平成25年度 強化部派遣事業「視察報告」 1.分 類 … 進学・実業高校 2.訪問者 … 後藤浩之(船引) 、小野裕久(会津工) 、大河内孝志(福島) 3.目 的 … 私立高校全盛とも言える状況の中にあって、第89回選手権大会で優勝した佐賀北高校と、一昨年 春夏2季連続出場を果たした済々黌高校を訪問する。両校に共通するのは県を代表する進学校であり ながら野球の強豪という実績を積み重ねていることである。似たような境遇にある両校の指導方針や 指導方法を学び、その共通点や相違点を探ることによって、これまでの指導のあり方を振り返り、今 後の改善点を見つけたいと考え、両校を訪問することとした。 4.視察報告 【熊本県立済々黌高等学校】 (報告者:小野裕久) (平成 26 年 1 月 12 日(日) 8:45~13:45 部長:橋本 淳 監督:池田 満頼) (1)当日の練習メニュー ①選手だけでのミーティング ②ランニング→体操→ダッシュ ③キャッチボール→トス ④ゲーム形式のエンドラン練習 ⑤バッティング(5班編成) ・1班 3カ所打撃:右スライダー・ストレート・左スライダー ・2班 ティー打撃 ・3班 テニスボール打ち:正面からのボール ・4班 守備 ・5班 走塁練習(グラウンドとは別の場所で小さなダイヤモンドを作り打球判断の練習) ⑥アメリカンノック ⑦ダウン (2)質問事項に対する回答 ①チームの目標 →自立した人間の育成。 (ゲーム中に任せられる人間、社会で頼れる人間) ②時期に応じた具体的な目標設定 →特に時期を区切っての目標設定は行っていないが、その段階で何が足りないのかを見極め一つずつクリア していくことを目標にしている。 ③シーズン中やシーズンオフの練習メニュー・練習時間 →練習内容・・・年間を通じて実戦練習のみ。ランニングやウェイトトレーニングは一切行わず、実戦練習 のなかで走らせる。 →練習時間・・・平日3時間~3時間半(自主練1時間程度含む) シーズン中(半日練習)シーズンオフ(一日練習) ④年間に組む練習試合の数 →熊本市内は大会の数が非常に多いが、それ以外の土日はほぼ練習試合を行う。 ⑤監督として、日々心掛けていることや戒めていること →教えすぎないこと。できないこと知らないことは無理に教えようとせず諦めるようにしている。 (ウェイト トレーニングなど) ⑥私学や強豪校と互角に戦うために必要なこと →私学や強豪校(熊本工業や九州学院)と互角に戦おうとは初めから考えていない。互角に戦うことは無理なの で、他より優れている物を見つけるようにしている。 →済々黌は、選手個々考える力・判断力で勝負。セオリー以外の所にかけて練習している。 ⑦授業形態、試験前・試験中の練習やその制限、土日の課外授業や模試、練習時間や遠征回数の制限、朝練や夜 の自主練などについて →テスト期間に思い切って2週間の休みを取ることもある。逆にテスト期間でも練習試合を行うこともある。 自主練習は毎日の練習内に組み込まれている。 ⑧保護者やOB会、後援会などとの関わり方や、支援・協力体制について →OB会・後援会からは金銭面での援助有り。監督は、保護者とのコンタクトは一切取らない。部長が保護 者会長と連絡を取り合い進めていく。 ⑨バッティングについての考え方や練習方法について →細かいことは言わない。強く振ること・手で振ることだけ(腰を回しすぎる選手が近年多いため)を意識 させている。 ⑩走塁練習の具体的な方法について →練習の中では、細かい技術的なことは指導せず、暴走しなさいとだけ指示している。その中で選手同士が 意見交換をし、判断力を磨いていく。甲子園のドカベンプレーもその練習の中で生徒達が見つけたもので ある。 ⑪投手育成について →技術的な指導はほとんど行わない。配球に関してのみ徹底した指導を行う。 ⑫投手の練習メニューについて →ランニング(短距離ダッシュ、坂道ダッシュ等)体幹トレーニング ⑬ウェイトトレーニングについて →練習内では一切やらない。個人でジムに通う生徒は数名いる。 ⑭.監督が外部監督、部長が進学校の国語の教諭ということで苦労していること →学校と監督との連携は部長が橋渡しになりおこなっている。部長も赴任一年目ということもあり校務分掌 で負担は少なく今のところは部活に支障はないが、来年以降は分からない。 ⑮大竹投手の3年間の伸び・彼の性格・身体的能力について →野球大好き少年。引退後も毎日練習参加。素直でまじめ。 →監督からの配球に関して指導を受け、そのために必要な球種を自分で増やすなど工夫をした。 →甲子園を経験したことで、多少のことではびびらなくなった。 ⑯機動力野球展開のための練習メニュー →練習の中での走塁は必ず暴走するように指導している。打球判断・盗塁練習をローテーションの中に必ず 組み入れている。 (3)池田監督の基本的な考え方 私学や強豪校(九州学院や熊本工業など)と戦う上で初めから互角に戦おうとは思ってはいない。いかに少な いチャンスを掴むかが大事であり、自分たちの課題を見つけて割り切った練習を徹底できるかである。また、セ オリー以外の所に活路を見いだし勝負している。それには、監督の腹の括り方も重要になってくる。練習中は、 教えすぎないことを意識し選手自身が実践練習の中で感じたことぶつけ合い解決していくことで自立した選手 を育成している。 ・走塁…練習では暴走しなさいとだけ指示。やらせてみて問題・課題を見つけさせてそれを練習し試す。その繰 り返しを徹底する。 ・打撃…強くバットを振れるようにする。手で打つ。打撃には体重が大きく関係してくることから冬期間はひた すら食べさせるようにしている。個人個人が工夫をし、成果の上がった方法を全員の前で発表すること もある。 ・投手…とにかくストライクが取れること。コントロール重視。 ・守備…正面の打球を当たり前にアウトが取れること。ダブルプレーは必要ない。一つのアウトで十分。ミスを なくすことだけ考える。ランナーが3塁にいるときは、点差に関係なく必ず前進守備の隊形をとり、一 点もやらない。 【佐賀県立佐賀北高等学校】 (報告者:後藤浩之) (平成 26 年 1 月 11 日(月) 8:30~13:00 部長:吉冨 壽泰 監督:百﨑 敏克) (1)練習 ①練習時間 ・平日練習時間 ・・・16:00~19:30 ・休日練習時間(土曜補習無) ・・・9:00~(状態に合わせて1日 or 半日) (土曜補習有) ・・・14:00~17:00 ・朝練は0時間目(7:45~)があるため行っていない。 ②内容 (視察当日のメニュー) ・アップ ・キャッチボール、トス ・ボール回し(4班でダイヤモンド4カ所設定) 右・左周り各10周をタイム計測。目標タイムは 60 秒以内 (ホワイトボードに各班のタイムを記録) ・ポジション別 外野はノック、内野(投・捕含)はバント処理やマウンド近辺からのノック ・班別練習 A:体幹 B:アメリカンノック C:ティー D:バッティング(バックネットに向かって) 練習内容は、1年間を通して体力トレーニングと基礎練習・実践練習がメイン。シーズン中もその割合が変 わるだけである。ウェイトトレーニングについては、基本的に全体練習の中では行わない。バックネット裏に 器具は設置されていたが、個人練習などで行う程度。 技術的な指導はあまりしない。選手に聞いても、練習の取り組みや生活面での指導はされるが、技術的なこ とはあまり言われないとのこと。 (2)チーム方針 ①目標 チームの目標は「甲子園優勝」 。以前は「甲子園出場」を目標にしていた。甲子園優勝してから特に、 「甲子 園で優勝」するためには、という指導を行っている。そのため、常に「甲子園ではこうだ」という話をする。 百﨑先生は、どの学校へ赴任しても、 「甲子園出場」するという目標は揺らがなかった。部員数が少なくとも、 校長から「うちの学校では無理」と言われても、そのための指導をしてきた。 ②目的 勝つだけでなく、 「人間形成の場」にすること。生活指導等はもちろんのこと、一度入部したら辞めさせない 工夫をする。そのために、学年という横のつながりを大切にしている。野球の技術がなくても、テスト前の勉 強会で、技量が低い選手が高い選手に勉強を教える。その選手が良い点数をとれば、 「~のおかげでお前は点数 がとれたのだよ」と話をすることで、集団の良い関係性を築かせる。逆に、集団の中でなにか異変がある際に、 早めに気づいてあげられるような目配りが大切である。 ③雰囲気 「思わず知らず知らずのうちに応援したくなるチーム」作りを心かけている。具体的には、元気のあるチー ムにしたい。コールド負け寸前であっても、そのタイミングで球場に来た人が「どちらがかっているのか分か らない」と感じる雰囲気を大切にしている(声や拍手など) 。それが、甲子園でもできたことが大きかった。 ④試合中 試合は発表の場である。練習中に怒ることはあっても、試合での失敗は責めない。特に、夏の大会で「だか ら言ったじゃないか・・」となるようではいけない。そうならないよう、日頃から指導している。 ⑤自主性 生徒に主体性を持たせるためには、まず強制が大切。百﨑先生は「自主性=99%の強制」だと言っていた。 強制しその後も指導者の手のひらの上で、生徒が「自主的に行っている」と感じさせる指導をしている。その 手のひらから飛び出していくようなチームが甲子園に出場している。 ⑥野球日誌 日誌は毎朝提出させている。視察日も、練習30分前から部長と日誌を読みコメントしていた。生徒には本 音で書くよう促している。ありきたりな内容であると、 「面白くない」と突き放すこともある。あえて反発させ るようなコメントを書くこともあり、生徒のそういったエネルギーを期待する。もちろん、指導者が苛立つよ うなことを書いてくることもあるが、本音で書くように言っている分、その思いを潰すようなことはしない。 (3)総括 練習メニューは1年を通して、 「基礎・体力」に意識を高く持ち行っている。進学校であるため、練習時間が多 くとれない、また私学のような設備もない中で、私学が1000本振るのであれば、自分たちは100本で練習 する。 「お前たちは違うんだ」と思わせることで、強豪校と戦えるようにする工夫が感じられた。強豪校と比較す るのではなく、自分たちができることで戦うための雰囲気作りに重きを置いているように感じた。アメリカンノ ック中も、 「ノッカー、厳しい所!!」と監督・部長に声を掛ける選手が多く、活気が溢れる練習であった。そこ には、ただ伝えるだけでなく、前述した日誌でのやりとりの力が大きいように感じた。 「うちはこれで勝つ」とい う思いがチーム全体に浸透していること、そして浸透させるために百崎先生がどういった思いで指導されている のかを学ぶことができ、大変勉強になった。 5.まとめ (1)練習環境 ・済々黌高校、佐賀北高校ともにグラウンドは野球部専用ではなく、外野ではラグビー部やサッカー部が練習す るなど、他の部と共用している。しかし、十分な広さがあるため、他の部が練習していても練習試合をするこ とが可能である。他の公立高校と比べれば、恵まれているとのことである。 ・両校ともに室内練習場はないが、バッティング専用ゲージ( 「鳥かご」 )があり、そこでマシンバッティングが できる。 (2)目指す生徒像と野球 ・両校ともに、目指す野球の中では「自立」や「自主性」をポイントにあげていた。