産業機材事業部 事業説明会 - FUJIFILM Holdings

産業機材事業部 事業説明会
2013年9月11日
本資料における業績予想及び将来の予測等に関する記述は、現時点で入手された情報に基づき判断した予想であり、潜在的なリスクや不確実性が含まれ
ております。従いまして、実際の業績は、様々な要因によりこれらの業績予想とは異なることがありますことをご承知おきください。
目次
1、産業機材事業部の位置付けと戦略
2、新規高機能材料
- エクスクリア
- 太陽電池用バックシート
- CO2分離膜
- イオン交換膜
3、研究開発・営業体制
4、まとめ
2
1、産業機材事業部の位置付けと戦略
富士フイルムの高機能材料
高機能材料の変遷
写真フィルム・映画フィルム
創
1934
業
1965 PS版
製版フィルム
1996 CTP版
1936 医療用Xーレイフィルム
1954 工業用X-レイフィルム
1963 磁気テープ(放送用ビデオテープなど)
1958 偏光板保護フィルム「フジタック」
1996 視野角拡大フィルム「WVフィルム」
※代表的な機能性材料を記載
写真技術を応用することで、創業以来、新規高機能材料を次々と創出
3
1、産業機材事業部の位置付けと戦略
高機能材料に生かされる写真技術
当社の高機能性材料
特徴ある機能を発現するように合成された素材を、フィルム・基材に付与する生産技術に
よって完成される。
カラーフィルムの断面図
現像前
品質保証技術
合成素材
・感光材料
・磁気記録材料
・光学材料 など
現像後
・広範囲での無欠陥
・非破壊での品質保証
Yellow
解析・評価技術
・品質改良、工程改善
Magenta
約20μm
フィルム・基材
・TACフィルム
・PETフィルム
・アルミ基材
美しい発色を実
現するため、さま
ざまな機能を持
つ、100種類以
上の有機化合物
が、20種類近い
層に均等に塗布、
形成されている。
Cyan
生産技術
・塗布,製膜
・延伸
すべての技術の総合力
約120μm
~
~
擦り合わせ技術から成り立っている製品群
4
1、産業機材事業部の位置付けと戦略
産業機材事業部の位置付け
産業機材事業部 位置づけと特徴
新製品開発のインキュベーション機能を
担い、当社基盤技術を活かした高付加
価値の「機能性材料」(高機能性材料)
を創出する
¾FPD材料事業も元々は産業機材事業部の中
の一つ
¾成長を牽引する3つの重点事業分野
(ヘルスケア・高機能性材料・ドキュメント)
のうち、高機能性材料に関わる
¾新規高機能性材料として、2012年にタッ
チパネル用センサーフィルム「エクスクリア」、
太陽電池用バックシートなどの出荷を開始
5
1、産業機材事業部の位置付けと戦略
主な製品群
産業機材事業部
既
存
領
域
非破壊検査
工業用X線フィルム・CR機器
情報記録紙
プレスケール・感圧紙
情報機材
マイクロ感材
フィルトレーション
ミクロフィルター
タッチパネル部材
新
規
領
域
環境・エネルギー
BtoB製品
特定ニーズに対応した
製品を提供
センサーフィルム「エクスクリア」
太陽電池用バックシート・遮熱フィルム
CO2分離膜・イオン交換膜(開発中)
新規高機能性
材料を提供し、
新規事業として
発展させる
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1、産業機材事業部の位置付けと戦略
高機能材料の展開例
産業機材事業部の高機能性材料
非破壊検査に使用する
工業用X線フィルム
偽造防止ラベル
フォージガード
圧力測定フィルム
プレスケール
精密ろ過を実現する
ミクロフィルター
さらに
拡大
新たなニーズ(事業ドメイン)に対して、新たなシーズによって
高い機能性を付与した材料を開発・提供し、高機能性材料事業を拡大する
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1、産業機材事業部の位置付けと戦略
高機能材料の戦略
産業機材事業部
エレクトロニクス分野
環境・エネルギー分野
結晶系太陽電池用
バックシート
次世代半導体材料
太陽電池部材
フィルター材料
CO2分離膜
イオン交換膜
ECO部材
タッチパネル部材
遮熱フィルム
透明導電フィルム
センサーフィルム
