上田秋成研究事典

笠間書院 新刊案内[2015 年と 2014 年後半の刊行書から]
◎ 2015 年 12 月刊行予定
上田秋成研究事典
【目次】
『雨月物語』とその作者を知るために
秋成研究会編
泉鏡花、芥川龍之介、谷崎潤一郎、三島由紀夫、村上春樹。
名だたる作家たちが傑作だと評価した『雨月物語』の奥行
きを知るにはどうしたらいいのか。普通に読んで「なんと
なく面白かった」という感想をこえ、なぜその作品を「面
白い」と思ったのか、それを分析的に自分で解説していく
にはどうしたらいいのか。
序 古典を愛する若者にむけて―『雨月物語』のすすめ
1『雨月物語』
『雨月物語』作品別研究史について
作品分析のためのマニュアル
研究史概説
白峯/菊花の約/浅茅が宿/夢応の鯉魚/仏法僧/
吉備津の釜/蛇性の婬/青頭巾/貧福論
2『春雨物語』
研究史概説
血かたびら/天津処女/海賊/二世の縁/目ひとつ
の神/死首の咲顔/捨石丸/宮木が塚/歌のほまれ
「月の前」
「剣の舞」
「楠
/樊噲/その他の作品(「妖尼公」
公雨夜かたり」
「背振翁伝」
(
「茶神の物語」
)
)
本書は、文人秋成の業績を総体として捉え、あらゆる角度
から分析するために編まれた事典であり、また同時に、文
コラム 卒業論文を書くまえに
学作品を読んで「なんとなく面白かった」という地点から、
その作品の魅力や豊かさを自分のことばで最大限引き出し
3 浮世草子作品
ていく、
「研究」に向かうための入門書です。
4 『書初機嫌海』
5 『癇癖談』
『雨月物語』
『春雨物語』の両代表作は、重要な論点とそれ
6 和歌・俳諧・狂歌
を示した論文を整理・紹介しました。そこでは、ふつうの
7 『胆大小心録』
読み方を超える、新しい「読み」の可能性に挑戦した論文
をたくさん取り上げています。それらの要点をわかりやす
コラム 社会人のための「学問のすすめ」
く紹介しつつ、
『雨月物語』の各作品が、どのように読まれ
―あるいは、「趣味・学問」と書けるようになる
てきたかがわかるようにしました。また『雨月物語』につ
ためのマニュアル
いては、作品分析のためのマニュアルと、分析の実例を挙げ、
作品を読んだ後、それを参照しつつ自分なりの分析に取り
8 秋成の和文
かかれるよう配慮しています。
9 秋成の伝記
10 秋成の学問
また秋成の浮世草子・和歌・俳諧・随筆・和文・学問的著作、
11 秋成と近代作家
そして秋成自身の生涯についても、今日明らかになってい
る情報のレベルを呈示し、
「研究」のための一助としました。
コラム 現代語訳と研究―上田秋成から考える
その他、
『雨月物語』の典拠である中国の白話小説の原文・
書き下し文・語釈・日本語訳を掲載するほか、上田秋成を
12 典拠作品の世界―原文・書き下し文・語釈・日本語訳
研究していくうえで知っておきたい主要文献のガイドも収
1 愛卿伝『剪燈新話句解』【「浅茅が宿」の典拠】
録しています。
2 牡丹燈記『剪燈新話句解』
【「吉備津の釜」の典拠】
3 魚服記 付 薛録事魚服証仙(抄)
上田秋成を知るための手引であると同時に、文学「研究の
【「夢応の鯉魚」の典拠】
手引」でもある、かつてない、文学を今まで以上に楽しむ
4 范巨卿鶏黍死生交【「菊花の約」の典拠】
ヒントに満ちた事典です。
5 白娘子永鎮雷峰塔【「蛇性の婬」の典拠】
○執筆者
飯倉洋一/糸川武志/稲田篤信/井上泰至/加藤十握/
木越 治/木越秀子/紅林健志/郷津 正/近衞典子/
宍戸道子/高松亮太/長尾直茂/長島弘明/野澤真樹/
丸井貴史/三浦一朗
ISBN978-4-305-70790-1 C0095
定価:本体 2,800 円(税別)
菊判・並製・カバー装・428 頁(予)
111
付録 文献ガイド
1 単行研究書
2 関連単行書
3 科学研究費による報告書
4 雑誌特集号
5 参考文献目録・索引・研究書復刻
6 本文・注釈・影印など
7 外国語に翻訳された秋成
付録 上田秋成略年譜
新刊案内
◎ 2015 年 12 月刊行予定
【目次】
後鳥羽院とその時代
凡例
𠮷野朋美
第一篇 周辺歌人と場と
はじめに
第一章 始発期を中心に
『新古今』成立前後、後鳥羽院と同時代の歌人たちは
どのような和歌活動を展開したのか
勅撰和歌集の歴史において特異な下命者である後鳥羽院の存
在和歌活動を中心に据えて眺めるとどのようなことが見えて
くるのか。
『新古今和歌集』成立前後のさまざまな問題点について、後
鳥羽院をめぐる周辺の歌人たちと後鳥羽院自身の動向の二つ
の観点を時代に即して考察する。
【本書は、ここに述べたさまざまな問題について、ふたつの
観点から考察を試みるものである。ひとつは、後鳥羽院周辺
で院のいる和歌行事に何らかのかたちでかかわり、院の存在
や志向に影響を受けた、あるいは与えた歌人たちの動向や和
歌表現を考察の主対象に据え、後鳥羽院の存在や志向との関
係をあぶり出そうとする観点である。もうひとつは、後鳥羽
院自身の動向や和歌表現の考察を通じて、後鳥羽院が時代と
どのように向き合い、前代の和歌や同時代の歌人たちとかか
わったのか、その志向や思惑を明らかにする観点である。そ
の際には、できるだけその催しのおこなわれた状況や詠まれ
た和歌の背景を明らかにし、その時代に即して考えていく姿
勢を心がけたい。……「はじめに」より】
第一節 大内の花見 ─最初の詠歌をめぐって─
第二節 『仙洞十人歌合』の特質と表現
─判者の推定に及ぶ─
第三節 後鳥羽院の和歌活動初期と寂蓮
第二章 時空間の共有意識
第一節 「熊野懐紙」の和歌
─後鳥羽院の熊野御幸途次当座歌会をめぐって─
第二節 後鳥羽院御所の空間的特質(一)
─水無瀬をめぐって─
第三節 後鳥羽院御所の空間的特質(二)
─最勝四天王院をめぐって─
第二篇 『新古今和歌集』とそれ以後
第一章 『新古今和歌集』の思想
第一節 『新古今和歌集』と鎮魂
─西行・慈円をめぐって─
第二節 伊勢神宮と和歌
─『新古今和歌集』神祇部神宮関連歌群とその周辺─
第二章 『新古今和歌集』以後
第一節 建暦二年の後鳥羽院
第二節 実朝懐柔と和歌
─建保三年『院四十五番歌合』の場合─
第三章 隠岐における和歌活動
第一節 『遠島百首』の方法
─改訂されなかった歌を通して─
第二節 神仏への信仰
第三節 後鳥羽院における源俊頼
─『後鳥羽院御口伝』から「俊頼影供」へ─
むすびに 「置文」を契機として
─後世の後鳥羽院受容・点描
初出一覧
あとがき
索引(書名・人名・和歌初句) ISBN978-4-305-70791-8 C0092
定価:本体 9,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・512 頁
新刊案内
112
◎ 2015 年 12 月刊行予定
中世往生伝と
説話の視界
田嶋一夫
ISBN978-4-305-70788-8 C0091
定価:本体 12,000 円(税別)
菊判・上製・カバー装・674 頁
◎ 2015 年 12 月刊行予定
ひめぎみ考
王朝文学から見たレズ・ソーシャル
小林とし子
ISBN978-4-305-70786-4 C0091
定価:本体 1,700 円(税別)
A5 判・並製・カバー装・310 頁
113
伸びやかに積み重ねられた
五〇年にわたる研究の集大成──
散逸した「中世往生伝」の実像を鮮やかに浮かび上が
らせた著者の代表的研究をはじめ、神道集・中世説話・
ちりめん本とテーマごと 36 本の論考と、研究・教育へ
の思いが伝わる 15 本のエッセイを収録。
【田嶋さんは、庶民と貴族を対立させてとらえない。人
間という普遍の相において観察し、
そして認識する。
(中
略)どちらをも考察の投網にとらえて、作品が生まれる
ダイナミズムを日本文化の深層構造を通して把握する。
民俗学にも似た発想を底に沈めて、文学作品のまっとう
な研究に立ち向かう。……錦 仁「序文」より】
【総じて、著者の研究は人柄に応じて誠実であり、真摯
に対象と向き合い、地道に積み上げていく方向性で一貫
している。
(中略)研究とは何かを常に問いかけ続けて
きた足跡がそのまま論考に結実化していて、若い研究者
への今後の道行きを照らし出しているといえるだろう。
……小峯和明「解説」より】
【目次】
序文─田嶋さんの心(錦 仁)/Ⅰ 中世往生伝の視界
/Ⅱ 神道集と神明説話/Ⅲ 中世の説話と歴史叙述/
Ⅳ ちりめん本の世界/Ⅴ エッセイ/Ⅵ 略歴及び著述
目録/初出一覧/解説─田嶋一夫氏の仕事(小峯和明)
/あとがき(小峯和明)/索引(書名・人名・地名)
姫君を中枢とした〈女社会=レズ・ソーシャル〉が
社会で果たした役割を平安文学から読み解く──
古代社会において共同体を結束させる装置として必要
とされた高貴な女の威力・聖性が、根強く残っていた
平安時代。
『枕草子』
『伊勢集』
『紫式部日記』
『源氏物語』
には生き生きと躍動する〈女社会〉が描かれていた。
【女社会を悩みながらも生きた、優れた女性たちによっ
て書き記されたものが平安から鎌倉時代にかけての文
学作品であって、そこからはその時代と社会を生きたも
のならではの認識と美意識が見えてきます。さらに気迫
も覇気も批判精神もあります。彼女たちが格闘したもの
は、現代の私たちにとってもやはり同じく格闘して見据
えていくべき問題ではないかと思うのです。
〈王朝レズ・
ソーシャル〉への批判も含めてですが、今後も検証して
いきたいと思っています。…「はじめに」より】
【目次】
はじめに/女神のお食事/翁幻想─『枕草子』/めで
たき女 伊勢御息所─『伊勢集』に見る女社会/女神
のお仕事─『枕草子』の世界/女社会の分析批評 リ
アリストのまなざし─『紫式部日記』/断想(〈傍ら〉
にあるもの─歴史のなかの暗がり/橋を渡る、という
こと/山の麓の世界)/超越するまなざし─誇り高き
女たちの物語/あとがき
新刊案内
◎ 2015 年 11 月刊行
文学はなぜ必要か
日本文学&ミステリー案内
古橋信孝
ISBN978-4-305-70784-0 C0091
定価:本体 2,400 円(税別)
A5 判・並製・カバー装・304 頁
◎ 2015 年 11 月刊行
親鸞の発見した日本
仏教の究極
諏訪春雄
古事記から髙村薫、伊藤計劃まで。日本語の文学の流れ
を、言葉とはどういうものかから導き、各時代の名のあ
る作品、作家を取り上げ、そのおもしろさを述べながら、
それぞれの時代背景に迫る。そしてその作品が、なぜ書
かれたか、なぜ要求されたかも考えていく、新しい日本
文学史。
【目次】
序
1 言葉の表現とはどういうものか
2 文学はどのように始まったか
3 八世紀になぜ書く文学が登場したか
4 古今和歌集はなぜ編まれたか
5 竹取物語はなぜ書かれたか
6 源氏物語はなぜ書かれたか
7 今昔物語集はなぜ書かれたか
8 平家物語はなぜ書かれたか
9 徒然草はなぜ書かれたか
10 元禄期の文学
11 近代はどう表現されてきたか
1 近代とはどういう時代か/ 2 近代の探偵小説/ 3 第
二次世界大戦後の推理小説/ 4 現代の推理小説
12 現代とはどういう社会か
1 管理される知/ 2 伊藤計劃の語る近未来/ 3 ゲーム
世代の原風景
終章 文学はなぜ必要か
[私の戦後史] 後書き 索引
親鸞に導かれて、古代の日本に逢いに行く。人間は死ん
でも霊魂となり、神として永遠に生きつづける。この日
本人の霊魂不滅の人間観の本質を理解させるために出
現された方便の仏が、親鸞が最後に説いた阿弥陀であっ
た―。親鸞の思想を通して日本仏教の本質をあきらかに
する書。
数多くこの列島に伝来した異国の宗教のなかで、なぜ
仏教だけが日本に定着できたのか。そして仏教各派の
なかで、なぜ浄土真宗がこれだけ巨大になりえたのか。
親鸞の思想に、その疑問を解くもっとも有力な手がかり
がある。親鸞の思想こそが当時の仏教・神道の諸派、思
想家がこぞって追求した日本人固有の神信仰と渡来の
仏の関係を考える神仏習合理論の究極の到達点だった。
【目次】
はじめに
Ⅰ 親鸞の悪人―問題の所在―
Ⅱ 日本の浄土信仰―先人に学ぶ―
Ⅲ 親鸞の地方体験―日本の伝統に学ぶ―
Ⅳ 深まる親鸞の信仰―日本人の人間観の認識―
Ⅴ 親鸞の発見した日本人の原信仰
Ⅵ 日本仏教の究極
Ⅶ 親鸞の後継者たち―浄土真宗の確立―
ISBN978-4-305-70789-5 C0091
定価:本体 1,900 円(税別)
四六判・並製・カバー装・272 頁
新刊案内
参考文献
親鸞理解の三つの視点―あとがきに代えて―
114
たかと想像する。あらためて連歌の注釈は個人ではなく、
複数の読み手が必要だという思いは深くなっていった。
今回、伊藤さんに、二人で心敬連歌を解読する機会を提
案されて非力ながらお受けしたのは、如上の経験を生か
した試みをより深化させた形で実現できると考えたから
である。
】…「あとがき」
(奥田勲)より
○『落葉百韻』
本能寺第四世日明上人が、心敬を宗匠に迎え、心敬や正
徹とも関係の深い清水寺、東福寺の僧や、畠山氏の被官
伊藤伸江・奥田 勲
である武士たちを連衆として張行した百韻。一条兼良の
発句を拝領している。成立は康正二年(1456)から寛正
六年(1465)の間である。
○『寛正六年正月十六日何人百韻』
ISBN978-4-305-70775-8 C0092
寛正六年(1465)正月十六日に、
心敬を宗匠として、
専順、
定価:本体 13,000 円(税別)
行助、宗祇、宗怡ら連歌師と細川氏と関係の深い僧実中
A5 判・ 上製・カバー装・520 頁
らが張行した百韻。宗祇と心敬がはじめて同座した百韻
連歌は作品として、
「百韻」であり「千句」である。連歌作品を、 連歌かと考えられ、有力連歌師の出句数も多く、応仁の
読む。連歌の本質を、
考える。連歌作者心敬が張行した
『落葉百韻』 乱直前の京都の連歌界の状況がわかる。また『所々返答』
『寛正六年正月十六日何人百韻』
『
「撫子の」百韻』の訳注と、心 第三状の題材になった付合も含まれる百韻である。
「撫子の」百韻』
敬の連歌についての論考を収める。本書からは、京都在住の心 ○『
敬の詩歌、詩学の精神が、宗祇ら同時代を生きた連歌師の作風 心敬を宗匠に、細川勝元とその家臣らが専順、行助、宗
や動向と共に浮かび上がり、百韻をさばいていく連歌師と一座 祇ら連歌師と張行した百韻。発句は勝元が詠んでいる。
心敬が在京時に密接な関係をもった細川右京兆家とその
の人々の一句ごとの息づかいがよみがえってくる。
【これは撰集であるが、…複数の読者の様々な見解や解釈が、そ 廷臣が連衆であり、多くの連衆が『熊野千句』と重なり、
れぞれに有益であるとともにいかに示唆的かつ刺激的であるか 『熊野千句』と近い時期の張行と注目される。成立時期
を痛切に感じた。連歌の実作の場もこのようなものではなかっ は文正元年(1466)夏以前。
◎ 2015 年 10 月刊行
心敬連歌
訳注と研究
◎ 2015 年 9 月刊行
昭和俳句の検証
俳壇史から俳句表現史へ
川名 大
ISBN978-4-305-70785-7 C0092
定価:本体 4,500 円(税別)
A5 判・ 上製・カバー装・384 頁
115
昭和俳句の表現史的構築をめざす。新興俳句を中心に、
戦後の根源俳句・社会性俳句・前衛俳句などを再検証。
俳壇史的要素を取り払い、作品と直に向き合うことで、
これまで評価されてきたものだけでなく、埋もれた句や
俳人をも正当に復権させる。初公開の第一級資料も多数
収録。
【目次】はじめに/昭和俳句の検証―俳壇史から
俳句表現史へ/昭和俳句表現史(戦前・戦中篇)―『昭
和俳句作品年表』という方法/戦後俳句の検証/知られ
ざる新興俳句の女性俳人たち―東鷹女・藤木清子・すゞ
のみぐさ女・竹下しづの女・中村節子・丹羽信子・志波
汀子・坂井道子・古家和琴の境涯俳句と銃後俳句/中田
青馬は特高のスパイだったのか―特高のスパイの風評に
対する中田青馬の手紙と「京大俳句」弾圧事件に関する
天皇関西行幸説/GHQの俳誌検閲と俳人への影響/三
橋鷹女の「年譜」の書き替え―新資料「遠藤家、東家、
及三橋家の家系大略」
『成田市史叢書』
(第二集・第三集)
に拠る/真砂女の海―昭和十年代(
「春蘭」
「縷紅」時代)
の鈴木真砂女/飯島晴子論―俳意たしか、ニュートラル
な世界/
な世界/新資料で読み解く新興俳句の興亡/富澤赤黄男
没後五十年 句日記「佝僂の芸術」初公開!/渡辺白泉
と新興俳句同人誌「風」/増補・渡辺白泉評論年表/三
橋敏雄と新興俳句誌「朝」/新興俳句の新星・磯邊幹介
の稿本句集『春の樹』初公開!/『天の狼』上梓の経緯
―富澤赤黄男の「日記」から/「京大俳句」
「新興俳句・
プロレタリア俳句諸俳誌」に対する特高の諜報活動資料
/新興俳句弾圧事件の新資料発見!
