見学の様子
写真2 建築大工
写真1 メカトロニクス
-84-
平成 26 年度
岡山県産学官連携による
企業現場体験報告
社。
」, 「自分がやりたい仕事を早くできる会社を選
ぶ。
」, 「自分から進んでやれる人を育てる。
」とい
うことが話題に上がった。
5 所感
今回タマデン工業株式会社で行った研修を通じて
岡山県立岡山工業高等学校
一番印象に残ったことは“人間らしさ”である。
出 口 恭 平
今回藤原社長はじめ, タマデン工業株式会社様の
社員の方々とお話しさせて頂く貴重な機会を与えて
1 研修受入企業
頂いた。その中で, “信”, “力”, “熱”という
企業名 : タマデン工業株式会社
社是の説明を受け, 従業員の方々においてはその社
住 所 : 岡山件玉野市玉原3丁目7番2号
是の下, “自分らしく”働かれている。その表情が
2 研修期間
とても印象的であった。
平成 26 年7月 29 日 (火)~7月 31 日(木 )
それは, 従業員様一人ひとりが会社の運営のコト
3 研修概要
などを自分のこととして真剣に捉えて,
『誰かがや
1日目:ガイダンス, 安全教育, メンタルヘルス,
ってくれる。
』では無く, 『自分がやらないといけな
電子組立実技訓練。
い。
』という様な良い意味での“危機感”をもって仕
2日目:電子組立実技訓練, 工場内見学。
事に取り組んでいたからだと思う。
3日目:組立作業見学, 測定機器, 技能試験,
生徒の進路指導においては, 多くの生徒が
『いい会
模擬入社試験受験, 懇談会
社に行きたい。
』
と言うことがあるが, 生徒にとって
4 研修詳細
“いい会社”
とは, 有名な会社, 資本金が多い会社,
【1日目】
給与が多い会社などと答える生徒が多い。
・ガイダンス, 新入社員研修, 人生を楽しくする知識
恐らくこの意見は, 本校だけに留まらず岡山県,
など
藤原社長の経営方針の説明を拝聴。
以下, 内容抜粋。 日本全国の多くの高校生に当てはまるのではないだ
ろうか。そして実際には, 自分の思い描いた“いい
「好奇心」, 「向学心」をもつ事の重要性。
「サービ
会社”と現実とが大きく逸脱しており, 今日の離職
ス=心 ( 真心 ) 」
。何があっても「身体は常に前向
率の増加に繋がっていると思う。
き」
。企業は「発展」⇒「充実」⇒「成熟」であり, 成
我々教員においては, もっと深く生徒を知り, 世
熟するよう努力する。いろいろな視点から物事を捉
間を知り, 企業を知る必要があると思う。
える。
その上で, 生徒一人ひとりに本当に適した“いい進
・電子組立実技訓練
研究室にてオペアンプの作成と性能評価を行った。 路”を提示, 推奨する義務が我々にはある。
この研修を通じて“人間らしく生きる”
。そのため
【2日目】
に“いい仕事に就く”ことの重要性を強く感じた。
・電子組立実技訓練
それと同時に, そのことを実現させるためにはもっ
タマデン工業 (株)の販売する図1の教材用電子
ともっと教員, 生徒, 家庭が協力し, 互いに理解し
ボードを用いてC言語の作成と書き込み, 実行を行
合うことが必要であると感じた。
った。
【3日目】
・組立作業見学, 測定機器および技能試験
制御盤作製時に用いる各種測定計器の説明をして
頂いた。また, 図2に示す2級技能士の練習用教材
を用いて2級技能士の問題に挑戦した。
・模擬入社試験問題
実際の入社試験問題に相当する筆記問題を受験し
た。幅広い知識が要求された。
図1 教材用電子ボード 図2 技能士練習用
・懇談会
教材
研修を担当して下さった社員3名と今回の研修の
総括を行った。その中で「タマデン工業(株)は教
材開発や本取り組みなど熱心に教育を行っている会
-85-
平成 26 年度
全国設備工業教育研究会
第 50 回
静岡大会
岡山県立東岡山工業高等学校
木 村 浩 二
主催 全国設備工業教育研究会
後援 静岡県教育委員会
全国工業高等学校長協会
静岡県工業高等学校長会
空気調和・衛生工学会
日本空調衛生工事業協会
全国管工事業協同組合連合会
静岡県管工事工業協会
静岡県設備協会
静岡県設備設計協会
静岡県冷凍空調工業会
静岡県ビルメンテナンス協会
日本教育公務員弘済会静岡支部
はごろも教育研究奨励会
期日 平成26年7月30日(水)~8月1日(金)
会場 パレスホテル掛川
静岡県掛川市亀の甲2-8-5
Ⅰ 第1日目 7月30日(水)
1 会計監査
2 受付
3 地区別研究協議会
4 開会式(パレスホテル掛川)
(1)開式の辞
(2)挨拶
全国設備工業教育研究会会長
大菅 順市
全国設備工業教育研究会静岡大会
実行委員長
加藤 智久
(3)来賓紹介
(4)来賓祝辞
東京都教育庁指導部 高校教育課
課長 渋谷 浩史
静岡県工業高等学校長会
会長 田中 克己
公益社団法人空気調和・衛生工学会
副会長 奥宮 正哉
全国管工事業協同組合連合会県連会
伊藤
哲
静岡県管工事工業協会
会長 三輪容次郎
(5)閉式の辞
(6)事務連絡
5 教育講演会
演題 「やる気になる・その気になる社風」
日管株式会社取締役社長
三輪 容次郎
6 教育懇談会
Ⅱ 第2日目 7月31日(木)
1 総会
(1)議長選出
(2)議題
①平成25年度 事業報告・決算・監査報告
②平成26年度 事業計画(案) ・予算(案)
③平成26年度 全設研役員(案)
④平成26年度 特別会員推薦
⑤第26回空気調和・衛生工学振興会
「高校教育賞」表彰について
⑥平成26年度研究発表審査委員について
(3)報告事項
2 講話
演題「高等学校教育や工業教育の現状と
今後の工業教育について」
文部科学省初等中等教育局児童生徒課
産業教育振興室教育調査官 持田 雄一
3 生徒研究発表
(1) ミニハウスの製作
静岡県立掛川工業高校設備システム科
3年 前澤 樹
久保田 雄亮
4 教員研究発表
(1)防災意識向上のための取組み
秋田県立男鹿工業高等学校 保坂 悟
(2)スピーカーキャビネットの製作
三重県立四日市中央工業高等学校
宮崎 慎一
(3)江川三郎八と岡山の学校建築
岡山県立東岡山工業高等学校
難波 好幸
(4)技能五輪に向けた取り組み
大阪府立布施工科高等学校
西井 真一
(5)栃木県立宇都宮工業高等学校新校紹介
平野 邦比己
5 質疑応答,講評
6 閉会式
(1)閉式の辞,次期開催校紹介
(2)挨拶
岡山県立東岡山工業高等学校長
難波 宏明
(3)閉式の辞
7 諸連絡,協賛会員によるプレゼン,夕食会
Ⅲ 第3日目 8月1日(金)
1 受付,バスにて移動
2 SBS静岡放送・静岡新聞社
3 昼食,久野山東照宮
4 バス移動解散
-86-
平成 26 年度
全国電子機械教育研究会
第 28 回総会・研究協議会
岡山県立東岡山工業高等学校
平 井 総一郎
【開催要項】
主催 全国電子機械教育研究会
後援 (公社)全国工業高等学校長協会
石川県教育委員会
石川県産業教育振興会
(公財)日本教育公務員弘済会石川支部
石川県高等学校教育研究会工業部会
期日 平成 26 年8月 21 日(木)~22 日(金)
場所 金沢都ホテル
金沢市此花町6-10
Ⅰ 第1日 8月 21 日(木)
1 開会式
(1)開会式のことば
全国電子機械教育研究会副会長
愛知県立豊田工業高等学校長 若山 和彦
(2)会長あいさつ
全国電子機械教育研究会会長
徳島県立つるぎ高等学校長
伊勢 和彦
(3)実行委員長あいさつ
大会実行委員長
石川県立羽咋工業高等学校長 下根 浩明
(4)来賓祝辞
石川県立教育委員会事務局
教育次長兼学校指導課長
竹中
功
公益社団法人全国工業高等学校長協会
理事長 棟方 克夫
(5)来賓紹介・祝電披露
大会副実行委員長
石川県立羽咋工業高等学校
教頭 三井 正一
(6)閉式のことば
全国電子機械教育研究会副会長
愛知県立豊田工業高等学校
校長 若山 和彦
2 総会
(1)議題
①平成 25 年度 事業報告
②平成 25 年度 会計決算報告・監査報告
③平成 26 年度 役員改選
④平成 26 年度 事業計画(案)
⑤平成 26 年度 会計予算(案)
⑥その他
3 研究協議
(1)ものづくり学習を通して
山形県立寒河江工業高等学校 須藤 正仁
(2)藤岡工業高校電子機械科の取り組み
~魅力ある工業科を目指し生徒増加を計る~
群馬県立藤岡工業高等学校
中村
仁
(3)地域資源を活用した高校生のお店「飛騨の匠」
工房~工業高校における製造販売~
岐阜県立高山工業高等学校
門前 雅人
鷲見佳代子
(4)姫路工業高等学校電子機械科の取組について
兵庫県立姫路工業高等学校
西村 邦生
(5)機械技術類から
生産システムコースへ進む生徒への実習
徳島県立徳島科学技術高等学校 福井 文雄
4 質疑応答
5 講評
6 教育懇談会
Ⅱ 第2日 8月 22 日(金)
1 記念講演
『変形性股関節症患者に対する
人工股関節の適用と問題点』
金沢工業大学 工学部 機械工学科
大学院工学研究科 教授 新谷 一博
2 文部科学省講話
『高等学校学習指導要領の
実施二年目にあたって』
~これからの工業教育について~
文部科学省 初等中等教育局児童生徒課
産業教育振興室 教科調査官 持田 雄一
3 閉会式
(1)開式のことば
全国電子機械教育研究会副会長
岡山県立東岡山工業高等学校長 難波 宏明
(2)会長あいさつ
全国電子機械教育研究会会長
徳島県立つるぎ高等学校校長 伊勢 和彦
(3)実行委員長あいさつ
大会実行委員長
石川県立羽咋工業高等学校長 下根 浩明
(4)次期開催県代表あいさつ
愛媛県立新居浜工業高等学校長 内藤 善文
(5)開式のことば
全国電子機械教育研究会副会長
岡山県立東岡山工業高等学校長 難波 宏明
4 金沢工業大学見学
-87-
平成 26 年度
「高校生ものづくりコンテスト
(電気工事部門・電子回路組立部
門)」中国地区大会
岡山県立水島工業高等学校
安 達
電気工事作業風景
毅
平成 26 年度「高校生ものづくりコンテスト」
(電
気工事部門・電子回路組立部門)
」第 9 回中国地区大
会岡山大会は,中国 5 県より電気工事部門に 10 校 12
名,電子回路組立部門に10校12名が参加して開催さ
れた。
1 大会要項
(1)期日
平成 26 年6月 20 日(金)
・21 日(土)
(2)会場
(独)岡山職業訓練支援センター
(ポリテクセンター岡山)
(3)主催者等
主催 中国地区高等学校工業教育研究会
後援 岡山県電気工事工業組合
主管 岡山県高等学校工業教育協会
電気系部会
2 大会日程
6月 20 日(金)
14:30~14:50 受付
14:50~15:10 全体会
15:10~16:00 競技台抽選・会場下見・材料点検
6月 21 日(土)
8:30~8:50 受付・着替え
8:50~9:10 開会式
9:20~9:30 競技上の注意
9:30~11:30 競技
(電子回路組立は 12:00 まで)
11:30~14:00 審査
(電子回路組立は 12:00 から)
14:30~15:00 表彰式・閉会式
開会式の様子
電子回路組立生徒作品
3 大会結果
電気工事部門
第1位 山口県立下松工業高等学校
電気科 3年 澄川 晃輝
第2位 山口県立南陽工業高等学校
電気科 3年 生村 悠真
第3位 岡山県立水島工業高等学校
電気科 3年 定家 光紀
電子回路組立部門
第1位 岡山県立岡山工業高等学校
情報技術科 2年 丸山 竜輝
第2位 岡山県立岡山工業高等学校
情報技術科 2年 石原 彩也
第3位 鳥取県立鳥取工業高等学校
制御・情報科 3年 岡
真稀
地元開催の大会において岡山県代表の生徒諸君は,
日々の練習の成果を十分に発揮して頑張ってくれた。
