解説≫ She died just two years ago , and it is of her death that I wish

≪解説≫
前 に
She died just two years ago, and it is of her death that I wish
to speak to you.
語る、詳述する
You can understand that, living the life which I have described,
殆ど~ない
~ し そ
う
所有する
年 齢
we were little likely to see anyone of our own age and
(社会的)地位
position .
叔 母
未 婚 の
We had, however, an aunt , my mother’s maiden sister, Miss
ハーロー(地名)
Honoria Westphail, who lives near Harrow , and we were
時
折
許
す
払 う
短
い
訪
問
occasionally allowed to pay short visits at this lady’s house.
Julia went there at Christmas two years ago, and met there a
半 分
払 う
少
佐
海
兵
隊
婚 約 す る
half-pay major of marines, to whom she became engaged.
学ぶ(耳にする)
婚
約
My stepfather learned of the engagement when my sister
returned and offered no objection to the marriage;
二
週
間
固定する
but within a fortnight of the day which had been fixed for
恐 ろ し い
出 来 事
起
き
る
奪
う
the wedding, the terrible event occurred which has deprived
仲
間
me of my only companion.”
拠りかかる
Sherlock Holmes had been leaning back in his chair with his
沈 む
eyes closed and his head sunk in a cushion, but he half opened
まぶた
見 つ め る
his lids now and glanced across at his visitor.
前 に
“She died just two years ago, and it is of her death that I
wish to speak to you.”
ここは、単純に、『彼女は二年前に死にました。そして、それは、彼女の死
についてです、私があなたに話したいのは。』
“it is ~ that ・・・.” と言う言い方はもう慣れましたか?
You can understand that, living the life which I have
語る、詳述する
殆ど~ない
~ し そ
う
所有する
described, we were little likely to see anyone of our own
年 齢
(社会的)地位
age and position .
“You can understand that” 『“that”なのは分かりますよね』 と先ず
殆ど~ない
~ し そ
う
は話しかけて、”that” の内容は、”we were little likely to see
所有する
年 齢
(社会的)地位
anyone of our own age and position .”
殆ど~ない
“be likely to” は、”~しそう“ なのですが、間に “little ” が入ってい
るのがややこしい。
“a little” ですと、”少しある” のですが、”little” ですと “ほとんど無い”。
殆ど~ない
~ し そ
う
ですから、”we were little likely to see anyone” ですと、”ほとんど
誰にも会いそうにない” と言う意味になります。
どういう人に会いそうにないのか、というと、
所有する
年 齢
(社会的)地位
“anyone of our own age and position .” “私たちと同じ年頃で
同じような地位の“人。
イギリスは階級社会だから社会的地位を気にするのか、と言うようなことも
無くもないかもしれませんが、その辺は言葉の綾だと思います。ともかく、お
友達が一人もいない、と。
そんな彼女たちの僅かな楽しみの一つは、
叔 母
未 婚 の
“We had, however, an aunt, my mother’s maiden sister, Miss
ハーロー(地名)
Honoria Westphail, who lives near Harrow , “
“でも、私たちには叔母さんがいて、母の妹で未婚のハノリア=ウェストファル
という人なのですが、ハーローの近くに住んでいるのです。
“an aunt” も 伯母(お母さんのお姉さん)か、叔母(お母さんの妹さ
ん)か、はっきりしないのですが、未婚(maiden)とのことですので、きっ
とまだ若いのであろうと推測して(と言っても、この時、ストーナー嬢は 32
歳。実のお母さんが 20 の時の子供としてもお母さんが生きていたら 52
歳位。その妹さんと言うのですから年が離れた妹としてもそれなりのお歳の
はずではあります)『叔母さん』 とします。
“maiden” は、”メイド喫茶” の “メイド(maid)” と同語源の言葉で,
”結婚していない” と言う意味の言葉。
最近の ID 登録で 『秘密のパスワード』 なんて言う質問項目に、『お母
さんの旧姓は?』 なんて言うのがありますが、それを英語で言う
と、”what is your mother’s maiden name ?” となります。
“Harrow” は、ロンドン北西部の町の名前です。
で、その叔母さんの所に
時
折
許
す
払 う
短
い
訪
問
and we were occasionally allowed to pay short visits at
this lady’s house.
