平成21年度事業報告

平成21年度事業報告
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総
括
]
平成 21 年度収支決算の結果は、収入 277,821,697 円に対し支出が 279,898,472 円で、2,076,775
円の赤字を計上しました。協会運営費の基礎となるべき会費収入は、法人 3,700,000 円、個人
1,020,000 円で管理費のわずか 11%、安定的経営のためには会費収入の増大が望まれます。事業
内容からみると、消防車、救急車、ゴミ処理車など自治体保有の中古車両をリサイクルして発展
途上国に寄贈する国際協力事業が、今年度も順調に推移し 19 件、63 台の車両を 15 カ国に寄贈し
ました。また入札案件である在外公館の施設管理のためのエンジニア派遣事業も今年度の落札に
成功し、27 名のエンジニアを 76 公館に派遣して初期の目的を達成しました。定款上からも協会
の本来業務として重要な位置づけにある外交政策の「広報」事業は、地方での事業展開が進まず
今後に課題を残す形となっています。これには外務省の予算措置を伴う協力が望まれます。
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国際援助・協力事業
]
◎ リサイクル援助事業
日本国内で役割を終えた消防車や救急車といった機材のうち、まだ十分に使用できるものにつ
いて、海外で希望する国へ寄贈しています。
平成 21 年度は、事業数 19 件、合計 63 台の車両を海外へ寄贈しました。その費用として外務省
のODA「リサイクル草の根無償資金協力」を活用した事業が 18 件、現地で活動するNGOと協
働し「日本NGO連携無償資金」を通じて実施した事業が 1 件でした。
車種ごとの内訳は、消防車(ポンプ車、水槽付ポンプ車、水槽車、救助工作車、化学車、はし
ご車)が 21 台、救急車 16 台、ごみ収集車 12 台、マイクロバス 2 台、図書館車 12 台です。
送り先は、アジア 2 カ国(フィリピン、ミャンマー)、大洋州 3 カ国(サモア、ナウル、ミクロ
ネシア)、中南米 5 カ国(アルゼンチン、キューバ、コロンビア、ペルー、ボリビア)、中東・ア
フリカ 4 カ国(エチオピア、ザンビア、南アフリカ、レバノン)、中欧 1 カ国(グルジア)でした。
国
名
契約時期
要請団体
提供機材
フィリピン
2010 年 3 月
パナボ市(北ダバオ州)
ごみ収集車
3台
ミャンマー
2009 年 9 月
ミャンマー消防局
消防車両
3台
サモア
2010 年 3 月
消防局
消防車両
5台
サモア
2010 年 3 月
保健局
救急車
4台
ナウル
2010 年 3 月
ナウル調達庁
消防車両
1台
ミクロネシア
2009 年 9 月
コスラエ州
ごみ収集車
2台
ミクロネシア
2009 年 12 月
サラメンチューク高校
マイクロバス 2台
アルゼンチン
2009 年 12 月
チレシート市
消防車両
1台
キューバ
2010 年 1 月
ハバナ市
ごみ収集車
5台
コロンビア
2010 年 1 月
バジェ県
消防車両
5台
ペルー
2010 年 3 月
パカレクタンボ診療所
救急車
1台
ペルー
2010 年 3 月
タクナ市イポリト・ウナヌエ病院
救急車
1台
ボリビア
2010 年 3 月
サマイパタ市
ごみ収集車
2台
エチオピア
2009 年 6 月
エチオピア赤十字
救急車
2台
ザンビア
(手続中)
地方自治体
救急車
1台
ザンビア
(手続中)
地方自治体
救急車
1台
南アフリカ
2010 年 2 月
SAPESI 南アフリカ初等教育支援の会
図書館車
12台
レバノン
2010 年 2 月
アルファイハ自治体連合
消防車両
3台
グルジア
2009 年 10 月
グドゥシャウリ国立医療センター
救急車
5台
◎ 国際コンサルタント業務に関する懇談会
外務省国際協力局幹部と国際開発コンサルタント業界との懇談会を開催しています。政府の
途上国援助(ODA)を効率的かつ効果的に実施するために官民の間で率直な意見交換を行う
ことを目的とし、最近のODAを巡る国際環境変化や、途上国のニーズ多様化に関する情報交
換を行い、また官民ともに「日本の顔の見えるODA」等を実施すべく具体的な論点を取り上
げながら議論を行っています。
日付
主な研究テーマ
担当課
4/21 世界経済危機克服に向けた取組
総合計画課
我が国ODA不正腐敗防止の取組
国別開発協力第一課
パキスタン支援国会合
国別開発協力第一課
6/30 平成21年度補正予算による取組
JICA海外投融資事業の実施
政策課、無償資金・技
術協力課
総合計画課
「第5回太平洋・島サミット」結果報告 大洋州課
国際協力局の機構改革、ODAの不
9/30
政策課
正腐敗の再発防止について
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海外活動支援事業
日付
主な研究テーマ
担当課
最近の海外建設事情と我が国ODAプ
事業管理室
ロジェクト
TICAD Ⅳフォローアップ状況について 国別開発協力第二課
12/22 行政刷新会議事業仕分けについて
政策課
COP15の概要(途上国支援)について 国際協力局参事官
3/15 ODAに関する直近の動きについての報告 開発協力総括課
ODAのあり方に関する検討
政策課
円借款事業における官民連携について 事業管理室
]
◎ 在外公館施設保守管理のための派遣業務
平成 21 年 8 月に実施された外務省の一般競争入札『平成 21 年度