新刊案内
◎ 2014 年 11 月刊行
『太平記』をとらえる
第一巻
『太平記』国際研究集会編
北村昌幸
森田貴之
長谷川端
山本晋平
ジェレミー・セーザ
小秋元段
兵藤裕己
長坂成行
和田琢磨
阿部亮太
ISBN978-4-305-70761-1 C0095
定価 : 本体 2,800 円(税別)
A5 判・並製・カバー装・236 頁
◎ 2015 年 10 月刊行
『太平記』をとらえる
第二巻
『太平記』国際研究集会編
張 静宇
森田貴之
佐伯真一
金木利憲
北村昌幸
長坂成行
大坪亮介
小秋元段
和田琢磨
大森北義
ISBN978-4-305-70762-8 C0095
定価 : 本体 2,800 円(税別)
A5 判・並製・カバー装・228 頁
新刊案内
作品論であれ考証的研究であれ「作品」そのものを対
象とする研究が停滞するようでは、文学研究は貧弱化す
る。
『太平記』は南北朝期の四十年に及ぶ戦乱をともか
くも描ききった希有の書。しかし四十巻という膨大な分
量や、取り組む研究者が少ないことなどから、基本的な
研究課題を積み残している。様々な課題に少しずつ挑み
次世代の研究基盤を構築すべく編む論集。全三巻予定。
【目次】
はじめに―新たな研究基盤の構築をめざして▼小秋元段
1 ●『太平記』における知と表現/ 1『太平記』の引歌
表現とその出典 ▼北村昌幸/ 2『太平記』テクストの
両義性―宣房・藤房の出処と四書受容をめぐって―▼森
田貴之/コラム○「桜井別れの図」に思う ▼長谷川端
/コラム○新井白石と『太平記秘伝理尽鈔』に関する覚
書▼山本晋平
2 ●歴史叙述のなかの観応擾乱
1 下剋上への道―『太平記』に見る観応擾乱と足利権力
の神話―▼ジェレミー・セーザ/ 2『太平記』巻二十七
「雲景未来記事」の編入過程について▼小秋元段/コラ
ム○『太平記』の古態本について▼兵藤裕己
3 ●神田本『太平記』再考/ 1 神田本『太平記』に関す
る基礎的問題 ▼長坂成行/ 2 神田本『太平記』本文考
序説―巻二を中心に―▼和田琢磨/コラム○天理本『梅
松論』と古活字本『保元物語』―行誉の編集を考える―
▼阿部亮太
□外国語要旨/英語▼ジェレミー・セーザ訳/中国語▼
鄧 力訳/韓国語▼李章姫訳
作品論であれ考証的研究であれ「作品」そのものを対
象とする研究が停滞するようでは、文学研究は貧弱化す
る。
『太平記』は南北朝期の四十年に及ぶ戦乱をともか
くも描ききった希有の書。しかし四十巻という膨大な分
量や、取り組む研究者が少ないことなどから、基本的な
研究課題を積み残している。様々な課題に少しずつ挑み
次世代の研究基盤を構築すべく編む論集。全三巻予定。
【目次】はじめに―作者の文学史的環境と政治的・社会
的環境を明らかにする▼小秋元段
1 ●『太平記』における説話の淵源と機能/ 1 『太平
記』巻三十八「大元軍事」と宋元文化▼張 静宇/ 2 『太平記』と弘法大師説話―引用説話の射程―▼森田貴
之/●コラム 『太平記』の「良将」に関する覚書▼佐
伯真一/●コラム 『太平記』に残る漢籍受容の足跡―
『白氏文集』の本文系統について―▼金木利憲/ 2 ●『太
平記』に描かれた「歴史」/ 1 『太平記』における諸
僉議―南朝の意思決定をめぐる諸問題―▼北村昌幸
/ 2 高師泰の枝橋山荘造営をめぐる脇役の周縁―『太
平記』注解補考(三)―▼長坂成行/●コラム 『太平記』
と仁和寺―天正本系の一増補箇所から―▼大坪亮介/ 3
●神田本『太平記』―本文の探求―/ 1 神田本『太平記』
本文考―巻十六を中心に―▼小秋元段/ 2 室町時代に
おける本文改訂の一方法―神田本『太平記』巻三十二を
中心に―▼和田琢磨/●コラム 『太平記』巻一巻末の
増補記事―〈もう一つの歴史叙述〉の可能性―▼大森北
義/□外国語要旨/英語▼ジェレミー・セーザ訳/中国
語▼張静宇訳/韓国語▼李章姫訳
116
◎ 2015 年 9 月刊行
思い込みの日本史に挑む
松尾 光
日本は一体、どのような歴史を辿ってきたのだろうか。
自分でその重い扉を押し開けて進むための、71 話のレッ
スン。ひとの目を覆い、手を止めさせる、
「思い込み」
。
そうした過去は、アカデミズムの頂点にすらたしかに
あった。本書は、思い込みの淀みから自分を掬い出すた
めに編まれた、日本史入門です。古代から近代にいた
るまで、主要なトピックを、
「思い込みの日本史」から
「思い込みでない日本史」に書き替えるよう、語り尽く
していく書です。
【日常生活でもそうだが、私たちは歴史事象を前にして、
多くの常識といわれるものに寄りかかり、だれがなぜ
作ったのかすらわからないような古色蒼然たる定説を
もとに見ようとしてしまう。だが、その常識は現代人だ
けの思い込みじゃないのか。公認の解釈とされている安
心・安全な定説は、かつて何かの思惑があってだれかに
捏造された「思い込ませたかった」解釈じゃないのか。
】
……「はじめに」より
【目次】はじめに/第一章 古代 01 ~ 20 /第二章 中世 21 ~ 45 /第三章 近世・近代 46 ~ 71 /「思
い込み」は、どのようにして作られるか/初出掲載書・
雑誌の一覧/あとがき
ISBN978-4-305-70779-6 C0021
定価:本体 1,600 円(税別)
四六判・並装・314 頁
◎ 2015 年 9 月刊行
『源氏物語』深層の発掘
秘められた詩歌の論理
熊倉千之
【目次】
凡例/はじめに/第一章 日本
語の本質と物語の時空/第二章
「御法」
・
「幻」の矛盾解消―
その統一的な「イマ・ココ」/
第三章 『源氏物語』の主題―
夫源氏の不実に対する妻紫上の
絶望と次世代へ託した夢/第四
章 驚くべき歌の配置/第五章
紫式部の芸術/おわりに/参
考 資 料 / 付 録『 源 氏 物 語 』 歌
五百八十九首一覧/『源氏物語』
引用歌初句索引
ISBN978-4-305-70783-3 C0093
定価:本体 5,500 円(税別)
A5 判・ 上製・カバー装・332 頁
117
紫式部の超絶技法を知る。紫上は本当に二条院で生を終
えたのか。日本語による物語の本質を押さえた丁寧な検
証から、六条院という死に場所を、第三部の書き手は読
み誤っていることを明らかにし、つまりは光源氏死後の
続編が紫式部作でないことを実証する。五言律詩という
漢詩の論理や、5―7―5―7―7 の和歌の数理を駆使して、
当時の宮廷社会の問題を批判し、主題をテキストのなか
に埋め込んだ、紫式部の斬新な手法を発掘していく。
【推薦】
過去に拘泥してきた読みの方法を一蹴
伊井春樹(阪急文化財団理事・館長、大阪大学名誉教授)
このたびの熊倉千之氏の著作は、時間を超えて作者が
物語に込めたメッセージを読み解こうとする、斬新な分
析と視点を持つ。アメリカで長く大学教育に携わってき
ただけに、西洋文学の理論を根底にし、古代日本語の特
性を示し、中国漢詩の構造からの発想も援用しながら、
とかく曖昧なままの解釈で納得し、過去に拘泥してきた
読みの方法を一蹴する。ありきたりと思われた文脈から、
読み一つの違いによって、新たな世界が展開し、それが
巻々の成立から主人公の姿、紫上が残そうとした思い、
さらには作品の構造論にまで及んでくる。このように、
独自の立場から新しい読みを提唱する。自説を諄々 ( じゅ
んじゅん ) と説く姿には、ひたむきに作品に向かう研究
者のありようを見る思いがする。
(以上抜粋)
新刊案内
◎ 2015 年 9 月刊行
詩の読み方
小川和佑近現代詩史
小川和佑
ISBN978-4-305-70780-2 C0092
定価:本体 1,800 円(税別)
四六判・仮フランス装・298 頁
◎ 2015 年 9 月刊行
昭和文学研究
第 71 集
昭和文学会編
ISBN978-4-305-00371-3 C3393
定価 : 本体 4,200 円(税別)
A5 判・並製・98 頁
新刊案内
日本近代文学研究者・文芸評論家である小川和佑が遺し
た読者と詩をつなぐ、小論の数々を集成。難解な近現代
詩を論理的にやさしく鑑賞する。
【ある年齢のある時期
には、詩を書くことは誰にとっても容易です。しかし、
鑑賞し、理論づけるとなると、容易ではありません。多
くの詩の解説書を読んだということが、必ずしも詩の理
解を深めないところに詩の鑑賞の難しさがあります。
(中
略)しかし、萩原朔太郎以後の現代詩は、こうした鑑賞
の方法では扱うことができません。その理由は、新体詩
に比較して現代詩がはるかに複雑で高度な技術の上に作
られているからです。少なくとも現代の古典となった昭
和の詩は、先に述べたある年齢の時期に誰しも書くこと
のできる詩とは本質も異なり、高度な表現技術と専門的
教養を基礎に作られていることを意識しないと、批評も
鑑賞も成り立たないところがあります。
】……本書「近
現代詩を読むための覚書」より
【目次】近現代詩を読むための覚書/Ⅰ詩の創る世界―
【目次】
ことばに生きた詩人たち/ 1 萩原朔太郎(1886-1942)/
2 三好達治(1900-1964)/ 3 堀辰雄(1904-1953)/ 4 立
原道造(1914-1939)/ 5 伊東静雄(1906-1953)/Ⅱ詩
神の魅惑―詩の森へ/ 6 逸見猶吉(1907-1946)/ 7 津村
信夫
(1909-1944)
/ 8 能美九末夫/ 9 野村英夫
(1917-1948)
/ 10 大木惇夫(1895-1977)/ 11 大木 実(1913-1996)
/ 12 鮎川信夫(1920-1986)/ 13 秋谷豊(1922-2008)/
14 吉本隆明(1924-2012)小川和佑近現代詩関係著作目
録/詩作品および詩人の文章の出典一覧/編者あとがき
昭和期の文学を中心とする近現代文学の研究を対象と
した学会誌。従来、会員以外は入手困難でしたが、通
常の書籍同様、書店にてご注文いただけるようになり
ました。年 2 回刊行。定期ご購入をご希望の場合は入
会されると金額的にお得です(年会費 7000 円、入会
金 1000 円)。
【目次】
【論文】
『得能五郎の生活と意見』における「余談」
的方法の水脈―ゴーゴリ・中野重治・伊藤整の系譜―
●尾形大/声優が朗読する「女生徒」を聴く―声と実
在性の捉え方―●広瀬正浩/幻灯『松川事件 1951』
―社会運動におけるメロドラマ的映像空間の構築―●
鷲谷花【研究動向】小松左京●澤田由紀子/小川洋子
●山崎眞紀子/ミステリー(戦後)●大塩竜也【研究
展望】江戸川乱歩資料の保存と活用―大学における文
学アーカイブの一例として―●落合教幸/国際シンポ
ジウム「川端康成 21 世紀再読―モダニズム、ジャポ
ニズム、神話を越えて―」に参加して●紅野謙介/ハ
ワイ移民の文学―日米関係史のなかで―●田口律男/
日本文学の国際化をめぐって●南富鎭【書評】浅野麗
著『喪の領域―中上健次・作品研究』●渡邊英理/和
田敦彦著『読書の歴史を問う―書物と読者の近代―』
●中山弘明/張文宏著『佐藤春夫と中国古典―美意識
の受容と展開―』●河野龍也/和田博文・徐静波・西
村将洋・宮内淳子・和田桂子著『共同研究 上海の日
本人社会とメディア 1870-1945』●木田隆文/中村三
春著『フィクションの機構2』● 西田谷洋【新刊紹介】
会務委員会だより/編集後記
118
◎ 2015 年 8 月刊行
跨境(こきょう)
日本語文学研究 第 2 号
特集:大衆化社会と日本語文学
東アジアと同時代日本語文学フォーラム
高麗大学校日本研究センター編
代行販売しています
ISBN978-4-305-40302-5 C0095
定価 : 本体 2,000 円(税別)
B5 判・並製・232 頁
◎ 2015 年 9 月刊行
1976年夏 東北の昔ばなし
聖和学園短大生のレポートから
聖和学園短期大学国文科学生・著
【案内人】久野俊彦・錦 仁
ISBN978-4-305-70782-6 C0095
定価 : 本体 2,800 円(税別)
A5 判・ 上製・カバー装・480 頁
119
「東アジアと同時代日本語文学フォーラム」は、2013 年
に設立されたもので、韓国、中国、台湾、日本の各地域
の近代日本語文学の研究者が参加。同フォーラムのメ
ンバーを中核としながら、編集担当者の参加地域と参
加者数を拡大して刊行。編集委員、査読委員は、各地
域におけるこの分野の第一線の研究者が協力。真の意
味での国際誌となることを目指すべく創刊されました。
【目次】□エッセイ―跨境の言葉/「日本語文学」と歴
史性●金石範/六堂、碧初、春園の日本留学●金允植/
ふと、他郷●邊素英□特集 : 大衆化社会と日本語文学/
1920 年代朝鮮半島における在朝日本人の階級言説の形
成と文芸欄の中の階級闘争●鄭炳浩/日本植民地期の
マスメディアにみる北白川宮像 --1910 年代を中心に●
呉佩珍/植民地台湾的探偵小説からの逸脱―金関丈夫
「龍山寺の曹老人」シリーズを中心に●横路啓子/日本
戦後の「文壇」諸相とジャーナリズム―批評言説を中心
として●王志松/日本伝統文芸とモダン京城の出会い
―朝鮮半島における「都々逸」ジャンルの展開を中心
として●嚴仁 /二つの『阿片戦争』試論─戦時下の歴
史小説を見る一視座として●単援朝/詩がスポーツを
うたうとき―1932 年のロサンゼルス・オリンピックの
場合●日比嘉高/牛島春子と「満洲文学」とのかかわり
について●林雪星/名探偵の「死」とその後̶―日本の
社会派推理小説と中国の法制文学●尹芷汐□一般論文
「津軽人」太宰治の疎開 --「十五年間」
、
「やんぬる哉」
を中心に●李承俊 ほか。
昭和 51 年(1976 年)の夏休みの前、仙台にある聖和
学園短大で、
「おじいさん、おばあさんに昔話を語っ
てもらい方言そのままに原稿用紙に書いて提出してく
ださい」という宿題が出されました。本書はそのレポー
トを元に刊行するものです。40 年前の昔話の語りの実
態もありありと浮かんでくる、とても貴重で愛おしい
昔話の世界が、本書にはめいいっぱい広がります。
その当時、岩手・宮城を中心とする東北地方において、
どんな昔話が、どんな地域で、どんな人によって、ど
んな人に、どのように語られていたかをも示す、いわ
ば昔話の横断地図ともいうべきものになりました。ま
た、明治から戦後にいたる時間の縦軸と、岩手・宮城
を中心とする東北および新潟・山梨にいたる広範な地
域の横軸で、昔話の立体空間をも形成しています。こ
れまで出版された昔話の本に掲載されていない話、掲
載例の少ない珍しい昔話が、めいいっぱい、つまった
ものになりました。
家庭のなかで、親から子へ、孫へ語り伝えられた、全
153 話。岩手県・宮城県・福島県・秋田県・山形県・
新潟県・山梨県の昔話を収録。人は、なにを哀しみ、
なにに怒り、なにを安らぎとして、生きてきたのか。
素敵な私たちの物語(むかしばなし)です。
【付】題名による昔話索引/話型による昔話索引/
昔話をもっと知りたい人のために 関連話型一覧表
新刊案内
◎ 2015 年 8 月刊行
西行学 vol.6
西行学会編
ISBN978-4-305-00406-2 C0395
定価 : 本体 4,200 円(税別)
A5 判・並製・316 頁
◎ 2015 年 7 月刊行
新装版小野小町追跡
「小町集」による小町説話の研究
片桐洋一
ISBN978-4-305-70781-9 C0095
定価 : 本体 1,700 円(税別)
A5 判・並製・カバー装・232 頁
新刊案内
2009 年 4 月に設立された新しい学会「西行学会」の機
関誌。
【目次】
【大会講演記録】仮名の新体形成と西行
●魚住和晃/西行と伊勢の大神宮●岡田 登/伊勢・志
摩の熊野観心十界曼荼羅●小栗栖健治/【大会シンポジ
ウム記録 伊勢と西行】総括●小林幸夫/平安末期宗教
思想史と西行―〈伊勢〉とは西行にとって何だったのか
―●舩田淳一/「伊勢」を通して考える西行の作歌活動
●平田英夫/熱田の西行―熱田社と天照大神―●小林
幸夫/【研究論文】江戸の今西行―似雲覚書―●神作研
一/西行が高野から寂然へ贈った十首歌について●橋
本美香/我拝師山の成立から西行の歌集まで●野中寛
文/『宮河歌合』本文再考●五月女肇志【冬季福島猪苗
代大会記録】西行学会冬季福島・猪苗代大会の記録●松
本孝三/ < 講演 > 桧原峠を越え行く西行―近世奥羽の
地誌に見る伝説成長の一事例―●菊地 仁/小平潟天
満宮の再興と初代会津藩主保科正之の業績●小桧山六
郎 < シンポジウム 天満宮と西行 > 猪苗代町小平潟の
「西行戻り橋」―兼載、天神、小平潟をめぐって―●花
部英雄/天神信仰と「西行」●西澤美仁 < 臨地研修報
告 > 福島県浜通りの西行伝承―冬季福島猪苗代大会の
臨地研修から―●小堀光夫【西行ノート】
『山家集』の
原風景を求めて―信夫の里と勿来の関跡・福島羽黒神
社―●名古屋茂郎【資料紹介】巡見使の書き留めた西
行伝説―『享保二酉年奥羽二州巡見日記』
(酒田市立光
丘文庫蔵)―●錦 仁【西行学の名著】五来重『高野聖』
―西行「俗聖」論のインパクト―●阿部泰郎 ほか
小町が、その死後人々の心の中にどのように生き続け、
どう変容していったのか。また、変容しながらその底
に変らずに生き続けてゆく、小町的なもの、とはいっ
たい何か。小町の虚像と実像にはじめて架け橋をかけ
た、名著の復刊です。解説◉「小町的なもの」―目に
見えぬものを見よ・錦 仁[新潟大学名誉教授]。
【…平安時代、しかも小町の死後百年ほどの間に、小
町は既に伝説化されつつあったことになる。そして、
それは、あの「花の色はうつりにけりな……」とか「わ
びぬれば身を浮草の根を絶えて……」などの小町真作
の歌から発し、その残り香や体温をそのままに保持し
ている詠草の編纂・増補という形で形成されていった
のである。そして、それはそれぞれの歌を小町真作と
信じ、それぞれの事件を小町の事蹟として見る態度か
ら、形づくられていったのである。小町作にあらざる
ことが実証され得る歌でも、小町作と信じられて伝承
されて来たのである。客観的には虚像であっても、伝
承する人、享受する人にはまさしく実像以外の何物で
もない。虚は実であり、実は虚であるゆえに、伝承さ
れたのであり、またそれゆえに、あの小野小町は、今
も我々の胸の中に生き続けているのである。小野小町
追跡の終着点は、どうやら民族の心の中にあったよう
である。】…Ⅲ 「小町集」と小町説話、より。
【目次】1 小野小町の周辺/ 2 「小町集」の生成/ 3
「小町集」と小町説話/付録 「小野小町集」二種/
小町関係歌初句索引
120
◎ 2015 年 5 月刊行
萬葉集全歌講義
第十巻
阿蘇瑞枝
遂に完結!
万葉集を愛する人々へ 八年の歳月をかけ堂々完結!
古代より続く万葉集研究史上初、女性一人の手になる
全歌注釈。
国語学・考古学はじめ諸分野の最前線の研究成果をと
りいれた総合的古代研究。読みやすい大きな活字を採
用。
歌を一首単位でなく歌群としてとりあげ、歌相互の関
係や編集意図も読み解く。
作者の心情に添って理解を深めてきた泰斗だからでき
る、新しい万葉集の提示。
青木生子・梅原猛・大野晋・小野寛・久保田淳・佐佐
木幸綱・中西進、各氏推薦。
【目次】
凡例 概説(巻十九・巻二十)
巻第十九 巻第二十
ISBN978-4-305-40200-4 C3392
定価:本体 15,000 円(税別)
菊判・上製・函入・612 頁
◎萬葉集全歌講義 既刊のご案内
第一巻
第二巻
第三巻
第四巻
在庫僅少
第五巻
121
ISBN978-4-305-40191-5 C3392
定価:本体 9,500 円(税別)
菊判・上製・函入・576 頁
【収録】巻第一・二
ISBN978-4-305-40192-2 C3392
定価:本体 15,000 円(税別)
菊判・上製・函入・811 頁
【収録】巻第三・四
ISBN978-4-305-40193-9 C3392
定価:本体 12,000 円(税別)
菊判・上製・函入・476 頁
【収録】巻第五・六
ISBN978-4-305-40194-6 C3392
定価:本体 14,000 円(税別)
菊判・上製・函入・800 頁
【収録】巻第七・八
ISBN978-4-305-40195-3 C3392
定価:本体 16,500 円(税別)
菊判・上製・函入・940 頁
【収録】巻第九・十
第六巻
第七巻
第八巻
第九巻
ISBN978-4-305-40196-0 C3392
定価:本体 16,500 円(税別)
菊判・上製・函入・956 頁
【収録】巻第十一・十二
ISBN978-4-305-40197-7 C3392
定価:本体 12,000 円(税別)
菊判・上製・函入・516 頁
【収録】巻第十三・十四
ISBN978-4-305-40198-4 C3392
定価:本体 10,000 円(税別)
菊判・上製・函入・452 頁
【収録】巻第十五・十六
ISBN978-4-305-40199-1 C3392
定価:本体 12,000 円(税別)
菊判・上製・函入・468 頁
【収録】巻第十七・十八
全十巻揃価 : 本体
132,500 円(税別)
新刊案内
※パンフレットをご用意しています。ご一報いただければ送料無料でお送りいたします。
伊東静雄 夏の終り『反響』
あどけない話『現代日本文学全集』
永瀬清子 美しい国『美しい国』
ぼろぼろな駝鳥『現代日本文学全集』
丸山薫 北の春『仙境』
安西冬衛 春[てふてふが一匹]『軍艦茉莉』
壺井繁治 熊『壺井繁治詩集』
春[鰊が地下鉄道を]『軍艦茉莉』
金子光晴 富士『蛾』
北原白秋 水上『海豹と雲』
三好豊一郎 囚人『囚人』
佐藤春夫訳 恋愛天文学『車塵集』
高見順 天『樹木派』
金子みすゞ お魚『美しい町』 大漁『美しい町』
原民喜 碑銘『原民喜詩集』
星とたんぽぽ『空のかあさま』
谷川俊太郎 かなしみ『二十億光年の孤独』
積つた雪『空のかあさま』
二十億光年の孤独『二十億光年の孤独』
私と小鳥と鈴と『さみしい王女』
飯島耕一 他人の空『他人の空』
北川冬彦 馬『戦争』
田中冬二 青い夜道『青い夜道』 ふるさとにて『青い夜道』 黒田三郎 僕はまるでちがつて『ひとりの女に』
賭け『ひとりの女に』
三好達治 乳母車『測量船』 雪『測量船』
そこにひとつの席が『ひとりの女に』
甃のうへ『測量船』
中野重治 歌『中野重治詩集』
あかるい娘ら『中野重治詩集』村野四郎 さんたんたる鮟鱇『抽象の城』
中村稔 凧『樹』
宮沢賢治 雨ニモマケズ『雨ニモマケズ手帳』
吉岡実 静物『静物』
河井酔茗 ゆづり葉『紫羅欄花』
鮎川信夫 死んだ男『鮎川信夫詩集』
岡本潤 罰当りは生きてゐる『罰当りは生きてゐる』
会田綱雄 伝説『鹹湖』
西脇順三郎 天気『ambarvalia』
雨『ambarvalia』
高野喜久雄 独楽『独楽』
旅人『ambarvalia』
吉野弘 奈々子に『消息』
初めての児に『消息』
萩原朔太郎 帰郷『氷島』
I was born『消息』
中原中也 サーカス『山羊の歌』 帰郷『山羊の歌』
茨木のり子 六月『見えない配達夫』
妹よ『山羊の歌』
わたしが一番きれいだったとき『見えない配達夫』
汚れつちまつた悲しみに……『山羊の歌』
吉野弘 夕焼け『幻・方法』
生ひ立ちの歌Ⅰ『山羊の歌』
村野四郎 鹿『亡羊記』
丸山薫 汽車にのつて『幼年』
伊東静雄 わがひとに与ふる哀歌『わがひとに与ふる哀歌』 石垣りん 私の前にある鍋とお釜と燃える火と
井伏鱒二訳 田家春望『肩車』 秋夜寄丘二十二員外『肩車』 『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』
黒田三郎 夕方の三十分『小さなユリと』
勧酒『肩車』
新美南吉 貝殻『新美南吉代表作集』
井伏鱒二 つくだ煮の小魚『厄除け詩集』
高田敏子 橋『月曜日の詩集』
逸題『厄除け詩集』
関根弘 この部屋を出てゆく『約束したひと』
立原道造 はじめてのものに『萱草に寄す』
石原吉郎 位置『サンチョ・パンサの帰郷』
のちのおもひに『萱草に寄す』
黒田三郎 紙風船『もつと高く』
中原中也 湖上『在りし日の歌』 骨『在りし日の歌』
高見順 青春の健在『死の淵より』
北の海『在りし日の歌』
吉本隆明 佃渡しで『模写と鏡』
頑是ない歌『在りし日の歌』
山之口貘 処女詩集『鮪に鰯』
一つのメルヘン『在りし日の歌』
三木卓 系図『東京午前三時』
月夜の浜辺『在りし日の歌』
高田敏子 布良海岸『藤』
また来ん春…………『在りし日の歌』
冬の長門峡『在りし日の歌』 正午『在りし日の歌』谷川俊太郎 朝のリレー『谷川俊太郎詩集』
新川和江 わたしを束ねないで『比喩でなく』
三好達治 大阿蘇『春の岬』
ふゆのさくら『比喩でなく』
村野四郎 鉄棒『体操詩集』 飛込『体操詩集』
石垣りん シジミ『表札など』
表札『表札など』
金素雲訳 カフエー・フランス『乳色の雲』
くらし『表札など』
幻の花『表札など』
ふるさとを恋ひて何せむ『乳色の雲』
崖『表札など』
青葡萄『乳色の雲』
猫『乳色の雲』
菅原克己 マクシム『遠くと近くで』
永瀬清子 諸国の天女『諸国の天女』
吉増剛造 燃える『黄金詩篇』
山之口貘 畳『山之口貘詩集』
結婚『山之口貘詩集』
大木実 前へ『冬の仕度』
丸山薫 学校遠望『物象詩集』
谷川俊太郎 生きる『うつむく青年』
かっぱ『ことばあそびうた』
立原道造 夢みたものは ・・・・・・・・『立原道造全集』
いるか『ことばあそびうた』
高村光太郎 千鳥と遊ぶ智恵子『智恵子抄』
山麓の二人『智恵子抄』 レモン哀歌『智恵子抄』 吉野弘 虹の足『虹の足』
新川和江 歌『土へのオード 13』
荒涼たる帰宅『智恵子抄』
荒川洋治 見附のみどりに『水駅』
岡本潤 夜の機関車『夜の機関車』
谷川俊太郎 芝生『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』
草野心平 富士山 作品第肆『富士山』
高田敏子 小さな靴『むらさきの花』
金素雲訳 石ころ『朝鮮詩集 前期』
吉野弘 生命は『北入曽』
希望『朝鮮詩集 中期』
茨木のり子 自分の感受性くらい『自分の感受性くらい』
三好達治 かへる日もなき『花筐』
吉野弘 祝婚歌『風が吹くと』
石垣りん 空をかついで『略歴』
72 篇収録
井坂洋子 朝礼『朝礼』
中桐雅夫 会社の人事『会社の人事』
崔華國 洛東江『驢馬の鼻唄』
栗原貞子 生ましめん哉『黒い卵』
入沢康夫 未確認飛行物体『春の散歩』
三好達治 祖母『測量船(南北書園版)』
石垣りん 洗剤のある風景『やさしい言葉』
永瀬清子 だまして下さい言葉やさしく『大いなる樹木』
永瀬清子 あけがたにくる人よ『あけがたにくる人よ』
堀口大学 母の声『人間の歌』
3 昭和戦後篇
新刊案内
122
◎ 2015 年 6 月刊行
国木田独歩 山林に自由存す『抒情詩』
島崎藤村 潮音『若菜集』
初恋『若菜集』
土井晩翠 星落秋風五丈原『天地有情』
荒城月『中学唱歌』
与謝野鉄幹 人を恋ふる歌『鉄幹子』
島崎藤村 小諸なる古城のほとり『落梅集』
椰子の実『落梅集』
西原大輔
与謝野晶子 君死にたまふことなかれ『恋衣』
上田敏訳 落葉『海潮音』
わすれなぐさ『海潮音』
近現代詩入門としての詩歌集〈アンソロジー〉、登場!
