「ウェブログを書く」行動を規定する心理・社会的要因に関する調査研究

04―01016
「ウェブログを書く」行動を規定する心理・社会的要因に関する調査研究
三
1
浦
麻
子
神戸学院大学人文学部助教授
問題
本研究は,パーソナルなウェブコンテンツのうち,もっとも頻繁に更新され,またコミュニケーション志向が
強いとされる「ウェブログ」に関して,そのサービス利用者を対象とした質問紙調査をおこなった結果にもとづ
き,ウェブログを書き続けている個人が,ウェブログをどう捉えているかを示したものである。研究全体の目的
は,質問紙調査の結果と,実際に回答者が日々書きつづるウェブログの「ログ」とをマッチングさせることに
よって,ウェブログを書き続ける個人と彼らによって構成されるウェブログ・コミュニティのありようを総合的
に検討することにある。
ウェブログサービスは,簡単な手続きで手軽に記事をインターネット上に公開できるサービスであり,昨今急
速な勢いで利用者数が増えている。総務省が2006年4月13日に発表した「ブログ及び SNS の登録者数」(総務
省, 2006)によると,2006年3月末現在のブログ登録者数は868万人であり,2005年9月末の473万人と比べると
半年の間にほぼ倍増している。アクティブユーザ数は割り引いて考える必要があるとしても,ウェブログが特定
の人だけでなく一般の人に定着していることは明らかであろう。
2
ウェブログの意味
まずここでは,パーソナルなウェブコンテンツとしてのウェブログの意味を,その定義・スタイル・歴史的経
緯の3つの視点から考察し,その後に実際の書き手たちの意識をデータにもとづいて示す。
2-1
定義から考えるウェブログの意味
ウェブログをどのようなコンテンツと捉えるかについては諸説あるが,もっとも原初的で広義なものでは
「Web で見つけた情報を(通常は日付降順記事として)記録しておく(logging)」コンテンツであるとされる。
ウェブログは,当初からマスメディア的な大量情報発信がウェブ文化の発展を担っていたアメリカにおいて誕生
し,圧倒的な量で提供されるこうした情報群を整理・分類するための個人の試みであった。つまり,この定義に
従えば,ウェブログは既にウェブ上で提供済の情報を個人レベルで再整理することを容易にするコンテンツであ
り,個人用の情報データベース的な役割を果たすものであるといえる。
2-2
スタイルから考えるウェブログの意味
ウェブログのもつ(旧来コンテンツには見られなかった)スタイル的な特徴として,情報を分類・整理し,ま
たそれをネットワーク上で有機的に連携させることが可能になる標準的仕様が整えられていることが挙げられ
る。コンテンツの構成様式がほぼ規格化され,簡単なタイトルを付記するだけで各記事の分類を自動的に実現す
るカテゴリ機能,各記事に対する第三者からのコメントや付加情報を受け入れることができるコメント/トラッ
クバック機能,あるいは自身のウェブログの更新状況を要約して即時発信できる RSS などが利用できる。これ
らの機能は,ウェブログを単なる個人用データベースに留まらせず,旧来周縁的であった個人のウェブ上での情
報発信に力を与え,情報をトリガーとする知識共有指向の強いコミュニティを形成させる原動力となった。
2-3
歴史的経緯から考えるウェブログの意味
日本にウェブログが「輸入」されたのは2001年,ウェブログ「サービス」が多く登場したのは2003年末頃から
である。その後2005年3月末現在で利用者数335万人(総務省推計)に達するに至った過程は,日本における
― 206 ―
ウェブログの普及は,「自分語り」と「他者との交流」の融合点的なウェブコンテンツとして従来から存在して
いた「ウェブ日記」との関係を抜きに語ることはできない。ウェブ日記は個人的事実の開示を通じた他者からの
被理解や他者との相互交流を指向するコンテンツであるという文脈で語られてきた(cf. 川浦ら, 1999)。ウェブ