「エクスクリア」
高機能性材料
生産技術
・塗布/製膜、機能性付与技術
素材合成技術
・スケールアップ、コストダウン
解析技術
有機材料
無機材料
8
2、新規高機能材料
エクスクリア
主な方式とその特徴
抵抗膜方式
コストが低く、かつての主流
透過性や耐久性に課題
静電容量方式
現在の主流。耐久性に優れ、
大サイズやマルチタッチにも対応
タ
ッ
チ
パ
ネ
ル
光学方式
ITOフィルム
ITOガラス(OGSなど)
ITO代替(銀・銅など)
オールインワンPCで多い
意図しない場面で反応してしまう
その他
OGS
超音波方式
小型化やタッチへの反応に課題
採用実績が少ない
インセル方式
薄型・軽量化がメリット
複雑で大サイズに不向き
抵抗膜方式
静電容量方式
2012年 タッチパネル市場
※グラフはディスプレイサーチ(2012年12月)より作成
9
2、新規高機能材料
エクスクリア
業界動向
以前は抵抗膜方式が主流だったが、耐久性や透過性等の観点から静電容量方式が主流に
中小型タッチパネル
・スマートフォンやタブレットが主なデバイス。
現状のタッチパネル市場の大半を占める。
・抵抗値があまり求められず、ITOフィルムが主
流だが、一部でOGS等のITOガラスも使用さ
れている。
・比較的プレーヤー数が多い。
大型タッチパネル
・ノートPCなどが主なデバイス。今後タッチパネ
ル搭載機が増加する見通しで、市場拡大が
予想されている。
・大型化するに従って低抵抗が求められ、ITO
ガラスが主流。
・面積が大きくなるほど、プレーヤー数が少ない。
ITOフィルムは抵抗値に、ITOガラスは強度等に課題があるため、
代替として銀や銅を使用したフィルムが登場
低抵抗・高透過率のエクスクリアは中~大型が主なターゲット
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2、新規高機能材料
エクスクリア
タッチパネルの方式
※代表的な方式を記載
G(P)F2
G(P)/F/F
OGS
G1G
Cover
Cover
Cover glass/ Y/X
Cover glass/ Y
OCA
OCA
Film/ Y/X
Film/ Y
OCA/OCR
OCA
OCA or OCR
Glass/ X
LCD panel
Film/ X
LCD panel
OCA/OCR
EXCLEAR
ASF
OCA
(OCA)
(PET)
OCA/OCR
LCD panel
LCD panel
フィルムタイプ
ガラスタイプ
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2、新規高機能材料
エクスクリア
エクスクリアの特徴
<エクスクリア>
静電容量式のタッチパネルに使用される銀塩写真技術を使った導電性フィルム
①PETフィルムに両面メッシュパターニングの単一構造
周辺配線部も、メッシュパターン部と一括形成
・富士フイルムの銀塩写真技術を応用
・モジュールメーカーの生産工程簡略化
②低抵抗で高透過率 、タッチ感度up
シート抵抗値 50Ω/□で、透過率は94% (ラミネート状態:当社測定による)
・抵抗値低く、大サイズにも対応
・タッチ検出能力アップで感度が高い
③曲げ/引っ張りに強く、3次元加工が可能
・密着性/延伸性が高く、折り曲げテストでシート抵抗値の変化無し
・断線しにくく、加熱成型加工が可能
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2、新規高機能材料
エクスクリア
エクスクリアの特徴①
PETフィルムに両面メッシュパターニングの単一構造
Yライン
側面
Film
銀メッシュ
Xライン
PETフィルムの両面に、シルバーメッシュパターン/リード端子部を一括形成
タッチパネルモジュール生産工程を簡素化できる
富士フイルムの銀塩写真技術を応用し、周辺配線部も、メッシュパターン部と一括形成。
貼りあわせ精度の考慮不要。
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2、新規高機能材料
エクスクリア
製造工程の比較
エクスクリア導入によるプロセス簡略化で歩留まり向上
ITO/PET X
ITO/PET Y
素材
