都市災害に備えるコンパクトな防災セットを開発

2013年 6 月 14 日
参考資料
学校法人法政大学
法 政 大 生 が手 がける 産 学 連 携 プロジェクト
帰 宅 困 難 体 験 した女 性 100人 のインタビューもとに
都 市 災 害 に備 えるコンパクトな 防災セット を開 発
~ 今 夏 以 降 、法 人 ・自 治 体 向 けに発 売 予 定 ~
学校法人法政大学(総長:増田壽男/以下、法政大学)デザイン工学部システムデザイン学科大島礼治研究室は、
エスジー ピー
昨年3月より産学連携プロジェクト「 S G : P (self guard project)」*を立ち上げ、大島研究室の学生2名が中心となり、
コンセプト開発から製品化までに一貫して携わり都市災害における帰宅困難者のためのコンパクトな防災セット(2種)
の開発を進めています。本防災セットは、東日本大震災時に帰宅困難を体験した女性100名へのインタビュー調査
「100人の真実」から、“自助”の考えを基に帰宅するまでの必要最低限の備えとは何かを検証し、コンパクトさと実用
性の両立を突き詰めたものです。今夏以降、全国の企業・自治体・学校等を対象に販売する予定です。
*「SG:P(self guard project)」:株式会社谷沢製作所(代表取締役社長:谷澤和彦/以下、谷沢製作所)、大日本商事株式会社(代表取締役社長:柏原茂/以下
大日本商事)ら提携企業 10 社と協力しての防災セット製作を目的に発足。
防災セットは、「バッグインプロテクターセット」と「防炎フードケープセット」の2種類。
帰宅までに最低限必要と考えられる10アイテムをコンパクトに「ヘッドプロテクター」、
「防炎フードケープ」のいずれかを同梱したものです。
「ヘッドプロテクター」は、落下物の力を左右に受け流す不均等なアーチ構造、
上板を脱着する組み立て式という今までにない機構により、重さ約270g、セット収納時
の厚さが約15mmとビジネスバッグに入れて持ち歩くことのできる携行性を実現。産業
用ヘルメットの製造国内最大手の谷沢製作所の協力のもと、およそ100回もの試作と
衝撃実験を経て完成に至りました。外出時の被災における新しい“自助”の形を提案
します。(特許・意匠登録出願済)
また、「防炎フードケープ」は、「100人の真実」の対面インタビューから得られた
女性の体験談を踏まえ、都市での震災時の大きな課題とされる「火災」から身を守る
だけでなく、授乳時・排泄時等のプライバシー保護、他の携行品をポケットに収納
しながらの機動性の確保、利用者の体型にとらわれない汎用性などの点に配慮
しました。(意匠登録出願済)
さ や こ
ヘッドプロテクター(装着時)
ヘッドプロテクター(組み立て前)
「SG:P」のメンバーである宇野咲耶子さん(2013年卒)、滝沢宏樹さん(同年卒)は、東
日本大震災での経験から、首都圏直下型地震の発生時には989万人にものぼるとさ
れる帰宅困難者の問題に着目。いつ起こるとも分からない災害に常に備えるための
防災グッズの開発と、それを通じての防災対策・防災意識の向上をテーマとした産学
連携プロジェクトを立ち上げました。大島礼治教授(デザイン工学部)の指導の下、構
想を実現するためのパートナー企業を求めて延べ30社以上に アプローチし、選定
された協力企業10社とともにおよそ1年間の研究・開発期間を経て今日に至りました。
2007年4月に開設されたデザイン工学部は、「時代に先駆けて新しい文化を創造
する『総合デザイン』教育」を掲げ、独自のクォーター制(1年4学期制)による密度の
濃い学びと、フィールドワークなどを重視した実践型教育の中で、環境・バイオ・
福祉・文化など幅広い視野を養い、デザインのプロセス全体を見通してのコラボ
レーションを実現できる人材の育成を目指しています。
◆防災セット紹介パンフレット http://www.dnp.co.jp/dnp_trading/pdf/sgp.pdf
【本件の製品に関するお問合せ先】
大日本商事株式会社 S プロジェクトチーム
担当 小川(TEL:03-3288-5953)
防炎フードケープ(装着時)
【本件の報道関係のお問合せ先】
法政大学 広報課 担当 吉田(TEL:03-3264-9652)
株式会社オズマピーアール 担当 大塚・川崎
(TEL:03-4531-0225)
防災セット製品概要
エスジー ピー
企画・開発:法政大学デザイン工学部 大島研究室 産学連携プロジェクト「 S G : P (self guard project)」
販 売 :大日本商事株式会社(代表取締役社長:柏原茂)
※今夏以降、全国の企業・自治体・学校等を対象に販売開始予定。
<バッグインプロテクターセット>
外出時の被災に備えるため持ち運びに特化した防災セット。折り
たたみ可能なヘッドプロテクターは、独自の不均等アーチ構造で、
衝撃を受け流す新しい防具。欧州保護帽規格 EN812 に準ずる強度
がありながら、薄さ・軽さ・通気性を兼ね備える。
サイズ(収納時): 縦 290×横 320mm 厚さ 15mm
重 量:約 660g (ヘッドプロテクターのみ:約 270g)
内 容:組み立て式ヘッドプロテクター
その他下記 10 アイテム(※両セット共通)
価 格:税別 10,000 円以内を想定
