ニュースフラッシュ

2007年3月15日(木)
C
○Medical
Tribune Inc. 2007
第71回日本循環器学会総会・学術集会公認
編集・発行:株式会社 メディカルトリビューン
〒102-0084 東京都千代田区二番町2-1二番町TSビル
TEL 03-3239-7210(代表)
第71回日本循環器学会
総会・学術集会
ニュースフラッシュ
国際化時代の循環器学の新たな展開
New Directions in the Understanding and Management of Cardiovascular Diseases in the Globalization Era
神戸へようこそ!
心肺蘇生法関連セッション
有意義な交流を
「救命の連鎖(Chain of survival)
」の
早期確立を!
春暖の候,本日より 3 日間,第71回日本循環器学会総会・学術集会が神戸国際会議
場などで開催される。今回の特色は,国際的な学術交流の強化や心肺蘇生法の普及,
学際研究の活性化,チーム医療の推進に向けた手厚い企画に見出される。参加者は総
社会・医療構造の変化に
勢 1 万8,000人を上回り,海外からも600人以上来場すると予想されている。まさに
伴い,救急疾患に占める心
「アジア最大の循環器学術集会」にふさわしい盛り上がりが期待される。おおいに学び,
停止例救命の重要性が顕在
広く交わり,多くの有益な刺激を得る,そんな集いとなるはずである。
なお,本紙「ニュースフラッシュ」は,17日まで毎日 1 回発行される。前日に開催さ
本日より
化している。日本の院外心
停止例に対する救命率は,
れた注目演題の速報(Report)をはじめ,当日開催セッションの案内(Guide)
,各種情
欧米諸国の平均に比べかな
報の告知(Info)
,開催地にちなんだスケッチ「神戸の散歩道」
(Fun)
,コラム「私の好き
り低いことが指摘されてお
な神戸」
(Column)
,クイズ(Quiz)を毎回掲載する。
り,一刻を争う対応が求め
られている。この状況の抜
本的な改善には,早期通報,
会長あいさつ
早期心肺蘇生および除細
JCS-ITC第 1 回AHA ACLSプロバイダーコースの模様(14日)
第71回日本循環器学会総会・学術集会は, 国際化
動,迅速な専門的治療を柱とする「救命
「救命の連鎖」確立において循環器専門
時代の循環器学の新たな展開(New Directions in the
の連鎖」の確立が急務であり,現在,全
医,コメディカルの果たす役割は大きい
Understanding and Managemant of Cardiovascular Diseases
国各所でのAED設置や心肺蘇生トレーニ
としており,本学術集会でも医師,コメ
in the Globalization Era) をメインテーマとしました。
ング指導者養成など,さまざまな取り組
ディカル向けの各種セッションが実施さ
これを①アジア諸国との交流,②学問の分化と統合,
みが進められている。本学術集会では
れる。
③治療から予防へ,④チーム医療,⑤社会への貢献,
〈開催順〉
の 5 つのキーワードからプログラムに展開しました。
●JCS-ITC第1回AHA ACLSプロバイダーコース(事前申し込みのみ)
①「アジア諸国との交流」は, 国際化時代の循環
本日 8:30〜17:30 神戸国際展示場 2 号館
器学 を担う私たちの最大の課題です。この点から
会長
Special Asian Sessionを新設。今回は,台湾,フィリ
ピン,ネパール,日本など 6 か国の循環器疾患の現
横山光宏氏
(神戸大学循環呼吸器病態学)
状を明らかにします。さらに日中,日韓,日本・インドネシアのジョイントシンポ
ジウムを企画しました。双方にとって実り多い議論となることを期待しています。
●コメディカルセッション教育講演3
日本版救急蘇生ガイドライン2006の考え方とその普及
16日 13:50〜15:20 第15会場
●JCS-ITC設立記念特別講演
心肺蘇生の最先端へ迫る─日本から世界へ,そして2005年から2010年へ─
②「学問の分化と統合」のキーワードは,専門分野のたこつぼ化への危機感から
生まれました。個別の学問を深化させつつ,統合への志向性を失わないためには,
他領域との討論が不可欠です。例えば,注目のトピックであるCRT-D(植え込み型
16日 18:20〜19:40 第 9 会場
●心肺蘇生法医師向けセミナー
日本版救急蘇生ガイドラインと日本循環器学会ガイドラインの整合性をどうするか
17日
除細動器付き両室ペースメーカー)の適応を見定めるためには,心不全と不整脈の
8:30〜10:00 第11会場
専門家の対話が必須です。本学会をそうした交流の場とするため,領域横断的な
ポートアイランドウォーク
プログラム作成に努めました。
③「治療から予防へ」も同様にプログラム全体にかかわるキーワードです。メタ
早朝ウォーキングで
心身をリフレッシュしませんか?
