2010年体験記1 - 東京大学医学系研究科の入学案内

University of Washington 留学体験記
M3 Male
私は 3 月 15 日~5 月 7 日の 2 ヶ月間、Seattle にある University of Washington (UW) に
て、Infectious Disease (ID) と Hematology/Oncology (Hem/Onc) の実習を行いました。
この体験記の締め切りが 5 月 1 日ということで、正確にはこれを書いている今現在まだア
メリカで実習中なのですが、大半の実習は終わっていることもあり、これまでの経験を基
に書きます。
1学内選考まで
私が海外臨床実習に興味を持ったのは M2 の秋~冬頃でした。医学英語の最後の授業で
Holmes 先生から clinical clerkship のお話を聞いた際にはまださほど興味は無く、漫然と
そういう選択肢もあるのか、と思った程度でした。その後部活の先輩から M3 からの臨床
実習では時間に余裕があって自由に使える時間が多い、と伺い、M3 のうちに何か力を入れ
て取り組めるものはないかと探した結果、見つかったのが海外で Clinical clerkship を行う
という選択肢でした。当時は海外で臨床実習を行うということがどういうことなのか全く
想像出来ませんでしたが、きっとその準備は大変なものだろうと思い、M3 の比較的自由な
時間を費やすに足るものではないかと思いました。恥ずかしながら大学入学以降、部活や
バイト、遊びに明け暮れて、しっかりと腰を据えて勉強するということが無かったので、
この辺りで一度しっかりと勉強するのも悪くないかも知れない、と思ったのもきっかけと
なりました。
そうして 5 月の学内選考に忚募し、幸運にも University of Washington への推薦を大学か
ら頂けることになりました。私は帰国子女でもないのに、駒場時代は不真面目で英語は全
く勉強しなかった上、医学英語の授業についても部活の都合を優先して金曜にとりあえず
行くだけ、といったひどい有様だったので、学内選考前の英語力の鈍り具合は半端無く、
自分でも情けなくなるほどでした。英語力については今更仕方ないので面接では積極性を
アピール出来ればと思って臨みました。そんな状況だったので、学科の成績が良かったの
か、やる気を買われたのか真相は謎ですが、推薦を頂けることが分かった時は本当に心か
ら嬉しかったのを今でも覚えています。
2USMLE
学内選考で正式に推薦が決まったら、次の関門は USMLE の Step1 に合格することです。
これに関しては自分は当初かなりナメていました。ですので、以下は高得点を目指してし
っかりと勉強しようという方にはあまり参考にならないと思います。UW を含めた交流規
定のある 3 大学への推薦が決まった人は向こうの大学への application の都合上 9 月上旬ま
でに受験することが必須となります。私は海外臨床実習に興味のある友人と二人で M3 に
なる直前に勉強の進め方について相談し計画なども立てていたのですが、実際に M3 の実
習が始まって最初に忙しい所を集中的に回ったこともあり(また適当な力の抜き所を当時は
知らなかったこともあり)、結局 5 月の中旬まで殆ど勉強を進めることが出来ませんでした。
友人と選考前に背水の陣を敷こうなどと言い 5 月中旬に Step1 の申し込みなどは進め、お
金(1000 ドル程したと思います)の支払いなどは早々と済ませたのですが肝心の勉強は一向
に進まず、更に大した危機感も無く夏まで比較的のんびり FIRSTAID を読んでいました。
7 月も中旬に入りそろそろ過去問を解こうか、とした所で丁度東医体前となってしまい、そ
こからは何となく大会のお祭り気分に乗って殆ど勉強せず、東医体後もしばらくその余韻
に浸るという生活を送ってしまいました。結局試験 3 週間くらい前になって、昨年 UW に
留学された先輩に「このままだとまずいよ!」と言われてようやく目が覚め、そこからは
ひたすらに勉強しました。結果、residency に忚募することを考えれば決して良いとは言え
ない点数でしたが無事に合格し、せっかく頂いた推薦の機会を棒に振ることも無く、UW で
の臨床実習が正式に決まりほっとしました。もしもこの体験記を読んでいる方で、試験前
で切羽詰まっている、という方がいれば要領良く合格する方法ならアドバイス出来るかと
思うので困っている人がいれば連絡してください。要領を掴めばまだ間に合います。高得
点を目指す人はひたすら地道に勉強しましょう。近年 Step1 は難しくなってきているよう
です。(後述しますが他国の受験生もそのように言っていました。) テキストや問題集につ
いては巷に情報が溢れているのでここでは詳しくは割愛しますが、FIRST AID と on line
の問題集(QBANK か USMLE world のどちらか尐なくとも一方)は必須でしょう。私は日本
には behavioral science という科目は無いのでこれには独自の勉強が必要だ、という話を聞
いてこの分野の教科書を一冊読みましたが、私自身はその有効性については懐疑的です。
むしろその時間を問題を解くのに充てれば良かったと尐し後悔しました。とにかくひたす
ら問題演習をこなすことが合格、更には高得点への近道ですから受験する方々は頑張って
下さい。
3TOEFL
こちらは主に北米に留学する学生の英語力を見る試験で、交流規定のある大学に留学する
為には Step1 に加えてこの試験で 80 点以上(120 点満点)を取得する必要があります。ただ
80 点というのはそれほど高いハードルでは無く、臨床実習に実際に参加した今から思えば
必要最低限のレベルだと思います。正直 80 点に満たない英語力では臨床現場の早い英語に
は全くついていけないでしょう。それで行っても得られるものは尐ないと思います。例年
先輩方は TOEFL は Step1 の受験後にちょっと勉強して受ける、という方が多かったよう
ですが、自分は M3 の間に英語力をしっかりとつけておきたい、と考えていたので TOEFL
対策も比較的しっかりと行い、試験も試合シーズンの合間を縫って何度か受験しました(受
験料は 2009 年 7 月より 200 ドルに値上がりしたので決して安くはないのですが…)。具体
的には 100 点を身近な目標にして Speaking と Writing の勉強をしました。自分はそれま
で output の訓練というのを殆どしたことが無かったのでこれは非常に勉強になり、後々特
にアメリカに渡ってから役に立ったと思っています。TOEFL で高得点を取りたい、と思う
人は一度試しに受験して、自分の現段階の実力を知るのが一番いいと思います。TOEIC や
受験英語とは全く性格の違う試験なので最初は思うように点数が取れないかもしれません
が、所詮試験なので対策すればそれなりに reward は得られますから頑張って下さい。
4診療科の決定
Step1 と TOEFL を終えたら application 用の書類の準備です。これが意外に厄介です。詳
