海外旅行で注意する病気

1. 水・食事から感染する病気
流行地
潜伏期
症状
ワクチン
治療など
-
抗生物質
あり
対症療法のみ
感染性腸炎
開発途上国全域
数時間~数日
水様性下痢、ときに血便、発熱・脱水
A 型肝炎
開発途上国全域
30 日~50 日
高熱、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、黄疸
腸チフス
開発途上国全域
1~3 週間
(コレラ、赤痢、他)
あり
発熱・胸腹部に淡紅色発疹、便秘或いは下痢
抗生物質
(日本未認可)
(予防方法)
◇ 沸騰した水は安心ですが、水道水は飲まずにペットボトルのミネラルウォーターを飲みましょう。
・水道水は高級ホテルでも飲まないようにしましょう
・ペットボトルのミネラルウォーターとして売られていても、中身は水道水ということもあるので注意しましょう
・ボトルの口がしっかり締まっているものを選ぶことが大事です
・ガス入りミネラルウォーターはより安全です
◇ 氷入りの飲み物は、氷が水道水から作られていることがあるので避けましょう
◇ 瓶や缶入りの飲み物は自分で栓を抜いて飲み口をよく拭いてから瓶や缶から直接飲みましょう
◇ 生ものは避け、熱がしっかり通ったものを食べましょう
◇ カットフルーツやサラダは、水道水で洗っているので避けましょう
◇ 果物は自分で剥いて食べ、野菜は調理されたものを食べましょう
◇ 蝿が料理にたかるなど、衛生的でない屋台での食事は控えましょう
◇ 冷蔵庫を過信せず、保存していた食べ物は 24 時間以内で食べきるようにしましょう
2. 蚊から感染する病気
流行地
潜伏期
症状
ワクチン
治療など
悪寒、震え、高熱。発熱は 4~5 時間後に発汗と共に解熱*
なし
抗マラリア薬
5~6 日
突然の高熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹
なし
対症療法のみ
3~6 日
発熱、筋肉痛、頭痛、嘔吐、徐脈、黄疸、出血傾向
あり
対症療法のみ
あり**
対症療法のみ
熱帯・亜熱帯の
マラリア
12 日~30 日
広範囲な地域
南太平洋、アジア
デング熱
カリブ海地域
中南米、アフリカ
熱帯アフリカ
黄熱
中南米
アジア
日本脳炎
突然の高熱、頭痛、嘔気、嘔吐。後に意識障害、けいれん、
7~10 日
オセアニア
異常行動
*マラリア流行地からの帰国者で、悪寒を伴う発熱が出現したら、すぐに医療機関(できれば感染症専門医)を受診してく
ださい。受診時には必ずマラリア流行地に滞在していた旨を告げてください。
**日本では定期接種が行われている(14~15 歳まで)が、期限が切れている場合、1 回の追加接種を受ける。
(予防方法)
◇ 常に防虫スプレーを持参し、4~6 時間ごとに使用しましょう
・デング熱、黄熱の予防には昼間、マラリアの予防には夜間に防虫スプレーを使用してください
・肌を露出しない長袖服、長ズボン(薄手のものは蚊の針が肌に届くので厚手のもの)を持参しましょう。
・室内への蚊の侵入を防ぎましょう。
3. 性行為から感染する病気
流行地
潜伏期
開発途上国
約 3 週間
症状
ワクチン
治療など
なし
抗生物質
尿道のかゆみ、熱感、排尿時痛
なし
抗生物質
食欲不振、黄疸、著しい肝機能障害
あり
ワクチン
ワクチン
治療など
BCG
抗生物質
あり
抗ウイルス剤
ワクチン
治療など
あり
ワクチン
性器に痛みのないびらんや潰瘍。その後、体に発疹。6 週間
梅毒
後、発疹消失。続いて痒みがない発疹と発熱、喉の痛みなど
尿道炎
開発途上国
2~9 日
熱帯、亜熱帯
3 ヶ月
(淋病、クラミジア)
B 型肝炎
(予防方法)
◇ 不特定の人との性交渉はしない
◇ 性交渉をする時には避妊具を使用する
◇ B 型肝炎の予防
・ワクチンの接種
・麻薬や覚醒剤に手を出さない
・開発途上国に旅行する時は、信頼できる医療機関を確認しておく
・開発途上国での刺青、針治療(消毒されていない針から感染の危険性あり)に注意
4. 患者から感染する病気
流行地
結核
潜伏期
開発途上国
症状
発病率は約 1 割。
温帯地域は冬季
高熱、頭痛、腰痛、筋肉痛、全身倦怠感、鼻汁、咽頭痛。
インフルエンザ
熱帯・亜熱帯地域
1~3 日
さらに気管支炎、肺炎
では雨季
(予防方法)
◇ 病院や衛生状況の悪い地域にむやみに近寄らない
◇ 流行している地域へ旅行する時は、
・感染の可能性がある場所では、うがい、手洗いを忘れない
・人ごみを避けましょう
・外出する時はマスクを着用しましょう
・事前に予防接種を済ませましょう
5. 動物から感染する病気
流行地
潜伏期
開発途上国
狂犬病
症状
発病すると麻痺を起こし、ほぼ 100%死亡する恐ろしい感染
1 週間~3 ヶ月
途上国
症です。
(予防方法)
◇ 野生動物には近づかないようにしましょう。(コウモリ、アライグマ、キツネからも噛まれて感染する恐れがあります)
◇ 噛まれたらまずは傷口を清潔な水や石けんなどで洗浄し、できるだけ早く医療機関を受診し、狂犬病の予防接種を受けましょう。
・ 事前に狂犬病の予防接種を受けていても、噛まれた後の追加接種が必要です。
・ 事前に狂犬病の予防接種を受けていない場合は、5~6 回の予防接種が必要になります。