特に丸山君と石原君は2年生で電子回路組立部門第
1位,第2位となり,全国大会そして,来年度の活躍
を期待させてくれるものであった。
-88-
講師 日本工業大学工学部准教授 樋口 佳樹 氏
株式会社 西武プロパティーズ
猪鼻 茂樹 氏
株式会社 日建設計
松崎 愛彦 氏
第45回
「工業高校建築教育研修会」
敷地面積:
30,428.79 ㎡
建築面積:
約 11,500 ㎡
延床面積:
約 227,000 ㎡
岡山県立津山工業高等学校
神 原
祥 訓
工業高等学校等で建築教育に携わる教員が,最新
の建築に関する研究成果や高度な技術・手法にふれ
ることにより,自己を啓発するとともに,今後の教育
活動上の有意義な資料となることを目的とし,今日
の学校現場における建築教育の課題や問題点等につ
いて意見交換を行い,解決策や改善策を見出す契機
となる研修を行った。また,工業高等学校の生徒の進
路先である大学・専修学校をはじめ,企業の関係者と
の交流を図り,建築教育の継続等についての情報交
換を行う場とすることも主旨の一つである。
1
主
催
2 研修期間
3 研修場所
施工現場の様子
<研修見学会Ⅱ>
「東京都内の建築見学(築地・明石町を巡る)
」
案内 工業高校建築教育WG主査・東京都立田無工
業高等学校教諭 田中 和夫 氏
一般社団法人 日本建築学会
建築教育委員会
平成 26 年 7 月 29 日(火)
~平成 26 年 7 月 30 日(水)
建築会館会議室
看板建築の建物①
看板建築の建物②
(東京都港区芝 5-26-20)
紀尾井町プロジェクト施工現場
(東京都千代田区紀尾井町 1 番地)
4 研修内容
7 月 29 日(火)研修会
<研修会Ⅰ>
「これからの住宅を考える
~ゼロエネルギーハウスと環境共生住宅の展望~」
講師 日本工業大学工学部准教授 樋口 佳樹 氏
<研修会Ⅱ>
「環状線第二号線新橋・虎ノ門地区第二種市街地再
開発事業について -環状線第2号線,虎ノ門ヒル
ズほか」
講師 東京都都市整備局再開発事務所事業課
近藤 琢哉 氏 平田
侑 氏
<報告>
「建築系学科を設置する高校における進路に関す
るアンケート調査」
講師 工業高校建築教育WG主査・東京都立田無工
業高等学校教諭 田中 和夫 氏
7 月 30 日(水)研修見学会
<研修見学会Ⅰ>
「旧グランドプリンスホテル赤坂会館/紀尾井町
プロジェクト」
築地本願寺
旧電通本社ビル
(設計:丹下健三)
5 おわりに
建築業における最新の建築研究の成果,高度な技
術・手法に触れ,自己啓発はもちろん教育活動におい
て大きな収穫になったと思います。
環境共生住宅の設計・推奨を学び,また最近までテ
レビ・新聞等で話題となっていた「環状第二号線新
橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業」の中核と
なる,オフィスビルの真下に道路を通す大規模な道
路整備工事であり,今日の建築土木技術の発展と苦
労等を改めて痛感させられました。
施工現場の見学にて,文化財の改修及び曳家
(ひき
や:建築物のそのまま移動させる建築工法)並びに
周辺プロジェクト工事の規模に圧倒され日本の建築
技術の高さを感じることが出来ました。
ここで学んだことを1つでも多く生徒に還元させ
てやれたらと思います。
-89-
南海福祉専門学校専任講師
近畿大学豊岡短期大学非常勤講師
平成 26 年度
全国工業教育指導者養成講習会
原田敬文
8月5日(火)講義,討議・演習
〈講義④〉企業の消費者対応を参考に保護者対応
を考える
岡山県立笠岡工業高等学校
兼 森 俊 浩
公益社団法人消費者関連専門家会議
ACAP 啓発委員長 TOTO 株式会社所属
谷一暢樹
1 主 催 公益社団法人全国工業高等学校長協会
〈講義⑤〉心と五感に訴えるものづくり
新潟県立自然科学館館長
ユニバーサルデザイン総合研究所長
赤池 学
2 目 的 現状を改善し,将来の工業教育を創造
できる指導者を養成する。
3 内 容 講義,グループ討議,実地見学を通じ
て工業教育に関しての内容を研修す
る。
4 期 間 平成 26 年8月3日(日)~
8月9日(土)
5 会 場 工業教育会館
6 研修内容
8月4日(月)開校式,講話,講義
〈講話①〉工業高校の活性化
全国工業高等学校長協会理事長
神奈川県立磯子工業高等学校長 棟方克夫
〈討議演習①②〉工業教育の現状と課題①②
東京都立田無工業高等学校長
池上信幸
・課題解決を狙いとした討議のあり方
(現状,問題点,課題,解決策の理解)
・ブレーンストーミングのねらいと方法,考
え方
・学校の課題とその解決策への取組
(① 現状における問題点とその背景)
8月6日(水)講義・演習
〈講義・演習①②〉マネジメント研修
PHP 研究所
星 雄一
・マネジメントの見直し
・マネジメントの役割と強い組織
・コミュニケーション力の改善強化
・リーダーシップとコーチング及び人間力
〈講義①〉これからの工業教育
元山形県立山形工業高等学校長 佐藤義雄
〈講義②〉進路指導・魅力ある学校づくり・もの
づくり・人づくり
産業技術短期大学
ものづくり工作センター講師 久保田憲司
〈講義③〉人間関係づくり・高校生のコミュニケ
ーション
8月7日(木)実地見学
〈実地見学①〉日本発条株式会社
(1)講義 ものづくりと人材育成,事業概要
人事部採用担当課長
新井 健二
(2)事業所見学
-90-
〈実地見学②〉関東学院大学
(1)講義 今後の国際社会における日本の進む
べき方向性
建築・環境学部長 湯澤 正信
(2)施設見学
8月8日(金)講義,討議・演習
〈講義⑥〉教育法規・危機管理・人事等
東京都立近代美術館長
加茂川幸夫
〈講義⑦〉学習指導・学習指導と言語活動の充実
横浜国立大学教育人間科学部
教授
髙木 展郎
〈討議・演習③④〉工業教育の現状と課題③④
東京都立田無工業高等学
校長
池上 信幸
・教育課程の具体的な計画と管理(問題点の
確認と,解決策の検討)
・分析の方法(KJ 法の考え方)
8月9日(土)講義,講話,閉校式
〈講義⑧〉工業高校教諭のための安全・危機管理論
東京都市大学客員教授
宮林 正恭
〈講話②〉工業教育の推進に向けて
国立教育政策研究所研究開発部
教育課程調査官
持田 雄一
7 ま と め
最新の教育事情やマネジメント,危機管理など,講
習の全てが有意義で現場の実践に役立つものだった。
この講習は,教師としての在り方と学校の運営を改
めて考える良い機会となり,私にとって大きな財産
となった。今後は,講習会の目的を達成できるよう着
実に努力していきたい。
最後に,本講習会に推薦頂いた関係の先生方と企
画・運営をして下さった全工協会実行委員の先生方
に心より感謝し,まとめとする。
-91-
第22回全国高等学校ロボット
競技大会岡山県予選会 及び
平成26年度岡山県高等学校ロ
ボット競技大会
岡山県立笠岡工業高等学校
学校名
順位
1 高梁城南高校
ロボット名
高梁城南
2 水島工業高校
棄権 岡山工業高校
棄権 笠岡工業高校
水工情報1号
岡工1号
W・KAZUMA
得点
1650
620
9 大会の様子
兼 森 俊 浩
1 期 日 平成 26 年9月 28 日(日)
2 会 場 岡山県生涯学習センター
人と科学の未来館 「サイピア」
3 参加者 岡山県高等学校工業教育協会に属する
高等学校の生徒・教職員他
4 主 催 岡山県高等学校工業教育協会
岡山県生涯学習センター
5 共 催 一般社団法人 岡山工業会
6 後 援 岡山県教育委員会
7 日 程
(1)開館
9:00
(2)受付
9:30 ~10:00
(3)車検・公式練習
10:00 ~12:00
(4)開会式
12:30 ~13:00
(5)ロボット競技
13:00 ~15:30
(6)表彰式・閉会式
13:30 ~16:00
8 結
果
(1)第 22 回全国高等学校ロボット競技大会
岡山県予選会
全国大会競技規則に基づいた岡山県特別ルー
ルにより,競技を2回実施し,そのうちの最高
点をもって順位を決定した。
順位
学校名
ロボット名
得点
1 水島工業高校
水工情報 1 号
610
2 東岡山工業高校 ニコラレッド
600
3 水島工業高校
水工 銀々丸
250
4 東岡山工業高校 東工1号
250
5 岡山工業高校
岡工1号
200
6 笠岡工業高校
W・KAZUMA
0
※3位,
4位は同点のため,ルールに従い総重量
が軽いロボットを上位とした。
(2)
平成 26 年度岡山県高等学校ロボット競技大会
全国大会競技規則に基づいた岡山県特別ルール
により,
ボトル発射のみによる競技を1回実施し,
得点で順位を決定した。
10 まとめ
本年度は,
ボトル発射のみの競技も開催し,大い
に盛り上がった。特にボトルが軽快に打ち出され
る場面では,観客からどよめきが上がり,終了と同
時に大きな拍手をいただいた。
また,全国大会岡山
予選会でも,ボトルや缶詰をロボットに取り込む
場面に,観客も見入っていた。
本年度は例年以上に完成度の高いロボットが増
え,確かな技術向上を感じた。
来年度の大会に向け
て,一層の向上を図りたい。
なお,毎年岡山県のロボット技術向上に多大な
ご支援を頂いている一般社団法人岡山工業会様に
心より感謝申し上げる。
-92-
平成 26 年度
企業現場体験研修報告
岡山県倉敷市立工業高等学校
河 崎 富 雄
1 日
時 平成 26 年7月 28 日~7月 30 日
2 研修場所 モリマシナリー(株)岡山工場
a.成形機事業部
冷間ロール成形機の設計・製作及びその電気制御
装置の設計製作。
実生産の製造ノウハウや指導まで,
ユーザーニーズを満たす独自の製造機メーカである。
製造拠点を海外に移す案もあるが,海外事業展開を
安易に行うと技術の漏えい問題等があるので難しい。
b.成形ロール事業部
成形機とロール両分野の設計・製作を手掛ける国
内唯一のメーカである。
c.ATC(自動工具交換装置)事業部
ATC(Automatic Tool Changer)はモリマシナ
リーが長年培ってきた技術を活かし,事業展開して
いる。
3 所 在 地 岡山県岡山市中区乙多見 468
4 企業概要
(1)設
立 モリマシナリー(株)
創 業
昭和 23 年
岡山工場開設
昭和 40 年
d.化学装置部
パンチ・ダイを CAD/CAM システムにより受注から
設計,
納品に至るまで一貫した生産を実現している。
(2)事業内容
a.成形機事業部
b.成形ロール事業部
c.ATC(自動工具交換装置)事業部
d.化学装置部
e.環境部
e.環境部
船舶用ディーゼルエンジン開発から進展し,RP
F,
RDF,木質ペレットを製造するリングダイ等を
製造している。
(3)安全教育
リスクアセスメントの普及やKYT(危険予知ト
レーニング)
活動,技能講習や特別教育の必要性につ
いて次の3つのポイントについて話しを聞いた。
a.50 人以上の規模において安全衛生委員会を機能
させている。
5 研修内容
【1日目】
(1)スケジュール
8:00~8:10 ラジオ体操
朝礼・紹介
9:00~9:30 ①会社概要説明
9:30~10:00 ②安全教育
10:00~10:10 休憩
10:10~12:10 ③生産工程概要説明,工場案内
12:10~12:50 昼食休憩
12:50~14:50 ④絞り品の工程設計及び製作
14:50~15:00 休憩
15:00~17:00 ⑤品質保証業務体験
17:00~17:30 第1日目の感想及びレポート
17:30
帰社
b.安全に関する必要な教育訓練を行う。
(例)金型の取り付け及び調整
c.
