material.銀聯カード活用中国人観光客購買行動調査

平成22年度 沖縄観光力強化事業
平成22年度
銀聯カ ド活用中国人観光客購買行動調査
銀聯カード活用中国人観光客購買行動調査
平成23年5月
沖縄県 ・ 財
財団法人沖縄観光コンベンションビューロー
法 沖縄観光
中国人観光客は、沖縄県内の銀聯カードの利用環境は不十分と感じており、
観光消費の機会損失が発生している。
„ 中国人観光客の沖縄旅行の観光予算総額は約2万元(約25万円)。
z そのうち、旅費・宿泊費を除く現地での観光予算総額は、約1万3千元(約16万円)。
„ 予算に対する持参現金比率は約8割であり、現金以外の決済手段の利用も想定していると推測される。
z 銀聯カード・クレジットカードともに、中国人観光客の8割が持参している。
„ ただし、中国人観光客の7割は、銀聯カ
ただし、中国人観光客の7割は、銀聯カードの利用環境が『悪かった』と感じている。
ドの利用環境が 悪かった』と感じている。
„ その原因は、利用可能な店舗の少なさと、利用できる店舗を事前に知ることができなかったこと。
„ 観光客の4割は銀聯カードが利用できなかったために、購入・体験できなかったことが存在しており、
訪沖中の実購買額は全費目において、当初予算を下回っている。
„中国人観光客の沖縄における観光消費には機会損失が発生している。
„銀聯カ ド利用環境が不十分であることもその 因とな ている
„銀聯カード利用環境が不十分であることもその一因となっている。
„銀聯カード利用環境の“面での”拡充と、利用可能店舗の積極的な告知が必要である。
1
沖縄旅行の観光予算総額(旅費・宿泊費含む)は、平均で約2万元(約25万円)。
沖縄滞在中の予算総額は、平均で約1万3千元(約16万円)。
„ 国内旅行客に比べて、現地で使おうとしている予算が大きい。
沖縄旅行の観光予算総額
沖縄旅行の現地観光予算総額
※旅費・宿泊費(代理店への支払い)を含む
平均値
0%
20%
11.1% 15.4%
40%
24.8%
20,902元
平均値
60%
80%
22.2%
16.2% 10.3%
1万元未満
1万元以上~1万3千元未満
1万3千元以上~1万8千元未満
1万8千~2万8千未満
2万8千元以上~4万元未満
4万元以上
100%
0%
20%
12.0% 18.8%
40%
23.1%
13,641元
60%
19.7%
80%
100%
15.4% 11.1%
3,000元未満
3,000元~6,000元未満
6,000元~12,000元未満
12,000~18,000元未満
18,000~32,999元未満
33 000元以上
33,000元以上
2
沖縄滞在中の観光予算に対し、持って来た現金(元+日本円)の比率は平均で82%。
6割の観光客は、現地で使う予算を上回る金額を現金で持ちこんでいる。
„ 買いたいモノがあれば、予算以上の支出をしようとしている人が多い。
現地観光予算の総額に占める<持って来た現金(元+日本円)>の比率
予算を上回る現金(元+日本円)を持参
参
金(
)
算
持参した現金(元+日本円)は予算以下
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
平均値
81.7%
5.8% 7.7%
14.4%
11.5%
60.6%
約11,145元
(約13万円)
20%未満
20~39%
40~69%
70~100%
101%以上
(注)平均値は20%未満を10%、101%以上を101%とし、回答者数で加重平均して算出。
3
銀聯カード・クレジットカードともに、8割が沖縄に持参している。
„ ほとんどの人が、カードが利用できることを期待して来日している。
銀聯カード・クレジットカードの保有・持参状況
0%
20%
40%
銀聯
銀聯カード
(n=121)
他のクレジットカード
(n=112)
60%
85 1%
85.1%
80.4%
沖縄に持 てきた
沖縄に持ってきた
沖縄に持 てきていない
沖縄に持ってきていない
80%
100%
6 6%
8 3% 6.6%
8.3%
9.8% 9.8%
所有していない
4
実際の購買実績をみると、全ての品目において訪沖前の予算を下回っている。
中国人観光客の観光消費の機会損失が発生している。
„ 「衣服・ブランド品」など、購買の是非が観光客の趣味・嗜好に依存するものが特に予実差が大きい。
z 購買額が予算を下回った要因には“品揃えと観光客ニーズの不一致”もあると想定される。
購買額が予算を下回 た要因には“品揃えと観光客ニ ズの不 致”もあると想定される
品目別の予算と実際の購買額
0
10,000
菓子
31,263
54 995
54,995
