2012 年度上智大学理工学部活動報告書 物質生命理工学科

2012 年度上智大学理工学部活動報告書
物質生命理工学科
目次<五十音順>
※( )内は 2012 年度の職名
東
善郎(教授)
・・・・・・2
髙橋 和夫(准教授)
・・・・48
板谷 清司(教授)
・・・・・4
竹岡 裕子(准教授)
・・・・51
臼杵 豊展(助教)
・・・・・6
田中 邦翁(准教授)
・・・・54
内田 寛(准教授)
・・・・・8
田宮 徹(教授)
・・・・・・56
遠藤 明(准教授)
・・・・・11
千葉 篤彦(准教授)
・・・・59
大井 隆夫(教授)
・・・・・15
長尾 宏隆(教授)・・・・・61
岡田 邦宏(准教授)
・・・・18
南部 伸孝(教授)・・・・・64
小田切 丈(准教授)
・・・・20
橋本 剛(助教)
・・・・・・66
川口 眞理(助教)
・・・・・22
林 謙介(教授)
・・・・・・68
神澤 信行(准教授)
・・・・24
早下 隆士(教授)・・・・・70
木川田 喜一(准教授)
・・・26
藤田 正博(准教授)
・・・・74
久世 信彦(准教授)
・・・・29
藤原 誠(准教授)・・・・・77
小林 健一郎(准教授)
・・・31
星野 正光(准教授)
・・・・79
近藤 次郎(助教)
・・・・・34
堀越 智(准教授)・・・・・84
齊藤 玉緒(准教授)
・・・・37
牧野 修(准教授)・・・・・87
杉山 徹(准教授)
・・・・・40
増山 芳郎(教授)・・・・・90
鈴木 教之(准教授)
・・・・43
安増 茂樹(教授)・・・・・92
鈴木 由美子(准教授)
・・・45
陸川 政弘(教授)・・・・・94
1
所属 物質生命理工学科
氏名
東 善郎
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
放射光を用いた原子分子の多電子光励起・イオン化過程の研究
キーワード: 放射光,電子相関, 光イオン化,光解離,真空紫外光,内殻過程,
多電子過程,光イオン分光,光電子分光。
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。
)
「希ガス多電子光励起過程における時間分解蛍光分光」
「準安定リチウムイオンによるペニングイオン化分光」
「金属原子の光イオン化分光」
「偏極ターゲットによる光イオン化分光」
(展望)
原子・分子の多電子光励起・イオン化過程の研究に取り組んでいる。水素原子の構造に基
づく独立電子近では扱い切れない電子相関の効果によって生ずる原子分子構造、及び原子
分子の動的過程について研究している。特に新しい方法として、蛍光検出およびその寿命
測定による原子過程の解析、さらには光過程によって生じた準安定原子と他の原子分子と
の相互作用について調べている。今後の可能性として、固体表面過程との関連についても
研究を進めたい。
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。
)
・ローレンスバークレー国立研究所にて準安定リチウムイオンによるペニングイオン化過
程の実験、および希ガスの光電子分光(オージェーサテライト分光)実験を行った。
・高エネルギー加速器研究機構放射光研究施設において蛍光分光実験および金属原子光イ
オン化分光実験を行った。
・上智大研究室においてレーザーポンピングによる金属蒸気の偏極ターゲット生成を試み
た。
上記の解析を進め、投稿論文、学生の卒業論文、修士論文としてまとめた。
2
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。
)
“The Emma Sokell Workshop on Atomic and Molecular Sciences and their
Applications” の開催
“The Tapan Nandi Workshop on Atomic and Molecular Sciences”の開催。
高エネルギー加速器研究機構放射光実験施設における共同利用実験。
Advanced Light Source, Lawrence Berkeley National Laboratory における共同利用
実験および共同研究。
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。
)
基礎物理学、原子分子分光、放射光科学、科学技術英語、理工学総論、ゼミナール。
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。
)
(学内) 海外招聘客員教授2名の受け入れ(Emma Sokell 教授、Tapan Nandi 教授)
G30 委員会、大学院英語コース委員会、大学評議会、科学技術英語委員会。
(学外) Journal of Atomic, Molecular, Condensate and Nano Physics
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
3
編集委員会。
所属
物質生命理工学科
氏名
板 谷 清 司
1.研究分野とキーワード
研究分野: セラミックス化学,無機材料化学
キーワード: 生体材料,蛍光材料,高温構造材料,膜材料
2.研究テーマ
(1) 生体材料に関する研究テーマ:
「無機-有機複合材料を用いた新規骨止血剤の作製と評価」
(大学院研究)
「水酸アパタイト被覆グラファイトシートの作製と生体親和性の評価」(大学院研究)
「水酸アパタイト被覆高分子材料の作製と生体親和性の評価」
(卒業研究)
「噴霧熱分解法を利用したリン酸カルシウム球状粒子の調製と生体セメントへの応用」
(卒業研究)
(2) 蛍光材料に関する研究テーマ
「低融点ガラスへの蛍光材料の封入」
(大学院研究)
「新規アルカリ土類酸窒化物の合成と蛍光特性」
(卒業研究)
(3) 高温構造材料に関した研究テーマ:
「カーボンシート上への炭化ケイ素セラミックスの被覆と評価」
(卒業研究)
(展望)
「無機化合物を利用した新規材料の開発」というテーマで研究に取り組んでいる。
無機材料の中で社会的にニーズの高い(1) 生体材料の開発,(2) 蛍光材料および(3) 高温構
造材料を研究の対象にしている。(1)の生体材料の場合には,超高齢化社会を支援する骨代
替材料の開発を,また(2) の蛍光材料の場合には,次世代の照明材料(LED)の開発をめざ
している。さらに,(3) の高温構造材料の場合には,エネルギー効率の良いエンジン等の部
材の開発をめざしている。
3.2012 年度の研究成果
(1) 生体材料: 新規骨止血剤,水酸アパタイト被覆グラファイトシート等,それぞれの材
料の作製条件はほぼ確立した。実際の応用を想定して,力学的強度,生体親和性等の
評価を行った。
(2) 蛍光材料:母体となる各種窒化物・酸窒化物の合成条件はほぼ確立した。また,これ
らの化合物に種々の付活剤を添加し,発光波長,発光色,発光強度等の蛍光特性を評
4
価した。
(3) 高温構造材料:炭素シートの表面に炭化ケイ素膜を形成するための諸条件について検
討を行った。また,耐熱性についても検討し,炭化ケイ素を炭素に被覆することによ
って,空気中での耐熱性が大幅に向上することを確認した。
4.大学内外における共同的な研究活動
(1) 共同研究
(i) 各種酸窒化物蛍光体の開発(上智大学‐Eindhoven 工科大学(オランダ))
(ii) 各種炭素繊維複合化炭化ケイ素セラミックスの作製と力学的強度
(上智大学‐Curtin University(オーストラリア))
(iii) 水酸アパタイト被覆グラファイトシートの作製(上智大学‐日本大学)
(2) 学内共同研究
(i) 研究題目:骨・関節を代替する生体にやさしい医療デバイスの開発と評価
(機能創造理工学科-物質生命理工学科)
(ii) 研究題目:四面体構造を利用した新規機能性物質の創製
(機能創造理工学科-物質生命理工学科)
(3) その他
特になし
5.教育活動
基礎化学(学部)
,ゼミナール(学部)
,ガラス・セラミックス(学部)
,化学実験Ⅰ(学部)
無機製造工学特論(大学院)
6.教育研究以外の活動
(学内) 物質生命理工学科学科長,SLO オフィス長,理工学振興会委員
電顕センター運営会委員,予算委員会委員, 発明委員会委員
理工教育研究推進委員会委員
(学外) (i) 無機マテリアル学会:会長
(ii) (社)日本セラミックス協会:関東支部常任幹事,教育委員会委員
セプロ委員
(iii) 日本無機リン化学会 監事
7.その他
特になし。
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10
所属
物質生命理工学科
氏名
遠藤 明
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
1.新しい機能を持った物質を創製する研究,
2.金ナノ粒子を用いる新規分子認識方法の開発に関する研究
キーワード: 分析化学,電気分析化学,超分子,ルテニウム,金属錯体,糖,
分子認識,自己集積,金コロイド,デンドリマー、シクロデキストリン
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。
)
「金属錯体集合体の電気化学特性およびそれらを利用した電気化学的分子認識」という
テーマで研究に取り組んでいる。金属錯体を様々な集合体にすることによる生ずる金属間
相互作用を電気化学的に解明することおよびそれらの集合体および電気化学特性を利用し
た電気化学的分子認識システムを創製することを主な目的としている
金属錯体、特に錯体はそれ自身が高い機能性を持った物質であるが、それらをさら
に種々の集合体にした時には、個々の時とは異なった新規物性が発現されることが期
待される。新規物性は錯体中の電子移動あるいは非局在化などで発現されるので、特
に電気化学的特性を評価することは新規物性を評価することに他ならない。また、こ
れらの新規物性を分子認識と組み合わせて行うことで分子認識の選択性および検出感
度の向上が期待できる。錯体の集合体として、①直接化学結合により結びついた二核、
三核などの多核錯体、②金属錯体/デンドリマー複合体、③金属微粒子/ルテニウム錯
体複合体、に注目している。それぞれに分類される錯体の集合体を創製し、新規機能
の発現を目指すこと、および錯体に分子認識部位を持たせ先の集合体を用いた分子認
識を行うことを目的としている。また、これとは別に④シクロデキストリンを金電極
に集積させることによる電気化学的糖認識を行った。
2011 年度は①~④に分類される研究を、次のような研究テーマで行った。
① に関したテーマとして以下の研究を行なった。
11
・「極低温多核NMRを用いたルテニウム二核錯体の混合原子価状態の検出」 (卒業研究)
空気中で安定なフッ素原子含有混合原子価ルテニウム二核錯体を合成し、これらの
電気化学的挙動を詳細に検討するとともに、合成した錯体のRu, F, C, などの極低温
多核NMRを測定することを試みた。
これは、情報理工学科後藤貴行教授との共
同研究の一環である。
②に関したテーマとして以下の研究を行なった。
・
「ボロン酸ルテニウム錯体/デンドリマー複合体を用いた電気化学的糖認識」(卒業研究)
分子認識部位にボロン酸を持つ錯体を合成し、それをデンドリマー上に集積させることによ
りボロン酸ルテニウム錯体/デンドリマー複合体を作製し、電気化学的な糖認識を行った。
③に関したテーマとして以下の研究を行なった。
・
「金コロイド上に集積させたルテニウム錯体を用いるアルカリ金属イオンの電気
化学的分子認識」 (大学院研究)
金微粒子上にルテニウム錯体とクラウンエーテル部位を集積させ電気化学的なアルカリイオ
ン認識を行った
・「金微粒子上に集積させたフェロセン錯体用いる糖の電気化学的分子認識」 (卒業研究)
金微粒子上にフェロセンとボロン酸部位を集積させ電気化学的な糖認識を行った
④に関したテーマとして以下の研究を行なった。
・「-CyD の SAM 法による金電極修飾及びインピーダンス測定による電気化学的分子認識」
(大学院研究)
・「-CyD の SAM 法による金電極修飾及びインピーダンス測定による電気化学的分子認識」
(卒業研究)
末端のOH基をSH基に置換させたシクロデキストリンを合成し、これを金電極上に自己集積させ
た集合体を作製した。ピレンボロン酸を包摂させた後に、糖を添加しこのときのインピーダンス変化
を測定することによる分析を行った。また、シクロデキストリンの環サイズ効果を調べた。またシクロ
デキストリンゲルを合成しこれを修飾した糖認識も試みた。
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。
)
① に関したテーマ
・新規フッ素原子含有ルテニウム二核錯体の合成に成功し、これらの電気化学的挙動
を詳細に検討した。また、混合原子価状態の安定性を見積盛ることができた。しかし、
この錯体は空気中では安定には存在せず、さらに置換基を変える必要がある。
②に関したテーマ
12
・分子認識部位としてボロン酸、デンドリマーとの結合部位としてカルボン酸を持っ
たトランス新規ルテニウム錯体の合成に成功した。この錯体はアミノコアデンドリマ
ー上に自己集積し、フルクースやグルコースなどの糖を認識し、電気化学的にこれを
検出することに成功した。また、デンドリマー複合体(G4)で fructose 添加により非
常に大きな電流値シフトが観察され、 fructose を選択的に認識することに成功した。
③に関したテーマ
・ルテニウム錯体とボロン酸部位を金微粒子上に集積させた複合体は非常に高感度で糖
を認識できることが明らかにされているが、フェロセンを用いた場合でも同様に高感度に糖を
認識できることが明らかになった。また錯体を変えることで糖に対する選択性が変化し、錯体
を変化させることによる特定の糖の認識が可能になることは期待される。
④に関したテーマ
・シクロデキストリンの環サイズ効果を調べたところ、環サイズが大きいγ-シクロデキストリンの
方が、検出感度は高いことが明らかになった。またシクロデキストリンゲルを作成し、これを集
積させることにより、より高感度で糖を認識することができた。
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。
)
1.学内共同研究:
「極低温多核NMRを用いたルテニウム二核錯体の混合原子価状態の検出」
(早下教授、橋本助教、機能創造理工学科 後藤貴行教授と共同)平成 22-24 年度
2.インド、Prof. Muktimony Chaudhury との共同研究
(Department of Inorganic Chemistry、Indian Association for the Cultivation of
Science)
種々の金属錯体の電気化学特性および磁気科学的性質についての共同研究を行っ
ている。
3. インド、 Prof. R. Karvembu との共同研究
(National Institute of Technology, Tiruchirappalli-620015,)
種々の金属錯体の電気化学特性および磁気科学的性質についての共同研究を行
っている。
4. インド、 Prof. P. Viswanasthamurthi との共同研究
(Periyar University, Saiem-636011, India)
種々の金属錯体の電気化学特性および磁気科学的性質についての共同研究を行
っている。
13
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。
)
理工共通科目: 電気化学
学科科目
: 機器分析、物質生命理工学 I(輪講)
大学院科目 : 分析化学特論 III
実験科目
: 物質生命理工学実験 II (責任者)
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。
)
1. 理工学部内委員
・理工カリキュラム委員会
・広報委員会
・英語コース検討委員会
・理工規定委員会
・理工節電委員会(委員長)
2.学科内委員
・カリキュラム委員(委員長)
・機器担当委員
・実験責任者会議委員
・3 年次生チューター
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
14
所属
物質生命理工学科
氏名
大井 隆夫
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
同位体効果・同位体分離に関する研究
キーワード: 同位体,同位体効果(水素,リチウム,カルシウム,ニッケル,亜鉛),
蒸気圧同位体効果,量子化学計算,換算分配関数比,リチウムイオン二
次電池,イオン交換,クロマトグラフィー,クラウンエーテル,燃料電
池,質量分析
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。
)
1.「高圧下におけるホウ素同位体効果」
2.「リチウムイオン二次電池の充放電に伴うリチウム同位体効果:実験と理論」
3.「液体クロマトグラフィーによる同位体分離」
4.「水の蒸気圧同位体効果に及ぼす塩添加の効果」
5.「燃料電池における水素同位体効果」
6.「粘土鉱物中でのリチウム同位体の拡散挙動」
(展望)
種々の系における同位体効果を実験的・理論的に観測・解析すると共に,実際の同位体
分離を目指して基礎研究を行っている。力を入れている分野の一つは地球化学への応用で
あるが,1. は太古の海水の pH の推定に寄与する研究である。4. は地球規模での水の循環
を解明する一助となることが期待される。また,6.は地中処分された高レベル放射性廃棄物
の挙動解明につながる研究である。同位体分離関連では,3. の一部では実際にリチウム同
位体の高濃縮を目指す研究や,ジアミン樹脂あるいはクラウンエーテル樹脂を用いる系な
どで,実績が上がっている。2.,5. はランニングコスト 0 のリチウムあるいは水素同位体
分離システムの構築につながる研究である。2.に関連して,固相が関与する同位体効果の解
明のために,周期境界条件法に基づく理論解析を試みている。
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。
)
1.「高圧下におけるホウ素同位体効果」:昨年までの研究に引き続き,より高温でのデータ
15
を収集した。温度により,同位体効果の圧力依存性が異なることが明らかとなりつつある。
2. 「リチウムイオン二次電池の充放電に伴うリチウム同位体効果」
:正極から電解液へのリ
チウム放出において,電解液および正極材料の違いにより同位体効果が大きく異なること
が見出され,そのデータを集積した。負極(グラファイト)では,グラファイトに挿入さ
れたリチウムの換算分配関数比を,より現実に近い系で計算し,三層までの計算を行うこ
とができた。
3.「液体クロマトグラフィーによる同位体分離」:クラウンエーテル樹脂を用いるカルシウ
ム同位体分離では,ジベンゾ-18-クラウン-6-エーテル樹脂とモノベンゾ-18-クラウン-6エーテル樹脂を比較し,モノベンゾ-18-クラウン-6-エーテル樹脂の方が優れたカルシウム
同位体分離剤であることを見いだした。ジアミン樹脂を用いる亜鉛,ニッケルの同位体分
離系では,通常のイオン交換樹脂を用いた系とは逆の同位体効果を観測した。理論計算に
より,これが溶液相と樹脂相における水和数の差に起因していることを明らかにした。
4.「水の蒸気圧同位体効果に及ぼす塩添加の効果」:各種陽イオン,陰イオン周りの水の酸
素・水素換算分配関数比の計算はほぼ終了したが,より大きなクラスターの計算が必要で
あることが明らかとなった。ただし,今までのデータで定性的には実験値を説明できる。
5. 「燃料電池における水素同位体効果」
:燃料電池の水素極において,反応前後の水素の同
位体比を測定し,電極において重い同位体が選択的に反応していることを見いだした。ま
た,それを裏付けるための量子化学計算を行ない,この効果が起こるためには,水が関与
する必要があることを明らかにした。
6.「粘土鉱物中でのリチウム同位体の拡散挙動」:粘土中をリチウムイオンが拡散する際の
リチウム同位体効果を観測し,条件を変えてデータを集積した。同位体の拡散速度の違い
が粘土の充填密度に依存するという結果が得られた。
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。
)
1. 学外共同研究:
「ホウ酸およびホウ酸イオンの水和に関する研究」,産総研
2. 契約書を交わしていない学外共同研究:東工大,東大,原子力開発機構,首都大,サム
ソン横浜研究所
3. 学内共同研究:
「環境・エネルギー問題への同位体化学的アプローチ」南部教授,木川
田准教授
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。
)
基礎化学,理工学総論 I,理工学総論 II,物質生命理工学実験 I,同位体化学,ゼミナ
ール I,ゼミナール II,卒業研究,無機化学特論(院)
,化学ゼミナール I(院)
,化学
ゼミナール II(院)
,3.11 学
16
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。
)
(学内) 出題責任者(化学)
(学外) 同位体科学会副会長,イオン交換学会理事,日本海水学会理事,「初学者のた
めの原子力・量子・核融合の事典」編集委員,「塩試験方法」改訂委員会委員
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
クラシエホームプロダクツ(株)受託研究 50 万円
17
所属
物質生命理工学科
氏名
岡田 邦宏
1.研究分野と
研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:原子・分子物理学、量子エレクトロニクス
キーワード:イオンのレーザー冷却、低速極性分子、イオン‐分子反応、分子イオン、
クーロン結晶、多価イオン、イオントラップ、シュタルク分子速度フィルター
2.研究テーマ
研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。
)
1.
星間分子の生成に関わる低速極性分子と極低温イオンとのイオン-分子反応過程
の研究
2.
冷却イオントラップによる分子イオンの振動回転基底状態の生成と検出
3.
太陽風起源禁制 X 線遷移の実験室観測を目的とした多価イオントラップの開発
4.
共鳴多光子イオン化法を用いた分子イオンの生成
(展望)
星間分子雲の生成に関わる極低温分子イオン-極性分子反応の反応速度測定を系統的に
進めていくとともに、昨年度開発した小型冷却線形イオントラップを用いた極低温 CaH+の
レーザー分光研究も引き続き行っていく。また、共鳴多光子イオン化による分子イオン生
成法を確立させる。具体的には、共鳴多光子イオン化法をテストするための Wiley-McLaren
型飛行時間質量分析計(TOF-MS)を用いて、生成イオン量のレーザー波長依存性を測定す
る。この結果は、研究テーマの一つである極低温分子イオン-極性分子反応測定における
クリーンな分子イオン生成法に利用される。一方、太陽風起源禁制X遷移の実験室におけ
る観測を目的とした首都大学東京及び電気通信大学との共同研究も積極的に行っていく。
既に完成した多価イオントラップ(Kingdon イオントラップ)へのアルゴン多価イオンのト
ラップ寿命のガス圧依存性及び電荷移行断面積の測定を行う予定である。
3.2012 年度の
年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。
)
1.
低温(約 3K)における CH3CN + N2H+ → CH3CNH+ + N2 反応の反応速度定数の決定に
成功した。
2.
シュタルク分子速度フィルタ-を用いて新たに CD3CN(アセトニトリルのアイソトポ
マー)の低速極性分子の生成に成功した。
18
3.
分子イオンの振動回転基底状態への冷却が可能な小型冷却線形イオントラップを新た
に開発し、約 50 K という低温環境において初めて Ca+-CaH+混合クーロン結晶の大量
生成に成功した。
4.
CaH+イオンの電子状態間振動回転遷移分光のためのレーザーシステム及び蛍光検出系
の開発を行った。
5.
多価イオン捕獲のための Kingdon イオントラップを動作させ、Ar2+のトラップ寿命測定
に成功した。
4.大学内外における
大学内外における共同的
における共同的な
共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。
)
1.
高速不安定核イオンの精密質量分光実験(理化学研究所仁科加速器研究センター共同
研究員として参加)
2.
「171Yb+マイクロ波周波数標準の研究」情報通信研究機構(NICT)時空標準研究室と
の共同研究(学生派遣)
3.
「太陽風起源禁制 X 遷移の観測」首都大学東京・電気通信大学との共同研究(科研費
基盤 A・分担)
4.
イ オ ン の ク ー ロ ン 結 晶 を 用 い た 応 用 研 究 ( Texas A&M University, Prof. Hans A.
Schuessler)
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。
)
(講義・実験演習担当科目)
量子エレクトロニクス、原子分子科学、物質科学実験、基礎物理実験・演習、ゼミナー
ル I~II、実験物理特論 A(大学院)
、物理学序論(大学院)
(学外での活動)
最先端計測創造特別講義第二(東京工業大学・集中講義)
6.教育研究以外の
教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。
)
(学内)
物質生命理工学科3年クラス主任,理工図書委員会,物質生命カリキュラム
委員会
7.その他
その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
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所属
物質生命理工学会
氏名
小田切
丈
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
原子分子物理学、反応物理化学
キーワード:
原子分子物理、多電子励起分子ダイナミックス、反応物理化学、電子
分子衝突、シンクロトロン放射光
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。)
「多電子励起分子ダイナミックスの解明」
「電子分子衝突実験のための電子銃の設計」 (卒研) など
「CO2 分子の光学的振動子強度分布測定」 (卒研) など
「KEK-PF BL20A における真空紫外光の偏光度測定」 (卒研) など
(展望)
特殊な化学反応の例として、非局所な複素ポテンシャルをもつ多電子励起分子の関与する
反応に着目し、その生成・崩壊ダイナミックスの解明を目的に研究を行っている。分子を
多電子励起させる方法として放射光を用い、解離過程を観測することで多電子励起状態観
測にまつわる実験的困難さを克服し、研究を進めている。また、最も簡単な衝突反応であ
る電子分子衝突に関する実験研究を行う準備も進めている。
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。)