しくは国際交流室から連絡があると思いますが、大学の application form 以外にも CV、
Deen`s letter、各希望診療科用の PS など様々な書類が必要となります。こういった書類作
りはついつい後回しにしてしまいがちですが、出来るだけ早くに済ませておきましょう。
私は当初 1 月中旬~3 月中旬に希望していたのですが、向こうの大学の都合で受け入れが出
来ないと言って 1 月、2 月と順に断られ、結局 3 月中旬~5 月上旬というかなり遅い日程と
なりました。特に UW の留学生課の方からの返事がかなり遅く、application を 10 月 20
日頃に出したにも関らず 12 月上旬になっても何の連絡も来なかったので、痺れを切らして
先輩に連絡先を教えて頂き、自分から直接メールをして催促した所ようやく動いてくれま
した。今年から担当者が代わっていたこともあり、引き継ぎがうまく行っていないようで
した。それから 12 月下旬にようやく 3 月 15 日~の実習が ID に決定し、その後も調整に時
間がかかり 1 月中旬になってようやく 4 月 12 日~の実習も Hem/Onc に決定しました。海
外臨床実習をする友人達が日本を出国していく中、自分だけまだ診療科が決まらない、と
いうのは物凄く不安でしたし、日本での M4 の実習に合流するのが大幅に遅れるというこ
とで最初は困り果てましたが、
それでも当初の予定通り 2 ヶ月間の実習が出来ると分かり、
決まった時は非常に嬉しかったです。Application 自体は UW Medicine の HP を見れば大
体のことが書いてあるのでそちらを参考にしてみて下さい。希望の臨床科に尽いては、第
一希望 General Internal Medicine(GIM)、第二希望 Emergency Department(ED)、第三希
望 Infectious Disease(ID)という風に出していたのですが、GIM と ED は非常に人気で、
UW の学生だけで埋まってしまうようでした。このように、希望する科で実習を必ずしも
行える訳ではない、というのは海外実習の弱みではあります。どうしても割り振りの際に
留学生は後回しにされてしまうので仕方無いようです。その後追加で希望を聞かれました
が、自分は内科系と外科系を比べた際に、内科系の方が実習に参加出来る度合いが大きい
のではないかと思い、またしっかりと問診を取って Assess して plan を立てて、という日
本の BSL ではあまり学ばないことを勉強したかったので内科系メインで希望は出しました。
内科系の方が英語も頻繁に使うのではないかとも考えました。結果的には後述する通り、
狙い通りの実習が出来、また期待していた以上に aggressive に実習をさせて貰うことが出
来、非常に満足しています。
5その他の事務的な準備
診療科の決定と同時に進めなくてはならなかったのがビザ、保険、予防接種の準備です。
ビザについては去年までは UW は J1 ビザを取得することを推奨してきたのですが、今年か
ら B1 ビザを取るように、と言われました。B1 ビザだと多尐入国理由と実際に現地で行う
実習内容に差が出てしまって微妙なのですが、J1 ビザは受け入れ大学も用意しなくてはい
けない書類が出来て面倒だったのか、J1 ビザを取ろうと思う、と言ってみても B1 ビザで
来てくれ、と言われました。ビザの取得自体は国際交流室から連絡があるのでその指示に
従ってやれば大丈夫です。大使館の予約は時期によっては混んでなかなか取れないので早
めに HP で確認して取っておくようにしましょう。必要な書類を用意し、申請料金を銀行
で振り込み、UW からの invitation letter と合わせて予約した日に赤坂の在日米国大使館に
行けばばっちりです。面接は英語だし色々と突っ込んで聞かれたらどうしよう、と尐し身
構えましたが、渡航理由と、現地ではお金は稼がない、ということを明確に話せば後は勉
強頑張ってね、と言われて尐し雑談をして終了でした。面接からビザを受け取れるまで最
大 1 週間かかる、とのことですが、面接の翌朝には自宅にビザが到着し、その対忚の早さ
にはびっくりしました。
保険については海外旅行保険と医学生の医療過誤保険の 2 種類が必要でした。海外旅行保
険は大学生協のもので、留学タイプのものを購入しました。確か渋谷の大学生協の事務所
まで行って購入した気がします。医療過誤保険の方は M1 に進学した時の東京海上の保険
があればそれの英文証明書を送って貰えば大丈夫です。私は何故か入っていなかったので、
急いで加入する必要がありました。これら 2 つの保険の加入を証明する英文証明書を確か
11 月位に送らないといけなかったので結構急いで作って貰った気がします。こういう書類
仕事はついつい後回しにしてしまいがちなので、なるべくさっさと終わらせてしまうよう
にしましょう。
予防接種は記録を application の書類と一緒に送る必要があります。早いうちに自分の予防
接種の記録を母子手帳などで確認しておき、足りないものは接種しておきましょう。グレ
ーゾーンだなと思ったら接種しておいた方がいいです。この予防接種も医療機関によって
は予約に結構時間がかかったりするので早いうちにしておくに越したことはありません。
そんなこんなで Step1 の結果が出てからはあれこれと書類準備に追われ、結構忙しくして
いた気がします。
留学の日程は 1 月中旬に決まったものの、それと同様になかなか決まらなかったのが住む
家の手配でした。昨年、一昨年に UW に留学されていた先輩方がホームステイされていた
家の方には 12 月の上旬にメールしてみたのですが生憎その時期は一杯だと言われて断られ
てしまい、その後は件の UW の留学生課の人にお願いして探して貰っていたのですが、先
述の通りなかなか連絡を貰うことが出来ず、一向に進展しませんでした。自分でもネット
で探せる範囲で探してみたのですが、行く前で地理にも全く詳しくないのでどれが良いの
か、などイマイチピンと来ず、なかなか決めかねていました。そうこうしているうちに 2
月に入り、そろそろ決めないとまずいなと思っていた矢先に、以前メールさせて頂いた、
昨年まで先輩方が住んでいらっしゃった家の方から連絡を頂き、その方の隣の家の人が部
屋を貸すことが出来るかもしれない、とのことだったので連絡先を教えて頂き、やり取り
の結果無事に 2 カ月の間部屋を貸して頂くことになりました。キッチンや浴室、トイレは
共用で、食事などは出ないのですが、与えられて部屋は一人暮らしには十分なスペースで、
必要なものは一通り揃っており何の不自由もありませんでした。また場所も Montlake とい
う所だったのですが、大学、中でもとりわけ University of Washington Medical Center に
は近く、徒歩 10 分もかからない距離でした。周辺は静かで治安も良く、景色も綺麗で非常
に落ち着いた生活を送ることが出来ました。Seattle に着いた当日は夜の 9 時半頃に空港着
の飛行機だったのですが、空港まで車で迎えに来てくれ、その後空港まで行く用事があっ