25,067
9,354
21,440
1,915
677
その他買い物
5,807
9,698
12,373
3,570
10,924
7,331
現地ツアー
その他現地滞在費
(円)
16,490
沖縄産品・観光土産
現地交通費
60,000
8,187
217
衣服 ブランド品
衣服・ブランド品
飲食費
50,000
16,004
4 781
4,781
化粧品
本・CD
40,000
10,180
5,380
カメラ・時計
カメラ
時計
30,000
13,720
6,817
他の食品類
他の電化製品
20,000
3,870
1,208
予算
N=129
実績
1,689
756
5
銀聯カードが利用できないために、購入・体験できなかったことがある観光客が4割存在。
銀聯カードの利用環境の整備不足が、機会損失の一因になっていると想定される。
„ 化粧品・菓子・みやげなど比較的少額の商品を扱う店舗で、カードの利用環境が整備されてなかった。
銀聯カードが利用できず、購入できなかったもの・
体験できなかったことの有無
銀聯カードが利用できず、購入できなかったもの・
体験できなかったことの内容(複数回答)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
化粧品・医薬品
ある
38%
49.0%
菓子類
40.8%
沖縄産品・観光土産
40.8%
他の食品類
30.6%
衣服・ブランド品
ない
62%
28.6%
その他飲食体験
24.5%
その他買い物
N=129
20.4%
カメラ・時計
12.2%
本・CD・DVD
12.2%
沖縄の食事
12.2%
他の電化製品
10.2%
日本の食事
10.2%
N=49
6
観光客の7割は、沖縄における銀聯カードの利用環境が「悪かった」と感じている。
“加盟店の少なさ”と“加盟店を事前に知ることができなかったこと”がその主因。
„ 端末を導入するだけでなく、銀聯を利用できることを中国人観光客向けに伝えていくことが必要である。
沖縄滞在中の銀聯カード利用環境の実感
銀聯カードの利用環境が「悪かった」と思う理由
0%
どちらでも
な
ない
12%
20%
40%
60%
利用できる店舗 観光地が
利用できる店舗・観光地が
少なかった
利用できる店舗であることが
すぐにわからなかった
70.5%
38.7%
中国語で話しかけた際に
店員が答えてくれなかった
55.1%
銀聯カードを利用しようとした際、
すぐに利用できなかった
悪かった
67%
銀聯カードを利用しようとしたら、
手数料を取られた
N=129
銀聯カードを利用しようとしたら、
利用上限があった
100%
75 9%
75.9%
利用できる店舗を事前に
知ることができなかった
良かった
22%
80%
58 2%
58.2%
18.3%
19.2%
N=79
7
銀聯カードの利用があった店舗では、“ついで買い”の促進効果や、
“資金制約による買い控え”の抑止効果もみられた。
銀聯カード端末加盟店へのインタビュー結果
銀聯カード決済端末の導入効果に関する代表的な発言内容
• 来店後、最初に銀聯カードの利用可否を確認する中国人観光客もおり、銀聯カード
備考/考察
z
銀聯カード決済端末の導入によ
が使えるとわかると、安心して買い物かごを持って店内をまわる。もし、銀聯カードが
り、当初の目的の商品以外に
使えなければ、当初の目的だったお気に入りの商品のみの購買にとどまってしまうの
「ついで」の購買を促すことが可能
ではないか(ドラッグストア)
になる。
• 高単価商品の場合に、クレジットカードや銀聯カードが利用されるが、中国人は小銭
に親しんでいないため、銀聯カードが小銭の代わりに利用されることも多い(モール)
z
• 銀聯カード決済端末の導入前は、同行者から足りなくなった現金を借りて支払う光
外貨持出制限 ある現金や与信
外貨持出制限のある現金や与信
枠のあるクレジットカードと比べ
景も見られた。銀聯カードが利用できるようになり、それまでは購入をあきらめていた
て、制約が少ない点が銀聯カー
商品も買 てくれるようにな たと考えられる(免税店)
商品も買ってくれるようになったと考えられる(免税店)
ドの特長
8
業種によっては外国人顧客を重視しており、外国人の購買行動を研究している。
テーマ
外国人観
外
観
光客の重
要性
代表的な発言内容
備考/考察
• デジタルカメラの売上の50%は外国人が占めている(家電量販店)
デジタ カ
売上
0 は外国人が占め
る(家電量販店)
• 観光客と外国人、沖縄の人の売上比率は65%:35%。おそらく65%のうちの半分は外
国人が占めているのではないか(ドラッグストア)
z