水分子の二重イオン化ポテンシャル付近にも中性の多電子励起状態が存在し、それ
らが自動イオン化せずに中性解離することを実験的に明らかにした。

水分子の多電子励起状態を経由して 3 体に中性解離する反応が存在することを明ら
かにした。

水分子の 3 体中性解離では、反応は 2 ステップで進行していることを明らかにした。

CO2 分子を高温化に置くことにより偏角振動を積極的に励起させ、振動子強度分布
を測定した。室温下における振動子強度分布との差異を明らかにした。
20
広いエネルギー範囲で収束条件をもつ 7 電極からなる電子銃を設計した。

4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。)

光解離による量子もつれ水素原子対生成に関する東京工業大学との共同研究

超低エネルギー電子分子衝突断面積測定に関する東京工業大学との共同研究

原子分子の多重イオン化ダイナミックスに関する高エネルギー加速器研究機構、
新潟大との共同研究

振動励起分子の光学的振動子強度分布測定に関する上智大・理工・物質生命理工・
星野研究室との共同研究

上智大・理工・物質生命理工学科における私立大学戦略的基盤形成支援事業での
電子エネルギー分析器を用いた共同研究
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。)

基礎物理学、基礎物理実験、現代物理の基礎、放射線科学、原子分子 A、ゼミナー
ルⅠ、ゼミナールⅡ、卒業研究Ⅰ、卒業研究Ⅱ

高エネルギー加速器研究機構 放射光科学研究施設における学部学生の実習

高校(国学院久我山高校)における出張授業
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。)
(学内)
(学外)
陽電子物理および電子-分子衝突国際シンポジウム実行委員
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
21
所属
物質生命理工学科
氏名
川口 眞理
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
分子進化
キーワード: 魚類、遺伝子、タツノオトシゴ
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。
)
「タツノオトシゴのアスタシンファミリープロテアーゼ遺伝子の探査」
「タツノオトシゴ collectin placenta 遺伝子のクローン化と組換えタンパク質の作成」
「タツノオトシゴの育児嚢で発現している遺伝子の網羅的解析」
(展望)
進化過程で新規な組織器官がどのように発達・多様化するのかに興味を持っている。タ
ツノオトシゴは、オスが腹部に育児嚢と呼ばれる袋状の器官を持ち、メスが育児嚢内に
卵を産み、オスが精子を放出して受精させる。受精した卵はオスの育児嚢内で胎盤様構
造と呼ばれる組織に包み込まれている。オスは稚魚になるまで保護し、その後「出産」
することが知られている。育児嚢はタツノオトシゴ類に特異的に見られる器官である。
育児嚢ではどのような遺伝子が関与して、卵の「保育」という特殊な働きを示すように
なったのだろうか?本研究により、オスが育児嚢でどのように「子育て」を行っている
のか、分子レベルで明らかにしていく。
3.2012
2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
3.
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。
)
タツノオトシゴの育児嚢より RNA を抽出し、cDNA を合成した後、次世代シーケンサーを
用いて全 cDNA 配列を決定した。発現量を発達段階の異なるオスの育児嚢間で比較したと
ころ、保育に関わる候補遺伝子を単離した。さらに、PCR 法により全長配列を決定し、そ
の発現パターンや機能解析を進めている。
22
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。
)
東京農業大学 生物資源ゲノム解析センターと共同研究
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。
)
基礎生物学、進化系統学、生物科学実験 II、基礎生物・情報実験・演習、ゼミナール I、ゼ
ミナール II、分子進化学特論、生物科学基礎論、生物科学ゼミナール IA、生物科学ゼミナ
ール IB
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。
)
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
23
所属
物質生命理工学科
氏名
神澤
信行
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
植物傾性運動に関する研究,骨再生に関する研究
キーワード: 傾性運動,接触傾性,就眠運動,細胞骨格,骨再生,アパタイト,
生体材料
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。
)
「MetE を介した就眠運動シグナルカスケードの解析」
(大学院博士研究)
「AFS 内で培養した心筋様細胞 P19.CL6 の増殖性の評価および心筋分化の解析」
(大
学院研究)
「多機能性キレート硬化型骨修復セメントの抗腫瘍性及び骨分化能の評価と解析」
(大学院研究)
「オジギソウ MpPTPs の細胞性粘菌を用いた生理機能解析」
(大学院研究)
「マウス由来胚性腫瘍細胞株(P19.CL6)の AFS を用いた 3 次元培養条件の検討」 (卒研)
「Lactoferricin を添加した新規キレート硬化型骨修復セメントの抗菌性評価」 (卒研)
「Protoplast を用いた MP67 の in vivo 解析」 (卒研)
「エビスグサ形質転換体作出技術の確立」 (卒研)
(展望)
動植物の細胞が、外界からの様々な刺激をどの様に細胞に伝え、機能を発現していくのか
を明らかにするため、以下の様な研究に取り組んでいる。
そのひとつとして、植物傾性運動の機構解明を目的としている。傾性運動の調節に関与
する様々な因子に着目し、生化学的な手法から解析している。また、これまで困難とされ
ているマメ科植物での遺伝子導入技術の開発にも取り組んでいる。
上記とは別に、動物細胞がそのおかれた「場」の違いを認識し、どの様に分化していくの
かを、三次元培養が可能な生体材料を用いて解析している。再生医療への貢献を出口とし
て、応用生物学的な解析も平行して進めている。
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。)
24
傾性運動の解析に関しては、特に ADPase に関する研究がまとまり、2011 年度に報告済み
の論文の続報となる論文を国際誌に報告した。アクチンのリン酸化に関しては、投稿準備
をすすめており、まとまり次第国際誌に投稿する。
生体材料関連では、国際学会での発表だけでなく、国際誌に多数報告している。2011 年
度より、明治大学の相澤教授が中心として始まる「私立大学戦略研究基盤形成事業」のメ
ンバーの一員として AFS の新規の研究展開に参加している。
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。)
(学内) 生体分子に親和性を示すルテニウム錯体の合成および生体分子との相互作用 平成
24 年から 25 年度
(長尾先生)
(学内) 植物オルガネラの動態を制御するアクチン細胞骨格の役割
度
平成 23 年度から 24 年
(藤原准教授)
(学外) 植物ホルモン配糖体の標的とその機能解析研究
(東北大学
上田教授)
(学外) GFP レポーターコンストラクトを導入した骨芽細胞分化アッセイ系(公益財団法人
微生物化学研究会 微生物化学研究所 坂本先生)
(学外) 平成 21 年度創造展開プロジェクト
平成 21 年から 24 年
(学外) 私立大学戦略的研究基盤形成事業 平成 23 年から 28 年
(KAST
相澤博士)
(明治大学 相澤博士)
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。)
科学技術英語 1E、生物化学、生体物質とエネルギー、地球環境と科学技術 I(コ)、生体
運動特論、生物科学基礎論(輪)、ゼミナール、生物科学実験、基礎生物・情報実験演習
学外等なし、
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。)
(学内)
SLO 委員、理工学部大学院英語コース委員、全学キャリア形成支援委員会委
員、全学動物実験委員会委員
(学外) 日本生化学会関東支部会幹事
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
特記なし
25
所属
物質生命理工学科
氏名
木川田 喜一
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
火山化学,環境分析化学
キーワード: 火山,温泉,噴火予知,水質汚濁,土壌汚染,大気汚染,放射能,
黄砂,排水
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。
)
(1) 「火山地域の地下熱水系モデルの構築」
(2) 「国内大気環境の動態評価」
(3) 「福島原発事故に由来する放射性核種の環境中での輸送・移行プロセスの評価」
(展望)
(1) 「火山地域の地下熱水系モデルの構築」:火山地域の地下熱水系の正しい理解は,
高確度の火山噴火予知に寄与するとともに,火山.温泉地域の環境・防災施策に
役立てられる.そこで,群馬県の草津白根火山を模式地として,(a) 火口湖水質変
動機構の解析,(b) 火山性源泉の水質形成機構の解析を主要課題として研究を進め
ている.(a)に関しては火口湖水質の変動に対するマグマ由来の火山性流体の寄与
とその化学的プロセスを明らかにし,最終的に噴火予知に資することを,また(b)
に関しては温泉地域における浅部熱水構造の把握を通して,温泉地の熱水資源の
管理に資することを目指している.
(2) 「国内大気環境の動態評価」
:今日,我が国の大気環境を考える上で大陸から輸送
される環境負荷物質の存在を無視することはできない.このような大陸からの越
境汚染は黄砂現象と共に 21 世紀に入ってから特に注目されるようになった.大陸
から日本への大気輸送そのものは自然現象であり今に始まったことではないが,
その輸送される物質の質や量,季節性などは時代と共に大きく変化している.そ
こで,1960 年代から現在までに国内各所で採取された大気降下物の化学組成から,
国内大気環境の変遷とそれに関わる大陸由来物質の質的変化を明らかにし,最終
的には東アジア域の環境動態の理解へと繋げることを目指している.
26
(3) 「福島原発事故に由来する放射性核種の環境中での輸送・移行プロセスの評価」
:
2011 年 3 月の福島第一原子力発電所の事故は,広い範囲に放射性核種による汚染
地域を生じさせた.事故により地表へと沈着した放射性核種は,既存の環境中の
物質循環プロセスに取り込まれるが,原発事故により新たに環境に付加した放射
性核種は,既存の安定核種や過去の核実験等で沈着した放射性核種の存在形態と
は異なるため,初期的には既存核種と異なる挙動を示す.そこで,放射線防護や
効率的な除染工程の策定の面から,原発事故由来の核種の化学形態とその環境中
での移行挙動を明らかにすることを目指している.
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。
)
(1) 「火山地域の地下熱水系モデルの構築」:草津白根山の山頂火口湖の水環境・水循
環の把握に,福島原発事故由来の放射性セシウムを水文学的トレーサーとして利用
できないかと考え,基礎的調査を行った.この結果,草津白根山の山頂火口湖およ
び周辺土壌において放射性セシウムを定量することができ,今後その分布と経時変
化を見ることで,山頂域の水環境と水循環に関する情報が得られる可能性がある.
(2) 「国内大気環境の動態評価」
:1960 年代以降に福岡市で採取された大気降下物に含
まれる鉛の同位体比から,大気粉塵に含まれる鉛の起源が複数あり,年代と共に変
化するのみならず,季節変動もあったことが明らかになった.鉛同位体比の変動幅
はきわめて大きく,その起源に興味が持たれるが,その起源を同定するには至らな
かった.
(3) 「福島原発事故に由来する放射性核種の環境中での輸送・移行プロセスの評価」
:
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。
)

