「新しい金融サービス業」の創造 - 三菱UFJフィナンシャル・グループ

「新しい金融サービス業」の創造
UFJ グループでは、新時代に相応しい「新しい金融サービス業」の創造に向け、
さまざまな取り組みを行っています。 ここでは、こうした取り組みとともに、
グループ経営統合の進捗状況についても詳しくご説明します。
スピーディな経営統合について
財務体質・収益体質の改善について
お客さまとの接点(チャネル)の変革について
新しいビジネスモデルの構築について
先端 I T の活用について
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スピーディな経営統合について
2001 年 4 月 2 日、持株会社「株式会社 UFJ ホールディングス」の設立によって、UFJ グループが
正式にスタートしましたが、グループのめざす「社会の信頼に応え、お客さまとともに成長する
革新的な金融グループ」の創造を実現するためには、財務体質の強化、事業競争力の強化など、
取り組むべき課題が多くあります。これらの課題を着実に解決していくためには、グループ内の
事業再編、諸制度の統一、システム統合などをスピーディに行い、統合効果を可能な限り早期に
実現することが何よりも大切です。以下、UFJ グループの経営統合の進展などについて
ご説明します。
グループ組織・業務の統合
三和銀行、東海銀行、東洋信託銀行の 3 行による経営統合については、2000 年 7 月の合意・発表
後、ATM 相互利用、自己査定基準の統一、融資審査制度の統一など、可能な限り前倒しで作業を
進めてきました。2001 年 4 月 2 日には株式会社 UFJ ホールディングスを設立し、名実ともに UFJ
グループが誕生しましたが、これにより統合作業はさらにスピードアップしています。
商業銀行である三和銀行と東海銀行は、持株会社設立から 1 年後の 2002 年 4 月をめどに合併す
る予定でしたが、統合効果の早期実現・極大化を図るため、約 2 ヵ月半前倒しして合併すること
とし、2002 年 1 月 15 日に「UFJ 銀行」が誕生することとなりました。システム統合も同時に完了
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させますので、
「UFJ 銀行」は一体化されたシステムにより、一層利便性の高いサービスや付加
価値の高い商品を、スタート時点からお客さまに提供することが可能になります。また、合併の
前倒しに伴い、重複店舗の統廃合、人員削減などのリストラ計画も一層スピード感を持って推進
していきます(リストラ計画の前倒しについては 13 ページをご覧ください)。
一方、信託業務の統合も着実に進展しています。2001 年5月に東洋信託銀行が東海銀行の保有
する東海信託銀行の全株式を取得し、2001 年 7 月に両行は合併しました。これで 1999 年 10 月
に行われた三和信託銀行の東洋信託銀行への統合と合わせて、UFJ グループの信託機能の統合
は完了したことになります。2002 年 1 月の「UFJ 銀行」発足時には、東洋信託銀行も「UFJ 信託
銀行」と改称し、経営統合により拡大したグループ顧客基盤に対して、付加価値の高い財務管理
機能などを一元的に提供していきます。また、さらなる効率化とグループ経営資源の集中を
図るため「UFJ 信託銀行」の預金・貸出業務は早期に「UFJ 銀行」へ統合していく計画です。
その他、銀行以外のグループ各社についても、資産運用、証券、I T、海外業務などを中心に、
重複する業務・機能の効率化を図るために、グループ内事業の統合・再編を極力前倒しで進めて
いきます。
グループ内重複機能の統合
業務
時期
新会社
旧会社
投資信託委託
2001 年 4 月
UFJ パートナーズ投信
東海投信投資顧問株式会社
株式会社
および東洋信アセットマネジメント株式会社
の投資信託部門をパートナーズ投信株式会社
に営業譲渡
投資顧問
2001 年 4 月
UFJ アセットマネジメント
投資信託部門を営業譲渡後の
株式会社
東海投信投資顧問株式会社および
東洋信アセットマネジメント株式会社が
三和アセットマネジメント株式会社と
合併
グループ IT 事業
2001 年 4 月
株式会社ユーフィット
(UFIT)
セントラルシステムズ株式会社を
社名変更・改組のうえ、三和銀行で行っていた
システム関連業務を移行して発足
ホールセール証券
カード
2001 年 7 月
2002 年 1 月
UFJ キャピタルマーケッツ
三和証券株式会社と東海インターナショナル
証券株式会社
証券株式会社が合併
株式会社 UFJ カード
株式会社ミリオンカード・サービスと
株式会社フィナンシャル ワン カードが合併
海外
2001 年 7 月
ユナイテッド・
加州三和銀行と
カリフォルニア銀行
加州東海銀行が合併
カナダ UFJ 銀行
カナダ三和銀行と
カナダ東海銀行が合併
スイス UFJ 銀行
スイス東海銀行の業務を
スイス三和銀行に移管
2001 年 9 月
UFJ オーストラリア
東海オーストラリアファイナンス
リミテッド
コーポレーションリミテッドの業務を
三和オーストラリアリミテッドに移管
システム統合
UFJ グループの強みのひとつは、システムの先進性とその統合スピードです。近年の金融業界に
おける外部環境の変化は著しく、お客さまのニーズの多様化と、それに伴う業務・事務の複雑化
が進んでいます。これらに対応するためのシステム構築の成否・スピードが今後の生き残りを賭
けた競争を左右するといっても過言ではありません。このような環境下、UFJ グループは、革新
的な総合金融サービスの展開を支える統合新システムの構築を、最速で実現していきます。
新システムへの移行は 2002 年 1 月 15 日の商業銀行合併と同時に実施され、
「UFJ 銀行」は一体化
されたシステムにより、発足当初から全店で共通の商品・機能の提供が可能となります。お客さ
まの利便性向上、新サービスの早期提供が可能になるとともに、店舗統廃合など業務の効率化
も同時に進み、UFJ グループの統合効果の実現ならびに競争力強化に貢献します(新システムの
詳細については 28 ページをご覧ください)。
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人事制度の統一
人事制度の統一、企業文化の融和は、統合後の企業活力を高める上で非常に重要であると同時
に、もっとも難しい問題のひとつです。UFJ グループでは、グループ内の各社が事業競争力を
最大限に発揮できるよう、それぞれの事業内容や特性にもっとも相応しい人事制度を早期に
構築していきます。
特に商業銀行については、三和銀行と東海銀行の合併に先立ち、2001 年 10 月を目処に両行の人
事制度を統一し、
「UFJ 銀行」としての制度への移行を円滑に進めていきます。職務と成果に応じ
たメリハリのある処遇を実現する給与・賞与制度、外部評価・多面評価などによる透明性の高い
評価制度を採用し、行員の士気を高めていきます。
三和銀行、東海銀行の合併準備について
三和銀行、東海銀行では、両行で重複する店番の変更や一部商品の廃止・切り替えなどを、
お客さまのご協力をいただきながら、合併に先駆けて随時実施しています。また 2002 年
1 月 15 日の合併日以降に、手形・小切手などの更改、一部の通帳・サービス・事務手続き、
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手数料の変更などが予定されています。お客さまには、ご不便やお手数をおかけすること
もありますが、ご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。
UFJ ホールディングスおよび傘下銀行では、システムの統合や商品・サービス、事務手続き
