味の素グループ 社会・環境報告書

味の素グループ 社会・環境報告書
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
2004
編集方針
対象範囲
●「環境報告書」から「社会・環境報告書」と、
報告内容を拡充しました。
●対象期間
年間実績データについては2003年度(2003年4月1日
味の素グループでは、環境問題への考え方、環境保全の取り
〜2004年3月31日)のものを報告しており、過去の推移を
組みと成果などを、
わかりやすく、体系的に公表することを基本
示すことが適当であると思われる項目およびデータについては、
方針に、
2000年から毎年「環境報告書」を発行してきました。
これを併記しています。
これを踏まえて、
今回は、
当社グループをとりまく多様なステー
クホルダーの方々に対するCSR(Corporate
Social
活動内容についても2003年度のものを報告していますが、
一部、
この期間外のものも報告しています。
Responsibility:企業の社会的責任)に関する報告内容を加え、
「社会・環境報告書」として発行することとしました。
報告内容の検討、報告書の編集にあたっては、環境省の「環
●対象組織
原則として、味の素㈱および連結子会社95社(2004年3
境報告書ガイドライン( 2003年度版 )」とGRI( Global
月末現在)を「味の素グループ」と表記し、その活動内容やデー
Reporting Initiative)の「サステナビリティ レポーティング ガ
タを報告しています。この「味の素グループ」全体の情報を十
イドライン 2002」を参考にしました。
分に把握できていない事象に関しては、報告の都度、対象組織
を明示しています。
●ステークホルダー別に章だてし、各ステークホルダーの
興味・関心に応えられるよう配慮しました。
財務関連報告(p32〜35)の対象組織は、連結財務会計制
度上の連結対象範囲※1です。
本報告書の対象読者として、
お客様や取引先様をはじめ、株
環境関連報告(p56〜77)の対象組織は、
「環境規程」にも
主・投資家・アナリスト、学生、事業所近隣の住民、
NGO・NPO
とづいた「味の素グループ環境マネジメント」の対象範囲 ※
の皆様やグループ従業員など、
幅広いステークホルダーの方々
2です。
を想定しています。また、ステークホルダーごとに当社グルー
プへの興味・関心が異なることから、ステークホルダー別に章
だてし、読みやすさ、
わかりやすさの確保に努めました。
なお、環境保全の取り組みについては、誌面の都合上、本報
※1 連結財務会計制度上の連結対象範囲
味の素㈱、連結子会社および持分法適用会社
※2「味の素グループ環境マネジメント」の対象範囲
味の素㈱、連結子会社、
および環境マネジメント上重要な関係会社(以上をもって、会社
数、売上高、従業員数のいずれにおいても連結財務会計制度上の味の素グループ※1全
体の約70〜80%をカバーしています)
告書に記載できなかった詳細なデータ※を味の素㈱のホームペー
過去の環境パフォーマンスデータについて
ジに掲載しています。
※ 詳細なデータ
味の素㈱のホームページでは、本報告書の全文に加え、ISO14001認証取得事業所など
のリスト、PRTR法対象物質の集計データ、国内外主要事業所のサイト別データなど、味の
素グループの環境保全活動に関するさまざまな情報をご覧いただけます。
URL http://www.ajinomoto.co.jp/
●今回新たに集計の方法や範囲に変更を加えたものについては、経年変化
が比較できるよう、過去のデータも可能な限り再集計して掲載しました。
その結果、過去の報告書での報告数値と異なっている場合があります。
●M&Aや事業の拡大、実績集計可否などの理由により、今回の集計対象は、
前回に比べて、以下のように変化しています。
新たに含まれた会社:清水製薬㈱、エースベーカリー㈱、
ベジブロフーズ㈱、㈱フレック関東
対象外となった会社:蓮花味の素㈲
発行日
2004年10月(次回発行予定:2005年9月)
※ 2000年度版(1999年度の活動を報告、2000年11月発行)以来、年次報告書と
して毎年発行しています。
お問い合わせ先
味の素㈱経営企画部
TEL:03-5250-8157 FAX:03-5250-8378
e-mail:ki̲[email protected]
味の素㈱環境経営推進部
TEL:03-5250-8169 FAX:03-5250-8318
e-mail:en̲[email protected]
目次
Contents
トップメッセージ
コーポレートガバナンス
味の素グループの概要
味の素グループの主要なインプット・アウトプット
味の素グループの研究開発
第1章
社会のなかで
2
4
8
10
14
お客様とともに
安全・品質への取り組み
お客様とのコミュニケーション
18
24
取引先様とともに
公正・自由な取引のために
30
株主・投資家様とともに
資金調達の状況
株主資本の状況
配当政策
株主・投資家様とのコミュニケーション
社会的責任投資(SRI)
企業格付
32
32
33
34
35
35
地域社会とともに
社会貢献活動
グローバルプログラム
ローカルプログラム
財団による社会活動
従業員の社会活動
36
37
40
42
43
従業員とともに
第2章
地球環境
のために
人材の雇用
人材の登用・活用
教育・人事制度
安全で快適な職場づくり
労使関係
44
46
48
51
54
味の素グループ環境基本方針
56
環境ビジョン ──「味の素グループ・ゼロエミッション」
57
目標と実績
58
マテリアルバランス
60
環境マネジメント
環境マネジメントシステム
ISO14001認証取得状況
環境監査
環境リスクへの対応
環境アセスメント
グリーン調達
委託先様の管理
環境教育
環境法令違反、環境事故、苦情の状況
環境会計
61
61
62
63
63
64
64
65
66
66
環境パフォーマンス
地球温暖化防止への取り組み
廃棄物削減への取り組み
排水負荷削減への取り組み
土壌汚染への対策
化学物質の適正管理
容器包装における取り組み
物流における環境負荷の削減
事務・営業部門における取り組み
69
70
72
73
74
75
76
77
ガイドラインへの対応一覧
78
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
1
トップメッセージ
食 と 健康 にかかわる事業をとおして、
地球社会の諸問題と
向かい合ってまいります。
代表取締役社長 最高経営責任者
江頭 邦雄
私ども味の素グループは、
食品、
アミノ酸、
医薬など、
人々の 食 と 健康 に密接にかかわる商品のグロー
諸問題の発生、地球環境への負荷増大などを背景と
バルな開発・生産・販売活動を通じて、
「食品・アミノ
して、
お客様や取引先様、
株主・投資家の皆様、
従業員、
酸系の、
日本から出発した世界企業」となることをめ
地域社会の人々など企業を取り巻くステークホルダー
ざしております。
の関心は、商品やサービス、業績にとどまらず、雇用
この目標に近づくために、2002年からの三ヵ年計
や人権、
コンプライアンス、環境保全など企業行動全
画では、
「成長分野での事業拡大」
「高収益構造への
般へと広がりつつあります。また、国内外で相次ぐ企
転換」とともに、
「コーポレートガバナンスの強化」
「世
業の不祥事は、
企業活動の土台ともいうべきコーポレー
界に通じる人材の育成」
「良き企業市民としての社
トガバナンスやコンプライアンスに対する信頼を根
会との共生」など、企業の社会的責任(CSR)を強く
底から揺るがせています。
意識した経営戦略を掲げ、
「世界の人々に信頼される、
2
近年、企業活動のグローバル化やそれにともなう
さかのぼれば、私ども味の素グループでも、過去に
個性ある企業」の実現に向かって邁進いたしており
おいて、反トラスト法違反や商法違反など、企業とし
ます。
ての姿勢を厳しく問われる不祥事がございました。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
私どもは、
これらへの深い反省にもとづいて、
コーポレー
取り組みを強化いたしました。環境面では「味の素グ
トガバナンスの強化を軸とする企業改革のためのさ
ループ・ゼロエミッション」を開始いたしました。さらに、
まざまな具体策を実施するとともに、
コンプライアン
2005年度から始まる新たな中・長期経営計画では、
スを強化してまいりました。
味の素グループとしてのCSR活動を推進していくた
一方で、私どもは、1909年、生命の源である栄養
物質、
アミノ酸を主成分とするうま味調味料「味の素」
めの諸施策を盛り込んでいく予定でございます。
2004年度は、
これまでの「環境報告書」を「社会・
を世界で初めて商品化して以来、 食 と 健康 につ
環 境 報 告 書 」に変 更し、味 の 素グル ープとして の
いての知見・技術を蓄積し、現在は世界屈指のライフ
CSRへの取り組みを報告することといたしました。
サイエンス技術を有する企業グループとして、食糧問
必要性を認識しつつも、情報の収集不足、未整理、検
題の解決や人々の健康増進などに寄与しております。
討の不十分さゆえに掲載を見送った項目もございま
また、
アジア、
北南米、
欧州など世界中で事業を展開し、
すが、人類の命と暮らしの根幹である 食 と 健康
各地への技術移転や現地におけるマーケティング、
に密接にかかわる事業をとおして地球社会の諸問題
商品開発、地域の原料を用いた現地生産などを積極
と向かい合い、それらを解決していきたいという決意
的に推進しながら、雇用促進、従業員の経営幹部への
のもと、
今後も積極的な情報の開示、
ステークホルダー
登用、人権に配慮した職場環境の整備、地域環境の
の皆様との対話、CSR活動の拡充、報告内容の充実
保全などに取り組んでおります。こうして、私どもは、
を図ってまいる所存でございます。
世界の 食 と 健康 に貢献し、
かつ世界各地のロー
カルな経済や文化にも貢献していくという「Ajinomoto
ご一読を賜り、皆様のご助言、
ご意見をお寄せいた
だければ幸いと存じます。
Way」を確立しつつあります。
2003年度は、
コーポレートガバナンスの強化を図
るために、取締役数の削減をはじめとした経営機構
代表取締役社長 最高経営責任者
改革を進めてまいりました。また、サプライヤー様や
製造委託先様への品質監査を実施するとともに、
トレー
サビリティシステムの構築を開始し、安全・安心への
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
3
コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスの強化・充実を経営の最優先課題に
さまざまなステークホルダーへの責任を果たしていきます。
味の素グループは、企業としての健全で永続的な発展と、
さまざまなステークホルダー、地球環境
に対する社会的責任(CSR)を果たすために、
コーポレートガバナンスの強化・充実を経営の最
優先課題として位置づけています。2000年に策定した「Ajinomoto Group Principles:グルー
プ理念、
グループ経営基本方針、
グループ行動規範」は、その根幹をなす指針です。
「Ajinomoto Group Principles」
Ajinomoto Group Principles
味の素グループ理念
私たちは、地球的な視野にたち、
味の素グループ行動規範
1.
食 と 健康 、
そして明日のよりよい生活に貢献します。
安全で高品質な商品、サービスの提供
1-1 安全で高品質な商品、
サービスの提供
2.
公正、自由な取引
2-1 公正、
自由な競争
2-2 政治、
行政との健全な関係
2-3 公正な購買取引
2-4 適正な交際・儀礼
味の素グループ経営基本方針
3.
3-1 情報入手とタイムリーな情報公開
事業目標
食関連事業、アミノ酸を中心としたファインケミカル
4.
事業姿勢
つねに お客様第一 を心がけ、豊かな創造性とすぐ
5.
環境保全、省資源、省エネルギーへの取組み
5-1 環境保全、
省資源、
省エネルギーへの取組み
6.
社会貢献
6-1 社会貢献
れた技術により、安全で高品質な商品・サービスを提
7.
供します。
情報管理
4-1 情報管理
事業・医薬品事業を経営の柱として、地球上の人々に
貢献する世界企業をめざします。
社会とのコミュニケーション
働きやすい職場環境
7-1 人権尊重
経営姿勢
7-2 快適で安全な職場作り
お客様、株主、地域社会、取引先、社員等全ての利害
7-3 主体性・創造性の発揮
関係者を尊重し、簡明・迅速な意思決定と公正で透明
性の高い経営を行うとともに、株主への適正な利潤
8.
8-1 適切な情報開示
の還元と永続的な企業価値の増大を図ります。
社会的役割
良き企業市民として責任を自覚し、社会との調和を
はかり、その発展に貢献します。
株主・投資家への責任
8-2 インサイダー取引の禁止
8-3 特定株主への利益供与の禁止
9.
社員個人と会社との関係
9-1 本人(家族・親族)と会社との関係
9-2 社外活動
企業風土
一人ひとりが、自らを高め、創造的で自由闊達な、活
力ある集団をめざします。
4
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
10. 国際通商
10-1 知的財産権の取り扱い
10-2 輸出入管理法令の遵守
2002年度までの取り組み
機構の改革、
取締役会などの各種会議体や本社組織の改革、
各種社内ルールの見直しなどを行いました。
不祥事の反省と再発防止の観点から、
グループ経営の根幹をなす指針と体制づくりを
推進してきました。
さらに、
これらの改革・仕組みづくりを進めながら、従来
からの環境保全活動を全社的な取り組みとして推進してい
味の素㈱は、1995〜1996年、米国において反トラス
くために、
環境活動に関する意思決定の最高機関として「環
ト法違反事件(飼料用リジン、核酸の価格カルテル事件)に
境会議」を開催し、環境マネジメントの推進体制も強化しま
よる摘発を受けました。また、1997年3月には、国内で商
した。
法違反事件(総会屋への利益供与事件)を起こしました。
これらに続き、
1999年〜2001年の三ヵ年計画(1999
味の素㈱では、
これらの事件に対する深い反省に立ち、経
年1月発表)では、
「連結経営の推進」を重要戦略の一つに
営陣はもとより従業員一人ひとりが再発防止に向けた真剣
掲げました。その一環として、
品質保証、
環境、
安全衛生など、
な議論を行いました。そして、
「公平・公正・透明・簡素な経
グループ経営を支える重要なテーマについて主管部門に
営の実践」をめざして、
「企業倫理の確立」と「ガバナンス
おける検討と整備を進め、味の素グループ全体で共有すべ
の強化」を柱とする各種の改革を開始しました。
き理念、価値観、指針を策定することを決定しました。その
1997年4月、企業倫理確立のための土台となる「味の
後、約1年の検討期間を経て、2000年4月、
グループ連結
素㈱行動規範」を策定し、同年5月にはその普及と定着を
経営の根幹をなす指針として、
「味の素グループ理念」
「味
任務とする機構として「企業行動委員会」を設置。あわせて、
の素グループ経営基本方針」
「味の素グループ行動規範」
翌6月には、従業員からの規範上の問題提起や改善要請を
で構成される「Ajinomoto
企業行動委員会に直接連絡できる仕組みとして、ホットラ
定し、社内外に発表しました。
イン※を設置しました。
また、過去の事件の責任を明らかにするために、1997
年度の株主総会において経営陣を刷新するとともに、経営
Group
Principles」を制
さらに、2002年5月には、事業環境の変化とともに多様
化・複雑化するリスクを想定し、予防策を講じるとともに、
顕在化したリスクにも迅速・的確に対応していく リスクに
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
5
コーポレートガバナンス
強い企業グループ をめざして「リスクマネジメント委員会」
1名は社外取締役で、外部からの視点で経営活動を監督し、
を設置しました。
外部環境に一層敏感な取締役会の運営を行っていきます。
また、
「企業行動委員会」
「リスクマネジメント委員会」と
また、業務執行と執行の監督を制度的に区分したことによ
ともに内部統制機能を担当する「監査部」を整備強化し、
り、業務の迅速な執行および効果的な監督を実施していき
単なる業務監査にとどまらず、
コンプライアンスや企業倫
ます。なお、執行の監督は、取締役会が業務を掌握したうえ
理への取り組み状況などについてもチェックするとともに、
で行うことが適切と判断し、社内取締役は執行役員を兼任
環境監査および品質監査と随時連携を図ることで、より効
しています。
果的、効率的な監査業務を行うこととしました。
※ ホットライン
「味の素グループ行動規範」や各種法令などに違反する可能性のある情報を、
メールや電話などで企業行動委員会に直接通報する仕組み。情報提供者が
不利益を被ることがないよう、氏名や内容など、通報者のプライバシー保護を最
優先で取り扱う。
2003年度の取り組み
コーポレートガバナンスのさらなる強化と
CSR経営に向けた体制づくりに取り組みました。
さらに、
役員の人事・処遇にかかわる運営の透明性を高め、
経営機構の健全性を維持する目的から、社長の諮問機関と
して、取締役と執行役員の指名諮問委員会、報酬諮問委員
会を設けました。
2004年度は、
コーポレートガバナンスのいっそうの強
化をめざして、社外監査役の増員による監査役会の強化を
行いました。今後もさらに、最適な組織体制の構築に向け、
検討を進めてまいります。
2003年度、味の素㈱は、
コーポレートガバナンスのさら
なる強化をめざして、取締役数の削減、社外取締役の選任、
の中核に据えていくべく、現在、味の素グループにおける
執行役員制度の導入、指名諮問委員会・報酬諮問委員会の
CSRの具体的な取り組み内容や今後の推進体制などにつ
設置などを施策とする経営機構改革を行いました。
いて検討しています。また、
「CSRレポート」の発行やステー
取締役数は、執行役員制の導入にともない、30名から
12名(2004年度より13名)へと削減しました。このうち
6
一方、
これらの経営機構改革とともに、CSRを経営戦略
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
クホルダーとの緊密なコミュニケーションを通じて味の素
グループの価値をいっそう高めていく方針です。
株主総会
選任・解任、監視
取締役会
指名諮問委員会
取締役社長
監査役会
経営・
監督
報酬諮問委員会
監査
社内取締役
社外取締役
監督
経営会議
最高経営責任者
副社長執行役員
専務執行役員
常務執行役員
業務
執行
提携会社
分社
各カンパニーの
執行役員
コーポレート組織の
執行役員
関係会社
関係会社
関係会社
関係会社
環境会議
リスク
マネジメント
委員会
企業行動
委員会
監査部
品質保証
会議
防災安全
会議
内部
統制
社会貢献
活動委員会
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
7
味の素グループの概要
食 と 健康 に貢献するさまざまな事業を
グローバルに展開しています。
その他
医薬 6.2%
7.6%
海外食品
13.7%
アミノ酸を起点に幅広い事業領域へ
アミノ酸
14.9%
味の素㈱は、1909年に独創的な調味料として「味の素」を発売し、世界で初め
国内食品
57.6%
てアミノ酸の工業的生産をスタートさせました。以来、アミノ酸に関する知見や
技術をベースに事業領域を拡大。現在では食品関連事業をはじめ、医薬・化成品、
物流・包装など、多彩な分野で事業を展開しています。
国内食品事業
事業セグメント別売上高構成比
海外食品事業
主要製品
「味の素」、
「ほんだし」、
「Cook Do」、
スープ、
マヨネーズ、
「パルスイート」、
「アミノバイタル」、
「味液」、
冷凍食品、
コーヒー、
飲料、
乳製品など
主な関係会社
クノール食品㈱、
味の素ベーカリー㈱、
味の素冷凍食品㈱、
㈱J-オイルミルズ、
カルピス㈱、
カルピス味の素ダノン㈱、
味
の素ゼネラルフーヅ㈱
主要製品
「味の素」、
核酸、
風味調味料、
即席麺、
飲料
など
主な関係会社
タイ味の素㈱、
マレーシア味の素㈱、
ペルー味の素㈱、
味の素インテルアメリカーナ㈲、
インドネシア味の素㈱、
フィリピン味の素㈱、
シンガポール味の素㈱、
欧州味の素食品㈱
医薬事業
主要製品
医薬品、
医療用食品
アミノ酸事業
主要製品
各種アミノ酸、
アスパルテーム、
「Jino」、
化成品など
主な関係会社
㈱味の素タカラコーポレーション、
味の素ファインテクノ㈱、
味の素オムニケム㈱、
味の素アミノサイエンスLLC[アメリカ]
味の素ハートランドLLC[アメリカ]
スイス味の素㈱、
味の素ユーロリジン㈱、
味の素ユーロ・アスパルテーム㈱
主な関係会社
味の素ファルマ㈱、
清水製薬㈱、
味の素ファーマシューティカルズUSA㈱、
味の素ファーマシューティカルズ・ヨーロッパ㈱
その他事業
主要事業
物流、
サービスなど
主な関係会社
フジエース㈱、
味の素物流㈱、
㈱味の素コミュニケーションズ、
味の素システムテクノ㈱、
味の素エンジニアリング㈱、
㈱味の素-ジェネチカ・リサーチ・インスティチュート
業績の推移(連結)
売上高
営業利益
(億円)
12,000
10,000
8,294
9,085
9,435
9,877
10,395
(億円)
800
651
600
490
8,000
6,000
400
4,000
330
540
378
200
2,000
0
8
1999
2000
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
2001
2002
2003(年度)
0
1999
2000
2001
2002
2003(年度)
アメリカ地域
アジア 5.6%
8.9%
ヨーロッパ
9.4%
地域に根ざした事業を世界各国・各地域で展開
日本
76.1%
味の素グループは、現在、日本を含む23の国・地域に拠点を置き、グローバルな
規模で事業を行っています。
「食品・アミノ酸系の、日本から出発した世界企業」
の考え方にもとづき、各地域の暮らしや風土に応じて事業を進めるなか、現地従
地域セグメント別売上高構成比
業員の雇用や現地住民の嗜好に合わせた商品開発などをはじめ、周辺の自然環
境に配慮した環境保全活動など、地域社会との共生を追求しています。
法人、
事務所
調味料工場
アミノ酸・化成品工場
加工食品工場
医薬工場
その他工場
日本
50
(生産工場は包装工場も含む)
11
27
9
10
2
ロシア
ドイツ
ヨーロッパ
ベルギー
ポーランド
イギリス
スイス
フランス
中国
イタリア
韓国
アメリカ
アジア
アメリカ地域
ナイジェリア
ベトナム
台湾
ペルー
タイ
フィリピン
ブラジル
マレーシア
シンガポール
インドネシア
当期純利益(損失)
・株主資本当期純利益率(ROE)
(億円)
400
8.5
8.6
300
200
100
4.4
314
176
0
-100
-200
331
8.9
株主資本
当期純利益率 7.5
(ROE)
362
5
当期純利益
(損失)
2.5
-115
0
-2.5
-3.0
1999
(%)
10
2000※ 2001 2002 2003 (年度)
-5
1株当たり当期純利益(損失)
(円)
60
48
50
50
55
40
30
27
20
10
0
-10
-20
-17
1999
2000※
2001
2002
2003 (年度)
※ 2000年度は退職給付会計基準変更時差異を一括費用処理したことにより、当期純利益、株主資本当期純利益率(ROE)、
1株当たり当期純利益指標がマイナスとなっています。
味の素グループの主要なインプット・アウトプット
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
9
味の素グループの主要なインプット・アウトプット
多様なステークホルダーへの責任を果たすために
「経済」
「社会」
「環境」の3つの側面から適切な企業行動に努めてい
味の素グループは、お客様、取引先様、株主・投資家様、地域社会、従業員など
多様なステークホルダーへの責任を果たしていくために、
「経済」
「社会」
「環境」
の3つの側面(トリプルボトムライン)から企業行動をみつめ、適切な事業運営に
努めています。
こうした取り組みの全体像を把握し、報告する試みとして、
「外部から調達する
原材料、資金、労働力」や「社会の要請」などを事業運営のための「インプット」と
位置づけ、それに対して、
どのような施策を立案し、行動しているかを「アウトプッ
ト」と位置づけ、それぞれを集計しました。
INPUT
集計対象組織
=連結財務会計上の
味の素グループ
=グループ環境マネジメントの対象範囲
(会社数、
売上高、
従業員数のいずれにおいても
連結財務会計上の味の素グループの約70〜
80%を占めています)
=味の素㈱
従業員
お客様
国際社会
さまざまなステークホルダーに
影響を与える3つの活動
取引先様
味の素グループの活動
経済活動
社会活動
環境活動
市民社会
株主
・投資家様
地域社会
OUTPUT
集計対象組織
=連結財務会計上の
味の素グループ
=グループ環境マネジメントの対象範囲
(会社数、
売上高、
従業員数のいずれにおいても
連結財務会計上の味の素グループの約70〜
80%を占めています)
=味の素㈱
10
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
います。
総物質投入量
集計対象組織=
原材料
集計対象組織=
売上原価から人件費、償却費など、外部調達に含まれないと考え
られる費用を控除して算出した参考値
(千トン)
4,000
(億円)
7,000
3,470
3,500
3,000
調達額
2,690
2,830
6,000
5,800
6,240
6,460
(TJ※)
40,000
30,000
31,400
27,200
28,300
25,000
4,000
2,000
集計対象組織=
※ TJ:テラジュール。T(テラ)=1012
35,000
5,000
2,500
使用エネルギー
20,000
3,000
1,500
1,000
2,000
500
1,000
0
0
2001
2002
2003(年度)
15,000
10,000
5,000
2001
2002
2003(年度)
0
2001
2002
2003(年度)
研究開発
味の素グループは、
世界各地の研究拠点を中心に、
「健康」
「アミノ酸」
「環
境」をキーワードとした研究開発に取り組んでいます。研究開発費は、
年間約282億円(2003年度)にのぼり、
国内外で3,101件(2004年
3月末現在)の特許を保有しています。
環境保全活動
総製品量
集計対象組織=
(千トン)
1,500
廃棄物の再資源化量/最終処分量 集計対象組織=
(千トン)
2,000
1,176
再資源化量
1,664
1,600 1,531
200
900
1,200
150
600
800
1,111
集計対象組織=
(万t-CO2)
250
1,888
1,325
1,200
CO2排出量
191
195
2001
2002
213
100
最終処分量
300
400
50
120
0
2001
2002
2003(年度)
0
2001
89
2002
72
2003 (年度)
0
2003(年度)
総資産
集計対象組織=
株主資本
集計対象組織=
地域別の従業員数
集計対象組織=
2004年1月現在の正社員数
(億円)
10,000
9,000
8,401 8,645 8,717
8,080 8,289
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
1999 2000 2001 2002 2003(年度)
(億円)
5,000
4,280
4,500 4,056
3,810 3,911
4,000
3,617
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
1999 2000 2001 2002 2003(年度)
ヨーロッパ
1,800
アメリカ
2,700
日本
12,000
アジア
14,400
製 造
世界各地に製造拠点をもつ味の素グループは、
「各地域の暮らしや風土
に応じた事業を運営する」ことを基本としており、
製造活動においても、
原料の現地調達や現地の自然特性をふまえた資源の有効活用など、地
域に根ざした取り組みを推進しています。
IR活動
人材育成
配当額
集計対象組織=
品質管理
支払い税額
社会貢献
集計対象組織=
海外の非日本人役員比率
集計対象組織=
海外連結子会社の役員数に占める非日本人役員の率
(億円)
80
70
77
71
64
64
64
(億円)
300
288
265
264
250
60
36%
200
50
150
40
30
100
20
50
10
0
1999 2000 2001 2002 2003(年度)
0
2001
2002
2003(年度)
お客様の声(お問い合わせの内訳)
集計対象組織=
社会からの要望・要請
集計対象組織=
2003年度
賞味期間
21%
その他
21%
表示
1%
使用・保存方法
12%
環境
2%
包装容器
2%
取扱店
12%
栄養成分
3%
安全性
9%
原料・製法
8%
品種・価格
9%
● 情報開示の項目・量を、
より充実してほしい。
(格付機関)
● 容器包装の表示内容を見やすく、
わかりやすくしてほしい。
(お客様)
● 商品の寄付を今後も継続してほしい。
(社会福祉施設)
● アミノ酸研究のリーダーとして、健康増進により役立つ医
薬品を開発してほしい。
(医療機関)
● 技術移転をより積極的にしてほしい。
(海外政府・自治体)
販 売
味の素グループは、
食品をはじめ、
アミノ酸や医薬品など、
幅広い分野の
商品を販売しています。また、
古くから海外市場に進出し、
世界各地に販
売拠点を設けており、現地の人々の嗜好にあわせた商品開発など、地域
の生活習慣や食文化に根ざしたマーケティング活動を展開しています。
商品改善
集計対象組織=
● お年寄りをはじめ、視力の弱いお客様のご
要望に対応して、商品パッケージの表示の
色や文字の大きさを改善しました。
(「お粥
さん」)
● ユニバーサルデザインを取り入れ、容器の
キャップ(ふた)に凸凹をつけて、握りやす
い形状に改善しました。
(「ほんだし」 かつ
おだし65gワンタッチ瓶)
●「生産工場が知りたい」というご要望に応え、
生産工場名の記載を始めました。
(味の素
冷凍食品㈱)
社会貢献活動
集計対象組織=
● 2歳未満の慢性的栄養不良児を対象
とした基礎調査を行うとともに、
保健
従事者のトレーニングや母親に対す
る栄養教育などを実施しました。
(ペルー)
● 子供たちに 世界の多様性 に関心
をもってもらうことを目的に、
アジア
の国々の料理を体験する「食の探検
隊」プログラムを実施しました。
(日本)
● 修士課程の大学院生を対象に奨学金を支給しました。
(インドネシア)
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
13
味の素グループの研究開発
「食」と「健康」
「環境」
、
に貢献する
「技術立社」をめざして
アミノ酸は、太古の時代から地球に存在し、生命を支え
もつ健康維持・増進機能の発掘とメカニズム解明の研究
てきた最古の栄養成分です。味の素㈱は1909年、自然
を行い、科学的根拠にもとづいたまったく新しい健康関
界に存在するアミノ酸の一種であるグルタミン酸ナトリ
連の商品、医薬品の開発をめざしています。
ウムの工業生産に世界で初めて成功して以来、生命の源
このように、
「食」と「健康」に役立つ独自技術を開発
ともいえるアミノ酸の基盤研究、応用研究を通して用途
する一方で、味の素㈱は「環境」を重要な研究開発テー
開発を推進してきました。現在は、
アミノ酸を軸とした発
マに掲げています。発酵・バイオ技術を活かした効率的
酵技術と合成技術、生物評価技術で世界をリードする存
で環境負荷の少ない生産プロセス技術、廃棄物の削減や
在となっています。
省エネルギーを実現する生産技術の改善、生産活動を
アミノ酸の生体内での新たな役割や機能を解明する
なかで培った知見やノウハウは、健康・医薬分野などさま
ざまな事業に活かされています。たとえば健康分野では、
通じて発生する廃棄物・副生物の資源化技術の開発など
を進めています。
味の素㈱は、
これからも独自の研究開発を行い、
「食」
糖尿病や肥満など生活習慣病の予防や疲労回復を目的
と「健康」、そして「環境」に貢献する企業として、多様な
とした健康訴求型食品・素材の開発、特定保健用食品の
ステークホルダーの皆様とともに歩んでいきます。
開発を行っています。また、アミノ酸や天然素材などが
国内の研究開発体制
分社
コーポレートスタッフ
社長
●生産戦略部
●研究開発戦略部
提携事業
味の素グループは、将来を
見据えた幅広いテーマで最
先端の科学技術に挑むコー
ポレートラボ(ライフサイエ
ンス研究所、
健康基盤研究所)
調味料・食品
カンパニー
海外食品・アミノ酸
カンパニー
医薬カンパニー
●食品研究所
●商品開発センター
●アミノサイエンス研究所
●発酵技術研究所
●国際生産推進センター
●医薬研究所
コーポレートラボ
と、それぞれの事業領域に
●ライフサイエンス研究所
●健康基盤研究所
特化した商品・生産技術開
ビジネスサポート
がら研究開発を推進してい
究所が相互に協力し合いな
●知的財産センター
●生産技術開発センター
関係会社の研究開発組織
14
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
発を行う各カンパニーの研
ます。
事例紹介①
事例紹介②
伝統食の健康価値を商品化
「リーバクト顆粒」で大規模な市販後臨床試験を完遂
調味料や食品の研究開発を行う味の素㈱食品研究所では、
おい
味の素㈱は、多くの経験・ノウハウを有するアミノ酸関連技術を
しさにかかわる官能評価の仕組み、食に関する主婦の意識調査、
駆使した医薬品、医療用食品の開発を通じて、人々のQOL(生活
プロの調理人がもつ匠の技を解析して食品製造に応用する技術、
の質)の向上に貢献しています。医薬事業では、
輸液栄養透析分野、
生活習慣病の予防に役立つ食品成分の研究など、食材の配合・調
消化器病分野、生活習慣病分野を重点分野としており、なかでも
理技術にとどまらず、幅広い分野のテーマについて研究・開発を推
肝領域の分岐鎖アミノ酸製剤「リーバクト顆粒」は、医薬事業の主
進しています。
力商品となっています。
なかでも近年は、
「伝統食」の健康価値に注目しており、2003
「リーバクト顆粒」は、バリン、ロイシン、
イソロイシンという3つ
年6月には、納豆の「ネバ」の主成分であるポリグルタミン酸を用
の分岐鎖アミノ酸(BCAA)を配合した薬剤で、肝硬変による低ア
いて大切な骨をつくるカルシウムの吸収を促進する「カルバイタル」
ルブミン血症を改善します。肝硬変は、生命予後につながる重篤
を発売しました。ポリグルタミン酸には、多くのマイナスイオンが
な合併症を発生させることがありますが、1997年から2004年
含まれています。このマイナスイオンは、
3月までを試験期間として実施された市販後臨床試験(LTS試験:Long
カルシウムなどミネラルの吸収を高め、
Term Survival)では、
「リーバク
単にカルシウムを摂取するよりも高い
ト顆粒」投与群は、食事治療群と比
効果を示します。こうした効果が認め
べて、重篤な肝硬変合併症および
られ、
「カルバイタル」は厚生労働省よ
死亡の発現までの期間を延長する
り特定保健用食品としての表示許可
ことが確認されました。
を受けました。
味の素グループR&Dグローバルネットワーク
U.K.