日記の作者にとって,ウェブログのスタイルはいずれも彼らが従来おこなってきた日々の出来事や思いの記録や
読者コミュニケーションを容易に/さらに拡大させうるものであった。こうした経緯から,日本でのウェブログ
の位置づけは,相互交流指向のコンテンツと知識共有指向のコンテンツという二つの質的な指向性を包含する,
原初のそれに独特の意味づけを加えたものとなっていることが考えられる。
3
3-1
質問紙調査・方法
調査対象者
インターネット上のウェブログサービス「Doblog」(URL:http://www.doblog.com/)を利用してウェブ上で
日記コンテンツを作成・公開している個人を対象とした。「Doblog」は,2003年11月に開始された無料ウェブロ
グ作成サービスで,前記したウェブログとしての標準機能はすべて利用可能である。さらに,訪問者リストの表
示(ログインした状態で,他利用者のウェブログを閲覧すると当該利用者の訪問者リストに閲覧履歴が残る),
ホットリンク機能(リンク・閲覧・コメント・トラックバック情報に基づき Doblog 内の人間関係を可視化する)
といった利用者間のコミュニケーションを強化し,コミュニティ形成を促進する独自機能が付随していることが
特徴的である。
3-2
調査の実施
調査は2005年4月22日から5月23日の1ヶ月にわたって実施された。「Doblog」を運営している株式会社ホッ
トリンクの協力を得て,トップページや各ウェブログへのバナー表示によって調査を告知し,利用者に協力を依
頼した。回答はログインした利用者に限られ,また一度回答した ID は再回答できないようにされた。調査期間
中に得られた758件の回答を分析対象とした。
3-3
質問項目
選択式の108問で,¸ウェブログ執筆状況¹同・執筆に際する目的・意識ºインターネット・ウェブログツー
ル等の利用経験»回答者の基本的属性などについて問うものである。
4
4-1
質問紙調査・結果
基本的属性
回答者の性・年代クロス表と,性別とウェブログ(ウェブ日記を含む)執筆開始時期のクロス表を表1,表2
に示す。04年に実施した「はてなダイアリー」(三浦・山下,04日社心大会)「ライブドア」(三浦・山下・川浦,
05日心大会)調査の回答者と比較すると,年代ではやや上(主に30代)の層が多いこと,執筆開始時期では2003
年以降の「ウェブログブーム世代」が大多数を占めることが特徴的である。
表1
回答者の性・年代クロス表
― 207 ―
表2
4-2
性別と執筆開始時期のクロス表
ウェブログとは何か
ウェブログを書く目的を5件法(1「非常にそう思う」〜5「全くそう思わない」)で問うた項目群について
平均値を求めた。「個人的事実を書く日誌として(1.68)」「心情を書く日記として(1.83)」「自分の意見を伝達す
るため(2.26)」といった項目の得点が低く,ウェブログを書く目的として強く意識されていることがわかった。
対して「社会的事実の記録(2.97)」「ブックマーク代わり(3.68)」「議論を行うため(3.75)」といった目的は相
対的に重視されない傾向にある。ウェブログの継続意志について同様に問うた項目では「ずっと書き続けたい」
に「そう思う(1+2)」とした回答が全体の73.1%(「そう思わない(4+5)」は3.7%)と多数を占めている。
しかし一方で「書くことに義務感を感じることがある」とする回答も34.0%と決して少なくはない。また,ウェ
ブログを紹介した友人知己の数(表3)を見ると,従来の自身の人間関係とウェブログとを積極的に連携させよ
うとする層と,それを好まない層が分化していることが示唆される。
表3
4-3
ウェブログを紹介した友人知己の数
ウェブログを書く際の想定読者
ウェブログを書くということは,自らの書いたものがインターネット上で広く公開されることである。つまり,