の変更に伴い不測の事態などが生じないよう、最大限の注意を払って準備を進めていく
考えです。具体的には、行員の事前研修、入念なリハーサルの実施、万一の事態を想定した
コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)の策定などを通し、お客さまにご迷惑を
おかけすることのないよう、万全の体制を整えていくものです。
財務体質・収益体質の改善について
金融ビッグバンにより始まった激動の時代を勝ち残っていくために、UFJ グループは総合金融
機能を提供する「新しい金融サービス業」として強固な経営基盤の構築をめざしています。具体的
には、不良債権処理・リストラを積極的に実施し、外部環境に左右されない健全な財務基盤を構
築すると同時に、さまざまな業務改革の推進により、競争力のある収益構造を確立していきます。
財務体質改善のための取り組み
バブル経済の崩壊以降、不良債権の増加や株式市況の低迷などにより日本の銀行の財務体力は
少なからぬ打撃を受けました。UFJ グループ 3 行は、これまで財務体質の改善を最重要課題とし
て認識し、全力を尽くして取り組んできましたが、引き続き厳しい経営環境が予想されるなか、
資産の質の向上およびリストラによる経費削減をさらに徹底していきます。
不良債権処理の促進について 〜資産の質の向上〜
不良債権処理額
(単位:億円)
企業収益の悪化や地価下落など依然として厳しい経済環境のなか、三和銀行・東海銀行・東洋
信託銀行は、2001 年 4 月の経営統合に先駆け、統合後のグループ経営の安定化を目的として、
15,000
従来にも増して保守的な資産査定を実施し、不良債権の前倒し処理と今後の不良債権発生に
10,000
備えた一般貸倒引当金の積み増しを行いました。これにより、2001 年 3 月期決算における 3 行
5,000
の不良債権処理額は、当初予想の 5,800 億円に対し、一般貸倒引当金繰入を含め 1 兆 1,705 億円
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となりました。この結果、3 行合算の当期利益は 2,201 億円の赤字となりましたが、財務の健全
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性は大幅に改善しました(詳しくは 38 ページをご覧ください)。
不良債権処理額
一般貸倒引当金繰入額
リストラの推進について 〜経費削減〜
グループ 3 行は、これまでも積極的に経営の合理化に取り組んできました。2000 年 12 月に金融
再生委員会(現 金融庁)に提出した「経営の健全化のための計画」でも、人員削減、店舗統廃合を
中心としたリストラ計画を打ち出していましたが、2001 年 4 月には、統合効果のさらなる拡大を
国内店舗統廃合
(単位:店)
めざし、
「追加リストラ策」の実施を発表しました。
「追加リストラ策」では、2001 年 3 月期末で 531 店舗の国内本支店数を、2003 年 9 月までに 406
400
店舗に削減する計画です。これは、従来の計画比 40 店舗の追加削減にあたるとともに、統廃合
完了を 6 カ月早めたものです。
200
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統合健全化計画
新計画
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海外拠点についても、従来の統廃合計画(支店・現地法人)13 拠点に加えて、2004 年 3 月までに
支店・現地法人 4 拠点を追加で廃止し、さらに 12 の駐在員事務所を閉鎖する予定です。
人員削減計画
従業員については、国内外店舗の統廃合に加え、新営業店システム「FITS21」の導入による営業
(単位:人)
店後方事務の事務センターへの集中や、本部機能の早期統合などにより、2001 年 3 月末時点の
従業員数 26,108 人に対して、当初削減計画に 1,200 人を上乗せし、2005 年 3 月までに 20,800 人
23,500
とする計画です(詳しくは 30 ページをご覧ください)。
20,000
収益力向上のための取り組み
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統合健全化計画
新計画
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UFJ グループは、取引構造の改革、革新的なサービスの提供によって収益力の増強を図ります。
具体的には、経営資源の有効活用をめざした資産ポートフォリオの改善、安定的な収益源となる
非金利収入の増強、新ビジネスの取り組みによる新たな収益源の開拓を行っていきます。
資産ポートフォリオの改善
UFJ グループでは業務の選択と集中を図り、収益性の低い業務からより収益性の高い業務へ経営
資源をシフトしていくことで、効率的な収益構造を築いていきます。特に、貸出ポートフォリオ
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の改善や、企業と互いの株式を保有し合う株式持合いの解消を通じた保有株式残高の圧縮につ
いては、喫緊の課題であると認識し、積極的に取り組んでいます。
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貸出ポートフォリオの改善は、不良債権の早期圧縮に加え、お取引先の信用力に応じた適正な
スプレッドの確保を徹底するとともに、大口貸出先への偏重を抑制しつつ、中堅・中小企業を
中心とする小口分散した優良貸出の増強を図ることで実現していきます。
リスクに応じた適切なリターンの追求
UFJ グループでは RACAR(Risk and Cost Adjusted Return)管理を導入し、顧客の信用力や案件
ごとのリスク・コストに応じた適正な貸出レートの算出、収益管理を徹底しています。この適正
な貸出レートを厳格に適用し、不採算取引を圧縮していくことで、貸出スプレッドの拡大を図り、
収益率の向上をめざします(RACAR については、46 ページをご参照ください)。
大企業取引の見直し
大企業取引については、市場原理に基づく直接金融への移行が進み、銀行借入に対するニーズ
が低下するとともに、お取引先側からの銀行の選別が進展していくと考えられます。
UFJ グループでは、決済サービス、投資銀行業務、財務管理業務などお客さまの経営課題の解決
に役立つサービスを展開し、非金利収入の拡大に努めていきます。また、UFJ キャピタルマー
ケッツ証券による直接金融サポート、商業銀行でのシンジケートローンの推進などにより、大企
業の調達ニーズに十分にお応えしながらも貸出資産を抑制することで、資本効率の向上をめざ
します。
中堅・中小企業向け貸出の増強
UFJ グループでは、中堅・中小企業取引をリテールとならぶコア業務と位置付け、
「中堅・中小企
業にもっとも支持される銀行」をめざし積極的に取り組んでいきます。このマーケットでは、
資金調達の面では、銀行借入を中心とする間接金融へのニーズが高く、中堅・中小企業向け貸出
のウエイトは、これまで以上に高まっていくものと考えられます。UFJ グループでは、総合金融
力を活かして、決済、デリバティブなど多岐にわたるニーズにお応えしながら、優良貸出資産の
積み上げに努めていきます。
以下、企業のさまざまな資金ニーズに対応するための具体的な取り組みをご紹介します。
● ビジネスローン
リスクとリターンのバランスを適正に保ちながら、企業の資金需要に柔軟に応えていくために
開発した中小企業向けのローンです。三和銀行では「ベストアシスト」の商品名にて 2000 年 3 月
より、東海銀行では「〈東海〉ビジネスメールローン」の商品名にて 1999 年 3 月より、提供を開始