た際も遅い時間だと送り迎えしてくれて非常に親切な方でした。家賃も 1 泊 16 ドルだった
ので 2 カ月滞在しても 1000 ドル以内に収まり、立地や生活の質を考えると非常に良い場所
だったと思っています。
住む場所が決まったらもうほぼ準備はおしまいです。直前期に UW の教務課からメールが
あって、HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)の講習を on line で
受けるように言われましたがそれくらいだったと思います。これは医療従事者としての
色々な問題に対する対忚の仕方を lecture したもので、どこの Medical School でも病棟実
習に出る前には何らかの形で必要とされているようです。UW のものは on line で 2 時間ほ
どの講義を受けた後、check test まで付いて来る、という手の込みようでした。これも完了
したら、あとは航空券を取って出発の日を待つだけでした。これら様々な準備は思いの外
大変で、特に診療科がなかなか決まらない時はここまで苦労して実習が出来なかったらど
うしようかと尐し不安になりました。他の大学に留学した友人達の話を聞いても概して海
外と連絡を取る際はなかなか遅々として進まないことが多いようなので、早め早めの手続
きと、連絡が来ない時はこまめに催促することが必要だなと感じました。向こうは膨大な
量の書類を処理しており、その中でつい忘れられてしまう、ということは良くあることの
ようなので気をつけましょう。
ステイ先の様子
UWMC へ行く途中の橋からの景色
6実習に対する準備
それまで Step1 で医学英語+α程度の勉強はしていたとはいうものの、History taking や
Physical Exam を英語で行う経験は当然全く無く、実際に実習が始まる前に準備しておか
ないと困る、と考えていたのでこれらについては日本を出る前にある程度練習しておきま
した。具体的には 10 月末くらいから Johns Hopkins に留学する 2 人と Michigan
University に行く友人と 4 人で、USMLE Step2CS のテキスト(FIRST AID)を用いて role
play の練習を行いました。partner を rotation しながら、それぞれ 1 回につき 1 ケース医
師役、1 ケース模擬患者役をするという風に進めて行きました。結果的には全てのケース
を一通り網羅することが出来、留学前にある程度自信をつけて行くことが出来ました。彼
ら彼女らは本当に motivation が高く、自分も引っ張られるようにして沢山の練習を積むこ
とが出来たと思います。また彼らが 1 月に US に旅立ってからはしばらくして衰えを感じ
たので、2 人の友人に role play の練習の相手をして貰いました。彼らには本当に感謝して
います。
ただこの当時は問診・診察時の英語にばかり気を取られていましたが、実際に現場で問題
になるのはカンファでの早い英語を聞き取って議論に参加出来る英会話力だったり、患者
の状態をしっかりとプレゼンテーション出来るプレゼン能力でした。問診や身体診察の際
の英語は、質問をこちらが主導して行うことが大多数なのでそれほど不自由は感じません
でした。とは言ってももちろん日本での練習があってのことだとは思いますが。これから
留学をしよう、という人にアドバイスするとすればリスニング力は鍛えておいた方がいい
です。現場の英語はとても早いです。ER や Dr. House の speed とか別に普通、というか
ドラマなのでむしろ分かり易いくらいだと思っておいた方がいいでしょう。よっぽど自信
のある人は大丈夫でしょうが、一般的にはいくら対策しても十分過ぎる、ということはな
いように思います。
他には特に準備はしませんでした。強いて挙げるならば感染症の勉強は尐ししておいた方
がいいかと思い、抗菌薬(Abx)の勉強は尐しして行きましたが、まあその程度です。1 月 2
月は冬休みの延長とか言って遊んでいました。
7University of Washington School of Medicine (UWSOM)
ここで UW についての紹介を尐し。UW はアメリカ北西部では最大の総合大学で、学生数
は学部生と大学院生を合わせると 40000 人以上に上るとか。1861 年に創設された歴史の
ある大学です。キャンパスは広大で、施設の充実度は目を見張るものはあります。7 万人
収容の Husky Stadium(American football の競技場)を始めとしたスポーツ施設も充実し
ていますし、図書館の数とその規模もすごいです。それ以上のことは大学の HP や
Wikipedia などの方が詳しいと思います。その中にある UW の School of
Medicine(UWSOM)はアメリカ北西部では最大らしく、一学年 200 人います。というか周
りの 4 州(Alaska 州、Wyoming 州、Idaho 州、Montana 州)を含めた 5 州に Medical School
がここしかないので必然的にこれら 5 州から学生が来ています。あまり日本では知られて
はいませんが、UWSOM は結構評価が高いらしく、U.S. News and World Report が毎年
発表する Best Medical school の上位に必ず顔を出しています。2010 年度版では Primary
care、Family Medicine、Rural Medicine の部門でいずれも全米 1 位でした。興味がある
人は U.S. News and World Report の Best Medical School のサイトを探してみると聞い
たことのある大学が沢山載っていて興味深いと思います。UWSOM の関連病院というのは
Washington 州のみならず周辺 5 州に沢山あるのですが、Seattle 市内にも major なもの
だけでも 4 つあり、それが University of Washington Medical Center (UWMC)、
Children`s Hospital、Veterans' Administration Hospital(VA)、Harborview Medical
Center(HMC)の 4 つになります。順に大学病院、こども病院、退役軍人病院、市中病院み
たいな感じです。これ以外にも Seattle Cancer Care Alliance という outpatient 専門の施
設などもあり、これらや研究の施設(代表的なものだと Fred Hutchinson Cancer Research
Center) も含めると相当な数になります。Seattle だけの為に何と贅沢な、と最初は思っ
たものですが、これは Washington 州の周辺 5 州に Medical School が UW しかなく、そ
れに忚じてこれら 5 州には殆ど高度な医療を提供出来る病院が無いことに起因しているよ
うです。その為周辺 5 州、遠くは Alaska 州からもどんどん患者が運ばれて来て、入院し
ています。