ボリックシンドロームという言葉の流行にも,予防医学への関心の高さは表れて
います。循環器疾患の新たな予測因子やバイオマーカーを見出すことが早期から
の効率的な予防に結び付く,そんな研究を待望しています。
④「チーム医療」について以前より本学会は重視しており,今回もコメディカル
セッションで約300題が発表されます。さらに,今回は「循環器疾患管理をチーム
医療から考える」を行います。入退院を繰り返す心不全症例の管理について医師,
看護師,薬剤師,管理栄養士,理学療法士,ソーシャルワーカーが意見を交わす
もので,個人的にも楽しみにしています。
⑤「社会への貢献」も,医療には欠かせない視点です。今回は,生活習慣病と心
血管病,心肺蘇生法,禁煙推進をテーマとした市民公開講座を行います。新しい
試みとしては,在留外国人を対象とした公開講座 What to do in case of heart attack?
があります。神戸には約 4 万5,000人の外国人が暮らしており,そうした国際化時
代にふさわしい企画だと自負しています。
ところで,神戸で本学会が開かれるのは1970年の第34回以来,37年ぶりとなり
ます。当時,研修生であった私にとって感慨深いものがあります。そして,あの
阪神淡路大震災からは12年が経過しました。学会場でしっかり勉強していただく
17日
本学術集会の最終日,17日早朝に「ポート
アイランドウォーク」が実施される。神戸市
民とともに体を動かし,道すがら風景を楽し
み,心身をリフレッシュさせてはいかがだろ
うか。申し込み手続きは不要で,参加者は会
場受付で本企画特製のICカードを受け取る。
歩行コースは,市民広場・北公園間の往復約
3.3キロメートル。進路に設けられたチェック
ポイントでICカードをかざすと,通過時間や
通過順位が記録されるので,ゲーム感覚でゴ
ールを目指すことができる。
往路は,六甲山を背に広がる神戸の街並み
を望みながら北進。市民病院,中公園を経て
折り返し地点の北公園に至る。その一角には
白塗りの板壁が印象的な「みなと異人館」があ
る(写真)
。復路にきびすを返すと,足取りは
いくぶん軽やかになっているのでは…。
●集合:17日 6:30 市民広場(ポートライナー「市民広場」駅前)
●時間:7:00〜8:00
●雨天:中止(小雨決行) ●服装:軽装(スーツ可/更衣室・クロークあり)
●特典:神戸市より参加賞(先着100名)
,神戸アスリートタウンクラブより賞品(抽選)
とともに,ぜひご自分の足で街を歩いていただきたいと思います。蘇った神戸の
共催 NPO法人ジャパンハートクラブ,第71回日本循環器学会総会・学術集会
輝きを実感していただく機会となれば望外の喜びです。
後援 神戸市
協力 NPO法人神戸アスリートタウンクラブ
第71回日本循環器学会 総会・学術集会 ニュースフラッシュ No.1
ライブデモンストレーション
総合司会:南都 伸介(関西労災病院)
心房細動に対するカテーテルアブレーション
――方法をめぐって議論が白熱
座
長:家坂 義人(土浦協同病院),中川 博(University of Oklahoma, USA)
コメンテーター:高橋 淳(横須賀共済病院),坪井 直哉(社会保険中京病院)
オ ペ レ ー タ ー:吉田 明弘(神戸大学)
カテ室コメンテーター:山城 荒平(豊橋ハートセンター)
アシスト:高見 薫(神戸大学)
心室頻拍やWPW症候群の治療法として確立しているカテーテルアブレーションを,
解
析:福沢 公二(神戸大学),觀田 学(神戸大学)
心房細動(Af)に応用しようという試みが注目されている。Afは高齢者,超高齢者の激
増とともに増加の一途をたどっている。Afにより心房内にできた血栓が,脳梗塞を引
き起こす点でも大きな問題となっている。決め手となるAfの治療法はまだ見出されて
いないが,その発症機序は近年,かなり解明されてきた。また新しい電気生理学的マ
ッピング法が導入されたことで,カテーテルアブレーションによる根治の可能性がに
わかにクローズアップされるようになった。
本学会では初めての試みとして,このカテーテルアブレーションをライブデモンス
トレーションのテーマの 1 つとして取りあげた。神戸大学のカテラボからの映像が神
戸国際会議場に流され,その方法や手技をめぐって白熱した議論が交わされた。
根治治療の突破口に