※特許・意匠登録
出願済
外出時の備えに特化し、ビジネスバッグに
常備できる大きさ。
折りたためるアーチ構造、軽量性・通気性を両立。
頭髪を覆うことで、引火のリスクを 低減する。
<防炎フードケープセット>
身近に備え、万が一の際すぐに持ち出して着用できる防災ケープ。
ポケットを胸上部に配することで、体感重量が軽減。燕尾服のように、
前後の丈の長さに差異をつけ、避難時の機動性を確保。緩衝材入り
のフードで、頭部から頚椎への落下物の衝撃を緩和すると同時に、
頭髪の引火リスクを低減する。
サイズ(収納時):縦 220×横 180×厚さ 110m 程度(開発中につき詳細未定)
重 量:600g程度を予定(開発中につき詳細未定)
内 容:防炎フードケープ、ケミカルライト
その他下記 10 アイテム(※両セット共通)
価 格:(開発中につき未定)
※意匠登録出願済
背面にケミカルライトを配置。
【両セット共通の同梱 10 アイテム】
1
非常食(ビスケットタイプ)
2
ホイッスル
3
充電器
4
生理用品(3 枚)
5
消臭袋
6
絆創膏(4 枚)
7
マスク(3 枚)
8
LED ライト
9
ウェットティッシュ(5 枚)
10 緊急連絡先カード
燕尾服状の形状で、プライバシー保護にも配慮しつ つ避難時の機動性 も確保。
中身が 1 個ずつ個包装され、手が汚れていても食べやすい製品を選定。
厚さ 6 ㎜。3 音階の音が同時に出て気づかれやすい。水に濡れても音が出る。
スマートフォン充電に対応。アルカリ電池のため 3 年の備蓄に耐える
「100 人の真実」では、最も多く生理の心配が寄せられた。止血帯としても使用可能。
生理用品の処理や、おむつ等の処理に利用。
ハイヒールで長距離を歩き靴擦れをおこしたという声に対応。最低限の枚数を同梱。
がれきの埃や火災の煙から呼吸器を守る
ヘッドプロテクター、フードケープの両方に取付可能なクリップ付で手を塞がない。
シャワー、化粧落とし、歯磨きの代わりに使っても安心な製品を選定。
携帯電話の電源に頼らない紙媒体への記録を推奨。製品説明や避難の手引きも。
<防災セット開発経緯>
2012 年 3 月 帰宅困難経験者の問題に着目し、研究を開始。
2012 年 4 月 都内の街頭で、帰宅困難者女性へのインタビュー調査を開始。
ヘッドプロテクターの開発を開始。
2012 年 7 月 インタビュー調査、専門家へのヒアリング調査等をもとに、防災
セットの内容を検討。7 月以降延べ 30 社以上にアプローチし、
パートナー企業を選定。
2012 年 8 月 研 究 を進 める中 で「羽 織 る防 炎 製 品 」の必 要 性 に気 づき、
防炎フードケープの検討・開発を開始。
2012 年 9 月 ヘッドプロテクター第 一 回 衝 撃 実 験 を実 施 。強 度 が足 りず、
100 回に及ぶ試作と改良を繰り返す。
2013 年 2 月 全アイテムの見本が完成。帰宅困難経験女性のインタビュー集
「100 人の真実」完成。
2013 年 3 月 ヘッドプロテクター完成(予定)
2013 年夏以降 全国の企業・自治体・学校等を対象に販売開始(予定)
ヘッドプロテクター衝撃実験の様子
<帰宅困難女性 100 人へのインタビュー「100 人の真実」について>
東日本大震災時に帰宅困難を経験した女性 100 人への対面式インタビュー
調査をまとめた冊子。女性の調査員 3 名が、2012 年 4 月~12 月にかけて、
都内の街頭で直接声をかけ実施した。女性同士の会話の中でないと話しづら
い当時の不安や苦痛等を導き出し、帰宅困難時の知られざる実態を浮き彫り
にした。インタビュー結果と、一般的な防災セットに同梱されている製品を比
較し、帰宅困難時の必要最低限の備えを検証した。
エスジー ピー
<産学連携プロジェクト「 S G : P 」について>
2012 年 3 月に立ち上がったデザイン工学部・大島研究室と株式会社谷沢製作
所(代表取締役社長:谷澤和彦)、大日本商事株式会社(代表取締役社長:柏原茂)
ら提携企業10社からなる産学連携プロジェクト。都市災害時に求められる
“自助”の考え方を基に、常に身近に備え、最低限自分の身を守る為の新しい
防災セットを提案する。軽さ・薄さ・携行性にこだわり、100 人の帰宅困難経験
者に対するアンケート結果から、帰宅困難者の必要最低限を検証、独自の
防災グッズを開発・販売し、それを通じての防災対策・防災知識の向上 を
目指す。
「100 人の真実」
<法政大学デザイン工学部大島研究室について>
「問題解決型デザインシンキング」を掲げ、社会に内在する様々な問題を単に研究対象とするだけでなく、
企業との共同開発でプロダクトやインフラに落とし込み新しい価値創出を目指している。1テーマに対し
少人数で研究に取り組み、学外へのアプローチも学生から行うことで主体性や未来を見据える力を養って
いる。
担当教員:大島礼治教授(デザイン工学部)
東 京 芝 浦 電 気 株 式 会 社 ( 現 東 芝 ) に て 、 家 庭 電 気製 品 ・ 産 業 機 器 等 の
デザインに従事した後、多摩美術大学デザイン助教授などを経て、2004 年より
法政大学教授。専門は社会システムデザイン、コンセプトデザイン、インダストリ
アルデザイン。
デザイン工学部
大島礼治教授