8.研究活動 8.1 研究成果 <評価基準> 大学の目的に照らして,研究活動が活発に行われており,研究の成果が上がっていること. (1)観点ごとの状況および分析 8.1.1 研究目標の達成状況 観点8-1-① 研究活動の実施状況(例えば,研究出版物,研究発表,特許,その他の成果物の公表 状況,国内外の大学・研究機関との共同研究,地域との連携状況,競争的研究資金の応 募状況等が考えられる.)から見て,研究活動が活発に行われているか. a) 論文・著書・口頭発表・特許・芸術作品・競技記録・技術製品等の発表状況 表8.1.1に学術論文・著書・口頭発表論文等の部局別・年度別発表状況を示す. ( )内の数は 教員数に対する比率を示す.同表に掲載した数字が,十分な研究活動を表しているかどうかは軽々に 判断できないが,研究水準を保つ上で研究業績が前年に比べて増加していること,文系においても仮 に学術論文・著書あるいは後で述べる芸術作品の発表数等が1人あたり1編(1点)以上あることが 最低条件であるとすれば,この条件は満たされていないことになる. 表8.1.1 学術論文等の発表状況 人文学部 平成15年度 教育学部 平成16年度 平成15年度 医学部 平成16年度 平成15年度 工学部 平成16年度 平成15年度 生物資源学部 平成16年度 平成15年度 平成16年度 学術論文 89(1.00) 98(1.10) 54(0.52) 70(0.64) 526(3.08) 594(3.60) 502(3.92) 416(3.25) 331(2.45) 著書 19(0.21) 29(0.33) 18(0.17) 18(0.17) 98(0.57) 115(0.70) 35(0.27) 33(0.26) 38(0.28) 70(0.53) 口頭発表(国内学会) 30(0.34) 40(0.45) 112(1.09) 135(1.24) 923(5.40) 997(6.04) 1444(11.3) 1056(8.25) 465(3.44) 422(3.22) 口頭発表(国際学会) 10(0.11) 19(0.21) 8(0.08) 28(0.26) 145(0.85) 152(0.92) 337(2.63) 284(2.22) 73(0.54) 100(0.76) 89 89 105 109 171 165 128 129 135 131 教員数 288(2.20) 表8.1.2に芸術作品等の発表状況を示す.このデータも教員のデータ入力が不十分で,実際に はかなり多数の活動があると思われる. 表8.1.2 芸術作品等の発表状況 活動 演奏会・競技会等への出演・参加 美術作品展・設計作品展等への出展 芸術・体育・設計等のコンクール・競技への参加・応募 件数 平成15年度 平成16年度 20 19 4 7 4 0 b) 学内プロジェクトの実施状況(件数の推移や特徴的なプロジェクトの概略等) 地域性,国際性,独自性,学際性等のある三重大学を代表する研究プロジェクトを選定・支援する ことを目標とし,下記の3種類の学内公募プロジェクトの選定を行った. - 153 - 表8.1.3 学内プロジェクトの実施状況 1.三重大学重点研究プロジェクト(H16年度) ①三重大学COE:三重大学が世界に誇れる世界トップレベルの研究拠点 区 分 部 局 名 研 究 題 目 炎症性血管病変による臓器障害機構の解明とその修復再生治療法の開発 10,000千円/年 (代表者 教授 鈴木 宏治) 5年間 工学部 未来エネルギー・コミュニティーの成立工学ー自然由来資源活用の自立分散発電システム (生物資源学部) 社会に向けてー 13,000千円/年 (代表者 教授 加藤 征三) ②学部として育てたい国内トップレベルの研究 医 学 部 人文学部 5年間 四日市公害問題の再評価と国際環境協力(四日市学)を通じた総合環境研究 及び環境教育拠点づくり 3,000千円/年 (代表者 教授 朴 恵淑) 教育学部 感性システムの構造化とそれを基盤としたアクションリサーチ的アプローチ 3,000千円/年 (代表者 助教授 根津 知佳子) ③学部として育てたい若手研究 人文学部 2年間 人の生得的な言語知識関する研究ー音声・音韻部門と統語部門とのインターフェイス に関する言語習得の観点からの考察ー 2,000千円/年 (代表者 教授 服部 範子) 生物資源学部 環境修復を目的とした土壌ー植物連鎖系の物質循環に関する研究 2,000千円/年 (代表者 助手 水野 隆文) 2.三重大学支援研究プロジェクト(H16年度) 研 究 題 目 区 分 部 局 名 医 学 部 炎症関連発がん機構の解析及び新規バイオマーカーの臨床応用 1,500千円/年 (代表者 教授 川西 正祐) 人文学部 多文化社会形成のための研究・教育拠点の形成 1,500千円/年 (代表者 教授 児玉 克哉) 生物資源学部 リグノセルロース分解性嫌気性細菌のゲノム情報解析と有用物質生産への応 用 1,500千円/年 (代表者 教授 粟冠 和郎) 工学部 人間中心型人間支援ロボティクスの研究 1,500千円/年 (代表者 助教授 池浦 良淳) 教育学部 学生生活充実度アッププログラムの開発-自立した社会人の養成を目指して1年間 1,200千円/年 (代表者 助教授 磯部 由香) 生物資源学部 プロテオミクス解析を用いた酸化ストレスによる新たな老化促進機構の解明 と病的老化の予防 800千円/年 (代表者 講師 及川 伸二) 教育学部 特別支援教育における専門家による支援に関するモデル構築とその検証 800千円/年 (代表者 助教授 西出 弓枝) 教育学部 心身におけるバランスの美しさを求めて子どもたちの成長を支援する 800千円/年 (代表者 助教授 冨樫 健二) 生物資源学部 環境負荷の少ない水産増殖用品種の開発 800千円/年 (代表者 助教授 船原 大輔) - 154 - i) 三重大学 COE-三重大学が世界に誇れる世界トップレベルの研究拠点(研究費約1千万円/年,5 年間,2年後に中間評価,博士課程を持つ研究科対象,応募4,採択2) ii)学部として育てたい国内トップレベルの研究(研究費約3百万円/年,5年間,2年後に中間評 価,全研究科対象,応募5,採択2) iii)学部として育てたい若手研究(研究費約2百万円/年,2年間,応募7,採択2) このうち i),ii)では研究拠点形成の可能性,若手研究者の育成,適切な研究チームの編成等に,また iii)では若手研究者の行う萌芽的研究の支援に評価の重点を置いた.採択されたプロジェクトを表8. 1.3-1に示す. このほか,表8.1.3-2に示す9件(80∼150 万円,1年)を三重大学が支援 する研究プロジェクトとして選定し,研究をスタートさせた. c) 共同研究の状況(国内外の大学や研究機関,企業との共同研究の件数の推移や特徴的な共同研究の 概略等) 表8.1.4に国内および国外の大学・研究機関との共同研究の状況を示す.なお,学部によって は構成員全員からデータが収集できなかった学部もある.また工学部の数値は共同研究による成果を 論文等として発表した件数である.国外の大学・研究機関との共同研究がもう少し増えることが望ま しい.企業との共同研究の件数の推移は観点8-1-②d)項で述べる. 表8.1.4 国内および国外の大学・研究機関との共同研究の状況 人文学部 平成15年度 教育学部 平成16年度 平成15年度 医学部 平成16年度 平成15年度 工学部 平成16年度 平成15年度 生物資源学部 平成16年度 平成15年度 平成16年度 国内大学・研究機関 ー 20 26 28 83 88 289 194 133 140 国際大学・研究機関 ー 4 4 5 20 22 34 50 37 39 ー:データなし d) 国内・国際シンポジウムの開催状況(件数や特徴的な事例) 表8.1.5に国内および国際会議・シンポジウムの開催状況を示す.学部によってはデータが収 集できなかった学部もある.会議・シンポジウム等の開催は当該分野の学術レベルの高さに加えて, 予算的な裏付けが必要であるが,表に示された会議・シンポジウムはほとんどが教員個人あるいは学 部レベルで開催されたもので,努力の跡が窺える.大学が支援する国際会議としては3大学ジョイン トセミナー・シンポジウムがあるが,これについては8.2.3節で述べる. 表8.1.5 国内および国際会議・シンポジウムの開催状況 教育学部 平成15年度 医学部 平成16年度 平成15年度 工学部 平成16年度 平成15年度 生物資源学部 平成16年度 平成15年度 平成16年度 国内会議・シンポジウム 13 34 36 32 5 6 26 30 国際会議・シンポジウム 1 2 6 11 3 5 9 5 e) 競争的研究資金への応募状況 表8.1.6-1に科学研究費補助金への応募・採択状況を示す.