2008-2010年度文部科学省教育GPの最終成果

ビジネス・
リーダーシップ・
プログラム
rogram
eadership
usiness
は じ め に
立教大学経営学部は 2006 年 4 月に設置された。首都圏の私立総合大学で商学部・
経営学部を持たない大学は珍しく、その意味で立教大学経営学部は最後発であった。
立教大学は私立の総合大学の中では学生数から見て小さいが、それだけに新しく経営
学部を設置するにあたっては、他大学と似たものやミニチュア版を作るのでは社会
的な意義が少ないと心得て、2004 年には経営学部設置準備室(室長:白石典義教授、
当時社会学部長を兼任)は明確な特徴を持った新学部を構想した。経営学部経営学科
の中核部分にビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)を置いて学部学生の
リーダーシップ開発に注力することとしたのは、まさにその方針の具体化である。
今日リーダーシップ開発の授業は、内外の MBA にあっては定番の科目であると
言えるが、最も進んでいると思われる米国でもリーダーシップ開発を学部レベルの
major の一つとしている大学はごく少数(ミシガン大学とピッツバーグのデュケイン
大学など)であり、まして必修としている経営系学部は見当たらない。その意味で手
本となる大学は海外にも日本にも存在しなかったため、MBA や企業研修の教材を参
考にして学部生向けにアレンジしたり、勤労経験の少ない十代の学部学生に経験を積
ませるために、ケーススタディよりもフィールドワークを重視した形での企業連携問
題解決プロジェクトを組み込んだり等の工夫を凝らした。また、前例のないプログラ
ムであるだけにいったんスタートした後の日々改善が決定的に重要と思われたので、
本文に詳述するように、学生や教員からのフィードバックに呼応して毎年(毎学期)
改善を重ねる体制を作った。こうした異例のスピードについて、経営学部教授会の
ご理解とご支援は強力であった。新設学部であるため、2006 年度は 1 年次生(春の
BL0 と秋の BL1)のみであったが、2008 年度には BL4 まで全科目が揃って開講さ
れるに至って、共通教材の開発や多数のクラスの間のコーディネーション・均質化な
ど、通常の授業にはない教室外業務の量がピークに達した。その意味で 2008 年度か
ら文部科学省教育 GP の助成を受けられることになったのはまことに有り難く、教員
がコンテンツの開発と授業運営とイノベーション創出に専念できるようになった。こ
の報告書は BLP の試行錯誤と不断の改善の記録である。
2011 年 3 月 立教大学経営学部教授・BLP 主査日向野幹也 3
目 次
はじめに
第 1 章 概要 ……………………………………………………………………………………… 7
第 2 章 科目ごとの概観(分担執筆)………………………………………………… 11
第 3 章 SA の役割
…………………………………………………………………………
55
第 4 章 クラスごとの内容統一
………………………………………………………
59
第 5 章 企業連携の目的と成果
………………………………………………………
63
第 6 章 シンポジウム『産学連携によるリーダーシップ開発授業』…… 67
第 7 章 専門科目との連携
………………………………………………………………
87
第 8 章 授業支援体制 ……………………………………………………………………… 89
第 9 章 教員と SA の研修と合宿
第 10 章 外部評価委員会議事録
…………………………………………………
101
……………………………………………………
107
第 11 章 学生授業アンケート概観
…………………………………………………
187
第 12 章 企業アンケートの目的・結果…………………………………………… 191
第 13 章 ポートフォリオの構築と運用…………………………………………… 195
第 14 章 広報活動概要 …………………………………………………………………… 201
第 15 章 予算執行概要 …………………………………………………………………… 205
第1章
概 要
第 1 章 概要 7
BLP の概要
■ 目的:なぜ大学生のリーダーシップを開発するのか
リーダーシップというと、カリスマ性を持ったリーダーを思い浮かべる人が多いかも
しれないし、リーダーシップを役職に付随するものだと思い込んでいる人も多いであろ
う。しかし、天性や権限がないと発揮できないリーダーシップは、特殊なリーダーシップ
に過ぎない。社会のあらゆる場面において、とりわけビジネスの現場で必要とされている
のは、他人に気を配り、小さなチームをまとめて全体で成果を上げることができるスキル
をもった人材である(この点は 2010 年度に BLP で行った対企業アンケート調査(別項)
を参照されたい)。実はこうしたスキルこそが重要なリーダーシップなのである。BLP で
は社会が求めるこうした「権限がなくても発揮できるリーダーシップ」「ビジョンを示し
周囲を巻き込むリーダーシップ」、すなわち「ビジネス・リーダーシップ」の養成を目指
す。ビジネス・リーダーシップを備えた人材はチームに何人いても多すぎることはない。
BLP は、誰でもリーダーシップを段階的に身に付けられるようカリキュラム化されてい
る。
■ カリキュラム
BLP は、1 年春学期の「リーダーシップ入門」(BL0 とも通称)をスタートとして、3
年生春学期の BL4 まで、5 学期 2 年半にわたって行われる。リーダーシップを学ぶため
に、プロジェクト実行とスキル強化を交互に実施することが特色である。プロジェクト実
行の学期に自分で気付いた長所を、次のスキル強化の学期で集中的に伸ばし、短所を補
い、またその次のプロジェクト実行の学期に自分でチェックできるというサイクルになっ
ている。
プロジェクトは各学年の春学期に行われる。リーダーシップ入門(1 年春学期)では、
チームでビジネス課題の解決に取り組み、リーダーシップと専門知識の必要性を学ぶ。
BL2(2 年春学期)、BL4(3 年春学期)と学年があがるごとにプロジェクト内容は高度
化し、学生たちが自ら企画を企業等に提案できることを目指す。
スキル強化は各学年の秋学期に実行され、こちらも学年があがるごとに高度化してい
く。BL1(1 年後期)では「ディベート」で論理的思考を養い、BL3(2 年秋学期)にな
ると個人個人で強み弱みがはっきりしてくるので、各自の必要性と希望に応じて選択制
で , 討議とグループワークでリーダーシップを理論付け(BL3-A)、コミュニケーション
8 スキルを養い(BL3-B)
、対話法と添削で批判的思考力を鍛える(BL3-C)といった内容
である(2010 年度現在)
。
BLP を通して学ぶリーダーシップを自転車の前輪、BLP と並行して履修する専門選択
科目を通して学ぶ専門知識を自転車の後輪として、最終的に「権限がなくても、ビジョン
を示し周囲を巻き込むリーダーシップ」を身につけるのが BLP の目標である。(教室風
景などを含む BLP の紹介ムービーは経営学部ウェブサイト http://cob.rikkyo.ac.jp/blp を
参照されたい)
第 1 章 概要 9
■ BLP の成果
一人一人の学生のリーダーシップを涵養する BLP は次のような成果を生んでいる。
1)学生が、ディスカッションしながら作業していくグループワークに熟達していて、
1 年次後期以降の国際経営学科の BBL や、2 年次以降の専門演習において頻繁に
行われるグループワワークを支援する役割を果たしている。また、他大学の学生と
グループワークを行う学外・海外のビジネスコンテストで活躍する学生が続出して
いる。
2)学生が、さまざまなリーダーシップのとりかたがあることを体験を通じて知ってお
り、カリスマ信仰に陥りにくい。多くの学生が、BLP を通じて自分のリーダーシッ
プ観(リーダーシップ持論)が変化したと記述している。
3)学生が「不満を提案に変える」ことを知っていて、クライアント企業や教員に対し
て提案を行うことに慣れている。SA も教員に対して授業運営に関する提案を自然
な形で行っている。また、経営学部に対して持続的に提案を行う学生団体が自発的
に結成されている。
4)メンバーを変えて繰り返し行われるグループワークや少人数クラスの実現によっ
て、学生同士が学部内に多数の友人を持つようになる。また、教員との距離も近
く、学業や就職について「教員に相談したい」と考える学生の割合が全学でずば抜
けて高い(キャリアセンターの全学アンケート調査結果)。また、専門演習と並行
して BLP があるため、学生が相談しやすい教員が常時複数いることになる。
5)クライアント企業・教員・学部に対して提案を行うことに慣れて、社会や企業を見
る目が変わり、B2C 系大企業に偏った就職活動を行わない。B2B やベンチャー企
業にも多数就職している。
6)学生が、BLP の問題解決プロジェクトに使えるツールを、専門科目の内容の中に
見いだす等、専門科目の学習意欲を高めることに貢献している。
7)問題解決プロジェクトのクライアントになり学生の提案を審査するだけでなく、プ
ロジェクトの期間中に企業関係者が持続的に教室を訪問する等、新しい形の産学連
携を実現している。
8)同一科目同一時限開講、共通スライド使用、共通コンテスト実施、隣のクラスの問
題解決提案の採点、事前研修や合宿の実施など、外部コンサルタントなどに依存し
ない新しい形のファカルティ・デベロップメントを実現していて、教員の学習が促
進される。また、教員は、知識をインプットすることと並んで、学生の学習を促す
コーチとしての役割に慣れている。
9)「学習者中心の教育」であるアクティブラーニングを大規模で系統的な形で実現し
た(2011 年 1 月河合塾の全国大学調査「大学におけるアクティブラーニング」に
おいても、全国約 130 の経済学・商学・経営学系学部の中で最高点の評価を受け
た)
。
10 第2章
科目ごとの概観
(分担執筆)
2008 年度後期の BLP 開講科目とその成果
(2009–2010 年度への進化の布石として)
2008 年度の授業は(BLP を含めて)2007 年度冬には内容が確定しており、その時点
では教育 GP に助成を申請すること自体が決定していなかった。そのため、2008 年度春
に教育 GP に申請したときには、選定された場合にも科目内容の本格的な変更は翌 2009
年度から行うこととし、2008 年度後期の授業では、BLP 各科目における教材と授業運営
方法の改善のための問題点洗い出しに重点をおくこととしていた。教員の振り返りだけで
なく、学生についても大学全体の授業評価アンケートに加えて各科目でヨリ細かく学生か
ら改善提案を集めた(これが翌年度からの全クラス匿名座談会の本格実施に繋がった)。
この時期に開講されたのは BL1 と BL3 である。
■ BL1(1 年次後期、7 クラス)
株式会社 EC ナビを問題解決プロジェクトの出題者(クライアント)とし同社の新サー
ビスである「不思議なピクミー」を 20 代の女性に普及させるにはどうしたらよいかとい
う共通課題をいただいた。新しい試みとしてクライアントが来校する質疑応答セッション
を学期の後半に設けてみた。質問をもった学生たちが大勢昼休みの教室に参集して EC ナ
ビのかたに次々に質問をぶつけるという方法であったため、間近に企業のかたとお話しで
きるというメリットはあったものの、質疑の内容を全体で共有することができない等の欠
点も明らかになった。この経験から、翌年度以降は各クラスで質問を予め募集し、SA た
ちが全クラスの質問のダブりをチェックしたうえで整理した形でクライアントに質問を
送り、うけとった回答は全クラスで共有するという形に改善することに繋がった。また、
BL1 全クラスの数十の提案の中で一つのチームの提案(漫画を使ってプロモーションす
る)は EC ナビ社に採用され、実現に至った。この提案は学期末コンテストで上位に選出
されたチームではなく改めて全スライドを精査した結果いわばワイルドカード的に選ばれ
たもので、翌年度から、クライアント選出によるワイルドカード制度を採用するきっかけ
となった。
(2010 年度からはこれがさらに発展して、クライアントが選ぶ賞と教員が選ぶ
賞が分離されるに至った)
■ BL3(2 年次後期、3 クラス)
NPO 法人 ETIC をクライアントとして「自分の社会プロジェクトを経営する」提案を
行った。民間企業や業界団体ではないクライアントを迎えるのは豊島区役所に続いて二度
目であったが、今回は社会起業に近い課題であったためクライアントによる詳しい解説の
12 時間が必要であった。社会企業は意識の高い学生の間では hot topic であったが、それほ
どでもない学生についてはコンビニに売っているような、自分たちの日常目にする B2C
の製品のメーカーがクライアントとして出題するプロジェクトのほうが馴染みやすいこと
は否定できないところである(こうした点は上級生になっていけば克服していかねばなら
ないところであろう)
。授業後のアンケートでは、BL0 から三学期連続して問題解決プロ
ジェクトが続いているため、グループワークと問題解決の繰り返しでやや目標を見失って
いるところも見受けられた。教員側としては BL0 では何の経営学の知識のない状態でグ
ループワークに慣れさせること、BL1 では初歩のマーケティングの授業(専門科目)と
並行しながらそれを使って問題解決を行うこと、BL3 では社会企業の要素を入れること、
というように学習目標を徐々に高度化しつつ、グループワークという共通形態によって
「権限のないリーダーシップ」を学ぶという設計を行っていたつもりなのであるが、常に
問題解決プロジェクトをかかえていることでリーダーシップのスキルを集中的に学ぶ時間
がないという問題点が表面化したとも言える。
この反省は、次年度に BL3 が大きく変容することに繋がった。すなわち、BL3 では問
題解決プロジェクトではなく、スキル養成の学期とすること、そして学生個人個人によっ
て伸ばしたいスキルが異なっている可能性が高いので、同一内容の 3 クラスではなく選
択可能な三つの異なるクラスに改変することを 2008 年度冬に決定したのである(各科目
の詳細は 2009-2010 年度の BL3-A, B, C の各科目のページ参照)。このような機動的な
運用を教授会が認めて支援してくれたことは非常にありがたかった。
第 2 章 科目ごとの概観 13
年度
学期
2009
1. 担当教員
前期
科目名
基礎演習
(リーダーシップ入門)
日向野、尾崎、Davis、Roy、松本、竹澤、林、井上、井口、山口、高岡、元山、
柴田、Johns、三木、齋藤(敬称略)
2. 授業の目標
経営学部で自律的に学習していくための基礎知識と組織や集団に主体的に
関わり合う能力を習得する。
3. 授業の内容
この科目の副題は「リーダーシップ入門」で、後期からの BLP・BBL に
つながり、さらに経営学部での 4 年間の学びの基礎となる重要な科目であ
る。
(1)チームで議論しながら結論を導くプロセスを体験し、生産的な議論の
しかたを学ぶ。
(2)自分の主張を裏付けるために必要な情報を収集し、意見や提案を構成
する練習を行なう。
(3)言いたいことを言うだけではなく、聞き手を説得することのできるプ
レゼンテーションを構成する方法を習得する。
(4)グループ単位での企画提案プロジェクトを実施し、全クラス合同で発
表会を行なう。
(5)上記のプロジェクト活動を丁寧に振り返り、経験からの学びを深める。
4. 授業の
スケジュール
1
4/14 リーダーシップ仮説の作成
2
4/21 文章の読み方
3
4/28 論理的思考
4
5/12 論理的思考と情報の収集
5
5/19 企画提案プロジェクトのキックオフ
「松竹芸能に新しいスクールビジネスを提案」
5. 授業評価
6
5/26 発想法
7
6/2
アイディアの構造化
8
6/9
プレゼンの仕方
9
6/16 セカンド・オピニオン
10
6/23 クラス内予選
11
6/30 本選
12
7/7
13
7/14 振り返り(2)
振り返り(1)
A)
公式授業アンケート、匿名座談
概ね高い評価
B)
教員振り返り
① 2009 年 10 月 6 日 4 時限、9204 にて開催
② 参加者(敬称略)日向野、松本、井上、井口、柴田、三木
〈目標とその達成度について〉
a)「論理思考・ディスカッション・プレゼンテーション・チームワーク・
14 リーダーシップの必要性を体感する」という目的は達成されたとみ
てよいだろう。
b)「情報収集」に関しては今回のクライアントについて情報収集がしづ
らい面があり、教室で教えたことが実際に活かされたとはいいにく
い。
c)「経営学部のカリキュラムへの円滑な導入」という目標のうち、
BLP/BBL への導入は達成されたが、専門科目系への導入はさらに
工夫の余地がある。
〈目標の設定と達成度の改善のために〉
a)「情報収集」「論理思考」その他のツールについては、クライアント
とお題が決まった段階でそれに合わせて実際に使えそうなものを重
点的に教えるほうがよい。実際に使わないものを教えても定着しな
いだろう。今回については「情報収集」の必要性はチームのアイデ
アが多様なので情報収集方法が多様であり、統一的に教えるのは難
しかったと言える。
b) まずツールを教えてからクライアントのお題を流すという順序は理
解できるが、ツールを教える段階でもクライアントを意識させてお
くほうが、ツールの必要性も分かりタッカーホールでのお題発表に
向けて意識も高まるのでベターなのではないか。具体的には、論理
思考のツールを使うミニ練習問題の中にも松竹芸能などクライアン
トの名前を出してしまうほうがよい。
c) 専門科目系との連携のために、予算を意識させる(概算させるか、
あるいは予算上限をクライアントに設定してもらう)ことでファイ
ナンスを意識させ、プロモーションが必要なプロジェクトであれば
マーケティングのごくごく初歩をちらりと見せるような工夫があっ
てよい。
「経営学を学ぶ」で教える内容の一部にこちらでも言及する
などの方法がよいかもしれない(SWOT 分析もその例)
。
d)「文献を読む」は違和感があり、この科目の中で無理に扱う必要はな
いかもしれない。
e) リーダーシップ涵養のためには振り返りをもう一回増やしたほうが
よいかもしれない。
f) 今回はプロジェクトの題は新規事業提案だったが、一年生の最初と
しては(アイデアだけの勝負になることを避けるためにも)問題解
決型のもののほうが良かったかもしれない。
〈教員と SA の役割について〉
a) この科目における各クラスでの教員の役割は、一般の講義科目のよ
うに知識をインプットすることにはなく、むしろ学生が自ら経験す
ることからの学びを最大化するような学習環境の整備にある。つま
り教員の役割は teaching にあるというより coaching にある。
b) これに比べれば、ツールの説明などを教員が行なうか SA が行なう
かは二義的な問題であり、SA の学びのために(つまり SA に対する
教育効果を考えて)SA に説明を行なわせるのが効果的であれば、そ
第 2 章 科目ごとの概観 15
のようにすればよく、教員には学習環境の整備という大きな仕事が
ある。
c) 学生の学びを促す環境の整備というスキルを向上させることは、こ
の科目のようなプロジェクト型授業だけでなく、演習や、さらには
講義の運営についてのスキル向上につながるのではないか。その意
味では、この科目を担当すること自体に強力な FD 効果があるかも
しれない。
〈共通スライドについて〉
a) 詳細な共通スライドがあると、教員はチェーン店の店長をさせられ
ているかのような気分になるという声があるが、
(上に述べたように)
スライドの内容の説明が教員の主要な役割ではなく、コーチとして、
クラス内で学生が経験から学べるような学習環境を整える仕事は他
にたくさんある。
b) 共通スライドが詳細すぎるという声もあるが、共通スライドのペー
ジ数がもっと少なかった時期には、何を教えていいか分からないの
でもっと詳細に、という声もあった。クラスやチームの状態によっ
てスライドの内容以外に(例えばリーダーシップやチームワークに
ついて)学ぶことが発生すればそちらに時間をさき、スライド内容
の一部は宿題として自習させるなどの措置は問題ないと思われる。
〈個々のツールについて〉
a) MECE は、今回のツールとしては必要不可欠ではなかったかもしれ
ない。
b) クライアントの性質にもよるが SWOT 分析などは、「経営学を学ぶ」
ともリンクしやすいし、復活したほうがよいかもしれない。
c) 7 月の振り返りで使った KRPT はベストの方法だったのだろうか?
PDCA や POICA(plan, organize, implement, check and assess)の
ほうが経営学部の他の科目との関連性がつけやすいのではないか。
C)
外部評価委員会
高い評価(別項の議事録参照)
。
D)
2010 年度に向けての改善点
① 教材更新の前倒し。
(ア)上記振り返りの成果を踏まえて教材変更
(イ)例年スライドの完成が遅いので、秋から改訂を始め、新学期開
始前に全回分のスライドを配布する
(ウ)企画提案プロジェクトの出題者もできるだけ早く決める
6. その他
A)
クライアントとの連携について
クライアント企業は松竹芸能株式会社であった。
2009 年 5 月 19 日のプロジェクトキックオフでは、「松竹芸能に新しい
スクールビジネスを提案してください」というお題を提示していだた
く。2009 年 6 月 30 日の本選では、全 80 チームのうちクラス内予選を
勝ち抜いた上位 6 チームがプ レゼンテーションを行い、クライアント
企業に審査・講評をしていただいた。
16 年度
学期
2009
後期
科目名
BL1
1. 担当教員
日向野、山口、井口、柴田、三木、齊藤、津吹、長田(敬称略)
2. 授業の目標
論理的思考力によって、リーダーシップをはっきできるようにする。
3. 授業の内容
グループ対抗でディベートの練習と事前リサーチを行うことによって、論
理的思考力を身につけ、リーダーシップの論理的側面を強化する。
4. 授業の
スケジュール
5. 授業評価
1
9/21
ディベートの導入
2
9/28
聞く力と審査方法
3
10/5
論理モデルと立論
4
10/19
反駁と質疑
5
10/26
試合の準備
6
11/9
試合 1-1
7
11/16
試合 1-2
8
11/23
振り返り
9
11/30
試合の準備
10
12/7
試合 2-1
11
12/14
試合 2-2
12
12/21
振り返り
13
1/18
代表者によるディベート
A)
公式授業アンケート、匿名座談
• 概ね満足度は高かった。
• 特に、ディベート学ぶ目的が明確になり、それがディベートに取り組む動
機付けとなっていたようだ。
• ディベートを学んだことがどれだけ効果的であったかは、来年度の BL2
のプロジェクトが終わってみないとわからない。即効性はないものの、論
理的思考・データ収集方法・批判的に聞く力など、プロジェクト活動や社
会人になってから活かしていけそうだという感想は多かった。
• 論理性を鍛えるために、論理モデル(基本要素:資料・理由・主張、応用
要素:裏付け・限定・留保)、立論の必要要素(内因性、重要性、解決性)
などの説明を行った。
- こうした説明を難解だと感じた学生が多くいた。
- 概念を学生が理解できるレベルまでに落とすことができず、結局、授
業中に説明を受けただけにとどまり、実際の試合準備には活かされな
かったという声もあった。
第 2 章 科目ごとの概観 17
B)
教員振り返り
• 授業目的
- ディベートを学ぶ目的を明確になり、学生の学習意欲が向上した
• 授業構成
- 初回の授業でモデルディベートを披露。モデルディベートは SA に披
露してもらった。模範 DVD を見せるのではなく、ディベートを学ん
だ上級生が披露することで、次の 2 つの効果があった
① 身近な上級生が披露することで、
「ディベートを学ぶとこうなる」と
いう 1 つの目標になる
② 上級生のディベート見ることで「あれよりは上手くできるようにな
るだろう」というやる気が起きる
• 論題・について
- 論題は、学期を通じて 1 つ
▷ 論題基準は①経営学部の専門科目に関連している②証拠資料がある
③肯定・否定のバランスが良い、をもとに選んだ。その結果、
「日経
新聞社は完全電子媒体に移行すべきか否か」となった。
▷ 論題が経営・ビジネスに関連しているため、論題について調べるこ
とで経営の知識を学ぶことができた
▷ 途中の振り返りで、マーケティングの要素を用いて視点を広げても
らった。お客様目線だけではなく、財務・業務など様々な視点があ
ることを教えた。
(4P、3C などと明確には言わないが自然に学ぶこ
とができた。
)
- グループは、学期を通じて固定
▷ ディベート準備のためのグループワークを通して、リーダーシップ
について学ぶことができた。
• 2 回の振り返り
-「論理性」および「リーダーシップ」の両軸から振り返る時間をもうけ
た。
▷ リーダーシップの振り返りでは、企業へ提案をするプロジェクトと
ディベートの授業とを比較して、求められるリーダーシップの類似
点・および相違点を述べさせた。
▷ 類似点として論理的思考能力や計画性といったリーダーシップがあ
げられた。相違点としてはプロジェクトに比べてディベートでのグ
ループ活動はフリーライダーを発生させないリーダーシップがより
重要であることが浮き彫りになった。
• クラス代表者によるディベート大会
- 他のプロジェクトの整合性と、受講生のモチベーションを向上させる
ため、クラス代表者(優秀者)が全体の前でディベートを披露する機
会をもうけた。
- ディベート大会には、論題にもなっている日経新聞社の方が来校し、
ディベートを見た後に講評をしていただいた。実際に企業においても
このような議論がまさになされているとのことで好評価であった。
18 - BL1 でも企業の方と協力して授業を進めるための試金石となった。ま
た企業の方が授業に来て下さることでディベート大会のイベント性が
増し、中だるみしがちであった BL1 の起爆剤となり、受講生の意欲が
増したと思われる。
C)
外部評価委員会
外部評価委員の高橋先生のご指摘にもとづいて、来年度の BL1 ではさ
らに assertiveness を強化していくことを宣言。
D)
2010 年度に向けての改善点
• マイナーチェンジが必要。
- モデルディベートをいつ見るかについては再考が必要。早い段階で見
せると、ディベートの基礎知識がないので、参考になっていない学生
がいる。
- 論理性を鍛えるための概念として、論理モデル・立論の必要要素を教
えたが、言葉が難しく、また例題を見せてもピンと来ていない学生が
多かった。噛み砕いて教える必要がありそう。もしくは他の概念や方
法を用いる必要もあるかもしれない。
- 試合後のコメント・評価方法について改善すべきである。現状、試合
後にコメントや評価をする時間があまりない。しかし、学生は自分達
のグループのどこが良かったか悪かったかのフィードバックを望んで
いる。試合をやりっぱなしではなくて、
次の試合に活かせるように、
個々
のチームに応じたフィードバックの時間が必要。
• 論題の設定について
- 今回、日経新聞社に関する論題を取り上げた。企業に関するテーマを
論題として取り扱うことは経営学部の専門科目との連携も強くなるた
め、方向性としては良かった。
- しかしながら、今回は肯定・否定側とでは勝利のしやすさに差があった。
(今回は否定側が有利であった)。肯定・否定が平等になるような論題
の設定が必要である。
6. その他
A)
クライアント企業との連携について
日本経済新聞社がクライアントとなり、ディベートの論題をいただい
た。
セッション 13(2010 年 1 月 18 日)の代表者ディベート大会には、日
本経済新聞社より数名御来校。ディベート後に講評をいただいた。
2010 年 2 月 17 日(水)には、ディベート勝利チームより学生 9 名、
および教員 3 名が日本経済新聞社を訪問。前半は紙面作りに関する見学
を行い、後半は日経新聞電子化に関する意見交換が行われた。
第 2 章 科目ごとの概観 19
年度
学期
2009
1. 担当教員
2. 授業の目標
前期
科目名
BL2
山口、元山、柴田、三木、齊藤、津吹、太田(敬称略)
チーム対抗で行うディベートの試合とその振り返りを通じて、より説得力
のある論理構成やディスカッションの方法を習得する
3. 授業の内容
チーム対抗でディベートの試合を実施する。特に試合までの準備作業と試
合後の振り返りに力を入れる
(1)ディベートの準備
これまで培ってきた知識と経験を活かして、自分達の主張を正当化す
るための証拠資料を収集し、説得力のある論理構成を行う。また相手チ
ームの主張や批判を予測し、それらに対する準備も行う。
なお、試合後の振り返りのために、準備作業の成果を文章や図表とし
て「見える化」しておく。
( 2)ディベートの試合と振り返り
実際にディベートを行い、(可能ならば)その模様を録音する。試合
後はその録音データや事前の準備資料、教員や同僚からのフィードバッ
クなどを参考にしながら、チーム内で振り返りを行い、論理構成やチー
ムワーク上の課題を発見する。
なお、授業ではディベートの準備→試合→振り返りのサイクルを 2 ター
ンで行う予定である。これにより、各自の課題発見と克服を効果的に行う
4. 授業の
スケジュール
1
4/14
ディベートの定義とそこで求められるもの
2
4/21
ディベートを体験してみよう
- チョーク・ピンポンディベート
3
4/28
個人戦形式のミニ試合
4
5/12
論理的に聞く
- フローシートの取り方、一・二次データの調べ方
5
5/19
立論の作成
6
5/26
試合 1
7
6/2
試合 2
8
6/9
振り返り : 相互 FB、KPT 法、勝負の分かれ目、改善す
るための方法
9
6/16
立論の作成
- 立論について、リンクマップの作成、立論の作成
10
6/23
質疑と反論の作成
- 質疑とは、反論とは、質疑と反論の作成
20 11
6/30
試合 3
12
7/7
試合 4
13
7/14
振り返り
5. 授業評価
A)
公式授業アンケート、匿名座談
• 授業の目的が不明
- 何のためにディベートを学んでいるか分からなかった
- ディベートについては学べたが、リーダーシップ授業との関連性が分
からなかった
- ディベートを学ぶことは有益だった
▷ 調べる。批判的に考える。聞く力を見につけるなど。
- ディベートを学ぶなら 1 年生の時がよかった
▷ 受講生は、一年次(プロジェクト→プロジェクト)→二年次(ディ
ベート)だったため。
• 授業の構成に改善の余地あり
- 最初のチョークディベート、ピンポンディベートはいらなかった
- 試合までに準備期間がもっと欲しかった
- 試合後の振り返りが短い。
B)
教員振り返り(2009 年 7 月 14 日(火))
• 論題について
- 同じ論題で複数回の試合を実施すると、論理について検討する時間が
でき、議論の質が向上
• 判定について
- 判定をするのは、審査をする聞き手自身のため
- 教育的なディベートの判定で重要なのは「○」か「×」ではなく、試
合をどのように整理し解釈するか。
• フィードバックについて
- フローシートを使用して、議論の一部を丁寧に検証するフィードバッ
クの方法が考えられる。そうしないと、試合へのコメントは試合全体
のものになりがちだ。
- フィードバック時には、試合の録音テープを部分的に流す方法も考え
られる。
• 立論について
- 立論は、ディベート甲子園のフォーマットに影響されすぎない。通常
の文章と同様に、序論、本論、結論という構成要素を守る。
- 立論、反論、反駁の時間が十分に確保されていないと論理的な議論に
展開しにくい。例えば、立論 5 分、反論・反駁が各 3 分。質疑の時間
は減らしてもよい。
- 肯定側は、立論におけるプランだけを 1 週間前に否定側に開示する。
• 本選について
a) クラスのオールスターを選出し、(基礎演習と同様に)大教室で本選
を実施する。
C)
外部評価委員会
高い評価(別項の議事録参照)
第 2 章 科目ごとの概観 21
D)
2010 年度に向けての改善点
• ディベートを学ぶ目的を明確にする
- グループプロジェクトを行う上では、「情」だけではなく「理」が重要
であることを強調。
- ディベート「を」学ぶのではなく、ディベート「で」学ぶことを伝え
る。
- ディベートで鍛えた論理思考・調査の方法・聞く作法・反論などは、
プロジェクトや実際の企業でも起こりうる場面。その際に使えること
を示唆する。
• 授業構成を変更(この学期で手応えを得たので、2009 年度後期の BL1 か
ら 1 年次でディベートを取り入れることにした。
)
- 初回の授業でモデルディベートを披露。ディベートとはどういうもの
か早い段階に知ることで、自分達がこれから何をするのかイメージで
きる。
• 授業の進め方、論題、グループ
- 学期を通じて、論題は 1 つ
▷ 論題基準は①経営学部の専門科目に関連している②証拠資料がある
③肯定・否定のバランスが良い、をもとに選ぶ
- グループは学期を通じて固定とする
▷ ディベートではとかく個人作業になりやすく、グループを変えると
BL2 を通じてリーダーシップを学びにくくなるため。
• 振り返りの回数を増やす
- 1 回目
▷ ディベートの論理性に着眼点をおいて振り返りを行う
- 2 回目
▷ リーダーシップに着眼点を置き、リーダーシップの理論に基づいた
振り返りを行う
▷ 企業へ提案をするプロジェクトとディベートの授業とを比較して、
求められるリーダーシップの類似点・および相違点を述べさせる
• クラス代表者によるディベート大会
- 他のプロジェクトの整合性と、受講生のモチベーションを向上させる
ため、クラス代表者(優秀者)が全体の前でディベートを披露する機
会をもうける
6. その他
22 特になし。
年度
学期
2009
後期
科目名
BL3-A
1. 担当教員
石川 淳
2. 授業の目標
この授業では、リーダーシップの持論構築や実際のリーダーシップ発揮に役
立つようなリーダーシップ理論を身につけることを目標とした。また、こ
れに加え、リーダーシップ研究に対する知的関心を喚起することも目標と
した。
3. 授業の内容
リーダーシップ理論を中心に、グループ活動を効果的に行うために必要な
様々な概念・理論について議論を行った。具体的には以下の通りである。
1. リーダーシップの古典的理論
2. リーダーシップの現代的理論
3. 現代におけるリーダーシップの課題
1) 性別とリーダーシップ
2) 異文化間リーダーシップ
3) 自己組織化とリーダーシップ
4) リーダーシップと意思決定
4. リーダーシップとコミュニケーション
5. リーダーシップとチームワーク
この授業は、理論に焦点を当てているため、原則的には、講義形式で実施
された。しかし、理論の理解や応用を促進するために、必要に応じてグル
ープワークも行われた。具体的には以下の通りである。
1. ケース分析(ビデオによるケース分析を含む)
2. ビジネス・ゲーム
• 構造化された組織におけるリーダーシップ
• フラット組織におけるリーダーシップ
• グループによる意思決定
• リーダーシップとコミュニケーション
3. BL1 の授業で作成した持論の振り返り
4. 授業の
スケジュール
1
9/23
イントロダクション
2
9/30
リーダーシップの基礎
3
10/7
リーダーシップの特性アプローチ
リーダーシップの行動アプローチ
4
10/14
リーダーシップの状況適合アプローチ
ケース・スタディ
5
10/21
リーダーシップの変革型アプローチ
6
10/28
自己組織化とリーダーシップ
ケース・スタディ
7
11/11
ビジネス・ゲーム「構造化された組織におけるリーダー
シップ」
8
11/18
中間テスト
9
11/25
性別とリーダーシップ
第 2 章 科目ごとの概観 23
10
12/2
リーダーシップとチームワーク
ビジネス・ゲーム「リーダーシップと意思決定」
11
12/9
リーダーシップとコミュニケーション
ビジネス・ゲーム「リーダーシップとコミュニケーション」
12
12/16
異文化間リーダーシップ
13
1/13
ビジネス・ゲーム「フラット組織におけるリーダーシップ」
BL1 で作成した持論の振り返り
5. 授業評価
A)
公式授業アンケート
概ね高い評価
B)
教員振り返り
〈目標とその達成度について〉
a) リーダーシップの理論に対する理解を深め、かつ、実際に役立つリー
ダーシップを身につける、という点では、おおむね目標が達成された
と考えている。ケース・スタディやビジネス・ゲームが、理論の実践
力育成に大きく貢献した。このため、受講生は、理論を理解するだけ
でなく、それを応用する力もある程度身につけることができたと考え
ている。
b) リーダーシップのより豊かな持論構築についても、ある程度の貢献は
できたが、足りない面もあったと考えられる。授業の最初に、これま
で受講生が明示的もしくは暗黙的に築いてきた持論をより豊かにする
ことが、この授業の目標の 1 つであり、BL1 で作成した持論を用いて、
自らの持論を再構築する機会が授業の後半で設けられている、という
ことを伝えていた。また、実際に、授業の後半でこれまでの持論を見
つめ直し、授業で学んだことを生かして、持論を再構築する作業も行
った。しかし、授業の途中で、持論再構築について言及することが少
なかったため、持論の再構築を、全ての授業で、受講生に意識させる
ことはできなかった。このため、やや唐突な持論の振り返りになって
しまったことは否めない。
c) リーダーシップ理論に対する知的好奇心を喚起する、という点につい
ても、ある程度の目標を達成することができたと考えられる。ただし、
ビジネス・ゲームなどの実習を積極的に取り入れたこと、また、基礎
的な理論から振り返っていたことにより、最先端の理論の解説まで時
間を割く余裕がなかった。
〈目標の設定と達成度の改善のために〉
a) この科目の主たる目標はリーダーシップ理論の理解にあるが、単なる
理解にとどまらず、それを用いて持論の再構築に役立てたり、また、
理論を実際の場面において応用する力を涵養したりすることも目標に
含まれている。受講生の多くは、実務家として今後活躍することを目
指しているであろうから、このように、幅広く目標を設定することは、
受講生にとって有益であると考えられる。
b) ケース・スタディは、リーダーシップ理論の理解を実践力に結びつけ
24 る方法として有益であると考えられる。ただし、本格的なケースを実
施すると、多くの時間をとられるため、短時間で行うことができるミ
ニ・ケースしか行われなかった。ミニ・ケースであっても、それなり
の効果はもたらされるが、本格的なケースに比べると効果は限定的で
ある。もう少し、本格的なケースを実施することができるようにスケ
ジュールを再検討する必要がある。
c) ビジネス・ゲームも、ケース・スタディと同様に、実践力を涵養する
ために効果的であった。ただし、多くのツールは、この授業で始めて
用いたものであるため、今後、その効果についてさらなる検討が必要
となる。また、多くのビジネス・ゲームは、所要時間が長いため、90
分の授業時間内で効果的に実施することが難しい。2 コマ続きの授業
を実施することができれば、より高い教育効果を得られると考えられ
る。
d) 先述したとおり、授業の半ばでは、持論の再構築に受講の意識を向け
させることができなかった。常に、持論の再構築に触れながら授業を
進めることが必要となる。しかし、ただ口頭で伝えただけでは、受講
生の意識をそれに向けさせるのは難しいので、何らかの仕組み作りが
必要となる。今後の検討課題となろう。
〈個々のツールについて〉
a) ビジネス・ゲーム「構造化された組織におけるリーダーシップ」につ
いては、所要時間が長すぎた。このため、フィードバックに十分な時
間を割くことができなかった。もう少し長い時間をとって行うか、所
要時間を短く改変する必要がある。
b) 先述したとおり、本格的なケースを 1 ~ 2 回用いることができれば、
より効果的であったと考えられる。
c) ビジネス・ゲーム「フラット組織におけるリーダーシップ」、「グルー
プによる意思決定」
、
「リーダーシップとコミュニケーション」につい
ては、いずれも、理論の理解の促進および実践力の涵養という点にお
いて、効果的であった。しかし、もう少し時間をかけて実施すること
ができれば、より効果的であったと考えられる。
C)
2010 年度に向けての改善点
① ビジネス・ゲーム「構造化された組織におけるリーダーシップ」を短
縮して実施する。
② リーダーシップの持論を振り替えるためのグループ・ディスカッショ
ンおよび発表会を、期の途中で設ける。
③ 本格的なケースを数回実施する。
④ 前半の講義においても、より双方向なコミュニケーションがとれるよ
うに留意し、後半のケースやビジネス・ゲームへの参加意識を高める。
6. その他
特になし。
第 2 章 科目ごとの概観 25
年度
学期
2009
後期
科目名
BL3-B
(リーダーシップ・コミュニケーション)
1. 担当教員
太田哲二
2. 授業の目標
リーダーシップを上手に発揮することが出来るために必要なコミュニケー
ション能力を涵養する。
BL4 の導入としてコミュニケーション能力を高める。
3. 授業の内容
この講義の副題は「リーダーシップ・コミュニケーション」で、個人や集
団として成果をあげるために必要なコミュニケーション能力を演習やロー
ルプレイを通して体感しながら学習する。
具体的には、以下のトピックに触れる。
1. ビジネスコミュニケーション
組織の中でのコミュニケーションの重要性や難しさを学ぶ。特に行動レ
ベルで相手に伝えるためのスキルを体得する。
2. バーサタイル・リーダーシップ(ソーシャルスタイル)
相手のタイプや状況に合わせたコミュニケーションの方法を学ぶ。
3. ファシリテーション
会議などの場面で知的相互作用を促進する話し合いの方法やスキルを学
ぶ。
4. プレゼンテーション
自分の意見を論理的かつ印象的に伝えるための方法やスキルを学ぶ。
5. EQ(心の知能指数)
コミュニケーションにおける感情の重要性を学ぶ。尚、ここでは個人の
EQ を測定する心理検査を実施し、その測定結果をもとに理解を深める。
4. 授業の
スケジュール
26 1
9/25
ビジネスコミュニケーション 1
2
10/2
ビジネスコミュニケーション 2
3
10/9
ファシリテーション 1
4
10/16
ファシリテーション 2(ゲストスピーカー招聘)
5
10/23
ファシリテーション 3
6
11/6
ソーシャルスタイル 1
7
11/13
ソーシャルスタイル 2
8
11/20
プレゼンテーション 1
9
11/27
プレゼンテーション 2
10
12/4
プレゼンテーション 3
11
12/11
EQ の自己理解1
12
12/18
EQ の自己理解2
13
1/15
ワールドカフェによる振り返り(ゲストスピーカー招聘)
5. 授業評価
A)
公式授業アンケート、匿名座談
① 高い評価
〈目標とその達成度について〉
a) BL3-B の目的に沿ってワークショップを通して「自己を理解し、他
人にうまく働きかけることが出来るようになるための考え方やスキル
を身につけることが出来るようになる」という当初の目的は達成され
たとみてよいだろう。
b) 受講生が 48 名と多く、ワークショップを実施した後、全体で振り返
る時間を確保することが難しかった。
c)「BL4 への円滑な導入のためのコミュニケーションスキルの習得」と
いう目標に関しては、特にグループワークを促進するためのファシリ
テーションや、ソーシャルスタイルは役立ち感が高いが、プレゼンテ
ーションに関しては基礎演習でも習得しており若干の重複感があると
感じた。
d) ファシリテーションの単元と最後の振り返りで日本ファシリテーショ
ン協会のメンバーをゲストスピーカーとして招聘したが、私の企業の
経験だけでなく違った切り口で講義やワークショップを実施してもら
い新しい気づきや学びを提供することが出来てアンケートでも好評だ
った。
〈目標の設定と達成度の改善のために〉
a) プログラムの順番に関して改善の余地があると考える。ビジネスコミ
ュニケーション、ファシリテーションなど他者に働きかける内容のプ
ログラムを先行させたが、アンケートの記載にもあるように、先ず己
を知ることが先ではないかと考える。そのため今後、EQ の自己理解
やソーシャルスタイルを先に持ってきて、後半にファシリテーション
等のスキルベースのプログラムを持ってくるように改善したい。
b) コミュニケーションに関しては、他にも自己理解に関しては交流分析、
エニアグラム、ハーマンモデル、MBTI など様々なプログラムがあり、
他者に働きかけるスキルに関しても、コーチングやアサーション、ネ
ゴーシエーション、NLP など様々なものがある。13 回という限られ
た枠組みの中で深く理解させようと思えば、もう少しプログラムを絞
る必要があるかもしれない。今後、各々のコミュニケーションに関す
るプログラムの Pro/Con 分析を実施し BL3B の目的や期待成果に則
り最適なプログラムを検討していきたい。
c) 今回、プレゼンテーションも 3 回実施したが、プレゼンテーションは
他の科目でも取り上げられており、今後より優先度の高いプログラム
にシフトしていく必要があると考える。
d)「ファシリテーション」や「EQ の自己理解」など本来はもっと時間
をかけないと表面的な理解で終わってしまう可能性がある。今後、も
う少しプログラムを絞り、回数を増やす工夫をしていきたい。
〈教員と SA の役割について〉
a) この科目における教員の役割は、一般の講義科目のように知識をイン
第 2 章 科目ごとの概観 27
プットすることにはなく、むしろ学生が自ら経験することからの学
びを最大化するような学習環境の整備にある。つまり教員の役割は
teaching というより coaching あるいは facilitation にある。特にコミ
ュニケーションの科目でもあり価値観や考え方、体験がお互いに異な
る受講生の知的相互作用を通じて気づきや学びを得ることに主眼を置
いてワークショップ形式で実施した。
b) 今回は初めてのプログラムでもあり教員が主体となりファシリテーシ
ョンを実施した。SA にはワークショップとしては人数が多いため、
皆が積極的に参加してもらうためのサブ・ファシリテータ-の役をお
願いしたり、デモンストレーションをお願いしたりしたが、今後は
SA の学びのために(つまり SA に対する教育効果を考えて)プログ
ラムによっては SA に説明を行なわせるのが効果的であれば、そのよ
うにしたいと思っている。
〈スライドについて〉
a) ワークショップに集中してもらうために、毎回スライドをメモ付きA
4に 3 枚バージョンの形式にして配布した。
b) 細かい内容も盛り込んでおり、スライドを見れば一通りの復習にもな
りアンケート結果からも好評だった。
c) ただ、EQ などの細かい内容はA4に 2 枚バージョンのスライド配布
にした方が見やすいので今後改善したい。
〈個々のプログラムについて〉
a) ビジネスコミュニケーションに関してはビジネスでのコミュニケーシ
ョンの意義やコミュニケーションの基本である傾聴と質問のスキルを
体感してもらった。今後、もう少し NLP の要素も盛り込んで、コミ
ュニケーションの深い部分を導入することも検討していきたい。
b) ファシリテーションでは会議に焦点を当て、ファシリテーションとは
そもそも何なのか、場の設定、対人関係、構造化、合意形成の大きく
4 つのスキルを取り上げた。本来は合意形成だけでも 1 日のプログラ
ムになるのを 90 分 3 回の授業で実施したためワークショップなども
深いところまでは到達できていないジレンマを感じた。今後はもう少
し回数を増やす方向で検討したい。
c) ソーシャルスタイルは 2 回に分けて実施し自分を知り、他者に働きか
けていくヒントや気づきを提供できたと思う。ソーシャルスタイルは
コーチングのプログラムの中で取り上げることもあり、今後は、コー
チングの中で時間を短くして紹介するオプションも検討したい。
d) プレゼンテーションでは、大きくプレゼンス、論理構成、演壇技法、
の 3 つを取り上げた。プレゼンテーションに関しては基礎演習など他
の科目でも実際に発表する演習があり、重複感がなきにしもあらずで
あったが、演壇技法や論理構成など基礎から学ぶことが少ないので参
加学生には好評であった。ただし、今後は他のプログラムとの優先順
位を考えを残すかどうか検討したい。
28 B)
外部評価委員会
極めて高い評価
C)
2010 年度に向けての改善点
① 各プログラムの回数や内容、順序を以下のように検討する。
(ア)上記、振り返りの成果を踏まえてプログラムを一部変更する。
(イ)実施するプルグラムの順序を変更する。ソーシャルスタイルや
EQ などの自己理解に関するプログラムを先行させる。
(ウ)ファシリテーションや EQ などのプログラムの回数を増やしても
う少し全体での振り返りが出来る余裕のある時間配分にしたい。
(エ)課題に関して、各プログラムが終了した時点でしか出していない
が、今後もう少し復習出来るように課題の提出の頻度をある方向
で検討したい。
(オ)ワークショップで 48 名はファシリテーションを効果的に実施す
るのには多すぎるので今後 2 回に分けることも検討していきた
い。
6. その他
A)
外部からのゲストスピーカーの招聘
4 回目のファシリテーション 2 と 13 回目のワールドカフェによる振り
返りにゲストスピーカーを招聘した。新しい視点での気づきや学びがあ
り好評であった。
第 2 章 科目ごとの概観 29
年度
前期
学期
2009
科目名
BL3-C
(ロジカルシンキング)
1. 担当教員
高橋俊之
2. 授業の目標
論理思考(ロジカル・シンキング)の基礎となる手法をつかむ。また、論
理思考を活かせるだけの「考える体力」
(瞬発力と持久力)をつける。この
結果、状況把握、説明・説得、立案・問題解決の力を高める。
3. 授業の内容
ビジネス課題、社会的なイシュー(例:少子化問題)
、自分自身を題材にし
て論理思考のポイントを実践的に学んで行く。たとえば各自実際に説得した
いテーマを使ってロジックの立て方を学ぶ、自分のやりたい仕事を考える
中で解釈の仕方を学ぶなど。また、単に思考力の強化にとどまらず、社会に
対する自分なりの視点と、自分自身についての発見が生まれることを狙う。
論理思考のポイントとしては、以下のテーマを中心に展開。
• メカニズムを押さえる(ロジックツリー他)
• 論理を構造化する(ピラミッドストラクチャ)
• 本質を押さえる(ゼロベース思考他)
• 情報を解釈する(感じることと考えること)
4. 授業の
スケジュール
5. 授業評価
1
4/14
論理思考とは
2
4/21
目的・本質を押さえる
3
4/28
論理の構造を作る
4
5/12
納得される説明
5
5/19
続・納得される説明
6
5/26
物事のメカニズムを考える
7
6/2
続・物事のメカニズムを考える
8
6/9
解釈する(やりたい仕事を明らかにする)
9
6/16
イシューを押さえる
10
6/23
説得
11
6/30
続・説得
12
7/7
続・解釈する(やりたい仕事を明らかにする)
13
7/14
解釈する(ラストサムライ)&振り返り
A)
公式授業アンケート、匿名座談
総合満足度 4.74
B)
教員振り返り
〈目標とその達成度について〉
a)「論理思考の基礎となる手法をつかむ」という目標は成績評価および
学生アンケートから見て、達成されたと考える。
b)「考える体力(瞬発力と持久力)をつける」部分については課題に十
分な時間を掛けて取り組んだ学生については達成されたと思われる。
一方、その時間が短かった学生(週に 1 時間未満 : 約 20%)について
は相応の結果にとどまった。
30 c) 状況把握、説明・説得、立案・問題解決の力を高める目標は上記の a,
b に対応しているが、課題を調整することでさらに高められそうであ
る。
d) やっていることの一つ一つは「考え抜く」だけで目新しいことではな
い。にもかかわらず学生たちが「自分にとって新しい考え方」
(87%
が 5)
、
「自分で調べ、考える姿勢が得られた」(同 78%)としている
のは意味が大きかった。
〈目標の設定と達成度の改善のために〉
a) 学生各自に自らテーマを見つけさせ課題としたのは課題発見の力を高
める上ではよかった。しかし反面、それぞれ違う課題に取り組んでい
るため、教室では他の人のテーマを理解するのに時間がかかったり、
議論が浅くなることも見受けられた。まだ初級者の段階であることを
考えると、共通課題の比率を高めた方がよさそうである。
b)「論理の構造を作る」は少しわかりにくかったかもしれない。よりイ
メージのしやすい「メカニズムを考える」を先に持ってきて、そこで
構造的思考のイメージをつかんだ上で論理の構造に進むとよいわかり
やすくなりそう。
〈教員と SA の役割について〉
a) 今回が初めての担当であったこと、初めてのクラスであるため SA も
受講したことがないことなどから、SA の役割については戸惑いがあ
った。
b) 学生の状況をモニターしてもらうことと、アドミ的な部分を担当して
もらったが、SA のポテンシャルからすると、ややもったいなかった。
しかし現段階ではやむをえないだろう。
〈個々のツールについて〉
a) ほぼ適切だったと思われる。
C)
2010 年度に向けての改善点
① 共通課題の比率増
② テーマ順序の変更
6. その他
第 2 章 科目ごとの概観 31
年度
学期
2009
前期
科目名
BL4
1. 担当教員
三木、元山、津吹 (敬称略)
2. 授業の目標
アントレプレナーシップ(起業家精神)を養い、ビジネスプランの策定、
ビジネスリーダーシップの素養を身に着けることを目標とする。
3. 授業の内容
BLP の集大成として、これまで培った知識と経験を動員しつつ、起業家
精神をもってビジネスを創造できる、より高度なビジネス・リーダーシッ
プを養うことを目的とする。
内容としてはグループワークを中心に新規ビジネスプランの策定を目標
として授業を進める。フィールドワーク、民間企業の事例の学習、提案、
起業家との交流、なども交え、ビジネスシーンにおける「自ら機会を作り
出す」人材育成を目標にする。アントレプレナーシップ(起業家精神)と
は何か? 企業内起業家、企業外起業家いずれにおいても、常に時代の趨勢
を見極め、グローバルな視点をもち、ビジネスを自らリーダーシップ発揮し、
とらえる視点と行動を身に付ける。
4. 授業の
スケジュール
【全体スケジュール】
4/14
オリエンテーション
4/21
ビジネスビルディング(ワーク)
4/28
ビジネスプランの作り方
5/12
アイディア発想方法
5/19
5/26
アイディア 100 本ノック
6/2
ファイナンス収益管理(管理会計)
6/9
プラン作成 実戦形式
6/16
プラン作成 実践形式
6/23
プランチェック(プレゼンテーション)
6/30
プラン予選会
7/7
7/14
5. 授業評価
【グループ発表】アイディア発想方法
【プラン発表会】
全体振り返り
A)
公式授業アンケート、匿名座談
概ね高い評価(4.7)
B)
教員振り返り
〈目標とその達成度について〉
今期 2009 年度 BL4 では、在学 3 年生を対象に、「アントレプレナー
シップ(起業家精神)
」をテーマに、グループワーク形式でのビジネス
プランの策定ワークなどを行った。BLP の最終科目、プログラムの集大
成として、履修者にはこれまでの BL 科目、他専門科目にて培った知識
と経験の総動員を期待。また将来の社会人活動への準備としての起業家
精神の醸成、仮想ビジネス創造のワークを通じての、より高度なビジネ
ス・リーダーシップを養うことを目標とした。
32 クラスは 28 名 1 クラス。それぞれこれまでの BL 科目での成績優秀
者が名前を連ねるいわば「少数精鋭」を実現したクラスであった。クラ
ス内のモチベーションは高く、1 週間での提案プレゼン制作、100 個の
新規事業アイディア出し、といった、難度の高い課題についても、時に
悩みながらも、さすが 3 年生、と頷くことのできる成果を発表していく。
最終のテーマである「新規ビジネスプラン提案」ではクラスを 4 人
7 チームに分割し、予選、本選を行う。本選では、中小企業診断士、
MBA 取得者、ベンチャーキャピタルといった、ビジネスを評価するこ
とを仕事とする方々に来校いただき、プランの審査と講評から高い評価
をいただいた。
担当教員として、まずは活気のあるクラス、高いレベルでの成果を期
待できた学生・クラスと巡り合えたことは何よりも幸せであった。来期
以降の BLP の発展の為、今期以上の内容と成果によって貢献していき
たいと考える。
〈目標の設定と達成度の改善のために〉
3 年次以上の科目として、学部内の専門科目、ゼミナールなどでここ
が学習した内容をそれぞれが発揮できるような環境作りが大切と考え
る。
〈教員と SA の役割について〉
「教える」のではなく「導く」というスタンスで、独立した個々人の
スキルを見つけ伸ばしながら、より高い成果物を作成できるよう教員、
SA が連携して授業運営を行った。
〈共通スライドについて〉 1 クラスによる運用のため割愛
〈個々のツールについて〉
基礎的なマーケティングフレームワーク、会計についてのセッション
を取り入れることで、個々のツールについての基礎的な考え方を復讐、
確認した。
C)
外部評価委員会
極めて高い評価(別項の議事録参照)
D)
2010 年度に向けての改善点
① 教材更新の前倒し。
(ア)上記振り返りの成果を踏まえて教材変更
(イ)企画提案プロジェクトの出題者もできるだけ早く決める
6. その他
A)
クライアントとの連携について
クライアント企業は設定せず、最終的な新規事業プランを立案すること
をテーマとして設定した。各回には、実際の実務を行っている企業人を
ゲストに招き、学生グループへの講義、アドバイスを行った。
第 2 章 科目ごとの概観 33
年度
学期
2010
1. 担当教員
前期
科目名
基礎演習
(リーダーシップ入門)
山口、日向野、尾崎、Roy、松本、竹澤、石川、山中、青淵、井口、柴田、
Johns、松永、森永、三木、齋藤、太田、津吹(敬称略)
2. 授業の目標
経営学部で自律的に学習していくための基礎知識と組織や集団に主体的に
