ドイツ・ における青舌病(ブルータング)の発生状況 EU

ドイツ・ EU における青舌病(ブルータング)の発生状況
(2009年4月現在)
1 青舌病に対するワクチン接種が大きな成果を−家畜の 98%に接種
”青舌病(ブルータング)に対するワクチン接種は、著しい効果を発揮してい
る”と、連邦農業省政務次官 Dr.ゲールト ミュラーが、今日(2009 年 4 月 30
日)ベルリンで述べた。牛、羊、山羊のような家畜(反芻動物)並びに野生動
物に発生するこの病気によって、ドイツ全土で2007年に 20 000 以上、昨
年(2007 年)には 5 000 以上の発症事例が確認された。
5月のワクチン接種開始によって、2008年の発症事例が、すでに 75%減
少している。ミュラー政務次官の報告によると、今年度( 2009 年度)は 117
事例のみであり、これは前年同期発病の僅か 5%だけに相当している 。”この
データは、ワクチン接種戦略の大きな成果である”と、ミュラーは評価した。
政務次官はさらに次のように説明した。各州によって差はあるものの、家畜
所有者の 92%までが接種に参加し、98%の家畜が接種されている。
全体で今日まで 1000 万頭の牛、250 万頭の羊そして 20 万頭のその他の家畜
(山羊等)が、接種された。ワクチン接種がより効果的であり、そして良好に
適応している。パール エーリッヒ研究所の調査によれば、0.003%という最小
の程度でのみ、副作用が発生している。最後にミュラー政務次官は、この病気
に効果的に対処するために、各州と地域の管理局に、ワクチン接種戦略を一貫
して実行すべきことを要請した。
2 ドイツにおける青舌病(ブルータング)の発生状況
(2009年2月6日現在)
2006年8月21日にドイツで最初の発生後、2007年に合計 20,623 事
例、2008年には 5,125 事例(2009 年 2 月 6 日現在)が、確認されている。
この病気の発生は、ケルナー ブースト地域に始まり、2006年には著しく
発生し、続いて北部、東部そして南部の方向に拡大していった。この間、ベル
リン、ハンブルグを除く全州でこの病気の発生が確認された。
-1-
制限地域(最低半径 150 km)は、ドイツ全土を覆っている。2007年9
月半ば以来、新しい感染数はドイツにおいても、近隣諸国においても減少して
きている。ドイツにおいて確認されている青舌病−発症事例の当面の数は、
「2
008年ドイツにおける青舌病発症事例」(別添資料)で公表されている。
◎ ドイツ近隣の EU 諸国での発生状況
比較可能なのは、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、フランスなどの EU
近隣国の発病進展状況である。ドイツでの発症状況を受けて、デンマークの一
部(ローランド島での発症報告)、チェコ(Cheb 近くでの発症)、ポーランド、
オーストリアそしてスイスでも、制限地域が設定されている。これらの国々で
は、すでに家畜の多くが喪失されている。
◎ EUー法に基づく対策
吸血昆虫(訳注:ヌカカ−ブヨの一種)によるこのウイルスは、風でも遠距
離(100km 以上)を運ばれてくるので、極めて広範な対策が必要となる。地理
的、気象的そして疫学上の条件配慮のもとに、EU−法によって封鎖地域を最
低半径 100km、さらに監視地域 50km が設定されている。この地域から感染し
やすい家畜(反芻動物)を、基本的に運び出すことはできず、ないしは履行義
務のもとにのみ、移動できる。
ワクチンは、この病気の発症事態に対して、
「抗原型 8」と特定されたこの BTウイルスの血清タイプが、2008年度に初めて使用された。ドイツの家畜飼
育者は、家畜疾病法によって喪失した家畜の補償が受けられる。
-2-
2008年ドイツにおける青舌病−発症事例数
(2009年2月6日現在)
第1表
州
2008年第1半期の発症事例数
1月
2月
3月
4月
5月
6月
2008 年
第 1 半期
バーデンーブルテンベルグ
4
4
8
6
4
26
バイエルン
7
6
2
1
3
19
ベルリン
0
ブランデンブルグ
1
ブレーメン
1
2
3
2
3
ハンブルグ
0
ヘッセン
87
25
46
3
1
2
ニーダーザクセン
505
352
203
75
56
31
1222
ノルトラインベストファーレン
211
150
139
24
5
1
530
ラインラント プファルツ
37
25
23
11
3
2
101
ザールラント
11
6
4
1
メクレンブルグフォアポーメルン
ザクセン
2
160
6
22
1
ザクセン アンハルト
シュレースビック ホルシュタイン
1
5
5
1
6
8
2
3
チューリンゲン
全
2
体
新しい発生 抗原型 8
第2表
畜
種
1
2
12
1
20
1
3
872
586
437
127
73
34
2129
0
0
1
0
25
34
70
2008年第1半期畜種別発症事例数
1月
2月
3月
4月
5月
6月
2008 年
第1半期
牛
853
571
427
121
70
33
2075
羊
10
8
4
1
3
1
27
山羊
1
4
1
1
7
その他
3
2
2
1
8
5
1
3
3
12
872
586
437
127
猟獣生息区域の動物
全
体
-3-
73
34
2129
第3表
州
バーデンビュルテンベルグ
2008年第2半期の発症事例数
7月
8月
9月
10月
11月
19
112
116
26
10
10
319
2
3
2
9
7
42
バイエルン
12月 2008 全体
ベルリン
0
ブランデンブルグ
ブレーメン
1
1
2
4
5
3
3
2
5
2
21
ハンブルグ
0
ヘッセン
1
1
メクレンブルグフォアポーメルン
ニーダーザクセン
2
3
4
1
172
6
4
4
5
25
59
467
734
471
352
195
3500
ノルトラインベストファーレン
2
2
5
6
6
3
554
ラインラントプファルツ
5
13
14
6
9
3
151
ザールラント
22
ザクセン
1
1
2
3
9
ザクセナンハルト
4
17
6
21
60
39
50
57
58
233
1
1
2
2
9
シュレースビックホルシュタイン
9
チューリンゲン
全
体
新しい発生 抗原型 8
87
611
932
590
464
312
5125
87
611
932
590
464
312
3056
第2表
畜
種
2008年第2半期畜種別発症事例数
7月
8月
9月
10 月
牛
73
492
816
568
461
307
4792
羊
13
115
108
18
3
3
287
山羊
1
2
1
11
6
2
19
その他
3
猟獣生息区域の動物
1
全
体
87
611
11 月
1
932
590
464
12 月
2008 全体
2
16
312
5125
2009・5
訳
青森中央学院大学
中川 一徹
-4-