金融会社およびリース会社の格付基準

Financial Institutions
グローバル
金融会社
金融会社および
会社およびリース
およびリース会社
リース会社の
会社の格付基準
セクター別格付基準
セクター別格付基準
本セクター別格付基準レポートでは、フィッチ・レーティングス(フィッチ)の金融会社およ
びリース会社(finance and leasing company、FLC)に関するグローバル・ベースの分析手法
を概説しており、金融機関に関するマスター格付基準である 2011 年 8 月 16 日付「世界の金
融機関の格付基準」(フィッチのウェブサイト www.fitchratings.co.jp で閲覧可能)に示す分析
上の考察を補完している。マスター格付基準も合わせ参照されたい。
本格付基準レポートでは、対象となる企業や債務に対し格付を付与する際にフィッチが考慮す
る主要な信用上の要因を示している。ただし、個別の格付や格付アクションに関しては、ここ
で示している格付要因のすべてが適用されているとは限らない。個別の格付アクション・コメ
ンタリー(RAC)または格付レポートでは、各格付アクションに最も関連の深い要因を取り上
げる。
本レポートは、2010 年 12 月 13
日付の同名のレポートに取って代
わるものである。
関連格付基準
世界の金融機関の格付基準
(2011 年 8 月 16 日)
Rating Linkages in Nonbank Financial
Subsidiary Relationships
(2011 年 11 月 29 日)
アナリスト
北米
Meghan Neenan, CFA
+1 212 908-9121
[email protected]
Mohak Rao, CFA
+1 212 908-0559
[email protected]
FLC の定義:
定義: 本レポートにおいて FLC とは、消費者金融会社、商業金融会社、ファクタリン
グ会社およびリース会社などを指す。ほとんどの FLC は、独立系企業か、より規模の大きい
企業の子会社のいずれかである。子会社である金融会社は、親会社商品の購入者にファイナン
スを提供することが目的のキャプティブ金融会社であることが多い。キャプティブ金融会社の
発行体デフォルト格付(IDR)は、親会社の IDR に連動することが一般的である。
親会社と金融子会社に関するフィッチの格付手法の詳細については 2011 年 11 月 29 日付の格
付基準レポート、「Rating Linkages in Nonbank Financial Subsidiary Relationships」(フィッ
チのウェブサイト www.fitchratings.com で閲覧可能)を参照されたい。
主要な
主要な格付要因:
格付要因: フィッチによる金融機関の分析で、格付判断上最も重要な要因になること
が多い 5 つの要因については、マスター格付基準レポートで詳細に解説されている。最終的な
格付判断において、それぞれの要因が持つ相対的な重要性は金融機関ごとに異なり、また個々
の状況によっても変化する。フィッチによる FLC の分析では金融機関マスター格付基準レポ
ートで取り上げたいくつかの要因について詳述または強調することになるだろう。
FLC に対する格付
する格付:
格付: FLC に付与される格付は、フィッチの金融機関のマスター格付基準を踏
まえたものであり、長期および短期の IDR、FLC が発行した債務に対する格付、そして適用さ
れるケースは比較的少ないものの金融機関の本質的な信用力に対するフィッチの評価の基盤と
なる存続性格付(VR)となることが一般的である。VR に関する詳細については、2011 年 7
月 20 日付のスペシャルレポート「存続性格付の概要」(フィッチのウェブサイトで閲覧可
能)を参照されたい。
Thomas Abruzzo
+1 212 908-0793
[email protected]
グローバル・
グローバル・ベースで
ベースで適用:
適用: ここで説明している格付基準は、国内のみで市場規模が小さい
特定の分野に特化している FLC から幅広い商品を取り扱いグローバルに事業を展開している
会社まで、すべての FLC を対象としている。
ラテン・
ラテン・アメリカ
Franklin Santarelli
+1 212 908-0739
[email protected]
格付の
格付の制約:
制約:本格付基準には、金融機関に関するマスター格付基準や、フィッチのウェブサイ
ト www.fitchratings.co.jp の「格付の定義」に掲載されている「格付及びその他の形態の意見に
関する定義」に記載されている格付の一般的な制約が適用される。
欧州・
欧州・中東・
中東・アフリカ
James Longsdon
+44 20 3530 1076
[email protected]
www.fitchratings.com/www.fitchratings.co.jp
2011 年 12 月 12 日
Financial Institutions
業界特性
業界特性およ
特性および
および事業環境
事業環境
FLC は、多くの点で銀行に似ているが、銀行と異なるいくつかの重要な要素がある。常にとは
言えないものの、FLC は銀行ほど厳しい規制の対象となっていないことが多い。FLC が実効
性ある規制当局により監督または規制を受けている場合(一部の FLC は銀行免許を保有)、
フィッチは一般的に、規制当局が課す財務面の制約や特別な検査、自己資本に対するレバレッ
ジ比率の上限を肯定的に評価している。
規制を受けない場合でも、FLC は高利の貸付に関する法令など、それぞれの法域における各種
の融資規則や免許規則の遵守を義務づけられることが一般的である。格付プロセスにおいて、
フィッチは FLC による適用法令や規制の遵守状況を重視している。
銀行と FLC とのもう一つの重要な違いは、比較の問題として、過去に大手銀行がデフォルト
した例は稀である一方、FLC については長年の間に多数のデフォルトが発生している点である。
これは、FLC の資金調達が主にホールセール市場から行われていることや、通常、FLC の経
営破綻において政府支援は提供されないことが反映されている。一部の法域では、FLC の営業