山のあなた『海潮音』
春の朝『海潮音』
何度でも出会いたい日本の名詩。
薄田泣菫 ああ大和にしあらましかば『白羊宮』
時代順にならべ鑑賞と注釈を添えた近現代詩入門。
森鷗外 扣鈕『うた日記』
蒲原有明 智慧の相者は我を見て『有明集』
茉莉花『有明集』
【本書の特徴】
北原白秋 邪宗門秘曲『邪宗門』
空に真赤な『邪宗門』
●鑑賞・注釈を添え、近現代詩の入門に最適です。
意気なホテルの『思ひ出』
●時代順に並べ歴史を掴める構成。
永井荷風訳 そぞろあるき『珊瑚集』
無題『珊瑚集』
●定説に加え、最新の研究成果も盛り込んだ解釈。
石川啄木 はてしなき議論の後『啄木遺稿』
定価 : 各 1,600 円(税別)
(分売可)平均 240 頁
ココアのひと匙『啄木遺稿』
飛行機『啄木遺稿』
北原白秋 片恋『東京景物詩及其他』
■推薦文(抜粋)
あかい夕日に『東京景物詩及其他』
福士幸次郎 自分は太陽の子である『太陽の子』
朗唱し、暗誦し、血肉に ── 林 望(作家・国文学者) 高村光太郎 根付の国『道程』 冬が来た『道程』
道程『道程』
ここに『日本名詩選』が、まさにその通史としての意識を 北原白秋 薔薇二曲『白金之独楽』
以て、近現代の名詩を選び、付するに注釈と読解鑑賞を以て ビール樽『白金之独楽』
したのは、まことに時宜に適(かな)ってめでたいと言わね 山村暮鳥 風景『聖三稜玻璃』
ばならぬ。無数の名作詩の森に分け入って、これらの詩を「選 萩原朔太郎 竹『月に吠える』 蛙の死『月に吠える』
猫『月に吠える』
田舎を恐る『月に吠える』
ぶ」という仕事は、按ずるに、さぞ悩ましいことであったろ
千家元麿 雁『自分は見た』
うと想像されるのだが、
その苦辛の果てに本書を撰(つく)っ 室生犀星 小景異情『抒情小曲集』
た西原さんの読解鑑賞が、冷静に醒めた意識で書かれている 寂しき春『抒情小曲集』
のもめでたい。
堀口大学 夕ぐれの時はよい時『月光とピエロ』
あとは一人でも多くの、特に若い読者が、この詩の世界を 西條八十 かなりや『砂金』
縦横渉猟して、自分の好きな作家や作品に邂逅し、之を朗唱 佐藤春夫 水辺月夜の歌『殉情詩集』
し暗誦し、さらにその詩人の詩集や周辺詩壇へと歩みを進め 海辺の恋『殉情詩集』 少年の日『殉情詩集』
秋刀魚の歌『我が一九二二年』
て行ってくれるのを願うばかりである。
佐藤春夫訳 つみ草『我が一九二二年』
『ダダイスト新吉の詩』
詩を読む「新しい」世界── 荒川洋治(現代詩作家) 高橋新吉 49[皿]
北原白秋 落葉松『水墨集』
露『水墨集』
知里幸恵訳 梟の神の自ら歌つた謡『アイヌ神謡集』
『日本名詩選』全三巻は、
明治から現代までの名詩の集成だ。
宮沢賢治 序『春と修羅』
永訣の朝『春と修羅』
近代詩・現代詩のアンソロジーは、いま極端に少ない。あっ 鈴木信太郎訳 都に雨の降るごとく『近代仏蘭西象徴詩抄』
ても編者の個人的な意向を反映したもので、客観性に乏しい。 山村暮鳥 春の河『雲』 おなじく[雲]『雲』
詩を書く人は多いのに、詩を読む人はいない。読むよろこび 北川冬彦 瞰下景『三半規管喪失』
を知る機会がない。アンソロジーの空白は、そのような事態 八木重吉 草に すわる『秋の瞳』
をもたらした。
萩原朔太郎 こころ『純情小曲集』
旅上『純情小曲集』
本書は、評価の定まった詩を中心にしたものだが、重要な 利根川のほとり『純情小曲集』
詩の存在にも目を向けている。また、解釈も精確で、作品の 小出新道『純情小曲集』
背景、時代の起伏を見渡すことができるよう工夫されている。 堀口大学訳 ミラボオ橋『月下の一群』
詩を読んでいて思うことは、どんなにいい詩にも、知られ 地平線『月下の一群』
ている詩にも、ときあかせない語句、表現があることだ。そ シヤボン玉『月下の一群』 耳『月下の一群』
佐藤春夫 海の若者『佐藤春夫詩集』
れらについても編著者による適切な注記があるので、作品の
北川冬彦 椿『検温器と花』
平原『検温器と花』
世界をこころゆくまで楽しみ、味わうことができる。詩が読 ラツシユ・アワア『検温器と花』
まれる「世界」をひろげたという意味で、画期的なものだと 吉田一穂 母『海の聖母』
日本名詩選 全 3 巻
思う。
1 明治・大正篇
76 篇収録
矢田部良吉訳 グレー氏墳上感懐の詩『新体詩抄』
外山正一 抜刀隊『新体詩抄』
新声社訳 ミニヨンの歌「於母影」 花薔薇「於母影」
2 昭和戦前篇
74 篇収録
八木重吉 母をおもふ『貧しき信徒』
素朴な琴『貧しき信徒』
草野心平 秋の夜の会話『第百階級』
高村光太郎 樹下の二人『現代日本文学全集』
各巻 の ISBN 1=ISBN978-4-305-70748-2 2=ISBN978-4-305-70749-9 3=ISBN978-4-305-70750-5
123
新刊案内
『太平記』
「剣巻」の挿絵の転用をめぐって―(山本岳史)
/ 5 舞の本『敦盛』挿絵考―明暦版と本問屋版を中心
にして―(宮腰直人)/ 6 屏風絵を読み解く―香川県
立ミュージアム 「源平合戦図屏風」の制作をめぐって
―(小林健二)/ 7 久留米市文化財収蔵館収蔵「平家
物語図」
・
「源平合戦図」について(伊藤悦子)/ 8 平
家納経涌出品・観普賢経の見返絵と『源平盛衰記』の交
差―「銀ニテ蛭巻シタル小長刀」の説話から貴女の漂流
松尾葦江 編
譚へ―(相田愛子)
Ⅳ 演じられた源平の物語
平家物語成立から 300 年の間に、一体何があったのか。
1 「平家物語」の「忠度都落・忠度最期」から展開した
ひろく院政期から近世まで、平家物語の本文流動から歴史・文
芸能・絵画―能〈俊成忠度〉の変遷と忠度・俊成・六弥
学のありようまで、つぶさに検証していく。
太の造型に注目して―(岩城賢太郎)/ 2 小袖を被く
日本文学史を考え直すための、新たな提案とも言うべき書。
巴の造型―『源平盛衰記』における能摂取の可能性を
めぐって―(伊海孝充)/ 3 君の名残をいかにせん―
源平盛衰記を平家物語の異本としてのみ研究するのではなく、
能《巴》
「うしろめたさ」のナラトロジー―(玉村 恭)
ひとつの「文化現象」としてとらえ、院政期から近世へ文化の
/ 4 狂言「文蔵」のいくさ語り―もう一つの石橋山合
動的な展開を観測する拠点として、他のジャンル、時代にも考
戦物語―(稲田秀雄)/ 5 土佐少掾の浄瑠璃における
察を及ぼして行こうとする野心的な書。
軍記の利用方法―「故事来歴」の趣向化―(後藤博子)
全体をⅠ文学・Ⅱ言語・Ⅲ芸能・Ⅳ絵画・Ⅴ歴史の五つのセクショ
/ 6 浄瑠璃正本における〈平家〉考―文字譜〈平家〉
ンに分け、付編「資料調査から新研究へ」を配し、源平盛衰記
の摂取と変遷をめぐって―(田草川みずき)
を中心にこの時代の文学・歴史をトータルに把握しようとする。
Ⅴ 時の流れを見さだめて
1 治承・寿永内乱期における和平の動向と『平家物語』
【目次】
(川合 康)/ 2 『源平盛衰記』の史実性―殿下乗合事
源平盛衰記の三百年(松尾葦江)
件の平重盛像再考―(曽我良成)/ 3 『平家物語』に
Ⅰ 源平の物語世界へ
みえる夢の記事はどこからきたのか(松薗 斉)/ 4 1 祇園精舎の鐘攷(序章)―祇 寺図経覚書―(黒田 彰)
和田義盛と和田一族―歴史・文学・芸能におけるその位
/ 2 『源平盛衰記』形成過程の一断面(原田敦史)/ 3 『源
置づけ―(坂井孝一)/ 5 『山田聖栄自記』と平家物
平盛衰記』の成立年代の推定―後藤盛長記事をめぐって―(大
語―平家物語享受の一齣―(高橋典幸)/ 6 静嘉堂文
谷貞徳)/ 4 『源平盛衰記』の山王垂迹説話(橋本正俊)/ 5
庫蔵賜蘆本『参考源平盛衰記』の注釈姿勢―奈佐本『源
『源平盛衰記』における文覚流罪―渡辺逗留譚を中心に―(小
平盛衰記』の引用を中心として―(岡田三津子)
助川元太)/ 6 頼朝伊豆流離説話の考察(早川厚一)/ 7 付編 資料調査から新研究へ
『源平盛衰記』の天武天皇関係記事―頼朝造形の一側面として
1 源平盛衰記写本の概要(松尾葦江)/ 2 源平盛衰
―(辻本恭子)/ 8 『平家物語』に見られる背景としての飢饉
記の古活字版について(高木浩明)/ 3 『源平盛衰記』
―木曾狼藉と猫間殿供応 ・ 頼朝饗宴の場面を通して―(セリン
漢字片仮名交じり整版本の版行と流布―敦賀屋久兵衛
ジャー・ワイジャンティ)/ 9 与一射扇受諾本文の諸相(平
奥付本・無刊記整版本・寛政八年整版本・寛政八年整
藤 幸)/ 10 『源平盛衰記』における京童部―弱者を嗤う「ヲ
版関連本をめぐって―(岩城賢太郎)/ 4 源平盛衰記
カシ」―(北村昌幸)/ 11 『源平盛衰記』と『太平記』―説
絵入版本の展開(山本岳史)/ 5 源平盛衰記テキスト
話引用のあり方をめぐって―(小秋元段)/ 12 『源平軍物語』
一覧(山本岳史)/ 6 [調査報告]平家物語・源平盛
の基礎的考察(伊藤慎吾)
衰記関連絵画資料(石川透・山本岳史・伊藤慎吾・伊藤
Ⅱ 文字と言葉にこだわって
悦子・松尾葦江)/ 7 フランス国立図書館蔵「源平盛
1 長門切の加速器分析法による 14 C年代測定(池田和臣)/
衰記画帖」場面同定表(伊藤悦子・大谷貞徳)
2 中世世尊寺家の書法とその周辺―「長門切」一葉の紹介を
あとがき(松尾葦江)
兼ねて―(橋本貴朗)/ 3 古活字版『源平盛衰記』の諸版に
ついて(高木浩明)/ 4 『源平盛衰記』巻第三に収められた澄
憲の「祈雨表白」をめぐって―三宝院本『表白集』
、実蔵坊真
如蔵『澄憲作文集』との関係―(志立正知)/ 5 『源平盛衰記』
語法研究の視点(吉田永弘)/ 6 源平盛衰記に見られる命令
を表す「べし」
(秋田陽哉)
Ⅲ 描かれた源平の物語
1 軍記物語の奈良絵本・絵巻(石川 透)/ 2 水戸徳川家旧
ISBN978-4-305-70766-6
蔵『源平盛衰記絵巻』について(工藤早弓)/ 3 寛文・延宝
C0095
期の源平合戦イメージをめぐって―延宝五年版『平家物語』の
定価:本体 15,000 円(税別)
挿絵を中心に―(出口久徳)/ 4 寛文五年版『源平盛衰記』 菊判・上製・カバー装・
と絵入無刊記整版『太平記』の挿絵―巻四十四「三種宝剣」と 728 頁 + 口絵 8 頁
◎ 2015 年 5 月刊行
文化現象としての
源平盛衰記
新刊案内
124
◎ 2015 年 7 月刊行
増鏡全注釈
河北 騰
後鳥羽帝の即位から、後醍醐帝の隠岐よりの還京まで、
十五代、約一五二年間を記した編年体の歴史物語の全注
釈。
「栄花物語」
「大鏡」
「今鏡」という一連の作品の物語的
系譜を継承し、歴史にすべて題材を採り、歴史性の極め
て強い物語作品である。
「原文」と、詳細な「語釈」
、解りやすい「通釈」
、作品
理解の手助けになる「解説」により構成される。
【首部では、後鳥羽院の和歌の才とその興隆を詳述、続
いて遠島流離を述べ、中間部では宴遊や愛恋、そして、
燗熟した頽廃美などを飽きる程に詳しく紹介し、尾部で
は後醍醐帝の親政回復の壮挙を、格調高い文章で纏め上
げる】…「第一編 増鏡概説」より
ISBN978-4-305-70774-1 C0095
定価:本体 12,000 円(税別)
A5 判・上製・函入・650 頁
◎ 2015 年 5 月刊行
続
五山文学研究
資料と論考
堀川貴司
ISBN978-4-305-70776-5 C0095
定価:本体 8,800 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・360 頁
125
【目次】
第一編 増鏡概説
(一)増鏡の作者について
(二)成立時期について
(三)構成形式について
(四)増鏡の内容について
(五)増鏡作品の特徴
第二編 増鏡全注釈
序文/増鏡 上/増鏡 中/増鏡 下
あとがき
禅僧たちの文学活動をつぶさに説き明かす、待望の続
編。
倦まず弛まず書物と格闘し新たな文学作品を生み出し
た、禅僧たちの営みを明らかにする。
また、その後の近世文学への接続、同時代の和歌や説話、
公家社会の学問との関わりを探り、孤立しているよう
に見えている五山文学を日本文学の中に組み込むべく、
その存在を新たに捉える基礎作業を行う書。
【目次】
はしがき
第一部 総論 第一章 五山文学における偈頌と詩─
一休を焦点として─/第二章 名所としての中国─
「西湖」を中心に─/第三章 五山僧に見る中世寺院
の初期教育
第二部 注釈・講義 第四章 抄物の類型と説話/第
五章 禅林の抄物と説話/第六章 禅僧による禁中漢
籍講義─近世初頭『東坡詩』の例─/第七章 『覆簣集』
について─室町時代後期の注釈付き五山詩総集─
第三部 詩集・詩法 第八章 詩法から詩格へ─『三
体詩』およびその抄物と『聯珠詩格』─/第九章 「詩
歌合(文明十五年)
」について/第一〇章 定型として
の七言絶句─「詩歌合(文明十五年)
」を例に─/他
第四部 その他 第一七章 『香積南英禪師語録』に
ついて/第一八章 書評 張伯偉著『作為方法的漢文
化圏』
新刊案内
◎ 2015 年 5 月刊行
宮沢賢治の切り拓いた
世界は何か
梅光学院大学公開講座論集 63
佐藤泰正編
ISBN978-4-305-60264-0 C0395
定価:本体 1,000 円(税別)
四六判・並製・カバー装・218 頁
◎ 2015 年 4 月刊行
古典不要論への反撃 !?
書評劇場
上野 誠
ISBN978-4-305-70772-7 C0095
定価:本体 1,200 円(税別)
四六判・並製・カバー装・
188 頁
新刊案内
東北の農民のために己れの生涯を尽くそうとした
賢治の作品が、再び新たな力をもって我々に深く迫る。
〈文学の力〉とは何か、ここに改めて問う──
【目次】
賢治の「おもしろさ」と「むづがすさ」
●原子朗
生命と精神――賢治におけるリズムの問題
●原子朗
分子の脱自
――宮沢賢治のトーテミズム、その墜落と飛行
●鎌田東二
「グスコーブドリの伝記」と三・一一東日本大震災
──あるいは宮沢賢治と法華経
●北川透
宮沢賢治の根底なる宗教性
――大乗起信論・如来寿量品・宇宙意志――
●山根知子
同時代に生きた宮澤賢治と金子みすゞの世界
●木原豊美
宮沢賢治と『アラビアンナイト』
――『春と修羅』収録詩篇を中心に――
●加藤邦彦
宮沢賢治の生涯をつらぬく闘いは何であったか
●佐藤泰正
読む楽しさを伝える、古典と歴史の読書案内。
今や、抱腹絶倒の書評家として名をはせる著者の真骨
頂!