試合の中で、自主的に判断 し行動できる選手、つまり自立した選手を育てることができなければ、勝つことはできないと考えている。し かし、どのように育てるのかという点においては違いがあった。 ・済々黌高校では、練習が自主的に行われていた。練習が切り替わるときの合間に監督からの指示はない。練習 の目的を生徒たちが正確に理解し行動している。これまでの先輩が取り組んできた練習や姿勢を、後輩がしっ かり学び、引き継いでいるということである。自立することを目標としてきた伝統の力を感じた。 ・佐賀北高校では、練習が切り替わるときには必ず指示があり、それを確認してから次の練習に移っていく。練 習の目的を常に確認しながら練習を進めていく。自主性は勝手に身に付くものではなく、徹底して指導するこ とで身に付くものという指導の下、生徒たちはやらされることなく、自主的に練習に励んでいた。 (3)最後に 当初は、進学・実業高校を視察する予定であったが、都合により進学校2校を視察することになった。 両校は、進学の成果だけでなく、野球においても地域の期待を集める学校という共通点を持っている。そして、 「自 立」や「自主性」を目指す野球のキーワードとしている点も共通している。しかし、済々黌高校の練習は生徒が 自主的に行っているのに対し、佐賀北高校は監督の作成したメニューをこなしていくことから、目指すものを実 現するための方法は大きく異なっているように見える。 しかし、済々黌高校では、見た目には生徒の自主性が印象に残るが、監督の必要最小限の指導によって生徒の 自主性が最大限に引き出されていることが分かる。一方、佐賀北高校では、監督のきめ細やかな指導によって生 徒が一つ一つの練習を丁寧に行っていくが、生徒たちの姿からは練習をやらされているとの印象は受けない。 以上のことから、両校に共通するのは、指導者と部員が、目標を実現するための「自分たちのやり方」を共有 し、そのやり方に信頼して取り組むという点にあることがわかる。このような結束力の強さが、両校の強さの源 であると感じた。 (視察報告書作成担当:大河内孝志) 平成25年度 強化部派遣事業「視察報告書」 1.分 類 … 私立高校 2.訪問者 … 大橋徹(安積)影山高見(田村)長久保幸男(あさか開成) 3.目 的 … 明確な教育理念と目標を持つ両校が、野球部の活動を通じてどのような選手の育成を 行っているか、 “チーム強化” “人間形成”などを要点に、先進的な取り組みを学ぶ。昭 和59年創立で新進気鋭の京都翔英高校と、嘉永6年創立の歴史と伝統に裏付けられた 興譲館高校、異なる2校がどのようにして成果・実績を上げているかを知る。訪問者は 自校及び福島県高等学校野球連盟加盟校の発展のために活用できるようにする。 4.視察報告 視察初日 12月7日(土) ◇京都翔英高校(京都府宇治市菟道大垣内33-10) 14:00訪問 学校電話: 0774-23-2238 (3時間程度) 専用球場: 京都府宇治市白川牛岩14 天空夢球場 監 督 : 太田 弘昭 主担当:大橋 徹 部 長 : 伊地知正喜 (1)大橋レポート 【訪問当日の練習内容】 ① グラウンドに正座して精神統一 … シーンとした空気であった。 ② 挨拶練習 … 大きな声で合わせて発声していた。姿勢にもこだわっていた。 ③ アップ(ランニング) … 足を合わせスピードも速かった。 ④ シートノック … 一般的なシートノックであったが、活気に溢れていた。コーチもノックを しながらバンバン声を出していた。捕球ミスをするとボールを自分で捕りに走っていた。特に一 塁手は、送球をそらした場合フェンスまで捕りに行ってからベースへ頭から飛び込んでベースタ ッチしていたのが印象深かった。 ⑤ 走塁練習 … 各ベースに分かれて3カ所で実施。それぞれ第一リード、第二リードの距離を ラインを引いて全員に徹底していた。離塁の際も声を出し何歩出るのかを確認していた。1・2 塁ランナーは1歩目クロス、2・3歩目はシャッフルのクロスシャッフルに統一。打点は左足に 合わせていた。3塁ランナーはゴロゴーの練習。雰囲気から走塁には力を入れていることが感じ られた。 ⑥ グループ練習 捕 手 : バックネット前でワンバウンド捕球の練習。ワンバウンドを止めるだけでなく、 ミットで捕球の練習も入れていた。 内野手 : 3塁手はゴロ捕り。3塁線のゴロはバックハンドでの捕球。 二遊間はゲッツーの練習。スナップスロー、トス、2塁ベースでのピボット、送 球まで実施。 その他 : 間食。食べることも練習。3リットルのタッパのご飯を完食。衝撃的であった。 【指導理念・方針、他】 ① ターニングポイント … 以前は、ヘトヘトになるまで追い込んでいたが、余力を残して練習 を終えるようにしてから雰囲気が上がってきた。 ② 食事 … 冬は、食べることをテーマの一つと考えている。朝、晩も食べて、昼は3リットル のタッパのご飯を食べて、残りは練習の間食で食べきる。 ③ コアバット … 割れたバットに自転車のチューブ5~6本を巻きつけたもの。約3キロの重 さ。素振りだけでなく、ティーバッティングも行う。 ④ 少林寺拳法 … 少林寺拳法の型の肘の抜き方を野球に応用している。また少林寺の「半分は 自分、半分は他人」の精神は、野球にも通じるものがある。 ⑤ 決まり事 … 禁止事項はなく、決まり事を多く設けている。 ⑥ 求心力 … 野球の知識、言葉の力で部員の気持ちをこちらに向かせるよう意識している。 (2)影山レポート 【指導内容】 ◇飛躍のポイント … 以前はガンガンやっていたが、明日のために余力を残して練習を終えるよ うにした。 ◇二言挨拶 … 笑顔、自然体を心がけている。 ◇食事を重視 … 朝、晩は自覚。