に銀行免許の取得を義務づけているが、FLC が銀行サービス全般を提供し、多様な収益源を持
つ本格的な銀行として営業しているケースは少なく、事業目的が限定されていることが一般的
である。また、その顧客層は伝統的な銀行融資を全面的に受けることのできない可能性のある
個人や企業によって構成されていることが多い。
リスク管理
リスク管理
信用リスク(資産の質)および残余価値リスクは多くの FLC にとって中心となるリスクであ
り、経営陣が専門性向上に重点的に取り組む分野である。
信用リスク
信用リスク
FLC の分析に特有の点として、フィッチはオリジネーションからサービシング、回収プロセスを
経て、全額返済または償却された債務の第三者への売却などにより最終的な回収完了に至るまで
の企業の方針と手順の評価を行う。リース会社の場合には、残余価値の設定や減価償却方法、資
産処分能力などを把握することもこの評価に含まれる。世界の金融機関の格付基準においても同
様であるが、資産の質や信用リスク管理に問題があるとされる場合、維持可能な高い利鞘により
補われていない限り、一般的に格付は低くなる。一方、資産の質や信用力が良好な場合、他に重
大な脆弱性がなければ格付判断にプラスに働く要因となる。
関連リサーチ
関連リサーチ
U.S. Auto: Asset Quality Review
2Q11(2011 年 8 月 30 日)
存続性格付の概要
(2011 年 7 月 20 日)
Recapturing the Captives
(2011 年 5 月 20 日)
Credit Cards: Asset Quality Review
1Q11(2011 年 5 月 6 日)
金融会社およびリース会社の格付基準
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強い信用力の基礎となるのは、与信方針およびプロセスが明確に規定され、その適用にも一貫
性があることである。フィッチは評価の一環として、内部管理用のクレジット・レポートと与
信方針からの逸脱を検証する場合がある。不良債権の計上方法については、FLC は規制の対象
となる銀行よりも多くの裁量が認められている場合がある。たとえば、FLC は取引先に対する
条件緩和をより柔軟に行っている場合がある。こうした慣行は信用力の低い借り手に対するこ
とが多いものの、優良顧客に適用される場合も少なくない。フィッチは FLC が不良債権の認
識を遅滞なく行っていること確認するため、これらの方針やその実践状況をチェックしている。
減価償却や貸倒引当の方法、貸倒償却の手法などにおいて基準が多様化しているため、同業他
社との比較が難しくなっている。発行体の方針の中で一貫していない点がある場合、可能であ
れば、フィッチは RAC や格付レポートの中で示していく。
フィッチは、確立したサービシングおよび回収プラットフォームは、延滞や貸倒償却の動向に
大きな影響を与えることから、資産の質と密接に結び付いていると考えている。たとえば、フ
ィッチは延滞先に対する FLC の回収戦略や予想延滞継続率を改善する能力について検討する。
多くの FLC が様々な手法を効果的に活用しており、フィッチはサービシングおよび回収の評
価において画一的なアプローチは採っていない。
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フィッチは、時間の経過によるポートフォリオの構成とリスクの変化を明らかにするために、
トレンド分析を用いている。概して、フィッチは内部留保の進捗に見合った水準で成長し、集
中度の低い、バランスの取れた債権ポートフォリオをプラスに評価する。貸出ポートフォリオ
やリース・ポートフォリオの伸び率が高い場合や集中度が高い場合、より慎重な分析が必要に
なり、格付に悪影響が生じる可能性がある。
フィッチは多くの場合、FLC に対して、取引先ごとの平均残高や平均利回り、平均値からの乖
離など、貸出ポートフォリオに関する詳細なデータの提供を求める。消費者金融会社の場合、
ポートフォリオに関して、借り手の属性データや内部または外部の信用スコアを求める場合が
ある。商業ローン会社やリース会社の場合、融資対象となる事業や設備機器の種類、自己査定
などが含まれる。資産の質は成長によって歪みが生じる可能性があり、可能な場合、フィッチ
は、年限別の資産の質を測定するため、静的プール・ベースで分析を行う。静的プール分析や
ビンテージ分析によって、問題の発生の兆候を早い段階で捉えることが可能となる。たとえば、
償却率の急激な上昇を伴う急速な資産の質の悪化により、オリジネーション方針が緩和されて
いることが明らかになる場合がある。
フィッチは季節要因が資産の質に影響を与える可能性があると認識しており、静的プール分析
を補完するため、成長調整後の資産の質を示す他の指標についても分析しており、同期または
期ずれベースでの延滞率やネットの償却率に注目している。さらに、ポートフォリオの縮小も、
同期および期ずれベースでの信用指標に歪みを生じさせる可能性がある。そのため、こうした
ケースでは、期間によってポートフォリオごとの延滞と損失の絶対値が相対的にどのように変
動するかをモニターする。
残余価値リスク
残余価値リスク
リース会社の場合には残余価値リスクも存在する。オペレーティング・リースを提供している
企業の場合、仕組み上、リース契約が終了し、資産が借り手からリース会社に返却される際に
常に残余価値リスクが発生する。リース契約終了時にリース資産が顧客の財産になるファイナ
ンス・リースを提供している企業の場合、残余価値リスクが発生するのは、顧客がリース契約
でデフォルトとなり、リース資産を再リースや売却のため回収する場合に限られる。
フィッチは FLC の残余価値リスクに対するエクスポージャーとその管理状況を様々な方法で
評価している。具体的には、分析対象企業の値付け方針の理解、リース資産の状態をモニター
する能力、リースの支払いの変更(例:不当な資産の損傷に対する追加料金)、契約を修正す
る柔軟性、中古資産の相対的な市場流動性、リース会社が資産の処分において多様な手段を有
しているかなどである。残余価値リスクを適切に管理している FLC は様々な資産サイクルを
