ワクチン接種

病院通信 7 月号
私たちが子どもの時に接種してきたワクチン。ワンちゃんやネコちゃんにとっても混合ワクチンは感
染症の予防にとても重要なものです。ホテルやトリミング、お散歩などでよそのワンちゃん・ネコちゃ
んと接する機会は多々ありますが、もしもその子が感染症にかかっていたら…。
どこで病気がうつるか分からないのでペットの健康のために予防しておく必要がありますが、混合ワ
クチンがどういうものかよく分からない方もいると思います。そこで、今回はその混合ワクチンを取り
上げたいと思います。
ワクチンって何?
ワクチンとは感染症のウイルスを無毒化、弱体化させた抗原のことです。その抗原を体に入れること
により、病気に対する抵抗力を身につける事が出来ます。
子犬は初乳を飲むことで母犬から免疫力(移行抗体)を受け取ることができるため、感染症などから
身を守ることができます。その免疫力は日ごとに減るのでワクチンで免疫力を補ってあげる必要があり
ます。しかし、ワクチンを打ったからといっても 100%病気を予防できるわけではありません。しかし、
ワクチンで予防しておくことで症状を軽く済ませることができます。
猫用ワクチン
猫用ワクチンで予防できる病気には以下のものがあります。
①猫ウイルス性鼻気管炎
②猫カリシウイルス感染症
③猫汎白血球減少症
母子免疫の弱まる 6~12 週齢の
①の症状と似ていますが、症状が進
白血球が少なくなる病気で、子
子猫に多く発生し、くしゃみ、
むと口の中に潰瘍ができて食事の時
猫の致死率が 90%にも達する
鼻水などの風邪のような症状を
に痛がることがあります。
病気です。
引き起こします。
④猫白血病ウイルス感染症
⑤クラミジア感染症
嘔吐、食欲の減少、下痢を起こして
主にくしゃみ、鼻水、結膜炎を
脱水症状になることもあります。同
起こし、ヒトにも感染すること
じ食器を使うことで別の子に感染す
⑤猫エイズ
免疫機能が低下し、口内炎、貧
血などが起こります。感染猫と
ケンカすることで感染する為、
があります。
ることも。
外に出る猫は要注意です。
3種ワクチン
5種ワクチン
7種ワクチン
猫白血病ウイルス感染症
◎
◎
◎
◎
◎
◎(3種類)
◎
◎
クラミジア感染症
◎
◎
猫ウイルス性鼻気管炎
猫カリシウイルス感染症候群
猫汎白血球減少症
猫エイズ
◎
◎
◎
エイズワクチン
◎
犬用ワクチン
犬用ワクチンで予防できる病気には以下のものがあります。
①犬ジステンパー
②犬伝染性肝炎
子犬が感染しやすく高い致死率
感染犬の排泄物から感染し、
を示します。感染すると 5 日以
肝炎や嘔吐や下痢、目の白濁
内に発熱、下痢などの症状が起
こります。
③犬伝染性喉頭気管炎
などの症状がみられます。
⑤パルボウイルス感染症
④パラインフルエンザ感染症
感染犬との接触や空気感染により
咳、くしゃみなどの症状を起
咳やくしゃみなど風邪の症状を引
こします。他のウイルスとの
き起こします。治ったように見え
合併症により症状が重くな
弱まりません。激しい下痢、嘔
吐を起こし、症状の急激な進行
で死亡することもあります。
て、症状が再び現れるのが特徴。
り、高い死亡率を示す事も。
消毒などに強く長期間感染力が
⑦レプトスピラ感染症
⑥コロナウイルス感染症
皮下出血や黄疸がみられる黄疸出
コロナウイルスの経口感染
血型と、高熱や下痢を起こすカニ
から腸炎による下痢や嘔吐
コーラ型が主にみられます。屋外
が起こります。
に出る犬ほど感染しやすいです。
6種ワクチン
8種ワクチン
9種ワクチン
犬ジステンパー
◎
◎
◎
犬伝染性肝炎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎(2種類)
◎
◎
◎
◎
◎
◎(3種類)
犬伝染性喉頭気管炎
パラインフルエンザ感染症
パルボウイルス感染症
コロナウイルス感染症
レプトスピラ感染症
ワクチンプログラムと副作用
ワクチンを子犬に打つ場合、移行抗体が減った時に打たないと効果がみられません(移行抗体がワク
チンの抗原をやっつけてしまうためです)。そのため移行抗体が減ってくる 2 カ月齢頃にワクチンを接種
し、確実に免疫力を得るため 4 カ月齢まで一ヶ月ごとにワクチンを追加接種してあげる必要があります。
さらに1年ごとの追加接種が必要です。
0 ヶ月齢
2 ヶ月齢
3 ヶ月齢
4 ヶ月齢
1才
2才
ワクチン接種後に元気がなくなる、顔がはれる、注射した部分が痛むなどのアレルギー反応がみられることがあります。
アレルギー反応はワクチン接種後数分~数時間後に起こります。特に接種後の 30~40 分後は様子を注意深くみてもら
い、なにか異常がみられた場合はすぐに当院へご連絡ください。