●味の素ファーマシューティカルズ・
ヨーロッパ㈱
味の素グループは、世界各国に
Russia
●㈱味の素ジェネチカ・リサーチ・
インスティチュート(AGRI)
Belgium
●味の素オムニケム㈱
France
●味の素ユーロリジン㈱
技術開発センター(EBC)
U.S.A.
●味の素ファーマシュー
ティカルズUSA㈱
Japan
●●味の素㈱
China
●上海味の素食品開発センター㈲
●中国技術開発センター
した技術開発に積極的に取り組
んでいます。
●医薬開発三極体制
U.S.A.
●アメリカ味の素㈱
技術開発センター(TECUS)
Thailand
U.S.A.
●タイ味の素㈱
技術開発センター ●アメリカ味の素㈱
(T-TEC)
北米食品開発センター
Indonesia
●インドネシア味の素㈱
技術開発センター(I-TEC)
研究拠点や技術開発センター
を配置し、各地域の特性を考慮
●地域技術開発センター
●食品開発三極体制
●そのほか
Brazil
●味の素インテルアメリカーナ(有)
技術開発センター(CPD)
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
15
味の素グループの研究開発
事例紹介③
事例紹介④
植物の窒素利用効率の向上
生分解性プラスチックの原料素材の開発
世界人口は、
2030年には100億人にも達すると言われており、
味の素㈱発酵技術研究所は、三菱化学㈱と共同で、生分解性プ
これに対応する食糧を確保するために、現在、多くの地域で農作物
ラスチックの一種であるポリブチレンサクシネート(PBS)の原料
の栽培に化学肥料が大量に用いられています。その一方で、化学
となるコハク酸の製法開発(発酵法)を進めています。パートナー
肥料に含まれる窒素の量は、総固定窒素量を急激に増加させる最
である三菱化学㈱は、2003年4月から石油原料を用いたPBSの
大の要因となっており、生態系で循環できない余剰窒素が、地下水
製造、販売を始めていますが、
お客様の環境対応ニーズが 植物由
や湖沼の汚染、温室効果ガスの発生、地力の低下などの深刻な環
来 へとシフトしていることから、原料を切り替えることを目的とし
境問題をもたらしています。
て、味の素㈱がもつアミノ酸の製造技術を応用したPBSの原料、
こうしたなか、味の素㈱健康基盤研究所、
ライフサイエンス研究
所は、2002年、農林水産省の民間結集型アグリビジネス創出技術
コハク酸の製法について共同開発を進めています。
この開発テーマは、2004年度のNEDO(独立行政法人新エネ
開発事業に参画し、岡山大学・柳沢助教授とともに、
トウモロコシか
ルギー・産業技術総合開発機構)の「バイオプロセス実用化開発
ら単離された転写制御因子であるDof1遺伝子やカビのグルタミン
プロジェクト」の一つに採択されており、現在、開発はラボスケール
酸脱水素酵素遺伝子(GDH遺伝子)を導入することで、通常量の5
からベンチプラント(小型試験プラント)レベルへとステージアップ
分の1程度という極めて少量の窒素でも通常量の窒素を与えて栽
しています。2004年中に、研究開発の一環として、商業用プラン
培した作物と生育や収量が変わらないジャガイモを開発しました。
トでのコハク酸の試験製造も行う予定で、
ここで製造された植物
米国科学アカデミー誌ほか、世界中の科学雑誌や新聞などで環境
由来のコハク酸は、世界初の植物原料PBSとして2005年の愛
問題の解決に資するトピックスとして取り上げられました。
知万博で紹介される予定です。
生態系で処理できない窒素の蓄積
(指数)
200
総固定窒素量
150
窒
素 100
量
余剰窒素量
(環境問題)
生態系で循環可能な窒素量
50
化学肥料
0
1900 1910 1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000(年代)
Science, 294, 1268(2001)より改編
・周辺環境(河川、湖沼、地下水)の汚染と富栄養化
・土壌の生物学的多様性の喪失による地力の低下
・収穫物における硝酸の蓄積による人畜への健康被害
・土壌に残留する窒素に由来する温暖化ガスの発生
16
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
農業の
持続性への
挑戦
ポリブチレンサクシネート
(PBS)
とその加工例
第1章
社会のなかで
お客様とともに
安全・品質への取り組み
18
お客様とのコミュニケーション
24
取引先様とともに
公正・自由な取引のために
30
株主・投資家様とともに
資金調達の状況
32
株主資本の状況
32
配当政策
33
株主・投資家様とのコミュニケーション
34
社会的責任投資(SRI)
35
企業格付
35
地域社会とともに
社会貢献活動
36
グローバルプログラム
37
ローカルプログラム
40
財団による社会活動
42
従業員の社会活動
43
従業員とともに
人材の雇用
44
人材の登用・活用
46
教育・人事制度
48
安全で快適な職場づくり
51
労使関係
54
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
17
第1章 社会のなかで
お客様
とともに
お
客
様
と
と
も
に
安全・品質への取り組み
取
引
先
様
と
と
も
に
味の素グループ品質方針
独自の品質保証システム
「アスカ」を構築
理念
私たちは、安全で高品質な商品・サービスを通して、
味の素グループは、
「味の素グループ経営基本方針」
(→p4)
のなかで、
「つねに お客様第一 を心がけ、豊かな創造性
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
世界のお客様のよりよい生活に貢献します。
方針
1.私たちは、
お客様の要望に真摯に耳を傾け、
お客様に
とすぐれた技術により、安全で高品質な商品・サービスを提
社
会
の
な
か
で
供します」という事業姿勢を明記しています。また、
この姿
勢をもとに「味の素グループ品質方針」を制定し、独自の
満足いただける商品・サービスをお届けします。
2.私たちは、適切な情報を積極的に提供し、
お客様の信
頼にお応えします。
3.私たちは、安全性については妥協すること無く可能
品 質 保 証システム「 アスカ( A S Q U A )
:A j i n o m o t o
な限りの調査・研究を尽くし、関連する法規を遵守し、
常に一定品質の商品・サービスをお届けします。
System of Quality Assurance」によって厳格な品質
4.私たちは、国際標準であるISOの考え方を基本にし
管理を実施しています。
た味の素㈱品質保証システム【アスカ】で品質を保
「アスカ」は、ISO9001:2000※1やHACCP※2などの
地
域
社
会
と
と
も
に
証します。
国際的な品質保証の基準を満たしつつ、安全性や品質に
5.私たちは、経営のリーダーシップのもと、研究・開発か
かかわる味の素グループ独自の基準を取り入れた品質保
ら生産・物流・販売・サービスに至るまでの社員一人
一人が、安全で高品質な商品・サービスの提供に最善
証システムで、味の素グループ各社の経営者が責任をもっ
を尽くします。
てマネジメントすべきことが、明記されています。
※1 ISO9001:2000
品質マネジメントシステムに関する国際規格。国際貿易の円滑化をめざし、
世界共通の品質保証モデルとしてISO(国際標準化機構)
により制定された。
※2 HACCP
Hazard Analysis and Critical Control Point(危害分析重要管理点)。安
全な食品をつくるための衛生管理の手法のこと。
従
業
員
と
と
も
に
ISO9001認証取得状況(2004年8月現在)
対象
取得済み
未取得
味の素㈱(対象単位組織数)
28
22
6
国内連結子会社
29
17
12
海外連結子会社
42
18
24
品質保証システム「アスカ」
「アスカ」は、味の素グループの品質
保証のために、何を、
どのような方法で、
どこまで行うか を明示したシステムで
す。これを実現するために、
味の素グルー
プでは、ISO9001:2000やHACCP
地
球
環
境
の
た
め
に
メンバー以外の参加者
議長が認めた者
め、
システムに反映させています。
「ア
事務局
スカ」を活用することで、自主的な品質
開催頻度 原則2回/年度。必要な場合は
臨時に召集
からのご指摘・ご要望などをすみやかに
事業活動や商品、サービスの改善に活
かしています。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お客様
品質保証担当役員
などの基準とともに、独自の基準※を定
保証活動を推進するとともに、お客様
18
議長
メンバー ・広報部担当役付執行役員
・生産戦略部担当役付執行役員
・関係会社統括部担当役付執行役員
・カンパニープレジデント
・議長が指名するその他の
コーポレート役付執行役員
品質保証部
ご指摘・ご要望など
味の素㈱
品質保証会議
品質保証部
全社の品質保証規程
品質監査
カンパニー
品質監査
※品質監査基準、品質アセスメント基準、商品表示基準、
原材料の品質管理基準、食品包材の安全衛生基準、
製造委託品・購入品の品質管理基準、商品クレーム
対応基準、品質緊急対応基準、
など。
工場
各カンパニー(商品群)の規程
研究所
事業部
支社
その他
お
客
様
と
と
も
に
年間品質監査計画に沿った
厳格な品質監査を実施
万一の場合を想定した
商品回収の仕組みを整備
味の素グループは、年間品質監査計画に沿って、毎年、品
質監査を行っています。品質監査員は、品質保証部品質監
査グループを中心に、現在、11名の社員が任命されていま
す。
取
引
先
様
と
と
も
に
味の素㈱は、商品の安全性に関して、万一の場合を想定
した商品回収の仕組みを構築しています。
商品を担当する部門が品質にかかわる緊急情報(健康
への影響、法律違反など)を入手した場合は、味の素グルー
監査の結果は、半期ごとに「品質保証会議」
「経営会議」
プの品質緊急判断基準に照らして情報を評価し、対応する
に報告され、翌年の年間監査計画に反映されます。また、
必要がある場合は直ちに「品質緊急対応会議」を開催し、
重大な品質トラブルが発生した際には、臨時の品質監査を
対応方法などを討議、決定し、実施します。
実施します。
社
会
の
な
か
で
2003年度は、11月に味の素㈱が委託生産している「ス
2003年度は、
「アスカ」に定めた品質要求事項に対す
リムアップシュガー」スティック50本入り
(賞味期限2005
る適合性の評価を主眼に、専任の品質監査員5名が、延べ
年9月10日)の一部で、アスパルテームがコーティングさ
375日にわたって味の素グループの品質保証および品質
れたグラニュー糖(「スリムアップシュガー」)を包装すると
保証管理にかかわるほぼすべての組織を監査しました。
ころ、工程上のミスにより、
グラニュー糖のみを包装した商
品質監査の結果、多くの組織がISO9001の認証取得に
品が流通していたことが判明しました。当該商品は、健康に
積極的に取り組むなど評価できる点もありましたが、一部
危害をおよぼすものではありませんでしたが、パッケージ
組織において原材料サプライヤーや製造委託先などに対
裏面の原材料名表示と合致していないため、市場から自主
する管理が不十分なことが判明しました。
回収しました。なお、
グラニュー糖のみが包装された袋数は、
2004年度は、
これら課題の改善状況の検証を行います。
製造ナンバーから約400袋と推定しましたが、対策を徹底
とくに、課題が多い組織に対しては複数回の検証を行い、
するために同日包装した11,480袋全数を回収対象とし
指導を徹底していきます。一方、品質マネジメントシステム
ました。
地
域
社
会
と
と
も
に
の構築が進んでいる組織に対しては、2〜3年に一度とす
るなど、対象組織の品質保証のレベルに応じた監査を行っ
ていきます。
品質監査の実施状況(2003年度)
(組織数)
「スリムアップシュガー」の包装ラインにおいて、
誤ってグラニュー
糖のみが包装されたのは、委託先の商品であるグラニュー糖
実施数
47
41
3
3
国内連結子会社
17
16
海外連結子会社
31
25
味の素㈱は、製造委託先に対して緊急監査を行い、従来か
合計
98
85
ら実施している作業開始前の作業日誌と洗浄記録の確認に
分社
従
業
員
と
と
も
に
「スリムアップシュガー」誤包装の
再発防止対策について
計画数
味の素㈱
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
100%のスティックシュガーから「スリムアップシュガー」に生産
品目が変更になる際に、切り替え確認が徹底されていなかった
ことが原因でした。
地
球
環
境
の
た
め
に
加え、①包装ラインの目視チェックを複数人で行う、②通常の
規格分析に加え、生産品種変更時には必ず確認分析を行い、
包装した製品の内容物を検証する、
など作業手順および品質
管理体制の見直しを行い、再発防止を徹底しました。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
19
第1章 社会のなかで
お客様
とともに
お
客
様
と
と
も
に
取
引
先
様
と
と
も
に
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
原料調達の専門会社を設立
トレーサビリティシステムの
構築に向けて
味の素冷凍食品㈱は、2003年11月、原料から商品まで自ら
の力で「安心品質」を実現するために、100%出資の新会社、
BSE問題や食品偽装表示事件など、食品の安全・安心に
FFAインターナショナル㈱(FFAI)
を設立しました。
対する消費者の信頼が揺らいでいます。こうしたなか、味
社
会
の
な
か
で
FFAIは、原料段階までさかのぼった「おいしさ、安心・安全」
の素グループは、
生産・加工・流通などの各段階で原材料(主
を確保していくために、野菜、畜肉(鶏肉、豚肉、牛肉)、
エビ、
す
原料、副原料、包材など)の出所や製造工場、販売先などの
り身、乳製品などの戦略原
記録を記帳・保管し、必要に応じて商品の履歴情報を速や
料の調達を中心に、味の素
かに追跡・調査できるようにするトレーサビリティシステム
冷凍食品㈱の商品開発に
必要なさまざまな原料・半製
の構築に取り組んでいます。
品・製品の開発・輸入業務
現在、味の素㈱では、直接仕入先に対して原料遡及性、
を行っていきます。
工程遡及性、製品追求性の3点を確認する体制を整えてお
FFAI設立時の記者会見
り
(→下図参照)、今後は直接仕入先にとどまらず、
サプライ
チェーンのより上流にまで対象を広げながら、
記録情報の質・
量の拡充を図っていく方針です。
地
域
社
会
と
と
も
に
トレーサビリティフロー図
サプライチェーンのさらに上流に対象を拡大
直接仕入先
原料供給
味の素㈱
生産・加工
流通
消費者
原料供給
原料遡及性
トレーサビリティ
従
業
員
と
と
も
に
工程遡及性
トレーサビリティ
製品追求性
トレーサビリティ
原料遡及性
トレーサビリティ
生産・加工
工程遡及性
トレーサビリティ
流通
製品追求性
トレーサビリティ
Voice
安全性や品質を高める新しい技術を習得し、
品質保証のレベルアップに取り組みます。
タイ味の素冷凍食品㈱
商品開発部品質管理課
担当マネージャー
Ms.Jirapa Lertkasempanit
地
球
環
境
の
た
め
に
異物などを完全に取り除く作業は、
鮮度を保つ理想的な低温
環境で行い、取り残しがないことを一つひとつ指先で確認し
ています。また、野菜の安全性を確保するために、調達先は
当社が栽培手順を確認した農家だけに絞っています。
私たちタイ味の素冷凍食品㈱では、確かな品質保証のた
めに原料の選定や工程管理を重視しています。
たとえば鶏肉は、
契約業者から、
トウモロコシや大豆など植
物性の飼料だけで育てた鶏を仕入れています。鶏の骨や羽、
20
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
これからも、
さまざまな原料や工程の安全性および品質を
高める新しい技術を習得し、
人々の豊かな生活に貢献できる
よう努力し続けていきます。
お
客
様
と
と
も
に
トレーサビリティ事例
取
引
先
様
と
と
も
に
「塩ゆでえだまめ」
味の素冷凍食品㈱の「塩ゆでえだまめ」で使われている枝豆は、中国福建省厦門(アモイ)市にあ
る自社管理農場で栽培され、アモイ味の素ライフ如意食品有限会社※で製造されています。同社
では、味の素冷凍食品㈱の基準にもとづき、同社の現地従業員が種まきから栽培方法までを指導
するほか、栽培管理、集荷、製品化に至るすべての工程を徹底して管理しています。
畑から製品履歴を確認
管理農場
アモイ味の素ライフ如意食品有限会社
社
会
の
な
か
で
アモイ如意集団有限会社
A農場
農場番号を
つけて管理
栽培履歴の保管
B農場
栽培履歴の保管
C農場
栽培履歴の保管
畑
ご
と
に
納
品
受け入れ
加工
自主
検査
受け入れ
加工
自主
検査
受け入れ
加工
自主
検査
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
出荷
地
域
社
会
と
と
も
に
自主管理農場
加工の様子
従
業
員
と
と
も
に
※ アモイ味の素ライフ如意食品有限会社
味の素冷凍食品㈱が、冷凍野菜を中心とした食品の製造、輸入、販売を行うライフフーズ㈱と、中国・廈門の自営農場で堆肥づくりから種苗、栽培までを手が
けるアモイ如意集団有限会社と合弁で設立した冷凍野菜、野菜原料の生産会社。
BSE問題、残留農薬問題への
取り組み
また、残留農薬の問題については、原料として使用する
野菜の安全性確保のために、2003年2月、中国に「上海
味の素食品研究開発センター(有)」を立ち上げ、各現地法
BSE問題について、味の素グループでは、牛由来原料を
使用している全商品を調査し、厚生労働省が定めた使用禁
人での検査とは別に、
センター独自の自主的な検査体制を
地
球
環
境
の
た
め
に
整備し、継続的に管理体制の強化に取り組んでいます。
止原料を使用していないことを確認しています。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
21
第1章 社会のなかで
お客様
とともに
お
客
様
と
と
も
に
取
引
先
様
と
と
も
に
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
品を対象に、表示が推奨されている19品目をすべて表示
ユニバーサルデザインを取り入れ、
適切な表示を見やすく、わかりやすく
していく計画です。 味の素グループでは、
これらの表示
だけでなく、商品購入や使用・廃棄の際に役立つ各種の情
味の素グループは、食品衛生法やJAS法、健康増進法、
景品表示法、資源有効利用促進法などの法律を遵守し、一
社
会
の
な
か
で
報(商品特性、使用の目安、調理方法、分別方法など)を積
極的に掲載しています。
括表示(品名、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、製造
パッケージデザインにあたっては、ユニバーサルデザイ
者または販売者)、栄養成分表示、容器包装の識別表示お
ン※を取り入れ、表示や説明の見やすさ・わかりやすさ、開
よび材質表示など、商品パッケージに適切な表示を行って
封のしやすさを追求しています。
います。また、2002年4月からは、表示が義務づけられた
※ ユニバーサルデザイン
「すべての人のためのデザイン」を意味し、年令や体格、身体的能力の違いに
かかわらず、
できるだけ多くの人が利用しやすいようにデザインすること。
小麦、乳、落花生、卵、そばのアレルギー物質5品目につい
て表示しているほか、2004年度中にはすべての家庭用商
パッケージ表示例 「味の素KK コンソメ」固形21個入り
一括表示
地
域
社
会
と
と
も
に
切り取りやすい
ベルマーク
賞味期限
従
業
員
と
と
も
に
容器の包装材質
および識別表示
調理方法
栄養成分表示
お客様の関心の
高い情報の提供
ユニバーサルデザインを取り入れた容器包装改善事例
「味の素KK コンソメ」固形
点線を入れる
ことで、切り方
をわかりや す
く説明
地
球
環
境
の
た
め
に
「ほんだし」かつおだし
65gワンタッチ瓶
表面に開封方
法および保存
方法をわかり
やすく図解
・キャップ側面に凸凹をつけることで握
りやすく、
開栓が楽にできます。
・
「中華あじ」と側面形状を変えることで、
視覚に頼らず商品の識別が可能です。
「ほんだし」かつおだし 「中華あじ」
22
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
食品添加物、GMO(遺伝子組換え作物)の活用、表示について
食品添加物は、味をよくし、香りを高め、栄養を強化すること
性を十分に確認したうえで活用することがあるべき姿と考えて
で豊かな食生活を実現するほか、加工性や保存性を高めること
います。また、
コンタミネーション(混入)が問題となった未承認
で、食料資源の流通や有効活用を促すという重要な役割を担っ
GMOについては、
自社内で検出する技術を確立しています。
ています。食品添加物の歴史は、食材をそのまま食べることから
近年、
『○○無添加』
『遺伝子組換え作物を使用していませ
始まり、
もっとおいしく、安全に、便利に、調理や保存の工夫を
ん』などのキャッチフレーズを表示した加工食品が増えています。
重ねてきた食文化の歴史でもあります。これら食品添加物は、
味の素グループでは、
これらのキャッチフレーズは、
お客様に対
多くの人々の口に入るものであり、各種の厳しい安全性試験
して、安全性が確認されている食品添加物や承認済みGMO
が行われ、
その安全性が確認されていることから、味の素グルー
に疑問を抱かせる紛らわしい表現となることから、食品添加物
プでは、商品の開発・製造にあたって、適切な食品添加物を使
やGMOを使用していない商品であっても、品質保証システム「ア
用し、
その内容を表示しています。
スカ」の「商品表示基準」にもとづき、
『○○無添加』
『遺伝子
また、GMO(遺伝子組換え作物)に関しては、食品の生産
取
引
先
様
と
と
も
に
社
会
の
な
か
で
組換え作物を使用していません』などの表示を行っていません。
性の向上に寄与し、食料問題や環境問題などに果たす役割も
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
大きい技術成果であることから、食品メーカーとして、
その安全
味の素グル ープ 早
Q
A
地
域
社
会
と
と
も
に
わ か り 1
味の素グループは、
「味の素」以外に
どんな製品をつくっているのですか?