科研費の応募状況については継続 課題の申請・採択を含んだ値である.申請人数を申請資格のある人数で除した値と申請課題数を申請 資格のある人数で除した値と,2種類の申請率を示してある.前者については文系で 60%,理系で 90%, 後者については文系で 70%,理系で 120%を部局の努力目標にしているが,目標に達した部局は医学部 - 155 - 表8.1.6-1(a) 科学研究費補助金への応募・採択状況 人文学部 年度 H15 教育学部 H16 H15 医学部 H16 H15 附属病院 H16 H15 工学部 H16 H15 生物資源学部 H16 H15 H16 申請件数① 43 41 46 38 268 237 118 115 145 128 130 採択件数② 21 23 24 30 81 80 26 30 41 35 48 107 45 採択率(%)②/① 48.8% 56.1% 52.2% 78.9% 30.2% 33.8% 22.0% 26.1% 28.3% 27.3% 36.9% 42.1% 申請した人数③ 42 41 44 37 169 154 102 96 112 107 103 87 申請時における教員数 ④ 89 91 109 102 186 170 109 110 130 131 138 134 申請率(%)(人数)③/④ 47.2% 45.1% 40.4% 36.3% 90.9% 90.6% 93.6% 87.3% 86.2% 81.7% 74.6% 64.9% 申請率(%)(件数)①/④ 48.3% 45.1% 42.2% 37.3% 144.1% 139.4% 108.3% 104.5% 111.5% 97.7% 94.2% 79.9% 地域共同研 創造開発研 究センター 究センター 年度 H15 H16 生命科学研究 支援センター 留学生センター H15 H15 H16 総合情報処 理センター H16 H16 保健管理センター H15 計 H16 H15 H16 申請件数① 2 1 4 13 4 4 2 2 2 762 688 採択件数② 0 0 3 8 1 1 0 1 1 246 253 採択率(%)②/① 0.0% 0.0% 75.0% 61.5% 25.0% 25.0% 0.0% 50.0% 50.0% 32.3% 36.8% 申請した人数③ 2 1 4 8 4 4 2 2 2 584 539 申請時における教員数 ④ 2 1 4 8 5 5 3 2 2 774 757 申請率(%)(人数)③/④ 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 80.0% 80.0% 66.7% 100.0% 100.0% 75.5% 71.2% 申請率(%)(件数)①/④ 100.0% 100.0% 100.0% 162.5% 80.0% 80.0% 66.7% 100.0% 100.0% 98.4% 90.9% 表8.1.6-1(b) 科学研究費補助金一覧(交付内定件数及び交付内定額(千円)) 平成15年度 平成16年度 研 究 種 目 件数 直接経費 間接経費 件数 直接経費 特別推進研究 1 37,900 11,370 1 12,000 特定領域研究 19 132,300 0 14 104,100 基盤研究(S) 基盤研究(A) 7 44,200 13,260 6 42,100 基盤研究(B) 54 237,600 0 46 200,000 基盤研究(C) 95 125,400 0 92 108,200 萌芽研究 19 25,600 0 28 47,000 若手研究(A) 3 18,200 若手研究(B) 57 79,700 0 64 78,400 合 計 252 682,700 24,630 254 610,000 間接経費 3,600 0 12,630 0 0 0 5,460 0 21,690 のみである.文系学部が高い採択率を示しているのが特筆される.表8.1.6-2に科研費以外の各 省等が募集する競争的研究資金への応募・採択状況を示す.省庁関係の研究費は限られたグループし か応募しない傾向があり,全学として計画的に対応する必要がある.一方,文系の応募がゼロである が,単に応募していないだけなのか,応募できる募集がないのか,調査する必要がある.表8.1. 6-3に文部科学省の募集した事業を載せている. f) 海外からの研究員の滞在状況,海外への派遣状況 表8.1.7に海外からの研究員の受入れおよび海外への教員の派遣状況を示している.これらの 活動も教員の個人的な努力によっているところが多い.大学が組織的に対応した事業としては,平成 15 年度までの在外研究員制度に替わる事業として文部科学省が平成 16 年度に募集した「海外先進教育 研究実践支援プログラム」事業に本学が応募した「CSCL と連携した PBL 教育法の研究開発」が採択さ れ,6 名(長期派遣:各学部 1 名,短期派遣:生物資源学部 1 名)の教員がそれぞれの派遣先で PBL と e-Learning の現状について調査を行った例がある. - 156 - 表8.1.6-2 競争的資金への応募・採択状況 年度 官署 競争的資金名 (千円) 応 募 人文 教育 工学 生物 1 計 件数 権利化試験 科学技術振興調整費 2 1 2 文部科学省 再生医療の実現化プロ ジェクト 1 1 3 1 3 1 8 2 直接経費 98,294 間接経費 20,489 備考 計 118,783 継続 0 6 26,950 8,085 35,035 継続 科学技術振興機 大学発ベンチャー創出支 構 援制度 1 1 0 建設技術研究開発助成制 度 1 1 0 2 5 0 1 2 0 3 3 0 国土交通省 新エネルギー・産業 技術総合開発機 産業技術研究助成事業 構 3 農業・生物系特 生物系産業創出のための 定産業技術研究 異分野融合研究支援事業 機構 1 農業・生物系特 新技術・新分野創出のた 定産業技術研究 めの基礎研究推進事業 機構 農林水産省 先端技術を活用した農林 水産研究高度化事業 計 文部科学省 戦略的情報通信研究開発 推進制度 権利化試験 文部科学省 科学技術振興調整費 文部科学省 再生医療の実現化プロ ジェクト 総務省 0 0 7 7 3 12 1 1 2 16 生命 文部科学省 文部科学省 科学技術振興機 戦略的創造研究推進事業 構 15 医学 採択状況 1 3 27 8 125,244 28,574 1 0 1 4 0 153,818 0 0 3 121,167 29,608 0 継続2 件、新 150,775 規1件 0 科学技術振興機 戦略的創造研究推進事業 構 0 科学技術振興機 大学発ベンチャー創出支 構 援制度 0 0 1 0 0 0 0 科学技術振興機 先端計測分析技術・聞き 構 開発事業 国土交通省 1 建設気壽研究開発助成制 度 新エネルギー・産業 技術総合開発機 産業技術研究助成事業 構 15,800 4,740 1 2 農業・生物系特 生物系産業創出のための 定産業技術研究 異分野融合研究支援事業 機構 2 2 農業・生物系特 新技術・新分野創出のた 定産業技術研究 めの基礎研究推進事業 機構 2 2 農林水産省 先端技術を活用した農林 水産研究高度化事業 3 3 1 17,215 1,785 環境省 環境技術開発等推進費 (基礎研究開発) 1 16 12 174,164 42,128 計 1 7 0 0 2 4 1 10 0 g) 研究施設・設備の利用状況 研究施設・設備の利用状況については,9.1節で述べる. - 157 - 1 19,982 5,995 20,540 継続 25,977 新規 0 19 新規 0 216,292 表8.1.6-3 文部科学省採択事業の状況 事業名 プロジェクト名 ケーブルテレビとインターネットを利用した双方向性公開講 座「三重大学の広場」 金額 (千円) 備考 地域の子ども・住民への文化・科学事業* 東紀州地域の文化的遺産の掘り起こしと活用* 地域特性に応じた在宅高齢者のQOL(生活の質)を高める 地域貢献特別 支援システムの開発と運用* 支援事業 ITを活用した医療連携支援ネットワークによる安心社会の 実現* 平成15度事業,16 15年度 年度は大学改革推 59,660 進等補助金事業と して*印の事業の 16年度 み推進 15,000 (終了) バーチャルミュージアム『伊勢湾博物館』の構築と運用* 地域連携フロントの構築と運用 新たな防災事業体制の推進 表8.1.7 海外からの研究員の受入れおよび海外への教員の派遣状況 人文学部 教育学部 医学部* H15 16 44 工学部 生物資源学部 センター等 合計 研究員の受入 教員の派遣 H15 H16 H15 H16 4 4 4 1 8 19 7 12 H16 H15 H16 H15 H16 H15 H16 H15 H16 13 13 16 20 20 57 54 39 18 14 17 12 3 94 99 *附属病院を含む ー:データなし 観点8-1-② 研究活動の成果の質を示す実績(例えば,外部評価,研究プロジェクト等の評価,受 賞状況,競争的研究資金の獲得状況等が考えられる.)