関わり合う能力を習得する。
3. 授業の内容
• この科目の副題は「リーダーシップ入門」で、後期からの BLP・BBL に
つながり、さらに経営学部での 4 年間の学びの基礎となる重要な科目であ
る。
(1)チームで議論しながら結論を導くプロセスを体験し、生産的な議論の
しかたを学ぶ。
(2)自分の主張を裏付けるために必要な情報を収集し、意見や提案を構成
する練習を行なう。
(3)言いたいことを言うだけではなく、聞き手を説得することのできるプ
レゼンテーションを構成する方法を習得する。
(4)グループ単位での企画提案プロジェクトを実施し、全クラス合同で発
表会を行なう。
(5)上記のプロジェクト活動を丁寧に振り返り、経験からの学びを深める。
4. 授業の
スケジュール
5. 授業評価
1
4/13
リーダーシップ仮説の作成
2
4/20
プロジェクトキックオフ
3
4/27
現状分析① 内部環境分析
4
5/11
現状分析② 外部環境分析
5
5/18
現状分析③ SWOT 分析
6
5/25
仮説構築・検証① ロジックツリー
7
6/1
仮説構築・検証② プレゼンの構成
8
6/8
中間報告
9
6/15
仮説構築・検証③ 4P
10
6/22
プロジェクト予選(セカンドオピニオン方式)
11
6/29
プロジェクト準決勝(3 クラス合同)
12
7/6
プロジェクト本選(タッカーホール)
13
7/13
振り返り
A)
公式授業アンケート、匿名座談
① 概ね高い評価
② クライアントへの満足は高め
③ アンケートについては使い勝手に問題あり。
④ プロジェクトの予選、準決勝方式についても満足高め。ただし、各
班フィードバックが欲しいというニーズあり。
⑤ 専門科目との連携があったという評価あり。ただし、更に連携をつ
める必要あり。
34 B)
教員・SA 振り返り
① 2010 年 7 月 20 日 17:00 ~ 12 号館会議室にて開催
② 参加者(敬称略)日向野、石川、松永、三木、森永、SA(野原、東国原)
③ 内容
• 前年度と比較すると、シラバスが授業開始前に出来上がっていたた
め、安心して授業に臨めた。また、各回のスライドも授業の一週間
前に送られてきたため、余裕をもって授業準備を行えた。
• 4P については、もう少し早めに教えても良かったのではないか。
• 調査やプレゼンテーションに関するセッションは、きちんと時間を
とったほうがいいのではないか。
• アンケートの実施については良かったが、集計を SA が行うのは疑
問が残る。
• 準決勝方式については、変更が直前過ぎた。直前でなくても授業運
営、内容に関する変更はなくすべきである。
• 教員と SA とが一同に会してミーティングを行う機会をもうけたい。
C)
外部評価委員会
高い評価(別項の議事録参照)
D)
2011 年度に向けての改善点
① マイナーな教材更新と継続的な早期の教材作成。
a) 上記振り返りの成果を踏まえて教材変更
b) 新学期開始前に全回分のスライドを配布する。
6. その他
A)
クライアントとの連携について
① 本年度の基礎演習は、㈱モスフードサービスにクライアントになっ
ていただき授業を進めてきた
② ㈱モスフードサービスの人事部である近藤様、大久保様を窓口とし
て話し合う中で、大学生になったばかりの 1 年生向けの基礎演習の
クライアントとして最適であるということから、2009 年度中にクラ
イアントとして決定。お題「モスバーガーはどうしたらもっと 20 歳
前後の顧客層を取り込めるか」を設定した。お題に関連する部門と
いうことで、マーケティング部の齋藤様、長崎様にも協力をしてい
ただいた。モスフードサービスの方々、教員や SA と話し合の機会を
設けて全体スケジュールを決定した。
③ 授業中は、モスフードサービスの方に計 4 回ご来校いただいた。と
りわけ、中間発表の会はモスより 10 名来校いただき、各クラス1人
担当していただき、学生の中間発表へのコメント、ダメ出しを行っ
ていただいた。学生にとってまたとない機会となった。
第 2 章 科目ごとの概観 35
日程
2009 年 11 月
内容
モスフードサービス×立教大学経営学部 BLP が出
会う
2009 年 12 月
~ 2010 年 1 月
BLP の授業を何度か見学していただく
• 1 年生向けの「基礎演習」という授業を、モスフ
ードサービス様のご協力を得て進めていく事を決
定。
• 来期に向けて、ウェルカムキャンプ・授業の打ち
合わせ
2010 年 4 月 3、4 日 ウェルカムキャンプ@お台場
2010 年 4 月 13 日
授業開始
2010 年 4 月 20 日
齊藤様よりお題発表、1 年生へ外食に関するアン
ケート実施
2010 年 4 月 27 日
齊藤様・長崎様より、SA へアンケートデータ分
析レクチャー
2010 年 6 月 8 日
中間発表(モスより 10 名ご来校いただき、質疑・
コメント)
2010 年 7 月 6 日
本選実施(モスより中井様を含めて 8 名ご来校、
審査)
2010 年 7 月 13 日
授業終了。産学連携シンポジウム(モス×日産×
立教大学)
2010 年 8 月 26 日
36 ㈱モスフードサービス本社にて社長前プレゼン
年度
1. 担当教員
2. 授業の目標
後期
学期
2010
科目名
BL1
日向野、三木、柴田、森永、齋藤、太田、長田、高橋、折口、稲垣(敬称略)
基礎演習で経験したグループでの問題解決・企画提案プロジェクトを進め
る力をさらに磨くために、ディベートを通じて論理的思考力とリーダーシ
ップを身につける。
3. 授業の内容
以下は週ごとの進行ではなく授業の構成要素である。
( 1)上級生の模範ディベートを見学し簡単な講義を受ける。
(2)ディベートに必要な要素は何かを把握し、個別スキルを磨くための練習
セッションを繰り返した後、クラス内でチーム対抗戦を行う。
(3)交代でジャッジを経験し自分のディベート準備に役立てる。
(4)試合後に論題の立て方や反駁の仕方について相互フィードバックを行っ
て、次回の改善に役立てる。
(5)論題は身近なものから始めて徐々に経営学部の専門科目の内容とリンク
したものに進化していく。
(6)クラス内試合の過程でクラス代表ディベーターを選出し、全 10 クラス
での全体会ディベートに備える。
(7)チームワークとリーダーシップについて振り返りを行なう。
4. 授業の
スケジュール
1
9/21
「キックオフ」
2
9/28
「主張 - 主張の理由」
3
10/5
「主張-主張の理由-理由の裏づけデータ」
4
10/12 「論理モデルの復習と定着」
5
10/26 「図示」
6
11/9
7
11/16 「図示、メリットとデメリットの復習と定着」
8
11/30 「内因性と深刻性」
9
12/7
10
12/14 「立論のブラッシュアップ」
11
12/21 「ディベート・ゲーム」
12
1/11
「代表戦」
13
1/18
「リーダーシップの最終振り返り」
「メリットとデメリット」
「立論」
A)
公式授業アンケート、匿名座談
① 未集計
B)
教員振り返り
① 2010 年 12 月 21 日 4 時限、A 202 にて開催
② 参加者(敬称略)日向野、柴田、三木、森永、斎藤、太田、高橋、折口、
稲垣
〈目標とその達成度について〉
a)「ディベートを通じて論理的思考力とリーダーシップを身につける」
という目標を昨年度よりも前面に押し出し、取り組むことができた。
第 2 章 科目ごとの概観 37
b) 各論点について復習セッションを設けることで、徐々に学生の理解度
も高まった。
〈目標の設定と達成度の改善のために〉
a) ディベートに関しては、クライアント企業があることがプラスになる
とは限らない。特に前半では、クライアントにまつわる題材に関わら
ず理解しやすい教材や論題を提供することで、学生の学習効果が高ま
ると考えられる。学生のレベルが高まってきた後半に関してのみクラ
イアントに関連した論題に取り組むという形態も考えられる。
b) 新聞記事を教材として利用する際には、工夫が必要。必ずしも良い文
章であるとは限らない。また、学生の現在の知識に合わせた難易度の
文章を読ませながら、徐々にレベルの高い文章に触れ合わせていくこ
とも重要。
c) 今回の論題は難易度が高かった。もう少し具体性の高いテーマを与え
た方が「ディベートを通じて論理的思考力を高める」というテーマに
適するのではないか。また学期を通じて 1 つのテーマに取り組むので
はなく、いくつかのミニ論題に取り組むことを通じて、多様な論点に
触れることも学習効果を高めると考えられる。
d) エクササイズなどに関しては、解答(例)を与えることのできるもの
も用意した方がいい。解答(例)を与えることで自分の答えと比べた
り、振り返りが促進されたりすることもある。
e) 扱う単元をもう少し厳選した方がよい。「図示」や「主張を作りだす」
という単元は扱う回数が少なく消化不良に終わった。BL2 や BL3-C
などの連携を視野に入れながら、整理するべき。
f) ディベートそのものにもう少しなれる必要がある。そのためディベー
トを体験する数をもう 1 回増やすことや、反駁をする回数を増やす必
要がある。またグループでディベートをするのではなく、2 人 1 組で
ディベートを行うワークを取り入れるのも有効であると考えられる。
多様な役割を体験できるほか、学生のコミットメントが高まるという
ことも期待できる。
g) 2009 年度に実施していた「相手の立論を見せた上で反駁する」とい
う取り組みは、反駁を練習する際に有効だと考えられる。来年度以降
再度カリキュラムに取り込むことを検討すべき。
〈教員と SA の役割について〉
a) BL1 における教員と SA はグループワークに関するコーチであると
同時に論理的思考力とディベートに関するスキルを伝達する役割も求
められる。この観点から上述したように、いくつかのワークについて
は、模範解答を与えながら運営することが必要な場合もあると考えら
れる。
b) 時間との兼ね合いもあり、教員からのフィードバックが不足しがちに
なるセッションもある。SA も教員と分担して学生へのフィードバッ
クを行っていく必要がある。
c) 教員と SA の間の役割分担や関係については良好な関係が形成されて
38 いる。この関係を持続させていくことが重要であると考えられる。
〈共通スライドについて〉
a) 詳細な共通スライドが出来あがってきた。これらのスライドに依拠し
ながら各クラスで同内容の授業を行っていくためには工夫が必要。た
とえばセッションの目的をもう少し明確にし、変更可能な部分と不可
能な部分を明示するという方法もある。またスライドの背景にある引
用文献などを教員間でシェアすることで、ディーチング内容が同一化
しやすくなるとも考えられる。
b) ワークシートについても適切な量の教材が用意されている。ただ、一
部のワークシートは利用しづらいものがあった。また目的や意図が不
明瞭なものがあった。これらを整理して、より使いやすいものへと改
良していく必要はあるだろう。
C)
外部評価委員会
今年度行った改訂(論理的思考力獲得への重点化)について特に高い評
価(別項の議事録参照)
D)
2011 年度に向けての改善点
① 教材の更新と早期の作成。
a) 上記振り返りの成果を踏まえて教材変更
b) 2010 度は 7 月にスライドの初稿が完成、8 月から改訂を始め、新
学期開始前に全回分のスライドを配布した。ただしこのタイミン
グであっても大幅なカリキュラムの変更は難しい。早期に方針を
決定し、大枠の合意を得た上で各セッションのスライドを作成す
る必要がある。
c) クライアント企業との関わり方について検討の必要あり
6. その他
A)
クライアントとの連携について
クライアント企業は日本経済新聞社と東京電力株式会社。
【日本経済新聞社】新聞記事の使用許諾。
【東京電力】9/21 に来校して講話およびディベート論題の出題、1 月 11
日に代表者ディベートの講評を依頼。この他学期開始前の 9 月 14 日に
一部教員と SA が東京電力ショールーム等を訪問。論題関連の取り組み
についての説明を受ける。また学期終了後の 2 月 15 日に一部教員と SA
に加えて優秀チームが訪問し、ディベートを行う予定。
第 2 章 科目ごとの概観 39
年度
学期
2010
1. 担当教員
前期
科目名
BL2
主査:日向野、クラス担当:三木、柴田、森永、齋藤、津吹、太田、長田(敬
称略)
2. 授業の目標
グループ活動を効果的に推進するためのリーダーシップのあり方を経験か
ら学び、適切なリーダーシップ発揮のスキルを身に付ける。
3. 授業の内容
実在の大手企業に対する企画提案をグループ単位で行なうプロジェクトと
その振り返りが授業の中心部分である。
(1)計画的にプロジェクトを進めていくにはどうすればよいのか、また、チ
ームワークを円滑に行なうには何が必要なのかについて、基礎演習や
BL1 の経験を活かしてさらに高度な経験を積む。
(2) 提案の作成にあたっては、BL1 で学んだ論理思考と、経営学部で展開
されている専門科目群(特にマーケティング関係とファイナンス関係)
で学んだ専門知識を充分に活用することが想定されている。
(3)基礎演習(リーダーシップ入門)で習得したプレゼンテーションの方法
を深める。聞き手が納得する発表を行なうことに加えて、聞き手の印象
に残る発表の方法を学習する。
(4)プロジェクト活動を振り返って、グループとして成果をあげるにはどの
ようなチームワークが必要だったか、また個人としてどのようにチーム
に関わるべきだったかを理解する。
4. 授業の
スケジュール
5. 授業評価
1
4/13
「問題解決プロジェクトのキックオフ」
2
4/20
「日産自動車株式会社に関する現状分析」
3
4/27
「電気自動車に関する現状分析」
4
5/11
「一次データを収集する調査設計」
5
5/18
「第一次報告会(クラス内編)
」
6
5/25
「ソリューションの整理」
7
6/1
「第二次報告会(クラス横断編)
」
8
6/8
「第二次報告会とリーダーシップの振り返り」
9
6/15
「ソリューションの費用対効果の検討」
10
6/22
「ソリューションのアクションプラン化」
11
6/29
「問題解決プロジェクトのクラス内予選」
12
7/6
「最終報告会(タッカーホール)
」
13
7/13
「リーダーシップの最終振り返り」
A)
公式授業アンケート、匿名座談
① 概ね高い評価
② 改善点について
〈クライアント / 論題の設定について〉
a) 提案が実現される可能性の高そうな中小企業でもよい。
b) 論題の表現に曖昧な部分があり、その解釈にクラス間で齟齬があった
可能性がある。クラス間での統一が必要。
40 〈カリキュラム / ワークシートについて〉
a) 毎回の授業のグループワークや課題をやっている目的が不明瞭。宿題
の目的や意図が十分に伝わっていないケースや、逆に後から最終発表
に対してとても重要であることが判明したりする課題もあった。クラ
ス内で課題の意図や目的をよりくわしく伝達していく必要がある。
b) ワークシートは「やらされ感」を感じることがあった。もっとワーク
の目的や、その後どのように使うのかを事前に説明する必要がある。
〈グループワークについて〉
基礎演習時と比べて、メンバー間のスケジュール調整が難化。グループ
ワークを円滑に行うためのマネジメントスキルがより問われるようにな
っている。
B)
教員振り返り
① 2011 年 1 月 11 日 4 時限、X101 にて開催
② 参加者(敬称略)日向野、柴田 , 三木 , 森永 , 斎藤 , 太田 〈目標とその達成度について〉
a)「グループ活動を効果的に推進するためのリーダーシップのあり方を
経験から学び、適切なリーダーシップ発揮のスキルを身に付ける」と
いう目標は達成されたと考えられる。
b) リーダーシップが発揮された成果としての提案内容もクライアント企
業から高く評価されるにいたった。その意味でも質の高いグループ活
動が行われたといえるのではないか。
c) 科目の位置づけや大まかな構成などはかなり整備されてきた。この基
本的なフレームワークは来年以降も維持していくとよい。
〈目標の設定と達成度の改善のために〉
a) プレゼンテーションの評価方法について工夫が必要。教員による評価
とクライアント企業の評価をきっちり区別して評価する方がよい。
b) 一部のセッションにおいて学生に意図が伝わりにくいワークやエクサ
サイズがあった。これらの意図を明確にしていくことが必要。
c) カリキュラムの柔軟性を保ちつつ、急な変更を減らしていくことも必
要。
〈教員と SA の役割について〉
a) 教員と SA の役割分担については良好な体制が形成されており、今後
も持続していくことが望ましい。
〈共通スライドについて〉
a) ワークシートについては、十分な量が用意されており。充実してきた。
b) 一部のワークシートは使い勝手が悪いものがあった。今年度のものを
活用しながらもう少し意図を明示的にしたワークシートへと改良する
必要がある。
第 2 章 科目ごとの概観 41
c) BL1 で学んだ内容や語い(たとえば内因性や深刻性など)を BL2 の
スライドに意図的に組み込むことで学習効果を高められると考えられ
る。
d) ワークシートの数は適切である。
C)
外部評価委員会
高い評価(別項の議事録参照)
D)
2011 年度に向けての改善点
① さらなる教材更新と継続的な早期の教材作成。
a) 上記振り返りの成果を踏まえて教材変更
b) 1 月から改訂を始め、新学期開始前に全回分のスライドを配布する。
c) 各セッションの内容とワークは、目的をより明確化し、かつ簡素
化する。
d) クラスの少人数化(2011 年度より 7 クラスから 10 クラスへと開
講クラス数を増加)
。
6. その他
A)
クライアントとの連携について
日産自動車株式会社。4/13 に来校して共通課題の出題、6 月 1 日に各ク
ラスでの中間報告でコメント、6 月 22 日に各クラスで報告にコメント、
7 月 6 日に本選の審査を依頼。この他学期開始前の 2 月 22 日に一部教
員と SA が日産自動車を訪問。また学期終了後の 8 月 3 日と 8 月 26 日
は一部教員と SA に加えて優秀チームが日産自動車を訪問し、プレゼン
テーションの改良を行ったうえで報告。
B)
プロモーション提案の実現プロジェクトの実施
上記優秀チームの中から、実際のプロモーションを実現するためのプロ
ジェクトチームを学生有志から結成。日産自動車株式会社及び博報堂
TBWA と連携。2011 年春の実現に向けて活動中。
42 年度
学期
2010
後期
科目名
BL3-A
1. 担当教員
石川 淳
2. 授業の目標
この授業では、リーダーシップの持論構築や実際のリーダーシップ発揮に役
立つようなリーダーシップ理論を身につけることを目標とした。また、こ
れに加え、リーダーシップ研究に対する知的関心を喚起することも目標と
した。
3. 授業の内容
リーダーシップ理論を中心に、グループ活動を効果的に行うために必要な
様々な概念・理論について議論を行った。具体的には以下の通りである。
1. リーダーシップの古典的理論
2. リーダーシップの現代的理論
3. 現代におけるリーダーシップの課題
1) 性別とリーダーシップ
2) 異文化間リーダーシップ
3) 自己組織化とリーダーシップ
4) リーダーシップと意思決定
4. リーダーシップとコミュニケーション
5. リーダーシップとチームワーク
なお、受講者が少なかった(6 名)であったため、ゼミナール形式で行った。
具体的には、基本的な知識に対する解説を教員から行った上で、教員もしく
は他の受講者から提起された問題を全員で議論する、という形式で行った。
また、理論の理解や応用を促進するために、必要に応じてグループワーク
も行われた。具体的には以下の通りである。
1. ケース分析(ビデオによるケース分析、ミニ・ケース分析、本格的なケ
ース分析)
2. ビジネス・ゲーム
• フラット組織におけるリーダーシップ
• グループによる意思決定
• リーダーシップとコミュニケーション
3. ビデオ撮影による自己のリーダーシップ行動の振り返り
4. リーダーシップの持論作成
4. 授業の
スケジュール
1
9/22
イントロダクション
2
9/29
リーダーシップの特性アプローチ
リーダーシップの行動アプローチ
3
10/6
リーダーシップの状況適合アプローチ
ケース・スタディ
4
10/13
リーダーシップの変革型アプローチ
5
10/20
ケース・スタディ
6
10/27
ビデオ撮影による自己のリーダーシップ行動の振り返り
リーダーシップの持論についてのディスカッション
第 2 章 科目ごとの概観 43
7
11/10
リーダーシップとチームワーク
ビジネス・ゲーム「リーダーシップと意思決定」
8
11/17
ゲスト・スピーカーによる講演
9
11/24
中間試験
10
12/1
リーダーシップとコミュニケーション
ビジネス・ゲーム「リーダーシップとコミュニケーション」
11
12/98
性別とリーダーシップ
12
12/15
異文化間リーダーシップ
13
1/12
ビジネス・ゲーム「フラット組織におけるリーダーシップ」
リーダーシップの持論の振り返り
5. 授業評価
A)
公式授業アンケート
結果を未受領
B)
教員振り返り
〈目標とその達成度について〉
a) リーダーシップの理論に対する理解を深め、かつ、実際に役立つリー
ダーシップを身につける、という点では、おおむね目標が達成された
と考えている。講義ではなくゼミナール形式で行うことができたため、
ディスカッションを中心とした授業を行うことができた。このため、
受講生の参加意識を高め、積極的な受講態度を引き出すことができた。
b) 2009 年度と同様に、ケース・スタディを実施した。ただし、今期はミニ・
ケースに加えて本格的なケースを 1 つ実施した。ケース・スタディの
効果を高めるためには、受講者が予習を念入りに行ってくることが強
く求められる。しかし、受講者によっては、十分な予習なしに授業に
出席した者もいた。このため、ケース・スタディの効果を十分に享受
することができなかった。また、受講者が少なかったため、全ての受
講生が積極的に発言することができた一方で、意見の多様性に欠いて
いた。ケース・スタディの魅力の 1 つは、多様な意見を交換し合うこ
とであるが、少人数だとこの点に問題が生じると考えられる。
c) 2009 年度と同様に、ビジネス・ゲームも実施した。昨年度の反省を
生かし、ビジネス・ゲーム「構造化された組織におけるリーダーシッ
プ」の短縮番を用意したが、受講生が少なかったため、実施すること
ができなかった。その他のビジネス・ゲームについては、少人数でも
行えるような形に改変して実施した。しかし、ビジネス・ゲームにつ
いても、受講者数が少なかったため、フィードバックの効果に限界が
あったことは否めない。
d) 受講生は、期の途中で、持論を作成し、それぞれの持論について相互
にディスカッションを行った。また、期の最後に、当該持論が様々な
理論を勉強することで、どのように発展したのかについての振り返り
を行った。これらの作業を通じて、日頃の授業においても、持論を発
展させることを意識しながら参加することができたと考えられる。
44 〈目標の設定と達成度の改善のために〉
a) 単なるリーダーシップの理論の理解にとどまらず、それを用いて持論
の再構築に役立てたり、また、理論を実際の場面において応用する力
を涵養したりすることが目標として設定されていることは、受講生に
とって有益であると考えられる。
b) 先述したとおり、昨年の反省を生かして、本格的なケースを実施した。
しかし、受講者の予習状況に差があったため、思ったほどの効果を得
ることができなかった。より効果的に実施するためには、予習の重要
性を明確に伝えることが必要となる。また、場合によっては、レポー
トを提出させるなど、予習をせざるを得ない状況を作ることも必要か
も知れない。
c) ビジネス・ゲームも、ケース・スタディと同様に、実践力を涵養する
ために効果的であった。今期実施したビジネス・ゲームは、全て昨年
度実施したものであったため、スムーズに行うことができた。また、
その効果も、適切に享受することができたと考えられる。しかし、フ
ィードバックの際に、多様な意見を引き出すことができなかったため、
フィードバックの効果は限定的であった。第一義的には、受講者を増
やす努力が必要である。しかし、一方で、例え受講者が少なかったと
しても、より有効なフィードバックを行う方法を検討する必要がある。
d) 受講者が少ないことは、メリットも生じるが、ケース・ディスカッシ
ョンやビジネス・ゲームの実施においては、デメリットの方が大きい。
2009 年度の授業評価において、授業の満足度が比較的高かったにも
かかわらず受講者が少なかったのは、授業の魅力を学生に伝える点に
おいて問題があったと考えられる。次年度は、この点を改善する必要
がある。
〈個々のツールについて〉
a) ビジネス・ゲーム「フラット組織におけるリーダーシップ」、「グルー
プによる意思決定」
、
「リーダーシップとコミュニケーション」につい
ては、いずれも、理論の理解の促進および実践力の涵養という点にお
いて、効果的であった。
b) 本格的なケースを実施したが、思ったほどの効果を得ることができな
かった。受講生がより高い関心を示すケースに変更する必要があるか
も知れない。
C)
2010 年度に向けての改善点
① 当該授業の魅力を積極的に学生に伝えることで、より多くの受講生を
確保する。
② ケースの内容を変更して本格的なケースを実施する。その際には、予
習の重要性を明確に伝えると同時に、分析レポートを課すこととする。
③ ディスカッションにおいて意見の多様性を醸成するために、異質な意
見を発しやすいような雰囲気をクラスに作り上げる。
6. その他
特になし。
第 2 章 科目ごとの概観 45
年度
学期
2010
後期
科目名
BL3-B
(リーダーシップ・コミュニケーション)
1. 担当教員
太田哲二 森永雄太
2. 授業の目標
リーダーシップを上手に発揮することが出来るために必要なコミュニケー
ション能力を涵養する。
BL4 の導入としてコミュニケーション能力を高める。
3. 授業の内容
この講義の副題は「リーダーシップ・コミュニケーション」で、個人や集
団として成果をあげるために必要なコミュニケーション能力を演習やロー
ルプレイを通して体感しながら学習する。
具体的には、以下のトピックに触れる。
1. ビジネスコミュニケーション
組織の中でのコミュニケーションの重要性や難しさを学ぶ。特に行動レ
ベルで相手に伝えるためのスキルを体得する。
2. ビジネスコーチング(ソーシャルスタイル)
目標達成に向けて相手の力を最大限に引き出す問いかけ型のコミュニケ
ーションの方法を学ぶ。相手のソーシャルスタイルを考慮してタイプ別
のアプローチ方法を学ぶ。
3. EQ(心の知能指数)
コミュニケーションにおける感情の重要性を学ぶ。尚、ここでは個人の
EQ を測定する心理検査を実施し、その測定結果をもとに理解を深める。
4. ファシリテーション
会議などの場面で知的相互作用を促進する話し合いの方法やスキルを学
ぶ
4. 授業の
スケジュール
46 1
9/21
ビジネスコミュニケーション 1
2
9/28
ビジネスコミュニケーション 2
3
10/5
コーチング 1
4
10/12
コーチング 2
5
10/26
コーチング 3 EQ の自己理解 1
6
11/9
EQ の自己理解 2
7
11/16
EQ の自己理解 3
8
11/30
ファシリテーション 1
9
12/7
ファシリテーション 2(ゲストスピーカー招聘)
10
12/14
ファシリテーション 3
11
12/21
ファシリテーション 4
12
1/11
ファシリテーション 5
13
1/18
ワールドカフェによる振り返り(ゲストスピーカー招聘)
5. 授業評価
A)
学生へのインタビュー 授業のレポート
① 高い評価
〈目標とその達成度について〉
a) BL3-B の目的「コミュニケーションを通してリーダーシップを発揮
することが出来るようになる」という当初の目的は達成されたとみて
よいと考えられる。
b) 学生と話をしてみて「実際にゼミやクラブ活動などでも自分の気持ち
や相手の気持ちの理解が深まったり、相手の話を十分に聞くことを意
識したりしてコミュニケーションが活発になり、相手に対してより良
い影響を与えることが出来るようになった」との感想やフィードバッ
クをもらった。
c)「BL4 への円滑な導入のためのコミュニケーションスキルの習得」と
いう目標に関しては、特にプロジェクトを推進し、チームワークを促
進するためにファシリテーションの単元の回数を 5 回に増やしスキル
向上に力を入れ好評だった。一方で、回数を 5 回に増やしても実際に
ファシリテーションを全員が体験するだけのワークショップの時間を
確保することが出来なかった。今後もう少しファシリテーションに集
中した構成にすることも検討課題の 1 つだと思う。
d) ファシリテーションの単元と最後の振り返りで日本ファシリテーショ
ン協会のメンバーをゲストスピーカーとして招聘したが、私の企業の
経験だけでなく違った切り口で講義やワークショップを実施してもら
い新しい気づきや学びを提供することが出来てアンケートでも好評だ
った。
〈目標の設定と達成度の改善のために〉
a) コミュニケーションのプログラムに関してもう少し集中と選択で種類
を少なくして 1 つ 1 つのプログラムに十分時間をかけ、ワークショッ
プ時に全体振り返りの時間を十分確保した方が効果的ではないかと思
う。今後、色々なプログラムを検討する中で絞って行きたい。
b) コミュニケーションに関しては、他にも自己理解に関しては交流分析、
エニアグラム、ハーマンモデル、MBTI など様々なプログラムがあり、
他者に働きかけるスキルに関しても、コーチングやアサーション、ネ
ゴーシエーション、NLP など様々なものがある。また、ポジティブ
心理学を応用して、それぞれの強みを活かして他者に働きかけるプロ
グラムもリーダシップコミュニケーションを考える上で重要かと考え
る。今後、各々のコミュニケーションに関するプログラムの Pro/Con
分析を実施し BL3B の目的や期待成果に則り最適なプログラムを検
討していきたい。
c)「ファシリテーション」や「EQ の自己理解」など本来はもっと時間
をかけないと表面的な理解で終わってしまう可能性がある。今後、も
う少しプログラムを絞り、回数を増やす工夫をしていきたい。
第 2 章 科目ごとの概観 47
〈教員と SA の役割について〉
a) この科目における教員の役割は、一般の講義科目のように知識をイン
プットすることにはなく、むしろ学生が自ら経験することからの学
びを最大化するような学習環境の整備にある。つまり教員の役割は
teaching というより coaching あるいは facilitation にある。特にコミ
ュニケーションの科目でもあり価値観や考え方、体験がお互いに異な
る受講生の知的相互作用を通じて気づきや学びを得ることに主眼を置
いてワークショップ形式で実施した。
b) 今回は人数が 58 人と多く、2 人の SA を付けていただいた。時間を
節約するうえで教員が主に話したが、今後は SA の学びのために(つ
まり SA に対する教育効果を考えて)プログラムによっては SA にも
っと積極的に講義の部分も担当してもらったほうが良いのではないか
と考える。
〈スライドについて〉
a) ワークショップに集中してもらうために、毎回スライドをメモ付きA
4に 3 枚バージョンの形式にして配布した。
細かい内容も盛り込んでおり、後半から見やすくするためにA4に 2
枚バージョンのスライド配布にした。インタビュー結果からも好評だ
った。
〈個々のプログラムについて〉
a) ビジネスコミュニケーションに関してはビジネスでのコミュニケーシ
ョンの意義やコミュニケーションの基本である傾聴と質問のスキルを
体感してもらった。今後、もう少し NLP の要素も盛り込んで、コミ
ュニケーションの深い部分を導入することも検討していきたい。
b) ファシリテーションでは会議に焦点を当て、ファシリテーションとは
そもそも何なのか、場の設定、対人関係、構造化、合意形成の大きく
4 つのスキルを取り上げた。本来は合意形成だけでも 1 日のプログラ
ムになるのを 90 分 3 回の授業で実施したためワークショップなども
深いところまでは到達できていないジレンマを感じた。今後は現在の
5 回シリーズを 6 ~ 7 回シリーズともう少し回数を増やす方向で検討
したい。
c) ソーシャルスタイルは今回はコーチングの中に組み込んで短時間で実
施したが少し消化不良気味のところがあった。思いっきりなしにして、
強み診断など別の診断を入れるオプションも検討したい。
B)
外部評価委員会
高い評価と予測される
C)
2011 年度に向けての改善点
① 各プログラムの回数や内容、順序を以下のように検討する。
(ア)上記、振り返りの成果を踏まえてプログラムを一部変更する。
(イ)特にポジティブ心理学を応用した強みに焦点を当てたプログラム
を開発し導入を検討していきたい。
48 (ウ)ファシリテーションのプログラムの回数を増やしてもう少し全体
での振り返りが出来る余裕のある時間配分にしたい。
(エ)課題に関して、各プログラムが終了した時点でしか出していない
が、今後もう少し復習出来るように課題の提出の頻度をある方向
で検討したい。
(オ)ワークショップで 58 名はファシリテーションを効果的に実施す
るのには多すぎるので今後 2 回に分けることも検討していきた
い。
6. その他
A)
外部からのゲストスピーカーの招聘
9 回目のファシリテーション 2 と 13 回目のワールドカフェによる振り
返りにゲストスピーカーを招聘した。新しい視点での気づきや学びがあ
り好評であった。
第 2 章 科目ごとの概観 49
年度
前期
学期
2010
科目名
BL3-C
(ロジカルシンキング)
1. 担当教員
高橋俊之
2. 授業の目標
論理思考のうち BL1 で学んだ部分を定着させるとともに、その他の部分を
獲得する。また、
論理思考を活かせるだけの「考える体力」
(瞬発力と持久力)
をつける。この結果、状況把握、説明・説得、立案・問題解決の力を高める。
3. 授業の内容
ビジネス課題、社会的なイシュー(例:少子化問題)、自分自身を題材にし
て論理思考のポイントを実践的に学んで行く。たとえば各自実際に説得し
たいテーマを使ってロジックの立て方を学ぶ、自分のやりたい仕事を考え
る中で解釈の仕方を学ぶなど。よくイメージされるコンサルの美しい技法
を教えるのではなく、いわば思考の体幹を鍛えることと、日々活用するこ
とを学ぶ。
論理思考のポイントとしては、以下のテーマを中心に展開。
• メカニズムを押さえる(ロジックツリー他)
• 論理を構造化する(ピラミッドストラクチャ)
• 本質を押さえる(ゼロベース思考他)
• 解釈を引き出す(帰納・演繹)
4. 授業の
スケジュール
5. 授業評価
1
4/13
論理思考とは
2
4/20
目的・本質を押さえる
3
4/27
物事のメカニズムを考える
4
5/11
続・物事のメカニズムを考える
5
5/18
論理の構造を作る
6
5/25
納得される説明
7
6/1
続・納得される説明
8
6/8
9
6/15
説得
10
6/22
続・説得
11
6/29
解釈する(やりたい仕事を明らかにする)
12
7/6
続・解釈する(やりたい仕事を明らかにする)
13
7/13
解釈する(ラストサムライ)&振り返り
「なぜ?」を解き明かす
A)
公式授業アンケート、匿名座談
① 総合満足度 4.64
B)
教員振り返り
〈目標とその達成度について〉
a)「論理思考の基礎となる手法をつかむ」という目標は成績評価および
学生アンケートから見て、達成されたと考える。
b)「考える体力(瞬発力と持久力)をつける」部分については課題に十
分な時間を掛けて取り組んだ学生については達成されたと思われる。
一方、その時間が短かった学生については相応の結果にとどまった
。
(約 20%)
50 c) 状況把握、説明・説得、立案・問題解決の力を高める目標は上記の a,
b に対応していると思われる。
d) 総合満足度の平均では前年より 0.1 低いだけだが、感触としてはより
大きな差を感じている。アンケートではそれが「十分な準備ができて
いた」
「次のものを得たか」で5をつけた学生の比率が前年より 20-
30% 低いところに出ていると思われる。
〈目標の設定と達成度の改善のために〉
a) 共通課題の比率を高めたことは、教室では他の人のテーマを理解する
時間を減らしたり議論を深める上でよかった。もう少しだけさらに高
めるとよいと感じられた(メカニズムを考える回)
。
b)「物事のメカニズムを考える」を先に持ってきて、
「論理の構造を作る」
を後にしたのはよかったようだ。また各人の「はまっていること」を
使って「なぜ?」を掘り下げたのは、考えることで発見が生まれると
実感してもらう上でよかった。
c) BLP 全体の考え方にもよるが、対象者をより絞り込んだ方がより大
きな成果につながると考える。クラスは問題意識とコミットメントの
高い学生において、成果と満足度が高くなっていると観察される。と
ころが今年度はそのような学生の比率が下がったと感じられた。論理
思考の普及は重要ではあるが、多数対象には BL1 で行い、このクラ
スでは論理思考のロールモデルとなる学生を育てることを狙ってみて
はどうか。
〈教員と SA の役割について〉
a) 前年度同様、学生の状況をモニターしてもらうことと、アドミ的な部
分を担当してもらった。もし、上記 c) のような位置づけで行うので
あれば、受講生自身で動ける部分が多くなるので SA は不要かもしれ
ない。もし可能なら前年度の受講生から数名(無給)をアドバイザー
に入れられると、彼らはさらにレベルアップし、学生たちも刺激を受
けられる。
〈個々のツールについて〉
a) ほぼ適切だったと思われる。
C)
2011 年度に向けての改善点
① フィットする学生の受講
(ア)シラバスの表現変更(厳しめに)
(イ)その他の方法による PR
(ウ)選抜プロセスの精緻化(SA、教員の協力を得て)
6. その他
第 2 章 科目ごとの概観 51
年度
2010
学期
前期
科目名
BL4
1. 担当教員
三木、森永、津吹(敬称略)
2. 授業の目標
戦略的思考・企業家精神を学び、ビジネスリーダーシップの素養を発揮し、
新たな価値創造のできる人材になることを目標とする。
3. 授業の内容
アントレプレナーシップ(企業家精神)とは、常に時代の趨勢を見極め、
グローバルな視点を持ち、自らのリーダーシップを発揮して新たな価値創
造していく姿勢を意味する。これは、企業内・企業外いずれにおいても発
揮することができるものである。
この授業では、BLP と専門科目で培ってきた知識と経験を活かしつつ、
BLP の集大成としてこうしたアントレプレナーシップを学び、戦略的思考
を身につけた高度なリーダーシップを養うことを目的とする。
具体的には、実際のグローバルカンパニーへの革新的ビジネス戦略の提
案 ( 予定 )・策定を最終成果目標として、グループワークを中心に授業を進
めていく。また民間企業の事例学習や実際の企業での企画提案実行の機会、
多様性の中でリーダーシップを発揮する機会も織り交ぜていく。
4. 授業の
スケジュール
5. 授業評価
Week 1
4/13
オリエンテーション
Week 2
4/20
マーケティング基礎 Week 3
4/27
グルーピング 店舗作り提案
Week 4
5/11
モスフード提案プレゼンテーション大会
Week 5
5/18
会計ファイナンス
Week 6
5/25
iPod 分析+グルーピング
Week 7
6/1
アップル & iPod についてプレゼンテーション
補講
6/5
KEYNOTE &プレゼンテーション講座
Week 8
6/8
Innovation について
Week 9
6/15
グループワーク
Week 10
6/22
グループワーク
Week 11
6/29
クラス内 予選 15 分 × 6 チーム 補講
7/3
全体本選(アップルジャパン)
Week12
7/6
振り返り
A)
公式授業アンケート、匿名座談
①極めて高い評価(満足度 5.0)
B)
教員振り返り
〈目標とその達成度について〉
a) 多様性のある人材によるグループワークによるリーダーシップの体
得、という目的は、ある程度達成されたと感ずる。より学年、国籍な
どが異なったダイバーシティの確保が今後の課題である。
b) 事業提案ワークを通じて、ビジネスを俯瞰的にとらえ、事業のヒト・
モノ・カネという要素を考える、という視点は醸成された。今後いか
52 にその視点を定着させていくかは、他科目との連動性も踏まえ検討し
てきたい。
c) 実在の企業をクライアントとすることで、フィールドワークが自発的
に生まれ、現実の生活とリンクした提案を深堀する効果が見られた。
実際のニュース、現場などを見て、自らが課題をみつけ咀嚼する力は、
その後社会に出ていくうえでのよい視点となると考える。
〈目標の設定と達成度の改善のために〉
3 年次以上の科目として、学部内の専門科目、ゼミナールなどでここ
が学習した内容をそれぞれが発揮できるような環境作りが大切と考え
る。
〈教員と SA の役割について〉
「教える」のではなく「導く」というスタンスで、独立した個々人の
スキルを見つけ伸ばしながら、より高い成果物を作成できるよう教員、
SA が連携して授業運営を行った。
C)
外部評価委員会
極めて高い評価(別項の議事録参照)
D)
2010 年度に向けての改善点
① クライアントの検討・選出
② 履修生の多様化(学部生、留学生など)
6. その他
A)
クライアントとの連携について
アップルジャパン株式会社様と協業。前年度末 12 月に契約打ち合
わせ、以降、1 月に授業内容詳細のミーティング。4 月授業開始後、計
4 回の来校、講義を頂く。
第 2 章 科目ごとの概観 53
第3章
SA の役割
SA(Student Assistant)の役割
SA とは立教大学の固有の呼称で、TA(Teaching Assistant)の学部学生版にあたる。
BLP では各授業の修了者(1 年先輩)が各クラスに 1 ~ 2 名つく。SA は授業補佐の役割
だけではなく、広範囲にわたる役割を担っている。SA は①教員、②学生、③クライアン
ト企業、④ SA 同士と深い関わりを持っているため、それぞれとの関わりに注目しながら
役割について見ていく。
① 教員
SA は、割り当てられたクラスの教員と密に連絡をとり、授業補佐としての役割を担っ
ている。スムーズに授業が行えるように教室設営を行ったり、授業資料の準備を行う。授
業中には出欠確認も行う。
② 学生
SA は学生にとってピアカウンセラーの役割を果たしている。BLP はグループワークを
中心に行うため、各学生のグループワークへの積極的なコミットメントが欠かせない。し
かし積極的にグループワークに関わる事が苦手な学生もいる。そのような場合、いきなり
教員からアドバイスを受けるよりも、一つ学年が上の SA のほうがアドバイスをしやすい
し、受け入れやすい。SA は授業時間だけではなく、必要に応じて授業外の時間も学生の
カウンセリングを行う。
リーダーシップに優れた学生が SA を務めているため、SA は学生にとってロールモデ
ルの役割も果たしている。SA と接する中で、どのようなリーダーシップを発揮すれば良
いのか、学生は自然に学ぶ事ができる。
③ クライアント企業
問題解決型の授業(基礎演習、BL2、BL4)では、問題を提示して下さるクライアント
企業が存在する。SA は自身の受講経験も生かして、よりよい授業運営ができるようクラ
イアント企業に対して様々な提案を行い、授業の質向上に寄与している。例えば、どのよ
うな問題を設定すると受講生がプロジェクトに取り組みやすいか提案したり、プロジェク
トを進める上で起きている問題などを解決するためクライアント企業と話し合いをするこ
ともある。また、学期前にはクライアント企業を訪れ、商品やサービスに実際に触れ、授
業で取り扱う問題についての事前準備を熱心に行い、授業の質向上に貢献している。
56 ④ SA 同士
SA は、横のつながりも深く、このことはクラス間の平準化に役立つ。クラス数の多い
授業(基礎演習、BL1、BL2)を担当する SA は、週に一度ミーティングを行う。この
ミーティングは、授業内容の確認が主な目的である。教材作成をした教員も同席するた
め、授業内容の疑問点はこのミーティングで解消される。全ての SA が参加しているた
め、ミーティングはクラス間の理解度や運営方法の平準化の効果を持つ。
このように SA は、様々な人たちと関わりながら、BLP がよりよい授業を提供するた
めの重要な役割を果たしている。SA 自身は、このように様々な人たちとの関わりのあい
の中で、日々リーダーシップを発揮することが求められる。そのため、BLP の SA の業
務を通じて SA 自身がリーダーシップを学んでいくという構造ができていることも、特徴
である。
第 3 章 SA の役割 57
第4章
クラスごとの内容統一
クラスごとの内容統一
1. 複数クラス開講と内容統一の必要性
BLP では、大半の科目で複数クラスを開講している ( 複数クラスの科目とクラス数等
は表 1 参照 )。これらの複数のクラスは、同一時限に同時に開講しており担当教員も異な
る。一方で BLP では、複数クラスで開講している科目であっても同一のシラバスで授業
運営を行っている。学生はどのクラスに振り分けられるか選択出来ないため、どのクラス
に振り分けられても同等の授業内容が提供されていることを担保する必要があるからであ
る。また授業内容も最終的に各クラスの代表者が発表を行うコンテスト方式を採用するこ
とが多い。そのため、全体の題目や論題に対して各クラスが共通のルールの下に取り組ん
でいくことが不可欠になるからである。
2. クラスごとの内容統一に向けた取り組み
2.1 教材開発(共通スライド)
各クラスで同じ内容の授業運営がなされるよう、各クラス共通で使用する教材を開発し
て使用している。
具体的には、各クラスで用いる共通にスライドを作成し、スライドに基づいて授業を
行っている。
2.2 教員掲示板
共通スライドに基づく授業を可能にするため、担当教員が参加する Web 上の掲示板
を利用している。
スライド配布は掲示板を経て行われ、質問などのインタラクティブなやり取りもここで
行われる。
2.3 SA/ 教員 MTG の実施
必要に応じて授業担当教員や授業運営を補助する SA によるミーティングを実施してい
る。掲示板上では扱えない大きな変更や細かな運営上の問題についてはミーティングにて
決定を行う。
3. 新たな課題と今後の取り組み
3 年間の取り組みを通じて共通スライドの精度は高くなっている。ただし表 1 にもある
ように各科目の開講クラス数が増加しており、よりポイントを明確化した教材開発が求め
られている。
60 表 1 複数クラス開講科目の一覧表
BL0
授業内容
2008
2009
2010
問題解決
プロジェクト
問題解決
プロジェクト
問題解決
プロジェクト
BL1
クラス数
15 クラス
授業内容
問題解決
プロジェクト
BL2
クラス数
7 クラス
16 クラス
ディベート
8 クラス
18 クラス
ディベート
10 クラス
授業内容
ミニ
プロジェクト
ディベート
問題解決
プロジェクト
BL3
クラス数
7 クラス
授業内容
提案
プロジェクト
クラス数
3 クラス
7 クラス
7 クラス
第 4 章 クラスごとの内容統一 61
第5章
企業連携の目的と成果
企業連携の目的と成果
1. 企業連携の目的
BLP では、一部の科目において実在の企業や団体をクライアントに迎えて授業を開講
してきた。
このような形態は産学連携プロジェクトの 1 つであるともいえる。ビジネス・リーダー
シップの涵養を目的とする BLP においては、実際の企業や団体が抱える問題や課題に対
して取り組むことが重要になる。
とりわけ低学年の受講生にとっては、企業を経営的視点から捉え直すきっかけとなると
いう点においても、連携を行う意義は大きい。
2. 企業連携プロジェクトの成果
これまで連携を行った企業・団体からは押し並べて高い評価をいただいている。2010
年度は各科目においてクライアント企業から事前に予定していた数以上の来訪を受けた
(各科目 4 回以上)。
また、授業における連携終了後に下記のいくつかの取り組みが実現している。
2.1 プロモーションの実現(2008 年度 BL1)
2008 年度 BL1 では株式会社 EC ナビ様をクライアントにお迎えし、問題解決プロジェ
クトを行った。その結果、総合優勝班が提案した「漫画によるプロモーション」がフリー
ペーパーとのコラボレーションで実現に至った。
2.2 プロモーションの実現に向けての活動開始(2010 年度 BL2)
2010 年度 BL2 では日産自動車株式会社様をクライアントにお迎えし、問題解決プロ
ジェクトを行った。
その結果、優秀賞に選らばれたプロモーション提案について実現するための活動を開始
した(2011 年春実施予定)
。
2.3 産学連携シンポジウムの開催
2010 年度は産学連携シンポジウムを行った。2010 年度 BLP のクライアント企業であ
る日産自動車株式会社と株式会社モスフードサービスの担当者に御登壇いただく座談会を
実施した。
64 3. 企業連携における今後の展望
BLP とクライアント企業双方の利益を最大化するために、より強い連携を模索する必
要がある。
今後、クライアント企業の社員研修との連携や共同の教材開発などが見込まれる。
4. これまでの主なクライアント企業
アップル・ジャパン株式会社、松竹芸能株式会社、株式会社セブン銀行、豊島区役所、
日産自動車株式会社、日本酪農乳業協会、パソナグループ、株式会社モスフードサービ
ス、EC ナビ株式会社など。
第 5 章 企業連携の目的と成果 65
第6章
シンポジウム
『産学連携による
リーダーシップ開発授業』
シンポジウム
『産学連携によるリーダーシップ開発授業』
座談会 2010 年 7 月 13 日
立教大学経営学部 BLP では、2010 年 7 月 13 日に公開シンポジウム『産学連携による
リーダーシップ開発授業』を開催しました。シンポジウムは、前半が BLP 紹介と学生優
秀チームによるプレゼンテーション、後半が座談会という構成です。
プレゼンテーションでは、2010 年度春学期の BL2 と基礎演習(リーダーシップ入門)
の、優秀チームがプレゼンテーションを行いました。BL2 では日産自動車株式会社様か
ら頂いた「大学生と日産の挑戦。~若者に大学生の力で電気自動車を普及せよ!~」、基
礎演習(リーダーシップ入門)では、株式会社モスフードサービス様から頂いた「モス
バーガーはどうしたらもっと 20 才前後の顧客層を取り込めるか」、という課題に対する
解決案の発表が行われました。
座談会では、クライアントである日産自動車、モスフードサービスの方と指導教員、ま
た、学生の就職活動について詳しい日経就職ナビの渡辺氏により、このプログラムからの
成果と学びや今後の展開についてディスカッションを行いました。以下では、その座談会
の様子を報告します。
座談会メンバー:㈱モスフードサービス 近藤 孝昭
日産自動車㈱ 岡本 幸一朗
日経就職ナビ編集長 渡辺 茂晃
立教大学経営学部長 山口 和範
立教大学経営学部兼任講師 長田 太郎
立教大学経営学部助教 三木 朋乃
司会:㈱ブルームコンセプト 小山 龍介
○進行:それでは、ただいまより座談会を始めさせていただきます。まず、座談会に参加
される方々の紹介を始めます。
2009 年度松竹芸能プロジェクトのクライアントであり、現在ブルームコンセ
プトの代表であり、今回司会を務めていただく小山龍介さまです。
日産自動車、岡本幸一朗さま。
68 ○岡本氏(以下敬称略)
:よろしくお願いします。
○進行:モスフードサービス、近藤孝昭さま。
○近藤:よろしくお願いします。
○進行:日経就職ナビ編集長、渡辺茂晃さま。
○渡辺:よろしくお願いします。
○進行:経営学部長、山口和範先生。
○山口(学部長)
:よろしくお願いします。
○進行:エイプルジャパン長田太郎先生。
○長田(兼任講師)
:よろしくお願いします。
○進行:BLP(Business Leadership Program)教員、三木朋乃先生。
○三木(BLP 専任教員)
:よろしくお願いします。
○進行:それでは、司会の小山さん、よろしくお願いします。
○小山:よろしくお願いします。去年、わたしが松竹芸能に所属しておりまして、その時
にクライアントとしてこの BLP に参加させていただきました。その時には、実
は最初に課題を提示しまして、それからもう最後に提案をお聞きするということ
だけだったんですね。
先ほどいろいろお話を伺っていると、今年はその BLP がさらに進化をして、
途中の授業にクライアントの企業も参加して、より一層学生と密接に関係を取り
結びながら進めていったというお話を伺っていまして、まず伺いたいと思ってい
ますのは、クライアントの企業であるモスフードサービスさん、日産自動車さん
のお二人から、学生の印象とか、またこのプロジェクトによって当初予想してい
たものと、逆に予想を裏切られて、「あっ、こんなこともあるんだ」というよう
な発見なんかあったら、ちょっと伺いたいなと思っておりまして、まずモスフー
ドサービスの近藤さんからそのあたりの発見というか、いろいろな経験をぜひ伺
えたらと思っています。
○近藤(モスフード)
:今お話しいただきましたモスフードサービスの近藤と申します。改
めてよろしくお願いいたします。
こちらのお声掛けをいただきましたのがもう昨年になりまして、11 月 18 日と
記憶しておるんですけれども、三木さんと最初にお話をさせていただいたことを
覚えております。
まず、最初印象に残っておりますのが、小山さまをはじめ以前にやられた事例
のお伺いをしたんですが、ただ今回同じことをやるつもりはないと、また新たに
つくり上げていくんだ、その一緒につくっていくということを前提に進めていき
たいというお話を伺いまして、これは楽しみだなという思いと、これは大変なこ
とになっていくなという思いと両方交錯しておったのを当時覚えています。
その後、入学式前に行われますウェルカムキャンプというイベントにもお呼び
第 6 章 シンポジウム『産学連携によるリーダーシップ開発授業』 69
をいただきまして、そこから 1 年生の方々と早速接触させていただき、一緒に
進んできたわけですけれども、正直言いまして、その途中、そこの時点からキッ
クオフのお題を提示する授業の回、それから先日の本選のプレゼンの手前に、6
月 8 日の各クラスでのプレゼンの中間報告ということにも立ち会わせていただ
いたんですけれども、1 年生の方々がどんどん変化、進化をしていくという様子
は、正直驚き、新鮮、こういったものをすごく強烈に感じまして、この短期間の
中でいかに変わっていくのだ、進化していくのかということを痛烈に感じたとい
うことが、今でも強く残っております。
その恐らく 1 年生の方々が、どんどん進化、変化していくということのサポー
トとして、SA(Student Assistant)の方々の存在というのはすごいなと、これ
も一方では思えたんですね。去年まで授業を受ける側の 1 年生としてやってい
た新 2 年生の方々が、既にもう教員の方々をサポートしつつ、自分たちがリー
ダーシップをとってやっていると。
先ほど日向野さんからもお話がありましたけれども、権限のないところでどん
どん自分たちの提案とまとめと巻き込みをやっているというところでも、これ
も驚きの一言でした。この SA の方々も 4 月、もっと言うと始まる前の打ち合わ
せ、そこの段階でお会いした時と、途中でお会いした時、そして先日の本選でお
会いした時、どんどんやはり変わっていって立派になっていく様子っていうの
は、つぶさに感じることができて、これもやはりすごいこのプログラムと、それ
からそこにプログラムだけではなくて、いろんな方が携わるということ、応援を
し合うというそういったものが裏に、根底にしっかりあるんだなというふうに感
じました。
あと私どもにとっても非常に大きな成果を頂けたなあと思っておりますのが、
販売促進的なお題を出させていただきましたので、販売促進の部隊にも入っても
らいました。そういった社内の中で、販売促進の者が若い方々がどういうライフ
スタイル、どういう感覚でもって今過ごしているのかというのを、つぶさに体感
をさせる。出口で取ることはいろんな方面からできるんですけれども、それを目
の当たりにして体感することができたというのが、最大のわれわれにとっての成
果物だったかなというふうに感じております。
私は人事の仕事をやって、採用というところで学生の方とは日々会っているわ
けですけれども、その就活に入る前に、学生の方々が今学校でどんな勉強をされ
ているのかということも感じることができて、さらに同じ部隊に教育を担当して
いるチームを巻き込みましたものですから、その後研修を任せる人たちが、どう
いう人たちが今後自分たちの仲間になっていくのだと、その一環の流れを見せる
ことができたということが、非常に大きかったかなあと思っております。
大学に何度も足を運ばせていただいて、驚きと発見の連続だったわけですけれ
70 ども、授業のスタイルがこんなふうになっている、伝達事項はすべてパソコン、
メールを通してすべての学生さんに配信されて、また宿題等々レポートもそう
いったものが返ってきているというような、このあたりの流れですね。われわれ
はすべてアナログで、紙でやっておったものですから、そういったことからしま
すと、どんどん大学という環境、仕組み、コミュニケーションの方法、どんどん
変わって進化しているなあと。
また、学生さんが非常にまじめで、夕方にお邪魔した時に、こういう時間帯
にこれだけたくさん学生さんが構内にいるというのは、自分の記憶からすると
ちょっとほど遠いものがあったものですから、そのあたりの一生懸命勉強されて
いる姿というのも新鮮な気付きだというふうに感じております。以上です。
○小山:ありがとうございます。モスフードサービスさんは基礎演習で 1 年生の方から
発表ということですけども、今度は 2 年生、少し経験を積んできて課題に取り
組んだ、日産自動車さんのケースが 2 年生だったわけですけれども、日産自動
車さんの岡本さんもずっと授業の中でも、発表だけではなくていろいろ参加され
て、何か学生の変化というところとか、ほかに何か感じられたところとか、どん
なところがありましたでしょうか?