3リットルのタッパを与え、3~7合を摂らせている。プロテ インは自由。寮生は、朝1㎏、昼は2㎏(おかわり自由)食べるまでは練習に 入らなくていいと言っている。 ◇投手力、スイング力が重視。 ◇禁止事項はなし。その代り決まり事は、食事のとり方、練習中の携帯預かり、気を付けの仕方(中 指はズボンのラインにつける)など多数。 ◇学校の母体が少林寺拳法。アップに取り入れている。肘の抜き方は効果的。 ◇「半分個人のため、半分他人のため。 」という考え方。 ◇引き締めのためにあいさつ練習を行う。 (翔英神社に向かって) ◇指導者は、知識と言葉で部員を引きつける。 ◇走塁は、打点に 1 歩を合せる。リードは6歩半を基本としている。リードは2塁30足長、3塁 27足長。 ◇ゴロバスター、スイングバスターなどのオリジナルの作戦がある。 ◇キャラクター … レッドドラゴン。イメージキャラクター作りは、自分の指導を印象付けるた めにも重要である。 ◇指導者は、選手の心を燃えさす。火をつけることである。 視察二日目 12月8日(日) ◇興譲館高校(岡山県井原市西江原町2257-1) 13:00訪問 学校電話: 0866-62-0124 (3時間程度) 専用球場: 原田常司記念球場 監 督 : 高田 康隆 主担当:影山高見 部 長 : 岡崎 優一 (1)影山レポート 【指導内容】 ◇野球は、男磨きであり、社会に通用する人間作りである。 ◇気付きレベルの高い、TPOで察する人間作り。 ◇マニフェストを作り示している。 2 ◇保護者とは一線を画しているが、1月・2月に面談を実施している。 (保護者は顧客) ◇月 1 回生徒と10~15分間の面談を設定している。 ◇生徒の物語に関わる意識を持つ。 ◇交換日記を行っている生徒もいる。 ◇誕生日カードを下駄箱に入れる。 (相田みつを等、本人のイメージに合う言葉を送る) ◇人間力とは、人間的な愛情である。感動とは心を動かすことであり、遠征も目的をはっきりさせ た遠征を行っている。 ◇夏の大会前のバンジージャンプ。覚悟を決める儀式。 ◇本音ミーティング。全員で吐き出す。指導者同席。引きずらない。小さい男にさせたくない。言 ったものが責任感を持つ。言ったものが成長する。 (春、夏の県大会前) ◇DVD鑑賞。南宋院の林先生。 「出会い」 「おかげ様」出会いは1年の4月に必ず見せる。 ◇小論文を書かせる。 ◇心づくりノートの作成。 ◇10分間の朝読。正座(正しい座り方)で姿勢、気を配り。 ◇以前は凡事徹底。ぬるくなったと言われる。自然体に戻したい。 ◇学校は10年前革命を起こした。 (以前は荒れた学校) ◇寮は自分を磨く場所。携帯電話OK、1 時間限定。 (使用させ教える指導) ◇親とのやり取り。母の日に手紙を書かかせる。中学校の恩師に手紙。年賀状。あえて手間暇をか ける。デジタル化にしない。タイミングイズマネーである。 ◇オフの期間は月 1 回の帰省。2泊させ、親との時間を持たせる。盆、正月も。先祖返り、命の教 育。 ◇靴並べ。自転車並べ。 (立てて完全に平らな状態)下駄箱はかかとを揃える。学校全体で取り組 んでいる。 ◇あいさつ … 目切りはダメ。心を伝えるもの。第1印象で70~80%決まる。 (企業の人事 担当の経験から)同様に考える能力。人材確保など会社の発送。 ◇3か月に1回は新聞を発行。 ◇納会時に一発芸。メリハリをつける。冷めている人間は小さい。 ◇毎月1回MAX測定。 (べースランニングなど20種目) ◇月間目標(心技体)を掲げている。 ◇球魂会(父母の会の0B会)8~9割参加。スポンサー開拓として。 ◇沖縄遠征実施。沖縄県側が公式戦中であっても、マネージメントしてくれる。 ◇12月・1月にアルバイト … 全額部費。地域密着。社会性を身につける。お金の有難みを知 る。 ◇凡事徹底。誰でもできることを誰でもできないくらいやり続ける。 ◇ノーエラーノック。プレッシャーバント。大会前にチーム作りとして行う。 ◇ハード面は大人が作る。 ◇生徒は言わないとわからない。 ◇月1回スタッフ会議を実施。議事録をとる。目標を立てて。1週間前に提示したテーマに沿って、 1時間限定。 ◇学校の雰囲気は「チーム興譲館」 。野球、駅伝は全校応援。 3 ◇学校の現場は他責が多い。 (会社とは違う考え) (2)大橋レポート 【訪問当日の練習内容】 ① アップ … 足を合わせることにこだわり。加速走でも合わせる。 ② フリーバッティング … 6カ所で実施。手投げ2カ所、マシン1カ所、スローボール3カ所。 3塁ベンチ前ではバント練習。バックネット前ではティーバッティング。 【指導理念・方針、他】 ① 発想 … 会社員を10年経験。会社の発想を指導に活かしている。たとえばスタッフ会議を 月1回実施しているが、議事録をとっている。説明責任として年に一度、保護者面談を実施。 ② メンバー決め … 部員のアンケートで決定。 ③ 理念 … 男の子から漢へ。野球以外の事を野球に繋げる。 5.総括 京都翔英高校や興譲館高校は、近年甲子園出場や県大会上位進出など、顕著な実績を積み上げてい る。京都翔英高校は平成25年、第85回記念選抜高等学校野球大会に初出場した。興譲館高校は平 成20年、第80回記念選抜高等学校野球大会に初出場した。両校ともに春夏を通じて初の甲子園出 場である。平成25年の第95回全国高等学校野球選手権記念大会地方大会では、京都翔英高校は京 都大会ベスト4、興譲館高校は岡山大会ベスト4と安定した力を発揮している。しかし、両校は全く 異なる歴史の学校である。京都翔英高校は昭和59年に京都少林寺高等専修学校として創立し、平成 6年に京都翔英高等学校として開校した新しい学校である。