から見て,研究の質が確保され ているか. a) 学部・研究科等の外部評価における評価結果 ある組織の研究活動状況の評価方法として,評価項目のデータをもとに,各データの数値が i)過去 数年にわたって上昇しているかどうか,ii)該当年について目標値に達しているかどうか,iii)他大学 の類似組織のデータとの比較,等によってその組織の研究面での成果を検証する方法が考えられる. このうち iii)は他大学の類似データがそろわないと比較できないので措くとしても,i)については基 礎となる教員個人のデータが完備していないこと,ii)については各組織での数値目標設定がなされて いないこと等の点で問題があり,完全な評価は実行できていないのが現状である.外部評価について は,各部局が毎年ないし隔年で行っており,16 年度には教育学部・生物資源学部が外部評価を受けて いるが,これらの外部評価においても,外部評価委員の評価は概ね概括的な指摘が主で,数量的評価 にはなっていない. 大学全体としての研究関連の外部評価は,大学評価・学位授与機構の行う「研究活動面における社 会との連携及び協力の取組」についての評価を 14 年度に受けているが,これ以外の外部評価の実績は ない.このときの評価結果は,i)取組の実績と効果,ii)改善のための取組, iii)取組は目的の3項目 に対して,i),iii)については「取組は目的及び目標の達成におおむね貢献しているが,改善の余地 もある.」,ii)については「目的及び目標で意図した実績や効果がおおむね挙がっているが,改善の余 地がある.」であった. b) 各種の競争的研究資金制度において,当該研究活動が評価された際の評価結果 科学技術振興機構・科学技術振興調整費:複合型自然エネルギー発電システムの開発研究(平成 13∼ - 158 - 16 年度) 個別評価については i)目標達成度:概ね達成されている,ii)研究成果:ある程度得られている, iii)研究計画・実施体制:ある程度適切であった,iv)先導性・融合性:概ねあった,との評価で あった.総評として「三重県の風況やバイオマス発生源(農業,畜産)など既存資源を活用した,地 域特性にあった自然エネルギー複合発電システムという開発目標を達成するためには,全体システ ムの定量的な比較,検討が不十分である.しかし,複合エネルギー,特にシステム開発というコン セプトは魅力的であり,個々の要素技術の開発には一定の成果を挙げている.以上により,期待し たほどではなかったが一定の業績が上げられていると評価される.総合評価 C」を得ている. 文部科学省・都市エリア産学官連携促進事業:三重・伊勢湾岸エリア 次世代ディスプレイ用新機能 材料とその応用機器の創製(平成 16∼18 年度) 現在継続中で評価を受けていない.自己評価によると,3メインテーマ・6サブテーマ全体につい て,16 年度の目標に対する平均進捗率 80%,学術論文 12 編,口頭発表 37 件,特許出願2件とな っている. 科学技術振興機構・地域結集型共同研究事業:閉鎖性海域における環境創世(平成 15∼19 年度) 中間評価における研究に関わる「研究開発進捗状況及び今後の見通し」の項目で,「環境創生とい う明確な目標に向けて研究開発は順調に進捗しており,地域に対して大きな貢献が期待される.生 態学的な手法を積極的に取り入れた工法を中心にした研究手法も妥当である.ただし,研究が国内 外の水準に比べて優れていることを示すために.研究論文の発表をさらに盛んにすることが求めら れる.また,研究成果には権利化出来る要素が多く見られるので,一層の特許化の促進が望まれ, これにより企業による事業化が容易になると期待される.既に結果が出ている研究テーマはフェー ズ I で終了し,細分化されすぎたサブテーマを整理統合することが求められる.」とのコメントを 受けている.定量的評価はない. c) 学術賞受賞状況 表8.1.8に学術賞の受賞状況を示す.平成 16 年度の受賞数 12 件は全教員数の約 1.6%にあたる. 研究の質を向上させる意味で倍程度の受賞数を期待したい. 表8.1.8 学術賞受賞状況 人文学部 H15 H16 学術賞の受賞 0 0 教育学部 H15 H16 0 1 医学部* H15 H16 4 1 工学部 生物資源学部 H15 H16 H15 H16 5 5 2 2 *附属病院を含む d) 競争的研究資金の獲得状況 競争的研究資金の獲得状況については表8.1.6に示した.また競争的資金ではないが,平成 16 年度の共同研究・受託研究・奨学寄付金の受入れ状況を表8.1.9に示す.なお受託研究には治験 に関するものは含まれていない.また表8.1.6-2に示した各省等の募集する資金の採択分は実際 には受託研究費として計上されている.平成 16 年度の科学研究費補助金については,全国の大学・研 究機関と比較して,件数順位 26 位,金額順位 30 位であった.また共同研究・受託研究については件 数で共同研究 13 位,受託研究 96 位,共同・受託合算 16 位であった.平成 16 年度の科研費・共同研 究・受託研究・奨学寄付金の総額は約 22 億円で,これは各部局および学内共同教育研究施設に配分さ れた,教育・研究経費および教育研究支援経費の総額約 13 億6千万円の約 162%にあたっているが, このことから本学の研究がほとんど外部資金によって行われていることを示している.15 年度と比較 - 159 - すると共同研究・奨学寄付金が順調に伸び,受託研究が倍増に近く,共同研究・受託研究・奨学寄付 金の総額では約 4 億円の増となった.これが科研費の約 7,500 万円の減を補った形になっている.科 研費の現象が懸念されるところであるが,これらの外部資金の獲得が研究水準を維持する上で必要不 可欠となっている. 表8.1.9 平成16年度共同研究・受託研究・奨学寄付金の受入れ状況 共同研究 受託研究 寄附金 計 人文学部 教育学部 件数 5 8 金額 6,017 件数 0 金額 件数 医学部 附属病院 (千円) 工学部 生物資源学部 センター等 合 計 平成15年 度実績 33 7 75 46 4 178 161 5,073 42,268 7,378 96,596 39,073 1,360 197,765 179,594 5 15,596 143 21 47 2 15,814 17,664 0 7,841 276,766 119,632 130,028 173,032 4,500 711,798 382,263 9 23 920 75 84 71 12 1,194 963 金額 10,569 22,103 426,279 40,659 54,001 96,182 6,461 656,253 603,079 件数 14 36 16,549 225 180 164 18 17,186 18,788 金額 16,586 35,017 745,313 167,668 280,625 308,287 12,321 1,565,816 1,164,936 e) 研究成果に関わる国内外の学会での基調・招待講演等 表8.1.10 に国内外の学会での基調・招待講演の件数を示す.学部によっては構成員全員からデ ータが収集できなかった学部もあって,データの収集に濃淡があるが,招待講演数が教員数の 20%を 超えることを努力目標としたい.医学部の国内学会,工学部の国際学会での招待講演数の多さが特筆 される. 表8.1.10 国内・国際学会での招待講演数 人文学部 教育学部 H15 H16 H15 H16 国内学会 ー 1 22 77 国際学会 ー ー 5 5 8.1.2 医学部 H15 H16 145 192 8 18 工学部 生物資源学部 H15 H16 H15 H16 18 37 35 43 32 34 5 6 ー:データなし 研究成果の社会貢献状況 観点8-1-③ 社会・経済・文化の領域における研究成果の活用状況や関連組織・団体からの評価等 から見て,社会・経済・文化の発展に資する研究が行われているか. a) 地域との連携の状況(地域企業や関連団体等との連携状況を示す資料・データ等) 表8.1.11 に三重県下における共同研究・受託研究の状況を示す.なお受託研究には治験に関す るものは含まれていない.三重県下の自治体・企業との共同研究・受託研究の全体に対する比は,件 数で 55%,金額で 33%となっている.