アイドルストップ機構:欧州でBMW/Daimlerが小排気量車に

2016/4/5
アイ ドルストップ 機構:欧州でBMW/Daimlerが小排気量車に標準装着 ­ マークラ イ ン ズ 自動車産業ポータル
アイドルストップ機構:欧州でBMW/Daimlerが小排気量車に標準装着
PSA/Fiat/Ford/Land Roverも採用、トヨタ/マツダは新システム開発
2008.8.28 No.707
欧州市場で、小型車を中心にアイドルストップ機構の設定が広がりつつある。2007年には、BMWが1-SeriesとMini
のMT仕様に標準装着した。2008年7月には、DaimlerがSmartのガソリンエンジンとAMT(Automated Manual
Transmission)の組み合わせ仕様に標準装着すると発表した。2008年内に、BMWは3-Series、DaimlerはA-Class
と B-Classに設定を拡大する。
2004年からCitroen C3にアイドルストップ機構をオプション設定しているPSAも、設定モデルを急拡大する見込
み。Fiat と Land Roverも設定を開始する計画で、Fordも検討中。トヨタとマツダも、欧州市場への展開を前提に、
新しいアイドルストップ機構を開発中で、近々に設定を開始する見込み。
欧州で採用が拡大しているアイドルストップ機構は、アイドルストップ専用スターター、あるいはスターターとオルタ
ネーターの機能を統合したスターター・オルタネーターを中心に、専用の制御システム、長寿命タイプの12Vバッテリ
ーからなる廉価なシステム (補助電源は使用しない)。
燃費改善効果は市街地では 10% 程度に達し、燃料高を背景に関心も高まっているとされる。アイドルストップ機構
を、今後数年でABSやElectronic Stability Controlのように普及する技術とする見方もある。
現在は、MTまたはAMT仕様車のみに装着されているが、トヨタの新システムはATにも対応可能とされる。また、
Land Roverが投入予定の電気2重層キャパシターを補助電源とするシステムは、適応車種が広いとされている。
(注) アイドルストップ機構には、アイドリングストップ機構、Stop & Start System、Start/Stop System等々の呼称も
ある。赤信号や交通渋滞で車両が停止したとき、自動的にエンジンを停止し、発進動作でエンジンを自動的に
再始動するシステム (トラックでは、荷役作業中のみ自動的にエンジンを止めるシステムもある)。小排気量エン
ジンの小型車でもCO2削減効果が高い。
なお、自動的なアイドルストップは、ハイブリッド車やマイルドハイブリッド車の主要な機能の一部のため、アイド
ルストップ機構にはマイクロハイブリッドの呼称もある。しかし、エンジン停止中はエンジン補機等も止まるため、
快適性等ではハイブリッドに劣る。リチウムイオン電池や電気2重層キャパシター等を補助電源として、最低限の
補機等を動かすシステムもあるが、コスト高となる。
日欧自動車メーカーのアイドルストップ機構設定モデル
モデル名
Daimler
Smart fortwo,
M-Benz A-Class (予定), B-Class (予定)
Citroen C2, C3
PSA
欧州
備考
Valeo 製
(採用モデルを拡大予定)
Ford
Fiesta (予定)
メーカー
1-Series, 3-Series (予定)
BMW
Bosch 製
Mini, Mini Clubman
Fiat
Fiat 500 (予定)
Magneti Marelli 製
Land Rover
Freelander (予定)
補助電源付き
Vitz
補助電源付き
Crown Sedan/Crown Comfort/Comfort
シフトレバーを操作
新モデル iQ (予定)
補助電源なしの新開発システム
ダイハツ
Mira
補助電源付き
マツダ
(2009年投入予定)
新システム開発
トヨタ
日本
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メーカー
いすゞ
Elf/Atlas/Condor/Titan (注),
Forward, Giga
マツダ
Titandash
三菱ふそう
Canter, Fighter, Super Great
日野自動車
Ranger, Profia
シフトレバーと
パーキングブレーキを操作
(注)2008年 8月現在。
(注)日本メーカー黄色表示部分はトラック。いすゞの Atlas は日産、Condor は日産ディーゼル、
Titan はマツダへの OEM 供給車。
2004年からPSA、07年からBMW/Daimlerがアイドルストップ機構を採用