読売新聞掲載の書評をまとめ、古典教師のホンネを綴っ
たおもしろうてやがて悲しきエッセイも収録。書物と対
話し、生への思索を深めてきた思考の軌跡がここに。
【目次】
はじめに
Ⅰ 書物の劇場
1 時代と人間 日本人の万葉集物語/女帝から見た
日本古代史/傑出した奈良時代天皇論/愛の帝国の理
想/地方官人たちの古代史 ほか
2 人間と文学 古典学者の力量を知る/淡い味付け
の意味するもの/古典学者の自己プロデュース/歴史
にイフを持ち込むことの是非を問う? ほか
3 文学と文化 古典世界への回路/漢文教育改革案
/歌の国、日本へ/言葉につく手垢とは? ほか
4 文化と時代 通史を書く、覚悟と勇気/「帰化人」
から「渡来人」へ/出雲、沖ノ島、そして伊勢/古典
と現代短歌を結ぶもの ほか
Ⅱ 古典教師の煩悶
試験の季節/急所は何か?/阿倍仲麻呂/古代の神と
天皇/教師について/学問の東西
おわりに/初出一覧/書評 編著者名索引/書名索引
126
◎ 2015 年 5 月刊行
【目次】
第Ⅰ部●王朝和歌研究の方法/第 1 章 総論 王朝和
歌研究の方法/付節 和歌とジェンダー―ジェンダー
からみた和歌の「ことば」の表象―/第Ⅱ部●初期定
数歌論―N-gram 分析から見た古典和歌/第 2 章 古今
風の継承と革新―初期定数歌論―/第 3 章 曾禰好忠
「三百六十首歌」試論―反古今的詠歌主体の創出―/第
4 章 『恵慶百首』論―N-gram 分析によって見た「返し」の
近藤みゆき
特徴と成立時期の推定―/第 5 章 相模集所載「走湯権現
奉納百首」論―誰が「権現返歌百首」を詠じたか―/第
実証的研究を目指す書。王朝和歌文学を、従来的な表現研究、 Ⅲ部●源氏物語論―言語と和歌史の観点から/第 6 章 伝記研究、書誌研究の枠組みだけではなく、言語学・歴史学・ 男と女の「ことば」の行方―ジェンダーから見た『源氏
『源氏物語』の「ことば」/
社会学といった人文科学の隣接分野、理系の情報処理研究と 物語』の和歌―/第 7 章 結び合うものとして、実証的に研究を展開していく。様々な 浮舟の「ことば」―「飽く・飽かず」論―/第 8 章 紅
梅の庭園史―手習巻「ねやのつま近き紅梅」の背景―/
分野の観点と手法を、個別にではなく、相関的・総合的に関
第Ⅳ部●古代後期和歌の諸問題/第 9 章 『拾遺和歌集』
わらせながら考察し、なおそれらが各研究分野に対し何らか
の成立―勅撰和歌集における王権・政権と和歌の問題と
の提言となるように進めていく。
して―/第 10 章 『古今集』
「哀傷歌論」―新たな死生
王朝和歌研究の方法
ISBN978-4-305-70773-4 C0095
定価:本体 9,500 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・416 頁
◎ 2015 年 7 月刊行
越中万葉をあるく
歌碑めぐり MAP
高岡市万葉歴史館編
ISBN978-4-305-70777-2 C0095
定価:本体 1,000 円(税別)
A5 判・並製・カバー装
96 頁フルカラー
127
観の表出―/第 11 章 平安中期和歌における聖徳太子
伝受容―流布本『相模集』天王寺題和歌を中心に―/第
Ⅴ部●言語研究としての展開/第 12 章 N-gram 統計
による語形の抽出と複合語―平安時代語の分析から―
/第 13 章 『古今和歌集』と『源氏物語』―言語リソー
ス論試論―/第 14 章 N-gram 分析による古典研究の
これまでとこれから―付『古今和歌集男性特有表現一覧
(改訂版)
』―【別表 1】
【別表 2】古今和歌集男性特有表
現一覧(改訂版)/初出一覧/おわりに/索引(人名・
書名・和歌初句)
越中ゆかりの万葉歌をたずねるすべての人へ。
「越中万葉」とは、
『万葉集』編纂に大きく関わった大伴
家持が、越中守に任ぜられ、いまの高岡市伏木にあった
国庁に赴任し、越中国で詠んだ歌々を中心とした三三〇
首を称するもの。
本書は、越中の万葉故地を訪ねるよすがとなるように、
越中万葉歌碑の所在を地図にした案内書です。
【目次】
刊行にあたって/大伴家持がみた越の国、万葉のふる
さと高岡とは。/万葉の世界に浸れる文学・観光散歩
のために 万葉故地を紹介 ! /●歌碑めぐり MAP /
能登・富山地図/ 1 □射水郡/ 1 高岡市・射水市図/
「越中国府」周辺/ 2 越中国府・二上山周辺/ 3 高岡
市万葉歴史館周辺/ 4 高岡市能町/ 5 高岡市石瀬/ 6
高岡市中田/「奈呉の浦」周辺/ 7 放生津周辺/ 8 越
中大門駅周辺/ 9 布目沢周辺/「布勢水海」周辺/ 10
氷見から羽咋/ 11 阿尾城周辺/ 12 加納八幡神社周辺
/ 13 上庄川左岸排水機場周辺/ 14 布勢水海旧跡/ 15
十二町潟水郷公園周辺/ 16 速川公民館周辺/ 2 □礪
波郡/ 17 小矢部市・砺波市・南砺市/ 18 小矢部市周
辺/ 19 源平ライン/ 20 砺波市井栗谷周辺/ 21 南砺
市岩木周辺/ 3 □婦負郡/ 22 富山駅周辺/ 23 富山市
岩瀬浜駅/ 24 呉羽山周辺/ 25 富山市金屋/ 26 婦中
鵜坂駅周辺/ 27 富山市新庄/ 28 富山市八尾/ 29 松
川べり散策マッマップ/ 4 □新川郡/ 30 黒部宇奈月
温泉駅周辺/ 31 宇奈月町浦山駅周辺/ ほか
新刊案内
◎ 2015 年 4 月刊行
岩佐美代子セレクション 2
岩佐美代子セレクション 1
和歌研究 附、雅楽小論
枕草子・源氏物語・
日記研究
京極派和歌を中心に、その魅力を存分に味わう一冊。
『古今和歌集』『新古今和歌集』からはじまり、近代和歌
まで、和歌の魅力に触れつつ、多角的な側面から研究を
行った、和歌研究者・愛好者必読の一冊がついに刊行。
昭和 57 年から平成 26 年に至る 33 年間に発表した、既
物語・日記文学の面白さを新たに照らす、珠玉の一冊。
古今変わらぬ人間の感性に注目し、言葉を紡ぎあげた清少 刊研究書に未収録の、文章表現への探究が生んだ論文を
納言は、『枕草子』の中に何を表現したのか。華やかさや 集成。
儚さを持ち合わせた『源氏物語』の裏に紫式部が描きたかっ
た人の世とは。平成 13 年から 26 年に至る 14 年間に発表
した、既刊研究書に未収録の、文章表現への探究が生んだ 【目次】
はじめに/凡例
論文を集成。
【和歌研究 附、雅楽小論】
『古今集』『新古今集』の魅力―文学の神の指先
「春かけて」考―中世同種表現詠の解釈に及ぶ
【目次】
はじめに/凡例/清少納言から紫式部へ―二一世紀初頭に 「しほる」考
歌言葉「かげ」の歴史―古今集から玉葉風雅へ
一一世紀初頭を思う
俊成的世界の珠玉
【枕草子】
『玉葉集』の定家―勅撰全入集歌を見渡して
女はた、知らず顔にて―枕草子解釈考
為家の和歌―「住吉社・玉津嶋歌合」から『詠歌一躰』へ
『枕草子』
「……物」章段考察
恋のキイワード―為家と阿仏の場合
汗の香すこしかゝへたる
京極為兼の歌論と実践
【源氏物語】
大宮院権中納言―若き日の従二位為子
最高の№Ⅱ 頭中将
「伏見院宸筆判詞歌合」新出資料報告と続門葉集瞥見―
頭中将と光源氏
附、続門葉集作者部類
二人の命婦
嘉元元年伏見院三十首歌(歌人別現存全歌集成)
二人の中将の君
『玉葉集』と『栄花物語』
二人の侍臣・二人の侍女
音せぬ荻―玉葉集「読人しらず」考
『源氏物語』の涙―表現の種々相
冷泉家時雨亭文庫蔵『歌苑連署事書』翻刻と訳注
『源氏物語』最終巻考―「本に侍める」と「夢浮橋」と
「ね」か「おと」か
屏風の陰に見ゆる菓子盆
『桐火桶』をうらやむ
花や蝶やとかけばこそあらめ
対談 物語読解の楽しみ―行幸・藤袴巻の魅力〈岩佐美代 近代と和歌―穂積歌子昭和三年『歌日記』
* * *
子・石埜敬子〉
今様「よるひるあけこし」解釈考
* * *
若き日の妙音院師長―附、略年譜
朗詠享受に見る『枕草子』
『源氏物語』
初出一覧/あとがき/索引(和歌・研究者名・作品名)
【日記研究】
池田亀鑑先生におじぎ
寅彦日記と私
『たまきはる』考―特異性とその意義
『弁内侍日記』の「五節」
よとせの秋―中務内侍日記注釈訂正
『実躬卿記』ところどころ
『花園天皇宸記』と『徒然草』
『花園天皇宸記』読解管見
『花園天皇宸記』の「女院」
『方丈記』と『断腸亭日乗』と
臨場感の魅力―複製『花園院宸記』の意義
そりゃ聞えませぬ
初出一覧/和歌一覧/索引
(研究者名・作品名)
新刊案内
ISBN978-4-305-70764-2 C0095
定価:本体 10,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・336 頁
ISBN978-4-305-70765-9 C0095
定価:本体 12,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・386 頁
128
◎ 2015 年 4 月刊行
「文芸復興」の系譜学
志賀直哉から太宰治へ
平 浩一
ISBN978-4-305-70770-3 C0093
定価:本体 4,200 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・388 頁
◎ 2015 年 4 月刊行
色彩から見た王朝文学
韓国『ハンジュンロク』と『源氏物語』の色
李愛淑著
青山学院大学文学部日本文学科編
高田祐彦・小川靖彦企画
ISBN978-4-305-70771-0 C0093
定価:本体 700 円(税別)
A5 判・並製・56 頁・カラー口絵 2 頁
129
「文芸復興」とは、近代や今日の社会を考えるうえでの、
ひとつの重要な結節点である。
戦後文学や現代文学の礎が築かれた、1935 年を軸とす
る前後 5 年間に巻き起こった「文芸復興」を検証するこ
とから、近代日本の文学史自体を相対化し、見直してい
く。戦後文学・現代文学の読解の新たな可能性を導き出
していく書。
【
「文芸復興」それ自体については、近年、再考の契機を
欠いたまま、関心自体が薄れつつある。その結果、
「文
芸復興」というものが、よく分からない現象のようにみ
なされてきているように思われる。本書は、こうした研
究の背景をふまえ、近代日本の「文芸復興」研究が過疎
化した原因を探り、既存の文学史観から遺漏してきた要
素を中心に考察することで、
「文芸復興」という現象を
捉え直すことを試みるものである。
】……「はじめに─
─捨象された近代」より
【目次】
凡例/はじめに──捨象された近代/第一部 文学史
の形成と「文芸復興」──平野謙の文学史観を中心
とする戦後研究の検証/第二部 「純文学」外の要素
と「文芸復興」──ジャーナリズム・大衆文学を中心
に/第三部 「モダニズム文学」の命脈と「文芸復興」
──「新興芸術派」の位置/第四部 「文芸復興」か
らみる太宰治──新進作家の登場/おわりに──新た
な系譜に向けて/主要参考文献一覧/初出一覧/注/
あとがき/索引
ハングル ・ 仮名を獲得した女性は色をどのように描いた
のか。韓国の色彩文化への招待。
韓国の伝統的色彩についてのまとまった日本語の書物
は展覧会の図録があるくらいで、ましてや韓国王朝文学
の色についての研究は日本では紹介されていない。最新
の研究成果を反映した貴重な講演録。
儒教に束縛され、理念で制御された漢字世界に生きる朝
鮮王朝の女性にとって、
男女の情の意味も含む〈色〉は、
忌避し隠すべき対象であった。しかし東宮妃の自己語り
である『ハンジュンロク』は、ハングルを用いて色を感
覚の次元で表現してみせた。一方多彩な色の世界を描い
た『源氏物語』では、色を観念的に捉える傾向がある。
両国を代表する女性文学が正反対の志向をみせること
に着目。日韓を横断し『源氏物語』を専門にする学者が、
独自の視点を通して王朝文学に記された色彩の魅力を
読み解く。
【目次】
はしがき(小川靖彦)/講師紹介(小川靖彦)/Ⅰ はじめに/Ⅱ 韓国の伝統色/Ⅲ 韓国の王朝文学/
Ⅳ 『ハンジュンロク』とは/Ⅴ 『ハンジュンロク』
と色/Ⅵ 『源氏物語』の白衣/講演を聴いて―コメ
ントとレスポンス/■コメント(高田祐彦)/■レス
ポンス(李愛淑)/■会場からの質問への回答/青山
学院大学文学部日本文学科主催文学交流講座「日本と
韓国における色彩と文学」講演会「色彩から見た王朝
文学」について(高田祐彦)
新刊案内
◎ 2015 年 3 月刊行
日本人は日本を
どうみてきたか
江戸から見る自意識の変遷
田中優子編
※パンフレットをご用意しています。
ご一報いただければ送料無料でお送りいたします。
【目次】
今「日本人が日本をどうみてきたか」を
考えることの意義●田中優子
Ⅰ 「自国」を誰が/どの範囲で捉えるか?
「夷」の国の学問―漢学と国学●大木康
国難と日本意識【コラム】●横山泰子
人びとにとっての近世日本のかたち●米家志乃布
組み入れられる蝦夷●田中優子
支えにされた琉球●小林ふみ子
オモロと琉歌における「大和」のイメージ
●ヤナ・ウルバノヴァー
近世琉球人の他所認識
―近世八重山の人々から見た琉球王府そして薩摩・大
和・日本●内原英聡
怪物ではない〈日本の私〉●横山泰子
私たちはいかなる日本を選んでいるのか。
Ⅱ 「和の国」イメージの普及
人々が「日本人」と「日本」を
どのように考え、語ってきたかを知ることは
「倭国」から「和国」へ【コラム】●小口雅史
現代を考える「よすが」となる。
やわらかな好色の国・日本、という自己像
近代ナショナリズムへつながる思想も出現した、
●小林ふみ子
江戸時代を中心に、日本人が日本をどう語ってきたのか、
世阿弥能にみる日本意識
その言説の全体像に迫る!
―「平和」と「幽玄」―【コラム】●竹内晶子
鍵となるのは中国の「華夷秩序」に影響を受けた
日本の春画・艶本にみる「和合」●石上阿希
蝦夷・琉球・異国をはじめとする外部への姿勢と、
内部に存在する「和」
「武」
「神国」という異なる側面の共存
Ⅲ 「武の国」――願望のゆくえ
であった──。
近松の浄瑠璃に描かれた「武の国」日本●韓京子
【国家形成は民族対立を乗り越えるためのものであったはず
曲亭馬琴の「武国」意識と日本魂●大屋多詠子
だが、同時に国民としての利権を囲い込もうとする保守的な
武者の国日本の視覚化【コラム】●小林ふみ子
態度を生み出した。戦争でもないのに隣国とのちょっとした
壬辰戦争はどのように描かれたのか●金時徳
不和が国家主義的な感情をあおり、身近な外国人の存在が
─江戸中後期の絵本・浮世絵を中心に
一部の人々の不平等感を激高させる。そのもとで外国につい
て、また日本について感想を述べる膨大な書籍は刊行されて
Ⅳ 「神の国」――近代をつくった自国認識の登場
も、「日本人自身が日本をどう考えてきたか」という問いは、
なかなか発せられない。日本という対象、それを表現する日
浄瑠璃にみる神道思想●林久美子
本人、それを分析する日本人、という重層的な関係を設定す
平賀源内の自国意識●福田安典
るには、それぞれの思想と方法が試されるからであろう。本
上田秋成と樋口道与
書はその困難な作業の出発点である。】……田中優子「今「日
─大坂文人の文化相対主義─【コラム】●長島弘明
本人が日本をどうみてきたか」を考えることの意義」より
仙台藩の能『神皇』─塩竃の神が「異人」を追い払う
●津田真弓
開国期における「異国と自国」の形象
─神風・神国・神風楼●川添裕
ISBN978-4-305-70769-7 C0091
定価:本体 1,800 円(税別)
A5 判・並製・カバー装・248 頁
新刊案内
●左記の序文を全文掲載しています
http://kasamashoin.jp/2015/02/post_3179.html
130
JunCture(ジャンクチャー)、第 6 号の特集は「触発
するメディア」です。【メディアとは、もともと媒介
を意味している。(中略)本特集で問題化するのは、
(ジャンクチャー)
媒介するという行為である。情報が媒介されて流通し
ていくその過程は、決して単純な反復におさまるもの
超域的日本文化研究 特集 : 触発するメディア ではない。】
【目次】木曽川の涙/安世鴻 特集 : 触発するメディア
「平民」行商たちの情報戦─革命時代における日本
名古屋大学「アジアの中の日本文化」研究センター 語メディアの抗争/高榮蘭●南洋の桃太郎─民話、植
民地政策、パロディ/ロバート・ティアニー(大﨑晴
美訳)●メディアとしての白蓮事件─事件報道と「鳳
凰天に愽つ」をめぐって/笹尾佳代●流言というメ
代行販売しています
ディア─関東大震災時朝鮮人虐殺と「15 円 50 銭」を
めぐって/安田敏朗●柳瀬正夢の漫画と一九三〇年代
中国の左翼美術─媒介としての魯迅と内山書店/秦剛
●敗戦直後の天皇制の危機とマスメディア/河西秀哉
研究論文 呼吸法と手段としての「感化」─藤田式
息心調和法実験談の分析を中心に/上野晃平●『夜明
け前』の歴史叙述と〈近代〉─島崎正樹「ありのまゝ」
との比較から/岡英里奈●馬海松における国家観形成
─生存をめぐる民族と国家の問題を中心に/張ユリ●
東亜文芸復興の夢─「東亜文芸復興」なる運動から日
中戦争期の知識人の営みを見る/張鈴●クィア・ファ
ミリーの誘惑─小島信夫『抱擁家族』における歓待の
ISBN978-4-305-00296-9 C0095
法/村上克尚● 1968 年の可能性─村上龍『69』にお
定価 : 本体 1,800 円(税別)
けるロックとフェスティバル/張政傑 ほか
B5 判・並製・224 頁
◎ 2015 年 4 月刊行
JunCture
◎ 2015 年 3 月刊行
昭和文学研究
第 70 集
昭和文学会編
ISBN978-4-305-00370-6 C3393
定価 : 本体 4,200 円(税別)
A5 判・並製・86 ページ
131
第6号
昭和期の文学を中心とする近現代文学の研究を対象と
した学会誌。従来、会員以外は入手困難でしたが、通
常の書籍同様、書店にてご注文いただけるようになり
ました。年 2 回刊行。定期ご購入をご希望の場合は入
会されると金額的にお得です(年会費 7000 円、入会
金 1000 円)。【目次】【論文】テロルと、ダダと、オナ
ニーと―記憶のなかのアヴァンギャルド―●野本聡/
村上春樹「青が消える(Losing Blue)」が消したもの
―「青が消える」と "Losing Blue"―●原善/【研
究動向】高村光太郎●長尾建/吉本隆明●中村ともえ
/大西巨人●山口直孝/【研究展望】森敦研究の可能
性―生成過程と実地踏査から―●井上明芳/文庫の編
集をめぐって―泉鏡花の場合―●田中励儀/構築と脱
構築―『コレクション・モダン都市文化』の完結まで
/から―●和田博文/【書評】庄司達也・中沢弥・山
岸郁子編『改造社のメディア戦略』●黒田俊太郎/川
鍋義一著『吉本隆明初期詩篇論―我と我々と―』●疋
田雅昭/内藤由直著『国民文学のストラテジー―プロ
レタリア文学運動批判の理路と隘路―』●鳥羽耕史/
宮坂康一著『出発期の堀辰雄と海外文学―「ロマン」
を書く作家の誕生―』●戸塚学/位田将司著『「感覚」
と「存在」―横光利一をめぐる「根拠」への問い―』
●高橋幸平/一柳廣孝著『無意識という物語―近代日
本と「心」の行方―』●小澤純/西田谷洋著『ファン
タジーのイデオロギー―現代日本アニメ研究―』●大
橋崇行/【新刊紹介】ほか。
新刊案内
◎ 2015 年 3 月刊行
後鳥羽院和歌論
【目次】
凡例
序章
第一編 都における営み
寺島恒世
後鳥羽院にとって、和歌とはいかなる営みであったのか。
予断のない検証を試みる。
君臣和楽を求める一方、隠名や女房を名乗って優劣を競い合
う歌壇の主宰、王者の歌は何を目指したのか。定家の歌に魅
せられ、その振る舞いに苛立ち、終生とらわれ続けるのはな
ぜか。〈タテ〉と〈ヨコ〉の関係が交差する〈場〉の生成に
着目し、始発期から隠岐に崩ずる最末期までの総体を読むこ
とから考える。
第一章 百首歌の主催
第一節 正治両度百首―表現の獲得―/第二節 内宮
百首―良経との関わりから―/第三節 千五百番歌合
百首と建保百首
第二章 句題五十首歌の表現
第三章 奉納三十首歌の性格
第四章 最勝四天王院障子和歌
第一節 歌と絵―定家との関わり―/第二節 歌書と
しての性格―場との関わり―/第三節 和楽の創出―
秀能との関わり―
第五章 後鳥羽院と定家
第一節 表現の特質/第二節 新古今和歌集撰歌資料
【その後鳥羽院が後代の勅撰集に重い役割を果たし続け得た から
のは、右に見た隆盛な活動を展開した新古今歌壇を形成せし め、その歌壇で率先して、のびやかにして繊細な感覚の、風 第二編 隠岐における営み
格を湛えた歌を詠み連ねたこと、及び、承久の乱を引き起こ
したのち、配所生活の芸能活動は唯一和歌に絞り、仏道に勤 第一章 遠島百首
しみながら、詠歌と編纂とに望ましい成果を求め、倦まず創 第一節 悲劇を歌うこと/第二節 改訂の熱意/第三
作に向かったことが理由である。人生前半の都での異様に充 節 諸本と成立/第四節 後代の受容
実した活動は当然として、後半の隠岐での活動は、追い詰め
られ、希望を失いながら、悟れぬ内面を表現する真摯な探求 第二章 後鳥羽院御自歌合と遠島御歌合
と、対照的な、孤の自己を最期まで王たらしめるべく、自在
な宮廷和歌を詠み続ける執念にも類する意思によって継続さ 第三章 詠五百首和歌
れた。立場上必然的に終生政治との関わりのうちに営まれた 第一節 歌われた世界/第二節 表現の特質
和歌は、特に後半においては、その徹しぶりにおいて、実情
実感歌と題詠歌とを問わず、政治の評価の如何に関わらない 第四章 定家家隆両卿撰歌合
達成を遂げていたのである。
】……終章第四節「後鳥羽院の 第一節 諸本と性格/第二節 注釈本文
和歌」より
第五章 時代不同歌合
『新古今和歌集』とその周辺、また、古代から中世への境界 第一節 定家への意識/第二節 番いの原理
たるこの時代の文学、文化を読み解くためにも、必読の書。
第六章 隠岐本新古今和歌集
第一節 隠岐本とは何か/第二節 削除の方法―春歌
に見る―/第三節 削除の基準
終章 後鳥羽院における和歌
第一節 定家・家隆との関わり/第二節 新古今時代
の源氏物語受容/第三節 勅撰集における天皇の歌/
第四節 後鳥羽院の和歌
ISBN978-4-305-70767-3 C0092
定価:本体 16,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・708 頁
新刊案内
初出一覧/あとがき/索引(人名・書名・和歌)
132
◎ 2015 年 2 月刊行
『源氏物語』
アイロニー詩学
玉鬘十帖の語り
松山典正
ISBN978-4-305-70760-4 C0093
定価:本体 5,500 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・240 頁
◎ 2015 年 3 月刊行
日本古代恋愛文学史
吉田幹生
ISBN978-4-305-70759-8 C0091
定価:本体 8,800 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・464 頁
133
玉鬘と源氏、二人の関係を「アイロニー」という概念を
ふまえて先行研究を読みかえる。
『源氏物語』へ理論を当てはめるのではなく、更新の手段
として物語と理論との往還が必要とされる。
そのため、
「源
氏物語から」理論そのものをとらえ直す試みとして本書
はある。
本書は、玉鬘の姫君が六条院世界を自らの論理によって
どのように相対化し、かつ能動的な物語として生きるの
かに焦点を当てる。第一章では成立論を参照し、玉鬘を