共同研究だけを比べた場合の比 59%は岐阜大学についで全国2位 であり,本学が地域圏大学として地域に密着した研究を行っている証左であるといえる. - 160 - 表8.1.11 三重県下における共同研究・受託研究 地方公共団体等 うち三重県関係 件数 共同研究 38 受託研究 47 85 計 受入額 件数 45,707 31 159,451 34 205,158 65 (千円) 企業等 受入額 件数 38,520 67 153,502 3 192,022 70 備 考 (16年度全体) 計 受入額 件数 47,840 105 1,575 50 49,415 155 受入額 93,547 161,026 254,573 件数 178 103 281 受入額 197,765 575,897 773,662 b) 産業界や関連団体にアンケート調査を行った結果 図8.1.1に共同研究相手先の満足度調査を行った結果を示す.概ね満足との評価が得られてい るが,研究スピードに対して改善の余地がある. 図8.1.1 平成16年度共同研究相手先満足度調査結果 .図1 研究目標に対しての達成率 N=8 60%未満 回答なし 2% 15% 60%以上 27% 100% 23% 図2 共同研究テーマは貴社での 実用化に役立ちましたか N=85 やや不満 2% 不満 0% 普通 24% 回答な し, 5% 満足 26% 80%以上 33% 図3 大学教員との意思疎通につい て N=85 不満 0% 回答なし やや不満 1% 1% 普通 20% 満足 54% やや満足 24% やや満足 43% 図4 共同研究のスピートについて N=85 回答なし 不満 5% 2% やや不満 満足 7% 23% 普通 35% やや満足 28% 平成16年度共同研究実施先の 178機関に対して満足度調査を 行った。(回答率:48%) 図1は共同研究の目標に対して の満足度の調査結果であるが、 100%満足を含め80%以上 の満足度と回答した機関は5 6%であった。また60%以上 では83%となった。この結果 より、共同研究の相手先は研究 結果に対して概ね満足している と考えられる。 図2の三重大学との共同研究に おいて、そのテーマが自社の製 品の実用化に役立ったかについ ては、ほぼ69%が役立ったと 考えている。 図3は共同研究相手先と大学教 員との意志疎通についての質問 であるが、78%が概ね満足と 回答しており、共同研究の目標 設定、進め方、結果について十 分な話し合いの中で行われてい ると考えられる。 図4は共同研究を実施していく 上でのスピードについての質問 で有るが、ほぼ半数が概ね満足 としたが、他の満足度と比べる と若干低めとなっており、研究 スピードに対して改善の必要性 が読みとれる。 c) 社会・経済・文化的な貢献に関する評価項目を含む外部評価や競争的研究資金制度において評価さ れた結果 競争的研究資金制度において評価された結果は8.1.1節,観点8-1-②b)の項で述べた. d) 書評・論文評,新聞や一般書等での引用・紹介記事等において高く評価されたもの 表8.1.12 に研究成果等が新聞で報道された件数を示す.この他,テレビやラジオによる報道も あったと思われるが,データは把握できていない. e) 特許ライセンス,事業化の状況 特許ライセンス,事業化の状況については8.2.2節で述べる. - 161 - 表8.1.12 研究成果等が新聞報道で取上げられた件数 人文学部 研究(人物)紹介 教育学部 医学部* 工学部 生物資源学部 センター等 7 5 10 2 6 2 ー ー 4 5 3 12 シンポジウムの開催 4 ー ー 1 1 ー フォーラムの開催 2 ー ー 2 1 5 13 5 14 10 11 19 研究に関するニュース 計 *附属病院を含む f) 共同研究や技術指導などにおいて,連携相手からの評価が高く,連携が継続して行われているなど の状況がわかるもの 表8.1.13 は同一の共同研究相手先と 3 年以上にわたって継続的に行われている共同研究の数を 部局別に示したものである.長期的な共同研究の継続は,相手先の本学共同研究担当教員に対する高 い信頼度や満足度の現れと見ることができ,今後もこの数を増やす努力が望まれる. 表8.1.13 3年以上継続している共同研究の件数(平成16年現在) 人文学部 件 数 教育学部 1 医学部 0 附属病院 7 工学部 1 生物資源学部 センター等 12 10 3 g) 研究成果に関わって国や地方公共団体等の審議会委員となり,研究内容が政策形成・実施に寄与し たことがわかるもの 本学教員が国や地方公共団体等の審議会委員等を努めているケースは非常に多数に上るため,ここ では割愛する.これらの審議会等での本学教員の有識者としての役割が,政策形成・実施に寄与した ことは疑いないが,それらが研究内容を反映したものであったかどうかは調査データがないので判然 としない. (2)自己評価結果 以上の分析から,外部資金の獲得状況や研究成果の社会貢献状況など好材料がある一方で,学 術論文等の発表状況が思わしくない点や,科研費応募率が低い点,定量的な外部評価を受けてい ない点などは改善を要する.したがって本学の研究成果は,上記評価基準に照らして,一部不十 分なところがある. 8.2 研究実施体制等の整備 <評価基準> 大学の目的に照らして,研究活動を実施するために必要な体制が適切に整備され,機能してい ること. (1)観点ごとの状況および分析 8.2.1 戦略的研究体制 観点8-2-① 研究の実施体制及び支援・推進体制が適切に整備され,機能しているか. a) 教員,研究員(ポストドクターを含む.)等の配置や,研究組織の構成の状況が適切であるか. - 162 - 三重大学組織図は 12.1 節,観点 12-1-➁の項で示されている通りである.研究活動は人文社会 科学・教育学・医学系・工学・生物資源学の5研究科(このうち医・工・生には博士課程設置),医 学部附属病院,および専任教員の配置された創造開発研究センター・生命科学研究支援センター・高 等教育創造開発センター・国際交流センター・総合情報処理センター・保健管理センター・環境保全 センター・知的財産統括室の各センター・室において行われている.表8.2.1に各部局別の教員・ 事務職員・技術職員・研究員(ポスドクを含む)の配置状況を示す. 表8.2.1 部局等別職員数(平成16年5月1日現在) 大学教 附属教 事務職 技術職 図書職 医療職 学長等 船員 研究員 合計 員 員 員 員 員 員 学長・理事・監事 8 8 8 事務局等 156 32 188 創造開発研究センター 2 7 9 生命科学研究支援センター 11 5 16 留学生センター 5 5 総合情報処理センター 3 3 保健管理センター 2 2 4 環境保全センター 1 1 サテライト・ベンチャー・ 10 10 キャンパス・インキュベータ 附属図書館 10 10 20 人文学部 89 9 98 教育学部 105 11 1 117 教育実践総合センター 4 4 附属小学校 24 2 1 1 28 附属中学校 25 2 1 28 附属養護学校 27 2 1 1 31 附属幼稚園 7 1 8 医学部 165 7 10 3 185 附属病院 107 76 436 619 大学院工学研究科 3 3 工学部 125 22 27 1 175 生物資源学部 123 21 3 147 紀伊・黒潮生命地域フィー 附帯施設農場 2 12 14 附帯施設演習林 2 3 5 附帯施設水産実験所 1 1 附属練習船勢水丸 3 13 16 合計 8 761 83 319 96 13 440 13 18 1743 ・職員数には、休職者(1名)及び育児休業者(15名)を除き、任期付職員(育児休業の代替職員1 2名)を含む。 ・監事数に、非常勤監事1名を含む。 ・在籍出向者(一般職(一)施設部)は除く。 ・技術職員に教務職員6名及び技能職員15名を含む。 b) 研究支援組織(事務組織や技術職員組織等)の整備・機能状況が適切であるか. 事務組織や職員の配置状況はそれぞれ 12.1節の三重大学組織図および表8.2.1に示されてい る通りである.研究支援には事務組織が総合的にあたっているが,特に関係の深いのは社会連携・外 部資金・知的財産および一部の学内共同教育研究施設(各センター・室)に関する事務を担当する総 - 163 - 務部研究支援課および同課社会連携室である.これらは平成 16 年度に国立大学の法人化にともなう事 務組織の再編成から研究支援および社会連携の重要性に鑑みて設置されたものでそれぞれ8および9 名が配置されている. 