通じて、残余価値の上昇や下落を管理する能力を示すことができるだろう。
財務力
財務力
ほとんどの FLC において、フィッチが財務力を評価する際に中心となる要素は、収益性、資
金調達および流動性ならびに資本基盤およびレバレッジである。
収益性
他の金融機関と同様、FLC においても多くの場合、収益が重要な格付要因になる。金融機関の
マスター格付基準レポートで強調しているように、収益の絶対水準や質、変動性はいずれもフ
ィッチが分析の対象としている要因である。金融機関の伝統的な運営指標に加えて、各発行体
の収益の質についても、過去の実績の評価を行う場合がある。これには主として、主に正味受
取利息やリース料および手数料からなる経常的なキャッシュベースの収益を評価するものであ
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り、非経常的利益や損失、キャッシュベースでない収益、デリバティブや投資の評価益などは
除外される。
減価償却費はリース会社にとって重要な非現金項目であるが、リース会社はオペレーティン
グ・リースに係る設備機器を継続的に更新し、一定の利用年数基準を維持する必要があること
から、フィッチでは減価償却費を重要な費用項目とみなしている。FLC が多額の非現金収入を
計上している場合、フィッチは営業キャッシュ・フローと決算書上の収益との差異調整を求め
る場合がある。フィッチは非現金項目が多額である場合、利益の質が低いと考える。
通常、フィッチは FLC の収益の主体がスプレッド収入であり、それを手数料やその他の収入
が補完していると想定している。FLC が収益のかなりの部分を手数料形態の収入から得ている
場合、フィッチは景気サイクルにおけるかかる手数料の信頼性と変動性について評価する。さ
らに、クレジットカード利用に対して発生する報奨金や、前受収益に対する手数料引き下げ方
針など、手数料形態のサービスに関する発生見込みも検討する場合がある。
フィッチは、保有するリスクに対する収益性の水準を測定したリスク調整後利益率など、純営
業収益の合計から引当金繰入額および支払金利を控除したマージン分析を重視している。他の
指標同様、フィッチは特定の時点の指標の数値より、一定期間における収益の安定性や予測可
能性を重視している。また、フィッチは貸出またはリースにおける様々な変動費用や固定費用
を含めた営業費用にも注目している。FLC のコスト構造がそれぞれ大きく異なることも注意を
要する。たとえば、大規模な支店網を抱える FLC は、多くの機能を集中させている FLC に比
べて、営業費用の水準が高くなる可能性が高いが、低い信用損失など他の要因により相殺され
ている場合がある。
FLC が債権を証券化し、バランスシートから切り離している場合、フィッチは当該 FLC がサ
ービシングを行っている貸出やリース・ポートフォリオに関連して計上された利益や費用を考
慮した収益性の管理指標に注目する。FLC は通常、証券化ビークルの資産のサービシング業務
から手数料を得ているため、この指標には FLC の事業の基礎的な収益性の真の姿が反映され
ている。
資金調達および
資金調達および流動性
および流動性
FLC は通常、ホールセール資本市場で資金を調達しており、この形態の資金調達は FLC に対
する信頼感の影響を大きく受ける。フィッチの経験では、FLC のデフォルトは自己資本不足よ
りも脆弱な流動性に起因していることが多い。フィッチは、市場や投資家、地域など、全体と
しての資金調達源の多様性とその安定性を極めて重要な分析上の要素と位置づけている。この
観点から、フィッチは FLC の詳細な資金調達計画・方針、緊急時資金調達計画を検証してい
る。これらの方針には、目標とする債務構成(短期対長期、固定金利対変動金利および担保借
入対無担保借入)、調達・運用の不一致、ヘッジ戦略、デリバティブ取引の適格カウンターパ
ーティーについての情報が盛り込まれるべきである。
また、FLC の資金調達計画には、(たとえば資産負債委員会などを通じて)FLC 内部でどの
ように資金調達の意思決定が下されているのかについて、明らかにされるべきである。通常、
フィッチは資産の満期が負債よりも早く到来する場合、資産の資金調達が前倒しで行われるこ
とをプラスに評価しており、特に FLC が金利リスクを限定的なものとするため、金利ヘッジ
を実行している場合、事前の調達に対する評価は高くなる。これを会社の方針として実践して
いる FLC もあれば、長期金利予想が低水準であることを活用し、より機動的にこうした調達
を行っている FLC もある。一方、フィッチは負債の満期が資産の満期よりも早く到来する場
合は懸念を持っている。この場合、FLC はリファイナンス・リスクにさらされるためである。
緊急時資金調達計画は金融逼迫時にも利用できると想定し得るものであるべきで、重要な事態
の変更(material adverse change, MAC)条項がなく、FLC による財務制限条項(コベナン
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ツ)の遵守が条件となっていないものであるべきである。ただし、MAC 条項は、「免責条
項」というより交渉上の道具とみなし得るもので、流動性補完の与信枠を無効にするものでは
ない。フィッチは FLC が一定期間、無担保の債務を市場から調達できないと仮定しても、業
務を継続する資金を確保できることを示すよう求める場合がある。たとえば、FLC の資金ニー
ズに応じて、かかる想定期間を 12 カ月、もしくはそれ以上とする可能性がある。これに加え
てフィッチは、当該 FLC の格付にかかわらず、清算シナリオ(すなわち FLC がどの程度迅速
にバランスシートを清算し、債務を返済できるかを示すもの)の提示を求める場合もある。
コベナンツと担保の特性は発行体の業務遂行能力に影響を与えるため、フィッチは与信契約のコ
ベナンツの内容把握に特に注意を払っている。財務コベナンツ違反などテクニカルなデフォルト
についてはデフォルト宣告が回避されることが多いものの、多額の費用を伴うことが一般的であ
る。そのため、フィッチはコベナンツ違反が生じると、格下げ方向の格付アクションを取る可能