○岡本(日産)
:日産の商品企画本部におります岡本です。
最初の印象は、先ほどおっしゃられていましたけども、やっぱりまじめだなと
いうのが、自分の時と比べて一番大きい変化で、そこから逆にまじめだから、私
たちは商品企画本部にいるもので、あんまり突飛な面白いアイデアが出てこない
のではないかというのを、逆に結構思ったんですね。
一方で、都内にいてしかも大学生、将来まだこれから 40 年 50 年車に乗って
くれる人たちは、われわれ自動車メーカーからすると最も打ち落としたい、そし
て最も打ち落とすのが難しいターゲットなのですよ。その子たちから話をいろい
ろ聞けるっていう機会自体は素晴らしいので、われわれは参加させて頂いたので
すが、アイデア自体は面白いものが出てくるのは、正直最初難しかろうと高をく
くっていたところもありまして、何回か授業に参加して、最初の提案くらいの時
は、やっぱり結構インターネットで見れば出てきそうな回答がいっぱい並んでい
たりとかして、こんなもんかなあと思ったりしたところもあったのですけど、面
白い発見というか、変化という意味では、やはり最後になるにつれて、実に地に
足のついたといいますか、学生にしかできない発想というものを、学生がすごく
広げてくれて、結構正直驚きの連続がちゃんとわれわれは得られましたね。
ちょっと 1 個端的な例ですけど、コミュニケーションツールをちょっと学生
から相談された時に、僕のほうから「お願いだから mixi とかで言わないでね」
と、「もうそんなのはどこの業界でもやっているから、どうやって広げるのか何
か考えてみて」って言ったら、ある女子学生が「机かな」って言ったのです。机
第 6 章 シンポジウム『産学連携によるリーダーシップ開発授業』 71
を伝言板みたいにして、コミュニケーションをしていったら、いろんな人に広が
るのではないか。
ちょっとさすがにそういうのって全くわれわれには思いつかない発想だったり
して、だけど学生のリアルさがあって、最後のほうの提案はほんとにわれわれが
読んでいても非常に読み応えもあるし、気付きも多い。そういうふうに変化して
いくっていうのが、とっても参加させていただいて嬉しかったですね。
○小山:ありがとうございます。やっぱりモスフードさんの場合も日産自動車の場合も、
学生がたぶんプロセスの中で大きく変化をしていくというところが、非常に興味
深い。
特にこの BLP に L が付いているという、リーダーシップ、そのプロジェクト
をどういうふうに引っ張っていくかとか、巻き込んでいくかとか、企業の思いも
よらないものをどうやってチームの中で引き出していくかとか、プロセスが非常
に重要だと思うのですけれども、そのあたりどんな工夫をされていたのか。ま
た、やっていく中でこういった発見があったとか、そういったところを長田さん
に、ぜひ現場の経験談として伺いたいなと思っているのですけれども。
○長田(兼任講師)
:まず、鋭い質問を、皆さんありがとうございました。学生たちも結構
たじたじしながらですけど、いい機会だったのではないかなあと思っています。
私は普段はエイプルジャパンで中小の SI や経営企画とか取締役をやっている
のと、もう一つちょっと変わったキャリアなのですが、日本生産性本部っていう
公益財団法人でコンサルタントをしています。なので、経営企画室系の兼任講師
というかたちです。
そんな私なので日産自動車と学生との間をうまく取り持って、もう一つ興味範
囲であるユーザーイノベーションですとか、クラウドソーシングっていうよう
な、要するに企業内部では気付きづらいことを学生が発見してくれたりっていう
ような意義ですね、教育的な意義もあったりっていうのを、うまくプログラムの
中に取り入れたいなと思って、ワークシートを作る時ですとか、もう一つあと
さっき頂いたぐらい鋭い質問を、日産自動車にもちょっと言い方が悪いのです
が、
「ド S 的な質問をしてください」とか、社会人として学生に「遠慮しないで
突っ込んでください」みたいなことを言ってみたのですね。
その辺でうまく、一瞬へこんでも、自分たちがクライアントに対して何を期待
されているかとか、さっきやった例えば自分の感情にひも付いたものが出てくる
のかとか、ネットじゃなくて自分たちの頭でしっかり考えて、このプログラム
の特徴でもあるリーダーシップ、例えば自分の友達 10 人ぐらいを巻き込めない
ようなプランだったら駄目だし、チームビルディングも工夫してやりなさいって
いうようなかたちで、プログラムの進行ですとか、あと日産さんに介入していた
だくタイミング、そんなことをちょっと配慮してプログラムの設計をいたしまし
72 た。
○小山:そこで、学内、大学の中だけでやっていると、やはり学外からの刺激がなかなか
なくて、どうしてもそういった刺激があるほうが、学生たちにとっても「もっと
考えなきゃ」とか、モチベーションにつながっていくって、そういう実感ってい
うのは長田さんはいかがですか?
○長田(兼任講師)
:そうですね、何か一つ悲しいかな、教員の言ったことよりクライアン
トの人が言ってくれたほうが刺さるというのが、一つ実感としてあるかなと。よ
りリアル感があるというのですかね。
私自身も別で職を持って働いてはいるものの、クライアントである日産さんに
言われると、もうメモを取る量が違うみたいな(笑)。揺らぎを与えるとか、学
生にスイッチを入れるっていう意味では、やっぱり外部クライアントの方から辛
辣(しんらつ)に言っていただいたり、時には励ましていただいたりとか、あと
は聞いていただくだけとかでもかなり刺激になって、産学連携じゃないですけれ
ども、リーダーシップを発揮しながらうまくやっていくという意味では、外部の
刺激というのは有用だったかなと、今振り返っても思います。
○小山:続いて、三木先生にもお伺いしたいのですけれども、どうしてもこれチームに分
かれていろいろリーダーシップというのを発揮していく中で、うまくいくチーム
とか、うまくいかないチームとかいろいろある中で、そこをたぶん先生の立場か
らいろいろコントロールをしたりとか、全体の運営の中でいろいろ気付いたとこ
ろとか、何かうまくいったところとか、逆にうまくいかなくて、こうしたほうが
よかったなという、何かそういったいろいろ発見というものは何かありますで
しょうか?
○三木(BLP 専任教員)
:わたしは基礎演習と BL2 の授業を両方担当させていただいてお
ります。で、この基礎演習にしろ、BL2 にしろ、われわれ教員は学生の行って
いるコンテンツにあまり介入しないという方針でいまして、具体的にいいます
と、例えば学生から何か質問されても、それに対して質問で答えるということ
を、教員全員が一応共通の理解として持っています。それは SA にも同じく言っ
ているのですけれども、学生がうまくいかないときも、それに対して逆にこちら
から質問をして、学生が今何に困っているのかということを質問で相手に気付か
せるというような工夫を行っています。
○小山:そうすると、今までの大学の普通の授業とかでは、先生は教える側で、学生は教
わる側っていうことだったのですけれども、この BLP に関して言うと、先生が
質問する側で、学生の側がそれに答えるっていう、ちょっと関係がまた違う関係
性というか、で進んでいく感じでしょうか?
○三木(BLP 専任教員)
:そうですね。この授業は一応経営学部で行っている授業なので、
経営学に関する知識とかも学ばなければいけないというふうにお思いになる方も
第 6 章 シンポジウム『産学連携によるリーダーシップ開発授業』 73
多いと思いますが、そういう専門知識については、専門科目の授業がありますの
で、そちらで学んでいただいて、この授業ではそれを実際に実践する場として考
えています。
なので、教員はそうした経営学の専門的な知識を教えるというよりは、それを
使ってリーダーシップを発揮して、うまくグループワークを進めていく方向性を
つけるためではなくて、学生自身の中で学習をしてもらう、チームで学習をして
もらうということに重きを置いているということになります。
○小山:なるほど。伺っていると、やっぱりこれまでの授業のやり方だと、かえって学生
のそのリーダーシップを損ねるというと、ちょっと言葉が強すぎるのですけれど
も、なかなか育てるところに行かないのを、少しそういうプロセス、コンテンツ
に関与しないかたちで、プロセスをサポートすることでリーダーシップを育てる
という。
そういった BLP にこの立教大学経営学部が非常に力を入れているということ
が分かるというか、山口先生は学部長という立場で、通常はあまり現場で細かい
ことにかかわらないっていうふうに、通常の学部長という立場からだとそういう
ふうだと聞いているのですけれども、今回は自らこの BLP にかかわっていらっ
しゃるということで、経営学部としてこの BLP の位置付け、意味合いというか、
そういったものをお伺いできたらと思うのですけれども。
○山口(学部長)
:前半のところで日向野のほうから説明したとおりのことが、そもそも
BLP をスタートしたところの背景にあります。
一方で、実はわたしは経営学部だからこの BLP を、ビジネスという言葉が付
くのですけれども、リーダーシップ・プログラムっていうのは、実は経営学部だ
からということとは思っていません。日本の大学ってどこもやったらいいのでは
ないかというふうに思っています。
なぜそう思っているかというと、もともと大学はパンフレットにある自転車で
いうと、後輪部分だけをやればいい、アカデミックな部分の専門のところだけを
やればもともとはよかったのですね。それはなぜよかったかというと、たぶん小
さいころから子どもが育ってくる環境の中での社会の教育力っていうのが、たぶ
ん日本にあったはずなのですよ。たぶんその社会の教育力っていうのが正直わた
しは、海外もそうなのかもしれませんけど、少なくとも日本は落ちていると。た
ぶん今大学を卒業して社会人に出る時に、国の言葉でいうと社会人基礎力とか、
人間力という言葉を、何でああいう言葉が出ているかというと、やっぱりその部
分の日本の教育力が落ちているからではないかと。
その部分をそうすると大学としてきちんと育てていかないといけないと。そこ
がたぶん一つリーダーシップ教育とつながっていて、今は経営学部としてリー
ダーシップ・プログラムをやっていますけど、可能であれば立教大学全体に広げ
74 たいなと思いますし、ぜひほかの大学でもやってもらえるといいじゃないか。
だから、今当然これは題材としてビジネスプログラムなのですけども、ほかの
ところでもいろいろと使えるのではないかと。ですから、グッドプラクティスと
いう意味でいろんな支援を文科省からも頂いていますけれども、必ずしも経営学
部でなくてもいいのではないかというふうにはわたしは思っています。
○小山:こうした大学の試みとしては非常に最先端というか、新しい試みをやられている
わけなのですけれども、じゃこの BLP というのが社会一般から見てというか、
もう少し客観的な視点から見て、どんな意味合いがあるのかというのを日経就職
ナビの編集長の渡辺さんから、どんな今後可能性があるのかというところまで、
何か伺えたらなと思うのですけれども。
○渡辺(日経就職ナビ)
:皆さんの話から出てきた共通しているのは、最近の学生さんは非
常にまじめだというところがあって、与えられた授業の中では非常にまじめに取
り組むっていうのが、もう各大学さんでもかなり共通していることかと思うので
すけど、今回のこの授業から今度はそれ以外の授業で、どういった形でここで学
んだことを展開できるのか、学生さんが気付いて、それを授業の中に、また違う
授業に採り入れられるか。
そこから今度は授業ではなくて、大学生活の中でサークルですとか、部活と
か、アルバイトとか、そういったところでまた同じような得た能力を発揮してい
けるのかっていうのが、非常に大事だと思うのですね。
今、就職っていうところで言いますと、学生生活で一番頑張ったことは何かと
いうことを、一番質問されます。その中で、学生生活で一番頑張ったことの中
で、学生さんが持っている強みっていうのをどこかで発揮していると。その強み
が会社に入ってから生かせるかどうかっていうのを、企業が判断するのですけ
ど、そこが一つの取り組みだけではなくて、ほかの取り組みで再現性がほかでも
あるのかっていうところを非常に見ると。
ですから、今回こういった授業で、いろんな企業側のものの考え方ですとか、
リーダーシップとか、主体性とか、そういったことを学んだと思うのですけど、
それを今後ほかの場面でも展開できるというか、身に付けた能力を発揮できるよ
うになっていくと、かなり大学の授業としては広がりが出てくるのではないかな
というふうに思います。
○小山:ありがとうございます。もう一度クライアント企業として今回プレゼンを受けら
れたモスフードサービスさんと日産自動車さんに伺いたいと思うのですけれど
も、こういうちょっと切り口で伺いたいと思うのですが、今回 BLP というのは、
リーダーシップということだったのですけれども、今学生がまじめすぎるという
か、まじめだっていう話があって、きっと企業の中でも新入社員、新しい若い人
を含めて、ちょっとした傾向というものがあるのではないかなと。
第 6 章 シンポジウム『産学連携によるリーダーシップ開発授業』 75
これちょっと誘導的になってしまうのですけれども、リーダーシップというと
ころがなかなか例えば発揮できない状況がもしあるとしたら、こういった BLP
のような教育が大学時代に行われているということが、企業として何かどういう
メリットがあるのかなあというところを、もし何か感じられるところがあれば伺
いたいなと思うのですけれども。いいですか?
○岡本(日産)
:うちの会社はすごい日本の伝統的な名前を持っているのですけど、ご存じ
のとおり 20 世紀の終わりに急に外資系の会社に変わったわけでして、会社へ
入ってから今若くてももうプレゼンテーションをするとか、小さなプロジェクト
を引っ張るとかっていう機会はたくさんあるんですね。
やっぱり欧米の、特にビジネススクールで学んできたような人がどっと一気に
入ってきたものですから、そういうものに対する目っていうのは非常に厳しい
し、またできて当然と思って見てくるところもあり、自分の若い時から社会人何
年生までくらいを思い出すと、大学時代にこんな人前でちゃんとプレゼンテー
ションをするとか、会社入ってすぐに先輩たちを押しのけて何か会議でべらべら
しゃべるとかなんて経験はないし、するべきでもないという文化もあったもの
で、その辺がもう会社自体ががらっと変わったのですよ。
そういう若いうちからある意味すごくいいことで、チャンスをたくさん与えら
れるようなシチュエーションの中で、今こうして先ほどの学生のプレゼンテー
ションを見ても、正直やっぱり素晴らしいと思う。もちろん大人が突っ込もうと
思えば、幾らでも突っ込めるところがあるに決まっているのですけれども、さっ
きのお名前の話、コウノトリ(学生の提案したプレゼンテーションのタイトル)
の話も、確かに僕らも提案をもらった時に最初に、「これ法律は大丈夫なんかい
な」っていうのをちょっと確認しながらページをめくってて、そっちへ行くなよ
と思いながら確認していたぐらいなのですが、非常にいい機会だと思います。
ああやって自分たちでチームをつくって提案をまとめて、こうやって大人に向
かって問いかけるというのをやるのが、今はほんとに社会へ入ってすぐにこうい
う機会がたくさんあるので、そして思ったよりもそれを長い間与えられないもの
だと思っているので、どんどんそういう時に、前に出るばかりが能じゃありませ
んが、きちんと自分の思いを伝えていくというのは、もうインターネットが国境
を壊しちゃって、今となっては絶対に必要なことだと思っています。
○近藤(モスフード)
:学生さんと就活という場で接する時に、よくお話をするキーワード
で、正解探しという話をよくします。非常に語弊がある言い方かもしれないので
すけれども、恐らく高校まで入試がある関係もあると思うのですが、やはり一つ
の正解を求めて、必ずその正解を探し出す、導き出すという、それをいかに正確
に速くというのは、やってきているはずなのです。
やはり私どもの新入社員、若年層を見ておりましても、その能力は飛躍的に自
76 分たちと比較をしても上がっているというのはつぶさに感じます。ただ、社会の
中でといいますか、われわれ日ごろやっている中で、正解は一つではないです
し、下手すると 5 分前に正解だったことが、もう次の瞬間に変わるということ
が当たり前のようにあります。
このプログラムを通じて、企業、われわれと接していただく中で、正解がど
うも幾つもあるということですとか、それが変化しているということですとか、
もっと言えば、ジグソーパズルによくたとえるのですが、決まった場所に決まっ
たピースを置くだけでは、どうもわれわれは日々仕事にならないというようなこ
とを、事例としてお話しするのですけれども、ともするとグランドデザイン的な
ものを書かなきゃいけない場面というのが、大きさはともあれ、もう社会に出た
瞬間からやってくるので、そんなことがこのプログラムの中から、少しでもエッ
センスを早いうちから学べる、これは非常にいい機会だなと思いますし、あと基
礎演習から 3 年生までかけて、今度はいろんな企業さんと接するということで、
何となく感ずるこの企業の風土ですと、例えば今日でいう私どもモスフードサー
ビスと日産さんと、かなりの違いが恐らくあるはずなのですね。
それをわれわれは意外と中にいると分かりません。きょう同じ場に立たせてい
ただくと感じることはありますが、学生さんはそれを幾つかの企業とこの限られ
た時間の中で接していくと、
「ああ、同じ社会人といっても、いろんな人がいて、
いろんな会社があって」、こんなことも味わえるっていうのは、これは 1 粒で 2
度おいしい状態かなということも感じますので、こんなことがもし続いて、いろ
んな企業がこれに参画をしていっていただくと、企業にとっても実際すごくプラ
スになることが多いのではないかなというような感覚を持っております。
○小山:ありがとうございます。
それでは、ちょっと会場から質疑応答を受けたいと思うのですけれども、パネ
ラーの皆さんに質問のある方、挙手でお願いいたします。
○質問:○○○○社の□□と申します。近藤さんと岡本さんにお伺いしたいのですけど
も。
実際プロジェクトの中で学生さんをご覧になられていて、明らかに成長してい
く姿を見受けられたと言われたのですけども、あのプログラムが一つ掲げていま
す権限のないリーダーシップということでいいますと、具体的にどのような例を
見られたのか、その辺をお話しいただけるとありがたいのですが。
○近藤(モスフード)
:では、お答えさせていただきます。実際に教員の方と、先ほど教え
ていただきました SA の方との打ち合わせというのは、授業以外にさせていただ
いていたのですけれども、教員の方が主導で何かを進めていくということは、接
しさせていただいた限りではほぼありませんでした。SA の方が今こういうこと
を考えている、こういうことをやりたい、当然事前にその打ち合わせをするため
第 6 章 シンポジウム『産学連携によるリーダーシップ開発授業』 77
のまた準備というのは相当あったと思うのですけれども、そういった SA の方が
主体になって進めていく、つくっていくというのが随所に見られたというのが一
番強く感じているところです。
恐らくそれを今度はクラス単位で、一つのクラスに 1 人の SA の方が付いてい
らっしゃるので、それを日々の授業の中で新入生、1 年生の方がつぶさに見てい
らっしゃると思うのですね。それをまた次の年に「よしやってみよう」というこ
とで学んでいかれると思いますので、まさにリーダーシップというのはこうだっ
ていう、言葉で教えるというよりも体現しているというところが非常に強かった
ので、そういったところにこのリーダーシップというものが、それは 1 人だけ
がやるというよりも、入れ替わり立ち替わりどんどんリーダーシップ、リードす
る方が、イニシアチブをとる方が出てこられるのですね。そんなあたりに強く感
じました。
○質問者:ありがとうございます。
○岡本(日産)
:3 回くらい授業に参加させてもらったんですね。打ち合わせはもっとたく
さんありましたけど、その中であるチームなんかは、すごく優秀な提案だったの
ですけど、毎週変わってくるのです、提案内容が。一瞬ぶれているようにも見え
るのですけど、権限のないリーダーシップというご質問に対して、本当にアイデ
アでちゃんとブレーンストーミングをして、自分たちがこれいいねと思ったアイ
デアを一つのトリガーにして、リーダーシップをとって取りまとめていくってい
うプロセスが、誰々さんが言ったからとか、誰々さんが決めたからっていうので
はない、非常にいいかたちのリーダーシップの発揮のされ方だなと思いました。
○質問者:ありがとうございます。
○小山:ほかに質問。
○□□:どうもありがとうございました。わたしが実はここに座っていまして、大学の教
員という立場でもあり、企業人という立場でもあるのですが、渡辺さまにご質問
したいのですが、先ほどあった就職戦線というのは特殊な現場ではあるのです
けれども、世の中的に求められる人材っていうのはどういう要素を含んでいる
のか。その中で逆に大学教育というものに対して、こうあってほしいみたいな、
BLP の中でも外でもいいと思うのですけども、そういったものがもし何か、こ
ういうのはもっと入れ込んだらいいよみたいなアドバイスを頂けたらと思います
ので、お願いします。
○渡辺(日経就職ナビ)
:企業が求める人材像っていうのは、大体どこの企業でも打ち出し
ているのが、
「自分で考え自分で行動する」っていう文言が一番多いのですね。
結局大学の授業でいうと、要は教えられるといういわゆる聴講スタイルのもの
から、学生がやっぱり今回のこのプロジェクトのように、主体的に何かを考えて
自ら発言していくような機会が非常に求められているのではないかなって。
78 ただ、これだけの規模の教室で、この人数でやるっていうのは、例えば 90 分
の授業で学生が 1 人 1 分話しただけでもう終わってしまうようなことなので、
いかに少人数のクラスを持って、そこで学生が考えて自ら発表するような機会を
持てる授業をどうつくり上げるかというのが非常に重要かと思います。
ただ、それはもう教員の数もそうですし、教室もそうだし、かなりの人と時間
と労力を必要とするものだと思うのですけど、今の就職のところで求められてい
るっていうところで言いますと、やっぱり学生が主体的に動いた経験と、あとは
よく言うのはコミュニケーション能力で、自分の言いたいことだけ言って終わる
のではなくて、相手が聞きたいことをちゃんと語れるっていうそこが重要かなと
思います。
○質問者:ありがとうございます。
○小山:では、その前の方。
○質問者:お話ありがとうございます。パッケージソフトウェアの○○○○という会社で
実際開発しています。
企業側のお三方と大学側というところで、お一人ずつお伺いしたいのですけれ
ども、実際にプログラムをやられて、さらにその学生たちが将来的には企業に出
て行くわけなのですが、プログラムの中によりこういう内容があったら望ましい
のになと、求めるところというところがありましたら何かお伺いしたいという点
と、あと大学側のほうになんですけれども、今回のプログラム、全面的に僕は非
常にいいなというふうに思っているのですが、こういうプログラムを通じてどう
いう人材を輩出していきたいというふうなところのイメージのところをお伺いで
きたらというふうに思っています。
あと最後に、どなたでもいいのですけれども、先ほどの質問と少し重複しま
すが、先日も某大手人材 R 社のセミナー等でも、人材観、就職観というのが出
ていたんですけれども、興味深かったのが、最近の大学生が A か B かという質
問で、一つの会社に入って安定的に生きていきたいという傾向と、自分のキャ
リア、自分のなりたい像に向かってキャリアを進めていくというふうな、A で
すか B ですかという質問でいくと、前者の安定的に生きたいのが 80、後者が 20
という数字が出ていたということで、2004 年ぐらいまでは大体 50 対 50 ぐらい
の数字というふうな状況だったのを、やはりアジアの韓国とか中国の学生等は自
分でどんどん力を付けていくと。そうなればなるほどそう生きたいというのに対
して、日本は逆に振れているというふうな状況に対して、何か個人的なご意見等
ありましたら、どうかお伺いできればというふうに思っています。
3 点、よろしくお願いします。
○近藤(モスフード)
:このプログラムにぜひ入れたらいいものというご質問でしたけれど
も、参画していない授業の部分に若干うといところがありますので、もしかした
第 6 章 シンポジウム『産学連携によるリーダーシップ開発授業』 79
ら既に採り入れられている部分があるのかもしれないのですが、非常にプログラ
ムとして組み立てられている部分と、それからロジカルな部分、それからあとは
このプログラム以外の専門授業の話がさっき出ておりましたけれども、そういっ
た関係の中で問題解決を進めていくときに、恐らくこれはわれわれも日々そうな
のですが、人のエモーショナルな部分、これによっていろんなものが実際は左右
してしまうのが実社会ですので、そのエモーショナルな部分というのをどうプロ
グラムの中に絡められるのかっていうのは、一つあってもいいのかなと思う。
たぶん振り返りというものを時々されていますので、そういうふうな中でチー
ム内もしくは他のチームに対してのフィードバックという中に十分恐らく入って
はくると思うのですが、そういったあたりが入ってきたら、両面、他面、補完で
きるのではないかというふうに考えております。
○岡本(日産)
:アイデアクリエーションですね、僕がもっと深かったら面白いなと思うの
は。そういう学部、学科の授業じゃないのかもしれないのですけど、やっぱり接
してみて学生ってある種われわれ社会人から見ると天才、全体われわれが忘れて
しまっていたり、思い付きもしないような切り口を絶対持っているんだなあとい
うことを、今回改めて感じています。
割とやっぱり優秀でまじめな学生たちなので、早い段階で割とまとめに行って
しまう感じがしていて、できればそこでちょっと深掘って苦悩してみたら爆発す
るかもよっていうところを、カリキュラム上もちょっと深堀しづらいし、学生も
割と早めに答えに帰結にさせようとするので、その辺もっと何か見てみたかった
なっていうのは、素直に感想としてあります。
○山口(学部長)
:2 点目のどういう人材をということにちょっとコメントしたいんですけ
ども、大学として大学の存在意義ということを考えたときに、やっぱり未来をき
ちんと創造できる、未来を語れる、あと理想をやっぱり追い求める、そこは大学
はもう決して捨ててはいけないところだと思います。
ただ一方で、現実の社会に対応できる人材を輩出するということもありますの
で、そこのバランスをどう取っていくかっていうのが今の課題かと思います。た
だ、われわれが今大学の業界の中でやっぱり危惧(きぐ)しているのは、どちら
かというと現実寄りになり過ぎているっていうのは、一方で危惧として持ってい
ます。だから、そのバランスをきちっと取りながら、前輪と後輪のいわゆるその
バランスですよね、そこをちゃんと考えていくというのが重要かと思います。
だから、大学が今の会社に就職するっていうことだけを目指してしまえば、将
来はないと思いますので、きちんと未来をつくり上げていく、いわゆる人材を育
てるっていうのが大学としては非常に重要な役目を持っていると思います。
もちろんこれは、日本は 800 以上大学がありますので、それぞれのポジショ
ンというのがたぶんあるかと思いますけれども、少なくともわれわれはその未来
80 を語るっていうところについて、きちんと学生を育てていきたいというふうには
考えています。
○小山:あと三つ目の安定志向が強まっている傾向について、これはどなたでもというこ
とだったのですけれども、わたしからでいいですか?すみません。司会をやりな
がらあれなのですけども。
わたし自身今松竹から独立をして、そういう意味ではリスクを取っている B
タイプの人間に当てはまるのですけれども、実はその A と B という対比が必ず
しも適切かどうかっていうところから、僕は疑問を実は持っているのですね。
つまり、同じ会社にずっと勤め上げても、リスクを取る会社勤めっていうのは
あると思うのです。会社の言うとおりに、言うなりに言われたことをやり続け
る A のタイプと、会社には居続けるのだけど、そこで非常にぶつかりながらい
ろんな新しい革命的なことを会社内でやろうというふうに、何かぶつかりながら
やっていく人間っていると思うのです。
そういう意味では A の中でも A と A’ っていうのがいて、この BLP を見てい
ると、権限なきリーダーシップということでいうと、会社の中にいながらも恐ら
くぶつかりながら、会社の今までやってきたことを、「おお、でもこれはほんと
にそうなの?」っていう疑問を持ちながら、権限のない段階からリーダーシップ
を取っていくような、そういう人間をつくっていく、そこに一つ何かこの BLP
の可能性を僕は見ていまして、そういった意味では、「A か B か。B が多いとい
い」というよりも、A の 80 の中でいかにイノベーティブな人材をつくっていく
かと。
それはたぶん自然と B っていう判断をする人も出てくるし、そのまま A とい
う判断を続ける人もいるだろうというふうに考えていて、そういう意味で僕がこ
うやって司会をやらせていただいたりとかしているのも、ぜひこの BLP が日本
型のというか、海外のようにすぐ起業するということだけではない日本型の企業
内起業家、アントレプレナーシップというのがリーダーシップとセットになって
広まっていくと面白いのではないかというのは感じているところです。
もし何か? 大丈夫ですか? ほかに、たぶんちょっと時間的に、あとお一人
か。後ろの方。
○質問:○○大学職員の□□と申します。本日はありがとうございます。
実は、○○大学でも産学連携教育プログラムというものを実施しておりまし
て、2007 年からいろいろな企業さんとやらせていただいているんですが、実は
日産さんとも 2007 年からやらせていただいています。今年 2010 年に関しては、
実は 8 企業それから自治体等協力して、連携をしてこのプログラムを進めてい
るのですが、これまで企業もしくは自治体の方々に対して、このプログラムを一
緒にやっていきましょうという連携の営業活動ではないですけれども、そういっ
第 6 章 シンポジウム『産学連携によるリーダーシップ開発授業』 81
たことを、お話を持っていきますと、ほぼ 100 パーセントやりましょうという
話になっているのですね。
その中では、今まで研究に関する大学との連携というのはあったけれども、教
育に関する連携ってなかったと。これは企業として求めていたものなのだという
ようなお話をいただくのですが、ただわれわれもこのプロジェクトを進めていく
中で、学生に対しての効果というのはかなり大きいということは実感しているの
ですが、連携いただく企業の方について、どのくらいの具体的な貢献ですとか、
メリットっていうものを返せているかといいますと、まだまだ疑問なところがあ
るのですね。
そこで、お聞きしたいのが、実際に連携いただいているお二人になんですけれ
ども、最初にこの BLP に連携していこうと思った時に、具体的に求めていた狙
いですとか、欲しかったメリット、それから実際にこのプログラム、学生が発表
を終わった後に、実際効果があったと言ったら語弊がありますけれども、得られ
たものっていうのは何だったのか、そこをお聞きしたいと思います。お願いしま
す。
○岡本(日産)
:先ほども申し上げましたが、僕は商品企画本部でどんな車にしようかって
いうのを練っているのが仕事なのですね。今回の長田さんからお話を頂いた時
は、正直言って具体的なアウトプットがわれわれに対してあるとは思っていませ
んでした。
そういうのではないだろうと。もっと何か言えば、二百何十人の学生さんを相
手に、その先にいるご両親まで含めればすごい数なので、日産ファンをつくる活
動だとか、CSR の一環みたいなこともちょっと思ったりしていたのですが、現
実的には具体的なフィードバックがやはりありましたね。
わたし以外にも日産から 8 人ぐらい授業に何回か参加してもらったのですが、
商品企画の業務って将来のトレンドを読んで、お客さんの動向を見てっていう、
それでどんな車が必要になるかっていうのを考えるんですけど、先ほども申し上
げましたが、一番打ちたくて一番打てないターゲットなのですよ。そのターゲッ
ト、都内で車なんかも必要なくて、公共交通機関と自転車で十分で、おまけに若
くてお金もないから車も買わない。落としたくて落としたくても、落とせないと
ころの子たちに車をどうやって普及するかを考えてもらうっていうことをやって
もらったので、われわれ自身がこれから車を考えるときにいかに難しいか。逆
に、こういうところに対しては、若者っていうのはものすごく敏感なのだとかっ
ていう、フォーカスグループインタビューなんかにお金をかけてやるのよりも、
はるかに真剣に、そこにわれわれの落としたいお客さまが車について悩んでくれ
て、いろんな言葉を、いろんなヒントをわれわれにくれたということで、商品企
画業務にとってものすごく非常に大切な宝物になったなあと思っています。
82 それと、もう一つは、途中から話にやっぱりマーケティングの本隊のほうから
も人が参加してくれて、先ほど申し上げましたが、どんどん提案そのものが非常
に面白いものになってきて、今最初のころにかかわった人数よりも、実はずっと
増えて、日産内でもちょっと話を聞きたいという人間がどんどん増えているので
すね。
ものによっては、このアイデアは面白いからそのまま使っちゃおうよ。もちろ
んそれは勝手にパクるとかいう話ではなくて(笑)、活用させてもらったらいい
し、これからそういう話を立教さんとすればいいじゃないかっていうレベルの
やっぱりアイデアも出てきました、正直言って。
それはやっぱりわれわれにとっては、先ほどのどっちかっていうとエモーショ
ナルなベネフィットだとすると、具体的にタンジブルなわれわれのメリットだと
思っています。それを今度われわれの上の人間にアピールというか、プレゼン
テーションしてもらう機会が持てそうなので、非常に楽しみにしています。すみ
ません、長くなりました。
○近藤(モスフード)
:非常に今のお話と近い感覚がありまして、当初具体的な何かそこか
ら得られる、出てくる、アップされるアイデアから何かすぐ実効性のあるものと
いうところに関して、審査基準の中に実効性というものを非常に重く置いたので
すが、そこのところはもしかしたらジャストアイデア的なものが多数を占めるか
もしれないというのが、正直なところ思いの一部としてありました。
割と初期段階から私どものマーケティング部門の者にも入ってもらったのです
けれども、日産さんと同じように、やはり私どもがこれから攻勢をかけていかな
ければいけない年齢層の人たちと、まさに一緒にやれるということで、今は同業
の第 1 位の企業にかなり取られている部分が大きいところが実態でございます
ので、その方たちが実際どう感じている、日ごろどういう感覚で日々過ごしてい
るのかとか、そこのところを恐らく感じることをできるのではないかと、途中か
らかなり思うようになってきました。
実際に、さまざまな顧客データ、わたしどもも所有はしておりますけれども、
今回せっかく自分自身たちに近い人たちをというのをお題で出したものですか
ら、やってもらうに際して、そのデータ自体ほかのものを使うのはもったいない
と。逆の意味で、自分たちがまだ大学に入りたてですから、一顧客としてどうな
のだと、消費者としてどうだというところをそのままデータ化活用したらどうな
るのだろうというトライも、中に盛り込ませていただきました。
自分たちが考える側と消費者、生活、暮らしの側と両面に立って今回やったと
いうことで、容易に恐らく自分たちのことを 1 年生の方々は見つめ直していた
だけたでしょうし、その考えている、出てきた言葉であったり、ライフスタイル
であったり、そういったものがわれわれにとっては紙の上でデータが出てくる、
第 6 章 シンポジウム『産学連携によるリーダーシップ開発授業』 83
今まで取ってきたものではなくて、生で直接聞くことができたということで、非
常にマーケティング部門の者たちは大きなメリットがあったというふうに感じて
います。
さらに、私どもも経営層の人たちにもこの感覚を味わってほしいということ
で、本選の段階でわれわれの担当役員にも入ってもらって、この場を、現場をま
さに見ていただいたわけですけれども、やはりわたしのつたない報告から感じる
ものと、実際その場で感じてもらえたものっていうのは大きな差がありまして、
社内プレゼンの場というものを今調整させてもらっているのですけれども、多く
の方に聞いて感じてもらうと、またもっともっと広がりというものが出てくるの
かなというふうに感じています。
○小山:そろそろ時間のほうになりまして、座談会の締めの言葉を、このメンバーでいう
とやはり山口先生(笑)
。
ぜひ伺いたいんですけれども、実はちょっとわたしが質問というか、ありまし
て、何かというとファカルティ・ディベロップメントっていう側面の点からいう
と、今回産学協同であるという点が学校外の企業からクライアントが来るという
点と、あと BLP、先ほどもコンテンツに介入しないかたちの先生と生徒、学生
とのかかわりというところが、このファカルティ・ディベロップメントの観点か
らどんなふうな影響を教員に与えているのかっていうところは、もう一つ何かこ
の BLP の側面なのかなあというふうに感じているのですけども、そのあたりを
ちょっと伺いつつ、締めの言葉を頂けたらと思っているのですけども。
○山口(学部長)
:経営学部は 2006 年に発足する前に、実はわれわれは別の学部に所属し
ていたのですけども、日向野さんから研修を受けろと、基礎演習をやるのでいつ
いつどこに集合。今まで実は大学でそんな指令を受けたことはなかったのです
ね。
教員が全員一つの教室に集まって、いろいろと研修を受けました。例えば、先
ほどの質問の仕方みたいなことについても、各教員が集まって研修を受けたと。
わたしもちょっとダブルブッキング、途中で抜けてしまったのですけど、3 月に
こういう研修をやるから来いという指令が日向野さんから来ますので、それで出
て行っています。
こういう動きは、もともと大学の教員って基本的にわがままでというたぶん印
象があると思うのですけれども、幸いうちの学部所属の教員は、基本的にわた
しより年齢が上の教員のほうが多いんですけど、結構言うことを聞いてくれて、
ちゃんと参加してくれています。
ですから、この BLP も含め基本的には今までは、ある教員が自分の好き勝手
なことをしゃべっているということで、専門をしゃべっているっていうことで大
学教育ってある程度成り立っていたのですけども、いわゆる協同で全体として教
84 育を行うことで、初めて大学、学部としての教育力を発揮できるという観点でい
うと、この BLP の試みで、最初に発足する前からそういう研修をやる、それに
参加しないと教育できないということを日向野さんが教育をしてくれることって
いうのが、結構われわれの学部にとっては大きかったのではないかと思います。
ですから、今回の BLP、その特に FD の観点を含めて、かなり大規模な学部
で、かつ古くからの伝統がある学部でっていうところでできるかというと、かな
り難しかったのではないか。幸いわれわれは 2006 年に二十数名というスタッフ
でスタートしましたので、そういうある種非常に恵まれた環境のもと、少人数の
学生でスタートできたっていうところも大きかったと思いますけど、そこは非常
によかったかと思います。
ですから、たぶん FD 活動っていったときに、各いろんな講義の仕方を含め
て、いろんな側面はあるかと思いますけど、このこういう基礎演習のところで
いうと、今 18 クラス開講していて、それのクラスで専任教員が 15 名でしたか、
兼任の先生方にも 3 名加わってもらっていますけども、その 18 名が同じシラバ
スのもとできちんと、大体 1 週間ぐらい前に三木さんのほうから、このパワー
ポイントのもとでやりなさいという指令が来ますので、それに基づいてちゃんと
きちんと指導ができていることは、わたしが二十何年大学で働いている中でも、
ある意味非常に新鮮で初めての経験ではあります。
ですから、今後大学がいわゆるチームティーチングとしてきちんと機能してい
くかということについては、一つ大きな成功だったのではないかというふうに自
己評価しています。
○小山:ありがとうございました。ということで、座談会はこれまでにしたいと思いま
す。長い時間ありがとうございました。(拍手)
○進行:ありがとうございました。
○進行:これにて産学連携シンポジウムを終了させていただきます。ありがとうございま
した。
(終了)
第 6 章 シンポジウム『産学連携によるリーダーシップ開発授業』 85
第7章
専門科目との連携
専門科目との連携と他学部での展開可能性
BLP は一つの学部の中で必修レベルを含めて大規模に展開されるリーダーシップ開発
科目である。この点で、全学的規模で行われる全学カリキュラムや、キャリア教育関係の
科目とは位置づけが異なる。学部内で必修レベルを含めて展開されることの最大のメリッ
トは、専門科目の連携である。(なお、ここで言う「専門科目」とは、語学や一般教養で
なく経営学部でいえば経営学や経済学に関する科目全般のことであり、専門への入門的な
ものも含む)
専門科目との連携がメリットになる理由は、BLP の概要(別項)で述べたように、わ
れわれはリーダーシップのみでは「ビジョンを示し周囲を巻き込む」リーダーシップは発
揮できないと考えるからである。ビジョンを示す人と巻き込む人は同一人物であってもな
くてもよいのだが、ビジョンは仕事のうえでは業務や社会・経済・歴史に対する知識が無
ければ生まれにくいであろう。その意味で、繰り返しになるが、リーダーシップは自転車
の前輪、知識は後輪なのである。そして BLP は、前輪を鍛え、一輪では安定して走れな
いことを知る機会である。BLP は経営学部に置かれているので、後輪としては経営学・
経済学の知識を想定する。連携の方法としては、BL0, 1, 2, 4 の問題解決プロジェクトの
課題の解決に使えそうなツールを教える専門科目の教員と連携し、それぞれの授業で他授
業のことに言及しあう。例えば 1 年次後期にはマーケティングの入門科目があるが、そ
れぞれの中で BL1 の課題(ディベート論題)に(教えすぎないように注意しながら)言
及していただく。これによって「専門科目で習ったことが BLP で使える」ことを実感し
て、BLP と専門科目の学習意欲がともに増進することを狙っている。BL2 と BL4 につ
いては、マーケティング関係諸科目に加えて、問題解決提案の「実現可能性」を評価する
ツールとしてファイナンス系の科目との連携が内容的に可能であるが、この部分の連携
は、上級生なので現状では学生の気づきに任せている部分が多い。
このような前輪と後輪の関係は「グループで作業・議論して解決する」要素のあるあら
ゆる学問に応用可能であると考えられる。実際、立教大学理学部とは物理学科と化学学科
を中心にこうしたリーダーシップ開発科目と専門科目の連携を模索中で、BLP も実験的
に理学部学生有志を対象に授業(2009 年)を行った。社会人対象の BLP 模擬授業とは
また違った意味で教員側にも発見の多い試みであったので今後も続けていきたい。
88 第8章
授業支援体制
第 8 章 授業支援体制 89
授業支援体制
2009 年度 BL0 教材準備
授業日:毎週火曜日 3 限(前期)
日付
スケジュール
4/6
ウェルカムキャンプ
~ 4/7
準備物
• 定型サイズの封筒(90 枚)
• ゼムクリップ(90 個)
• マッキー(8 色)× 80
4/14
リーダーシップ仮説の作成
• 特大ポストイット(5 枚入)× 16
• ポストイット(正方形)5 個× 16
4/21
文章の読み方
• 特大ポストイット(5 枚入)× 16
• ポストイット(正方形)5 個× 16
4/28
論理的思考
• 特大ポストイット1個(5 枚入)× 16
• ポストイット(正方形)5 個× 16
5/12
論理的思考と情報の収集
• 特大ポストイット1個(5 枚入)× 16
• ポストイット(正方形)5 個× 16
• サインペン 5 本× 16
• A4 コピー用紙 23 枚× 16
5/19