附属施設を除く学部等に所属する技術職員は 40 名であるが,このうち 27 名の工学部技術職員は既 に組織化されており,従来の研究室所属型から,工学部全体からの技術支援の要望に応じて日々の業 務を行う全体サービス型に移行している. c) 研究推進のための施策の企画・立案等を行う組織の整備・機能状況が適切であるか. 主として研究推進と社会連携に関わる創造開発研究センター・生命科学研究支援センター・地域連 携推進室・知的財産統括室・災害対策プロジェクト室は 12.1節の三重大学組織図に示すように研究 機構に所属し,研究機構を統括する研究担当副学長を委員長とする研究・社会連携戦略会議が,各部 局と連携しながら研究および社会連携推進のための施策の企画・立案等を行っている.研究機構傘下 の各センター・室で計画・実施されている実際の研究および研究支援の概要は以下の通りである. 創造開発研究センター:平成2年に設立された地域共同研究センターを平成 16 年に改組したもので, 産学官の連携を深め,三重大学の知的財産の活用や独創的な研究開発の推進を図ることによって,三 重大学の教育研究に資することを主な目的としている.生物資源学部教授のセンター長(兼務),専任 の助教授1名,助手1名が配置されている.研究プロジェクト部門と社会連携創造部門があり,前者 はサテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(以下 SVBL と略称)と連携しながら企業等との 共同研究を推進することを目的に,後者はリエゾン室を中心とした共同研究の発掘等を含む産学官連 携活動の推進とキャンパス・インキュベーター(以下 CI と略称)の運営・管理を目的とした活動を行 っている.リエゾン室には文部科学省・経済産業省(NEDO)・三重県・四日市市等からの派遣ないしは 支援を受けた外部人材5名が産学官連携コーディネータ等として活動している. サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー:「先端エコ・エネルギー要素技術研究」を大テ ーマに掲げて平成 13 年に設置された施設で,第1期(5年間)の 10 グループが入居して表8.2. 2の研究を展開している.ここでは 10 名(16 年度)の研究員が国内外から研究に参加している. 表8.2.2 平成16年度サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー入居者の研究テーマ一覧 研究プロジェクト名 研究テーマ 研究代表者 所属 武田 保雄 伊藤 敬人 工学部 工学部 川口 正美 平松 和政 工学部 工学部 畑 浩一 太田 清久 田中 利男 工学部 工学部 医学部 自然エネルギーを利用した発電システムの開 一般家庭への普及を目的とした自然エネルギー利用発電システムの開発 発 風力タービンの研究開発と風況精査 石田 宗秋 前田太佳夫 工学部 工学部 蓄熱式空調システムと省エネ技術の開発 石川 幸雄 工学部 リチウムイオン電池用リチウム窒化物負極の開発 化学エネルギーの電気エネルギーへの変換要 リチウム二次電池用の高分子固体電解質の開発 素技術開発 ペプチドナノ集合体を用いた情報・エネルギー変換機能の発現 Ⅲ族窒化物半導体の結晶成長と光デバイス作製 ゼロエミッション技術の開発 ナノエレクトロニクス応用のためのカーボンナノチューブ作製プロセス開発 ダイオキシン類生成に及ぼす金属影響及びそれらの分解法の開発 環境ホルモンの検出と除去法の開発 新しいモデル動物による環境化学物質のトキシコゲノミクス研究 蓄熱式空調システムの蓄熱性能予測手法の開発 キャンパス・インキュベーター:大学発の研究成果をもとにした起業支援を目的として平成 16 年度 に設置された施設で,表8.2.3に示す各テーマに沿って 11 のグループが研究ならびに企業化活動 を行っている. - 164 - 表8.2.3 キャンパスインキュベータ入居企業と開発内容 事業分野 バイオ 医工連携 I T 企業名等 (株)HID (株)機能食品研究所 (株)イミュノフロンティア (有)R&Dおくやま (株)医用工学研究所 (有)ジオワーク (株)イーラボ・エクスペリエンス (株)CARINATA INTERNATIONAL 開発内容 エゾウコギを用いた機能性食品の開発 特定保健用食品などの臨床試験の受託サービス がんワクチン療法による医薬品の開発 三次元医療画像装置の開発 画像センターによる集中読影ネットワークシステムの開発 GISを用いたエリアマーケティング支援事業 環境センシングシステムを用いたフィールドサーバーの応用開発 GISを利用したアフリカ地図の作製 リポソーム研究所(仮) (法人格持たず) リポソームを用いた鯉ヘルペスなどのワクチン開発 細胞外基質研究所(H16年度) プレベンチャー (H17年度に株式会社立ち上げ予定) エラスチンを用いた再生医療用素材開発 中山水熱工業株式会社からスピンアウト 自然言語処理技術を応用した知識管理システムの開発 (H17年度に株式会社立ち上げ予定) 地域連携推進室:主として地域サービスに関するニーズを発掘することを目的として活動している 室で,表8.2.4に三重大学および学部が市町等との間でこれまでに締結した相互友好協力協定一 覧を示す.活動内容が上記社会連携創造部門と重なる部分も多く,実際には同部門と協働しているの で,発展的解消を検討中である. 知的財産統括室:平成 16 年に発足した室で専任助手1名と,発明協会から派遣された知的財産管理 アドバイザが配置されている.大学の職務発明の特許化と知的財産の管理,および知的財産に関する 啓発活動を行っている. 災害対策プロジェクト室:平成 15 年に発足した室で,室長(工学部教授,兼務)と室員3名(工学部 助教授・講師,兼務)が配置されている.将来予想される震災や風水害に備えたソフトづくりのための 教育と研究を三重県とタイアップして行うとともに,附属図書館を中心とした災害関係図書の収集や 防災シンポジウム開催を支援している. 生命科学研究支援センター:平成 15 年に遺伝子実験施設・動物実験施設・機器分析施設・電子顕微 鏡施設・アイソトープ実験施設を統合した学内共同教育研究施設として設置され,生命科学の教育と 研究の支援,生命科学と他の研究領域の融合,産学連携研究の推進に貢献することを主な目的にして いる.現在,機能ゲノミクス分野・分析実験分野・総合アイソトープ分野の3分野にまたがる8研究 部門を擁し,専任の教授1名,助教授4名,助手6名が,各部局からの兼務教員 12 名とともに生命科 学に関する先端研究を推進している.センター長は医学部教授が兼務している. 以上の他,各部局では副学部長・評議員あるいはこれに準ずる教員を研究に関する事項の統括に充 てて,独自に研究の推進ならびに支援を行っている.また,研究機構ではなく情報・国際交流機構傘 下で研究の推進ならびに支援を行っている,留学生センター・総合情報処理センターの概要を記して おく. 留学生センター:平成9年年4月に学内共同教育研究施設として設置され,留学生のための日本語・ 日本文化の教育,日本での生活および修学上の指導助言,留学生交流の推進,海外留学を希望する学 生への指導助言,これらに関連する調査・研究を行うことを主な目的としている.現在,生物資源学 部教授がセンター長を兼務し,留学生交流指導部門に教1名,日本語・日本文化教育部門に助教授4 名が配置されている. 総合情報処理センター:昭和46年に計算センターとして発足し,昭和62年に学内共同利用の特 別施設として情報処理センターが設置された.