資格作業について,労働省令で定める特別教育や
作業主任者教育を行っている。
(例)
プレス機械ごとに取り扱い責任者を定める。
(2)会社概要説明
創業当時の話や新規事業参画,海外事業展開の難
しさなどの話を聞いた。モリマシナリー(株)全体
の取り組みとしては,次に掲げる5つの事業内容が
ある。
(4)生産工程概要の説明,工場案内
工場の成り立ち,稼動マシンの説明,製造品の説明
を受けた。
〈岡山工場内の見学〉
自動車部品のエンジンマウントやインシュレータ
などを製造している。次の写真はプレス工場概観や
500 トンの精密プレス機である。
-93-
10:10~12:10
12:10~12:50
12:50~14:50
14:50~15:00
15:00~17:00
17:00~17:30
17:30
プレス工場概観
プレス加工体験
昼食休憩
プレス加工体験
休憩
プレス加工体験・検査
第2日目の感想及びレポート
帰社
(2)プレス加工体験
製品の横から穴を2箇所空けるプレス作業体験し
た。
上下方向の運動を横方向に変えることで,運動変
域を小さくすることができ,またプレスはボーリン
グに比べて,切子の発生がなく,また切削油の塗布も
無いため,清潔かつメンテナンスも容易である。
500ton プレスマシン
(5)絞り品の工程設計及び製作
プレス加工絞り品の製作
プレス加工の手順やプレス機への金型取り付けな
どを平成 26 年度高校生対象のインターンシップで
実施する内容をもとに体験した。
(6)品質保証業務体験
溶接断面の特性検査に必要なノウハウについて教
えていただいた。
溶け込みやあし長,のど厚などの測
定を行った。
(7)1日目の感想
本日は6名の方にご指導いただきました。それぞ
れの担当部署で培われた経験と実力を個性あふれる
表現や話し方で熱心に語っていただきました。おの
おのの方の仕事に関わる様々な思いや意気込みが伝
わってきたのは勿論の事,その部署の様子を感じ取
ることができたり,また個人的なご趣味の話を聞か
せていただいたりと,コミュニケーションから得ら
れるものはたくさんありました。
【2日目】
(1)スケジュール
8:00~8:10 ラジオ体操 朝礼・紹介
8:10~9:00 ガイダンス・スケジュール確認
9:00~9:30 ⑥プレス加工実習の注意
9:30~10:00 プレス加工体験
10:00~10:10 休憩
(3)2日目の感想
ご指導いただいた片山班長が入社された頃は,年
配の方が多く厳しい教育を受けられたようである。
その後徐々に若い方が入社されパワーあふれる部署
になって行ったようである。プレス加工機の取り扱
い方や安全装置の仕組み等については,先日の絞り
品を試作したときに槌田様からも丁寧にご指導して
いただきましたが,また違った観点から話をしてく
ださり,興味・関心も深まった。猛暑のため外気はも
とより,作業場の気温も上がるなかで,健康管理や安
全管理にも適切に配慮されていた。
【3日目】
(1)スケジュール
8:00~8:10 ラジオ体操 朝礼・紹介
8:10~9:00 ガイダンス・スケジュール確認
9:00~9:30 ⑦溶接加工実習の注意
9:30~10:00 溶接加工体験
10:00~10:10 休憩
10:10~12:10 溶接加工体験
12:10~12:50 昼食休憩
12:50~14:50 溶接加工体験
14:50~15:00 休憩
15:00~17:00 溶接加工体験・検査
17:00~17:30 第3日目の感想及びレポート
17:30
帰社
-94-
(2)溶接加工体験
溶接機による作業
溶接部分は激しい光が発生し,また安全のためシ
ールドがあるので詳しい作業の様子を示す写真はな
いが,熱中症等にならないようにするために安全・健
康管理には十分配慮されていた。
(3)3日目の感想
溶接作業に当たり,作業ミスを防ぐための操作手
順や気の配り方について,現場で培われたノウハウ
を話してくださりました。半自動化された溶接作業
も単調な部分については集中力を維持することが大
変でした。一つ一つの作業で作られる部品がやがて
はくみ上げられて大きなものとなり,私たちの生活
の一部となって活躍する日が来ると思うととても責
任感を感じ,また自信を持って取り組まなければな
らないと強く感じた。
6 研修を終えて
モリマシナリー(株)岡山工場において,現場体験
研修を行った。
まず会社全体の雰囲気が非常によく,適切な年齢
配置や人材配置がなされ,個人でもグループでも活
動しやすい職場環境であることが感じられた。
研修内容は7テーマに分けられ,どれも充実した
内容であった。
企業の経営から現場作業に至るまで,
懇切丁寧に説明していただけたのも,人と人との繋
がりを大切にする中小企業ならではの取り組みであ
ったことと感じている。まさに物づくりが人づくり
に繋がる顕著な場面が随所に見られた。
この研修から教育現場に必要な様々な課題も持ち
帰ることができた。
「現場における人材育成」および
それにともなう「学校における社会人になるための
心構えの教育」
「企業における責任管理や安全管理」
,
およびそれにともなう「学校における実習の取り組
みのあり方」
。また「資格取得」や「基礎学力の定着」
も物づくりには必要であると痛感した。
この体験を教育現場で活かしていきたいと思う。
-95-
(1)学科
ガソリン・エンジン及びシャシに関する三級自
動車整備士国家試験相当の学科問題(4択)
。
(2)測定作業
計測機器を用いて,用意された自動車部品の測
定及び良否の判断等を行う。
(3)定期点検 車両取扱い作業
用意された車両を用いて,定期点検作業及び整
備(測定・交換等)を行う。
(4)エンジン故障探究
用意されたエンジン等の故障診断・修理と関連
する点検・測定・部品交換等を行う。
平成 25 年度
「高校生ものづくりコンテスト
(自動車整備部門)」全国大会
おかやま山陽高等学校
大村 佳苗
1.大会要項
(1)日時
平成 25 年 11 月 16 日(土)
・17 日(日)
(2)会場
穴吹工科カレッジ
(3)各地区出場校
北海道
北海道旭川工業高等学校
東 北
秋田県立男鹿工業投稿学校
関 東
群馬県立渋川工業高等学校
北信越
東京都市大学塩尻高等学校
東 海
愛知県立小牧工業高等学校
近 畿
兵庫県立姫路工業高等学校
中 国
おかやま山陽高等学校
四 国
香川県立坂出工業高等学校
香 川
香川県立坂出工業高等学校
九 州
長崎県立長崎工業高等学校
(4)審査員
審査員長
香川県自動車整備振興会
専務理事
鍋島 省三
審査員
香川県立高等技術学校高松校
校長
炭井 宏秋
穴吹工科カレッジ
校長
市原 唯男
写真2 課題4 エンジン故障探究
3.大会結果
第1位 愛知県立小牧工業高等学校
石黒 千颯
第 2 位 長崎県立長崎工業高等学校
中村 正敏
第 3 位 おかやま山陽高等学校
内園 祥吾
写真1 開会式
2.競技課題
課題は4課題,競技時間は各課題 25 分で,課
題の間に休憩 10 分を挟みながら行われた。
-96-
写真3 閉会式
4.終わりに
中国大会を終えてから,様々な場面を想定して繰
り返し練習を重ねた。岡山県代表,中国地区代表と
して全国大会3位入賞という結果を残すことがで
きた。
動車整備士国家試験相当の学科問題(4 択)
。
(2)測定作業
計測機器を用いて,用意された自動車部品の測
定及び良否の判断等を行う。
(3)定期点検 車両取扱い作業
用意された車両を用いて,定期点検作業及び整
備(測定・交換等)を行う。
(4)エンジン故障探究
用意されたエンジン等の故障診断・修理と関連
する点検・測定・部品交換等を行う。
平成 26 年度
「高校生ものづくりコンテスト
(自動車整備部門)」中国地区大会
おかやま山陽高等学校
大村 佳苗
近年,ものづくりの技術・技能の継承が危ぶまれ
ている。持続的発展を維持するためには技術・技能
水準の向上を図るとともに若年技術者を確保し,育
成することが急務である。
各高等学校で取り組んでいるものづくりの学習効
果の発表の場として全国の高校生が一堂に会し技
術・技能を競い合う大会として,高校生ものづくり
コンテスト全国大会が開催され,その予選会として
中国地区大会が開催された。
1.大会要項
(1)日時
平成 26 年6月 14 日(土)
(2)会場
広島市立広島工業高等学校
(3)主催
中国地区高等学校工業教育研究会
(4)出場校
広島県 広島市立広島工業高等学校
2名
鳥取県 鳥取県立境港総合技術高等学校 2 名
岡山県 おかやま山陽高等学校
2名
写真1 開会式の様子
2.競技課題
課題は4課題,競技時間は学科が 30 分,他の
3課題が各 20 分で行われた。
(1)学科
ガソリン・エンジン及びシャシに関する三級自
写真2 課題3定期点検 車両取扱い作業
3.大会結果
第 1 位 広島市立広島工業高等学校
中村 康太郎
第 2 位 おかやま山陽高等学校
西江 怜生
第 3 位 おかやま山陽高等学校
上村 雅輝
写真3 準優勝・3位入賞各賞状
4.終わりに
岡山県大会を終えて,さらなる練習に取り組んだ。
各課題における精度の向上と時間短縮を主な目標と
して練習を重ね,準優勝と3位入賞という結果を残
すことができた。
準優勝を果たした西江君は,茨城県で行われる「若
年者ものづくり競技大会」へ代表選手として出場す
る権利を獲得した。
-97-
第9回
若年者ものづくり競技大会
競技職種「自動車整備」
おかやま山陽高等学校
大村 佳苗
この大会は,若年者のものづくり技能に対する意
識を高め,一人前の技能労働者に育成していくため
の技能習得の目標を付与するとともに,技能を競う
場であり,原則として,技能を習得中の企業等に就
業していない20歳以下の若年者が対象である。
1.大会要項
(1)日時
平成 26 年 7 月 28 日(月)
・29 日(火)
(2)会場
学校法人つくば総合学院
つくば自動車整備専門学校
(3)主催
厚生労働省/中央職業能力開発協会
(4)出場校
北海道旭川工業高等学校
1名
岩手県立千厩高等技術専門校
1名
岩手県立二戸高等技術専門校
1名
岩手県立宮古高等技術専門校
1名
つくば自動車整備専門学校
2名
栃木県立県央産業技術専門校
1名
群馬県立渋川工業高等学校
1名
東京都立多摩職業能力開発センター
1名
新潟県立上越テクノスクール
1名
三重県立松阪工業高等学校
1名
京都府立田辺高等学校
1名
岡山県立北部高等技術専門校美作校
1名
おかやま山陽高等学校
1名
香川県立高等技術学校
1名
長崎県立長崎工業高等学校
1名
2.競技課題
課題は 6 課題,競技時間は各課題 40 分で,課
題の間に休憩 15 分を挟みながら終日行われた。
(1)エンジン分解点検
用意されたエンジンの分解・部品の測定・部品交
換等を行い,元の状態に組み立てる。
(2)トランスミッション分解点検
用意されたトランスミッションの分解・部品の測
-98-
写真 1 競技会場前
定・部品交換等を行い,元の状態に組み立てる。
(3)ブレーキ点検整備
用意された車両のブレーキの点検・整備(測定・
交換等)を行う。
(4)サスペンション,ステアリング点検整備
用意された車両のサスペンション及びステアリ
ングの点検・整備(測定・交換等)を行う。
(5)エンジン故障探究
用意されたエンジン等の故障診断・修理と関連
する点検・測定・部品交換等を行う。
(6)電気装置故障診断
用意された灯火装置及びワイパーの基本作動確
認及び点検・診断・修理等を行う。
写真 2 課題Ⅵ 電気装置故障診断
3.大会結果
第 1 位 長崎県立長崎工業高等学校
永田 一平
第 2 位 つくば自動車整備専門学校
大江 至
第 3 位 香川県立高等技術学校
富永 昌樹
4.終わりに
本大会へ岡山県代表として高校生が出場するた
めには,高校生ものづくりコンテストで成績を収
める必要がある。高校生ものづくりコンテスト中
国地区大会を終えてから練習に励み,すべての課
題に取り組んだが,上位入賞を果たすことはでき
なかった。
日本工業化学教育研究会
第62回全国大会(滋賀大会)
岡山県立津山工業高等学校
三 宅
宏
日本工業化学教育研究会の第62回の全国大会が
平成26年7月23日(水)~7月25日(金)の
3日間,滋賀県大津市の滋賀県民交流センターで開
催された。
1 期日
平成26年7月23日(水)~7月25日(金)
2 会場
ピアザ淡海 滋賀県民交流センター
3 大会日程
第1日 7月23日(水)
13:00~17:00 高校生ものづくりコンテスト
化学分析部門研究委員会
15:30~17:00 全国理事会
第2日 7月24日(木)
9:30~ 講話「工業教育を取りまく状況と工業
化学教育の展望」
文部科学省 初等中等教育局 児童生徒課
産業教育振興室教科調査官 持田 雄一氏
10:50~ 開会式
11:30~ 総会
13:10~ 研究発表
分科会Ⅰ 生徒の学力向上とその手立て
①「学科改編後の環境エネルギー科の現状」
高知県立安芸桜ヶ丘高等学校
環境エネルギー科 教諭 磯元 幸弘
②「工業化学科における資格試験の取り組み」
熊本県立八代工業高等学校
工業化学科 教諭
堀江 幸司
③「生徒の学びを考える」
~主体的な学びと学力の向上をめざして~
