ハイブリッドカーの代名詞へと 進化してきたプリウスの価値

初 代 プリウスの誕 生
け で も 走 れ る 気 持 ち よ さ を 味 わってい
ま した 。初 代 が 世に出 た あと 、よ り 燃 費
た だ ける 方 向 での進 化 の歴 史 が 始 ま り
小木曽
代 目 が 数 多 くの お 客 様 の 支 持 を 集 め 、
と 走 り を 向 上 さ せ 、実 用 性 を 高 め た 二
ト ヨ タのハイ ブ リッド カ ー 開
発の歴 史 は、実 は一九 七 七 年 までさかの
上に結 び付いていま す 。
そ れが さ らに 三 代 目 プリ ウスの 性 能 向
ぼ り ま す 。当 時 は 主 に 公 害 対 策 のた め
た クルマの 提 案 ﹂を 使 命 に﹁ プリ ウス プ
新 たな 環 境 意 識の定 着
の試 作 でし た が 、
﹁ 二 十一世 紀 に 先 駆 け
ロジェク ト ﹂を 九 三 年 に 開 始 し ま し た 。
ンと 電 気 モ ー ター を 組 み 合 わせ た 新 た
標 と し ま し た 。そ して 、ガソリ ンエン ジ
では な く 、や ら ね ば な ら ないこと ﹂を 目
という言 葉が、ファッション的にも﹁カッコ
か立 派 だとかの表 現の対 象 だった﹁エコ﹂
れた 年で す ね 。私 は 、このころに、偉いと
村上
九 七 年 は 、京 都 議 定 書 が 採 択 さ
なハイ ブ リッド カ ー を 目 指 し た のが 九
す 。環 境 を 考 えている 人の方 が ぜいた く
いい﹂というイメージに変わったと思いま
テーマは﹁ 人 と 地 球 ﹂で す 。
﹁ や れること
五 年 。そこか ら 試 行 錯 誤 を 経 て 九 七 年
必 要 もないかもしれません。
の 歴 史 を 考 え て み れ ば 、そ れ ほ ど 驚 く
の自 動 車 産 業 を リ ー ド してき た トヨタ
多 少の驚 きが あ り ま した 。しか し、日 本
見 方 か ら プ リ ウス が 発 売 さ れ た 時 は 、
メー ジを 抱いていた んで す が 、そ う した
発 売 した 米 国でも 同 じでした 。ハリ ウッ
ら れてい ま し た 。そ れ は 二 〇 〇 〇 年 に
い 考 え 方 の クルマを 皆 さ ん 楽 し ん で 乗
見 を 集 めてみると、プリウスという 新 し
同 じ 気 持 ちで し た 。市 場 で お 客 様 の 意
小木曽
初 代 が 発 売 さ れ た 当 時 、私 も
わりを迎えた九 七 年 ごろだと思います。
な 考 え 方 が 定 着 したのが 二 十 世 紀の終
な 生 活 を 送 る 人 よ り も カッコいい。そ ん
小木曽
従 来 の クルマにモ ー ター を 付
ドスターの間でも 話 題にな り ましたが、
実 は ト ヨ タに は 堅 実 な 企 業 イ
け た 簡 易 型で 行 う 意 見 も あ り 社 内で 議
ご く 普 通 に 環 境への 関 心 か ら 選 ん でい
村上
大企業で社内の意識を共有するの
社内全体の意識を共有していきました。
いくつもの
壁を超える挑戦が
累計百二二十万台に結実した。
トヨタのハイブリッドとは
高かったからこそ実現できたのでしょうか。
は難しいのではないですか。やはり目標が
小木曽
初 代 は﹁ 世 界 初のハイ ブリッド
小木曽
プリ ウスは﹁ ボ タン一つでモ ー
らではの特 徴 を 生 か し 気 持 ち よい走 り
ター だ けで 走 れる ﹂とい う 、プリ ウスな
二 代 目は、自 ら決めた高い目 標 性 能と採
算 面との間で葛 藤がありました。しかし、
カー﹂を目 標に掲 げ進めていきましたが、
性 能 を妥 協 することなく﹁良いも
を 体 験 でき 、
エンジンを 上 手に組 み 合 わ
性 質がありますが、まるで神 経 細 胞から
レスポンスが 速 くコントロールしや すい
め ていきました。また、二代目のプ
のを 安 く﹂にこだわって開 発 を 進
せた 運 転 も 楽 しめま す。電 気モーターは
電 気 が 流 れる と 瞬 時 に 反 応 す る 筋 肉 の
ハリアー ハイブリッド