企画提案プロジェクト kickoff
「松竹芸能に新しいスクールビジネス
を提案」
5/26
発想法
6/2
アイディアの構造化
6/9
プレゼンの仕方
6/16
セカンド・オピニオン
6/23
クラス内予選
6/30
本選
7/7
振り返り(1)
7/14
振り返り(2)
90 • 特大ポストイット1個(5 枚入)× 16
• ポストイット(正方形)5 個× 16
• マークシート 23 枚× 16(アンケート実施)
BL1 教材準備
授業日:毎週月曜日 3 限(後期)
日付
スケジュール
準備物
9/21
ディベートの導入
• IC レコーダー× 8
• ベル× 8
• ストップウォッチ× 8
9/28
聞く力と審査方法
• セッション1のモデルディベー DVD × 8
• ディベートで学ぶエネルギー問題 DVD × 8
10/5
論理モデルと立論
10/19
反論と質疑
10/26
試合の準備
• ベル× 8
• ストップウォッチ× 8
11/9
試合 1-1
• IC レコーダー× 8
• ベル× 8
• ストップウォッチ× 8
11/16
試合 1-2
• IC レコーダー× 8
• ベル× 8
• ストップウォッチ× 8
11/23
振り返り
• 特大ポストイット(8 枚入)× 8
• マッキー(8 色)× 8
11/30
試合の準備
• ベル× 8
• ストップウォッチ× 8
12/7
試合 2-1
• IC レコーダー× 8
• ベル× 8
• ストップウォッチ× 8
12/14
試合 2-2
• IC レコーダー× 8
• ベル× 8
• ストップウォッチ× 8
12/21
振り返り
• マークシートクラス分(アンケート実施)
1/18
代表者によるディベート
• IC レコーダー× 8
• ベル× 8
• ストップウォッチ× 8
第 8 章 授業支援体制 91
BL2 教材準備
授業日:毎週火曜日 2 限(前期)
日付
4/14
スケジュール
準備物
ディベートの定義とそこで求められ
るもの
4/21
ディベートを体験してみよう
4/28
論理的に聞く
5/12
個人戦形式のミニ試合
• ディベートで学ぶエネルギー問題 DVD × 7
5/19
立論の作成
• 特大ポストイット(8 枚入)× 7
• ポストイット(正方形)8 個× 7
5/26
試合 1
• IC レコーダー× 7
• ベル× 7
• ストップウォッチ× 7
6/2
試合 2
• IC レコーダー× 7
• ベル× 7
• ストップウォッチ× 7
6/9
振り返り
• 特大ポストイット(8 枚入)× 7
• ポストイット(正方形)8 個× 7
6/16
立論の作成
• 特大ポストイット(8 枚入)× 7
• ポストイット(正方形)8 個× 7
6/23
試合 3
6/30
試合 4
• IC レコーダー× 7
• ベル× 7
• ストップウォッチ× 7
7/7
振り返り
• IC レコーダー× 7
• ベル× 7
• ストップウォッチ× 7
7/14
振り返り
• マークシートクラス分(アンケート実施)
BL3B 教材準備
授業日:毎週金曜日 5 限(後期)
日付
スケジュール
9/25
ビジネスコミュニケーション 1
10/2
ビジネスコミュニケーション 2
92 準備物
• マッキー(8 色)× 16
• A4 用紙× 48
• タイマー
10/9
ファシリテーション 1
• ポストイット(長方形)× 9
• ポストイット(正方形)× 9
• マッキー(8 色)× 9
• 模造紙 16 枚
10/16
ファシリテーション 2
• 模造紙 32 枚(4 枚× 8 グループ)
• マッキー(8 色)× 16
• ポストイット(長方形)× 8
• ポストイット(正方形)× 8
(ゲストスピーカー招聘)
11/6
ソーシャルスタイル 1
• 模造紙 24 枚
• マッキー(8 色)× 8
• ポストイット(長方形)× 8
• ポストイット(正方形)× 8
• ストップウォッチ
• レーザーポインター
11/13
ソーシャルスタイル 2
• 模造紙 16 枚
• マッキー(8 色)× 8
11/20
プレゼンテーション 1
• 模造紙 16 枚
• マッキー(8 色)× 8
11/27
プレゼンテーション 2
• A3 用紙 144 枚(3 枚× 48 名)
• マッキー(8 色)× 24
• レーザーポインター
12/4
プレゼンテーション 3
• A3 用紙 144 枚(3 枚× 48 名)
• マッキー(8 色)× 24
• レーザーポインター
• ストップウォッチ
12/11
EQ の自己理解 1
• 模造紙 16 枚(2 枚× 8 グループ)
• マッキー(8 色)× 24
• レーザーポインター
• ストップウォッチ
12/18
EQ の自己理解 2
• A3 用紙 144 枚(3 枚× 48 名)
• マッキー(8 色)× 24
• レーザーポインター
• ストップウォッチ
1/15
ワールドカフェによる振り返り
• 模造紙 16 枚
• マッキー(8 色)× 12
• ストップウォッチ
• レーザーポインター
• ポストイット(長方形)× 8
• ポストイット(正方形)× 8
(ゲストスピーカー招聘)
第 8 章 授業支援体制 93
BL3C 教材準備
授業日:毎週金曜日 3 限(前期)
準備物:ネームカード(毎週)
BL4 教材準備
授業日:毎週火曜日 5 限(前期)
準備物:ネームカード、ポストイット長方形× 10、ポストイット正方形× 10(毎週)
日付
スケジュール
4/14
オリエンテーション
4/21
ビジネスビルディング(ワーク)
4/28
ビジネスプランの作り方
5/12
アイディア発想方法
5/19
準備物
• 特大ポストイット 7 枚
• マッキー(8 色)× 7
【グループ発表】アイディア発想方法
5/26
アイディア 100 本ノック
6/2
ファイナンス収益管理(管理会計)
6/9
プラン作成 実戦形式
6/16
プラン作成 実践形式
6/23
プランチェック
• 特大ポストイット 7 枚
• マッキー(8 色)× 7
(プレゼンテーション)
6/30
7/7
7/14
94 プラン予選会
【プラン発表会】
全体振り返り
• BL 修了証(28 名分)
2010 年度 BL0 教材準備
授業日:毎週火曜日 3 限(前期)
日付
スケジュール
4/3
ウェルカムキャンプ
~ 4/4
準備物
• 画用紙 B4 サイズ(90 枚)
• マグネット(72 個)
• ポストイット正方形(90 個)
• ポストイット長方形(90 個)
• 模造紙(90 枚)
• マッキー(8 色)× 90
• クリアパック(90 枚)
4/13
リーダーシップ仮説の作成
アンケート用紙
4/20
プロジェクトキックオフ
4/27
現状分析①(外部環境の分析)
• ポストイット(正方形)× 18
• 模造紙 10 枚× 18
• マッキー(8 色)5 セット× 18
5/11
現状分析②(内部環境の分析)
• ポストイット(正方形)× 18
• 模造紙 5 枚× 18
• マグネット 2 個× 18
5/18
現状分析③(SWOT 分析)
• ポストイット(正方形)× 18
• 模造紙 5 枚× 18
• マッキー(8 色)5 セット× 18
• マグネット 2 個× 18
5/25
仮説構築・検証①ロジックツリー
• ポストイット(正方形)× 18
• 模造紙 5 枚× 18
• マッキー(8 色)5 セット× 18
• マグネット 2 個× 18
6/1
仮説構築。検証②プレゼンの構成
6/8
中間報告
6/15
仮説構築・検証③ 4P
6/22
プロジェクト予選(セカンドオピニ
オン方式)
6/29
プロジェクト準決勝(3 クラス合同)
7/6
プロジェクト本選(タッカーホール)
7/13
振り返り
第 8 章 授業支援体制 95
BL1 教材準備
授業日:毎週火曜日 3 限(後期)
日付
スケジュール
準備物
9/21
キックオフ
• ベル× 10
• ストップウォッチ× 10
9/28
主張 - 主張の理由
• ポストイット 8 個× 10
• ベル× 10
• ストップウォッチ× 10
10/5
主張 - 首長の理由 - 理由の裏づけデータ
• 理解度評価シート(人数分)
10/12
論理モデルと復習と定着
• ストップウォッチ× 10
• ベル× 10
10/26
図示
• ストップウォッチ× 10
• ベル× 10
11/9
メリットとデメリット
• ストップウォッチ× 10
• ベル× 10
• 理解度評価シート(人数分)
11/16
図示、メリットとデメリットの復習と • DVD(ディベート講座)
定着
• ストップウォッチ× 10
• ベル× 10
• フローシート(2 枚×人数分)
11/30
内因性と深刻性
• ベル× 10
• ストップウォッチ× 10
• 理解度評価シート(人数分)
12/7
立論
• DVD(東京電力訪問)
12/14
立論のブラッシュアップ
• ストップウォッチ× 10
• ベル× 10
12/21
ディベート・ゲーム
• ストップウォッチ× 10
• ベル× 10
• フローシート(2 枚×人数分)
1/11
代表戦
• ストップウォッチ× 10
• ベル× 10
1/18
リーダーシップの最終振り返り
• ストップウォッチ× 10
• ベル× 10
• 理解度評価シート(人数分)
96 BL2 教材準備
授業日:毎週火曜日 2 限(前期)
日付
スケジュール
4/13
問題解決プロジェクトのキックオフ
4/20
日産自動車株式会社に関する現状分析
4/27
電気自動車に関する現状分析
5/11
一次データを収集する調査設計
5/18
第一次報告会(クラス内編)
5/25
ソリューションの整理
6/1
第二次報告会(クラス横断編)
6/8
準備物
第二次報告会とリーダーシップの振り
返り
6/15
ソリューションの費用対効果の検討
6/22
ソリューションのアクションプラン化
• ベル× 8
• ストップウォッチ× 8
6/29
問題解決プロジェクトのクラス内予選
• 評価シート(257 枚)
• ベル× 8
• ストップウォッチ× 8
7/6
最終報告会
7/13
リーダーシップの最終振り返り
• ポストイット
BL3B 教材準備
授業日:毎週火曜日 5 限(後期)
日付
スケジュール
準備物
9/21
ビジネスコミュニケーション 1
• 名札
• A4 × 2 枚
• A3 × 15 枚
• マッキー(8 色)× 15
9/28
ビジネスコミュニケーション 2
• ストップウォッチ
• A4 × 60 枚
• A3 × 20 枚
• マッキー(8 色)× 10
10/5
コーチング 1
• A4 × 60 枚
• A3 × 20 枚
• マッキー(8 色)× 10
10/12
コーチング 2
• A3 × 10 枚
• マッキー(8 色)× 10
第 8 章 授業支援体制 97
10/26
コーチング 3
EQ の自己理解 1
• A4 × 15 枚
• マッキー(8 色)× 10
11/9
EQ の自己理解 2
• A3 × 10 枚
• マッキー(8 色)× 10
11/16
EQ の自己理解 3
• A4 × 10 枚
• マッキー(8 色)× 10
11/30
ファシリテーション 1
• A3 × 10 枚
• マッキー(8 色)× 10
12/7
ファシリテーション 2
• 模造紙× 10 枚
• マッキー(8 色)× 10
(ゲストスピーカー招聘)
12/14
ファシリテーション 3
• 模造紙× 20 枚
• A4 × 10 枚
• ポストイット× 20 個
• マッキー(8 色)× 10
12/21
ファシリテーション 4
• 模造紙半分× 60 枚
• A3 × 60 枚
• ポストイット× 20 個
• マッキー(8 色)× 30
1/11
ファシリテーション 5
• 模造紙× 10 枚
• 模造紙半分× 10 枚
• マッキー(8 色)× 10
1/18
ワールド影に寄る振り返り
• 模造紙× 15 枚
• ポストイット× 10 個
• マッキー(8 色)× 10
(ゲストスピーカー招聘)
BL3C 教材準備
授業日:毎週火曜日 3 限(前期)
準備物:ネームカード(毎週)
BL4 教材準備
授業日:毎週火曜日 5 限(前期)
準備物:名札、ポストイット(長方形× 10)
(正方形× 10)(毎週)
日付
スケジュール
準備物
4/13
オリエンテーション
• A3 × 10 枚
• マッキー(8 色)× 6
4/20
マーケティング基礎
• 名札
98 4/27
グルーピング
店舗作り提案
• マッキー(8 色)× 6
• 模造紙 6枚
5/11
モスフード提案プレゼン大会
• ストップウォッチ
• ベル
5/18
会計ファイナンス
5/25
Ipod 分析 + グルーピング
6/1
アップル& ipod についてプレゼン
• レーザーポインター
6/8
Innovation について
• レーザーポインター
6/15
グループワーク
6/22
グループワーク
6/29
クラス内予選 15 分× 6 チーム
• レーザーポインター
7/6
振り返り
• プロジェクト賞状
• BL4 修了証
第 8 章 授業支援体制 99
第9章
教員と SA の研修と合宿
(1)教員と SA の集合研修と合宿
BLP における集合研修は、インストラクターが知識や情報や技術をインプットする研
修ではなく、教員と SA が知恵と質問を出し合って学習する場であり、従って研修の進行
を司るのはインストラクターでなくファシリテータないしコーチである。BLP 教員の受
講したアクションラーニングコーチ講座(次項、教員の個人研修)の成果はここでも活用
される。
また、SA 間や教員間での連絡のために使われるメーリングリストとともに、37signals
社のグループウェア(会員制の多機能ウェブ掲示板)を用いて、情報の蓄積と共有をは
かった。教員集団と SA 集団の知識を言語化し、共有・蓄積し、それによってさらに知識
の生産を促進して不断の改善に繋げるというナレッジマネジメントがこうした大規模なプ
ログラムの運営の一つの鍵であると思われる。
■ 学期前・学期後の集合研修
BL0, 1, 2 においては全クラス共通教材を用いて極力クラス間で均質な授業(別項参照)
を行うために、学期前の SA の集合研修が不可欠である。しかし教育 GP 選定より前の時
期(2006–2008 年前期)にあっては、スタッフが恒常的に不足しており共通教材が仕上
がるのが学期直前であったため、SA への集合研修も不十分であった。SA の集合研修が
不十分であれば個々の教員と SA の個別の打ち合わせをもって研修の代わりとせざるを得
なくなり、結果としてクラス間の授業内容の統一(別項参照)にも影響するきらいがあっ
た。
しかし 2008 年後期からはこうした事態は改善され、学期開始より充分前に共通教材が
完成して、研修をおこなうことができるようになり、さらに、早期の教材原稿に対して全
教員・全 SA に意見を求め、フィードバックを反映した改訂をおこなってから学期に臨め
るようになった。また、提携企業(別項参照)の決定も早期化できるようになって、提携
先企業に合わせて教材を微調整することも可能になった。
■ 学期中の集合研修
学期中もクラス間で知恵を出し合い疑問点を共有する研修は隔週で行われた。また、
BL0, 2, 4 で行われる「セカンドオピニオン」セッションでは、教員がいつもの担当クラ
スの隣のクラスにそれぞれ移動して、(自クラスと同じ課題に関する)グループワークの
成果を採点しコメントをおこなう。これによって他クラスの学生の学習成果を間近に見る
102 ことができ、授業中のクラスを見学するのとはまた違った視点で学ぶことができ、また、
このセッションはクラス間の授業内容を大きく乖離させない方向にも作用する。
■ 学期終了後の集合研修
学期終了後の研修は、一年後の同科目の共通教材を改善するための提案の共有と、次の
学期との内容上の接合を改善するための提案の共有とのために行われる。また、春の研修
は当該年度の授業担当を終えた SA と次年度着任予定の SA が出会い、ノウハウを共有す
る場としても機能する。アクションラーニングセッションは学年の異なる SA の初めての
共同作業の場にもなるため、この目的のためにも有用である。
■ 合宿
以上の研修のうち、学期開始前と学期終了後の研修の大部分は、年二回、夏と冬の合宿
において行われた。合宿先の会議室の使用開始時間の制約などがある場合には、朝から大
学で集合研修をおこなった後、大学からバスに乗って移動し合宿に移動して引き続き研修
を行うという方法もとった。
第 9 章 教員と SA の研修と合宿 103
(2)教員の個人研修
1. 国内
リーダーシップ開発のための企業研修で注目されているアクションラーニングのコーチ
養成講座(日本アクションラーニング協会)に教員 4 名が参加し、3 名が協会認定資格を
取得した(2009-2010 年度)。これにより、毎年 2 回、学期の間に行う SA と教員の研修
を組織的に行うことができるようになった。プログラム実施のために必要な FD を、SA
を巻き込んだ形でインハウスで準備できるようになったと言える。また MBTI のコーチ
認定講座についても教員 1 名が資格を取得したが、当該教員は 2009 年 7 月に急逝したた
めその成果は実験的な授業の段階にとどまってしまった。しかし教育 GP によるこうし
た資格取得と FD 実施の実績により、従来大学の校費からは支出が認められなかった FD
関係について、教育 GP のない 2011 年度からは学部管轄予算で支出が認められるように
なったことは特筆すべき成果である。この他、SA との合同研修も行った(SA 研修の項
参照)
。
2. 海外 海外視察は海外の先進的なリーダーシップ開発拠点に赴いて授業を見学することと、
授業担当者やプログラム設計者と面談して、経験や知見を共有することを主眼とした。
2008 年度は米カリフォルニア州立大学サンノゼ校(オズランド教授)、米ピッツバーグ
市デュケイン大学経営学部(シバスブラマニアム教授)、ニューヨーク市立大グラデュ
エートスクール(サーストン教授)、2009 年度は仏ルーアンビジネススクール(クラッ
パー助教授)
、2010 年度は英インペリアルカレッジ・ビジネススクール(フィリップス教
授)を訪問した。米カリフォルニア州立大学サンノゼ校ではリーダーシップ評価手法や
LMS、ポートフォリオ等の先端的な事例についても学び、先方の常勤教員 6 名のセミナー
で BLP の紹介も行ない、授業見学も行った。デュケイン大学でもリーダーシップ部門の
教員全員の出席するセミナーで BLP を紹介し、授業見学も行った。ニューヨーク市立大
においても授業見学を行った。英仏両国の大学では欧州で典型的な MBA の授業で戦略
的なリーダーシップを教える授業を見学しプログラム責任者とも面談できた。これら訪問
先の教員のうちオズランド教授とシバスブラマニアム教授らについては立教大学を訪問し
BLP の授業を見学したり、授業内で講義を行なってもらうなどの継続的交流が生まれた。
リーダーシップ開発関係の学会への参加も検討したが、海外の主要な学会は 5 ~ 6 月
104 に開催される傾向があり、この時期は日本の大学の春学期の真っ最中で、特に同時多クラ
ス並行実施の BLP では担当者が授業を休講にすることが(補講を設定するとしても)極
めて難しいため、断念した。
第 9 章 教員と SA の研修と合宿 105
第 10 章
外部評価委員会議事録
BLP 外部評価委員会議事録
■ 第 1 回 BLP 外部評価委員会
○日向野氏(以下敬称略)
:それでは、時間になりましたので始めたいと思います。本日は
「BLP 外部評価委員会」の第 1 回目にお越しいただきまして、ありがとうござい
ます。外部評価委員としてお招きしましたのは、慶應大学の高橋秀明(たかはし
ひであき)先生。
○高橋:高橋です。どうぞよろしくお願いします。
○日向野:それからセブン銀行取締役の二子石謙輔(ふたごいしけんすけ)さん。
○二子石:二子石でございます。どうぞよろしくお願いします。
○日向野:私は日向野(日向野幹也/ひがのみきなり)です。じゃ、BLP の教員の紹介
を。端から名前だけ。
○柴田:柴田舞でございます。よろしくお願いいたします。
○太田:太田哲二と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○三木:三木朋乃と申します。よろしくお願いします。
○齋藤:齋藤和彦(さいとうかずひこ)と申します。よろしくお願いします。
○ 星 :星五郎(ほしごろう)です。よろしくお願いします。
○津吹:津吹達也と申します。よろしくお願いします。
○元山:元山年弘です。よろしくお願いいたします。
○山口:山口和範(やまぐちかずのり)です。よろしくお願いします。
○竹澤:竹澤伸哉(たけざわのぶや)と申します。よろしくお願いします。
○日向野:それでは、あと経営学部から、松本、お願いします。
○松本:松本(松本茂/まつもとしげる)です。よろしくお願いします。
○日向野:それから、そちらの若い二人は後ほど紹介しますけども、BLP のアシスタン
トのお二人です。
○松岡:よろしくお願いします。
○矢畑:よろしくお願いします。
○日向野:BLP の事務課の。
○船山:船山(船山美紀/ふなやまみき)と申します。よろしくお願いいたします。
○野呂田:野呂田(野呂田智子/のろたともこ)と申します。よろしくお願いします。
○日向野:じゃ、後ろのお二人もお願いします。すみません。
108 ○伊藤:大学教育開発・支援センターの伊藤と申します。よろしくお願いいたします。
○八木:同じく大学教育開発・支援センターの八木と申します。よろしくお願いいたしま
す。
○日向野:それでは、本日はまず前半にパワーポイントのスライドのご説明と、それから
授業風景のナレーションの入ってる映画を作りました。それを両方ご覧いただ
いて、スライドは途中止めながら、随時ご質問を頂いて進行したいと思います。
じゃ、スライドを。
まず、この BLP というプログラムの教育の目標でございます。そもそも大学
でもそうですが、社会に出ても仕事をするときに一人で仕事をするということは
まずなくて、チームですることが多いですね。チームは、社外であったり社内で
あったりするんですが、そのチームで問題解決をするときには、専門知識とリー
ダーシップの両方が必要だろうと考えます。
自転車をこぐと、チェーンで動力が伝わるのは後輪です。ですので、後輪が専
門知識に当たります。ここで言う専門知識は経営学に限りませんで、業務知識と
いったイメージをお考えになっていいと思います。リーダーシップの方は、その
後輪の動力を使って、チームをどっちの方向に進ませるかという、かじを切る
役割をします。これがリーダーシップです。この両方が必要ですが、BLP では、
今までの大学教育で、成果で扱ってなかったリーダーシップを正面から強化しよ
うというプログラムになります。
これがミッションですが、BLP で関連するリーダーシップというのは上の三
つの性質を持ってます。
まず、エマージェントなリーダーで、権限のないリーダーです。つまり課長と
か部長といった権限のあるリーダーではなくて、権限のない対等の立場から出発
したリーダーシップのリーダーです。これは上位の者に任命されるアポインテッ
ドなリーダーとか、あるいは選挙で選ばれるエレクテッドなリーダーとは明白な
違いがあるわけです。どうしてこれを目指すかと言いますと、これを先に練習し
ておけば、後に選挙で選ばれるとか上司に任命されるとかした場合に慌てないで
すし、権限を振るうことだけに頼らないいいリーダーなれると考えられるからで
す。
2 番目は、チームリーダーシップで、これはチームをリードするんではなくて、
リードする方が複数でもいい、チームでもいいという意味です。一つのグループ
の中に複数リーダーが居ても、そのリーダー同士のコミュニケーションや目標共
有ができていれば、グループとしては分解せずに済むということです。
3 番目は、大きな絵を描いて周囲を巻き込む。これは特に変革が必要な場合の
リーダーシップですが、人間関係だけで引っ張るんではなくて、将来どうしたい
かという大きな絵を描いて周囲を巻き込む。巻き込むという辺りは権限がないと
第 10 章 外部評価委員会議事録 109
いうことを反映してるんですけども、こういったいわゆる変革型のリーダーシッ
プをゆくゆくは目指します。低学年の場合は、ここは無理ですが、だんだんに 3
番が増えていく。
経営学部の成果の中で、こういったリーダーシップを養うのが目標ですので、
ひ
ゆ
先ほどの自転車の比喩で言いますと後輪に当たる部分、専門科目とリーダーシッ
ププログラムとの相乗効果を狙いながら反応するというのが、われわれのミッ
ションであると考えます。
教育の方法なんですが、共通の手法は、一言で言えばアクションラーニングで
す。と言いますのは、最初に最小限のツールを教えて、あるいは BLP でないほ
かの専門科目の知識を使うように BLP の中で促して、その知識を使ってグルー
プで問題解決プロジェクト、またはグループエクササイズ。
エクササイズはゲームやディベートですが、これを行う。で、成果を競うわけ
です。この時に締め切りを設定して、それから成果によって成績が左右されるこ
とを明言して競わせます。最後に振り返りをするという順番になります。
次に行く前に、映画をご覧に入れます。これは今年度の春から夏にかけた、最
初の科目からつくったものです。
(00:10:13 ~ 00:20:41 /ビデオ上映)
○日向野:今のビデオの中でも話してましたね。ツールを学ぶ期間とグループワークを
する期間とリフレクションと 3 段階に分かれていて、このツールは学期によっ
て変わるんですね。今お見せしたのは、たまたま BL0 だったんで、KJ 法と
SWOT 分析が必修のカリキュラムだったんですけども、学期が進むにつれて別
のものも使っていきます。例えばリーダーシップ理論というのはツールとして使
うこともありますし、振り返りのツールとして使うこともあります。
それから、この真ん中の部分は、今の BL0 では牛乳の販売促進(『牛乳消費促
進プロジェクト』)というコンサルティングみたいなグループワークだったんで
すけども、ここも変わっていくわけです。
じゃ、ここまででご質問を頂けるとありがたいんですが。わたしに、あるいは
教員に何か質問があればお願いします。
○高橋:よろしいですか。本当に今与えられた情報しか持ってないんで、ひょっとしたら
的外れだったら申し訳ないんですけど。スチューデントアシスタントですけれど
も、わたしは教えることというのは一番良い学習法だと思うんですけども、ス
チューデントアシスタントには何かプログラムを与えて、SA として活動させる
んでしょうか。
○日向野:SA 同士の集まりは常設化されているんですね。どういうふうにアシストする
110 かということを毎週各チームで協議してます。それに関して合宿などもやってま
す。
それから後に出てきますけども、クラスの中でグループプロジェクトで行き
詰ってくると、SA の方が頼られがちなんですよ、教員よりも。そういうときに
教え過ぎないという工夫が必要なので、その辺りはちょっと工夫をしたいところ
です。
何か松岡君。
○松岡:今、あらためて、松岡洋佑(まつおかようすけ)です。自分の体験を振り返って
みますと、今ご指摘のとおり自分で教える、自分で体験してきたことを今度 SA
の立場から見てみると、まるで違ったものが見えてきまして、その中で自分の足
りないものも見えますし、同時に 1 個下の学生たちの足りない部分といいます
か、互いに相互的に高め合えるというのをすごく実感してます。
一方で、僕はすごく SA として良いものを得たと思ってるんですけども、SA
になりたい人、それからほかになりたくても機会がなかった人が、まだ実際には
居るので、そういったところをもっとよりみんなでやっていけたら楽しいのかな
ということは感じてます。
○高橋:SA は別に評価はもらえないわけですか。
○日向野:SA としてはもらえませんけれども、SA になるときには、BL1 という科目の
中でトップクラスの成績を取ってる中でやりたい人、あるいは教員が推薦する
人。それから、実は再任されるかどうかは、教員からの業務ぶりへの評価がもち
ろんかかわってきます。
○高橋:分かりました。
○日向野:いかがですか。
○二子石:今、見ただけで、毎日毎日それは社内で起こってることなんですよ、今こう
やってることって。ですから、すごく実践的と思います。
リーダーシップっていうと、誰か一人が発揮するもの、全体をまとめる人が
リーダーだと思われるかもしれませんけど、わたしがずっと見てると、その場面
場面でリーダーシップを発揮するという人が居るんですね。
ですから、こういうグループで議論してると、誰かがリーダーになっていくだ
ろうという、たぶんそういうプロセスじゃないんだろうと。やはりこれを一つの
成果に持っていくときのプロセスの中で、それぞれの場面でリーダーシップを発
揮する人が居るんじゃないかと思ってて、恐らくそれは参加してる人全員がリー
ダーシップをどこかで発揮しているはずだし、そういう体験をしているのかなと
今見たんですけど、そういう見方でいいんでしょうか。
○日向野:はい、そうです。ありがとうございます。
それでは、次に移ります。このひとまとまりの、それぞれの学期について考え
第 10 章 外部評価委員会議事録 111
ます。今度は学年と科目の構成で、今映像でご覧いただいたのは BL0 のもので
1 年生の春です。この後 BL1 というのが 1 年生の後期になります。2 年の春に
は BL2、それから秋に BL3。3 年の春に BL4 と上がっていきます。
それぞれ、これは 2008 年度までのバージョンですが、BL0 が「introduction」
で BL1 で「awareness」
。BL2 だと「public mind」。この public mind というの
は、チームとして反社会的なことをしないという CSR 的な意味もありますが、
それ以外にリーダーがチームに(★ 00:26:26 /一語不明、頼ら)ないという
public mind です。(★数語不明)。BL3 の「leadership to change」は、変化に
対応するという面と、自ら変化をつくり出すという面、両方を意味します。4 の
「strategy」は、グループで事業計画をつくる、戦略というところを意味してま
す。
このうち特に BL0 と BL1、BL3、4 もですか、特に 0、1、4 は企業の方にお
いでいただいて、具体的な問題を与えていただいて、その問題を解決するという
プロジェクト方式をとってます。来年度は少し変わりますが、先ほどのをお話し
します。
今話したことと全く同じ図を色分けしまして、赤いものがツールです。白がプ
ロジェクトないしグループエクササイズ。グレーの部分が振り返りの期間です。
そうしますと、この赤、白、グレーの分布というのは、この 0、1 のような順番、
ウエイトのときもありますし、BL4 になってきますと、ほかの専門科目で知識
を学んでますから、ツールを教えるという期間が短いんですね。長い期間プロ
ジェクトを教えます。
それから、この赤、白、グレーの順番が、こういうふうになることもありま
す。つまりツールを必要に応じて教えながら、プロジェクトが進んでいくといっ
た組み合わせになることもあります。
実行の体制ですが、これは学生の方の人数報告でして、先ほどと同じように枠
に区切ってなくて五つ縦に並べて書いてます。
1 年生の BL0 は、経営学部では経営学科 200 名と国際経営学科 150 名、概数
ですけども居まして、BL0 は 350 人全員が受けます。これを 15 のクラスに分
けてます。同じ時間に展開しますので、15 人の人間が担当します。
1 年の後期の BL1 は、経営学科全員と、国際経営学科はエレクティブ、選択
科目になりますので 240 人ぐらい、これは 7 クラスが展開します。
2 年次になって BL2 は前期ですが、ここは少し、国際経営が入って 220 人ぐ
らいです。
2 年の後期の BL3 になりますと、ここは経営学科も国際経営学科のどちらに
とっても選択科目になりますので、100 名から 90 名の 3 クラス。
最後、BL4 まで残るのは 1 クラスです。30 人から 25 人くらいです。
112 教員のクラス担当。これは 2008 年度の実績ですけども、BL0 は 15 人です。
来年は 16 人になるんですが 15 人で、平均学生数が 23 人、入学直後の半年で
すね。ここに書いてあるのが教員名でして、このデイヴィスさん(Davis, Scott
Trevor 先生)から井上さん(井上詔三先生)までは BL0 だけをご担当です。た
だ、デイヴィスさん、ロイさん(Larke, Roy 先生)、尾崎さん(尾崎俊哉先生)
辺りは、過去に上の方の科目も教えられた経験があります。ここからこちらは主
に BLP を持っていただいてた先生で、グレーになってるところは実務家の先生
です。
よろしいでしょうか。お手元の資料のバージョンだと見づらくなってますが、
小さくなってしまってますけども、お手元にもあります。
それでは、体制の次は教員の(★数語不明)でして、複数クラス、BL0 も 1
も 2 も 3 も、4 以外は全部複数クラスですけども、共通シラバス、共通スライド
です。語学の授業ですと共通シラバスは常識だと松本先生に伺ったことはありま
すが、そうでないところでは、これは画期的なこととして、日々といいますか、
毎年毎年スライドをつくるのに四苦八苦してます。ことしは神戸大から元山さん
(元山年弘先生)が来てくれたので、その点で非常に進歩があります。
2 番目。BL2 と BL1 ~ 4 の教員は月に 2 回ミーティングをして、それこそ教
員の振り返りでスライド関係などをしてます。
3 番目は、先ほどのフィルムの中にも出てきましたけども、問題解決プロジェ
クトの最終の 1 週前にクラス内発表会をするんですが、その時に教員だけが入
れ替わって、隣のクラスの成果を見にいって採点・助言をする。それを一種のセ
カンドオピニオンというふうにいってます。これをすると自分のクラスと当然、
意識しなくても比較することになりますので、すごく刺激になります。
それから 4 番目。BLP 教員を外部の研修に派遣し始めました。これは文科省
の(教育)GP をいただいてから可能となったことでして、MBTI や心理アセス
メント、それから EQ リーダーシップ、それからアクションラーニングコーチ養
成講座(ALC)といったところに BLP の教員を派遣してます。それから在外研
究をしてる場合もあります。
5 番目に、ピッツバーグのデュケイン大学。これは超一流大学でもないんです
けども、学部レベルでリーダーシップ教育をしてる数少ない大学でして、そこと
の間で非常に良好な関係が出来ております。2005 年にわたしが最初に行ってす
ごく刺激を受けたので、その後も教員が行き来してまして、授業も相互に見学し
てますし、教授についての討論もしています。来週わたしはもう 1 回行く予定
になってます。
それから、カリフォルニア州立大学のサンノゼ校には、リーダーシップの評価
センターというのが出来ましたので、そことも提携を始める予定です。
第 10 章 外部評価委員会議事録 113
最後に、BL2 の担当教員は 7 人居るんですが、来年度は BL2 でディベートを
習いますので、その道の権威であられる松本先生に、今月の末に指導法の教習を
していただくことになってます。
これは SA で、ちょっと重複になりますが、TA というのは院生で、立教大学
では学部学生がアシストをすると、TA ではなく SA という名前になってます。
ほかの学部の SA ですと、契約社員と言いますか、その学期だけ働くという SA
なんですが、BLP の SA の場合は常設組織があって、1 回 SA をやると、その組
織にずっと属してます。だいたい各授業の修了者の 1 年先輩が各クラスに 1、2
名ついて、授業補助以外にソーシャルサポートをするんですね。
ディスカッションが中心の授業なので、それになじまない学生というのは、特
に最初のころ居ます。そういうときに、いきなりプロのカウンセラーに行くんで
はなくて、SA が事情を聞いてくれるということをしてあげますということが、
非常に力になってます。
それから、その修了者の中で(★数語不明)でリーダーシップの高い者という
のが選抜されて SA になりますので、後輩から見るとロールモデルの役割も果た
してます。
SA は組織化されてまして、授業に参加した学期が終わってからも、BLP に対
して常に改善提案をやっています。年 2 回合宿も教員込みで実行しています。
ちょっと早口で言っちゃいましたが、この辺までよろしいですか、ご質問。
教員、事務スタッフの拡充。今年度の実績ですが、2008 年度の 4 月に助教 1
名、元山さんですが、授業 4 科目と教材スライド作成を担当してます。それか
ら同月、事務と IT 担当の助手、船山さんですが着任しました。10 月後期からは
GP の支援をいただきましたので、補助事務要員 1 名、野呂田さんに入ってもら
いました。それから同じ秋からは兼任講師をお二人新しくお願いしまして、今度
の春からも二人。ただ、そのうちの二人がご病気とご出産で退任されたりしてま
すので、兼任講師さんは入れ替わりがかなりあります。ただ、今度の春は選任教
員にもかなり増強がありまして、4 名着任するんですが、この 4 名全員が 1 科目
ないし 3 科目ご担当になります。
産学連携と広報の体制ですが、実務家の先生方には献身的にご協力をいただい
てます。ご存じだと思いますが、大学の非常勤講師・兼任講師の謝金というの
は、本当に申し訳ないぐらい、けたが一つ、二つ違うぐらい低いんですが、この
BLP の意義をお認めいただいて意識を共有してくださっているので、楽しんで
やってくださってます。
○不明:楽しいですね(笑)
、BL いい。
○日向野:2 番目は、問題解決プロジェクトにおける出題者、クライアントに、企業や官
庁の方になっていただくというかたちで連携しています。先ほどお見せした映像
114 では日本酪農乳業協会でした。
それから、ことしの後期でしたが、BL1 では、EC ナビという価格比較サイト
などをしてるネット企業さんになっていただきました。
BL3 では、ETIC(エティック)という NPO にクライアントになっていただ
きました。
BL4 では、セブン銀行を含め 4 社の企業さまにクライアントになっていただ
いて、学生から見るとすごくぜいたくなプロジェクトの手法になりました。
今後も企業さまのご協力をいただきたいんですが、幸い今度はこちらからお願
いをしてもらわなくても、何かご縁があってそういう場所が始まることがすごく
増えてきましたので、うれしく思ってます。
3 番目は、ウェブサイトを頻繁に更新しまして、先ほどお見せしたのを含めて
You Tube で授業風景を公開して、そこへのリンクは学校サイトからなっていま
す。メールマガジンも発刊してます。広報についてはブラップジャパンとコンサ
ルタント契約をしています。
目標の達成度の評価体制ですが、ここまでよろしいですか。ビジネス・リー
ダーシップ・ポートフォリオ。これは先ほどのフィルムでも少しご紹介しました
が、授業における提出物が非常に多いです。特に振り返りはかなり分量がありま
すし、それ以前も週報を出させてるんですね。そういう提出物を、紙ではなくて
デジタルで出させるシステムを作っています。メールで送ると、それが自動的に
格納されるようなポートフォリオを作っています。
その中身は、今申しましたように、次の提出物、総合評価、誰かから受けたも
のを本人が見られるようにしたいんですね。それから教員からのフィードバック
もあります。これを全部蓄積して、半年後、1 年後、卒業するまで、もしかする
と卒業してからも、どうですかね、インターネットから閲覧できるようにしたい
というふうに今作業中です。順調にいけば 4 月から稼動いたします。今年度の
分は前半は紙で出してるので、それをスキャンして画像で今は利用してますけ
ど、後半はメールで送らせたので、それをファイルの束にして利用しているとこ
ろです。
2 番目としては、大学の授業評価アンケートがあります。
それから 3 番目には、学期終了後に、各クラスから SA に受講生の一部を選ん
でもらいまして、われわれは誰が選ばれたか今でも知らないんですが、完全匿名
座談会、放談会をやりまして、テープ起こしで全部文字化して、それを後で教諭
が衝撃を受けながら読んで、改善に役立てられるということをしてます。これは
分量が膨大ですので、報告書のかたちで要約してあります。
こういった評価体制に続いて、自己評価。ここまでよろしいでしょうか。次に
いってよろしいですか。自己評価と改善の計画にまいりますが。
第 10 章 外部評価委員会議事録 115
○高橋:ちょっとすみません。目標達成度って、教員の評価というのはどういうふうにな
さって?
○日向野:教員に対する評価ですか。
○高橋:ええ。
○日向野:教員に対する評価は、今のところこれと、あとは個別のクラスでとっているア
ンケートです。個別のクラスでとっているアンケートを、来年度は共通のものに
したいと考えてます。
実は、大学の授業アンケートの扱いというのは、大学の中で割合微妙な問題、
教師問題といいますか、組合問題といいますか、がありまして、ほかの先生でも
閲覧できないということがあるんですね。それから学部の平均が何点かというこ
とが分からないんです。それですと、こういうチームティーチングには向かない
ので、大学の公式の(★一語不明)を使うことは使うんですけども、それ以外に
BLP の中でやろうということを計画してます。松本先生、違います?
○不明:図書館で一応、閲覧できます。
○山口:はい。ちょっと説明しますと、閲覧できるのは、細かい数字までは閲覧できなく
て、グラフ化されたものでどのような回答になってるかというのと、あと教員が
このアンケートを受けて、どういうふうに学生に対してコメントしたかというこ
とまでは一応閲覧できるんですけど、大学でこの授業評価アンケートを今実施し
てる中で言うと、教員の評価には使わないということを前提に行ってますので、
個別法を利用するということでないと教員の評価にちょっと今は使えない。
○高橋:今おっしゃったのは評価ですか。それとも教員の処遇に使わないということです
か。評価することと処遇するに使うことは違いますから。
○山口:立教大学の場合は、基本的には、これは個人が自分の授業を改善するために利用
するという目的に定められてます。こういうグループティーチングの場合に、そ
の部分のところをどこまで広げて解釈できるかのところは、きちんと定まってお
りませんので、今は学部内で、この BL であれば BL についての例えば平均であ
るとか、そういうものは渡せるようになってますので、そこまで今は利用できる
ということです。
○高橋:わたしは SFC なんですけど、SFC は、あまり教員、フィードバックもいろんな
こと書かれるんですけれども、それから満足度も全員見えるんですね。ですけれ
ども、わたしは非常勤だから全然関係ないんですけれども、常勤の方もだからと
いって、それで企業が変わるわけでもないし。だから、わたしは教育の質を上げ
ることと、それから評価、処遇の部分をちょっと切り離さないと、この問題は難
しいんじゃないかという気がします。
わたしは見えた方がいいと思いますけどね。というのは、それは特に教員に対
することよりも、これから授業を受けようとする人が、どの先生の授業はどうい
116 う評価を受けてるって、前の年の人のそれを読んでくるわけですから。
○山口:その部分は今学生が見れるようになってまして、今は図書館で、これまで僕が
やってたんですけども、今年度の調査結果からすべてウェブで学生が見られるよ
うになってます。
○日向野:個人教諭ごと?
○山口:科目ごとです。すべての科目についての結果と、その教員が。
○日向野:知らなかった。
○山口:教員は必ずコメントしないといけませんので、そのコメントについてのところも
全部見られるようになってます。
○日向野:じゃ BL2、1 でいろんな人が教えてたら、その人ごとの評価?
○山口:見られます。見られますけど、ちょっとごまかしがあると言うと語弊があるかも
しれないですけど、平均点の数字は出さないんですよ。棒グラフがあって、5 と
答えたら長さだけはグラフとして全部表示されてますので、だいたいどういう評
価を受けてたかということを、ほかの教員が見ること、そういう意味では可能で
す。
○日向野:教員名まで見られます?