以来,情報処理センターは,情報に関する研究・教育 - 165 - 表8.2.4 地方自治体等との相互友好協力協定一覧 締結内容 締結先 締結日 備考 尾鷲市 H14.12.2 1)産業振興へ向けての共同研究推進 2)医療・福祉・環境問題にお ける諸課題への対応 3)生涯学習社会における諸課題への対応 4) 歴史的文化遺産についての調査研究の推進 5)三重大学尾鷲サテライ ト設置への対応 6)その他 上野市 H15.1.23 1)産業振興へ向けての共同研究の推進 2)生涯学習社会における諸 課題への対応 3)環境問題における諸課題への対応 4)健康福祉問 題における諸課題への対応 5)その他 四日市市 H15.10.7 1)産業の振興・新たな産業の創出への対応 2)循環型社会への形成 の対応 3)教育・保健福祉に関する諸課題への対応 4)少子・高齢 化社会における諸課題への対応 5)その他 H16.1.27 1)亀山市将来ビジョン計画の策定と実施に関する協力 2)液晶産業 を生かしたまちづくりに関する共同研究の推進 3)環境問題における 諸課題への対応 4)医療・健康・福祉問題における諸課題への対応 5)その他 H16.1.27 1)関町将来ビジョン計画の策定と実施に関する協力 2)液晶産業を 生かしたまちづくりに関する共同研究の推進 3)町並みを生かしたま ちづくりに関する共同研究の推進 4)環境問題における諸課題への対 応 5)医療・健康・福祉問題における諸課題への対応 6)その他 海の博物館 H16.3.18 1)教育・文化及び生涯学習に関する連携と協力 2)研究・調査等に 関する諸課題への協力 3)学芸員の養成に関する協力 4)幼少中学 生の実地実践的な学習推進に関する協力 5)大学の共通教育に関する 諸課題への協力 6)その他、両者の相互発展に関する協力 鳥羽市 H16.3.22 1)離島振興に関する諸課題への対応 2)産業の振興・新たな産業の 創出への対応 3)福祉、健康、医療における諸課題への対応 4)教 育・文化及び生涯学習に関する諸課題への対応 5)自然・生活環境に おける諸課題への対応 6)その他、両者の相互発展に関すること H16.6.9 1)朝日町将来計画の策定に関する協力 2)産業の育成に関する共同 研究の推進 3)産学官民の協力によるまちづくりの推進 4)医療・ 健康・福祉問題における諸課題への対応 5)国際化における諸課題へ の対応 6)教育・文化及び生涯学習に関する諸課題への対応 7)そ の他 H16.8.25 1)阿児町の文化・社会に関する調査研究の推進 2)大学院科目「三 * 人 文 重の文化と社会」を中心にした調査の展開 3)産官学民の協力による 学 部 と まちづくりの推進 4)国際化における諸課題への対応 5)阿児町民 の協定 及び三重大学生の人材育成に関する協力 6)その他 亀山市 関町 朝日町 阿児町 1)教員の養成に関すること 2)教職員等の研修に関すること 3) * 教 育 津市教育委 H16.11.16 学校教育活動への支援に関すること 4)教育上の諸課題に対応した調 学 部 と 員会 の協定 査・研究に関すること 5)その他双方が必要と認めること 1)両大学は,紀伊半島地域圏の諸問題に関する取組を中心とした研究 面での相互交流を活発に進める。 2)両大学は,教育の高度化と教育 体制の向上を図るため,教育面での交流を深め,各々の教育資源を相互 和歌山大学 H16.11.30 に提供する。 3)両大学は,地域社会に対する貢献事業に連携して取 り組むとともに,その成果等について相互に情報を交換する。 4)両 大学は,企画や組織運営の方法等に関する情報を交換する。 5)その 他,協議会で必要と認めた分野の連携課題。 - 166 - の支援,学術情報の収集・提供などのサービス基盤としてその役割を果たし,平成15年4月にその 機能をさらに拡充するために三重大学総合情報処理センターとなり,今日に至っている.現在はキャ ンパスネットワーク整備と管理に機能の重点が置かれ,工学部教授がセンター長を兼務し,助教授1 名,助手2名,技術専門員1名が配置されている. また,大学組織ではないが,大学と密接に連携して研究支援活動を行っている組織に㈱三重 TLO と NPO 法人・地域開発研究機構がある. ㈱三重 TLO:平成 14 年に設立された,資本金 1,670 万円,加入会社約 200 社の組織で,社長(工学部 教授,兼務),特許庁から派遣されている特許流通アドバイザ,三重大学生協からの協力員,非常勤職 員5名が配置され,知的財産の評価, 特許出願,技術移転,共同研究のコーディネート等で大学をサ ポートしている.㈱三重 TLO 関係の共同研究・技術移転等のデータは8.2.2節で述べる. NPO 法人・地域開発研究機構:総合大学としての三重大学の潜在力をさらに引き出し,地域への貢献 を目指すために特定非営利活動法人地域開発研究機構が1月に設立された.このNPOは,大学発の シンクタンクとして,地域プランニング,産業開発研究,マーケティング調査,食・農・環境調査, 教育分野での調査,福祉・人権調査,防災のための調査などの研究活動を行なうとともに,啓発や教 材作成,スタディツアーの企画など学生や地域の人々に必要とされる様々な活動を広範囲に行なうこ とを目指している. d) 研究設備等の整備・機能状況が適切であるか. 表8.2.5に共同利用に供されている大型設備機器(各部局に配備されている設備を除く)の一 覧を示す.これらの中には老朽化したものも多いが,設備機器の新規配備や更新については,当該設 備機器の耐用年数と購入時期,使用頻度,汎用性等を勘案して逐次概算要求して行く予定である. 表8.2.5 共同利用されている大型設備機器一覧 所 属 設置年月日 品 名 H6.3 高分解能核磁気共鳴装置 H6.3 メカトロニクス計測制御評価設備 H8.3 多モードトポ解析システム 創造開発研究センター H8.3 大型構造物試験装置 H11.3 多項目情報処理システム H13.3 風洞実験装置 H13.3 レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置 H13.3 分散型レーザーラマン分光装置 H13.3 原子間力顕微鏡(AFM) H13.3 高密度蓄熱実験装置 サテライト・ベンチャー・ビジネ ス・ラボラトリー(SVBL) H13.3 カソードルミネセンス測定装置 H13.3 プラズマCVD装置 H13.3 マイクロカロリメトリーシステム H13.3 高周波プラズマ発光分光分析装置 H13.3 環境計測装置 H.7.3 フーリエ変換核磁気共鳴装置 生命科学研究支援センター (機器分析施設 H.7.3 X線回析装置 S.56.3 透過型電子顕微鏡 S.61.2 透過型電子顕微鏡 生命科学研究支援センター (電子顕微鏡施設) H.7.3 透過型電子顕微鏡 H.1.3 クライオミクロトーム 金 額 (千円) 89,622 65,920 131,715 62,920 84,000 80,997 15,015 22,050 19,950 29,820 34,965 10,080 17,010 15,960 53,025 23,690 13,905 28,000 45,000 52,272 10,000 e) 研究成果の発信や刊行のための組織の整備・機能状況が適切であるか. 表8.2.6に学内刊行物一覧を示す.研究成果の発信のための刊行物は各部局・センター等から刊 行されているものが多い.総務部総務課広報係からの刊行物は研究に限らず三重大学における各種活 - 167 - 表8.2.6 三重大学広報刊行物一覧 部局等 広 報 誌 名 三重大 X(えっくす),フラッシュニュース,ウェーヴ三重大,三重大学 総務部広報室 概要,三重大学学報(号外):論文集 学務部 三重大学案内,夢へのステップ,学生便覧,MIU(ミウ) リエゾンニュース,創造開発研究センター広報,SVBL研究プロジェクト研究 創造開発研究センター 活動報告(Research Activities Reports) 生命科学研究支援センター 生命科学研究支援センターパンフレット 留学生センター 留学生のためのガイドブック,国際交流センターニュース 総合情報処理センター 三重大学総合情報処理センター広報 共 通 教 育 大学教育研究−三重大学授業研究交流誌− TRIO(三重大学大学院人文社会科学研究科地域交流誌) 人 文 学 部 人文学部そこが知りたい 三重大学人文学部・大学院人文社会科学研究科概要 三重大学教育学部・大学院教育学研究科案内 教 育 学 部 三重大学大学院教育学研究科(修士課程)案内 附属小学校 三重大学教育学部附属小学校要覧 附属中学校 三重大学教育学部附属中学校要覧 附属養護学校 三重大学教育学部附属養護学校要覧 附属幼稚園 三重大学教育学部附属幼稚園要覧 三重大学大学院医学系研究科・医学部・医学部附属病院概要 三重大学医学部News, 病院ニュース・みえだい 看護師・助産師募集あんない, 三重大学医学部医学科のご案内 医学系研究科 新しいページの始まり−看護を目指すあなたへ− 外来受診のご案内, 入院のご案内 診療科・担当医のご案内, 医療福祉支援センターのご案内 工学部 三重大学工学部・大学院工学研究科概要 三重大学工学部案内(Guidebook) 三重大学工学部研究活動一覧(Research Activities) 生物資源学部 三重大学生物資源学部・大学院生物資源学部研究科概要 三重大学生物資源学部2005 三重大学生物資源学部紀伊・黒潮生命地域フィールドサイエンスセンター 附属図書館 学塔 動を PR する目的で刊行されている.現在 HP による研究成果等の発信は各部署が自主的に行っている が,情報・国際交流担当副学長が所掌する広報係および総合情報処理センターがその管理にあたれる よう体制を整備しようとしている. 観点8-2-② 研究活動に関する施策が適切に定められ,実施されているか. a) 外部研究資金の獲得や大学内部での研究資金の配分に関する施策の実施状況が適切であるか. 