中心とした物語の読みについて確認する。また、玉鬘の
六条院入りに焦点を当て、女君の側から物語をとらえ直
す。第二章では、右近や花散里といった端役に注目し、
玉鬘との関係において物語にどのような影響をもたらす
のかを考察する。
第三章では、
玉鬘十帖の語り手に着目し、
叙述構造の位相において物語がどのように描かれるのか
を考える。
【目次】
凡例/前提となる事柄
第一章 玉鬘十帖の「筋」
第二章 端役たちの活躍
第三章 玉鬘十帖における語りと叙述の方法
引用文献を含む参考文献一覧/あとがき/索引
〈待つ女〉の誕生と展開──歌垣を出発点に、源氏物語
後の平安後期物語手前まで、深化する文学の流れをと
らえる。男の愛情を肯定する男性作家による時代から、
不信感を増大させる女性中心の文学へ。最終的に
〈執着〉
という男女共通の苦悩へ至る道筋を読み解く。作品の微
細な表現分析と巨視的な構想把握を駆使して描く、まっ
たく新しい文学史。
【六条御息所を「待つ女」と捉えたことを出発点として、
私の研究は〈待つ女〉という文学的素材の誕生や展開を
解き明かそうとする方向に向かうことになった。…額田
王論や…『竹取物語』論はそのような展望のもとに書い
たものである。そして…『蜻蛉日記』論を踏まえて、額
田王歌─(大伴坂上郎女「怨恨歌」
)─かぐや姫─道綱
母─六条御息所という系譜を軸として、日本古代の恋愛
文学史を記述しようと試みた…その後…人妻論を書いた
あたりを契機として、私の研究は男の恋の問題にも関心
を拡大していくようになる。
】…本書「あとがき」より
【目次】
はじめに―日本古代恋愛文学史の構想
序章 七世紀以前の恋愛文学
第一篇 七・八世紀の恋愛文学
第二篇 九・十世紀の恋愛文学
第三篇 恋愛文学としての『源氏物語』
終章 十一世紀の恋愛文学―日本中世恋愛文学史へ―
初出一覧・あとがき・索引(作品名・研究者名)
新刊案内
◎ 2015 年 2 月刊行
連歌文芸論
岸田依子
中世は連歌の様式の生命がまさに息づいていた時代で
あった。中世に隆盛した連歌文芸を対象に、
〈座〉の文
芸である連歌様式の生成と展開、連歌師の連歌句集や連
歌論書等の諸作品、ならびに戦国期の連歌師の生活と深
く結びついた紀行について考察。刻々と変容する中世
という歴史的・社会的・文化的な環境の〈場〉において、
連歌様式が外的環境とどのように切り結びつつ、どのよ
うな文芸として存在したのか、多面的な視点で立体的に
捉える。
【中世の始発期に、なぜ連歌百韻の様式が形成された
のか。連歌文芸は、都鄙貴庶を問わず、なぜ中世にお
いて隆盛を見たのか。本書では、黎明期における連歌
の座と様式の生成過程や、様式の意味や機能をあらた
めて問い直すところから始めている。連歌の作品研究
を行ううえでも、踏まえておくべき本質的な課題と考
えるゆえである。ついで、連歌確立期の能阿・専順・
心敬ら七賢の連歌師の諸作品の考察、ならびに連歌最
盛期を迎え、地方での連歌指導のため都鄙を往還する
戦国期を代表する連歌師、宗祇・宗長・紹巴の紀行に
ついて考察し、多様な視点から連歌文芸の諸問題の探
究を試みている。】……「はじめに」より
ISBN978-4-305-70757-4 C1092
定価:本体 9,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・388 頁
◎ 2015 年 3 月刊行
原文&現代語訳シリーズ
讃岐典侍日記
[さぬきのすけにっき]
小谷野純一訳・注
【目次】はじめに/第Ⅰ部 連歌の座と様式/第Ⅱ部
作品考/第Ⅲ部 連歌師と道の記/おわりに/初出
一覧/あとがき/索引(連歌・和歌・人名・書名)
愛が基底にながれる、日本文学史上、極めて稀有な日
記作品を現代語訳で紹介。
襲い来る病苦に呻きつつ、死に傾く堀河帝に何もなし
得ない無力感を感じつつ、ひたすら、愛執の眼差しを
注ぎ、病床に添い臥しながら、その体感を内奥に刻印
する…。
情動のほとばしりとしての言説を的確に見きわめた著
者が、丁寧に日記の世界に誘う。原文と現代語訳、詳
細な解説、脚注語句索引、和歌各句索引付き。
【目次】
凡例/上巻/下巻/解説/改訂本文一覧/索引(脚注
語句・和歌各句)
ISBN978-4-305-70424-5 C0395
定価:本体 1,700 円(税別)
四六判・並製・カバー装・240 頁
新刊案内
134
◎ 2015 年 2 月刊行
【目次】
Ⅰ 文学芸能総論
第一章 琉球の芸能
第二章 冠船芸能の変遷
Ⅱ 組踊論
第一章 能楽と組踊
第二章 組踊と中国演劇
琉球と日本、その位置と意義に果敢に取り組んだ軌跡。
第三章 躍奉行―玉城朝薫任命の意味― ほか
戦後の琉球文学・文化研究を牽引した、琉球大学名誉教授・ Ⅲ 古典舞踊論
池宮正治の厖大かつ多岐に渡る仕事を、内容別に収録する。 第一章 琉球舞踊の概観
【全三巻の著作集に示される池宮の学問の広さと研究論文 第二章 琉球舞踊の美
の質量は、「沖縄学」研究の先達、伊波普猷や東恩納寛惇、 第三章 江戸期の舞踊絵巻―琉球人舞楽御巻物 ほか
仲原善忠の研究に連なるものである。池宮の研究は、これ Ⅳ 三線音楽論
らの「沖縄学」研究の先達の研究の一部を、あるいは多く 第一章 三線繁盛記
を深化させている。
(中略)すなわち、現在到達した琉球 第二章 沖縄の三線
文学研究、琉球文化研究の水準が示されているといえる。】 第三章 「エエ四」の系譜―知念芭蕉紙エエ四の芸能史的位置―
……本書「
『池宮正治著作選集』を編集するにあたって」
(島 第四章 三味線古資料略解
村幸一)より
Ⅴ 民俗芸能論
第一章 エイサーの歴史
第二章 「踊番組」に見る八重山芸能の受容と展開
Ⅵ 近代演劇論
第一章 近代沖縄演劇の歩み
日本文学における琉球文学の位置づけ、「オモロ」
「琉歌」 第二章 沖縄芝居参上―明治二六年京阪・名古屋公演―
研究の方法、著者の研究の中心であり、今日のオモロ研究 第三章 歌劇「伊江島ハンドー小」前史 の水準を示した『おもろさうし』論など、従来の説を深化
させるとともに、新たな課題を投げかける、19 本の論考
を収録。解説 島村幸一。
ISBN978-4-305-60051-6 定価 : 本体 12,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・角背・496 頁(口絵 4 頁)
琉球が統一国家となる三山統一の神格化を疑い、通説を覆
す論を提示。首里城という空間や来歴、対中国関係、王権
【目次】
をめぐる儀礼、祭祀、服飾や、和文学とヤマトの文学のか
Ⅰ 琉球文学総論
かわりなど、著者により問題群が開拓された、19 本の論
第一章 琉球文学総論 文と 2 本のエッセイを収録。解説 小峯和明。
第二章 琉球文学の位置づけ
ISBN978-4-305-60053-0 定価 : 本体 12,000 円(税別)
第三章 琉球文学研究の課題
A5 判・上製・カバー装・角背・496 頁(口絵 4 頁)
Ⅱ 『おもろさうし』論
第一章 『おもろさうし』概説
第二章 『おもろさうし』の世紀―歌謡が語る琉球の中世 【目次】
第三章 王と王権の周辺―『おもろさうし』にみる―ほか 口絵 系図
Ⅲ 琉歌論
Ⅰ 歴史叙述・説話伝承論
第一章 琉歌の世界
第一章 琉球の歴史叙述―『中山世鑑』から『球陽』へ
第二章 恋の琉歌
第二章 歴史と説話の間―語られる歴史
第三章 『疱瘡歌』解説
第三章 漂流と大魚の救助説話―『球陽』を中心に―
Ⅱ 歴史文化論
第一章 王朝の文芸―首里城と城下の面影―
第二章 王府の祭祀と信仰
第三章 琉球王府の朝貢と進貢 ほか
能や中国演劇が組踊に与えた影響、作者、上演の場や衣装、 Ⅲ 和文学論
琉球舞踏や三線の楽譜について、家譜や冊封使録など様々 第一章 和文学の流れ
な資料を駆使して考察し、古典芸能の姿を明らかにすると 第二章 本土文芸の受容
ともに、先学未開の分野であった近代沖縄の演劇研究を切 第三章 王城朝薫の和歌和文―生誕三百年によせて ほか
Ⅳ その他
り拓いた、25 本の論考を収録。解説 島村幸一。
第一章 沖縄から来た " 留学生 "
ISBN978-4-305-60052-3 定価 : 本体 12,000 円(税別)
第二章 仲宗根先生と私
A5 判・上製・カバー装・角背・544 頁(口絵 4 頁)
池宮正治著作・論文目録 島村幸一・綱川恵美
池宮正治著作選集
全3冊
1
琉球文学総論
3
琉球史文化論
2
琉球芸能総論
【推薦】古橋信孝(武蔵大学名誉教授) 狩俣恵一(沖縄国際大学副学長) 豊見山和行(琉球大学教授)
※パンフレットをお送りいたします「池宮正治著作選集 パンフレット希望」としてお知らせ下さい。
135
新刊案内
◎ 2015 年 2 月刊行
忍者の教科書 2
新萬川集海
伊賀忍者研究会編
山田雄司監修
ISBN978-4-305-70768-0 C0021
定価:本体 700 円(税別)
A5 判・並製・58 頁・フルカラー
好評既刊 !
◎ 2014 年 2 月刊行
忍者の教科書
ISBN978-4-305-70724-6 C0021
定価 : 本体 600 円(税別)
A5 判・並製・48 頁・フルカラー
【目次】
1. 忍者の仕事
2. 忍者の歴史
3. 忍術と忍具
4. 忍者エッセイ
[特別寄稿]修験と忍
者●山田雄司(三重大
学人文学部教授)
/
『NARUTO』 と『ONE
PIECE』●吉丸雄哉(三
重大学人文学部准教授)
◎ 2015 年 2 月刊行
文法的詩学その動態
藤井貞和
ISBN978-4-305-70715-4 C0081
定価:本体 4,500 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・388 頁
新刊案内
伊賀・甲賀に伝わる忍術書『萬川集海(まんせんしゅ
うかい)』を紐解きながら、忍者の歴史、術や道具な
どをやさしく解説した前著、伊賀忍者研究会編・山田
雄司監修『忍者の教科書 新萬川集海』
(2014 年 2 月刊)
の上級編にあたります。
忍者・忍術の研究者・実践者である 6 名が、「忍者の
歴史」「忍術伝書」「忍術の心得」「甲賀忍者」「忍者研
究(歴史・文学)」などのテーマを前著よりも掘り下
げつつ、初級者にもわかりやすく伝受します。
【目次】
はじめに/1. 忍者の歴史をおさらいしよう!──情
報収集、情報発信のスペシャリストたち 忍者の歴
史と基礎知識●池田 裕/2. 忍術書を読んでみません
か?──極限状態で生き抜いた忍者たちの生きる術 忍術伝書の双璧『萬川集海』と『正忍記』●中島篤巳
/3. 忍術の心得を知ろう!──戦わずして相手を制
し共存する術 忍術伝承者が語る「忍びの心」●川上
仁一/4. 忍者の本当の姿とは?──こつこつと役を
務めた二人の忍者 甲賀忍者・山岡道阿弥と木村奥
之助●渡辺俊経/5. 忍者研究余滴──忍者・忍術研
究の現場から 古文書に見る忍者●山田雄司/ " 忍者
VS 忍者 " の系譜●吉丸雄哉/6. 伊賀・甲賀忍者史跡
探訪 伊賀編/甲賀編●池田 裕/おわりに
※パンフレットをご用意しています。
ご一報いただければ送料無料でお送りいたします。
物語や詩歌を読むことと、言語学のさまざまな学説た
ちとのあいだで本書は生まれた。
古典語界の文学を当時の現代文学として探究する書。
物語言語、詩歌のことばたちが要求する現実に沿って
文法の体系的叙述を試みる。
【
〈 詩 学 〉 は 私 に と り、 ぜ ひ 利 用 し た い 語 で あ る。
poetics(詩学)と言えば、多くのひとがアリストテレ
ス『詩学』を思い浮かべる。それでよいはずだ。広く
劇詩(―悲劇)や叙事詩が念頭にある。劇詩を念頭に
おけば能や浄瑠璃世界が視野にあるし、叙事詩のすえ
には軍記物語から物語文学までが浮上する。そういう
世界的な広がりで見ることに遠慮しなくてよい。とと
もに、狭義の〈詩の文法〉というか、詩歌を成り立た
せる詩的言語の動態へと、私としては、自分の創作家
的関心からも、一歩も二歩も踏みいりたい。古典詩歌
(古代歌謡、『万葉集』歌、『古今集』歌など)、連歌や
俳諧、近代詩さらに現代詩は、日本語の詩としてアイ
デンティファイする(同一とみなす)ことができるは
ずだ。世界の詩や詩人たちの営為にふれてゆくために、
日本語の詩から何が立ち上げられるか、ということで
もある。】……はじめにより
【目次】
『文法的詩学』から本書『文法的詩学その動態』
へ/ Notes /一部 意味と意味を働かせる機能と/二
部 機能語の詩学/三部 詩歌の表現文法/四部 リ
ズム 音韻 文字/五部 言語社会とうた/初出一覧
/終わり書き/索引(文法事項・人名)
136
◎ 2015 年 2 月刊行
古代歌謡とはなにか
読むための方法論
古橋信孝・居駒永幸編
古代歌謡を読むには方法が必要である。
琉球、万葉と周辺を抱え込み、新たな視角を模索し、
表現論と作品論を、連続し関連する課題として究明す
る 21 編。
古代歌謡を中心とした文学の戦後研究史、「歌謡と和
歌」
「民謡」
「童謡」「時人」の各研究史をまとめ、歌
謡研究を概観している用語解説も収録。研究史を振り
返り自分たちの位置を確かめることが新たな方法を導
く。
[執筆]古橋信孝、居駒永幸、石川久美子、遠藤集子、
倉住薫、近藤信義、坂根誠、島村幸一、鈴木崇大、関
口一十三、高桑枝実子、田中美幸、綱川恵美、森朝男、
山口直美、山崎健太、横倉長恒。
【目次】
序論─古代歌謡研究の新地平を目指して
Ⅰ 歌謡の生態/Ⅱ 歌謡と物語(歴史 ・ 神話)
Ⅲ 歌謡から和歌へ
Ⅳ 対論 歌謡の人称
Ⅴ 研究史
VI 歌謡研究概観
VII 古代歌謡研究会記録
ISBN978-4-305-70756-7 C3092
定価:本体 13,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・476 頁
◎ 2015 年 1 月刊行
王梵志詩集注釈
おうぼんし
敦煌出土の仏教詩を読む
辰巳正明
※パンフレットをご用意しています。
ご一報いただければ送料無料でお送りいたします。
幻の詩集、初の全訳。
日本平安時代初期の藤原佐世撰『日本国見在書目録』
(西暦八〇〇年代後半)に『王梵志詩二巻』『王梵志集
二巻』と見えていたが、以後日本・中国ともに行方不
明となったものの、20 世紀初頭敦煌蔵経洞が開かれ「敦
煌遺書」の中に発見された詩集を、現代日本語訳で読
む。本詩集は、真剣にこの世に生きる人や、生死を考
える人々には、宗教性を超えたゴスペルの書であり、
時代を超えた精神の癒しの内容が満ちている。
【目次】
解題
凡例
作品番号
王梵志詩集〔序〕
王梵志詩集巻一~王梵志詩集巻七
跋
索引
ISBN978-4-305-70758-1 C0095
定価:本体 12,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・480 頁
137
新刊案内
ものを尊重し、あとの【本文】などに述べる方針によっ
て調整する。
【本文】[1]歌の部分だけを対象とし、序・詞書・左
注などはふくまない。[2]本文は索引のよっているも
のをとり、解釈や漢字の読みも原則として索引にした
がう。
[3]かけことばは、文脈からみて重要だと思わ
れる意味だけをとる。
【表の構成】表は 1 単語ごとに 1 行をもうけ、次の 10
種類のことがらを左から順に 29 列でしるす。
宮島達夫編
・見出し…かな表記。単語はこの五十音順に配列する。
・順…同音語のなかの順番。同音語がなければ空白。
・漢字…「見出し」の漢字表記。おおむね索引により、
代表的なもの。
・語種…空白 = 和語、漢 = 漢語、混 = 混種語。外来
※パンフレットをご用意しています。
語はない。
ご一報いただければ送料無料でお送りいたします。
・品詞…空白 = 名詞。他は品詞名の初めの漢字により、
動詞には活用の種類を添える。
万葉集全二十巻の中でどの単語が巻毎に何回ずつ使われてい ・注記…単語のはば、地名、漢字などにつき、必要に
るかを巻別にしめし、対照できる表としてまとめ、意味とと 応じて。
もに一覧できる、至便の書。語彙計量の入門に最適な「集計 ・巻数…20 巻中のいくつの巻でつかわれたか。
表 数値を見ることへのいざない」を収載。
・合計…20 巻で合計何回つかわれたか。
すべての単語に国立国語研究所編『分類語彙表』
(増補改訂版、・巻ごと…それぞれの巻で何回つかわれたか。つかわ
2004 年)の分類番号を記して、個々の単語がもつ性格も即座 れていなければ空白。20 列にわける。
に識別できるようにした。
『分類語彙表』は品詞と意味分野 ・意味分類…国立国語研究所編『分類語彙表 増補改訂
とを組み合わせた形になっている。
版』(2004 年 大日本図書刊 ) の意味分類の項目の番号
品詞としては体の類(名詞)
・用の類(動詞)
・相の類(形容詞・
および名称。いくつかの意味分類にわたるつかわれか
副詞)・その他の類(接続詞・感動詞など)があり、これに
たをしているばあいは、必要なだけしめす。
意味分野として/抽象的関係/人間関係の主体/人間活動-
精神および行為/生産物および用具/自然物および自然現象
■使い方をインターネット公開(PDF)
/が組み合わさる。分類番号については、CD にて分類番号
○ Excel による『万葉集巻別対照分類語彙表』データ
順語彙一覧を見ることができる。
の活用…小木曽智信(国立国語研究所准教授)監修・
表の数値によるいくつかの集計表を、巻末にしめす。集計表
笠間書院編集部編
には、どのように集計して、どのようなことを知るかという、
http://kasamashoin.jp/shoten/manyo_goihyo.pdf
解説をくわえる。語彙を計量的に研究するための入門となる
■本書のパンフレットを PDF 公開
であろう。
http://kasamashoin.jp/shoten/manyo_goihyo.pdf
本書に印刷されたすべてを、エクセル・ファイル、PDF ファ
イルとして CD におさめる。CD には、また、PDF ファイル
【目次】凡例/あ~を/集計表 数値を見ることへの
「Excel による『万葉集巻別対照分類語彙表』のデータの活用」
いざない ○付録 CD 万葉集巻別対照分類語彙表 .xls
( 小木曽智信氏監修 笠間書院編集部編 ) をおさめる。エク
/万葉集巻別対照分類語彙表 .xlsx /集計表 _ 数値を
セルによるデータ処理の初歩をしるしたものとして、本書の
見ることへのいざない .pdf /凡例 . 奥付 .pdf / Excel
データの活用のために有益である。
に よ る『 万 葉 集 巻 別 対 照 分 類 語 彙 表 』 デ ー タ の 活
用 .pdf /異なり語数・延べ語数・平均出現頻度 .xlsx
【資料】作品本文およびその用語の意味解釈は、おおむね、古
/ 20 巻すべてに出現した見出し語 .xlsx /巻数からみ
典索引刊行会『万葉集索引』(2003 年 塙書房刊 ) が採用した
た語数 .xlsx /高頻度語 .xlsx /万葉集全体での出現順
位・頻度・比率および累積 .xlsx / 20 巻すべてに出現
した見出し語_出現頻度順 .xlsx /万葉集語彙表 .xlsx
/万葉集語彙表 . 出現比率 .xlsx /万葉集語彙表 . 出現
順 位 .xlsx / 語 種 .xlsx / 品 詞 .xlsx / 20 巻 す べ て に
出現した見出し語_品詞別 .xlsx /分類語彙表の類・
部門・中項目・分類項目_および万葉集の見出し語
数 .xlsx /一語の意味分類の数 .xlsx /語数が多い意味
ISBN978-4-305-70751-2 C3081
分野 .xlsx / 20 巻すべてに出現した見出し語_意味分
定価:本体 9,500 円(税別)
類順 .xlsx /万葉集語彙表 . 意味分類展開 .xlsx /万葉
B5 判・上製・カバー装・256 頁
集分類語彙表 .pdf /万葉集の巻のあいだの類似度 .xlsx
付録 CD 付
/万葉集語彙表 . 出現頻度・比率対応 .xlsx
◎ 2015 年 1 月刊行
万葉集巻別
対照分類語彙表
新刊案内
138
◎ 2015 年 1 月刊行
西行学 vol.5
西行学会編
ISBN978-4-305-00405-5 C0395
定価 : 本体 4,200 円(税別)
A5 判・並製・216 頁
◎ 2015 年 1 月刊行
風土記研究 第 37号
風土記研究会編
ISBN978-4-305-00307-2 C3395
定価 : 本体 4,000 円(税別)
A5 判・並製・120 頁
139
2009 年 4 月に設立された新しい学会「西行学会」の機
関誌、
「西行学」の第五号です。
【目次】【大会講演記録】
西行と南部荘・蓮華乗院●高橋昌明【大会シンポジウム
記録 『撰集抄』をめぐる課題と展望】公開シンポジウ
ム「
『撰集抄』をめぐる課題と展望」全体報告●木下資
一/『撰集抄』の枠組みとしての西行仮託再考●近本謙
介/偽書としての西行『撰集抄』を成り立たせるもの―
康頼『宝物集』
、配流和歌、私撰集など―●山口眞琴/
西行虚像という視点●礪波美和子【研究論文】
『とはず
がたり』後編と西行―月の歌の影響を中心に―●高木 周/松平文庫本『西行発心物語』における漢籍故事の受
容―" 聖賢 " 的西行像の創造―●蔡 佩青【研究ノート】
『山家集』七五二・七五三番歌を読む―遊女との掛け合
いの歌をめぐって―●平田英夫【冬季富山・砺波大会
記録】
〈講演〉西行伝承地般若野荘の転変●久保尚文/
西行の月の歌●小島孝之〈シンポジウム 砺波・越中・
北陸の西行伝承〉から/北陸の西行伝承―「汐越の松」
を中心に―●花部英雄/民間説話の中の西行―北陸の
伝承を中心に―●松本孝三〈特別寄稿〉琵琶歌「西行」
●寺本靑嶺【西行ノート】
『山家集』の原風景を求めて
―遊行柳・白河の関所跡―●名古屋茂郎【西行文献目録】
西行関係研究文献目録(総合版)―二〇〇一~二〇〇二
年―●西行学会編【西行学の名著】玉城徹『西行―『山
家集』の世界』―玉城氏の研究者批判にどう応えるか―
●錦 仁【書評】平田英夫著『和歌的想像力と表現の射
程 西行の和歌活動』●阿部泰郎 ほか。
学会誌として、従来、会員以外は入手困難だったものが、
通常の書籍同様、書店にてご注文いただけるようになり
ました。年一回刊行。会員には配布されるので定期購入
をご希望の場合は入会されると金額的にお得です(年会
費 3000 円)
。
【目次】
風土記の地名と和名類聚抄の地名●蜂矢真郷
香島の天の大神と国譲神話●寺川眞知夫
『出雲国風土記』の時間表象●荻原千鶴
─「大穴持命」と「斐伊川」─ 『播磨国風土記』
「異剣伝説」をめぐって●岩田芳子
風土記関係書新刊・報告・予告
入会を希望される方は、下記の要領で事務局に申し込ん
でください。
1、氏名・所属・住所・電話番号、入会希望の旨を明記して、
以下のアドレスにメールを送信するか、あるいは事務局
宛に郵送してください。
〒 880-0929 宮崎市まなび野 3-5-1 宮崎県立看護大学
大館真晴研究室内 風土記研究会
メール fudokikenkyu @ gmail.com
2、
折り返し、
事務局から振替用紙を郵送いたしますので、
年会費 3,000 円を納入願います。
会費振込先 : 郵便振替 01790-3-143187 風土記研究会
:みずほ銀行伊勢支店 普通 1678297 風土記研究会
新刊案内
◎ 2014 年 12 月刊行
【目次】
パロディと日本文化
「はじめに」に代えて―果たして「パロディ」とは ?