られなかった。そこで考え出されたのが,
PVの開口部を高周波焼灼でブロックし,
カテーテルアブレーションは,電極を
PVからの異常伝導が心房内に伝わらな
当てた 5 mmぐらいの部位を焼灼する。
いようにする
「PV隔離アブレーション法」
したがって,その発生源が単独であるタ
だ。これによって,発生源はPV内に閉
イプの不整脈か,興奮波が狭い部分を通
じ込められ,Afを根治することが可能に
るリエントリーに有効とされる。これに
なる。PV隔離アブレーション法は世界
対してAfでは,心房のなかに多くのリエ
中に広がり,多くの施設で試みられるよ
ントリー回路が存在する。これでは広い
うになった。治癒率は60〜80%とされる
範囲を焼灼しなければならず,アブレー
が,これらは経験豊富な施設からの報告
ションは難しいというのが,従来の一般
で,症例数の少ないところではこの率を
的な見方だった。
大きく下回るとみられている。
ところが最近になって,Afの引き金と
なる心房性期外収縮の約90%が肺静脈
Carto systemでマッピング
行うこととなった。
アブレーションを開始し,心房内の異常
吉田氏のチームが立てたストラテジー
興奮源を焼灼。次いでPV隔離を心臓の
は,まずAfリエントリー回路のpivot
前壁から行った。PV隔離を前壁から行
pointを示すと言われるCFAE(Continuous
うか後壁から進めるかについても議論が
Fractionated Atrial Electrogram)を焼灼
あり,会場内でも意見が分かれた。
(PV)に入り込んだ心筋から発生するこ
今回のライブデモンストレーション
とが判明。これらの起源に対するカテー
で,オペレーターの吉田明弘氏らが試み
の心房への異常伝導を断つというもの。
アブレーションは順調に進み,PV隔離
テルアブレーションにより,Afを根治し
たのもこのPV隔離アブレーション法だ。
これに対して,座長の家坂義人氏やコメ
によってPVと心房内の交通はブロック
対象としたのは,症候性発作性心房細
ンテーターの高橋淳氏は,「この症例は
され,Afは次第に抑制された。ライブ時
このため,まずPV内にある異常興奮
。心機能は良好だが,
動の72歳男性
(症例)
一過性のAfが認められるだけ。PV隔離
間内では終了しなかったが,その後,
の発生源を標的とした局所的なアブレー
Afによる急性心不全を起こしたため,
だけで十分では」との考えを示し,現場
PV内でペーシングを行い,異常伝導が
ションが試みられたが,十分な成果は得
Afを根治する目的で,アブレーションを
と会場でディスカッションが繰り広げら
心房内に及ばないことが確認できれば治
れた。
療は成功となる。
うる可能性が現実味を帯びてきた。
症例.発作性心房細動の72歳男性
発作性心房細動
・ 病 歴: 5 年
・ 発作頻度: 1 日数回〜15回
・ 最長持続時間: 3 時間
・ 抗不整脈薬治療:ピルジカイニド,シベンゾリン無効
心疾患
軽〜中等症の大動脈弁閉鎖不全
既往歴
うっ血性心不全
身体所見
162cm,58kg,140/60mmHg
入院時薬剤
ワルファリン1.5mg/日,カルベジロール 5 mg/日
ロサルタン25mg/日,アゾセミド30mg/日
し,そのうえでPV隔離を行い,PVから
本症例に対するアブレーションは,
ライブがスタートしてから約 3 時間,
Afに対するPV隔離アブレーション法
Carto systemによるマッピングからスタ
はまだ確立された治療法ではなく,各施
ートした。このシステムは,カテーテル
設がいろいろな試みを行いながら,最適
電極による心内電気記録と,磁気を利用
の方法を模索している段階である。再発
して得られる電極の位置を同時にコンピ
や,慢性期のPV狭窄などの問題も,ま
ュータ処理することで,心臓の立体画像
だ完全には解決されていない。
をリアルタイムで描出できるのが特徴。
座長を務めた中川博氏は,
「PV隔離ア
興奮の早い部位から赤→橙→黄→緑→青
ブレーション法はまだまだ発展途上であ
→紫(正常)で表示する。
る。今回のライブデモのように,各施設
手技の公開,活発な議論でPV隔離
アブレーション法を次のステップへ
がオープンに手技を公開し,議論するこ
とによって次のステップにつなげていき
たい」と,午前の部を締めくくった。
吉田氏は,このマッピングに基づいて