東京都市大学原子力研究所との共同研究「環境試料中の微量元素の定量」

学内共同研究「環境・エネルギー問題への同位体化学的アプローチ」

学内共同研究「火山熱水系等の特殊環境に生育する微生物が産生する生理活性物
質の検索」
27
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。
)

地球環境化学,環境分析化学,無機化学特論(地球化学),基礎化学実験・演習,
ゼミナール,化学ゼミナール,大学院演習,地球環境と科学技術 II,教育実習 I

「物質生命理工学実験 A テキスト」の作成

「地球科学 II」
(明治大学)
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。
)
(学内) 物質生命理工学科 1 年クラス担任,全学課程委員会,理工学部課程委員会
(学外) 日本温泉科学会学会賞選考委員,草津白根山防災会議協議会専門委員,
一般共同研究専門委員(原子力機構施設利用)
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
28
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30
所属 物質生命理工学科 氏名 小林 健一郎 1 .研 究 分 野 と キ ー ワ ー ド(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野: 生物の環境適応と進化
キーワード: 無尾両生類(カエル) 無尾両生類幼生(オタマジャクシ)食性 消
化管の構造と機能 胃 環境適応 進化
2 . 研 究 テ ー マ (箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必
要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。)
無尾両生類の消化機能の環境適応と進化 ウシガエルオタマジャクシ前腸のマニコットにおける酸分泌について(卒研) ウシガエルオタマジャクシの消化能力について(卒研) ウシガエルオタマジャクシ後腸の働きについて ウシガエルオタマジャクシ前腸のカテプシン E の精製と生化学的性質の検討(卒研) (展望) 生物は、それぞれ異なる生活環境に適応している.生物の多様性とは、生物の生活のしか
たの多様性にほかならない.そこで、ある生物がその生物に特徴的な形質をもつ場合、そ
の理由を生活環境への適応として理解できることが多い.無尾両生類は、幼生と成体が多
くの点で異なる形質をもち、異なる生活環境に適応している.例えば、陸上で昆虫などの
動物を捕らえて食べる肉食性のカエルは、大きな胃と短い腸をもつが、水中で藻などを食
べる植物食性の幼生は、その長い消化管に胃をもたない.そのかわり、胃と異なる独自の
機能を備えていることが明らかになりつつある.幼生が胃をもたないことの食生活への適
応的な意味、幼生が胃をもたない動物として無尾両生類が進化してきた理由について研究
を行っている.生物多様性を理解することは、環境に大きな影響を及ぼしている私達の義
務であると言える.個々の生物の理解を目指す研究はその一旦を担っている. 3 .2012 年 度 の 研 究 成 果 (論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報デー
タ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。)
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卒業研究を通じて、無尾両生類幼生の消化管の機能に関する研究を行った.幼生前腸
のマニコットが分泌する酸が、カエルの胃が分泌する胃酸と同様に、塩酸であることを示す
結果を得た.幼生に食物として茹でたホウレン草を与えた場合の、消化時間と同化率を測定
した.幼生後腸での共生微生物による食物の消化について検討した.幼生前腸の消化酵素で
あると予想しているカテプシン E の精製を行い、生化学的性質を検討した.
4 .大 学 内 外 に お け る 共 同 的 な 研 究 活 動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してく
だ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。)
井口智文教授(宇都宮大学教育学部)と、有尾両生類の胃で発現しているペプシノーゲン
の分子生物学的研究と発生生物学的研究を共同で行った.
5 .教 育 活 動 (担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。)
生命のしくみ 生物学概説-I 生物科学実験 III(分担) 理工学概論-I(分担) 環境
適応の生物学 基礎生物学 生物学概説-II 基礎生物学実験(分担) 多様性生物学 ゼ
ミナール I, II 生物科学基礎論(輪講) 6 . 教 育 研 究 以 外 の 活 動 (学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や
各 32
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。)
(学内) 全学自己点検・評価実施小委員会委員(理工学研究科)
(学外) 7 . そ の 他 (上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
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所属
物質生命理工学科
氏名
近藤
次郎
1.研究分野とキーワード
(研究分野)
構造生命科学、立体構造情報を基盤とした分子設計
(キーワード)
X線結晶解析、核酸(DNA/RNA)、抗生物質、ナノデバイス
2.研究テーマ
(研究テーマ)
①リボソーム RNA 分子スイッチの構造研究と創薬への応用
②機能性核酸ナノデバイスの設計を指向した構造研究
(展望)
①リボソーム RNA 分子スイッチの構造研究と創薬への応用
アミノグリコシド系抗生物質は、細菌リボソームの活性部位に存在する RNA 分子ス
イッチに結合してその働きを阻害することで殺菌効果を示す。これに対して細菌は、
RNA 分子スイッチを変異させることで薬剤耐性を獲得する。また、抗生物質がヒトの
RNA 分子スイッチに間違って作用すると人体に対して重篤な副作用を引き起こす。
我々は、細菌からヒトまであらゆる生物種の RNA 分子スイッチに対して抗生物質が
どのように作用するのかを X 線結晶解析法を使って明らかにし、得られた立体構造情報
を利用して感染症や遺伝病に効く新しい薬剤を設計・開発することを目指している。
②機能性核酸ナノデバイスの設計を指向した構造研究
核酸の構造的特長を生かした医薬品やナノデバイスの開発研究が注目を集めている。
しかし、そのほとんどは膨大な数の分子から目的の機能を持つものを宝探しのように探
索するスクリーニング法によって見出されているのが現状である。
我々は、核酸分子のさまざまな立体構造モチーフを X 線結晶解析法を使って明らかに
し、これを基盤として機能性核酸ナノデバイス(センサー、スイッチ、導線など)を設
計・開発することに挑戦している。
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3.2012 年度の研究成果
①リボソーム RNA 分子スイッチの構造研究と創薬への応用
殺菌効果が極めて高いアミノグリコシド系抗生物質シソマイシンが細菌の RNA 分子
スイッチに対してどのように結合するのかを X 線結晶解析で明らかにした。その結果、
シソマイシンは他のアミノグリコシドでは見られない特異な相互作用様式で RNA に結
合していることを明らかにした(原著論文1報)。さらに、この研究で得られた立体構
造情報を基盤として、薬剤耐性菌や感染性原虫の RNA 分子スイッチに作用する新規薬
剤(6'-ヒドロキシシソマイシン)の設計・合成に成功した(原著論文1報・モントリ
オール大学との国際共同研究)。また、これまでに行ってきた関連研究の成果について
日本語総説(実験医学増刊号)で解説した。
②機能性核酸ナノデバイスの設計を指向した構造研究
DNA の塩基チミン T とシトシン C は、重金属イオンである水銀 Hg(II)と銀 Ag(I)とそ
れぞれ強く結合して T-Hg(II)-T、C-Ag(I)-C という金属仲介塩基対を形成することが知
られている。この性質を利用して、重金属イオンセンサーや選択的除去膜として機能
する DNA 分子の開発が進められている。我々はこのような DNA ナノデバイスの分子
設計基盤となる立体構造情報を得るために、金属仲介塩基対を含む DNA 分子の X 線解
析を行なっている(投稿論文準備中)。
4.大学内外における共同的な研究活動
①リボソーム RNA 分子スイッチの構造研究と創薬への応用
共同研究先:ストラスブール大学(フランス)、モントリオール大学(カナダ)
テクニオン工科大学(イスラエル)
②機能性核酸ナノデバイスの設計を指向した構造研究
共同研究先:神奈川大学、東北大学
5.教育活動
(学科講義科目)
生物物理学、基礎生物情報実験演習、生物科学実験 I、ゼミナール、卒業研究
(大学院講義科目)
生物物理特論、生物科学基礎論、生物科学ゼミナール、大学院演習
(他学科講義科目)
基礎生物(看護学科)
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6.教育研究以外の活動
(学内活動)
・物質生命理工学科コロキウム委員
・物質生命理工学科ウェブサイト委員
(学外活動)
・日本結晶学会誌編集委員
・Photon Factory News 編集委員
7.その他
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所属 物質生命理工学科 氏名 齊藤 玉緒 1 .研 究 分 野 と キ ー ワ ー ド(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野: 生物分子科学、化学生態学
キーワード: 細胞性粘菌、ポリケタイド、ポリケタイド合成酵素、ゲノム情報、
化学生態学
2 . 研 究 テ ー マ (箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必
要があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。)
卒業論文
「Dictyostelium discoideum の pks2 遺伝子破壊株の解析」
「Dictyostelium monochasioides の stlA 遺伝子のクローニングと機能解析」
「細胞性粘菌が植物寄生性線虫の挙動に与える影響について」
「 Dictyostelium discoideum に お け る 新 規 ハ イ ブ リ ッ ド 型 ポ リ ケ タ イ ド 合 成 酵 素
SteelyB の産物多様性機構の解明」
修士論文
「細胞性粘菌の化学生態学的解析」
「Molecular biological analysis of polyketide synthases that regulate Dictyostelium
prestalkA differentiation」
(展望)
土壌微生物である細胞性粘菌を用いて、「ポストゲノム解析」の観点からポリケタ
イド合成酵素の解析を行っている。細胞性粘菌のゲノム中に見られる高いポリケタ
イド合成能とその多様性は、土壌環境の中で展開されている生存戦略を反映してい
ると考えられる。酵素構造とその作用機構の理解、更にコンビナトリアル生合成と
して遺伝子改変による酵素機能の改変を通じて、その生存戦略の理解から物質生産
への応用を視野に入れて研究を進める。特に新規ポリケタイド合成酵素 Steely が
発生過程でその産物を変化させる機構の理解を中心に研究の展開をはかりたい。
また分化誘導分子を合成する Steely は原生生物で初めて同定されたハイブリッド
型酵素である。Steely 酵素がどのような進化をたどってその構造を獲得したのか、
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またその酵素構造の獲得は個体における分化誘導能とどのように関連しているの
かという「分子進化」を明らかにしたいと考えている。さらに、土壌環境は化学物
質の戦場とも言われているほど、化学物質による生物間の情報伝達がさかんである
ことから、細胞性粘菌の土壌中での化学生態の解明を試み、より応用的な研究をめ
ざす。
3 .2012 年 度 の 研 究 成 果 (論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報デー
タベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。)
2012 年の最大の成果は細胞性粘菌の化学生態学に関する研究で、細胞性粘菌と線虫
の間に化学物質によるコミュニケーションが存在するということを明らかにしたこと
である。この成果については今後新たな農薬開発にもつながる成果であると考えており
特許申請の準備中である。
また、Steely 酵素の産物多様性機構の解析について、これまで未解明だった SteelyB 酵
素の DIF-1 以外の産物の構造を推定する LC/MS のデータがえられた。本研究について
は、この構造から推定される生合成経路を導きだし、実験的に検証する段階に進んだ。
4 .大 学 内 外 に お け る 共 同 的 な 研 究 活 動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してく
ださい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。)
共同研究
1産総研:「細胞性粘菌の新規ハイブリッド型ポリケタイド合成酵素に関する研究」
2北海道大学:「土壌微生物の化学生態学的解析」
3ダンディー大学:「細胞性粘菌のポリケタイドに関する研究」
5 .教 育 活 動 (担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。)
全学科目
環境分子生物学入門、基礎生物学実習 専門科目
基礎生物学(生物学概論 II)、生物科学実験 II 細胞機能工学、卒業研究、生物科学ゼミナール
大学院科目
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環境分子生物学特論、生物科学基礎論 研究指導演習
6 . 教 育 研 究 以 外 の 活 動 (学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や
各種のワーキンググループなどでの活動も含みます。)
・ (学内)
理工学部 Green Science コース担任 (G30委員)
上智学院男女共同参画推進委員会委員
上智大学全学共通教育委員
・ (学外)
日本種生物学会日本種生物学会誌(Plant Species Biology)編集委員
日本植物脂質研究会幹事(平成22年度より)
日本細胞性粘菌学会会計監査委員(平成23年度)
NBRP nenkin 運営委員
7 . そ の 他 (上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
なし
39
所属
物質生命理工学科
氏名
杉山
徹
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
摩擦低減効果を有する添加剤の研究,金属カルコゲン結合の研究,金属
ジチオレン錯体の研究、金属錯体合成の光化学反応の研究など
キーワード:
有機金属化学,有機光化学,ヘテロ原子化学,光酸化,トライボロジ
ー,エンジン潤滑油添加剤,光機能性錯体,・・・
など
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。)
1)「摩擦低減効果を有する Mo 錯体の合成と性能評価 1」
(大学院研究)
2)「摩擦低減効果を有する Mo 錯体の合成と性能評価 2」 (卒研1) など
3)「機能性を有する新規 Ru ジチオレン錯体の合成」 (卒研2) など
4)「複核モリブダジチオレン錯体の合成とその動的挙動」 (卒研3) など
5)「機能性を有するコバルタジチオレン錯体の合成」 (卒研4) など
6)「光酸化反応の天然物合成への応用」 (卒研5) など
(展望)
金属カルコゲンの結合の創製と活用というテーマで長年取り組んでいる。研究の中心は金
属ジチオレン錯体に絞って様々な遷移金属の錯体を合成してきた。これまで合成してきた
錯体の動的挙動の解明に取り組み、昨年度はこれまで測定されていなかった複核モリブダ
ジチオレン錯体の 95MoNMR測定に初めて成功したので、本年度さらにデータの蓄積する
ことで新しい展開目指す。また、昨年度未解決のルテニウムジチオレン錯体の構造と化学
的性質の解明を完成させる。最後に、これまで企業との共同研究を継続してきた摩擦低減
効果を有する Mo カルバマト錯体の研究も構造と性能の相関関係が解明されようとしてお
り、今年度の発展が期待される。
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。)
1)2)複素環部分の構造に着目し、六員環の一つの炭素原子をさらにカルコゲン原
子に置き換えた錯体を合成し、それらの性能評価の比較検討を行った。さらに、市販品
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が複核錯体であることに注目し、相当する置換基を有する複核モリブデンジチオカルバ
マト架橋カルコゲン錯体を合成し、昨年度までの単核錯体との性能評価の比較検討を試
みた。研究成果は 2013 年 5 月「トライボロジー会議」(東京代々木)にて発表した。
3)新規ルテニウムジチオレン錯体の合成には成功したが、構造解析、化学的性質の
検討までは至らなかった。
4)目的のモリブダジチオレン錯体合成し、JEOL社の協力により、95MoNMR
の測定及び解析に初めて成功した。
5)前任者の反応条件を再検討した結果、3 段階の反応のそれぞれの目的化合物の収率
が著しく向上し、さらに実験の再現性も得られ、反応機構の解明まで研究が進んだ。こ
の成果は、2013 年 3 月日本化学会第春季年会(滋賀県草津)にて発表した。
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。)
1)昭和シェル石油株式会社との共同研究、2)株式会社ADEKA との共同研究
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。)
有機光機能化学,有機光化学,有機化学(有機反応)
,工業材料、化学実験Ⅱ,
ゼミナールⅠⅡ、化学演習Ⅰ、
「化学実験Ⅱのテキスト」作成
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
41
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。)
(学内)
理工安全委員会,物質生命理工学科安全委員会,物質生命理工学科共通機器
委員、上智学院組合,
物質生命理工学科4年クラス担任,
(学外)
,
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
昭和シェル石油株式会社より共同研究費100万円
株式会社ADEKAより共同研究費 50 万円
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所属 物質生命理工学科 氏名 鈴木 教之 1 .研 究 分 野 と キ ー ワ ー ド(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野: 有機金属化学を主とする新たな機能性分子の合成研究
キーワード: 有機金属化合物、不安定分子、遷移金属触媒、ミセル
2 . 研 究 テ ー マ (箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必
要があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。)
「高い歪みを有する有機金属環状化合物の合成と反応性」
「新規三座配位子の合成と配位場の制御による有機合成反応の開発」
「温度応答性高分子を基盤とするミセルを用いた水中有機反応」
(展望)
一般に、五員環のアルキン、アレン化合物は極めて不安定であり、短寿命のため単離でき
ないと考えられてきた。当研究室では近年、ジルコニウムなどの遷移金属を含む環状化合
物においては、五員環、七員環アルキンや五、七員環アレンが簡便に合成でき、かつ安定
に単離できることを見出した。我々は、これらの高い歪みを持ちながら安定に存在する錯
体の分子構造と反応性を明らかにし、さらに新規な分子を創製することを目指す。
また、遷移金属錯体はその触媒機能を配位子の構造でチューニングできることがその特長
である。我々は、嵩高い置換基を持つ多座配位子が前周期遷移金属の触媒機能を発現する
のに有効であると考えた。さらに、一定の距離に後周期遷移金属を配位できる元素を有す
る配位子を設計し、基質の分子認識と不活性結合の効率的活性化を目指している。
近年のグリーンケミストリーの潮流では、有機合成反応といえども水中で進行することが
望ましい。その反応場を提供し、疎水性生成物を容易に抽出できる素材として下限臨界共
溶温度(LCST)を有するポリマーをミセルにし、さらに触媒機能を持たせることを考えた。
3 .2012 年 度 の 研 究 成 果 (論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報デー
タベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。)
1. 1,3-エンイン類が形成するジルコニウム錯体においては、五員環アレンを形成することを
見出していたが、アルキニルイミン類を用いるとアザジルコナシクロアレンを収率よく与
えることが分かった。さらに、種々のアルキンと 1,3-エンインから、七員環アレン化合物が
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安定に得られルことを見出し、その分子構造を決定した。
2. ピリジン骨格を有する O,N,O-三座配位子を基盤とするチタン錯体を合成し、それらと
後周期遷移金属との反応により異種複核錯体を合成した。また、その分子構造を明らかに
した。我々の設計通り O,N,O 部位はチタンを捕捉し、ビスピリジル部位でパラジウム金属
へ配位子した形をとっていた。
3.下限臨界共溶温度(LSCT)を有する高分子として知られるポリ(N-イソプロピルアクリル
アミド)(NIPAAm)と、親水鎖をもつマクロモノマーを共重合し、コポリマーが水中で形成
するミセルが有機反応場として有効であると考えた。昨年度は、ラジカル重合の RAFT 剤
を検討し、ポリエチレングリコール鎖を持つマクロモノマーとのブロック共重合体の合成
に成功した。得られたブロックコポリマーは 40°C 付近で LCST を示し、水中でのアルドー
ル縮合において立体選択性、光学選択性とも良好な結果を示した。
4 .大 学 内 外 に お け る 共 同 的 な 研 究 活 動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してく
ださい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。)
理化学研究所 物質評価チーム 客員研究員
学内共同研究「環境調和型触媒プロセスの開拓による生物活性物質の網羅的創製」
共同研究 Prof. Chanjuan Xi(清華大学、北京)
2012 年 8 月から 9 月にかけて本学大学院生を清華大学化学系 Xi 教授の
研究室へ派遣し、ジルコニウム五員環アレン化合物の反応について実験をおこな
った。
5 .教 育 活 動 (担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。)
触媒反応工学、情報リテラシー演習、化学実験 II、ゼミナール、有機触媒化学特論(大学
院)、教育イノベーションプログラム「研究室所属学生への英語教育」(代表者:臼杵豊展)
6 . 教 育 研 究 以 外 の 活 動 (学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や
各種のワーキンググループなどでの活動も含みます。)
(学内)
学部・新カリキュラム検討委員会
学科・安全委員会
(学外) 日本化学会関東支部代議員・常任幹事
7 . そ の 他 (上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
工場見学引率: 出光興産千葉製油所、本学学生・院生 12 名参加
近畿化学協会有機金属部会東京例会への参加
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所属
物質生命理工学科
氏名
鈴木 由美子
1.研究分野とキーワード
研究分野:
触媒に関する研究,化学合成法の研究,医薬品の開発研究,天然物の合
成研究
キーワード: 触媒,有機合成化学,創薬,医薬品,天然物,抗がん,抗感染症
2.研究テーマ
「有機分子触媒・含窒素複素環式カルベン(NHC)を触媒とする反応の開発」
(展望)
効率的かつ環境に配慮した化学合成「モノづくり」の手法として有機触媒を用いた有機
合成は大きな注目を集めている。合成での「モノづくり」で中心となるのは炭素-炭素間
の結合形成反応であり,私たちは,NHC を触媒とし,多種多様な市販品が存在するアルデ
ヒドを気質として用いるユニークな炭素-炭素結合形成反応の開発を進めている。新しい
反応の開発は医薬品や機能性材料などの新しい分子の創製という「モノづくり」へとつな
がると期待する。
「複素環合成法の開発」
(展望)
全世界での売上高 10 位以内の処方薬のうち 8 割が複素環を分子内に含有し,現在開発中
の医薬品の 90%以上がその構造に複素環を含む。私たちは,NHC 触媒反応により合成でき
るα-ケトイミン類を汎用性のある合成中間体と捉え,この中間体を利用した複素環合成法
を開発している。本研究は多様な含窒素複素環化合物の入手を容易にし、創薬研究に優れ
た化合物ライブラリーを提供する。
「生物活性天然物の合成研究」
(展望)
私たちは,他の有機分子触媒にない特徴を持つ NHC 触媒反応「アロイル化反応」を開発
した。有機分子触媒反応の多くは既知反応の不斉化や反応条件の緩和化に触媒を用いてい
るが、私たちが開発した反応は生成物の骨格形成に触媒の存在が必須である。すなわち,
45
触媒によるアルデヒドの極性転換でアシルアニオン等価体が生成し、求核置換反応が進行
する,一段階で求核的にアシル基を芳香環などに導入する他に類例のない反応である。こ
の反応を用いることで,生物活性を持つ天然物の効率的全合成を目指す。全合成達成後の
展開として,医薬品の開発を見据えた構造活性相関研究に取り組む予定である。
「抗がん活性化合物の構造活性相関研究」
(展望)
私たち独自の反応を用いて合成したキナゾリン誘導体が,高い抗がん活性をもつことが
見出された。鍵となる共通合成中間体から一段階の反応あるいは短工程で抗がん活性化合
物の誘導体を数多く合成し,生物活性を評価することで,より高活性な化合物を見出すこ
とを目標とする。切実な社会的要請である副作用を克服した新規抗がん剤の開発を目指す。
「蛍光分子プローブの開発」
(展望)
緑色蛍光タンパク (GFP) の発見・応用に代表されるように,蛍光バイオイメージング技
術の進歩は,細胞や生物個体中の分子機能の解明に革新的な発展をもたらした。現在も生
命機能解明のツールとなる新規分子プローブの開発研究が盛んに行われている。本研究は,
カチオンセンサーやバイオイメージングへの展開を目指した蛍光プローブの創製を目的と
する。
3.2012 年度の研究成果
NHC 触媒反応を用いる 1,2-ジケトン,キノキサリン,ピラジンの簡便な合成法を開発し
た。天然物の合成研究では,termicalcicolanone B および citreamicin δ の合成を検討し,各々
キサントンおよびベンゾフェノンを骨格とする中間体の合成まで達成できた。
4.大学内外における共同的な研究活動
(学内)
「有機触媒及び金属触媒を活用した超薬理作用化合物の開発」
(共同研究者:増山芳郎,鈴木教之,臼杵豊展)
(学外)
「含窒素複素環式カルベンの触媒反応を利用した含窒素複素環化合物の合成」
(共同研究者:静岡県立大学薬学部教授・眞鍋 敬)
「抗がん剤の開発研究」 (共同研究者:静岡県立大学薬学部教授・浅井章良)
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「新規蛍光物質の物理化学的性質に関する研究」
(共同研究者:Ensicaen & Université de Caen, Professor Bernhard Witulski)
5.教育活動
基礎化学実験・演習,ヘテロ原子の有機化学,ゼミナール I・II,卒業研究 I・II,
化学と生活 II―身のまわりの化学―,大学院特論(医薬品設計・合成化学), 大学院
演習 I・II,化学ゼミナール I・II
上智大学オープンキャンパス体験授業
大妻高等学校模擬講義
6.教育研究以外の活動
(学内) 大学院化学領域就職担当
7.その他
第 6 回資生堂女性研究者サイエンスグラント受賞
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所属
物質生命理工学科
氏名
竹岡
裕子
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
キーワード:
高分子化学、機能性高分子材料
π共役系高分子,プロトン伝導性高分子,生分解性高分子,
センサー,人工骨,燃料電池
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。)
「機能性高分子の合成と光学・電気特性-①」、「生分解性高分子の機能化-②」、「燃料電
池用電解質の合成-③」というテーマで研究に取り組んでいる。①では、特にπ共役系高
分子と有機無機ハイブリッド材料に着目し、特に、センシング特性、または太陽電池特性
に優れる高分子の開発に取り組んでいる。②では、生分解性高分子をバイオマテリアルと
して応用することを目的として、研究をおこなっている。近年、様々な生体組織代替材料
が開発され、その応用範囲が広がっている。一般に、バイオマテリアルには、生体適合性、
力学的特性、生体活性の3つの特性が重要であると言われている。生分解性高分子は生体
適合性に優れるが、力学的特性は分子量に依存し、生体活性は十分とは言えない。本研究
では、手術用縫合糸等として利用されており、生体適合性が高いことが既に分かっている
ポリ乳酸及びそれらの共重合体等の生分解性高分子に着目し、無機化合物との複合化等に
より、生分解性高分子の高機能化を図り、優れたバイオマテリアルを創製することを目的
として研究を行っている。
③では、近年注目を浴びている炭化水素系高分子電解質の高次構造制御を目的とし、触媒
移動型重縮合法を用いて
①に関したテーマとして以下の研究がある。
「ポルフィリン―ポリチオフェン誘導体を用いた太陽電池の開発」 (大学院研究)
「触媒移動型連鎖重合法を用いた光学活性ポリチオフェンジブロックポリマーの合
成と円二色性効果の発言」(大学院研究)
「イオン性基を導入したπ共役系高分子の分子認識挙動」
(大学院研究、学部研究)
②に関したテーマとして以下の研究がある。
「ポリ乳酸系生分解性高分子のファイバー化とスキャフォールドとしての特性
51
評価」(大学院研究)
「二相性セラミックスと生分解性高分子による人工骨材料の開発」(大学院研究)
③に関したテーマとして以下の研究がある。
「触媒移動型縮合重合法を用いた親水―疎水ジブロック共重合体の合成」
(大学
院研究)
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。)
① イオン性基を有するπ共役系高分子について、ホスホン酸基やホスホニウム側鎖を有す
るポリチオフェン誘導体が選択的にイオンや DNA を検出することが可能であることが
新たに見出された。また、有機無機ハイブリッド材料に関しては、有機部の構造を精密
に設計することにより、半導体閉じ込め構造を制御することができることが明らかとな
った。①の分野に関しては、2012 年度に論文 2 報が採択された。
② 生体材料に関しては、水酸アパタイトとリン酸三カルシウムの組成を種々変化させた二
相性セラミックスを自在に作製することに成功し、これをポリ乳酸を複合化させること
により、人工骨材料として有望な材料が得られる可能性が示唆された。②の分野に関し
ては、論文 1 報が採択された。
③ 電解質材料に関しては、ポリフェニレン系高分子の主鎖構造、及び側鎖構造を変化させ
ることにより、高分子電解質膜の強度や寸法安定性が向上できることを見出した。また、
触媒移動重縮合反応の利用により、精密に分子量制御をしたブロック共重合体の合成が
可能となった。③の分野に関しては、論文 6 報が採択された。
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。)
・ 技術研究組合
FC-Cubic
燃料電池に関する共同研究
・ 高分子学会主催「高校教諭のためのサイエンスセミナー」講師
(実験と講義)
2012 年 11 月@筑波大付属高等学校
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。)
52
基礎化学,物質生命理工学実験I,ゼミナール,高分子化学,高分子合成特論
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。)
(学内)
理工自己点検・評価委員会,就職担当教員、
学生実験委員会,機器担当委員(元素分析)
(学外)
高分子学会関東支部監事、日本化学会化学フェスタ実行委員
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
村田株式会社より研究費 150 万円
53
所属
物質生命理工学科
氏名
田中
邦翁
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
プラズマを用いた固体表面の改質および薄膜形成
キーワード:
プラズマ化学,大気圧グロープラズマ,表面改質,薄膜堆積
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。)
「プラズマ表面処理を用いたポリマーフィルムと表面粗化アルミニウム箔の無接着剤ラミネート
法の開発」
「大気圧グロープラズマによる酸化チタン超微粉末の分散性改善処理」
「大気圧グロープラズマによる接着剤中における板状無機粉体の分散性改善処理」
「大気圧グロープラズマによる吸湿性無機粉体の防水加工処理」
(展望)
大気圧グロープラズマは、低圧グロープラズマの低温で空間的に均一、活性種の密度が比較的
高いという特徴を持つプラズマを大気圧下でも発生させることができることから、近年では多くの製
造業で大気圧グロープラズマの活用についての検討が行われている。
その中でも、近年では粉体の表面処理法として大きな期待が寄せられてきた。様々な業界で、製
品の高密度化や小型化が進められて行くにつれ、当然その原料物質の微細化も同時に求められ
てきた。その要望に応えるために、超微粉末の製造に関する研究が盛んに行われ、実際に超微粉
末を製造できるようになったものの、多くの粉末は粒子径が小さくなるほど凝集しやすくなり、分散
性を改善させないと使用できないという新たな問題が起きてきた。化学的な処理や分散剤を添加
するなどの方法でこれまでは何とか対応してきたが、対応しきれないような事例がますます増加し
ていく傾向にある。それに対し、粉体表面に直接、しかも乾式で処理が行える大気圧グロープラズ
マに注目が集まり始めてきており、企業からの相談件数も増えている。その中の一つの研究が、上
記の硝酸アンモニウムに対する処理である。今後も、この傾向は大きくなって行くであろう。
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。)
<学会発表>
1. The 29th Conference of Photopolymer Science and Technology (2012.6)
“大気圧グロープラズマによる硝酸アンモニウムの防湿加工処理”
54
田中 邦翁,藤里 公司,和田 英一,羽生 宏人,小駒 益弘
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。)
学外共同研究:企業 4 件
学外共同研究:宇宙航空研究開発機構 (JAXA)
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。)
プラズマ科学,物質科学実験,ゼミナール,電離気体反応論,基礎化学実験
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。)
(学内) 情報ネットワーク専門委員会(委員長)
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
特になし
55
所属
物質生命理工学科
氏名
田宮 徹
1. 研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
遺伝子の分子進化に関する研究、遺伝子の発現
キーワード: 分子進化,加速進化,遺伝子発現
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。
)
1.
2.
「ヘビ毒遺伝子の分子進化」
「ヘビ毒遺伝子の発現」
(展望)
ヘビは 2 億 5 千万年前に始鰐類から分化したとされている。現在地球上に約 3 千種存
在する。そのうち毒を持つ蛇は 600~1300 種で、これらの中でもヒトに有害とされてい
るものは 250 種といわれている。毒蛇の毒腺は、高度に分化した組織で、ここでは毒遺
伝子が大量発現している。コブラ科のヘビには神経伝達を阻害する短鎖神経毒と長鎖神
経毒、アセチルコリンの放出を妨げるホスホリパーゼ A2 (PLA2)とが存在する。
1. 毒タンパクの PLA2 には名前からも想像できるように、リン脂質分解酵素の名前が
付いている。これは、動物に普遍的に存在する酵素 PLA2 の構造と非常によく似て
おり、活性の大小はあるが、ヘビ毒 PLA2 も、リン脂質分解活性を示すためである。
ヘビ毒 PLA2 がどのように進化し、毒活性を獲得したのかを、毒を持たないヘビや
爬虫類の PLA2 遺伝子を調べることにより明らかにしようとしている。
2. 毒タンパクの PLA2 の毒活性発現機構についての詳細は明らかになっていない。大
腸菌で PLA2 遺伝子を発現させ、毒活性を有する組み換え体 PLA2 の作成を行って
いる。PLA2 は分子内 S-S 架橋が多く、発現後のリフォールディングが非常に難し
い。現在リフォールディングの条件を検討している。
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。
)
1. 脊椎動物は膵液等にリン脂質分解酵素として働く IB 型ホスホリパーゼ A2(PLA2)
を普遍的に持つ。また、毒ヘビの毒液には、この PLA2 の祖先遺伝子を起源とする
毒素(IA 型 PLA2)が存在する。我々は、これまでにエラブウミヘビ(Laticauda
semifasciata)やハブ(Trimeresus flavoviridis)などの毒ヘビから神経毒として
働く IA 型及び IB 型 PLA2 遺伝子を単離した。これらの IA 型、IB 型 PLA2 遺伝子か
らは、それぞれ 2 種類の転写産物が確認されている。1 つは従来から転写開始点と
56
考えられてきた 5’上流領域のプロモーター(P1)から転写された従来型(4 エキソ
ン 3 イントロン構造)
。もう 1 つは既報 PLA2 遺伝子の、今までイントロンIと考え
られていた部分の新奇プロモーター(P2)から転写された新奇型(3 エキソン 2 イン
トロン構造)である。本研究では爬虫綱有鱗目のニホンカナヘビ( Takydromus
tachydromoides)の PLA2 遺伝子を調べることで、IA 型 PLA2 がどのように毒として
の機能を獲得したのかを解析することを目的とした。ニホンカナヘビ肺組織由来
mRNA を調べたところ、IB 型 PLA2 遺伝子の新奇型の存在は確認できたが、従来型は
確認できなかった。このことから、ニホンカナヘビ肺における従来型の転写産物
はごく微量であると思われる。単離した IB 型 PLA2 遺伝子新奇転写産物にはシグナ
ルペプチドをコードする領域が存在せず、5’UTR も他のヘビ由来 PLA2 遺伝子に比
べて極端に短かった。また、タンパクコード領域を他のヘビと比較すると、エラ
ブウミヘビの IB 型 PLA2 遺伝子とは 70%の相同性を示し、無毒のヘビであるアオ
ダイショウ及びシマヘビとは 76%の相同性を示した。毒ヘビよりも無毒のヘビに
配列が似ていることから、I 型 PLA2 遺伝子はヘビ亜目とトカゲ亜目に分化後に毒
としての機能を獲得したと考えられる。
2. ホスホリパーゼ A2(EC 3.1.1.4、PLA2)superfamily は、グリセロリン脂質の sn-2
位を加水分解し、脂肪酸とリゾリン脂質を遊離する酵素群である。 PLA2 は、その
機能、分布、制御メカニズム、配列、構造、および二価金属イオン要求性により
多様にクラス分けされる。中でも、グループ I の分泌 PLA2s(sPLA2s)はコブラ科
の蛇毒(IA)および哺乳類膵臓(IB)から単離されている。動物に普遍的に存在
するグループ IB sPLA2 は消化酵素として機能する。グループ IA sPLA 2 は、本来の
消化酵素としての機能と神経筋接合部においてアセチルコリンの放出をブロック
することで -神経毒としての機能を示すが、酵素活性と毒性の間に相関はない。
多くの研究者がグループ IA sPLA 2 の構造と機能の関係について明らかにしようと
してきた。しかし、酵素活性や毒性に関わるアミノ酸残基などの詳細は、いまだ
明らかにされていない。そこで本研究では、グループ I sPLA 2 の構造および機能
の解析を行うために、Laticauda semifasciata のグループ I sPLA 2 遺伝子の大腸
菌での発現を試みた。発現プラスミッドベクターpGEX-6P-3 と大腸菌株 Origami B
(DE3)を用いて発現した GST 融合の sPLA2 組み換え体[IA(毒型)および IB(酵素
型)]は、PLA2 活性を示した。また、プロテアーゼで GST タグを除去しても、IA sPLA2
および IB sPLA2 の組換体は、いずれも PLA2 活性を示した。しかし、この系での発
現レベルは、それほど高くはなかった。
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。
)
 私立大学情報教育協会 教育改革 ICT 戦略大会(アルカディア、9 月 3-5 日)開催
 私立大学情報教育協会 FD 講習会(大阪経済大学、2 月 26-28 日)開催
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。
)
 学部講義
 基礎生物学
 遺伝子工学
 生物科学実験 I