○山口:全部見られます。
○日向野:ほんと? そうですか。それはすごいですね。分かりました。認識不足で、す
みません。じゃ、よろしいですか、次に進んで。
○高橋:非対称性をのぞかないでいいじゃないですか(笑)。
○日向野:情報のですね。ちょうどタイムリーな順番になってるんですが、BL3 の授業
評価アンケートが、前後の BL1、2 や 4 に比べて低いようにわたしには見えま
す。これはなぜかと言うと、学期が進むにつれて、自分が強化したスキルという
ものの個人差が大きくなってくるせいも、全部じゃないがあるんではないかと考
えました。
そこで対策として、今までは BL0、1、2、3 まで 3 クラス同質の授業を行っ
ていたんですが、来年度は BL3 を同じ三つのクラスでも全く別内容で、時間も
別、重複履修しても構わないという三つの科目に分割しまして、それぞれ「リー
ダーシップ理論」
「リーダーシップコミュニケーション」「クリティカルシンキン
グ」という三つの特定のスキルの科目に変えます。それを自由に選択するという
ように変えます。
と同時に、BL1、2 もどちらか一方をリーダーシップのための特定のスキルを
強化する重点的な学期にするということを考えておりまして、そのための手法と
して、今度の春からの BL2 はディベート、論理的に考えて話すという訓練に特
化しようという計画でおります。
それから、学生のリーダーシップそのものの向上というのは、これはまだ時系
第 10 章 外部評価委員会議事録 117
列で把握できていないんですが、それはポートフォリオが稼動して、異なる学
期、学年の振り返り、それからリーダーシップ持論などを比較できるようになる
と把握できるんじゃないかと考えています。
それから、大学のアンケートに加えて、リーダーシップに即した授業アンケー
トも新設する予定です。
それから、これも重複になりますが、アセスメントセンターとの提携計画が
あって、受講生のリーダーシップをどう計測するか、評価するかということも学
んでいきたいと考えています。
それから、3 番目。クライアント企業、問題出題者が同時に何週間後にかが多
いんですが、だいたい 6 ~ 7 週間後に審査をしてくださるんですが、その審査
基準がよく分からなかったり、あるいは出題の時に言ってたことと実際の審査が
違うじゃないかということがよくあるんですね。これは特に 1 年生にとっては
不満が大きいんです。
と言いますのは、大人の世界ではそれはよくある理不尽で済みますけども
(笑)
、まだ 1 年生はクライアント企業の中に教師を求めるんですね。正しい教
師を求めるんです。つまり教育的配慮で最初の出題をして、そのままコンシステ
ントに審査してくれるということを期待しますんで、その方向で打ち合わせを 1
年生についてはしようと考えてます。これはモチベーションの問題もありますの
で、いきなり最初に理不尽なクライアントぶりを発揮されなくていいという打ち
合わせをするつもりです。
半ば冗談なんですけど、この辺はクライアントが居て、学生がコンサルティン
グのまね事をするわけですね。そのときに「出題者が理不尽だ」と不平を言う学
生には、今まではクライアントはしばしば「自分が欲しいものが分かっていな
い」と言ってたんですけども、19 歳の子どもにしたらつらいので、こういうふ
うにしようと考えます。
4 番目、BLP で読み書きも教えてほしいという要望がアンケートの中にござ
います。つまり BLP と専門科目という二本柱からすると、読み書きを教えるの
は BLP の方だけだという声がありますが、一応声があるので、ことしの BL1
の中でウォーレン・ベニスの『リーダーになる』という本を 1 冊読ませて、ディ
スカッションするということをやってみました。
これはこれなりに収穫があったと思います。それはリーダーシップの振り返り
についても理論というのは有効ですから、リーダーシップの文献を授業で読んで
ディスカッションすることは意義があります。ですが、リーダーシップに関係な
い本の読み書きというのを BL1 で教えるというのは、例えば BL での教員構成
とか、先ほどの BL0、1、2、3、4 という科目の構成を考えるとマッチしてると
は考えにくいので、こういうリーダーシップに関する限りではないと難しいかな
118 と今のところ考えております。
とりあえず以上です。あとは自由にご質問をいただけたら。きょうは、民間の
先生方も 4 人、無給でお出でいただいてます。(★数語不明)。
○高橋:よろしいですか。
○日向野:はい、お願いします。
○高橋:わたしは、日向野先生からこれをスタートされる準備段階で少しお話を伺って、
その時に思ってたイメージときょうお話を伺って、ものすごく非常に総合的に考
えられて、よいシーケンスでされてるなと思って非常に感動いたしました。わた
しもこういうプログラムが昔あったら、もうちょっとわたしの実務家人生も良
かったのにと思うんですけども(笑)。大変苦労してリーダーシップを学びまし
たけれども、ほんとに良いプログラムだなと。
しかも、わたしはリーダーシップのプログラムを早くからやることは良いこ
とだと実は思ってまして、それでわたしはここで言う権威のないリーダーは、
ちょっと何となく日本語がおかしいと思うんですけれども、いわゆるピアリー
ダーシップですよね。それからいくのが一番、わたしはわたし自身の台本に照ら
しても良いと思うし、ピアレベルでリーダーシップが発揮できる人というのは、
権力が付与されたり、エレクテッドって選ばれても、非常に良い結果を残す確率
が高いと思うんですね。ですから、ほんとによく考えられてて、大変わたしは感
激いたしました。
それでリーディングマテリアルで、ぜひバダラッコ(ジョセフ・L・バダラッ
コ)の『クワイエットリーダーシップ(静かなリーダーシップ)』をやっていた
だくと、この皆さんのつくられてる教科の内容にぴったりじゃないかと。
つまりリーダーシップというのは、日本はアメリカの教育の影響が強過ぎるん
だと思うんですね。ですから、どうしても(★一語不明)がハイパワーなリー
ダーシップというのがリーダーだと、非常にカウボーイ的だとわたしはずっと前
から思ってまして、それに対して、もっとバダラッコの方の最初に出てくるアル
バート・シュバイツアーの話とか、きょうも来てますけどユヌスさん(ムハマ
ド・ユヌス氏)の話なんか聞くと、もうほんとに、このおじさんがあんなにすご
いことやったのかという感じですよね。
でも、そういう人がミッションとか理念を通して、すごい人を惹き付ける。そ
れはどこから来るのかというところが、若い時にそういう人に出会い、そういう
教育を受けたら、やっぱり社会に出てもそういう力を備えて困難を乗り切ってい
くんじゃないかと思ったもんですから、わたしはコメントというか、非常にプレ
イズとして申し上げたいと思いました。
○二子石:今の先生のお話に続くんですけど、わたしもよく会社とか組織に入りますと、
どんな小さな組織でもトップという権力があるんですよね。そうすると、その発
第 10 章 外部評価委員会議事録 119
言者でチームが動いていくということになると、いずれにしてもその人の力量で
決まってしまうということがあるんです。
そうじゃなくて、大量生産、大量消費の時代はそういったことかもしれないで
すけど、これだけいろんなニーズが社会に多様化してきて、またとらえにくく
なってくると、ニッチといえどもビジネスになり得るし、みんなの意見を出し
合って、そこから一つの仮説を立てチャレンジしてくというプロセスが非常に大
事だと思ってまして、そのときには課長さんとか部長さんからアイデアが出るん
じゃないんですよね。そうなると、上に立つ人ほど下の意見といいますか、チー
ムメンバーの意見をよく聞いて、そこから可能性を探るということをしないとい
けないと思ってるんです。
そういう意味では、リーダーの資質として引っ張っていくという力強さと、み
んなが迷ってるときに方向を示すということは、いろんな場面があると思うんで
すけど、一番大事なのは、みんなをやる気にさせて、みんなの意見を本当によく
100 パーセント足し引いて、それをよく聞くというスタンスが必要かなと。
ここで優秀なリーダーを評価して、それで採用してくというのがありましたけ
ど、優秀なリーダーシップの発揮者というのは何かというのを、非常にそういう
意味では幾つかの物差しをもたないと駄目だと。ただただ大きな声で「おれにつ
いて来い」という人が、必ずしも優秀ではないと思ってます。
逆に、メンバーからすると、いいリーダーをつくり上げるというメンバーの役
割を持ってるんですよね。それは、お互いにその人の良さとか価値を認め合うと
いうことが必要なので。どうも日本の文化というのは、上になると足を引っ張る
ということがよく言われますけれども、そうじゃなくて優秀なリーダーはみんな
でつくって、それをリスペクトして、その人を中心につくっていくというメン
バーの役割というのもほしいですね。
この授業というのは、そういう意味じゃリーダーシップの発揮の仕方ととも
に、いいリーダーをつくる、形成していくためのメンバーの訓練、そういう場合
もしたらいいんじゃないかなと。今のところそんな印象を受けました。
○日向野:逆に、実務家の教員からの質問はいかがですか。(★一語不明)どうですか。
○津吹:私は今期 BL1 を担当させていただきました津吹と申します。よろしくお願いし
ます。私は実務家ということで、普段は民間企業に勤務しておりまして、こちら
の方に(★数語不明)というかたちになっておりまして、まず一番思うことは、
私自身が非常に大きな学びの機会を与えていただいてるというのが本当に率直な
感想です。
先ほどおっしゃられたように、教えることが学ぶことではないですけども、私
が社会に出て 12 年ぐらいたちまして、企業の中ではまだまだこれからもキャリ
アを積んでいくと中で、まさにリーダーシップの重要性というものを痛いほど社
120 会に出て痛感した人間でして、本当に早い段階でこれを学んでおけばとか、これ
を今から出る子に伝えられたらという思いがあります。
それをこのクラス 30 人、40 人の彼らの中に、どうやって伝えて導いていくか
というのは試行錯誤しながらの毎日でして、本当にこれで良かったのかなという
毎日反省なんですね。その中で、私自身が気付くこと、机の上では分からなかっ
たことがたくさんありまして、まずそういう機会があるということは、私にとっ
ても非常にありがたいと思ってます。
また、私の場合は、特に社会に出た時代というのが変革の時代といいますか、
終身雇用が崩れてどんどん価値観が変わりつつあるような中で、バブル景気の問
題とかあった時代でして、企業の中でも外でもどうやって生きてくのかというの
を考えた時期がありまして、そういう中でリーダーシップとかビジネスとはどう
あるかということを、いわゆる企業の中に居る人間として、今のこの学生たちに
少しでも、そういう実務家の経験ということを伝えられたらと思いながらやって
おります。
○ 星 :BL1 を去年の秋に担当させていただきました星です。津吹さんと一緒で、わた
し自身が非常に学ぶところが多かったんですけれども、特に学生の視点からする
と、なかなか受験勉強、高校までは基本的に問題集を解いて、一人で先生から教
わったことをレビューしてやるという訓練が中心ですが、それがその後、大学で
も同じような展開になると、社会に出てから非常に大きなギャップがあるはず
と。それが、そうじゃなくて、大学の低学年のころから、実際に仲間とコミュニ
ケーションをとりながら何か問題を解決していくという訓練を積むというのは、
本当にうらやましいプログラムだと思ってます。
あと、いわゆる学生自身のレスポンスとして、ややロールプレイでリーダー
シップの訓練をするというのは、ちょっと物足りないというような声も一部には
ありました。日向野先生もその点について、より専門知識を自分たちで学びなが
ら、グループの最後に貢献していくという方向にかじを切られていまして、それ
は社会に出ると、当然自分で難問に直面したときに、あらゆる本をひっくり返し
たり、人に話を聞いたりしてやっていくことになりますので、そういう訓練にも
なってるんじゃないかと思います。
さらに、もう一歩進めるとすると、基本的に経営学部の科目というのは、ファ
イナンスにしてもマーケティングにしても、じっくり本を読むというのは一種、
前段でして、その上でいろんな角度、いろんな視点を持った人たちが集まってソ
リューションを出していくというのが、実務を念頭に置いた経営学の教育の本質
になれるんじゃないかと思ってまして、そういう意味でリーダーシップのクラス
だけじゃなくて、ほかのファイナンス、マーケティング、それからオペレーショ
ンマネジメントとか、そういうところでもグループワークで与えられた宿題を解
第 10 章 外部評価委員会議事録 121
いていくという訓練を入れていくと、かなり BLP 専攻の人だけじゃなくてもレ
ベルアップにつながるんじゃないかと感じました。以上です。
○高橋:グループワークって、ものすごい時間がかかるんですよね。
○ 星 :そうなんですよ。
○高橋:たぶんクラスの方が、教師の側としてはやっぱり楽ですよね。ですから、ロード
がかかるからには、それに応じたリターンが出る、リーダーシップというのは、
たぶんそういう科目だと思うんです。
ただ、ファイナンスとかマーケティングをわたし的に言うと、クライアントか
ら出題をいただくのもいいんですけど、もっといいのは後ろの後輪であるファイ
ナンスを学び、マーケティングを学んだ人たちが、これだと BL4 でそういうプ
ロジェクトになるのかもしれませんけど、もっと早い段階で専門知識を使って、
例えば BL3 のプロジェクトとかグループワークに使う。そうすると、本当の意
味でドッキングするんじゃないかという感じがします。
○ 星 :おっしゃるとおりですね。ファイナンスとかマーケティングのクラスでグループ
ワークのやり方をティーチングするというのは、これは明らかにトゥマッチで
もったいないと思いますんで、逆に宿題を出して、それをグループで検討して提
出しろみたいな、そのグループワーク系のとこだけやるというのはあるかもしれ
ないと思います。
現にアメリカのビジネススクールはそれを結構導入してまして、学生は、半分
の人たちは、特にアメリカ人の場合は非常に個人主義的ですので、最初は嫌がる
わけですね、そんな自分で考えた方がいいって。ただ、やっていくうちに、あ、
結構これは人から学んでるとか、そういう何か成長があるみたいで、それは実際
に企業に入ってからも、グループでやるときに役に立つという気がします。
○高橋:質問ですけど、立教大学のこの BLP に限らず、初年度からグループワークをや
らせるというのは割と基本形なんですか。
○日向野:そうではないと思います。もしかすると経営学部だけかも。
○高橋:わたしは、これは本当に慶應もぜひそうやってほしいと思うんです。実は、わた
しは大学院しか教えてないんですけど、大学院を教えてびっくりしたのは、「グ
ループワークが初めてです」という学生が居るんですよ。それで本当に基本動
作ができてないんですよ。そういうことで、先ほどは伺いませんでしたけど、
ちょっと答えが出たんで聞かなかったんですけど、メンタルな問題に発展したり
ということがあるんですね。
ですから、わたしは 1 年生の時からこういう訓練を受けて、しかも SA の人が
カウンセラーに行っちゃう前にちゃんとカバーしてくれるというのは、非常に
良い仕掛けだと思います。会社の中に入ったらグループワークが仕事ですから
(笑)
。ですから、最初からそれは習っといた方がいいと思います。
122 ○ 星 :それでどうしても、いや、自分はグループワークに宿すことができないとなれ
ば、それはまた大学の時代でしたら方向転換するというのも可能ですんでね。社
会に出てからそれを発見するというのは結構、それでも若いうちであれば平気で
しょうけども、それなりに悲劇ですね。
○二子石:これをやっておけば、会社に入って、あ、この課長は駄目だ、この部長は駄目
だと、一発で見抜けちゃう(笑)
。
○ 星 :そうですね。目が肥えるという感じですね。
○二子石:どこかでこういうのは理想のリーダーシップの仕方ですよというのは、どの段
階で? これは、あくまでも自分でそういうのは感じ取りなさいと。
○日向野:持論とリーダーシップの対価というのを擦り合わせるということはします。先
ほどのベニスの『リーダーになる』といった本を示し(★数語不明)。バダラッ
コの本はぜひ読ませたいと思ってるんです。
○高橋:あとは、僕が最近、学生にリーディングの際に与えてるのは、『ルーム・トゥ・
リード(Room to Read)
』。ジョン……、何だっけ? 例のマイクロソフトを辞
めて NGO をつくった人(ジョン・ウッド氏)ですけども、素晴らしいムービン
グストーリーですよ。学生すごいのが多いです。今の学生は、こういうのがお好
みなんだというのがよく分かりましたね(笑)。
○ 星 :ルーム・トゥ……何?
○高橋:
『ルーム・トゥ・リード』って、図書館をたくさん造った人が居るんですよ。
○ 星 :あ、居ますね。
○高橋:ジョン、何て言いましたっけ。ベストセラーになりました。一つのことをどう
やって組織化して、人を……、だってお金を持ってないんですよ、この人。個人
的には多少お金はあったでしょうけど、何十億、何百億というお金を集められる
ことをどうやって、しかも昔の慈善団体みたいに、ください、くださいというん
じゃなくて、組織化して、まさにフランチャイズ方式で、ベンチャーの手法を
使ってそういうことをやった人なんです。今もやってますけれども、日本にも支
部が出来て大したものです。
○ 星 :事業家ですね。
○高橋:事業家です、まさに。それをソーシャル・エンタープライズとして、そういうか
たちで結実させた。
もう一つ少しテクニカルな話になるかもしれないんですけど、このカリキュラ
ムの中で、たぶんどこかにきっと入ってらっしゃるんでしょうけれども、わたし
の個人的な経験は、トレーニングは全部アメリカで受けたんで、トレーニングと
してはアメリカ的かもしれませんけども、自分ではすごく役に立ったな、やっぱ
りアサーティブネストレーニングをすること。
というのは、リーダーシップというのは、アクティブリスニングとか、そうい
第 10 章 外部評価委員会議事録 123
うスキルというのは必ず必要ですけど、どこかでもって勝負に出なきゃいけない
んですね。だから、いつが勝負かというタイミングが分かるのもリーダーシップ
だし、そのときに相手をアグレッションでやっつけるんではなくて、アサートす
る力、それってやっぱりトレーニングがあるのとないのじゃ全然違います。
わたしの場合は、米国で日本人がたった一人居る、そういう 3,000 人ぐらい働
いてるオフィスの中に、たった一人日本人。その中で生き抜いていくためには、
アサーティブネストレーニングというのが、とても役に立ちました。
というのは、もう先ほどのお話じゃないけど、個人主義でがんがん攻撃してく
る人たちを相手に、どうやってそれを裁いて、自分が傷つかないで生き抜くか
と。ですから、わたしが先ほど申し上げたように、わたしが若い時にこのトレー
ニングを受けてたら、もうちょっと良かった。
でも、すごい苦しかったです、それは。英語もそんなにできないうちに、そう
いう修羅場をずっとくぐってきましてね。でも、その会社はトレーニングに送っ
てくれて、全然変わりました。ああ、そうか、こうやってしのげばいいんだと。
それはトレーニングに入りますから、ロールプレイというか実際にやらせるん
ですけど、ゼロックス機の前に受講者がみんな並ぶんです。一番後ろについた人
は先に行って、自分の持ってる紙を先に(コピーを)とってくれと頼めと。それ
を実際にやらせるんですよ。最初、何にも教えないでそれをやらせるんです。そ
の時は、いろいろトラブル、
「嫌だよ」とか言われて、ぱーんとけられたら何て
答えるかと。そういうことから始まって、実際にはどういうやり方をすると、そ
れがうまくいくかというのを教えてくれるんですけど、実際にそうなんですよ。
これは、そういう種類のトレーニング。
それから、交渉術でもいいんですけど、交渉術というと、あまりピアレベルの
リーダーシップにはちょっとなじまないところもありますんで、ですから多少技
術的な側面ではありますけれども、そういうことを教えると、ちょっと内気な子
というのが、がらっと変わるとわたしは思います。
日本も、今の女性はそういうトレーニングは必要ではないかもしれませんけ
ど、昔はずいぶん女性のためのアサーティブネストレーニングというのがありま
した。今はもうやってないです。今は、(男性と)かなり同じぐらいのレベルに
達したんだろうと思います。
○ 星 :これは、かなり明確な方法論があるんですか、アサーティブネストレーニング
は。
○高橋:そうですね。アメリカでは普通に行われているトレーニングコースです、割と
ベーシックな。ですから新入社員とか、わたしも新入社員で入ったんですけど、
結構やらされて。
○ 星 :BL で教えてる感じだと、学生たちはもうちょっと、そこまでアグレッシブじゃ
124 なくて、割とお互いを立てながら、実にうまく円滑にやるという何かを持ってる
なって感じなんですね。たぶん今言われた非常にしかるべきタイミングでちゃん
と自己主張して、みんなを納得させるというトレーニングに直結してるかと言う
と、そこはちょっと違うような気がしますが、少なくとも日本人のマインドセッ
トの中でうまく、あんまりぐしゃぐしゃにならないでやっていくというトレーニ
ングには非常に向いてると。
だから、もしかしたら違う側面のトレーニングというのは、また違う観点から
入れていく必要があるのかもしれないというのは感じています。
○高橋:わたしも自分の授業の中で実はグループワークを対応して、まあディスカッショ
ンクラスなんですね。ところが、わたしはオブザベーションなんですけど団塊世
代ですから、見てて、今の子たちがすごい、何ではっきり言わないのかと。全
部、奥歯に物が挟まってる。これは今の時代の価値観の中で、それがコンフォー
タブルなゾーンなんだと思うんですよ。立ち入らない。ですけども、社会に出た
らそんなことってあり得ないですよね。実際には期限が決められてるし、どんど
んディシジョンしていかなきゃいけない。
ですから、実はグループワークをやると、ほとんどのプロジェクトが最後の瞬
間に、ものすごいニアクラッシュ状態なんです。こちらでどういう経験か知りま
せんけど、最後で重要なことを、英語の表現で「beat around the bush」という
んですけども、大事なことを話さないで周りのことばかり話す。
それを直すのは、やっぱりアサーティブネストレーニングです。今ここでこの
ことを決めなければ、先に進まない。ところが、それをどういう切り口で切り開
いていいかというテクニックを持ってる。われわれは会社に入って実践でそれを
習ったんだけど、実践で習う前にもう有効な技術があるから、それを教えた方が
いいとわたしは思います。
○二子石:全く同感です。
○高橋:ねえ。本当にもう擦り合わせばかりですもんね。
○二子石:そうですね。
○日向野:かつてあったという女性のためのアサーティブトレーニングというのは、今は
使えませんかね、男子学生に(笑)
。
○高橋:昔は結構そういうコースが日本でもあったんです、10 年ぐらい前に。もう今は
ないんです。やってないんですよ。つまりもう必要ないぐらい十分に、女性も
ちゃんと自己主張ができるようになったということだと思います。
○二子石:どうですか、やってて。先ほど僕は、ああいうことって誰でもリーダーシップ
は発揮し得るんだというお話をしましたけど。それでも、やはりその中のリー
ダーというのは出てくるんですか。
○津吹:グループの中でですか。
第 10 章 外部評価委員会議事録 125
○二子石:はい。
○津吹:そうですね。やはりアリの法則ではないんですけども、何割かがその場を仕切っ
て。クラスの中で、フリーライダーという呼び名をしてるんですけど、どうして
もただ居るだけの存在というのがどうしても発生してしまったりで、だから平均
的に全体のモチベーションを上げていってというのは、試行錯誤しながらやって
いるというのが正直なところです。
○二子石:その人が、なぜそういうリーダーになっていくんだろうという過程というの
は、やっぱり節目節目でその人がいい意見を言うし、説得力もあるというような
ことの積み重ねでそうなるんでしょうか。
○津吹:恐らくわたしの感覚では、いろんなタイプが居ると思うんです。論理的にグルー
プをまとめていく学生が居たり、時には声が大きいじゃないですけども、割と
わっと感情を出して引っ張っていくタイプも居たり、あるいは地味だけれども、
みんなを調整しながら縁の下的にやっていく子が居たり、それぞれのリーダー
シップだとは思うんです。
わたしが思っているのは、どんなかたちでもいいからというか、いろんなタイ
プがあるのだから、その個性に応じたリーダーシップというのを身に付けて伸ば
して、発揮してくれればいいと、わたし個人では思ってます。
だから、逆に見え隠れ、隠れてしまいがちな、だけどもリーダーシップを発揮
しようとしている学生はきちっと見てあげなきゃ、評価してあげなきゃいけない
と。そういったところは、ちょっと考えながらやっているところです。
○松岡:一つよろしいですか。学生の体験からして、今お話に出てたようなことという
のはすごく実感する部分がありまして、僕はウエルカムキャンプとか BL0 から
1 にかけて、どちらかというと自分ではすごくリーダーシップを発揮できてると
思ってたんですね。実際にチーム自体もそれなりにうまくいき、充実感もみん
な得たと僕は勝手に思ってた部分がありまして、BLP のいいところというのは、
恐らく授業時間外のコミュニケーションというのがものすごく促進されると思う
んです。
なので、授業が終わってから、本当に BL1 までですから 1 年たってから、
「あ
の時さ」っていう話を結構するんですね。僕は、本当に 1 年たってぐらいです
か、
「実はね、おまえ結局あの時、自分の意見だったじゃん」みたいな話もして
もらいました。
僕に限らずなんですけど、本当にそのメンバーが、先ほどおっしゃられていた
トレーニングの代わりではないんですけど、自分たちなりに「リーダーシップっ
てこうなんじゃないの」とか、
「おまえさ、あの時もっとこうした方が良かった
よ」ということを、互いに認識し合えるようになってるというのが僕は率直な実
感で、BL2 以降では、割とそのトレーニングの代わりに自分たちで話した結果、
126 それが少しは生かされてるというのは実感してます。おっしゃられてるとおり、
リーダーはみんなでつくったり、互いを通して自分を知るじゃないですけども、
そういったことはすごく有用にできてると感じてます。
○二子石:授業で集まってさっきみたいに討議してる時間が、それ以外の場所でもメン
バーで集まっていろいろやるんですか、飲んだり食ったりしながら(笑)。
○松岡:ものすごくやります。
○二子石:それはね、そこが大事なんでしょうね。
○松岡:はい。みんなで予定を擦り合わせて、本当に授業時間というのは、どちらかとい
うと決められたのでそこにみんな行くだけであって、むしろ実働時間というのは
毎日夜までやる。班によって多少差はありますけども、そこで本当にコミュニ
ケーションをとれることが一番の。リーダーシップというよりは、コミュニケー
ションをとるきっかけとして、ものすごくありがたく思ってます。
○二子石:そうでしょう。と思います。あの中だけで、僕は物事が決まっていくとは思え
ないんですよね。説得力というのは、人柄も含めて全体が出てくるものだから、
それってどこかで認識し合ってるんじゃないかと思ったんです。そういうのが、
あの場面で意見として出てきたときに、あ、こいつはああいうやつだから、こい
つの意見に従っていこうということになっていくんだろうと思ってるんです。
そういう時間がたくさんとれてて、コミュニケーションがしっかりとれてる
チームは、たぶん授業の時に短い時間でそれぞれしたときに物事が決まっていく
とか、そういうのが増えてくと違いが出てくるのかもしれないなと思うんです
ね。
○高橋:さっきのフィードバックセッションで、わたしは学生が相互フィードバックする
というのが大変優れた方法だなと思って、自分のところでは相互フィードバック
はやってないんですね、わたしがフィードバックするのはやってますけれども。
だけど、実際には相互フィードバックの方が良いなと、わたしは一つ思うんで
す。
それから、あと学生が紙に落とすところで、自分のこと以外の他人の行動まで
書くというのはわたしもやってて、それはすごく大事だなと思います。優れた
リーダーって、優れた観察者なんですよね。すごくよく人のことを見てます。で
すから、人のことをよく見てる人が、それに行動力がつくと、リーダーにつな
がっていくと思うんで、その最初の観察力の部分というのをよく見てて、わたし
は、だからフィードバックするときには、「ああ、君、よく見てたね」と言うと
喜びますよ。
そういうところもあるんで、自分が他人の行動をよく見るということと、わた
しがきょう本当にありがたいなと思うのは、この相互フィードバックというの
は、ぜひ春学期でやってみたいなと思います(笑)。
第 10 章 外部評価委員会議事録 127
○日向野:文章だけで出すと、書き言葉にならなきゃいけませんから、ここから先の感想
は(★一語不明)いって真意を目を見ながら伝えると。
○高橋:1 グループ 5 人がマキシマムなんでしょうか。何人でらっしゃいますか。
○日向野:BL1 では 6 ですね。ためしに 8 人にしたことがあるんですが、駄目ですね、8
人は。本当は 8 人でも大丈夫なようにしたいんですけども、分けられなかった
んです。
○高橋:わたしは、6 人の BL じゃ、多くなるとフリーライダーが多くなる。ところが、
5 人ぐらいだと、1 人でも欠けるとできないんです。だから責任感がものすごく
出てくる。
○日向野:そうか、BL1 は 3 人でやってる。3 人は、でも駄目です。ちょっと悲しいグ
ループもところどころ。
○高橋:そうですよね。全くクラッシュしちゃうところも出てきますよね。
○日向野:発言してない方、何かご質問でも感想でも。
○太田:わたしが言っていいですか。わたしはこの 4 月から、太田と申しますが、まだ
全然経験はないんですが、今ちょっと聞いておりましてアサーションですか。
○高橋:アサーティブです。
○太田:ええ。だから人はやっぱり理だけじゃ動かない。理屈は分かってても、情の部分
がないと(★一語不明)。この情の部分を扱うんだろうと、(★一語不明、一つ)
の質問と、それからもう一つは、リーダーシップって普通は他人に影響を与える
のがリーダーシップなんでしょうけど、その前にまず自分で自分をコントロール
するというか、セルフリーダーシップというかセルフモチベーション、ここのと
ころは awareness のとこで扱ってる。
さっき日向野先生がチェンジマネジメントのところの、まずすごいストレスが
来たときに、そのチェンジに対して自分がどう乗り切るかというそのチェンジマ
ネジメントと、もう一つは自分でチェンジエージェントとして変革をつくり出し
ていこうという、その二つの意味がある。
だから、たぶん自分で自分をコントロールできるようなものは、大きな刺激が
来たときに、それをどううまくサーフしていくかという、そこがセルフリーダー
シップみたいなところになるのかなと思ったんですけども、そういうものは別に
あるんだろうかと。リーダーシップもよく『7 つの習慣』なんか、最初はまず自
分をコントロールしないと人にもいい影響を与えられません、だからまず自立が
先だと言ってるみたいですけども。
○日向野:自立が先に飛び出していくんですということは教えないです。
○太田:そうですか。
○日向野:チームの中で、それは自然に詰まっていくだろうという前提にしてますから。
○太田:分かりました。
128 ○日向野:最初のご質問はいかがでしょうか。
○高橋:人間は感情によって動いてますから、理論というのは基本的に説明のためにあり
ます。だから、わたしはそれがなかなか、大学院生なんで結構専門知識を持って
るから、専門知識でいろいろ言おうとするんだけど、全然人は動かないわけで
す。
かつ、グループワークをやったことのない人は、何で動かないのかって、もの
すごい嫌な次元。それを教えてあげると納得という感じになるんですけど、その
ために 13 週間使うのはもったいないと思います。そういう基本動作みたいなこ
とは、大学の 4 年間の中で学ぶべきだと思います。でも、残念ながら、大学す
べてが共同作業をどうやってこなすのかということを訓練して出てくれてないの
で、どうしてもそういうのは。
あと、わたしが受け持ったたまたまクラスの場合は、3 分の 1 は外国人なんで
すね。わざとそうしてます。マルチナショナルの中でどうやって仕事するかとい
うプレッシャーをかけてますから、特に難しいといえば難しい。日本語があまり
うまくできない人の中に居ますけど、でも、そういう中でどうやってコミュニ
ケーションして分かってもらうか、そして分かるかという、その動きですよね。
そういうことをやってます。
○太田:会議で決まっても行動に移らないというのは、やっぱり納得性がないわけです
ね。納得性がないというか、当事者意識がなくて他人事みたいに結局納得してな
い。だから、もう一つは理屈では納得したけども、あいつが言うんだから行動し
ないというのがあるんですね。そういうところは、最近 EQ なんかは、ああいう
ツールとかを使ったり。
○二子石:同じことを言ってても、あの人が言ってやるという違いみたいなのはありま
す。
○太田:企業なんかで、よくあります。
○二子石:ありますよね。
○日向野:それは大学でもあります。
○高橋:
(笑)それは人の世ですから。
○太田:さっき何かおっしゃってた、みんなに当事者意識を持たせるようなファシリタ
ティブなリーダーシップというんですか、ポジションパワーを使わないでみんな
にやる気を出させていくような。だからポジションを使ってやれば、緊急のとき
は仕方ないかもしれませんけども、みんなそれぞれが、そのためにはその前に十
分話し合う必要はあるかもしれないし、自分の意見を聞いてもらったり、今のア
サーシングじゃないけども、それがないとなかなか納得性が高まらない。
○二子石:そうですよね。意外と社会全体が、方向性が決まってるような時代だと思うん
です、このパワーリーダーシップの発表にしたって。今は違うんだと思うんです
第 10 章 外部評価委員会議事録 129
よね。それぞれが、それぞれのポジション、それぞれの立場、企業で、新しい道
をつくっていかなきゃいけないというときに、上に解がないんですよ、そういう
ことの。経営にしても、上の方にこうあるべきだという答えを持ってないんです
よ。それを組織全体でつくり出していくという過程だと思うんですね、(★数語
不明)
。
○高橋:あと、わたしが思った印象は、企業の中でコーポレート・ユニバーシティを担当
してましたので、まさにこのアクションラーニングの手法を使って、最後は役員
の前で発表する。そのテーリングが幾つか会社全体の問題解決になるということ
で、まさにそれを今この授業でやってるということで、非常に素晴らしい。
○二子石:すごいですよ、これは。ですから、これをやって、その後入ってもまた同じ繰
り返しの授業を会社の中で受けていくようなものなんですけど、ずっとこの問題
というのは終わりませんね、どこへ行っても。と思うんですよね。そのレベルレ
ベルで、やはりこの基礎の部分を振り返られるような、そういう授業だともっと
いいと思います。
○日向野:ちょうど第 1 期生が、3 年生が就活が始まったところで、労働市場の評価がど
うかというところが非常に気になるところです。
○高橋:超氷河期ですからね。この BLP のカリキュラムの中には組織論は?
○日向野:この中にはないですけど、別の専門科目のところにあります。
○高橋:何年次で、それはだいたい履修するんですか。
○日向野:2 年以上でしょ?
○石川:2 年です。2 年から。
○高橋:もちろんピアレベルのリーダーシップということなんで、別に組織論の背景がな
くてもいけることはいけるんですけれども、わたしは、BLP の 0、1 を通したそ
の上で組織論と組み合わせたことをやられると、もうちょっと現実的かなと思い
ます。
というのは、今、二子石さんの言ってる先が見えない時代になったときの状況
として、これは別に企業に限ったことじゃなくても、わたしはちょっと午前中
JICA で教えてたんですけど、政府でも同じですけども、今時代がどんどん新し
くなって、それからメディアもどんどん変わってるんで、アプリケーションはど
んどん新しく塗り変わってるんですね。
ところが、OS が変わってないんですよ。OS が、昔のメーンフレームと同じ
です。中央集権なんですよ。だって日本のガバメントを見てください。中央省庁
で、本当は今も住民サービスとか地方の時代とか言ってサービスの質が問われて
て、だからいろんな知事さんなんか一生懸命、住民サービスで新しいアプリケー
ションをやってるけど、その下の実行を担当してる OS が古い。だから、うまく
回らない。効率が悪い。会社も同じですよ。わたしも社外取締役を何社かでやっ
130 てるんですけども、下を整理しないで上のところばかり一生懸命いじってるんで
す。これでは駄目。もう新しい時代についていかない。
なぜかと言うと、全部中央が権力、お金を握ってて、すごい速いスピードでペ
リフェラル、実際には顧客と対応すると、チェンジしてるのに、もう対応が遅く
てしょうがない。パスが何度も何段も、もう典型的な古い OS。OS を捨てなきゃ
いけないという、わたしはそういう時代だと思うんですね。
ですから、そういうリーダーシップを一生懸命トレーニングして社会に出たと
しても、組織というものは実際にリーダーシップが゙発揮できるプラットフォー
ムになりますから、その組織のどういう構成がどうなんだという、少なくとも理
論をフェアで習って出ていかないと、リーダーシップというのは本当の意味で発
揮しにくいんじゃないかなと。それはガバメントも両方同じじゃないかと思いま
す。
○ 星 :今、方向感がない中でボトムアップでいろいろアイデアを現におっしゃられたん
ですが、わたしもそれを伺って、ボトムアップでやってって、中央集権的な意
思決定メカニズムの中に入れていって、果たしてどれだけ通るかなというのは
ちょっと。
わたしも日常、年がら年中それでつらい思いをしてるんですけども、その現場
の情報が本当にビビッドに上に行くまでに、上がるかどうかとか、仮に上がった
としても、それが現場が感じてる問題意識と同レベルのイシューとしてとらえら
れるかというのは、そこら辺は本当に難しいと思います。
だから、それは権限委譲するとか、OS の仕組み自体を変えていくというのは、
本当に企業の中でリーダーシップが機能していくためには、そうじゃないかなと
いう気がします。
○二子石:全くそうだと思います。わたしが申し上げてるのは、うちの会社はそれができ
てると言ってるんで、そういう点はいつも注意、気にしてますということを申し
上げてるんで、ちょうどこの学部と同じように三百数十人しか社員が居ないんで
すね。
でも、やっぱりぞっとすることを聞くことがあるんですよ。わたしに到達する
までに、何段階もプロセスがありますというのを、去年、おととし入った社員と
飲んでると、そういう話が出ます。これは、本当にぞっとしますよね。こんな
ちっちゃな会社でこんなことが起こるんだと。これは絶えず注意しておかないと
駄目ですね。
どうしても組織というのは、上を見出すとそうなっちゃうんですね。そこは何
か新しい仕掛けが要ると思います。何かプロジェクトをやるときに、上から指
名するんじゃなくて、
「希望者は別に年齢とか何とか全部問いません。このプロ
ジェクトをぜひやりたい人は、手を挙げてください」といってやろうかなと今度
第 10 章 外部評価委員会議事録 131
は思ってるんですけど、そういうことをやっていかないと、組織というのは必ず
絶えず揺さぶっておかないと、しーんとなった瞬間に、今、先生がおっしゃって
る……。
○ 星 :なかなか(★数語不明)
。
○二子石:ええ、揺さぶるというのは大切ですよね。それが権限委譲ということになる
と、権限委譲されて、それがまたぴしっと収まっちゃうと同じことになってしま
う可能性がある(笑)
。委譲したところで同じことになってしまう可能性がある
ので、そこは難しいですよね。
○ 星 :そうですね。
○日向野:そうすると、企業では、どっちかというとベーシックを発揮できるような環境
をつくっておくために、いつも活性化する必要があるし、われわれ大学として
は、自分がたまたま入った企業が、どういうタイプの組織をしてるかを診断する
技術として組織を知っておくと、よりリーダーシップを発揮するかもしれないと
いうことでしょうか。
○高橋:リーダーシップって組織と不可分ですから、わたしは組織論を論として学ぶこと
以外に、例えばグループワークをするんだって、6 人居れば組織化が可能なわけ
ですよね、どういう担当をして……、リポーティングリーダーシップはできない
かもしれないけど。そこでもって、そういう考え方、つまり民主主義では動かな
いんですね。
わたしは自分のクラスのグループワークを見て、決してディレクトはしません
が、
「このペースで、君、何週間後に結果出せる? どうして出せると思うか」
という問い掛けをすると、彼らはこれではまずいと。ですから、アサイメントを
したり、どうしてそういう割り振りにするのか、どうして考えたのかって、そう
いう問答としては考えさせてるんですけど、実際にはやっぱり組織論を習った方
が、もっとすんなりいくだろうと。
ですから、BL4 ですか、4 は専門を習ってるからというんで、すごい短いで
すよね。ああいうかたちになるべきだと思うんですけど、どこかで組織論のベー
シックみたいのを教えておいた方が、リーダーシップの使い方、発揮の仕方に良
い影響があるような気がします。
○日向野:ほかにいかがでしょうか。
じゃ、質疑応答の中でコメントはずいぶん頂きましたので、まとめて評価をい
ただいてよろしいですか。きょうのは全部テープ起こししまして、後で原稿にし
ますので、その時にいいですか、質問。要約で(★数語不明)お送りします。そ
れでは、まとめて評価を言っていただけますか。
○高橋:わたしは、先ほど冒頭に申し上げましたけど、本当にちょうど立ち上げのベー
スで少し構想をお聞きして、きょういろいろ拝見させていただいて、とても良
132 いカリキュラムに組み上がっていて、かつ非常に細かいところまで、実際にカ
ストマーは学生ですから、カストマーの点から見て、いろいろな目配りがされ
ている、先ほどの SA がフォローするというところとか、SA 自身にもコミュニ
ティーをつくらせて、それ自体が学習効果を発揮してるとか。それから、流れが
非常に良く出来てるようにわたしは思いました。
わたしのコメントで、サジェスチョンで差し上げたのはクリティカルなものは
一つもなくて、多少のプラスになればという程度のことですから、わたしは大変
素晴らしい、自分の大学に取り入れたいなという評価で、大変高い評価だと考え
ます。
○二子石:わたしも、実は社員の面接をやってても何を聞くかというと、何を勉強しまし
たかとか、卒論何を書きましたとか、ゼミは何ですかとか、わたしは一切聞かな
いんですね(笑)
。今までどういう人生を過ごしてこられましたかとか、もっと
言えば学生の時に、どういうクラブ活動でも何でもいいんですけれども、チーム
活動に参画してきたかとか、そういうのはよく聞くんですよね。
それはなぜかと言うと、こういうことを聞きたいんですよ。つまりそういう集
団の中で、何かを一つの目的に向かってやるという活動をしてきたかとかですよ
ね。その中で、自分がどういう役回りをしてきたのか、あるいは自分が友達から
どういう評価を受けてきたのかという話に持っていこうとするんです。
ですから、クラブ活動をやってない、バイトだけやってました、本だけ一生懸
命読んでましたという人は、ちょっと困ってしまうと言うとあれですけども、そ
ういう意味では、日本でこういうのがない時には、そういうところでは恐らくこ
ういう実体験、クラブ活動のようなところで皆さんやってこられたと思うんです
けども、授業として、しかも理論に教育された訓練をされるというのは、非常に
企業にとってはありがたいと言いますか、ぜひそういうのをやってきましたと、
堂々と入る時に説明してくれるような学生が、どんどん出てくるといいなと思い
ます。
そうすると、非常に入ってからのイメージができるんですよね、その人の。い
い意味では、ありがたいカリキュラムだと思いますし、ぜひ毎年いい学生をこれ
で出していただいて、できれば一人でも二人でも、わが社に入っていただければ
と思います(笑)。最後ですけども、本当にいいカリキュラムだと思います。
○日向野:ありがとうございます。ディスカッションいただいた点については改善したい
と思っております。では、白石先生。
○白石:どうも、きょうはいろいろとありがとうございます。何分ぐらい? 10 分ぐら
いで。
○日向野:結構です。
○白石:あと、いろんなこと(★数語不明)申し上げますけども、そういう、もともとの
第 10 章 外部評価委員会議事録 133
考え方から含めてちょっとお話ししたいんですけども、わたしが今どんなことが
問題であるかということも含めて。
ご存じのように、この経営学部が出来て、まだ 3 年、ことし、今度 4 年目に
なりますけれども、立教大学自体としては経営とか商学の歴史は長くて 100 年
近くですけれども、そういう中で既存の学部・学科の改編の一つの位置付けとし
て、こういう経営学部をつくろうということがあったのは事実です。時代の要請
に応えてということだったかとは思うんですが、それで経営学部をつくろうとい
うことになりました。
その時の理論は、本当に当初は、日本ですと一橋の商学部とか慶應の商学部と
いうところのカリキュラムを持ってきて、こういうのが参考になりますというア
ドバイスは教員からありましたけど、わたしは、そんなものは全く役に立たない
と(笑)
。
全くとは言い過ぎでしょうけれども、基本的な経営学部を学ばせるためのフ
レームワークはありますけれども、われわれがこういう後発の中で経営学部をつ
くるという意味を考えてもらわなければ困る。大規模大学のミニチュア版をつ
くって、どういう意味があるのか、まず勝てるわけないですし。勝てるといいま
すか、意味付けはどうするのかと。
そういう中で、時代の要請に応えるということが一つですけども、あとは何ゆ
え立教大学につくるのかと。立教大学の建学の精神に合わないものをつくる必要
はないと。そういうことをとにかく基本として出発しようということで。
一方の BBL の方は、立教大学は宣教師がつくった大学ですから、外国ですと
か英語ですとか、当初は宣教師の方々が英語で聖書や学問を教えたという伝統が
ありますんで、そういう中で一つ国際化、それは合ってるだろうと。でも、ほか
に何があるだろうかということを考えたときに、一つリーダーシップというのが
キーワードではないかという考えに至ったわけなんです。
ただ、日本でいうリーダーシップというと、今もオバマさんと比べて麻生さん
のリーダーシップはって、そういうカリスマのリーダーシップだけじゃないわけ
ですよね。本当に身近に翻って、家庭のお父さんのリーダーシップはどうなって
るのかなから本当に始まると思うんです。リーダーシップのない家庭というの
は、お父さんかお母さんか分からないですけど結構多いんじゃないかと。組織で
すから、組織というか何人が集まってというところではリーダーシップは必要
で、それは横のリーダーシップと、家庭、縦横、上下もありますし、そういうこ
とを考えました。
ただ、アメリカを見ると、リーダーシップ力があるというのはカリスマ的なこ
とじゃなくて、普通の人が持ってる力としてのリーダーシップ、それだけで一つ
の意味がある。そういう位置付けですよ。価値がある。価値があるから、英語で
134 アメリカ人が「leadership」と言うと、それは資質として一つ価値のある資質だ
という受け取り方をしてる。
それに対して、日本はそこまで言ってないわけですよ。何か上から下へのリー
ダーシップと、やっぱり大きな違いがある。
できれば組織として生活していく中で、身に付けるべき一つの資質として、こ
ういうリーダーシップを考えられないかと。それは高校生、今の若い人たちが非
常にパッシブな行動はできるけどアクティブな行動はできない。隣の空気を見
る。それで動いてる。しかし、社会に出れば、全くそれと違う程度の差はありま
すけれども、いろんなリーダーシップをもっと、組織で働いていくということで
すから。そういうことを養成するプログラムが必要だと考えたわけです。そこま
では良かったんですけれども、リーダーシップを担当する教員をどうするんだ
ということから、いろいろわたしは苦労して日向野先生に来てもらったんです
(笑)
。
でも、日本で初めてのプログラムですから、アメリカには同類のものもありま
すけれども、どちらかというと MBA 以上なんですよね。ですから会社の経験
があって、それを踏まえてのリーダーシップと。こちらはまだ学部レベルという
違いもありますし、やっぱり日本の中でということで、中身をどういうふうにし
ようかということは全くスクラッチから始めるということで、今回 3 年やって
いただいて、かなり成果を上げてきたと思いますし、一つとしてはこういう GP
に採用されるということはあります。
ただ、例えば英語で見ると、英語の能力を高めようというときに、英語の授
業を提供して学生に受けてもらったら、アンケートをとると、ああ、良かった
……、そういうときがあるんですね。結果、じゃ英語の成績がどれだけ伸びたか
というのを量んなきゃいけないですから、量るというところが、このプログラム
は難しいとは思うんですけれども、そういうことはやっぱりしなければと。
評価の中に、学生に対するアンケートは重要です。教員のアンケートも重要で
すけれども、社会からの評価をどうやってはかっていくのかと。はかることが重
要じゃないんですよ。だけど、そういう姿勢は忘れちゃいけない。一つ今回就職
したときも、どういうところに入れるか、もう少し長く見ると、行った企業から
どういうふうに評価されるかと、それが非常に重要と思います。
ちょっとわたしが今感じてる問題点は、専門科目とのリンケージをどういうふ
うにしていくかというのが、組織論が非常に重要だというご指摘もありました
し、くさび形にどういうふうにしていくかと。BL の一番最後は、かなり専門科
目の知識があって、インテグレーションして何かできるという構想にはなってる
んですよ。だけど、その構想がどれだけ実現できてるのかといったようなところ
が今後あるなと思います。
第 10 章 外部評価委員会議事録 135
こういうかつての経験者も出てきて、トップというか、本当にいい効果があっ
た学生諸君ですから、それはいいとこである。ご指摘いただいたいいところとい
うのも、うまくいけば……、いってますよ、学生のうちの 2、3 割は本当にその
とおりできてますけど、そうじゃない学生も考えなきゃいけないといいますか。
でも、全部引き上げるのは難しいですから、こちらの戦術・戦略としてはトップ