欧州では、VWが、1980年代に Polo、90年代に Golf と Lupo にアイドルストップ機構を設定したが、普及しなかっ
た。
2004年には PSA が Valeo 製のアイドルストップ機構 StARS を Citroen C3 にオプション設定、06年には C2 に
もオプション設定した。アイドルストップ機構付き C2/C3は年販7,000台規模とされるが、Valeoによれば、PSA は
2011年までに合計100万個の StARS 購入を計画している。
2007年3月には、BMWが 1-Series の4気筒エンジンの MT 仕様に Bosch 製のアイドルストップ機構を標準装
着、08年9月には 3-Series にも標準装着する。また、07年8月にMiniのMT仕様、07年11月にMini ClubmanのMT
仕様に標準装着した。Boschによれば、2007年にアイドルストップ機構の量産を開始して以来、08年8月に生産累計
が50万個に達し、08年後半には同社のアイドルストップ機構をBMW以外の3社も採用するとしている。
2007年10月には、Daimler が Valeo 製StARS を新型 Smart にオプション設定した。08年10月からはSmart の自
然吸気ガソリンエンジン車に標準装着する。また、2008年秋にフルモデルチェンジする A-Class と B-Class にも設
定する計画。
今後の計画では、2008年秋に Fiat が Fiat 500、09年初に Land Rover が Freelander にアイドルストップ機構
を設定する。Ford も Fiesta への設定を検討している。Fiat にシステムを供給する Magneti Marelli は Fiat以外
にも、同社製システムの採用を決めているメーカーがあるとしている。Freelanderは通常の12Vバッテリーに加えて、
補助電源を使用するタイプ。
PSA:2004年から、Valeo のアイドルストップ機構を Citroen C3 に採用
PSA は04年11月、Valeo のアイドルストップ機構 StARS を装着した Citroen C3 Stop&Start を市場投入した。
パワートレインは 1.4L ガソリンエンジンと、5速AMT の SensoDrive。燃費は、市街地モードで約 10%、欧州の総
合モード (NEDC:New European Driving Cycle) で約 6%、激しい交通渋滞では最大約 15% 改善が可能。
赤信号や渋滞で停止するとエンジンを停止、スタンドバイ・モードに切り替わり、ドライバーがブレーキペダルから
足を離すとエンジンが再始動する。シフトレバー操作は必要ない。
PSA は06年初、Citroen C2 の 1.4L ガソリンエンジンと SensoDrive 搭載車にも、 StARS を装着した Citroen
C2 Stop&Start を追加した。Citroen のアイドルストップ機構装着車の06年販売は、C3 が約 5,000台、C2 が約
2,000台程度とされる。
■アイドルストップ機構仕様車の販売を拡大する方針
PSA は08年 7月、Valeo の StARS を、2011年までに 100万個以上購入する契約を締結した。
BMW:Mini と 1-Series にアイドルストップ機構を標準装着、3-Series にも拡大
BMW は07年 3月、マイナーチェンジした 1-Series の 4気筒ガソリン/ディーゼルエンジンの MT 車に、Bosch
製アイドルストップ機構を標準装着した (アイドルストップ機構の呼称は Auto Start Stop function)。
2007年 8月、フルモデルチェンジした Mini の MT 車に Auto Start Stop function を標準装着。
2007年11月、新モデルの Mini Clubman の MT車に Auto Start Stop function を標準装着。
2008年 9月にマイナーチェンジする 3-Series の 4気筒ガソリン/ディーゼルエンジンの MT 車にも、Auto Start
Stop function を標準装着する。
(注) 北米市場など一部市場では、アイドリングストップ機構を設定していない。
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Daimler:Smart のガソリンエンジン車に、アイドルストップ機構を標準装着
Daimler は、07年 4月にフルモデルチェンジした Smart fortwo に、Valeo の StARS を装着した fortwo mhd
