狂犬病はどんな病気? 狂犬病について知っておくべきこと 鹿児島大学名誉教授 岡本嘉六 ● 発症したら、ほぼ100%死亡する。 ● 高熱、麻痺、運動失調、嚥下障害、恐水症、全身痙攣を呈し、最期は呼吸障害を起して死亡 する。 ● 世界で毎年5万5千人以上が死亡しており、その大半がアジアとアフリカである。 ● 狂犬病は日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の国々を除いて、全世 界で発生している。 ● 感染してから発症するまでの潜伏期間は、一般に1ヶ月から3ヶ月であり、できるだけ早く 暴露後ワクチン接種を受けることで発症を防ぐことができる。 ● 世界で毎年1千500万人が暴露後ワクチン接種を受けている。 ● 日本国内では 1956 年を最後にヒトの感染は起きていないが、輸入感染事例としては 1,970 年 にネパールからの1例、2006 年にフィリピンからの2例がある。 ● 狂犬病は温血動物の全てが感染するが、ヒトの感染のほとんどはイヌに咬まれることで発生 している。主な感染源動物は次の通り。 ◦ アジア、アフリカ: 犬、ネコ ◦ アメリカ、ヨーロッパ: ◦ 中南米: ● キツネ、アライグマ、スカンク、コウモリ、ネコ、犬 犬、コウモリ、ネコ、マングース 唾液中に狂犬病ウイルスが含まれるので、傷や粘膜を舐められても感染する。石鹸と水でよ く洗い流し、できるだけ早期に医療機関を受診する。 ● 感染したかどうかを調べることは困難であり、海外で動物に咬まれたり、舐められた場合は、 速やかに医療機関で暴露後ワクチン接種を受ける。 ● 50年以上狂犬病発生がなかった台湾で、2013 年 7 月にイタチアナグマの感染が確認された。 その後 2014 年7月初旬までに385頭が確認され、風土病化した。 ● 日本に狂犬病が侵入する可能性は、イヌや野生動物の密輸入、輸入船舶のコンテナに迷い込 んだ動物の上陸、貨物船に同乗しているイヌの不法上陸など、決してゼロではない。 ● 狂犬病予防法に基づき、犬の飼い主には以下のことが義務づけられている。 ◦ 市町村に犬を登録すること。 ◦ 犬に毎年狂犬病の予防注射を受けさせること:流行を防ぐには70%以上の接種率 ◦ 犬に鑑札と注射済票を付けること。 ● 野良イヌ、野良ネコを増やさないことが重要である。外来種のアライグマが野生化して全国 的に増えているので、狂犬病が侵入すると感染源動物となる。
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