&
「ほんだし」などの調味料、スープ、マヨネーズ、冷凍食品のほか
医薬品や化成品、飼料用アミノ酸など、多彩な製品を製造・販売しています。
味の素㈱は、1909年に世界で初めてアミノ酸の工業的
に飼料用アミノ酸事業を開始しました。また、同時期にアミ
生産に成功し、独創的な調味料「味の素」を発売しました。
ノ酸ペプチドの合成法の研究を進め、甘味料事業に参入し
以来、
アミノ酸の可能性を探求することで、事業領域を拡大
ました。
しています。
従
業
員
と
と
も
に
これらアミノ酸の研究を推進しながら事業を拡大する一方
たとえば、1935年には、当時「味の素」の製造原料として
で、味の素㈱は、積極的な提携や企業買収を通じてスープや
使用していた大豆から取り出した大豆油を商品化し、油脂
マヨネーズ、冷凍食品などの幅広い分野へ事業を展開してい
事業をスタートしました。また、1950年代には、小麦や大豆
ます。
のたんぱく質から各種アミノ酸を結晶のかたちで取り出す技
地
球
環
境
の
た
め
に
術を開発し、医薬用アミノ酸を製造・供給する医薬事業を
開始しました。さらに、
グルタミン酸やその副生産物の利用
食品
化成品
甘味料
研究から化成品事業が生まれました。その後、
1960年代には、
一般飼料に不足しがちなアミノ酸を添加することで家畜の
成育を向上させる手法が確立したことから、1965年
飼料用アミノ酸
医薬品
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
23
第1章 社会のなかで
お客様
とともに
お
客
様
と
と
も
に
お客様とのコミュニケーション
取
引
先
様
と
と
も
に
生活者に関わる情報センター、
「コンシューマー・コミュニケーション・センター」
味の素㈱は、2003年7月、CS(顧客満足)のさらなる
向上を図るために、
「コンシューマー・コミュニケーション・
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
お客様の声(2003年度)
ご感想
1%
ご要望
7%
ご指摘
13%
ご提案
1%
お問い合わせ
79%
センター(C.C.C.)」を開設しました。
社
会
の
な
か
で
C.C.C.は、お客様相談センター、生活者情報担当、料理
情報担当という3つの部門で構成され、生活者全般にかか
わる情報センターとして、
「お客様の声」をはじめ、生活者
お問い合わせ
内訳
の意識・行動に関する情報、
食にかかわるオピニオンリーダー
や研究者の意見などを幅広く収集・解析し、ホームページ
や各種の広報誌を通じて社内外に発信しています。また、
地
域
社
会
と
と
も
に
これらの情報をもとに、経営者や事業部門への的確な提言
を行い、 生活者の今 を経営に反映する原動力となること
をめざしています。
年間約5万件の「お客様の声」を
商品やサービスに反映
その他
21%
表示
1%
環境
2%
包装容器
2%
栄養成分
3%
原料・製法
8%
賞味期間
21%
使用・保存方法
12%
取扱店
12%
安全性
9%
品種・価格
9%
味の素㈱お客様相談センターでは、 迅速、正確、親切
従
業
員
と
と
も
に
をモットーに、年間約5万件にのぼるお客様のお問い合わ
せやご指摘・ご要望に対応しています。
同センターでは、寄せられたご指摘・ご要望をもとに、商
品やサービスの課題を抽出し、担当事業部門にその改善提
言を行い、事業部門、研究部門、生産部門とともにお客様の
立場に立った商品・サービスの改善、開発に取り組んでい
ます
お客様相談センター
0120-688181
2003年度は、米国でのBSEの発生、東南アジアや国内
地
球
環
境
の
た
め
に
での鳥インフルエンザの発生により、2002年度に引き続
き「安全性」
(9%)や「原料・製法」
(8%)へのお問い合わ
せを数多くいただきました。また、容器の分類方法やリサ
イクル方法をはじめとした「環境」に関するお問い合わせ
お客様の声を読みこむ会議
は741件と、前年比124%に増加しており、
「環境」への
関心が一層高まっていることがうかがえます。
24
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
お客様の声を反映した商品開発・改善事例
「お粥さん」の表示を見やすく改善
お粥という商品の特性上、
とくにお年を召し
た方から「調理方法」や「栄養成分」について
のお問い合わせをいただいていました。そこで、
2004年2月から、文字の色や大きさをより見や
お客様相談センターを推進役に
全社をあげてCS(顧客満足)を追求
取
引
先
様
と
と
も
に
従業員全員がCS(顧客満足)意識をもった企業 とな
るために、味の素㈱では、2003年度から「お客様相談セ
ンター」が推進役となり、CS啓発活動を実施しています。
「一日お客様相談センター
すいデザインに改訂しました。
実習」は、その一つです。こ
の実習は、
さまざまな部門の
社
会
の
な
か
で
従業員が実際にお客様の声
を聞き直に話すことで、CS
一日お客様相談センター実習
の重要性や意識の向上を図るもので、2003年度は中堅
改訂前
改訂後
「パルスイート」120g・200gでジッパーを採用
「パルスイート」120g・200gについて、開封した後の保存の
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
社員約80名が参加しました。
また、味の素㈱では、CSに関して蓄積した知見を活かし
て、大学・高校などの教育機関やグループ会社において、
仕方について多くのご要望が寄せられました。そこで、袋の開
CSをテーマとした講演・講義を行っており、2003年度は
封口にジッパーをつけ、保存しやすくしました。
社外に対して11回、
グループ会社を対象に13回の講演を
地
域
社
会
と
と
も
に
行いました。
ジッパー
「消費者重視経営の評価」において
「総合評価A」にランクされました
味の素㈱は、消費者団体4団体が2004年3月から4月にかけ
商品パッケージに生産工場名を記載
味の素冷凍食品㈱は、
お客様から多く寄せられた生産場所
のお問い合わせに対応して、商品パッケージの裏面に生産工
従
業
員
と
と
も
に
て食品産業154社を対象に行った「消費者重視経営の評価
「総合評価A」の7社のうちの1社に選
アンケート」※において、
ばれました。
場名(自社工場・グループ工場・協力工場)
を記載し始めてい
評価されたのは、
「製品・商品の安全性確保」
「製品・商品
ます。また、
あわせて「工場へ行ってみよう」というホームページ
の地球環境保全への配慮」
「製品・商品・サービスの的確な
のコーナーを設けて、
「エビシューマイ」や「ギョーザ」などの製
情報開示と十分な説明」
「コンプライアンス経営推進のための
造工程を紹介しています。
体制整備」の項目で、
いずれもA評価を受けました。この評価に
甘んじることなく、今後もお客様とのコミュニケーションを反映し
た取り組みを推進していきます。
地
球
環
境
の
た
め
に
※「消費者重視経営の評価アンケート」
主婦連合会、(社)全国消費生活相談員協会、
日本消費者連盟、全国消費者
団体連絡会の4つの団体が共同で行ったアンケート調査。4団体のメンバー
と学識者・弁護士・専門家で構成する「消費者重視経営の評価委員会」が、
①経営トップのコミットメント
(リーダーシップ・関与)、②自主行動基準の有無
とその公開、③消費者重視の主な対策、④コンプライアンス経営のための組
織体制、
などを総合的に評価する。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
25
第1章 社会のなかで
お客様
とともに
お
客
様
と
と
も
に
アミノ酸研究を通じて蓄積した
知見やノウハウを、多くの人々に発信
取
引
先
様
と
と
も
に
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
など社外の方々に積極的に公開し、多くの人々に質の高い
食生活を提供できるよう努めています。
また、 食 と 健康 に関する最新情報を広く消費者の
味の素㈱は、アミノ酸研究のパイオニアとして蓄積して
皆様にお届けするとともに、商品やサービスの改善につな
きた知見やノウハウを活かして、アミノ酸の有用性や商品
げていくために、ホームページを活用した双方向のコミュ
の安全性にかかわる情報をオピニオンリーダーや研究者
ニケーションに力を注いでいます。
国内外のオピニオンリーダー、
研究者などへの情報発信
社
会
の
な
か
で
味の素㈱は2003年度、以下の情報発信活動を行いました。
セミナー、
ワークショップ、見学会の実施
メディアの発行
●アミノ酸と食・栄養、食の安全に関する最新情報の提供
●食と健康の学術情報誌「Ajico News」
1973年創刊、
年4回(3、
6,
9,
12月)発行。
●東南アジア、米国、南米などにおけるうま味調味料の安全性
オピニオンリーダーや学校関係者、研究
および有用性についての理解促進
者を中心とした約10,000人の読者を対
●食と健康、
うま味調味料の安全性についての学会でのワー
地
域
社
会
と
と
も
に
象に、
食と健康に関する学術情報をはじめ、
クショップ、
ブース展示
味の素㈱のトピックスや取り組みについ
●メディア関係者を対象にしたアミノ酸に関する基礎知識、最
て紹介しています。
新の研究情報の提供
●グルタミン酸やうま味調味料、食品添加物に関する理解促進・
「Ajico News」
●うま味調味料を使った料理の紹介
啓発など
[国際グルタミン酸情報サービス
(IGIS)、
日本うま味調味料協会、
日本食品
添加物協会と共催]
簡単でおいしいレシピだけ
ではなく、
「うま味」について
●東南アジアからの留学生を対象とした研究所・工場見学
の基礎知識、
うま味調味料
従
業
員
と
と
も
に
を上手に使うコツなどを紹
介しています。
「日本のうま味めぐり」
「UMAMIの簡単アイデアレシピ」
ホームページにおける情報発信
メディア関係者を対象としたセミナー
シンガポールにおける栄養士向けセミナー
●ホームページ「食の安全・安心への取り組み」
「味の素グループ品質方針」
をはじめ、最近話題になってい
地
球
環
境
の
た
め
に
る食品の安全・安心について
の情報を通して、
味の素グルー
プの安全・安心への取り組み
について紹介しています。
留学生を対象とした研究所・工場見学
26
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
京都におけるシェフと味覚生理学研究
者との座談会
ホームページ「安全・安心サイト」
URL http://www.ajinomoto.co.jp/company/
お
客
様
と
と
も
に
お客様をはじめ、幅広い方々への情報発信
取
引
先
様
と
と
も
に
味の素㈱は、以下のホームページを運営し、小冊子を発行しています。
お客様とのひろば
URL http://www.ajinomoto.co.jp/hiroba/
レシピ大百科
URL http://www.ajinomoto.co.jp/recipe/
お問い合わせをもとに、お客様の関
10,000以上ものレシピや料理の基礎
心の高い話題を、
「お問い合わせとQ&
知識を提供するお役立ちサイトです。お
A」
「お客様の安全・安心をめざして」な
客様の疑問にお答えする質問コーナー
どのコーナーで情報提供しています。ま
も設けています。
た「お客様の声に学びました」では、
お
客様の声によって改善された事例を紹介しています。
あしたのあんしん読本
社
会
の
な
か
で
主要製品の 自然の恵みを活
アミノ酸大百科
URL http://www.ajinomoto.co.jp/amino/
かした製法 をイラストでわかりや
一般消費者から専門家まで、幅広い
すく説明するなど、味の素グループ
方々にアミノ酸に関する情報を多角的
の安全・安心と環境への取り組み
な切り口で平易に解説しています。
を紹介しています。
味の素グル ープ 早
Q
A
わ か り
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
地
域
社
会
と
と
も
に
2
うま味調味料の安全性・有用性とは?
&
うま味調味料の主成分であるグルタミン酸は、
料理のうま味を増すとともに国内外の厳しい試験によって安全性が認められています。
うま味調味料とは、
「料理のうま味(こんぶのうま味、
かつ
あるグルタミン酸ナトリウムなどは食品衛生法で食品添加物
おのうま味、
しいたけのうま味など)
を増す調味料」
(総務庁〈現
と分類されており、厳しい安全性試験によってその安全性
総務省〉)
「日本標準商品分類」記載)です。以前は商標
が認められています。これは日本国内だけに限りません。
である「味の素」との混同を避けるために「化学調味料」と
FDA(米国食品医薬局)、JECFA(国連の国際食糧農業
呼ばれていたこともありますが、現在は上記のような特徴を
機構FAOと世界保健機構WHOによる食品添加物専門家
表す「うま味調味料」という用語が使われています。
委員会)やEUの食品科学委員会といった国際機関におい
うま味調味料は、
サトウキビなどを原料にして、微生物の力
従
業
員
と
と
も
に
ても安全性が確認されています。
を使った発酵法によってつくられています。主成分は、
アミノ
うま味調味料は、料理にうま味を与えるだけではなく、素材
酸の一種であるグルタミン酸で、
これは私たちの身体や、肉・
の持ち味を引き立てたり、味をととのえたり、
また減塩料理を
野菜などのすべての食品に含まれており、天然に存在する
おいしく食べるのにも役立ちます。味の素㈱では、
これらの
グルタミン酸も微生物の発酵作用を用いて生産されるグル
機能を活かした多くのレシピを紹介してお客様の理解を深
タミン酸もまったく同じものです。また、
うま味調味料で
めていただいています。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
地
球
環
境
の
た
め
に
27
第1章 社会のなかで
お客様
とともに
お
客
様
と
と
も
に
お客様情報の保護
取
引
先
様
と
と
も
に
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
「セキュリティルーム」での情報管理
味の素㈱では、
プレゼントキャンペーンにご応募いただいたお
客様情報など、大量の個人情報を適切に運用・管理するために、
味の素グループでは、情報管理に関する基本的考え方を
「セキュリティルーム」を設置しています。セキュリティルームへ
「味の素グループ行動規範」
(→p4)に定めるほか、2003
の入退室時には、生体認証システムによる本人確認を実施し
年6月には、
お客様情報をはじめ、
各種の情報の取り扱いルー
ており、許可された従業員だけがシステムの運用を行うことがで
ルをQ&A方式で解説した「会社情報取扱いガイドブック」
きます。
を発行するなど、情報セキュリティ活動の重要なテーマの
一つとしてお客様情報の保護に取り組んでいます。
社
会
の
な
か
で
これらの取り組みを土台に、2004年4月には、社内情報
やお客様からお預かりした情報を責任をもって管理し、適
切に保護することを目的に、5つの基本方針からなる「味の
素グループ情報セキュリティポリシー」を定め、
グループ全
体に徹底しました。また、
味の素グループ各社は、
このポリシー
にもとづく「情報取扱規程」
「各種基準ガイド」を制定し、
日々
地
域
社
会
と
と
も
に
の適切な情報取り扱いを実現しています。
生体認証システムによる本人確認
Voice
各種情報の「取扱規程・ルール」
と
「情報技術」の両面から
セキュリティシステムとしての管理レベルの向上をめざしています。
味の素㈱
コーポレート情報戦略部
専任部長
従
業
員
と
と
も
に
半井 孝一
こうしたなか、味の素グループでは、2005年4月に施行
される個人情報保護法に先がけて、2004年4月に「味の素
グループ情報セキュリティポリシー」を定めました。また、7
月には「個人情報保護法対応小委員会」を設置し、
お客様か
地
球
環
境
の
た
め
に
28
日々の暮らしや社会生活におけるITの有用性が広く認識
らお預かりしている情報一つひとつについて個人情報管理
され、活用される一方で、その網羅性やスピードが逆にシス
台帳を作成しながら管理体制の総点検を実施しました。さら
テムトラブルの大型化や情報漏洩の頻発などのリスクの増
に、個々の情報の取り扱いルールだけでなく、情報技術の面
大を招いています。企業活動においても、営業やマーケティ
からもセキュリティを高めています。
ング、購買、生産、流通に至るサプライチェーン全般にわたっ
事業活動にともなう情報量が年々増大するなか、
味の素グ
て情報化が進んでおり、
これら多様かつ大規模なリスクに対
ループでは、情報セキュリティポリシーにもとづき、今後も規
応するためには、個々の対処療法ではなく、総合的な施策が
程・ルールと情報技術の両面から、
システムとしての管理レ
必要になっています。
ベルの向上をめざしていきます。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
情報取扱ルールの体系
Ajinomoto Group Principles
味の素グループ 行動規範
4.情報管理
取
引
先
様
と
と
も
に
味の素グループ行動規範
4.情報管理
私たちは、事業、技術、研究、商品開発、営業、
財務、人事等の各種の専有情報について、その
重要性をよく理解し、
機密保持に留意します。また、
内部情報の不正使用は行いません。
味の素グループ
情報セキュリティポリシー
社
会
の
な
か
で
味の素グループ
情報セキュリティポリシー
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
目的
私 た ち 味 の 素グ ル ー プは 、 「 A j i n o m o t o
Group Principles」に定められた理念、経営方
針、行動規範にもとづき、社内の情報はもとより、
地
域
社
会
と
と
も
に
お客様、取引先等外部からお預かりした情報も含
情報取扱規程
情報取扱規程
めて責任を持って管理し、適切に保護します。
私たち味の素グループは、情報の不正な利用
を防止し、常に内容の正確さを保ち、活用できる
各種基準ガイド
各種基準ガイド
状態にするため、 ここに情報取扱に関する基本
味の素㈱
グループ会社
リティポリシー」として定めます。
的考え方をまとめ、「味の素グループ情報セキュ
味の素グループ(味の素および連結子会社)の
全構成員は、本ポリシーを理解し、遵守します。
従
業
員
と
と
も
に
基本方針
①私たちは、情報の取扱にあたり、ルールを明確
にし、適切な管理を実施します。
②私たちは、情報の盗用、改ざん、破壊、利用妨
害などが発生しないように技術的施策を講じ
ます。
③私たちは、常に一人ひとりが情報セキュリティ
について十分な知識を持つように努めます。
④私たちは、
セキュリティ上の問題が発生した場合、
その原因を迅速に究明し、その被害を最小限
に止めるように努めます。
「会社情報取扱いガイドブック」
地
球
環
境
の
た
め
に
⑤私たちは、以上の活動をグループ全体で継続
的に実施し、情報セキュリティ向上に努めます。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
29
第1章 社会のなかで
取引先様
とともに
お
客
様
と
と
も
に
公正・自由な取引のために
取
引
先
様
と
と
も
に
ガイドラインを策定し、
独占禁止法の遵守を徹底
味の素グループは、
「決められたルールによる品質や能
率面での健全な競争が企業を成長させる」という考えから、
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
社
会
の
な
か
で
地
域
社
会
と
と
も
に
重要なパートナーとして
取引先様をサポート
味の素グループは、
「味の素グループ行動規範」において、
原材料、商品、サービスの購入先や業務委託先の選定など
「味の素グループ行動規範」
(→p4)において、
「公正、自
取引の開始にあたっては、
どの取引先様とも常にオープン
由な取引」
「公正な購買取引」という項目を設けています。
に接することはもちろんのこと、購買担当者個人の好みや
この項目では、公正・自由な取引を維持するために、世界
会社の利益と無関係な要素で決定するのではなく、取引先
各国が独占禁止法を設け、不当な取引制限行為を厳しく規
様の経営内容や信頼性、技術力、実績などを踏まえ、価格、
制していること、
したがって味の素グループは各国の法令
品質、サービスなどの条件を公正に比較して決定すること
を十分に認識し、違法となる行動をしないよう自ら律して
を定めています。
いくこと、
などを明記しています。また、別途「味の素グルー
これらの決定を自主的かつ総合的に判断するために、味
※を定め、
国内だけでなく、海外
プ独禁法遵守ガイドライン」
の素グループでは各組織ごとに詳細な「内規」を定めてい
での取引やその留意事項、また違反行為への罰則などの
ます。また、
取引開始後も下請法を遵守することはもちろん、
詳細を記し、法令遵守を徹底しています。
組織ごとにOJTでバイヤー教育を行うなど、公正な購買取
さらに、
「味の素グループ行動規範」では、独占禁止法遵
守のほか、適正な交際・儀礼などについても定めており、各
事業部門で詳細な内規を定め、徹底を図っています。
引の継続に努めています。
また、味の素グループは、原料のサプライヤーや商品の
製造委託先などの取引先様は、 味の素グループの重要な
パートナー であるという視点に立ち、味の素グループの
品質に関する要求事項の共有化を図る勉強会や情報交換
従
業
員
と
と
も
に
会「原料サプライヤーミーティング」などを開催しています。
2003年度は原料サプライヤーミーティングを10回実
施し、延べ254社、約400名の参加を得て、
クレームの内
容やトレーサビリティの考え方、要求事項の詳細について
説明するとともに意見交換を行いました。
さらに、サプライチェーンマネジメントの観点から、年度
監査計画に沿って品質監査を実施し、取引先様の品質レベ
※「味の素グループ独禁法遵守ガイドライン」
基本方針として、
「独占禁止法の基本的目的は、公正で自由な競争を促進し
消費者の利益を確保することです。味の素グループは、
自由経済システムを
支持する立場から、
このような独占禁止法の精神を尊重し、
その諸規定を遵
守する」旨を述べている。また、違反行為に関しては、公正取引委員会からの
制裁、刑事罰、損害賠償だけでなく、本人への処分も記載している。
地
球
環
境
の
た
め
に
30
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
ルの向上をサポート、管理しています。
お
客
様
と
と
も
に
2003年度は、調味料・食品カンパニーにおいて、製造
味の素グループの品質に関する要求事項
委託先38社42工場中32工場、原料メーカー30社31工
場、購買部において包装材料メーカー21社23工場の品
質監査を実施しました。今後は、監査結果や品質事故の有
無など個々の取引先様の状況によって監査の頻度を変え
取
引
先
様
と
と
も
に
味の素グループの品質管理システム「アスカ」
(→p18)にお
いて、
「原材料の品質管理基準」
「製造委託品・購入品の品質
管理基準」
を定めており、
それぞれについて以下の要求事項を満
たすことをサプライヤーや製造委託先の選定基準としています。
るなど、対象ごとに工夫を凝らしていく方針です。
味の素グループでは、
これら品質面とともに、
「味の素グルー
プ環境基本方針」にもとづくサポートも行っており、
将来は取
引先様のコンプライアンスや人権、
労働環境など社会性につ
①品質に関するマネジメントシステムを構築すること
(品質に関する責任体制を明確にすること)
②製造施設の衛生管理を適切に行うこと
社
会
の
な
か
で
③法規を遵守すること
いても監査項目に含める予定です。
④監査受け入れなど情報開示を十分にすること
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
原料サプライヤー様の品質管理事例
原料調達段階からの厳しい品質管理により、良質な原料を供給いただいています。
事例1)
事例2)
かつお節加工メーカー様
トウモロコシ栽培契約農家様
「ほんだし」かつおだし
かつお節の素材選び
静岡の焼津、鹿児島の枕
崎などで水揚げされたかつ
おのなかから、
かつお節に最
適な脂肪の少ない良質なか
つおだけを厳選しています。
地
域
社
会
と
と
も
に
「クノール カップスープ」
コーンクリーム
コーンの生育管理
コーンは、
「クノール」専
用の畑で育成され、種
まきの段階から栽培の
記録が管理されていま
す。
従
業
員
と
と
も
に
かつお節の加工
徹底した品質・衛生管理体制のもとでかつ
お節に加工されます。
コーンの収穫
コーンが最も甘くなる頃
を逃さずに収穫し、収穫
したその日のうちにコー
ンパウダーに加工されま
す。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
地
球
環
境
の
た
め
に
31
第1章 社会のなかで
株主・投資家様
とともに
お
客
様
と
と
も
に
資金調達の状況
取
引
先
様
と
と
も
に
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
株主資本の状況
資金需要に応じた資金調達と
地域別の資金管理を実践
社
会
の
な
か
で
味の素グループの資金調達は、調達コストの低減とリス
味の素グループにおける2003年度末の株主資本は、円
ク分散の観点から、
直接金融と間接金融を組み合わせ、
長期・
高によって海外子会社が保有する純資産の円貨への換算
短期の資金調達のバランスを考慮しながら、過度に短期に
額が減少した影響を受けたものの、営業収益の増加などに
依存しないよう、
資金調達の多様化を図ることとしています。
より、2002年度の3,911億円から、369億円増加し、
また、社債による長期資金調達については、償還時期を分
4,280億円となりました。これによって、
連結ベースの株主
散することとしています。
資本当期純利益率(ROE)は0.3ポイント増加し、8.9%と
一方で、味の素グループは、連結有利子負債の削減を積
地
域
社
会
と
と
も
に
連結ROE10%以上をめざして
なりました。
極的に進めています。その一環として、
グループ会社の財
なお、味の素㈱では、2003年10月に株式の売出しを
務管理の一元化に取り組んでおり、日本、米国、欧州、その
実施しました。これは、株式の分布状況の改善と、個人株主
他の地域において、地域別の資金管理を実践しています。
づくりを通じて、より多くの方々に味の素㈱をご理解いた
こうした取り組みもあり、2003年度末における味の素
グループの有利子負債は、2002年度に対して73億円減
少し、1,437億円となりました。
だくことを目的としたものです。
また、2004年6月29日開催の定時株主総会において、
定款の一部を変更し、
「当会社は、商法211条ノ3第1項第
2号の規定により、取締役会の決議をもって自己株式を買
従
業
員
と
と
も
に
資金調達の
「直接」
「間接」別割合
借入金の
「短期」
「長期」別割合
(2003年度・連結)
(2003年度・連結)
連結株主資本比率の推移
長期
17.0%
間接
26.9%
(%)
60
短期
83.0%
直接
73.1%
い受けることができる。」旨を定めました。
50.2
50
43.6
45.4
45.2
2000
2001
2002
49.1
40
10
0
1999
2003 (年度)
連結有利子負債総額の推移
(百万円)
200,000
地
球
環
境
の
た
め
に
183,336
連結株主資本当期純利益率(ROE)の推移
172,285
155,512 151,090
150,000
143,709
(%)
10
7.5
100,000
8.5
8.6
2001
2002
8.9
4.4
5
2.5
0
50,000
-2.5
0
-5
1999
2000
2001
2002
-3.0
1999
2000※
2003 (年度)
2003 (年度)
※ 2000年度は、退職給付会計基準変更時差異を一括費用処理したことにより、
連結株主資本当期純利益率(ROE)がマイナスとなっています。
32
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
配当政策
連結業績に応じた安定的・継続的な
利益配分を実施
味の素㈱は、1962年以降、1株当たり10円の安定配当
を継続してきましたが、2002年より、中期経営計画の達
成状況を見ながら「各期の連結業績に応じた、
かつ安定的、
取
引
先
様
と
と
も
に
株式の所有者別状況
証券会社
1.28%
その他の法人
4.01%
個人その他
18.92%
社
会
の
な
か
で
金融機関
52.08%
継続的な利益配分」を行うことを基本方針としています。
2002年度は、前期より1円増配して1株当たり11円と
し、2003年度も中間配当を1円増配し、1株当たり年間
12円としました。次期の株主配当についても、
さらに年間
外国法人等
23.71%
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
1円増配し、1株当たり13円(うち中間配当金6円)を予定
しています。
味の素グループでは「選択と集中そして拡大」を基本に、
健康栄養領域での事業展開、海外食品事業の拡大、アミノ
酸をはじめとしたグローバル素材の強化、医薬事業の領域
重点化などを進めています。こうした事業拡大にともなう
設備投資、M&Aやアライアンスに活用するために内部留
地
域
社
会
と
と
も
に
配当金の推移
(百万円)
7,782
8,000
7,000
7,140
6,494
6,497
6,499
1999
2000
2001
6,000
5,000
4,000
3,000
保を充実させる一方で、株主資本の効率的な運用に努め、
2,000
1,000
引き続き株主の皆様の期待に応えていきます。
0
2002
2003
(年度)
従
業
員
と
と
も
に
大株主一覧(2004年3月31日現在)
保有株式数
(千株)
議決権比率
(%)
日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口
57,754
9.01
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社信託口
47,881
7.47
第一生命保険相互会社
25,550
3.99
日本生命保険相互会社
24,770
3.87
株式会社東京三菱銀行
20,149
3.14
名称
株式会社みずほコーポレート銀行
17,036
2.66
日本興亜損害保険株式会社
16,097
2.51
明治安田生命保険相互会社
15,624
2.44
株式会社損害保険ジャパン
11,810
1.84
三菱信託銀行株式会社
10,756
1.68
地
球
環
境
の
た
め
に
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
33
第1章 社会のなかで
株主・投資家様
とともに
お
客
様
と
と
も
に
株主・投資家様とのコミュニケーション
取
引
先
様
と
と
も
に
「知的財産報告書」を発行
積極的な情報開示を基本に
グローバルな企業間競争が激化するなか、独創的な技術や
コンテンツ、
ブランドなどの知的財産権をいかに確立し、有効活
味の素㈱では、
「適時、適切、正確、公平、
自発的、継続的」
を基本原則として、投資家の皆様への情報発信、対話に努
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
機関投資家の皆様に対しては、年2回の決算説明会のほ
か、
個別事業説明会や施設見学会を適宜開催するとともに、
めてうま味調味料「味の素」を発売し、
グローバルな市場を創
造してきた味の素㈱にとって、
アミノ酸を中心とした技術やノウ
ハウ、知見などの知的財産は、過去、現在、
そして将来において
取材への対応など、直接的な対話の場を数多く設けていま
も競争力そのものといっても過言ではありません。また、今後さ
す。
らに企業価値を高めていくためには、分社化やM&A、技術の
また、個人の投資家や国外の投資家の皆様にも同様の
情報を提供するために、機関投資家向けの説明会で配布し
地
域
社
会
と
と
も
に
ます。
とりわけ、1908年に取得した基本特許※をもとに、世界で初
めています。
社
会
の
な
か
で
用するかは、企業経営にとってますます重要なテーマとなってい
た資料などを和・英それぞれのホームページに掲載してい
ます。このほかにも、
年次報告書(アニュアルレポート)やファ
クトシートなどを準備し、
ホームページに掲載するほか、
ご
要望に応じて配布しています。なお、
2004年8月には、
「知
的財産報告書」を新たに発行しました。
また、株主総会においても、視覚的な資料を用意し、
より
わかりやすい説明に努めています。
導入・導出なども選択肢として必要であり、
これらを実現してい
くうえでは知的財産価値を適正に評価する必要があります。
こうした考えのもと、味の素㈱は、2004年8月、
「知的財産報
告書」を発行し、
「事業セグメントごとの研究開発費」や「特許
登録件数の推移」
「リスク対応情報」など
を開示しました。
味の素㈱では、今後も継続的に報告
書の記述内容の拡充に取り組み、株
主様や投資家の皆様をはじめ、
ステー
クホルダーの皆様に味の素㈱の企
業価値をより正確に知っていただく
従
業
員
と
と
も
に
よう努めていきます。
株主・投資家様の声を
経営に反映
味の素㈱では、IR活動を通じて得た情報や株主・投資家
の皆様からいただく貴重なご意見・ご要望を速やかに経営
「知的財産報告書2004」
※ 基本特許
東京帝国大学教授の池田菊苗博士が、
こんぶのおいしさのもとが、
グルタミン
酸ソーダであることを発見し、
この発見にもとづき取得した「調味料製造法」に
関する特許。
ホームページのIR情報ページ
URL http://www.ajinomoto.co.jp/ir/
陣に伝え、企業統治、環境経営、事業戦略など経営方針の
策定に活かしています。
地
球
環
境
の
た
め
に
「ファクトシート」
(左)
「インベスターズガイド」
(中央)
「年次報告書(アニュアルレポート)」
(右)
34
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
社会的責任投資(SRI)
企業格付
国内外のSRI評価機関から
高い評価を獲得
財務的側面だけでなく、環境保全をはじめとする企業の
社会的責任を積極的に果たす企業を評価し、
投資する「SRI
(社会的責任投資)」は、1980年代に欧米で本格化して以
来、近年はアジア諸国や日本においても徐々に一般化しつ
つあります。
取
引
先
様
と
と
も
に
信用格付の維持と
さらなる向上へ
味の素㈱は、金融市場から直接資金調達を行っており、
より低コストで資金調達を行うために、信用格付の維持と
さらなる向上に努めています。
社
会
の
な
か
で
2004年9月現在、味の素㈱は、格付機関3社より以下
の格付を取得しています。
こうしたなか、
味の素㈱では、
SRIファンドにおける評価を、
長期債
企業価値の向上を図るための新しい物差しとして位置づけ、
経営チェック項目の一つとして重視しています。
2004年3月現在、味の素㈱は英国ファイナンシャルタイ
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
短期債
スタンダード&プアーズ社
AA−
A-1+
㈱格付投資情報センター
AA
a-1+
ムーディーズ社
A1
−
地
域
社
会
と
と
も
に
ムズ社とロンドン証券取引所の合弁会社FTSE社のSRIイ
ンデックス、
「FTSE4Good」インデックスシリーズに組み
入れられているほか、国内外のさまざまなSRIファンドに組
み入れられています。
組み入れファンド例
SRIファンド名
興銀第一ライフエコ・ファンド
設定運用会社
興銀第一ライフ・アセットマネジメント
投資対象
東証一部上場500社、その他100社
調査担当機関
グッドバンカー
SRIファンド名
朝日ライフアセットマネジメント(あすのはね)
設定運用会社
朝日ライフアセットマネジメント
投資対象
上場株式、店頭登録株式3,400社
調査担当機関
ストックアット・ステイク社/パブリックリソースセンター
従
業
員
と
と
も
に
地
球
環
境
の
た
め
に
FTSE社のインデックス組み入れ認定書
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
35
第1章 社会のなかで
地域社会
とともに
お
客
様
と
と
も
に
社会貢献活動
取
引
先
様
と
と
も
に
「食と健康」を中心とする活動により
「健康で活力ある社会」づくりに貢献
社会貢献活動ミッション
私たち味の素グループは、社会における役割と責任を認