(micro-hybrid drive) 仕様を07年10月に追加した。新型 fortwo のパワートレインは、ガソリンエンジン 3種類 (最
高出力が 45kW と 52kW の自然吸気エンジンと 62kW のターボエンジン) とディーゼルエンジンの 4種類で、トラ
ンスミッションは 5速AMT。mhd をオプション設定したのは 52kW エンジン仕様で、価格は約 400Euro 程度高く
なる。
mhd では、ブレーキが踏まれて時速 8km 以下になるとエンジンを停止し、ブレーキペダルから足が離れるとエン
ジンを再始動する。シフトレバー操作は必要ない。mhd 仕様は、欧州の燃費モードで約 8%、渋滞した市街地で約
13% の燃費改善が見込めるとしている。
Daimler は08年 7月、Smart fortwo の一部改良を機に、北米など一部市場を除いて、自然吸気ガソリンエンジ
ン車に mhd を標準装着すると発表した。08年10月から市場投入する計画。
■次期型 M-Benz A-Class, B-Class にもアイドルストップ機構を装着
Daimler は、2008年秋にフルモデルチェンジする A-Class と B-Class にも、StARS を設定する計画とされる
(Valeo 発表)。
Fiat:Magneti Marelli 製アイドルストップ機構を、Fiat 500 に設定する計画
Fiat は、2008年ジュネーブモーターショーにアイドルストップ機構を装着したコンセプトカー 500 Aria を出展し
た (パワートレインは 1.3L ディーゼルエンジンと AMT)。08年秋には、Fiat 500 にアイドルストップ機構を設定し
て、市場投入する計画。
Fiat にアイドルストップ機構を供給するのは Magneti Marelli。同社は、Fiat ではないもう 1社向にも、供給予定
としている。
Land Rover:補助電源付きアイドルストップ機構を Freelander に標準装着予定
Land Rover は09年初から、Freelander の 2.2L ディーゼルエンジン搭載の MT 車に、約 10% の燃費改善が
見込める新タイプのアイドルストップ機構を標準装着する。スターター・オルタネーターを使用し、12V バッテリーの
他に、24V の補助電源として電気 2重層キャパシターを搭載する。
新アイドルストップ機構は、停止後にシフトレバーをニュートラルにして、クラッチペダルから足を離すとエンジン
が停止する。クラッチを踏みこむとエンジンが再始動する。補助電源にはスターター・オルタネーターが充電、エン
ジン停止時にエアコンコンプレッサーなどの補機を動かす。
Ford:高価格のためアイドルストップ機構採用を延期
Ford は04年 9月、Valeo の StARS を装着した Fiesta のコンセプトカーをパリモーターショーに出展した (アイ
ドルストップ機構の名称は、belt-driven integrated starter-generator を使用)。
Ford は、アイドルストップ機構を装着した Fiesta を06年に市場投入する計画だったが、台あたり 500~
700Euro の価格アップになるとして延期した。2008年秋の Fiesta フルモデルチェンジ以降に設定する可能性が
あるとされる。
■Valeo/Bosch:補助電源を使わない、シンプルで低コストのシステムを供給
欧州市場で採用が拡大しているアイドルストップ機構は、ValeoのStARS とBoschのstart/stop system。いずれ
も、欧州の総合モードで数%、市街地モードで10% 前後の燃費改善が見込めるとしている。
ValeoのStARSは専用のスターター・オルタネーターを使用する。スターターはなくなり、スターター・オルタネータ
ーがクランクシャフトと連結されたベルトを駆動してエンジンを始動する (ディーゼルエンジンは負荷が大きいため、
現時点では未対応)。Boschのstart/stop systemは専用の高性能スターターを使用する。
両システムとも補助電源はなく、小さな仕様変更で多くのモデルに搭載可能なため、比較的低コストとされる。現段
階では、ValeoのStARSはガソリンエンジンとAMTの組み合わせ仕様に装着 (MTにも対応可能としている)、Boschの
start/stop systemはガソリン/ディーゼルエンジンとMT の組み合わせ仕様に装着されている。
Valeo:スターター・オルタネーター方式の StARS を供給
Valeo はアイドルストップ機構 StARS (Starter Alternator Reversible Systems) を、2004年から PSA に供給
