フェミニズム思想/運動とアジアの女性(1)

「アジアの女性問題」041018
中馬
祥子(國學院大學経済学部)
フェミニズム思想
フェミニズム思想/
思想/運動と
運動とアジアの
アジアの女性(
女性(1)
―性別役割分業と
性別役割分業と日本の
日本の女性―
女性―
1.フェミニズムとは?
家庭や職場,その他,多様な社会活動の場における性差別や,性関係,出産における女性の自己
決定権問題など,社会通念に基づく性別役割に起因するあらゆる社会的・経済的格差をなくし,
女性の地位向上や女性解放を求める主張。
→フェミニズムが問題化する領域は非常に広い
→社会通念がベースにあることの難しさ:女性自身も自分を苦しめる主張を受け入れてしまって
いることが多い。
→フェミニズム内部の立場の違い:
「男性並」を目指す「女性の地位向上」という立場や,社会
における男性中心の価値観そのものを根本的に批判使用とする「女性解放」の立場は,同じフ
ェミニズムといっても,目指す方向性は大きく異なる
…フェミニズムには様々な困難が含まれているが,まずはジェンダーに基づく差別の実態を知ることから始めよう…
2.フェミニズム思想/運動における女性労働問題の位置づけ
今日,人々の社会生活を成り立たせるために有用な活動
→
①(
市場
)労働
→
②(
市場の外部
:貨幣報酬を得る労働
)における(
再生産
)労働
:アンペイド・ワーク
①が主要な経済制度となっていく近代化の過程で,②の労働より①の労働の価値が高いという認
識,さらに突き詰めれば②の労働には(
経済的価値
)がない,という認識が社会
通念として共有されるようになった。
↓
女性=(
出産
)能力を持つがゆえに歴史的に②の労働をより多くになって来た
→
それゆえに男性と比べて女性の地位が低下し,さらに女性が①の労働に従事する際にも,男性と
比して悪条件の(
労働市場
)/(
就労条件
)に直面する事態
↓
①と②をめぐる(
性別役割分業
)の有り方(1)を見直し,さらには資本主義市場
経済という今日の主要な経済の仕組みの中で,①と②がどのような関係を持っているか(2)を
考えよう
=フェミニズムに基づく労働問題の捉え方。
元来,市場経済においては(
動と認識されていた。→同じ(
一方のみが(
①
)のみが労働とみなされており,②は非経済的活
有用活動
経済的な富
)であるにもかかわらず,なぜ
)を生み出す労働として評価され,他方のみ
がなぜそうならないのか,という疑問を提起。
1
<ただし>(1)①と②をめぐる性別役割分業のあり方
(2)資本主義市場経済の仕組みの中で,①と②がどう関係するか
これらは共に,先進国と低開発国とで異なる形で表れる。
→
問題状況の改善を求める求め方にも違いが出てくる。→
HOW?
…今回と12月,計2回の講義を通して,こうした違いが生じる根拠についても,考えていきたい。
3.日本の女性労働問題
19c~
近代社会に成立した典型的な性別役割分業
=「パンの稼ぎ手としての男性
&
家を守る女性」
労働の価値評価をめぐって,男性に「養われる」女性という従属的
女性観が成立
↓
1970年代(世界経済:高度成長期→不況期への転換)~
労働力の(
→(
非正規雇用
)化が進展(for コスト削減)
新性別役割分業
)↑
:女性も労働市場に参入
→(
「二流」
)労働者に
∵第一義的な家庭責任を負いながらの就労
【年齢別女性労働参加率】=
典型的な(
M 字型曲線
)を描く
(%)
75
70
65
60
55
50
45
40
35
30
25
15
20
25
30
35
40
45
50
55
60
65
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
歳
19 24
29
34
39
44
49
54
59
64
以上
出所:厚生労働省『平成15年版働く女性の実情(概要):女性労働白書』「第1-1図」
[http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/03/h0329-1d.html#top]※↑参照のこと↑
2
・結婚や(
出産
)で一度退職(=市場労働者を育てる事に専念)
・子育てに余裕が出来た段階で,家計を助ける為に再就職(非正規雇用で)
介護
・自分自身の老齢化や(
)等の為に最終的に職を退く
【働き方別に見た女性の生涯収入(試算)】(経済企画庁『H9
国民生活白書』より)
(万円=年収)
800
700
600
500
400
300
200
100
0
20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60(歳)
出所:経済企画庁『平成9年版国民生活白書』第 I-2-14図
[http://wp.cao.go.jp/zenbun/seikatsu/wp-pl97/wp-pl97bun-1-2-14z-a.html]※↑参照のこと↑
① 生涯継続就労
1.4割
2億3600万円
② 再就職正規雇用
1.6割
1億7300万円(-6300万円)
③ 再就職パートタイム
3割
5100万円(-1億8500万円)
④ 専業主婦
3割
2120万円(-2億1480万円)
【要因】
先進国の中でも特に日本は,家庭責任が著しく女性に偏っている
特に育児については,「(
三歳児
)神話」が今日においても根強く存在
↓
女性の(
二重負担
)問題が顕著にあらわれる
<結果として>
(
晩婚
)化や(
非婚
【合計特殊出生率】…
1950 年
3.65人
1974 年
2.08人
2003 年
1.29人
)化
(
→
→
(
2.08
少子
)化が急速に進行
)以下になると人口が減る
2006 年に日本人口はピークを向かえ,減少に転じる。
今世紀末には,日本人口は(
3
半減
)
【65 歳以上の老齢者一人を現役生産年齢にある人が何人で支えるか?】
=65 歳以上人口/現役生産年齢人口
1970 年 →
1995 年
→
2025 年
9.7 人 →
4.8 人
→
2.0 人
【フェミニストの要求/主張は…】
1)女性労働市場における差別(=
2)女性の(
労働条件
採用条件差別
)撤廃
)の改善
=職能訓練機会を男性と平等化する
=非正規雇用労働者の賃金格差是正,(
3)女性が働きながら(
子育て
社会保険
)加入等
)できる環境の整備
4)家事労働に対する対価や子育て費用を,(
配偶者
)の賃金から独立
etc…
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Q.合計特殊出生率1.29人という数字についてどう思いますか?
いのか,それとも増やすべき?
減らすべき?
特に手を加える必要はな
それはどのような手段によって?
経験を踏まえ,具体的に考えて下さい。
4
身の回りの