3 割を伸ばすというやり方もありますけども、教育機関ですか全体のスタンダー
ドを上げていくということが非常に重要だと今は考えてます。
今、問題があるという学生諸君は、たぶんこの BL の授業に出ても、何の目的
でやってるのかよく分からない(笑)。そういう子は、たぶん人の意見なんか、
人を見てないわけですよ。自分だけしか考えてない。こういう課題を与えられ
て、その課題について議論するということは分かってるけども、これが何の役に
立つのか、何のためにこういう議論をさせられてるのかが分かっていない。です
から、
「集まって何か議論するんですよね」、その程度で終わっちゃう学生諸君が
居るんですよね。
だから、それは今までの初中等教育の中で、そういうふうにしか受け取らな
い、偏差値が高くてもそういう教育を受けた。その子たちの視点をどうやって変
えていけるのかどうか、その辺が次にあるんじゃないのかなというのは。結果、
やっぱりフリーライダーもそういうところから。
一つの方法としては、人数を 6 人にするということは方法としてはあるんで
すけど、彼らの、要するにできない子というのは、何で勉強させられてるか分か
らないからできないというところがありますでしょ(笑)。これについても、そ
ういうところが、その辺をどういうふうにしたらというのが次の課題かなといっ
たように思ってます。
評価を受けるというのは、本当に難しいですよね。文科省辺りがこのためです
から良ければということですけども、本当に社会から評価を受けるってかなり時
間がかかりますし。だけど、一瞬たりとも動きを止めると元に戻るか、そういう
のはオーバーシューティングというんですか、ドーンと下にいっちゃう。
ですから、こういう努力は重ねていかなければいけないと思うんですが、わた
し自身がやってきて、なかなか重ねてきた自分の努力と評価というのは、こんな
にやってるのに、ここまでかなと思うところも一瞬あるんですけどね。だけど、
どこかでやっぱりそういうのはブレークスルーがあるはずなんですよ。だから、
そこまで頑張らなければいけないなとは思ってます。
こういうプログラムは、立教はうちだけです。本当にほかはないですね。ご指
摘があったように、一方通行で教える方が全然楽なんです。それでミニチュア版
をつくっちゃいけないと先ほど申し上げましたけど、それが一つで、でも彼らに
できないこと、明治であっても、早稲田であっても、慶應であっても、このプロ
136 グラムができないというのは、あれだけ人数が多くて、あれだけ伝統的であった
らば、既存の先生方に、
「こういうことをやってくれ」って、「冗談じゃない。そ
んなことやってられないよ。おれは研究があるんだ」と絶対できない。
ですから、うちのサイズで新しくつくった、そしてうちの、どちらかというと
学生の面倒はよく見ようという大学の方針がありますから、そういう中ではでき
る。賛同する人間も最初は半分ぐらいでしたけど、教員の中でもね(笑)。それ
が 6 割、7 割と増えてきて、とにかく今はこのプログラムはコアとしているんだ
と。
でも、いろんなここが問題だというのは常に出てきますよね。でも、それが
やっぱり重要ですから、きょうの結果も唯一の教授会では報告があって、次はど
うしようかということをやってますんで。
毎年こういった場を設けていただいて、日向野さんはつらいかもしれないけ
ど、僕としては厳しい評価をいただいて改善に向けていくということが一番、社
外取締役等々を思い、その時代ですからね。
○高橋:先生、学外からこういう評価委員を選ばれること自体が、極めて日本の大学では
ユニークですから。そもそも大学の方ばかりで大変口幅ったいけども、でも大学
の方って外から非難されるのが大嫌いですから(笑)。
でも、本当に大学を良くしようと思ったら、特にわたしは大学といってもほと
んど企業人ですから、企業、それから学生、大学という三位一体の関係で、お互
いにやっぱりフィードバックをし合うということをやらないと、良くなっていか
ないんじゃないかなと思いますよ。
そういう点では、わたしは日向野先生から「外部評価委員になってくださ
い」って、えーっと思いましたが、そんな大学というのは、わたしはほかに知り
ません(笑)
。
○白石:(笑)やっぱり(★一語不明)
。これも継続が重要ですけどね。そういう気持ちを
持ちましたので。本日はありがとうございました。
○日向野:学部長からの評価が一番厳しかった(笑)。本日は、どうもありがとうござい
ました。
(終了)
第 10 章 外部評価委員会議事録 137
■ 第 2 回 BLP 外部評価委員会
○日向野:それでは時間になりましたので始めたいと思います。では第 2 回の BLP 外部
評価委員会をよろしくお願いいたします。
最初に member 紹介なんですが、こちらから時計回りにお名前だけをおっ
しゃってください。
○三木:経営学部助教の三木と申します。本日はよろしくお願いいたします。
○山口:経営学部経営学科の山口です。よろしくお願いいたします。
○竹澤:国際経営学科の竹澤と申します。よろしくお願いします。
○松本:同じく松本です。よろしくお願いします。
○太田:兼任講師の太田です。どうぞよろしくお願いいたします。
○高橋:兼任講師の高橋です。よろしくお願いします。
○柴田:経営学部助教の柴田舞です。よろしくお願いいたします。
○松永:新年度より助教として着任いたします松永と申します。よろしくお願いします。
○松岡:SA を務めさせていただいています、経営学部 3 年の松岡と申します。よろしく
お願いします。
○伊藤:SA を務めさせていただいています、国際経営 1 年の伊藤栞です。よろしくお願
いいたします。
○熊谷:教務部で GP を担当させていただいております熊谷と申します。よろしくお願い
します。
○安藤:同じく安藤と申します。よろしくお願いします。
○神山:入学センターの課長の神山です。どうぞよろしくお願いいたします。
○ 牧 :キャリアセンターで経営学部担当を務めさせていただいております、牧と申しま
す。よろしくお願いいたします。
○家城:教務部長の家城でございます。よろしくお願いします。
○高橋(秀)
:慶応大学の高橋でございます。どうぞよろしくお願いします。
○二子石:セブン銀行の二子石でございます。よろしくお願いいたします。
○船山:経営学部の事務を担当しています船山と申します。よろしくお願いいたします。
○諸橋:同じく経営学部の諸橋です。お願いいたします。
○日向野:ありがとうございました。
お手元の資料なんですが、この外側にありますのが、きょうのスライドを印
刷したもの。それにこの 1 枚はないので、以下番号が狂っているんですけども、
スライドにさせたものと、定期刊行物の BLP 通信の 2 号、3 号、4 号があるか
と思います。それから、こちらの列の方は、それ以外に後でお見せする DVD の
最新版も入っております。
最初のこのスライドを、お手元にはないものなんですけれど、ゴールとその
138 達成方向、体制について、ゴールは昨年度と同じでありまして、権限のない
leadership、peer leadership を学生に付けさせる。それを専門科目との相乗効果
の下に達成するというのがゴールだと思います。これは全く変わらないです。
それから、ゴールの達成方法のほうは若干更新しておりまして、group 単位で
春学期にアクションラーニングをする。課題解決を group で行って学習を促進
するということは同じです。それ以外にことしは、後で詳しく申しますが、秋学
期には、1 番のための個別 skill を、専門科目とは別の個別 skill を強化する期間
を設けています。
3 番目にゴール達成のための体制。これは昨年度とは固有名詞が少し変わって
おりますが、基本的に変わっておりません。以上です。
これからの進め方ですが、最初にビデオの最新版をお見せします。その後に実
行の方法・体制のところで今年度変わった部分、広報の方法、昨年度の委員会で
ご指摘いただいたことへの対応、成果と自己評価、来年度への課題を話して、委
員の先生方から評価をいただくという順番におおむねしたいと思っています。
ビデオクリップの撮影ですが、これは経営学部の皆さんはもう何度も見ていて
飽き飽きしているんじゃないかと思いますけれども、去年お見せしたものより
も、別な授業が入っていて少し更新しておりますので、記憶を refresh する意味
でもよろしくお願いいたします。
(ビデオ上映)
○日向野:ありがとうございました。
それでは、ちょっとここで、さっき忘れたんですけど、確かにここで会が行わ
れたという証拠をつくるために写真を撮らせていただきます。カメラ目線は必要
ではないので、お望みの方以外はべつにカメラをご覧にならなくて、怖い顔をし
てくだされば結構です。
それでは、今年度始めたことから順番にお話しします。まず、先ほどのビデ
オに、BL3、4 だけ映っていましたが、BL3 を三つの異なる科目に分割しま
して、それぞれ A、B、C という別な skill を高めるのです。A はそれまでの
teamwork の経験を leadership の理論で振り返るという授業です。それから、B
は leadership のための communication。C は critical thinking です。
じゃあ太田先生、ここを簡単に、BL3-B のことを。
○太田:BL3-B は communication。特に business で、行動 level で相手に伝わることが
重要だということで、business communication を主体としています。
まず一番初めに、communication は何かということから始まって、それから
基本的な傾聴、それから質問の技術です。その後、この communication を応用
第 10 章 外部評価委員会議事録 139
した facilitation、team の力をどうやって引き出せばいいか。これを 4 回 series
でやります。
それともう一つ、leadership というのは目標達成に向けて人に影響を与える
process ですから、まず人に影響を与える前に自分を知らないといけないねとい
うことで、自分の social style、よく versatile(★一語不明)と言いますけども、
その social style、それを 2 回やっております。
それから、人は理で分かっていても、やはり情が付いてこないと実際に行動し
ない。行動しないと成果が上がらないということですので、感情、EQ、心の知
能指数を 2 回取り上げています。
それから、あともう一つは、人の話を聞くだけじゃなくて、どうやって論理的
に、それから情熱を持って人に伝えていくかという presentation を 2 回。そし
て最後に、world cafe というやり方で 12 回の授業を振り返る、こういう構成に
なっております。
ただ、EQ は一番最後のほうに持ってきたんですが、学生さんたちの隠れ
interview を 聞 い て お り ま す と、(EQ で ) 自 分 の 知 能 指 数 は 24 の 素 養 で 出
てくるわけですけれども、最初にやっぱり自分はどんな人間なんだ、どこが
communication をするうえで欠けているのかを最初に知ったうえで、その後、
具体的な communication の skill を学べばよかったというふうなことを言ってお
りましたので、わたしもこの辺のところを少し改善していきたいと思っていま
す。あと、まだ取り入れたいものがたくさんありまして、それは assertion、言
うべきことを言うべき timing で相手のこともちゃんと考慮しながら伝えられる
ような能力とか。
あ る い は、facilitation は 1 対 大 勢 で す け れ ど も、1 対 1 で の coaching の
skill。それから、自分を知るのに EQ、social style を学ぶわけですけども、もう
一つの MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)という、ユングが使ったものを
マイヤーズとブリッグスが改善したような program で、これは結構奥が深いも
のです。実はこの MBTI に、ご逝去されました元山年弘先生が入っておられま
して、わたしもそこで知り合ったわけですけれども、これはかなり深いので、例
えば EQ とか social style を MBTI に置き換えることも、今後の改善 point かな
というふうに思っております。
そんなところでございます。
○日向野:はい。ありがとうございました。
続きまして BL3-C は critical thinking で、高橋さん、お願いします。
○高橋(俊)
:critical thinking の内容は、logical thinking とか、論理思考とか言われて
いるところになります。BL1 とかで、あるいは、ちまたにたくさんもう既に
technique、あるいは理論に関するものが出ていますので、この class ではその本
140 質を理解するというところから、考える体力を付けるということ。それと、日常
的に使えるようにしておくというふうな実践的な使い方をやっていこうとしてい
ます。
例えば、その中で一番多く使われているのは、学生自身に課題を持ち込んでも
らう。例えば、今自分が、いわゆる my boom、夢中になっていること、はまっ
ていることを 40 代の人に分かるように説明してくださいと。それを logical に
説明してもらう。しかも、相手が聞いていて面白いと最後に思えるような説明の
仕方をしてくださいというのを、各自にやってもらったりします。
あるいは、自分が興味を持っている社会的な問題であるとか、ちまたの、身の
回りの問題であるとか、そういったものの後ろにある mechanism を自分なりに
分析してくださいというのを class に持ち込んで、そのうちの幾つかを取り上げ
て、全体で見ていくというようなことです。
あるいは状況を解釈するということで、学生の一番の関心は career ですので、
どういう仕事を自分がやっていきたいのかということを、自分の過去の行動だと
か、感情を振り返って、それから解釈できないかということをやってみようと。
彼らは実際に使えて、そのまま活用していけるような題材を使って、いかに論
理思考が役に立つかということを見ていこうというふうにやっています。以上で
す。
○日向野:ありがとうございました。それでは、これについてご質問、ご意見はいかがで
すか。お願いします。
○高橋(秀)
:太田先生、この BL3-B を伺っていて、それぞれの skill element の balance
とかいう意味で大変参考になりました。おっしゃっていたように、assertion の
部分というのが、もう本当に実社会になるとたぶんものすごく重要な skill にな
るので、そこをうまく取り入れていただけると、社会に出たときにも非常に評価
の高いリーダーになるんじゃないかなというふうに思います。
○太田:わたしはそう思っておりますけれども、何せ授業が 1 回 90 分で限られておりま
すので、assertion を入れると何かを減らさないといけないということになって、
そこが難しいところです。
だけど、今おっしゃるように assertion というのは、確かに mental health のう
えでも、いろんな面でこれから重要な訓練かなというふうに思っています。
○高橋(秀)
:あともう一つ、ユングのことをおっしゃっていましたけれど、今、スポーツ
の例えば coaching なんかにも使われ始めた positivity。
○太田:positive。
○高橋(秀)
:はい、positivity ですね。あれで、今まで positivity って、どちらかという
と自己啓発的にとらえられていたんですけれども、positivity もものすごく研究
が進んで、複雑系の数学 model みたいなものもきちんとできています。例の 3
第 10 章 外部評価委員会議事録 141
対 1 の理論というやつです。ですから、それを使って、スポーツ選手が非常に
緊迫した状況下にいながらも perform できる。
結局、leader というのは、周りの人がもう駄目じゃないかと思われるような状
況下で、本当に冷静かどうかはともかくとして、冷静なように外からも見て、正
しい(★一語不明)引っ張っていく。そういうことって、やっぱり訓練が必要な
んだと思うんです。
ですから、そういう EQ はもちろん(★一語不明)フレデリクソンとつながっ
ています。ですから、わたしはとてもよい関係なので、13 週とか 14 週にしない
で、二つぐらいに分けてもいいんじゃないかというぐらいに思いましたんですけ
れど。以上です。
○太田:はい。今おっしゃいました、フロー理論みたいな、浅田真央ちゃんがいくら能力
を持っていても、その瞬間に力を発揮できないと駄目だ、self image をどう高め
るとか、そういうことに近いわけですね。
○高橋(秀)
:そうですね。結局それがないと、わたしは global business をずっとやって
いたんですけれども、日本人の方が global な舞台に出ていったときに、きちん
と自分が持っているものを、書き物ではなくて、speech を通し、presentation を
通し、行動を通し相手に伝える技というのは、やっぱり assertion であり、そう
いう positivity であり、flow でありという技術なのではないかと。
あまりにも日本の教育課程の中では少ないというより、ゼロなんじゃないか
と思うんです。基本的にそういうものは。私が知っている限りは、この立教の
program 以外にそういうものを大学院でやっているところはたぶんないですか
ら、ないんじゃないかと。
それはものすごく貴重だし、価値があるし、それからまた、差別化を図る大き
な道具になると思います。
○日向野:ありがとうございます。よろしいでしょうか。
順序は前後しますけれども、debate の要素を導入しました。この BL3-C の
critical thinking はこの応用編という面があるんですけれども、もっと下の学
年に、どこかに debate を入れたいと。assert するにも logic がないといけない
ので、debate を入れたいと考えていました。そこで、春学期に BL2、つまり 2
年生の前期でことしやってみたんです。手応えがあったので、秋学期から早速
BL1 に導入しました。
こういう変更をすぐやってしまうというのが、われわれの BLP の表から見て
いると大変なところですけれど、中にいると面白いですよね、面白いところでも
あるはずなんです。
三木さん、これについて。
○三木:座ったままでいいですか。
142 ○日向野:立ったほうがいいかな。
○三木:はい、すみません。
試験的に BL2 で入れたときには、こちらにいらっしゃる松本先生に、教員が
debate についていろいろ教えていただいて導入をしたんです。debate 自体はよ
かったんですが、何のために debate を学ぶのかということを学生にうまく伝え
きれず、学生の中で「leadership との関係がよく分からない」という声をいただ
いたので、その点、BL1 で導入する際には多少、情よりも理のほうを重視して、
logical な部分を鍛えて、問題解決の project に生かしてほしいということで、そ
こを強調して debate をやったところ、非常にその意味も分かったということで、
学生の満足度は上がったようです。
また、debate を行ううえでは、debate の準備のための group があるんですけ
ど、それを固定して 13 回のうちの半分ぐらいの debate をやってもらったんで
すけれども、その中で、group project のようなかたちになったので、leadership
についても学べたようです。
面白かったのは、問題解決の project に違って、debate では立論を担当したり、
質疑の場面を担当したり、反駁を担当したりと、それぞれ役割があるので、誰も
free rider にすることができないので、「いかに free rider をつくらないかという
leadership が必要であったことを学べた」ということが、学生のアンケートから
分かりました。debate については、若干 minor change は必要だと思いますが、
来年もこの方向性でやっていきたいと考えています。
○日向野:よろしいでしょうか。
こちらに書いてありますのが、先ほどのビデオの中にもありましたように、
BL3 で個別 skill に分かれて、それから BL1 で debate をもらって、どちらも秋
学期ですから、春には問題解決 project、そこが BL0 と思いますけれども、基礎
演習、BL2、BL4。それから、秋学期は skill 強化で、ここで debate、理論によ
る振り返り、communication、critical thinking という skill 強化が秋というふう
になっています。
つまり、昨年度はこういう構成であったわけですけれども、ことしはこういう
ふうに。ちょっと見づらくてすみませんが、秋が skill で、春が問題解決 project
というふうになっています。
なお、ビデオの中では日本酪農乳牛協会がこの BL0 の client でしたけれども、
今年度は松竹芸能でした。松竹芸能に対して新しい school business を提案しな
さいという project でした。それから、来年度は株式会社モスフードサービスが
決まっていまして、後で詳しく説明しますが、モスバーガーを若い人に売るには
どうしたらいいかということが予定されています。
それから、今年度始めたことの 3 番目です。portfolio の運用を開始しまして、
第 10 章 外部評価委員会議事録 143
学生の BLP に関するすべての提出物、これは毎週のようにあるんですが、これ
を蓄積しております。group 内で行う相互評価というのも project の後にあるわ
けですが、これも蓄積しています。つまり、自分が teammate に与えた振り返り、
それから、自分が受けた振り返りというのもやっています。
学生は、自分の提出物と、自分が受けた相互評価、それから自分が与えた相
互評価、comment ですが、常時閲覧できるわけです。それから教員は、自分の
class じゃなくても、すべての学生のすべての年度の提出物を見られます。これ
はちょっと black board に内蔵されている portfolio と大きく違う点でして、こ
れを実現するには教員の強力な合意が必要です。
それから、もう一つは、これは提出物を蓄積しているんですが、security の問
題もありますし、教務とまだお話ししていませんので、成績はこちらには入っ
ていません。提出物が入っているというかたちになっています。学生の名前を
click すると、その彼が、過去半年なり 2 年間なりに出したものが全部見られる
ことになっています。
これは技術的な話ですが、最初は手で書いていたものを集めていたので、その
部分は仕方なく画像で蓄積していますが、今年度に入ってからの分は、server か
ら来る mail に対して返信することで自動的に格納されるので、宿題を集める手
間というのはかかるわけではないです。自動的に収納します。ここまでよろしい
でしょうか。
○二子石:ちょっと。これは偶然、事業そのものとは関係ないんですけども、administra-
tor 的な質問なんですけど、これをやり始めると、管理方針をしっかり立ててお
かないと、後ですごく大変になると思うんです。ですから、廃棄をどういう基準
で行うかとか、それから archive のこと。そういうことは、きちんと教員の皆さ
んの間で話し合われて決めておかないと、毎年どのぐらいの、画像で集めてない
んで terra byte にはならないでしょうけど、でもどんどんたまっていくというこ
とが一つと。
それからもう一つは、企業人には、個人情報がたまるというのは、ものすごく
risk とほとんど同義語ですので、risk 量はある一定量にしたいと思うものであり
ます。ですから、どこかで早く捨てたいというふうに思います。
でも、それはこちらの学部学科の方針がおありだと思うので、それをしっかり
方針を立てて、それに従って廃棄をされたほうがよろしいんではないかなという
ふうに思います。廃棄しないという position も、もちろんあり得るわけです。
○日向野:例えば、廃棄しないという position は、卒業生が卒業してからも見られるよ
うな service を採る場合ですよね。その service を必須のものだと考えた場合は
廃棄できないわけですけど、卒業後 1 年で廃棄するとかというふうにすると、
量も一定になってくるといったことでしょうか。
144 はい。ありがとうございます。では、次。
それからもう一つは、leadership の計測です。これは非常に難事業でして、
世界中に正解がないんですが、DDI というこの分野では著名なアメリカの企
業と、その日本法人の MSC とわれわれ BLP で共同開発した interview による
leadership 計測を始めました。
interview によって leadership に関係する過去の実績を聞き出して、3 要素
5 段階で採点するというものです。BLP 教員の 6 名がこの interviewer として
の training を受けて、2 名一組、練習 session では 3 人でやったりしましたが、
2 名一組で 1 名の学生を対象に 30 分間 interview する必要があって、30 分の
interview の後に合議してということですから、結局 45 分ぐらい一人一人にか
かってしまいます。
これをお聞きになるとすぐお分かりでしょうけども、学年 350 人についてこ
れをすることは物理的に不可能でありますので、sample を抽出して、この BLP
の教育効果を測るために行うというほうを第一目的にして、個人指導に使うとい
うほうは、ごく部分的にしかできないのではないかというふうには考えておりま
す。
部分的に sample として行うにしても、例えば、BL の最初、0 から 4 まで選
択してくれる学生というのを入学時に予測することができませんので、sample
もかなり数を取る必要があるので、この使い道といいますか、どういうふうに継
続的に行うかということを今模索しておるところでございます。よろしいでしょ
うか。
それから、5 番目は専門科目との連携になります。BL1 での debate は、「『日
本経済新聞』は完全に電子化すべきである」、つまり紙媒体を廃止すべきである
という論題の肯定側と否定側に分かれた debate でした。この準備に関して、1
年時の後半の基礎科目、marketing と連携しまして、ご担当の先生と、今学期の
debate はこういう環境でやりますと。ですので、関係する単元のところで BL1
のことを言ってくださいというふうにお願いして、そのとおりやっていただいた
ということです。
来年度は、その一つ上の科目の marketing 戦略と連携する予定であります。ち
なみに来年度の BL2 は、日産自動車とコラボすることが決まっていまして、電
気自動車の若者への普及ということになります。よろしいでしょうか。
6 番目は大学外、あるいは大学の中でも学部外で BLP を試行してみたことが
幾つかあります。まず企業に対しては、飯能信用金庫が主催しています竹林舎と
いう中小企業経営者の研修があるんですが、ここにお邪魔しまして、あえて学部
学生と全く同じ短期バージョンの group exercise をやってみました。
その結果は非常に興味深くて、学部学生よりも優れている部分もあるのです
第 10 章 外部評価委員会議事録 145
が、学部学生ならスイスイできるような面を持っていなかったりするという、す
ごく新しい発見がありまして、早いうちに鍛えたほうがいい skill はどういうこ
となのかを発見するために、こういう trial というのは非常に有効だと思ってい
ます。
それから、高校のほうにも、出前授業などの機会を使わせていただきまして、
あえて企業に行ったのと全く同じものを持っていって、group exercise をやって
もらいました。これは大学生と割合近い結果だったりするんですけれども、これ
もまた早ければ早いほうがいいのは何かを学ぶうえで役に立ちました。
それから、大学の中で、理学部で、これもまたほとんど同じことをやってみま
した。ちょっと松岡君、報告してくれる? そのときに、assistant を SA の松岡
君がしていましたので。
○松岡:松岡です。SA として、経営学部の学部の中で行ってきたものを、ほかの企業と
高校のほうも、僕は日向野先生とご一緒させていただいたんですけれども、理学
部で行いました。
その際に明らかに違うなというものを、僕は学生なりに感じて。それは何が違
うのかというのを後々考えたときに、普段学んでいるものが違うというのは当然
なんですけれども、communication の skill という点において、普段どれぐらい
group work ですとか、communication を図っているのかなというのは、すごく
結果として強く左右したのかなと思いました。
結論から言いますと、理学部の学生の方々にやっていただいたときには大変
時間がかかりました。それは、決して、だから経営学部がすごいんだというふ
うには受け止めませんでしたけれども、単純に経営学部で普段いろんな学生と
communication を図っているというのが、どれぐらい効果として自分は得られ
ているのかなという意味で、すごくいい体験になりました。
同時に、全然違った学生もいっぱい世の中にいるなというのは、改めて、当
たり前のことなんですけれども感じたので、今後 BLP、それ以外の科目でも、
他学部の学生とコラボしたりとか、後は、いろいろな意見を聞きながら自分の
communications skill を高めるということが、また出せればいいなというふうに
感じました。
○日向野:よろしいでしょうか。理学部とのコラボレーションは。
○二子石:よろしいですか。特に一番上の企業、企業人というか社会人が、大学生なら普
通に持っているような skill で結構欠けているところがある。それは、具体的に
はどんなものなんですか。一番興味があるんですが。
○日向野:いろんな表現がこの後に付く。私が特に印象に残ったのは、相手の言ってい
ることによって、自分の考えを変える speed というのが、人によってすごく違
いがあって、遅い人は徹底的に遅いんです。2 時間かかっても変わらない方もい
146 らっしゃるんです。
それから、年下のものに教わることをすごく嫌悪している方もぱらぱらとはい
らっしゃいます。その方は、先ほど申し上げた考えを変えるのが遅いという人
と符合していることが結構多いような印象を受けましたので、傾聴の skill とか、
discussion の習慣というのは早いほうがいいだろうなということは気付きまし
た。
○二子石:年齢層は。
○日向野:それは、30 代から 50 代ぐらいでした。
○二子石:職種は。
○日向野:職種は、中小企業の経営者の方ばかりで、主に 2 代目、3 代目の方です。
○二子石:信用金庫ですもんね。
○日向野:信用金庫の customer です。
○二子石:分かりました。
○日向野:ほかにいかがでしょうか。
7 番目は、2、3 月に新年度の準備を完了しています。今はその準備の最終段
階でして、2 月 26 日には、日本アクションラーニング協会の協力をいただいて、
アクションラーニングコーチ 7 名を外部からお招きして、質問力養成講座を開
きました。
これは、project 型の授業をしているときに、教師の役割って何なのかという
ことを知るのにすごく役に立つというふうに発想して、これを納得して、学生か
ら「この project がうまくいかないんだけど、どうしたらいいでしょうか」とい
う相談を教員も SA も受けるわけです。そういうときに「こうしたらいいよ」と
答える必要はなくて、質問で返すと相手が気付くことがある。その質問も、どう
いう質問でもいいわけではなくて、正しい質問を正しい timing ですればするほ
ど学生の学びが深まるということを、丸 1 日の研修で体験してもらう、こうい
う趣旨でございます。
参加したのは、昨年は BL0 で行きましたが、今回 BL0 と BL2 に加えて、SA
と、新人教員、それから有志の教員 7 名が参加しました。わたしを入れると 8
名です。SA が 21 名、教員が 8 名と、AL コーチ 7 名で、七つの班に分かれて
workshop を行いました。
それから、新年度の授業スライドも教員と SA で内覧しまして、学期が始まる
よりだいぶ前から完成することを目指しています。
これについて、三木さんお願いします。
○三木:来年度の client についてはちょっと話が出ましたけれども、基礎演習はモスフー
ドサービスで、BL2 は日産に決まっているんですけれども、そちらに関しては、
client の方と何回か meeting をしたり、SA を連れて企業のほうに行って、具体
第 10 章 外部評価委員会議事録 147
的にどういう方向で授業を進めようかということをあらかじめ話していますの
で、それを基に授業のスライドをつくりました。
それを、実際に授業の support をする SA に見てもらったり、実際に授業で行
うであろうワークを SA にしてもらって、こういうふうに改善したほうがいいん
じゃないかという idea をもらって、今、最終調整をしているところです。
○日向野:内覧は、合宿に行って行ったものですから、その合宿のこと、あるいはこちら
について、伊藤さんお願いします。
○伊藤:まず質問力養成講座についてなんですが、質問とはどういうことかと自分の中で
は分かっていたつもりなんですけれども、小規模な班の中で、自分が問題提示を
して、そのことに対していろんな人から質問される。それによって、自分の中で
もやもやしていた分からなかったことが整理されて答えに導かれるという経験
と、自分が逆に相手に、正しい時に正しい的確な質問をすることによって、相手
の問題を明確にしていくということを学びました。
自分にとって SA とは、既存 issue と、BL1 を通して思ったのは、授業で気軽
に相談できる身近なと言ってはおかしいんですけれども、そういう相談役という
感じだったんですが、授業の外でも、履修や授業に関してや、そのほか全般的な
学校生活について気軽に相談できる方だったので、生徒たちが問題があるとき
に、この質問力というものを用意して、効果的に生徒の問題を、生徒自身で解決
の道を探してもらうということが学べて、実際にこれを使えていけたらいいなと
思います。
新年度の授業についての会議では、SA のほうが、わたしたちが実際どう思う
かということも意見で言えて、生徒たちだったらこうがいいんじゃないかという
advice というか、意見を発言する場があったので、とてもよかったと思いまし
た。
○日向野:よろしいでしょうか。
それから 8 番目は、SA 組織の実質化です。今までにも、SA は、1 回経験す
ると SA クラブに入って後輩と連携しなさいと言っていたんですが、実質的な組
織になっていませんでしたので、その辺について、ことしから少し強化するとい
うことやっています。じゃあ、松岡君。
○松岡:これまでは、SA を僕は 2 年間通して三つの class をやらせていただきました。
その中で、学生ながら感じたことは、1 回 1 回すごく有意義なんですけれども、
毎回 member が変わってしまって、あまり縦のつながりがないというか、経験
の蓄積が今までないなというのを正直感じていまして。このこと自体は、教員の
方からこうしましょうという話ではなくて、学生、SA をやっているほうから、
こういうふうに縦のつながりができて、より自分たちがいい環境にできたらいい
なと。もちろん、教員の方々がご尽力いただいて、いい環境にしていただいてい
148 ますけれども、そこにさらに学生の視点で参加することができたらなという思い
から、今回この組織というものをきちんとつくってみたいなと思って、まだまだ
全然未熟なんですけれども、組織化を図ってみました。
その中で、この半期 mission statement を掲げて、SA としてどんなことをし
たらいいのか。SA を通して自分たちはまた何を学べるのか。加えて SA がいる
ことによって、そこを受ける受講生、学生がどういうふうに感じられるのかとい
うところを意識しながら、skill 等の継承ができたらなと思っています。
その中で、2 番目にあります SA team 自身による project。これはまだ実現は
していないんですけれども、せっかく SA で集まっていますので、それが来期モ
スフード様であったり、日産自動車様の方々から SA に対して何かお題をいただ
くことができれば、そういった中で、また何か SA として一つの leadership を体
験していく、磨いていくような機会になればいいかなと考えています。
○日向野:よろしいでしょうか。
悲しいお知らせがありまして、7 月に相次いで二人の教員を失いました。元山
年弘助教と、松坂暲政兼任講師であります。元山さんは 1 年 3 カ月だけお務め
になって、去年のこの席にはいたはずなんですけれども、急に亡くなりました。
松坂さんは 1 年以上療養されたうえでの逝去でした。
元山さんについては後任を採用することができまして、来年の 4 月から新し
い助教を一人迎えることができます。追悼講演会などもいたしました。
それから、広報体制は、学部の WEB sight に BLP 関係の news を 30 本、年
間でこれまで載せております。それから、Contest の本戦の風景などを中心
に、今年度 28 本、累計で 48 本載せておりまして、これが 50 本に達すると、
YouTube ですので、少し画面が大きいものを無料で使えるということなので、
あと 2 本ということになります。
それから、総長室や広報課を通じまして、大学 press center news に、来年度
の client がモスフード、日産を加えて BL4 でアップルになっていますので、そ
の件を投稿したところ、各方面から反響がありまして新聞掲載にもなりました。
それから、(★数語不明)して、去年同様にマスコミ投稿もいたします。お配
りした『BLP 通信』というのも発行して各部に配っております。よろしいでしょ
うか。
昨 年 度、 外 部 評 価 委 員 の 方 々 に ご 指 摘 い た だ い た 点 へ の 対 応 な の で す
が、assertiveness に つ い て は、 ま ず debate を BL1 に 入 れ て、 全 員 が logical
thinking の練習を行ったということです。
それからもう 1 点は、授業評価アンケートについてお尋ねがあったと思うん
ですが、BL3 を再編したのは、匿名の座談会でもうひとつ評判がよくなかった
ということと、満足度もいまいちよくなかったということがあって、急いで変え
第 10 章 外部評価委員会議事録 149
たということがございます。
それから、成果のほうでアンケート事案のご紹介をいたします。
匿名座談会のほうは、昨年度ご紹介したかどうか忘れましたけれども、数字の
アンケート、それから短い自由記述を補うものとして、BLP の全 class で、われ
われには分からない member で、Expressive な member を SA に選んでもらっ
て、自由に話させて、固有名詞は全部業者さんが削除したうえで教員が見るとい
うことをやっております。
それから、バダラッコ(ジョセフ・L・バダラッコ)の『Leading Quietly』
を使ったらどうかというご意見をいただきましたけれども、BL3 でどう扱う
かまだ検討中でして、ちょっと遅いんですけれども、なぜかというと、これは
leadership 固有の問題であるかどうかというところを、もう少し詰める必要があ
るかと思います。
成果に関してですが、授業評価アンケートは、おかげさまで大変好調でして、
ほかの教員のアンケートは見られないというふうに誤解しておりました。それも
見られることが分かりましたので、じっくり見ましたらば、BLP と基礎演習全
class で満足度が 4 と 5 を合わせると 6 割から 9 割です。特に、今年度の後期の
科目はまだ閲覧できないものが大半なんですけれども、今年度前期の BL3-C と
BL4 は驚異的によくて、9 割です。それから、高橋さんにちょっとお聞きした
とき、数字の平均が 4.5 でしたっけ。
○高橋(俊)
:4.9 です。
○日向野:4.9 という非常に高い満足度です。ほかの科目、基礎演習とか BLP というの
は少人数科目なので、大学全体、あるいは経営学部のほかの科目と比べると、大
人数の授業よりは少人数のほうが満足度が高いという傾向はあります。その意味
では BLP は有利であります。
ですが、必修と選択を比べると、選択のほうが高くなり得る position にいる
わけなんですけど、われわれのこの BLP では、基礎演習と BL1 と BL2 は必修
ですから、それでこの数字が出ているというのは、悪くないんではないかなとふ
うに自己評価しています。
それから、匿名座談会のほうです。先ほど申しましたように非常に有用でし
て、個別 class 等 program 自体の問題があるんですけれども、座談会録では幸い
なことにと言いましょうか、program 自体の問題のほうが出てきていますので、
改善に直結しております。
ある class の座談会を見てみましたらば、学生が「正直 BL って、先生関係な
いよね」という発言が出ていまして、これは喜んでいいのか、悲しんでいいのか
よく分からないんですが、要するに時々質問するとか、触媒みたいな存在で、各
先生が中身を class によって違ったふうに扱っていないことの反映ではないかと
150 いうふうに考えています。
次は portfolio でして、これは運用し始めてから minor な修正が相次いでおり
ます。基本的な運用に差し支えはないのですけれども、修正を繰り返していま
す。それから、成績評価や SA 選考には、もちろん早速非常に、有効に使ってい
ます。本格的な利用、つまり一人の学生について、2 年度、3 年度というふうに
たまっていくのが来年度以降であろうと思います。
それから、leadership の計測のほうについて判明したこと。これは先ほども申
しましたが、個人指導のためには使えるんですけれども数に限界がある。それか
ら、成果を測るためには、実行化の方向がまだ見つかっていないので、これを見
つけるのが来年度の課題というふうに考えています。よろしいでしょうか。
マスコミへの掲載ですが、7 月にこういったメディアに。それから『螢雪時代』
などもあったんですけれども、先ほど申しましたように、来年度の client のこと
を広報課を通じて流してもらいましたところ、日経と読売から取材と掲載があり
ましたので、これが一番大きな掲載でした。その後、ベネッセや、河合塾からも
取材がありました。前後して、文部科学省の高等教育局の社会人教育を担当して
いる部門からも問い合わせがありました。
それから、企業からの反応なんですが、問題解決 project、基礎演習と BL2 と
BL4、つまり春学期の client になってくださる企業が非常に増えていまして、2
年ぐらい前と比べると全く様変わりで、こちらから探してお願いするというより
は、場合によっては待っていただいているという状況です。モスフードは基礎
演習、日産自動車が BL2 で、アップルが BL4。それから、こういった会社には
ちょっと待っていただいているといった状況です。
三木さん、どうですか。付け加えることは、大丈夫ですか。
自己評価と具体計画なのですが、全体にまだ diversity management の要素が
不足しています。diversity はいろいろな意味合いで考えられると思うんですけ
ど、性別か、出身地、年齢、専攻、大学の違い、言語文化の違いというところ
まであると思うんですが、この最初のほうは大学入学したてのときは、diversify
されているんですけども、急速に仲良くなってしまって、同質化して、その結
果、2 年生、3 年生と進むにつれて、全然 diversified でない class になってしま
うという傾向があります。
そこで、外側から違う member をわざと入れるといった工夫が必要になるん
ではないかと。実は理学部と試しに授業をさせてもらったのも、そういう試みの
一環なんです。BL4 なので、diversity を確保する工夫を今後も続けたいと考え
ています。
それから、引き続き assertiveness を強化するところで、別の手法などを導入
したいというふうに思っております。
第 10 章 外部評価委員会議事録 151
それから、何度も申しましたが、leadership 計測と、portfolio 使用を系統的に
使っていくことをしなければなりません。それから、専門科目との連携強化も計
画しております。
企業との連携を、せっかく client になってくださる方が増えていますので、こ
の機会に強化しようと考えておりまして、2010 年 7 月に BLP にご協力いただ
いた三つの client を中心に、産学連携の symposium を開催しょうと考えており
ます。今後、企業とどういったかたちで連携を強めるかということを、人事部
方面と marketing 部門と両方ありそうだということが見えてきました。人事部
方面としましては、BLP と関係付けた internship をやってくださる企業が増え
そうだと。それから、先ほどの pilot の例で分かりますように、企業研修を BLP
として試行的に行うことも今後できそうではないかと思います。
それから、marketing 部門のほうでは、こちらは client になっていただくとい
うことが、取りあえず先行しております。
こうした連携を強化すると、かつて産業関係研究所というのが立教の社会学部
にあったんですが、それが企業と連携したのと同じように、leadership 研究所も
この企業との連携の受け皿になるのではないかというふうに考えております。
それから、BLP 教員の補充体制の強化。補充というのは、足りなくなってか
ら補充すると間に合いませんので、実質的に reserve ということは必要じゃない
かもしれませんけれども、急に BLP の class に入るというのは、どういう先生
にとっても challenge なので、代用といいますか、1 回限りで代わりに入ってい
ただいて、お互いに納得したうえで翌年度からフルに来ていただくといったよう
な reserve を設けさせていただくことを始めています。
それから、次は BLP の副査の育成、任用。学部長は退席してしまいましたけ
ども、次の学部長がいらっしゃるので・・・副査を育成、任用したいと考えてお
ります。ですが、これは権限委譲の難しいところでありまして、副査にあたる人
物が本当に takeover してくれるためには、わたしはどこかへ行ってしまったほ
うが効き目があるんじゃないかというふうに考えて、主査たるわたしは、1 年後
に長期出張に行こうというふうに計画しております。
よろしいでしょうか。以上です。
では、ご評価いただく前に何かご質問は、全体的にいかがでしょうか。
○高橋(秀)
:長期出張というのは何ですか。sabbatical ですか。
○日向野:そうです。ちょうどその順番です。
○高橋(秀)
:立教大学は、sabbatical は何年にいくんですか。
○山口:7 年に 1 度です。
○二子石:7 年ですか。この course の卒業生はもう出ているのですか
○日向野:今 4 年生がまさに卒業するところなので。
152 ○二子石:出ていないですね。
○日向野:はい。そうです。
○二子石:実際に企業へ入ったり、組織へ入って、入った先の評価というのはまだです
か。
○日向野:評価はこれからです。楽しみなんですけれど。
○二子石:そういうことですね。希望する学生は増えている感じですか、毎年。
○日向野:受験生ですか。
○二子石:いやいや、この course に。
○日向野:BL の 0 と、1 と、2 は必修ですので、数字で見るとすれば BL1 と 2 で、必修
でない国際経営の学生がどのぐらい来るかということが一つ変動要因です。そ
こは BL2 になってしまうと、国際経営の学生は採りづらくなってくるんですが、
BL1 は今年度も 49 人でしたか、50 人前後志望してくれていまして、それは去
年より多いです。
それから、BL3-A、B、C、特に B と C は定員よりも多く応募があったので、
選考させてもらって、受けられない子も出ています。ただ、その三つの科目はこ
とし新設ですので、去年と比べることはできないです。
それから、BL4 については津吹さん、どうでしたっけ。
○津吹:4 に関しては、ことしの履修者は 28 名。
○日向野:28。
○津吹:ということで、基本的には応募者全員。履修希望は。
○二子石:志望動機というのは、共通したものがあるんですか。
○津吹:BL4 のお話をしますと、履修の段階で一応履修希望書というのを書いていただ
いて、それを検討します。だからその段階でかなりふるいにかかっている、本当
に履修したいものしか出してこないというような filtering がかかっていますの
で、それを見てきっちり検討して、後は過去の成績などを見ながら、そぐわない
というような段階では履修を制限してもらうというような考えでやっておりま
す。
○日向野:BL4 については、この外部評価委員会の議事録を見た方がいつもびっくりさ
れるんですけれど、ぶっちゃけ申し上げますと、BL4 については、私はもっと
学生に大勢来てもらいたいと考えています。
どうして 28 人で全員採ってしまうようなことになっているかというと、学外
に rival があるんです、この type の授業ですと。基礎演習とか、BL1、BL2 の
段階ではないんですけども、3 年、4 年になって、ほかの大学の野心のある子た
ちというのは business Contest に出てきます。立教の中でも BL1、BL2、BL3
ぐらいを終わって表に飛びだそうという子がかなりいて、その子たちは BL4 を
取らないという結果になっているんじゃないかというふうにわたしは思っていま
第 10 章 外部評価委員会議事録 153
すので、外にはない魅力を BL4 が持つようにしなきゃいけないと。その一つが
diversity であったり、他学部、あるいは他大学との連携かなというふうに考え
ています。
さらに将来のことを言えば、英語でやってしまうと。
○二子石:そうですね。本当にそうですね。
○日向野:先生方どうですか。日向野の説明で言い足りないことがあるというところは、
ぜひ補足していただいて。
○二子石:最近、企業のほうでも project に参加してくれるところが増えているというこ
とですけども、それはなぜだと思います?