識し、
「食と健康」を中心とする社会貢献活動をグロー
バルに推進することにより、健康で活力ある社会の実現
味の素グループは、1976年にタイで、1979年にはイ
に努めます。
ンドネシアにおいて社会貢献財団を設立したほか、1989
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
年には日本で「(財)味の素食の文化センター」を発足するな
社
会
の
な
か
で
ど、国内外で経営資源を活かしたさまざまな社会貢献活動
を推進してきました。また、1997年には、味の素グループ
ミッションの達成に向けて以下の方針に則って活動を推
進します。
としての社会貢献活動を推進するために、主要経営戦略の
1.目的を明確にして重点指向の活動を行います。
一つとして「社会への貢献」を定め、社会貢献推進委員会
2.味の素グループが持っている経営資源を有効に活用
します。
および社会貢献チームを設置しました。
3.活動内容を適切に評価し、内外への情報の発信を積
創業90周年を迎えた1999年には、活動の一層の拡充
地
域
社
会
と
と
も
に
活動の基本方針
をめざして、
グローバルな視点で国際協力活動を推進する
「味の素『食と健康』国際協力ネットワーク」を立ち上げ、
主として途上国の食・栄養・保健分野を中心とする国際協
極的に行います。
4.味の素グループの主体性を発揮し、従業員が実感で
きる活動を大切にします。
5.外部の活動組織と連携を図り、活動のレベルアップを
図ります。
力活動の支援を開始しました。
また、
現在は、
「健康で活力ある社会の実現」をめざす「味
の素グループ社会貢献活動ミッション」のもと、CSRをふ
まえた社会貢献活動に取り組んでいます。
味の素グループは、今後も良き企業市民として、①「グ
従
業
員
と
と
も
に
ローバルプログラム」②「ローカルプログラム」③「財団に
よる社会活動」④「従業員の社会活動」という4つの活動
社会貢献活動プログラム
グローバルプログラム
味の素グループが統一
テーマを掲げてグロー
バルに展開する活動
ローカルプログラム
グループの各法人、事
業所が、
地域社会のニー
ズを踏まえ、地域ごと
に行う活動
を通して21世紀の豊かな社会づくりへの貢献を推進して
いきます。
味の素グループの社会貢献活動
味の素グループの社会貢献活動はグループ理念
および社会貢献活動ミッションにもとづき、
ここに
示した4つの活動を展開しています。
推進体制図
経営会議
地
球
環
境
の
た
め
に
社会貢献推進委員会
味の素グループ
各社担当部門
36
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
事務局
コーポレート広報部
社会貢献チーム
財 団
財団による社会活動
味 の 素グル ープ関連
の財団が、それぞれの
運営綱領に基づいて
行う活動
従業員の社会活動
従業員が主体的に行う
個別ボランティア活動
お
客
様
と
と
も
に
グローバルプログラム
食・栄養・保健分野における国際協力を
テーマに、開発途上国コミュニテイの
自立・発展を支援
「食と健康」国際協力フォーラム
2000年から開催している「食と健康」国際協力フォーラムは、味
の素グループが実施している国際協力活動の内容を広く社会に
味の素グループが共通のテーマを掲げて展開する「グロー
紹介するとともに、
「食・栄養・保健」
バルプログラム」の一環として、1999年から開発途上国
の分野で活動する方々に参考情
コミュニテイの自立・発展を支援する食・栄養・保健分野に
報を提供することで、
人・情報のネッ
おける国際協力活動を推進しています。
「味の素『食と健康』
国際協力ネットワーク(AIN)」を中心として、国内外の
取
引
先
様
と
と
も
に
社
会
の
な
か
で
トワークづくりに役立てていただく
ことも目的としています。
CSRについてのパネルディスカッション
NPO/NGO、政府系機関、教育・研究機関などと連携し、
味の素「食と健康」国際協力ネットワーク
(AIN※1)
これまでに4カ国で10のプログラムを実施してきました。
今後も、世界の人々の生活の質の向上をめざして、外部
※1 AIN: Ajinomoto International Cooperation Network for Nutrition and Health
組織との連携のもと、
貢献度の高い活動を進めていきます。
味の素グループの国際協力活動の推進組織として、大学・
NPO/NGO・国際機関などの外部有識者を中心に1999年に設立。
主な支援活動
国名
フィリピン
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
プロジェクト名(支援先、活動地域)
フィリピン・インテグレーション・プロジェクト
〜リプロダクティブ・ヘルス※2/栄養改善〜
(財)ジョイセフ ・活動地域:フィリピン バタンガス州
・支援先:
地
域
社
会
と
と
も
に
活動内容
地方自治体の能力強化のためのマネジメントおよび技術支援、サービス提供
者(医者・保健師・助産師・保健ボランティアなど)の研修、物品の支援(広報教
育教材・体重計・栄養不良児のための補助食など)など
「子どもセンター」の建設と運営、
栄養不良児のための食事プログラムの実施、
栄養改善プロジェクト〜子どもセンター設立と給食センターへの支援〜
・支援先:Lingap Para sa Kalusugan ng Sambayanan (LIKAS), Inc.(LIKAS=現地NGO) 栄養教育のための情報・教材の提供など
・活動地域:フィリピン ソルソゴン州イロシン
コミュニティベースの栄養教育モデルの研究開発
・支援先:Food and Nutrition Research Institute(FNRI=現地政府系機関)
・活動地域:フィリピン ミンダナオ
地域のニーズ調査、
栄養教育教材の開発、
栄養教育モデル開発のための各種ワー
クショップ開催、
(開発したモデルの)実施と評価など
フィリピン・コア(CoRH)・プロジェクト
〜住民主導型リプロダクティブ・ヘルス/栄養改善〜
(財)ジョイセフ ・活動地域:フィリピン バタンガス州
・支援先:
「フィリピン・インテグレーション・プロジェクト」の第二期。モデル町の拡大(6
町→9町)、州保健局の能力強化、広報教育活動、地方政府の支援強化を求め
る提言活動など
小学校の栄養改善プログラム 〜栄養教育と学生食堂の利用を通して〜
・支援先:Yayasan Kusuma Buana(YKB=現地NGO)
・活動地域:インドネシア ジャカルタ
小学生の貧血予防のための教材開発、栄養的に望ましい食物を販売する学内
売店の導入、鉄分錠剤の配布、両親教室の開催など
農村女性のための生活改善と地域開発研修事業
(財)オイスカ
・支援先:
・活動地域:インドネシア ジャワ島 スカブミ県
食・保健衛生状態の向上をめざした地域開発女性センター建設、同センター内
の食品加工用資機材の整備、
「女性生活改善」研修コース(食品加工・調理・保
健衛生教育など)の実施など
コミュニテイにおける栄養改善のための調査・研究
・支援先:Indonesian Planned Parenthood Association(IPPA=現地NGO)
・活動地域:インドネシア 西スマトラ パダン
母親と子どもの健康問題についての調査実施・質問票の開発、
プログラム計画
づくりのためのワークショップ開催など
カンボジア
家庭菜園の普及による栄養改善プログラム
支援先:特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(JVC)
活動地域:カンボジア カンダール県
年間を通じて収穫可能な家庭菜園普及活動。農村部住民の栄養改善をめざし
た各種(家庭菜園・果樹栽培・栄養改善・挿し木/接木)
トレーニングの実施、
種・
苗の配布など
ペルー
慢性的栄養不良児のための栄養改善プロジェクト
支援先:Asociacion Benefica PRISMA(PRISMA=現地NGO)
活動地域:ペルー カヤオ州 ベンタニーヤ
2歳未満の慢性的栄養不良児対象の基礎調査、保健従事者のトレーニング、
コ
ミュニティの能力強化、ヘルスセンターとの関係づくり、母親への栄養教育の
実施・評価など
微量栄養素強化食品による栄養改善プロジェクト
支援先:Universidad Peruana Cayetano Heredia(UPCH=ペルーの大学)
活動地域:ペルー サンマーティン地区およびリマ市内
対象地域の食物摂取状況を調査・分析し、摂取頻度が高く、かつ技術的にビタミン
Aや鉄分が添加可能な食料品を確認したうえで、製造業者および専門家対象のワー
クショップの開催や栄養強化食品の試用を行う。その後、実際の普及活動を行う。
インドネシア
従
業
員
と
と
も
に
地
球
環
境
の
た
め
に
※2 リプロダクティブ・ヘルス(Reproductive Health)
妊娠・出産にかかわるすべての事象において、単に病気でないということだけではなく、
身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることをいう。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
37
第1章 社会のなかで
地域社会
とともに
お
客
様
と
と
も
に
フィリピン
インドネシア
取
引
先
様
と
と
も
に
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
栄養不良の子どもたちへの栄養補給セッション
(写真提供:
(財)ジョイセフ)
社
会
の
な
か
で
カンボジア
地
域
社
会
と
と
も
に
調理実習を行なう研修生たち
(写真提供:
(財)オイスカ)
ペルー
果樹の苗木の草取りをする子どもたち
(写真提供:JVC)
Voice
従
業
員
と
と
も
に
鉄分錠剤の配布を受ける子どもたち
(写真提供:YKB)
家庭訪問を通じて、家族の栄養・保健カウンセリングを
行うヘルスプロモーター
(写真提供:PRISMA)
現地大学の研究室のプロジェクトメンバー
(写真提供:UPCH)
パートナーから
リプロダクティブ・ヘルスと栄養改善に向けて、
自治体の能力強化をめざしたプロジェクトを実施しています。
(財)ジョイセフ・フィリピン事務所
プロジェクト・コーディネーター
Ms. Rosalinda M. Mendoza
彼らを通じて同年代の仲間たちに対する教育がなされた結果、
住民たちの保健サービスの利用率は着実に向上しました。
最近は、州保健局を通じて、
モデル地域での活動を効果的に
計画・実施していくための技術・運営面の指導も強化され、
リ
地
球
環
境
の
た
め
に
38
私たちは、味の素グループの支援により、地方自治体が自
プロダクティブ・ヘルスと栄養を関連づけた活動が、地域の
立してリプロダクティブ・ヘルスと栄養改善に向けた活動を
開発プログラムの重要な要素として組み込まれるようになり
継続できるよう、自治体の能力向上をめざしたプロジェクト
ました。今後も、
外部セクターと連携し、
地域の自立と発展に
を実施しています。草の根レベルのボランティアを養成し、
向けた活動を推進していきます。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
Voice
パートナーから
取
引
先
様
と
と
も
に
学校を対象とした貧血対策プログラムを導入し、
児童の貧血の発症率が改善しました。
Yayasan Kusama Buana(現地NGO)
プロジェクト・マネージャー
Dr. Adi Sasongko, MA
した。このプログラムでは、栄養教育や鉄分錠剤の配布や、
家庭の手づくり弁当の持参運動、
また、学内売店店員の伝染
病罹患検査や、栄養価の高いおやつを売る呼びかけをしま
した。活動の結果、児童の貧血の発症率は目に見えて下がっ
インドネシアにおける小学生の貧血問題はこれまで軽視
ていきました。この成果をもとに、私たちは、政府、財団、
されてきました。ほとんどの大人はその重大さに気づかず、
NGOに対して、
このプログラムの導入・普及を呼びかけてい
朝食を食べずに学校へ行く子どもや、野菜や果物を食べな
ます。私は、味の素グループとの協働プログラムを通して、
い子どもたちが放置されていたのです。
将来を担う子どもたちの栄養問題の原因をつきとめるとと
味の素グループの支援を受けたプログラムのなかで、私
たちは、小学生の貧血状態の改善を目的とした学校を基盤
社
会
の
な
か
で
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
もに、その改善のための実践的モデルの開発ができたこと
を誇りに感じています。
とした貧血対策プログラムをインドネシアで初めて導入しま
地
域
社
会
と
と
も
に
味の素グル ープ 早
Q
A
わ か り
3
グローバルな活動を行っていくうえで、
どのような配慮をしていますか?
従
業
員
と
と
も
に
&
各国・各地域の文化・慣習に配慮した商品・サービスの提供に努めています。
味の素グループは、約一世紀にわたって世界各地の人々・
なかで、現地の食文化にマッチする新たな商品開発や原料
地域社会と密接な関係を構築してきました。現在、味の素
開発を推進しています。味の素グループはこれからも、各国・
グループは23の国・地域で事業を行っており、基幹商品で
各地域の文化・慣習に配慮した事業活動を通じて、世界の
ある「味の素」は、世界100カ国以上で販売されています。
人々に親しまれ、愛される企業をめざしていきます。
こうした歩みの過程では、2000年のインドネシアでのハラ
ル事件※など反省すべきこともありましたが、味の素グルー
プは、世界各地の地域社会との良好な関係なしには事業
の発展がないことを十分に認識しています。また、地域の文
化や風土を学び、
そこに住み、暮らす人々のニーズに応える
地
球
環
境
の
た
め
に
※ ハラル事件
インドネシアの子会社において、
「味の素」の生産に使用する発酵菌を保
存する培地に、豚から取り出した酵素を触媒としてつくられた成分が一部
使用されていたことから、
イスラムの戒律に反するとしてイスラム宗教団体
やモスリム消費者の不安感を招いた事件。最終製品に豚由来の成分は
入っていなかったが、科学的な事実とは別に、現地社会への深い配慮を
欠いていたことが社会的な問題となった。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
39
第1章 社会のなかで
地域社会
とともに
お
客
様
と
と
も
に
ローカルプログラム
取
引
先
様
と
と
も
に
教育
地域の発展と交流を目的に、
ニーズに応じた幅広い活動を推進
「食の探検隊」の実施
(日本)
「食の探検隊」プログラムは、アジア6カ国の料理を体験
「ローカルプログラム」は、地域の発展と交流を目的に、
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
社
会
の
な
か
で
することで、子どもたちに国際的な理解を深めてもらうこ
世界中の味の素グループの法人・事業所が地域社会のニー
とを目的とするプログラムで、2002年から学校教育にお
ズをふまえて主体的に行う社会貢献活動です。活動のテー
ける「総合的な学習の時間」で活用されるプログラムとし
マは、
「食・健康」
「教育」
「福祉」
「地域交流」
「環境」など
て活動を行っています。2003年度は、学校での開催のほ
の幅広い分野におよんでいます。
か、生涯学習教室や国際交流イベント、船の科学館での定
期開催を含めて6,228名の方々が参加しました。2004
年度は、食育要素を強化し、年間100回を目標に、首都圏
食と健康
「あしたのもとフードサポートGIFT」・
「全国老人給食協力会」支援
の学校などを中心に実施していく方針です。
(日本)
味の素グループの商品を活用した社会活動の一つとして、
地
域
社
会
と
と
も
に
年に数回、日本全国の養護施設や福祉施設などに商品を
※ 食体験国
大韓民国(キムチづくり、
チヂミづくり)、
フィリピン(マンゴージャムづくり)、
スリラン
カ民主社会主義共和国(スリランカカレーパックづくり)、
カンボジア王国(ココナッ
ツデザートづくり)
、
タイ王国(タイラーメンづくり)
、
インドネシア共和国(サティづくり)
提供しています。また、老人給食への支援として「世界老
人給食の日(9月第1水曜日)」には、全国の配給活動をし
ている団体に商品を食材として提供しています。
マンゴージャムづくり体験
従
業
員
と
と
も
に
タイラーメンづくり体験
食育プログラム「食のガーデン」の導入
(日本)
学校や家庭で食生活や食習慣、
食文化などの理解を深める「食
ファミリーハウスへ商品を提供
育」が注目を集めています。味の素グループでは、
「食の探
検隊」を実施するとともに、
子どもたちに「食」のあしたを考
えてもらう食育プログラム「食のガーデン」を準備しています。
これは、
「おいしさ感じよう。人と自然にありがとう。」をスロー
ガンに、
自分たちで野菜を育て調理する参加体験型の食育
プログラムで、
現在、
2004年度からの本格スタートに向けて、
地
球
環
境
の
た
め
に
モデル校での実証実験を行っています。
「世界老人給食の日」に
商品提供
お礼の手紙
苗の植え付け準備の様子
40
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
実ったしし唐の収穫の様子
お
客
様
と
と
も
に
福祉
地域交流
「あしたのもと」クリック募金
(日本)
工場見学会
(日本:川崎事業所)
味の素㈱では、2003年6月から、
自社のホームページを
「ほんだし」や「Cook Do」などを生産する味の素㈱川崎
訪れるお客様が画面をクリックすることでNPO/NGOなど
事業所では、地域住民の皆様を対象とした工場見学会を実
の活動団体に寄付をすることができる「あしたのもとクリッ
施しています。この見学会では、生産ラインの見学のほか、
ク募金」を実施しています。これは、画面上に紹介した活動
団体のなかから、
自分が支援したい項目を選びクリックする
ことで、
味の素㈱がお客様にかわって1クリックに対して1円
取
引
先
様
と
と
も
に
資料展示室の見学や映画 「味の素」ができるまで の上
映を行っています。川崎市の市営バスの広告やチラシ配布
などを通じてご案内しており、団体だけでなく個人でも参
加できることから、主婦の方を中心に毎年多くの方々の見
を寄付するものです。活動団体の活動目的や内容が紹介さ
学申し込みがあります。2003年度は、延べ8,000名の方
れることや、手軽に募金活動に参加できることが好評で、
が工場見学会に参加しました。
社
会
の
な
か
で
2003年度は延べ1,891,982回(1,891,982円分)もの
クリックがありました。寄付団体は以下の通りです。
●寄付先
子供教育支援:日本民際交流センター
水質改善プロジェクト支援:ハンガー・フリー・ワールド
栄養改善プロジェクト:日本国際ボランティアセンター
難病の子ども支援:ファミリーハウス
世界の教育環境改善:カンボジアに学校を贈る会
世界の砂漠緑化支援:緑のサヘル
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
工場見学に来た子どもたち
地
域
社
会
と
と
も
に
工場見学をご案内するチラシ
「パソコン教室」開催
(日本:味の素システムテクノ㈱)
川崎事業所近隣にお住まいの方を対象に「パソコン教室」
ラオスの子どもたちの奨学金支援
児童養護施設支援活動
バングラディッシュの井戸建設支援
(マレーシア味の素㈱)
を開催し、子どもからご年配の方まで、基本操作やインター
ネットの利用方法について学んでいただきました。
従
業
員
と
と
も
に
子供服古着寄贈キャンペーンを実施し、集まった子ども
服とランチボックスを児童養護施設へプレゼントしました。
真剣に講義を受ける参加者
クリーンアップ活動
子供たちにランチボックスをプレゼント
災害支援
従業員マジシャンによる交流会実施
(インドネシア味の素㈱)
(アメリカ味の素㈱)
味の素アミノサイエンスLLCノースカロライナ工場および
営業事業所のスタッフが参加し、オークビュー歴史公園の
洪水で被災した方々に、
商品を提供し支援を行いました。
クリーンアップ、植樹活動を行いました。
洪水被災地へ商品を提供
植樹活動後の記念撮影
地
球
環
境
の
た
め
に
クリーンアップの様子
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
41
第1章 社会のなかで
地域社会
とともに
お
客
様
と
と
も
に
財団による社会活動
取
引
先
様
と
と
も
に
社会貢献財団を設立し、
各国の
文化や生活習慣に根ざした活動を推進
AJINOMOTO FOUNDATION(タイ)
タイ味の素㈱が中心となり、
1976年に設立。味の素グ
味の素グループは、事業を展開している国や地域社会へ
の社会貢献を目的として、
日本、
タイ、
インドネシア、
ブラジル、
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
ペルーの5カ国に社会貢献財団を設立しています。財団は、
社
会
の
な
か
で
それぞれの設立の主旨に則って、各国の文化や生活習慣に
ループのなかでもっとも長
く活動している財団です。
主な事業
●学校建設プロジェクト
●給食プログラム
学校建設支援
(オープニングセレモニー)
根ざした活動を推進しています。
YAYASAN AJI DHARMA BHAKTI(インドネシア)
インドネシア味の素㈱が
味の素食の文化センター
地
域
社
会
と
と
も
に
中心となり、
1979年に設立。
「食」文化の研究、深耕を支援し、その成果を広く社会に
修士課程の大学院生を対象
伝えていくことを目的に、1989年、味の素㈱の創業80周
とした奨学金制度など、特徴
年記念事業の一環として設立されました。以下の事業のほ
ある活動を行っています。
か、
研究助成、
食文化誌の発行、
フォーラムの開催など、
「食」
に関する幅広い活動を行っています。
公開施設「食の文化ライブラリー」の運営
INSTITUTO ASSISTENCIAL AJINOMOTO(ブラジル)
に設立。教育や社会福祉を
23,000冊の蔵書が閲覧できます。
テーマに地域に根ざした活
なお、2004年内には、品川区
動を行っています。
高輪に建設中の味の素高輪研修
食の文化ライブラリー
主な事業
社会科学、人文科学など20以
FUNDACION AJINOMOTO PARA
EL DESARROLLO DE LA COMUNIDAD(ペルー)
上の領域に関係する研究者、実
践家、
ジャーナリストが、毎年テー
2003年に設立された最
マを決めて発表・討論する会員
も新しい財団で、栄養教育
や保健教育などの研究支援
制の学際的研究討論会を開催し
ています。
フォーラム公開シンポジウム
を行っています。
主な事業
●食物・保健・教育などの分野
の研究・普及活動
42
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
大学の教室のリフォーム支援
●教育施設の整備
●地域のコミュニティセンターなど施設の整備
「食の文化フォーラム」の開催
地
球
環
境
の
た
め
に
●奨学金制度
●栄養教育プログラム
ナ㈲が中心となり1999年
して広く利用されています。約
センター内に移転する予定です。
奨学金支援(支給式)
味の素インテルアメリカー
食文化に関する専門図書館と
従
業
員
と
と
も
に
主な事業
書籍「食物栄養学」出版
お
客
様
と
と
も
に
従業員の社会活動
取
引
先
様
と
と
も
に
「味の素グループ社会活動賞」
従業員の自主的な社会活動を支援
「味の素グループ社会活動賞」は、長年にわたって社会
貢献活動に参加している従業員を報奨する制度として、
「AJINOMOTO GROUP CITIZENSHIP DAY IN 2003」の実施
味の素グループでは、従業員とその家族が主体的に社会
とのコミュニケーションを図り、社会の一員としての役割や
2001年に導入されました。審査は、味の素㈱社会貢献推
進 委 員 会が行い、受 賞 者には記 念 品が贈 呈されます。
2003年度は、国内で3名、海外で2名が受賞しました。
責 任 を 積 極 的 に 果 たし て いくた め の キャン ペ ー ン 、
社
会
の
な
か
で
受賞者の活動例
「AJINOMOTO GROUP CITIZENSHIP DAY」を
2003年度も実施しました。これは、6月から8月までの3
カ月間のうちの1日、
従業員や家族が自由なテーマで社会
活動に参加することを奨励するもので、世界各地で社会福
記念品と感謝の手紙
祉、教育、自然・環境保全、国際交流などに関わるさまざま
●テニスコーチボランティア
●テニス指導員
●ボランタリー消防士
●大井川流域連携事業
●コミュニティの文化社会サービ
スについての情報提供ボラン
ティア
地
域
社
会
と
と
も
に
な社会活動が行われました。
2003年度は、48件の活動が行われ、2,089名の従業
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
ボランティア休暇制度
員とその家族がキャンペーンに参加しました。これらの活
味の素㈱は、社会貢献活動に参加する従業員を支援す
動は、2003年度実施報告書(和文版/英文版)にまとめら
るために、
「ボランティア休暇制度」を設けています。休暇
れ、従業員に配布されました。また、活動の主旨に則って努
を申請した従業員には年間8日間、社会貢献活動のための
力した4名と、
事業所全体で取り組んだ3事業所に対して、
「モ
有給休暇が与えられます。2003年度は、3名の従業員が
デル活動賞」が贈呈されました。この賞の報奨金は、受賞者
制度を活用しました。
が希望する活動団体に寄付されました。
休暇取得者の活動例
●フィジー諸島共和国においての植林活動に参加
従
業
員
と
と
も
に
味の素グループ「あしたのもと募金」活動
味の素グループでは、国内の事業所がチャリティ企画など
で集めた募金を、
「あしたのもと募金」口座に預かり、国内
外 の 団 体 に 寄 付し て い ま す 。2 0 0 3 年 度 は 、合 計
PRポスター
児童養護施設で子どもたちと交流
(マレーシア味の素㈱)
282,293円の募金の一部を活用して、
イラン南東部大地
震の支援を行いました。
地
球
環
境
の
た
め
に
寄付先
●国境なき医師団(被災地での医療支援活動)
●セーブ・ザ・チルドレン(緊急支援活動)
家族であしなが募金に参加
(味の素冷凍食品㈱)
多摩川河川敷の清掃
(クノールサービス㈱)
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
43
第1章 社会のなかで
従業員
とともに
お
客
様
と
と
も
に
人材の雇用
取
引
先
様
と
と
も
に
全国各地の説明会などを通じて
オープンな新卒採用を実施
味の素㈱は、
新規学卒者の採用にあたって、
味の素グルー
プの従業員に期待する行動指針、人材像、価値基準を明示
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
した「味の素グループ人材バリュー」をもとに、募集要項な
社
会
の
な
か
で
どの必要情報をホームページや各種の就職情報サイトで
多様な専門性、
キャリアをもった人材を
積極的に採用
味の素㈱は、多様な専門性、キャリアをもった人材を、国
籍や性別にかかわらず幅広く採用しています。
募集にあたっては、おもにホームページを活用して適宜
求人情報を公開しています。
公開しており、人材観や業務内容に共感していただける方
この数年間の採用実績については、新卒採用が減少傾
なら誰でも応募できるようにしています。会社説明会につ
向であったのに対し、中途採用が増加しています。なお、
いても、首都圏だけでなく、全国各地で開催しています。ま
2004年度の新卒採用実績は2003年度に対し増加して
た、
日本とは卒業時期が異なる留学生や帰国子女を対象に、
います。
適宜、秋採用を実施しています。
地
域
社
会
と
と
も
に
選考においては、男女雇用機会均等法の精神に則り、募
集職種などを男女で分けることなく、同一の基準で行って
新卒採用実績
(人)
200
います。
182
64
150
味の素グループ人材バリュー
あなたは、味の素の「あしたのもと」です。
100
118
あなたにしかつくれないものがある。
91
50
56
●
従
業
員
と
と
も
に
96
40
0
2000
2001
52
17
50
14
35
36
2002
2003
女性
30
男性
61
2004 (年度)
(独創性の重視)
あなたのお客様は世界中にいる。
(地球規模の発想)
あなたには、
いっしょに働く仲間がいる。
(共に働く喜び)
通年採用実績
(人)
50
40
34
30
地
球
環
境
の
た
め
に
20
23
5
10
18
0
「味の素グループ人事理念」
44
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
2000
28
5
23
2001
33
7
女性
16
27
男性
17
2002
2003 (年度)
お
客
様
と
と
も
に
障害者雇用率の向上をめざして
定年退職者の再雇用制度をスタート
味の素㈱では、現在、法定雇用率(1.8%)を超える障害
味の素㈱は、2000年6月から、豊富な経験や高度なス
者の方々が働いています。配属にあたっては、障害の内容
キル・技能を定年退職後も活かしていただけるよう、定年
や程度に応じて本人と面談のうえで決定しています。
退職者の再雇用制度をスタートしました。
味の素㈱は、障害者雇用は企業が果たす重要な社会的
この制度は、
グループ会社を窓口に、定年退職者が味の
責任であると認識しています。したがって、今後も法定雇
素㈱ほかグループ会社と個々に契約を結ぶもので、
定年(満
用率の維持・向上に努めるとともに、
グループ各社にも障
60歳)を迎える1年前から登録することができます。
害者雇用率の向上を呼びかけていく方針です。
取
引
先
様
と
と
も
に
社
会
の
な
か
で
なお、味の素㈱の年間の退職者数は、全従業員の2〜3
%で推移してきましたが、
ここ数年は定年退職者の増加な
どの影響により、
2003年度は約10%まで高まっています。
障害者雇用者数・率
(人)
(%)
1.9
120
1.75
100
80
78
83
87
1.78
81
1.81
1.8
77
1.58
1.5
1.42
1.4
20
0
1.7
1.6
60
40
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
2000
2001
2002
2003
2004
0
(年)
従業員数
(人)
6,000
5,096
5,000
5,240
5,096
4,450
4,000
地
域
社
会
と
と
も
に
4,041
3,000
2,000
1,000
※ 各年の4月1日時点
0
2000
2001
2002
2003
2004
(年)
※ 各年の4月1日時点
従
業
員
と
と
も
に
退職者数
(人)
600
532
467
500
川崎事業所の事務所本館入口に設置された車椅子用の昇降設備
400
300
344
0
自己都合退職者数
224
353
定年退職者数
308
155
200
100
114
189
2001
2002
2003
地
球
環
境
の
た
め
に
(年度)
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
45
第1章 社会のなかで
従業員
とともに
お
客
様
と
と
も
に
人材の登用・活用
取
引
先
様
と
と
も
に
自社敷地内で保育園を運営
女性の職域拡大のための
アファーマティブアクション
味の素パッケージング㈱関西工場では、
働くお母さんのサポート
と地域貢献を目的に、
1974年
(当時は大味㈱)
以来30年間にわたっ
味の素㈱は、採用、昇進・昇給、賃金、定年などの人事処
なかよし保育園は園長も保育士も同工場の従業員です。子
遇において、男女の差別はありません。
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
また、従業員が出産・育児を理由に退職せざるをえない
社
会
の
な
か
で
状況をなくし、その能力を十分かつ継続的に発揮できるよ
う、1992年の「育児休業制度」の導入を皮切りに、法定基
準を上回る制度を整えています。たとえば、法律で「努力
の姿を見ながら安心して働ける環境は、従業員の方々に大きな
安心感を与えています。
また、単にお子さんを預かるだけでなく、園児の知育・体育・
情操教育をどのようにしたら良いかを同工場のTPM活動 ※の
一環として考え、実践す
までの子供を条件に10日間の休暇取得ができます。また、
るなど、
「なかよし保育園」
こうした積極的な取り組み(アファーマティブアクション)
の結果、全従業員数に占める女性の割合は、基幹職・一般
職ともに増加傾向にあります。
女性従業員数・率
(人)
1,200
1,115
1,082
1,000
24.38
1,029
990
985
(%)
25
23
600
22
22.25
21.28
21.23
貢献は社会的にも高く評
価されています。
卒園・終了式で手話で歌を歌う子どもたち
※ TPM活動
一般的には
「Total Productive Maintenance」
(自主保全活動)
を指すが、味
の素パッケージング㈱では、
「Total Profit Management」と称し、
さらに利益
改善をも含む会社運営そのものとしている。
外国人従業員の教育・育成に注力し、
積極的に経営基幹層に登用
21
21.30
200
0
できる環境を追求し、
その
24
800
400
はさまざまな視点で親子
ともども、
すこやかに生活
を条件に含んでいます。
従
業
員
と
と
も
に
どもと一緒に通勤し、休憩時間には園庭で元気に遊ぶ子ども
義務」となっている「子供看護休暇」に関しては、中学入学
「育児短時間勤務制度」も小学4年に進級する子どもまで
地
域
社
会
と
と
も
に
て工場敷地内で保育園「なかよし保育園」
を運営しています。
20
2000
2001
2002
2003
2004
0
(年)
味の素グループは、
「優秀な人材は積極的に登用する」
ことを基本に、海外拠点で働く外国人従業員の教育、育成
※ 各年の4月1日時点
に注力し、
経営基幹層への登用を積極的に推進しています。
その結果、味の素グループでは2004年9月現在、海外
女性基幹職数・率
(人)
30
27
25
地
球
環
境
の
た
め
に
22
20
18
16
15
10
1.79
13
1.07
2.34
2.5
工場45ヵ所のうち32ヵ所の工場長に外国人が就任してい
2.0
ます。
0.5
2000
2001
2002
また、
2004年4月からは、
味の素グループの経営戦略上、
1.0
5
0
法人71社のうち25社の社長、合弁パートナーを含む海外
1.5
1.46
1.29
(%)
3.0
2003
2004
0
(年)
重要な役割を担うポストを定め、優秀な人材を帰属会社に
限定せずに世界中から登用していく「グループ・エグゼクティ
ブ・マネージャー(GEM)制度」をスタートさせました。
※ 各年の4月1日時点
46
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
Voice
取
引
先
様
と
と
も
に
さまざまなチャレンジの機会を与えられてきた一員として、
従業員たちの能力開発についても最大限サポートしていく決意です。
ミノ酸を製造するノースカロライナ工場の工場長に就任し、
アメリカ味の素㈱
ノースカロライナ工場長
食品とは異なる生産技術を習得しつつ、
医薬品ビジネスとい
Mr. Brad Bigger
う新しい世界で競争力を発揮するためのチャレンジを続けて
います。
1992年にアメリカ味の素㈱に入社して以来、
私はこの会
このように、
アメリカ味の素㈱では、
日常業務として多様な
社でさまざまな能力開発の機会を継続的に与えられてきま
機会が提供されるほか、
外部のコミュニティカレッジと連携し、
した。たとえば、米国アイオワ州における新工場立ち上げの
業務に必要な技術や経営を学ぶための幅広い能力開発プロ
際には、味の素グループの中心的な技術である発酵技術を
グラムが用意されています。これまで数多くの機会を与えら
学び、
そこで得た知識は、
工場の生産技術部門の業務に大い
れた一員として、今後も会社に貢献できるよう努力していく
に役立ちました。その後、人事や管理部門を経験し、生産現
とともに、工場長として、一緒に働く従業員たちの能力開発
場以外のビジネス知識、
ノウハウを得ることができました。そ
においても最大限にサポートしていきたいと決意しています。
社
会
の
な
か
で
の後、
アイオワ州の工場長に任命された後、現在は医薬用ア
味の素グル ープ 早
Q
A
わ か り
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
地
域
社
会
と
と
も
に
4
味の素の経営は、現地的?日本的?