しています。統計データに基づく審査モデルを活用し、中小企業のお客さまの資金需要にス
ピーディに対応することが可能となりました。
● シンジケートローン
比較的多額の資金調達を必要としている企業に対して、複数の金融機関による協調融資をアレ
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ンジします。シンジケートローンは欧米では一般的な貸出形態で、日本でも大企業を中心に取
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り扱いが急増しています。UFJ グループでは、コア業務として注力していく中堅企業取引におい
ても、今後、シンジケートローンのニーズが高まるものと予想し、積極的に取り組んでいきます。
● リース・ファクタリング
UFJ グループでは、お客さまのさまざまな資金ニーズへの対応の一環として、これまでも三和
ビジネスクレジット、セントラルファクター、セントラルリースなどとの連携を図ってきました。
さらに 2001 年 6 月には、グループで提供できるサービスの品揃えを充実させ、中小企業のお客
さまのニーズにより一層的確にお応えしていくために、中小企業向けの小口金融であるベン
ダーリースに強みをもつ「株式会社日本ビジネスリース」を子会社化しました(詳しくは 26 ペー
ジをご覧ください)。
個人向け貸出の増強
UFJ グループでは、個人向け貸出の増強に積極的に取り組んでいます。なかでも住宅ローンは、
相対的に安全性が高く、安定した収益を得られることから、重点的に推進しています。そして、
住宅ローン残高
(単位:億円)
お客さまのニーズに合った、優れた商品・サービスを提供することで、マーケットシェアの拡大
をめざしています。
45,000
ローン申込みから審査結果の決定までの所要時間の短縮は、サービス向上のための大きなポイ
30,000
ントです。UFJ グループでは、事務プロセスの改善を図るとともに、オートスコアリング(自動
15,000
審査)システムを導入し、審査プロセスを電子化することで、審査時間の飛躍的短縮を実現して
いきます。従来、申込みから契約まで 1 〜 2 週間を要していましたが、こうした取り組みの結果、
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最短で 3 日程度までの短縮が可能となります。
さらに、金融統計技術を駆使し、リスクに応じた金利設定を可能とするリスクモデルを構築する
ことにより、お客さまのニーズに幅広くお応えできる、魅力ある商品体系を構築していきます。
そして、事務プロセスの改善によるローコスト化とも合わせ、競争力ある商品の提供を実現して
いきます。
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CRM
こうして実現する競争力ある住宅ローン商品を、関東・関西・中部の 3 大都市圏を中心にバラン
お客さまとの継続的な関係を築く
スよく配置された UFJ グループの店舗網を有効に活用して提供していきます。また、全国 80 カ
ためのマーケティング手法のことです。
データベースを活用した統計学的な分
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所を超える専門拠点などを通して、住宅販売業者との関係を強化することで住宅ローンの取り
析により、お客さまのニーズや特性を
込みを進めるとともに、夜間・休日の相談受付、インターネットなど新チャネルを通して情報
つかみ、的確なタイミングで適切な商
提供・申込受付なども行っています。その結果、三和銀行、東海銀行、東洋信託銀行合計の住宅
品・サービスの提供を行うことを目的
ローン残高は、2001 年 3 月期末で 5 兆 1,773 億円となりました。これは、前期末比 3,838 億円の
とします。
増加となっています。
住宅ローン以外においても、他業態との合弁事業である「モビット」を通して個人向けローンの
推進や CRM* を活用した One-To-One マーケティングなどを積極的に展開することにより、個人
向け貸出ビジネスを強化していきます(「モビット」については 25 ページをご覧ください)。
保有株式簿価残高
(単位:億円)
保有株式残高の圧縮
60,000
「安定株主」を作ることによって経営を安定させることなどを目的として、銀行とお取引先がた
40,000
がいに株式を保有しあう「株式持合い」については、金融ビッグバンが進みメインバンクの役割
20,000
が低下しつつある現在、その必要性は薄れてきています。さらに、時価会計の適用により、2002
年 3 月期より保有株式の評価損益が「自己資本」に反映されるようになることから、株式市況の
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動向によっては銀行財務に大きな影響をおよぼす可能性もあります。UFJ グループでは、この
ようなリスクを極小化するため、保有株式の残高圧縮を積極的に進め、2001 年 3 月期には 3 行
合計で約 6,500 億円(簿価ベース)の売却を行いました。今後もさらなる残高圧縮を予定してお
り、2001 年 3 月末時点で約 6.7 兆円ある株式残高を、3 年程度で自己資本(2001 年 3 月末時点で
4.1 兆円)の範囲内まで減らしていく計画です。
非金利収入の増強
UFJ グループでは、預金・貸出業務以外の収益源として、手数料などの非金利収入の増強をめざ
しています。非金利収入は金利など外部環境などの影響を受けにくいため、業務粗利益に占め
る非金利収入の比率を高めていくことで、安定的な収益構造を構築することができます。UFJ
グループでは、決済関連ビジネスにおいて競争力の高い先進的なサービスを提供しているほか、
シンジケートローンなどの新たな与信スキーム、東洋信託銀行による財務管理業務、資産運用業
務などを積極的に展開し、非金利収入比率において邦銀トップをめざしています。2001 年 3 月
期には、UFJ グループの法人ビジネスにおける非金利収入比率は 23 %となりましたが、これは
Bolero (Bill of Lading Electronic
前期比 4 %の増加にあたり、着実に成果が上がっています。
Register Organization)
国際的な金融機関の通信ネットワーク
決済関連ビジネス
を運営する SWIFT と、運送業者・港湾
大企業、中堅・中小企業を問わず、産業界の I T 化・グローバル化の進展に伴い、企業の資金決済
当局の相互保険組合である TT クラブ
における合理化ニーズは拡大しています。UFJ グループでは、以前から EB(エレクトロニック・
が推進母体となっている、世界的な貿
易金融 EDI プロジェクトです。
バンキング)の推進に積極的に取り組んできましたが、グループ資金管理の効率化を図る「イン
ハウスバンクシステム」、デビッドカード読み取り用携帯端末の利用によって集金業務のキャッ
Identrus
シュレス化を可能とする「集金快即」など、これまでにない利便性の高い決済サービスを開発・
日米欧の主要金融機関が出資・参加
提供して、資金決済業務において、高い競争力を有しています。
する電子認証、電子商取引プラット
また、電子商取引の拡大が見込まれるなか、商取引をネット上で安全・確実に行うためには統一
フォーム構築に関するプロジェクト
です。
された規格のプラットフォームの構築が大きな課題となります。UFJ グループでは、
「Bolero(ボ
レロ)」*「Identrus(アイデントラス)」* など、この分野に関するさまざまなプロジェクトに参画し
ているほか、B2B 市場(企業間電子商取引市場)での新たなビジネスモデルの立ち上げに取り組
んでいます(詳しくは 27 ページをご覧ください)
。