滋賀県立瀬田工業高等学校
化学工業科 教諭
角 哲郎
分科会Ⅱ 生徒の身につけさせたい力とその
取り組み
-99-
①「中国・職業高校との国際交流について」
福井県立科学技術高等学校
化学システム科 教諭
坂上 秀男
②「健全性指標を用いた広瀬川・霊屋橋付近の
環境調査について」
~課題研究での取り組み~
宮城県工業高等学校
化学工業科
教諭
平吹 孝
③「宇部工業高校における環境教育と生徒指
導」
山口県立宇部工業高等学校
化学工業科
教諭
大濱 進治
分科会Ⅲ 専門性と学科の魅力とその取り組
み
①「学校周辺の状況と水質調査」
和歌山県立紀北工業高等学校
システム化学科
教諭
下津 年史
②「燃料電池の製作」
千葉県立茂原樟陽高等学校
環境化学科
教諭
吉田 浩一
③「中学生に対し、効果的にアピールする方策
について」~化学系学科への理解と具体的
な取り組み~
静岡県立浜松大平台高等学校
総合学科
教諭
原田 直宏
15:00~ 記念講演
「私の歩んだ道~自然に学ぶ楽しさ~」
2000 年ノーベル化学賞受賞
筑波大学名誉教授
白川 英樹博士
第3日 7月25日(金)
9:00~ 研究協議および交流
分科会 A 化学系学科の魅力について
分科会 B 化学系学科の教育力について
分科会 C 化学系学科の進路指導について
10:30~ 全体報告会
11:25~ 閉会式
平成 26 年度工業教育関係講習会・産業見学会等一覧
(平成 25 年 11 月 1 日~平成 26 年 10 月 31 日)
主
催
名
称
社 団 法 人 夏期講習
全国工業高等
期
日
場
H26.7.31
所
足利工業大学
~8.1
主
題
参 加 者
制御用マイコン 佐々木 政彰(倉敷工)
ボード(Arduino)
学 校 長 協 会
の活用法
平成 26 年度夏期講習
H26.8.22
日本工学院専門学 模型制作体験を 木村 善幸(津山工)
校
通して、矩計図を
学ぶ講習会
第 26 回三菱シーケンサ技 H26.8.5
麻生工科自動車大 技術検定(シーケ 武川 忠弘(東岡工)
術講習会
~6
学校
ンス制御)3 級の
実技試験対策
プリント基板設計
H26.7.30
CAD「CADLUS」体験実習
全工協教育会館
~31
「CADLUS」を使用 内藤 和彦(東岡工)
したマイコンボ
ードの基板回路
設計を体験する。
夏期講習
H26.8.18
全国工業高等学校 レゴのロボット 川上 忠士(倉敷工)
校長協会工業教育 でプログラミン
会館
グ体験!(アイコ
ン型言語)
全
国 第 49 回全国セラミック教 H26.11.28
セ ラ ミ ッ ク 育研究大会
ウインク愛知
~29
「地域産業連携 羽原 義典(備前緑陽)
あいち臨空新エネ によるセラミッ
ルギー実証研究エ ク教育」~学ぶ意
教 育 委 員 会
リア
欲の創出とコミ
ュニケーション
能力の向上
日 本 繊 維 工 業 第 55 回日本繊維工業教育 H26.8.1
群馬県
教 育 研 究 会 研究会総会・研究協議
~2
日 本 工 業 化 学 第 60 回日本工業化学教育 H26.7.23
教 育 研 究 会 研究全国大会
繊維工業教育の 妹尾 和男(倉敷工)
新たなる発展
滋賀県
~25
「見せましょう 今井 直子(岡工)
未来へつなぐ工 北田 尚稔(東岡工)
業化学教育」
岩田 公二(倉敷工)
森
三宅
大晃(水工)
宏(津工)
高見 茂樹(備前緑陽)
全 国 電 子 工 業 平成 26 年度
H26.8.7
サンポートホール ものづくり教育 國冨 勇樹(倉敷工)
教 育 研 究 会 第 55 回全国電子工業教育
~8
高松
研究会総会・研究協議会
の推進と魅力あ
る電子工業をめ
ざして
全 国 電 子 機 械 平成 26 年度全国電子機械 H26.8.21
教 育 研 究 会 教育研究会
石川県
川上 忠士(倉敷工)
~22
第 28 回総会・研究協議会
社 団 法 人 第 45 回工業高校建築教育 H26.7.29
建築会館・紀尾井町 これからの住宅 神原 祥訓(津山工)
日 本 建 築 学 会 研修会
プロジェクト施工 を考える・紀尾井
~30
現場
-100-
町プロジェクト
主
催
名
称
全 国 高 等 学 校 第 52 回全国大会 2014 佐賀
期
日
H26.8.20
究
所
主
題
参 加 者
歴史と文化の森公 「地域に根ざし 花土 栄一 (岡山工)
~22
デザイン教育
研
場
園炎の博記念堂
たデザイン教育」 松永 亜紀子(岡山工)
清水 さくら(津山工)
会
岡 裕美
(津山工)
河原 英利(高梁城南)
石村 亜弓(高梁城南)
全 国 自 動 車 平成 26 年度
H26.8.20
教 育 研 究 会 夏季自動車技術講習会
全 国 設 備 工 業 平成 26 年度
教 育 研 究 会 全国設備工業教育研究会第
トヨタ名古屋自動 エンジンオーバ 大村 佳苗
~22
H26.7.30
車大学校
ーホール
静岡県掛川市
(おかやま山陽)
難波 宏明(校長)
~8.1
難波 好幸(東岡工)
50 回静岡大会
木村 浩二(東岡工)
永禮 広宣(東岡工)
全 国 電 子 工 業 第 55 回全国電子工業教育 H26.8.7
香川県高松市
教 育 研 究 会 研究会(香川大会)
ものづくり教育 間庭 好昭(岡工)
の推進と魅力あ 国富 勇樹(倉工)
~8
る電子工業教育 花房 浩二(水工)
をめざして
天賀 義紀(笠工)
河崎 富雄(倉市工)
村上 明広(理大附)
全 国 情 報 技 術 第 43 回全国情報技術教育 H26.8.7
徳島県徳島市
教 育 研 究 会 研究大会(徳島大会)
小山 達夫(岡山工)
~8
岡本 茂樹(岡山工)
鳥越 謙一(岡山工)
筑 波 大 学 教員のための遺伝子組換え H26.8.25
実験教育研修会
筑波大学遺伝子実
~26
中国地区高等学校
第 60 回中国地区高等学校 H26.7.24
工業教育研究会
工業教育研究大会
島 よう子(岡山工)
験センター
島根県民会館
総合、機械、電気
~25
建築の4部会開催
ヒルタ工業(株)
企業との交流研 安原 利江(水島工)
岡山県産学官連携による教
曙ブレーキ(株)
修
員研修
井原精機(株)
坂本 恭成(水島工)
新興工業(株)
山根 裕生(水島工)
岡 山 県 教 育 庁 平成 26 年度
H26.5.20
難波 瑞幾(水島工)
服部 貴光(倉敷工)
村上 裕亮(倉敷工)
赤木 智也(倉敷工)
上西 雅也(笠岡工)
久門 孝 (笠岡工)
島 康人 (笠岡工)
H26.5.21
玉野市
企業との交流研 野々上 広隆(倉敷工)
修
犬飼 千妃呂(倉敷工)
神田 拓朗 (笠岡工)
H26.8.4
(株)宮原製作所
~6
企業現場体験研 難波 瑞幾(水島工)
修
坂本 恭成(水島工)
服部 貴光(倉敷工)
野々上 広隆(倉敷工)
-101-
主
催
名
称
岡 山 県 教 育 庁 平成 26 年度
期
場
H26.8.25
岡山県産学官連携による教
員研修
日
所
振興工業(株)
~27
H26.8.25
工 業 教 育 協 会 習会
題
参 加 者
企業現場体験研 原田 真吾(東岡工)
修
ヒルタ工業(株)
~27
岡山県高等学校 ロボット競技技術力向上講 H26.6.28
主
組み立て体験研 吉川 昌和(東岡工)
修
水島工業高校
~29
H26.7.19
コントロール基板試作
間野 聡 (水島工)
メカナムホイールメカ試作
鷺原 大直(水島工)
ボトル打ち出しメカ
今井 真人(水島工)
試作
~20
H26.8.16
~17
岡山県総合教育 ICT を活用した授業改善研 H26.8.7
センター
倉敷工業高校
修講座
教科「工業」の電 藤澤 弘之(水島工)
気機器実習と電
気工事単位作業
実習を通した指
導法と ICT を活
用した教員の指
導力を向上させ
る
岡山県高等学校 平成 26 年度夏季溶接技術 H26.8.5
備前緑陽高等学校
工 業 教 育 協 会 研修会
アーク溶接の基 大村 佳苗
礎・基本
(おかやま山陽)
機 械 系 部 会
(一社)岡山県電 2014 年電設工業展
H26.5.28
インテックス大阪
業協会
2014 年電設工業 藤元 広明(笠岡工)
展 視察会
-102-
平成 26 年度内地留学・研究助成・研修会等一覧
(平成 25 年 11 月 1 日~平成 26 年 10 月 31 日)
【研究助成】
主
催
岡山県産業教育振興会
岡山経済同友会
日本教育公務員弘済会
岡山支部
研
究
題
目
ロボットの制作に関する研究
武川 忠弘(東岡工)
大嶋 岳 (東岡工)
「工業化学教育に興味を持たせる教材研究」~金属表面処理 北田 尚稔(東岡工)
技術を用いてのものづくり PartⅡ~
谷口 和士(東岡工)
森 泰治 (東岡工)
コンバート EV の研究
柴口 一行(笠岡工)
ICT 利用者による学校教育のイノベーションを推進するた
めの研究
岡崎 則武(玉野光南)
他5名
全国高等学校ロボット競技大会用ロボットの製作と研究
兼森 俊浩(笠岡工)
藤元 広明(笠岡工)
土木実習用実験器具・装置の開発
早瀬 一英(新見工)
Arduino を活用した言語活動のため実習教材研究
岡崎 則武(玉野光南)
小松 竜二(玉野光南)
板野 尚吾(玉野光南)
ICT 利用者による学校教育のイノベーションを推進するた
めの研究
岡崎 則武(玉野光南)
他5名
岡山県産業教育振興会
日本教育公務員弘済会
岡山支部
研 究 者
-103-
生徒研究成果発表等のイベント参加状況
(平成 25 年 11 月 1 日~平成 26 年 10 月 31 日)
1
全国産業教育フェア
主催
参
文部科学省,
加
内
容
第 23 回全国産業教育フェア愛知大会(産フェア愛知 2014)
愛知県他
H25.11.9~10 愛知県産業労働センター,愛知県体育館
参加内容
○作品展示部門
「立体電光掲示板」
岡山県立東岡山工業高等学校
「倉工デニム」
岡山県立倉敷工業高等学校
「有人トライブリッド動力飛行機の製作「エアロメシア~夢への挑戦~」
」
岡山県立水島工業校等学校
第 21 回全国高等学校ロボット競技大会
「水工情報 1 号」
(水島工)
「電・情」
(岡山工)
「YASUMO」
(新見)
「商大付属 3 号」
(商大付)
2
技術コンクール・コンテスト
主 催
全
国
工
参
業
高等学校長協会
加
内
容
第 30 回全国製図コンクール
○電気系(H25.12.2 審査)
最優秀特別賞・(公財)産業教育振興中央会賞 福江 紘幸(笠岡工)
最優秀特別賞
松下
健太(水島工)
ジャパンマイコンカーラリー2014 全国大会
(H26.1.12 新さっぽろアークシティサンピアザ光の広場)
Basic クラス
予選 5 位 田村優典(笠岡工)
全
国
工
業
第 11 回全日本高等学校ゼロハンカー大会
(H25.12.21~22 高梁川河川敷グラウンド)参加校 19 校 42 台
高等学校長協会
全国自動車教育
研究会西日本地区
○4 サイクルクラス 24 分間耐久レース
1位
OKAKO 3 号
(岡工)
2 位 山陽桃太郎 1 号
3 位 桑工 3rd
(おかやま山陽)
(三重県立桑名工業)
4 位 笠工ももいろクローバーZ
5 位 山陽桃太郎 3 号
(笠工)
(おかやま山陽)
6 位 勝間田 トシちゃん
-104-
(勝間田)
主
催
参
加
内
容
全国ソーラーラジ
全国ソーラーラジコンカーコンテスト 2014 in 白山
コンカーコンテス
(H26.7.31~8.2 石川県白山市 白山―里野 RC プラザ)参加校 37 校 93 台
ト実行委員会
1 位 電気虫
(石川県立工業高校)
2 位 PRIDE2014
(金沢市立工業高校)
3 位 Athlete2014
(金沢市立工業高校)
4 位 タイチ君のべんとうばこ(三重県立松坂工業高校)
3 回戦進出 笠岡工業高校
中央職業能力開発
協
会
第 9 回若年者ものづくり競技大会
○自動車整備部門(H26.7.28~29 つくば自動車専門学校)
西江怜生(おかやま山陽) 出場
中国地区高等学校
平成 26 年度「高校生ものづくりコンテスト」中国地区大会
工業教育研究会
■機械系部会
○旋盤作業部門(H26.6.7~8 広島県立呉高等技術専門学校)参加者 30 名
4 位 鍋谷 雄飛(水島工)
○自動車整備部門(H26.6.14 広島工業高校)参加校 3 校 6 名
2 位 西江 怜生(おかやま山陽)
3 位 上村 雅樹(おかやま山陽)
■電気系部会
○電気工事部門(H26.6.20~21 岡山職業訓練支援センター)参加者 12 名
3 位 定家 光紀(水島工)
4 位 問田 蓮 (倉敷工)
5 位 江草 育真(倉敷工)
11 位 岡田 隼輔(笠岡工)
○電子回路組立部門(H26.20~21 岡山職業訓練支援センター)参加者 12 名
1 位 丸山 竜輝(岡山工)
2 位 石原 彩也(岡山工)
7 位 片山 和馬(笠岡工)
8 位 野元 一磨(笠岡工)
■工業化学系部会
○化学分析部門(H26.8.19 南陽工業高校)参加校 6 校 8 名
2 位 山本 有紗(岡山工)
■土木系部会
○測量部門(H26.8.5 岡山工)参加者 93 名
○トラバース測量
3 位 岡山工
