OUT TIME

アクティベート ・ リーフ No.7
time
o u t タイムアウト
ニック・マルチネス
あるお昼下がりのこと、人と会って別れた後、手持
ちのお金がほとんどないことに気づいて、ひどくあせり
ました。ショッピング・モールにいましたが、ポケット
に少し小銭があるだけで、ATMカードも持ち合わせ
ていません。午後にはボイス・アカデミーのレッスン
に出る予定でしたが、そこに行くバスに乗るお金もな
ければ、そのまま家に帰るお金さえありませんでした。
『どうしてまたこんな羽目に・・・どうしよう!?』
と思いながら、イライラし、心を取り乱したまま、モー
ルを行ったり来たりしていました。
すると、動揺した中でも、心の内であの慣れ親し
んだ声が聞こえました。
「立ち止まって聞きなさい。
」
「何を聞けですって?」
私は思わず言い返してし
まいました。
「わたしに耳を傾けなさい。ほら、自分のことを見
てごらん。そんなふうに取り乱して。どうしていい
かわからない時に、ただやみくもに進み続けるのは
最悪だよ。
」このイエスからの言葉に、私はハタと立
ち止まりました。
「はい、その通りですね。私は確かに、どうしたら
いいのかさっぱりわかりません。
」
「わたしを信頼しなさい。
」
それで、ダメもと、と考えて、立ち止まって祈り
ました。
「イエスさま、あなたに信頼します。どうかこの
窮地から救い出して下さい。
」 どこかからお金が降ってこないかし
ら、と考えました。たくさんでなくて構
いません。ただ、ボイス・アカデミーに行
き、それから家に帰るだけのお金があればいいので
す。周りを見回しましたが、何も起こりません。
「わたしを信頼しなさい。」 イエスがもう一度言い
ました。
「レッスンまでに、まだ時間はたっぷりある
から。
」
「たっぷりですって?」
そうでしょうか・・?
歩調を 「信頼する」 ペースに落とし、心が落ち着
きを取り戻すよう願いました。すると焦りがいく
らか収まり、歌を口ずさむほどになったのでした。
イエスの声が私の歩みを導き、広いモールの中でど
こをどう曲がったらいいのかを教えてくれました。
そうこうする内に、目の前にあったレストランの中
にふと目をやると、何と、ジョイとハニーがいたので
す! 二人とは、2 週間ほど前に会ったことがありまし
た。プロのモデルで、この辺りの業界では彼女たちだ
けが、一卵性双生児でした。二人も私に気づいて手を
振り、偶然出会ったことを嬉しがってくれました。
でもそれは「偶然」だったのでしょうか?
1 時間後、二人に別れを告げると、私は目的地に
向かっていました。イエスは、お金を降って沸かせ
て下さったのです。私が思ったのとは違ったやり方
でしたが。ジョイが、ハニーと二人一緒のスケッチ
を描いてほしいと頼んできて、その即席の似顔絵の
ためにお金を払うと譲らなかったのです。
私は必要としていたお金を得て、時間的にも余裕
を持ってボイス・アカデミーに行くことができまし
た。無事に家まで帰ると、あの小さな主の声に感謝
を捧げました。
今はわかります。あせって、頭が混乱し、
『どうして
こんな事になってしまったの?』という思いがかけ巡っ
ている時でも、ただ少し立ち止まってイエスからの助
けを得るなら、すべてうまくいくということが。
「アクティベート・リーフ」は、英語の「Activated」誌からの記事を翻訳したものです。その他の記事は、ホームページでご覧頂けます。 http://www.activate.jp
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Translated from English Activated Magazine Vol.12 -2 p6
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