新たな与信スキームへの取り組み
UFJ グループでは、シンジケートローン、コミットメントライン、債権流動化などの与信スキーム
を、高度化・多様化するお取引先のニーズに応える新たな金融サービスとして位置付け、非金利
収入の柱として積極的に取り組んでいます。これらの与信スキームでは、お客さまの調達方法
の多様化や、手元流動性の確保、バランスシートのスリム化といった多様なニーズに応えるとと
もに、銀行にとっては、アレンジフィー(手数料)を得ることで、資産・資本効率の向上につなが
ります。
特に、シンジケートローンでは、多額の調達が一度に可能となること、借入事務の合理化につな
がることなどから、近年、大企業のみならず、中堅企業においてもそのニーズは高まってきてい
ます。UFJ グループでは、コアマーケットである中堅・中小企業分野でのシンジケートローンに
対する取り組みを重点的に強化しています。
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財務管理業務
UFJ グループにとって、傘下に信託銀行を有することは大きな強みのひとつです。直接金融化、
バランスシートマネジメントニーズなど、今後も拡大が見込まれる法人のお客さまのニーズに対
し、東洋信託銀行の高度なコンサルティング機能、業務執行機能を提供していきます。なかでも
非金利収入の増強につながる業務として、つぎの業務に力を入れていきます。
● 証券代行業務
「マザーズ」や「ナスダックジャパン」などのベンチャー企業向け新市場創設を機に、株式公開を
めざす会社が一段と増加しています。これに伴い、株式の名義書換、配当金支払い、株主名簿の
管理など、株式に関する事務を代行する証券代行業務のニーズは、今後さらに高まります。UFJ
グループは東洋信託銀行の高いコンサルティング能力を有効に活用して、こうしたニーズに
積極的に応えていきます。
● 年金業務
会計制度の変更により、2001 年 3 月期より退職給付債務がオンバランス化されるなど、企業年
金を取り巻く環境が激変するなかで、年金資産の運用・管理を始め、年金加入者管理事務などの
制度管理に至るまで、委託企業のニーズは多様化・高度化しています。UFJ グループでは、東洋
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日本ペンション・プラニング株式会社
本社:
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信託銀行の高度な専門性を存分に発揮し、統合により拡大した顧客基盤にトータルなサービス
東京都中央区日本橋
を提供していきます。また、2001 年 10 月より導入される予定の確定拠出年金制度に対しては、
小網町 7-2
資本金:
20 億円
株主構成:
三和銀行
45%
東洋信託銀行
45%
大同生命
10%
「日本ペンション・プラニング株式会社」との協働により、制度の導入から運営に至るまで企業の
(2001 年 6 月 30 日現在)
サポートを行っていきます。
● 不動産業務
近年の不動産証券化関連法案の改正に伴い、不動産の証券化に関する制度改革が進みつつあり、
不動産関連業務のマーケットが拡大しています。特に 2000 年 11 月の投資信託法の改正によって
解禁された、日本版不動産投資信託(J-REIT)は、資金運用の選択肢を拡大し、多様な金融商品の
提供を可能とする手法として注目されています。UFJ グループでは、東洋信託銀行の不動産業務
ノウハウを最大限に活用し、これらの新規業務への本格的な取り組みを強化していきます。
資産運用ビジネス
UFJ グループの発足を機に、従来は三和銀行・東海銀行・東洋信託銀行それぞれが傘下の関連会
社で行っていた資産運用業務を、UFJ アセットマネジメント、UFJ パートナーズ投信の 2 社に統合
しました。これにより、東洋信託銀行とともに UFJ アセットマネジメントが企業年金・公的年金
といった受託資産運用ビジネスを、UFJ パートナーズ投信が投信ビジネスを担当することで、お
客さまのニーズや資金の特性に応じた、質の高い運用およびサービスを提供する体制が整いま
した。
受託資産運用ビジネスにおいては、東洋信託銀行がバランス型アクティブ運用およびパッシブ
運用を提供し、運用対象資産の配分でも中心的な役割を担いつつ、制度面でのコンサルティング
機能なども提供していきます。また、UFJ アセットマネジメントは、投資顧問会社として、特徴
ある運用を提供することで、株式など個別資産での特化型アクティブ運用ニーズに応えていきま
す。2001 年 3 月末時点の運用資産は、東洋信託銀行が 8.6 兆円、UFJ アセットマネジメントが 1.7
兆円となっています。
一方、投信ビジネスにおいては、UFJ パートナーズ投信への機能統合により、一層質の高い運用
と豊富な商品ラインアップの提供が可能になりました。さらに今後は、海外の資産運用会社と
の商品の共同開発やファンド・オブ・ファンズ、未公開株投資商品などの投入なども視野にいれ、
顧客ニーズや市場変化に的確に対応していきます。2001 年 3 月末の運用資産は、3.0 兆円となっ
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ていますが、三和銀行・東海銀行・東洋信託銀行、およびつばさ証券などのグループ証券会社な
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どへの商品供給力強化はもちろんのこと、新たな商品提供チャネルの拡大によって、運用資産の
積み上げを図っていきます。
保険商品の一部解禁
投資信託、保険商品の窓口販売
保険業法の改正により、2001 年 4 月
1998 年 12 月よりスタートした投資信託の銀行窓口販売は着実にマーケットが拡大しつつあり、
1 日より、銀行等が行う業務との関連
2001 年 3 月末時点において銀行全体で約 8 兆 8,000 億円、UFJ グループでも約 1 兆 400 億円の実
性が強く、保険契約者などの保護の
績を上げています。UFJ グループでは、多彩な商品ラインアップの提供、ATM・インターネット
面で弊害が少ない一部の保険商品に
限り、銀行等による保険商品の窓口
など販売チャネルの整備に積極的に取り組んでいます。複数の運用会社のファンドをパッケー
販売が可能となりました。具体的に
ジ化した「ファンド・オブ・オールスター・ファンズ」
(UFJ パートナーズ投信)や株式への投資比
は住宅ローン関係の長期火災保険・
率を抑えた分散投資型の「ライト 3 兄弟」
(ゴールドマンサックス投信、UFJ パートナーズ投信、
債務返済支援保険・信用生命保険、
および海外旅行傷害保険などがあり
ます。
モルガン・スタンレー・アセットマネジメント投信)など、UFJ グループ専用ファンドの販売も
好調です。
保険商品の銀行窓口販売は、2001 年 4 月 1 日より一部解禁 * となりました。UFJ グループにおい
ても、損害保険会社各社から商品の供給を受け、住宅ローン長期火災保険、海外旅行傷害保険な
どの取り扱いをスタートしています。この分野では、今後一層の規制緩和が見込まれており、UFJ
グループでは、総合金融機能提供の一環として積極的に保険商品を取り扱っていきます。
お客さまとの接点(チャネル)の変革について
インターネットや携帯電話の急速な普及に伴い、これを利用した銀行取引も飛躍的に発達してき
ました。電話、インターネット、携帯電話といった、いわゆるダイレクトチャネルを通じての取
引をご利用のお客さまは、UFJ グループ 3 行で延べ 187 万人(2001 年 6 月現在)を数えます。
契約者数の増加のみならず、ダイレクトチャネルにおいて利用可能な取引の種類も、当初の各種
照会・振込に加えて、運用商品購入、各種相談・ローン申込の受付けなど、ますます広がってき