○日向野:どういう theme をお好みになるかということを見ていると、半分は市場調査
の代わりといいますか、若い人が何を考えているかというのを知りたいというこ
となんです。
ですが、もう一つは、若い人が会社に入ったときに、どういう頭で入ってくる
かということも併せて知りたいというふうにお考えなので、両方の面で連携でき
るかなというふうに考えています。そういう意味で、先ほどの marketing 方面
と人事方面の両方で連携できるのではないかというのと符合しているわけです。
わたしどもとしては、現在では出題のときと、審査のとき、それから中間に、
場合によって質問会に来ていた、その 3 回ぐらいなんですけど、これをもう少
し増やしたり、あるいは学生が、その企業、あるいはその企業の製品、あるいは
その産業をどう考えているかという考えが変わっていく過程を記録していって、
それを企業の方に使っていただくといったような連携もあるかなというふうに構
想しています。
○二子石:そういう企業の needs とか、企業が何を、これからの学生、入ってこられる
人たちに期待しているか。あるいは今こうではないかというふうに思い込んでい
るか。
例えば、communication はもうほとんど携帯だというのは、非常に企業にい
るものからすると、一体そういう communication しか取ってきていないとすれ
ば大変な人たちが来るんじゃないかと。要するに、論理的に何か組み立てて、人
をきちんと筋道立てて話をするとか、そういう能力がもう、瞬発瞬発、単能とは
言わないけれども、そういうような人たちはどんどん増えるということですと、
これは入ってから教育しなくちゃいけないし、大変なことだなとかね。
例えばそういうのを持っている人もいるんですよ。だから、そうじゃないんで
すよと。あるいは、そういう環境が変わっているからこそ、こういう course で、
もしかしたら何もしなければそういう人たちになるかもしれないような人たち
を、教育して出してくれると。こういうような。要するに企業との対話を通じた
役に期待されていくということと、それに対して、(★一語不明)この course で
154 やろうとしていることとの一致している点や、gap があるけれども、そういうも
のを確認していくというのは、単にこういうところに、こういう企画を出して、
学生に体験の舞台を用意するということだけではなくて、何か非常に大事な(★
一語不明)しますよね。
権力とか、そういうものは当然 leadership を伴うんだと思うんです。先ほ
どのご質問にあったように、経営者がここで学ぶような能力を持っていないと
いうのは、僕は当たり前だなと思うんですよ。それは、もう top という権力に
leadership が伴ってしまっているから、ここで学ぶような能力、skill が要らない
んです。ですから、人の話をよく聞くとか、あるいは順序立てて説得していくと
か、presentation するとか、communication を取るとか、そういうのが要らない
んです。
「これをやれ」と言ったら、もうみんながやるわけです。
ですから、会社に入ると、結構 leadership を発揮する場面が多くなりますの
で、問題はそういったかたちで発揮する leadership の結果と、ここで学んでい
るような leadership による結果が違うというふうに思うんですよ。
やっぱり、みんながそうだなと言って参画して、それで一つのことに向かって
共同作業していくところから生まれる performance のほうが、はるかに高いは
ずなんですよ。そういうのが、やはり今、権限、権力のない leadership を学ぶ
一つの大きな unique な視点。
もう一つは、権力とか権限とかいわれるものは、マスコミとか、いろいろな社
会の中で、どんどん落ちているんだと思うんです。もうあっという間に、いろん
な権力の場面にカメラが入っていって、報道されて、社長がテレビに出ていると
思ったら、何人かでそろって頭を下げている姿しか出てこない。これでは、いい
会社に入って上に行って頑張ろうという力にならないですよ。政治に対してもそ
うだと思います。
ですから今の世の中というのは、権力とか、権限とか、もっと言えば権威をど
んどん弱めていっているんじゃないかと思うんです。そういうところから来る
leadership というのは、非常に成果の見えにくい状態になっていると思って、だ
からこそ、こういうベーシックな leadership の skill を身に付けた人が必要なん
じゃないかなというようなことを、きょう聞いていて改めて思います。
○日向野:ありがとうございました。
○二子石:質問ではありませんけれど、すみません。
○日向野:はい。
○二子石:計測とおっしゃいますけれども、leadership の計測って必要なんでしょうか。
○日向野:BLP がどういう教育効果を上げているかということを、大まかにでも把握す
る助けになればいいかなということによって始めたんです。
○二子石:leadership は何のためにあるかというと、ある一つの目標に向かって活動して、
第 10 章 外部評価委員会議事録 155
その成果を見いだすとすれば、その成果で測るというのがありますね。
そ の process で 発 揮 さ れ る leadership を 計 測 す る と い う の は、 そ の 人 の
leadership にはいろんな要素がありますと。例えば、目標とか目的を設定する能
力だとか、あるいはみんなを取り込んで一つの作業に向けて求心力を出していく
能力とか、いろんな能力があると思いますし。その手段として論理性だとか、あ
るいは情熱だとか、communication 能力、これがあるんでしょう。いってみれ
ば、そういう総体の中身があるとすれば、自分は今一体どこが欠けているんだと
いうことを、各自が点検するためには必要かもしれません。
それはやはり、入った当初と、この curriculum を通じて最後に確認するとず
いぶん変わってくるんじゃないかと思いますし。その間に自分で身に付いている
かどうかはともかくとして、人の姿を見て気付くという部分は非常にあると思う
んです。
これが実際に project の議論を通じて、経験を通じて学ぶ部分と、理論的に学
ぶ部分とを合わせて、非常に自分にとってのあれは出てくると思うので、それを
確認するというのはあるでしょうね。
何のために leadership の計測をするかというところが。手段よりもそこをはっ
きりさせたほうがいいんじゃないかと思います。
○日向野:教育目的のほうに重点を置いたほうがいいということですね。各人の点検のた
めにやるんだというほうに重点を置いたほうがいいという。
○二子石:いや。僕はどちらかは言えないと思いますけれども、基本的には、その人の一
人一人を育てる、少しでも leadership の構成要素となるものを身に付けてもら
うということが目的であるとすれば、それを測るというふうに見ておいたほうが
いいと思います。
○日向野:そうすると、全員 interview ですね。
○二子石:だから、それを全員でやるのは無理なんでしょうから、そこは、やり方だと思
います。自分で自己評価するというのもあるでしょうし、group の中で相互評価
するというのもあると思います。
○津吹:すみません。その点を申し上げますと、1 年生から 3 年生までずっと継続して、
最初があって振り返りもあるというのを繰り返していきますよね。そうすると上
位、2 年生とか 3 年生ぐらいになってくると、もう個人個人で、この授業に関し
ては、わたしはこれを身に付けたいに、もうある程度目的を持ってきている子が
結構いるんですね。
今 回 の BL で は、 わ た し は み ん な を ま と め る 力 を 付 け た い と か、
communication 力を付けたいとか、はっきりと issue に書いてきて、最後にも、
わたしはこれをやりたかったけど、実はほかのことが身に付いたけど、まあこれ
はいいやというようなことですとか。これは目的は達成されたからいいだろう
156 と。
それは個々で違うんですけれども、自分なりに leadership の価値観とか、目
的意識というのが割とはっきりしているので、それは周りとの(★一語不明)で
はなくて、個人個人の成長を思うと、それでもいいのかなというような見方をし
ています。
○二子石:先ほど、志望する学生の動機は何ですかと聞いたのが、実はそこが聞きたかっ
たんですけれども、そういうことがはっきりしている人は、やっぱりいいと思う
んですね。そういうのは、何のためにこの course に入ってこられる。気持ちや
目的に何があるかなというのが分からなくて、そういう目的がある人は、僕は、
非常に学ぶものが多いと思います。
○津吹:はい。特に 1 年生の全員履修の class なんかですと、やはり大半は取らされてい
ると言いますか、受動的に履修をする。その中で、じゃあ自分は何をしたらいい
んだろうとかというのになっているのが、大半がいらっしゃいます。その子たち
には、逆にその道を教えてあげるというか、こうやると面白いんだよということ
をある程度与えてあげるところも、1 年生ぐらいの中には必要なのかなと。それ
は project とか、debate とかを通じて、その楽しさというのか、役に立つな、と
いうことを、気付かせてあげるというようなプロセスが必要なのかなと思ってい
ます。
○日向野:はい。傍聴されている方は何かご意見、ご質問ありますか。大丈夫ですか。
それじゃ、外部評価委員の先生方に評価をいただけますか。お願いします。
○高橋(秀)
:去年に引き続いて、非常に現在進行形でどんどん変化されているこの
program を年度末に伺わせていただいて、大変参考になることもあり、大変感
銘を受けております。
やっぱり、日本で最初にこういうことをやることは大変なことですし、途中で
教員の方が亡くなったりとか、いろいろな事態があるわけですけれども、それは
まさに今ここで育っている leader たちが社会に行ったときに起こるようなこと
だと思います。
ですから、そういう中でもって組み替えをしながら、それから、わたしは非常
に有効な方法だなと思ったのは、匿名評価ですか。それを使って、どんどん年度
内での微調整、それから次の年に生かしていくというやり方です。わたしが今ま
で少し関係させていただいた大学にはないやり方だなと。立教大学さんの全体で
そういうことをされているのかどうか、わたしは知りませんけれども、非常によ
いやり方だなと思います。
その考えは、わたしは service 事業をかなり大々的に世界中で立ち上げた経験
から言いますと、日本は極めて大学という事業に対して特殊な見方がある。大学
というのは service 事業であるとわたしは思っているんです。でも、大学の教員
第 10 章 外部評価委員会議事録 157
の方も、それから学校によって違いますが、学長さんも、塾長さんもそういう考
えの方が少ないんです。
でも、もうこれだけ少子高齢化し、日本の position が極めて国際比較におい
て劣化している状況の中で、少ない人数で優秀な、そして国の力をまた隆々たる
ものにしてくれる人を育てるという点からしたら、もっともっと service 事業と
いう見方でもって改革と改善を繰り返すようなことが必要だというふうに思いま
す。
そういう意味で、きちんと評価する努力をされている。かつ、今、日本の社
会、日本の企業が必要とされている人材をつくり出すというご努力に大変評価を
いたしますし、敬意を払いたいと思います。
去年は、白石学部長から「ちょっと評価が甘いんじゃないか」と言われたんで
すけれど、基本的に、innovation とかそういうものがどういう環境から出てく
るかといったら、やっぱりサントリーさんの「やってみながらどんどんやれ」と
いう環境をつくらなければ、新しいことは出てこない。
日本が今の状況にいるのも、「これをやると駄目だ」と評論家、批評家の類は
もう 99% 言います。1% ぐらいしか「やってみなはれ」と言う人はいないわけ
です。
ですから、わたしはべつに甘い点を付けるつもりで言っているんじゃなくて、
新しいことをやっている方に対する敬意としてそういうふうに思いますし、それ
に足るようなことを皆さんはやっていらっしゃるんじゃないかなというふうに思
います。
これは、わたしが外部評価委員として 2 回目の発言なんで、来期に向けて、
次の段階でどういうことをわたしのほうから suggestion できるかというと、わ
たしが今、経験上、global business で、global 企業の中心から全体を眺めた、
経営した経験を持っている人が実際には少ないわけですから、そういうことか
ら、いろいろなところに呼ばれて advice をしております。その立場から今の日
本企業の状況を見ると、極めて危機的な状況にある。アメリカの議会に呼ばれ
て、「一体どうなっているんですか」というふうに糾弾されるような状況です。
それを、1 社の問題として見るのは明らかに間違っていると思います。日本企
業の global 化の戦略、特に組織戦略、人材戦略を見ると偏っております。つま
り、中央集権で、何でも中央にお伺いを立てなければ action が取れない。とい
うことは、local 市場でもって早い対応ができない戦略を採っているわけです。
そういう戦略って、実は 1980 年代の戦略です。もうたくさん有名な論文も出
ていますし、研究も出ているんです。こういうやり方ではうまく対応できない。
特に 21 世紀では。
そうすると、われわれが求めている次世代の leader たちがどういう要件を持っ
158 ていなきゃいけないかというと、単に英語ができるということではありません。
英語ができるのは、これから当たり前の時代になります。ですから、英語の能
力、それから外国人と communication する能力ではなくて、極めて多様な世界、
今まで G7、G8 が G20 になったということは象徴ですから、そういう意味で、
多様な culture、しかも先進国だけでない。
というのは、今までの日本の国際化は、ほとんどは先進国なんです。アメリ
カを向いています。だけど、これから向いているところは BOP(Balance of
Power)です。BOP だし、新興国です。そういう culture、例えばインドみたい
なもの。インドは極めてたくさんの宗教が入り乱れています。それから中国も、
そういう意味では多様性を持っております。そういうところと interaction でき
る人たち、それをどうやってつくっていくかではないかと思います。
そういう面からこの program を見ていくと、私が感じるのは基礎は固まった。
じゃあ BOP であるとか、新興国であるとかというところに行って、活躍できる
ような leader を育てるには、プラスアルファで。わたしはこの中から引き算を
するものは何もないと思うんです。プラスアルファをするものは何だと、そうい
う思考、視点が必要なんではないかなというふうに私は思いました。
それから、もう一つ、実はその keyword になるのが diversity なんです。も
う日向野先生は先にちゃんと予防線を張っておられるわけですけれども、私
は diversity を持ち込む方法は、もちろん立教さんの中でほかの学部の生徒
さんとやるのはもちろん有効な方法だと思うんですけれども、もっと大きく
international にやられたらどうでしょうか。
例えば、BL4 だと思うんですが、あれは確か strategy とか、leadership を実
際に、ビジネス course を実行するような科目だったですよね。そうすると、わ
たしも実は自分の学生たちに応募させたんですけども、スタンフォード大学が
やっているんですけど、Entrepreneurship Week という contest があります。こ
れはもう 1 年中なんですけれども、その contest にこの科目の人たちを組織化し
て、全員で勝負に出るというようなこと。べつにこの contest である必要は全く
ないんですけれども、例えば、それは、もう 50 カ国を越えていました。それで
Entrepreneurship Week というので、ググるとすぐ出てきますから、そうすると
ことしの winner がもう発表されていますけれども、本当にあらゆる idea と実行
力でもって世界中の学生がやっています。
やっぱり、そういうのを見ると、もう目の広がり方って全然違うと思う。しか
も、ものすごく新興国が多いんです、それに。そうすると、中国はさすがに多い
ですけれども、インドもたくさんあるし、アフリカ諸国からも来ています。そう
いうことをやられたらよろしいかと思って、わたしの期待は、ぜひ新興国に打っ
て、欧米諸国に負けないそういう leader をつくっていただきたいと思います。
第 10 章 外部評価委員会議事録 159
以上でございます。
○日向野:ありがとうございました。では二子石さんお願いします。
○二子石:やはり、日本の今の状態というのを見るにつけ、非常に悲観論は多いんだけ
ど、あるいは批評、評論は先生がおっしゃったとおりでする人は多いんだけど
も、本当の危機感を持って何か自分がやらなきゃいけないというような人は、非
常にもう各方面に少ないんじゃないかなというふうに思っています。
例えば、他国を見ても、すさまじい人材育成というか、国際的にも活躍できる
し、いろんな面で優秀な人がものすごくアジア諸国でも出てきている中で、本当
に日本の企業は一番やっぱり、これから耐えるべき、若い人たちがどういう教育
で、どういう人たちが来るか。活躍してくれるのかというのは本当にみんな関心
を持っていると思うんですけれども、そういう中でこれまでにない、こういう試
みをやっておられるというのは、僕は非常に、もうこのこと自体が実は大変と
言っては物足りないですけども、高く評価させていただいているんですね。
ですから、もう理論と実践、この繰り返しの中で人を説得して、一つの目的に
導いていくその力。それから、困難な局面でも、それを突破していく力。結局、
スタートの時点では、会社に入ってもそうですけれども、そんなことできないよ
というのが、理屈や理由をあげる人は山ほどいるんです。でもやろうよと。なぜ
ならお客さんが求めているからということを言う人が、やっぱりいるかいないか
だと思うんですよね。
ですから、そういう局面にも、やはりこう。やり始めると、やっぱりその 1
回 2 回小さな失敗というのも連続してくる。そこでやっぱりやり続けるとか、
改善しながらあきらめないでやっていく力というのも、これは非常に強い basic
な要素だと思うんですけれども、うまくいけば「おれがやった」と言うし、失敗
すれば「あいつがやった」と言う、そういう世界では駄目なんだと思うんです。
ですから、ぜひそういう process で、できるだけ失敗させるとか、ものすごい
強い負荷をかけるとか、そのときに誰がどういう行動を取るかというのをお互い
に勉強させるというのもいいんじゃないかというふうに思いますけどね。
最初の段階では、これはもう恐らくこういう theme でやりましょうというこ
とになるんです。本当はそこが一番大事なんです。何もないところから、こうい
うことを今、世の中では求めているし、お客さんがこういうことを求めているか
らやってみようよというふうに、theme や目的を探し出してくる力というのはす
ごく大事なんですけれども、本当はそこからやったらいいと思うんです。もしそ
れがあれでしたら、途中でそういう負荷をかけて、あきらめずに目的を遂げてい
くという process というのは、ぜひ何らかのかたちでやれるといいんじゃないか
なというふうに思うんです。
いずれにしても、この theme 自体がもう大きな新しい試みだと思いますので、
160 ぜひ、ここから出ていかれた学生さんが実際に会社で、組織で活躍されるという
日が待ち遠しいなというふうに思います。以上です。
○日向野:ありがとうございました。それでは、どうしましょうかね。次期学部長の山口
さん、一言何か。
○山口:はい。ちょっと学部長が別の会議と重なっていますので、先に失礼しました。そ
れで、来年度から学部長を務めることになっています。
それで、経営学部が発足して、4 年たって、ことしの 3 月に初めて卒業生を出
すわけですけれども、振り返ってみてというか、わたしは今、経営学部以外のと
ころの役職をしている関係で、一方で経営学部がやっていることを客観的に見る
こともできまして、大学の中で、先ほどやってみなはれとか、でもやろうよとい
う話をしてもらったんですけど、経営学部自体がやっている教育自体が、立教大
学の中で言うと実はそういう試みでもあると思います。
それで、きょうご指摘いただいた点も、一方で国際経営学科が中心となってい
る英語に基づいて、英語による教育、英語を使う。英語を学ぶんではなくて英語
を使うということに関しては、かなり進んだかたちで project が進んでいます。
そこと、基本的にはたぶん融合することというのが学部の一つの完成形になるん
ではないかと思いますので、きょう特に高橋先生のほうからおっしゃっていただ
いた、international なというところは、今、具体的な計画が進みつつあるところ
だと思います。
きょうはちょっと presentation の中にありませんでしたけれども、具体化を少
し考えていますので、ぜひ前向きに進めていきたいと思います。
今回非常にありがたいかたちで評価をいただきましたので、これで満足するこ
となく頑張っていきたいと思いますので、これからもご指導のほどよろしくお願
いいたします。本日はどうもありがとうございました。
○日向野:ありがとうございました。それでは、これで第 2 回の外部評価委員会を終わ
らせていただきます。ありがとうございました。
(終了)
第 10 章 外部評価委員会議事録 161
■ 第 3 回 経営学部 BLP 外部評価委員会
○日向野:それでは時間になりましたので、第 3 回の経営学部 BLP(Business Leadership
Program)外部評価委員会を開会いたします。
まず、今回の外部評価委員会についてです。
2004 年に白石典義経営学部開設準備室長(のち初代学部長、現立教大学統括
副総長)のもとでリーダーシップを経営学部経営学科のコアにすることを決定
し、2006 年 4 月の学部開設と同時にこの BLP がスタートしました。
それから、ことしで 4 年半たちまして、第 1 期生はもう既に社会に巣立って
おります。その間、BLP も最初の 2 年ぐらいは人も資金も慢性的に不足し、手
弁当でやってまいりましたが、2008 年度から文部科学省の教育 GP の助成をい
ただくことができ、今年から来年にかけては、初めて教材がマイナーチェンジで
済むかなというぐらいの段階に達しました。
しかし、社会の情勢が変化をしておりまして、プログラムはクルージングに達
したと考えるとすぐに追いつかれるところもありますので、イノベーションは引
き続き行っていかなければなりません。と同時に、オペレーションの面で特定の
人物がいなくなるとバッタリというのも、これまた二流のプログラムということ
になりますので、去年の外部評価委員会の最後で申しましたように、今年度の大
きな課題の一つはサクセッション。具体的に申しますと、私が明日いなくなって
も、このプログラムのオペレーションは無事に何とかなっていく体制を、今のう
ちからつくっていくことが目標です。
幸い、来年の 9 月から私はサバティカルでいなくなりますので、それの準備
をいい機会と捉えまして、きょうこれ以降は若手の二人に、進行もプレゼンテー
ションも委ねるつもりです。時々私は、ある分野の一担当長としては再登場しま
すが、実行は彼らに任せています。よろしくお願いします。
○三木:それでは、順番が逆になりましたけれども、第 3 回の立教大学経営学部 BLP の
外部評価委員会を始めさせていただきます。
初めに、きょうの外部評価委員会にご出席されている方々を紹介させていただ
きます。昨年度に引き続きまして、外部評価委員してくださる方のご紹介からさ
せていただきます。まず、株式会社セブン銀行の代表取締役社長の二子石謙輔様
です。
○二子石:二子石でございます。
○三木:よろしくお願いいたします。それから、慶応大学院 政策・メディア研究科の先
生でいらっしゃいます高橋秀明先生です。
○高橋:よろしくお願いいたします。
○三木:立教大学の側なのですが、副総長の白石典義先生です。
162 ○白石:はい。よろしくお願いします。
○三木:経営学部長の山口和範先生です。
○山口:山口です。よろしくお願いいたします。
○三木:BLP 主査である日向野幹也先生です。それから、経営学科長の有馬賢治先生で
す。
○有馬:有馬です。よろしくお願いいたします。
○三木:現在、BL3-A を担当していただいておりまして、来年度は BLP 主査の代行をし
ていただきます石川淳先生です。
○石川:石川でございます。よろしくお願いします。
○三木:BL4 を担当していただいております兼任講師の津吹達也先生です。
○津吹:津吹です。よろしくお願いします。
○三木:同じく BL1 の兼任講師をしていただいている稲垣憲治先生です。
○稲垣:稲垣です。よろしくお願いします。
○三木:経営学部の助教でいらっしゃいます柴田舞先生です。
○柴田:柴田です。よろしくお願いします。
○三木:BLP 事務室の諸橋直美さんです。
○諸橋:諸橋です。よろしくお願いいたします。
○三木:同じく BLP 事務室の船山美紀さんです。
○船山:船山です。よろしくお願いいたします。
○三木:そして、BLP の SA(Student Assistant)として現在活躍してくれています経営
学部 3 年の瀬尾聡太君です。
○瀬尾:瀬尾です。よろしくお願いいたします。
○三木:同じく経営学部 2 年生の三島小百合さんです。
○三島:三島です。よろしくお願いいたします。
○三木:そして、リサーチ・イニシアティブセンターの石原真理子さんです。
○石原:石原です。よろしくお願いいたします。
○三木:キャリアセンターの西澤朋泰さんです。
○西澤:西澤です。
○三木:広報課の近藤泰樹さんです。
○近藤:近藤です。よろしくお願いします。
○三木:理学部から大山秀子先生です。
○大山:よろしくお願いします。
○三木:同じく理学部の栗田和好先生です。
○栗田:よろしくお願いします。
○三木:そして、教務部長の家城和夫先生です。
○家城:家城です。
第 10 章 外部評価委員会議事録 163
○三木:そして、この前にいらっしゃるのが、BLP を担当しております森永雄太先生さ
んです。
○森永:森永です。よろしくお願いいたします。
○三木:今日は森永先生と二人で司会進行を務めさせていただきます三木朋乃です。よろ
しくお願いいたします。
本日の会議の流れですけれども、最初に BLP について簡単に説明させていた
だいた後、本年度の取り組み、それからどのような成果があったのかについてご
説明します。その後、今年度の成果も踏まえまして、来年度以降の課題と来年度
以降に取り組んでいこうと考えていることについてご説明し、最後に、外部評価
委員のお二人に評価をしていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、最初に BLP について説明をさせていただきたいと思います。BLP
については、前年度、前々年度に関しましては、恐らく最初に DVD をお見せし
ていたと思うのですけれども、もう何回も見ていらっしゃると思いますので、今
回は DVD ではなくて、こうして文字というかたちで確認させていただきます。
こちらにありますように、BLP(ビジネス・リーダーシップ・プログラム)
は、目的として権限のないリーダーシップを涵養する。そして、経営学部で開講
されています専門科目との相乗効果を図るということで、この前輪と後輪をうま
く回していくことを目標としてやっています。
具体的なプログラムの内容、達成方法としましては、前期に、グループ単位で
グループワークをしてもらって、リーダーシップについてアクションラーニング
をしてもらう。問題解決プロジェクトを行って、リーダーシップを身に付けても
らうプログラムになっています。そして、後期は、主にスキルを強化する教科に
なっております。この前期と後期を繰り返すことで、リーダーシップを段階的に
学んでいってもらうと。
その達成のための体制と書いてありますが、こちらは特に変更はなく、こうし
たポートフォリオのようなシステムを使って運営しております。今、ご説明した
ものとかぶるのですが、カリキュラムを図示すると、このようなかたちになって
おります。この春学期、前期は問題解決型のプロジェクトを行って、後期にはス
キル強化の科目を行って、きれいに分かれて授業を運営したのは今年度が初めて
でして、うまく段階的に学んでいく体制がようやく整った感じになります。学年
ごとに上がっていって、どんどん高度なものを学んでいく内容になっておりま
す。
では、具体的に今年度の取り組みについてと、成果について発表させていただ
きます。今年度は、問題解決型のプロジェクトのほうは、クライアント様に非常
に恵まれまして、プロジェクトは、基礎演習と、BL2 と、BL4 と三つ走ってい
たのですけれども、それぞれクライアントさんが結構有名なところですので、一
164 つずつご説明させていただきます。
お手元にあるものに加えまして、写真を加えて内容が分かるようにさせていた
だいております。まず、1 年生向けの基礎演習という授業が前期に行われたので
すけれども、こちらのほうは、株式会社モスフードサービスさんにご協力いた
だきまして、
「20 歳前後の顧客を取り込むには」というお題をいただき、問題解
決型のプロジェクトを行ってまいりました。ことしは 1 年生が、373 名おりまし
て、18 クラスに分かれて、このお題に取り組んできました。
今年度の初めての取り組みとしては、こちらに書いてあるようにアンケートの
実施を行いました。これは、モスフードサービスさんがちょうどこの年代の人た
ちをターゲットとしたいということもありまして、アンケートを実施したいとい
うことでした。今までにない取り組みだったのですけれども、アンケート結果
は、実際に学生がこのお題に取り組むにあたってデータとしても使えまして、自
分たちの主張を裏付けるのにこうしたデータが役に立つのだということを、身を
もって学べたのではないかと思います。
それから、専門科目との教科ということですが、幾つかの授業、経営と社会と
か、マクロ経済などで、このモスについての話題を取り扱っていただきまして、
学生からは、専門科目とビジネス・リーダーシップ・プログラムとの連携につい
て理解できた、という声もありました。
また、モスフードサービスさんには非常にご協力いただきまして、最初にお題
を発表していただくだけではなくて、中間報告のためにもご来校をいただきまし
たし、最後の本選にもご来校いただき、非常に積極的に参加していただきまし
た。最終的に、優秀な発表を行った班は本社に行きまして、モスフードサービス
の社長様の前でプレゼンを発表させていただきました。こちらがそのときの写真
です。
では、次、BL2、2 年生向けの授業について、森永さん、お願いします。
○森永:BL2 についてご説明させていただきます。BL2 は、先ほどの図にもありました
とおり、2 年生の前期を対象とした科目になります。先ほど説明のありました基
礎演習とは違いまして、経営学科の学生は自動登録というかたちで自動的に履修
するかたちになるのですけれども、国際経営の学生は選択して自発的に履修する
科目になります。
今回は、こちらにありますとおり、クライアント企業といたしまして、日産自
動車株式会社様をお迎えしまして、
「若者の力で電気自動車を普及する」という
テーマで、問題解決プロジェクトを行わせていただきました。
ちょうど、日産自動車様のほうで EV を発売する、あるいはそこに向けてプロ
モーションをしていくという非常にタイムリーな時期でもありましたので、学生
としては普段ニュースで流れている情報とか、そういったものを自分なりに整理
第 10 章 外部評価委員会議事録 165
して考えていく。そういった非常に臨場感のある科目になったのではないかなと
考えております。
具体的に日産自動車様ともかなり濃密なお付き合いをさせていただきまして、
最終的な報告だけに来ていただくわけではなくて、各クラスのほうに 2 度 3 度
と、日産自動車様の方がお越しくだいまして、学生たちの中間発表に対して、厳
しくご指導いただくというようなことで、1 回できてきたものを、つくり直す機
会を何度か経て、最終報告までもっていくような機会になったと思っておりま
す。
BL2 のほうでは、ことしは、いわゆる資料として出てくるものを客観的に分
析をして提案するだけではなくて、自分の日常とか生活を内省してみて、若者の
力で自分たちなりに何かプロモーションをするにしても、「アクションにつなげ
ていこう」「自分たちの生活とか感覚に引き付けて考えましょう」という目的を
持って取り組みました。そういった点でも、少し基礎演習から発展させていくよ
うな取り組みが、学生には求められたのではないかと考えております。
最終的には、こちらにありますとおり、最終報告に残った学生のプレゼンテー
ションを日産自動車様の本社で一度、マーケティングの方とか、開発の方とかに
入っていただきましてブラッシュアップした後、取締役の方たちの前でプレゼン
テーションをすることになりました。
また、日産自動車様の場合は、エグゼクティブクラスの方の中には英語でない
と理解していただけない方々もいらっしゃいますので、最終報告ではなるべく英
語を使って発表をしましょうというかたちで、スライドなどにも英語を併記する
かたちで発表をさせていただきました。
今回はさらに、それらの提案の中から一つ、実現に向けて実際にやってみよう
というかたちで、現在もプロモーションを実行に移すプロジェクトを継続させて
いただいております。これが、来年の春ぐらいには実現するのではないかという
かたちで、継続させていただいている部分もあります。
○三木:今、説明のあった BL2 と、私が説明した基礎演習は、どちらもクラス数が非常
に多くなっていまして、去年までは、皆さんが授業で使う統一のスライドをでき
るだけ早くつくってしまうことが課題だったのですが、今年度に関しましては、
ことしの 2 月の時点で、すべてのスライド 13 回分をつくってチェックする作業
ができましたので、そういう意味では、去年からの進化もあったと考えていま
す。
そして BL4 は、3 年生以上が履修できる問題解決型のプロジェクトです。こ
ちらは、現時点で BLP の最終的な最後に設けられている授業ですので、集大成
ということで、経営学部で学んできた専門知識と、身に付けてきたリーダーシッ
プを使って新たな価値創造をしていくという目的の下、具体的には新規事業提案
166 をするプロジェクトを行ってまいりました。
こちらもクライアントさんがいまして、基礎演習に引き続きましてモスフード
サービスさん、そして、X 社に協力いただいて、プロジェクトを行ってまいり
ました。2 社合わせて三つの事業提案のワークをしたので、学生は疲れたかなと
いうところも少しあったのですけれども、去年はクライアントさんがいない状態
で新規ビジネスを提案しようとやってきて、ことしはクライアントさんも入れて
新規事業提案をやってみたので、非常に学生の意欲も高く、充実した授業になっ
ておりました。
この件に関しましては、ちょうど BL4 担当の津吹先生がいらっしゃるので、
何か補足されたい点があれば、よろしくお願いします。
○津吹:そうですね。アドリブで振られると緊張します。
テーマとして、BL4 の一番違うのは、新規事業というところになるかと思い
ます。基礎演習の BL が、ある程度土台がありまして、それに対して解決方法を
考えるものに対して、BL4 は真っ白けなキャンパスにどうやって絵を描くかで
す。3 年生以上ということで、ゼミとか専門科目で学んでいることが結構多いの
です。ただ、それが、人によってそれぞれ違うという中で、真っ白けなキャンパ
スにどうやって絵を描くかということで、困りながらも解を出していくプロセス
になりましたので、割といい感じだったと思います。
結果的に出てきた(★一語不明)絵が、赤いグラフの(★一語不明)さまざま
なのですけれども、おしなべて質の高い評価がいただけまして、今期に関してい
えば、それを簡単にやるということで、
(★一語不明)。
○三木:ありがとうございます。今までご紹介したのは、ことしの前期に行ってきた授業
でした。BL1、1 年生の後期に行う授業に関しても、現在進行中なのですが、ご
報告お願いします。
○森永:BL1 の説明をさせていただきます。
BL1 は、こちらにクライアント企業といたしまして、東京電力様と、日本経
済新聞社様をお招きいたしまして、特に日本経済新聞社の新聞記事等々を使わせ
ていただきながら、東京電力様のこういったお題、「東京電力は太陽光発電を含
むオール電化関連機器のプロモーションをすべきかどうか。すべきである」とい
う論題に対して取り組んでいくかたちで、学生たちはディベートをしていく授業
内容になっております。
今年度大きくカリキュラムを変えたものとして、この BL1 が挙げられます。
と言いますのは、昨年度までは比較的ディベートを学習しましょうというかたち
で、ディベートのルールといったものを学んでいく点に比較的重点を置いていた
のですけれども、今年度は BLP の中でのリーダーシップ育成という点とのつな
がりを強く意識するということで、ディベートを通じて主張の方法を学ぶ、自分
第 10 章 外部評価委員会議事録 167
の意見を主張していくこと、あるいは論理的に主張すること。こういったものに
フォーカスして授業を行っていこうというかたちで、大きくかじを切った取り組
みを行いました。
具体的には、課題を課しているわけですけれども、その素材を用いながら、ほ
ぼ毎回の授業で、グループの中で、あるいはグループ間でミニディベートを行う
という意味で、昨年よりも、実際にクラスメートと議論を戦わせる、ディスカッ
ションを行う機会を大幅に増やしております。
それから、今、開講している講義でありますので、成果とか課題に関しては、
今学期終了後ヒアリングをするかたちになろうかと思います。
これも今後ということではあるわけですけれども、今年度、幸いなことに 330
名以上の履修者がおりまして、非常に人気科目にはなってきているのかなと思っ
ております。そういう意味では、今後どういうかたちでクラスを運営していくの
か、人数の調整等々も含めて考えているところであります。
○三木:今は、主にクライアントさんが付いている授業についてご説明させていただいた
のですけれども、そのほかに、後期に開講しております BL3-A、BL3-B という
授業もありますし、前期に開講しておりますロジカル・シンキングを中心とした
BL3-C という授業もあるのですが、こちらにつきましては、基本的に前年度と
同じ内容でことしも進めております。
今ご説明した問題解決型のプロジェクトに関して、こうした授業にどのような
評価があったかについてご説明します。まず、学生からの評価は、授業評価アン
ケートを大学が行っています。こちらは数字で表されるのですけれども、おおむ
ね評価がよい結果になっております。
それぞれの授業については、学生の名前を教員が分からないようにして座談会
を開いて、いろいろ意見を聞いていますが、そちらのほうも、特に大きな問題は
ないという結果になっております。
具体的には、基礎演習に関しては、今回モスフードサービスというクライアン
トさんが付いていましたけれども、このクライアントについては非常に評価が高
く。というのも 1 年生は、高校生からようやく大学生になったばかりで、あま
り多くの企業を知らない。そういう中で、モスフードサービスは非常にとっつき
やすく、取り組みやすいお題であったという評価がありました。マクドナルドで
はなくて、逆にモスフードだったということも、いろいろ考える余地があってよ
かったというふうに、非常に高評価だったのが印象的でしたので、また来年度の
クライアントの話もこの後ありますが、こうしたクライアントを選ぶ基準という
意味でも、何らかの方向性が見えてきたように思います。
BL2 に関しても満足度は高かったのですけれども、クライアントさんに関し
ては非常に満足度が高かったのですが、授業の内容、プログラムについては、若
168 干改善の余地があるかなという意見がありました。ゴールがちょっと見にくいと
いう意見が学生からありましたので、この辺については、来年度以降改善してい
こうかと思っております。
BL4 に関しましては、授業評価アンケートで、学生からの満足度が満点の 5.0
をいただきまして、これまでの BLP の授業で最も高いものとなりました。逆に
これがプレッシャーになって、来年度以降どうしようかということで、また新た
に挑戦をしていきたいなと考えております。
それから、教員からの評価ということで、今年度行ったスライドとか、授業内
容に関して振り返りをいただいているのですが、基本的にはマイナーチェンジを
するということで対応できそうです。
それから、クライアントさんが、われわれの BLP に対してどういう評価をし
ているかに関しては、次のスライド、シンポジウムのことと合わせてご説明した
いと思います。
今年度はクライアントさんに恵まれたということで、これをぜひ何かに活か
せないかということでシンポジウムを開催いたしました。ことしの 7 月に、「産
学連携によるリーダーシップ開発授業、日産自動車、モスフードサービス、立
教大学経営学部 BLP」ということで、前半と後半に分けて、前半は、基礎演習、
BL2 の優勝チームによる発表を行いました。後半は、クライアントさんとこち
らの教員が参加をしまして、座談会を行いました。
その際に、モスフードサービス、日産自動車の方から、このプログラムから得
たもの等々について、いろいろご意見をもらいました。その内容につきまして
は、お手元に配られていない方もいるのですが、こちらの「企業のリーダーシッ
プ開発に関する調査報告書」の中に、このときの座談会の内容をテープ起こしし
たものが載っております。
後で目を通していただきたいのですけれども、そちらを要約しますと、モス
フードサービスさんも、日産自動車さんも、若者をターゲットとしてビジネスを
していきたいという思いがあって、今回こうやってご協力をいただいたのですけ
れども、正直、最初はそれほど期待もしていなかった、学生の声が聞ければいい
かなぐらいに思っていたところもあったそうです。けれども、実際にわれわれと
関わって、学生の中間報告に来ていただいて、発表を聞いたりしていく中で、学
生がどんどん成長していって、企業の皆さんが思い付かないような斬新なアイデ
アとか、切り口を持っていることに気付いて、非常に成果があったと言っておら
れました。
モスフードサービスさんのほうは人事の方、日産自動車さんのほうは商品企画
本部の方に、最初は関わっていただいたのですけれども、このプロジェクトを進
めるにあたって、ほかの部署の方がどんどん協力してくれるようになったと。1
第 10 章 外部評価委員会議事録 169
回学校に来ると面白いねということで、またほかの部の方が来てくださったりと
いうことで、社内の中でも、大学と取り組んでいることをどんどん評価していた
だき、輪がどんどん広がっていったという意味では、社内の活性化という意味で
も非常にためになったと言っておられました。
次に、前期にリーダーシップに関しましてアンケートを行いましたので、その
ことについてご説明させていただきます。
○森永:先ほどご覧いただきました冊子の「リーダーシップ開発に関する調査報告書」で
す。われわれは、産学連携というタイトルを用いてシンポジウムをさせていただ
きましたけれども、より企業様との結び付きを強めていきたいと考えておりまし
て、企業の方々が実際にリーダーシップをどのように捉えられているのか、ある
いは、リーダーシップを育成するために社内でどういった取り組みをされている
のかを把握させていただいて、われわれとしても連携を視野に入れて、それを教
育、BLP の充実に活かしていきたいという目的で、質問票調査を実施させてい
ただきました。
平成 22 年の 7 月に実施しました。こういう調査によくあることなのですけれ
ども、回収が困難であったわけですけれども、最終的には 100 件程度のご回答
をいただきまして、調査報告書を作成することができました。
内容をかいつまんで申します。今、多くの企業で、リーダーシップを発揮して
もらいたい、それも、管理職の方だけではなくて特に役職がない方でも比較的早
い段階から積極的にリーダーシップを発揮してもらいたい、と考えられている企
業が、われわれの予想以上に多いことが分かってきました。それから、若手の社
員に対しても、リーダーシップ開発の取り組みをかなり早い段階でされているこ
とが分かってきました。そういったものに関しても肉薄していくような教育に、
われわれが進めていければいいのかなと考えております。
併せまして、今回の調査をするにあたりまして、「今後、われわれは、各社の
取り組みについてヒアリングをさせていただくことはできますか」という質問を
させていただいているのですけれども、非常に多くの企業から「来てください」、
また逆に、
「われわれの BLP の取り組みについて聞きたい」というようなご回
答をいただきましたので、そういった企業様とも、今後コネクションを深めてい
ければいいかなと考えております。
引き続きまして、事業支援体制に関してお話をさせていただきます。
昨年度から、徐々に構築してきた体制ではあるわけですけれども、きょうも来
てくれています授業の各クラスの担当教員のアシスタントを、SA というかたち
で学部の学生、基本的には 1 学年上の学生にしてもらっているわけです。そう
いったときに、アクションラーニング、質問を中心に運営していく会議を用い
て、SA の研修を行っております。今回、2010 年 2 月に本格的導入の 1 回目と
170 いうかたちで実施いたしまして、その後、2010 年に 9 月に、それから、これは
今後の予定になりますけれども、2011 年の 2 月に第 3 回目を実施する予定をし
ております。
本学の中で、コーチを育成し、学生たちに直接、教員のほうから指導できる体
制をなるべく構築していこうということで、今年度、以前から資格を取得されて
いた日向野先生に加えて、三木と、森永が取得して 3 名体制になりましたので、
SA も非常に大人数になってきておりますので、その大人数に対応するようなか
たちで実施していけるのではないかなと考えているところです。
今回は、実際に質問会議の研修を受けた SA が出席してくれていますので、彼
らがそこで受けた経験、研修の結果をどういうかたちでクラスで実施しているの
か、どういった感想を持っているのかという意味で、少し話していただこうと
思っております。
では、瀬尾君からお願いします。
○瀬尾:経営学部 3 年の瀬尾と申します。よろしくお願いします。
私が質問会議をして学んだことと申しますと、率直に人は質問する、されるこ
とを通して、深く問題を掘り下げることができるのだなということに、改めて気
付くことができました。それを実際の業務に落とし込むときに、受講生によりよ
く集中できる環境をつくるためにはどういうことを行えばいいのか、その問題点
を出すために、受講生や、僕ともう一人 SA をやっているものと質問し合うこと
によって、問題を認識し、改善策を見いだすことができました。
その具体的な例を申し上げます。僕が今現在進めている BL3B は、58 名の受
講者がいまして、教室がいっぱいになるぐらいの人数なので、名前を覚えるが大
変で難しい、それだとコミュニケーションが取れないという問題があったと考え
ました。そこから、同じ活動をしているもう一人の SA と、「どうして名前を覚
えなきゃいけないのとか」という根本的な質問を投げかけてもらい、改善策を実
際に見いだしました。その改善策は、事前に写真を提出してもらって、名簿をつ
くって、授業の初回に受講生や先生方に配布するというものです。
以上のように、質問会議の経験を通して、業務に活かすことができたと考えて
おります。以上です。
○森永:ちょっと補足ですが、瀬尾君には 3B の科目を担当していただいていまして、60
人ぐらいのクラスで、基本的に 10 グループぐらいのグループワークをしている
ところに、彼らが巡回しながら、疑問を投げかけたりしていくようなかたちで進
めている授業になります。
次は、三島さんにお願いしたいのですが、三島さんは、基礎演習と BL1 の
SA を担当しています。BL1 も、0(BL0 基礎演習)も、4、5 人のグループで
グループワークをしている科目になりますので、そういうところに彼女たちが関
第 10 章 外部評価委員会議事録 171
わっていくような形態になっております。
では、三島さん。
○三島:経営学部 2 年の三島です。
私は、質問をしてもらうことで気付いたのですけれども、自分が普通に考えて
いるだけでは思い付かないようなことを、質問されることによって気付くという
のが、一番感じたことです。
それを、授業中では、質問されたときに逆に質問で返すことを意識していま
す。そうすると、自分たちで考えているだけでは思い付かない発想とか新しい視
点とかを、質問されることによって「あっ」というふうに思い付いてもらうの
は、よく見掛けられます。なので、直接答えを言うのではなくて、導き出せるよ
うな質問の仕方を心掛けて、いつも授業に臨んでいます。
答えを言うのではなくて、まず質問を投げかけるのは、それで学生が気付いた
嬉しそうな顔を見るのも、すごく毎週楽しいので、そうするようにしています。
以上です。
○森永:はい。ありがとうございます。
瀬尾君が言ってくれたみたいな、素朴な疑問を表出していきましょうとか、三
島さんが言ってくれたみたいに、教員も含めてなのですが、学生から質問があっ
たときに、ついついわれわれは答えを言いたくなるのですけれども、そのときに
言わない。言わずに、どういった質問をしたらいいのかも含めて、質問力を高め
ることも一つの研修の課題といたしまして、取り組んでいるところでございま
す。
SA の研修に関しては以上になります。
○三木:続きまして、授業の支援態勢に関してなのですが、ポートフォリオにつきまし
て、日向野から説明いたします。
○日向野:ポートフォリオ担当の日向野です。
学生の提出物を毎回蓄積していくという意味でのポートフォリオは、3 年目に
なります。今年度新しく始めたこととしまして、学生が望めば自分のポートフォ
リオを学外の特定個人に公開できる。公開といっても特定ということなのです
が、具体的には、特定の人のメールアドレスを入れると、そこにポートフォリオ
を一覧できる URL アドレスが届くシステムです。これを今テストランしている
ところであります。
なぜこれを導入したかと言いますと、現実的な面で申しますと、就職活動のと
きに、自分の 4 年間(実際には 3 年ちょっと)の勉強の成果・履歴を、履歴書
よりも詳しく、しかもタイムスタンプ付きで、将来の教育としてはフィードバッ
ク付きで公開することができれば、単に成績が S とか、A とか、あるいは(★
一語不明)ということだけでなく具体的にその学生のことが分かってもらえるの
172 ではないかと考えたからであります。
これは、大学が学生の個人情報を学外に通報しているのではないかという誤解
を時々受けるのですけれども、そうではなくて、今申し上げたように、学生が自
分の選択で自分のポートフォリオだけを通知するという機能であります。これ
は、広い意味で言いますと個人情報でもありますので、前回、高橋委員がおっ
しゃったように個人情報が学内にたまっていくリスクも考えてございます。そこ
で、そういうリスクを一番下の隠してあるところに通じるのですが、そういうリ
スクに対しては対策を考えております。
一つの選択肢として、クラウドに移行して、移行しても移行先にリスクはある
のですけれども、その管理については、大学の学内のサーバーに置いておくより
も、クラウドの専門家に任せたほうがいいのではないかということを、今検討中
で、その結果はたぶん今年度中、あるいは来年度中に出るのではないかと考えて
おります。
以上です。
○三木:続きまして、こうした BLP の活動が外部からどのように評価されているかとい
うことです。こちらにありますように、ことしだけでもこのぐらい取り上げてい
ただいているのですが、一部につきまして、コピーしたものを配布しておりま
す。
『蛍雪時代』に掲載されたものと、『AERA』、『VIEW21[高校版]』の三つ
がお手元に配られていると思います。お目を通していただければと思います。こ
うしたかたちで、BLP について就職に有利とか、授業の体制について評価して
いただいている状態です。
それから、最後に「近日」と書いてありますが、河合塾が開催しております大
学の教育に関するシンポジウムにて近々発表を行う予定で、こちらに関しても、
何らかのかたちで掲載されることになっております。
それから、今のは外部による評価でしたけれども、こちらの活動を外部に発信
する活動としましては、恐らく皆様のお手元に届いていると思いますが、『BLP
通信』を発行しまして、どういう活動をしているのかについて広報しておりま
す。今年度は 4 月と、7 月に『BLP 通信』の 5 号と、6 号を発行しています。今
年度の後期に行っている授業内容に関しましては、1 月に 7 号を発行してお知ら
せさせていただきます。
そのほか、先ほど、写真がいっぱい掲載されていましたけれども、ああいう写
真とともに、どういう活動をしているのか、それから、企業さんに訪問させてい
ただいたというような情報は、ホームページのほうにも随時載せております。
それから、Twitter を利用しまして、こうした記事が更新されたという情報を
配信しております。
それでは、今年度の活動を踏まえまして、次年度以降の課題と試みについてご
第 10 章 外部評価委員会議事録 173
説明いたします。
○森永:課題の一つ目です。
今年度は、クライアント企業様のご協力もございまして、学生の側からの評価
はおおむねよかったのではないかと考えております。そういったことから、逆に
履修希望者数が増加してきている傾向がございます。そうしたときに、例えば日
産自動車様とさせていただきました BL2 であれば 237 名ということで、一クラ
ス当たりのサイズが少し大きくなってしまって、一クラスの中でグループ数も増
える現象が起こってきたり、同じことが BL1 でも生じているということが指摘
できるのかなと考えております。
そういう意味では、ありがたいことではあるわけですけれども、一クラス当た
りのサイズを少し減らしていこうと。クラスの数を増やして、一クラス当たりの
人数を減らすことを検討しております。
例えば、2012 年度より、BL1 のクラスが 10 から 12 クラスに増えるというこ
ととか、BL2 のクラス増加も検討しています。また、今年度後期に開講してお
ります BL3B に関しましても、一クラスが 58 名で運営しておりますので、でき
ればこれを二クラスぐらいにすれば、30 名弱のクラスサイズになるのではない
かと考えております。
これは、フリーライディングの問題に関しても対応したいと考えているからと
いう理由もあります。もちろん、フリーライダーに、どう対応していけばいいの
かというのは難しい問題ではあるわけですけれども、グループの人数を限定して
グループの中で全員が協力しないといけないカリキュラムづくり・仕組みづくり
と併せて、クラスサイズを小さくして、教員の目が行き届きやすい、SA からも
頻繁に関わっていける環境をつくることで、フリーライディングの問題に対応し
ていきたいと考えております。
二つ目の課題といたしましては、継続的に企業様との連携を深めていきたいと
いうことで、われわれは取り組んでおります。先ほど申し上げましたリーダー
シップ開発に関する調査報告書等々を通じて、クライアント様、あるいは企業様
との結び付きを強くしていきたいと考えているということ。それから、先ほど
の BL2 のところで触れましたけれども、実際に学生の提案で終わらせるのでは
なくて、プロモーションまで実現していくところまでもっていくという取り組み
も、新しい取り組みとして、しておりまして、そういったかたちで、より強い結
び付きを求めていこうと考えております。
来年度以降のクライアント等に関しましては、日向野から、よろしくお願いい
たします。
○日向野:来年度以降のクライアントについては、まさに今交渉中でありまして、学年に
よって、学生のモチベーションが上がるような企業をとにかく充てたいという一
174 方、それがすぐには見つからないという状況もあるのですけれども、2 年、3 年
前に比べますと、大学のほうからコンタクトを取らずに、先方から来てくださる
例が非常に増えていますので、その点はずいぶん楽になっています。
このクライアントは、問題解決プロジェクトの問題出題者、審査者になってい
ただく以外に、企業研修の面でもコラボレーションができるのではないかと考え
ておりまして、それを試験的に、小さなサイズで企業研修をお手伝いするような
こともしております。
その意図といたしましては、特に企業の若手の研修を経験しますと、「この年
齢になってからするのではなくて、学部のときにやっておけばもっとよかったの
に」というスキルが見つかるのではないかと考えています。だから、そういうこ
とはどう思われるかについても、企業の方にご意見を伺える機会になると思いま
す。将来的には、教材を共同開発するとか、企業研修の専門家の方をお招きして
授業をやっていただくといったことも考えています。今、現状でも、BLP の中
には、企業研修のご経験のある兼任講師の方が大勢いらしていますので、その方
向をますます強化するということであります。
続けて、資金についてですが、文部科学省の教育 GP は今年度中に終了しまし
て、4 月からは文無しになるのではないかと心配しておりましたが、幸い立教大
学の中の GP に応募して採択されましたので、4 月からも、学内の支援を得てこ
のプログラムでイノベーションを続けることができます。それから、学部からの
資金的な支援も強化されることになりました。
それに加えまして、今年度の経験からしますと、クライアント企業さんにとっ
ても非常に大きなメリットがあるプログラムですので、寄付などの資金援助をお
願いできるのではないかなという感触を持っております。これはまだ実現してい
ないのですけれども、この答えも近いうちに出るのではないかと、来年度の委員
会ではご報告できるのではないかと考えております。
それから、スライドにないのですが、BLP と学部の今後の長期的な教育方針
との関係についてです。先ほど、BL1 は、経営学科については必修で、国際経
営学科については選択であるにもかかわらず、150 人中 110 人が希望するとい
うふうに膨れ上がっておりまして、国際経営学科でもこの BLP に対するニーズ
があります。逆に、経営学科による学生でも留学することがありまして、英語の
授業に対するニーズがあるというわけで、意欲的な学生については学科をまた
がった履修へのニーズが強いので、それを邪魔しないと申しますか、容易にでき
るような体制づくりが、学部としての課題になっています。先ほどのクラス増だ
けではなくて、2012 年からのカリキュラム改革についても、そういった障壁を
下げる方向での作業が進んでいます。
申し忘れましたが、最近、国際的な学生ビジネスコンテストで、もちろん英語
第 10 章 外部評価委員会議事録 175
によるコンテストなのですが、相次いで大きな賞を経営学科の学生がいただきま
