乳癌に対する CAF(または CEF)療法について 乳癌に対する CAF

乳癌に対する CAF(または CEF)療法について
乳癌に対する CAF(または CEF)療法は、乳癌手術後の再発予防のための補助化学
療法、あるいは乳癌再発後の化学療法として標準的な治療と考えられています。こ
こでは乳癌に対する CAF(または CEF)療法について説明いたします。
治療方法
病院により若干の違いがありますが、当科では以下の方法で治療しています。
略号
一般名(商品名)
略号
一般名(商品名)
略号
一般名(商品名)
C
サイクロフォスファミド(エンドキサン)
A または E
アドリアマイシン(アドリアシン)
エピルビシン(ファルモルビシン)
ピラルビシン(テラルビシン)
F
フルオロウラシル(5-FU)
点滴静注、1 日目
点滴静注、1 日目
点滴静注、1 日目
3 種類の薬剤の点滴を 3 週ごとに繰り返します。
副作用、特に白血球減少の回復具合によっては 4 週間で 1 コースのこともありま
す。これを通常、術後の治療では 6 回、再発後の治療では効果・副作用を見ながら
最大 10 回まで治療します。
点滴時間は吐き気止めの点滴を入れて 1 時間〜1 時間 30 分程度です。
予想される治療効果
手術後の再発予防:再発率を約 3/4 に減らす効果があると考えられています。
再発した乳癌の治療:5〜6 割の方で癌が半分以下に小さくなり、3 割程度はあま
り大きな変化はなく、1 割で進んでしまうというのがこれまでの治療結果です。
副作用
吐き気・嘔吐・食欲不振:第 1 日目の点滴の後に 8 割ぐらいの方に何らかの吐き
気、食欲低下がみられますが、強い吐き気のために食事量がかなり減少するのは 2
割程度の方です。最初の 1 週間は食べられなくても後の 2 週間は普通に食事できる
ため、やせ衰えて体力がなくなってしまうことはまずありません。あまりに吐き気
が強いときは吐き気止めの増量や治療の変更等を考えますので、主治医にご相談く
ださい。
脱毛:殆どの方で髪の毛は殆ど抜けてしまいます。治療を開始して 2 週間後くら
いから抜け出します。化学療法が終了すれば生え始め、ほぼ元に戻ります。
白血球低下:抗がん剤が血液をつくる工場である骨髄の機能を抑えるため、特に
この治療では白血球が低下します。正常の白血球数は 4000 以上ですが、治療の経過
中に半分くらいの方で 2000 以下にさがり、5%程度の方に 38 度以上の発熱を合併
する可能性があります。特に治療を開始して 10〜14 日目頃に最も白血球が低下しま
す。しかし、重篤な感染症(肺炎、敗血症等)をおこし命が危険になる可能性は非
常に低いと考えられます。ただし、乳癌が再発し全身状態が良くない患者さんでは
感染を合併しやすいので注意が必要です。
心機能の低下:アドリアマイシン、エピルビシン、テラルビシンは心機能を低下
させるおそれがあります。10 回以下の治療ではまず心配ないと考えられますが、治
療前の心臓機能検査が必要です。なお、エピルビシン、テラルビシンはアドリアマ
イシンより心臓への毒性が少ないと考えられています。
その他:だるさ、疲労感、口内炎、便秘、下痢、皮膚のあれ・色素沈着、爪の変
形・変色などが多くみられます。
月経・生殖機能への影響:長期的な影響として、抗がん剤は卵巣の機能を低下さ
せるため、早めに閉経をきたす可能性があります。CAF 療法を 6 回行った場合、40
歳以下では 3〜4 割、40 歳以上では 7〜8 割の方が閉経をきたすと考えられます。
閉経前の患者さんの乳癌に対する化学療法は、部分的には卵巣からの女性ホルモ
ン分泌を抑えるホルモン療法として働いていると考えられています。一方、早い閉
経により骨粗鬆症(骨がうすくなること)や強い更年期症状が出てしまうこともあ
ります。
もし将来的に妊娠・出産を希望される場合は主治医にご相談ください。化学療法
を終了してからの妊娠では奇形等が増える心配はないと考えられています。
まれな副作用が絶対起こらないとはいえませんが、以上のような点に注意すれば、
CAF(CEF)療法は比較的安全な治療であると考えています。そのほかご不明、ご心配
の点がありましたら、遠慮なく担当医にお聞き下さい。