性がある。
フィッチは与信枠のうち、コミットメントのあるものとコミットメントのないものの比率に注目
し、さらには与信機関の構成についても注目する。また、FLC と与信機関との取引期間の長さや、
資金管理や証券引き受けなど、他の取引状況についても注目している。というのは、これらの点
が、資金が逼迫した場合、貸し手の金融機関が FLC に資金を供給するかどうかに大きく影響す
るからである。フィッチは、高格付の銀行や FLC 自身と同水準、またはより高い水準の格付を
有する銀行から提供される流動性補完のための与信枠に基づく流動性のみを利用可能と想定する
場合がある。資金提供を要請した際に、銀行が契約に基づく義務の履行に対して消極的な姿勢
を示した場合、発行体の想定している流動性補完の与信枠について、潜在的な利用可能性を割
り引いて評価する。
一部の FLC は、すぐに売却やレポ取引の担保としての活用が可能な高格付の国債の流動性ポー
トフォリオを保有している。FLC が流動性ポートフォリオを保有している場合、フィッチは、こ
うした証券のうち、担保権等が設定されていない部分の質と流動性について評価する。さらにフ
ィッチは、流動性ポートフォリオの規模と構成に関する適切な方針が規定されていることを想定
している。
フィッチは、短期資金調達の方がコスト面で有利になることが多いため、FLC が短期債務での
調達を図ろうとすることを理解している。しかし、短期借入に過度に依存することには大きな
問題があり、2007 年~2009 年の信用危機の時期に明らかになったとおり、市場が逼迫してい
る期間には、特に深刻な問題を招くことがあるとフィッチでは考えている。短期の資金調達に
ついて検討する際、フィッチは資産の満期構成に注目する。たとえば、クレジットカードやフ
ァクタリング債権、自動車販売業者向けローン、特定の消費者ローンなど、非常に期間の短い
資産で構成されている FLC の場合、住宅ローン、学生ローンや航空機ファイナンス等の長期
資産が多い FLC に比べて、短期借入の割合がある程度高いことは許容されるだろう。
しかし、資産が極めて短期であっても、事業に要する資金の調達において、少なくともいくら
かは長期資金調達を行うべきである。フィッチは、投資適格水準のコマーシャル・ペーパーの
発行には、発行残高の 100%に対してコミットメントラインによる流動性補完を備えているこ
とが必要とする方針を維持しており、金融機関のマスター格付基準でこの点を詳しく説明して
いる。
フィッチは資産証券化やレポ取引、カバード・ボンド、有担保銀行借入など、FLC の負債構成
においてよく見られる有担保借入の水準に対して上限を規定していない。これらの点は資金調
達戦略の分析に織り込まれ、全体の格付判断を構成する一部となる。しかし、有担保借入に対
する過度の依存は IDR の制約となると考えられる。資産の大部分に担保権が設定されている
場合、財務の柔軟性が失われ、清算時の無担保債権者の回収率が平均より低くなる恐れがある
ためである。このような場合、無担保一般債務の格付は IDR よりも低くなる可能性がある。
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さらに、資産の多くが証券化されている場合、フィッチは証券化された債権の質と残っている
担保権の設定されていない債権の質と比較し、良質なものの恣意的な選択(チェリーピッキン
グ)や逆選択が起きていないかをしばしば確認する。フィッチは、証券化された債権は FLC
がオリジネートした貸出やリースの代表的な性質を反映しているべきであると考えている。最
も信用力が低い部分や、最も高い部分だけを売却することに依存した戦略について、フィッチ
は否定的に評価する可能性がある。さらにフィッチは、FLC は自らオリジネートしたすべての
種類の資産の流動性を示すことが可能であるべきと考える。たとえば、特定の資産クラスにつ
いて、流通市場の流動性を証明できない場合、フィッチはその資産に対し追加的な資本が必要
と判断する可能性がある。
資本基盤および
資本基盤およびレバレッジ
およびレバレッジ
フィッチによる FLC の資本基盤の評価は一時点での指標だけでなく、資本管理計画に組み込
まれた経営陣のレバレッジ目標など、様々な観点から行われる。また、高リスクの資産に比べ
て低リスクの資産には、より高いレバレッジが許容されるため、資産のリスクの観点からも資
本基盤を評価する。資本に関する標準的な指標とフィッチ独自の指標はいずれも重要であり、
フィッチは FLC の資本の質、配当政策や内部留保進捗率、資産の伸び率についても検討する。
フィッチは有形株主資本に対する債務の比率やフィッチのコア資本や適格資本に対する債務の
比率など、伝統的なレバレッジ指標を算出しているが、金融会社については(常に計算してい
る訳ではないものの)リスク調整後の自己資本に関する指標を重視している。こうした指標は、
リスクに対応した資本をより適切に示すためである。独自のリスク調整後資本の枠組みを確立
している FLC の場合(または規制によりリスク調整後の資本指標の遵守が義務付けられてい
る FLC の場合)、フィッチは経営陣との間で協議を行い、こうした枠組みにより生じる結果
が意思決定にどのように反映されているのかを理解していく。単に要点が示されるだけでなく
経営陣の意思決定に当たり判断の基礎となっている場合、分析の有効性は一層高まるとフィッ
チは考えている。
リース会社に関しては、レバレッジと資本基盤に関する分析は、貸借対照表分析よりキャッシ
ュ・フローのカバレッジやデット・サービスを重視する事業会社に対するアプローチを採用し
ている。フィッチは金利・税金・償却前利益(EBITDA)をキャッシュ・フローの代替の数値と
して使用しており、EBITDA に対する債務の比率、支払利息に対する EBITDA のカバレッジ指
標を算出している。フィッチでは、減価償却については、経常的な営業費用と認められ、リー
ス資産の水準に大きな変動が予想されない場合には、EBITDA から控除する場合がある。しか
し、このような場合には、リース資産の売却代金については、重要な債務返済の原資と考えら
れる可能性が高いため、キャッシュ・フローの計算において足し戻すことになるだろう。