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し、Daimler への供給も07年に開始した。燃費改善は設定モデルで異なるが、欧州の NEDC 総合モードで 6~
8%。
StARS は、スターターの機能を併せ持つオルタネーターの、スターター・オルタネーターを使用している。AMT
車では、ブレーキが踏まれ、車が停止、または一定速度以下になるとエンジンを自動停止し、ドライバーがブレー
キから足を離すと 0.4秒でエンジンを再スタートさせる (従来のスターターと比較して スタートまでの所要時間は 2
分の1)。
12V バッテリーは、頻繁な充放電に対応する長寿命タイプを使用。バッテリーセンサーが付いており、充電レベ
ルが低い場合はアイドルストップ機能を停止する。また、ドライバーのボタン操作で機能をキャンセルできる。
■補助電源付きの次世代型 StARS+X を開発中
Valeo は、次世代型システムの StARS+X も開発中。StARS+X は、12V バッテリーとスターター・オルタネーター
に、補助電源として電気 2重層キャパシターを加える。StARS+X は、総合モードで約 12%、市街地モードで約
20% の燃費改善を目標にしている。
07年 5月には、路線バスに StARS+X を搭載して、パリの公共バス路線を使った走行テストを行っている。また、
07年 7月には、電気 2重層キャパシター開発で、電気 2重層キャパシターを製品化している米国 Maxwell
Technologies と提携した。
Bosch:高性能スターター方式の start/stop system を BMW に供給
Bosch は、アイドルストップ機構 start/stop system の BMW への供給を07年に開始、08年 8月には累計 50
万個を生産した。BMW は、1-Series と Mini に標準装着している。Bosch によると、08年後半には、さらに 3社
が、Bosch の start/stop system を装着したモデルを市場投入する。燃費は欧州の NEDC の総合モードで約
4%、市街地モードで 8% 改善が可能としている。
Bosch の start/stop system は、専用の高性能スターターを中心に、12V バッテリーの充電状態をモニタリング
するバッテリーセンサー、オルタネーター、その他センサーと制御ソフトウェアなどで構成するシステム。制御ソフト
はエンジンコントロールシステムで統合制御する。Bosch によれば、高出力、低騒音、コンパクトなシステムで、ほと
んどの部品に既存部品を使用しており、費用対効果で優位にあるとしている。
BMW は、start/stop system を MT と組み合わせている。赤信号や交通渋滞で車を停止させ、シフトレバーを
ニュートラルにしてクラッチペダルを離すとエンジンが自動停止する。ドライバーがクラッチを踏み込むとエンジンが
再始動する。機能をキャンセルするボタンがある。
トヨタとマツダが、新開発したアイドルストップ機構を日欧モデルに展開
日本の乗用車メーカーでは、トヨタが、補助電源を使わない低価格なアイドルストップ機構を新開発、日本と欧州市
場に投入する見込み。マツダも、モーターを使わないで再始動する新方式システムを開発、日本と欧州市場に投入
する予定。
(注)トヨタは、2001年から Vitz にアイドルストップを設定しているが、現行Vitz のシステムは補助電源にリチウムイオ
ン電池を使用している。また、08年8月から、タクシーや運転教習車が主用途の Crown Sedan/ Crown
Comfort/Comfort に標準装着したアイドルストップはシフト操作が必要なシステム。マツダは、現時点では、乗
用車にアイドルストップを設定していない。なお、ダイハツも、06年12月に、補助電源にキャパシタを使用するア
イドルストップを、軽乗用車 Mira に設定したが、普及していない (補助電源付きVitz のアイドルストップ車も普
及していない)。
商用車では、路線バスの新車にはアイドルストップ機構が100% 装着されている他、トラックではいすゞが小型トラッ
クの Elf と中型トラックの Forward に標準装着した (大型トラック Giga にはオプション設定)。三菱ふそうも、小型ト
ラック Canter と中型トラック Fighter にオプション設定した (大型トラック Super Great にもオプション設定)。日野
も、中型トラック Ranger のMT仕様に標準装備、AT仕様にオプション設定し、大型トラック Profia にもオプション設
定している。
トヨタ:新開発した低コストのアイドルストップ機構を、新モデル iQ に設定する見込み