私はその中でも所謂大学病院である UWMC にて 2 ヶ月間実習をしていました。
University of Washington Medical
Harvorview Medical Center
Center
8Infectious Disease
1 カ月目は Infectious Disease (ID) での実習でした。アメリカの感染症診療というのは近
頃何かと話題になっているようなので一度は見ておきたいと思っており、渡米前より非常
に楽しみにしていました。
ID は更に 3 つの group に分かれており、General ID、SOT (Solid
organ transplant)、SCCA(Seattle cancer care alliance)となっています。SOT は,
要は移植後、SCCA は癌の患者さん専門で、それ以外は全て General が診ることになって
います。ID は全て consult service で、独自の病床などは持っておらず、他科からの consult
依頼があって初めて患者さんを診ます。で Abx の使い方とかラインを抜去すべきか否かと
かについて Recommendation を出す、という感じです。 自分が居たのは General team
だったので SOT のように免疫抑制状態の患者さんが集中することも無く、nosocomial
infection から IV drug user の candidemia まで幅広く経験することが出来ました。
一日の流れはその時の Attending Dr の都合によって決まります。ちなみにこちらでは
Attending Dr-Fellow Dr-Resident-Med student という図式になっており、Attending Dr
は team において全体を指導する立場になります。Attending は普段は病棟にいず、
supervise する立場にあるので、実質病棟を取り仕切っているのは Fellow、その下で
Resident と Med student が働く、という構成です。ID では Attending は半月ごと、Fellow
は一カ月ごとに rotate していたので 1 カ月 ID で実習していた間に 3 人の Attending と 2
人の Fellow と接することになり、Attending が変わるごとに一日の流れやシステムが変わ
るので適忚するのはなかなか大変でしたが、Attending によって指導方針や重点の置き方
なども違い、1 カ月ずっと同じ人に教わるのでは無く様々な teaching を経験出来たのは非
常に良かったと思います。
ID の一般的な一日は朝 9 時頃に病院に行って自分の患者さんの様子を確認しに病室に行
き簡単な問診と診察でチェックし、自分に割り振られる新患の患者さんがいればしっかり
と病歴聴取から History taking、Physical Exam まで行うことから始まります。月・水・
金の 11 時からは微生物検査室で Micro Round と呼ばれるカンファがあり、ここでは入院
患者の培養やグラム染色の中から面白いもの、教育的なものをいくつかピックアップして
みんなで顕微鏡を覗いて検討します。その後 13 時頃になると Attending が 病棟に来て
Round が始まります。Round ではまず Med Student や Resident が自分の受け持ちの患
者のプレゼンを Attending に行い、それぞれの患者の治療方針について Attending を中心
に Discussion がなされ、教育的な Tips などが出てくる度に Attending によるミニレクチ
ャーがあり、その後回診をして終了、となります。その後は各自担当患者についてのカル
テを書く時間になります。またこれら以外にも、水曜日には HMC にて 4 時半から Ground
Conference という Seattle にある UW 関連病院全ての ID の Dr が集まって行われる症例
検討カンファがありました。
こちらの医学生の仕事は、大まかに言えば、上記のように新患が来たらその患者の問診と
身体診察を行って、毎日行われるカンファ(Round)の時に Attending と呼ばれるチームの
ボスに簡潔にプレゼンを行うことと、その患者についてのカルテを ID service にその患者
が sign in されている間は毎日書き、毎日 follow して経過を同じく Attending にプレゼン
することです。プレゼンの際には必ずその患者の状態の評価(Assessment)と治療方針
(plan)(合わせて A&P)を問われます。その後決定した方針を基にそれぞれの担当患者のカ
ルテを書き、もちろん医学生はそのまま電子カルテに書きこむことは出来ないので Fellow
に Word の形式でメールで送り、それらに加筆修正したものがカルテに反映される、とい
った感じです。これらは全てこちらの医学生に要求された仕事であり、出来なくても他の
人がやってくれるからいいや、という考えは存在しません(もちろんフォローはしてくれま
すが) 。
とは言ってもいきなり最初から全部させて貰った訳ではなく、段階を踏んで出来る範囲を
広げて行きました。しかも最初は電子カルテの ID と password を UW の教務課のミスで
伝えて貰っていなかった為初日はアクセス出来ずに同時期に回っている学生の follow に終
始したり、ID の先生に Visiting Student は一人で患者を診に行ってはいけない、と誤解
をされていたこともあり、
一人で患者を診に行っちゃダメ、と言われたりして実習開始早々
かなり萎えることになりました。
そんな訳で最初の週は午前中にテーマを与えられてお昼の Round で 5 分~7 分でプレゼン
という日々が続きましたが、2 週目からは患者さんを割り振って貰ってまずはプレゼンを
毎日しっかり出来るようになるのを目標とし、3 週目の途中からはそれに加えてカルテ書
きもさせて貰うようになりました。この頃には毎日 2 人くらいの患者を受け持ちとして担
当していました。
テーマプレゼンはまだ何とかなるのですが、症例プレゼンは最初はボロボロで、沢山ダメ
だしを食らって凹みましたが、周りの先生や学生にコツを聞きまくって、尐しずつ
organize 出来るようになって来たと思います。Attending によっては Bed side で Whole
presentation をさせられることもあり、Whole presentation だと最低 5 分以上はかかるの
で最初は緊張して冷や汗ものでしたが、こういう経験によって次はもっといい
presentation をしよう、という強い意欲も湧いてきました。また前述の Micro Round で
も自分の担当の患者さんの検体が出てきたら手短にその場に集まっている人全員にその患
者さんの状態をプレゼンしなければいけません。これをこちらでは 1 liner と呼びますが、
これは患者さんの状態を如何に効率良く他の人に伝えるか、ということを考える上で非常
に勉強になりました(例:58 yo woman w/ a h/o multiple previous admissions for