&
従
業
員
と
と
も
に
地域の従業員による「現地的な事業活動」と、
長期にわたる「日本的な能力開発」の双方がミックスされています。
「食品・アミノ酸系の、
日本から出発した世界企業」をめざ
このように、地域に根ざした海外展開を果たしてきたという
して早くから国際展開を推進してきた味の素グループでは、
こ
点では、味の素グループの経営スタイルは「現地的」であり、
れまで積極的に現地の従業員を採用してきました。その結果、
人材を長期にわたって雇用し、
その能力開発を継続的に行っ
味の素グループには現在、
日本、
アジア、北・南米など世界
てきたという点では「日本的」といえます。
23の国と地域で約30,
000人の従業員(正社員)が働いて
また、今後はGEM制度に象徴されるように、
出身地や国籍、
おり、
そのうち外国人従業員は約18,
000人と過半数を超え
所属会社の枠を超えて、味の素グループの世界戦略を担う
ています。また、多くの海外法人で現地出身の従業員が管
重要なポストで多くの従業員が活躍する「国際型」の経営
理職やトップの役割を果たすようになっています。
スタイルも増えていくと思われます。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
地
球
環
境
の
た
め
に
47
第1章 社会のなかで
従業員
とともに
お
客
様
と
と
も
に
教育・人事制度
取
引
先
様
と
と
も
に
従業員の意欲と市場価値を高める
多彩な教育プログラムを整備
味の素グループ高輪研修センター
「食品・アミノ酸系の、
日本から出発した世界企業」をめざす
味の素グループは、
「世界に通じる人材づくり」を掲げて人材の
味の素㈱では、
「コアとなる能力(思考力、主体性・自立、
対人力)」と「ビジネススキル(知識、技術・技能)」を磨き、
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
自らを高め、成果を追求し続ける人材 の育成をめざして
社
会
の
な
か
で
育成・強化を図っています。その中核となる施設が、2004年11
月に竣工する「味の素グループ高輪研修センター」です。
同センターでは、以下の3つをコンセプトとして、技術や商品
知識だけでなく、
日本の文化や味の素グループがめざす普遍的
います。
この目標に向かって、味の素㈱では、全従業員共通の「階
層別プログラム」、上司の推薦や自らの希望で参加する「選
な価値観を世界のグループ従業員と共有していくことを最大の
目的としています。
択型プログラム」、各種ビジネススクールや通信教育受講
の補助などを含む「自己啓発プログラム」など、従業員の
意欲と市場価値を高める多彩な教育プログラムを体系的
地
域
社
会
と
と
も
に
に整備しています。
①「食品・アミノ酸系の、日本から出発した世界企業」を
念頭に置き、味の素グループ内で国内外を問わず、次
世代を担う質の高い人材の育成のための環境を提供
する
また、
2004年度からは、
マーケティング、
生産、
営業、
研究、
財務、人事などの機能を軸に、それぞれの分野で求められ
る専門的なビジネススキルを高めていく「専門性強化プロ
グラム」を整備していきます。なお、2004年11月には、教
②食文化の研究・普及と当社歴史を通じて企業ブランド
の価値・信頼を高める場を提供し、それらを通して社
会へ貢献する
③人・地球環境を大切にし、
また周辺環境との調和に配
慮する
育研修の中核施設となる「味の素グループ高輪研修センター」
が竣工します。これを機に、味の素グループでは、
グローバ
ルに通用する人材育成をさらに推進していきます。
従
業
員
と
と
も
に
主な教育研修プログラム
階層別プログラム
選択型プログラム
・新人研修
・
「ロジカルシンキング」
・昇格者研修
・
「聞く技術」
・若手フォロー研修
・
「7つの習慣」
・マネジメント研修 など
・財務研修 など
エントランスをはじめ、施設内はすべてバ
リアフリーとなっています。
(財)食の文化センター図書館や味の素
㈱の「小さな食の博物館」が設置され
るなど、地域社会の方々に親しんでいた
だく施設を併設しています。
地
球
環
境
の
た
め
に
旧味の素記念館の貴重な資材が移設された「特別会議室」をはじめとして、赤松や
楓でおおわれた日本庭園、茶室、趣のある滝など、
「日本発の世界企業」を印象づけ
る空間づくりを行いました。
48
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
世界に通用する人材の育成・研修制度
従業員の主体性を重視した
キャリア支援制度
味の素㈱は、事業活動の国際化が進めば進むほど、
「味の素
グループ経営理念」
「味の素グループ行動規範」や品質・安全
性への認識などの基本的な価値観を従業員の間で共有するこ
味の素㈱は、社内外に通用する価値ある人材を育成す
ることが社内の活性化に大きな役割を果たすことから、従
とが重要になると考えています。
そこで、味の素㈱では、
日本、
アジア、欧米など国内外のマネジ
業員自らがキャリアデザインについて考え、具現化してい
メント層を対象とした研修「AIMS(Ajinomoto International
く契機となる「キャリア開発フォロー面接」を実施してい
Management Seminar)」
を実施し、基本的価値観を理解した
ます。これは、従業員自らが記入したキャリアデザインシー
世界に通用する人材、次代の味の素グループを担う人材を育成
トをもとにこれまでを振り返り、上司と今後のキャリアデザ
しています。
インについて話し合うものです。
また、
コンシューマーフーズ事業強化の戦略にもとづき、
「Ajinomoto
Marketing Training Program」や「Ajinomoto Global Foods
Workshop」を実施し、
マーケティングスキルなどの強化を図って
社
会
の
な
か
で
また、ほかにも、キャリアデザインに有
効なアドバイスを受ける「キャリア開発
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
カウンセリング」、キャリア開発を支援
います。
する情報をまとめた「キャリア開発
これらの研修は、各種のスキル
を習得する場であるとともに、国境
ガイド」の発行、イントラネットで各
を超えた文化交流の場ともなって
部門が必要とする人材を公募する
います。
取
引
先
様
と
と
も
に
ワークショップの様子
自己申告にもとづく評価の
仕組みを構築
「人材公募制度」があります。
の主体性を重視し、半期に一度自己申告にもとづく評価を
「2004キャリア開発ガイド」
キャリア支援制度
個人
● キャリアプラン
味の素㈱は、従業員の評価、昇格、処遇において、従業員
地
域
社
会
と
と
も
に
を描く
● 能力・スキル開
発に取り組む
キャリアデザインシート
キャリア開発フォロー面接
キャリア開発カウンセリング
キャリア開発ガイド
行っています。これは、従業員の自己評価をもとに、上司と
会社
(上司)
● キャリアプラン
を描き実現する
ための支援
● 能力・スキル開
従
業
員
と
と
も
に
発に関するアド
バイス
人材公募制度
面談しながら一人ひとりの異なる役割に応じた期間中の成
果を適切に評価することを目的としています。
また、基幹職への昇格についても、年功序列ではなく、個
人が選択するキャリア開発の一つの機会として位置づけ、
年1回、従業員自らがどのような基幹職をめざすのか、何を
身につけていく必要があるかを明らかにし、上司がその資
格を認定する仕組み「チャレンジボックス制度」を設けてい
ます。
キャリア開発カウンセリング
人事部がカウンセラーにふさわしい人物を社内から選定し、
本人との面談を設定する「エントリー制カウンセリング」と、人事
部が外部講師を招き、
自己分析や適性などキャリア開発の指
地
球
環
境
の
た
め
に
針について研修を行う「選択型研修カウンセリング」の2種類
があります。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
49
第1章 社会のなかで
従業員
とともに
お
客
様
と
と
も
に
とづいて発明者への報奨を実行しています。なお、報奨に
発明補償および特許報奨制度
取
引
先
様
と
と
も
に
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
は利益に応じて目安を設けていますが、上限は設けていま
せん。また、継続的に利益が得られた場合には、繰り返し報
味の素㈱は、独創的な技術やコンテンツ、
ブランドなどの
知的財産権の保護、有効活用に取り組んでいます。その一
なお、2004年2月に東京地方裁判所でアスパルテーム
環として、1999年には知的財産権にかかわる「特許報奨
職務発明訴訟※についての判決が下されています。この判
制度」を制定し、以後も改定を続けるなど、
「技術立社」を
決では、当発明における「会社の貢献」の勘案について、味
支える仕組みを整備しています。
の素㈱の主張はおおむね理解されましたが、
これに対する
たとえば、従業員が会社に譲渡した職務発明には、
「発明
社
会
の
な
か
で
奨の対象となります。
金額的評価が十分になされていないと判断し、現在、控訴
等取扱規程」
(1990年3月16日施行、1999年10月1
審に係属中です。
(2004年10月20日現在)
日改定)により、
「出願補償金」と「登録補償金」が支払わ
※ アスパルテーム職務発明訴訟
主力商品の一つである「アスパルテーム」の製法特許をめぐり、開発を担当し
た元社員が、
「正当な対価を受け取っていない」として20億円の支払いを味
の素㈱に求めている。
れます。また、職務発明によって会社が多大な利益を得た
場合には、
「特許報奨規程」
(1999年10月1日施行)にも
Voice
地
域
社
会
と
と
も
に
事業拡大にともなう人材強化を目的に、
会社と従業員の双方が成功する 施設の開設や制度の導入を進めています。
タイ味の素㈱
総務・人事部長
Mr. Suchart Narksavaek
開設し、
会社の目標に沿った持続的かつ充実した能力開発計
画を立案し、実行しています。ここでは階層別の研修コース
を準備し、内部講師による研修、外部の講師や機関による研
修のほか、
海外への派遣研修も実施しています。
従
業
員
と
と
も
に
私は現在、
タイ味の素㈱の総務・人事部長を務めています。
また、
人材開発には、
ジョブ・ローテーションも大切です。そ
当社の人事戦略の核心は、従業員の能力を最大限活用する
こで、
優秀な従業員には、
若いうちからさまざまな経験とチャ
こと、そしてキャリアアップに向けた機会をできる限り提供し
ンスを与えています。
ていくことです。
地
球
環
境
の
た
め
に
現在、当社は家庭用加工食品事業の拡大に取り組んでい
優秀な従業員にとっていっそう魅力ある会社にしていくこと
ます。このような事業拡大局面においては、従来からの良好
をめざしており、
最近では従業員の意識調査や処遇調査など
な労使関係と、それを支える優良な労働条件に加えて、
マネ
も実施しています。
「会社と従業員の双方がともに成功する
ジメント層を強化していく人材開発が大切になります。そこ
こと」、
それが、
私たちのゴールです。
で私たちは昨年、
「Education and Training Center」を
50
このように、
タイ味の素㈱では、
人事制度の改善を通じて、
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
安全で快適な職場づくり
取
引
先
様
と
と
も
に
2003年度は「重大災害ゼロ」を目標に掲げ、
従来から行っ
重大災害の防止に向けた
さまざまな活動を展開
ている ひやり・ニアミス事例 の収集・分析、
危険予知トレー
ニングなどを引き続き実施したほか、東海地震を想定した
味の素グループは、
「味の素グループ防災安全基本方針」
合同防災訓練を実施しました。また、
グループのイントラネッ
をもとに、
コーポレート・カンパニーと分社の防災安全(災害・
ト上に各社の災害事例を収めたサイトを設け、従業員の防
事故・けが・衛生など)の最高責任者が参加する「防災安全
災安全意識の向上を図りました。
会議」を毎年1回開催し、施策立案や総括、翌年度の活動
社
会
の
な
か
で
2004年度の目標は、達成可能な目標として「重大災害
計画の策定などを実施しています。
発生件数を前年の2分の1にする」ことを掲げています。
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
災害の発生件数および度数率※1・強度率※2
味の素グループ防災安全基本理念
国内
味の素㈱及びそのグループは、
休業
人間尊重を基本とし、防災・安全衛生を
企業活動の最も重要な基盤のひとつと考え行動します。
不休
2002年度
19
21
16
強度率
0.022
0.042
0.029
度数率
0.84
0.93
0.70
71
91
82
3.13
4.02
3.60
災害件数
度数率
海外
休業
味の素グループ防災安全基本方針
味の素㈱及びそのグループは、
不休
1.災害及び事故の未然防止のために、危険性を発掘・評
価し、その低減除去を絶えず講じます。
2003年度
2001年度
災害件数
169
189
157
強度率
0.084
0.070
0.074
6.06
災害件数
度数率
7.42
7.71
災害件数
112
138
152
度数率
4.92
5.63
5.87
地
域
社
会
と
と
も
に
※1 労働災害による死傷者数÷延べ実労働時間数×1,000,000
※2 労働損失日数÷延べ実労働時間数×1,000
2.「 決めたことを守り、守らせる」ことを徹底し、ライン
主導のもと、
安全衛生活動の継続的な向上を図ります。
従
業
員
と
と
も
に
3.非常事態発生時の被害を極小化するため、体制の強
化と対応の円滑化を図ります。
4.従業員一人ひとりが常に健康に業務を遂行できるよ
う支援活動を積極的に行い、
また、職場の安全衛生に
充分配慮します。
タイ味の素㈱包装工場消火訓練
防災安全活動の実行・推進体制図
味の素グループ合同防災訓練
推進体制
経営会議
防災安全会議
防災安全推進本部
事務局:味の素㈱ 生産戦略部
事務局:味の素㈱ 生産戦略部
地
球
環
境
の
た
め
に
部会
・生産部会 ・オフィス部会 ・R&D部会
実行体制
コーポレート
調味料・食品カンパニー
海外食品・アミノ酸カンパニー
医薬カンパニー
味の素冷凍食品㈱
味の素ベーカリー㈱
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
51
第1章 社会のなかで
従業員
とともに
お
客
様
と
と
も
に
労働安全衛生マネジメントシステム
取
引
先
様
と
と
も
に
味の素グループは、災害や労働安全衛生にかかわる活動を
適切に実施するために、OHSMS(労働安全衛生マネジメント
システム)の導入を進めています。これは、事業者が労働者の
協力のもとに「計画 – 実施 – 評価 – 改善」という一連の過程を
定めて、連続的かつ継続的な安全衛生活動を自主的に行うこ
とにより、事業所の潜在的危険性を低減させるとともに、労働
者の健康の推進および快適な職場環境の形成の促進を図り、
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
安全衛生水準を向上させることを目的としたものです。2003年
社
会
の
な
か
で
人権啓発推進委員を中心に
差別のない職場環境づくりを推進
味の素グループは、
「味の素グループ行動規範」
(→p4)
で、人種、民族、国籍、宗教、信条、出身地、性別、年齢、身体
障害などを理由とする差別行為を禁止しているほか、従業
員の採用、昇給、昇格、評定などの処遇においても、個人の
価値観、能力を尊重することを明記しています。
こうした考え方のもと、味の素㈱では、各事業所の総務部
度は味の素㈱九州事業所が導入を完了し、2004年度は川崎
門に「エリア・支社人権啓発推進委員」を配置しています。
事業所ならびに東海事業所でも運用を開始する計画です。
委員は、各種階層別研修において、人権に関する法・規制や
また、2003年度はブラジルにある3工場のうち1工場が、労働
世界人権宣言などの基礎知識、同和問題、在日外国人問題、
安全衛生マネジメントの国際的規格であるOHSAS18001の
HIVキャリアへの人権侵害や差別問題をとり上げ、正しい知
認証を取得し、残る2工場およびフランスの1工場でも2004年
識と理解にもとづく人権教育を推進しています。2003年
度中に認証を取得する計画です。
度は、延べ475名に対して人権教育を実施したほか、一部
のグループ会社の130名に対しても実施しました。
地
域
社
会
と
と
も
に
Voice
「安全性は、
工場運営の価値」であることを念頭に置き、
今後も安全・快適な生産環境づくりに努力し続けていきます。
欧州味の素食品㈱ネール工場
安全・環境担当オフィサー
従
業
員
と
と
も
に
Ms.Nathalie Lejeune
事故にはならなくても、危険性があった場合は必ず報告し、
記録に残すようにしています。また、
44名の内部監査委員が
月に最低1回の安全監査を実施しています。さらに、
こうした
日々の取り組みや監査の結果を、月ごとに従業員に示し、安
私が勤務するネール工場は、2003年から味の素グルー
プに加わりました。以来、
私たちは、
味の素グループの一員と
地
球
環
境
の
た
め
に
52
全衛生に関して活発な意見交換ができるよう環境づくりに努
めています。
して、共通の安全指標を掲げ、共通のルールにもとづき、一
こうした活動を通じて私が確信することは、安全は工場運
人ひとりの行動から工場全体の総合的リスクマネジメントま
営の価値であるということです。その意味で、安全性の向上
で、
多岐にわたる管理を行っています。たとえば、
私たちは毎
も、
生産性や品質向上も同じレベルで重要です。安全への取
週、
手袋、
マスクなどの安全用備品の有無や操業中の騒音や
り組みは強制や制約ではなく、必要な責任であることを一人
事故の有無などについてチェックする「安全シート」を使って
ひとりが認識し、
自覚することが必要です。また、問題が起き
問題点を迅速に吸い上げるとともに、
直ちに是正措置をとっ
てから対応するのではなく、問題を予見し未然に防ぐことが
ています。このとき、
味の素グループ各社がそうであるように、
重要です。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
定年後のライフプランを
支援するセミナーを実施
専用ホットラインを設けて、
セクシャルハラスメントに対応
味の素グループは、
「味の素グループ行動規範」により、
味の素厚生年金基金は、定年後の人生設計に役立つ情
セクシャルハラスメントを厳格に禁じています。また、万一
報提供を目的とした「年金ライフプランセミナー」を開催し
性的な言動を受けた場合は、人事部および各事業所の人
ています。
事総務担当者、健康推進センター、企業行動委員会などへ
セミナーは、55歳から57歳までの従業員を対象として
の専用ホットライン※を通じて報告・相談する仕組みを設け
おり、退職後の年金や健康保健、雇用保険の説明から具体
ています。
的な家計プランの作成指導まで、専門の外部講師を招いて
味の素㈱では、
こうした体制が十全に機能しているかど
取
引
先
様
と
と
も
に
行われます。
社
会
の
な
か
で
うかを調査するために、2003年6月、女性社員と派遣社
員を 対 象にアンケ ート調 査を 実 施し、7 割にあたる計
1,093名から回答を得ました。また、その結果、外部相談
窓口も設けることとなり、2004年4月から(財)21世紀職
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
価値観やライフスタイルに応じて
活用できる休暇制度
業財団に業務を委託しています。
2004年度は、
アンケート対象をさらに広げていきます。
味の素㈱は、日々の業務において従業員が常に力を発
地
域
社
会
と
と
も
に
揮できるよう、
また、個々の価値観や家庭・個人の事情に応
※ 専用ホットライン
セクシャルハラスメント専用の通報システム。味の素㈱では、
これとは別に、企業
行動全般に関わる問題を通報する「ホットライン」も設けている
(→p6)
じた生活スタイルを支援するために、次のような休暇制度
を設けています。
リフレッシュ休暇制度
メンタルヘルスケアを実施して、
従業員の健康管理をサポート
満25歳から定期的に取得できる休暇制度で、ライフプ
ランを考える機会とするため、それぞれの年代に応じた休
暇名がついています。
味の素グループでは、各事業所、支社に設置した健康推
●バイタリティー休暇・
・
・
・
・
・満25歳〜満32歳
進センターで従業員の定期健康診断を行っています。また、
●チャレンジ休暇・
・
・
・
・
・
・
・
・満33歳〜満40歳
疾病の早期予防、早期発見を目的として、健康診断後に産
●ミドルフレッシュ休暇・
・
・
・満41歳〜満48歳
業医もしくは医務スタッフがすべての従業員と面接を実施
●ライフプラン休暇・
・
・
・
・
・
・満49歳〜満56歳
し、ストレスの度合いなどメンタル面での健康状態を把握
するよう努めています。
さらに、日々のメンタル面をケアするために、ストレス状
況を把握するための聞き取りやアンケートを職場単位で適
宜実施しています。
従
業
員
と
と
も
に
※ 各休暇の行使権利は、前回取得した期間終了日から5年を経た以降の最初の
4月1日から
ボランティア休暇制度
味の素㈱は、社会貢献活動に参加する従業員を支援す
るために、年間8日間の有給休暇を取得できる「ボランティ
「チャレンジウォーク」
生活習慣病の改善や運
動不足解消の一環とし
て、身近にできるウォーキ
ングを従業員に推奨する
取り組み。2003年度は、
9月〜11月の2ヶ月間に
わたって実施された。
地
球
環
境
の
た
め
に
ア休暇制度」を設けています。
(→p43)
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
53
第1章 社会のなかで
従業員
とともに
お
客
様
と
と
も
に
労使関係
取
引
先
様
と
と
も
に
労働環境の維持・向上のために、
協調的な関係を構築
労使の力を合わせて社内制度を改定
味の素㈱は、2004年4月から、単なる環境整備ではなく、本
当に活用される制度を、
との観点から、労働組合とともに従来
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
社
会
の
な
か
で
味の素㈱と味の素労働組合は、労働協約の前文で「一人
の育児休業制度を見直しました。見直しは、労働組合が運営
ひとりの成長と企業の継続的発展を通して、企業を構成す
するホームページや育児中の組合員が情報交換し合うメーリン
る全ての人の豊かで実りある人生の実現と社会の繁栄に
グ・リストの声をもとに、女性メンバーを加えたプロジェクトを結成
貢献するため、相互の信頼にもとづいた労使関係を確立す
して推進していきました。その結果、
育児短時間勤務制度(→p46)
る」と記し、お互いをパートナーとして協調、切磋琢磨して
いく関係であることを確認しています。
現在、全従業員に占める組合員の割合は71.3%で、管
理職を除くすべての従業員が組合員となっており、
「中央
労使協議会」
「支部労使協議会」
「団体交渉」
「専門委員会」
地
域
社
会
と
と
も
に
などにおいて労使協議が行われます。
従
業
員
と
と
も
に
中央労使協議会
労使協定締結
地
球
環
境
の
た
め
に
54
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
において、子どもの対象年齢の引き上げやストック有給休暇を
利用しやすい仕組みづくりなどを実現しました。
味の素グループ
あじまつり
社員・家族参加イベント「味祭」
第2章
地球環境
のために
味の素グループ環境基本方針
56
環境ビジョン──「味の素グループ・ゼロエミッション」 57
目標と実績
58
マテリアルバランス
60
環境マネジメント
環境マネジメントシステム
61
ISO14001認証取得状況
61
環境監査
62
環境リスクへの対応
63
環境アセスメント
63
グリーン調達
64
委託先様の管理
64
環境教育
65
環境法令違反、環境事故、苦情の状況
66
環境会計
66
環境パフォーマンス
地球温暖化防止への取り組み
69
廃棄物削減への取り組み
70
排水負荷削減への取り組み
72
土壌汚染への対策
73
化学物質の適正管理
74
容器包装における取り組み
75
物流における環境負荷の削減
76
事務・営業部門における取り組み
77
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
55
第2章
地球環境
のために
お
客
様
と
と
も
に
味の素グループ環境基本方針
取
引
先
様
と
と
も
に
環境理念
私たちは、地球環境とグローバルな企業環境との調和を図り、
継続的な環境改善に努め、よりよい社会の実現に貢献します。
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
味の素グループは、農畜水産物を主な原料にして、国際的なルールに従い、多くの国や地域でビジネ
社
会
の
な
か
で
スを展開しています。気候、政治、文化、宗教、法律などが異なる地域の人々と一緒に考え、行動し、自
然との共生を図り、それらの環境を継続的によりよい方向に変えていくよう努めます。
環境基本方針
1.環境に対するグローバルな動向に関心を持ち、的確な対応に努めます。
全地球的な国際規格や国際的な枠組みなどの国際標準と、世界各国における環境行政や規制を常
地
域
社
会
と
と
も
に
に注視し、それらに対して的確に対応するとともに、
自主基準を定めて、計画的に対応していきます。
2.地球環境への負荷の低減に努めます。
事業活動にともなう地球環境への影響(オゾン層の破壊、地球温暖化、酸性雨、海洋汚染、砂漠化、
野生生物種の減少など)を常に考慮し、すべての事業活動から生じる環境への負荷を低減していき
ます。
3.資源を大切にすることを原点に、省資源・省エネルギーに努めます。
従
業
員
と
と
も
に
主要製品の「味の素」やその他のアミノ酸の製造は資源・エネルギー多消費型の産業です。その製
法の歴史は省資源・省エネルギーへの取り組みの連続といっても過言ではありません。さらなる生
産効率の向上や、副生物の有効利用を重点に、
日常のきめ細かな取り組みを含めて省資源・省エネ
ルギーを進めていきます。
4.資源の有効利用や環境の改善に役立つ、新技術、新システムの開発に努めます。
廃棄物や副生物を有効利用するための技術開発はもちろんのこと、生産効率の向上や廃棄物など
の発生抑制など、商品の設計段階から廃棄段階までを意識して、環境負荷のより一層少ない生産技
術やシステムの開発に取り組みます。
地
球
環
境
の
た
め
に
5.環境保全に関する教育、啓発と情報提供及び外部との連携に努めます。
環境への取り組みの情報を開示、提供し、社会とのコミュニケーションのより一層の向上を図るとと
もに、
グループ内への情報発信と教育体系を整備し、一人ひとりの環境意識の向上に努めます。
1997年11月制定
56
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
環境ビジョン──「味の素グループ・ゼロエミッション」
取
引
先
様
と
と
も
に
あらゆる環境負荷の極小化をグループ全体で追求していきます。
味の素グループは、環境問題に対して、環境マネジメント
を目的としています。
システムを構築し、各国・各地域における遵法を徹底する
2003年度は、その第一歩として、基幹事業である発酵
など、着実な取り組みを続けてきました。しかし、よりいっ
関連事業と食品関連事業において、
とくに重要なテーマで
そう環境負荷を低減していくためには、国内外のグループ
ある排水負荷の削減、廃棄物・副生物の発生量削減と資源
で統一した考え方・基準をもって積極的に取り組むことが
化率の向上などについて厳しい統一目標を掲げ、
グループ
必要と考え、2003年度から「味の素グループ・ゼロエミッ
をあげて取り組みを始めました。また、2004年度以降は、
ション」という考え方にもとづき、
具体的な達成目標を定め、
統一基準の項目の拡大、達成目標の引き上げを行い、すべ
環境負荷削減活動を展開しています。
ての事業活動から生じるあらゆる環境負荷の極小化をめ
「味の素グループ・ゼロエミッション」は、
『たとえ法規制
社
会
の
な
か
で