トヨタは、新開発した 4気筒 1.3L エンジン 1NR-FE に、欧州の燃費モードで 3%、日本の 10・15モードで 7~
8% の燃費改善が可能な、アイドルストップ機構 Stop&Start System (S&S System) を設定する計画。1NR-FE エ
ンジンは S&S System 装着を前提に開発したとされ、08年秋に投入する新モデル iQ の一部に初搭載する見込
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み (iQ には 1.0L ガソリンエンジン仕様を中心に、1.3L ガソリンエンジンと 1.4L ディーゼルエンジンも設定される
見込み)。
新開発した S&S System は、スターターギアをエンジン本体側のギアに常時かみ合わせる構造を採用、エンジン
始動時のショックを大幅に低減した (エンジン始動後は、ワンウェイクラッチによりギアは空転する)。小型化したシス
テムはフライホイール内に収まる。電源は通常の 12V バッテリーのみで、カーナビゲーションやオーディオ向けの
電圧降下を防ぐバックアップブーストコンバーターを設定する。
トヨタは S&S System を、他の FF 用 4気筒エンジンにも展開する方針で、アイドルストップ機構装着車種を拡大
する方針 (初設定する iQ は CVT 車だが、 S&S System は AT にも対応可能とされている)。
■トヨタ:Vitz には2001年からアイドルストップを設定、03年には TIIS を採用
トヨタは、05年 2月にフルモデルチェンジした現行 Vitz には、1.0L エンジンのトルクコンバーター付 CVT 仕様
に、"Intelligent Package" として、アイドルストップ機構 TIIS (Toyota Intelligent Idling Stop System) を設定し
ている。同仕様の 10・15モード燃費は 24.5km/L で、燃費改善効果は約 11%。
Vitz へのアイドルストップ機構搭載は01年 5月に、1.0L エンジンの 5MT 仕様に設定したのが最初 (システム名
称は Toyota Stop and Go System)。02年12月のマイナーチェンジでは、1.3L エンジンのトルクコンバーター付
CVT 仕様に設定した (10・15モード燃費 23.5km)。
03年 2月には、Super CVT 仕様に、ハイブリッド車技術の一部を応用した TIIS (Toyota Intelligent Idling
Stop System) を搭載した "Intelligent package" を設定した (10・15モード燃費は 25.5km)。耐久性を強化した
専用スターターを使用し、トヨタ初のリチウムイオン電池を補助電源に採用したのが特徴。
鉛電池に加えて、補助電源にリチウム電池を採用した TIIS は、シフトレバーが D レンジのままでも、停止すると
エンジンが自動停止し (当初のアイドルストップ機構はシフト操作が必要だった)、ブレーキから足を離すとエンジン
が再始動してスムーズな再発進ができる。補助電源によって、エンジン停止中にもエアコン等の使用も可能。
(注)TIIS に採用した補助電源のリチウムイオン電池の役割は、トヨタ発表によれば、
(1) アイドリングストップ中の電力供給、(2) エンジン再始動用の電源、
(3) アイドリングストップから発進する際の車両後退を防止する坂道発進補助機能、
(4) 減速・制動時に増加するオルタネーター発電のエネルギー回収。
■2008年8月から、Crown Sedan/Comfort の AT仕様に標準装備
トヨタは、08年 8月に一部改良した、(タクシーや運転教習車が主用途の) Crown Sedan/Crown
Comfort/Comfort の AT仕様にアイドルストップ機構 Toyota Stop and Start System を標準装備した。Vitz に
設定している TIIS とは異なり、車が停止した後、ブレーキペダルを踏みながらシフトレバーを N レンジか P レンジ
にするとエンジンが自動停止し、ブレーキペダルを踏みながら D レンジか R レンジするとエンジンが再始動する。
(注)トヨタは、01年 8月に一部改良した、Crown Sedan/Crown Comfort/Comfort の AT 仕様に
Toyota Stop and Go System をオプション設定した。
ダイハツ:専用スターターとキャパシター付き Idle Stop System を Mira に設定
ダイハツは、2006年12月にフルモデルチェンジした Mira の X Limited 仕様に、SMART DRIVE Package の一
