広報誌 No.12 おおつ環境フォーラム ホームページ 大津市地球温暖化防止活動推進センター ホームページ 大津のかんきょう宝箱(大津市ホームページ) 2016 年 5 月 1 日発行 http://eco-otsu.net http://otsu.ondanka.net http://www5.city.otsu.shiga.jp/kankyou/top.asp 地球温暖化のこれまでとこれから 彦根地方気象台 はじめに みなさんは、これまでも、地球温暖化の防止活動に積極的に取組んでおられることと思いますが、世界 的に温暖化はすすんでおり、滋賀県でも長期的に気温が上昇しています。また、これらによる影響は、様々 な方面に現れていることもご存知のとおりです。 昨年 12 月に「国連気候変動枠組み条約第 21 回締約国会議(COP21)」において、パリ協定が採択され るなど、全世界的な枠組みとして温暖化に対する取組みが強化されることになりました。 今回は、主に滋賀県における地球温暖化の現状と予測について、気象庁の観測結果や計算結果に基づい て説明します。 年平均気温(℃) 年平均気温(℃) 地球温暖化の現状 17 昨年(2015 年)の世界の年平均気温偏差 ━各年の年平均気温 は+0.42℃で、1891 年の統計開始以来最も高 16 ━ 5 年移動平均 く、日本の年平均気温偏差は+0.69℃で、 ━長期変化傾向=1.27℃/100 年 1898 年の統計開始以来 4 番目に高い値にな 15 りました。滋賀県においても、彦根地方気象 台(以後、 「彦根」 )での観測結果では、同年 14 の年平均気温は 15.5℃で、1894 年の統計開 始以来、1998 年、2004 年に継ぐ、3 番目に 13 高い気温を記録しました。 年平均気温は、数年から数十年の変動を繰 12 1900 1910 1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 り返しながら、世界では 100 年あたり約 年 図 1 彦根における年平均気温の変化(1894~2015 年) 0.7℃、日本では約 1.2℃、彦根では図 1 のと おり、約 1.3℃の割合で、長期的に上昇しています。 参考までに、大津アメダスの観測結果(図 2)でも、 18 ━各年の年平均気温 ━5 年移動平均 17 約 1.6℃の割合で気温上昇が見られますが、観測期間 ━長期変化傾向=1.55℃/100 年 16 がまだ短く、欠測期間もあるため、評価するには注 15 意が必要です。 ↑基準値 14.9℃ 14 このように、長期的な気温の上昇や、近年、高温 13 となる年が頻出している要因としては、人為起源の 1980 1990 2000 2010 2020 年 二酸化炭素などの温室効果ガスの増加に伴う地球温 図 2 大津における年平均気温の変化(1978~2015 年) 暖化の影響が考えられます。 次に、彦根におけるこの他の観測結果を見ましよう。年間熱帯夜(日最低気温が 25℃以上)日数と猛暑 目 次 1・・・ 地球温暖化のこれまでとこれから 3・・・ 彦根地方気象台 滋賀県の温暖化の影響に対する取り組み ~気候変動の影響と適応策~ 4・・・ プロジェクト等の活動報告と活動予定 滋賀県琵琶湖環境部温暖化対策室 KES 普及推進グル-プからのお知らせ -1- 編集後記 日数 30 ❘各年の年間熱帯夜日数 ━ 5 年移動平均 ━変化傾向=1.4 日/10 年 20 10 0 1890 1910 1930 1950 年 1970 1990 2010 図 3 年間熱帯夜日数の変化(彦根 1894~2015 年) 18 ❘各年の年間猛暑日日数 16 ━ 5 年移動平均 ━変化傾向=0.2 日/10 年 14 12 日数 地球温暖化の将来予測 それでは、今後はどのような気候になっていくのでしょ うか? 気象庁では、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」 が取りまとめた温室効果ガス排出シナリオのひとつである 『SRES A1B シナリオ』を使用して、シミュレーション実 験の結果をまとめ、日本付近における気候変化を予測した 「地球温暖化予測情報第 8 巻」 を 2013 年に発刊しました。 これを基に、滋賀県における将来気候(2076~2095 年) と現在気候(1980~1999 年)との変化量を見ると、年平 均気温はほぼ県内全域で約 2.9℃の上昇が予測されていま す(図 6) 。彦根では昨年 12 月の月平均気温が平年より高 く、観測開始以来第一位を更新しました。この予測によれ ば、これを更に上回る気温が将来においてはあたりまえの ように出現することが考えられます。 降水量は全体的にはやや増えますが、多雪地域である滋 賀県北部の山間部ではやや減少すると予測されています (図 7) 。