57
科学技術英語 2E(生物
ゼミナール I
ゼミナール II
 卒業研究 I

 大学院講義
 分子遺伝学特論

 生物学基礎論

 生物科学ゼミナール IA

 テキスト等の作成
 「生物科学実験 I」のテキスト作成
 「科学技術英語 2E(生物)
」のテキスト作成
 Basic Biology 資料作成
卒業研究 II、
生物科学ゼミナール IB
大学院演習 IA
大学院演習 IB
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。
)

(学内)


全学
 図書館長
 大学評議委員
 図書委員会委員長
 教育研究用コンピュータシステム
等運営委員会委員
 情報システム委員会委員
 募金委員会委員
 長期計画企画拡大会議委員
理工学部







人事計画検討員会
フジカル・プラン等検討第一委員
会委員
教育研究情報 DB 検討 WG
研究機構会議委員
上智大学体育連合会委員長
男子バスケットボール部部長
理工学部人事委員会

(学外)
 日本蛇族研究所理事
 公益社団法人私立大学情報教育協会 FD 委員会委員長
 公益社団法人私立大学情報教育協会 FD 講習会講師
 公益社団法人私立大学情報教育協会 教育改革 ICT 戦略大会運営委員
 南山大学外部評価委員
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
なし
58
所属
物質生命理工学科
氏名
千葉 篤彦
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野: 動物行動発現の神経内分泌学的研究
キーワード:性行動、匂いの選好性、エストロゲン、アンドロゲン、オキシトシン,
扁桃体、視索前野、メラトニン、記憶、加齢、概日リズム、時計遺伝子
など
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。
)
「異性の匂いに対する選好性発現の神経生理学的基盤」
「学習記憶機能におけるメラトニンの抗加齢効果に関する作用機序の解明」
「両生類の概日時計機構の解明」
(展望)
ホルモンはさまざまな形で脳機能を調節して動物の行動発現に関与している。現在我々は
①性行動発現の動機づけに密接にかかわる異性の匂いに対する選好性発現の神経内分泌学
的基盤、②加齢に伴う学習記憶能力の低下に対する松果体ホルモンであるメラトニンの抑
制効果の作用機序の解明、および、③両生類の時計遺伝子の解析、に取り組んでいる。①
に関しては、選好性発現にかかわる神経回路の所在やそのホルモンに対する感受性の雌雄
差について明らかにしようと考えている。②については、長期的メラトニン投与が、脳の
加齢に関するさまざまな指標に与える影響について解析し、学習機能に関する抗加齢効果
に関する作用機序の解明を目指している。③については、時計遺伝子のクローニングおよ
び機能解析を行っている。
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。
)
・雌ラットの扁桃体内側核へのアンドロゲン投与は雄ラットの匂いへの選好性を消失させ
た。このことは、雄ラットにおける雄(同性)の匂いへの選好性の抑制がアンドロゲンに
59
よることを示唆した我々の先行研究の結果を支持した。
・マウスに中年期から老年期にかけてメラトニンを長期投与しておくと、空間記憶、非空
間記憶のどちらにおいても加齢による低下がある程度抑制された。また、このメラトニン
処置は老年期における脳の酸化ストレスの指標物質の蓄積を有意に抑制した。
・マウスにおける学習記憶能力の評価において、獲得試行直後にベンゾジアゼピンを投与
することによる逆行性記憶増強は、非空間記憶では見られたが空間記憶においては観察さ
れなかった。
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
)
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。
・メラトニン長期投与が加齢に伴う海馬における長期増強の低下に与える影響(上智大学
総合人間科学部との共同研究)
・抗加齢効果に関連しうるメラトニンのさまざまな生理作用についての研究(東京医科歯
科大学、金沢大学との共同研究)
・両生類の概日リズム発現機構についての研究(宇都宮大学との共同研究)
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。
)
動物生理学、神経行動学、脳とホルモンの行動学、生物科学実験Ⅲ、脳生理学特論、
基礎生物学実験、ゼミナール
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。
)
(学内) 4 年クラス担任
(学外) 日本時間生物学会 評議員
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
60
所属
物質生命理工学科
氏名
長尾
宏隆
1 .研 究 分 野 と キ ー ワ ー ド(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
金属錯体化学、電気化学、イオン液体化学
キーワード:
ルテニウム錯体、含窒素化合物、ピリジン化合物、酸化還元、
イオン液体、小分子の活性化、二酸化炭素
2 . 研 究 テ ー マ (箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必
要があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。)
「遷移金属錯体の合成と反応」
「遷移金属錯体の酸化還元に伴う小分子の活性化」
「生物活性を有する遷移金属錯体の合成」
「遷移金属触媒を用いたイオン液体中での二酸化炭素還元反応」
(展望)
含窒素化合物変換能あるいは二酸化炭素還元能を有するルテニウム錯体の創製と反応性
に関する研究を行っている。窒素元素を含む化合物の生態、環境、工業循環系における役
割は多彩であり、重要である。自然界や化学工業プロセスでは、これらの窒素を含む化合
物(含窒素化合物)の循環において化合物自身やその変換過程で生成するエネルギーある
いはこの化合物自身が利用されている。本研究では、形式的酸化数の異なる化学種間の変
換反応に必要な金属錯体反応場の要件を明確にすることを目的として、できる限り
な条件
温和
で反応を誘起する反応場の構築と反応機構解明を主眼に研究を行っている。空気
中で安定な金属錯体を用いて、触媒、反応場となる機能性錯体を創製する。窒素を含む小
分子変換や二酸化炭素の変換反応を目的とした触媒設計・合成とイオン液体を反応メディ
アとした変換反応系の構築について検討を行い、これまでにない金属錯体触媒̶イオン液体
反応系を構築することを目指している。また、生物活性を有するルテニウム錯体を合成す
ることを目指して、水溶性の高いルテニウム錯体を合成する。これまでの配位設計や錯体
設計に基づいて新たな錯体を合成し、これらの錯体と細胞あるいは DNA などの生体分子と
の相互作用について研究を行う。これらの結果は、ルテニウム錯体の新たな機能創製へと
つながっていく。
61
3 .2012 年 度 の 研 究 成 果 (論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報デー
タベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。)
(1)
小分子活性化反応の活性中心として用いることのできるルテニウム錯体を創製す
る目的で、錯体の反応性を制御するために設計したビス(ピリジルアルキル)アミンやピ
リジル基を有する有機化合物を支持配位子とするルテニウム錯体を合成し、錯体の酸化還
元反応や錯体上の配位子反応について検討した。これらの研究で以下の成果を得ている。
・ビス(ピリジルアルキル)アミン配位子とルテニウム中心金属の協同的な酸化還元反応
による特徴的な配位子の C-H、N-C 結合活性化反応に伴う酸素添加反応
・硝酸イオンの還元による酸化窒素配位子の生成反応
・アジ化物イオンを窒素源とした含窒素化合物(イミン、アミン)の合成
・ニトリル化合物の水和反応
・ルテニウム錯体の集積化による二核錯体の合成
(2)
生物活性なルテニウム錯体の創製を目的として、水溶性の高いルテニウム錯体の
合成のための錯体・配位子設計を行った。合成した錯体の物性について従来の錯体との比
較を行った。生物化学的な評価法を確立するための手法を検討した。
以上の研究成果を、Inorganic Chemistry に論文として投稿・審査中であり、錯体化学国際
会議にて 5 件、日本化学会春季年会および錯体化学討論会にて 9 件の発表を行った。
4 .大 学 内 外 に お け る 共 同 的 な 研 究 活 動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してく
ださい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。)
・新規の上智大学学内共同研究として物質生命理工学科神澤信行准教授と共同研究「生体
分子に親和性を示すルテニウム錯体の合成および生体分子との相互作用」として研究を開
始していた。
・神奈川大学
川本達也教授と「ビス(ピリジルアルキル)アミン配位子のルテニウム錯
体上での酸化反応」に関して共同研究を行っている。これの成果を論文として投稿してい
る。
62
5 .教 育 活 動 (担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。)
無機化学(無機元素化学),化学実験 I,生物無機化学,無機化学特論(錯体化学),
ゼミナール、化学演習
「無機化学」(裳華房)9 月出版予定を執筆した。
6 . 教 育 研 究 以 外 の 活 動 (学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や
各種のワーキンググループなどでの活動も含みます。
)
(学内)
新カリキュラム検討委員会
(学外)
日本化学会欧文誌
編集委員
7 . そ の 他 (上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
63
所属
物質生命理工学科
氏名
南部 伸孝
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
理論化学,計算化学,機能分子の解明と設計,地球化学
キーワード: 非断熱現象,光化学,理論分子設計,大気化学,同位体濃縮現象など
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。
)
「非断熱化学動力学における半古典理論の構築と応用
‐凍結ガウス波束発展法および QM/MM モデルを用いた周期境界条件」
(展望)
近年,古典力学に基づく分子動力学シミュレーション法が活発に利用されマイクロ秒の
分子シミュレーション(MD シミュレーション)が可能になりつつあるが,多自由度系にお
ける量子効果を効果的に考慮する方法の開発が未だに達成されていない。本研究では,上
記のテーマにおいて新たな理論開発を行っているとともに,生化学における蛍光分子タグ
の設計およびタンパクに見られる様々な光化学反応の理論的解明を行っている。本年度は
特に溶液等を扱うために,QM/MM モデルにおける周期境界条件の導入を行った。結果とし
て溶液内光反応を扱うことができ,大きな進歩となった。
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。)
国際査読誌 5 報,国際招待講演 2 件,国際ポスター発表 6 件,国内招待講演 1 件,国内学
会発表 6 件
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。)
① 平成 24 年度 上智大学 研究機構 学内共同研究 自由研究「環境・エネルギー問題へ
64
の同位体化学的アプローチ」代表者 大井隆夫 分担者 南部伸孝
② 平成 24 年度~平成 26 年度 日本学術振興会 基盤研究(C)「生体分子の構造と光応答の
相関に対する非断熱遷移動力学法によるアプローチ」 代表者 石田俊正(京大)分担
者 南部伸孝(上智大)
③ 平成 22 年度~平成 25 年度
日本学術振興会 基盤研究(A)「生体調整ペプチドの科学
的基盤構築」代表者 松井利郎(九大)分担者 南部伸孝(上智大)
④ 平成 23 年度~平成 27 年度
文部科学省 基盤研究(S)
「アイソトポマーの計測・解析
技術開発による物質循環解析」代表者 吉田尚弘(東工大)分担者 南部伸孝(上智大)
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。
)
① 講義・実験等:化学と生活I(全学),基礎化学実験・演習(1年),ゼミナールⅠ・
Ⅱ(3年)
,理論分子設計(統計熱力学)
(3 年)
,卒業研究Ⅰ・Ⅱ(4年)
,大学院演習
ⅠA・ⅠB(M1),大学院演習ⅡA・ⅡB(M2),大学院演習ⅢA・ⅢB(D1),
化学ゼミナールⅠA・ⅠB(M1),化学ゼミナールⅡA・ⅡB(M2),物理化学特
論(理論化学)
(M1,2)
,博士前期課程研究指導,博士後期課程研究指導
② 自主ゼミ等:「新しい量子化学上巻」の輪読(春・秋学期)(4年),「UNIX OS と
Fortran95 言語」の演習(春学期)
(4年)
,
「Gaussian09 および Molpro2012」の演
習(春学期)
(4年)
,分子科学若手の会「夏の学校」
(8 月下旬4泊5日,他大の学生
と勉強合宿)
(4年,M1,M2,D1)
③ 京都大学大学院 情報学研究科「計算科学入門」非常勤講師
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。
)
(学内)
領域主任,推進委員,G30 理工学部委員長(英語コース),
G30 大学院委員(英語コース)
,一般入試制度改正のための検討小委員会
委員,学務委員会委員,海外招聘客員教員受入委員会委員,地球環境研究
所員
(学外)
日本学術振興会審査委員
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
特にありません。
65
所属
物質生命理工学科
氏名
橋本 剛
1.研究分野とキーワード
研究分野:
超分子科学、分析化学、錯体化学、電気化学
キーワード: 分子認識、超分子、電子スペクトル,ルテニウム錯体,電気化学測定
2.研究テーマ
①分子認識能を持つルテニウム錯体の分光電気化学
②生態関連小分子の認識能をもつ超分子化合物の開発と機能評価
(展望)
「錯体や電気化学、超分子化学を用いた新しい分析法の開発」というテーマで研究に取り組ん
でいる。具体的には①分子認識能を持つ対称ルテニウム二核錯体の混合原子価状態と分光電気
化学 ②生態関連小分子の認識能をもつ超分子化合物の開発と機能評価 という2つの観点から
研究を展開している。
①については、昨年度に引続き、1分子にルテニウムを2原子含む金属錯体の系統的な電解ス
ペクトル測定を元に、ルテニウム間の電子的相互作用を理論と結びつけて考察する。あるいは、生
体に関連する小さな分子・イオンに応答し、分光学的あるいは電気化学的に応答する錯体の開発
を行うことを目標としている。②については、生体内で重要な役割を担っている小分子の認識を目
的に、フェニルボロン酸―cis ジオール、クラウンエーテル―金属イオン、アミン-コハク酸イミドカ
ルボン酸エステルといった各種分子間相互作用をモチーフとして、単糖やアルカリ金属イオン、ド
ーパミンに対する超分子化学的な認識試薬・分離材料の開発を目標としている。
①に関する卒業研究テーマは以下のとおりである。
「クラウンエーテル含有ルテニウム二核錯体のアルカリ金属イオン認識機能評価」(大学院研究)
「(β-ジケトナト)ルテニウム二核錯体の電解 ESR スペクトル」(大学院研究)
「糖認識を目的とした新規(β-ジケトナト)ルテニウム錯体の開発」(卒業研究)
②に関する卒業研究テーマは以下のとおりである。
「ソフト分子鋳型効果を用いた超分子型糖分離材料の開発と機能評価」(大学院研究)
「糖認識機能を持つボロン酸蛍光プローブ超分子系における包接場の効果」(大学院研究)
「ドーパミン検出を目的とした新規蛍光プローブ/シクロデキストリン複合体超分子の
開発と機能評価」(卒業研究)
「アゾプローブデンドリマーを用いた界面分子鋳型糖認識比色センサーの開発」(卒業研究)
「選択的糖分離機能を持つボロン酸型ゲルの開発に及ぼすシクロデキストリンのサイズ効果」
(卒業研究)
66
3.2012 年度の研究成果
①に関しては、昨年度に確立した末端配位子の形状を工夫してより高温で ESR シグナルが観測
できる系について、様々な錯体の電解 ESR を測定し、混合原子価状態に由来する特殊なシグナル
と電極反応機構について一定の成果が得られた。また、フェニルボロン酸部位を導入した新規ア
ゾプローブとその類似体のルテニウム錯体を合成し、分光化学応答及び電気化学を測定した。ク
ラウンエーテルを持つ二核ルテニウム錯体のアルカリ金属イオンに対する応答に関しては、他の金
属イオンに関しても併せてまとめることが出来た。
②については、グルコースをはじめとする糖類や、ドーパミンなどの神経伝達分子に対し選択的
に応答する、擬ロタキサン型あるいは分子鋳型超分子センサーのプローブ分子構造の最適化や、
認識機能の定量的評価を行うことを目標に研究を継続している。その結果、テンプレート効果を持
つアゾプローブ/シクロデキストリン超分子ゲルの分離材料としての物性評価や自己学習能評価、
デンドリマーや包接場など、プローブ周辺環境の物性を制御することによる糖選択性の変換、サブ
μM オーダーで応答する新規ドーパミン選択性蛍光プローブの開発など、一定の成果をあげるこ
とが出来た。
4.大学内外における共同的な研究活動