世界中の誰でもの目に触れる可能性があるということである。ウェブログ作者たちは,そのことをどの程度意識
しているのだろうか。ウェブログを作成する際に,自分にとってどのような関係のある人々に読まれることを想
定しているかを問うた項目にもとづいて,ウェブログ作者たちの「想定読者」について分析した。読者層の選択
肢としては,
「自分」
「家族」
「実際あったことのある友人」
「Doblog での友人や知り合い」
「Doblog 以外のネット上の友人や知り合い」
「いつも読んでいる読者」
「検索エンジンなどから訪問する人」
「不特定多数の人」
の8対象を設定し,それぞれをどの程度想定しているかを5件法で問うた。その結果,各対象を「想定している」
(「非常に想定する」と「やや想定する」を合算)とした比率は表4に示すとおりである。
― 208 ―
表4
ウェブログ作者の想定する読者
ᗐ ቯ Ყ ₸ (%)
⺒⠪ߣߒߡᗐቯߔࠆኻ⽎
⥄ಽ
72.3%
ኅᣖ
13.3%
ታ㓙޽ߞߚߎߣߩ޽ࠆ෹ੱ
52.6%
Doblog ߢ ߩ ෹ ੱ ߿ ⍮ ࠅ ว ޿
57.4%
Doblog એ ᄖ ߩ ࡀ ࠶ ࠻ ਄ ߩ ෹ ੱ ߿ ⍮ ࠅ ว ޿
53.3%
޿ߟ߽⺒ࠎߢ޿ࠆ⺒⠪
66.5%
ᬌ⚝ࠛࡦࠫࡦߥߤ߆ࠄ⸰໧ߔࠆੱ
40.8%
ਇ․ቯᄙᢙߩੱ
52.1%
もっとも主要な読者として挙げられているのは自分自身であった。ウェブログが日記的な性格を色濃く持つこ
とを反映した結果であると言える。その次に続くのがネット内外を問わず友人知己であった。家族を想定する
ウェブログ作者は非常に少なく,検索エンジンからの訪問者,不特定多数の人といった匿名性の高い対象を想定
する比率を遙かに下回る結果となった。
5 ウェブログの「ログ」から分かるもの
次に,ウェブログに書かれた内容(ログ)と,質問紙調査から得られたそのウェブログの作者の属性とを組み
合わせて,どのような人々がどのようなウェブログを書いているのかについて分析した。特に,ここではログか
らウェブログ作者の感情状態を抽出し,それと作者自身の属性(性別・年代)との関連性について検討する。
まず,ウェブログのログからウェブログ作者の感情状態を抽出する方法について検討する。ウェブログの内容
と作者の感情状態は密接な関わりがあることが容易に想像できるが,ログの中にそれがどのように表明されるか
はさまざまである。例えば,海外のウェブログサービス Live Journal では,100種類以上のムードアイコン(感
情状態を示すマーク)の中から自由に1つ選んでウェブログの記事に付与することができるようになっている。
しかし,多くのウェブログサービスではこのような機能は付随していない。よって,何らかの手段と基準で,ロ
グの内容そのものから感情状態を抽出する必要がある。
人間の感情状態にはさまざまなものがあるが,ここでは特に「幸せ」とその対概念としての「不幸せ」に着目
する。「幸せ」と言ってもその意味は幅広く,その基準も人によってさまざまであるため,ウェブログの記事内
容が幸せに関連する出来事について綴っているかどうかを判別することは簡単ではない。本研究では,幸せな内
容の文章を書くときによく用いられる語のリスト,不幸せな内容の文章を書くときによく用いられる語のリスト
をそれぞれ人手で作成し,そのリストに基づいて,ウェブログにおいてどの程度幸せ・不幸せについて言及され
ているかを検討する。さらに,その幸せ・不幸せが関連しているイベントにはどのようなものがあるかについて
も分析を行う。
6
6-1
ログ分析・幸せ言及度
分析データ
本研究で対象とするブログ記事は,上記アンケートに答えた Doblog ユーザが2003年11月4日から2005年6月
27日までに書いたウェブログ記事約24 万件である。ウェブログ記事の量的特徴を表5に示す。
また,ログ分析と関連づける属性として,前述「Doblog の利用に関するアンケート」調査の中から,性別