許
す
払 う
訪
問
“we were allowed to pay visits” “私たちは許される、払うことを、
訪問を”
どうして “訪問する” を、単に “visit” と言わないのか、更にはなぜ
“pay“ なのかもわかりませんが、”pay” の他の用法を見ると、”敬意を払
う (pay a respect to ~) というのがありますので、目上の人の所を訪
問する、と言う意味合いがあるのかも知れません。
『事由のない中で、たまには、その叔母の家に、長居は出来なかったが、
訪れることができたのです』 と言っています。
Julia went there at Christmas two years ago, and met there
半 分
払 う
少
佐
海
兵
隊
婚 約 す る
a half-pay major of marines, to whom she became engaged.
少
佐
“Julia went there, and met a major”
“ジュリアは、そこに行って、少佐に会いました“
“at Christmas two years ago,”
“二年前のクリスマスに”
“met there” の “there” とは、“そこで”。 この場合は、ハノリア=ウェ
ストファルという叔母さんの家で、ということですね。
半 分
払 う
少
半 分
払 う 少
佐
海
兵
隊
“a half-pay major of marines”
佐
“a half-paymajor” というのは、”半分しか払われない少佐”。
『半分しか払われない、って半分しか仕事していないの?』 と思った方、
ほとんど正解です。
国家が緊迫した状態だったり、交戦状態にある時は、戦闘員を必要とし
ますが、平時には休んでいてもらって構わない、という待遇があったそうで、
それが、この”half-pay” のシステムだそうです。 この制度はオランダにあ
ったそうですが、ホームズの、この時代の英国でもあったのか、は不明だと
言うことです。
しかし、コナン=ドイルは当時の英国で当時の英国人を相手にこの小説を
書いているのですから、当時の人々にも理解できる制度、つまり、英国に
もあった制度だったものと思います。
海
兵
隊
“of marines” は、”海兵隊の”。
“二年前のクリスマスに叔母の家に行き、そこで海兵隊の予備少佐と知り
合った“。
そしてその少佐と、
婚 約 す る
“to whom she became engaged.”
“彼女は婚約した”。
と、お目出度い話なのですが、この言い方ですと、クリスマスに会っていき
なり婚約したようで、どうもおかしく感じられます。何度かの叔母さんの家に
訪問する内に出会っていたのかも知れません。
学ぶ(耳にする)
婚
約
“My stepfather learned of the engagement when my
sister returned and offered no objection to the marriage;”
“養父は、知った、婚約の事を、~したとき、私の姉が、帰った、そして、提
供した、何もない反対を、この結婚に対して“
“姉が帰宅して婚約の事を知ったが、養父は結婚に反対はしなかった“
学ぶ(耳にする)
“My stepfather learned of” 、 “learn” は “ 学 習 す る “ で す
が、”learn of” というと、”~を知る”。
“engagement” は “婚約”。 “婚約指輪“ の事を”engage ring” と
言いますね。
“when my sister returned” 、”姉が戻った時に”。
すると、自分が二歳の時に実母が結婚して一緒に暮らすようになった養
父に、自分の婚約の事を事前に知らせることがなかった、と言うことですか
ら、不自然極まりないように思いますが、そのような批判は置いておいて、
“and offered no objection to the marriage;”
“offered no objection”、 “何ら反対を申し出なかった“
二
週
間
固定する
“but within a fortnight of the day which had been fixed for
恐 ろ し い
the wedding, the terrible
奪
う
仲
出 来 事
event
起
き
る
occurred which has
間
deprived me of my only companion.”