上智大学:学内共同研究 基盤(代表:遠藤 明准教授)
「極低温多核 NMR を用いたルテ
ニウム二核錯体の混合原子価状態の検出」研究分担者(2010 年 4 月~2013 年 3 月)
上智大学:学内共同研究
基盤(代表:水谷由宏助教(講師)
)
「ナノ秒レーザーを用いた
シクロデキストリン複合体の時間分解分光」研究分担者(2012 年 4 月~2013 年 3 月)
5.教育活動
講義:科学技術英語1D(化学)
,錯体化学,先端分析化学【大学院】
実験演習:基礎化学実験・演習
「基礎化学実験・演習 2012 年度版テキスト」作成
ゼミナール:大学院演習、化学ゼミナール、卒業研究 AB,3 年生向けゼミナール
6.教育研究以外の活動
(学内) 理工学部安全委員,危険物保安監督者、物質生命理工学科安全委員,
理工学部教育研究推進センター運営委員
(学外) 日本分析化学会関東支部常任幹事(2012 年 3 月~)
7.その他
特になし
以上
67
所属
物質生命理工学科
氏名
林 謙介
1.研究分野とキーワード
(研究分野)神経発生学,細胞生物学
(キーワード)神経突起伸展,樹状突起,細胞骨格,中心体
2.研究テーマ
(1)神経細胞樹状突起の微小管形成機構
(2)神経細胞の樹状突起における微小管アンカーの役割
(3)髄鞘形成とその破綻に関する研究
(3)神経系細胞の移動を制御する細胞内外の機構
(展望)脳の活動は神経細胞の形態に基礎を置いている。脳が発生する過程で神経細
胞は正しい位置に移動し、正しく突起を伸ばしていかなければならない。テーマ(1)
と(2)では、樹状突起の形成における微小管の形成、およびアンカーの役割につい
て研究を行っている。樹状突起形成に必須の微小管が樹状突起内のその場で新生し、
アンカーされるのではないかという作業仮説を追及している。この研究は樹状突起の
形成の仕組みを明らかにするだけでなく、老化に伴って樹状突起が退縮する仕組みに
も関わると考えている。テーマ(3)では、血管障害等による血流低下によって引き
起こされる脳障害が、白質髄鞘の破綻に起因するのではないかという仮説のもと、脳
の発達過程および血流低下状態脳における軸索-グリア接合部の形態を観察している。
テーマ(3)では、神経細胞の移動の仕組みについて研究を行っている。細胞の移動
はそれを先導する先導突起の運動性によるが、先導突起とグリア細胞との接着、およ
び先導突起内の細胞内情報伝達がその運動性にどのように関与するかを明らかにする
ことを目指している。
3.2012 年度の研究成果
微小管アンカータンパクであるナイニンは通常の細胞では中心体に結合しているが、
神経細胞では結合していないことが当研究室によって既に明らかになっている。そこ
68
で、ナイニンに3ヵ所存在する中心体結合ドメインをGFPと融合し、神経細胞に発
現させてその局在を調べた。ナイニンの全長タンパクは神経細胞内では細胞質内で顆
粒状に局在したが、中心体結合ドメインは神経細胞においても中心体に結合した。従
って、ナイニン分子の中心体結合ドメイン以外の部分が、ナイニンの神経細胞内での
局在を決めていることが示唆された。
4.大学内外における共同的な研究活動
(学外共同研究)脳白質軸索構造破綻評価方法の研究(田辺三菱製薬株式会社)
病態における軸索構造の評価研究(田辺三菱製薬株式会社)
5.教育活動
(講義)「脳と行動」「物質生命理工学II」「細胞生物学」「生物形態学」
「神経発生学特論」「生物科学基礎論」
(ゼミナール)3年生ゼミナール、生物科学ゼミナール、大学院演習、他
(学生実験)「基礎生物学実験」「生物科学実験III」
(学外教育活動)小中学生のための実験教室(栄光サイエンスラボ主催)
(テキスト)理工基礎実験テキスト初版執筆・編集
6.教育研究以外の活動
(学内) 理工ウエブサイト委員会委員長、理工新カリキュラム委員、理工広報委員会
副委員長、物質生命理工学科ウエブサイト委員、理工基礎実験実施委員会委
員長、物質生命理工学科1年次クラス主任、上智学院労働者過半数代表委員
会委員、上智学院安全衛生委員会委員、上智学院教職員組合書記長
(学外) 男女共同参画学協会連絡会・大規模調査WG委員、
動物学会・男共同参画連絡会委員
7.その他
特になし
69
所属 物質生命理工学科 氏名 早下 隆士 1 .研 究 分 野 と キ ー ワ ー ド(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野: 新しい分子認識センサー、超分子センサーの開発
超分子形成に基づく新しい分離材料に関する研究
キーワード: 超分子化学,分離分析化学,分子認識,機能材料,イオン交換材料,
シクロデキストリン,機能膜・樹脂
2.研究テーマ
「超分子形成に基づく新しい分離分析法の開発」というテーマで研究に取り組んで
いる。従来のセンシング技術は,単体のホスト分子とゲストの選択的相互作用を活用
するものであり,高度に分子設計された分析試薬の開発が不可欠であった。本研究は,
分子プローブの設計に分子の自己組織性とこれに伴う光情報変換機能を組み合わせた
「超分子分析試薬」の概念を導入することで,従来の 1:1 型の相互作用に基づく分子
認識試薬には見られない多様な応答機能・分離機能の実現を目的としている。具体的
には,①金属イオンおよび陰イオン認識機能を有する超分子複合体センサーの開発,
②生体分子認識機能を有する超分子複合体センサーの開発,および③超分子化学,分
子認識化学に基づく新しい分離材料の開発を行う。これらの研究を通して,従来法で
の識別が難しい,イオン,糖鎖,DNA,タンパク質など,高分子系の基質に対して水中
での識別機能を示す新しいタイプの化学センサーや新規の分子認識・分離材料の開発
を進める。 本年度は①に関しては,デンドリマーやコロイダルシリカの界面への自己組織化に
基づくイオン認識,両親媒性機能を用いる自己会合型イオン認識試薬,および金属錯
体を認識部位とした陰イオン認識試薬の開発を行う。②については,糖認識機能を有
するボロン酸型プローブの設計と,シクロデキストリン,デンドリマー、蛍光性シリ
カ複合体としての機能評価,両親媒性機能を用いた糖鎖識別方の開発を行う。③につ
いては,疎水性プローブの設計、およびシクロデキストリンヒドロゲルの開発を行い、
分子鋳型と組み合わせた新しい分離材料の開発を行う。 ①に関したテーマとして以下の研究がある。 70
「ジピコリルアミノ基を認識部位に有する蛍光シリカナノ粒子の開発」(修士研究) 「ジピコリルアミノ型蛍光プローブ/シクロデキストリン複合体センサーの設計と機能評
価」 (修士研究) 「ロタキサン骨格を有するビスクラウンエーテル型アゾプローブ/シクロデキストリン複
合体超分子センサーの設計および機能評価」(修士研究) 「ジピコリルアミノ型蛍光プローブ/シクロデキストリン複合体センサーの設計とイオン
認識機能」(修士研究) 「高度な分子認識機能を有するイミノ二酢酸型蛍光プローブの開発」(卒業研究) ②に関したテーマとして以下の研究がある 「ボロン酸型蛍光プローブ/γ-シクロデキストリン複合体の糖認識機構の解明」(修士研
究) 「グルコース認識機能を持つボロン酸型蛍光プローブ超分子系での反応場の効果」(修士
研究) 「ドーパミン認識能を有する超分子アゾプローブの開発と機能評価」(修士研究) 「ジトピック型プローブ/シクロデキストリン複合体の特異応答性」(卒業研究) 「金微粒子状に集積させたフェロセンを用いる電気化学的糖認識」(卒業研究) 「界面分子鋳型糖認識比色センサーの開発」(卒業研究) ③に関したテーマとして以下の研究がある。 「分子認識プローブ/シクロデキストリンゲル複合体を用いる超分子分離材料の開発」 (修士研究) 「グルコース認識機能を持つプローブを用いた分離材料の開発」(修士研究) 「ボロン酸型選択的糖分離超分子ゲルの開発に及ぼすシクロデキストリンのサイズ効果」 (卒業研究) 3 . 2012 年 度 の 研 究 成 果
本年度は,上記2で述べた研究内容で,博士前期課程2年生8名,博士前期課程1年生4名,
および学部4年生12名の指導を行った。これらの研究成果については、日本化学会第92春季
年会(東京、2件)、第72回分析化学討論会(鹿兒島、3件)、第9回ホスト・ゲスト化学シ
ンポジウム(北海道、3件)、第29回シクロデキストリンシンポジウム(東京、6件)、分
析展2012(第50回)(東京、2件)、日本分析化学会第61年会(金沢、6件)、錯体化学会
第62回討論会(富山、3件)、第28回日本イオン交換学会(東京、5件)において発表を行
った。第9回ホスト・ゲスト化学シンポジウムでは、
修士2年の小倉景子がポスター賞を受
賞、日本分析化学会第61年会では修士2年の山澤亞也がポスター賞を受賞した。また第29
71
回シクロデキストリンシンポジウムでは、早下が「超分子形成に基づく分離分析試薬の設
計」の演題で特別講演を行った。この他、スペイン、バルセロナで開催されたXV INTERNATIONAL S YMPOSIUM O N L UMINESCENCE S PECTROMETRY(ISLS2012, 19-22 June, 2012)国際会議で発表を行い、仙台で開催された日中国際シンポジウム”Sendai Symposium on Analytical Sciences 2012”(9-10, Nov.)ではkeynote講演を行った。
学術誌では、Anal. Methods 誌, Anal. Sci.誌、および分析化学誌で研究成果報告を行っ
た。また高分子化学会の超分子研究会アニュアルレビューで、研究内容を紹介した。
4.大学内外における共同的な研究活動(
・科研費基盤研究 B(H22〜25)「疎水ナノ空間包接場を用いる超分子分離システムの開発」
研究代表者:早下隆士教授、共同研究者:遠藤 明准教授、橋本 剛助教 ・科研費挑戦的萌芽研究(H24〜26)「デンドリマーを基盤とする新規な分子認識界面の
開発」研究代表者:早下隆士教授、共同研究者:遠藤 明准教授、橋本 剛助教 ・上智大学学内共同研究 (H24)「ナノ秒レーザーを用いたシクロデキストリン複合体の時
間分解分光」研究代表:水谷由宏助教、共同研究者:早下隆士教授、江馬一弘教授(物
理領域)、橋本 剛助教
5.教育活動
無機化学(分析化学)、分離分析化学、ゼミナールⅠ、化学ゼミナールⅠA,B、IIA,B、化
学演習 A,B(分析化学)、卒業研究Ⅰ,II、研究指導、分析化学特論(超分子化学)、大学院演
習ⅠA,B, IIA,B、海外短期研修(カリフォルニア大学デービス校)理工系英語コース、海
外短期研修(カリフォルニア大学デービス校)一般英語コース、海外短期研修(ノースカ
ロライナ大学シャーロット校)理工系英語コース、海外短期研修(ノースカロライナ大学
シャーロット校)一般英語コース、全学共通「3.11」に見える現代社会の姿、北海道大学
大学院環境科学院「環境物質科学特別講義Ⅰ」 6.教育研究以外の活動
(学内) 理工学部長・研究科委員長、理工教育研究推進委員会委員長、アカデミック
プラン等検討専門第 1 委員会委員、入試委員会委員、評議員会議員、大学評議会議員、男
女共同参画室室長補佐、半導体研究所副所長、理工学科長会議委員長、大学院担当教員資
格審査委員会委員長、科学技術国際交流委員(STEC)、遺伝子組換え実験安全委員会委員長、
動物実験委員会委員長、自己点検・評価委員会委員、放射線安全管理委員会委員長、発明
委員会委員、理工学テイヤ-ル・ド・シャルダン委員会委員、理工学振興会副会長・運営委員 (学外) 日本イオン交換学会常任理事、シクロデキストリン学会常任理事、日本分析
72
化学会関東支部副支部長、日本分析化学会役員等候補者選考委員、日本化学会分析化学デ
ィビジョン幹事、ホストゲスト・超分子化学研究会常任幹事、日本学術振興会特別研究員
等審査会専門委員及び国際事業委員会書面審査委員、科学技術振興機構平成 24 年度科学技
術人材育成費補助金・女性研究者研究活動支援事業審査委員、経済産業省日本工業標準調
査会臨時委員、北海道大学大学院環境科学院非常勤講師 7 . そ の 他 特になし
73
所属
物質生命理工学科
氏名
藤田
正博
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
リチウムイオン電池に関する研究,バイオマス処理に関する研究
キーワード:
イオン液体,プラスチッククリスタル(柔粘性結晶),高分子電解質,
生分解性高分子,ポリ乳酸,セルロース,バイオ燃料,酵素
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。)
「イオン液体を用いたリチウムイオン伝導体の開発」
「イオン液体を用いた非可食性バイオマスからの天然物およびエネルギー抽出」
(展望)
「イオン液体を用いたリチウムイオン伝導体の開発」
イオン液体をリチウムイオン電池用電解質として応用するには,リチウムイオンの選択
的輸送が一つの課題となる。ホウ素は空の p 軌道を有し,アニオンレセプターとして機能
することが知られている。さらに,イオン液体にホウ素ユニットを導入する事により,リ
チウム塩のアニオンがトラップされ,リチウムイオン輸率が向上する事が報告されている。
しかし,これまでに報告されているアルキルホウ素ユニットを有するイオン液体のイオン
伝導度は室温で 10-5 S cm-1 程度が最高であり,電池用電解質として応用するためには,さら
なる改善を要する。有機ホウ素化合物の中でも構造がシンプルなアルキルボロン酸に着目
した。ボロン酸を有するイオン液体を合成し,物性に及ぼすボロン酸基の効果を検討する。
さらに,イオン液体中でリチウムイオンの選択的輸送を実現するため,双性イオン液体を
検討する。双性イオンは同一分子内にカチオンとアニオンが共有結合で結ばれているため,
電位勾配下での移動を抑制できる。つまり,目的イオンのための輸送場を提供できる。こ
のように,イオン液体の分子デザインの高い自由度を最大限活用し,室温で 10-3 S cm-1
を超える高いイオン伝導度と 0.5 を超える高いリチウムイオン輸率を両立した革新的電
解質材料を開発する。
「イオン液体を用いた非可食性バイオマスからの天然物およびエネルギー抽出」
近年,非可食バイオマスであるセルロースを溶解するイオン液体が注目を集めている。
74
現在までに,イオン液体を構成するアニオンのドナー性とセルロースの溶解性の間に相関
があることが見出されている。しかし,ドナー性が高いイオン液体であっても,水分が存
在するとセルロースの溶解性は著しく低下する。本研究では,水分存在下でもセルロース
の溶解性に優れるイオン液体を開発するために,ボロン酸に着目した。ボロン酸は水存在
下でグルコースと相互作用することが知られており,ボロン酸を導入したイオン液体を合
成すれば,上記の問題点を改善できると期待される。水存在下でセルロースを溶解する高
極性イオン液体を創出し,非可食性バイオマスからの天然物およびエネルギー抽出に関し
て,革新的省エネルギープロセスを構築する。
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。)
「イオン液体を用いたリチウムイオン伝導体の開発」
カチオンにボロン酸基を有する新規イミダゾリウム系イオン液体(BIIL)を合成し,リチ
ウムイオン伝導体としての評価を行った。BIIL は,室温で無色透明の液体として得られた。
熱分析を行った結果,-50 ºC から 400℃の広い温度範囲において液体であり,100℃を超
える温度域においても熱的に安定であることがわかった。BIIL に所定量のリチウム塩
を加えて,イオン伝導度およびリチウムイオン輸率を評価した。BIIL のイオン伝導度
は 50℃において 6.5×10-4 S cm-1 であり,これまでに報告されている有機ホウ素系イオン
液体に比べ 10 倍高いイオン伝導度を示した。一般的なイオン液体のリチウムイオン輸
率は 0.2 以下であるが,BIIL のリチウムイオン輸率は 0.6 であった。高いリチウムイオ
ン輸率を維持したまま,イオン伝導度を改善することに成功した。今後,リチウムイオ
ン電池を作製し,充放電挙動を評価する。
「イオン液体を用いた非可食性バイオマスからの天然物およびエネルギー抽出」
アニオンにボロン酸基を有する新規ピロリジニウム系イオン液体(BPIL)を合成し,水
存在下でのセルロース溶解性を評価した。BPIL と水の混合溶媒に対するセルロース溶解性
試験を 30 ºC で行った結果,含水率の増加とともにセルロースの溶解性が向上した。含水率
が 40 wt.%の混合溶媒に対し,最大で 3.5 wt.%のセルロースが溶解した。それ以上含水率を
増加させると,セルロースの溶解性は著しく低下した。セルロース溶液の 11B NMR と FT-IR
の結果より,BPIL/水混合溶媒中のボレートアニオンがセルロースと相互作用していること
が示唆された。再生セルロースの FT-IR,XRD,EDX 測定より,再生セルロースの結晶性
は低くアモルファス化したが,化学構造は変化していないことがわかった。水存在下にお
いて非加熱でセルロースを溶解できる BPIL は非常に優れた系であり,今後,バイオマスの
省エネルギー処理プロセスの構築に取り組む。
75
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。)
(学内共同研究)環境調和型溶媒が可能にする植物系天然有機化合物抽出法の革新
(電気化学関東支部)第 41 回先端化学セミナー「Li 過剰層状正極材料の最先端」
(超分子研究会)第 7 回超分子研究会講座「省エネ環境デバイスを支える超分子」
(群馬高専)平成 24 年度物質工学科講演会
「イオン液体-21 世紀のスーパーマテリアル-」
(茨城高専)ひらめきサロン「イオン液体によるイモの蔓,葉の残渣処理の可能性」
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。)
基礎化学,基礎化学実験・演習,ソフトマテリアル,ゼミナール,高分子解析特論
「理工基礎実験(化学)のテキスト」作成
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。)