(男性,女性),年齢(17才以下,18〜20才,21〜24才,25〜29才,30〜34才,35〜44才,45〜54才,55才以上)
の2つの設問結果を利用した。
6-2
幸せ語と不幸せ語の抽出
幸せな内容の文章を書くときによく用いられることが想定される語を「幸せ語」,不幸せな内容の文章を書く
ときによく用いられることが想定される語を「不幸せ語」とし,それらの語を手がかりとして分析を進める。そ
― 209 ―
表5
ウェブログ記事の量的特徴
࠙ࠚࡉࡠࠣ⸥੐ߩ․ᓽ
⸥ ੐ ✚ ࠨ ࠗ ࠭ (bytes)
218478.0(319255.00)
319.2(389.56)
ࠛࡦ࠻࡝ᢙ
1 ⸥ ੐ ߩ ᐔ ဋ ࠨ ࠗ ࠭ (bytes)
708.2(421.35)
⛮⛯ᣣᢙ
281.9(148.91)
28.6(53.76)
ⵍࡉ࠶ࠢࡑ࡯ࠢᢙ
611.6(1417.00)
ࠦࡔࡦ࠻ㅍାᢙ
ࠦࡔࡦ࠻ฃାᢙ㧔㒰 ᧄੱಽ㧕
413.1(823.60)
23.9(59.29)
࠻࡜࠶ࠢࡃ࠶ࠢฃାᢙ
㧔 ࠞ ࠶ ࠦ ౝ SD㧕
こでまず幸せ語と不幸せ語のリストを手動で作成した。以下に幸せ語のリストの作成手順を示す。不幸せ語のリ
ストも同様の手順で作成した。
1)「嬉しい」「楽しい」などの幸せな内容を表す語を「幸せ語リスト」に入れる。
2)Doblog のウェブログ全記事からウェブログ1万記事をランダムに選び,同じ記事中で幸せ語と共起する
語(形容詞,サ変名刺,動詞)をカウントし,頻度10以上の語を出力。なお,形態素解析には Juman 5.1
を用い,形態素の表記には「代表表記」を用いて表記の揺れを吸収した。
3)出力された語の中から「幸せ語」に相当すると考えられる語を研究者が合議の上で選択して幸せ語のリス
トに追加し,1)に戻る。追加する語がなくなれば手順を終了する。
これらの手順を経て,最終的には幸せ語23種と不幸せ語48種が得られた。抽出された幸せ語リスト,不幸せ語
リストの評価として,(^^) (^o^) (^.^) などの笑顔の顔文字を含むブログ記事を幸せな記事,(TT) (T̲T) (> <) な
どの泣き顔の顔文字を含むブログ記事を不幸せな記事の正解集合とみなしたときの Precision と Recall を検討
したところ, Recall はいずれも4割弱(幸せ0.37,不幸せ0.39)と低いが,Precision は幸せ語で0.49,不幸せ語
で0.80であり,問題の難しさを考えると許容できる精度であると考えられる。そこで,これらのリストを以降の
分析に用いることとした。
ここで抽出した幸せ語,不幸せ語のリストを用いてブログ記事ごとの「幸せ言及度」「不幸せ言及度」を定義
する。本研究では,幸せ語の1記事中の出現頻度和をブログ記事の幸せ言及度,不幸せ語の1記事中の出現頻度
和をブログ記事の不幸せ言及度とする。幸せ語のリストを Lh,不幸せ語のリストを Luh,ブログ記事 x におけ
る語 w の頻度を freq (x, w) とすると,ブログ記事 x の幸せ言及度 h (x),不幸せ言及度 uh (x) を以下の¸¹式で
算出した。
! freq (x, w)
h (x) =
¸
w ! Lh
uh (x) =
! freq (x, w)
¹
w ! L uh
7
幸せ言及度に関する分析
7-1
男女別幸せの分布
ブログ記事ごとに算出した h (x) と uh (x) を男女別に集計した結果を表6に示す。女性の方が男性より幸せ言
表6
幸せ言及度・不幸せ言及度の性別比較
ᕈ೎
ᐘߖ⸒෸ᐲ
ਇᐘߖ⸒෸ᐲ
↵ᕈ
0.703
0.439
ᅚᕈ
0.916
0.567
― 210 ―
及度・不幸せ言及度の高いブログ記事を書いていることがわかる。
7-2
年代別幸せの分布
次に,幸せ言及度・不幸せ言及度を年代別に分けて集計した結果を表7に示す。これより,基本的に若いとき
