954KB - 岐阜女子大学デジタルミュージアム

岐阜女子大学
2010 年1月 発行
「デジタル・アーカイブ速報」No.25
岐阜女子大学大学院
岐阜女子大学
文化創造学研究科
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(通学・通信制事務局)
映像、音声、GPS、電子地図を用いた花火デジタル・アーカイブから
音速を求める
~多様な情報を持つアーカイブのプレゼンの利用~
デジタル・アーカイブは、集積した文章、映像、音声、GPSなどの情報と電子図書等
の関連資料を組み合わせることによって、文化活動の伝承や表現、伝達などの面で新しい
プレゼン、さらに利用法の開発が可能になってきました。
デジタル・アーカイブを地図などとの関連で活用する
たとえば、長良川の花火が記録されているデジタル・アーカイブは、長良川関連の文化
活動、観光、自然などで構成されていて、これらの多様な利用が進みだそうとしています。
このとき、デジタル・アーカイブのみを利用することの外に、デジタル・アーカイブと
他の資料と関連をもたせることにより、新しい展開ができます。
地域文化のデジタル・アーカイブ
他のデータ
(例 長良川のデジタル・アーカイブ)
(デジタル・アーカイブ、電子地図など)
デジタル・アーカイブ
電子地図等の関連
(GPSが媒体)
新しい課題の解決に
(例
デジタル・アーカイブの位置情
報を用いた電子地図との結合)
利用への展開
(例
音の速度を調べる(教材化)
)
プレゼンの利用事例の紹介
~長良川の花火のデジタル・アーカイブから音の速さを調べる
長良川のデジタル・アーカイブは文化活動、自然など多くの情報が記録されています。
花火の動画も記録されていますが、この動画とGPSデータに基づく電子地図とを併用
して音の伝わる速さを測定する例を示します。
GPSによって、あらかじめ打ち上げ場所と撮影場所の緯度経度を測定しておきます。
それらの情報を電子地図上で数値を入れますと、その位置がプロットできます。電子地図
には、その2点間の距離を計測する機能が備わっていますので、打ち上げ場所と観測場所
の直線距離が求められます。
≪花火の打上げ場所とGPSによる位置情報≫
≪打ち上げ花火の例と観測位置≫
N35°26’10”
N35°25’47”
E136°46’4”
E136°44’45”
一方、観測場所ではビデオカメラによって花火が打ち上げられる様子を撮影します。撮
影のあと、ビデオ編集ソフトを用いてビデオ画面上に撮影の時刻をテロップで書き込みま
す。ソフトによっては画面のフレーム数まで書き込んでくれる場合がありますが、秒単位
で書き込みができれば実用になるでしょう。
≪花火が光った瞬間≫
≪爆発音が聞こえた瞬間≫
≪ビデオ≫
忠節橋西より撮影
N35°25’47”
E136°44’45”
≪遠方での花火の撮影≫
音(爆発音)の大きさ
が最大になったことが
わかる
上の写真で、左の図は花火が光った瞬間(正確にはさらに1フレーム前の瞬間です。最
初の光は弱いのでこの画面を示しました。)の映像を静止画としてキャプチャしたものです。
画面の下部にはその瞬間の時刻が表示されています。この例では 01 時間 09 分 35 秒 13 フ
レームとなっています。
(ビデオ画面は、およそ1秒間に 30 枚の画像でできあがっていま
す。13 フレームとは、その内の 13 番目の映像で、
従ってこの画像は 01 時間 09 分 35+13/30
秒ということになりますが、小中学生であれば 35 秒で十分といえます。)同様に右の図が
花火の爆発音が聞こえた瞬間をキャプチャした映像です。時刻は、01 時間 09 分 41 秒 01
フレームと表示されています。以上から音が伝わるのに要した時間は約6秒(正確には5
秒 18 フレーム)となります。
なお両画面とも画面の左上に縦型の棒グラフが示してありますが、記録された音の大き
さを表すサウンドレベルメータです。花火の爆発音が聞こえた瞬間に、画面上には何の記
録も残りませんし、視聴する人が正確に花火の爆発音を捉えるために、ビデオを再生する
時に表示させてあります。
≪デジタル地図(国土地理版の電子地図)上での打ち上げ場所・観測場所の位置≫
打ち上げ場所
観測場所
≪電子地図で打ち上げ場所と観測場所の直線距離を測る≫
N35°26′10″
E136°46′4″
直線距離:2,110m
N 35°25′47″
E136°44′45″
この観測では、電子地図の読みとりから得られた打ち上げ場所と観測場所の距離 2,110m
と、音の伝わる所要時間 6 秒から、音が伝わる速さは次のように計算できます。
音の伝わる速さ(=音速)を v とし、打ち上げ場所と観測地点間の距離を s、花火が光っ
た瞬間から観測地点で爆発音が聞こえるまでの時間を t とすると、
v =
であらわされます。
上の実例では、v =
=
=
352m/s と計算できます。
このようにデジタル・アーカイブ資料から小学生向けの教材を構成することもできます。
(中学生になれば、花火の高さや、風向き、温度湿度など各種の条件をそろえて調べるよ
うに指導ができます。)
デジタル・アーカイブの作制からプレゼン、利用へ
これまでデジタル・アーカイブの研究や実践が、文化の伝承での記録構成が重点化され
てきた面もありましたが、最近では、それをいかに有効に利用するかが課題になってきま
した。とくに、映像、文書、図、位置データ、電子地図など、多様なデータが総合的に記
録・保管され、新しい視点での処理が行われるようになっていかに処理を工夫するかが課
題となっています。
身近なデジタル・アーカイブの利用
その一例が、教材としての近くの花火のデジタル・アーカイブの教材化です。
ここでは、教科書よりも、より身近な情報として、デジタル・アーカイブを利用した教材
化が可能になります。また、映像データ等が、子ども達の近くの場所であれば、より、親
しみをもち、具体的になります。身近な地域資料のデジタル・アーカイブ化は、教育、観
光、産業など、利用目的に応じた工夫が求められる時代になってきました。
応用・適用のできる学習として
学習した事項も、身近なものであるため、より応用・適用が広がります。たとえば、夕立
が光ってから音が聞こえるまでの時間の長短で、花火の間合と比較し、どの程度離れたと
ころで夕立が光ったか、想像することができます。
デジタル・アーカイブは、いよいよ、伝承としての役割と併せて、その情報をいかに活用・
利用するかが問われる方向に進みだそうとしています。
(文責
成瀬育美・佐藤正明)