債権者保護について評価するに当たり、情報を入手可能な場合、無担保債務に対して担保権等
が設定されていない資産がどの程度あるかをフィッチは重視している。これには単に金額だけ
でなく、無担保債務の裏付けとなり得る資産の相対的な質も含まれる。担保権等が設定されて
いない資産について考慮する際、フィッチは借入契約上に存在する可能性のある担保権の優先
順位に基づき、担保に供されている資産についても調整を加える。担保権等が設定されない資
産の計算は一時点のものであり、正確ではない可能性もあるが、デフォルト・シナリオにおい
て債権者がどのような保護を得られるのかについて、有効な目安となる。さらに、フィッチは
この指標の長期的な動向にも注目している。
フィッチは、資本管理を評価するには FLC の資産拡大目標について検討する必要があると考
えており、多くの場合、内部留保進捗率を資産の伸びと比較する。内部留保進捗率が資産の伸
びを大幅に下回る場合、FLC のレバレッジ水準は高まり、新たに増資するか、レバレッジを低
下させる方策をとらない限り、格下げ方向の格付アクションにつながる場合がある。フィッチ
の多くの分析と同じく、この指標も長期的な観点から評価され、経営陣の意思も考慮される。
金融会社およびリース会社の格付基準
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そのため、期間によってかなりの変動が予想される。しかし長期的な観点からは、慎重な行動
により FLC が内部留保進捗率を上回る成長を達成できるとはフィッチは考えていない。
ほとんどの FLC は親会社や公開または非公開の株主に対して、収益の一部を配当している。
株主還元率に注目する場合、フィッチは配当と自己株式取得額の双方を含む複合的な指標に注
目する。これは、配当と自己株式取得額が、ともに FLC のキャッシュの払出しとなるためで
ある。払出しに関する複合指標は FLC の資本管理と内部留保の進捗をより明確に示す。その
ため、フィッチは内部留保の進捗とおよび自己株式取得額の影響を考慮した株主還元率を算定
している。
また、該当する場合、親会社レベルで調達された債務が子会社に株主資本として投資されてい
る状況を示すダブル・レバレッジにもフィッチは注目している。低いダブル・レバレッジは容
認される一方、フィッチは(親会社の普通株式の 1.2 倍以上の)高水準のダブル・レバレッジ
を懸念材料と考える。ダブル・レバレッジが高い場合、親会社と子会社との IDR の差が拡大
する可能性がある。特に規制対象となる子会社が関わる場合、子会社に資本が留め置かれる可
能性があるため、IDR が乖離する可能性が高くなる。可能な場合、フィッチは規制対象となる
子会社の配当能力を持株会社の固定費および配当金額と比較して検討する。
コーポレート・
コーポレート・ガバナンスと
ガバナンスと所有形態
FLC の所有形態は、増資や追加的な流動性を確保する能力の極めて重要な決定要素となるため、
FLC の格付に重要な影響を与える。FLC の所有構造はどのようにガバナンスが行われている
かにも影響を及ぼす。ほとんどの FLC は、独立系(公開企業または非公開企業)か、より大
きな企業の子会社かのいずれかのカテゴリーに分類される。独立系 FLC の場合、多様な株主
により分散して保有されていることが多いため、会社の舵取りは主に経営陣と取締役会に委ね
られる。
一方、子会社 FLC の株主は親会社のみであることが一般的であり、その結果、会社の支配権
はより集中したものになる。こうした場合、FLC の格付は親会社の格付に密接に結び付いたも
のになる可能性が高い。(詳細については、2011 年 11 月 29 日付格付基準レポート「Rating
Linkages and Nonbank Financial Subsidiary Relationships 」 ( フ ィ ッ チ の ウ ェ ブ サ イ ト
www.fitchratings.com で閲覧可能)を参照されたい)。
金融会社およびリース会社の格付基準
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Financial Institutions
別添 A
投資適格水準
資適格水準の
水準の格付を
格付を有する独立系
する独立系 FLC の特徴
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
ニッチな特定の貸出・リース分野で主導的な立場にあるか、いくつかの貸出セクターに強
みを有している。競争力のある市場地位を維持できると判断される。
一般的に過去の十分な業務履歴がある。
長期にわたり全体的な業績が比較的良好な状態を維持している。ただし、業績には循環的
な変動があり、マクロ経済動向と連動している可能性はある。
全体的なコーポレート・ガバナンスの観点からは、監督や説明責任は適切に行われており
優れた内部統制が窺える。
明確に規定され一貫性のある戦略があり、それを忠実に実践している。
事業の規模や幅に対して、経営陣の厚みと一貫性があると判断される。
流動性管理が堅実に行われており、市場が一時的に混乱に陥っても、ゴーイング・コンサ
ーンとして有効に業務を継続できると判断される。
実効性のある債務発行計画があり、金利リスクと償還リスクを適切に管理している。証券
化されたものを含め債務の満期構成は十分に分散されており、デリバティブ商品はリスク
の軽減のためにのみ利用されている。
資本構成のうち無担保借入の部分も相当程度あり、資金調達の柔軟性が窺える。
景気循環サイクルを通して元利返済能力は比較的安定しているとみられる。
自己資本および資産に対して安定的に市場水準の収益が生み出されている。
資本は健全な水準であり、リスクに対応した適切なレベルの資本が配分される体制が確立
している。
リスク管理は堅実に行われていると判断され、信用リスク、市場リスク、オペレーショナ
ル・リスクを、経営上容認できる範囲内にコントロールするため、適切なリスク管理体制
が確立している。
非投資適格
非投資適格水準
資適格水準の
水準の格付を
格付を有する独立系金融会社
する独立系金融会社の
独立系金融会社の特徴