-105-
主
催
中国地区高等学校
工業教育研究会
参
加
内
容
■土木系部会
○水準測量部門(H26.8.5 岡山工)参加者 93 名
1 位 岡山工
○平板測量部門
2 位 岡山工 A
岡山県高等学校
平成 25 年度「高校生ものづくりコンテスト」岡山県大会
工 業 教 育 協 会
■機械系部会
○溶接作業部門(H25.12.14 備前緑陽高校)
1 位 山口 遥暉(備前緑陽)
2 位 太田 勇次(岡山工)
6 位 福谷 翔吾(備前緑陽)
:奨励賞
平成 26 年度「高校生ものづくりコンテスト」中国大会岡山県予選
■機械系部会
○旋盤作業部門(H26.5.24 岡山工業高校)参加者 10 名
1 位 白石 登太(水島工)
2 位 鍋谷 雄飛(水島工)
3 位 髙木 隆義(岡山工)
○自動車整備部門(H26.5.30 おかやま山陽高校)参加校 3 校 6 名
1 位 上村 雅樹(おかやま山陽)
2 位 西江 怜生(おかやま山陽)
3 位 片山 裕介(勝間田)
■電気系部会
○電気工事部門(H26.5.17 岡山職業訓練支援センター)参加者 16 名
1 位 問田 蓮 (倉敷工)
2 位 江草 育真(倉敷工)
3 位 定家 光紀(水島工)
○電子回路組立部門(H26.5.17 岡山職業訓練支援センター)参加者 13 名
1 位 石原 彩也(岡山工)
2 位 丸山 竜輝(岡山工)
3 位 片山 和馬(笠岡工)
■工業化学系部会
○化学分析部門(H26.7.22 倉敷工)参加校 6 校 12 名
1 位 山本 有紗(岡山工)
2 位 尾﨏 駿也(岡山工)
3 位 上岡 美輝(東岡工)
-106-
主
催
参
岡山県高等学校
工 業 教 育 協 会
加
内
容
■土木系部会
○測量部門(H26.7.22 岡山工業高校)参加校 4 校 69 名
○トラバース測量
1 位 岡山工 A
2 位 岡山工 B
3 位 新見工 A
○水準測量
1 位 津山工 A
2 位 岡山工 B
3 位 新見工 A
○平板測量
1 位 岡山工 A
2 位 笠工 B
3 位 岡山工 B
ジャパンマイコンカーラリー2014 岡山県予選会
(H25.12.1 岡山県生涯学習センター) 参加台数 121 台
○Basic クラス
1 位 田村 優典(笠岡工)
2 位 後藤 司 (笠岡工)
第 50 回建築系部会 設計製図競技会
設計課題「愛犬と暮らす森の家」~木造 2 階建て住宅~
最優秀賞 押目 卓巳 (津山工)
3
國本 真美子(津山工)
優秀賞
京本 康平 (岡山工)
優秀賞
森木 孝太 (水島工)
生徒作品展示会
主 催
参
西 日 本 工 高
建
優秀賞
築
連
加
工 業 教 育 協 会
容
第 64 回生徒作品展「高校生の建築デザイン展」
盟
岡山県高等学校
内
(H26.8.2~8.3 大阪市立デザイン研究所)
第 29 回岡山県高校デザイン展
(H26.1.28~2.2 岡山県天神山文化プラザ)参加校 5 校
第 35 回建築設計製図平常作品巡回展
(H26.10.14~11.4)参加校 5 校
第 29 回岡山県工高デザイン展
(H26.1.28~2.2 天神山文化プラザ)
-107-
4
全
ロボット競技会
主
催
国
工
参
業
加
内
容
仁科ロボットコンテスト 2014
考
参加校 12 校
高等学校長協会
(H26.8.31 里庄中学校)
科学振興仁科財団
1 位 「東工 1 号」
・里庄町教育委員会
2 位 「おかやま山陽 2 号」(おかやま山陽)
3位
備
20 チーム 95 名
(東岡工)
東岡工・おかやま山陽
仁科独創賞 東岡工
岡山県高等学校
工 業 教 育 協 会
第 22 回全国高等学校ロボット競技大会岡山県予選会
(H26.9.28 岡山県生涯学習センターサイピア)
1 位 水工情報 1 号(水島工)
2 位 ニコラレッド(東岡工)
3 位 水工 銀々丸(水島工)
-108-
参加校 5 校 7 チーム
岡山県高等学校工業教育協会事業報告
(平成25年11月1日~平成26年10月31日)
会 議 名
年 月 日
会
場
「2014高校生テクノフォーラム」生徒代表者会
25.11.13
生 涯 学 習 セ ン タ ー
サ
イ
ピ
ア
40
生徒役員の打ち合わせ,会場見学
第13回高校生ものづくりコンテスト全国大会(四国大
会)
25.11.16
~17
高 松 工 芸 高 校 他
8
自動車整備部門(おかやま山陽高校2位入賞),
化学分析部門,測量部門の3部門に出場
定時制部会第2回特別役員会
25.11.18
倉
市
工
7
定時制部会技術顕彰制度に係る改訂について
第3回常任理事会
25.11.25
笠
岡
工
17
工業教育の当面する諸問題について
中工研建築系部会第2回代表者会
25.11.26
水
島
工
6
建築系部会 ものづくり技術講習会
25.11.30
北部高等技術専門校
16
第2回機械系部会
25.12. 3
商
属
25
平成25年度前期事業・会計報告,平成25年度後期
事業計画等について
第2回教頭部会
25.12. 4
東
岡
工
21
中工研主題・課題別分科会テーマ他について
第3回建築系部会
25.12. 9
水
島
工
6
平成25年度ものづくりコンテスト県大会,平成25
年度部会行事等について
第2回進路指導部会
25.12.11
水
島
工
20
研修「支援教育と進路保障について」,研究協議
(各校就職一・二次募集状況,内定先の職種変
化),情報交換
ものづくりコンテスト(溶接作業部門)準備委
員会
25.12.11
備
陽
15
コンテスト県大会打ち合わせ・準備
電気系部会 技術講習会
25.12.13
中国ポリテクカレッジ
12
電子回路組立部門の指導者講習
中工研代表役員会議
25.12.13
島 根 サ ン ラ ポ ー
む
ら
く
も
15
平成25年度「高校生ものづくりコンテスト(溶
接作業部門)」岡山県大会
25.12.14
備
陽
40
大
附
前
緑
前
緑
人数
内 容
平成25年度決算,平成26年度中工研島根大会,も
のづくりコンテスト中国地区大会等について
木材加工技術(墨付け・刻み組立)の習得及び教
員の指導力向上
平成25年度中工研岡山大会の反省,平成26年度中
工研島根大会等について
平成26年度中国大会へ2名,溶接甲子園に1名出場
選出
土木系部会 第2回土木技術講習会
25.12.16
岡
山
工
17
3Dスキャナーとモバイルサーベイランス
工業化学系部会「高校生ものづくりコンテスト
化学分析部門」中国大会反省会
25.12.19
岡
山
工
13
「高校生ものづくりコンテスト化学分析部門」岡
山大会,中国大会の運営反省事項について検討
中工研電気系部会各県代表者会
25.12.19
津
山
工
6
第11回全国高等学校ゼロハンカー大会
25.12.22
倉
敷
市
150
溶接教育研究会50周年記念式典
26. 1.11
ピュアリティまきび
42
記念式典,記念誌の発行
「2014 高校生テクノフォーラム」
26. 1.18
生 涯 学 習 セ ン タ ー
サ
イ
ピ
ア
500
5校7テーマの研究発表,講演安田工業(株)児玉繁
光氏
機械系部会 中工研第2回代表者会議
26. 1.24
倉
敷
工
7
平成25年度事業報告・会計報告,平成26年度中工
研島根大会,ものづくりコンテスト中国地区大会につ
いて
平成25年度「高校生ものづくりプレコンテスト
(旋盤作業部門)」岡山県大会予選会
26. 1.25
倉
敷
工
32
旋盤作業部門,参加生徒13名 教員17名
名が県大会(5月開催予定)に出場決定
平成25年度「高校生ものづくりコンテスト
(木材加工部門)」岡山県大会
26. 1.26
水
島
工
16
3校の生徒6名が参加,1,2位(水工),3位(津
工), 上位2名が中国大会へ出場。
第4回常任理事会
26. 1.27
お
山 陽
16
高校生のものづくり技能取得支援事業,中工研代
表役員会報告,「きらり輝け!岡山さんフェア
2014」,中工研島根大会他について
平成25年度進路指導研究大会
26. 1.28
生 涯 学 習 セ ン タ ー
サ
イ
ピ
ア
60
特色あるキャリア教育の推進を目指して
第29回岡山県高校デザイン展
26. 1.28
~ 2. 2
天 神 山 文 化 プ ラ ザ
1069
か
や
ま
第2回工業教育技術顕彰制度運営委員会
26. 1.29
岡
山
工
30
第2回高校生のものづくり技能取得支援事業
学校代表者会議
26. 1.29
岡
山
工
25
第2回定時制部会役員会
26. 2.20
倉
市
工
7
土木系部会中工研代表者会議
兼 第29回中国地区土木系製図コンテスト
26. 2.21
笠
岡
工
7
第3回電気系部会
26. 2.21
倉
敷
工
16
-109-
平成26年度若年者ものづくりコンテストへの派遣
について他
高梁川河川敷グラウンド,4サイクル(24分耐久レース)1位は
岡山工,参加校 19校 ,参 加台 数42 台( 8府 県参
加)
上位10
デザイン科,設備システム科,ファッション技術
科5校5科による生徒作品展
工業教育技術顕彰・職業教育技術顕彰制度に係る
改善案,平成25年度工業教育技術顕彰の推薦状況
について
平成25年度事業の成果と課題,平成26年度事業内
容の
説明及び協議
定時制部会技術顕彰者の選定,定時制部会総会・
研究協議会等について
平成25年度事業報告・会計報告,平成26年度事業
計画
・予算案,製図コンテスト審査他
平成26年度「高校生のものづくりコンテスト(電
気系)」岡山県大会,中国大会,平成27年度岡山
県大会について
会 議 名
年 月 日
会
場
人数
機械系部会 冬季手仕上げ技術講習会
26. 2.22
岡
工業教育技術顕彰賞状交付
26. 2.24
工業化学系部門「技能検定化学分析3級」説明会
山
工
10
手仕上(手作り文鎮)について
岡
山
工
25
各会員校へ証書配付
26. 2.26
岡
山
工
13
来年度実施「技能検定化学分析3級」に対し,岡
山県職業能力開発協会から講師を招き受検対策研
修会
第2回デザイン系部会(総会)
26. 3. 5
岡
山
工
20
第29回県高校デザイン展総括,第30回展に向けて,
会計報告
第3回土木系部会
26. 3. 5
岡
山
工
5
平成25年度事業・決算報告及び平成26年度行事予
定,西日本高校土木教育大会等について
平成25年度第2回メカトロニクス教育研究会
26. 3. 5
東
岡
工
17
メカトロニクス教育研究会の無期休止最終確認
第3回教頭部会
26. 3. 6
理
属
20
平成26年度からの高校生のものづくり技能取得支
援事業,中工研島根大会,常任理事会報告等につ
いて
第2回工業化学系部会
26. 3. 6
東
岡
工
6
平成25年度部会報告,平成26年度事業計画等につ
いて
第3回工業教育誌編集委員会
26. 3.25
倉
敷
工
23
第1回常任理事会
26. 4.14
ピュアリティまきび
20
第1回建築系部会
26. 4.21
津
山
工
5
工業教育協会総会
26. 4.22
岡
山
工
63
第1回教頭部会
26. 4.22
岡
山
工
23
役員改選,協会事業等について
第1回電気系部会
26. 4.22
岡
山
工
16
平成25年度事業・会計報告並びに平成26年度事業
計画等について
第1回ロボット技術教育研究委員会
26. 4.24
倉
敷
工
18
ロボット技術教育研究委員会
第1回小委員会
26. 4.24
倉
敷
工
7
第1回専門科部会担当責任者会議
26. 4.28
岡
山
工
9
平成26年度工業教育協会年間計画並びに岡工協,
高教研工業部予算について
ロボット競技教育研究委員会
第2回小委員会
26. 5. 8
東
岡
工
7
第22回全国高等学校ロボット競技大会
岡山県予選会について
第1回デザイン系部会代表者会
26. 5. 8
岡
山
工
5
岡山県高校デザイン展第30回記念事業について
工業化学系部会「高校生ものづくりコンテスト
(化学分析部門)岡山県大会」第1回実行委員会
26. 5.13
倉
敷
工
13
高校生ものづくりコンテスト岡山県大会(日程・
分掌・実験方法の確認等)について
第1回溶接教育研究会
26. 5.13
商
大
附
25
平成25年度事業・会計報告並びに平成26年度夏季
溶接技術研修会等について
機械系部会「高校生ものづくりコンテスト(旋
盤作業部門)」岡山県大会役員打合会
26. 5.15
岡
山
工
11
役員事前打ち合わせ
第1回土木系部会及び測量技術委員会
26. 5.15
岡
山
工
5
電気系部会「高校生ものづくりコンテスト(電
気工事部門,電子回路組立部門)」岡山県大会
26. 5.17
ポリテクセンター岡山
70
第1回建築系部会中工研代表者会
26. 5.21
松
工
6
第1回デザイン系部会(総会)
26. 5.22
高
南
22
平成25度事業・会計報告並びに平成26年度事業計
画,技術研修会,第30回高校デザイン展向けて,
第30回以降の方向性
機械系部会「高校生ものづくりコンテスト(旋
盤作業部門)」岡山県大会
26. 5.24
岡
工
27
県大会予選会の 上位 生徒 10名 が参 加。 1位 (水