1 日本循環器病学会(現・日本循環器学会)を創設に導き,1945年 9 月に広島での医療調査中に殉職された京都帝国大学(現・京都大学)の教授は? A. 眞下俊一氏 B. 前川孫二郎氏 C. 高安正夫氏
2007年3月15日(木)
ジョイントシンポジウム
本日より
欧米・アジアの研究者との交流を強化
本日より 3 日間にわたり,日本循環器学会(JCS)と米国心臓協会(AHA)
,米国心臓
学会(ACC)
,欧州心臓学会(ESC)
,アジア太平洋心臓学会(APSC)
,韓国循環器学会
(KSC)の各ジョイントシンポジウム,日中心血管フォーラム,日本・インドネシアジ
ョイントシンポジウムが開催される。多数の参加,活発な議論,積極的交流が期待さ
れている。
●AHA-JCS Joint Symposium
本日
8:30〜10:00 第10会場 英語
Cardiac Hypertrophy and Heart Failure
布引の滝から
北野へ
座長:小室 一成(千葉大学循環病態医科学)
Kenneth B. Margulies(University of Pennsylvania, USA)
演者:Howard A. Rockman(Duke University, USA)
塩島 一朗(千葉大学心血管病態解析学)
Kenneth B. Margulies(University of Pennsylvania, USA)
矢野 雅文(山口大学循環病態内科学)
●APSC-JCS Joint Symposium
神戸は六甲山と海に挟まれた東西に長い
街だ。北へ向かう道は,すぐに坂となる。
特に,新神戸や北野は山が迫っている。新
神戸駅からは夢風船というロープウェイが
出ているし,登山道を15分も行けば平家
物語にも出てくる布引の滝がある(写真
上)。滝を背に坂を下ると,そこは異人館
で知られる北野。坂の散歩道が郷愁を誘う
(写真左)
。
16日 11:10〜12:40 第10会場 英語
Non-Pharmacological Therapy for Chronic Heart Failure
座長:鄭 忠和(鹿児島大学循環・呼吸・代謝病態学)
Andrew J.S. Coats(University of Sydney, Australia)
演者:長山 雅俊(榊原記念病院循環器内科)
鄭 忠和(鹿児島大学循環・呼吸・代謝病態学)
坂田 隆造(鹿児島大学循環器・呼吸器・消化器疾患制御学)
Chun-Chieh Wang(Chang Gung Memorial Hospital & University, Taiwan)
Andrew J.S. Coats(University of Sydney, Australia)
Mohd Azhari Yakub(Institut Jantung Negara, Malaysia)
●ACC-JCS Joint Symposium
16日 13:50〜15:20 第16会場 英語
Detection and Treatment of Vulnerable Patients
Late Breaking Clinical Trials in Japan
国産エビデンスに注目
本日
■16:10〜18:00 ■第12会場
●座長:藤田 敏郎(東京大学内科学)
1. Evidence for Human Atrial Natriuretic Peptide and Nicorandil as an Adjunct to Reperfusion
Therapy for Acute Myocardial Infarction: J-WIND Trials
座長:吉田 清(川崎医科大学循環器内科)
Peter Ganz(Brigham and Women’s Hospital, USA)
演者:Pedro R. Moreno(Mount Sinai Medical Center, USA)
大倉 宏之(川崎医科大学循環器内科)
Peter Ganz(Brigham and Women’s Hospital, USA)
船橋 伸禎(千葉大学循環病態医科学)
野出 孝一(佐賀大学循環器腎臓内科)
北風 政史(国立循環器病センター心臓血管内科)
2. Outcomes of Medical-Preceding Therapy and Coronary Intervention-Preceding Therapy for