(学内)
物質生命理工学科図書選定委員,SLO 委員会,
(学外)
化学グランプリ作問委員,超分子研究会運営委員,
電気化学会関東支部幹事
「超分子研究会アニュアルレビュー
No.33」作成
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
76
所属 物質生命理工学科 氏名 藤原 誠 1.研究分野とキーワード
研究分野: 植物科学 キーワード: 色素体,GFP,オルガネラ 2.研究テーマ
「植物オルガネラの形態ダイナミクス」 【展望】 葉緑体に代表される植物オルガネラ色素体は,植物組織や環境に応じて複雑に
機能分化する。色素体の活動は植物の物質生産性に大きく寄与しており,色素
体の分化・機能・増殖・進化に関する研究は現在,世界レベルで進んでいる。 当研究室では,色素体の多様な形態と複製に着目して,分子遺伝学的,細胞
生物学的研究を行っている。とりわけ,非光合成色素体に関する知見は少ない
ことから,蛍光タンパク質とモデル植物シロイヌナズナを活用して,根,花,
種子などの器官における色素体の振る舞いを明らかにしようとしている。 3 . 2012 年 度 の 研 究 成 果
(1) クレブソルミディウム(Klebsormidium flaccidum (Kützing))は一細胞列からなる糸
状の微細藻類である。この緑藻は比較的単純な細胞構成であり,一細胞あたり1個の
葉緑体と 1 個のマイクロボディを持つ。さらに,陸上生活に最も適応した藻類の 1 種
であること,進化的に陸上植物の祖先グループ(車軸藻綱)に属することから,近年,
構造,生理,生態,進化,ゲノムの解析対象として注目を集めつつある.本研究室で
は,一昨年よりクレブソルミディウム形質転換法の確立を目指して,パーティクルガ
ンを用いた外来遺伝子導入を進めていた。 今回,計 66 ショットの外来遺伝子(CpCAB1p::ble-cgfp,CaMV35Sp::ble-cgfp)導入
操作を行った。その結果,極めて穏やかなショット条件に限り,栄養細胞中に Ble-cGFP
由来と考えられる緑色蛍光が生じることを見出した。現在は,本藻類の安定 DNA 形質
転換体の作製を試みている。 (2) 論文発表:2 件 SlWUS1; An X-linked gene having no homologous Y-linked copy in Silene latifolia G3: Genes, Genomes, Genetics 2(10):1269-1278, October 2012 (Kazama Y, Nishihara K, Bergero R, Abe T, Charlesworth D, Kawano S との共著) Characterization of a heavy-ion induced white flower mutant of allotetraploid Nicotiana tabacum Plant Cell Reports 32(1):11-19, January 2013 (Kazama Y, Takehisa H, Ohbu S, Saito H, Ichida H, Hayashi Y, Abe T との共著) 77
4.大学内外における共同的な研究活動
(1) (共同研究)「緑藻クレブソルミディウムのペルオキシソームと微小管の GFP による可
視化」(共同研究先:東京大学) (2) (学内共同研究)「植物オルガネラの動態を制御するアクチン細胞骨格の役割」(区分:
若手研究者支援研究,共同研究員:神澤信行) 5.教育活動
機能生物化学,生化学,植物機能科学特論,生物科学基礎論,理工学概論 II, ゼミナール,生物科学実験 II,基礎生物・情報実験・演習,生物科学ゼミナール 6.教育研究以外の活動
(学内) 学科安全委員会,理工安全委員会,遺伝子組換え実験安全委員会, 理工学振興会事業実施委員会 7.その他
科学研究費補助金・基盤研究(C)(分担者)2012 年度,30 万円 78
所属
物質生命理工学科
氏名
星野
正光
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
原子分子物理学・原子衝突物理学
キーワード:
気相原子分子,低エネルギー電子分光,電子-表面相互作用,
光電子分光,紫外線吸収実験,陽電子衝突実験,質量分析,
解離性電子付着など原子分子過程科学
全般と原子分子データベース作業
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。)
1) 低エネルギー電子衝撃による気相原子・分子の励起過程の研究(学部・大学院研究)
 電子分光法による BF3 分子の電子励起状態の研究(卒業論文)
 電子衝撃による NO 分子の一般化振動子強度の測定(卒業論文)
 電子衝撃による PF3 分子の弾性散乱微分断面積の定量測定(卒業論文)
 低エネルギー電子衝撃による N2 分子の共鳴性振動励起過程の研究(卒量論文)
 電子分光法によるフッ素化合物分子の電子励起過程の探索(修士論文)
 電子衝撃による希ガス原子の光学的許容遷移に関する Scaling 則の検証(修士論
文)
 熱励起 OCS 分子の共鳴性電子衝突振動励起ダイナミックスの研究(修士論文)
2) 低エネルギー陽電子衝撃による希ガス(Ne, Ar, Kr, Xe)原子の全断面積の定量測定
(大学院研究:東京理科大学と共同)
3) 超低エネルギー電子衝突(Cold Collision)における散乱断面積の定量測定(大学院
研究:東京工業大学・KEK-PF と共同研究)
4) シンクロトロン放射光を用いた原子分子の真空紫外線吸収実験(大学院研究:東京
工業大学・KEK-PF との共同研究)
5) 電子と金属表面相互作用におけるエネルギー損失分光(科学研究費補助金若手研究
(B):新テーマ)
(展望)
量子力学のもっとも基本的な検証の場である原子・分子衝突過程について,電子相
関が強く現れる少数多体系での衝突ダイナミクスの解明を目指す.特に気相原子・分
子(環境分子,プロセス分子,生体構成分子等を含む)に関する衝突過程の研究は,
地球環境問題・核融合・星間分子・次世代半導体プロセス技術・放射線科学・オーロ
79
ラ発光現象に至るまでの様々な応用分野に貢献できる基礎研究として重要である.具
体的には,そのプローブとして低エネルギー電子・陽電子・低速多価イオン・シンク
ロトロン放射光による真空紫外線や軟 X 線を気相原子・分子および固体表面に入射し,
散乱電子や放出光電子・散乱イオン・解離生成イオン等のエネルギー分布および角度
分布を測定することで原子・分子・固体表面の電子・光・イオンによるダイナミック
スの探索を多面的に行なっている.
昨年度まで行ってきた気相原子・分子標的の電子分光実験に対して,今年度から金
属表面を標的とした測定に拡張する準備を開始した.そこで今後の展望としては,
1) 融合プラズマにおけるダイバータ周辺の弱電離低温プラズマの挙動を総合
的に理解するため,電子衝撃と加熱水素分子およびダイバータ材料(W, Be,
C)との相互作用に関する実験を開始し,装置はほぼ完成したので来年度は
実際に散乱電子の弾性散乱角度分布から金属表面との相互作用に現れる孤
立原子の効果(原子因子)に関する研究やエネルギー損失過程からプラズマ
(電子)が壁に与える影響についての測定を開始する予定である.
2) プラズマ中の電離度が 0.001 程度の弱電離プラズマでは,低エネルギー電子やイ
オン,ラジカルだけでなく親分子や中には発光による電磁波も存在する.プロ
セスプラズマ中の原子分子過程において,原子分子の内部構造,特に電子状態
を探索するには、内部構造を持たない電子や紫外線照射が有効であり,原子分
子との相互作用における反応断面積の定量測定が重要となる.そこで,当研究
室において従来から行っている低エネルギー電子衝撃による原子分子に関する
励起過程の研究を,真空紫外光との相互作用に拡張することで、電子励起に関
する原子分子過程の総括的理解を行う.
3) 加熱分子の低エネルギー電子分光および光吸収断面積測定による振動励起分子
の分光学的研究および、電子散乱に現れる形状共鳴の崩壊ダイナミックスに関
する研究を行う.
4) 2012 年度私立大学戦略的研究基盤形成事業で新たに設置された超分解能電子分
光装置 SCIENTA R4000 を用いた光電子分光実験を,励起分子を含む様々な分子
に対して行い,最終的にはデータベース化することで理工学部の原子分子科学
グループから信頼性のある原子分子データ集を作成する.
以上の様な観点から,応用分野への視野も含めた原子分子過程科学における素過程の
理解を目指す.
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。)
2012 年度は、研究テーマに掲げた1)低エネルギー電子分光実験,2)電子と金属
表面相互作用に関する実験装置の開発,3)真空紫外線吸収実験および光電子分光実験
を中心に研究を進めた.
80
1) 低エネルギー電子分光実験(標的ごとにまとめた)
a) BF3 分子:①弾性散乱微分断面積の定量測定を行い,入射電子エネルギー1.5 eV か
ら 200 eV の範囲で測定し,独立原子モデルを用いた理論計算と比較した.本結果
は現在投稿論文として準備中である.②電子励起スペクトルを測定し,光学的禁制
遷移に基づく新たな遷移状態の観測に成功した.
b) COS 分子:①過去に当研究室にて測定された弾性散乱微分断面積の測定結果と今年
度新たに測定された低エネルギー領域のデータを合わせ、CS2 分子と比較すること
でベンチマークとなる定量データの報告および分子における S 原子の役割につい
て新しい知見を得ることに成功し,投稿論文として発表された.②加熱 COS 分子
の共鳴状態の励起関数の測定しその温度依存性から,振動基底状態と振動励起状態
に始状態を分離した断面積の導出に成功した.現在投稿論文として準備中である.
c) Ne 原子:昨年度まで行ってきた Ne 原子の電子励起過程とスケーリング則の検証に
おいて,測定グループによりデータに大きなばらつきがあった光学的許容遷移に関
する積分断面積は,より高精度に定量測定が行われベンチマークデータを得ること
に成功した。現在投稿論文として準備中である.
2) 電子と金属表面との相互作用に関する実験装置の開発
展望で述べたように,標的部分の制作も完了し測定の準備が整った.実験装置がほ
ぼ完成し気体原子を標的とした微分散乱断面積の角度分布測定のテストは成功した.
3) シンクロトロン放射光を用いた VUV 吸収実験および光電子分光実験の準備
a) 加熱分子の VUV 吸収実験:今年度は加熱した直線三原子分子である CO2 と COS
分子を室温から 600K まで加熱し始状態が変角振動励起状態にある分子の VUV 吸
収スペクトルを測定した.その結果,CO2 ではこれまで観測されていない状態の
温度効果が極めて顕著に観測され,現在追試実験の準備及び投稿論文の準備を開始
したところである.
b) 光電子分光実験の準備:2012 年度私立大学戦略的研究基盤形成事業で使用する超高
分解能電子分光装置 SCIENTA R4000 の組み上げ,チャンバーへの設置を行った.
4) 陽電子散乱実験
引き続き東京理科大学との共同研究を行い,He, Ne 原子に引き続き Ar 原子の全散乱
断面積を測定し,現在もなお最終的な測定を続けているところである.
81
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。)
(学内)
1) 私立大学戦略的研究基盤形成事業:久世信彦(化学領域),小田切丈(物理学領域),
東善郎(物理学領域),岡田邦宏(物理学領域)
,南部伸孝(化学領域),近藤次郎
(生物科学領域),高橋和夫(応用化学領域)
2) 放射光共同利用実験:久世信彦、小田切丈,東善郎
3) 電子散乱実験におけるデータベースの作成(理工共同研究)
:田中大(本学名誉教
授),加藤英俊(産総研)
(学外)
1) SPring-8 における放射光共同利用実験:(財)為則雄祐(高輝度光科学研究
センター),上田潔(東北大学多元物質科学研究所)
2)陽電子散乱実験:長嶋泰之(東京理科大学)
3)光電子を用いた超低エネルギー電子衝突実験:北島昌史(東京工業大学),
伊藤健二(高エネルギー加速器研究機構フォトンファクトリー)
4)真空紫外線吸収実験:北島昌史(東京工業大学)
、伊藤健二(高エネルギー加速器
研究機構フォトンファクトリー)
5)関東電化工業株式会社:試料ガスの提供
6)加熱分子の電子散乱に関する理論的研究:島村勲(理研)
7)原子分子データベース作業会:北島昌史(東京工業大学)、村上泉・加藤大治・坂
上裕之(核融合科学研究所)他
(海外)
1) Center for Antimatter-Mater Studies, Australian Research Coucil Center of Excellence,
Associate Membership, Prof. S. J. Buckman (Australia National University, Australia),
Prof. M. J. Brunger (Flinders University, Australia) .
2) Prof. H. Cho (Chungnam National University, Korea).
3) Prof. P. Limao-Vieira and Prof. Yuri Nunes (New University of Lisbon, Portugal).
4) Prof. Denis Duflot (Lille 1 University, France)
5) Prof. G. Garcia (Consej Superior de Investiaciones Cientifica, Spain)
6) Prof. M. Lima (UNICAMP Canpinas, Brazil)
7) Prof. Oddur Ingolfsson (University of Iceland, Iceland)
セミナー、ワークショップ等
1) The Emma Sokell Workshop on Atomic and Molecular Science and their Apprications
(2012.6.7)
2) The Tapan Nandi Workshop on Atomic and Molecular Sciences(2013.3.21)
3) Prof. Hyuck CHO (Korea) に よ る 実 験 研 究 に 関 す る イ ン フ ォ ー マ ル セ ミ ナ ー
(2012.8.14-8.17)
4) Prof. Michael Brunger (Australia)による実験研究に関するインフォーマルセミナー
(2013.2.12-2.14)
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5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。)
(学部生)
基礎物理実験・演習(物質生命理工学科),物質生命理工学実験Ⅱ,量子物
理化学,反応量子化学,ゼミナールⅠ・Ⅱ,卒業研究Ⅰ・Ⅱ
(大学院生) 原子・分子 B,大学院演習Ⅰ・Ⅱ,物理学ゼミナールⅠ・Ⅱ
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。)
(学内) 1) サイバーネットワーク委員会,2) 理工 SLO 委員会,3) 理工学部 50 周年委
員会,4) 学科庶務厚生委員
(学外)
1) 核融合科学研究所原子分子データベース委員会,
2) International Symposium on Electron-Molecule Collision and Swarms,
International Advisory Committee
3) XVIII International Symposium on Electron-Molecule Collisions and Swarms,
Local organization committee member (2013, Kanazawa, Japan)
4) 原子衝突学会 2011-2014 年度
運営委員会(2012-2013 庶務幹事)
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
1) 2012 年度私立大学戦略的研究基盤形成事業「分子・励起分子・イオンの電子構造
と反応・ダイナミックスの解明」(代表:上智大学理工学部
2) 科学研究費補助金
東善郎教授)採択
若手研究(B)「電子の金属表面散乱による境界シース層周辺
ンプラズマ-壁相互作用の解明」平成 24 年-26 年(3 年間初年度)
83
所属
物質生命理工学科
氏名
堀越 智
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
環境保全技術の開発,エネルギー獲得,グリーンケミストリーなど
キーワード: マイクロ波化学,光触媒,水素エネルギー,汚染物質の処理など
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。
)
「マイクロ波を用いた迅速化学合成法の開発」
「マイクロ波によるグリーンエネルギー獲得法の開発」
「光触媒を用いた新しい環境保全技術の開発」
「化学反応におけるマイクロ波効果の解明」
(展望)
環境、エネルギーをキーワードにした新しい化学合成や環境保全技術の開発を行っている。
その目標達成のために電磁波(光や電波)を積極的に利用し、高効率、省エネ、省スペース化
が可能な化学反応プロセスと装置設計を開発している。特に、電磁波による化学反応促進
効果のメカニズム解明に加え、装置の最適化、企業連携による実用化までを、研究対象と
している。
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。