エスティマ ハイブリッド
クラウン ハイブリッド
時代の先端をゆく装備・機能 ※4
※4
※2
村上
論 が 分 か れ ま し た が 、妥 協 せ ず 最 も 燃
た だいた と 思ってい ま す 。ま た 、頂 戴 し
ように生 体に似た感 覚が味わえます。
ディータイプは、それまでほとんどヒット
す が 、実 は 5 ド アハッチバックとい う ボ
したことがないものでした。今では一目で
リウスはスタイリッシュなデザインで
小木曽
その通 りです 。トヨタではハイ
村上
エンジン車 よりも、むしろ 人 間に
ブ リッド 技 術 を 、燃 費 向 上 は も ち ろ ん
たが、社 内の共 感 を 得る為にはさまざま
わかるアイデンティティーに結び付きまし
近いということですね。
で す が 、クルマの 楽 し みの 根 源 で あ る 、
な角度からのアプローチが必要でした。
走 り の ポ テ ンシャル を 上 げ る た め に も
採 用 していま す 。
まず、気温差や高速道路走行など
めには 二つの大 きな 壁 が あり ました 。
村上
原 点のフィロソフィーとユー ザー さらにプリウスを世 界に浸 透させるた
に 走 り のいい ク ルマを 提 供 す る た め の
∼トヨタ ハイブリッドカー・ラインアップ∼
∼プリウスの進化∼
に初 代 プリウスが 誕 生 しました。
費 が よい﹁ トヨタ・ハイ ブリッド・システ
た ご 意 見 を 二 代 目に盛 り 込 ん だ 結 果 が
全 世 界 百 二 十 万 台の販 売 台 数に結 びつ
友 人 が 乗ってい た プ リ ウスに 同
いていま す。
村上
乗 したことが あ り ま す 。も ち ろんハイ ブ
リッド は 話 題には な り ま した が 、既にプ
リ ウスはエンジン車 と 同 じ﹁ 普 通のクル
マ﹂と して 語 ら れてい た 時 代 で 、乗って
地球温暖化対策と限りある石油資源を有効に活用するため、環境配慮型のクルマの
カーの普及が進み、
その先駆者で、同分野の代名詞的存在ともいえるのがプリウスだ。
開発が急がれている。なかでもガソリンエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド
プリウス誕生に携わったトヨタ自動車のチーフエンジニア・小木曽聡氏。対談は、
プリ
そのプリウスの開発者と作家・村上龍氏が対談する2回シリーズの第1回目の開発者は、
ウス開発の経緯から、
クルマづくりの原点にまで及んだ。
ハイブリッドカーの代名詞へと
進化してきたプリウスの価値
を アシスト する だ けでな く、モーター だ
’
04
’
02
2.4L車並の動力性能
世界トップ ※1の燃費性能38.0km/L ※2
※1
’
08
’
06
ム︵ T H S ︶﹂を 目 指 し ま した 。エンジン
2005年11月
2代目
マイナーチェンジ
80
みて も 全 く 普 通 の クルマだ と 感 じ ま し
を している 気にな り 、そ れが ゴミの分 別
た 。友 人 は、プリウスに乗 ると、いいコト
な ど 日 常 の 意 識 も 変 える と 力 説 してい
さまざまな環境に適応できる開発
合 理 性 と のせ め ぎ あいか らいいモ ノ が
生 まれるのかもしれませんね。相 反 する
外 国で走りました。次に、各 国に的 確
を行 うこと。私 自 身も確 認のため
なサービスができる体制を整えること。プ
価 値 の 葛 藤 を 通 し 生 ま れ た も のが 、最
はないかと 思いました。
私 も 研 修で教 えました 。これらの壁に挑
リウスのエキスパー ト を 育 成 するために
後 にフィロソフィー と 融 合 していくので
小木曽
せめぎあいは常にあります。開
みなが ら 品 質 とサー ビスの実 績 を 築 き、
発の中心には環境がありますが、人には利
便 性 も大 切です。どちらも追 求 しようと
す。こうした 努 力で信 頼 性 を 築いたか ら
お客 様の温かな声に結 び付けたと思いま
リッドカーのパイオニアとしての期待に応
た﹁普 通のクルマ﹂として、そして﹁ハイブ
新プリウス5月中旬、
いよいよデビュー!!