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
ざしていく計画です。
を守っていても、実際には相応の環境負荷を排出し、地球
味の素グループは、
こうした積極的な取り組みが、従業員
環境に負担を与えている』という事実を味の素グループの
の創造性とチャレンジ精神を刺激し、企業としての永続的
すべての従業員が認識し、各国・各地域の法規制の有無に
な発展・強化を確かなものとし、地球環境への良い影響を
かかわらず、
グループ独自の統一基準をもって、事業活動
もたらしていくと確信しています。
地
域
社
会
と
と
も
に
から発生する各種の環境負荷の極小化に努めていくこと
事業の永続的発展
●競争力強化・ブランドへの信頼 ●事業を通じての社会貢献
●環境・資源の永続的な保全
環境負荷の
極小化
コスト削減
従
業
員
と
と
も
に
環境に貢献する
事業・製品の推進
環境マネジメントシステム
ISO14001規格への準拠
内部監査の実施
環境アセスメントの徹底
環境教育
「味の素グループ・ゼロエミッション」の追求
2003年度は、2つの定量目標値を設定しました
副生物・
資源化率99.0%以上を実現する
廃棄物
地
球
環
境
の
た
め
に
BOD 10ppm以下
排水負荷 窒素 5ppm以下
アミノ酸発酵関連商品
調味料・加工食品
CO2排出量の削減
生ゴミなどの廃棄物削減
副生物・廃棄物の削減
排水負荷の削減
環境保全
テーマ
容器包装類の削減
販売不能商品の削減
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
57
第2章
地球環境
のために
お
客
様
と
と
も
に
目標と実績
取
引
先
様
と
と
も
に
味の素グループ環境保全3ヵ年計画(2002〜2004年度)目標
参 照
ページ
2002年度実績
環境マネジメント推進体制
●本社の環境マネジメントシステム(EMS) P61
構築・運用とグループ各社のEMS構築推進
●カンパニー制導入にともない、
グループ全体を網羅するEMS推進体制を構築
●「環境規程」を改定、細則等を整備
ISO14001認証取得
●2005年度末までに国内外主要事業所
で取得
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
P61
●取得対象98サイト(国内62,
海外36)のうち、16サイトで取得(16%進捗)
P62
●計画通り実施(43拠点に対し実施)
環境監査
マネジメント
社
会
の
な
か
で
環境経営実現のため
の仕組みの構築と運用
の定着化
(国内外グループ全体
を網羅するグループ環
境マネジメント体制の
構築)
●グループ環境監査の運用強化と効率化
環境自主基準
●環境自主基準
「グループ・グローバル・ミニ
マム※」の制定・導入 と対応完了
・廃棄物の自社所有地への埋立の禁止
・COD、窒素に関する排水中の環境負荷量の規制
●72工場のうち、66工場で対応完了
ー
*対象:すべての生産系事業場(72工場)
環境アセスメント
●環境アセスメントの強化
P63
●環境アセスメントの実施義務対象を全事業活動へ拡大
・稟議案件68件で実施(前年度比234%)
P65
●新入社員研修や海外赴任研修などの各種研修で体系的に実施
●各部門で実施
●「内部監査員養成講座」を6回開催し、154名受講
環境教育
地
域
社
会
と
と
も
に
●経営層、
従業員の啓発教育
●専門教育・訓練による職責能力の保持、
向上
●内部監査員の増員(国内グループ)500名
排水汚濁負荷削減
P72
排水量削減
P72
廃棄物処分量削減(資源化率向上)
従
業
員
と
と
も
に
P70
パフォーマンス
環境保全の管理強化
と環 境 負 荷 の 改 善
(「 味の素グループ・ゼ
ロエミッション 」計画
の推進)
販売不能商品発生量削減(国内)
ー
温室効果ガスの排出量削減
P69
●グループ全体で実績を把握
・BOD・
・
・900トン 窒素・
・
・1,700トン
●生産量は増加したが、前年度レベルを維持
・排水量・
・
・201,000千トン
●資源化率を向上、処分量削減
・資源化率・
・
・94.9%(前年度比2.1ポイント向上)
・廃棄物処分量・
・
・89千トン(前年度比26%削減)
・廃棄物のゼロエミッション工場(資源化率99%以上)
・・・72工場のうち9工場(国内1,
海外8)
●諸事情により増加
・発生量(国内)
・
・
・3,718トン(対前年度比22%増加)
●生産量増加により増加、効率は改善
・CO2排出量(生産部門)
・
・
・188万トン(対前年度比2%増加)
・CO2排出量原単位指数*
(発酵関連生産部門)
・
・
・95(対前年度比10%削減)
*2001年度を100とした指数
物流効率の改善および
グリーン化の推進
地
球
環
境
の
た
め
に
P76
容器包装の改善
P75
●モーダルシフトを推進
・モーダルシフト率*
(国内)
・
・
・21.8%
*トンキロベース
・製品輸送CO2排出量(国内)
・
・
・44,812トン-CO2
・製品輸送CO2排出量原単位(国内)
・
・
・139g-CO2/トンキロ
●「容器包装エコインデックス」を改訂
・
「地球温暖化防止」の観点を加え、
LC-CO2評価を開始
●容器包装を改善
*
・容器包装材料の重量削減率 ・
・
・家庭用商品14% 業務用商品6%
*新規商品および容器包装改訂商品
コミュニケーション
環境報告内容の拡充および
ステークホルダーとの対話推進
環境視点からの企業ブ
ランド力の向上
社会からの評価の向上
●「味の素グループ環境報告書2002」を11月に発行(3年目)
ー
P35
※ 環境自主基準「グループ・グローバル・ミニマム」
:環境に関する法規制が未整備な国・地域においても、味の素グループとして遵守すべきミニマムな環境自主基準
58
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
2003年度実績
2004年度目標
●「環境会議」
(年2回)、
「EMS推進事務局会議」
(毎月)を中心に、決定事項の指示・伝
達の徹底、環境活動の遂行状況の管理強化などが図られた。
●継続
●味の素㈱国内全拠点で取得完了、
グループ会社へ展開
●取得対象98サイト(国内62,
海外36)のうち、44サイトで取得(45%進捗)
●対象取得を114サイト(国内75、海外39)に拡大し、そのうち、60サイトで取得予
定(53%進捗)
●計画通り実施(37拠点に対し実施)
●監査部業務監査との連携を開始
●運用継続による課題改善
●72工場のうち、67工場で対応完了
●72工場すべてで対応完了予定
●従来の工場設備投資案件に加え、商品・原材料廃棄、不動産売買、新商品発売などに
関する案件も実施
・稟議案件116件で実施(対前年度比170%)
●確実な運用継続
●環境負荷削減に寄与する運用
●継続実施
●継続実施
●「内部監査員養成講座」を5回開催し、147名受講。累計301名
●継続実施と内容の向上
●継続実施と内容の向上
●「内部監査員養成講座」を6回開催、受講者160名、累計461名
外部講座およびグループ会社独自の講座の受講者140名を含めて、累計600名
●生産量の増加にともない増加
・BOD・
・
・1,000トン 窒素・
・
・2,200トン
●「味の素グループ・ゼロエミッション」において定量目標を設定
・BOD・
・
・10ppm以下 窒素・
・
・5ppm以下
●生産量は増加したが、前年度レベルを維持
・排水量・
・
・190,000千トン
●「味の素グループ・ゼロエミッション」において定量目標を設定
・排水量・
・
・20%削減(対2002年度)
取
引
先
様
と
と
も
に
社
会
の
な
か
で
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
地
域
社
会
と
と
も
に
●実行計画の策定と着手
●実行計画の策定と着手
●資源化率を向上、処分量削減
・資源化率・
・
・96.3%(対前年度比1.4ポイント向上)
・廃棄物処分量・
・
・72千トン(対前年度比19%削減)
・廃棄物のゼロエミッション工場・
・
・72工場のうち、16工場(国内6、海外10)
●全工場がゼロエミッション工場となるための改善継続
(食品系工場の動植物残さの資源化推進)
●全事業領域への拡大
●発生量を削減
・発生量(国内)
・
・
・2,915トン(前年度比22%削減)
●「味の素グループ・ゼロエミッション」において定量目標を設定
・発生量・
・
・50%削減(対2002年度)
●継続
●生産量増加により増加、効率は継続改善
・CO2排出量(生産部門)
・
・
・202万トン(対前年度比7%増加)
・CO2排出量原単位指数*
(発酵関連生産部門)
・
・
・90(対前年度比5%削減)
●生産プロセス改善、省エネルギーの推進
従
業
員
と
と
も
に
*2001年度を100とした指数
●モーダルシフトを継続推進
・モーダルシフト率*(国内)
・
・
・23.4%(対前年度比1.6ポイント向上) *トンキロベース
・製品輸送CO2排出量(国内)
:44,933トン-CO2
・製品輸送CO2排出量原単位(国内)
・
・
・134g-CO2/トンキロ
●継続
●「ユニバーサルデザイン」の観点を加えた「容器包装エコインデックス」に改訂
●「Ecoデザイン開発部会」活動を開始
●「日本パッケージングコンテスト」で2商品が受賞
●容器包装を改善
・容器包装材料の重量削減率*・
・
・家庭用商品14% 業務用商品7%
●「Ecoデザイン開発部会」活動の展開
地
球
環
境
の
た
め
に
*新規商品および容器包装改訂商品
●内容を拡充し、
「環境報告書」を継続発行(4年目、11月)
・CSRを意識し、
「社会的活動」に関する報告内容も記載
●ステークホルダー・ダイアローグを実施(12月)
●CSRを網羅した「社会・環境報告書」の発行(10月)
●各種ステークホルダー・ダイアローグの開催
●味の素㈱東海事業所「バード・サンクチュアリ」で「野生生物保護功労賞表彰」他受賞
●「FTSE4 Good」インデックスシリーズへの組み込み
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
59
第2章
地球環境
のために
お
客
様
と
と
も
に
マテリアルバランス
取
引
先
様
と
と
も
に
INPUT
資源・エネルギーの投入
エネルギー
※
31,400TJ
3,470千t
180万MWh
主
原
料
農畜水産物等
購入蒸気
97万t
副
原
料
酸・アルカリ
他
260百万r
容器包装材料
3
ガス
280百万m
石炭
社
会
の
な
か
で
水
203,000千t
購入電力
石油
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
原材料
1,000t
プラスチック類
紙、ダンボール
他
2,070千t
上水
710千t
540千t
54千t
64千t
28千t
5,000千t
工業用水
43,000千t
河水・井水
(直接使用)
21,000千t
河水・井水
(間接冷却使用) 133,000千t
※ TJ:テラジュール。T(テラ)=1012
味の素グループ
集計範囲:国内外味の素グループ 集計期間:2003年4月1日〜2004年3月31日
OUTPUT
地
域
社
会
と
と
も
に
物質の排出・環境への影響
製品
1,325千t
CO2
直接燃焼分
購入エネルギー分
136万t-CO2
76万t-CO2
NOx
地
球
環
境
の
た
め
に
再資源化
3,600t
SOx
4,300t
煤塵
46t(国内のみ)
特定フロン
代替フロン
食品リサイクル法にもとづく
物質収支
3.2t
9.0t
資源化率
96.3%
140千t
廃棄物処理(外部処分)
190,000千t
213万t-CO2
フロン
1,748千t
排水
大気への排出物質
従
業
員
と
と
も
に
副製品
副生物
排出物
72千t
排出先
公共水域(処理後放流など)
公共水域(間接冷却水)
公共下水
灌漑用水に利用
53,000千t
133,000千t
3,400千t
800千t
排水負荷(処理後放流など)
BOD
窒素
1,000t
2,200t
集計対象範囲:味の素㈱、
味の素冷凍食品㈱、
クノール食品グループ、
味の素パッケージング㈱、
食品
㈱味の素タカラコーポレーション、味の素ファルマ㈱など27会社・事業所の
リサイクル率
国内食品商品群(容器包装材料は含まない中味重量)
84.1%
生産
製品
521千t
販売不能商品
工程生ゴミ
60
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
2,915t
22,398t
食品リサイクル対象廃棄物
25,313t
再資源化
外部委託処理
21,276t
4,037t
お
客
様
と
と
も
に
環境マネジメント
環境マネジメントシステム
ISO14001認証取得状況
グループとして
環境活動に取り組む基盤を構築
環境マネジメントの基本ツールとして
取得を推進
味の素グループは、1997年に制定した「味の素グルー
味の素グループでは、ISO14001規格を環境マネジメ
プ環境基本方針(→p56)」ならびに「環境規程」にもとづ
ントにおける基本ツールと位置づけ、2005年度末までに、
き、環境マネジメントの国際規格であるISO14001を基
味の素㈱のすべての組織および製造、包装、物流、エンジ
本とした環境マネジメントシステムを構築しています。
ニアリングを事業内容とする連結子会社等の事業所、
114ヵ
2002年度には、カンパニー制の導入にあわせて、環境
2003年度は、
グループ経営の中枢を担う味の素㈱の本
ら全事業活動へと拡大しました。また、推進体制・運用ルー
社・支社など全国20ヵ所での一括認証取得を含め、新たに
ルの見直しやグループ環境自主基準の制定などを行い、味
28ヵ所で認証を取得しました。この結果、その後の認証取
の素グループとして統一された環境活動を推進する基盤
得箇所も含め、2004年7月現在、味の素㈱のすべての組
を整備しました。
織(工場、研究所、本社・支社など)23ヵ所、国内外子会社
年2回(5月、11月)開催されます。環境会議には、各カン
パニー・分社等の責任者である「統括環境管理者」が出席し、
社
会
の
な
か
で
所での認証取得をめざしています。
規程を大幅に改定し、環境活動の範囲を生産・研究活動か
環境活動に関する意思決定の最高機関は「環境会議」で、
取
引
先
様
と
と
も
に
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
地
域
社
会
と
と
も
に
など26ヵ所(国内12、海外14)の計49ヵ所で認証を取得
しています。
なお、
この認証取得済み49ヵ所のエネルギー使用量は、
環境保全推進計画や諸施策を討議するほか、味の素グルー
味の素グループのエネルギー使用量の約58%に相当しま
プ全体の環境戦略の策定や年度ごとの環境目標の設定な
す。
どを行います。2003年5月からは、
「環境会議」に加えて
各カンパニー・分社等の環境管理事務局が参加する「EMS
推進事務局会議」を毎月開催しています。
ISO14001認証取得計画
従
業
員
と
と
も
に
(カ所)
※2
120
114
100
体制図
経営会議
環境会議
環境担当役員
(副社長)
メンバー:統括環境管理者
事務局: 環境経営推進部
開催:
2回/年以上
2003年7月以降の組織名称で表しています。
[コーポレート]
●環境経営推進部
●総務・リスク管理部
●経営企画部
●生産戦略部
60
◎連結子会社
◎原則各単位組織
40
20
議長:
注 ●:統括環境管理者
◎:環境管理者
●調味料・
食品カンパニー
◎連結子会社
◎原則各単位組織
●海外食品・
アミノ酸カンパニー
◎連結子会社
◎原則各単位組織
●医薬カンパニー
◎連結子会社
◎原則各単位組織
●味の素冷凍食品㈱
◎各社・各事業所・
工場など
●味の素ベーカリー㈱
◎各社・各事業所
など
●味の素物流㈱
◎各社・各事業所
など
国内連結子会社など
52
80
0
※1
49
12
14
海外連結子会社など
39
23
味の素㈱
23
取得済み
(2004年7月現在)
2005年度目標
※1 2004年7月現在での取得済みカ所数
※2 環境会議でISO14001規格の認証取得を目標に定めた事業所など
(味の素㈱
および製造、包装、物流、
エンジニアリングを事業内容とする連結子会社等)
と、
自主的に認証取得をめざしている連結子会社等の事業所の合計
地
球
環
境
の
た
め
に
URL http://www.ajinomoto.co.jp/
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
61
第2章
地球環境
のために
お
客
様
と
と
も
に
環境監査
目標の遂行状況や遵法状況などを確認
取
引
先
様
と
と
も
に
味の素グループでは、環境基本方針や目標の遂行状況、
遵法状況などを確認するため環境監査を実施しています。
環境監査には、ISO14001規格にもとづいて内部監査
員(→p65)が実施する「内部環境監査」を主軸に、外部認
証機関による「外部審査」、環境経営推進部がグループの
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
監査の種類
ISO14001
認証取得事業所
など
・内部環境監査
・外部審査
グループ
環境監査
監査部
監査
味の素㈱およびおもに
製造・物流系の
関連会社、事業所
グループ環境監査
計画対象外の
関連会社・事業所
主要な事業所を対象に年度ごとに計画を定めて実施する「グ
社
会
の
な
か
で
ループ環境監査」があります。
2003年度は、
これらに加えて、味の素㈱の監査部が環
境経営推進部の方針にもとづいて「グループ環境監査」の
対象外の事業所に対しても環境面の監査を実施しました。
グループ環境監査を通じて、
環境マネジメントのレベルアップを推進
地
域
社
会
と
と
も
に
グループ環境監査は、環境経営推進部の監査員資格を有
する監査員が、味の素㈱および主に製造・物流事業を行う国
内外の関係子会社、事業所を対象に年度方針を定めて実施
する環境監査です。
グループ環境監査実施実績※
実施年度
監査実績拠点数
国内
海外
計
2001年度
33
14
47
2002年度
32
11
43
2003年度
13
24
37
※ 環境経営推進部が直接実施したもの。2003年度は、
このほかに監査部によ
る監査を実施しました。
2003年度は、国内外の37事業所に対して環境監査を実施し、
グループとしての環境マネジメントのレベルアップに努めました。
また、環境監査の結果は、環境会議(→p61)
において報告され、
従
業
員
と
と
も
に
適宜、改善案を実施しています。
これら監査の結果、2003年度は、法遵守体制・リスク管理体
2003年度の監査のポイント
1.
「自己採点シート※」を用いた環境監査の基準の徹底
2.
グループ目標の周知徹底
3.
周辺環境への配慮(リスク管理・回避)の徹底
制の整備、環境負荷の低減において着実な進歩が確認されま
4.
監査範囲の拡大および監査メンバーの育成
したが、一方で右記のような改善指摘項目が認められました。
※ 自己採点シート
監査項目が網羅された「自己採点シート」を各事業所に配布し、
事前チェックを行うことで、実際の監査結果との違いを明確化し、
監査基準を徹底する。
2003年度の改善指摘項目(抜粋)
●小規模の事業所でも、
さらなる環境管理体制の強化が必要
地
球
環
境
の
た
め
に
●サービス・物流・業務部門においても、廃棄物などリス
排水処理設備の点検(タイ食品工場)
ク管理対策や省エネなど環境負荷低減の取り組み強
化が必要
●事業所ごとの管理に加え、事業や各国・各地域エリア
の統合的な取り組み強化が必要
●「味の素グループ・ゼロエミッション(→p57)」にもと
づく積極的な環境負荷低減の取り組みが必要
62
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
環境リスクへの対応
緊急事態への備えや
通報連絡体制を整備
味の素グループでは、安全・環境に関するリスクマネジメ
ントを実施し、重要なリスクへの対応を図っています。
たとえば、発酵関連製品の製造事業所では、アミノ酸の
発酵生産に必要な窒素成分の原料としてアンモニアを使
環境アセスメント
実施対象をすべての稟議案件に拡大
味の素グループは、環境問題の発生を未然に防止するた
めに、2002年度に「環境規程」を大幅に改定し、環境影響
評価・アセスメント(環境アセスメント)の実施義務対象範囲
を拡大しました。
用するため、大量に保管しています。アンモニアは漏洩す
これによって、
生産や研究にともなう設備投資案件などの
ると環境へ重大な影響を及ぼすことから、法にもとづく設
稟議案件だけでなく、
商品・原材料廃棄、
不動産売買、
新商品
備管理・取り扱いを徹底しています。
発売(容器包装)などにともなうすべての稟議案件が環境ア
また、緊急事態への備えとして、自動遮断や漏洩拡散防
社
会
の
な
か
で
セスメントの対象となりました。これら対象案件については、
止のための設備を設け、事業所内での緊急対応訓練を実
案件の責任部門が環境アセスメントを実施し、
その結果につ
施しているほか、近隣住民および行政機関への通報連絡体
いて環境経営推進部のチェックを受けたうえで稟議決裁文
制を構築しています。今後は、近隣住民を含めた共同防災
書に記載します。
体制の構築に取り組んでいきます。
取
引
先
様
と
と
も
に
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
これらの仕組みが定着したことで、2003年度の環境ア
地
域
社
会
と
と
も
に
セスメント実施数は、
前年度の68件を大幅に上回る116件
となりました。
Voice
環境負荷を極小化する製法の開発をめざしています。
味の素㈱発酵技術研究所
単離・精製技術開発室長
東森 郁彦
従
業
員
と
と
も
に
改良はもちろんのこと、新製品の製法開発や新工場建設に
あたっては、
たとえば大規模な廃水処理設備に頼らなくても
いいような――環境負荷を極小化できるような抜本的な製
法開発をめざす必要があります。また、それを実現するため
味の素グループのアミノ酸生産技術は、製品の品質やコ
には、
さまざまな環境課題に対して検討もれがないよう、環
スト競争力において世界ナンバー・ワンと自負していますが、
境アセスメントを詳細に実施することも重要なテーマです。
今やそれだけでは社会の評価は得られません。加えて、
環境
2006年に稼動を予定しているブラジルのアミノ酸新工
負荷の少なさでも世界一であり続けること、
それがトップメー
場では、従来に比べて、排水負荷を大幅に削減することが可
カーの責任だと考えています。
能になります(→p73)。しかし、
これに満足することなく、今
その責任を果たすためには、製造現場における環境負荷
後も粘り強く「味の素グループ・ゼロエミッション」を達成し
削減の努力もさることながら、私たちアミノ酸の研究開発者
ていけるよう革新的な技術開発にチャレンジしていきたいと
の果たすべき役割も大きいと自覚しています。既存技術の
思います。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
地
球
環
境
の
た
め
に
63
第2章
地球環境
のために
お
客
様
と
と
も
に
グリーン調達
「味の素グループ
グリーン調達ガイドライン」を策定
取
引
先
様
と
と
も
に
こと、取引先様に対して環境マネジメントシステムの構築
を要請することなどを定めており、今後は、購買部・環境経
全活動の一項として、
「環境に配慮した原料、資材および
営推進部が中心となり、
グリーン調達の数値目標の設定や
間接材の購買」を掲げ、事業活動の一環としての調達活動
推進計画などを立案していきます。
ます。
なお、海外のグループ会社においては、今後、ガイドライ
ンをベースに、それぞれの国の法令や国情を考慮した運用
2004年6月には、
この活動をさらに推進していくために、
社
会
の
な
か
で
ガイドラインでは、使用禁止物質や規制物質に留意する
味の素グループでは、
「環境規程」に明記された環境保
において環境に配慮すること(グリーン調達)を定めてい
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
グリーン調達ガイドライン」を策定、導入しました。
を行っていく方針です。
国内外の味の素グループを対象とした「味の素グループ
委託先様の管理
原料サプライヤー様などに対する
環境管理を強化
地
域
社
会
と
と
も
に
(1)製造委託先様、サプライヤー様の管理
廃棄物の遵法適正処分の確保、徹底に関する社会の要
求はますます厳しさを増しています。国内味の素グループ
では、
各事業所が廃棄物処理法で定められたマニフェスト(管
味の素グループでは、味の素ブランドに対するお客様の
理票)を運用することはもちろん、処分を委託する産業廃
信頼を守るというリスクマネジメントの一環として、製造委
棄物処理業者が適切な処分をしているかについて、実地確
託先様やサプライヤー様に対する環境管理を強化してい
認の体制づくりを進めています。
ます。
具体的な活動としては、味の素グループの環境に対する
従
業
員
と
と
も
に
(2)産業廃棄物処理業者の管理
2003年度は、処理業者の評価に必要な項目を網羅し
たチェックリストの整備を進め、おおむね終了しました。
考え方を各社に説明したうえで、法令の遵守状況、
コンプ
2004年度は、
このチェックリストを用いた評価の運用を
ライアンス体制、
自主的な点検活動の推進状況などを確認
行いながらリストをさらに改善するとともに、
グループ会社
しています。また、重要な管理項目については、
グループの
間の連携をさらに深めることでグループ全体のリスク管理
環境・品質・安全管理の担当者が製造委託先様を訪問し、
体制を着実に強化していきます。
定期的な点検を実施しています。
認められた課題については、製造委託先様と問題を共有
し、必要な対策を実施していただいています。
一方、海外においては、遵法を徹底するとともに、廃棄物
処分に関する規制などが未整備な国・地域においても、国
内と同様の考えに立ち、自主マニフェストの運用や廃棄物
処理業者の適正操業の確認などに努めています。
地
球
環
境
の
た
め
に
64
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
環境教育
内部監査員の育成
あらゆる階層の従業員を対象に
各種研修・勉強会を実施
味の素㈱は、新入社員研修や海外赴任者研修などの各
種の研修時に、地球環境問題や企業の社会的責任に関す
る教育を実施しています。
ために、事業所内の環境監査を担当する「内部監査員」を
2004年度中に国内で500名に増員する目標を掲げました。
現在、
この目標に向けて、
グループをあげた人材育成に取り
組んでおり、2004年度中には環境経営推進部主催の内部監
また、
「味の素グループ・ゼロエミッション」
(→p57)や
査員研修による460名に味の素㈱工場主催およびグループ会
環境負荷削減の目標を紹介するビデオを国内外のグルー
社独自で行う研修による160名を加え、国内グループ全体の内
プ会社に配布し、従業員教育に活用しています。
部監査員は600名を超える予定です。
さらに、商品設計の段階から商品の返品・廃棄までのす
べてのプロセスで環境を意識した活動を推進するために、
容器包装リサイクル法や返品・
社
会
の
な
か
で
今後は、内部監査員の増員を継続するとともに、監査能力の
向上を図るなど、質・量の両面から監査のレベルアップを図って
いきます。
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
内部監査員の育成状況※
廃棄物の適正管理など、関係
各部門ごとにテーマを決め
内部監査員講習
修了者
て定期的な勉強会を開催し
ています。
取
引
先
様
と
と
も
に
味の素グループは、2003年、環境活動のレベル向上を図る
新入社員への環境教育
2003年度末
301名
2003年度実施講習会
5回
2004年度予定
460名
2004年度予定講習会
6回予定
地
域
社
会
と
と
も
に
※ 環境経営推進部主催によるもの
2003年度 主な環境教育実施内容(味の素㈱)
●環境経営推進部実施
実施時期
対象
新入社員・中途採用社員
味の素㈱
ISO14001認証取
得対象の国内グルー
プ会社
時間
1回
(4月、
中途採用は採用月)
内容など
1時間
導入教育:地球環境問題全般、企業の社会的責任、
味の素グループの環境マネジメント
全従業員
1回(4〜5月)
0.