)
2010 年に掲載した論文数は 10 報であり、本の出版も 3 冊行った。環境やグリーンケミス
トリーをキーワードに、有機合成、触媒反応、光触媒、化学反応装置、界面化学、ナノ粒
子合成、錯体合成、分子動力学(シミュレーション)などの多岐にわたる雑誌に投稿した。ま
た、その成果は色材協会研究発表会や材料技術研究協会の年会においてポスター賞を受賞
することができた。さらに、5 件の依頼または招待講演を国内外で行った。
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4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。
)
共同研究
東京理科大学の光触媒国際センターのプロジェクトメンバー
京都大学、東北大学、中部大学 等で内外資金を使った、共同プロジェクトを行ってい
る
エディター
The Scientific World Journal, Chemical Engineering 誌
Journal of Microwave Power and Electromagnetic Energy (JMPEE)誌
Mini-Reviews in Organic Chemistry 誌
無機マテリアル学会誌
学会活動
日本電磁波エネルギー応用学会安全セミナー、講演会、研究会等の企画運営
Global Congress on Microwave Energy Applications (GCMEA)のアジア地区運営
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。
)
・電磁波化学 教科書を作成・パワーポイント形式のテキストを作成
・基礎化学 パワーポイント形式のテキストを作成
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。
)
(学内) 理工入試委員会,コロキュウム委員会,
(学外)
理事または委員
日本電磁波エネルギー応用学会 (副理事長)
材料技術研究協会 (理事)
International Microwave Power Institute (理事)
独立行政法人日本学術振興会先導的開発委員会 (幹事・委員)
メタケミストリー研究会 (委員長)
独立行政法人科学技術振興機構 研究成果最適展開支援プログラム専門委員 (委員)
Czech Republic Science Foundation (評価委員)
兼務
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東京理科大学 客員准教授
東京学芸大学 非常勤講師
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
株式会社サンルックスより寄付金 50 万円
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所属
物質生命理工学科
氏名
牧野 修
1. 研究分野とキーワード
研究分野:
DNA 複製の分子機構
キーワード:
分子遺伝学,微生物学,遺伝子操作,バクテリオファージ,遺伝子複
製、φ29、プロテインプライミング
2.研究テーマ
「Functional analysis of gene 1 product (gp1) of Bacillus subtilis phage φ29(枯草
菌ファージφ29 遺伝子 1 産物 gp1 の機能解析)
」
「バクテリオファージφ29の形態形成における細胞内局在性」 (大学院研究)
「溶菌酵素を欠損したバクテリオファージφ29の設計と構築」 (大学院研究)
「φ29DNA 複製蛋白質 gp1 の欠損を抑圧するあらたな変異株の探索」 (卒研)
「大腸菌マルチコピープラスミドへのキシロースレプレッサーのクローニング」 (卒
研)
「φ29の DNA 複製遺伝子 gene1 と gene6 の機能的相関について」 (卒研)
など
(展望)
DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)複製に関する諸タンパク質の研究を、枯草菌を宿主とするバクテリ
オファージ、φ29 を材料として用いて行っている。φ29 のゲノムは直鎖上の二本鎖 DNA であり、ゲ
ノム複製を行うφ29 由来の DNA 複製酵素は間違えた複製をすることが少なく、鋳型である二本鎖
DNA を自らの力で解きながら複製を進める。さらに、安定で、極めて長い DNA を連続して複製する
ことが可能である。φ29 のゲノム複製は宿主のゲノム複製とは様式が異なるため、DNA 合成酵素
(DNA polymerase)だけでなく、φ29 に由来する 5 ケの複製関連タンパク質と協同してゲノムを複製
するが、その協同作業の全容は解っていない。遺伝学的な解析と、分子生物学の様々な手法を組
み合わせて全容の解析を目指している。
3.2012 年度の研究成果
枯草菌ファージφ29 の DNA 複製は、タンパク質をプライマーとして用いるプロテインプ
ライミング機構によって開始される。φ29 遺伝子 1 産物(gp1)は DNA 複製に関与するこ
87
とが報告されてきたが、その機能は不明な点が多い。gp1 を産生できないφ29 の変異体は
30℃では枯草菌内で増殖できるが、42℃などの高温では DNA 複製ができないため増殖で
きない。つまりφ29 の DNA 複製において、gp1 は 30℃では必要ではないが 42℃では必須
となる。細胞内では多くのタンパク質が協調して働き、タンパク質ネットワークを形成し
ていると考えられるが、gp1 との関連タンパク質はわかっていない。本研究では、遺伝学的・
生化学的解析により gp1 の機能解析を行い、これまで見出されていなかった gp1 と DNA
複製タンパク質との機能的関連を明らかとし、gp1 の DNA 複製における役割を検討した。
gp1 を産生できず 42℃では増殖できないφ29 変異体から、42℃で増殖するようになった復
帰変異体を取得した結果、φ29 の DNA 複製で主要な働きをするプライマータンパク質
(PP)や一本鎖 DNA 結合タンパク質(SSB)の遺伝子の 1 アミノ酸置換型の変異を多数同定
した。42℃で必須な gp1 がない条件下においても、PP や SSB が 1 アミノ酸置換型になる
ことで、φ29 は DNA 複製し増殖できることを確認した。この結果から、gp1 と PP、そし
て gp1 と SSB の間には機能的関連があることが明らかとなった。また、これらの 1 アミノ
酸置換型タンパク質を用いた生化学的解析から、変異型の PP では DNA 複製開始の効率が
野生型と異なっていることがわかり、gp1 は DNA 複製において、PP が関与する開始段階
で働くことが示唆された。さらに、これまでφ29 の DNA 複製に必須なタンパク質と考え
られてきた SSB もまた、gp1 と同様に増殖温度依存的に要求されることを明らかとし、gp1
が SSB の代わりに働くことも示唆された。これらの結果から、gp1 は DNA 複製装置の組
立段階を促進する働きがあるという仮説を立てた。本研究の成果はこれまでの定説とは異
なる新たな知見を提示しており、この分野の今後の発展に多いに寄与することが期待され
る。
4.大学内外における共同的な研究活動
学内共同研究「火山熱水系等の特殊環境に生育する微生物が産生する生理活性物質の検索」
5.教育活動
講義科目
分子遺伝学、我々を取り巻く微生物の世界、分子生物学特論、相関生命科学(微生物・
免疫)
、生物科学基礎論
実験演習等
基礎生物・情報実験・演習(機能創造理工学科クラス)
、基礎生物・情報実験・演習(情
報理工学科クラス)
、基礎生物・情報実験・演習(物質生命理工学科クラス)
、セミナール
Ⅰ・Ⅱ、卒業研究Ⅰ・Ⅱ、生物科学セミナールⅠA・ⅡA・ⅠB・ⅡB、研究指導、大学院演
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習ⅠA・ⅠB、生物科学実験Ⅰ
上智大学公開学習センター教養実務講座 講師
「ビールの世界:その奥深さと味わいのツボ(テイスティング実習付)」
上智大学サテライト講座(足利市生涯学習センター) 「にんげん学入門」 講師
6.教育研究以外の活動
(学内)
全学委員
遺伝子組換え実験安全委員会(安全主任者)
、動物実験委員会、キャリア形成支援委
員会
理工学部委員
理工入試委員会、理工科学技術英語推進委員会、理工図書委員会
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
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所属
氏名
物質生命理工学科
安増
茂樹
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
発生生物学
分子進化学
など
キーワード:
孵化酵素、硬骨魚類、卵膜、受精、孵化腺細胞、新規機能遺伝子の創
生、遺伝子重複、機能進化
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。)
「チョウザメ孵化酵素の精製」
(大学院博士課程研究)
「メダカ孵化腺細胞分化の研究」
(大学院修士課程研究)
「マダラ卵膜構成タンパク質遺伝子の研究」
「アユ孵化酵素の精製」
(大学院修士課程研究)
(大学院修士課程研究)
「ニジマスの多精拒否機構の研究」
(大学院修士課程研究)
「硬骨魚類の卵膜硬化に関与するトランスグルタミナ-ゼ遺伝子」 (卒研)
「ゼブラフィシュ孵化酵素の基質―酵素複合体の構造解析」 (卒研)
「メダカのZPタンパク質遺伝子の研究」 (卒研)
3.2012 年度の研究成果(論文発表,学会発表等の業績リストは「上智大学教員教育研究情報データ
ベース」に必ず記入してください。ここでは,達成状況を文章または箇条書きで記入してください。)
進化過程でおこる、遺伝子重複後の新規機能獲得遺伝子の生成機構について研究を進め
てきた。魚類の孵化は、単一種の酵素による卵膜分解から、正真骨魚類とニシン・骨鰾類
共通祖先で、遺伝子重複が起き2種類の酵素(clade I 酵素、clade II 酵素)による卵膜
分解へと進化したことが知られている。正真骨魚類では、2つの酵素系は、定着し、ほぼ
すべての魚で2つの酵素を持つ。一方、ニシン・骨鰾類では、ニシン目と分岐の早い骨鰾
類では、2つの酵素が維持されているものの、多くの骨鰾類は、clade II 酵素を失い単一
酵素種の酵素(clade I 酵素)となっている。祖先型の単一酵素系では、孵化酵素が卵膜を
膨潤化させて孵化が起こる。一方、正真骨魚類の2つの酵素系は、clade I 酵素が卵膜を膨
潤し(祖先型酵素)、clade II 酵素が膨潤卵膜を可溶化する(新規機能獲得遺伝子)。正真
骨魚類とニシン・骨鰾類の孵化酵素による卵膜分解系を比較した。更に、孵化酵素の基質
特異性の変化の推定、卵膜切断点の配列比較、卵膜の交換実験などを行った。その結果よ
り、ニシン・骨鰾類の進化過程で、なぜ clade II 酵素が失われたのか?正真骨魚では、clade
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II 酵素が新規機能を獲得したかをタンパク質の機能と構造の側面より考察した。研究は順
調に研究が進み、2012 年1報、2013 年 3 報の論文を国際誌に投稿・受理された。それに加
え、現在 1 報が審査中、1 報投稿準備中である。
4.大学内外における共同的な研究活動(共同研究,学内共同研究などを箇条書きで記入してくだ
さい。その他,シンポジウム,講演会,セミナー開催などがありましたら,これに加えてください。)
国外共同研究
Shunming Tang, Ph.D. Associate professor,
Jiangsu University of Science & Technology, The Key Laboratory of Silkworm and
Mulberry Genetic Improvement, Ministry of Agriculture, Zhenjiang, Jiangsu Province,
212018, P.R.China
カイコ孵化酵素 BmHE の卵膜分解活性
メ ダ カ卵 膜の 孵 化酵 素分 解 物 の 3 次 元 構 造の 解 析
Luca Jovine, Ph.D. Assistant
Professor & EMBO Young Investigator Karolinska Institutet Department of
Biosciences and Nutrition & Center for Biosciences
H.ANdlsovNdgen 7, SE-141 83 Huddinge, Sweden
5.教育活動(担当した講義,実験実習などの科目名を記入してください。講義科目以外のゼミや学外
における教育活動,またはテキストや資料作成などがありましたらこれに加えてください。)
発生生物学入門、発生生物学、分子遺伝学、発生生物学特論、ヒトの生物学(1 回)
理工学総論(5 回)、物質生命理工学 II(3 回)
生物科学実験 I、理工基礎実験(6 回)
6.教育研究以外の活動(学内または学外の委員,事務局などを記入してください。クラス担任や各
種のワーキンググループなどでの活動も含みます。)
(学内)
理工学部予算委員会・委員長,物質生命予算委員会・委員長、推進委員,生
物科学領域・領域長
物質生命理工学部3年クラス担任,
(学外)
特になし
7.その他(上記の項目に含まれない事項があれば必要に応じて記述してください。)
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所属
物質生命理工学科
氏名
陸川
政弘
1.研究分野とキーワード(一般の人が分かるように分野と複数のキーワードを記入してください。)
研究分野:
高分子電解質材料に関する研究,生体材料に関する研究,導電性高分
子の電気物性に関する研究
キーワード:
高分子電解質,プロトン伝導性,燃料電池,電子伝導性,太陽電池,
代替骨,生分解性高分子
2.研究テーマ(箇条書きで研究テーマを記入し,研究の中長期的展望を記述して下さい。また,必要
があれば,卒業研究や修士(博士)研究のテーマを記入してください。)
①
「ブロック型高分子電解質の精密合成と配向制御」
(大学院研究)
②
「二相性セラミックス/生分解性高分子を用いた人工骨材料の開発」
(大学院研究)
③
「プッシュプル型高分子半導体の合成と評価」
(大学院研究)
(展望)
相当する応用分野に応じて,①エネルギー分野,②生命環境分野,③電子・光分野にカ
テゴリーを分けて,独自の研究を展開している。
①では,新規重合プロセスによるブロック構造型高分子電解質材料の合成に着目して研
究を行っている。昨年度は,トリブロック体の系統的な合成とその構造評価、ブロックの
一部をπ-共役系ユニットに置き換えた電子-イオン両伝導体の合成を検討した。②にお
いては,DNA をセラミックのリン源として用い、水酸アパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2; HAp)
と β-リン酸三カルシウム(β-TCP)からなる二相性とミクロ-マクロ多孔性とを併せ持つセラ
ミックの合成を試みた。③においは,新規なプッシュプル型の導電性高分子の合成とバル
クへテロ型太陽電池の試作を試み、さらに導電性高分子の相分離状態と特性の関係を明ら
かにした。
3.2012 年度の研究成果
・項目①:新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託研究をもとに着実に成果を上げ、
2年間の契約延長が認められた。系統的なトリブロック体の合成に成功し、組成、シーケ
ンスと高次構造、物性の関係を調べることが可能になった。π-共役ユニットを導入した
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高分子電解質の合成に成功し、電子-イオン両伝導体であることを明らかにした。
・項目②:水酸アパタイトと DNA を焼成すると、DNA のリン元素が水酸アパタイトのリ
ン源になり、水酸アパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2; HAp)と β-リン酸三カルシウム(β-TCP)か
らなる二相性セラミックであることを明らかにした。さらに、二相性セラミック中でのポ
リ乳酸の無触媒重合に成功した。
・項目③:チオフェンとポルフィリンからなら導電性高分子の合成に成功し、それを用い
たバルクへテロ型太陽電池の試作を行った。吸収領域の拡張により、3%前後の発電効率を
有する素子が得られるようになった。
4.大学内外における共同的な研究活動
委託研究
・独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構,「固体高分子形燃料電池実用化推進
技術開発/基盤技術開発/MEA材料の構造・反応・物質移動解析」,2012 年,19,240,000
円
・トヨタ自動車(株)「低コスト電解質膜の合成法に関する研究」,2012 年,4,672,500 円
シンポジウム等
・第 19 回燃料電池シンポジウム,東京,2012/5/16-5/17,運営委員
5.教育活動
担当講義など
物質生命理工学Ⅰ,生物有機,機能性高分子,高分子物性特論,物質生命理工実験Ⅱ,
ゼミナール
6.教育研究以外の活動
(学内)
応用化学領域主任,物質生命理工学科 3 年クラス担任、応用化学領域就職当
(学外)
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構技術委員,同ピュアレビュ
アー
7.その他
特になし
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