●ツベタナ・クリステワ
1 パロディとメディア Parody and Media
ツベタナ・クリステワ編
物語再生装置としてのパロディ―『平家物語』を軸に―
●小峯和明
めかし/やつし―パロディ・見立て・
「瀟湘八景」―
●ハルオ・シラネ
時代も超え、詩歌・物語・絵画・食べ物など、ジャンルやメディ
「十二類歌合絵詞」の歌と絵における〈もどき〉の表現法
アも越え、国境をも越え、パロディを考え抜く、前代未聞の
●高橋 亨
試み。絵巻物からマンガまで、和歌から福澤諭吉まで。パロ 江戸時代の絵画、版画におけるやつし(見立)表現
ディを通して、日本文化を差異化し、再発見していこうとす ―『小倉山荘図』について―
る野心的な書。
●渡辺雅子
江戸時代の民画におけるパロディの精神―大津絵再考―
二〇〇九年十一月二十七~二十八日に国際基督教大学(ICU) ●クリストフ・マルケ
で開催された「パロディと日本文化」という国際シンポジウ ねじられたパロディ
ムでの発表をもとに成った書。
「パロディとカノン」
「パロディ ●田頭正太郎
とメディア」
「パロディとアイデンティティ」という三つの
テーマと、各論では追い切れなかったものを座談会で検討し、 2 パロディとカノン Parody and Canon
パロディに切り込んでいく。パロディ研究の広がりや、その
可能性、方向や方法を指し示した、かつてない書。
パロディとしての「擬古」の技巧
―『白露』の考察から中世王朝物語の再解釈へ―
執筆は、小峯和明/ハルオ・シラネ/高橋 亨/渡辺雅子/ ●ツベタナ・クリステワ
クリストフ・マルケ/田頭正太郎/ツベタナ・クリステワ/ 『源氏物語』における漢文化受容の位相
張 龍妹/金 鍾徳/染谷智幸/小島康敬/竹村信治/ジョ ●張 龍妹 シュア・モストウ/ M・ウィリアム・スティール/高崎 恵 継子譚の類型表現とパロディ
/古藤友子(執筆順)
。
●金 鍾徳
近世文芸においてパロディとは何だったのか
【
(本書は)和歌から福沢諭吉まで、時代の枠組みも超え、詩歌・ ―井原西鶴『本朝二十不孝』を中心に―
物語・絵画・食べ物など、ジャンルやメディアの境界も越え ●染谷智幸
ている。加えて、日本文化と他の東洋文化、日本文化と西洋 「性」と「聖」とを繋ぐ笑い―パロディ繚乱の江戸文化―
文化との比較を視野に入れたので、国境をも越えたものであ ●小島康敬
る。また、シンポジウムでは、主として西洋の文化的実践に
基づいている現代の文化論や文学理論の限界を超える、少な 3 パロディとアイデンティティ Parody and Identity
くとも、超えようとすることを目指したつもりである。
「パ
ロディ」というテーマだからこそできたことだが、それは反 パロディと主体
面、日本文化における「パロディ」があらゆるところに遍在 ●竹村信治
していることの証明にもなったように思う。
】……本書冒頭 見立絵・やつしに見るジェンダー
「果たして「パロディ」とは ?」より
●ジョシュア・モストウ
二つの para : オリジナルとイメージ群
●高崎恵
文明開化とパロディ―万亭応賀の『活論学門雀』―
● M・ウィリアム・スティール
中国飲食文化にみるパロディ―仮料理管見―
●古藤友子
4 座談会 Parody and Japanese Culture : Symposium
ISBN978-4-305-70747-5 C0095
定価:本体 4,800 円(税別)
A5 判・並製・カバー装・496 頁
新刊案内
はじめに/序―発表のまとめと議論の問題提起/破―
主要な問題点の確認/急―問題点づくし/むすびに
シンポジウム開催記録/執筆者プロフィール
140
◎ 2014 年 11 月刊行
五十嵐日記 古書店の原風景
古書店員の昭和
五十嵐日記刊行会編
五十嵐智
河内聡子
中野綾子
和田敦彦
渡辺匡一
ISBN978-4-305-70755-0 C0000
定価 : 本体 2,400 円(税別)
A5 判・並製・カバー装・328 頁
◎ 2014 年 11 月刊行
日本語を動的にとらえる
ことばは使い手が進化させる
小松英雄
早稲田で 50 年近い歴史を持つ、日本文学や日本史に強
い古書店、五十嵐書店を創業した五十嵐智氏の若かりし
頃の日記。19 歳の時山形から上京し、神田の古書店南
海堂で 10 年間働いた後独立した。本書はその間の独立
前夜の日記である。
日記の内容を助ける資料として、日記に登場する人名を
索引形式で人名一覧にまとめたほか、関連資料として
五十嵐家の家系図、五十嵐書店についての簡易な年表を
付した。
また、五十嵐氏が神田で独立した頃、その後、早稲田に
古書店を開業した頃の、それぞれの時期の近辺の古書店
地図も掲げる。南海堂から独立した古書店や関係の深い
古書店は数多いですが、それらについては南海堂関係古
書店の関係図を作成し、まとめた。
【……この日記が刊行されるにいたったのは、やはりそ
の内容の魅力によるところが大きい。この日記には、別
に書店員のめざましい活躍や珍しい取引が描かれてい
るわけではないし、また、うがった批評や難解な思想が
描かれているわけではない。
しかしながら、地方から一人上京し、ひたむきに古書
店で働く五十嵐青年の日々の記録には、故郷の家族との
やりとりや、つどって来る同郷者達の姿も含め、読んで
いて不思議に引きつけられてしまう。また、今読めば信
じがたいような光景や、笑いを誘うような出来事も少な
くない。
】……本書「はじめに」より
世界唯一の言語運用システムである、
「清音と濁音との
二項対立・音便・係り結び」は、日本語特有であるがゆ
えに、近世国学と結びついた学問体系により誤って解釈
されてきた。
情報を効率よく伝えるため、常に進化を続けるメカニズ
ムの、真の姿を明らかにする。
【目次】
お読みになるまえに―母語再訪への誘い
凡例
序章 母語についての共通理解を検討する―民族主義
から切り離して日本語をとらえる
1 章 ニホンとニッポン
2 章 原日本語の姿をさぐる―ラ行音の諸問題
3 章 濁音の諸相―二項対立が担う役割
4 章 音便形の形成とその機能
5 章 係り結びの存在理由―自然な長文を組み立てられ
るようになるまで
補論 日本語史研究のこれからのために あとがき
ISBN978-4-305-70753-6 C0081
定価 : 本体 2,400 円(税別)
四六判・並製・カバー装・346 頁
141
新刊案内
◎ 2014 年 10 月刊行
化物で楽しむ江戸狂歌
~『狂歌百鬼夜狂』をよむ~
江戸狂歌研究会編
ISBN978-4-305-70742-0 C0093
定価 : 本体 1,500 円(税別)
A5 判・並製・カバー装・264 頁
◎ 2014 年 10 月刊行
論集上代文学
第三十六冊
万葉七曜会編
ISBN978-4-305-00226-6 C3391
定価 : 本体 13,500 円(税別)
A5 判・上製・函入・284 頁
新刊案内
時は江戸時代。
面白おかしい化け物たちが今より身近にいた時代。
当時大流行した、これまたおかしな歌を詠む狂歌師た
ち。
ある夜、怪しいあばらやに集まると、
百「物語」ならぬ、百「狂歌」に興じ、
呑めや歌えや、出たの出ないの、大騒ぎ!
『狂歌百鬼夜狂』は、天明 5 年、蔦屋重三郎が企画した
狂歌会をもとに刊行されました。狂歌会には、狂歌ブー
ムの火付け役である四方赤良(大田南畝)をはじめ、16
名の狂歌師が集まり、当時人気の素材であった化物をお
題に、
「百物語」に倣って、百首の狂歌が詠まれました。
本書は、狂歌の基礎知識、各歌の原文・現代語訳・語釈、
化物の挿絵を収録。
江戸の化物と狂歌を、楽しみながら知ることの出来る1
冊です。
【江戸狂歌が最高潮を迎えた、天明盛時の雰囲気を色濃
く映し出したのが、この『狂歌百鬼夜狂』です。彼ら狂
歌師仲間は、江戸の暮らしを言葉で祝福し、明るく楽し
く謳いあげました。この作品を通して、化け物だけでな
く、ついでにそんな江戸狂歌の世界も覗いていただき
たいと江戸狂歌研究会一同願っています。…
「はじめに」
より】
上代文学研究の最新成果を世に問う、年 1 冊刊行のシ
リーズ第 36 弾。平成 24 年刊行の上代文学関係の単行
本・雑誌論文を網羅した文献目録付き。
[執筆]遠藤宏/稲岡耕二/山中宏樹/山口佳紀/山
崎健司/松本直樹/金井清一/林勉。万葉七曜会会員
逝去追悼文として、岡本凖水氏追悼●林勉、鈴木日出
男氏を悼む●白藤禮幸、を収録。
【目次】
万葉集の「孤語」(一)―予備的な調査―●遠藤宏
人麻呂歌集と初期万葉歌●稲岡耕二
相聞「田部忌寸櫟子任大宰時歌四首」並びに挽歌「天
皇大殯之時歌二首」考 ( 承前)●山中宏樹
「霹靂之日香天之」の歌の訓釈―『万葉集』三二二三
番歌について―●山口佳紀
大伴家持における体言止めの歌●山崎健司
モノを祭る王の〈神話〉作り―〈古事記神話〉の構想
―●松本直樹
古事記の「高千穂」「笠沙」「韓国」をめぐって、その
想定空間の検討●金井清一
兼右本敏達紀訓点の敬語表現―体言(上)―●林勉
上代文学研究年報二○一二年(平成二十四年)単行本
等・雑誌論文等●万葉七曜会編
万葉七曜会会員逝去追悼文
岡本準水氏追悼●林勉
鈴木日出男氏を悼む●白藤禮幸
142
◎ 2014 年 10 月刊行
新古今和歌集の新しい
歌が見つかった !
2012 年、鶴見大学図書館に「古筆手鑑」一帖が収蔵さ
れ、その中から、
『新古今和歌集』の歌としては、これ
までまったく知られていなかった一首が、新たに発見さ
れました。鎌倉時代のごく初期に書写された巻子本を、
主に観賞目的で分割した、いわゆる古筆切(断簡とも)
の一葉として、それは姿を現しました。
800 年以上埋もれていた幻の一首の謎を探る
本書は、その『新古今和歌集』新出歌を記載している断
簡について、あらためて紹介し、かつ関連資料を徹底的
に集めた上で考察するものです。
鶴見大学日本文学会・ドキュメンテーション学会/鶴見大学図書館[編]
日本古典文学研究の推理小説的な面白さや奥深さ、必要
性、重要性を存分に伝えるエキサイティングな書。本書
の原本資料を活用した、書誌学的・文献学的方法に基づ
く論述は、古典文学研究の魅力をあますところなく伝え
ます。図版多数掲載、フルカラー。
久保木秀夫・中川博夫著
ISBN978-4-305-70741-3 C0093
定価 : 本体 800 円(税別)
菊判・並製・60 頁・フルカラー
◎ 2014 年 10 月刊行
室町時代の少女革命
『新蔵人(しんくろうど)』絵巻の世界
阿部泰郎[監修]
江口啓子・鹿谷祐子・玉田沙織[編]
ISBN978-4-305-70745-1 C0093
定価 : 本体 2,200 円(税別)
B5 変型判・上製・カバー装・184 頁
143
【目次】
ご挨拶 [鶴見大学図書館 図書館長・二藤 彰]
はじめに―新出歌は、古典文学研究の推理小説的な面白
さや奥深さを伝える。
[久保木秀夫]
第 1 章 『新古今和歌集』新発見の一首の謎を探る―紹
介と考察―[久保木秀夫]
第 2 章 作者・解釈・配列 [中川博夫]
●主要参考文献
●鶴見大学図書館のご案内
少女は男となることを望んだ……!
男装して宮中にあがり、帝の愛をめぐって姉と争う少女
の物語絵巻。
男性だけが成仏できるとされた時代、女性はどのように
生きたのか―。
人物絵の隣に台詞が書かれた「室町時代のマンガ」とも
言える、ユニークな佳品。マンガ的吹き出しつき現代語
訳に加え、絵巻全体を写真で紹介。本作品が持つ意義も
多方面から、あますところなく伝えます。
『新蔵人』絵巻は中世に多く作られた短編の物語絵巻の
一つ。 絵は墨線のみによって描かれ、絵巻の縦寸法は
約 11 センチの小型です。 絵の中には言葉が書き込まれ
ていて、通常、それは場面説明や登場人物たちの台詞を
表しているものですが、
『新蔵人』では画面説明が一切
ありません。すべて登場人物たちの名前と会話だけで成
り立っているのが特徴です。 絵の前には、詞書という
文字テクストだけで成り立っている部分が存在し、交互
に展開することで物語は進んでいきます。 少女が男装
するといった物語の筋をとってみても、まさに室町時代
の「マンガ」!『とりかへばや』などの系譜に連なりつつ、
独自の結末を迎える
『新蔵人』
の世界をご堪能ください。
本書では、上巻をサントリー美術館本、下巻を大阪市立
美術館本を底本にしています。
新刊案内
◎ 2014 年 10 月刊行
平安朝文学と
儒教の文学観
源氏物語を読む意義を求めて
工藤重矩
ISBN978-4-305-70740-6 C0093
定価 : 本体 6,500 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・312 頁
◎ 2014 年 10 月刊行
王朝日記物語論叢
室伏信助
ISBN978-4-305-70738-3 C0095
定価 : 本体 13,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・618 頁
新刊案内
本書はその和文学の側の対応の経緯、苦闘の跡を、儒教
の文学観との関わりを通してたどろうとするものである。
それはおのずから「文学は何の役にたつか」という問に
対する、我が国における思考の跡をたどることでもある。
平安時代、古今和歌集にしても源氏物語にしても、和文
学(和歌や物語等の仮名の文学)がその存在意義を主
張しようとすれば、その障壁は常に儒教の価値観であっ
た。平安時代の和歌や物語等に対する見方も基本的に儒
教的文学観のもとにあったからである。それは平安時代
のみならず、中世はもとより近世にも及ぶ強固な障壁で
あった。
しかし和歌も物語も、儒教的価値観の埒外にあった。儒
教の経典のどこにも物語、和歌のことは何も書かれてい
ない。儒教的に見れば、政治的に道徳的に役に立たない
文章に社会的価値はないに等しかったのである。中央
官吏養成機関たる大学には、漢詩漢文による試験はあっ
ても、和歌による試験はない。平安時代初頭、和歌は無
用のもの価値無きものとして、儒教的価値の支配する
公的世界からの衰退を余儀なくされた。それは現代の、
入試科目にない教科が受験生の中で軽視されるのと同
じ事情である。それゆえ、和歌や物語の社会的有用性
を主張しようとする者たちは、きわどい論理を操りなが
ら、なんとか儒教的文学観と同調させ、あるいは仏教的
価値に寄り添いなどして、その存在意義を主張していっ
たのであった。
ことばの芸術として王朝の日記物語をきわめた究極の
論叢。氾濫する文化史研究からいかにして「文学」を取
り戻すか。
『土佐日記』
、
「伊勢日記」
(
『伊勢集』巻頭作品)
、
『蜻蛉
日記』
、
『紫式部日記』に連なる日記物語の系譜と、
『枕
草子』作者・作品論、
『伊勢物語』成立展望、
『竹取物語』
解釈についての小論、そして『源氏物語』本文研究、読
解論を中心とした諸問題と、原作と改作を考える座談会
「源氏物語と冬のソナタ」等、収録。
【本書は、前著『王朝物語史の研究』に収録できなかっ
た日記文学と随筆を第一章とし、第二章は源氏物語を
中心とした物語文学によって構成されている。従って
表題にも示した「王朝日記物語」とは、いわゆる日記
文学と物語文学とを含めた呼称だが、しかし、この「日
記物語」という呼称には、いま一つの意味がこめられ
ている。その「日記」とは、
実録としての日記ではなく、
実録に拠りながらも、それを虚構化して成立した作品な
のである。現在ではそれを一般に「日記文学」と称して
いるが、当時の呼称に即していえば、むしろ「日記物語」
というにふさわしい作品なのである。
(中略)
ことほどさように、日記文学と物語とは、古人の意識
において相通するものがあったから、近代に成立した日
記文学という呼称よりも当時の実感に即した呼称とい
えよう。ただ表題としては、物語文学と並称することか
ら、
一種の掛けことば的呼称と考えたい。…「はじめに」
より】
144
◎ 2014 年 10 月刊行
源氏物語のモデルたち
斎藤正昭
ISBN978-4-305-70744-4 C0093
定価 : 本体 5,800 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・248 頁
『源氏物語』
の真実は、
モデルの特定なくして語られない。
『源氏物語』はモデル・准拠を前提としている。また、
紫式部本人も物語中で、そこに物語の本質があることを
認めている。このようにして書かれた以上、モデルの解
明なくしては、物語の正しい読みはありえない。
『源氏
物語』千年の謎も、まさに、ここに隠されている。
紫式部にとって「物語」とは、現実世界と物語世界、双
方に対して不即不離の関係をもつものであった。
本書は、モデルを特定するための必須条件として、正し
い巻序と正しい出仕年度を提示し、現実世界と物語世界
の二つの異なる次元の世界を繋ぐ橋をかけ、
『源氏物語』
の本質・核心に迫る。
【目次】はじめに―発表の場から浮かび上がるモデルた
ち/Ⅰ 帚木三帖(
「帚木」
「空蟬」
「夕顔」
)―作者直結
の世界/Ⅱ 「桐壺」巻―多重構造の世界/Ⅲ 若紫―
「若紫」巻における複合モデル/Ⅳ 六条御息所―巻を
隔てた複合モデル/Ⅴ 朝顔斎院―連動するモデル/
Ⅵ 玉鬘―変容するモデル/Ⅶ 薫と匂宮―成長する
モデル/Ⅷ その他のモデルたち/Ⅸ その他の着想
的モデルたち/Ⅹ 発表の場から浮かび上がる准拠/
Ⅺ その他、モデル・准拠の問題点/おわりに―史実と
の照応による〈五期構成説〉と〈寛弘二年出仕説〉の妥
当性/註/五十四帖の構成/五十四帖の執筆・発表年譜
/巻々の主要なモデル一覧/五十四帖の出来事と史実
の関係一覧/紫式部略年譜/あとがき/モデル名索引
新古今和歌集の古注に関心を持つ研究者が集まりまと
めていくシリーズ、新古今集古注集成 全十巻のうちの
9 冊目。本巻には、近世新注編として、
『新古今集渚の玉』
と『尾張廼家苞』の 2 作品を収録。
衣川長秋が著わした『新古今集渚の玉』は、九州大学附
近世新注編 2[新古今集渚の玉・尾張廼家苞]属図書館所蔵の写本。衣川長秋が『新古今和歌集』から、
おわりのいえづと
「もくずが中にうるハしき玉のめでたき歌」
(序文に依る)
二〇八首(うち一首は補足注釈)を抄出して口語訳をし
たものであり、
『新古今和歌集』に関する口語訳注釈書
の嚆矢として注意される書。その口語訳は本居宣長の
『古今集遠鏡』に倣った近世の上方ことばに因っていて、
新古今集古注集成の会編
現代の訳文とは異なる。衣川長秋は伊勢の人。本居宣
荒木 尚・寺島恒世
長の門人。宣長没後は春庭に師事した。鳥取藩国学教授。
周令・宰記・直記と称し、瓊斎と号した。
『尾張廼家苞』は、江戸時代後期の国学者、石原正明
(一七六〇∼一八二一)
が著した
『新古今和歌集』
の注釈書。
書名にも明らかな通り、かつて師と仰いだ本居宣長の注
釈『美濃の家づと』に対し、種々導かれながらも、一方
で同調しがたいものを感じていた著者が、その『美濃の
家づと』の本文を引きつつ、
小字二行の割注を付す形(割
書)によって、自説を対比させたもの。
『美濃の家づと』
が採用しない歌も取り上げ、同じ割書の形式で注釈を施
している。成立は定かではないが、巻頭の正俊の序文が
記された文政二年(一八一九)四月をあまり遡らない時
ISBN978-4-305-60157-5 C3092
期と見られる。専ら板本で流布し、文政二年刊記本以下
定価 : 本体 18,000 円(税別)
多くの後刷本が伝存する。版は明治以降まで重ねられた。
A5 判・上製・函入・508 頁
◎ 2014 年 10 月刊行
新古今集古注集成
145
新刊案内
◎ 2014 年 10 月刊行
ライトノベルから見た
少女/少年小説史
現代日本の物語文化を見直すために
大橋崇行
ISBN978-4-305-70743-7 C0095
定価 : 本体 1,800 円(税別)
四六判・並製・カバー装・304 頁
◎ 2014 年 10 月刊行
これからの
国文学研究のために
池田利夫追悼論集
佐藤道生・高田信敬・中川博夫編
〈少女小説〉と〈少年小説〉が、戦前から戦後にかけて
のまんがの成立を大きく規定し、
日本の
「まんが・アニメ」
文化の礎を築いてきたのではないか―。
ライトノベルを起点に〈少女小説〉
〈少年小説〉に戻り、
日本の物語文化を見直す。特権化されてきた、まんが・
アニメーション文化論を超え、現代日本の物語文化を見
直すとき、そこにはどんな問題が立ち上がってくるのだ
ろうか。
これまであまり行われてこなかった、まんが・アニメと
小説とがどのようにつながるのかという問題を、
〈物語
文化〉という問題意識から考える文芸批評。
大塚英志∼東浩紀を経てゼロ年代批評に至る既存のサ
ブカルチャー論に、文学研究の視点から全面的に反論。
日本のキャラクター文化言説の再編成を行う、刺激的な
書。
【目次】
はじめに
第 1 章◉ライトノベルとキャラクター
第 2 章◉「少女小説」
「少年小説」
「ジュブナイル」
Ⅰ◉少女小説 Ⅱ◉少年小説 Ⅲ◉ジュブナイル 第 3 章◉〈キャラクター〉論
◉資料・参考文献一覧
おわりに
付録◉本書関連年表
文献に基づく実証を基本とし国文学研究に一時代を築
いた、故池田利夫氏を偲び編む研究論文集。古代∼近世