ています。
一方、対面式のチャネルに対するお客さまのニーズは依然として強く、銀行のチャネルのなか
で、有人店舗が中心的な役割を担っていることに変わりはありません。ただし、有人店舗に対す
るお客さまのニーズは、相談サービスを中心に、立地・時間帯などによって多様化しています。
銀行にとっての効率性を向上させながらも、お客さまの特性やニーズに合わせた、より利便性の
高いサービスを提供できる店舗ネットワークを構築することが必要となります。
また、コンビニエンスストアなどへの ATM 設置が進み、おもに現金の引き出しについてのお客さ
まの利便性が飛躍的に向上するなか、銀行の ATM コーナーは、単に入出金・振込のポイントにと
どまらず、さまざまな商品・サービスを提供するための重要なチャネルへと進化していきます。
以下、それぞれのチャネルの変革に向けた、UFJ グループのさまざまな取り組みについてご説明
します。
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ダイレクトチャネルの展開について
ダイレクトバンキング契約者数
(単位:千件)
テレフォンバンキング、インターネットバンキングの進展
わが国において、テレフォンバンキング、インターネットバンキングなど、いわゆるダイレクト
1,200
バンキングのサービスが始まって以来、これらのサービスを利用するお客さまは順調に増えて
800
きました。また、ダイレクトチャネルで取り扱える商品やサービスも、当初は振込・残高照会な
400
ど限定的でしたが、今や現金の受け渡しを伴わないお取引であればほとんどが取り扱いできる
ようになり、利便性は飛躍的に向上しています。
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01/3
UFJ グループでも、テレフォンバンキングのサービスを、三和銀行は 1997 年に、東海銀行・東洋
テレフォンバンキング
信託銀行は 1998 年に開始し、2001 年 6 月時点での契約者数は、3 行合計で 158 万人を数えます。
インターネットバンキング・
モバイルバンキング
インターネットバンキングについては、三和銀行は 1998 年に、東海銀行は 2000 年にサービスを
開始しました。さらに三和銀行では、専用ソフトのインストールが不要で利便性が高く、安全性
にも優れた SSL 方式を、2000 年 3 月に採用、契約者数はそれ以来急速に増加しています。
また、三和銀行・東海銀行では、i モード、EZweb、J-スカイなど携帯電話を利用したモバイルバ
ンキングのサービスも展開しており、1999 年の開始以来順調に契約者数を伸ばしています。2001
年 6 月時点での契約者数は、インターネットバンキングとモバイルバンキングを合わせ両行合計
で 29 万人となっています。
オンラインサービス評価機関による
三和銀行インターネットバンキングの評価
総合ランキング1位
三和銀行では、インターネットを通じて新・総合口座「オールワン」の取引明細を見ることができ
るほか、各種ローンの相談をインターネット上で行うサービスも展開中です。2001 年 5 月から
は BS デジタル放送を利用して、テレビ画面を見ながら簡単なリモコン操作で残高照会、振込、
(評価対象12社)
1位
振替ができる TV バンキングを開始しました。
機能性・使いやすさ
UFJ グループでは、時間・場所を問わず「いつでも・どこでも」利用できるダイレクトバンキング
5位
6位
総費用
安定性と
信頼感
の利便性を、今後もますます高め、お客さまのニーズにお応えしていきます。
「インターネット支店」の開設
1位
2位
サービスの
きめこまかさ
情報量と
コンテンツ
出典:ゴメス社ホームページ
評価基準日:2001年6月8日
三和銀行は、2001 年 6 月、ウェブサイト上に「インターネット支店」をオープンしました。これは、
インターネットを通じての金融取引の拡大が見込まれるなか、金利や手数料に敏感なお客さまに
対して、競争力の高い商品・サービスを提供するとともに、外貨預金・投資信託・カードローン
など、ご利用いただくお取引の幅を広げていくことをねらいとしたものです。
この分野においては、すでにいくつかの都市銀行・地方銀行が専門の銀行・支店を設立し、
インターネット支店お取り扱い商品
●「オールワン e」
以下をセットした口座です。
• スーパーアカウント
サービスを開始しているほか、他業態からの新規参入も相次いでいます。UFJ グループは、
「便利」で「お得」な、ネット専用の商品・サービスの投入によって、お客さまのニーズにお応えし
ていきます。
(総合口座普通預金)
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• 総合ステートメント
(インターネット方式)
インターネット上の決済サービスの展開
• オールワン e 優遇サービス
● インターネット定期
三和銀行は、2000 年 11 月から提供中のオンラインショッピングの代金お支払いサービス「三和
● インターネット外貨定期
ネット振込(EDI)」や「口座振替申込受付サービス」に加え、2001 年 7 月からは「ネットデビット」
● 外貨普通預金
を開始しました。簡単で便利なネット完結型の決済サービスを通して、株や投資信託、航空
● 投資信託
● カードローン
● 住宅ローン
チケット、旅行パック購入といったインターネット上でのお客さまの消費生活をサポートして
いきます。
店舗ネットワークの変革について
有人店舗の変革
銀行の有人店舗に対するお客さまのニーズは、曜日・時間帯・立地条件などによってさまざまで
す。また、銀行の商品・サービスの多くは電話やインターネットでも利用できるため、有人店舗
には、相談業務を中心としたサービスが、これまでにも増して求められるようになります。
UFJ グループでは、こうしたニーズに応えるため、さまざまな取り組みを行っています。新しい
営業店システム「FITS21」の導入によって窓口担当者の事務負担を軽減し、運用アドバイスなど
に専念できる体制を整備しています。また、住宅ローン専門のチャネルとして、三和銀行は
「ローンプラザ」を 1 ヵ所、東海銀行は「ローンショップ」を 2 ヵ所設け、ローンに関するご相談・
お申込みなどを受付けています。さらに、空港施設内や繁華街などには外貨両替専門の「外貨
両替ショップ」などを展開しています。
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インストアブランチ一覧
新しい形態の店舗として、三和銀行・東海銀行は 1998 年 10 月以降、商業施設内にいわゆる
東海銀行三好ヶ丘支店
(メグリア三好店内)
「インストアブランチ」をあわせて4 店設置し、ローン・運用・相談業務を中心に休日も含めた
1998 年 10 月
三和銀行鷺沼支店モザイクモール
サービスを提供しています。
港北出張所
2000 年 3 月
さらに、総合金融グループとしてお客さまの利便性を追求するとともに、グループとして店舗
東海銀行アピタ稲沢支店
2000 年 6 月
スペースを効率的に活用するため、三和銀行・東洋信託銀行が共同店舗を 2 ヵ所(三和銀行永福
三和銀行深川支店イトーヨーカドー
木場出張所
2000 年 11 月
町支店/東洋信託銀行新宿支店永福町出張所、三和銀行豊中支店/東洋信託銀行梅田支店豊中
出張所)設け、おもに富裕層のお客さまの資産運用ニーズにお応えしているほか、三和銀行・
つばさ証券も同一建物内に店舗(三和銀行阪急梅田北支店/つばさ証券阪急梅田北支店)をオー
プンしました。
無人店舗の変革
これまで UFJ グループ各行は、お客さまの現金引出しニーズなどにお応えするため、ATM を備
えた無人店舗を多数設置し、有人店舗ネットワークを補完してきました。2001 年 3 月末時点で
