産地訪問記ワインフェア

産地訪問記ワインフェア
Jun.2012
今朝11時ボーヌを立ち45分にマコン駅に着く。
駅にはフランク・サンカン夫人アンが待っていてくれた。化粧っけはないが整っ
た横顔はすぐに分かった。ワゴンに乗りクリュボージョレになっているシルーブ
ル近くのロマンシェのホテルへ。民家のような素敵なホテル。森に続く広い庭と
小さなプールにジャグジーも。
再び南へ。懐かしい景色が広がる。クリュに格付けされたモルゴン、レニエの丘
陵。これらの産地の畔のようなくねった道を80キロ以上のスピードで飛ばす。
わが村を知り尽くすアンのドライブ!到着。六年ぶりの再会の地。4回目の訪問。
懐かしのレニエ。ドメーヌ・ブラ―ヴ=フランクのセラーとすぐにある自宅。自社
畑のなかポツンと建つ。家族を愛する写真が一面壁に。二匹の猫と三匹の犬も家族。
Franck Cinquin
アンとフランク
アンの両親が経営するレストラン兼自宅でランチ。小高い丘にありボージョレの畑
がいっぱいに広がる。フランクが座っている。良く日焼けた笑顔。Legend という
ロゼのヴァンムスーを出してくれる。瓶内二次発酵 でドメーヌ サンカンと書い
てある。コストは三倍かかるけどねとフランク。
フォワグラのテリーヌと良く合う。ポーチドエッグの赤ワイン煮とも合う。仔牛の
ソテーとレニエ。鮮魚のポシェマスタードソースと 69 と書かれたボージョレイの
ロゼ。木イチゴのシャルロット。みんな美味しい。
減農薬、1903 年から続く家族経営。モルゴンにも畑を購入しここからレニエより
力のあるワインも作っている。
「それはテロワールの違い」とアンが言う。あの伝統的なプレス機(VASLIN)はソフトに圧搾でき
る近代的なものに変っていたがもちろん味わいのスタイルは維持。忙しいフランクに変わりアンが畑も案内してくれた。ブルゴ
ーニュで見た木より実が大きくなっている、気温の差。この粒が実り弾けんばかりの果実味たっぷりのワインになる。「フラン
クは明日も5時には畑に行くわ」と言ったアンの顔も焼けている。ひんやりとした地下のセラーは最近購入した。地下とはいえ
斜面を利用していて扉をあけると丘陵の先にブルーイィの丘が見える。
セラーにはレニエの村のフランクの友人が数人集合して一緒に試飲に。
2009 のレニエに始まり 2000、埃のかぶった 1998、1993 までいく。 98 と 93 は
まるでピノ・ノワールのように熟成し複雑に変化している。勿論上質なピノのよう
に。私のそのコメントに全員注目。フルーツ香は薄れてくるがしおれたバラや菩提
樹の枯れた葉の香りが混じる。上品で優雅な香りと味わい。力は衰えず熟成し続け
ている。誰かがショウゾウにボージョレの栄誉ある何やらを与えようと言い出しみ
んなが乗っていると仏語の通訳をしてくれている長女が言う。
レニエ垂直試飲
その後アンが薦めてくれた滞在先のホテル Les Maritonnes での夕食を頂く。うっすらと暗くなりかけた遅い黄昏。夜8時を回
っている。庭のテラス席を選び小エビの天ぷらにクリーミーなソースと野菜のテリーヌ、黒鯛のポワレ、ズッキーニの器に入っ
た野菜の煮込み、クネルのソースショロンを頂く。試飲したレニエの 1993 を合わせる。完全には合わない。しかし満足な夜。
10時近くなりやっと夜の帳が。部屋に戻りそのまま倒れるように眠る。 「2012 レニエ訪問:石黒」
丘陵に広がるレニエの畑
レニエの畑にて
産地訪問記ワインフェア
Jun.2012
Franck Cinquin
Franck Cinquin : フランク サンカン
『ワイン造りはわずかな人で密にやっていきたい』
ポール サンカン(父)とフランクを中心に計 6 人で、機械をほとんど使用せず出来るだけ人の手によるワイン造りを心がける生産者です。自然なまま
の造りを目指しており、「フルーティでエレガント、飲みやすく楽しいワインを造りたい」というのがコンセプトです。収穫は全て手摘みで収穫され、やさ
しく搾られた果汁を使い、タンクで熟成し、樽は使いません。タンクでは澱と共に寝かせます。清澄はせず、フィルターは少しだけかけます。サンカン
家独特の醸造法として、発酵前に 60℃まで温度を上げる温かいマセラシオンがあり、30年間続けています。果実味、集約感、リッチさが増し、色が良
く出るそうです。この方法は、学生時代に習った方法で、真似をする人が多いのですが難しく、なかなか成功していません。フランクは、14 歳頃から
午前中は畑で働き、1989 年に独立しました。常に人気が高く、毎年現地の権威ある品評会で常に高い評価を得ています。ツール ド フランス 5 勝の
ベルナール イノー(ポールの友人)や最多の山岳賞を 7 回獲得したリシャール ヴィランクが、サンカンのレニエを好んで飲んでいます。
オーナー
ポール サンカン、フランク サンカン(息子)
評価
ロバート パーカー Jr.の「ブルゴーニュ」の中で優良生産者として紹介
ボージョレ
ヴィラージュ
FB-366 2010 Beaujolais Villages
一般価格 ¥4,100
会員価格 ¥2,900
《赤》【ミディアムボディ】
葡萄品種:ガメイ
生産者:ドメーヌ デ セリエ(フランク サンカン)
美しい輝きのあるチェリーレッド、チェリーやカシスのフルーティな香りがあり、口当たりはスムーズでやさしくバランス
がとれています。「ワイン造りはわずかない人数で密にやっていきたいね。」と語っていました。ボージョレ ヴィラージ
ュは、フランクの葡萄のみのため、ドメーヌ デ セリエのラベルとなっています。樹齢 50 年のガメイもあります。高温
発酵前マセラシオンは、30 年間続けていて、オリジナルのやり方です。
06 年のボージョレ ヴィラージュが、コンクール(Concours des 2 Bouteilles
2007)で第 1 位を獲得しました。ヒュー ジョンソンの「ポケットワインブック」でレニ
エのトップ生産者として高く評価され、
「ル ギド アシェット デ ヴァン」に毎年の
レニエ
F-213 2009 Régnié
一般価格 ¥4,600
会員価格 ¥3,400
《赤》【ミディアムボディ】
葡萄品種:ガメイ
生産者:ドメーヌ デ ブラーヴ(フランク サンカン)
「ブラーヴ」とは、『信仰深い』という意味で、この辺りの地名です。畑は、フランクが 2ha、ポールが 4.5ha所有し、残りの 2.5ha
はポールが所有しフランクが働いています。醸造に関しては、ふたりの葡萄を混ぜて使うそうです。美しい輝きをもつカラー、極
めてフルーティで、なめらかな味わいをもっています。ネゴシアンのワインでは、味わうことのできない違いを味わえます。
ロバート パーカー Jr.「パーカーズ ワイン バーゲン」
掲載。
数々の賞に輝く。アンの父のレストラン
のランチョンマットから
フランクとアンと一緒に