工),2位(水工) が中国地区大会へ
平成26年度機械系部会「高校生ものづくりコン
テスト(自動車整備部門)」岡山県大会役員打
合会
26. 5.24
お
山 陽
6
役員事前打ち合わせ
第1回工業化学系部会
26. 5.27
岡
工
7
平成26年度部会行事計画,部会研修会,中工研に
ついて
機械系部会「高校生ものづくりコンテスト(自
動車整備部門)」岡山県大会
26. 5.31
お
山 陽
30
第1回機械系部会
26. 6. 6
倉
工
25
機械系部会「高校生ものづくりコンテスト(旋
盤作業部門)」中国地区大会
25. 6. 7
~ 8
広
島
県
立
呉高等技術専門学校
30
参加生徒12名。1位が全国大会へ。水工4位
機械系部会「高校生ものづくりコンテスト(自
動車整備部門)」中国地区大会
26. 6. 7
~ 8
広
島
市
立
広 島 工 業 高 等 学 校
20
参加生徒6名。1位(広島市工)が全国大会へ。2位
(おかやま山陽)が若年者ものづくり競技大会
へ。
大
附
江
梁
城
山
か
や
ま
山
か
や
-110-
ま
敷
内 容
第59号誌発刊経過報告,決算報告,反省等につい
て
役員改選,平成25年度事業・決算報告並びに平成
26年度事業・予算審議等について
平成25年度事業・会計報告並びに平成26年度事業・
予算計画等について
平成25年度事業・決算報告並びに平成26年度事業・
予算審議等について
岡山県予選会の会場・日程について
小委員会設置について等
技術講習会について
岡山県予選会の競技ルール等について
平成26年度事業計画,技術講習会,中工研土木系
部会,西日本土木教育研究会等について
参加生徒27名,電気工事・電子回路組立部門各4
名が中国地区大会へ参加
平成25度事業・会計報告並びに平成26年度事業・予
算計画等について
参加生徒6名(3校),1位(おかやま山陽),2位
(おかやま山陽)が中国地区大会へ
平成25年度事業・会計報告並びに平成26年度事業
計画等について
会 議 名
年 月 日
会
場
人数
第1回工業教育誌編集委員会
26. 6. 9
水
工業化学系部会「高校生ものづくりコンテスト(化学
分析部門)岡山県大会」第2回実行委員会
26. 6.10
「2015高校生テクノフォーラム」第1回委員
会
島
工
29
第60号工業教育誌の編集方針等について
倉
敷
工
13
高校生ものづくりコンテスト岡山県大会(役割分
担,審査基準等)について
26. 6.11
笠
岡
工
第1回進路指導部会
26. 6.17
倉
敷
工
22
平成25年度会計報告,就職・進学状況,インター
ンシップ等について情報交換
電気系部会「高校生ものづくりコンテスト(電
気工事部門,電子回路組立部門)」中国地区大
会
26. 6.20
~21
ポリテクセンター岡山
60
参加生徒各12名,電気工事・電子回路組立部門第
1位が全国大会 へ, 電子 回路 組立 部門 (岡 工1
名)全国大会へ参加
建築系部会「高校生ものづくりコンテスト(木
材加工部門)」中国地区大会
26. 6.20
~21
山
口
県
立
下関中央工業高等学校
22
参加選手9名,1位(宮島工)が全国大会へ
工業化学系部会「高校生ものづくりコンテスト
(化学分析部門)岡山県大会」第3回実行委員
会
26. 6.27
倉
敷
工
13
高校生ものづくりコンテスト岡山県大会(会場準
備,最終打合せ)について
工業化学系部会「高校生ものづくりコンテスト(化学
分析部門)」岡山県大会①
26. 6.28
倉
敷
工
23
参加生徒12名。
第1回 ロボット技術指導者講習会
26. 6.28
~29
水
島
工
19
コントロール基板試作
講師 今井真人 (水島工)
生徒11名参加
ロボット競技教育研究委員会
第4回小委員会
26. 7. 7
岡
山
工
8
第22回全国高等学校ロボット競技大会
岡山県予選会について
第29回高校デザイン展第1回実行委員会
26. 7.10
岡
山
工
8
役割分担,DM原画募集要項について,展示計画
について,30回記念事業について
工業化学系部会技術研修会
26. 7.11
岡
山
工
0
台風接近のため中止
工業化学系部会「高校生ものづくりコンテスト(化学
分析部門)岡山県大会」第4回実行委員会
26. 7.18
倉
敷
工
13
高校生ものづくりコンテスト岡山県大会(会場準
備,最終打合せ)について
26. 7.19
~20
水
島
工
18
メカナムホイールメカ試作
講師 今井真人 (水島工) 生徒9名参加
定時制部会総会定時制部会
26. 7.22
倉
市
工
38
平成25年度事業報告,平成26年度事業計画,
研究発表5題
工業化学系部会「高校生ものづくりコンテスト(化学
分析部門)」岡山県大会②
26. 7.22
倉
敷
工
23
参加生徒10名。1位岡工,2位東工の2名中国大
会へ
第50回岡山県測量技術競技会兼第31回中国地区
測量技術競技大会県予選会及び平成26年度「高
校生ものづくりコンテスト(測量部門)岡山県
大会」
26. 7.22
岡
山
工
89
出場選手69名,教職員約20名参加
参加校4校。平板・水準はそれぞれ3位までが,ト
ラバースは1位(岡山工)のみが中国大会に出場。
第2回土木系部会
26. 7.22
岡
山
工
5
測量技術検定,中国地区測量競技会,土木技術講
習会等
中工研機械系部会第1回代表者会
26. 7.25
島 根 サ ン ラ ポ ー
む
ら
く
も
7
平成25年度事業報告・会計報告,平成26年度事業
計画・予算案,情報交換
日本工業化学教育研究会第63回全国大会
26. 7.23
~25
滋 賀 県 大 津 市
ピアザ淡水滋賀県民交
流 セ ン タ ー
195
発表 中国地区(山口県)
第60回中国地区高等学校工業教育研究大会(島
根大会)
26. 7.24
~25
島
中
199
理事会,総会,講演,中央情勢報告,課題別分科
会(4分科会),専門部会(総合,機械,電気,建築
の4部会)
機械系部会 夏季機械技術研修会
26. 7.29
東
工
16
ガス溶接の基礎・基本研修
機械系部会 「高校生ものづくりコンテスト(溶接作
業部門)」中国地区大会
26. 7.26
山
口
県
立
東 部 高 等 産 業 学 校
10
5県から10名の選手が参加。1位下松工,2位岩国
工,3位防府商工。6位備前緑陽,8位倉敷工
第9回若年者ものづくり競技大会(自動車整備
部門)
26. 7.28
~29
つ
整
動 車
学 校
2
自動車整備部門におかやま山陽1名が中国地区代
表として出場
機械系部会 夏季溶接技術研修会
26. 8. 5
備
陽
24
アーク溶接の基礎・基本研修
土木系部会 第31回中国地区測量技術競技大会
および平成26年度「高校生ものづくりコンテス
ト(測量部門)」中国地区大会
26. 8. 5
山
岩
県
立
業 高 校
93
参加生徒数 岡山県から平板9名,水準9名,もの
づくりコンテスト3名 水準測量1位岡工
第50回建築系部会設計製図競技会・公開審査会
26. 8. 6
東
岡
工
40
設計課題『愛犬と暮らす森の家』,参加生徒20名
第2回建築系部会
26. 8. 6
東
岡
工
5
技術講習会,ものづくり技術講習会,平常作品巡
回展示等について
第2回 ロボット技術指導者講習会
根
県
ホ
民 会 館
ー
ル
岡
く
備
ば
専
自
門
前
国
口
工
-111-
緑
内 容
役員改選,準備運営計画等について
会 議 名
年 月 日
会
第55回全国電子工業教育研究大会総会・研究協
議会
26. 8. 7
~ 8
第43回全国情報技術研究会全国大会
人数
内 容
香 川 県 高 松 市
サンポートホール高松
61
平成25年度事業・決算報告,平成26年度新役員・
事業計画・予算について。「ものづくり教育の推
進と魅力ある工業教育をめざして」を研究主題と
して,バズ討議・研究発表等。6名参加
26 .8. 7
~ 8
徳 島 県 徳 島 市
あ わ ぎ ん ホ ー ル
110
平成25年度事業・決算報告,平成26年度顧問・役
員・事業計画・予算について。2日間にわたって
研究討議・記念講演等。6名参加
第54回西日本高等学校土木教育研究会総会・研
究協議会
26. 8. 7
~ 8
高 松 市 ア ル フ ァ
あ な ぶ き ホ ー ル
105
西日本地区土木教育の研究協議
発表(岡工:御船先生),現場見学会
第3回 ロボット技術指導者講習会
26. 8.16
~17
水
工
14
ボトル打ち出しメカ試作講師
今井真人 (水島工) 生徒7名参加
工業化学系部会「高校生ものづくりコンテスト(化学
分析部門)」中国地区大会
26. 8.19
山
南
県
立
業 高 校
15
参加生徒8名 2位(岡山工)
建築系部会 技術講習会
26. 8.20
エ リ プ ス 北 長 瀬
井 上 家 住 宅
22
現場の見学並びに設計・施工手法,または修理方
針・調査についての講習
全国高校デザイン教育研究会第52回全国大会
2014佐賀
26. 8.20
~22
佐
賀
県
歴 史 と 文 化 の 公 園
炎 の 博 記 念 堂
6
「地域に根ざしたデザイン教育」をテーマに,総
会,講演・展示,実践報告・研究協議等の実施
第28回全国電子機械教育研究会総会並びに研究 26. 8.21
協議会
~22
石
金
沢 市
テ ル
61
電子機械科が直面する問題を協議するとともに研
究成果の発表を通して,技術の進歩に対応した特
色ある電子機械教育を発展させる。
第1回土木技術講習会
26. 8.22
岡
山
工
土 木 科 P C 実 習 室
8
土木積算について
積算ソフトの利用について
教育研究委員会(学校教務・生徒指導)
26. 8.26
東
工
39
午前:学校教務,午後:生徒指導:講演,情報交
換
第2回ロボット技術教育研究委員会
26. 8.27
生 涯 学 習 セ ン タ ー
サ
イ
ピ
ア
24
岡山県予選会の大会要項・運営について
全国高校生溶接技術コンクール(仮称)
第1回打合会
26. 9. 2
岡
山
工
6
全国高校生溶接技術コンクール(仮称)について
第2回デザイン系部会代表者会
26. 9. 2
岡
山
工
4
岡山県高校デザイン展第30回記念講演の内容につ
いて
工業教育基本問題研究委員会
26. 9.17
岡
山
工
11
工業科主幹教諭・指導教諭研究協議会を開催し
県工業教育の充実発展等について協議
生 涯 学 習 セ ン タ ー
サ
イ
ピ
ア
85
ロボット競技大会岡山県予選会
および岡山県ロボット競技大会
生徒45名
工
24
執筆者調整,ページ割当,発行部数等について
第24回全国産業教育フェア愛知大会
第22回全国高等学校ロボット競技大会
岡山予選会
26. 9.27
~
28
場
島
陽
川
沢
口
工
県
都
金
ホ
岡
第2回工業教育誌編集委員会
26. 9.29
水
島
第2回溶接教育研究会
26.10.14
備
前
緑
陽
22
第1回全国高校生溶接技術競技会(仮称)
第2回準備委員会
26.10.14
備
前
緑
陽
22
第29回高校デザイン展第2回実行委員会
26.10.15
岡
山
工
8
DMポスター審査,展示計画,30周年企画等について
平成26年度工業化学系部会技術研修会
26.10.15
東
岡
工
18
技能検定3級化学分析(化学分析作業)
実技試験について
平成26年度岡山県工業教育研究発表大会
26.10.16
新 見 ( 南 校 地 )
80
講演,発表4題
「2015高校生テクノフォーラム」第2回委員
会
26.10.21
笠
岡
工
30
「2015高校生テクノフォーラム」要項の確認
第1回全国高校生溶接技術競技会(仮称)
第3回準備委員会
26.10.21
岡
山
工
8
第1回全国高校生溶接技術競技会(仮称)競技要
項について
電気系部会研修会
26.10.20
中 国 電 力 ( 株 )
福 山 太 陽 光 発 電 所
( 株 ) エ フ ピ コ
17
水工へ集合し,中国電力(株)福山太陽光発電所と
(株)エフピコの見学をした。
第35回建築設計製図平常作品巡回展示
26.10~12
各
460
各校各学年より作品1~3点の出品。岡工・東岡
工・津工・水工の順
-112-
校
ものづくりコンテスト岡山県大会,中国地区大会
等
第1回全国高校生溶接技術競技会(仮称)タイム
テーブルについて
5月 9日
6月 5日
9月 26 日
10 月 26 日
岡山県立笠岡工業高等学校
創立70周年
11 月3日
岡山県立笠岡工業高等学校
橋 本 文 彦
1 はじめに
昭和 19(1944)年に創立された本校は,平成 26
(2014)年の今年,創立 70 周年を迎え,去る 11 月7
日に記念式典を挙行しました。備中地区高等学校及
び特別支援学校はもとより,県工協加盟各校の先生
方にも多数御臨席いただき,厳粛かつ盛大な式典と
することができました。ここにあらためてお礼申し
上げます。
平成 26 年 11 月7日 記念式典
11 月7日
11 月 21~22 日
12 月 17 日
記念春季スポーツ大会
記念芸術鑑賞『学校寄席』
記念体育大会
野球部記念交歓試合
(対 姫路工業高校)
サッカー部記念交歓試合
(対 ファジアーノ岡山U-18)
