滋賀麻工業 株式会社 - 滋賀県中小企業団体中央会

滋賀県愛荘町/滋賀麻工業株式会社
湖東発
省エネ時代の快適素材
洗える麻わた製品
どんなことを
平成 24 年 6 月に地域産業資源活用事業計画の認定
を受けた当社では、「寝具」にねらいを定めることに
なった。麻にはもともと「ひんやり感(接触冷感)」
があり、さらに「近江ちぢみ」の加工を表裏に入れ
ることで肌との接触面を減らし、「さらさら感(通気
性)」も生み出すことができるため、寝具にピッタリ
滋賀県愛荘町/滋賀麻工業株式会社
の素材といえる。
さらに、洗濯可能な麻綿は、天然の抗菌防臭性も有
湖東麻織物の製造業者である滋賀麻工業株式
ることからますます寝具に最適である。近年の節電・
会社では、これまで長年培ってきた技術を活用
クールビズの志向からも需要が見込め、寝具カテゴ
リーは、シーツはもちろんのこと、パジャマ、枕カバー
し、繰り返し洗濯しても千切れず、かつ吸湿性、通
といった多様な製品への展開可能性を有している。
気性等に優れた「洗える麻わた」を開発。
地域産業
資源活用事業計画に認定され、この素材を活用し
た多用途パッドのほか、各種寝具用品の試作を進
めており、
本格的な市場投入を志向している。
滋賀麻工業株式会社
所 在 地 滋賀県愛知郡愛荘町市 583
■ 資 本 金 2,000 万円
■ 従業員数 20 名
■ 認 定 日 平平成 24 年 6 月 20 日
■ ■ 営業品目 麻織物製造業 たとえば、
「洗える麻わた」を素材とした敷きパッド
は、敷布団の上にひんやりとした「快適な睡眠」を提供
できる点がアピールポイントとなり、折り曲げもでき
る多用途パッドは、床、ソファや車内など、様々な場面
での使用ができる。
山田氏の予想どおり、家庭用洗濯機での洗濯ができ
「ものがあふれている昨今、商品は作るより売るほ
うが難しいですからね。安閑としていてはダメだと
思っています。常によいものをより安くする努力を
していかないと、メーカーは生き残れません。」(山
田氏)
山田氏が絶え間ない試行錯誤を続けられるのは、
これまでの挑戦の軌跡があるからだろう。「マーケッ
ト・イン」言葉で言うのは簡単だが、山田氏の言葉
には「洗える麻わた」と5年以上向き合ってきたが
ゆえの重みが込められている。
るという素材の特徴が、新たな市場を創造しつつあ
活用素材
る。当社では「洗える麻わた」のカタログを作成し、卸・
小売に向けての販路拡大を進めている。
湖東麻織物
(近江上布)
は近江で織られた上質の麻織
物のことをいう。
鎌倉時代からの歴史があり、
有史以来
結果は
きっかけ
滋賀麻工業(株)は創業以来 60 余年「麻」という
いるぞと思ったのです。しかし、地域産業資源活用
素材にこだわり続けてきた会社である。特に「伝統」
事業に至るまでには長い時間がかかっています。」
(滋
「原糸」「織り」はもちろんのこと、顧客・
賀麻工業(株)監査役 山田正弘氏)
ユーザーの視点に立ってのテキスタ
山田氏は専務取締役であった平成 17 年頃から
イルや最終製品の「開発」にもこ
ウォッシャブル麻綿の開発をスタート。ウォッシャ
ブル麻綿が完成したのは、滋賀県市場化ステージ支
だわり続けている。
地域産業資源活用事業計画の
援事業や、しが新事業応援ファンドを活用しての試
認定を受けた「洗える麻わた
作に挑戦した平成 20 年のことだ。その後は、洗濯・
(ウォッシャブル麻綿)」につ
抗菌などのデータを取りながら、新素材を使った新
いても、当社の開発力が基
商品(ベビー用品、襦袢、肌着など)を次々と試作・
礎となっている。
リリースしていった。
「一番最初に麻わたの開
「ファンド事業が終わる頃、洗える麻綿を生かした
発を思い立ったのは、平成
商品は、もっと売れるものがあるはずだと思い、開
15 年頃ですね。CO 削減・
発を続けていく必要性を感じていました。地域産業
クールビズが叫ばれる中、
資源活用事業の話を中小機構と中央会からお聞きし
2
麻織物ならではの
機 能 性(通 気 性・
吸湿性)を生かす
当社の企画力
介された。顧客アンケートの反応も「寝ていて気持
ちがいい」「ジェルパッドよりもよい」と上々だ。展
示会での露出を通じて、異業種との連携により麻綿
消費者のエコロ
ジー志向、クール
ビズ志向にマッチ
製造コストの削減と新製品の企画
展 示 会 を 活 用 し、
異業種との連携を
進める
糸、染、織、加工などいくつもの工程に優れた技術が組
み合って、
「近江上布」
の高級な仕上がりが現在にも継
承されている。
昭和 52 年 3 月 30 日に近江上布の名で
伝統的工芸品に指定されている。
を使った通気性のよいダウンジャケットが開発され
たりと、新しいアイデアの種も生まれつつある。
現在の課題は価格である。地域産業資源活用事業
計画の認定を生かし、コストを下げていくための研
究も必要だ。さらには、夏だけでなく冬の需要も喚
起したい。開発の喜びと期待も束の間、やるべきこ
活用したい
支援策
販路拡大、商品改良とコスト改善、顧客視点からの
製品研究
とは山積だ。
【協力内容 / 素材加工:協力企業名】
・織:藤居織物工場(愛荘町)
【素材開発】
「滋賀県立大学」
・新素材の開発指導・品質改善
たのは、ちょうどその頃でしたね。」(山田氏)
◀監査役の山田正弘氏
洗える麻綿を素材
とした多用途な敷
きパッド
新商品の寝具は、TV などのマスメディアでも紹
昭和 19 年
平成 20 年
創業
滋賀県市場化ステージ
支援事業採択
しが新事業応援ファンド採択
(「洗える麻綿」の開発をスタート)
平成 22 年
平成 24 年 6 月
「洗える麻綿」が完成
地域産業資源活用事業計画の
認定を受ける
滋賀県中小企業団体中央会
麻という素材は適して
700年余りもの技術や手法がそのまま伝承されている。
・織物仕上げ加工:㈱大長(東近江市)
・麻綿の加工:彦富工業㈱(彦根市)
・わたのクリンプ加工:川端晒(愛荘町)
・キルティング縫製:
㈲青山縫製(東近江市)、
㈲双葉産業(米原市)
滋賀麻工業
・商品の企画 / 開発
・麻織物等の加工・商品の販売
【支援内容 / 性能測定】
「支援団体名:滋賀県東北部工業技術センター」
(具体的内容)
・デザイン開発・商品や素材の性能測定等
【支援内容 / 品質測定】
「支援団体名:
(財)
ニッセンケン品質評価センター」
(具体的内容)
・商品や素材の品質検査等
滑らかな肌触り、さらさらひん
やり感。自然なひんやり感で快
適な眠りをサポートしたい。
天然繊維、麻を使い人にも環境
にもやさしい寝具を提供した
い。御社の商品開発に対する熱
い思いが、今回の認定に繋がり
ました。今後は、暑くて湿気が多
い日本の夏を快適に過ごす寝具
として多くの消費者にその良さ
を認知してもらう応援をさせて
いただきます。