機能として、アイドルストップ機構の Daihatsu Idle Stop System をオプション設定した (パワートレインは 660cc
ガソリンエンジンとトルクコンバーター付 CVT)。
X Limited SMART DRIVE Package 仕様車の10・15モード燃費は 27.0km/L で、燃費改善は約 6% (ダイハツ
は、実走行時では約 11% 改善が見込めるとしている) 。オプション価格は消費税抜きで 8万円。当初の月販目標
は Mira 6,000台、うち 50台をアイドルストップ機構付と見込んでいた。
アイドルストップ機構の専用部品は、高出力スターター、長寿命タイプ 12V バッテリー、補助電源の電気 2重層
キャパシター、専用 ECU、ブレーキ油圧ホールド機構 (坂道での後進防止用)、メーター表示、CVT のトルクコン
バーター用電動油圧ポンプ (エンジン停止時にトルクコンバーター油圧が低下して、再始動時ショックが大きくなる
のを防ぐため)等。
アイドルストップ機構は、シフトレバーが D レンジでも、ブレーキを踏んで完全停止すると、エンジンも自動停止
する。ペダルから足が離れるとエンジンが再始動する。ブレーキ傾斜が 8度以上の坂道では、後退防止の安全機
能として、アイドルストップ機構は自動的にキャンセルされる。エンジン停止中は、補助電源の電気 2重層キャパシ
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ターが、オーディオ、ブロワー (エアコンのコンプレッサーは停止)、トルクコンバーターの電動ポンプ等を動かす。
マツダ:ガソリン直噴技術による Smart Idling Stop System を2009年に実用化
マツダは、アイドルストップ機構 Smart Idling Stop System (略称 SISS) を2009年に実用化する計画。エンジン
再始動にスターターを使用せず、ガソリン直噴技術を利用する。モーターを使わないため、静かで素早い再始動が
可能で、頻繁な再始動にも高い信頼性を確保できるとしている。燃費は 10・15モードで 7~8% 改善が可能として
おり、当初は日本と欧州に投入する計画。
SISS は、エンジン停止時に、シリンダー内のピストンが常に特定の位置で停止するように精密にコントロールす
る。再始動時には、圧縮工程で停止しているシリンダー内に燃料を少量噴射して爆発させ、エンジンを逆回転させ
る。その逆回転を利用して、各シリンダーを連続着火させて、正回転で再始動する。
資料:マツダの社会・環境報告書 2007, その他
いすゞ:小型トラック Elf と、中型トラック Forward に標準装備
いすゞは2006年末にフルモデルチェンジした小型トラック Elf と、07年 5月にフルモデルチェンジした中型トラッ
ク Forward に、アイドルストップ機構 Idling Stop & Start System を標準装備した (Elf の OEM 供給車、日産の
Atlas, 日産ディーゼルの Condor, マツダの Titan も標準装備)。
Idling Stop & Start System は、車両停止後、ギヤをニュートラルにし、駐車ブレーキをかけて、クラッチぺダル
から足を離すとエンジンが自動停止する。発進時は、駐車ブレーキをかけたまま、クラッチペダルを踏み込むとエン
ジンが自動始動する (発進には駐車ブレーキ解除が必要)。ノークラッチの AMT 車は、ブレーキペダル操作で自
動停止/自動始動する (その他の手順は同じ)。
(注)いすゞは01年 2月、一部改良した Forward の一部仕様に、荷役作業時に (ドアの全開で作動して)
エンジンを自動停止する Idling Stop & Start System をオプション設定した。
三菱ふそう:小型トラック Canter と、中型トラック Fighter にオプション設定
三菱ふそうは、2005年10月に一部改良した小型トラック Canter と、07年 6月に一部改良した中型トラック
Fighter の一部仕様に、Idling Stop & Start System (略称 ISS) をオプション設定した。Fighter では、市街地走
行で 5% の燃費改善が見込めるとしている。
(注)ISS の作動は、いすゞのシステムとほぼ同じ (各社のトラックでほぼ同じ)。なお、路線バスのシステムは、停止後
にシフトレバーをニュートラルにして、クラッチを離すとエンジンが自動停止し、再度クラッチを踏み込むと自動始
動する (各社でほぼ同じ)。
出典:マークラインズ
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