した。Retail Futures Challenge 2010 というベルリンでの国際的なコンテストで、
経営学部のチームが、世界の各国のチームを抑えて優勝しました。それから、オ
ハイオ州立大学 CIBER ケースコンテストでは、ほかの大学の学生と組んだ経営
学部のチームが準優勝しました。英語で行われているので BLP と関係ないと思
われると、私としては困るのでして、彼らのインタビューによれば、BLP で行っ
たプレゼンテーションとか、リーダーシップの経験が非常に役立ったと皆言って
くれていますので、最も意欲的な学生たちは、両学科の教育サービスを両方うま
く使ってくれたのではないかと考えている次第です。
それから、最後に付け加えますと、先ほど SA の研修の話がありましたが、こ
れは SA だけではなくて、有志の教員も巻き込んでおりまして、教員に対する研
修というのも、教員自身が外部の研修に行ってスキルを得ると同時に、それを学
内に持って帰って、教員をお互いに研修し合うことも、既に 1 年前から実行し
ております(教員同士の相互研修自体は 5 年前の学部開設準備室時代から行っ
ております)
。今後は、学部のご支援を得て、その体制も強化もしていけると考
えています。これについて学部長から何か、お願いします。
○山口:今、日向野から説明がありましたけれども、特に教員の研修に関しましては、教
員の教育力向上ということで、このプログラムだけに関わらず、きちんと予算化
して、教員の研修費用を学部のほうできちんとまかないます。
それからもう 1 点、予算のことがありましたので。
文部科学省の GP がなくなった後に、このプログラムをどう支えていくかに関
しては、立教 GP についてのところは新たな部分の開発になりますので、既存の
部分については、学部のほうで持っている予算をそちらに投入してということ
で、今年度までは教育 GP を二つ学部の中で抱えていますので、両方を支えてい
かないといけないという財政的にはかなりきついところがあるのですけれども、
その部分については、学生のほうにも一部負担をお願いして、来年度は実験料の
アップをします。そういうことも含めて、きちんと支える体制にあります。
それで、新たに立教大学の GP のほうは、ネクストステップを開発していただ
くことに焦点を当てて、来年度のところであった、ここにまだ書かれていない部
分が幾つかありますので、それを立教 GP の中で実現されて、来年度以降こうい
う場でまたご報告ができるのではないかと思います。その分のところが、立教
GP のお金になるかと思います。
ですから、教員研修と、既存の部分のプログラムの推進については、学部とし
ても資金的なサポートをきちんと行うというのを、今年度中の教授会で確認する
予定です。
○三木:それでは、今年度の取り組みと課題、それから来年度以降の試みについて発表さ
176 せていただきました。これらのことを踏まえまして、外部評価委員のお二人から
評価、もしくは質問等がありましたらいただければと思います。
また、学生がいますけれども、彼らは SA としてだけではなく、一部の授業に
つきましては受講生でもありますので、その受講生の声もお聞きになりたいとい
うことでしたら、お聞きいただければと思います。よろしくお願いします。
では、二子石様から、よろしくお願いします。
○二子石:二子石でございます。何か縁あって、第 1 回から出席させていただいてしま
いまして、毎回充実していっているなという印象を受けました。
私の役割として、実際にビジネスをしている立場で、どういった学生に社会に
入っていただいて、今後どういう人に育っていってほしいか。あるいは、前回も
申し上げましたけれども、ここで学生の皆さんが討議をしたり、いろいろ協力し
て結論を出していくプロセスは、恐らくわれわれにとってのビジネスそのもので
ございます。そういう中で、基礎的な部分をしっかりと身に付けて就職されると
いいなと思うので、そういう観点から気付いたことをアトランダムに申し上げま
す。
まず質問会議というのがあったということですが、これは、実際にそういう場
に行く前に、SA の皆さんに対して質問を投げかけて、学生とのやりとりの事前
の勉強をしてもらうということでやっているわけですか。
○森永:そうです。今回の例えば 9 月に行った理由を申しますと、後期科目が始まる前
に、あるいは始まって直後ぐらいの段階で、そういった研修を受けてもらって、
クラスの人たちにどういうかたちで質問をするのか、あるいは、質問していくこ
とが、一つの方法としていいのではないかというようなことを分かってもらう、
あるいは体験していただく機会にしております。
○二子石:これは非常にいいと思うのです。実は私も、質問責めに最近あうばかりでし
て、IR にしても、何にしても、マスコミの人にとにかく質問を受けるのです。
それとはちょっと違うのですが、質問というのは、やはり人間が自分で考える
きっかけを与えることになるのです。逆に、質問してくるほうはすぐ答えを求め
て質問してきますけれども、そうではなくて、それをまた質問で返すと言われ
ました。「いや、あなたが先に自分の考え方をまとめてごらん」というかたちで
リードしていくことによって、まず考えさせる。考えさせたうえで、自分なりの
結論を導き出す組み立て方をぱぱっとやる。最後に、どうやったら相手に分かっ
ていただけるかという分かりやすさです。
とにかく、今、あちこちで説明責任ということを言われるのですけれども、最
後に分かっていただかないと責任を果たしたことにならないわけですから、こ
れは、いろいろなところに応用ができると思います。その出発点は、自分で考
える、自分で考えを組み立てていく、そういう癖を付けるということなのです
第 10 章 外部評価委員会議事録 177
が、SA さんは、それをリードしていく立場です。そういう意味では、目的とか、
リードするテクニックではなくて、最終的にどういうことをやるために私たちは
居るのだということをしっかりつかんで、それでリードしていかれるといいかな
と思いました。
そういう意味では、ここに、例えばどこかの企業の若手に来てもらって、それ
で SA のようなことをやってもらうのは、これは企業に入って仕事をしている人
間にとっても非常にいい機会になると思うのです。ですから、例えば、企業の寄
付とか、そういうこともあるでしょうけれども、やはりこういうカリキュラムに
人を派遣して、それで企業としても何か価値があると思えば金を出すと思うので
す。そういう場を与えていただいて、既に企業で働いている人間が、そういう場
を与えていただいて、それそのものが人を育てることになる、そこに価値がある
と思えば、必ず人を派遣すると思います。
ですから、そういうような工夫をして、学生に将来入ってもらってということ
もあるでしょうけれども、むしろ、企業の中で、若手教育が非常に大きな課題で
す。
一番僕が感じているのは、自分で考えてごらんということを、もっとやってい
きたい。
「どうしましょうか」とすぐ答えを聞いて、指示に従って、自分の与え
られた範囲ではしっかりやるのですけれども、仕事というのは、仕事をつくって
いくことが仕事なので、与えられたことを待っていることがどうも見受けられる
みたいです。そういう意味では、ポジティブな姿勢を持った人が、どんどんあち
こちで活躍されるきっかけになるのかなと思います。
それから、企業研修というのを、もう少しご説明いただけますか。
○日向野:企業研修で、実績があるのは信用金庫が主催している若手の経営者を集めての
研修です。その中に信金の職員も入っていますので、金庫の職員と若手経営者が
混ざっているようなグループワークで、あえて経営学部一年生の基礎演習と全く
同じことをしてもらっています。そうすると、学生諸君よりもうまくできる面と
うまくできない面があって、基礎演習の教材を使った場合は、実はうまくできな
い面がかなり目立つのです。
それは、まずグループワークで協力体制がすぐに取れないとか、理想的なリー
ダーシップとしては、こうやってみようという人が代わるたびにリーダーシップ
が代わるのがいいのですが、アイデアが変わるごとにリーダーが代わるというこ
とが、なかなかすんなり起きないといった現象があります。
それを振り返りで気付いていただいて、気付いていただくと、長い授業の一環
なので、その後の授業にもいい結果が出るのではないかと期待して、やって、そ
ういった評価をいただいています。
マンパワーの問題がありますので、大規模にはできませんけれども、学生より
178 も上の年齢の方がどういうことに陥りやすいか。若いうちにやっておけばよかっ
たと今では思えるようなことを、先取りして大学でやろうということで参考にな
るという点が、われわれにとっては一番のメリットかなと考えております。
よろしいでしょうか。
○二子石:ありがとうございます。今、最後におっしゃったそこだと思うのです。学生時
代にこういうことをやっておけばよかったなというのを、企業に入った後に思う
ことがあるのです。
それをもう一遍実現しましょうという意味で、さっきのような(★一語不明)
だけではないかもしれないです。要するに、このせっかくの場を、クライアント
になっていただく企業さんからはアドバイザーみたいなかたちで入ってくるので
しょうけれども、それ以外でも、こういう場合に人を派遣しませんか、若い人た
ちと一緒に議論の場に参画しませんか、あなたの役割はそういうのをリードして
いただく、そういう中でいろいろなことを学べますよということは、どうもあり
そうな気がします。
ですから、そういう意味では、企業をもっとうまく活用する、そこにひょっと
したら財源もあるかもしれないという話でございます。ひとつ参考にしていただ
ければと思います。
それからもう一つは、まさにモスさんのテーマにありますように、今の若い人
たちにどういう嗜好があって、どういうことを考えているのか、どういう行動を
しているのか、そこにどんなニーズがあるのかというのは、企業に入ってもらっ
て活躍してほしいという対象ではなくて、企業から見ると消費者の 1 マーケッ
トとしての関心が高いです。どうしても、長年企業の中でやっていると、こちら
サイドの理屈とか、こちらサイドの思い込みとか、最終的に結論を出していくた
めに上に持ち上がっていけばいくほどマーケットとの格差が出てきてしまうもの
ですから、消費者としての若い人たちのニーズがダイレクトにビジネスになかな
か結び付かないところが一つ、モスフードさんのテーマにあるような気がしま
す。
これはどこにでもあって、かなりの量があると思うのです。ですから、そうい
う意味で、もっと活用してくださいよということは、宣伝してもいいのかなと思
います。せっかくいろいろなマスコミに取り上げられて、今、日向野先生がおっ
しゃったように、企業のほうからお声が掛かるというようなことになっているよ
うですから、ぜひ、そういう意味では、「学生が考えることだからまあやってみ
るか」というようなことではなくて、本当に学生のニーズとか、若い人たちの
マーケットはどうなっているのだという声を直接聞くいい場ですよと、もう少し
分野(?)がはっきりとすれば、希望する企業も、いろいろな魅力のあるところ
が出てくるのではないかなと思います。
第 10 章 外部評価委員会議事録 179
取りあえず、私は以上でございます。
○高橋:慶応義塾大学の高橋でございます。それでは、私のほうから、まず質問からいき
たいのですけれども、今の履修者で日本人と留学生の割合は、どういうふうに
なっていますか。
○三木:各クラスに。3 名ですね。
○高橋:おしなべてどのぐらいのパーセンテージになるのですか。
○三木:今ですと、20 名のうちに二人というような感じなので、10%。
○高橋:そうすると、どのクラスでも、日本ではない発想が聞かれるような状況がつくり
出されていると見ていいのですか。
○三木:基本的には、グループプロジェクトになってしまいますので、各グループとなる
と、日本人だけのグループがどうしても発生してしまいます。
○高橋:はい。分かりました。私は、まず第一に、きょう第 3 回ということで、毎年毎
年、本当にどんどん進化されていること、そしてカリキュラムだけではなくて、
学生評価も 5.0 をいただいたということで、大変素晴らしいと思います。私も、
教育に多少関わっているものとして、非常に素晴らしい成果だなと思います。さ
らに、これから高みを目指していくという姿勢が、本当に素晴らしいなと思いま
す。
私は特任教授なので、実は、1 週間のほとんどを実業界で活動しているもので
すから、どちらかというと、実業界の人間として見て、きょうのお話を伺った感
想を申し上げたいと思います。
私はきょう、とても素晴らしいと思ったのは、例えばディベートのクラスを、
今まではどちらかというとディベートのルールであるとか、やり方とか、そうい
うテクニックに重きを置いていたのを、主張するとことはどういうことなのかを
体験を通して学ぶ、主張することのほうにシフトをされたのは、とてもよいこと
ではないかと思います。
というのは、多くの経営学部の方と実務でお付き合いが多いわけなのですが、
ちょっと心配していることは、専門学校化が進んでいるのではないかということ
です。大学に来たのに、専門学校と変わらないことをやっていては、遠くまで大
きく伸びる人がつくれない。そのことは、私はとても大事だと思っています。先
ほど二子石さんも指摘されていたポイント、つまり何のためにこういうことを
やっているのかという根幹が押さえられていないなかで、テクニックばかり、例
えば、どうやって企業をディスカウント・キャッシュ・フローで計算するかみた
いなテクニカル側面がすごく強くなっている。そういう意味で、根本的な質問を
し、質問を通してお互いに、質問する側もされる側も成長するという姿勢は、と
ても評価できるのではないかと思いました。
それから、進化しているという面で、ここまでやられるかということで、ぜひ
180 言及したいと思うのは、ポートフォリオを公開するということです。これは、単
に就職状況が厳しいということでやられているのでは、決してないと思います。
自分の成長の軌跡を自分も見返す機会になる。つまり、公開できるというふうに
なったら、そういう気持ちで蓄積するようになります。ですから、これは内的動
機を高めることにもなりますので、素晴らしい試みだと思います。
ただ、CIO もやっていた経験から申し上げると、本当に、先ほど日向野先生
は言及されていましたけれども、個人情報の管理はとても難しいです。これは、
サーバーがどこにあるか、クラウドだから大丈夫かという問題では決してありま
せん。ポリシーをマネージする側の問題、それから、それを実際に実行する人の
問題でもありますので、ぜひそこのところは重々検討されてやられたらと。た
だ、もう「やる」ということに関しては、私はとても素晴らしいと思いました。
さて、5.0 の評価を取ってしまったら、次はハードルを上げるしかありません
ね(笑)
。ハードルが上がれば必ず評価は下がりますから。そのハードルなので
すけれども、実務者としてぜひやってほしいと思うことがあります。それは、日
本国はもう国内に雇用は、なかなか増えにくい状況にある。大学がつくり出す人
材が活躍できる場は、必ずしも国内ではない。そうすると、国外で活躍できる人
材で、しかもどの国外かということなのですけれども、非西欧国、新興国、発展
途上国というところなのです。
きょうの新聞にも、ユニクロさんが店長さん達をバングラデシュとか、そうい
うところに送るという記事が載っていました。実は、そういうクロスカルチャー
の経験、体験、トレーニングが、もっと昔にやっておけばよかったなということ
なのです。ところが、日本でそういうことが経験できる大学は、本当に少ないの
です。これは日本の大学の弱みだと思っています。ですから、立教大学はとても
よいポジションにあると思います。外国人の留学生が来やすい大学である。その
特徴をぜひもっと前面に押し出して、カリキュラムを進化させるということを考
えたらよろしいのではないかと。
例えば、この同じカリキュラムを英語でもって受講できるようなサイドトラッ
クを一つつくって、そちらは完全英語グループができる。それと日本人のグルー
プをどこかで掛け算するようなやり方です。英語でもって質問し、ディベート
し、創造し、ということができる人たちがもっと多くならないと、日本企業が新
興国で活躍するのはなかなか難しいです。それが一つ、ご提案ということです。
それからもう一つは、専門学校化と大学教育の差がここにあるのではないかと
思うのは、先ほどの「何のために」ということがしっかりと身に付くことだと思
います。その意味で、べつに BLP のプログラムの中に入れなくてもよいのです
が、この BLP のプログラムに必要だと思うのは企業倫理です。
例えば、何のために利潤が必要なのかというのを、しっかりと突き詰めておく
第 10 章 外部評価委員会議事録 181
必要がある。私は、インターネットのビジネス構想力というものを教えているの
ですけれども、基本的に PL(損益計算書)をつくったりとか、ビジネスモデル
そのものを教えることは、ほとんどやりません。それは、実業の世界にいたら、
あっという間に学ぶことができます。それができなければ企業は生きていけませ
んから、大学で学ぶよりもずっと速くできます。
でも、なぜ利潤が必要であるかを突き詰めて考える習慣が一度もないうちに、
例えば新興国で商売をすると、倫理感に照らして疑われるようなシチュエーショ
ンが毎日のように起こります。そういう中で正しい行動ができる企業人をつくる
ということは、とても大事なことです。
会社は、コンプライアンスであるとか、行動憲章でもって何とかしようとして
いますけれども、それこそが「大学のうちにやっておけばなあ」という種類のこ
とだと思います。つまり、人間性が確立していく過程で最も重要なこの 4 年間
の間に、ぜひそういうことをやられたら如何かなという提案です。
BLP というのはプログラムですから、もうほかの学部の心理学部もあります
でしょうし、倫理を教えていらっしゃる先生もいるでしょうから、クロスでもっ
てされれば十分にご対応できるのではないかなと思います。
それから、もう一つ新しい分野を考えられたらいかがかなと思います。ネット
のビジネスを教えているうえで本当に常日ごろ考えることでありますが、非対
面業務もそうですけれども、非対面の事業がものすごく増えています。つまり、
ネットを通して何かをする。金融の世界でも、ネットでもって保険が売られる時
代でありますし、銀行業務、証券、その他、たくさんあるわけです。物販、サー
ビス、その中でとても重要になっているのは、単なるフィナンシャルなインセン
ティブだけではなくて、心理的なインセンティブによってお客様の行動にバイア
スが掛かるわけです。
私が「大学のときにやっておけばなあ」と思う科目が、行動経済学であり、行
動心理学の分野なのです。その分野は、これから社会に出ていく学生にとって
は、とても重要なことになるのではないかと思います。
これは、BLP の 1 でやることは難しいかもしれませんけれども、まだしなや
かなうちにそういうことを習った人は、すべての行動、社会に入っても常に心理
的な側面が組み込まれる。いくらもうかるかの前に、どのように人は行動するの
かに着目できる人になるのではないかなと思います。
それから、最後になりますけれども、これはとても企業にとって大問題なので
すけれども、うつ病に対する対策です。これは、BLP よりもっと広い分野であ
りますが、リーダーシップという側面から考えたら、大学の 4 年間にうつ病に
対する非常に明快な知識を持たせることは重要ではないかと思います。うつ病を
どのように乗り越えていくのか。日本はまだ未熟であると思います。
182 私は米国の会社に長く勤めていたのですが、マネジャーになった途端に、うつ
病とはどういうものだというのを訓練されます。訓練されて、どうやって対処す
ればいいかということを教えられるわけですけれども、日本ではそのような訓練
は未発達です。うつ病は、誰にでも起こる可能性がありますし、脳の中の問題で
もありますし、ちゃんとした薬もありますし、正しい対処をすれば必ず克服でき
ます。
大学のうちに、基本的な知識が与えられないことによって、またいろいろな誘
発要因によって、実社会でうつ病になるケースが起こります。例えば、採用側の
最大の課題の一つになっているのが、うつっぽい学生はなるべくうちには来ない
でくれというバリアーなのです。それも私は間違いだと思います。基本的に日本
は、大学できちんとうつ病対応の教育を受けた人が少ない状況だと思います。企
業は選ぼう選ぼうという方策を立てていますけれども、そういう可能性があって
も越えられる技術、対処する技術をしっかり教育されたらいかがかなと思いま
す。
最後になりましたけれども、3 回の評価委員会を通して毎回進歩を実感してお
ります。今回も大変ポジティブな感触を今回もいただきました。どうもありがと
うございました。
○三木:二子石様、それから高橋先生、評価をありがとうございました。
二子石様からは、企業とのコラボレーションのかたちとして、クライアントと
してだけではなく、BLP に参加してもらうことで、企業研修という意味合いで
の企業との関わりもあるのではないかということで、新たなかたちをご提案いた
だきました。こちらについても検討していきたいと思います。
それから、高橋先生のほうからは、最後のほうに幾つかご提案をいただきまし
た。それにつきましては、どういうかたちで、この BLP のプログラムの中に取
り組めるのかについて今後検討して、それが新しい科目になるかもしれません
し、既存のものに付け加えていくかたちになるかもしれないのですけれども、こ
ちらについて検討してみて、またさらに来年、5.0 は超えることはできませんけ
れども、進化をしていけるようにしたいと思います。
○山口:コメントをいろいろとありがとうございました。特に、高橋先生のほうからご指
摘いただいた点につきましては、特に倫理の面は、実は立教大学の経営学部での
学習成果というところで、実は 4 年間通して学ぶところのトップに倫理観を挙
げています。
これは、前学部長が経営学部を立教大学に置くというときに、立教大学の中に
経営学部があるというときに、立教大学のこれまでの歴史・伝統を踏まえたとき
に、倫理観、いわゆるキリスト教に基づく教育といったときの倫理観をきちんと
醸造することが、われわれの最大の目標になっています。
第 10 章 外部評価委員会議事録 183
それが、実際にはこの BLP の中とかで、例えば、フリーライダーの問題も含
めてどういうふうに実現できているかということは、まだわれわれは検証してい
かないといけないところですけれども、その点は、今後も十分実現できるように
ということを考えています。
それから、もう 1 点。いわゆる、グローバルなという意味も含めて、海外体
験を伴ったいろいろな学生と共に活動ができるかということが一つかと思いま
す。これについては、一つは留学生。もう一つは、例えば、立教大学の中でも帰
国生入試というかたちで、海外で、古い意味での日本的な教育を受けていない、
そういうこと以外の経験を持っている学生も一緒に入ってきて、グループワーク
ができるということについて。
それから、もう一つは、英語できちんとこういうプログラム、プロジェクトを
海外の人たちと一緒にできるか。それと、きょうはたまたま理学部の先生方も
いっぱいいらしていただいていますけれども、他分野の学生同士がどううまく
やっていけるか。いわゆるダイバーシティマネジメントというのは、このプログ
ラムの中で非常に重要なことだと思いますので、その点については、今後、いろ
いろなプログラムを改良し、せっかく立教大学というのは単科大学ではなくて総
合大学ですので、そういうところをうまく活かしていけたらなというのが、今後
の課題かと思います。
一応、私のほうからのコメントとしては以上です。
すみません。授業が始まりますので、私はこれで退席します。申し訳ありませ
ん。
○有馬:
(★一語不明)補足させてもらいます。2012 年度からのカリキュラム改革を担当
しておりますので。
われわれのほうで、今まで二つの柱で、BLP と BBL を立てたのですけれど
も、先行してグッド・ビジネスという授業を 1 年生の自動登録科目で、今年度
から開始しているのですけれども、それの展開科目を入れましたグッド・ビジネ
ス関係のものをカテゴライズしまして、3 本柱にしていくというのが 2012 年の
改革の中でございます。それで、企業倫理等を含めたものを 4 年間の講義科目
の中で学んでいくものもつくりました。
それプラス、経営学科、国際経営学科のカリキュラムが、番号を振りまして 0
番台、100 番台、200 番台、300 番台、400 番台というかたちで系統的に使用し
ていく中で、国際経営学科と経営学科のそれぞれのカリキュラムが相互に乗り合
えるようにということのカリキュラム改革を、2012 年度から実施するように今、
計画中でございます。
そういうところで、BLP の中だけではできない全人格(?)的な学生の涵養
というかたちで、今後も努力していきたいと考えています。
184 ○三木:今ご説明がありましたように、BLP としてだけではなく、経営学部全体で相互
に影響し合って、補完し合いながら、プログラムを高めていきたいと思っており
ます。
それでは、時間になりましたので、第 3 回 BLP 外部評価委員会を終わらせて
いただきます。ありがとうございました。
(終了)
第 10 章 外部評価委員会議事録 185
第 11 章
学生授業アンケート概観
学生授業アンケート概観
BLP では、授業の効果測定と授業改善のために、大学が行う「授業評価アンケート」
とは別に、覆面座談会方式で受講生のグループ・インタビューを行っている。このグルー
プ・インタビューは、受講者の生の声から BLP の満足度と学習効果を検証することを目
的として行われている。
インタビュワーは各クラスの SA が行い、SA がインタビュー対象となる受講生を各ク
ラスから 4 名選出する。教材作成者が教材作成目的に従ってインタビューガイドライン
を作成する。具体的には、まず授業を終えての率直な感想、次に各回の授業内容に関する
意見や感想、その後教員・SA に対する意見、BLP への要望を聞くという内容になっている。
SA はこのガイドラインに従って半構造化されたインタビューを 60 ~ 90 分間行う。イン
タビュー内容は IC レコーダーに録音し、録音内容は固有名詞を削除した形でテキスト化
される。学生の氏名が分からないよう匿名性が保証された状態になってから、各クラスの
担当教員はテキストデータに目を通すことができる。いったん匿名性が確保されたテキス
トデータになった後は、テキストデータを教員が参照したり、各種報告書に引用すること
ができることになっている。
2009 年度は、基礎演習の 7 クラス、BL1 の全 8 クラス、BL2 の全 7 クラス、BL3-B、
BL3-C、BL4 の計 25 クラスにて実施した。2010 年度は、基礎演習の 8 クラス、BL1 の
全 10 クラス、BL2 の全 8 クラス、BL3-B、BL3-C、BL4 の全 29 クラスにて実施した。
各授業に対する学生の意見や評価は、
各授業の報告書を参照されたい。ここでは学生グルー
プ・インタビューをどのように BLP に活かしているかについて記述する。
学生グループ・インタビューは、何より学生の本音を引き出しやすいという特徴を持
つ。大学が実施する「授業評価アンケート」においても、匿名性を確保した状態で学生が
自由記述できるようになっている。ただし、BLP が行う学生グループ・インタビューでは、
SA がファシリテーターとなってインタビューを行うため、より学生の率直な意見を引き
出しやすい。授業の良い点に関する意見もあれば、手厳しい意見もある。とりわけ、同一
シラバスで複数クラスにて行っている授業(基礎演習、BL1、BL2)については、クラス
間の不公平感が存在しているかについて知る良い機会となる。
学生グループ・インタビューを通して得られた学生の意見や要望は教材作成者がとりま
とめ、次期の教材作成に反映される。例えば、2009 年度は前期の BL2 でディベートを取
り扱い、後期の BL1 でもディベートを取り扱った。BL2 の学生グループ・インタビュー
を通して、授業の目的が分かりにくいという意見が多くあったため、BL1 の教材に速や
188 かに反映したところ、
授業目的に関する学生の不満は解消されたことが確認された。また、
2009 年度の基礎演習の学生グループ・インタビュー内容を反映し、2010 年度の基礎演習
の教材を作成したところ、こちらも概ね学生の不満は解消されたことが確認された。
このように学生グループ・インタビューでは学生の本音が語られるが故に、BLP の授
業内容向上に大いに役立っている。2011 年度以降も、引き続き各授業にて実施予定である。
第 11 章 学生授業アンケート概観 189
第 12 章
企業アンケートの目的・結果
企業アンケートの目的・結果
1. 企業アンケートの目的と方法
企業アンケートの目的は、企業のリーダーシップに関する意識および実施しているリー
ダーシップ開発の取り組みについての実態を把握することである。
2. 調査の方法と特徴
調査では、首都圏を中心とする 1200 以上の企業に対して質問票調査を配布し、100 以
上の企業から、リーダーシップ開発の取り組みに関する回答を得た。今回の「企業のリー
ダーシップ開発に関する調査」では、企業がリーダーシップをどのように捉え、どのよう
に開発しているのかを把握することに焦点をあて、権限のないリーダーシップに注目する
BLP の立場から、従業員の階層別に回答を求めるという工夫行った。
3. 調査の結果と意義
調査の結果以下のことが明らかになった。第 1 に、現在では多くの企業において、従
業員に対してリーダーシップの発揮を求めていること、それも一部の経営層やマネジメン
ト層だけでなく、幅広い階層において、従業員に対してリーダーシップを発揮してほしい
と考えているということである。また、階層別に求めた質問からは、経営層に対して求め
るリーダーシップ行動として「企業のあるべき姿を描けること」や「ビジョンをメンバー
に浸透させること」があげられるのに対して、管理職では「上層部、異なる部門等への働
きかけができること」
、中堅社員では「主体性をもって行動ができること」といった項目
が最上位となった。これらの結果から、リーダーシップの発揮が幅広い階層によって求め
られている一方で、求められる具体的な行動は、階層によって異なっているということが
示された。
第 2 に、リーダーシップ開発にまつわる取り組みについては、現在 85%以上の企業が
なんらかの取り組みを実施しているということである。研修の対象となる階層別の質問で
は、管理職層を中心に多様な研修が行われていることが明らかになった。特に多様なリー
ダーシップスタイルがあることを取り入れた研修は、新人社員を除く全ての階層において
最も多く用いられていることがわかった。一方で少数ではあるものの、新入社員に対して
もリーダーシップ開発の取り組みが行われていることが明らかになった。具体的には、セ
ルフリーダーシップに関する取り組みを行っている企業が一定数あることが示された。今
回の調査結果は、リーダーシップの発揮を多様な階層に求めるだけでなく、企業側も従業
192 員のリーダーシップを開発しようと早い段階から取り組んでいることが明らかになった。
今回の調査の範囲は限られたものであり、調査結果の扱いには慎重である必要がある。
ただし今回の調査で得られた結果は、管理職になる前の従業員に対して企業がどのような
リーダーシップ行動を求めているのか、あるいはどのようなリーダーシップ開発の試みを
行っているのかについての実態を把握する貴重な基礎データとして一定の価値を有する
ものであると考えられる。なお、調査報告書の全文については、下記の URL からダウン
ロードできる。
http://cob.rikkyo.ac.jp/blp/1803.html
第 12 章 企業アンケートの目的・結果 193
第 13 章
ポートフォリオの構築と運用
ポートフォリオの構築と運用
■ 目的について
ポートフォリオは、BLP の特徴である「内省 (reflection)」と「フィードバック」を蓄
積し、その内容をいつでも閲覧可能とするツールを BL 授業の受講生と教員に提供するこ
とで、リーダーシップ育成過程における時間軸上の振返りを可能にし、自己の成長を確認
する助けとなることを目的としている。また、教員は、他の教員のクラスや過去の全クラ
スの提出物を閲覧でき、学生の通時的な進化の様子を把握することが可能となる。
■ 効果
効果は 6 つある。
• 課題提出方法を統一することで、クラスごとにばらついていた課題提出方法を改善
し、教員への提出期限を厳守することが可能となった。
• SA(Student Assistant)の課題回収業務がなくなり、また、提出チェックの負担
も軽くなった。
• 学生からの提出物を紙媒体で受け取る機会を減らすことで、保管スペースの問題が
解決した。
• 教員、学生および SA はいつでもすばやく課題を閲覧できるようになった。
• 教員から SA へのコメントを記録できるので、SA 本人の振り返りにも役立つ。
• 学生が過去に提出した課題を、学生自身の設定によって任意の外部者にも見せるこ
とにより、詳細な学習履歴として就職活動に役立ててもらう。
■ 主な機能
• SSL 接続
• 大学のメール ID とパスワードによるログイン(V-Campus との連携)
• メールシステムを利用した課題送信と課題受理
• 課題履歴の閲覧
• 登録課題のダウンロード(日付単位の一括ダウンロードと個人単位の一括ダウン
ロード)
• 顔写真の登録、顔写真の一括ダウンロード
• 教員から SA へのコメント記入
• 外部共有機能
196 ■ 運用方法
〈アプリケーション〉
FileMaker ソフトをカスタマイズしている(業者委託)
〈ブラウザ〉
基本的に Firefox、Google Chrome または Safari のみ。InternetExplorer は提出状
況の閲覧のみ対応(ファイルダウンロード不可)。
〈ログイン〉
利用者はウェブサイトから指定の URL にアクセスし、ログインをしてポートフォ
リオを利用する。
教員、学生および SA には各自 ID とパスワードを発行している(パスワードは変
更可能)。また、「教員」
、
「学生」
、「SA」というユーザー区分を作成し、区分に応じ
てアクセス制限をかけている。アクセス制限は以下となっている。
「教員」
:担当クラスを含む全クラスの全ての提出課題を閲覧可能
「SA」
: 担当クラスの提出課題は全て閲覧可能
「学生」
:自分の提出課題のみ閲覧可能
※ SA は学生用と SA 用の二つの ID を持つこととなる。
〈課題送信〉
課題送信は、FileMaker のクライアント版をインストールした PC から行うため必
要があるため、事務局または教員で対応する。
現在は、事務局で対応しており、授業の都度、当日の教材をチェックして課題メー
ル送信を行う。教材が公開されていない場合、担当教員からの指示で、事務局から行っ
ている。
〈課題提出方法〉
課題の提出方法は、授業のスライドに課題の内容を記載し、授業の終わりに SA か
ら説明を行う。課題フォーマットはクラスのメーリングリストを通じて SA から学生
にメール添付する。
ポートフォリオからは課題通知メールを送信し、その課題通知メー
ルに対し、学生は返信する形で課題ファイルを添付、メール送信を行い、それをもっ
て課題提出完了となる。やむを得ない事情があり、ポートフォリオへ提出できなかっ
た学生に対しては、SA を経由して事務局に課題ファイルを送り、事務局が手動で課
題を登録する対応を取っている。
■ サービス内容
〈課題閲覧〉
• 教員/ SA からの閲覧
教員と SA は担当クラスのビューで学生の提出状況を確認し、課題ファイルをダウ
ンロードして、
内容をチェックできる。機能拡張により、日付単位での一括ダウンロー
第 13 章 ポートフォリオの構築と運用 197
ドと個人単位での一括ダウンロードが可能になった。また、提出課題の 1 つ 1 つに
コメントを記入することも可能である。
• 学生からの閲覧
学生も専用の画面でこれまでの課題ファイルを確認することができる。また、全て
の課題の一括ダウンロード機能もある。
〈顔写真の登録〉
教員のみに表示される機能である。これまではクラス単位で写真を集めて、クラス
内でのみ共有していたが、ポートフォリオに一括管理することで、教員全員が学生の
顔と名前を一致させることができるようにした。
〈外部共有機能〉
学生が就職活動を行うにあたり、企業の側に(人事担当者を想定)に自分が BLP
でどのようなプロジェクトに取り組み、どんな成長をしてきたかを知ってもらうツー
ルの一つとして、ポートフォリオに外部共有機能を持たせた。
これは、学生が人事担当者のメールアドレスを設定すると、相手にメールが送られ、
アクセスのための URL、ID とパスワードが通知できる仕組みである。
〈その他の利用〉
課題以外にも SA 選考や科目受講生の選考のためのツールとして利用できないか、
試みを始めている。具体的には、ダミークラスを作成し、受講生の代わりに SA クラ
ス選考や科目受講生選考の学生を登録して、課題の代わりに志望理由書を登録するも
のである。これによって、選考の為に教員同士がスケジュール調整をして、会議する
時間を削減できるというメリットがある。同様の形で SA 専用のクラスを作成し、ク
ラス担当教員からのフィードバックシートを載せることもしている。
■ メンテナンスについて
主なマスター登録は学期開始前の年 2 回行い、必要に応じて、随時マスターメンテナ
ンスを行っている。
ポートフォリオで必要なマスターは以下である。
• 教員マスター
• SA マスター
• 学生マスター
• クラス定義マスター
• 履修クラスマスター
• プロジェクトマスター
198 ■ ポートフォリオ運用上の問題点
〈ユーザー対応〉
SA と教員には操作説明会を実施し、学生には SA から操作説明を行ってもらって
いる。マニュアルも全員へ配布しているが、マニュアルを読まずにシステムを利用し
ての問い合わせが多い。また、その為に課題を正しく送信することができず、期限ま
でに送信できなかった学生から救済の依頼もあり、対応に苦慮した。他には、パスワー
ド紛失の問い合わせも多い。ただし、V-Campus の ID と統合してからはパスワード
紛失の問い合わせはない。
〈不具合の発生〉
運用開始からいくつかの不具合が発生した。業者との認識合わせが十分でなく、こ
ちらのファイル命名規則に対応したシステム設計ではなかったり、1 科目内で複数の
プロジェクトを行う可能性があるにも関わらず、1 科目 1 プロジェクトの仕様である
ことが判明したため、
導入後もこれらの問題解決の為にメンテナンスが必要となった。
また、プログラム不具合で課題メール受信がエラーとなっていたり、課題提出日が表
示されない等のトラブルも発生した。なお、これらの問題は 2009 年 7 月のメンテナ
ンスで解決している。打合回数が少なかったことと、打ち合せごとに議事録を作成し
ていなかったことが、不具合を見逃した要因であり、反省点である。現在は、ウェブ
掲示板でやりとりし、必要があれば電話でも確認している。
また、当初は InternetExplorer で利用できるとのことであったが、InternetExplorer
では閲覧は可能だが、ファイルのダウンロードができないことも発覚し、ユーザーへ
の説明が必要となった。
なお、上記不具合の対応や仕様の変更に伴い、予算上の問題も発生した。これらの
費用が予算を大幅に超えてしまったのである。2009 年度は不具合対応に重点を置い
た支出となり、操作性向上を目的とするシステム整備への投資は翌年度に持ち越しと
なった。2010 年度に入ってからは運用は比較的安定している。夏にハードディスク
が 1 台不良となったが、バックアップのハードディスクで運用を維持することがで
きた。現在は RAID1 +バックアップ 1 台の構成となっている。また、2010 年度か
らは業者にリモート接続サービスで対応してもらえるようになり、改善のスピードが
一段と早くなった。
〈バージョン改訂〉
以下の通り、改訂を行った。
2009 年 1 月
第 1 回改訂版導入
初版運用により要望が挙げられた画面レイアウト修正、機能の追加、
不要機能の削除
2009 年 5 月
第 2 回改訂版導入
教員のアクセス権修正(成績表示制限を追加)
第 13 章 ポートフォリオの構築と運用 199
2009 年 6 月
第 3 回改訂版導入
同一科目内の複数プロジェクト対応
2009 年 7 月
第 4 回改訂版導入
課題メール受信システム不具合修正
2010 年 9 月
第 5 回改訂版導入
大学メールシステム(V-Campus)のユーザー ID /パスワードに
ID 統合(既存の ID とパスワードも有効にしている)
日付単位での課題一括ダウンロード
個人単位での一括ダウンロード
学生顔写真の登録(教員のみ)
2010 年 11 月 第 6 回改訂版導入
教員から SA へのコメント記入
2011 年 2 月
3月
200 第 7 回改訂版導入
外部共有機能
第 14 章
広報活動概要
広報活動概要
■ 広報、エクステンション活動とマスコミへの掲載
教育 GP の助成を受けて運営している BLP が、その取組を学内外と共有し、特徴を伝
えたうえでフィードバックを得てさらに改善することは極めて重要である。外部評価委員
会(別項参照)も広い意味ではこれに含まれるが、それ以外に下記のような活動を行な
い、マスコミにも掲載がしばしばあった。
■ 学部ウェブサイトとツイッターにおける広報
立教大学経営学部ウェブサイトに、プログラム概要を説明する専用ページを設けた他、
ブログ方式で更新できる「BLP 活動レポート」も作り、随時更新している。2008 年 10
月から 2010 年 2 月まで、記事は約 70 本。これらの記事の執筆にも学生をしばしば起用
している。新しい記事が掲載されるたびに学部のツイッターで告知。2010 年 4 月にツ
イッターを開始し、フォロワーは 2011 年 2 月現在約 450 名。
■ 動画と写真の公開
授業風景やプロジェクト成果発表のコンテストなどの映像(動画)を YouTube に公
開している(2011 年 2 月現在、10 分間程度のものを通算 65 本、チャンネル再生回数約
3500 回、総再生回数 2 万回以上)。また、2008 年からの授業風景を編集して、文章とナ
レーションを加えて「BLP 紹介ビデオ」を制作した。プログラム内容自体が 2008 年度
から 2010 年度にかけて毎年進化したので、紹介ビデオのほうも映像やナレーションを変
更して毎年修正した。この動画は YouTube で相当の再生数を集めている(2011 年 2 月 1
日現在、2008 年度版 665 回、2009 年度版 1449 回、2010 年度版 580 回)うえに、BLP
について説明する大小あらゆる機会に(DVD 版を含めて)頻繁にかつ有効に活用でき
た。これらの動画の素材となる撮影素材については、学生たちの同意書をとり、必要に応
じて顔をぼかすなどの処理を行った。ウェルカムキャンプの写真などは Picasa オンライ
ンアルバムでも公開している。
■ 各種コンファレンス、シンポジウムでのプレゼンテーションと模擬授業・出前授業など
1) 立教大学内父兄会(保証人会)にて BLP について説明(毎年、日向野および三木)。
2) 立教新座高校(2008 年、日向野)、立教池袋高校(2010 年、森永)、私立錦城高校
(2010 年、日向野)などで BLP の模擬授業。
202 3) 飯能信用金庫と立教大学大学院ビジネスデザイン研究科とが共催する企業研修「竹
林舎」にて社会人対象に BLP の模擬授業(2009 年 8 月、2010 年 8 月、日向野)。
4) 2009 年 1 月、大学教育改革プログラム合同フォーラム(横浜パシフィコ)に参加。
ポスターセッションに SA とともに出場(日向野)。
5) 立教大学内 2010 年 1 月、理学部にて BLP の授業試行(参加 13 名、教員は日向
野)
。SA も参加。
6) 立教大学内 2010 年 6 月公開授業と教員意見交換会(立教大学研究・教育開発支援
センター主催の公開授業で、BL0 日向野クラスを公開し他学部教員と意見交換。
7) 2010 年 6 月、大学情報サミット(於立教大学太刀川記念館、首都圏私立 6 大学
が参加)にて、e ポートフォリオについて講演(日向野)。聴衆は各大学教職員約
100 名。SA 代表もプレゼンテーションを担当。
8) 2010 年 7 月、立教大学リーダーシップ研究所と連携して「産学連携シンポジウム」
を開催(立教大学内)
、企業関係者、大学関係者、学生など約 100 名が参加。BLP
受講生もプレゼンテーションを担当(議事録は本報告書にも収録)。
9) 2010 年 7 月、New Education Expo(有明東京ファッションタウン)にて、主に e
ポートフォリオについて講演(日向野)。SA もプレゼンテーションを担当。聴衆
は大学関係者と IT 業界関係者計約 50 名。
10) 2010 年 11 月、社会人基礎力コンテストに SA チームとともに BLP 教員(三木)
が出場。
11) 2011 年 1 月、河合塾シンポジウム「大学におけるアクティブラーニング」にて講
演(日向野)
。SA も出場。聴衆は大学教職員約 60 名を含む約 90 名。
■ BLP 通信の発行
年 2–3 回、A4 裏表 1 枚の広報紙「BLP 通信」を発行し、内外に送付した。記事の執
筆には学生がしばしば参加した。裏面にはカリキュラム関係図が常時載せられていて、簡
便な説明用資料としても使用可能で、ウェブサイトやツイッターとおおむね補完的な役割
を果たした。
■ マスコミや書籍での紹介・掲載
1) 2008 年 12 月、『サンデー毎日』の教育 GP 記事に BLP の紹介掲載。
2) 2009 年 7 月、『教育家庭新聞』に BLP の紹介記事掲載。
3) 同年同月、『全私学新聞』に BLP の紹介記事掲載。
4) 同年同月、電通育成会『IKUEI NEWS』に BLP の紹介記事掲載。
5) 同年 8 月、旺文社『蛍雪時代』に BLP の紹介記事掲載。
6) 2010 年 2 月、読売新聞朝刊および日本経済新聞夕刊にて、日産自動車とモスフー
ドサービスと BLP との産学連携のニュース掲載。
第 14 章 広報活動概要 203
7) 2010 年 5 月、旺文社『蛍雪時代』に BLP の紹介記事掲載。
8) 2010 年 6 月発行の辻太一朗著『就活革命』(NHK 出版)p. 175–176 にて、就活を
変えうるプログラムとして BLP を紹介。
9) 2010 年 7 月、朝日新聞社『AERA』に BLP の紹介記事掲載。
10) 2010 年 8 月、ベネッセ『VIEW 21 高校版』にて BLP の紹介記事掲載。
11) 2010 年 9 月、ディスコ『進学・就職・採用を考えるサイト HUMAN CAPITAL
LABORATORY』にインタビュー記事掲載(現在も掲載中)。
12) 2010 年 12 月発行の恩田敏夫著『就活地獄の真相』(KK ベストセラーズ)で就活
を改革しうるプログラムとして詳しく紹介(p. 141–146, 178–180)。
以上
204 第 15 章
予算執行概要
予算執行概要
■ GP 予算支出体制
GP 予算の執行については、以下の体制となっている。
• 経営学部 BLP 事務局
発注、伝票起票、納品物管理、用品費扱い物品の登録申請、出張申請
• 立教大学リサーチ・イニシアティブセンター
支出内容のチェック、支出管理、支出に伴い発生する信憑書類/業務委託におけ
る契約書等の管理、GP 予算の執行に関する問い合わせ窓口
• 立教学院財務部財務課
予算執行可否の最終判断、支払処理、旅費関連
■ 2008 年度補助事業の実施計画とそれに伴う支出計画
2008 年度の補助事業の目的を達成するため、以下の実施項目に基づき、予算執行を
行った。
① 9 月~ 1 月 授業 BL1, BL3 を導入・実施行った。
⇒ SA 雇用費(10 名、3 コマ/人)
、授業用プロジェクタ(6 台)購入
(予算:1,153,000 円、実績:1,305,900 円)
② 11 月〜 3 月 BLP ルームの整備をした。
⇒書架購入(1 架)、事務用品購入、郵便費、スキャナ購入(1 台)、PC 購入(3
台)
、プリンタ購入(1 台)、業務に使用するためのソフト類購入、派遣職員給料
(1 名)
、Web 掲示板使用料
(予算:2,336,000 円、実績:2,397,673 円)
③ 12 月及び 3 月 BL1/BL3 プロジェクト発表会を実施した。当日の映像などをもと
に「BLP 紹介ビデオ」を制作した。
⇒撮影用のデジタルカメラ購入(2 台)、望遠レンズ、プロモーションビデオ制作
費、BLP 通信発行費、学生アルバイト給料支給(取材、記事作成)
(予算:436,000 円、実績:1,083,487 円)
④ 1 月 授業期間終了後、SA による受講生インタビューを行い、テープから起こし
て文書化した。
⇒ IC レコーダー購入、インタビューのテープ起こし委託費
(予算:774,000 円、実績:381,857 円)
206 ⑤ 12 月 学生アシスタント(SA)と BLP 教員の合宿を行い、教材・授業の改善提
案、後輩アシスタントの育成体制を整備した。
⇒バス貸切費(片道送り、片道迎え)、宿舎借上げ費(1 棟、1 泊)、雑費支給(学
内規定による)
(予算:370,000 円、実績:313,820 円)
⑥ 11 月〜 3 月 振り返りデータを整理し、サーバを構築し、ポートフォリオへの格
納を行った。
⇒ファイルメーカーカスタマイズ委託費、サーバーレンタル料(2 台)、教員用 PC
(5 台購入、内 1 台はレンタル)、ファイルメーカーソフト/ MicrosoftOffice な
ど業務に使用するためのソフト類購入、SSL 証明書購入
(予算:2,000,000 円、実績:3,927,116 円)
⑦ 11 月〜 3 月 ウェブサイトを改築した。
⇒現行 HP の分析/改善提案コンサル委託、サーバーメンテナンス、GP フォーラ
ムのパネル制作費、フォラーム用パンフレット印刷費、会場への運搬費、参加教
員(1 名)/学生(3 名)への交通費支給
(予算:2,281,000 円、実績:1,961,672 円)
⑧ 11 月〜 3 月 MBTI および日本アクションラーニング協会研修などに BLP 教員
が参加した。
⇒研修参加費(2 回)
(予算:1,133,000 円、実績:619,500 円)
⑨ 11 月〜 3 月 内外のリーダーシップ開発教材・文献の収集・整理を行った。
⇒図書購入、分析ソフト購入、スキャナ購入(1 台)
(予算:2,389,000 円、実績:1,142,661 円)
⑩ 3 月 カリフォルニア州立大学(サノゼ校)、デュケイン大学(ピッツバーグ市)、
ニューヨーク市立大学(ニューヨーク市)を訪問し、資料を収集し、現地教員と
ディスカッションし、授業を見学し、6 月の国際ワークショップの打ち合わせを
行った。
⇒往復旅費、雑費支給(学内規定による)
(予算:974,000 円、実績:780,710 円)
⑪ 11 月〜 3 月 教材の更新を行った。
⇒ BL0 / BL2 教材開発委託費、打ち合せに伴う交通費支給
(予算:716,000 円、実績:686,000 円)
⑫ 3 月 外部評価委員会を開催した。
⇒委員(2 名)への謝礼、交通費支給、会議のテープ起こし委託費、ミネラル
ウォーター購入
(予算:168,000 円、実績:82,881 円)
第 15 章 予算執行概要 207
以上の項目を実施したことにより、予算 14,730,000 円から 14,683,277 円を執行した。
■ 2009 年度補助事業の実施計画とそれに伴う支出計画
2009 年度の補助事業の目的を達成するため、以下の実施項目に基づき、予算執行を
行った。
① 4 月〜 7 月、9 月〜 1 月 授業 BL0, BL1, BL2, BL3, BL4 を導入・実施した。
⇒ SA 雇用費(前期:25 名、後期:10 名)、ウェルカムキャンプ協力者謝金、ウェ
ルカムキャンプ準備費用、USB メモリ・IC レコーダー・ストップウォッチ購入、
クライアントとの打合せ交通費
(予算:1,646,000 円、実績:2,507,967 円)
② 4 月〜 3 月 BLP ルームの整備を行った。
⇒カラープリンタ購入(2 台)
、事務用品費、郵便費、業務用ソフト類購入、派遣
職員給料(1 名)
、Web 掲示板使用料
(予算:4,190,000 円、実績:3,693,694 円)
③ 7 月及び 12 月 BL0, BL1, BL4 プロジェクト発表会を実施した。(BLP 通信の発
行と YouTube への動画投稿)
⇒プロモーションビデオ制作費、素材映像保管用外付け HDD 購入(4 台)、BLP
通信発行費、学生アルバイト給料支給(撮影・取材、記事作成)、デジタルカメ
ラ購入・SD カード購入
(予算:405,000 円、実績:1,149,959 円)
④ 8 月及び 1 月 授業期間終了後、SA による受講生インタビューとそれを文書化し
た。
⇒インタビューのテープ起こし委託費
(予算:588,000 円、実績:377,527 円)
⑤ 8 月及び 2 月 学生アシスタント(SA)と BLP 教員の合宿(教材・授業の改善提
案、後輩アシスタントの育成体制整備)と外部コーチを招いての SA・教員研修を
実施した。
⇒バス貸切費(片道送り、片道迎え)、宿舎借上げ費(夏:1 棟 1 泊、冬:1 棟 2
泊)
、教員への雑費支給
(予算:850,000 円、実績:1,065,080 円)
⑥ 4 月〜 3 月 ポートフォリオが本格稼働し、運用管理を行った。
⇒ファイルメーカーカスタマイズ委託費、サーバーレンタル料(2 台)、教員操作
用 PC レンタル料(1 台)
、SSL 証明書購入
(予算:1,056,000 円、実績:1,562,155 円)
⑦ 4 月〜 3 月 広報活動、ウェブページを改築した。(BLP のページに独立性を持た
せた)
208 ⇒メディア懇談会実施、リリース配信、広報コンサルティング費用、ウェブサイト
構築費、BLP 専用封筒の作成
(予算:2,504,000 円、実績:4,161,737 円)
⑧ 4 月〜 3 月 アクションラーニングなどへの BLP 教員が参加した。
⇒ MBTI 研修、アクションラーニング研修、会員登録費、質問力セミナーの実施、
招聘講師への謝金、セミナー会議費、交通費支給(10 年度着任予定教員のみ)
(予算:1,008,000 円、実績:1,201,218 円)
⑨ 4 月〜 3 月 内外のリーダーシップ開発教材・文献の収集・整理を実施した。
⇒図書購入、EQ 検査(心理診断)の実施
(予算:1,304,000 円、実績:436,525 円)
⑩ 6 月 国際ワークショップを開催した。
⇒海外のリーダーシップ研究者(アメリカから 1 名)の招聘費用、通訳報酬
(予算:1,040,000 円、実績:786,250 円)
⑪ 11 月 ルーアンビジネススクール(フランス)でリーダーシップ開発授業を見学
し、担当者と面談を行った。
⇒往復旅費、宿舎代、雑費支給(学内規定による)
(予算:974,000 円、実績:574,738 円)
⑫ 7 月〜 8 月及び 2 月〜 3 月 教材の更新を行った。
⇒ BL1 教材作成委託費、打合せ交通費の支給
(予算:1,921,000 円、実績:292,740 円)
⑬ 3 月 外部評価委員会を開催した。
⇒委員(2 名)への謝礼、交通費支給、テープ起こし委託費、会議費
(予算:184,000 円、実績:78,565 円)
※当初計画した BL4 修了者(希望者)の合宿は参加可能者少数のため、実施に至らな
かった。
(予算:330,000 円、実績:0 円)
以上の項目を実施したことにより、予算 18,000,000 円から 17,888,155 円を執行した。
第 15 章 予算執行概要 209
■ 2010 年度補助事業の実施計画とそれに伴う支出計画
2010 年度の補助事業の目的を達成するため、以下の項目に基づき、予算執行中(また
は執行済み)である。
※年度が終了していないため、予算(1,800 万円)のみ記載
① 4 月〜 7 月、9 月〜 1 月 授業 BL0, BL1, BL2, BL3, BL4 を導入・実施。
⇒ SA 雇用費(前期:28 名、後期:12 名)、ウェルカムキャンプ準備費用、EQ 検
査の実施、授業協力者謝金、文具購入
(予算:2,172,000 円)
② 4 月〜 3 月 BLP ルームの整備を行う。
⇒事務用品購入、郵便費、業務用ソフト類購入、派遣職員給料(1 名)、Web 掲示
板使用料
(予算:3,980,000 円)
③ 7 月及び 1 月 BL0(基礎演習)、BL1, BL2, BL4 プロジェクト発表会を実施。
(BLP 通信の発行と YouTube への動画投稿)
⇒プロモーションビデオ制作費、BLP 通信発行費、学生アルバイト給料支給(撮
影・取材、記事作成)
(予算:1,364,000 円)
④ 7 月及び 1 月 授業期間終了後、SA による受講生インタビューとその文書化。
⇒インタビューのテープ起こし委託費
(予算:504,000 円)
⑤ 8 月及び 2 月 学生アシスタント(SA)と BLP 教員の合宿(教材・授業の改善提
案、後輩アシスタントの育成体制整備)と SA・教員研修を実施。
⇒バス貸切費(片道送り、片道迎え)
、宿舎代(夏:ホテル 1 泊、冬:1 棟 1 泊)
(予算:1,060,000 円)
⑥ 4 月〜 3 月 ポートフォリオの運用管理を行う。
⇒ファイルメーカーカスタマイズ委託費、サーバーレンタル料(2 台)、教員操作
用 PC レンタル料(1 台)
、SSL 証明書購入
(予算:1,072,000 円)
⑦ 4 月及び 12 月〜 3 月 ウェブサイト(英語版)のメンテナンス、GP 報告書を作
成。
⇒英語翻訳費用、製本費(1,000 部)
、報告書送付用マチ付封筒の作成
(予算:2,541,000 円)
⑧ 4 月〜 3 月 アクションラーニング研修などへ BLP 教員が参加。
⇒アクションラーニング研修、会員登録費
(予算:1,827,000 円)
210 ⑨ 4 月〜 3 月 内外のリーダーシップ開発教材・文献の収集・整理を実施。
⇒図書購入、企業が求めるリーダーシップに関するアンケート調査の実施(業務委
託費用)
(予算:1,579,000 円)
⑩ 6 月〜 7 月 産学連携シンポジウムを開催。
⇒コンサルティング会社に案内、出欠取りまとめ、運営サポートを委託
(予算:1,030,000 円)
⑪ 10 月 インペリアルカレッジ(イギリス)でリーダーシップ開発授業を見学し、
担当者と面談を行う。
⇒往復旅費、宿舎代、雑費支給(学内規定による)
(予算:709,000 円)
⑫ 4 月〜 7 月、9 月〜 12 月 教材の更新を行う。
⇒ BL2 教材作成委託費
(予算:0 円、当初は別予算からの支出項目であったのため、GP 予算未計上)
⑬ 12 月 外部評価委員会を開催。
⇒委員(2 名)への謝礼、交通費支給、テープ起こし委託費、会議費
(予算:162,000 円)
第 15 章 予算執行概要 211
発行日:2011 年 3 月 31 日
発行人:山口 和範
編集人:日向野 幹也
連絡先:立教大学経営学部 BLP 事務局
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