の無人店舗数は 3 行合計で 1,513 となっています。また、東海銀行は郵便局と、三和銀行は郵便
局やノンバンクと提携することによって、キャッシュポイントを充実させてきました。さらに、
アイワイバンク銀行に代表されるように、コンビニエンスストアにもつぎつぎと ATM が設置さ
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れるようになっています。このような環境のもと、入出金・振込を中心としたこれまでの無人店
舗の役割は、変化していく必要があります。
三和銀行・東海銀行では、ATM にて外貨預金の取り扱いを行っているほか、三和銀行では 2000
年 9 月から投資信託の販売も開始しています。今後 ATM は、単なる出金ポイントにとどまらず、
銀行にとってさまざまな商品・サービスを提供する重要なマーケティングポイントになっていく
可能性があります。今後は、データベースを活用し、それぞれのお客さまのニーズに合った
さまざまなサービスを、ATM を通じて提供できるよう、試行を重ねていく計画です。
「新応対システム」の導入について
三和銀行では、
「新応対システム」の導入を 2001 年 4 月より本格的に開始しました。これは、
新しく開発した ACM(自動応対サービス機)を通じて、お客さまに店頭と同様のサービスを提供
するものです。具体的には、支店などの ATM コーナー内などに ACM を設置し、テレビ電話を
活用して、専門スタッフが口座の開設や各種お届けの申込受付や住宅ローンなどの各種相談・
手続きなどを対話形式で受け付けます。平日は午前 9 時から午後 8 時まで、休日も午前 10 時
から午後 6 時まで稼動しており、営業時間延長によってお客さまの利便性が大きく向上します。
当初は全国約 70 ヵ店でスタートし、2001 年 9 月末までには三和銀行の支店・出張所の約 8 割に
あたる約 240 ヵ店に設置を完了する予定です。また、東海銀行の各支店への設置も検討して
いきます。
新しいビジネスモデルの構築について
規制緩和が進行するとともに、情報技術が飛躍的に進化するなか、UFJ グループは新しいビジネ
スモデルを通じて、法人ミドル・リテールマーケットを中心に、これまでの銀行の枠を超えた金融
サービスの提供をめざしています。また、新しいビジネスモデルの確立に向けた取り組みは、UFJ
グループの事業ポートフォリオ、収益構造の変革する上でも必要不可欠です。以下、UFJ グルー
プが取り組んでいる新しいビジネスの、この 1 年間における進展をご紹介します。
金融のワンストップショッピング実現に向けて 〜「フィナンシャル ワン」アライアンス〜
「フィナンシャル ワン」アライアンスとは
三和銀行、東海銀行、東洋信託銀行は、他業態金融機関4社とともに業務提携「フィナンシャル
ワン」を展開しています。このアライアンスは、リテールビジネス、資産運用ビジネスの分野を
中心に、それぞれが専門性や強みをもつ商品・サービスを有機的に統合することで、従来の業態
の概念を超えた総合金融サービスを提供することを目的としています。
現在、3 行のほか、三和銀行の関連会社であるつばさ証券、大同生命保険、太陽生命保険、2001
年 4 月に誕生した日本興亜損保がアライアンスに参加しています。また、クレジットカード・信
販業界より、ジェーシービー、アプラス、ミリオンカード・サービスの有力 3 社が、
「フィナンシャ
ル ワン」に全面協力しています。
「フィナンシャル ワン カード」の設立
「フィナンシャル ワン」は、将来的には、メンバー各社の顧客基盤を共有することを通じ、お客
さまに各種金融サービスのクロスセルを行うことにより、アライアンス内でのお客さまの定着
化・取引深化を図ることをめざしています。さまざまな法規制や個人情報保護の観点を十分に考
慮に入れながら検討を進めてきましたが、2000 年 10 月、アライアンス各社のクレジットカード
事業を統合し、ゲートウェイ事業を展開する「フィナンシャル ワン カード」を設立しました。
ゲートウェイ事業とは、カードという媒体を効果的に用いることで、各社の顧客情報を一元的に
管理・蓄積するとともに、データベースを活用した分析を通じて、それぞれのお客さまにライフ
ステージに応じた最適の商品・サービスを提供することを目的としたもので、ビジネスモデル
特許を申請中です。
「フィナンシャル ワン カード」は、2000 年 10 月、
「 フィナンシャル ワン メンバーズクラブ」
を開設し、独自のサービスを展開しています。会員にはクレジット機能付などのカードが会員証
として発行されます。会員は、クレジットカードの利用はもちろん、
「フィナンシャル ワン」各社
との金融取引や、流通・サービス業など提携各社との取引を通じて、ポイントプログラムに参加
することができます。獲得したポイントは、キャッシュバック、商品券との交換などに利用可能
です。
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三和銀行
東洋信託銀行
東海銀行
フィナンシャル ワン カード
フィナンシャル ワン
メンバーズクラブ
会員
総合金融サービス
「共同CRM」
「顧客情報の共有化」
クロスセリング
太陽生命
UFJ以外の
フィナンシャル ワン
アライアンスメンバー
つばさ証券
日本興亜損保
大同生命
このほか、資産形成シミュレーションプログラムなど各種情報サービスや、各社との取引が一目
でわかる「総合ステートメント」の提供も、メンバーズクラブの特徴です。また、2001 年 3 月の
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ミリオンカード・サービスの協力開始によって、JCB、VISA、MASTER の三大ブランドの取り扱い
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を行うことになり、お客さまの利便性はいっそう向上しています。メンバーズクラブ加入の利点
の浸透や、サービス内容のさらなる充実によって、会員数の増加を図るとともに、規制緩和の状
況を注視しながら、会員の皆さまに対する各種金融サービスの提供を積極的に進めていきます。
株式会社フィナンシャル ワン カード
本社:
東京都新宿区西新宿 1-6-1
資本金:
2.05 億円
株主構成:
三和キャピタル
38.5%
三信
13.7%
さらに、
「フィナンシャル ワン」では、メンバー各社のサイトにリンクする共同ポータルサイトの
運営、
「プライベート証券マネジメント」によるプライベートバンキング業務の展開など、リテー
三和信用保証
5.9%
三和銀行
4.9%
東洋信託銀行
4.9%
ジェーシービー
4.9%
他
(2001 年 6 月 30 日現在)
ル分野における協力を行っています。
なお、フィナンシャル ワン カードは、2002 年 1 月にミリオンカード・サービスと合併し「株式
会社 UFJ カード」に社名変更する予定です。429 万人の会員を有するミリオンカード・サービス
との合併によりフィナンシャル ワン メンバーズクラブの一層の拡大を図っていきます。
新たな貸出マーケットの創出に向けて 〜モビット〜
これまで銀行は、消費性ローンにニーズのある個人のお客さまに対し、審査ノウハウの不足や、
利用しにくさなどの理由から、十分なサービスを提供することができずにいました。加えて、消
費性ローンのマーケットは、その収益性の高さから、銀行にとっても優良な貸出マーケットとし
て、業務拡大のメリットの大きいものとして注目されていました。そうしたなかで、三和銀行が
プロミス、アプラスとともに設立した個人向けローン会社「株式会社モビット」は、銀行・消費者
金融・信販のいずれの業態からもアプローチしていなかったお客さまの層が存在するとの認識
のもと、3 社が築いてきたノウハウや機能を活かして、お客さまの利便性を追求することで、