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金融会社およびリース会社の格付基準
2011 年 12 月 12 日
ニッチ市場における市場地位は相対的に限定されたもので、競争相手に対する優位性が明
確には確認できない。参入障壁が低いと考えられる。
業務履歴が比較的短く、中核事業は景気サイクルのすべての局面を経験していない。
コーポレート・ガバナンスは、中程度または脆弱とみられ強化が必要な場合がある。
一般的に企業戦略にむらがあるとみられ、高格付の競争相手と比較して事業分野が集中し
ている場合が多い。
経営陣の厚みと一貫性は適切な水準と判断されるが、主要な役職員の退社が問題発生につ
ながる場合がある。
高格付の競争相手と比べてリスク選好が高いとみられる場合がある。
利益の質は非現金項目の利益や損失があることや臨時費用により、脆弱とみなされる場合
がある。総資産および自己資本に対する収益は市場水準であっても、収益性指標から変動
の大きさが窺える場合や収益が市場水準より低い場合などがある。
非現金収入の割合が高い可能性がある。
高格付の競合企業と比較して、企業の持つインフラの能力や内部留保の進捗を上回るペー
スで成長が行われている可能性がある。有形株主資本の水準が圧迫されている可能性があ
る。
高格付の競合企業と比較して、オペレーショナル・リスクが高い場合や内部統制が脆弱な
場合がある。これは、オーガニックな成長ではなく買収による拡大が行われたためである
可能性がある。
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Financial Institutions
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金融会社およびリース会社の格付基準
2011 年 12 月 12 日
流動性管理は適切と判断されたとしても、高格付の競合企業との比較では資金調達源の集
中度が高い可能性がある。資金調達戦略が高格付の競合企業と比較して明確でない場合が
ある。また、高格付の競合企業と比較して事業資金を調達する能力や市場から調達せずに
経常的な債務を履行する能力が脆弱な場合がある。
債務は有担保借入に限定される場合があり、無担保借入の比率が高い発行体に比べ、不況時
の資本市場へのアクセスが制約される可能性がある。
デット・サービス・カバレッジの変動性が大きく、より厳しいコベナンツが課される場合が
ある。
自己資本が、想定されるリスクに対して適切と考えられる水準を下回っている可能性があ
る。ダブル・レバレッジが高い。
リスク管理は中程度もしくは脆弱と判断される場合がある。個別のリスク管理プロセスが
明確に定められていない場合やリスク管理が集中化されていない場合、または高格付に求
められる適切な説明責任が果たされていない場合がある。
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Financial Institutions
別添 B
主要な
主要な格付要因の
格付要因の最終格付における
最終格付におけるウェイト
におけるウェイト付
ウェイト付け
信用上の諸要因がどのように格付に影響するかに関する議論の中で、どの分野の分析が最終格
付の決定においてどのようにウェイト付けされるかという疑問はもっともなものではある。し
かし、フィッチは、適用する格付基準レポートに示している関連する信用上のすべての要因を
考慮したうえで、格付委員会における判断によって格付を決定しており、フィッチのアナリス
トまたは格付委員会は、ウェイト付けに関する正式な定量的メカニズムを採用していない。ま
た、格付委員会資料文書の中で、様々な要素の最終的なウェイト付けの明示も行っていない。
格付委員会は、格付分析に重要と考えるすべてのリスク要素を考慮したうえで格付を決定する。
主要な強みおよび弱み、予想ならびに格付の感応度を含む格付理由は公表されているリサー
チ・レポートに記載されている格付理由と一致する形で文書化されている。
格付委員会での検討プロセスへの理解を深めることに関心がある読者がいることは承知してお
り、以下ではそのような関心にこたえるために、格付委員会が信用に関する要因をどのように
織り込み、格付を決定するかを示している。なお、下記に示した内容は説明目的に作成した仮
想例に過ぎないことをご理解いただきたい。
本レポートで既に説明したように、多くの定性的および定量的な信用に関する要因があり、こ
れらが FLC の最終的な格付の結論に至るまでに斟酌されることになる。しかし、ほとんどの典
型的な FLC は、市場の影響を受けやすく、分散も十分でないことを考慮すると、大半の発行体
にとって「A」カテゴリーまたは「A」カテゴリーを超える IDR を達成することは難しい。ほと
んどの FLC の格付は、「B」カテゴリーから「BBB」カテゴリーに分布することになるだろう。
注:以下の信用に関する要因の特性は、キャプティブ金融会社で格付が明示または黙示のサポ
ート契約により親会社格付にリンクしているものについては適用されない。さらに、FLC が営
業している国または法域によっては、これらの格付結果は異なる場合がある。
主要な
主要な信用に
信用に関する要因
する要因の
要因のウェイト付
ウェイト付け
要因
例A
市場地位
業務履歴
コーポレート・ガバナンス
経営の厚み
収益性
信用リスク
特性
格付への
格付への影響
への影響
支配的/維持可能
15 年間
有効
適切
多様な収入源/同業他社比良好
同業他社比良好
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
資本およびレバレッジ
流動性
資金調達
ウェイト付けを加味した結論
健全
良好
分散が効いている/無担保借入の割合高い

格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
各要因は「A」から「BBB」カテゴリーの水準となることを示している
金融会社およびリース会社の格付基準
2011 年 12 月 12 日
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Financial Institutions
