外部の信号発生器、クロック、またはマイクロ コントローラを使用しない高

外部の信号発生器、クロック、またはマイクロ
コントローラを使用しない高精度 PWM LED 調光
Keith Szolusha
LED は、アナログ調光とパルス幅変調(PWM)調光の 2 つの方法で調光できます。アナログ調光では、LED
列の DC 電流を単純に調整することによって LED 照明出力を変化させますが、PWM 調光では、LED 列の
定電流のデューティ・サイクルを変化させ、LED 列の平均電流を実質的に変更することによって同じ効果を
得ています。アナログ調光は簡単であることが魅力であるにもかかわらず、多くのアプリケーションでは不適
当です。わずか 10:1 の輝度レベルで約 25% 以上も調光精度が低下し、LED の色に偏りが生じるからです。
対照的に、PWM 調光は 3000:1 以上の調光比(100Hz 時)を実現できますが、精度を大幅に損なうことも、
LED の色が変化することもありません。
LT3761 は、独自の PWM 信号を発生すること
PWM 調 光 機 能 を 備 え、 効 率 が 94% と高 い
により、アナログ調光の簡素性と PWM 調光の
60V、1A(60W)、350kHz の 自 動 車 用 ヘッ
他の大電力 LEDドライバとは異なり、 LT3761
内部 PWM 調光信号発生器
精度を兼ね備えています。デバイスの調光入力
ドランプ・アプリケーションを図 1 に示します。
は独自の PWM 調光信号を発生して、最大 25:1
として単純な DC 信号を設定することにより、高
LT3761 は、LT3755/LT3756 ファミリと同じ高
の調光比を実現できます。これにより、PWM 信
い調光比が可能です。PWM 信号発生用のマイ
性能の PWM 調光方式を採用していますが、内
号を発生する部品を外付けする必要なく、正確
クロコントローラ、発振器、または信号発生器
部で発生する PWM 調光信号という追加の機能
な PWM 調光信号を発生することができます。
を追加する必要はありません。LT3761 の内部
を備えているにも関わらず、ピンの追加はありま
選択した周波数で高性能 PWM 調光を実現する
PWM 信 号で得られる調 光 比は 25:1 ですが、
せん。
ために LT3761 が必要なのは、外部 DC 電圧の
外部の PWM 信号を使用することにより、最大
3000:1 の調光比を実現できます。
図 1.内部 PWM 調光比が 25:1 で効率が 94% の自動車用ヘッドランプ向け昇圧型 LEDドライバ
大電力の LEDドライバ
LT3761 は、LT3755-2 ファミリや LT3756-2
ファミリと同様に大電力の LEDドライバです。こ
のデバイスは入力範囲が 4.5V∼60V で出力範
L1
10µH
VIN
8V TO
60V
CIN
2.2µF
×2
100V
囲が 0V∼80V の単一スイッチ・コントローラで、
昇圧モード、SEPIC モード、昇降圧モード、また
499k
90.9k
は降圧モードの LEDドライバとして構成できま
INTVCC
チング周波数範囲、開放 LED 保護、短絡保護
ジャまたはスーパーキャパシタ・チャージャとし
て動作することもできます。
GATE
140k
DIM
RSENSE
10mΩ
1M
RLED
0.25Ω
1A
16.9k
GND
FB
CPWM
47nF
300Hz
RC
5.1k
CC
4.7nF
RT
28.7k
350kHz
M1: INFINEON BSC123N08NS3-G
D1: DIODES INC PDS5100
L1: COILTRONICS HC9-100-R
M2: VISHAY SILICONIX Si2328DS
COUT, CIN: MURATA GRM42-2X7R225K100R
34 | 2012年10月: LT Journal of Analog Innovation
COUT
2.2µF
×4
60W
LED
STRING
ISP
OPENLED
ISN
DIM/SS
PWM
PWMOUT
VC
RT INTVCC
RDIM
124k
CSS
0.01µF
M1
SENSE
LT3761
100k
を実現するための追加の内部ロジックを備えて
おり、電流制限機能付きの定電圧レギュレータ
1M
VIN
CTRL
す。このデバイスは、100kHz∼1MHz のスイッ
として動作することも、定電流鉛バッテリ・チャー
EN/UVLO
VREF
D1
INTVCC
CVCC
1µF
M2
(CURRENT DERATED FOR VIN < 10V)
設計上のアイデア
LT3761 は、独自の PWM 信号を発生して正確な PWM 調光を実現しますが、アナログ調光の単純な制御を
備えています。デバイスの調光入力で単純な DC 信号を調整することにより、高い調光比が可能です。
PWM 信号発生用のマイクロコントローラ、発振器、または信号発生器を追加する必要はありません。
図 2.内部で発生させた PWM 信号と図 1 のアプリケーションの
VDIM = 7.7V
DCPWM = 96%
LED 電流
VDIM = 4V
DCPWM = 50%
ILED
1A/DIV
VDIM = 1.5V
DCPWM = 10%
VDIM = 0.4V
DCPWM = 4.3%
0.5ms/DIV
みであり、アナログ調光制御とよく似ています。
ように DIM/SS ピンに流れ込む µA レベルの電
ティ・サイクルが 100% の動作では、PWM ピン
それにもかかわらず、このデバイスは PWM 入
流で設定されます。内部で生成される、PWM ピ
を INTVCC に接続することができます。
力信号を受け取り、この信号を使用して標準の
ンでのプルアップ電流およびプルダウン電流は、
方式で LED 列を駆動することができます。
H および L のしきい値の間でコンデンサを充
内部 PWM 調光信号発生器は、プログラム可能
な周波数およびデューティ・サイクルを特長とし
ています。PWMOUT ピンでの矩形波信号の周
波数は、PWM ピンと GND の間に接続したコン
デンサ CPWM により、 fPWM = 14kHz • nF/CPWM
という式に従って設定されます。PWMOUT ピ
ンの信号のデューティ・サイクルは、図 3 に示す
放電して、デューティ・サイクル信号を発生する
ために使用されます。PWM ピンでのこれらの電
流信号は十分に小さいので、非常に高い調光性
まとめ
大電力で高性能の LEDドライバである LT3761
は、高精度かつ使いやすい独自の PWM 調光
信号発生器を内蔵しています。n
能を得るために、マイクロコントローラからのデ
ジタル信号によって容易にオーバードライブす
ることができます。DIM/SS ピンを使用して調光
比を調整する場合、内部信号発生器を使用した
最小デューティ・サイクルは、約 4% です。デュー
図 3.DIM/SS ピンでのデューティ・サイクルの設定には、µA
図 4.高速 PWM 信号が入力された場合も、LT3761 はやはり
レベルの信号が使用されます。このピンを外部の PWM 信号と
高速 PWMOUT 信号を供給します。
組み合わせて使用すると、非常に高い調光比を実現できます。
PWMOUT DUTY RATIO (%)
100
CPWMOUT = 2.2nF
80
PWM
INPUT
60
PWMOUT
5V/DIV
40
20
0
–10
0
10
20
30
DIM/SS CURRENT (µA)
40
50
200ns/DIV
2012年10月: LT Journal of Analog Innovation | 35