新しいマーケットを創造していこうとしています。具体的には、銀行がもつブランドイメージ・
株式会社モビット
安心感、消費者金融会社のもつマーケティング・審査のノウハウなどの融合を図っていくことに
本社:
なります。
東京都港区赤坂 2-17-22
赤坂ツインタワー本館 7F
資本金:
株主構成:
100 億円
三和銀行 50%
プロミス 40%
アプラス 10%
(2001 年 6 月 30 日現在)
モビットは、借入枠を 30 万円から 300 万円、金利を 15% から 18% に設定したリボルビング型
ローンを主力商品として取り扱い、電話、FAX、インターネットなどを通して申し込みを受け付け
ています。集中的な広告宣伝の効果もあり、2000 年 9 月の営業開始以来、申込み件数、貸出残高
ともに順調に推移し、2001 年 3 月末時点での口座数はおよそ 4 万 2 千、貸出残高は 201 億円とな
っています。
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このほか、モビットは地方銀行による個人向けローンに対する保証業務にも積極的に取り組んで
います。2000 年 11 月に山口銀行から保証業務の受託を開始したのを皮切りに、千葉銀行、西日
本銀行、紀陽銀行、百十四銀行などからの受託も決定しました。また、中古車販売業者等との提
携によるローン提供など、お客さまのニーズをとらえたサービスを打ち出しています。
UFJ グループは、今後もこれまでの銀行の枠にとらわれず、お客さまに利便性の高い商品・サー
ビスを提供していきます。
オンライン証券ビジネスについて 〜カブドットコム証券の誕生〜
インターネットの普及、株式委託手数料の自由化を契機に、オンライン証券取引は飛躍的に拡大
し、現在約 190 万人がインターネットを通じて株式・投信などの売買を行っており、今後もマー
ケット規模の着実な拡大が見込まれています。
三和銀行、つばさ証券、東洋信託銀行などが出資して誕生したオンライン専業の証券会社「イー・
ウイング証券」は、2000 年 4 月の営業開始以来、幅広い商品ラインアップを軸に取引口座数の拡
大を図ってきました。その結果 2000 年 12 月末時点での口座数は約 2 万 7 千となっていました。
一方、伊藤忠商事が中心となって設立した日本オンライン証券は、システム面での優位性に高い
評価を受けており、同月末時点で約 2 万 7 千の口座数を獲得していました。
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競争が激化するオンライン証券取引のマーケットにおいて、経営基盤を拡大するとともに、より
革新的で顧客満足度の高いサービスを提供することを目的として、2001 年 4 月、両社は合併し、
「カブドットコム証券株式会社」として生まれ変わりました。カブドットコム証券の事業規模は、
カブドットコム証券株式会社
2001 年 6 月時点での口座数が約 7 万 5 千と、オンライン専業の証券会社のうち、第 5 位となって
本社:
東京都中央区新川 1-28-25
います。今後は、イー・ウイング証券の商品ラインナップと、日本オンライン証券の先進的テク
資本金:
25.4 億円
株主構成:
UFJ グループ
32.35%
伊藤忠商事グループ 32.35%
ノロジーを融合させ、非対面営業による証券チャネルとして、UFJ グループのリテール証券戦略
のなかで、つばさ証券とともに重要な役割を担っていきます。
米国フリート
セキュリティーズ
10.7%
他
インターネットを活用した中堅・中小企業向け企業経営支援サービスについて〜JBP〜
(2001 年 6 月 30 日現在)
情報技術(IT)の高度化やインターネットの普及が急速に進展し、「デジタル・ネットワーク革命」
と呼ばれる大きな環境変化が世界規模で起きています。こうした環境下、大企業のみならず、中
堅・中小企業においても、インターネット対応や情報技術の活用の巧拙が、競争力に大きく影響
するものと思われます。
そうしたなかで、三和銀行、東海銀行、東洋信託銀行は、2000 年 9 月さまざまな業界の有力 24
社とともに、インターネットを活用した中堅・中小企業向けの企業経営支援会社「株式会社ジェ
ービーピー(JBP)」を設立しました。JBP は、サービス名「J-MOTTO」のもと、会員企業に対し、
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社内システム環境構築・ネットビジネス進出支援・社内情報化推進など、インターネット対応を
株式会社ジェービーピー
本社:
東京都中央区日本橋本町
支援するサービスを提供するとともに、企業の事業発展を支援することを目的とします。また、
販売支援・経費削減・業務効率化など、各社のさまざまな経営上のニーズに対して、インター
3-4-1
資本金:
20 億円
株主構成:
三和銀行
5.00%
東海銀行
5.00%
東洋信託銀行
2.25%
日商岩井
10.00%
他
ネットを活用した各種サービスの提供などを通して、総合的な企業経営支援を行います。
UFJ グループでは、法人ミドルマーケットをグループのコア・マーケットとして、今後も貸出ビジ
ネスをはじめとする銀行取引にとどまらず、総合金融サービスグループに相応しい幅広いサー
ビスを開発し、お客さまに提供していく考えです。
(2001 年 6 月 30 日現在)
中小企業向けリースビジネスについて 〜日本ビジネスリース〜
UFJ グループは、中堅・中小企業のお取引先の資金調達をサポートする上で、リースは重要なビ
ジネスであると考えています。そのような考えのもと、三和銀行は、2001 年 6 月、日本ビジネ
スリースの第三者割当増資を引き受け、子会社化しました。同社は、日本信販からリース資産
株式会社日本ビジネスリース
の譲渡を受けてスタートしたリース会社で、システム機器などの販売会社との提携を通じた小口
本社:
東京都中央区日本橋 1-15-1
資本金:
100 億円
株主構成:
三和銀行
79.75%
日本信販
10.00%
その他
10.25%
(2001 年 7 月 31 日予定)
リースに強みを持ちます。これまで日本信販が培ってきたノウハウや、販売会社との提携関係を
最大限に活用し、お客さまに幅広いサービスを提供することはもちろん、収益性が高いとされ
るこの分野において事業競争力を高めていきます。
企業向け電子商取引(B2B)における取り組みについて
UFJ グループは、今後飛躍的な拡大が見込まれる企業間電子商取引(B2B)市場への金融機能
提供に本格的に参入しました。具体的には、UFJ のグループ I T 会社であるユーフィットが
「フィナンシャル・ゲートウェイ」というサービスを提供し、さまざまなマーケットプレイス上の
取引データを UFJ グループ各社へ振り分け、認証・与信・決済・事務合理化という「四位一体」の
金融サービスを、2001 年 8 月(予定)より、ワンソースで提供します。
フィナンシャル・ゲートウェイに接続する個別の金融サービスとしては、認証機能としてのアイ
デントラス認証や決済機能としてのエスクローのほか、今回新たに開発したマーケットプレイス
向け与信・事務合理化商品である「クロストレード・ファイナンス」が中核商品となります。
UFJ グループでは、このような電子商取引における金融サービス、電子商取引以外の商取引に
付随する金融機会をも囲い込むサービスとして、大企業を中心に推進していきます。
クロストレード・ファイナンスについて
クロストレード・ファイナンスは、三和ビジネスクレジットとアプラス、セントラルファイナンス
など、UFJ グループの親密会社が共同で開発しました。審査手法を大幅に改善することで、高額
取引が多い企業間電子商取引にも適用できる与信機能を即時に提供することを可能としていま