一方の興譲館高校は嘉永6年の創立で、 平成25年には創立160周年となる歴史と伝統のある学校である。学校としては対照的な両校であ るが、それぞれ野球部の活動で結果を残している。 京都翔英高校と興譲館高校に共通していることの一つに、近年専用球場が完成したことがある。と もに学校から3~5km離れた山の上に建設された。京都翔英高校の専用球場は京都市内から大阪ま で広く見渡すことができる、まさに「天空夢球場」である。学校から専用球場までは、宇治平等院を 横目にバスで移動する。興譲館高校は、OBの一人原田常司氏の寄付によって築かれた「原田常司記 念球場」である。こちらは自転車で各自移動する。両校とも野球を探求するには絶好の環境のようで あるが、室内練習場がないなどの課題は残る。 京都翔英高校の太田弘昭監督は、一言でいえば豪快にして繊細な人柄。硬軟織り交ぜて選手をよく 掌握している印象が強い。 「笑え」と言えば選手は「ワハハハー」と笑い、開いた手をぎゅっと握る とその笑いがピタッと止む。ここに嫌味が全く感じられないところが彼の真骨頂だと感じた。 興譲館高校の高田康隆監督は、企業人らしくどこまでも丁寧なであった。また企業での経験を野球 部はもとより、学校運営にも広く活用している。現校長の小谷彰吾先生は甲子園出場時の監督である が、全幅の信頼のもとに連携している様子が好成績につながっていると確信した。専用球場へ向かう タクシーの運転手も、10年前とは学校が全く異なり良くなったと話してくれたことは、確信を裏付 けてくれる。 両校ともに甲子園を目指すことのできる選手層である。技術的な話はほとんどなく、どのように選 手を育成するか、どのようなチーム作りをするかという話題が中心となったことは、上記のレポート が示すとおりである。ほんのわずか垣間見える技術的な部分を紹介すれば、一つ一つのプレーや連携 4 に対して、細かくこだわりを持って指導しているということである。バットの持ち方、ボールの投げ 方、リードのとり方など、なかなかテーマになりにくいことに対して、どこまでも妥協しない。しか しどちらかと言えば挨拶の仕方、立ち居振る舞い、上下関係、移動の仕方、食事のとり方など技術以 外の指導に重点があるように感じた。全国に4000の高校野球チームがあり、目標も4000通り あってしかるべきだが、今回訪問させて頂いた京都翔英高校と興譲館高校は、両監督を中心にスタッ フが一丸となり、共通の理念のもと一糸乱れぬ指導を日夜実践し、甲子園で勝つことを目標に努力を 惜しまないチームである。 視察報告書作成担当:長久保 5 平成25年度 強化部派遣事業 「視察報告書」 1.分 類 … 県立高校(少人数校) 2.訪問者 … 江川 篤(会津農林)荒 峰雄(平工業・福島県高野連強化部) 3.目 的 … 最近、四国の高校野球が変革を迎える中、香川県では離島の小規模校(小豆島高校)が 春季県大会を制覇し、徳島県では全国的にも有名な強豪公立校がひしめく中、21 世紀枠で 出場した郡部の高校(川島高校)が春季県大会優勝や選手権県大会準優勝と着実に力をつ けてきている。どちらの高校も若い指導者が独自の指導法でチーム作りを行っており、 “選 手の主体的な活動” “指導者としての考え”などを要点に、先進的な取り組みを学ぶ。訪 問者は自校及び福島県高等学校野球連盟加盟校の発展のために活用できるようにする。 4.訪問校 ◇香川県立小豆島高校(香川県小豆郡小豆島草壁本町57) 2月8日(土) 学校電話: 0879-82-2131 8:30~13:30 監 督 : 杉吉 勇輝 ◇徳島県立川島高校(徳島県吉野川市川島町桑村367-3) 2月9日(日) 学校電話: 0883-25-2824 8:30~13:30 監 督 : 北谷 勇一 5.小豆島高校 小豆島は、瀬戸内海・播磨灘にある島であり、小豆島町・土庄町の 2 町からなり、人口は約 30,000 人。 高校は小豆島高校と土庄高校の 2 校のみで、小豆島高校は全校生徒約 300 人弱の小規模校である。 野球部は、選手 22 名マネージャー2 名、顧問4名(1名は定時制教諭)で活動している。ちなみに H24 春季香川大会優勝時は選手 12 名である。 杉吉監督は、慶應義塾大学卒業後、一度は大手企業へ就職するも「高校野球の指導者」になる夢が忘れ られずに教員の道に進んだ。他校で副部長の経験を積んで小豆島高校へ赴任し、現在に至る。慶應義塾高 校でも取り組む「Enjoy Baseball」の確立で、楽しみの妨げになる要因は、グラウンドには一切、持ち込 まない。例えば、選手のモチベーションを下げかねない丸刈り等の不条理な規律や厳しい上下関係、ナン センスな時間の使い方など。小豆島高校野球部では、スポーツマンらしい髪型であれば丸刈りでなくても OK である。全体練習は、毎月スケジュールを発表し、選手たちはそれに合わせて自主練習の計画を立て、 取り組んでいる。 「この時期までに、ここまでのレベルまで」と最大目標に対して逆算させながら、その自 主練習はすべて個人にまかせて自己責任にしている。計画通りに進めずに各レベルに達しないと、全体練 習に支障をきたし、周りに迷惑を掛けミスが続くと(練習を)途中で打ち切る。 ← winter training 期の週間メニューの例 実戦的全体練習は週 2 日程度 前日より雪のため 【Today's menu】 Meeting(イメージインタビュー) → W-up → 班別練習 → ・Red-cord(バランス系) ・Ladder(加圧トレーニング) ・補助メニュー(ランジ系など) 体幹トレーニング → Y-Stretching → マッサージ → C-down → Lunch → 自主練習 ※本来の【Today's menu】 各自 W-up → Early work 20min2set → sign play 0 死 R1 バントシフト 15min → Game fungo 0 死 R1.3~ 40min → Lunch → Clear field → 紅白戦など → Clear field → Voluntary training → マッサージ → C-down 英語での練習メニュー作成については、2 つ理由がある。1つ目は、アメリカの野球に憧れているから、 2 つ目は、他のチームがやっていないから・・・うちが一歩先を行ってるという意識づけの為。 ●Meeting(イメージインタビュー) 今回はイメージインタビューで、練習試合解禁日の試合をイメージして行われていた。3 人 1 組で本人・ インタビュアー・記者の役割で数名は、全体で発表していた。いかに、コンフォートゾーンを広げられる か各自が生き生きとしながら取り組んでいた。 メンタルトレーニングなどにも監督自身セミナーに参加し、 チームで取り組んでいるようだ。 ●班別練習(各 25 分のローテーション) 1 Red-cord(バランス系) 天井からロープをぶら下げ、そのロープを用いて不安定な状態を作りトレーニングすることが大きな特 徴であり、期待できる効果は主に ①スタビリティー(安定性) ②コーディネーション(協調性) ③リハビリテーション(再生) の3つである。専用の器具は2台、各部共通のトレーニング室に設置し ている。1台 10 万円以上。 2 Ladder(加圧トレーニング) 加圧ベルトは部で 7 本程度購入、ウェアについては各自購入していた。 3 補助メニュー(ランジ系など) シャフトに5~10k程度のウェイトをつけ、ランジ系のトレーニングをしていた。 ●体幹トレーニング 校舎内の廊下を利用して、ドローイングしながら各種体幹トレーニングを行っていた。約 10 分 ●Y-Stretching or マッサージ 以前勤務されていた新体操の先生に考案してもらったストレッチ方法。こちらも校舎内の廊下を利用し て行っていた。約 30 分。特に驚いたのは、選手の柔軟性である。180°開脚し骨盤を立てて、胸が地面に つく選手がほとんどであった。また、マッサージで各選手同士悲鳴に近い声を出しながら入念に行ってい たのが印象的であった。 新入生の初めの練習で、ファーストでのリードで牽制アウトになる練習をさせるそうである。野球は、 失敗の多いスポーツであることから、失敗をする事から高校野球をスタートさせている。 トレーニングで体は大きくできるが、それらを柔らかく使える筋肉にするため各種のトレーニング法を 学び工夫している。 トレーニングチーフやランニングチーフなども選手内から選出して、トレーニングも選手間で各自責任 を持たせ取り組んでいるようである。 小高ジュニアという小学生対象の野球教室を年数回実施し、野球界の裾野を広げる活動にも積極的に取 り組んでいる。また、選手達もINPUTした知識・技術をOUTPUTする場にもなり選手達にも好影 響を与えているようだ。 野球部でブログを開設して、選手・スタッフの誰かの記事を必ず毎日アップするようにしている。選手 は目標などが公開されることで責任が生まれ、より努力し練習に取り組むようになっている。 ※参考資料 小豆島高校野球部 『野球を通じての人間形成』 目 的: (Goal) ・強靭な身体と不屈の精神を養い、協調の心と礼儀正しい人間作り ・社会のルールが部のルール 4 つの躾 ① 時間厳守・・・5 分前集合の徹底 ② 礼儀励行 ③ 責任(役割)を果たす ④ 清掃・清潔の徹底‥・練習前の環境整備(休日は練習前 30 分間) 目 標: (Target) 『一戦必勝』 ・チームが勝つことを目指し、その過程で公正・努力・工夫・自制・協調等野球を通じての人間形成を 行なう。 方 針: (Concept) 『Enjoy Baseball』 ・チーム全員がベストを尽くす ・仲間への気配り ・自ら工夫し、自発的に努力する 練習心得: (mind) 目的意識の高い練習・・・常に自分の課題を決定し、目指すべきplayを明確にし、練習すること。 →質の高い練習につながる 一.効率の良い練習・・・時間を守り、各人が役割を分担すること。 一.実践に即した練習‥・常に実践を想定し、試合と同じ状況設定で練習に臨むこと。 一.集中した練習・・・心血を注いだ-の練習は並の十の練習に匹敵する。 日誌の活用・・・日々の練習を反省し、次回の練習がより意識された質の高い練習になるようにする。 →目的意識の高い練習につながる 自主練習の活用・・・やらされる 3 時間よりやる 30 分。 →全体練習での反省点、各個人に課せられた課題を自主練習により克服する。 自走集団 ~小豆島高校野球部=自立型人間の集団~ 一.グラウンドは学びの場だ。足りないものを満たすためにグラウンドはある。力が不十分だからグラウ ンドで学ぶ。だから選手は学ぶものとしての謙虚さを持て。謙虚さは吸収力だ。指導者は多様な機会を提 供しよう。 一.グラウンドは小さな社会だ。従ってルールがあるし、マナーも必要だ。より良い社会にするための責 任を共有している。だから選手は場と状況を把握して行動せよ。指導者は選手を大きなこどもではなく、 小さな大人として対応しよう。 一.グラウンドは楽しい所だ。しかし、楽しさは待っていて与えられるものではない。楽しさは行動する ことによってくるものだ。選手は自ら参加し、参画する姿勢を持て。指導者は、選手の個性を尊重し、見 張るのではなく見守ろう。 