• 売上構成比では、外国人観光客が全体の1~2割を占める。数年前とは違い、今では
ターゲットとして認識している(モール)
中国人観
光客の購
買行動
• 中国人観光客が求めているのは、Made in Japanの製品であり、売れるのは日本製の商
品(時計・宝飾品店、観光施設)
z
• 一時期
時期、実験的に台湾人向けの売店を作り、台湾人に人気の商品を並べていたことが
実験的に台湾人向けの売店を作り 台湾人に人気の商品を並べていたことが
ある。中国人向けにも同様の工夫が必要かもしれない(観光施設)
• 資生堂の化粧品が人気であり、日本で買うことに意義があるらしい。インターネットで商
品を検索し プリントアウトして持 てくることが多い
品を検索し、プリントアウトして持ってくることが多い。
• 中国人観光客は、お気に入りの商品をまとめ買いする傾向があり、単価3,000円の化粧
品を5つ一度に購入することもある。店頭に複数個置いてあると、出ているものは全て
買っていくような行動を取り、発注・在庫管理が難しい(ドラッグストア)
z
外国人観光客の
購買は、存在感
と重要性を増し
つつある。
中国人観光客に
とって、日本製
の商品を日本で買
うことに意義があ
る。
お気に入りの商
品については、
まとめ買いも見
られる。
9
銀聯カードが利用された店舗ほど、銀聯ロゴや独自POPの掲示率が高い。
„ 銀聯カード決済のあった店舗では、銀聯カードを利用可能であることのプロモーションを行っている比率が高い。
銀聯カードロゴの掲載状況
観光客が店舗に入る
前に利用可能である
ことを知らせている
注:期間中の銀聯決
済のあった店舗は23
店舗と少ないため参
考デ タではある。
考データではある
店頭掲示: <銀聯ロゴまたは独自POP>を観光客が店舗に入る前に、銀聯カードが使えることを告知している
店内掲示: <銀聯ロゴまたは独自POP>を店内(壁、陳列棚など)に掲示し、来店した観光客に銀聯カードが使えることを告知している
レジ横掲示:<銀聯ロゴまたは独自POP>をレジ横に掲示し、会計をする段階で銀聯カードが使えることを告知している
10
銀聯カード決済のあった店舗では、中国人観光客向けの販促施策を実施している比率が
高い。
中国人観光客向けの販促施策実施状況
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銀聯カードの決済がある店舗では、ツアー客の誘導、中国人向け旅行ガイドへの店舗紹介
組み込み、専用売り場の設置等を実施していた。
中国人観光客向けの販促施策実施内容
0%
20%
20%
中国人向け旅行ガイドへの
店舗紹介組み込み
33%
20%
33%
中国人観光客の専用売り場設置
17%
中国語HPの作成や、
関連サイト のリンク貼付け
関連サイトへのリンク貼付け
中国語のチラシやビラの作成・配布
(参考) 「その他」に含まれる主な内容
・中国語POPの掲示
中国語POPの掲示
・中国語メニューの提示
・中国語ポスター、看板の設置
・中国語を話せるスタッフの配置
その他
60%
44%
旅行代理店への営業によるツアー客誘導
人気商品のまとめ買い促進
40%
11%
12%
銀聯決済あり(n=9)
銀聯決済なし(n=41)
0%
12%
22%
2%
33%
49%
12
今後の取組課題
機会損失の削減には、行政/OCVB、旅行代理店、カード会社、店舗が連携し、
中国人観光客のニーズに即した購買環境整備を進めることが不可欠である。
今後の課題
1.中国人観光客に
対する訪沖前の
事前プロモーション
2.中国人観光客の
ニーズに即した
商品・サービス展開
行政 / OCVB
旅行代理店
カード会社
店舗
A. 潜在観光客への情報発信
(HPの充実、ガイドブックへの掲示、
メディア戦略、代理店への周知)
B.中国人観光客ニーズ調査の継続と
店舗への連携
C. ニーズに即した商品・
サービス展開
D. 観光客ニーズに即し
た行程の最適化
3.購買機会の拡充
(ショッピングの場所・時間等
の設定))
4.銀聯カード利用環境
の整備
面 し 利
E. 銀聯
銀聯を“面として”利
用可能な環境整備
5.銀聯カード利用環境
のプロモーション
H. 銀聯利用可能店
マップの作成
F. 銀聯加盟店開拓の
継続促進
I. 銀聯利用可能店マッ
プの観光客への配付
J. 地域レベルでのプロ
域
モーションの企画・展開
(銀聯決済への
特典・クーポン付与、等)
銀聯端末処
G. 店頭
店頭での銀聯端末処
理オペレーション教育
K 店頭プロモーションの
K.
実施・改善
(ロゴ掲示場所の変更、等)
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