会報誌12号

会報誌12号より
輝望会後援会長
渡辺
周
輝望会後援会の第12号会報発行にあたり、一言申し上げます。
英語やフランス語など外国語の通訳をしている方に聞きますと、外国語に訳しにくい日本語がい
くつかあるそうです。たとえば「お疲れ様」「いただきます」。そのものの英語を当てはめる直
訳は出来るのでしょうが、それではねぎらいの思いや感謝の気持ちをこめた、奥深い日本的なニ
ュアンスを伝えきれないそうです。中でも、通訳さんたちが最も難しいと声をそろえるのは「お
かげさまで」という言葉でした。
ひごろ、私たちが何気なく口にしているコトバ、たとえば「ご商売のほうはいかが?」「ええお
かげさまで・・」、あるいは「お母様はどうしてらっしゃる?」「おかげさまで元気で暮らして
ます」・・この「おかげさま」は、先祖を含めた自分を取り巻く、縁あるすべての人々のおかげ
であり、目に見えない世の全てのおかげで生かされている、という謙虚と感謝の思いが込められ
た深い背景の日本独特の言葉です。
沼津の大泉寺というお寺では桜の咲く頃に「生物慰霊祭」という式典がとり行われます。小さ
な虫にも物言わぬ草木にもそれぞれ生きるものに意味があり、いきとし生けるものすべてに感謝
をささげ供養します。まさに自然界の森羅万象、すべての生きるもののおかげで私たちが生きて
いることをあらためて教えられます。
昨今、人々が他者に対するやさしさを失い、自分のことだけしか考えられないような、よき日
本の伝統が壊れている時代、この「おかげさま」の気持ちを一人ひとりが持つことで殺伐とした
時代を立て直すことが出来るのではないでしょうか。
「おかげさま」の気持ちを持っていれば、ほかの人に優しくなることができ、相手に敬意を払い、
感謝できる気持ちを持つことができます。
のぞみをのぞみで終わらせることがないように、多くの方々の幸せを願い、その幸せを実現する
ため努力していきましょう。
むすびに、輝望会の皆様のご健康と幸せを心より祈念いたします。