企画・制作 = 日本経済新聞社クロスメディア営業局
トヨタ自動車株式会社 お問い合わせ先/お客様相談センター 0800-700-7700 9時∼18時(カタログのご請求は24時間受付)
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100
小木曽 聡
すると原価が上がるので、価格を抑えるた
圧倒的な低燃費と優れた走りを両立
万台
トヨタ自動車株式会社
トヨタ第2乗用車センター
製品企画 チーフエンジニア
めにさまざまな 技 術 革 新 も生 まれます。
エンジン
普及させていきたいと思います。
h t t p :/ / t o y o t a .jp / p rius/
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バッテリー
2009年5月
3代目新プリウス誕生
2003年9月
2代目プリウス誕生
1997年10月
初代プリウス誕生
CVT
えるクルマ﹂として、プリウスを 世 界 中に
視点
エンジニアは、相反する課題を、哲
学をベースにして、ベストの追究では
なくベターを重ねることで解決してい
く。車にとどまらず、
これからの商品開
発の普遍的モデル。私たちユーザー
は新技術や外観より開発チーム、企
業の哲学に反応する。
そして、
やはり、
企業全体としてむずかしいことに挑戦
している時に、
もっともトヨタイズムが
発揮されるのだなと思った。
龍の
※1:状況によりエンジンが作動している場合があります。
*当社調べによる比較イメージ
モーターのみで発進・走行できない
モーターのみで発進・走行できる
専用の発電機をもたない1モーター
>> モーターとエンジンが駆動する走行時には、
発電・充電できない。
駆動用・回生用と発電用の2モーター
>> モーターが走行をアシストするのと同時に、
発電・充電ができる。
エンジン
モーター
エンジン
モーター
発電専用
モーター
バッテリー
低速走行時は、
モーター エンジン停止※1
エンジン
動力
モーター
けることができました。村上さんが言われ
走行中エンジンは、常に回転
こそ累計百二十万台という実績に結び付
ストロングハイブリッド
(トヨタ独自)
モーターが1つ
しかないので、
主
にエンジンの力
で 走り、必 要 に
応じてモーター
でアシスト。
前
前
プリウスは、
モーターと
エンジンを最高の効率
で組み合わせて走るシ
ステムを採用。電力が
豊富なのでEV走行も
得意。
動力
マイルドハイブリッド
い目標を掲げ途中では曲げない。そうして
エンジン&モーターが主役。
エンジンが主役。モーターはアシスト役。
こうしたせめぎあいのなかで、なるべく高
ストロングハイブリッド・マイルドハイブリッドの比較 ■
■
製 品 企 画 チーフエンジニア
村上 龍
識の変 化 を 物 語っていると 思いま すね。
1952年長崎県生まれ。76年、
デビュー
作「限りなく透明に近いブルー」
で第75
回芥川賞受賞。その後多数の小説・
エッセイ、
対談集など幅広い分野で話題
作を発表し続けている。99年より金融
経 済をテーマとするメールマガジン
「JMM」
を発行、編集長を務める。最新
刊に
「無趣味のすすめ」。
トヨタ自動 車
小木曽 聡
作 家 プレミアム
対談
ま した 。クルマを きっか けにした 環 境 意
作 家
2000年5月
初代マイナーチェンジ
北米・ヨーロッパで販売開始
60
2000
1997
0
プリウス世界累計販売台数の推移 ■
■
2003年9月
2代目プリウス
販売開始
20
1997年12月
初代プリウス
販売開始
40
2008年12月
約120万台
120
4月24日(金)
掲載予定
さらに詳しい内容は NIKKEI NET でもご覧になれます http://www.nikkei.co.jp/ps/toyota_hv
02
vol.
01
vol.
∼先駆者として挑み続けるクルマづくり∼
特別だった
プリウスのコンセプトは
普通のクルマとして
受け入れられた。
村上 龍
ト ヨ タ ハ イ ブ リ ッ ド シ ス テ ム 進 化 論
ハイブリッドカーのパイオニアが、ついにフルモデルチェンジを果たす。
今度の3代目新プリウスは、
ここがスゴイ!
!
ソーラーベンチ
ムーンルーフに搭載したソーラーパネル
レーションシステム で発電した電力を使用し、室内を換気。
新開発の高効率1.8Lエンジンと、
世界トップレベルの空力性能(CD値0.25)
と、
ハイブリッドシステム「THS II※3」を搭載。
車両全体でのエネルギー効率の向上との
相乗効果により実現。
リモート
エアコンシステム
スイッチにより、車外からエアコンが作
動可能。暑い炎天下で効果を発揮。
※1:ガソリン乗用車での比較。2009年3月現在。
トヨタ自動車調べ ※2:グレードにより異なる。10・15モード走行燃費。国土交通省審査値 ※3:TOYOTA Hybrid System II ※4:オプションとなります。
(グレードにより異なる)
タッチトレーサー
ディスプレイ
ステアリングスイッチの中で指の触れ
た場所をセンサーメーターに表示。
■Photo:デトロイ
トモーターショー出品車
(北米仕様)