Low-risk Stable Effort Angina: The JSAP(Japanese Stable Angina Pectoris)Study
藤原 久義(兵庫県立尼崎病院)
3. Clinical Outcomes in Hypertensive Patients with High Cardiovascular Risks: Principal
Results of Candesartan Antihypertensive Survival Evaluation in Japan(CASE-J)Study
猿田 享男(慶應義塾大学内科学)
●ESC-JCS Joint Symposium
17日 11:10〜12:40 第10会場 英語
Pathophysiology and Clinical Aspect of Takotsubo Disease
小川
聡(慶應義塾大学呼吸循環器内科)
New Frontiers in Translational Science
本日 16:30〜18:00 第20会場 英語
基礎と臨床をつなぐ
16日
■16日 8:30〜10:00 ■第 9 会場
●座長:下川 宏明(東北大学循環呼吸器病態学)
Interventional Cardiology Update in Asia
●China-Japan Cardiovascular Forum
望月 正武(東京慈恵会医科大学)
5. Randomized Controlled Trial of Rhythm vs Rate Control Strategy in Japanese Patients with
Paroxysmal and Persistent Atrial Fibrillation(J-RHYTHM Study)
座長:赤阪 隆史(和歌山県立医科大学循環器内科)
Martin Borggrefe(University Hospital Mannheim, Germany)
演者:栗栖 智(広島市立広島市民病院循環器科)
上山 敬司(和歌山県立医科大学第一解剖学)
明石 嘉浩(聖マリアンナ医科大学循環器内科)
Martin Borggrefe(University Hospital Mannheim, Germany)
●KSC-JCS Joint Symposium
4. JIKEI HEART Study
川嶋 成乃亮(大阪府済生会中津病院総合診療内科)
16日 11:10〜12:40 第20会場 英語
1. Endothelin Antagonists
江本 憲昭(神戸大学循環呼吸器病態学)
Epidemiology and Clinical Trials in China and Japan
●日本・インドネシアジョイントシンポジウム
17日 16:30〜18:00
2. Drug-eluting Stents
第 4 会場 英語
Managing Cardiovascular Risk Factors: Perspective of Developing and Developed Country
玉井 秀男(草津ハートセンター循環器科)
3. Regeneration Therapy
浅原 孝之(東海大学再生医療科学
〔先端医療センター再生医療研究部〕)
2 神戸市灘区にて1939年8月,産声を上げた「爆笑王」。古典落語を独自に練り上げながら笑いの新境地を開き,英語落語で国際的人気をも博した噺家は? A. 桂三枝 B. 桂枝雀 C. 桂春団治
※答えは次ページ下をご覧下さい。
第71回日本循環器学会 総会・学術集会 ニュースフラッシュ No.1
プレナリーセッション9
Special Asian Session
本日
■13:50〜15:20 ■第16会場 ■同時通訳あり
本日
■16:00〜18:00 ■第10会場 ■英語
アジア諸国の循環器疾患の現状:
疫学の立場から
新たなるナノテクノロジーとは?
手術不能の脳出血に見舞われた患者を
た分子イメージングにより,心筋虚血再
アジアの人口は世界最多で,地球全体
さらに心不全に関して,今年 1 月から世
救うため,医師らを乗せた潜航艇をミク
灌流傷害を可視化。傷害の発生機序や新
の約60%を占める。域内では異なる自然
界 心 臓 連 合 会 長 を 務 め る Sharyar A.