主要な
主要な信用に
信用に関する要因
する要因の
要因のウェイト付
ウェイト付け(続き)
要因
例B
市場地位
業務履歴
コーポレート・ガバナンス
経営の厚み
収益性
信用リスク
資本およびレバレッジ
流動性
資金調達
特性
格付への
格付への影響
への影響
限定的/低い参入障壁
10 年間
有効
適切
多様な収入源/同業他社比良好
平均的/一定の変動性がみられる
健全
良好
分散が効いている/有担保・無担保は同じ程度
ウェイト付けを加味した結論

投資適格水準の格付達成の可能性は限定的
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
投資適格水準の格付達成の可能性は限定的
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
投資適格水準の格付達成の可能性は限定的
各要因からは「BB」カテゴリーとなる可能性が高いが、「BBB」カテ
ゴリーの低位となる可能性もある
例C
市場地位
業務履歴
コーポレート・ガバナンス
経営の厚み
収益性
信用リスク
資本およびレバレッジ
流動性
資金調達
支配的/維持可能
15 年間
弱い
中位から脆弱
変動性大きい
同業他社比劣る
レバレッジが高い
脆弱/影響を受けやすい
有担保借入の割合が高い
ウェイト付けを加味した結論

格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
投資適格水準の格付達成の可能性は限定的
投資適格水準の格付達成の可能性は限定的
非投資適格水準の事業体に典型的な特徴
非投資適格水準の事業体に典型的な特徴
非投資適格水準の事業体に典型的な特徴
非投資適格水準の事業体に典型的な特徴
非投資適格水準の事業体に典型的な特徴
ストレス環境下にある FLC の特徴。複数の脆弱な要因があり、「B」
レンジより上位の格付となる可能性は低い。
例D
市場地位
業務履歴
コーポレート・ガバナンス
経営の厚み
収益性
信用リスク
資本およびレバレッジ
流動性
資金調達
ニッチ市場で強い/維持可能
15 年間
有効
適切
同業他社比良好
同業他社比良好
健全
良好
有担保借入の割合が高い
ウェイト付けを加味した結論

格付に対する制約なし、ただし「BBB」レンジが上限となる可能性
が高い
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
非投資適格水準の事業体に典型的な特徴
多くの要因が「BBB」の格付が可能であることを示しているが、資金
調達の多様性が欠けるため「BB」レンジとなる可能性が高い
例E
市場地位
限定的なニッチ市場
投資適格格付達成の可能性は限定的
業務履歴
コーポレート・ガバナンス
経営の厚み
収益性
信用リスク
資本およびレバレッジ
流動性
資金調達
5 年間
適切
適切
同業他社比良好
同業他社比良好
健全
良好
分散が効いている/無担保借入の割合高い
景気サイクルの全局面は未経験、投資適格格付達成の可能性は
限定的
「BBB」レンジが上限
「BBB」レンジが上限
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
格付に対する制約なし
ウェイト付けを加味した結論

定性的要因に問題点も多く、「BB」カテゴリーとなる可能性が高い
金融会社およびリース会社の格付基準
2011 年 12 月 12 日
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Financial Institutions
別添 C
フィッチは FLC の資産の質、収益性、資本基盤/レバレッジ、資金調達状況を評価するために
さまざまな指標を利用している。以下の表は利用する可能性のある指標のリストを示したもので
あるが、ここにすべてが網羅されている訳ではなく、また、すべての FLC に対して、すべての
指標が重要という訳ではない。
金融会社
金融会社および
会社およびリース
およびリース会社
リース会社の
会社の主な指標
主な指標
資産の
資産の質
延滞債権/期末時点の貸出債権またはリース残高
不良債権/期末時点の貸出債権またはリース残高
総貸倒償却額/平均貸出債権
正味貸倒償却額/平均貸出債権
貸倒引当金/不良資産
減損費用/平均貸出債権
c
残存資産売却損益/資産簿価
収益性
a
総資産利益率
a
総資産営業利益率
自己資本利益率
自己資本営業利益率
リスク調整後利益率
総資金利鞘
経費率
EBITDA 利益率 c
償却前収益設備機器/減価償却 c
営業費用/平均貸出債権 b
固定費カバレッジ倍率
EBITDA/支払利息 c
資本・
資本・レバレッジ
有形株主資本/管理資産 a
コア資本/有形資産 a
(コア資本+貸倒引当金)/有形資産 a
債務/コア資本 b
債務/有形株主資本
株主還元率(%)
内部留保進捗率
債務/EBITDAc
資金調達
短期債務/総有利子負債
(短期債務+長期債務の当座部分)/総有利子負債
有担保債務/総有利子負債
コミットメントライン/総資金調達額
利用可能与信枠/コマーシャル・ペーパー発行残高
担保権等が設定されていない資産/無担保債務
管理資産 a
不良債権
営業利益
コア資本
短期債務
定義
30 日超延滞に区分される貸出金またはリース債権/期末総貸出残高またはリース残高
利払いの停止または他の理由で不良債権とみなされる貸出金またはリース債権/期末総貸出残高またはリー
ス残高
総貸倒償却額/期中平均貸出残高
元本総損失から回収額を差し引いた金額/期中平均貸出残高
貸倒引当金/不良資産
貸出金またはリース債権の減損費用/平均貸出残高またはリース残高
車両または設備機器等の残存資産の売却損益/売却資産の償却後簿価
損益計算書上の当期純利益/平均総資産
営業利益/平均総資産
損益計算書上の当期純利益/期中平均株主資本
営業利益/期中平均株主資本
(正味受取利息-貸倒引当金繰入額-営業費用)/期中平均資金運用勘定
正味受取利息/期中平均資金運用勘定
営業費用/純営業収益
金利・税金・償却前利益/(総収益+償却額)
償却前収益設備機器/減価償却額(年換算)
営業費用/期中平均貸出残高
(税引前利益-支払利息-その他固定費用)/(支払利息+その他固定費用)