記念式典
記念笠工祭
記念冬季スポーツ大会
4 Fuji Hall
このたびの 70 周年事業で特筆されるのが,本校第1期
生の藤尾正明氏(フジシールグループ名誉顧問)の御厚志
により建設された多目的ホール,「フジホール」です。
大阪に生まれた藤尾氏は,戦時中に笠岡市へ疎開され,
笠岡工業学校を卒業されたのち,幾多の苦難を乗り越えて
現在の地位を築かれました。今や株式会社フジシールは,
ペットボトルやカップ麺等の包装用熱収縮ラベル生産で
国内シェア6割を超える業界トップ企業です。
そんな氏が,「現在の自分があるのは笠岡工業学校のお
かげ,母校と後輩に何か恩返しを」と私財を投じてくださ
いました。
平成 25 年3月に竣工したホールは,在校生からの公募
で「Fuji Hall」と命名され,授業や学校行事,部活動にと
大いに活用されています。
不屈のチャレンジ精神に溢れた藤尾氏のような先輩に
続くことができるよう,また,1万2千人に及ぶ卒業生の
期待にこたえられるよう,笠工は 71 年目の新たなチャレ
ンジへ向かいます。
2 本校の沿革
本校は,昭和 19 年に岡山県笠岡商業学校から転換
設置された岡山県笠岡工業学校を起点としています。
以来,戦後の学制改革や高等学校再編成によって,笠
岡第一高等学校,笠岡高等学校,笠岡商工高等学校と
変遷し,昭和 36 年に商工が分離独立して,笠岡市横
島の地へ移転,校名を岡山県立笠岡工業高等学校と
改め,現在に至っています。
設置学科は,長らく機械,電気,土木の3科でした
が,平成7年に,機械科を電子機械科に,平成19年には,電
気科を電気情報科に,土木科を環境土木科にそれぞれ改編
しました。現在は各学年4クラス編成となり,時代のニー
ズに合わせた工業人の育成に努めています。
3 記念行事
今年度は,それぞれの学校行事に「創立70 周年」の冠を
付して,例年以上に趣向を凝らした行事を展開しています。
-113-
Fuji Hall 内部
電気系部会
機械系部会報告
岡山県立東岡山工業高等学校
佐
Ⅰ
藤
弘
岡山県立水島工業高等学校
典
安
部会
平成 26 年度第1回機械系部会(6/6 倉敷工)
(1) 平成 25 年度事業報告及び会計報告
(2) 平成 26 年度事業計画及び予算計画
(3) その他
平成 26 年度第2回機械系部会
(12/3 新見高校北校地)
(1) 平成 26 年度後期事業計画
(2) 教育研究会報告
(3) その他
Ⅱ 教育研究会
溶接教育研究会
(1)第1回研究会(5/13 岡山商大付属高)
(2)第2回研究会(10/14 備 前 緑 陽 高 )
メカトロニクス教育研究会
平成 25 年度解散
Ⅲ 高校生ものづくりコンテスト
旋盤作業部門
(1)岡山県大会予選会
(1/25 倉敷工)
(2)岡山県大会
(5/24 岡山工)
(3)中国地区大会
(6/6,7 広島県立呉高等技術専門学校)
自動車整備部門
(1)岡山県大会 (5/31 お か や ま 山 陽 高 )
(2)中国地区大会(6/14 広島市立広島工業高)
溶接作業部門
(1)岡山県大会
(H25 12/14 備前緑陽)
(2)中国地区大会
(7/26 山口県立東部高等産業技術学校)
Ⅳ 研修会・講習会
夏季機械技術研修会
(7/29 東 岡 工)
夏季溶接技術研修会
(8/5 備前緑陽)
Ⅴ 中国地区工業教育研究会
平成 25 年度機械系部会第 2 回代表者会議
(1/24 倉敷工)
平成 26 年度機械系部会第 1 回代表者会議
(7/24 サンラポーむらくも)
平成 26 年度中工研島根大会
(7/24 島根県民会館中ホール)
(7/25 サ ン ラ ポ ー む ら く も)
Ⅵ 工業教育研究発表大会
(10/16 新見高校南校地)
Ⅰ
達
毅
部会
平成 26 年度第1回電気系部会
(4/22 岡山工)
(1)平成 25 年度事業報告・会計報告
(2)役員改選
(3)平成 26 年度事業計画
(4)その他
平成 26 年度第2回電気系部会(12/16 関西)
(1)
「平成 26 年度高校生ものづくりコンテス
ト」県大会・中国大会会計報告
(2)平成 27 年度工業教育・中工研発表
(3)
「平成 27 年度高校生ものづくりコンテス
ト」第 12 回岡山県大会について
(4)平成 26 年度部会研修会・講習会報告
(6)その他
Ⅱ 高校生ものづくりコンテスト関係
(1)県大会
電気工事部門・電子回路組立部門
期日 平成 26 年5月 17 日
会場 (独)岡山職業訓練支援センター
(2)中国地区大会
電気工事部門・電子回路組立部門
期日 平成 26 年6月 20 日,21 日
(3)第1回小委員会(11 月 27 日 岡山工)
Ⅲ 研修会・講習会
(1)研修会
期日 平成 26 年 10 月 20 日
場所 福山太陽光発電所・㈱エフピコ
(2)講習会
期日 平成 26 年 12 月 10 日
場所 水島工業高校
内容 第二種電気工事士実技試験指導法
Ⅲ 第 55 回全国電子工業教育研究会総会・研究協議会
期日 平成 26 年8月7日,8日
会場 香川県高松市 サンポート高松
Ⅳ 第 43 回全国情報技術研究会全国大会
期日 平成 26 年8月7日,8日
場所 徳島県徳島市 あわぎんホール
-114-
土木系部会報告
工業化学系部会報告
岡山県立岡山工業高等学校
岡山県立津山工業高等学校
三 宅
宏
Ⅰ 部会
第1回部会(5/27 水島工)
(1)中工研工化系部会幹事会報告
(2)平成 25 年度事業報告・会計報告
(3)平成 26 年度事業計画・会計予算
(4)ものづくりコンテストについて
(5)工業化学系部会研修会について
Ⅱ 中工研・中国工化研
第1回平成 26 年度中工研工化系部会幹事会
(5/23 広島工)
(1)平成 25 年度事業報告・決算報告
(2)平成 26 年度事業計画・会計予算
(3)平成 26 年度役員について
(4)ものづくりコンテスト中国地区大会
(5)ものづくりコンテスト全国大会
(6)中国地区会員校ローテーション
Ⅲ 高校生ものづくりコンテスト
岡山県大会
(1)第1回実行委員会 (5/29 倉工)
(2)第2回実行委員会 (6/20 倉工)
(3)第3回実行委員会 (6/27 倉工)
(4)第4回実行委員会 (7/28 倉工)
(5)平成 26 年度高校生ものづくりコンテスト
岡山県大会(7/22 倉工)
審査委員長
岡山環境カウンセラー協会 理事
福田 佳代 氏
上位2名が中国大会へ出場した。
中国地区大会 (8/19 山口県立南陽工)
上位1名が全国大会へ出場
Ⅳ 部会研修
(1)第1回工業化学系部会技術研修会
(10/15 東岡工)
化学分析に関する技術研修会
内容 定性分析および定量分析
講師 ものづくりマイスター
守谷 安治 氏
春 田 正 一
Ⅰ 部会
第1回部会(5/15 岡山工)
報告:専門部会担当責任者会議報告
議題
(1)平成 26 年度土木系部会事業計画について
(2)岡山県・中国地区測量技術競技会について
(3)夏季・冬季土木技術講習会について
(4)第 54 回西日本高校土木教育研究会について
(5)第 31 回土木系製図コンテストについて
(6)その他
橋守活動の取組状況について報告
中国地方土木技術者育成会議報告
第2回部会(7/22 岡山工)
議題
(1)第 50 回岡山県測量技術競技会の反省
(2)第 31 回中国地区測量技術競技大会の確認
(3)測量技術検定1・2級について
(4)平成 29 年度高校生ものづくりコンテスト
(測量部門)全国大会開催について
Ⅱ 測量技術競技会結果
県大会(7/22 岡山工)
平板測量の部
水準測量の部
1位 岡山工A
1位 津山工B
2位 笠岡工B
2位 岡山工B
3位 岡山工B
3位 新 見A
中国地区大会
平板測量の部
水準測量の部
1位 広島工B
1位 岡山工
2位 岡山工A
2位 広島工A
3位 広島工A
3位 岩国工A
Ⅲ 高校生ものづくりコンテスト(測量部門)
県大会(7/22 岡山工)
1位 岡山工A 2位 岡山工B 3位 新見A
中国地区大会 (8/5 岩国工)
1位 広島工 2位 米子工 3位 岡山工
Ⅳ 土木技術講習会
第1回土木技術講習会(8/22 岡山工)
土木積算について
-115-
建築系部会報告
デザイン系部会報告
岡山県立水島工業高等学校
岡山県立津山工業高等学校
佐 藤 輝 明
藤 原 亨 祐
Ⅰ 部会
第1回部会(4/21 津山工)
(1)平成 25 年度建築系部会事業及び会計報告
(2)平成 26 年度建築系部会事業計画
(3)第 50 回建築系部会設計製図競技会について
(4)平成 26 年度中工研島根県大会について
(5)平成 26 年度高校生ものづくりコンテスト
(木材加工部門)中国地区大会について
(6)ロボット競技会の走路製作について 他
第2回部会(8/6 東岡山工)
(1)第1回中工研代表者会報告
(2)岡山県工業教育研究発表大会について
(3)技術講習会について
(4)ものづくり技術講習会について
(5)第 35 回建築設計製図平常作品巡回展示につ
いて他
Ⅱ 高校生ものづくりコンテスト(木材加工部門)
中国地区大会
(6/20・21 山口県立下関中央工業高校)
水島工から2名の選手が県代表として参加
Ⅲ 第50回建築系部会設計製図競技会・公開審査・
表彰式 (8/6 東岡山工)
・設計課題「愛犬と暮らす森の家」
・問題作成,審査,表彰は岡山県建築士会に委嘱
・参加生徒:各校5名 計 20 名
Ⅳ 技術講習会(8/20)
会場:エリプス北長瀬(ユージー技研)
重要文化財 井上家住宅
参加者:教員 16 名
Ⅴ 第35回建築設計製図平常作品巡回展示
(10/14~12/5)
Ⅵ ものづくり技術講習会
(11/29 岡山県北部高等技術専門校)
内容:ものづくりコンテストの課題による刻み
(加工)実習
参加者:生徒 13 名、教員8名,
Ⅰ 部会
第1回デザイン系部会代表者会(5/8 岡山工)
(1)平成 26 年度デザイン系部会総会について
(2)第 30 回展記念事業について
第2回デザイン系部会代表者会(9/2 岡山工)
(1)第 30 回展記念講演の内容について
(2)今後の検討事項について
第3回デザイン系部会代表者会
(12/上旬開催予定)
(1)第 30 回展記念講演役割分担について
(2)情報交換・確認
第1回デザイン系部会(5/22 高梁城南)
(1) 平成 25 年度デザイン系部会
事業報告・会計報告
(2) 平成 26 年度デザイン系部会
事業計画案・予算案
(3)第 30 回岡山県高校デザイン展に向けて
(4)第 31 回展以降の高校デザイン展について
(5)全国高校デザイン教育研究会について
第2回デザイン系部会(2/下旬開催予定)
(1)第 30 回高校デザイン展総括
(2)第 31 回高校デザイン展基本方針について
(3)平成 27 年度デザイン系部会に向けて
Ⅱ 全国教育研究会
全国高校デザイン教育研究会第 49 回全国大会
大会テーマ「地域に根ざしたデザイン教育」
会期 平成 26 年8月 20 日~22 日
会場 佐賀県 歴史と文化の公園 炎の博記念堂
大会事務局 佐賀県立有田工業高等学校
Ⅲ 第 30 回岡山県高校デザイン展
会期 平成 27 年1月 27 日~2月1日
場所 岡山県天神山文化プラザ
Ⅳ 第 30 回展記念事業
記念講演
日時 平成 27 年1月 29 日 13:30~15:00
講師 寺田 克也氏
「デザインを学ぶ高校生に期待
すること」
会場 岡山県天神山文化プラザホール
実行委員会の開催
7/10・10/15・12/10・2/下旬(4回)
-116-
進路指導部会報告
進路指導部会報告
(平成25年度第2回)
(平成26年度第1回)
岡山県立津山工業高等学校
岡山県立津山工業高等学校
濱 田 浩 昭
濱 田 浩 昭
日 時
平成25年12月11日(水)14:00~
会 場
岡山県立水島工業高等学校
出席者
15校 19名
日 程
1 開会行事
(1)進路指導部会長挨拶
三宅津山工業高校長
(2)会場校校長
中桐水島工業高校長
2 講 演
「支援教育と進路保障について
~新設特別支援学校開校準備を通して~」
岡山県立新設特別支援学校
開校準備事務局長 小田幸伸
3 研究協議
(1) 各校の就職一・二次募集とその応募状況
(2) 各校の内定先の職種変化
4 その他
(連絡)工業部会進路指導部会の当番校について
(要望)
(1) 内定者に対する「内定式への参加」連絡や挨
拶をかねた授業日の来校時に生徒との面談
を要求する企業が増加している事への対応
策を検討して欲しい。
(お尋ね)
(2)センター利用の進学者の有無について
センター利用なしでの国公立受験状況につい
て
まとめ
・各校の就職一・二次募集とその応募状況
各校の本年度就職状況について,概ね求人件数の
状況は昨年並みであるが,1企業 1 人受験枠の企
業の増加,1 次受験充足の企業の増加傾向,女子
生徒求人としての企業紹介等の報告があった。
・各校の内定先の職種変化
「内定者に対する内定式への参加連絡」
,
「授業時
間帯の学校訪問をかねた来校時に,生徒との面談
を要求する企業の増加」への対応策検討の要望や
「センター利用の進学者の有無」と「センター利