ロ化して体内に送り込み,患部の治療に
しい心筋保護治療戦略を模索している。
環境や言語を背景に多様な文化がはぐく
Sheikh氏がパキスタンの最新事情を説
当たらせる−。このような治療法は,
Samuel A. Wickline 氏は循環器学のほか,
まれてきたが,近年は一様にグローバリ
き,インドネシアのHarmani Kalim氏は
SF冒険映画『ミクロの決死圏』が制作さ
バイオ医工学・物理学の教授を兼任。磁
ゼーションの波濤に直面している。交通
発展途上国で懸念される急性代償性の病
れた1966年当時,ほほ笑ましい奇想にす
気共鳴・放射・超音波イメージングにナ
運輸網・情報通信技術の発展,自由貿易
態を取り上げる予定である。
ぎなかった。しかし今日,脳血管内治療
ノ粒子製剤を利用し,癌や循環器疾患の
の拡大に伴い,経済・社会状況は大きく
は絵空事でなく,カテーテルを用いて実
標的治療を探求している。また,中野覚
変容するに違いない。アジア諸国では,
による死亡率が世界一高かったが,高血
際に行われている。近年はミクロの
氏らは,種々の薬剤分子を封入できる生
既に生活習慣の欧米化が進み,疾病構造
圧治療の普及や食生活の改善に伴って激
1,000分の 1,ナノメートルオーダーサイ
体吸収性ナノ粒子(ポリマー)を用いた
が変化する兆しも現れている。
減した。しかも冠動脈疾患の発症率・死
ズの物質を取り扱う科学(ナノサイエン
ステントを開発。これをブタ冠動脈に留
こうした現況を鑑み,本セッションは
亡率は先進国のなかで最も低く,今や世
ス)が進展し,その基礎研究の成果を実
置したところ,細胞内へのナノ粒子溶出
企画された。アジア諸国における循環器
界一の長寿国である。一方,発展途上国
用技術(ナノテクノロジー)へと昇華さ
(薬剤送達)
が確認された。山家智之氏は,
疾患の現状を疫学的視座から捉え,各国
は従来感染症に苦しめられてきたが,経
ナノテクノロジーを集積し,埋め込み式
の経験を共有しながら,今後の治療と予
済成長の著しい東アジア諸国では脳卒中
せる挑戦も始まっている。
ところで日本は,1965年時点で脳卒中
本セッションでは,医学・医療分野に
心室補助装置(人工心筋)の超小型・軽
防の在り方を話し合う。台湾のChien-Jen
が増加傾向にある。韓国では最近,冠動
おけるナノテクノロジーの実現を目指す
量化を図ろうとしている。日本人の体格
Chen氏が冒頭,アジア諸国の心血管疾
脈疾患による死亡率も若干上昇している。
日米の研究者 5 氏が講演する。最初に参
に適した装置の開発は,他の東洋人にと
患に関する比較疫学を概説した後,各国
加者をナノの世界にいざなうのは,バイ
っても福音となるだろう。
の演者が報告する。
こうしたアジア諸国における疾病構造
の変化は,日本の往時を想起させる。そ
オ医工学の専門家,Gang Bao氏(座長兼
座長の田畑泰彦氏は「最先端の研究に
清原裕氏は,久山町研究に基づいて心
務)。ナノテクノロジーが循環器疾患の
触れると,医学・医療分野におけるナノ
血管疾患の動向を解説し,日本の疾病構
これまでの日本の経験とノウハウを外国
病態理解の深化や,診断・治療・予防の
テクノロジーの萌芽,面白みを感じてい
造の変遷を提示する。Cesar S. Recto II氏
人の参加者に伝えることは,たいへん有
飛躍的向上をもたらす可能性を説く。同
ただけるだろう。他方では前途の課題が
は,フィリピンの国民栄養・健康調査で
意義」と考えている。日本の臨床家に対
氏は現在,一本鎖DNAや蛍光染色を用
示され,サイエンスをテクノロジーに結
示された冠動脈疾患と脳血管疾患の危険
しては,「アジア諸国の現状を知ること
いたナノサイズのバイオセンサー(分子
実させる難しさも明らかになろう。理想
因子を紹介。Mrigendra Raj Pandey氏(座