金利・税金・償却前利益/支払利息
(総株主資本-のれん-無形資産)/管理資産
コア資本/(総資産-のれん-無形資産)
(コア資本+貸倒引当金)/期末有形資産
(貸借対照表上の有利子負債+オフバランス債務)/コア資本
貸借対照表上の有利子負債/有形株主資本
(配当+自己株式取得額)/損益計算書上の当期純利益
(当期純利益-配当-自己株式取得額)/前期末株主資本
有利子負債/金利・税金・償却前利益
1 年未満で期限が到来する債務/総有利子負債
長期債務の当座部分を含む短期債務/総有利子負債
会社資産によって担保された債務/総有利子負債
未使用のコミットメントライン/総有利子負債
未使用のコミットメントライン/コマーシャル・ペーパー発行残高
いかなる担保権等も設定されていない資産/無担保債務
貸借対照表上の資産にリコース付きで証券化されたオフバランス債権を加えたもの。当該指標は資産を積極的
に証券化し、オフバランスにしている FLC に用いられる。
利払いの停止した貸出金、条件緩和債権、または回収可能性が損なわれた貸出金
経常外損益調整後の税引前損益
貸借対照表上の株主資本からハイブリッド資本、損失吸収力のない非支配持分、繰越損失にかかる正味繰延
税金資産(データが利用可能な場合。最低値はゼロ)または正味繰延税金資産総額(最低値はゼロ)、のれ
ん、その他の無形資産(モーゲージ・サービシング権を含む)、証券化取引にかかるファーストロス・トランシェ、
金融機関自身の債務の評価差額のクレジット部分、保有保険会社の純資産価値、および保険事業のエンベデ
ィッド・バリューを控除したもの
当初の満期が 1 年未満の債務
a
資産の証券化を積極的に行い、オフバランスにしている FLC の場合(米国の金融会社やリース会社が多い)、管理資産(貸借対照表上の資産からのれんおよび無形資産を控除し、リコース付きで証券化されたオフバ
b
ランス債権を加えたもの)を貸借対照表の数値の代わりに用いる場合がある。 資産の証券化を積極的に行い、オフバランスにしている FLC の場合、管理債権(貸借対照表上の貸出残高にリコース付きのオフバラン
ス貸出残高を加えたもの)を貸借対照表の数値の代わりに用いる場合がある。さらに管理債務(貸借対照表上の債務にリコース付きオフバランス債務を加えたもの)を貸借対照表の数値の代わりに用いる場合がある。
c
リース会社のみ。
金融会社およびリース会社の格付基準
2011 年 12 月 12 日
12
Financial Institutions
(本レポートの英語版は、「Finance and Leasing Companies Criteria」として公表されてい
ます。分析内容に関するご質問・ご不明の点は、上記の担当アナリストにお問い合わせくださ
い。)
フィッチの全信用格付は、所定の制約及び免責の対象となっています。弊社ウェブサイトから当該制約及
び免責事項をご覧ください(www.fitchratings.co.jp :「格付の定義」>「信用格付を理解する:利用と制
約」)。さらに、格付の定義及び利用規約は弊社のウェブサイト www.fitchratings.co.jp に掲載されていま
す。公表された格付、格付基準、格付手法も同サイトに常時掲載されています。フィッチの行動規範、守
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を付与し維持するうえで、フィッチは、発行体、引受会社及びその他フィッチが信頼に足ると判断する情報源から入手する、事実に関する情
報に依拠しています。フィッチは、格付方法に則り依拠する事実に関する情報について、合理的な範囲での調査を行い、当該証券に関して又
は当該法域において利用可能な範囲内で独立した情報源による合理的な検証を行います。フィッチにおける事実に関する調査の方法及びフィ
ッチが利用する第三者による検証の範囲は、様々な要因により異なります。その要因とは、格付対象証券とその発行体の性質、当該証券が募
集・販売される、かつ/又は、発行体が所在する法域における要件及び慣行、関連がある公開情報の入手可能性及び性質、発行体の経営陣及
びその助言者へのアクセス、監査報告書・「合意された手続」に基づく報告書・鑑定評価書・アクチュアリアルレポート・エンジニアリング
レポート・法律意見書・第三者によるその他の報告書等第三者による既存の検証の利用可能性、当該証券に関して、又は、発行体が属する法
域において十分な能力を有する独立した第三者による検証の利用可能性等です。フィッチの格付利用者は、事実に関する調査の強化又は第三
者検証のいずれによっても、フィッチが格付に関して依拠する情報のすべてが正確かつ完全であることを確保することはできないことを、理
解すべきです。発行体及びその助言者は、募集書類及びその他の報告書によりフィッチ及び市場に提供する情報の正確さについて最終的な責
任を有します。フィッチは格付の付与にあたり、財務諸表等に関しては独立監査人、法務・税務に関しては弁護士といった専門家が任務を果
たすことに依拠しなければなりません。さらに、格付は本質的に将来を見据えたものであり、事実として検証できない将来の事象に関する仮
定や予測を含みます。その結果、格付は、現時点の事実を検証するにもかかわらず、格付付与又は据置時に予想されない将来の事象や状況に
影響されることがあります。
本資料に記載された情報は、いかなる表明又は保証もなしに「あるがまま」に提供されるものです。フィッチの格付は証券の信用力に関する
当社の意見です。この意見は、フィッチが継続的に評価・更新している既定の格付基準及び手法に基づいています。従って、格付はフィッチ
の集合的な成果物であり、個人又は個人からなるグループが、単独で格付に対する責任を負うものではありません。特別に言及されない限
り、格付は信用リスク以外の要因によって生じる損失のリスクを含意するものではありません。また、当社はいかなる証券の販売又はその勧
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金融会社およびリース会社の格付基準
2011 年 12 月 12 日
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