用なしでの国公立受験状況」
のお尋ね等があった。
日 時
平成26年6月17日(火)14:00~
会 場
岡山県立倉敷工業高等学校
出席者
18校 22名
日 程
1 開会行事
(1)進路指導部会長挨拶 立石津山工業高校長
(2)会場校校長挨拶
楢原倉敷工業高校長
(3)自己紹介
2 連絡
平成25年度事業報告・会計報告
3 研究協議
(1)各校の就職・進学状況
(2)インターンシップの状況について
(3)卒業予定者に対する就職希望者数
(4)求人動向について
4 その他
工業部会進路指導部会の当番校について
まとめ
・ 各校の就職希望状況
各校,昨年度以上に就職希望者の増加が見られ,
工業系高校18校の平成25年度卒業者総数:2527人,
就職者総数:1597人,平成26年度卒業予定者総数:
2526人,就職希望者総数:1702人と約200人の就職
希望者増となることが確認された。土木・建築系
企業の求人増加が期待されるが,製造業を中心に
各企業とも慎重な採用計画で,求人枠は減少傾向
であると予想され,依然としてその厳しさを伺わ
せる報告が各校からあった。求人数減少理由とし
て,
「再雇用制度」の定着による新規卒業予定者の
採用抑制や景気回復影響が中小企業にまでおよん
でいないと考えられる報告が本年度もあった。
・ インターンシップの状況
インターンシップ推進事業の県支援制度活用報告
など実施事例報告があった。
・ 基礎学力向上の取組みについて
各校より「基礎学力の低下」
,
「生徒個々の学力格
差が大きい」
,
「漢字が書けない」
,
「分数計算がで
きない」などの問題点の指摘があった。
-117-
定時制部会報告
岡山県倉敷市立工業高等学校
逢 坂 親 秀
Ⅰ 役員会
(1)平成 25 年度第2回定時制部会役員会
(H26 年2月 20 日 於:倉敷市工)
ア 技術顕彰職業資格等一覧の確認
イ 平成 25 年度定時制部会技術顕彰者の選考
ウ 平成 26 年度定時制部会総会の発表内容
エ 報告事項
オ 情報交換
カ その他
(2)平成 26 年度第1回定時制部会役員会
(H26 年6月 23 日 於:倉敷市工)
ア 平成 25 年度事業報告
イ 役員改選
ウ 平成 26 年度事業計画
エ 定時制部会技術顕彰制度について
オ 情報交換
カ その他
Ⅱ 総会・研究協議会
平成 26 年度定時制部会総会・研究協議会
(H26 年7月 22 日 於:倉敷市工)
主題 「定時制高校ならではの工夫や魅力」
[発表]
(1)
「部活動を通じての人間関係づくり」
倉敷市工 保健体育科
中杉 明裕
(2)
「玉野備南高等学校における商業科の取組」
玉野備南 商業科
宇垣 俊寿
(3)
「ゼロハンカーチームを支える技術」
倉敷市工 電気科
横山 隆司
(4)「総合技術科の取組について」
玉野備南 総合技術科
内田 拡志
(5)「プロジェクタを使った授業について」
倉敷市工 機械科
大野 拓之
ア 質疑・応答
イ 指導・講評
[総会]
(1)役員選出
(2)主題について
(3)その他
-118-
平成26年度 (2014年) 学校要項
学校名
創立年月
校長名
岡山県立
岡山工業高等学校
明治34年10月
(1901)
高柳 克彦
岡山県立
東岡山工業高等学校
昭和37年4月
(1962)
難波 宏明
岡山県立
倉敷工業高等学校
昭和14年3月
(1939)
楢原 靖
岡山県立
水島工業高等学校
昭和37年4月
(1962)
長尾 隆史
岡山県立
津山工業高等学校
昭和16年2月
(1941)
立石 潤一郎
岡山県立
笠岡工業高等学校
昭和19年4月
(1944)
赤木 恭吾
岡山県立
新見高等学校(北校地)
平成17年4月
(2005)
松井 健一
岡山県立
備前緑陽高等学校
平成25年度募集定員
(科名・人数)
機
械 80
土
木 40
化
学
工
学 40
デ
ザ
イ
ン 40
建
築 40
情
報
技
術 40
電
気 40
80
機
械
40
電
気
80
電 子 機 械
工
業
化
学 40
設 備 シ ス テ ム 40
機
械 120
電
子
機
械 80
電
気 80
工
業
化
学 40
フ ァ ッ シ ョ ン 技 術 40
機
械 120
電
気 80
工
業
化
学 40
建
築 40
情
報
技
術 40
機
械 40
電
子
機
械 40
電
気 40
工
業
化
学 40
土
木 40
建
築 40
デ
ザ
イ
ン 40
所在地
(URL)
電話
〒700-0013
岡山市北区伊福町4-3-92
www.okako.okayama-c.ed.jp
岡山(086)
252-5231(代)
252-7130(FAX)
〒703-8217
岡山市中区土田290-1
www.toko.okayama-c.ed.jp
岡山(086)
279-0565(代)
279-0567(FAX)
〒710-0826
倉敷市老松町4-9-1
www.kurako.okayama-c.ed.jp
倉敷(086)
422-0476(代)
422-9934(FAX)
〒710-0807
倉敷市西阿知町1230
www.mizuko.okayama-c.ed.jp
倉敷(086)
465-2504(代)
465-4598(FAX)
〒708-0004
津山市山北411-1
www.tsukou.okayama-c.ed.jp
津山(0868)
22-4174(代)
22-4177(FAX)
〒714-0043
笠岡市横島808
www.kasako.okayama-c.ed.jp
笠岡(0865)
67-0311(代)
67-0700(FAX)
〒718-0011
新見市新見1994
www.niimi.okayama-c.ed.jp
新見(0867)
72-0645(代)
72-2771(FAX)
電
子
機
械
80
電
気
情
報
40
環
境
土
木
40
工
業
技
術
40
平成15年4月
(2003)
橋本 達也
総
合
学
科 160
〒705-8507
備前市西片上91-1
www.ryokuyou.okayama-c.ed.jp
備前(0869)
63-0315(代)
64-4260(FAX)
岡山県立
高梁城南高等学校
平成16年4月
(2004)
蟻正 教子
電
デ
ザ
イ
気 40
ン 35
〒716-0043
高梁市原田北町1216-1
www.jonan.okayama-c.ed.jp
高梁(0866)
22-2237(代)
22-0590(FAX)
岡山県立
玉野光南高等学校
昭和59年4月
(1984)
竹入 隆弘
情
報
40
〒706-0226
玉野市東七区244
www.konan.okayama-c.ed.jp
玉野(0863)
51-2311(代)
51-2414(FAX)
岡山県倉敷市立
工業高等学校
昭和24年4月
(1949)
安藤 正道
機
電
械
気
80
40
〒710-0831
倉敷市田ノ上716-1
www.kurashiki-oky.ed.jp/school/kogyo-h
倉敷(086)
422-4100(代)
422-4106(FAX)
岡山県玉野市立
玉野備南高等学校
昭和23年4月
(1948)
上田 康信
総
術
40
〒706-0021
玉野市和田4-7-1
www.binan.ed.jp
玉野(0863)
83-9100(代)
83-9101(FAX)
岡山県立
勝間田高等学校
明治34年4月
(1901)
金平 邦男
産 業 工 学 科
35
〒709-4316
勝田郡勝央町勝間田47
www.katumada.okayama-c.ed.jp/katuma.htm
美作(0868)
38-3168(代)
38-3167(FAX)
関西高等学校
明治20年9月
(1887)
砂川 芳毅
普
商
電
科 220
科 160
科 80
〒700-0056
岡山市北区西崎本町16-1
www.kanzei.ac.jp
岡山(086)
252-5121(代)
255-3634(FAX)
岡山商科大学
附属高等学校
明治44年4月
(1911)
薬師寺 茂
総
科 250
〒700-0807
岡山市北区南方5-2-45
www.osu-h.ed.jp
岡山(086)
252-3407(代)
254-8864(FAX)
おかやま
山陽高等学校
大正13年3月
(1924)
原田 一成
〒719-0252
浅口市鴨方町六条院中2069
www.okayama-sanyo-hs.ed.jp
鴨方(0865)
44-3100(代)
44-6626(FAX)
興譲館高等学校
嘉永6年10月
(1853)
小谷 彰吾
〒715-0006
井原市西江原町2257-1
www.kojokan-h.ed.jp
井原(0866)
62-0124(代)
62-1521(FAX)
岡山理科大学
附属高等学校
昭和36年6月
(1961)
宮垣 嘉也
〒700-0005
岡山市北区理大町1-1
www.ridaifu.net
岡山(086)
256-8511(代)
256-8512(FAX)
合
技
通
業
気
合
学
普
通
科 122
機
械
科 40
自
動
車
科 40
調
理
科 45
製
菓
科 40
普
通
科
地 域 産 業 コ ー ス 130
(
工
業
)
機
電
気
情
械
報
80
40
-119-
編 集 後 記
○ 機関紙「工業教育」60号誌
60号誌が出来上がりましたのでお届けいたしま
す。原稿をお寄せ頂いた執筆者の方々,並びに各校
編集委員,資料作成にご協力頂いた先生方に心より
感謝申し上げます。
平成 26 年度から3年間,編集事務局を岡山県立
水島工業高等学校が担当いたします。今年度と同様
に関係各位には大変ご迷惑をおかけするのではない
かと思いますが、よろしくお願い致します。
おかげをもちまして発刊にこぎつけることができ
ました。ありがとうございました。
○ 編集委員会
岡山県高等学校教育研究会工業部会の部会長,工
業教育協会企画広報委員長およびその他の諸先生の
ご指導のもと,工業部会18校の編集委員の参加に
より,3回の編集委員会を開催し,次の事項を協議
いたしました。
1.編集方針
2.資料調査依頼
3.執筆者依頼
4.原稿のまとめと校正
5.その他
○ 60号誌の特徴
昨年の 59 号に比べ特集と行事のページ数を押さ
え、全体のページ数も例年並としました。また,継
続して経費の削減をするため,冊子とDVDの両方
を作成し,DVDを活用することにより,冊子の印
刷部数を削減いたしました。
表紙は,岡山県立津山工業高等学校デザイン科の
岡裕美先生にお願いし,様々な作業をする手の姿を
デザインしていただきました。
特集記事は倉敷市教育委員会 吉田博充氏に倉敷
川畔の町並み保存について執筆していただきました。
それに合わせ見返しには,倉敷川畔伝統的建造物群
保存地区の移り変わりを掲載いたしました。
○ おわりに
本誌のためにご教示,ご協力いただきました関係
各位,ご寄稿ご執筆いただきました方々に深く感謝
申し上げます。
機関紙「工業教育」誌に対するご意見をどしどし
お寄せください。
● 監 修
工 業 部 会 長
工業教育協会副理事長
工業教育協会副理事長
企画広報委員長
高柳 克彦
楢原
靖
原田 一成
赤木 恭吾
● 企画広報委員
岡山県立高梁城南高等学校
岡山県立玉野光南高等学校
岡山県倉敷市立工業高等学校
岡山商科大学附属高等学校
興譲館高等学校
蟻正 教子
竹入 隆弘
安藤 正道
薬師寺 茂
小谷 彰吾
● 工業教育協会事務局
岡山県立岡山工業高等学校
内田 範政
● 編集委員
岡 山 工 高
東 岡 山 工 高
倉 敷 工 高
水 島 工 高
津 山 工 高
笠 岡 工 高
新
見
高
備 前 緑 陽 高
高 梁 城 南 高
玉 野 光 南 高
倉敷市立工高
玉野市立玉野備南高
勝 間 田 高
関
西
高
岡山商科大学附属高
お かや ま 山 陽高
興 譲 館 高
岡 山理 大 附 属高
藤井 俊朗
内藤 和彦
妹島 達憲
千原 章裕
難波
岳
柴口 一行
前田 清二
矢部博登志
石村 亜弓
板野 尚吾
中桐 寛
内田 拡志
片岡 章彦
豊福 一歩
池田 哲也
大村 佳苗
塩飽 尚道
大西 唯一
● 水島工高編集事務局委員
文谷 元信(教 頭) 千原
坂平みどり(事 務) 坪井
福田 博次(機械科) 畠瀬
安達
毅(電気科) 森
佐藤 輝明(建築科) 林
花房 浩二(情報技術科) 宮本
岡崎菜穂子(国語科)
電
気
科
電
気
科
電
気
科
工業化学科
電子機械科
電子機械科
工業技術科
総 合 学 科
デザイン科
情
報
科
電
気
科
総合技術科
産業工学科
電
気
科
総 合 学 科
自 動 車 科
普通科工学系
電気情報科
章裕(工業化学科)
輝明(工業化学科)
公一(工業化学科)
大晃(工業化学科)
正夫(工業化学科)
敏行(工業化学科)
工
業
教
育
第60号
平成 27 年 2 月 23 日印刷(非売品)
平成 27 年 3 月 19 日発行
発行者
岡山県高等学校教育協会
工業部会長
発行所
高柳
克彦
岡山県高等学校教育協会工業部会
岡山市北区伊福町4-3-92
岡山県立岡山工業高等学校
印刷所
土師印刷工芸株式会社
岡山市南区新福1-6-15
TEL
(086)-262-4077