は日常診療の見直し,適切な治療と予防
ビーコン)を試作し,膵癌の早期発見法
は高く持ち続け,現実は厳しく見つめた
長兼務)は,自国ネパールを含む南アジ
の実践につながっていくはず。外国を旅
の開発などにも取り組んでいる。
い。循環器領域に応用しうるナノテクノ
ア諸国における心筋梗塞の危険因子につ
した際,日本の優劣を再発見することが
ロジーとは何か,議論を深めることがで
いて,他の国々と対比して明らかにする。
多いように−」と期待している。
続いて登壇する赤尾昌治氏は,リアル
タイム二光子励起レーザー顕微鏡を使っ
れだけに,座長の上島弘嗣氏は「今回,
きればうれしい」と話している。
座長:Mrigendra Raj Pandey(Mrigendra Samjhana Medical Trust, Nepal)
座長:田畑 泰彦(京都大学再生医科学研究所生体材料学分野)
上島 弘嗣(滋賀医科大学社会医学講座福祉保健医学部門)
Gang Bao(Georgia Institute of Technology, USA)
演者:Chien-Jen Chen(National Taiwan University, Taiwan)
演者:Gang Bao(Georgia Institute of Technology, USA)
清原 裕(九州大学大学院社会環境医学講座環境医学分野)
赤尾 昌治(京都大学循環器内科学)
Cesar S. Recto Ⅱ(Philippine Heart Association, Philippine)
Samuel A. Wickline(Washington University, USA)
Mrigendra Raj Pandey(Mrigendra Samjhana Medical Trust, Nepal)
中野
Sharyar A. Sheikh(World Heart Federation, Pakistan)
覚(九州大学循環器内科)
山家 智之(東北大学加齢医学研究所病態計測制御研究分野)
都
賀
川
Harmani Kalim(University of Indonesia, Indonesia)
石
屋
川
六甲道駅
JR東海道本線(神戸線)
住
吉
川
住吉駅
摂津本山駅
至JR大阪
至JR三宮
国道2号
大石駅
きな
の好
私
至阪神三宮
新在家駅
御影駅
石屋川駅
六甲ライナー
阪神電鉄
住吉駅
魚崎駅
こうべ甲南武庫の郷
沢の鶴資料館
泉勇之介商店
櫻正宗記念館
「櫻宴」
白鶴酒造
資料館
瀧鯉蔵元倶楽部
酒匠館
菊正宗酒造
記念館
浜福鶴吟醸
工房
南魚崎駅
西郷,御影郷,魚崎郷
1 A
そして今も灘の酒造りは健在である。神戸市
東部から西宮市に至る東西12kmに沢の鶴,白鶴,
郷,魚崎郷,西宮郷,今津郷を灘五郷と称する。
剣菱,白鹿,大関など40の蔵元がひしめいてい
このうち西郷,御影郷,魚崎郷が神戸市に,残
る。酒蔵見学や利き酒のできる場所も多い。私
りは西宮市にある。いずれも六甲山の伏流水で
のお勧めは石屋川にある神戸酒心館。昔の酒蔵
ある宮水,酒米の王者,山田錦という原料に恵
を改築したレストランで,料理とともに灘の酒
まれ,丹波杜氏の技と冬の六甲颪に鍛えられて
を楽しむことができる。日本酒というと幻の名
名酒を生み出した。灘の酒造業は江戸時代から
酒ばかり喧伝されるが,灘にも旨い酒は多い。
繁栄をきわめた。先の灘中も,灘の蔵元たちが
ぜひ,お試しください。
至阪神梅田
国道43号
神戸酒心館
神戸と言えば灘,灘と言えば難関校,ではな
く日本一の酒どころ灘五郷である。西郷,御影
昭和初期に創立した学校なのである。
2 B 本学会と神戸に関する 2 問とも,おわかりになりましたか。次号はややレベルを上げて出題します。お楽しみに!
(石田 達郎/神戸大学循環呼吸器病態学)