6 川島高校 徳島県は高野連加盟高校 30 校ほど、そのうち私立高校はわずか 1 校ということで毎年のようにいろい ろな公立高校が甲子園出場しで活躍している。 川島高校も2010年の選抜大会に 21 世紀枠で出場以降、 常に徳島県大会で上位に進出し、自力での甲子園出場ももう少しの所まで来ている。 部員 21 人(2 年 6 名 1 年 15 名)マネージャー3 名 顧問 3 名 ※実際グランドでの指導は監督のみ 甲子園出場時は、部員 18 名でそのうち 1 名は実際アルバイトなどしながら活動していた。 ほとんどの生徒が地元の選手である。中高一貫校ではあるが、中学の野球部はあまり積極的に活動してお らず、高校で野球をする生徒はほとんどいない。 北谷監督は、 川島高校OBで在学時は野球部員ではなかったが鳴門工業で副部長や部長として監督を支え、 勤務3年間で春は3回、夏は2回甲子園を経験した。数学科の教員であり、 「確率の高い野球」まずはバッ テリーを基本とした守備型のチーム作りがベースのようだ。 グランドは、他の部と共用しておりセカンドの後ろにはサッカー部、レフト後方には女子ソフトボール部 と制限がある。 当日の練習メニュー アップ(ランニング・SAQ・体幹・ダッシュなど)約 50 分 → キャッチボール約 20 分 握り替えを大事にしていた。クィックやカットプレーなどいろいろな形 → 補食 → 投手 捕手 内野 外野 に分かれて 各練習約 50 分 ● 投手 30mダッシュ 20 分 メディシンスロー 体幹 など ● 捕手 セカンド送球 15 分 サード送球 10 分 ワンバウンドストップ 15 分 ※ネットに送球 ● 内野 2 人組ハンドリング 10 分 ゴロ捕りダッシュ 10 分 ゴロ捕り前送球 10 分 ゴロ捕り 1 塁送球 10 分 ● 外野 フライ捕球 20 分 前ゴロ 10 分 後方処理 10 分 ※マシンでフライ・すべて送球 → 加圧スクワットやストレッチ 約 1 時間 → 昼食 → 午後練習 ※視察できず ○ オフシーズンは 1 週間500gupを部の決まりにしている。それが達成できなければその週は練習 させてもらえない。 ○ 選手一人一人の体つき、特に太ももの発達がすばらしい。各種トレーニングで基礎体力づくりには特 に力を入れているようだ。ZETTの測定などでは全国トップクラスらしい。加圧ベルトなどは各自 で入部時に購入している。 ○ 平日の練習後も、学校の食堂を利用して希望者には食事の管理もしているようだ。 ○ 怪我人なども、加圧ベルトを利用してトレーニングなどを行っていた。 ○ 投手づくりは、右投手よりは左碗投手やサイド・アンダーハンド投手のほうが良い。 平成25年度 強化部派遣事業「視察報告書」 1.分類 … 甲子園常連校 2.訪問者 … 福地大祐(尚志)坂本收司(磐城桜が丘) 3.目的 … プロ野球・大学・社会人野球へ多くの選手を輩出し、何度も甲子園出場を果たしている 両校が、野球部の活動全体を通してどのような選手育成を行っているか、指導理念や選手 の育成などを中心に、日ごろから行っていることを学ぶ。公立校でありながら甲子園常連 校の市立習志野高校と、全国屈指の甲子園常連校である日大三高、異なる2校がどのよう にして成果・実績を上げているかを知る。訪問者は自校及び福島県高等学校野球連盟加盟 校の発展のために活用できるようにする。 4.視察報告 視 12月24日(火) ◇習志野高校(千葉県習志野市東習志野1丁目2 9:00~13:30訪問 -1) 察 学校電話: 047-472-2148 初 専用球場: 学校から自転車で5分程度 日 主担当:福地大祐 監 督 : 小林 徹 部 長 : 加瀬弘明 福地レポート(習志野高校担当) 午前9時から約4時間の訪問であった。学校到着後すぐに監督室へ通していただき、加瀬部長・小林 監督とお話をさせていただいた。主に小林監督の野球に対する取り組みや考え方を聞くという内容であ った。その後、練習を約1時間見学させていただいた。 【取り組み・環境】 ①習志野市のバックアップ体制がしっかりしていて、公立ではあるが、専用球場・室内練習場が完備さ れており、コーチも市役所からの出向との事。 ②宿泊を伴う遠征には極力行かない。(保護者の負担を抑える) ③食事の管理は特にしていない。(通いの生徒たちが多いので管理出来ない) ④体作りのウェートトレーニングは、年間を通して上肢・下肢・体幹・1日空けるというサイクルで行 っている。(シーズンオフだからウェートトレーニングをするという発想ではない) ⑤ランニングメニューは外野のポール間のインターバル走を多く行っている。 ⑥以前は生徒の投票でベンチ入りメンバーの選考を行っていた。(監督の選考とほぼ同じなので、現在 は行っていない) ⑦練習試合中にベンチで全員に聞こえるように配球の解説を行い、ポジショニング・狙い球を教えてい る。 ⑧夏前の特別な追い込み練習はしていない。 ⑨最も影響を受けた監督は、常総学院木内前監督。(若い頃は色々と質問したとの事) 【練習内容】 ◆シートバッティング◆ マウンド上にマシーンをセットし、打者・走者・守備の三班に分け、ランナー1塁のケースで延々と シートバッティングを行っていた。左打者は低いライナーで引っ張り、右打者もおっつけて右方向への 進塁打を徹底していた。共に1.3塁のケースを作る意図が感じられた。守備では中継プレーが鍛えら れており、普段からのキャッチボールに対する意識の高さが感じられた。特に外野手のスローイングの 正確さが際立っており、送球ミスが殆んど見られなかった。また、走塁ミスを減らす為には、反復練習 を繰り返し慣れさせるしかないという言葉通り、打球に対する判断の良さが目に付いた。 