polymicrobial bacteremia and fungemia (C. albicans, C. parapsilosis) who was
admitted on 3/28/10 for a three-day history of nausea and vomiting.)。日本ではサマリ
ーの棒読みに終始してしっかりと考えてプレゼンテーションをするということを全くと言
っていい程やって来なかったので、
「自分は一年間の病院実習で何を勉強してきたんだ」と
最初は萎えましたが、医者にとっての症例プレゼンテーションの重要性に気付けただけで
も来た甲斐があったと思いました。
こちらでは A&P が一番重視され、最初のプレゼンの時などは新患のプレゼンを 5~7 分し
てほっとしていたら、
「で、君の治療方針は?Abx は何を何週間?その理由は?xxx がこの患者に使えない理由
は?他にどんな side effect に注意して monitor するべきか?」
などと聞かれて撃沈しました。日本では学生として治療方針を聞かれる(特に薬の選択とか
Dose とか使用期間とか)ことは決してなかった(気がする…さぼってただけという説もあ
りますが汗)ので、最初は大変でしたが、それ以降はプレゼン前には San ford manual や
up to date、Pubmed をひっかきまわして自分の受け持ちの患者さんにとって best な
treatment plan をひたすら考えるという習慣がつき、それも良かったなと思いました。な
んせ日本語の教科書といっても i pod touch 版の year note しか持って来ていなかったので、
必然的に up to date と Pubmed にはお世話になることが多かったです。
しかし UW の学生は方針で困ったら Pubmed 引いて最新の知見を当たるのとかのとか当
然でしょう、という感覚で、治療方針の A&P について述べる時に各患者に対し、必ずと
言って良いほど 1 本くらい論文を引いてきて presentation しています。基本的に医学生も
治療に関わるチームの一員、という意識が医者と医学生双方の間で高いので、医学生の責
任感や professionalism はとても高いです。実際実習のことを work と呼んでいますし、
その辺りの意識の高さは随所で感じました。
カルテについても最初は abbreviation が全然分からず大変でしたし、A&P もきっちりと
必要十分な内容が書けず、ボロボロなスタートでしたが、こちらも読み手がどういう情報
を必要としているのか、に注意して書けば自ずと書くべきことは見えて来ることが分かり、
だんだん慣れてくるようになりました。それなりのカルテが書けるようになるとあまり手
直ししないでほぼそのままカルテに反映し、名前も載せて貰えるのでそれを目標に頑張り
ました。初めて自分の名前を見つけた時は信頼を勝ち取った気がしてとても嬉しかったで
す。
ID で実習をしていて、まず最初に感じたのは先生方が概して非常に教育熱心で、その気風
は Attending からレジデント、ひいては学生に至るまで隅々に行き渡っているということ
でした。こちらの Round では前述の通り、必ず Attending Dr は治療方針の決定の際に、
その Topic に関連した、知っておくべき tips などを lecture してくれますし、それを当然、
と考えている節はあります。2 時間 Round をしているうちの 1 時間以上が Attending に
よる講義、それもマニアックではなく非常に実戦的な講義だった、などということは普通
で、それは非常に驚きでした。最初の 1 週間などは患者さんを全く割り振られなかったの
で自分の task は何らかの topic についてプレゼンテーションを行うことと Round に出席
することだけだったのですが、それでもこの 2 つをするだけでも非常に充実した実習であ
り、わざわざアメリカにまで来た甲斐があると感じられるものでした。自分はその全てを
吸収するほどの英語力は持ち合わせていなかったので尐し残念ですが、それでも余りある
教育を受けられて大変為になりました。もちろん上級医が下を評価するだけでなく、下の
医学生やレジデントの側も上級医を評価する、という相互評価システムがそういった風潮
を後押ししている面もあるでしょうし、そういう評価制度が尐しこちらは行き過ぎている、
という批判や、日本とは制度が違うから比較することは出来ない、などという面もありま
すが、それでもアメリカの医学教育がいいと言われている理由が尐し垣間見られた気がし
ました。
あと日本との違いという点では医者はやること無くなったらすぐに帰ります。レジデント
でもそうです。早くに Round が終わった日にレジデントが 3 時過ぎに帰っているのを見
た時にはびっくりしました(実はこちらでは電子カルテに家の PC からアクセスするのは比
較的普通のことで、家に残りの仕事を持ち帰って夜遅くにやっていることも多いのですが)。
病棟に最後まで残っているのは大体カルテの溜まっている医学生、という感じです。
Round が終わるのが遅いと 7 時過ぎまでカルテ書きに追われることもありましたが、大体
は 6 時くらいまでには終わって帰れました。Seattle は緯度がかなり高く(南樺太くらいら
しいです)、しかもサマータイム導入中とあって 8 時くらいまで明るいのでそこからダウン
タウンに遊びに行く、ということも出来たのですが、基本的に病院で非常に充実した実習
を行い消耗しきっていたので、2 週目辺りからは全く実習後に出かける、ということは無
くなり、基本的に平日は病院と家を往復する、という生活をしていました。
そういった感じで、病棟にいる時間は 9 時から 16~19 時くらい、とそんなに長くもなか
ったのですが、間にやることがぎっしり詰まっていたので、学生自習室でダラダラ何か待
たされている時間、みたいなのは無く、非常に充実した実習が出来ました。そもそも空い
た時間があれば、特に午前中は院内のどこかでタダ飯付きの教育カンファをやっているの
でそこにみんな行ってご飯を食べながら講義を聞いていました。こうして医学生としての
病棟業務にも比較的慣れ、全てを網羅したとはとても言い難いものの、ID について主だっ
た内容の講義を一通り受けた辺りで ID における 1 カ月の実習は終わりました。
2 週間 Attending としてお世話になった ID
4 月に入ってからの ID consult team (前列
Professor Dr. Spach と HMC にて
左が Attending Dr. Pottinger、右が Fellow
Dr. Gulati、後列左は UW の Med student
9Hem/Onc
さて ID での実習も終わり、後半は Hem/Onc での実習でした。こちらも UWMC で、ID
同様 Consult Service に配属になりました。Hem/Onc は ID に比べて更に team は多く、
全部で 7 チームありましたが殆どが血液腫瘍を扱う team で、