在外公館施設の保守・維持
管理を目的とした技術者派遣業務』に成功し、合計 27 名のエンジニア(建築 13 名、電気 8 名、
機械 6 名)を 2 回に分けて、派遣しました。昨年までの業務とは少々異なっており、点検作業な
どよりも、修理を主要目的としたものとなっています。エンジニアに要求されている資質が非常
に高く、かつ短期間に確保することに多大な労力を要しました。
要求されている主な項目は;
・ 各担当の技術資格所持者
・ 各種修繕業務を自ら実施できること
・
英語又はフランス語又はスペイン語を用いて業務に関するコミュニケーションをとれること
・ 気候風土および高地対策等、非常に厳しい環境下において、屋外等での長時間にわたる修繕
業務を自ら作業実施できること
派遣先は次の通り合計 76 公館です。
【アジア・大洋州】(18 公館)
スラバヤ、メダン、マレーシア、ラオス、ミクロネシア、フィージー、PNG、瀋陽、ネパール、カラチ、スリランカチェンナイ、コルカタ、ミャンマー、ベトナム、
ブルネイ、モンゴル、トンガ
【中南米】(22 公館)
エンカルナシオン、アルゼンチン、サンパウロ、パナマ、チリ、ジャマイカ、ベレン、ベネズエラ、コスタリカ、ボリビア、ウルグアイ、ブラジル、トリニ
ダード・トバゴ、マナウス、リオデジャネイロ、パラグアイ、コロンビア、エルサルバドル、エクアドル、ニカラグア、キューバ、ホンジュラス
【欧州・中東】(15 公館)
カザフスタン、ウクライナ、ウズベキスタン、アゼルバイジャン、タジキスタン、イエメン、イスタンブール、イスラエル、レバノン、カタール、バーレーン、
ポーランド、ハバロフスク、ウラジオスト、クグルジア
【アフリカ】
(21 公館)
スーダン、タンザニア、ボツワナ、ウガンダ、アルジェリア、ガボン、ギニア、マラウイ、コンゴ(民)、ジンバブエ、ナイジェリア、リビア、エ
ジプト、モロッコ、ケニア、アンゴラ、エチオピア、チュニジア、カメルーン、ブルキナファソ、マリ
予定されていた訪問国の中には、ドミニカ(共)のように、隣国ハイチが地震に襲われたため
に、中止になった例や、国際的な経済情勢の悪化からフライトキャンセルの発生が数例ありまし
たが、無事に全ての業務を終えることができました。
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調査研究事業
]
外務省の調査を応札し、1件の調査研究業務を受託しました。
「2008 年日本のNGO(非政府組織)による開発援助実施調査」
[外務省:一般競争]
外務省国際協力局総合計画課からの委託により、2008 年に日本の民間団体が行った海外支援
の内容と規模について調査を行い、報告書を提出しました。
[
国際情報知識普及・啓発事業
]
◎ 講演会の開催(於日本記者クラブ)
原則として毎月 1 回、日本プレスセンタービルで会員を対象とする月例時局問題講演会を開
催しました。これは最も関心の高い国際情勢や外交政策について専門家の解説と会員との自由
な質疑を行うものです。
21 年度は合計 9 回実施しました。講演の要旨は、協会報に掲載して広く配布され、広報活動
に寄与しています。
日付
例会名
講師 肩書 き
講師 氏名
4/20
4月例会
外務省 中国モンゴル課長
垂 秀夫 氏
最近の中国情勢につ いて
5/25
5月例会
外務省 中南米局長
佐藤 オバマ米 大統領と中南 米諸国
6/22
6月例会
外務省 総政局軍縮不拡散・科学部審議官 中島 明彦 氏
不拡散への取組みと北朝鮮
7/22
7月例会
毎日新聞 政治部長
小菅 洋人 氏
衆院総選挙の行方と政界再編の動 き
9/14
9月例会
外務省 北米局長
吉川 元偉 氏
アフガニスタン情勢について
10/19 10月例会
外務省 内閣官房参 与
西村 六善 氏
温暖化ガス25%削減は可能か
11/25 11月例会
外務省 北米局参事 官
冨田 浩司 氏
就任1年を迎えるオ バマ 大統領とこ れからの日米関係
悟 氏
演 題
2/4
2月例会
外務省 事務次官
薮中 三十二 氏
ことしの外 交課題
3/29
3月例会
外務省 元国際情報局長・駐イラン大使
孫崎 享 氏
これからの日米同盟 と基地問題
◎ 大学への講師派遣
学生達と対象とした啓発事業として、大学の授業、ゼミナールへ、外務省OBや当協会職員を
派遣します。平成 21 年度は、神田外語大学からの要請を受けて、外交官・大使OBによる外交講
座を実施しました。また駒澤大学のゼミナールに招かれ、職員を国際協力に関する講師として派
遣しました。
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出版事業
]
◎ 翻訳事業
平成 21 年度も、地方自治体、学校法人、企業等からの翻訳業務を受託しました。英・独・
仏・スペイン語・ポルトガル語・ロシア語・中国語・韓国語に対応しています。
◎ 機関誌「日本外交協会報」発行
日本外交協会の会報は、引き続き、外務省はじめ国内関連団体、自治体、在外公館などに配
布しています。協会の考え・方針を示すと共に主に外務省関係者の講演、国際情報等「読んで
役に立つ」内容を盛り込んでいます。
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その他事業
]
◎ 学生会議・シンポジウムなどへの後援、協力
日中学生会議、日韓学生会議、日本ロシア学生会議など、2国間の学生同士が生活を共にし
ながら様々な課題について話し合う会議に対して後援、協力を行っています。また、民間の交
流団体などが開催するシンポジウムなどを後援しています。
以上