淡々とした雰囲気の中、練習中の生徒たちの動きには無駄が無く、全て試合を想定した実戦的な内容 であった。 【視察を終えて】 私の中では、理論派というイメージが先行していた小林監督だが、実際にお話を伺ってみると、「そ の場面はそう思ったので、そのサインを出しました。マニュアルはありません。 」という感じで、自分 のひらめきや感性を大事にされているのが、意外で印象的であった。また、数年前の甲子園でのホーム スティールのサインについて質問した私に対し、 「生徒が行けると言ったので出しました。 」というよう に、グラウンドの生徒の感覚を信じ、大胆なサインも出す。 「采配においては、迷わず、瞬発力が一番 大事だと思います。 」という言葉が最も印象に残った。しかし、それらは小林監督が実際の目で見た事 前データに裏付けされているのは間違いないだろう。 習志野高校のチーム作りの方向性としては、計算できる守備力・走力を上げて、競り合いに強いチー ムを目指しているように見受けられた。それは、小林監督の良いピッチャーからは点が取れないという 言葉からも感じられた。勝つ野球というよりは、負ける要因を極限まで減らし、負けにくいチームを目 指しているように思える。 また、取り組みの中で述べたように、練習試合中にベンチで配球の解説を行い、ポジショニング・狙 い球を教えることによって、生徒自身に考えさせ、意図の分かる失敗ならしょうがないという割り切っ た野球をするのが、小林監督の野球ではないか。 視 察 12月25日(水) ◇日本大学第三高校(東京都町田市図師町11- 9:00~14:00訪問 2375) 学校電話: 042-789-5535 二 日 目 専用球場: 校舎隣接 主担当:坂本收司 監 督 : 小倉全由 部 長 : 三木有造 坂本レポート(日大三高担当) 学校に隣接する寮において、三木部長、小倉監督からお話をさせていただきました。練習見学(10: 00~12:00、13:30~14:00) 、昼食等をはさみ長時間(約5時間)にわたってお話をさせていただき ました。毎年恒例の冬合宿中であり、前日に行事が行われたため午前9時ごろからアップが始まりまし た。 【訪問当日の練習内容】 学校に隣接する専用球場があり、寮と室内練習場が同じ建物にある。トレーニング器具は充実してい た。野球をするためにはベストな環境であった。 《午前》霜が降りていて、専用球場が使用できず室内での練習であった。 ①ゴロ捕球ネットスロー … 捕球姿勢をとり、ゴロをとってネットに投げることを繰り返していた。 四股の体制を維持させながら、捕球や握り替えを繰り返していた。 ②班別捕球練習 … 投手、捕手、内野手、外野手に分かれて各班で多種の捕球練習を行っていた。 投手:いわゆるバント処理の練習で正面からのゴロを捕球してセカンドに投げる。 捕手:ショートバウンドの捕球、ボディーストップの練習を、初め動きだけ、そ の後、ボールを使って行う。正確なリズムに乗って行っていた。キャッチ ボールは投げる場所、捕ってから握り替える速さなどに重点を置いていた。 内野手:正面、右方向、左方向のゴロを四股の体制で捕球し、ゴロを転がす選手 に返球する。これを、繰り返していた。 外野手:前後左右に振られたボールを捕球し、ネットに投げる。その際捕球する 姿勢、握り替えを意識して行っていた。 ③バッティング練習 … マシーン3か所(カーブ、スライダー、ストレート)マシーンバッティング と並行して連続ティーを行っていた。連続ティーのペースは早めであった。 球数は40球、30球、20球、10球というように減らしていく。そうす ることでスイングのスピードを意識させていた。 《午後》グランド整備後、専用球場で練習 ④バッティング、走塁、外野守備 … 3か所(マシーン、手投げ2か所)でバッティングを行いなが ら、ネットを前において走塁練習、さらに外野手の守備練習(サ イドからのノック)も同時に行っていた。順番を待っている選 手もティーバッティングやコーチからの指導などを積極的に 受けていた。 【取り組み・環境】 学校に隣接する専用球場があり、寮と室内練習場が同じ建物にある。トレーニング器具は充実してい た。野球をするためにはベストな環境であった。 ①食事について … 以前は食べさせることも行っていたが、今は選手たちが自主的に食べている。 ②オフシーズンについて … 特別な練習はしていないとのことであった。あまり、区別されていない ようである。 ③打撃について … 上記したように、連続ティーによるスイングを常に行っていた。 ④守備について … 正確さとスピードを重視しているように思われる。そのような声掛けを行ってい た。 ⑤選手の育成 … 「心」を教えている。人間的成長を求めている。生活面など、野球以外のことをし っかりと指導している。 ⑥練習では … 常に選手たちに声をかけている。基礎的基本的な指導が多いのが印象に残った。また、 プロや社会人、大学野球を意識させるような声を選手たちにかけていたことも印象的 だった。 ⑦休養について … 週1回は休養日を入れている。オンとオフを明確にしている。 【視察をおえて】 わずかな時間ではありましたが部長、監督とのお話から、高校野球に対する思いや考えを聞くことが できました。高校野球、選手、指導者としての部分などこだわりを持っておられること、練習において も決して妥協しないということなど、同じ指導者として身につまされる思いでした。また、生活面の指 導を重視し人間的成長を求めていくことなど野球以外の部分を重視されていたことも印象に残りまし た。
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