malignancy 以外は殆ど我々
の team に consult が来ていました。こちらも Consult なので基本的には病床は持たず、
Medicine などの team からの依頼で初めて動く、という形式を取っていました。なので忙
しさには日によってムラがありましたが、概して ID の時より新患は多かったです。更に
この team は構成が Attending と Fellow と学生(自分)の 3 人だけだったので、その日の新
患の中から教育的な症例を Fellow が選んで私に割り振ってくれました。新患はたまにい
ない日もありましたが、基本的には 1 日 2 人くらいは来ていたので、毎日 1 人は新患を受
け持つ、という ID に比べてかなり Hard な実習になりました。Follow の患者さんも含め
ると大体常時 3 人くらいを受け持っており、その全ての患者さんの状態を毎日チェックし
て Attending Round でプレゼンし、A&P を述べて Discussion して、その方針に基づいて
カルテを書く、ということをしていたのでかなり忙しかったです。最初の週は要領がまだ
掴めていなかったこともあり、忙しくてお昼ご飯が食べられないこともしばしばでしたが、
2 週目くらいからは慣れて来て、お昼はうまく時間を確保して Resident 向けの lunch
conference に出て講義を聞きながらただ飯を頂くことが日課となりました。
1 日の流れは ID と同様で、大体 8 時過ぎに病院に行き、新患や follow の患者の状態をま
とめ、13 時から顕微鏡室で Hem/Onc の患者さんの Bone marrow や peripheral smear
を皆で検討して mini lecture を行う、という検討会が毎日あり、その後 14 時頃から
Attending Round がある、という感じでした。その他にも木曜は Seattle Cancer Care
Alliance という外来専門の clinic に Attending Dr と一緒に行き、外来実習をしていまし
た。これもただ見ているだけだとつまらないと思ったので Attending に患者さんを自分で
診たいと申し出ると、Attending が診る前に History&Physical を全部取って来て、後で
自分に presentation しなさい、と言われたので大体一回につき2人の予診を取っていまし
た。また金曜は朝7時からダウンタウンの方にある Fred Hutchinson Cancer Research
Center という所で教育カンファがあったのでそれに出席していました。朝7時に着く為に
は家を6時過ぎに出なくてはならず、金曜はすこしきつかったですが、朝ごはんが無料で
提供されるのもあって出席者は非常に多かったです。
Hem/Onc の consult service では学生が自分一人だったこともあり、ID の時にも増して質
問を気軽にさせて貰え、チームに主体的に関っているという感覚も更に強くなって非常に
充実した実習を送れました。Attending も Fellow も自分の理解をしっかりと確かめて話を
進めてくれたので消化不良を起こすことも無く、必要な考え方や知識などをしっかりと身
につけることが出来たように思います。患者さんの consult 内容としては anemia や
thrombocytopenia の原因解明、というものが多かったです。後は自分の担当した患者さ
んの中では特に MM と AIHA が多かったです。自分としては Basic な Hematology、特に
anemia や thrombocytopenia などの common な病態に対する考え方を勉強したいと思っ
ていたので非常に勉強になりました。
またここでは ID の時以上に presentation の機会も多く、良い presentation とはどういう
ものか、について更に良く考えさせられるようになりました。顕微鏡の検討会(Path round)
で 1 liner の説明を求められることもしばしばで、毎回必要な情報を落としてばかりいま
したが、気をつけて日頃から自分の今の患者をどのようにプレゼンしたら良いか、と考え
る習慣をつけたことによって段々そういうミスも防げるようになりました。ID の時にはシ
ステムに慣れるのにも時間がかかり、またどうしても英語力などの問題で詰まることが多
かったですが、2カ月実習をしたことによってシステムにも慣れ、学ぶべきことも明確に
見えて来たように思います。
3 週間お世話になった attending, fellow と
Hem/Onc Service のワーキングスペース
10Seattle での生活
A 食事
アメリカに行ったら junk food かまずい食事ばかり…という先入観が行く前はありました
が、尐なくとも Seattle はそんなことはありませんでした。むしろ、先輩方も書いていら
っしゃいますが想像以上に充実していたと思います。UWMC のカフェはイマイチでした
が、大学の近くの University Way(キャンパスの西側)という所には学生向けの低価格なレ
ストランが集まっており、色々と試すことが出来ました。焼き肉やラーメンなどもあり日
本食が恋しくなる、ということはありませんでした。また尐し車で郊外に出ると大きなシ
ョッピングモールがあちこちにあり、その周りにも沢山レストランがあり充実していまし
た。お気に入りの焼き肉のお店があり、車で知り合いに何度か連れて行って貰って一緒に
食べに行きました。また Seattle は海沿いの街でもあることから分かるように Sea food は
とても充実しています。病院で先生や学生にオススメの場所を聞いて、いいと言われた所
は行ってみるようにしていました。ダウンタウンにある人気のお店は金曜や土曜の夜だと
一時間半待ちとかもありましたがそれでも十分満足できるような内容でした。UW に留学
するのであれば是非沢山のお店を試してみて下さい。
ただ平日は忙しかったのでダウンタウンに出かける、ということは2週目に入った頃から
殆ど無くなりました。昼ご飯は病院のカフェか、カンファに出て頂いていました。晩ご飯
は家に買い貯めておいたものを食べるか、若しくは帰宅途中のスーパーで買って帰ってい
ました。またダウンタウンには UWAJIMAYA という日本食を沢山揃えたスーパーがあり
何度か食材を買いに行きました。そういう訳で全く不自由は感じなかったです。
B 気候
Seattle は緯度はかなり高いのですが暖流の影響で暖かく、滞在中(特に3月~5月だった
ので)寒いと感じることはあまりありませんでした。天気予報を見ると毎日雤でびっくりし
ますが、その殆どは尐し shower があります、という程度で、傘の必要性はそんなに感じ
ませんでした。尐しでもその日雤が降る可能性があれば天気予報は雤、となるので注意が
必要です。こちらは天気が目まぐるしく変わるので、ついさっきまで雤が降っていたと思
うと 30 分後には快晴だった、ということは良くありました。
C 交通機関
