マッカロー効果図形における高空間周波数の役割 生命情報学科 4HB2-32 服部 貴文 (指導教員 吉澤達也) 示した。被験者は 2 名で行い各実験条件各 4 回 1.はじめに マッカロー効果は赤と黒の縦縞と緑と黒の横縞 行った。等分散を仮定した 2 標本による検定を行 からなる観察パターンをしばらく眺めた後、白黒 った(条件 A の平均 51.3、条件 C の平均 80.0、有 の縦縞と横縞のテストパターンを見ると、縦縞の 意水準;0.01、自由度;14、t=9.2、t 境界値 片側 白い部分が淡い緑に、横縞の白い部分が淡い赤に 2.6、t 境界値 両側 3.0 )。t>両側、片側 境界 見える1)。この効果の成立機序として、方向と色を 値 t となった。よって、実験条件 C と実験条件 A 同時に処理するエッジ検出器が仮定されるのであ は有意に差があることがわかった。 るが、マッカローは大脳皮質であるといい、ハリ 2) 被験者に、矩形波と正弦波の輝度コントラスト スとギブソンは網膜にあるという 。 の強さを比較させると、正弦波の輝度コントラス 2.目的 トの方が強く現われた。 り除くことで、残効時間に差があるかを調べ、こ の効果の生起機序が網膜レベルであるのか。また は、皮質レベルであるかを明らかにすることを目 的とする。 3.1実験方法 時間(分) マッカロー効果図形から高空間周波数成分を取 120 100 80 60 40 20 0 実験条件A 被験者を薄暗い部屋で順応した後、観察パター ンを CRT モニタ(EIZO 社製 FlexScan T766 )に呈 示させた。観察パターンは、赤と黒の縦縞と緑と 黒の横縞を 0.05Hz で交替し、5 分間呈示させた。 観察パターンが消えた後にテストパターンが呈示 され、被験者はテストパターンの白い部分に色み を知覚しなくなった時実験者に合図することによ り残効時間を測定した。表1は実験のパターンを 示した。実験は暗室内で行い、被験者の頭部はあ ご台で固定した。呈示刺激の大きさは10°×1 0°、視距離を109㎝とした。 実験条件B 実験条件C 図 1、条件 A から C までの残効持続時間の比 5.考察 実験条件 C の残効時間が長くなった要因は、テ ストパターンと観察パターンの高空間周波数成分 を取り除いたことにより、輝度コントラストが高 くなり、輝度が低い黒より輝度が高い赤や緑、白 が強調されて残効時間が長くなったと考えられる。 6.今後 被験者の数と実験の試行回数が少ないため、被 験者を増やしてデータの信頼性を高める。 表1、実験条件のパターン 7.参考文献 実験条件 観察パターン テストパターン 1) McCollough, C. (1965):Color Adaptation of 条件 A 矩形波 矩形波 Edge-Detectors in the Human Visual System, 条件 B 正弦波 矩形波 Science, 149, 1115 条件 C 正弦波 正弦波 2) Harris, C.S. and Gibson, A.R. (1968):Is orientation specific color adaptation in human 4.結果 図1は条件 A から C における残効時間の結果を due to edge detectors after-image, or “dipoles”, Science, 162 1506
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