科学研究費補助金および科学技術振興調整費等の獲得状況を表8.1.6に,また共同研究・受託 研究・奨学寄付金の受入れ状況を表8.1.9に示した.これらの研究費に関するチーム編成や獲得 活動は基本的には教員個人に任されている状態で,共同研究・受託研究・奨学寄付金に対する創造開 発研究センターのリエゾン室の発掘・契約締結支援活動や,科研費獲得のために開催した,獲得実績 のある学内教員や科学技術振興会からの講師による,3回の科研費申請説明会(参加人数は7月:183 人,9月:124 人,10 月:71 人)を除くと,外部研究資金の獲得へ向けた全学的な施策が打たれてい - 168 - ない.特に表8.1.6-2に示した大型外部資金獲得には今後全学的対応が必要になろう.一方,純 粋な研究資金ではないが,表8.1.6-3に示した文部科学省等が募集する競争的資金については, 担当副学長の主導による WG 等において,選定テーマの学内公募,テーマの統合,獲得戦略,事業内容 等を検討して獲得に至った実績がある. 表8.1.3に示した学内公募で選定した研究プロジェクトについては,公募の方法,テーマの選 定,研究費配分額,配分期間等を研究・社会連携戦略会議で検討し,教育研究評議会で決定した. b) 研究者の育成や研究時間の確保に関する施策の状況が適切であるか. 表8.2.7は各部局博士課程および博士後期課程定員と博士号の授与数を示したものである.研 究員は SVBL に 10 名と,工学部に1名が配置されている.教員数と比較した研究者の数や,定員と比 較した博士号授与数増加させる努力が必要である.表8.1.3の各プロジェクトへの研究費は研究 者の育成を大きな目的として配分されたものであるが,配分時期が 16 年度後半であったためまだ良く 機能していないが,今後に期待したい.博士号授与数増を図るには課程への入学者数を増加させるこ とが必要であるが,奨学金を含めた抜本的な打開策を打ち出す必要がある. 表8.2.7 博士課程等定員および博士号授与数 医学系研究科 平成15年度 平成16年度 博士課程等定員 60 60 博士号授与数 50 39 工学研究科 平成15年度 平成16年度 16 16 33 22 生物資源学研究科 平成15年度 平成16年度 12 12 19 15 法人化にともなって,研究時間確保の観点から各種委員会の数の削減を試みた.表8.2.8は 15, 16 年度における委員会数の変化を示したものである.法人化を期に委員会数を削減した部局と,法人 化前に削減済で,法人化にともなう必要性から委員会数が若干増えた部局とがある.各部局とも適正 な委員会数ではないかと思われる.全学委員会の数はもっと削減できると思われるが,検討を要する. ただし,懸案事項を処理するために新しく WG 等を形成する場合もあり,特定の教員に管理運営業務が 集中している面があることは否定できない.また,研究時間の確保には,委員会等での管理運営業務 の他に,社会貢献や地域サービスに費やされる時間を押さえる必要があり,地域圏大学を標榜する三 重大学としてはジレンマを感じるところである.教育・研究・社会貢献・管理運営の4項目の適正な 時間配分は各教員の判断にゆだねられるとしても,時間配分状況や研究時間確保に対する阻害要因等 を把握する必要があろう. 表8.2.8 各種委員会の数 人文学部 平成15年度委員会数 17 平成16年度委員会数 14 教育学部 29 22 医学部 工学部 34 41 19 20 生物資源学部 33 34 全学 89 80 c) 大学の目的に即した研究推進に関する施策(重点研究分野の設定,学際研究プロジェクトの促進, 萌芽的研究の支援など)の実施状況が適切であるか. 地域性,国際性,独自性,学際性等のある三重大学を代表する4種類の研究プロジェクトの選定・ 支援については8.1.1 節で述べた.これらの研究に配分した研究費は運営費交付金および間接経費 から措置したもので,総額 4,340 万円である.三重大学 COE は,21 世紀 COE の選に漏れた本学として 次期募集に備えて研究実績を積んでおく意味合いを持たせたものであるが,配分額が少なすぎる等の 意見がある.しかし学内研究支援への上記金額は,現時点の本学の財政状態からすればぎりぎりの配 分額であり,最大限の努力を払った結果である. - 169 - d) 国内外の共同研究推進支援に関する施策の実施状況が適切であるか. 共同研究の推進状況は表8.1.9,8.1.11 に示した通りである.企業関係との共同研究は教 員個人の発掘によるものの他,創造開発研究センター・リエゾン室や㈱三重 TLO のコーディネータに よって発掘されたものが相当数ある.㈱三重 TLO のデータは8.2.2節で述べる.一方,国内外の 大学あるいは研究機関との共同研究は表8.1.4に示したが,ほとんどは教員の個人的活動による もので,大学がコーディネートしたものはなく,実施数も十分とは言えない. e) 研究成果の公表・発信,知識・技術の移転に関する施策の実施状況が適切であるか. 学術論文等の形で公表された研究成果については,表8.1.1および表8.1.2に関連して述 べた.また大学刊行物による研究成果の公表については表8.2.6に関連して述べた.知識・技術 の移転に関する事項は8.2.2節で述べる. f) 利益相反,生命倫理,環境・安全等の規程が適切であるか. 表8.2.9は利益相反,生命倫理,環境・安全等に関する規程等の一覧である.これらにはたた き台として検討中のものも含まれている.またこれらは全学としての規程等で,これらを受けて生命 倫理,環境・安全等については各部局・センター等で独自の規程を定めている. 表8.2.9 利益相反,生命倫理,環境・安全等に関する規程等一覧 規程等 国立大学法人三重大学利益相反マネジメントポリシー 利益相反関係 国立大学法人三重大学利益相反マネジメント規程 三重大学組換えDNA実験安全管理規程 生命倫理関係 三重大学生命科学研究支援センター動物実験指針 国立大学法人三重大学職員安全衛生管理規程 国立大学法人三重大学船員安全衛生管理規程 環境・安全関係 三重大学生命科学研究支援センターアイソトープ実験施設放射線障害予防規定 三重大学廃棄物等に関する管理規程 観点8-2-③ 備考 たたき台,検討中 たたき台,検討中 研究活動の質の向上のために研究活動の状況を検証し,問題点等を改善するためのシ ステムが適切に整備され,機能しているか. a) 各種委員会等のシステム体制及び活動状況(組織等相互関連図,関係諸規定,記録等)が適切であ るか. 研究活動状況の検証・改善に関わる委員会としては,全学および各学部局の自己点検・評価委員会 (相当する別名委員会を含む)および三重大学評価委員会があり,事務的な作業は総務部企画課評価 分析係があたっている.しかしながら増大する評価関連業務に対応するには現体制では不十分である ため評価企画室を設けることを構想している.12.3節の「組織評価の体制図(案)」は現在検討中の 評価委員改等の関連図と業務を描いたものである.既存各委員会の規程や議事録は整備されている. 自己点検・評価あるいは外部評価等から明らかになった研究に関する改善点は,研究機構委員会を通 じて全学に周知徹底し,適切な改善措置がとられたかどうかをチェックすべきであるが,この機能は 未だ果たされていない. b) 外部評価,自己点検・評価等の実施状況が適切であるか. 各学部では自己点検・評価委員会(相当する別名委員会を含む)が毎年自己点検・評価報告書を作 成し,これをもとに全学の自己点検報告書が作成されている.外部評価については,各部局が毎年な いし隔年で行っており,16 年度には教育学部・生物資源学部が外部評価を受けている.大学全体とし ての研究関連の外部評価は,大学評価・学位授与機構の行う「研究活動面における社会との連携及び 協力の取組」についての評価を 14 年度に受けているが,これ以外の外部評価の実績はない. c) 外部評価報告書または自己点検・評価報告書の該当部分. - 170 - 上記2学部の16年度外部評価および全学の14年度大学評価・学位授与機構の評価結果は,8.1. 1節においてすでに述べた. d) 具体的改善方策の内容等が適切であるか. 法人化初年度に当たる 16 年度には三重大学の中期目標・中期計画を示すとともに,これに沿った具 体的達成目標,実施計画・工程表を立て,達成度評価を行った.中期目標・中期計画は大学の改善す べき点を抜本的に示す文書となっており,ほとんど全ての項目で 100%の達成度を見た.研究関連で 100%に達しなかった項目は,教員教育研究活動データベースの 16 年度分構築,三重大学における研究 水準の他大学との比較,特許出願 50 件の達成,の3項目である.