Seattle には一般的な電車は無く、交通機関はバスしかありません。街が比較的小さいの
と、街の中でも高低差が場所によって非常に大きく(海と山と湖に囲まれています)、地下
鉄などを走らせるのにも適していないからでしょう。バスは種類がとても多く(恐らく 100
種類以上ある)非常にややこしいのですが、metrobusseattle というサイトで trip planner
という所で調べると日本の乗換検索よろしく、バスの乗換の仕方を表示してくれます。出
かける前に事前に調べておくと非常に便利でしょう。大学では留学生にも Husky card と
いう学生証みたいな card を発行して貰えますが、それに UPASS というシールを貼って貰
うとバスは全て乗り放題になります。どこに行くにもバスは基本的に必須で、非常に便利
なので Seattle に着いたらすぐに購入しておきましょう。場所は Husky card を作る所で
教えてくれます。
また UW medicine に属している病院・研究施設間は定期的に無料の shuttle bus が走って
います。ID でも Hem/Onc でも他の機関での実習がありましたが、その時は良く利用して
いました。また HMC 行きの shuttle などは、HMC はダウンタウンに近いのでダウンタ
ウンに行くのにも使えて便利でした。Shuttle を使うことも考えると UWMC の近くに家
があると便利だなと思います。
郊外やちょっと旅行に出かけるのであれば Amtrak が便利です。ダウンタウンの南の方、
Safeco field の近くに King street station という駅があり、ここから北は Vancouver、南
は Portland などへ列車が出ています。実際 Portland に遊びに行ったときにはこれを使っ
て往復しました。Quality は日本の新幹線には遠く及びませんが、列車自体は快適で楽し
い旅が出来ると思います。
D お金
お金はたまたま換金した時のレートが check にしても cash にしても全く変わらなかった
ので使いやすい cash で殆ど持って行きました。海外はどこでもわりとそうですが、100
ドル紙幣のような高額紙幣は場所によっては嫌な顔をされるので使う場所に困りました。
UWMC の中のカフェでは前述の Husky Card が電子マネーとして使えたので、予め on
line でいくらか fund を入れておいて使っていました。また街に出るとアメリカは card 社
会で、何をするのにも card、という世界だったのでつられて card は結構使いました。現
金はこちらの人は殆ど持ち歩かないようです。
E 大学の施設
休みの日や平日病院が早く終わった日はジムに行ったり図書館に行ったりして過ごしまし
た。キャンパスの東側に IMA という御殿下みたいな施設があり、非常に綺麗だったので
良く利用していました。バレーやバスケのコートが 3 面張れてしまうような体育館が中に
5 つもあり、更にジム、プール、スカッシュコート、テニスコートなどがあり非常に充実
していました。最初の頃は実習もそれほど忙しくなかったので、UW のバレー部の練習に
2 回くらい参加したのですが、時間が非常に遅かった(8 時半~10 時半でした)のと、途中
から実習がかなりハードになったのとでその後行かなくなってしまい尐し残念でした。図
書館はキャンパス内に沢山あり、Health science library という病院に隣接した医学図書館
と、Suzzallo library という総合図書館みたいな図書館は良く利用していました。ちなみ
に Suzzallo library の近くには桜のとても綺麗な場所があり、3 月中旬には満開になるの
でお薦めです。
Suzzallo library 近くの桜の名所
Suzzallo library
F 観光
平日は実習で忙しかったものの、週末は何の duty も無く、時間はたっぷりあったので観
光にも出かけました。Seattle で仲良くなった友人達や同様に留学していた友達が Seattle
に来ていたこともあって、留学は一人でしたが一人で寂しく観光するという事態は免れま
した。Seattle 市内はもちろんのこと、北に 50 キロ程行った Everret 市にある Boeing の
工場や隣の Renton 市にある Microsoft 社の本社などにも見学に行きましたし、エクスカ
ーションとして南は Portland まで Amtrak で行って OHSU に同様に留学していた友人と
合流してサイクリングを楽しんだり、北はカナダの Victoria までフェリーで観光しに行っ
たりしました。Seattle の魅力の一つはすぐ近くに広がる雄大な自然・国立公園ですが、
これらは 6 月~8 月がベストシーズンで、自分が留学していた期間はまだ開いていなかっ
たり行ける所が限られていたりしたのでこちらは断念しました。
しかし景色や観光という点では Seattle は全米の住みたい街 Ranking で毎年 Best3 以内に
入る、というだけあって、非常に満足出来ました。Mariners の試合も 2 回行けましたし、
クルーズやサイクリングも楽しめ、休日を楽しく過ごすことが出来ました。
Mariners の本拠地 SAFECO FIELD
Mt. Food の眺め@Portland
G 治安
アメリカでは地域によっては治安が非常に悪い所もあり行く前は懸案事項の一つでしたが、
Seattle は概して治安の非常に良い都市の一つらしく、その点での心配は全くありません
でした。ガイドブックなどにはダウンタウンは夜は治安が良くないと書いてありますが、
夜 12 時頃にバス待ちをしていても身の危険を感じることはありませんでした。さすがに
女子の一人歩きは危険だとは思いますが、ダウンタウンは夜遅くても結構人通りは多いの
で危険、ということはあまり無いと思います。
Seattle における生活については junglecity.com というサイトがものすごく詳しいです。
Seattle 在住の日本人の方が運営されているようなのですが、本当に何から何まで書いて
あるのでこちらで生活する方は是非参考にすると良いでしょう。
11ラボ見学
実は私は実習自体は 3 月 15 日からだったのですが、それだと 1 月の頭からあまりにも暇、
ということで 3 月 1 日には渡米して、Seattle に入る前に NY と Boston に行って来ました。
大部分の時間は観光をしたり友人と合流したりしていましたが、それ以外にも腎臓内科の
大瀬先生の御紹介により NY では Albert Einstein College of Medicine で働いていらっし
ゃる加藤先生のラボを、血液内科の今井先生、斉藤先生の御紹介により Massachusetts
General Hospital の Transplant surgery の河合先生の所を訪れて見学をさせて頂きまし
た。当時アメリカの病院のカンファに参加したりラボを見学したりするのは初めてだった
ので、見学だけとはいえ非常にいい経験をさせて頂きました。この場を借りてお礼を申し
上げます。