ほど幸せ言及度・不幸せ言及度はどちらも高くなる傾向にあるが,18−20歳の間だけ幸せ言及度・不幸せ言及度
が一時的に低くなっていることが分かる。なお,表7には,男女込みの値を示しているが,どの年代においても,
女性の方が男性より幸せ言及度・不幸せ言及度ともに高かった。
表7
幸せ言及度・不幸せ言及度の年代別比較
ᐕઍ
7-3
ᐘߖ⸒෸ᐲ
ਇᐘߖ⸒෸ᐲ
17 ᱦ એ ਅ
0.898
0.620
18-20 ᱦ
0.797
0.534
21-24 ᱦ
0.895
0.561
25-29 ᱦ
0.881
0.554
30-34 ᱦ
0.798
0.519
35-44 ᱦ
0.639
0.366
45-54 ᱦ
0.709
0.403
幸せ・不幸せに関連するイベントの抽出
前節での分析によって幸せ言及度・不幸せ言及度の分布が男女別,地域別,年代別のそれぞれにおいて偏りが
生じていることが明らかになったが,その要因までは分からなかった。そこで本章では,幸せ・不幸せの要因と
なるイベントを抽出することによって幸せ・不幸せの要因を探る。
ここでは,幸せ語・不幸せ語と共に用いられる語が幸せイベント・不幸せイベントを表していると考え,語 w
(名詞とサ変名詞)の幸せ度 hl(w),不幸せ度 uhl(w) を以下のº»式で算出する。
!h (x)
hl(x) =
º
x including w
!uh (x)
uhl(x) =
»
x including w
したがって,hl(w) および uhl(w) の高い語がそれぞれ幸せに関連したイベント,不幸せに関連したイベントと
なる。
7-4
男女別幸せイベント
先に得られた幸せ言及度・不幸せ言及度の男女差の要因を探るために,男女別に集計した幸せイベント,不幸
せイベントを表8に示す。なお,表8は hl(w) の男女比,および uhl(w) の男女比によるランキングの上位5語を
表示している。これより,女性では「恋愛」が幸せと関係している一方で「結婚」が不幸せと関係していること
などが分かる。
表8
幸せイベント・不幸せイベントの性別比較
↵ᕈ
㗫ᐲ㗅
ᅚᕈ
ᐘߖࠗࡌࡦ࠻
ਇᐘߖࠗࡌࡦ࠻
ᐘߖࠗࡌࡦ࠻
ਇᐘߖࠗࡌࡦ࠻
1
ᗧ๧
ㆬᛯ
઀੐
઀੐
2
૞ᬺ
⸥㍳
ᔃ㈩
⚿ᇕ
3
ㅊട
ㅪ⛊
ᕜᗲ
↢ᵴ
4
ࠬ࠲࡯࠻
ㅊട
੍ቯ
㑐ଥ
5
ㅪ⛊
ࠬ࠲࡯࠻
ળ⹤
㔚⹤
― 211 ―
7-5
年代別幸せイベント
次に年代別幸せ言及度・不幸せ言及度の hl(w),uhl(w) によるランキングを検討した。年齢とともに幸せイベ
ント・不幸せイベントが変わっており,20代前半までは「勉強」や「バイト」といった学校に関連する話題が上
位にくるのに対し,20代中頃以降は「仕事」「結婚」「電話」「生活」といった仕事や家庭に関する話題が上がっ
てくることが明らかになった。
8 まとめ
本研究の結果,ウェブログを日々インターネット上に書きつづっている作者たちを対象とした質問紙調査と,
実際に彼らが書いている内容から,彼らが誰に向けて,何を書いているのかを明らかにする手がかりを得ること
ができた。ウェブログには個人の日々の出来事が綴られており,ウェブログを読むと,誰が,どこで,何をして,
どう感じたのか,といったリアルな生活の断片が伝わってくる。これはいわば膨大な日常生活の記録であり,こ
れまでフィールドワークや文献調査による観察や記録によって行われてきた民俗学や,都市の風俗を観察して研
究する考現学がウェブロクを通して実現できるようになる可能性が示唆された。
〈発
題
名
表
資
料〉
掲 載 誌 ・ 学 会 名 等
発 表 年 月
ウェブログ作者にとってウェブログとは何
か:「Doblog」利用者の意識調査結果から
日本社会心理学会第46回大会発表論文集
2005年9月
Doblog の利用に関するアンケート調査か
らみたユーザ像
人工知能学会第20回全国大会
2006年6月
― 212 ―