の日記・物語、漢学・学芸・仏教、和歌に分け編集した。
本書には、研究手法の異なりや時代や分野の別にこだ
わることなく、意欲に満ちた研究や真摯な研究者には、
常にあたたかい視線を注いでいた池田利夫の生き様を
あらわすように、バラエティに富んだ論文が集まってい
る。同時に、本書に収録された論文は、結果的に国文学
研究の最前線をも示すことになった。国文学研究の今を
伝える、29 名による論文集です。
執筆は、秋山虔/池田三枝子/石川透/石神秀美/石澤
一志/伊東祐子/岩佐美代子/小川剛生/久保田淳/
胡志昂/小秋元段/後藤祥子/小峯和明/今野鈴代/
佐々木孝浩/佐藤道生/鈴木宏昌/住吉朋彦/高田信
敬/田坂憲二/辻英子/永井和子/中川博夫/中島正
二/平藤幸/藤原克己/堀川貴司/三角洋一/渡部泰
明の各氏。
【目次】
[日記・物語]
[漢学・学芸・仏教]
[和歌]の 3 部構成と[池
田利夫氏 追悼の記]より成る。
ISBN978-4-305-70746-8 C0095
定価 : 本体 14,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・684 頁
新刊案内
146
◎ 2014 年 9 月刊行
跨境(こきょう)
日本語文学研究 創刊号
特集:東アジアにおける日本語雑誌の流通と植民地文学
東アジアと同時代日本語文学フォーラム
高麗大学校日本研究センター編
代行販売しています
ISBN978-4-305-40301-8 C0095
定価 : 本体 2,000 円(税別)
B5 判・並製・296 頁
◎ 2014 年 9 月刊行
昭和文学研究
第 69 集
昭和文学会編
ISBN978-4-305-00369-0 C3393
定価 : 本体 4,200 円(税別)
A5 判・並製・176 頁
147
「東アジアと同時代日本語文学フォーラム」は、2013 年
に設立されたもので、韓国、中国、台湾、日本の各地域
の近代日本語文学の研究者が参加しています。本書は、
同フォーラムのメンバーを中核としながら、編集担当者
の参加地域と参加者数を拡大して刊行します。
編集委員、査読委員は、各地域におけるこの分野の第
一線の研究者に協力を仰ぎ、たんに多様な地域をカバー
する国際誌であるというだけではなく、質的にもトップ
クラスの論考が集まる、真の意味での国際誌となること
を目指すべく創刊されました。
【目次】□エッセイ―跨境の言葉/移動文学/比較文学
者にとって 「移動」 とは何か●西成彦/ 「境界」 を跨い
で〈東アジア〉作りへ●朴裕河/[跨境人]夢と性愛●
田原/□特集:東アジアにおける日本語雑誌の流通と植
民地文学/異郷への仮託―朝鮮俳句と郷土色の力学●
中根隆行/芥川龍之介の自殺と植民地朝鮮の文学―『京
城日報』の芥川記事と朝鮮のモダニスト作家を中心に
●金孝順/中国東北部における日拠時期の日本語雑誌
の言説空間─文学創作を中心として●劉春英/雑誌『芸
文』の成立と変遷について─ 「文化綜合雑誌」 から 「純
芸文綜合雑誌」へ●単援朝/翻訳と「満洲文学」―雑誌
『満
洲浪曼』における大内隆雄の立場●王志松/『満洲浪曼』
における 「白日の書」 への一考察●林濤/ 「満洲」 童話
作家・石森延男の登場─満鉄社員会機関誌『協和』にお
ける創作活動を手がかりにして●魏晨/戦争末期の『北
窗』― 「掌篇献納小説」 を中心に●祝然/ 他
昭和期の文学を中心とする近現代文学の研究を対象と
した学会誌。従来、会員以外は入手困難でしたが、通
常の書籍同様、書店にてご注文いただけるようになり
ました。年 2 回刊行。定期ご購入をご希望の場合は入
会されると金額的にお得です(年会費 7000 円、入会
金 1000 円)。
【目次】【特集論文】戦争と文学/戦争文学研究を巡る
〈環境〉と未来―銃後敗戦文学を一視座として―●竹
内清己/中島敦における「戦争と文学」●山下真史/
三好達治と戦争●坪井秀人/曖昧な戦場―日中戦争期
戦記テクストと他者の表象●五味渕典嗣/白川渥「崖」
―戦時下芥川賞候補作があぶり出す時局の政治力学―
●山口俊雄/鮎川信夫〈病院船日誌〉論―国家と原罪
―●田口麻奈/軍隊を描く/法をとらえる―大西巨人
『神聖喜劇』・野間宏『真空地帯』比較―●橋本あゆみ
/【論文】/笑われ続ける「道化」―坂口安吾「茶番
に寄せて」と「勉強記」から―●佐藤貴之/武田泰淳
「恐怖と快感」論―「精神分析学」批判としての小説
―●藤原崇雅/寺山修司『長篇小説 あゝ、荒野』論
―一九六〇年代の大衆消費社会におけるコミュニケー
ションをめぐって―●秋吉大輔/【研究動向】/内田
百閒●西井弥生子/芥川龍之介(昭和期)●藤井貴志
/ユーモア小説●佐藤貴之/【研究展望】/戦間期の
上海文化表象研究●石田仁志/素顔を覗き見る―週刊
誌における作家表象●井原あやほかに【書評】【新刊
紹介】会務委員会だより/編集後記
新刊案内
◎ 2014 年 9 月刊行
拾遺抄注釈
竹鼻 績
平安王朝の歴史文化辞典
として手放すことのできない
宝典―秋山 虔
ISBN978-4-305-70714-7 C0092
定価 : 本体 28,000 円(税別)
A5 判・上製・函入・1360 頁
◎ 2014 年 9 月刊行
近世刊行軍書論
教訓・娯楽・考証
井上泰至
ISBN978-4-305-70739-0 C0095
定価 : 本体 6,500 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・304 頁
新刊案内
初の全注釈。
『古今和歌集』
・
『後 和歌集』に次ぐ三番
目の勅 和歌集『拾遺和歌集』に継承され、藤原公任
といわれる歌集『拾遺抄』は何を創造したのか。
宮内庁書陵部蔵本を底本に本文を校訂。収録歌【全
579首】を精緻に読み解く、はじめての試み。
【本書の特色】
●一首ごとに校異・大意・語釈・補説・他出 文献・作
者略伝を付す。
●詠歌事情や、故実・表現・作者や登場人物 の解明、
後代への影響を考究。
●巻末には和歌初句・人名・主要語句・事項 索引付。
【目次】
凡例
巻第一 春部
巻第二 夏部
巻第三 秋部
巻第四 冬部
巻第五 賀部
巻第六 別部
巻第七 恋部上
巻第八 恋部下
巻第九 雑部上
巻第十 雑部下
補考 『拾遺抄』の成立時期付 者
和歌初句索引 人名索引 主要語句・事項索引
あとがき
近世期に刊行された、軍書の全体像を問う、初の書。
「娯楽」
「教訓」
「歴史」
「軍学」の諸要素が渾然としてい
たため、近世軍書は、近代的な制度である、文学研究・
思想史研究・倫理学研究・歴史研究のどの研究分野から
も継子扱いされてきた。本書はそれらの諸分野を超え近
世軍書の流れ、性格を考え、小説史に果たしてきた役割
を論じていく。
武士の生き方を教えた軍書は、江戸時代の小説という
「花」を生む「土壌」として見れば、武士の歴史を語る、
まことに養分の多い「沃野」であった―。
【目次】
はじめに/第一章 ◉ 近世刊行軍書の全体像/第一節 近世刊行軍書の沿革/第二節 近世刊行軍書年表稿/
第二章 ◉ 読み物的刊行軍書の成立と展開―付、西鶴小
説との関係/第一節 寛文期仕官軍学者の写本軍書―
『慶長軍記』
『朝鮮征伐記』/第二節 読み物的刊行軍書
の確立―『北条九代記』を中心に/第三節 読み物的刊
行軍書の展開―遠山信春の軍書制作/第四節 読み物
的刊行軍書から通俗史書へ―『本朝通紀』を例に/第五
節 西鶴武家物と刊行軍書―『武道伝来記』への一視角
/第三章 ◉ 娯楽と考証への分化―付、初期読本との関
係/第一節 通俗刊行軍書作家馬場信意の執筆態度―
『朝鮮太平記』を例に/第二節 偽書的刊行軍書の諸問
題―『東国太平記』を例に/第三節 軍学の学問化と軍
書制作―文禄・慶長の役関係軍書における小早川隆景像
/第四節 享保以降の軍書の傾向と読本の時代設定 他
148
近年、方言がドラマにおいて果たす役割がきわめて重要
になってきた。例えば、
『カーネーション』から『八重
の桜』
、そして『あまちゃん』…。本書は、言語研究の
立場から、ドラマの方言を捉え直します。
果たして、ドラマの方言が変わってきているのか。それ
『カーネーション』から
『八重の桜』
、そして
『あまちゃん』へ とも、方言がドラマを変えたのか。実際にドラマのこと
ば指導を行っている俳優や、
NHK のドラマ制作班の方々
を迎えて、その謎を考え、
「ドラマ方言」が誕生する過
程に迫ります。2014 年 3 月に行われた「ドラマと方言
の新しい関係」シンポジウムの完全書籍化。
【目次】
金水敏・田中ゆかり・岡室美奈子編
はじめに―ドラマのなかの方言はおもしろい●金水 敏
Part.1 ドラマ方言の新時代
1 フィクションの言語と方言●金水 敏
2『あまちゃん』が開いた新しい扉 ―「方言コスプレド
ラマ」ができるまで―●田中ゆかり
3 方言とアイデンティティー ―ドラマ批評の立場から
―●岡室美奈子
Part.2 公開インタビュー 方言と格闘するドラマ制作現
場
内藤愼介(NHKドラマ番組部エグゼクティブ・プロ
デューサー/『八重の桜』制作統括)菓子 浩(NH
Kドラマ番組部チーフ・プロデューサー/『あまちゃん』
制作統括)林 英世(俳優/『カーネーション』岸和田
ISBN978-4-305-70726-0 C0081
ことば指導)
定価 : 本体 800 円(税別)
ドラマ作品関連文献 参考文献 シンポジウム開催記録
A5 判・並製・104 頁
◎ 2014 年 8 月刊行
ドラマと方言の新しい関係
◎ 2014 年 7 月刊行
読書の歴史を問う
書物と読者の近代
和田敦彦
ISBN978-4-305-70736-9 C0000
定価 : 本体 1,900 円(税別)
A5 判・並製・カバー装・288 頁
149
読者、読書の歴史をどうやって調べ、学んでいけばいい
か。何のためにそれを学び、そこからどういうことが分
かるのか。読書の歴史についての学び方、調べ方を考え
る書。
書物の出版、検閲、流通、保存は、読者の歴史とどう
かかわってきたのだろうか。
「昔」の読書を探ると、
「今」
が見えてくる。現在とは異なる時間、異なる場所の、読
者や読書の魅力をも伝える書。
【書物が読者にたどりつき、読まれていくプロセスに関
心を向け、その歴史をとらえていくこと、そのための手
立てや、そうした問いによって開けてくる可能性を示し
ていくこと、それが本書の役割である。同時に、これま
でになされてきた自他を含めた読書にかかわる研究の
成果を見直し、それらを互いにつながりあった方法とし
て体系的に示していく試みでもある。
】……「おわりに」
より
【目次】
第 1 章 読書を調べる
第 2 章 表現の中の読者
第 3 章 読書の場所の歴史学
第 4 章 書物と読者をつなぐもの
第 5 章 書物が読者に届くまで
第 6 章 書物の流れをさえぎる
第 7 章 書物の来歴
第 8 章 電子メディアと読者
第 9 章 読書と教育 第 10 章 文学研究と読書
新刊案内
◎ 2014 年 7 月刊行
万葉うためぐり
学僧仙覚ゆかりの武蔵国小川町を歩く
小川町観光協会編・小川靖彦監修
ISBN978-4-305-70737-6 C0092
定価 : 本体 900 円(税別)
四六判・並製・カバー装・112 頁
◎ 2014 年 6 月刊行
紫式部集からの挑発
私家集研究の方法を模索して
廣田收・横井孝・久保田孝夫
ISBN978-4-305-70729-1 C0092
定価 : 本体 5,500 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・238 頁
新刊案内
ユネスコ無形文化遺産の細川紙で知られる小川町は、
『万葉集』ゆかりの地でもあります。
73 首の『万葉集』の歌とその大意・解説、その歌にふさ
わしい小川町の情景、花の写真、名産品など写真ととも
に紹介。仙覚と小川町についても詳しく解説した書です。
『万葉集』の研究史上の巨星・仙覚(せんがく)が、画期
的注釈書『万葉集註釈』を完成した麻師宇郷(ましうごう)
は今の埼玉県小川町にありました。
昭和の初め、
国文学者・
歌人の佐佐木信綱と小川町の人々は仙覚の業績の顕彰に
力を尽くしました。
その熱意と努力を受け継ぎながら、
今、
新たに小川町と
『万葉集』
の魅力を紹介するのが本書です。
フルカラーで多くの写真で紹介します。
【目次】
発刊に寄せて
○地図 1 仙覚万葉の里と散策のみち ○地図 2 小川
町の情景と訪ねて ○主要交通機関からのアクセス
Ⅰ『万葉集』ゆかりの地小川へようこそ
1 小川町と『万葉集』
2 『万葉集』の世界
Ⅱ小川町万葉うためぐり
「小川町・万葉うためぐり」への招待・68 首紹介解説
Ⅲ学僧仙覚と小川町
1 仙覚の生涯 2 仙覚の業績 3 仙覚の和歌
4 『万葉集註釈』を完成した地―比企郡北方麻師宇郷政
所 5 小川町と仙覚を結んだ人々―佐佐木信綱が拓い
た道 6 小川町における仙覚顕彰
仙覚についての参考文献 監修者あとがき
個の作品としての研究が手薄い紫式部の私家集『紫式部
集』
。未解決課題の数々を再検証する。
『紫式部集』研究の現状と課題を歯に衣着せず語り尽く
す、鼎談も収録。
【
『紫式部集』は、かつては伝記研究の資料としてあつか
われるところに研究の端緒があった。本集をその束縛
から解き放ち、ひとつの「作品」として対象化したい
というのが、かねてから著者三人に共通する願いであっ
た。
(中略)ここであつかった問題点は、前人未踏とい
うわけではない。ただ、いずれも諸家の見解が噛みあ
わなかったり、なおざりにされたりして、議論が深まっ
ていなかったものである。これらの課題群を著者三人が
分担して、あらためて検証してみることとしたのが本書
である。……「まえがき」より】
【目次】まえがき/ 1『紫式部集』左注とは何か―謎解き
と跨ぎの機能―/ 2『紫式部集』四番・五番歌の解釈追
考―「女はらから」に対する垣間見と求婚―/ 3『紫式
部集』における哀傷―贈答歌の中の追悼―/ 4『紫式部
集』日記歌の意義―照らし返される家集本体とは何か―
/ 5『紫式部集』の末尾―作品の終局とは何か―/ 6『紫
式部集』における定家本とは何か―表記からの展望―/
7 帥宮追悼歌群における和泉式部の和歌の特質―表現形
式をめぐる紫式部の詠歌法との違い―/ 8『紫式部集』
の中世/ 9 鼎談『紫式部集』研究の現状と課題Ⅰ/ 10
鼎談『紫式部集』研究の現状と課題Ⅱ/ 11 紫式部・紫
式部集研究年表(補遺稿)/あとがき
150
◎ 2014 年 6 月刊行
日本語音韻史の
動的諸相と蜆縮涼鼓集
けんしゅくりょうこしゅう
高山知明
ISBN978-4-305-70734-5 C0081
定価 : 本体 3,300 円(税別)
A5 判・並製・カバー装・224 頁
◎ 2014 年 6 月刊行
日本古典
対照分類語彙表
当時の話者の視点に立ち過去の音変化をとらえ直す。
「しじみ(蜆)
ちぢみ(縮)
すずみ(涼)
つづみ(鼓)
」
―元禄期の京都でジとヂ、ズとヅの音の違いを説く
『蜆縮涼鼓集』
。従来説の限界を越え、その背景に光を当
てる。タ行ダ行の破擦音化、ジヂ・ズヅ音の合流、濁音
の前鼻子音消失化といった各変化の関係を解きほぐし、
日本語の歴史の持つ意義を再認識する。
【取り扱う対象言語は日本語であっても、言語史研究の
目的のすべてが、日本語について明らかにすることとい
うわけではない。より重要なのは、日本語の事例研究を
通して、言語変化に対する理解を深めることである。そ
のためには、もちろん各時期の音の体系や音価を明らか
にすることも重要だが、それを課題とするだけに留まら
ない。…書き手のものの見方を問題にするかたちで文献
の内容を読み解くことを目指す。まず当該文献の書き手
の言語認識に焦点を当て、その上で、その認識が生じる
背景を探っていく。それによって、変化の動的側面に光
を当てることも可能になる。その場合の動的側面とは、
変化の具体相であり、それをわずかでも見出すことを目
的とする。……第4章より】
【目次】第1章 序論/第 2 章 タ行ダ行破擦音化の音韻
論的特質/第 3 章 前鼻子音の変化と話者の感覚/第 4 章
前鼻子音から読み解く蜆縮涼鼓集/第 5 章 蜆縮涼鼓集
の背景―謡曲の発音との関わり―/第 6 章 耳障りなザ行
音の「発生」/第 7 章 二つの変化の干渉/第 8 章 終章
/参照文献・資料文献・あとがき・主要語句索引
物語・新古今和歌集の 3 作品を追加して 17 作品とし、
平安作品と徒然草とのあいだの空白を埋める。
今回の本には、本書に印刷されたすべてを、エクセル・
ファイルでも提供する。これに加えて、簡単な集計を
した出現頻度配列語彙表・意味分類配列語彙表などの
ファイルも提供する。『分類語彙表』の意味分類項目
の一覧も CD に収録している。
宮島達夫・鈴木泰・石井久雄・安部清哉編
別冊には宮島達夫「古典の統計と意味」と小木曽智信
「Excel による『日本古典対照分類語彙表』の活用」を
主だった古典作品の中でどの単語が何回ずつ使われている 収載。前者は、語種や頻度などを統計した結果を示す。
か。意味とともに一覧できる、至便の書。
また、今回新たに加えた「意味分類」について特にと
りあげ、古典における意味のありかたを見る。後者は、
本書は、宮島達夫『古典対照語い表』(1971 年、笠間書院発行) エクセルでデータをあつかう初歩を記している。
の改訂増補版である。
『古典対照語い表』は、主だった古典作品の中でどの単語が
何回ずつ使われているかを表にし、かつ漢語・和語を峻別し
たものであったが、今回のものはそれに加え、すべての単語
に国立国語研究所編『分類語彙表』
(増補改訂版、2004 年)
の分類番号を追記して、個々の単語がもつ性格も即座に識別
できるようにした。
また旧版の『古典対照語い表』は徒然草・方丈記・大鏡・更
級日記・紫式部日記・源氏物語・枕草子・蜻蛉日記・後撰和 ISBN978-4-305-70700-0 C3081
歌集・土左日記・古今和歌集・伊勢物語・竹取物語・万葉集 定価 : 本体 9,000 円(税別)
の 14 作品を対象としていたが、これに平家物語・宇治拾遺 B5 判・上製・函入・1150 頁
付録 CD・別冊解説書付
151
新刊案内
※パンフレットをご用意しています。ご一報いただければ送料無料でお送りいたします。
誌探索ノート」として 6 年間連載し続けたものを収めた。
高橋新太郎の個人蔵書は、書籍・雑誌だけでなく、新聞、
日記、ポスター、パンフレット、ビラ、非合法の風俗チラ
シまで及び、6 万点以上を数えたが、何が氏をそこまで駆
り立てたのか。自らを「軍国少年だった」と告白した高橋
新太郎の見つめようとしていたものは、「昭和の戦後に至
没後 10 年。
る思想・文化の流れ」である。本連載で確かにそれは跡づ
変遷する時代の研究動向とは距離をとりながら、独自の存 けられているのである。解説・田中実[都留文科大学教授]。
在感を持った方法論を打ち立てた、独創的な国文学者、高
橋新太郎の仕事を、今、振り返る。全 3 冊のシリーズ。
◎ 2014 年 6 月刊行
高橋新太郎セレクション
全 3 冊刊行
【推薦】紅野謙介・安藤宏・十重田裕一
1
ISBN978-4-305-60042-4
C0093
定価 : 本体 2,800 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・
220 頁
近代日本文学の周圏
第 1 冊目『近代日本文学の周圏』は、生前の著者の構想を
もとにした論攷を収めた。
文学者たちは、戦中・戦後の困難のなかを、いかに生きた【目次】
のか。近代日本文学の時代精神を、資料自身に語らせるよ 凡例
うに、鮮やかに炙り出していく様は、圧巻である。「氏は 詩誌「Rien」の芸術運動 1 ∼ 3
〈
「戦争責任」についての問題〉は、自身の〈年来の課題〉「新詩論」―戦時のモダニズム詩人たち
であるといい、また〈表現者としての多くの文学者が、
〈己 「アクシオン」「文化」「劇評」その他―三好十郎関係詩
の戦争〉を原点とせずに戦後を出発させた〉ことを難ずる。 戦後誌の諸相―戦争責任の追及その他 1 ∼ 7
―髙橋博史氏」
。解説・髙橋博史[白百合女子大学教授]。 戦後誌の諸相―天皇・天皇制議論 1 ∼ 11
戦後誌の諸相―女性の世紀 1 ∼ 12
戦後誌の諸相―教育の民主化 1 ∼ 9
戦後誌の諸相―国語国字問題 1 ∼ 13
戦後誌の諸相―教科書問題 1 ∼ 5
解説・高橋新太郎の「末期の目」(田中実)
ISBN978-4-305-60041-7
C0093
定価 : 本体 4,200 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・
416 頁
【目次】
凡例
鷗外と「乃木神話」の周辺
五条秀麿―「かのやうに」
(森鴎外)管見
「末期の眼」から「落花流水」まで
川端康成の〈方法〉断章
チャタレイ裁判の抵抗
「蒼き狼」論争の意味するもの―史の制約と詩的真実
総力戦体制下の文学者―社団法人「日本文学報国会」の位相
馴化と統制―装置としての「文芸懇話会」
解説・高橋博史 著者の覚え書き
3
集書日誌・
詩誌「リアン」のこと