また Seattle では大瀬先生が以前 UW の腎臓内科に留学されていたこともあり、UWMC
の横にある研究棟にある腎臓のラボの先生方と、
Seattle Children`s hospital で Attending
Dr として働きながらラボで research もされている山口先生をご紹介頂き、それぞれ見学
をさせて頂きました。腎臓のラボの先生方の中には日本人の方はいなかったのですが、見
ず知らずの日本人の医学生に対して非常に親切にして下さり、車で郊外のショッピングモ
ールやレストランに連れて行ってくれたり、一緒に Mariners の試合を見に行ったりしま
した。Seattle のおいしいレストランやオススメスポットなども教えて下さり、最初地理
に不慣れな時には非常にお世話になりました。山口先生にもお食事に連れて行って頂いた
り、お休みの日にわざわざ病院とラボの見学をさせて頂いたりとお世話になりました。何
かと気にかけて連絡を下さり、大変心強い思いをしました。
ちなみに Seattle Children`s Hospital でも海外からの Observer は受け入れており、1 カ
月くらいなら十分実習可能だ、ということでしたのでもし後輩の方で小児科系での海外実
習に興味がある方がいらっしゃれば山口先生にお願いすれば実習が可能かもしれません。
山口先生からはいつでも welcome です、とおっしゃって頂いているのでもし興味がある方
は私まで連絡して下さい。
12USMLE Step2CS
最初は問診の練習の為に、という軽い気持ちで始めた CS の勉強ですが、実習中の連休を
利用して LA まで行き、実際に試験を受けて来ました。自分としては当初は全く受ける気
はなかったのですが、一緒に勉強していた仲間が 3 人とも受けるといい、なかば説得され
るようにして受けることにしてしまいました。受験料は非常に高いですし(1295 ドルしま
す)、別にそれほど英語に自信がある訳でもないので無謀な挑戦だと思って非常に迷いまし
たが、友人達の、せっかく勉強したんだしアメリカ行くんだから受けようよ、という声に
押されて受けることにしました。実際は実習が始まってからは毎日が非常に忙しく、CS
の勉強どころでは無く、また週末は基本的に出来るだけ予定を入れて遊んでいたので殆ど
勉強時間は取れず、文字通り無謀な挑戦になってしまいましたが経験としては楽しかった
な、と思います。本題からそれるので試験や対策については詳しく書きませんが(というか
それほど書ける程の事はしていませんが)知りたい人は直接聞いて下さい。
13参考図書
ここで今回留学にあたって使った、使えると思った本の紹介を。
1. Pocket Medicine Third Edition
定番です。みんな持っています。内科版 year note が詳しくなったもの。Treatment plan
が載っていて重宝します。
2. The Sanford Guide To Antimicrobial Therapy 2009
抗菌薬の性質、スペクトラム、使い方について。抗ウイルス薬とかもちゃんと載っている
ので安心。2010 が既に出ています。
3. Medical Abbreviation Pocketcard
Chart(カルテ)の略語の対忚表。どっちかっていうと本と言うよりカードで白衣の pocket
に入るのですがこれは本当に重宝しました。今回の実習では一番使ったかもしれない。
Chart の略語は本当に最初分からない、そして分からないとカルテが書けないので本当に
苦労しました。
Chest: CTAB, no W/R/R, TVF WNL, no c/c/e
CV: RRR, nl S1/S2, no M/R/G, PMI non displaced, no JVD
とか書いてあるんですがこれを解読するのに最初は必死でした。慣れればどうってことは
ないし、いつの間にかカルテ書くのに略語ばっかり使っている自分に気づくのですが…
4. Antibiotics Basics For Clinicians
結局自分は殆ど読んでいないのですが先輩に勧められた本。Abx の quick review に最適で
す。
5. Harrison`s Manual of Medicine
病気の復習に。これも部分的にかじっただけでとても読める量じゃないですが…
6. FIRST AID for the WARD
Holmes 先生の授業でおなじみの本。これも最初の総論的なとこと該当診療科の所だけ。
行く前に読むとアメリカの実習の雰囲気が掴める。Chem7 とかアメリカの病院独特の言
葉も載っているのでそういうのに慣れて行く意味では良い。
7. Tarascon Pocket Pharmacopoeia
薬の本。殆ど使わなかったけどこれも持っている人多いです。
8. 抗菌薬の使い方・考え方 ver.2
これ読んでいったので何とか話について行けました、という感じです。文字通り考え方が
身に着く。ただすぐに知識が入る訳ではないのでこれだけでは不十分ですが…
9. 感染症レジデントマニュアル
分かりやすい。
14最後に
今回の留学を通して色々なものを見、色々な方とお話をし、感じること、考えさせられる
ことは非常に沢山ありました。文化の違いや日本、アメリカという国について感じること
はいくらでもありましたし、アメリカに来るのが初めてだった自分にとって全てが新鮮な
経験でした。まだ現在も留学中で、自分の中で消化や整理されていない部分も多いので、
敢えてこの場でそれらについて書くことはしませんが、非常に貴重な体験をさせて頂いた
と感じています。これを読んでいる後輩の方々は、尐しでも海外留学に興味があるのであ
れば、是非チャレンジしてみて欲しいと思います。そして自分の目で、耳で、色んなもの
を見て、聞いて、感じて、素晴らしい体験をして下さい。私はそのような機会を与えられ
たことを心より感謝します。この体験記を読んで一人でも UW や臨床留学に興味を持って
下さった方がいらっしゃれば幸いです。そして何か聞きたいことなどあれば私まで連絡し
て頂ければ分かる範囲でお答えします。
また今回の実習を通して、自分が如何に周りの人に支えられて生活を送っているのか、と
いうことを改めて強く実感することが出来ました。一人で異国に 10 週間留学する、とい
うことは自分の想像以上に大変なことでしたが、多くの人に支えられて非常に充実した、
有意義な留学とすることが出来ました。国際交流室の丸山先生、武岡さん、海外留学をす
る学生対象に英語の講義をして下さった Holmes 先生には本当にお世話になりました。大
坪先生にはフェローシップという形で留学資金の援助をして頂きました。Seattle でお世
話になった病院の先生や患者さん、ラボ見学などでお忙しい中時間を割いて下さった先生
方にも大変お世話になりました。
この場を借りて感謝申し上げます。
そして一緒に勉強し、
メールや Skype で連絡を取り合って励ましてくれた留学仲間の友人達や、日本からずっと
自分を支えてくれた友人達、家族など全ての人にも心より感謝致します。
今回の実習で得た経験を決して風化させること無く、今後に活かして行こうと思います。