また、1 時間 50 ㎜以上の短時間強雨の年間発生 回数を例にすると、この回数は増えますが、一方で雨が降 らない日(無降水日数)も多くなるなど、雨の降り方が極 端化することが考えられます。降雪量は県全体で減少する と予測されています(図 8) 。 40 10 8 6 4 2 0 1890 1910 1930 1950 年 1970 1990 2010 図 4 年間猛暑日日数の変化(彦根 1894~2015 年) 75 65 55 日数 日(日最高気温が 35℃以上)日数は、両者ともに増加傾向 が見て取れます(図 3・4) 。逆に冬日(日最低気温が 0℃ 未満)日数では減少傾向が見られます(図 5) 。 降水量については、年降水量と、日降水量 50 ㎜以上の降 水日数などでは有意な長期変化が見られませんでした。年 間の無降水(日降水量 1.0 ㎜未満)日数では増加傾向が見 られます。年最深積雪は減少傾向が見られます。 45 35 25 ❘各年の年間冬日日数 まとめ ━ 5 年移動平均 15 これらのことから、前半で説明した観測事実として、滋 ━変化傾向=-2.6 日/10 年 5 1890 1910 1930 1950 1970 1990 2010 賀県においても、温暖化が進行していることをあらためて 年 認識していただけたと思います。また、後半で示した将来 図 5 年間冬日日数の変化(彦根 1894~2015 年) 予測は、ひとつのシナリオに基づく予測計算であり、他の シナリオと予測結果が異なる可能性はありますが、今世紀末の気候と、我々が暮らしている現在の気候と の概ねの違いも感じていただけたと思います。 将来の温暖化は、人類の努力により軽減することが可能です。みなさんには、今後とも、政府や滋賀県 が推進する緩和策にご協力をお願いするとともに、気候変動の影響に備えるための適応策にも取組んでい ただきたいと思います。 (℃) 4.5 3.6 2.7 1.8 0.9 0 -0.9 -1.8 -2.7 -3.6 -4.5 図 6 将来の平均気温の現在との差 (%) 40 (cm) 150 120 90 60 30 0 -30 -60 -90 -120 -150 30 20 10 0 -10 -20 図 7 将来の年降水量の現在に対する比 -2- 図8 将来の年降雪量の現在との差 滋賀県の温暖化の影響に対する取り組み ~気候変動の影響と適応策~ 滋賀県琵琶湖環境部温暖化対策課 本県では平成 24 年 3 月に「滋賀県低炭素社会づくり推進計画(以下、 「推進計画」という) 」を策定し、 低炭素社会の実現を目指して温暖化対策に取り組んでいます。 現在の「推進計画」では、温室効果ガスの排出量の抑制等と経済の持続的な成長との両立を図ること等 を基本方針として、主に温室効果ガスの排出削減を目的とする「緩和策」を中心とした計画となっていま す。 平成 27 年度には、 COP21 でのパリ協定の採択や、 「2030 年に 2013 年度比で 温室効果ガスを 26%削減す る」という国の温室効果ガ ス削減目標の決定、日本で 初めてとなる「気候変動の 影響への適応計画」が策定 される等、世界や我が国で 温暖化対策に関する様々な 動きがありました。 そのような動きの中で、 特に「適応」という考え方 が新たに重要となってきて 出典:環境省、適応への挑戦 2012 います。平成 27 年 11 月に 国で策定された適応計画には、「適応策は、地域の特性を踏まえるとともに、地域の現場において主体的 に検討し、取り組むことが重要となる」と記載されており、各地域における気候変動の影響に関する評価 や、その適応策についても検討していくことが求められています。 本県でも、こうした「適応」という考え方は、地域社会におけるリスクマネジメントとして重要な視点 であると考えており、平成 27 年度には、将来の県内の気候予測や気候変動の影響に関する評価等を実施 しました。 将来予測される本県の気候変動による影響として、農業分野では米、野菜および果樹等の品質低下等が、 水環境の分野では、琵琶湖における冬の全循環への影響やアオコの発生状況の変化等が考えられます。ま た、突発的な大雨や台風勢力の増大に伴う洪水および土砂災害被害の増加や、気温上昇に伴う熱中症患者 数の増加等も懸念されているところです。 そのような中、本県では農業分野において、温暖化の影響に対応した水稲の 品種である「みずかがみ」の栽培を開始したり、自然災害分野で、水害のリス クに対応した流域治水の取組を実施したりするなど、気候変動の影響に対応す るための適応策を一部の分野において既に実施しています。 今後の本県の温暖化対策では、今まで同様、節電や省エネ等の「緩和策」を 最優先で取り組むとともに、 「適応策」についても取組を推進することにより、 低炭素社会の実現を目指してまいりたいと考えています。 