第 3 冊目『集書日誌・詩誌「リアン」のこと』は、
『彷書月刊』
に 1988 年 5 月から 2000 年 12 月まで「書架より」「集書日
誌」として連載し続けたものを収め、併せて詩誌「リアン」
関連の考察を収めた。「集書日誌」は『日本古書通信』の「雑
誌探索ノート」とは一転、かろやかな筆致のエッセイの趣
である。そのものずばり「集書日誌」である。膨大な古書
を媒介に、書物や雑誌そのものに「近代日本文学」の虚実
を語らせ、読者を、変遷する時代の坩堝に誘う。解説・松
村良[駒沢女子大学特任教授]。
2
雑誌探索ノート
―戦中・戦後誌からの検証
第 2 冊目『雑誌探索ノート―戦中・戦後誌からの検証』は、
『日本古書通信』に 1989 年 11 月から 1994 年 12 月まで「雑
ISBN978-4-305-60043-1
C0093
定価 : 本体 3,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・
268 頁
3 冊セットは以下 ISBN でご注文下さい。ISBN978-4-305-60044-8 定価 : 本体 10,000 円(税別)
新刊案内
152
◎ 2014 年 6 月刊行
【目次】
序◉我々は江戸文学の魅力を本当に汲み取れているのだ
ろうか ? ▼井上泰至
Ⅰ サムライの文学の再評価
1 戦国武将伝のベストセラー○熊沢淡庵『武将感状記』
▼井上泰至
2 近世~戦前における「知」のスタンダード○室鳩巣『駿
井上泰至・田中康二編
台雑話』▼川平敏文
Ⅱ 江戸版「日本の古典」への扉
今、江戸文学の「古典」として取り上げるべきものは何か。 3 和漢という対―近世国学史の隘路―○荷田春満『創
新たに「古典」を掘り起こすとしたら、どういうアプローチ 学校啓』▼一戸 渉
4 擬古文再考―「文集の部」を読み直す○村田春海『琴
がありえるのか。
後集』▼田中康二
挑戦的、挑発的に実践する、現代語訳付き名文解説。
Ⅲ 漢文という日本文学の多様性
5 古文辞派の道標○荻生徂徠『絶句解』▼高山大毅
時代を越えて読み継がれ、それぞれの時代の価値観の中で読 6 歴史人物のキャラクター辞典○安積澹泊『大日本史
み替えられ、常に新たな外套をまとって我々の前に姿を現す 賛藪』▼勢田道生
「古典」を、既存の古典文学全集とは違う「古典」を、新た 7 美術批評漢文瞥見○薄井龍之「晴湖奥原君之碑」と『小
蓮論画』▼池澤一郎
に汲み取り、光を当てる。
Ⅳ リニューアルされる俗文芸の読み
8 西鶴武家物・解法のこころみ○井原西鶴『武道伝来記』
『武家義理物語』▼木越俊介
9 二人の男の「復讐」と「奇談」○山東京伝『安積沼』
▼佐藤至子
10 「選び直され」続ける歌舞伎○河竹黙阿弥『吾孺下
五十三駅』
『三人吉三廓初買』▼日置貴之
ISBN978-4-305-70735-2 C0095
跋◉かくして江戸文学の「古典」は選び直された▼田中
定価 : 本体 1,800 円(税別)
康二
江戸文学を選び直す
A5 判・並製・カバー装・192 頁
皆、漱石の文学に影響を与えた。漱石の人生と交差し
た重要人物 138 人の、列伝事典。周辺人物を通して、
これまで知らなかった漱石が見えてくる。
【目次】はじめに(原武哲) 凡例
第一期●幼少時代 一八六七(慶応三)年二月九日~
一八八四(明治一七)年九月一〇日
第二期●学生時代 一八八四(明治一七)年九月一一
原武 哲・石田忠彦・海老井英次編
日~一八九五(明治二八)年三月
第三期●松山時代 一八九五(明治二八)年四月~
※パンフレットをご用意しています。
一八九六(明治二九)年三月
ご一報いただければ送料無料でお送りいたします。
第四期●熊本時代 一八九六(明治二九)年四月~
一九〇〇(明治三三)年七月
半藤一利(作家)
、平岡敏夫(筑波大学名誉教授)両氏推薦
第五期●留学時代 一九〇〇(明治三三)年八月~
一九〇三(明治三六)年一月
[本書の特色]
1 ◉漱石の親族・恩師・友人知己・教え子・門下生・同時代 第六期●東大・一高時代 一九〇三(明治三六)年二
月~一九〇七(明治四〇)年三月
の文学者たちのなかから 138 人を厳選解説。
2 ◉生誕地・父母を始めとして学歴・職歴を列挙。漱石との 第七期●作家時代 一九〇七(明治四〇)年四月~
接触や交流、どのような影響を受けて漱石文学が成立したか、 一九一六(大正五)年一二月九日
逆に漱石の人となり・作品がその人物にどう影響を与えたの 夏目漱石略年譜 か。日記・書簡などの資料を引用紹介しながら具体的に描く。 執筆者紹介 3 ◉人物の配列は、漱石との出会いや交流の深かった時代に 人名索引
◎ 2014 年 7 月刊行
夏目漱石周辺人物事典
沿って並べ、漱石の生涯をたどる伝記的意味を込めた。便宜
上、1幼少時代、2学生時代、3松山時代、4熊本時代、5
留学時代、6東大・一高時代、7作家時代の七期に分けている。 ISBN978-4-305-70722-2 C0591
4 ◉掲載人物のより詳細な調査に便利な参考文献を列挙。
定価 : 本体 5,500 円(税別)
菊判・上製・カバー装・612 頁
153
新刊案内
◎ 2014 年 5 月刊行
和歌と仮名のかたち
中世古筆の内容と書様
別府節子
※パンフレットをご用意しています。
ご一報いただければ送料無料でお送りいたします。
ISBN978-4-305-70733-8 C3092
定価 : 本体 12,000 円(税別)
B5 変型判・上製・カバー装・648 頁
◎ 2014 年 4 月刊行
人情本の世界
江戸の「あだ」が紡ぐ恋愛物語
武藤元昭
ISBN978-4-305-70710-9 C0093
定価 : 本体 4,800 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・324 頁
新刊案内
平安から室町の各時代によって、仮名の書様の違いは
どこからくるのか。その違いは何を物語っているのか。
平安末期から室町時代にわたる中世の自詠自筆の和歌
資料や、散逸本資料を掘り起こすと同時に、各時代に
よって異なる代表的な仮名の書様と、その書様を生む
背景―和歌の社会的な役割や、役割による場に即した
和歌内容、メインとなって詠歌をする人々―との関係
を探る。図版 300 点以上掲載 !
【目次】
序 章
第一部 和歌古筆の新出資料―中世の自詠自筆本と散佚本
第一章 新出の伝西行筆の古筆切二種
第二章 静真 詠五十首和歌巻
第三章 京都国立博物館蔵「伏見天皇宸翰御歌集」 (五十五首)について
第四章 「実兼集切」の考察
第五章 西園寺実兼関連の古筆資料
第六章 「松木切」の考察
第七章 「伏見院三十首歌切」について
第八章 「金剛院切」に関する一考察―十四世紀の女
性歌人による百首歌の懐紙の可能性 他。 第二部 和歌古筆の内容と書様
第一章 平安時代の仮名書様の変遷について
第二章 伝西行筆の古筆
第三章 平安の仮名、鎌倉の仮名 他。
初出一覧 用語解説 掲載図版一覧 あとがき
艶情味あふれる人情本の真髄を探る。江戸時代末期に登
場し、女性読者を虜にする艶情味あふれる恋愛を描い
た、人情本。本書は、人情本というジャンルが確立した
天保期の作品を軸に、その特質を明らかにする。
江戸の爛熟文化の下、
「戯言を言われても顔を赤らめな
い」ほど色事に興味を示した女達の、
秘めやかな欲求を、
人情本が満たしたのは何故か。人情本全体の精神を、出
版、時代、人物など様々な問題から解き明かす。
【目次】
第一章 あだ―春水人情本の特質
第二章 文政期人情本の一側面―『桐の一葉』をめぐって
第三章 「人情」から人情本へ
第四章 『春色梅児誉美』の成立
第五章 「春色梅暦」シリーズの変貌
第六章 『春色湊の花』の位置
第七章 『多満宇佐喜』をめぐって
第八章 人情本作者鼻山人の立場
第九章 『花街桜』の趣向―鼻山人の再検討
第一〇章 素人作者曲山人
第一一章 春水以後―文政期人情本への回帰
第一二章 人情本ノート
第一三章 人情本ノート(二)
第一四章 戯作と出版ジャーナリズム
第一五章 辰巳の風―洒落本・人情本の深川
第一六章 二人の艶二郎―『江戸生艶気樺焼』から『総
籬』へ
154
◎ 2014 年 5 月刊行
忍者文芸研究読本
吉丸雄哉・山田雄司・尾西康充編著
※パンフレットをご用意しています。
ご一報いただければ送料無料でお送りいたします。
ISBN978-4-305-70732-1 C0021
定価 : 本体 1,800 円(税別)
A5 判・並製・カバー装・256 頁・
口絵 4 頁
◎ 2014 年 3 月刊行
平安物語における
侍女の研究
古田正幸
ISBN978-4-305-70713-0 C0095
定価 : 本体 9,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・360 頁
155
「忍者像」はどのように創られたのか。
小説・芸能・漫画・映画…フィクションの世界におけ
る忍者像を、国内外の視点から解き明かす!
【忍者の実像を明らかにすることは大事である。それと
同様に、人々の心をとらえ、娯楽として楽しまれてき
たフィクションの忍者の姿の研究もまた、大事である。
人々が愛してきたその姿こそ、本当の忍者といえるの
ではないだろうか。フィクションのなかの忍者を研究
することは、日本の文化や精神をあきらかにすること
につながり、また世界の中で忍者が、あるいは日本と
日本人がどのように見られているのかを知る手がかり
にもなると考えている。………「はじめにかえて」より】
【目次】
〈カラー口絵〉伊賀流忍者博物館所蔵・沖森文
庫 忍者浮世絵セレクション
はじめにかえて●吉丸雄哉
1 鼎談 史実の魅力、小説の魅力―忍者小説の新た
な地平[和田竜×川上仁一×山田雄司]
各論を読む前に知っておきたい忍者関連作品史
●吉丸雄哉
2 日本のなかの忍者
3 海外からみた忍者
4 忍者を知るためのガイド
5 忍者の心得を読む[史料紹介]
「当流奪口忍之巻註」を読む[解説と翻刻]●山田雄司
執筆者プロフィール 編集後記
「女房(にょうぼう)
」
「召人(めしうと)
」
「後見(うしろ
み)
」
「乳母(めのと)
」…。侍女(じじょ)の様々な表現
から、背後にある時代の文化と社会を理解する。
平安朝の物語において、侍女はどのように表現されてい
るのか。その表現に着目することで、どのような物語の
解釈を提示できるのかを探る書。
【物語における侍女への着目は、
登場場面の少ない「脇役」
や「端役」へ着目することと決して同義ではない。作中
の表現、文脈によりそって侍女をとりあげることは、物
語のより穏当な解釈や、その背後にある平安時代の文化
や社会の理解へとつながると考える。本書の物語の侍女
に関する試みが、一点でもそうした解釈や理解の提示と
なっていることを願っている。
】……本書「序」より
【目次】序 平安物語における侍女
第 I 部 侍女の諸相と表現の差異/第一章 『源氏物語』
における光源氏と侍女の関係―「女房」
「御達」
「女ばら」
の表現の差異―/第二章 「大人」と「童」との境界―『落
窪物語』
「あこき」を中心に―/第三章 〈召人〉と『和
泉式部日記(物語)
』の女の差異/第 II 部 侍女による
「後見」/第一章 平安文学における侍女の「後見」の
立場と展開/第二章 紫の上幼少期における少納言の
乳母の「後見」―『落窪物語』からの影響と『源氏物語』
の独自性―/第三章 『狭衣物語』における侍女の変容
―「後見」の比較を通じて―/ほか。第 III 部 乳母と
家族との関係性[全 3 章]/第 IV 部 乳母子の役割と
活躍[全 4 章]
。初出一覧・あとがき・索引
新刊案内
◎ 2014 年 4 月刊行
古代説話集の生成
森 正人
ISBN978-4-305-70728-4 C0095
定価 : 本体 10,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・352 頁
変容し続けてやまない説話と説話集をどう捉えればい
いか。それぞれの古代説話集が説話を収集し表現してい
く様相を分析し、説話集が読まれ、書写され、引用され、
増補され、抄出され、他のジャンルと交渉していく状況
を総体的に把握し記述していこうと試みる書。流伝しつ
づけ、時代を渡る説話集の生成する相を捉えることは可
能か。
【したがつて、説話集は成立してそこで安定して終わる
のではなく、それが享受される場、享受する人によって
形を変えていく。抄出も増補も改編もひとつの編纂であ
り、新たな体系化にほかならなかった。このように場に
応じて、享受者に応じて変容しつづけてやまないもの、
それが説話集であったといわなければならない。
】…第
七章より
【目次】
序章
第一章●説話と説話集
第二章●日本霊異記
第三章●三宝絵
第四章●法華験記
第五章●打聞集
第六章●今昔物語集
第七章●説話の場と説話集の生成
初出一覧 後記
書名索引 人名索引
古代説話集の巻・説話索引
◎ 2013 年 3 月刊行
かくして『源氏物語』が
誕生する
物語が流動する現場にどう立ち会うか
荒木 浩
ISBN978-4-305-70727-7 C0095
定価 : 本体 3,900 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・408 頁
新刊案内
『源氏物語』。それは、日本の文学が遭遇した、画期的
かつ最大級の文学史上の一コマであった。『源氏物語』
という驚嘆すべき新しい創造の試みは、いかになされ
たのか。本書は、寓意や准拠といった観点を軸に、史書、
説話、漢詩文、仏典など、様々な外部テクストを本文
と対比して、作品世界に分け入り、中世的視界から『源
氏物語』の内部世界を照射し、その内実を明らかにす
る。刺激に満ち溢れる『源氏物語』論。
【テクストに翻弄された中世以前の読者は、本文との
インタラクティブを、すべて作者の手の中に帰着して、
解消する。伝承に依拠して出発し、匿名の語り手を装
う物語において、本質的な意味で、ここにはじめて〈作
者〉が誕生する。読者もまた、生まれ変わらずにはい
られない。まるで経典に対するように、本文に注釈を
施したり、作者は何が言いたいのかと、問いかけたり
するのである。挙げ句の果てに、ストーリーテラーの
罪を背負って苦しみ、源氏供養を求める亡者「紫式部」
までも仮構する…。作者、語り手、読者。今日ではあ
たりまえの構造認定が、こうして自然に達成される。】
…はじめにより
【目次】
はじめに 源氏物語論へのいざない
Ⅰ 第一章 玄宗・楊貴妃・安禄山と桐壺帝・藤壺・
光源氏の寓意 第二章 武恵妃と桐壺更衣、楊貴妃と
藤壺―桐壺巻の准拠と構想 第三章 〈北山のなにが
し寺〉再読―若紫巻をめぐって 他
156
◎ 2014 年 3 月刊行
在外日本重要絵巻選
辻英子編著
ISBN978-4-305-70719-2 C3093
定価 : 本体 22,000 円(税別)
※【研究編】と【影印編】の
二冊セットです。
【研究編】A5 タテ判・上製・928 頁
【影印編】A5 ヨコ判・上製・432 頁
◎ 2014 年 4 月刊行
今様のなかの
〈表象〉
縄手聖子
第 32 回志田延義賞受賞
ISBN978-4-305-70721-5 C0092
定価 : 本体 5,800 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・258 頁
157
海外に所蔵されている絵巻物の善本を発掘して、稀覯
性の高い新史料の収集と本文研究を行い提供し続けて
きた著者による最新の成果。イギリス、アメリカ、ド
イツ、オーストリアの海外貴重絵巻のほか、日本の重
要資料も収録。研究編 4 章は解題・翻刻、論文等 18
作品にくわえ、付論 2 章からなり、影印編は、9 作品
を紹介。ドイツ・バイエルン州立図書館所蔵『源氏物
語』全 54 帖については、DVD に画像を収録した。
連携執筆 : 石川透・小林健二・中野沙惠。
【目次】
【研究編】Ⅰイギリス Ⅱアメリカ Ⅲドイツ Ⅳ日本
【影印編】
イギリス編
Ⅰ『長恨哥』オクスフォード大学ボドリアン図書館附属日
本研究図書館所蔵 Ⅱ『やしま』オクスフォード大学ボドリアン図書館附属日
本研究図書館所蔵 ドイツ編
Ⅰ『天稚彦草紙絵巻』ベルリン国立アジア美術館所蔵 オーストリア編
Ⅰ『百人一首』ウィーン国立民族学博物館所蔵 日本編
Ⅰ『禁裏御会始和歌懐紙』宮内庁書陵部所蔵(モノクロ)
Ⅱ『武家百人一首色紙帖』宮内庁書陵部所蔵 Ⅲ『敦盛』聖徳大学所蔵 Ⅳ『伊勢物語』聖徳大学所蔵 影印収録 DVD
ドイツ・バイエルン州立図書館所蔵『源氏物語』全五十四
帖
当時の流行の最先端をことばにした、豊かなる歌謡『梁
塵秘抄』が新たな世界を魅せる。
『梁塵秘抄』には、和歌、
物語、説話などの文学、宗教、美術、風俗などの多角
的な分野から織り成された文化や、古代の言説―中古
を経て、院政期に至る時代の流れの中で醸成された意
味―、そういったものが融合して重層的、多層的な世
界が広がっている。本書はそれらを、〈表象〉という
視点から読み解いていく。論究は『いはでしのぶ』、
『風
に紅葉』といった中世王朝物語や、近世の『雨月物語』
にも及ぶ。
【目次】第一章 祝言歌謡の今様―祝いの歌語と文化
/第一節 『梁塵秘抄』三一六番歌における「岩屋」 【補節】
三一六番歌「泉の深ければ」小考 第二節 遊ぶ鶴亀と「太子」の王権と礼楽―「太子を迎へて遊
ばばや」について―/第二章 女性をうたう今様―逸
脱性を持つ女たち/ 第一節 「子産まぬ式部」につ
いて 第二節 誘う女の〈神婚伝承〉 第三節 呪う
女―恋の恨みと呪詛、三本角の鬼/第三章 「美女」
の今様―何故、「美女」は魅力的か/ 第一節 中世
における「美女」と今様―三四二番歌を視座として 第二節 越境者としての翁―翁の性愛と寿ぎ、笑い/
第四章 物語の中の表象―中世王朝物語と近世の物語
/ 第一節 『いはでしのぶ』における物尽し―王朝
なるものへの回帰方法として 第二節 『風に紅葉』
の道行文―和歌の表現から読み解く 第三節 鹿角の
蛇―神話的イメージの継承と創造/初出一覧/索引
新刊案内
◎ 2014 年 3 月刊行
万葉集編纂構想論
市瀬雅之・城
陽子・村瀬憲夫
ISBN978-4-305-70725-3 C0092
定価 : 本体 11,000 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・428 頁
◎ 2014 年 3 月刊行
大伴家持と中国文学
鈴木道代
ISBN978-4-305-70723-9 C0092
定価 : 本体 5,800 円(税別)
A5 判・上製・カバー装・292 頁
新刊案内
万葉集を編み、形作るための志向、その志向を支える理
念や主題を「構想」と定義。成立のプロセスや、当時の
歴史的実態に還元する読みを排し、現態をあるがままに
捉える。全巻に一貫する、
「歌を用いて、天皇を中心と
した律令社会の理想像をあらわす」構想を読み解く最新
の編纂研究。
【
『万葉集』は巻毎にその性格を異にしていて、巻の編集
の構想が比較的見えやすい巻もあれば、そうでない巻も
多い。ましてやいくつかの巻を束ねたかたちでその編
集の構想を問おうとすると、越えなければならないハー
ドルは一層高くなる。本書ではその困難さを承知のうえ
で、
『万葉集』全体にわたる万葉集編纂構想論の展開に
挑んでみようと思う。
『万葉集』二十巻全体を視野に入
れた論述であるところに、本書の特色と心意気がある。
】
…第一部第二章より
【目次】
凡例
第一部 万葉集編纂研究の現在と展望◆村瀬憲夫
第二部 構造論から構想論へ◆市瀬雅之
第三部 部類歌巻の編纂と構想◆城﨑陽子
第四部 構想論・構造論・歌人論◆村瀬憲夫
結びにかえて◆村瀬憲夫
所収論文一覧
あとがき
索引(事項・歌番号)
中国の六朝詩学を導入し歌を創造した家持。歌を日本の
「詩」と捉え、漢詩と同質にみる態度は、歌論に表される
歌の本質論に繋がる問題であり、家持の〈歌学〉の源流
がある。本書では、特に越中時代以降の作品を取りあげ、
『文選』
『玉台新詠』六朝詩と比較検討し、
『文心雕龍』な
どの文学理論と照合。どのように中国文学を享受し、日
本の歌へと展開させたのか。家持が構築した新たな文芸
の核〈歌学〉を明らかにする。
【家持の〈歌学〉は断片的なものであるが故に、歌から理
論を探る工程が必要となるのであり、体系的に表れるの
は、
『歌経標式』や『古今和歌集』を待たねばならない。
しかしこれらの歌論が中国詩学を取り入れることによっ
て和歌の本質に迫ろうとしたことを勘案すると、家持の
時代にすでにその素地があったということの意味は重要
であろう。このことは家持における〈歌学〉が、家持個
人に帰するものではなく、古代日本の歌が辿る必然性の
中にあるということを物語っているのである。
】
…本書
「結
論」より。
【目次】
凡例/序章/第一部 家持と池主との交流歌―家持歌
学の出発―/第二部 家持の花鳥風詠と歌学/第三部
家持の君臣像―詩学から政治へ―/結論/初出論文
一覧/あとがき/索引(万葉集歌番号・事項)
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