各部局における具体的改善方策も, 部局ごとの中期目標・中期計画の中で示されている. 上記のように自己点検・評価の仕組みはあるものの,当初目標の設定や評価基準が明確でないため 定量的な達成度評価ができていないこと,したがって改善点の特定や明確でなく,改善のための措置 がとられていない場合が多い.これらの点は早急に検討・改善する必要がある. 8.2.2 知的財産 観点8-2-④ 研究活動の活性化と研究成果の社会への還元のために,大学における職務発明および それから生じる知的財産が適切に管理され,技術移転が活発に行われているか. a) 知的財産管理および技術移転のシステムの整備・機能が適切であるか. 大学内の職務発明は知的財産評価委員会へ発明者から報告され,知的財産資格の審査および知的財 産権の帰属の審査が行われる.大学が承継した知的財産権の統括・管理は知的財産統括室においてな されている.知的財産の技術移転に関する業務は,(株)三重 TLO に業務委託されている.知的財産管 理に関する規程や各種委員会規程はほとんど全て整備されているが,学生の関与に関わる規程や有体 成果物に関わる規程が未整備である. b) 知的財産の創出および技術移転が活発に行われているか. 表8.2.10 に平成 15,16 年度の特許出願件数・技術移転件数を示す.平成 16 年度は特許の帰属が 原則機関帰属になった年で,それ以前は個人に帰属していた.届出件数が 16 年度において激減してい る理由の一つがこの帰属ルールの変化にあることは否めないが,むしろ大型の科研費等による研究が終 了したことや,発明届出の打診を受けたものの,知的財産統括室ないし三重 TLO の助言により,更に内 容を充実させるために,届け出を取り下げたことなどの方が大きい.いずれにしても 16 年度の届出件 数が他大学に較べて遜色ないことや,共同研究等の数は順調に伸びていることから,16 年度の届出件数 減はそれほど重要視しなくても良いものと判断している.しかしながら,教員の知的財産・特許に対す 表8.2.10 発明届出・特許出願・技術移転件数 平成15年度 (1)届出件数 平成16年度 86 a)企業等との共同出願を含む 34 (2)出願件数 b)H15年度からのずれ込み c)推定値(実際に出願したかは不明) 2 18 0 0 ③企業等 78 − ④(株)三重TLO 22 a) ①大学(国内出願) ②大学(海外出願) c) ⑤個人 d) (3)技術移転件数 12 d)実施契約・譲渡契約・オプション契約の件数 b) 6 7 14 9 る意識は充分に浸透しているとはいえず,知的財産総括室で研究室を訪問し,知的財産に対する啓蒙を - 171 - 更に実施している. 8.2.3 学際的研究 観点8-2-⑤ 研究活動の活性化と研究成果の質の向上のために,学部・研究科を超えた学際的研究 や国内外の大学や研究機関との共同研究を推進する体制が適切に整備され,機能してい るか. a) 学内での学際的研究や大学間共同研究を行う体制の整備・機能が適切であるか. 生命科学研究支援センターは生命科学,特にバイオ・ゲノム関係の研究に特化して設立された研究 施設で,ここでは特に医学・生物資源学の専門研究者が学際的研究を行っている.学際的研究の例は 他に SVBL における医学・生物資源学連携研究や,CI における工学・生物資源学連携研究などにみられ る. 表8.2.11 は三重大学あるいは部局が学術友好協定を締結した海外大学の一覧である.国内の大 学で学術友好協定を結んだのは和歌山大学のみである.これらの大学とはそれぞれ共同研究の実績が ある.個々の教員が行っている学際的共同研究については次項で述べる. 大学が国際共同研究を支援した例として,三大学ジョイントセミナ−・シンポジウムがある.この 会議は平成7年度に第1回目が本学で開かれたことに始まり,今年度はその第11回目の会議がタイ 国チェンマイ大学で開催された.三重大学,チェンマイ大学,江蘇大学が中心に運営するこのセミナ ー・シンポジウムには,廣西大学,カセサート大学,コンケーン大学,江南大学,スラナリー工科大 学,清華大学,上海水産大学,梨花女子大学,東国大学,西安理工大学,内蒙古大学,天津師範大学, レイテ州立大学,ボゴール農科大学なども参加し,参加教員・学生間で地球規模の課題について考え るとともに,アジア地域の教員・学生間で共通の課題への協調的取り組みを推進しつつ,アジアのみ ならず国際的に貢献できる人材ネットワークを構築にも貢献している.開催に当たっては,開催大学 が会議に係わる経費を負担することになっているが,今年度は20名程度の学生と各学部代表の教員 が参加したため,その交通費・参加費は本学が負担した.また医学部と協定を結んだロストック大学 の間で,第一回 日本-ドイツ再生医療カンファレンスの平成 17 年度開催が検討されている. b) 学際的研究や大学間共同研究が活発に行われているか. 他大学や研究機関との間に行われた共同研究の数は表8.1.4に示した通りである.もう少し活 発な海外大学との学際的研究が望まれる.表8.2.12 は学科・学部を超えた学際的研究の状況を示 したものである.なお,学部によっては構成員全員からデータが収集できなかった学部もある.また 工学部の数値は共同研究による成果を論文等として発表した件数である.平成 15 年度に比べて 16 年 度の数値が下降している学部のあるのが懸念される. (2)自己評価結果 以上の分析から,三重大学 COE を筆頭とする学内公募プロジェクトのシステムや,知的財産管 理システムは良く整備されているといえる.しかしながら,本評価項目においては,観点8-2③の問題点の改善システムが整っていない点が最大のマイナス点である.この他,学際的な研究 の推進も改善すべき点としてあげられる.したがって本学の研究実施体制等の整備は,上記評価 基準に照らして,一部不十分なところがある. - 172 - 表8.2.11 学術友好協定を締結した海外大学一覧 (1)大学間協定 大 学 名 国 名 江蘇大学 中国 チェンマイ大学 タイ タスマニア大学 オーストラリア バレンシア州立工芸大学 スペイン 廣西大学 中国 カセサート大学 タイ コンケーン大学 タイ エアランゲン・ニュルンベルク大学 ドイツ 地中海(エクス・マルセイユ第2 )大学 フランス 東国大学校 大韓民国 梨花女子大学校 大韓民国 西安理工大学 中国 スラナリー工科大学 タイ バングラデシュ農業大学 バングラデシュ 天津師範大学 中国 (2)学部間協定 大 学 名 国 名 シャルル・ド・ゴールリール第3大学 フランス ベーラー医科大学 アメリカ 釜慶国立大学校 大韓民国 清華大学熱能工程系及び工程力学系 中国 上海水産大学 中国 江南大学生物工程学院 中国 マーサー大学医学部 アメリカ 瀋陽医学院 中国 内蒙古工業大学 中国 ボゴール農科大学 インドネシア リヨン政治学院(リヨン第二大学) フランス ウェイン州立大学医学部 アメリカ ハッサン2世農獣医大学 モロッコ レイテ州立大学 フィリピン タマサート大学科学技術学部 タイ 上海第二醫科大学 中国 ロストック大学医学部 ドイツ 8カ国,15大学 締結日 1986.1.15 1989.8.22 1996.4.1 1997.7.4 1999.2.22 1999.12.23 2000.7.17 2001.3.16 2001.6.25 2002.12.16 2002.12.17 2003.8.28 2003.10.18 2004.3.15 2004.11.20 締 結 日 1989.11.1 1991.3.1 1995.9.22 1995.10.1 1995.10.16 1998.3.30 1998.10.29 1998.11.16 2000.3.8 2001.9.24 2002.1.21 2002.3.18 2002.11.20 2002.12.13 2004.2.27 2004.8.11 2004.10.29 9カ国,17大学 本学締結学部 人文学部 医学部 生物資源学部 工学部 生物資源学部 生物資源学部 医学部 医学部 工学部 生物資源学部 人文学部 医学部 生物資源学部 生物資源学部 生物資源学部 医学部 医学部 表8.2.12 学科・学部を超えた学際的研究の状況 人文学部 教育学部 医学部 工学部 生物資源学部 平成15年度 平成16年度 平成15年度 平成16年度 平成15年度 平成16年度 平成15年度 平成16年度 平成15年度 平成16年度 学部内研究 14 13 13 9 11 69 45 48 97 53 他学部との研究 13 4 10 4 25 19 13 18 32 14 - 173 -
© Copyright 2024 Paperzz