そのため、平成 28 年度に改定を予定している「推進計画」の中に、 「適応策」 を位置付けるとともに、併せて県民の皆様をはじめ、県内広くに「適応」の重 要性を普及・周知していくこととしています。 県民の皆様におかれましても、節電や省エネ行動などの「緩和策」に取り組 んでいただくとともに、今後は温暖化による影響として考えられる身近な所で 提供:滋賀県 の変化に意識を傾けていただければと思います。 -3- プロジェクト等の活動報告と活動予定 フォーカスグループ 4 月 12 日、地球温暖化防止事業、他グループ連携講座と して実施予定の料理講座の計画について話し合いました。 滋賀サイエンスカフェ実行委員会 4 月 13 日、第 9 回サイエンスカフェ開催に向け、6 月 4 日当日の雰囲気づくりや PR 手順など詰めを行いました。 平成 28 年度総会を開催します 日時:6 月 12 日(日) 14 時から 場所:明日都浜大津 5 階ふれあいプラザ大会議室 主な審議事項:平成 27 年度事業報告・決算承認 ■これからのフォーラム活動 ご ※センター事務所(大津市地球温暖化防止活動推進センター)は明日都浜大津 4F こどもエコ・ラボ跡に開設されました。 プロジェクト等の名称 内 容 日 時 場 所 等 プロジェクト 子どもが遊べる川づくり 5 月 10 日(火) 9:00 三田川中流(晴嵐小学校生きもの観察支援) 5 月 10 日(火) 13:30 センター事務所 活動 会議 5 月 18 日(水) 5 月 9 日(月) 5 月 14 日(土) 5 月 20 日(金) 5 月 15 日(日) 5 月 28 日(土) 5 月 22 日(日) 活動 活動 活動 活動 活動 活動 活動 生ごみリサイクル 菜の花 ビオトープづくり 里山保全 エネルギー いきいき河川 学習研究グループ フォーカス 9:30 三田川下流(晴嵐小学校生きもの観察支援) 10:00 センター事務所( 「里の日」準備) 8:30 自然家族事業南部版「里の日」 10:00 ぼかし作り 会場未定 10:00 皇子が丘公園(大津っ子まつり) 10:00 雄琴菜の花畑(菜種油を作ろう) 9:00 北大路ビオトープ(補修整備) 活動 活動・会議 会議 活動 5 月 29 日(日) 9:00 春日山ビオトープ(生き物調査、補修整備) 5 月 16 日(月) 10:00 春日山公園 未定 5 月 29 日(日) 9:45 生涯学習センター/湖南漁港(漁業体験講座) 会議 5 月 18 日(水) 14:30 センター事務所 委員会・事業部・実行チーム 理事会 会議 活動委員会 会議 審査員会議 事業部 KES 普及推進グル-プ 無料相談会 おおつ市民環境塾実行チーム 会議 サイエンスカフェ実行委員会 会議 5 月 14 日(土) 5 月 11 日(水) 5 月 12 日(木) 5 月 19 日(木) 5 月 10 日(火) 14:00 市民活動センター 13:30 センター事務所 14:00 生涯学習センター 14:00 センター事務所 13:30 センター事務所 5 月 17 日(火) 13:30 センター事務所 KES普及推進グル-プからのお知らせ 2016 年 1 月~3 月 KES 登録、KES 登録を継続された事業者(順不同) 担当:冨田豊 ツジコー株式会社(製造業) 大津製函株式会社(製造業) 寿木材工業株式会社(製造業) 株式会社濱中製作所(製造業) 東西化学産業株式会社グループ(製造業) 株式会社アサヒテックコーポレーション機電製造部(製造業) 公益財団法人大津市公園緑地協会(都市公園・施設の管理運営) 《編集後記》 有限会社奥田組(舗装・土木工事) 湖南広域行政組合(衛生・消防・保険行政) 以上 9事業所 今回の巻頭記事は、昨年 12 月に開催されたワ 特定非営利活動法人 おおつ環境フォーラム ークショップ「気候変動の地元学」で講演いただいた彦根地方気 (大津市温暖化防止活動推進センター) 象台にお願いした。平均気温の上昇が 0.027℃/年というのは深刻 〒520-0047大津市浜大津 4-1-1明日都浜大津4F に思えないかもしれないが、冬の温暖化の影響は深刻です。今年 Tel:077-526-7545 Fax:077-526-7581 はかろうじて観測された琵琶湖の全循環(深呼吸)が、温暖化に E-mail:[email protected] より起こらなくなると琵琶湖が死の湖と化してしまう。温暖化進 HP:http://eco-otsu.net 展の結果について恐ろしい予測がある。是非下記をご覧ください。 編集責任:中井 正子 www.japangreen.tv/ch01climate/12890.html (K.N.) -4-
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