す。また、買手には、支払期日を一定期間延長する支払期日延長サービスを提供し、売手には
個々の取引ごとに債権流動化、支払保証や回収事務代行機能を個別に選択できる機能を提供す
るなど柔軟性の高い商品性を実現しています。従来から UFJ グループの三和銀行が先行してい
るエスクロー技術をこの与信サービスに盛り込むことで独自性を持たせるとともに、アイデン
トラス認証に対応可能とするなど拡張性の高いサービスの提供が可能です。
売り手
買い手
マーケットプレイス
取引情報・決済データ等
フィナンシャル・ゲートウェイサービス (データを各サービス提供者へ振り分け)
国内振込・
海外送金エスクロー
アイデントラス認証
三和銀行
クロストレード・ファイナンス
(支払保証・支払猶予の事務代行)
アプラス、セントラルファイナンス
業務提携
三和ビジネスクレジットなど
ファクタリング
三和ビジネスクレジット
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先端 I T の活用について
近年の IT(情報技術)の加速度的な発達や、インターネットの急速な浸透には目を見張るものが
あり、私たちの生活や、ビジネスの諸条件にも大きな影響をおよぼしています。金融界において
も、先端情報技術活用の巧拙が、それぞれの金融機関の事業競争力を大きく左右する時代が
到来しています。
UFJ グループでは、数多くの経営課題を克服し、お客さまのニーズに沿った価値あるサービスを
スピーディに提供するためには、競争力の高い効率的なシステム構築が不可欠であるとの認識
のもと、これをグループの最重要課題のひとつとしてとらえ、経営資源を集中的に投入して
います。
具体的には、新しい商品・サービスやチャネルの開発などに必要な IT 関連投資を、法人ミドル・
リテール分野を中心に、グループ全体の基本戦略や、各ビジネスユニットの戦略に沿って積極的
に進めています。また、商業銀行のシステム統合は、2002 年 1 月の三和銀行・東海銀行の合併と
同時に実施されますが、これは再編統合を行う金融グループのなかで最速の完全統合となり
ます。
以下、UFJ グループが進めているシステム統合について、それらが持つ経営戦略上の意義と合わ
せて具体的にご説明します。
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お客さまのニーズや経営戦略上の要請に柔軟に対応できる新システム 〜次期基幹系システム〜
金融ビッグバンと IT 革命が同時に進行するなか、総合金融グループ化に向けた経営統合・アライ
アンスの動きが活発化しています。また、お客さまのニーズにあった商品・サービスを、利便性
の高いチャネルを通じてタイムリーに提供することが、これまでにも増して重要になってきま
した。
ところが、第 3 次オンラインと呼ばれる現在の銀行システムは、
「ひとつの巨大なシステム」で
あり、信頼性は高いものの、他社との機動的なアライアンスや、新しい業務・商品・チャネルに
対するスピーディなシステム対応といった点では、改善が必要な状況にあります。また、お客
さまの情報や経営情報など、各種データが複数のシステムに分散しているため、それらを高度な
マーケティングやマネジメントに活用する際にも、非効率な面が否めません。
これらの課題を踏まえ、三和銀行・東海銀行のシステム統合後の新システム(次期基幹系システ
ム)は、次の 3 つのコンセプトに基づいて設計されています。
〈1〉あらゆるチャネルから、あらゆる商品・サービスの利用が可能であること
〈2〉統合データベースにより、情報の一元管理を実現すること
〈3〉グループ各社などとの提携も可能な、オープンなシステムであること
まず、新システムは、新規業務の開発や複合サービスの展開を意識し、システムの開発や変更が
しやすいように「コンポーネント化」されています。その上で、
「コンポーネント化」された個々の
システムを、チャネル追加や、他業態とのシステム連携を容易にするインフラである「ハブ & ス
ポークス」で結合します。すなわち、これまでの「ひとつの巨大なシステム」ではなく、
「システム
の集合体」を構築することで、新しい商品・サービスの提供や、新チャネルへの接続を容易にす
るとともに、各種提携の自由かつスピーディな展開が可能となります。
さらに、
「データウェアハウス」と呼ばれるデータベースの仕組みを採用し、各システムに分散し
て保有するあらゆる情報を統合・一元管理します。データの共有・活用が容易に実現するため、
規制緩和をにらみつつ、お客さまの了解を得た上で、グループ全体のお客さまに対して、効果
的・効率的なマーケティングによる総合金融サービスの提供が可能となります。
お客さま
新チャネル
チャネル
営業店
端末
自動機
インターネット
EB
対外接続
テレホン
・・・
BANCS他
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システム連携機能(ハブ & スポークス)
業務システム・プロダクト
預
金
・
為
替
融
資
・
外
為
情報基盤
情報活用システム
リ
ス
ク
管
理
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益
管
理
投
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国
際
資
金
証
券
新
規
業
務
アライアンス
業務システム
データ連携機能
データベース
統合データウェアハウス
活用分析
原
価
計
算
営
業
情
報
本部・営業店
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造
サービス向上と事務効率化を両立させるシステム〜新営業店システム「FITS21」〜
サービスの質を向上させながら、同時に事務の効率化によってコスト削減を実現することは、
銀行にとってたいへん難しい課題といえます。2002 年 1 月に誕生する UFJ 銀行は、サービス向
上と事務の効率化の両立をめざし、新営業店システム「FITS21(Financial Innovation Terminals
21)」を全店に導入していきます。すでに三和銀行は、2001 年 3 月末までに全店導入を完了し、
東海銀行でも合併に先駆けて 2001 年 11 月までには全店への導入を完了する予定です。
この新システムは、イメージ処理など最新の情報技術を活用し、手書き伝票の処理や印鑑照合
などのバックオフィス事務を簡素化します。また、事務検印の電子化などによって、事務のセン
ター集中化をさらに促進します。こうして、各営業店での事務負担が大幅に軽減されるととも
に、事務の集中化によって事務人員の削減が実現します。さらに、営業店ごとのバックオフィス
機能をセンターに移すため、店舗スペースの削減を進めることも可能です。
一方、サービス面では、営業店での事務負担の軽減によって、店頭でお客さまに対する運用
アドバイスなどに専念できるため、一層ご満足いただけるサービスの提供が可能となります。
「FITS21」は、2001 年 3 月期において、銀行で唯一の「優秀情報処理システム」として政府より
選定されるなど、その優位性について外部からの高い評価を得ています。2002 年 1 月に誕生
する UFJ 銀行は、システム面での強みを活かし、お客さまにご満足いただける、営業店でのオペ
30
レーションを実現していきます。
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● FITS21@リーダー
● 読み込み伝票画面
● 印鑑照合画面
@リーダーで読み込まれた伝票はイメージ化され、
伝票などに押された印影とデータベース登録され
事務センターでの集中処理に利用されます。
た印影を画面上で照合。お取引店以外でもお取り
扱いできるようになりました。