「第13回蓄熱のつどい」特別講演 2010年7月15日(木曜日) 「プラチナ構想ネットワーク」における ヒートポンプ蓄熱システムの役割 小宮山 宏 三菱総合研究所 理事長 東京大学 総長顧問 ヒートポンプ・蓄熱センター 理事長 人工物は飽和する 事例:世界各国の四輪乗用車保有台数(2007年) 日本 アメリカ イギリス フランス ドイツ 中国 インド 保有台数(百万台) 58 138 31 31 41 32 13 人口あたり保有台数(台) 0.45 0.45 0.51 0.50 0.49 0.02 0.01 資料:社団法人自動車工業会、総務省統計局 日本における人工物の飽和 総住宅数と世帯数の推移(八百万軒の空き家) 70000 60000 総住宅数(千戸) 世帯数(千世帯) 50000 40000 30000 20000 10000 0 1958 1963 1968 1973 1978 1983 1988 1993 1998 2003 2008 2015 資料:1958~2008:「平成20年住宅・土地統計調査(速報集計)概要」(総務省) 2015~2030:「日本の世帯数の将来推計(全国推計)(2008年3月推計)」国立社会保障・人口問題研究所 2020 2025 2030 中国も5~10年で飽和へ 人口一人当たりセメント生産量 人口一人当たりセメント生産量[ton/人] 1.2 1.0 Japan China USA France 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 1900 1920 1940 1960 Year 1980 2000 セメント生産量:国連統計年鑑 人口:UNSD Demographic Statistics、 および国連統計年鑑より 中国の自動車の成長は5~10年? 人口一人当たり自動車販売台数の経年変化 0.08 Japan USA France Korea Rep. China 0.07 0.06 0.05 0.04 0.03 0.02 0.01 0 1900 1920 1940 1960 1980 2000 自動車販売台数:自動車統計年表、自動車工業ハンドブック、 Year 自動車産業ハンドブック、自動車年鑑より “U.S. Automobile Production Figures” from Wikipedia 人口:UNSD Demographic Statistics より 2種類の需要が重要 普及型需要 →途上国へ向かう ・今現にある商品 家、車、テレビ、新幹線、原子力発電所等 「人工物の飽和」の時点で飽和する 創造型需要 →内需と雇用を創出する ・生まれつつある需要 →グリーン成長産業 高効率給湯器、LED照明、太陽電池等日本優位 グリーンはイノベーションが見えている ・これからの需要 →シルバー成長産業 高齢社会に不可欠な製品群・・・ 目標を決めれば、「ゼロからのものづくり力」が活きる 文責 小宮山 宏 21世紀のパラダイム 有限の地球 20th Century 21st Century 無限の地球 •気候変動 •資源枯渇 •汚染 •食糧・水… 高齢化する社会 •長寿 •少子化 •飽和需要 •年金 •医療 •介護 •ワークシェアリング •バリアフリー … http://www.ipss.go.jp/syoushika/seisaku/html/111a2.htm 爆発する知識 2000 1900 O2 Sunlight CO2 Chlorophyll H2O H2O Carbohydrate CO2 光合成 出所:「課題先進国日本」P134 新しい産業・新しい雇用・経済の活性化 エコハウス 省エネ家電 エコカー 太陽光パネル 風力発電 水・食料・・・・・ バリアフリー インフラ 均一温度住宅 健康管理 安心・安全な移動 視覚・聴覚支援 ・・・・・・・ 知の構造化 構造化された知識ベース 教育 生涯学習 付加価値の創造 ・・・・・・ プラチナ社会へ向かおう! Ⓒ 小宮山 宏 ビジョン2050 エネルギー効率3倍 再生可能エネルギー2倍 物質循環システムの構築 地球温暖化、エネルギー、物質に関する答 地球持続の技術、岩波新書、1999 2050年ヒートポンプ成績係数は4倍 1990以前 1997 2004 2006 3 4 5 6 2010 ビジョン2050 7 理論 12 理論と現実をつなぐ技術論が鍵 質問されれば、いつも「もう限界」という 文責 小宮山 宏 43 セメントは技術移転で世界の効率改善 (MJ/t) 6,000 ー省エネは回収できる投資ー トン当たりの消費 5,000 US Denmark Belgium France Sweden Japan 4,000 3,000 2,000 理論値 1,000 0 1960 1970 Source: Japan Cement Association 1980 1990 年 出所:「課題先進国日本」P114 金属リサイクルは省エネルギーになる 還元と融解のエネルギーの比 鉄 27倍 アルミニウム 83倍 2050年、総体としてエネルギー効率3倍が妥当 文責 小宮山 宏 ビジョン2050のシナリオ (a) 現状 60 15 CO 2 3 6 9 p p m 非化石 化石 (b) 2050 (なりゆき) 22 0 15 CO 2 6 0 0 p p m (c) ビジョン2050 45 30 CO 2 4 6 0 p p m (d) 22世紀以降 CO 2 2 8 0 p p m ビジョン2050を達成すれば、その後は明るい 出所:「地球持続の技術」P161 日本の戦略は明確 ものづくり オフィス ものづくり 家 庭 ものづくり 日々のくらし 日々のくらし 「日々のくらしで削減、高効率ものづくりでリード」 輸送 Ⓒ 小宮山 宏 家庭の用途別エネルギー消費割合 (オフィス:50%冷暖房、20%照明) 照明 10% 冷暖房 28% 動力他 24% 厨房 8% エネルギー・経済統計要覧2009年版より 給湯 30% ヒートポンプ給湯器 エコキュート 電気×4= 200% 瞬間湯沸かし器 80% 米国等貯湯式 40% 日本発巨大な新市場の創出 文責 小宮山 宏 冷暖房エネルギーは12 分の1に ヒートポンプ式エアコン 1990以前 3 1997 4 2004 5 2006 6 2010 ビジョン2050 7 12 理論 43 家・ビルの断熱 焚き火 0 あばらや 寺の本堂 1 5 住宅 エコハウス 理想 100 ∞ 30 1/3×1/4 = 1/12 文責 小宮山 宏 省エネは回収できる投資 1991年製 16240 1997年製 1991年製 946.2 1997年製 10384 6 80 2000年製 2000年製 447 5258 2004年製 2004年製 616 236 2005年製 0 5000 10000 15000 20000 20 8 0 200 2005年製との電気代差額(円) 400 600 800 1000 消費電力(kWh) 図. 年間電気代の差額 図. 冷蔵庫の消費電力推移 1991年製の冷蔵庫を2005年製→6年で回収 1995年製 1995年製 13794 1996年製 1997年製 919 2006年製 882 2007年製 374 0 945 2005年製 1188 2006年製 963 2004年製 1760 2005年製 947 2003年製 2156 2004年製 990 2002年製 1804 2003年製 1017 2001年製 2750 2002年製 1068 2000年製 3344 2001年製 1159 1999年製 4466 2000年製 1201 1998年製 6468 1999年製 1302 1997年製 7392 1998年製 1492 1996年製 9614 2000 4000 6000 8000 10000 12000 2007年製との電気代差額(円) 図. 年間電気代の差額 14000 16000 865 0 200 400 600 800 1000 消費電力(kWh) 1200 1400 1600 図. エアコンの消費電力推移 (出展)財団法人省エネルギーセンター 1995年製のエアコンを2006年製→7年で回収 初期投資ができないなら自立債券で調達 対策 国、自治体 銀行、企業 ファンド、その他 対策適用 世帯 節減費用回収 メリット 債券の資金回収後は消費者等へ譲渡 太陽光発電 自立債発行 15年債 15万円/戸・年 高効率照明 1年債 700円/台・年 家庭用ルームエアコン 5年債 2万円/台・年 高効率HP給湯機 10年債 5万円/台・年 ハイブリッド自動車 5年債 7万円/台・年 10年債 1万円/戸・年 窓の断熱化 Ⓒ 小宮山 宏 譲渡後の利得 25%削減はできる:チーム小宮山案 日 々 の く ら し 住宅/オフィス エネルギーマネジメントの見える化、多くの新築 をエコ化、省エネリフォームの推進 6 12 エコカーへの早期移行、移動手段・物流手段の変 更 6 ものづくり 産業界の更なる省エネ化 3 3 発電・送電 原子力発電稼働率改善、バイオマス、家庭電源高 圧化 5 5 農業 農作物の植物病被害低減ならびに耕作放棄地・余 剰農地における堆肥・緑肥生産 1 輸送 5 森林 適正に手入れされている森林の確保 4 CDM 鉄鋼、セメント、紙パルプ、発電、鉄道、原子力 発電 5 5 30% 30% 合計 Ⓒ 小宮山 宏 国家モデルの転換が必要 「坂の上の雲」の時代:途上国モデル→所得倍増計画 国が主導して、産業を振興すれば、 GDPが増えて、市民の暮らしがよくなる 「雲に入ったら霧」:先進国モデル:→プラチナ構想 市民主導で、暮らしをよくしようとすれば、 新しい産業が興り、GDPが増え国も強くなる 文責 小宮山 宏 プラチナ社会 エコで、高齢者が社会参加し、 人が育ち、雇用がある 21世紀の快適な社会 グリーンイノベーション シルバーイノベーション ゴールドイノベーション 文責 小宮山 宏 プラチナ構想ネットワークの重層構造 北九州市 福井県・福井市 豊田市 柏市・流山市 青森県・青森市 弘前大学・北日本 新エネルギー研 究センター 都市のネットワーク アジア低炭素化 センター 千葉大学・環境 健康フィールド 科学センター 茨城大学 東京大学 ICAS 柏キャンパス 大学・研究機関の ネットワーク JST低炭素社会 戦略センター 海外との姉妹都市 のネットワーク Ⓒ 小宮山 宏 課題解決先進国日本へ 日本=2050年の世界の姿 小さな国土 少ない資源 大きな人口 高齢化社会 産業先進国 ご清聴ありがとうございました!
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