5時間
EMS導入教育:環境マネジメントシステムの基礎知識
新任管理職
1回(8〜10月)
1時間
層別研修:環境マネジメントシステム、環境経営
事業部商品開発担当者
1回(7月)
1.
5時間
専門研修:容器包装リサイクル法
事業部・物流・支社営業部門担当者
1回(6月)
0.
5時間
基礎研修:返品・廃棄物の適正管理
EMS構築担当者
2回(11・2月)
2日間
ISO14001 認証取得に向けて
従
業
員
と
と
も
に
●海外食品・アミノ酸カンパニー実施(海外関係)
実施回数・時期
対象
全員
味の素㈱
海外法人
(中国、
マレーシア、
タイ、
イタリア)
海外赴任者
技術系赴任者
幹部・ナショナルスタッフ
1回(6月)
1回(6月)
4回(4・7・10月)
各回1名
時間
内容など
1.
5時間
基礎研修:品質・安全
2.
5時間
専門研修:品質管理、環境管理
1.
5時間
専門研修:赴任先の各工場における環境保全・資源化
1日〜12日間
環境保全に関する基礎教育、専門技術研修
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
地
球
環
境
の
た
め
に
65
第2章
地球環境
のために
お
客
様
と
と
も
に
環境法令違反、環境事故、苦情の状況
苦情などの状況
問題に対して適切な対処と
再発防止を図る仕組みを構築
取
引
先
様
と
と
も
に
2003年度、味の素グループの製造事業所に対して、
おもに
味の素グループでは、環境に関する法令違反や環境事故
が発生した場合には、速やかに経営陣に報告するとともに、
適切な対策を講じる仕組みを構築しています。
また、再発防止のために、各事業所では、幸いにも環境事
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
社
会
の
な
か
で
故に至らなかったトラブルやヒヤリ(ニアミス※ )も含めて
原因追究を行い、味の素グループの各事業所で情報を共
有しています。
※ ヒヤリ
(ニアミス)
たとえば、工程液の保管設備から漏洩があっても、2次容器や事業所の緊急
遮断設備などで食い止め、場外に流出しなかった場合など。
近隣住民の方から47件(国内37件、海外10件)の苦情が寄せ
られました。いずれも原因究明のうえ、速やかに説明を行うとと
もに必要な対策を実施しました。
苦情などの状況
国内
海外
騒音
21
2
臭気
13
6
水質
0
2
大気
1
−
その他
2
−
環境事故、
トラブルの状況
環境会計
2003年度、味の素グループでは環境に重大な影響を与える
地
域
社
会
と
と
も
に
事故はありませんでした。
ガイドラインにもとづき
継続的に集計
なお、国内グループ会社の1工場において、廃水処理設備
機器の故障により食品製造工程から少量の未処理廃水が公
共水路に流出する事故が1件発生しましたが、速やかに回収し
味の素㈱では、1992年度より環境コストについて独自
の集計をしてきました。
また、
2000年度からは、
環境庁(現 環境省)ガイドライン
たことで環境に重大な影響を与えませんでした。
にもとづく「環境会計」を導入し、継続的かつ効果的な環境
従
業
員
と
と
も
に
環境法令等の違反状況
保全活動に活かすとともに、環境会計情報を環境報告書で
2003年度、味の素グループによる重大な環境法令違反、立
継続的に開示しています。
2003年度は、
前年度に引き続き、
味の素㈱の国内3工場、
件はありませんでした。
また、各国・地域の行政による指導や改善要請を18件(国
内5件、海外13件)受けました。いずれについても、速やかに対
処しています。
指導・改善要請の状況
地
球
環
境
の
た
め
に
66
国内
海外
廃棄物
1
6
水質
2
2
大気
1
3
騒音
−
1
その他
1
1
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
研究所、本社、全支社について集計しました。
集計方法について
環境コストと効果は、環境省発行の「環境会計ガイドライン2002年度版」を参考
に集計しています。ただし、経済効果については内部管理しており、測定可能な
実質効果のみ集計し、推定計算による「みなし効果」や「偶発的効果」は算出し
ていません。
なお、主な集計方法は、以下のとおりです。
1.環境保全に関して、直接運転管理している部署および総務ならびに技術支援
している部署の費用のみを集計対象としました。
2.投資は環境目的に限定されるもののみ集計しました。
3.減価償却費は財務会計上の金額としました。
4.グリーン購入(エコ商品購入など)については、総額を記入しました。
5.省エネによる費用削減効果については、削減相当額の実績を計上しました。
6.環境保全コストとは別に「その他コスト」の項目を設け、廃棄商品額を記載しま
した。
お
客
様
と
と
も
に
●集計範囲:味の素株式会社 全社
●対象期間:2003年4月から2004年3月まで
(単位:千円)
計
環境保全コスト
分類
取組内容
項目
生産・サービス活動により事業エリア内で生じる
環境負荷を抑制するための環境保全コスト
事業内エリアコスト
385,097 4,704,194
投資額
費用額
投資):環境設備更新
費用):環境設備維持費用
385,097 3,722,520
内訳1):公害防止コスト
投資):設備更新
費用):大気・水質維持費用
214,207 1,844,980
内訳2):地球環境保全コスト
投資):冷凍設備更新
費用):減価償却費
内訳3):資源循環コスト
93,500
8,500
77,390 1,869,040
投資):焼却炉・廃棄物設備投資 費用):設備維持費用
上・下流コスト
生産・サービス活動に伴って上流又は下流で
生じる環境負荷を抑制するためのコスト
容器リサイクル負担金、
廃棄商品物流費、
エコ商品購入
0
253,893
管理活動コスト
管理活動における環境保全コスト
環境保全担当費用、
維持更新審査、
内部監査費用
0
456,467
R&Dコスト
研究開発活動における環境保全コスト
環境担当技術者費用
0
151,022
社会活動コスト
社会的活動における環境保全コスト
環境イベント、
自然保護費用
0
8,615
環境損傷コスト
環境損傷に対応するコスト
敷地内土壌修復
0
111,678
その他コスト
社
会
の
な
か
で
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
(単位:千円)
分類
項目
その他
取
引
先
様
と
と
も
に
取組内容
廃棄商品額2003年度実績
投資額
返品・破損等で廃棄した商品のフルコスト
投資・研究開発費用
費用額
0 1,970,237
地
域
社
会
と
と
も
に
(単位:千円)
項目
内容等
金額
当該期間の投資額の総額
2003年度設備投資額
13,915,006
当該期間の研究開発費の総額
2003年度研究開発費用
22,822,073
主な効果
効果の内容
分類
省エネルギー活動
大気汚染防止
温暖化防止
単位
2002年
2003年
指標(対'02=100)
総使用熱量の改善(減少)
TJ
5,462
5,224
5,704
109
エネルギー原単位の改善
GJ/生産量トン
25.72
24.55
27.82
113
NOx発生量減少
トン
362
261
299
115
SOx発生量減少
トン
1,126
906
1,044
115
CO2排出量の減少
CO2排出原単位の改善
廃棄物削減
2001年
千トン
334
317
344
108
トン/生産量トン
1.57
1.49
1.68
112
廃棄物発生量
千トン
120
100
104
104
資源化率向上
%
88.8
89.4
94.9
106
廃棄商品金額削減
億円
27.0
20.6
19.7
96
廃棄商品重量削減
トン
4,851
4,581
2,915
64
廃棄商品削減
環境保全対策に伴う経済効果
効果の内容
リサイクルによる収入額
省エネによる費用削減
リサイクルによる廃棄物の削減
(単位:千円)
金額
152,264
従
業
員
と
と
も
に
環境負荷の高い製品素材の増産による指標の悪化
資源化率が大幅に向上
出荷金額で0.9億円相当改善
(対01からでは約7億円。02年度前倒し評価あり)
02年度比。1,666トンの廃棄量削減達成
地
球
環
境
の
た
め
に
その他関連事項
分類
取組内容
社会活動
東海事業所 バードサンクチュアリ が環境省 野生生物保護功労賞 受賞(03/5月)
EMS推進
活動
1)2003年4月に味の素㈱本社・支社20ヶ所でISO14001認証取得。味の素㈱
全組織でISO14001認証取得完了
2)内部監査員80名養成。
3)環境管理に関する活動 12,356 人・時間
81,784
247,806
説明・補足
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
67
第2章
地球環境
のために
お
客
様
と
と
も
に
味の素グル ープ 早
取
引
先
様
と
と
も
に
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
Q
A
わ か り
5
味の素グループの環境負荷の特徴は?
&
事業ごとに環境負荷の大きさや特徴が大きく異なります。
※ 以下の事業区分は、提携事業(油脂、
コーヒー、乳製品等の事業)
を除く味の素グループの事業を、製造方法などによる
環境負荷の特徴をもとに区分したものであり、連結財務会計上の事業セグメントの区分(→p8)
とは異なります。
事業別売上高構成比
社
会
の
な
か
で
物流・サービス・その他関連
12%
うま味調味料(「味の素」類、
核酸類)、
飼料用アミノ酸、
各種アミノ酸類、
甘味料(「アスパルテーム」)など
連結売上高
約7,850億円
16%
医薬・化成品・包材関連
26%
発酵関連
物流事業、
包装事業、
エンジニアリング事業、
各種サービス事業など
46%
食品関連
医薬品、
医薬中間体、
化成品、
包材など
調味料(「ほんだし」、
「Cook Do」、
風味調味料 など)、
加工食品(スープ、
マヨネーズ、
冷凍食品、
海外加工食
品など)など
事業ごとの環境負荷の特徴
地
域
社
会
と
と
も
に
食品関連の事業
発酵関連の事業
発酵法によるアミノ酸の製造では、電気や蒸気などのエネルギー
を使用するほか、大量の水資源を使用するなど、他の事業に比べて
大きな環境負荷をもたらします。この工程を必要とする発酵関連事
業の売上高は、
グループ全体の約26%ですが、環境負荷においては、
エネルギー使用量・CO2発生量の約80%、廃棄物や濃縮副生液を
はじめとする副生物の発生量の約90%、排水量の約90%を占めて
います。
そこで、味の素グループでは、製造工程の革新による省資源・省
エネに努めるとともに、排水量の低減、副生物の有効利用を進めて
います。ちなみに、生産立地は、東南アジア、中国、北南米、欧州な
ど11カ国にわたっており、約90%以上が海外で生産されています。
従
業
員
と
と
も
に
発酵関連事業の環境負荷が占める割合
食品関連事業における環境負荷は、他事業に比べて小さいも
のの、
その低減のためには、容器包装の改善や容器包装廃棄物
の資源化、食品廃棄物の削減・資源化、廃棄商品の削減など、市
民生活や流通業界との緊密な連携が必要となります。
そこで、味の素グループでは、
自らの生産・販売活動によって発
生する環境負荷を削減することはもちろん、流通各社との連携や
消費者への啓発活動を積極的に行い、社会全体の環境負荷削
減や持続可能な循環型社会への改善に努めています。
従来、主に日本国内で事業を行っていますが、近年は、東南アジ
アや中国、南米など海外における事業が急拡大しており、今後は個々
の地域での取り組みを強化していく方針です。
味の素㈱の家庭用容器包装材重量
(千t)
80%
90%
約
約
90%
約
12% 14%
40 8%
30
21.1 24.7 23.9
20
10
0
分別廃棄を促す表示例
新規商品・容器包装
改訂商品分の
容器包装重量削減率
総重量
2001 2002 2003 (年度)
CO2排出量
廃棄物・副生物発生量
排水量
医薬・化成品・包材関連の事業
地
球
環
境
の
た
め
に
医薬、化成品、包材関連の事業では省エネ、廃棄物削減などの
ほか研究開発や製造時における化学物質の適正な使用に努め、
管理の強化に取り組んでいます。
68
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
物流・サービス関連、その他の事業
物流事業(倉庫業務、廃棄商品の遵法適正処分管理業務を
含む)では、事故にともなう環境汚染への対策、燃料消費による
CO2排出の削減、排気ガスによる大気汚染の防止、廃棄商品の
遵法適正処分など安全・環境対策に注力しています。
また、包装事業では、廃包材・廃棄物の削減や資源化に取り組
んでいます。
お
客
様
と
と
も
に
環境パフォーマンス
地球温暖化防止への取り組み
生産効率の向上や
省エネルギーなどを推進
味の素グループでは、地球温暖化の原因となるCO2など
温室効果ガスの排出量削減に向けて、事業活動における省
取
引
先
様
と
と
も
に
使用エネルギーの種類別内訳(2003年度)
種類
使用量
エネルギー構成比
CO2構成比
購入電力
180万MWh
20.7%
30.4%
購入蒸気
970千トン
8.6%
5.4%
3
ガス
280百万m
36.1%
27.5%
石油
260百万r
34.6%
36.4%
石炭
1千トン
0.1%
0.2%
エネルギーに取り組んでいます。
2003年度における味の素グループのエネルギー使用
量は、31,400TJ※となり、それにともなうCO2排出量は
2002年度の195万トン-CO2から213万トン-CO2とな
りました。このうち、生産部門によるCO2排出量は202万
トンで前年度比7%増加しました。これは、事業の拡大や
M&Aを通じてグループ全体の生産量が増加したことが要
因です。
一方、味の素グループは、CO 2排出量の削減に向けて、
社
会
の
な
か
で
事業別のCO2排出量比率(2003年度)
サービス・物流・オフィス部門※
生産部門
発酵関連:79.0%
国内: 8.5%
海外:70.5%
国内:5.0%
食品関連:8.7%
国内:8.0%
海外:0.7%
合計
213万トン
※ 国内の包装子会
社・物流子会社な
らびに国内グルー
プのオフィス部門。
海外は未集計
地
域
社
会
と
と
も
に
その他:7.4%
国内:5.2%
海外:2.2%
とくにCO2排出量の大半を占めている発酵関連製品の製
造プロセスの改善を図り、生産効率の向上、エネルギー消
費量の低減に努めており、同生産部門におけるCO2排出量
原単位(対生産量)を直近2年間で毎年5%削減しました。
CO2排出量(発酵関連生産部門)と原単位※
(t-CO2)
200
175
(→右図)
また、
エネルギーのクリーン化も進めています。たとえば、
(指数)
100
100
95
168
156
95
原単位
158
150
90
90
125
85
ルギーの一部を、
C重油から天然ガスに転換しました。将
来は、自然エネルギーの導入など 脱・化石燃料 化も検討
従
業
員
と
と
も
に
80
100
2003年にはインドネシア味の素㈱の工場で使用するエネ
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
CO2排出量
75
75
50
25
0
2001
2002
2003 (年度)
0
していく予定です。
なお、CO2以外の温室効果ガスについては、冷凍機など
に使用するフロンの排出があります。今後は、その排出量
※ 2001年度の生産量あたり原単位を100として表した指数
地域別のCO2排出量比率(2003年度)
を正確に把握し、削減計画を策定していきます。
(→p74)
※ T(テラ)=1012
中国
6%
南米
7%
欧州
11%
北米
12%
地
球
環
境
の
た
め
に
東南アジア
42%
日本
23%
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
69
第2章
地球環境
のために
お
客
様
と
と
も
に
廃棄物削減への取り組み
廃棄物・副生物の発生量、原単位※、処分量、
資源化率(発酵関連生産部門)
資源化率99%以上の
達成をめざして
取
引
先
様
と
と
も
に
(千t)
2,500
味の素グループでは、廃棄物を削減するために、生産効
率の向上や廃棄物・副生物の資源化に取り組んでいます。
たとえば、アミノ酸の製造ではバイオテクノロジーを用
いた新技術により生産効率を向上させているほか、食品の
製造では生産工程の継続的な改良によって歩留まりを改
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
善し、廃棄ロスの削減を図っています。
社
会
の
な
か
で
また、廃棄物や副生物 ※1の有効活用を味の素グループ
2,000
1,500
(%)
100
97.6%
96.5%
資源化率
94.7%
95
1,829
1,531
1,630
2.12t/t
2.12t/t
廃棄物・副生物の
発生量
発生量原単位
1,000
81
100
90
2.14t/t
56
85
80
43
処分量
0
2001
年度
2002
年度
0
2003
年度
※生産量あたりの原単位
全体で推進していくために、独自の指標「資源化率 ※2 」を
定義し、
各工場が目標を定めて、
資源化率99.0%以上の「廃
棄物ゼロエミッション工場(ゼロエミ工場)」をめざしてい
ます。その結果、2003年度における味の素グループの資
源化率は96.3%となり、前年度より1.4ポイント上昇しま
地
域
社
会
と
と
も
に
した。また、
廃棄物ゼロエミ工場は、
前年度より7工場増加し、
国内6工場、海外7カ国10工場が廃棄物ゼロエミ工場とな
りました。
副生物を有効利用する
「バイオサイクル」を確立
2003年度における味の素グループの廃棄物・副生物総量
の90%にあたる1,760千トンが、発酵関連生産部門から発生す
る濃縮副生液などの副生物です。
そのため、味の素グループでは20年以上にわたって副生物を
有効利用する技術開発に取り組んでおり、海外のいくつかの工
※1 副生物
製造工程から生産に伴い発生する不要物(濃縮副生液など)
※2 資源化率
事業活動から発生する廃棄物(工程副生物、一般廃棄物)のうち、副製品
化、再資源化(熱回収を含む)、有効利用されるものの重量%
場では、副生物である濃縮副生液などを「味の素」の原料となる
サトウキビなどの畑に肥料として還元する「バイオサイクル(→下
図)」を確立しています。
また、
タイ味の素㈱では、2001年12月、
自社工場から発生す
る副生物を原料として、有機質肥料などの開発・加工・販売を
従
業
員
と
と
も
に
廃棄物・副生物の発生量、資源化率(2003年度)
処分量
72千t
総発生量
1,960千t
資源化量
1,888千t
一貫して手がける専門子会社FDグリーン㈱を設立しています。
「バイオサイクル」の流れ
太陽
化学肥料
資源化率
96.3%
光合成によって
大気中のCO2を
吸収
液肥
サトウキビ畑
事業別の廃棄物・副生物発生量、資源化率(2003年度)
その他:66千t
食品関連:65千t
地
球
環
境
の
た
め
に
濃縮副生液など
1,365千t
動植物性残さ
22千t
汚泥類
資源化率
70
発酵関連:1,829千t
汚泥類
29千t
廃酸・廃アルカリ
3千t
他
収穫
副生物の
資源化
総発生量
1,960千t
87.5%
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
廃酸・廃アルカリ
22千t
他
97.6%
サトウキビ
製品
「味の素」工場
434千t
資源化率
資源循環型
生産工程
「味の素」
製糖工場
ケーンモラセス
(サトウキビの絞り汁=糖蜜)
粗糖
お
客
様
と
と
も
に
クノール食品グループの取り組み
取
引
先
様
と
と
も
に
クノール食品グループ6社は、
さまざまな方法で食品廃棄物
の再資源化に取り組んでいます。
たとえば、東海クノール食品㈱では、
「廃棄物の飼料化」を
進め、
クノール食品グループで最初の廃棄物ゼロエミ工場とな
りました。また、
クノール食品㈱でも品種切替時などの製造時
資源化しやすいようにプレス
されたアルミ缶、
スチール缶
に発生する植物性残さを飼料化することに成功しています。
こうした活動の結果、2003年度にはクノール食品グループ
の3工場が資源化率99.0%以上を達成し、廃棄物ゼロエミ工
社
会
の
な
か
で
場となりました。
また、
クノール食品グループの従業員を対象に年1回開催さ
れる「K-N21改善発表大会」では、
「味の素グループ・ゼロエミッ
ション」にもとづくクノール食品グループ各社の環境負荷削減
「K-N21改善発表大会」の様子と発表資料
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
活動を紹介し、廃棄物処理の現状や再資源化への取り組みな
どについて共有しています。
地
域
社
会
と
と
も
に
Voice
副生物の有効利用開発では、
お客様との協力関係が不可欠です。
味の素ビオラティーナ㈲
ペデルネイラ工場 環境部長
Mr. Paulo Ueda
ないくらいになっています。
私が心がけてきたのは、必ず定期的にお客様を訪問し、生
従
業
員
と
と
も
に
の声や考え方を聞き、それを液肥の品質や撒き方の改良に
結び付けることです。実際に畑を訪ねると、場所によって作
私は、味の素グループがブラジルで「味の素」の生産を開
物の生育に差があることがわかり、液肥をもっと均一に撒く
始した1977年から、
副生物の有効利用を担当してきました。
方法への改良につながりました。こうした長年の協力関係が、
発酵生産から発生する副生液を、
環境に優しい形で処理した
幅広いお客様からの支持につながっているのだと思います。
いという思いで、
最初は牧草地への肥料として試験を行いま
農業の方法もこの10年で随分変化しました。機械化が進
した。牧草の生育差がはっきりと現れ、液肥で育てた牧草を
んでおり、
将来も変化し続けるでしょう。私たちもこの変化に
羊がおいしそうに食べるのをみて、副生液は液肥として使え
あわせて改良を重ね、
これからも安定して液肥を供給しつづ
るという自信をもちました。以来、
サトウキビやオレンジなど
けられるよう努力していきます。
地
球
環
境
の
た
め
に
でも効果を確認し、
現在では農家からの注文に液肥量が足り
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
71
第2章
地球環境
のために
お
客
様
と
と
も
に
排水負荷削減への取り組み
排水量と原単位※(発酵関連生産部門)
廃水処理技術の開発や
水使用量の抑制を通じて
取
引
先
様
と
と
も
に
(千t)
200,000
「味の素」やアミノ酸など発酵関連製品の製造時の廃水
には、高濃度の窒素のほか、有機物などのBOD※を高める
成分が含まれています。そこで、味の素グループでは、製造
150,000
150,000
141,000
148,000
排水量
210t/t
100,000
180t/t
170t/t
原単位※
50,000
プロセスから発生する廃水負荷の削減を徹底するとともに、
廃水処理技術の開発・改善など、工場からの排水による負
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
荷削減に向けたさまざまな取り組みを行っています。
社
会
の
な
か
で
0
2001
2002
2003
(年度)
※ 生産量あたりの原単位
また、味の素グループでは、発酵関連製品の製造時に、冷
却用水や洗浄水として大量の水資源を使用することから、
水使用量の抑制も重要なテーマとなっています。
※ BOD:Biochemical Oxygen Demand(生物化学的酸素要求量)
微生物が水中の有機物を分解する際に消費する酸素量で、
この値が大きい
ほど汚染度合いが高い。
新たな廃水処理方法を導入し、
排水ゼロエミッション達成へ
味の素グループの海外のアミノ酸発酵関連工場では、
従来「活
性汚泥法(微生物による廃水処理)」を用いて廃水処理して
いましたが、
「富栄養化やBODが高まる要因となる窒素、
リンを
地
域
社
会
と
と
も
に
できる限り排出しない=排水ゼロエミッション」という観点から、
水使用量の種類内訳(2003年度)
上水
2%
河水・井水
(プロセス直接利用)
果、BODや窒素、
リンの除去率が従来よりも高い「微生物脱
窒素法(BDN※法)+凝集沈殿法」を採用している工場が増え
10%
工業用水
21%
より高度な廃水処理設備の開発に取り組んできました。その結
合計
203,000
千トン
河水・井水
(間接冷却)
66%
ています。
たとえば、ベトナム味の素㈲では、増産にともなう設備更新を
機に、
より高度な廃水処理設備を導入しました。この設備は、
従来のBDN設備に廃水平準化槽を加えたもので、
これによっ
て廃水液量や水質のピーク値を管理できることから、増設した
従
業
員
と
と
も
に
BDN設備の処理レベルを高めることができます。さらに、凝集
沈殿設備も更新して、窒素やリンの除去レベルを高め、工場か
排水量の排出先内訳(2003年度)
らの排水負荷の削減を図っています。
公共下水送り
2%
排水処理後の
公共水域への
放流など
28%
地
球
環
境
の
た
め
に
BOD
1,000トン
窒素
2,200トン
味の素グループでは、
この廃水処理設備を、2005年度中に
合計
190,000
千トン
公共水域への
直接放流
(間接冷却水
など)
70%
マレーシア工場、ペルー工場などの既存工場に導入するととも
に、
ブラジルに新設するアミノ酸工場にも導入する予定です。
※ BDN:Biological Denitrification
増強されたBDNおよび凝集沈殿設備
(ベトナム味の素(有))
72
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
アミノ酸以外の成分に由来する炭素や窒素を従来の50〜60
アミノ酸新工場建設に向けた
環境負荷の徹底的削減
%に削減することが期待されます。
取
引
先
様
と
と
も
に
また、後半の単離精製工程からの廃水は、前半の発酵工程
味の素グループは、排水負荷を徹底的に削減することを目標
の改善によって排出量が削減されるとともに、成分濃度の薄い
の一つに掲げた医薬・食品用アミノ酸の新工場をブラジルに
廃水は廃水処理工程へ送り、成分濃度が濃い発酵副生液は
建設しています(2006年度完成予定)。
液体肥料として利用していきます。
製造プロセスの前半にあたる発酵工程では、発酵に使用す
さらに、廃水処理工程では環境への負荷を極力小さくするた
る栄養成分を削減しながら従来に比べて収率を大幅に改善す
め、微生物の力によって排水中のBODを低下させるだけでなく、
ることに成功しました。これによって、発酵液中に含まれる目的
窒素も除去するBDN法によるシステムの導入を計画しています。
社
会
の
な
か
で
国内外主要事業所のサイトデータは、Webサイトを参照ください。
当社のホームページ上で、
国内外主要事業所のサイトデータ(計27ヵ所)を公開しています。各事業所の概要をはじめ、
CO2、
廃棄物、
排水負荷の排出量などに関する実績データについて事業所ごとに集計しています。
URL
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
http://www.ajinomoto.co.jp/
土壌汚染への対策
地
域
社
会
と
と
も
に
土壌汚染に関する基本方針
国内外の生産工場を中心に
汚染状況の調査を自主的に実施
1.