“しかし、二週間以内の、その日、確定された、結婚のために、その恐ろし
い出来事が起きた、それは奪った、私から、たった一人の仲間を”
“結婚を二週間後に控えたその日、私のたった一人の仲間を奪う恐ろし
い事件が起きたのです。“
二
週
間
“but within a fortnight of the day“
二
週
間
“fortnight(2 週間)” は、『どうして “four”なのに、”14” ?』 と思
いますが、”forty night” が縮まった形だそうです。
“二週間以内と言うその日”、何まで二週間かと言うと、
固定する
“which had been fixed for the wedding”、 “式の日取り決まって
いた“
恐 ろ し い
出 来 事
起
き
る
“the terrible event occurred”、 “その恐ろしい出来事が起こりま
した“
本来、”the” は会話の当事者間に既知の名詞に付けるもので
す。ホームズもワトソンもこの時点では事件の事は全く知らない訳ですか
ら、ここで “the event” というのは、おかしな話ですが、自分にとっては
非常に重大な事件なのだ、と言う意味で、あえて “the event” と言っ
ています。
その事件で、何が起きたのかと言うと、
奪
う
仲
間
“which has deprived me of my only companion.”
“which” の先行詞は、ちょっと前にある “the event”。
奪
う
“deprived me of”、“~から奪う“のですが、”from” ではない所に注
意を。
“companion” は何度か登場している単語です。
“companion” の “com” は、前に説明した、”一緒に”、”pani” は
“パン“。 “on” は、”人” と言うことで ”一緒にパンを食べる人”、すなわ
ち ”仲間” と言うことです。
“パン” は、英語で、”bread” ですよね。では、日本語の ”パン” は何
語から来たのかと言えば、それはフランス語。 フランス語で”パン” は
“pain” です。
“companion” は、フランス語由来のラテン系の言葉なのですね。
拠りかかる
“Sherlock Holmes had been leaning back in his chair with his
沈 む
eyes closed and his head sunk in a cushion,”
“ホームズは、寄りかかっていた、背もたれに、彼の椅子の、~でもって、彼
の眼を閉じて、そして、彼の頭を、沈めて、クッションに“
“ホームズはソファーに深く腰掛けて、頭を後ろに付けて目を閉じていたの
だったが“ と、まあ、ソファーに埋もれているような体制だったと言うことでし
ょう。
“lean” は、”寄りかかる” ですが、”細い“ という意味で使うこともありま
す。
“back” は “背もたれ”。では、お尻の下の部位は、というと、”cushion”
沈 む
で す 。 で も 、 直 後 に 出 て く る 、 ”his head sunk in a cushion,” の
“cushion” は、ソファーの頭の所に来る”cushion” です。
と、そんな風に、寝ているようであったホームズでしたがここで、
まぶた
見 つ め る
“but he half opened his lids now and glanced across at his
visitor.
“彼は、半分開けた、彼の瞼を、今、そして、みた、横断して、訪問者を“
“薄目を開けて来訪者を見やった“
“lid” は、通常の ”フタ” の事をも意味します。
≪要約すると≫
『姉は丁度二年前に他界しました。私が相談したかった事は、将にその『姉の死』
に関しての事なのです。
お分かり頂けると思いますが、申し上げたような生い立ちの私たちには同じような年
頃の友達というものがございませんでした。
しかし、母方の叔母のホノリア=ウェストファイルが一人でハーローの近くに住んでい
るのですが、この叔母にだけは、ほんの短い間、時々、訪ねる事を許されていたのです。
姉のジュリアは二年前のクリスマスの日にそこに行って、居合わせた海軍将校の方と
婚約したのでございます。
姉が帰宅して婚約の事を告げた際には、養父は反対する事はいたしませんでした。
ところが、式まであと二週間となったある日、私がこの世でたった一人、気を許せる
相手だった姉が無くなってしまうという恐ろしい事件が起きたのです。』
ホームズは椅子に深く腰掛けて、頭を背もたれのクッションに彼女の話を埋め込ん
で聞いていたのだったが、それまで閉じていた目を半開きにして話し手の方を見やった。