土壌汚染関連法規を遵守する
2.人の健康、周辺の環境に影響のないように土壌を管
理する
味の素グループは、
「土壌汚染に関する基本方針」を定め、
3.ステークホルダーへ、土壌汚染について必要な情報
国内外の生産工場を中心に、汚染状況の調査を自主的に
を適切に開示する
進めています。調査の結果、対策が必要と判断した敷地に
4.新たな土壌汚染の発生を防止する
関しては、行政機関に報告・公表したうえで、適切な対策を
従
業
員
と
と
も
に
講じています。
2003年度は、前年度の調査で土壌汚染が認められた
味の素㈱川崎事業所において汚染対策工事を実施し、
さら
に、同事業所の近隣の関連子会社の敷地についても調査
を行いました。
土壌調査の様子
土壌汚染調査結果※
(2003年度)
場所
汚染状況
対策
味の素パッケージング㈱敷地
(川崎市川崎区中瀬町)
敷地内の一部の土壌から鉛、
総水銀などの重金属が検出
直ちに汚染土壌を除去するとともに、地下水のモニタリング
を行い、
周辺地域への汚染の拡散がないことを確認。
味の素ファインテクノ㈱敷地
(川崎市川崎区鈴木町)
敷地内の一部の土壌および地下水から鉛、砒素、総水銀など
の重金属および四塩化炭素、
ベンゼンなどのVOCが検出
この汚染による周囲への環境影響がないことを確認し、
地下
水のモニタリングを行うなど、
継続的な監視実施。
地
球
環
境
の
た
め
に
※ 詳細については、当社ホームページで公開しています。
URL http://www.ajinomoto.co.jp/
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
73
第2章
地球環境
のために
お
客
様
と
と
も
に
化学物質の適正管理
従業員教育や使用化学物質の
データベースをもとに
取
引
先
様
と
と
も
に
日本国内では、
「PCB廃棄物特別措置法」により、PCBを含
味の素グループは、
おもに医薬・化成品の製造時に使用さ
有する廃棄設備や部品は、法にもとづく適切な処理が可能に
ダイオキシン対策や
れるPRTR※対象物質の管理をはじめ、
なるまで所有者の厳重な管理下で保管することが義務づけら
PCBの管理など、
化学物質の適正な管理に努めています。
れています。
管理にあたっては、
使用化学物質の種類、
量などをデータ
ベース化しているほか、化学物質の取り扱いに関する各種
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
厳重な管理と点検を徹底し、
PCBの保管状況を行政機関に報告
教育制度を設けて従業員のスキル向上や意識啓発を促し
社
会
の
な
か
で
ています。
※ PRTR:Pollutant Release and Transfer Register
環境汚染物質のあらゆる媒体(大気、水域、土壌)
を経由して排出される量、
および廃棄物として廃棄物処理業者に移動される量を調査し、登録する「環
境汚染物質排出・移動登録」制度。
PRTR対象物質の正確な把握・管理
地
域
社
会
と
と
も
に
味の素グループの国内事業所では、PRTR法(特定化学物
質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関
する法律)の第一種指定化学物質354物質を対象に、1事業
所での取扱量が年間100kg以上の物質について、取扱量、排
出量、移動量を把握しています。
2003年度は、取扱量が年間1
トン以上の対象物質は化成
品製造を中心に22物質ありました。
味の素グループの国内事業所では、
これらの物質については、
漏洩を防ぐ容器に入れ、常時施錠されている専用の保管室内
に保管・管理し、
その状況を行政機関に届け出ています。
海外の事業所においては、PCBを含有した設備や部品の適
切な処理が可能な国もあることから、一部の事業所では、PCB
を含有する設備や部品の処理をすでに終えています。2003年
度は、ベルギーのグループ会社が、PCBを含有する重量約12ト
ンの変圧器の処理を行いました。
フロンの管理
味の素グループは、冷凍機などの冷媒用途のために、特定フ
ロン・代替フロンなどを保有しています。
これらの漏洩を防ぐとともに、脱フロン化を図るために、味の
素グループでは、
アンモニアや炭酸ガスなどの自然冷媒を用い
た冷凍機への切り替えを進めています。
2003年度には、味の素㈱九州事業所とブラジルの工場で
CFC-11を無害化※しました。
味の素グループでは、今後も化学物質の管理状況を正確に
従
業
員
と
と
も
に
把握し続けるとともに、
その削減に努めていきます。
なお、
PRTR対象物質の詳細情報については、
味の素㈱のホー
※ 外部処理業者に依託し、
フロンを破壊処理すること
フロンの管理状況
ムページに掲載しています。
URL http://www.ajinomoto.co.jp
小型焼却炉の使用を全基停止
「ダイオキシン類特別措置法」の施行を受けて、2002年12
月から排出規制や焼却設備の構造基準、技術基準などが強
化されました。
地
球
環
境
の
た
め
に
味の素グループでは、
これら法規制への対策として、味の素
㈱および国内関 係 会 社が保 有する小 型 焼 却 炉( 処 理 量
50kg/h以上)の廃止撤去を進め、2002年度末までに全基の
使用を停止しました。
放出量※3 無害化量
保有量
(2003年度末) (2003年度) (2003年度)
特定フロン※1
代替フロン※2
など
CFC-11
40トン
CFC-12
1.7トン
3.7トン
10トン
–
–
CFC-113
2トン
0.1トン
–
HCFC-22
123トン
8.2トン
–
37トン
0.8トン
–
HCFC-123
※1 特定フロン
1987年の「モントリオール議定書」で、
オゾン層破壊にとくに関係が深いと考
えられていたCFC-11(フロン11)
、
CFC-12(フロン12)
、
CFC-113(フロン113)
、
CFC-114(フロン114)
、CFC-115(フロン115)の5種類。生産量の削減が合
意され、現在は生産が禁止されている。
※2 代替フロン
特定フロン類の代替品のことで、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)
やハイドロフルオロカーボン(HFC)
など。
しかし、地球温暖化係数が高い点
が問題となっており、先進国では2020年までに全廃することとなっている。
※3 設備整備などの際のロスなど意図的でない放出
対象:国内外グループ(海外の事業所については把握可能な一部)
表示はグループの合計保有量が1トン以上のもの。
74
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
容器包装における取り組み
容器包装改善事例1)
商品開発段階から容器包装の
設計や材質を検討
「味の素KKコンソメ」
(固形7個、21個、24個入箱)
取
引
先
様
と
と
も
に
内袋のプラスチックの厚みを薄くして、
重量を18%削減しました。
商品の容器や包装は、使用後は一般廃棄物として廃棄さ
プラスチック重量 16t/年削減
CO2発生量 84t/年削減
れます。これらの廃棄物を削減するためには、商品開発段
階から容器包装の設計や材質について検討・選定していく
ことが重要です。
容器包装改善事例2)
「Cook Do」
「Cook Do Korea!」の全品種
味の素グループでは、1991年に容器包装の設計指針
パウチの縦の寸法を5㎜縮小して、重
量を3%削減しました。
である「容器包装エコインデックス」を制定し、運用してい
ますが、2003年9月に改訂を行い、容器包装の原料調達
社
会
の
な
か
で
プラスチック重量 7t/年削減
CO2発生量 39t/年削減
から製造、廃棄にわたる全工程でCO2排出量の低減を図る
ための評価項目を追加しました。
また、2003年10月に商品開発の担当者や容器包装資
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
容器包装改善事例3)
「中華あじ」55g瓶、
「丸鶏使用がらスープ」55g瓶、
「金華火腿スープ」50g瓶、
「ほんだし」かつおだし
65g瓶の計4品種を軽量化。
材の設計担当者に加え、環境経営推進部、広告部、購買部、
お客様相談センターの各担当者が参加する「Ecoデザイン
開発部会」を発足しました。この部会は、地球環境や生活
地
域
社
会
と
と
も
に
びんの厚みを薄くして、重量を12%
削減しました。
者に配慮した容器包装設計の指針策定とその運用の徹底
ガラス重量 117t/年削減
CO2発生量 132t/年削減
を目的としています。
さらに、2004年2月には、
「容器包装エコインデックス」
に、地球環境だけではなく、人にも配慮した取り組みとして、
ユニバーサルデザインの視点にたった項目も導入しました。
容器包装エコインデックス
目的
下記の青色の部分を2003年度新たに追加・修正しました。
廃棄包材重量
地
球
環
境
負
荷
の
低
減
循
環
型
社
会
実
現
へ
の
貢
献
省
資
源
包材重量の
削減
既存及び類似商品に比べて個装の包材重量は削減されているか。
多重包装度合
個装商品の開封作業が1回で中味を出せるか。または、
開封作業の回数を削減したか。
リ
サ
イ
ク
ル
の
推
進
訴
求
二酸化炭素発生量の削減
植物由来材料の使用
素材選定
リサイクルの
容易性
表示
商品の中味重量あたりの使用後に廃棄される個装の包材重量はどのくらいか。
(業務用の場合は外装及び緩衝包装材類も含む。)
重量削減比率
詰め替え商品の有無
温
暖
化
防
止
詰替えコンセプトの商品かどうか。
包材の原料採掘から廃棄に至るまでの二酸化炭素発生量(LC-CO2)をどのくらい削減しているか。
二酸化炭素発生量の削減に貢献する植物由来材料を使用し、その結果として二酸化炭素発生量削減
に寄与しているか。
再生素材の利用率
個装包材にリサイクル素材をどの程度利用しているか。
分別収集対応性
包材の廃棄時にリサイクル可能な部分が容易に分離できるか。
リサイクルシステムへの適合性
既存のリサイクルシステムに適合している素材を使用しているか。
リサイクル・廃棄時減容度
包材の廃棄時に容積を小さくできるか。
環境対応表示の有無
法に定められた表示以外に、
積極的に環境保護に有用な情報の提供や訴求表示がされているか。
(環境配慮表示の有無)
従
業
員
と
と
も
に
評価のポイント
評価項目
地
球
環
境
の
た
め
に
特別加点評価項目
評価項目
評価のポイント
環境視点
上記の評価では反映されないが、従来品や他社品と比較して改善しているか。
ユニバーサルデザイン視点
ユニバーサルデザインにどの程度配慮しているか。
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
75
第2章
地球環境
のために
お
客
様
と
と
も
に
物流における環境負荷の削減
「モーダルシフト」を推進し、
実施区間の拡大に注力
取
引
先
様
と
と
も
に
集計範囲
1.CO2排出量の算出については、味の素㈱(「味液」バルク輸送を含む)、味の
素冷凍食品㈱。
2.モーダルシフト率については、味の素㈱(「味液」バルク輸送を除く)、味の素冷
凍食品㈱。鉄道利用分と海上利用分とし、単位はトンキロとする。
国 内 の 味 の 素グル ープは、
「Environmentally
Friendly
Logistics」をスローガンに、物流業務におけ
モーダルシフト率
る環境負荷削減に向けた取り組みを推進しています。
なかでも、
「モーダルシフト※1 」に注力しており、1995
21.8%
23.4%
年度から鉄道コンテナを本格的に導入し、以来、実施区間
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
の拡大に努めてきました。
社
会
の
な
か
で
また、2002年度からは、日本貨物鉄道㈱(JR貨物)の
2002年度
ご協力のもと、味の素㈱、味の素物流㈱、味の素冷凍食品
2003年度
㈱が参加する「環境物流研究会」を定期的に開催し、物流
における環境負荷削減につながるテーマに継続して取り組
商品群別モーダルシフト率
んでいます。
こうした取り組みによって、2003年度のモーダルシフト
地
域
社
会
と
と
も
に
(%)
2002年度
2003年度
鉄道
海上
計
鉄道
海上
計
調味料食品
21.9
0.0
21.9
20.9
2.8
23.7
率は23.4%(トンキロ※2ベース)となり、前年度より1.6ポ
ギフト
26.4
4.1
30.5
23.5
2.4
25.9
イント上昇しました。また、2003年度の国内製品輸送によ
冷凍食品
14.1
6.5
20.6
19.4
3.1
22.5
44,933t−CO2で、
CO2排出量原単位(対
るCO2排出量は、
計
19.4
2.4
21.8
20.4
2.9
23.4
トンキロ)は134g-CO2/トンキロとなり、2002年度比
国内製品輸送によるCO2排出量と原単位※
で4%改善しました。
※1 モーダルシフト
幹線輸送における鉄道コンテナ輸送などへの転換。モーダルシフト率は、転
換分の割合であり、
トンキロ単位で算出。
※2 トンキロ
輸送における単位。
1
トンの貨物を1km輸送した場合、
1
トンキロとなる。
従
業
員
と
と
も
に
(トン-CO2)
50,000
40,000
44,812
139
(g-CO2/トンキロ)
150
44,933
CO2排出量
140
原単位
135
134
30,000
130
20,000
10,000
0
2002
2003 (年度)
0
※トンキロあたりの原単位
冷凍コンテナの列車への積込み
地
球
環
境
の
た
め
に
モーダルシフトにおけるCO2の換算方法
毎日の出荷データから「重量・距離・輸送手段」を抽出し、CO2排出量に換算。
国土交通省から提示されているCO2排出量原単位(トラック:48g-C※ト
/ ンキロ、
鉄道:6g-C/トンキロ、海上輸送:13g-C/トンキロ)
を適用。
※ C=炭素。CO2発生量に換算する場合は、約3.67(分子量比=44/12)
をか
ける。
環境物流研究会
76
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
お
客
様
と
と
も
に
味の素冷凍食品の鉄道利用状況
味の素冷凍食品㈱は、2000年7月より「関東・関西」
「関東・
九州」間を中心に鉄道コンテナの利用を始め、2004年2月には
「大阪・北海道」間、
「四国・千葉」間へと区間を拡大しました。
トラッ
「四国・千葉」間のコンテナ輸送におけるCO2排出量は、
ク輸送に比べ、72%削減されます。
2004年4月現在、味の素冷凍食品㈱は、鉄道コンテナを10
区間で使用し、
月間輸送量は300本以上にのぼるなど、冷凍食
品メーカーのなかで鉄道へのシフトが最も進んでいます。
事務・営業部門における取り組み
環境負荷の正確な把握に努め、
その削減を推進
取
引
先
様
と
と
も
に
味の素グループの事務・営業部門から発生する環境負荷
としては、
おもに電気・ガスなどのエネルギー消費にともな
水道水の使用、
紙・ゴミの排出などがあり、
個々
うCO2の排出、
の事業所では、
これらの環境負荷の正確な把握に努め、そ
の削減に取り組んでいます。
また、営業活動にともなう販促資材の廃棄量や商品の廃
社
会
の
な
か
で
棄・返品量の削減にも取り組んでいます。
排ガス規制への対応
味の素物流㈱では、2003年10月に施行された「ディーゼル車
ビデオテープのリユースを推進
排ガス規制」への対応として、規制対象となる車両約490台の
味の素㈱は、
テレビ局向けに納品するテレビCM用テープに
うち、20台の車両を、
より排出ガスの少ない車両に代替し、18台
ついて、高い画質を維持し、
かつ放送時の事故を防ぐという観
の車両に粒子状物質の排出を抑えるPM低減装置の装着を
点から、従来は使い捨てにしていました。
2004年度中に行う予定です。
地
域
社
会
と
と
も
に
しかし、放送のデジタル化や再生技術の向上にともない、
テー
プの再使用(リユース)がしやすい環境になりつつあることから、
デジタル式運行記録計(デジタルタコグラフ)
搭載によるエコドライブ推進
現在、最大積載量5トン以上の大型車輌には、運行記録計
の搭載が義務づけられています。この運行記録計にはアナロ
グ式とデジタル式がありますが、
デジタル式を採用し、事務所の
データベースとネットワーク化することにより、緻密な車両運行
管理が可能になります。
味の素物流㈱では、2004年度中に関係会社の所有するほ
株
主
・
投
資
家
様
と
と
も
に
味の素㈱では2003年から、広告代理店の協力を得て、
テープ
の再利用に取り組み、2003年度は約970本のテープを再利用
しました。
2004年度は、予定するCM約2,600本のすべてを再使用す
る目標を立てています。また、再利用の際には、使用回数が分
かるように、
テープ表面にシールをずらして貼りつけており、現在
従
業
員
と
と
も
に
は3回をめどに再利用していますが、
その回数をさらに増やすた
めの検討も続けています。
ぼすべての車両(約440台)にデジタル式の運行記録計を取り
付け、低燃費運行によるCO2削減、NOx、PMなどの環境負荷
物質の排出量削減を図っていく計画です。
リユースされているテープ
地
球
環
境
の
た
め
に
デジタル式 運行記録計搭載車
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
77
ガイドラインへの対応一覧
※ 項目の表記については、味の素㈱による省略などを行っています。
●GRI「サステナビリティ リポーティング ガイドライン 2002」
項目
1 ビジョンと戦略
2 報告組織の概要
3 統治構造とマネジメントシステム
4 GRIガイドライン対照表
5 パフォーマンス指標
経済的パフォーマンス指標
顧客
必 総売上げ
EC1
必 市場の地域別内訳
EC2
供給業者
必 全調達品の総コスト
EC3
必 支払い済みの契約件数
EC4
従業員
必 給与・給付金の総支払額内訳
EC5
投資家
必 投資家への配当、
EC6
株式の配当
必 内部留保の増減
EC7
公共部門
必 支払税額内訳
EC8
必 助成金等内訳
EC9
必 地域社会、
EC10
市民団体、
その他団体への寄付
環境パフォーマンス指標
原材料
必 原材料の種類別使用量
EN1
必 外部廃棄物の原材料使用
EN2
エネルギー
必 直接的エネルギー使用量
EN3
必 間接的エネルギー使用量
EN4
水
必 水の総使用量
EN5
生物多様性
必 生物多様性の高い地域における土地所有等
EN6
必 生物多様性への主な影響
EN7
放出物、排出物および廃棄物
必 温室効果ガス排出量
EN8
必 オゾン層破壊物質使用量、
EN9
排出量
必 NOx、
EN10
SOx、
その他の重要な放出物
必 廃棄物総量
EN11
必 主要な排水
EN12
必 重大な漏出
EN13
供給業者
任 環境に関係する供給業者のパフォーマンス
EN33
製品とサービス
必 主要製品およびサービスの主な環境影響
EN14
必 再生利用製品
EN15
法の遵守
必 環境規制違反に対する付帯義務と罰金
EN16
輸送
任 輸送に関する重要な環境影響
EN34
社会的パフォーマンス指標【労働慣行と公正な労働条件】
雇用
必 労働力の内訳
LA1
必 雇用創出総計と平均離職率
LA2
任 法定以上の福利厚生
LA12
対応ページ
2-3, 57
0, 4-13
4-7
本ページ
8-13
8-13,34-35
18-29
8
9
30-31
10-13
44-54
32-35
10-13,32-33
33
36-43
10-13
36-43
36-43
56-77
10-13,60
60
10-13,60,69
60,69
60,69
60,72
60,72
10-13,60,69-74,WEB
10-13,60,89
74
60,70-77
60,70-71
60,72-73
66
30-31,64
30-31,64
68,75
68,75
61-64,66
66
76-77
76-77
4, 44-54
44-49
10-13,44-47
10-13,44-47
45-46,53-54
※ 必=必須指標、任=任意指標
項目
労働/労使関係
必 労働組合、
LA3
団体交渉協定等
必 リストラクチャリング等の際の協議等
LA4
任 .経営への従業員参画
LA13
安全衛生
必 労働災害、
LA5
職業性疾病に関するマネジメント
必 労使合同安全衛生委員会
LA6
必 疾病、
LA7
病欠、
業務上の死亡等
必 HIV/AIDSについての方針、
LA8
プログラム
任 安全衛生に関する労使協定
LA15
教育研修
必 年間研修時間
LA9
任 雇用適性のための従業員支援、
LA16
職務終了への対処プログラム
任 技能管理、
LA17
生涯学習のための特別方針とプログラム
多様性と機会
必 機会均等に関する方針やプログラム、
LA10
施行状況監視
必 上級管理職、
LA11
企業統治機関構成
社会的パフォーマンス指標【人権】
方針とマネジメント
必 人権問題に関する方針、
HR1
ガイドライン、
組織構成、
手順
必 投資・調達における人権配慮
HR2
必 サプライ・チェーンにおける人権パフォーマンスの評価方針、手順
HR3
任 人権問題についての従業員研修
HR8
差別対策
必 業務上の差別撤廃に関する方針、手順、プログラム
HR4
組合結成と団体交渉の自由
必 組合結成の自由に関する方針、
適用範囲、
手順・プログラム
HR5
児童労働
必 児童労働の撤廃に関する方針、
適用範囲、
手順・プログラム
HR6
強制・義務労働
必 強制・義務労働撤廃に関する方針、適用範囲の記述、手順・プログラム
HR7
社会的パフォーマンス指標【社会】
地域社会
必 地域への影響管理方針、
手順・計画
SO1
贈収賄と汚職
必 贈収賄・汚職に関する方針、
マネジメントシステム等
SO2
政治献金
必 政治的活動・献金に関する方針、
マネジメントシステム等
SO3
競争と価格設定
任 反トラスト・独占禁止法令に関わる訴訟
SO6
任 不正競争行為防止の方針、
マネジメントシステム等
SO7
社会的パフォーマンス指標【製品責任】
顧客の安全衛生
必 顧客の安全衛生保護に関する方針、
適用範囲、
手順・プログラム
PR1
任 顧客の安全衛生に関する規制への不適合、
処罰・罰金
PR4
任 製品・サービスの安全衛生に関する公的機関への報告苦情件数
PR5
任 社会的、
環境的責任に関する自主規範の遵守、
製品ラベル、
受賞
PR6
製品とサービス
必 商品情報・品質表示に関する組織の方針、マネジメントシステム等
PR2
任 製品情報・品質表示に関する規制への不適合
PR7
任 顧客満足度に関する組織の方針、
マネジメントシステム等
PR8
プライバシーの尊重
必 消費者のプライバシー保護に関する方針、マネジメントシステム等
PR3
対応ページ
54
54
54
5-6,54
51-53
51-52
54
51
52
51-54
46-49,50-53,65
65
48-49,53
48-49,53
10-13,44-47
44-47
10-13
4,28-29,52-53
4,28-29,52-53
4,28-29,52-53
30-31
30-31
52
4,44-47,52-53
4,52-53
54
54
4
4
4,36-43
36-43
4-6
4-6
4
4-6,30-31
5-6
5-7
4,18-27
4,18-27
4,18-27
19
19,24-25
18-29,58-59,75
4,22-25,75
4,22-25,75
19
4,18,24-27
4,28-29
4,28-29
●環境省「環境報告書ガイドライン(2003年度版)」
項目
1.基本的項目
(1)経営責任者の緒言
(2)報告に当たっての基本的要件
(3)事業の概要
2.事業活動における環境配慮の方針・目標・実績等の総括
(1)事業活動における環境配慮の方針
(2)事業活動における環境配慮の取組に関する目標、
計画及び実績等の総括
(3)事業活動のマテリアルバランス
(4)環境会計情報の総括
3.環境マネジメントの状況
(1)環境マネジメントシステムの状況
(2)環境に配慮したサプライチェーンマネジメント等の状況
(3)環境に配慮した新技術等の研究開発の状況
(4)環境情報開示、
環境コミュニケーションの状況
(5)環境に関する規制遵守の状況
(6)環境に関する社会貢献活動の状況
4.事業活動に伴う環境負荷及びその低減に向けた取組の状況
(1)総エネルギー投入量及びその低減対策
78
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
対応ページ
2-3
0
8-13
4,56-57
58-59
60
66-67
61-65,WEB
63-64
14-16,68-73
73
66
39-43
69
項目
(2)総物質投入量及びその低減対策
(3)水資源投入量及びその低減対策
(4)温室効果ガス等の大気への排出量及びその低減対策
(5)化学物質排出量・移動量及びその低減対策
(6)総製品生産量又は販売量
(7)廃棄物等総排出量、
廃棄物最終処分量及びその低減対策
(8)総排水量及びその低減対策
(9)輸送に係る環境負荷の状況及びその低減対策
(10)グリーン購入の状況及びその推進方策
(11)環境負荷の低減に資する商品、
サービスの状況
5.社会的取組の状況
労働安全衛生に係る情報
人権及び雇用に係る情報
地域の文化の尊重及び保護等に係る情報
環境関連以外の情報開示及び社会的コミュニケーションの状況
広範な消費者保護及び製品安全に係る情報
政治及び倫理に係る情報
個人情報保護に係る情報
対応ページ
68
63,68,72-73
68-69
74,WEB
60
70-71
72-73
76-77
64
57,68
4,51-52
44-54
36-43
24-27,36-43
18-29
4-7,52-53
4,28-29
編集後記
欧米で生まれた「企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)」という概念
――経済的側面だけでなく、環境的側面、社会的側面にも注目する、いわゆるトリプル・ボトムライ
ンを重視する考え方――の日本における浸透の速さには、
目を見張るものがあります。
「食品・アミノ酸系の、
日本から出発した世界企業」をめざす味の素グループも、今、真剣にCSR
に取り組んでいます。また、地球社会の持続的発展のために、当社グループならではの方法を模索
し、貢献していきたいと考えています。
今回の報告書は、過去4回継続発行してきた「環境報告書」から「社会・環境報告書」へと内容・
構成を刷新し、私たち味の素グループの社会的側面にも視野を広げ、
CSRへの考え方や取り組み
も報告しました。
各ステークホルダーの皆様の興味・関心に的確に、誠実にお応えすることを心がけましたが、
ま
だまだ改善が必要です。また、
「食と健康」に深く関わる味の素グループならではのCSRとは何か、
についても十分に整理・表現できているとは言えません。
こうした反省を踏まえつつ、今後も継続的に「食品・アミノ酸系の、
日本から出発した世界企業」
をめざす味の素グループらしいCSR報告の発行に取り組んでいきたいと考えています。また、
こ
うしたプロセスのなかで、当社グループのCSRを検証し、地球社会全体への責任を Ajinomoto
Way で果たしていくやり方を、
より明確にしていきたいとも考えています。
皆様の忌憚のないご意見をお聞かせくださいますよう、
お願いいたします。
味の素グループ
社会・環境報告書2004
〒104-8315
東京都中央区京橋一丁目15番1号
味の素株式会社
お問い合わせ先
味の素㈱経営企画部
TEL:03-5250-8157 FAX:03-5250-8378
e-mail:ki̲[email protected]
味の素㈱環境経営推進部
TEL:03-5250-8169 FAX:03-5250-8318
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本報告書記載記事の無断転載・複製を禁じます。
C
○味の素株式会社
2004
味の素グループ 社会・環境報告書 2004
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Trademark of American Soybeen Association
本報告書は、FSC認証紙(表紙のみサトウキビの繊維より作られたバガス紙)および植物油100%(Non VOC)の大豆インクを使用しています。
また、印刷工程で有害廃液を出さない水なし印刷方式で印刷しています。
2004年10月発行