(ITOフィルム・ガラス等)
パターン
デザイン
モジュール化
タッチパネルメーカー
コントローラー
ICメーカー
パートナー選定
後工程
の一部
セットメーカー
エクスクリア
カバー範囲
※GFF生産プロセス
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2、新規高機能材料
エクスクリア
今後の戦略
タッチパネル市場予測
(万㎡)
4,000
3,500
3,000
35%
タッチパネル全体
中・大型
構成比
30%
・タブレットの需要が著しく伸びると共に、ノートPCや
オールインワンPCの大型サイズ(11~24インチ
程度)にもタッチパネルの導入が進んでいる。
25%
2,500
20%
2,000
・タッチパネル全体に占める大型サイズの構成比は
急激に上昇する見通し。
15%
1,500
10%
1,000
500
5%
0
0%
2012
2014
※ディスプレイサーチを元に当社推定
2018
中~大型のタッチパネルを主なターゲットに拡販を行う
・ タブレットのみならず、ノートPCやオールインワンPCなどの成長も見込める。
・ 面積が大きくなるほどプレーヤーが少なくなるとともに、エクスクリアの強みを存分に発揮できる
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2、新規高機能材料
太陽電池用バックシート
主な方式とその特徴
結晶シリコン
シリコン系
太
陽
電
池
アモルファス
シリコン
CIGS系
化合物系
CdTe
最も古くからあり高性能
大きくは単結晶型と多結晶型があり、
多結晶型が現在の主流
極薄のシリコン膜を使用
変換効率は結晶シリコンに劣るが、
軽量で大量生産しやすい
多結晶シリコンに近い性能を持つ
今後の普及が期待されている
毒物のカドミウムを使用
環境性能が良く、安価
その他
色素増感
製造が容易でカラフルにできる
寿命と変換効率が課題
有機半導体
有機物を含んだ半導体薄膜を使用
寿命と変換効率が課題
有機系
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2、新規高機能材料
太陽電池用バックシート
業界動向
主流は結晶シリコンで、太陽電池市場の大半を占める
太陽電池の裏面保護、絶縁性確保のために使用されるバックシートには、大きく3つの基本
特性が求められる
断面図
バックシート
求められる基本特性
耐久性
電気絶縁性
特に「耐加水分解性」「耐湿性」
「物理的強度」がポイント。
コスト
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2、新規高機能材料
太陽電池用バックシート
FI HFの特徴
「FI HF」層構成
EVA易接着層
① 高耐久性
② 高UV耐性
③ 高寸法安定性
耐加水分解
PET
耐候層(フッ素)
富士フイルムのバックシート「FI HF」は、写真フイルムで長年培ってきた技術である
1、 塗布技術 2、製膜技術 3、機能付与技術により
高耐久性、高UV耐性、高寸法安定性を実現
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2、新規高機能材料
太陽電池用バックシート
認証取得
UL 認証取得
JET 認証取得
TÜV (Rheinland)
No. 1611-C9801-113
Partial Discharge passed
No. E350701
URL:
http://data.ul.com/link/plas.aspx?ULID=101085063
ULとJETでの部材認証を取得済み
TUV(Rheinland)モジュール認証に必要な部分放電試験に合格
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2、新規高機能材料
太陽電池用バックシート
当社製品の特徴
耐加水分解PETに機能層を塗布し、高い耐久性を実現
バックシートの断面(イメージ図)
EVA易接着塗布層(白色)
EVA易接着フィルム(白色)
接着層
耐加水分解PET
一般PET
(一般PETの3倍の耐久性)
耐候性塗布層
接着層
耐候性フィルム
当社塗布型
他社貼り合せ型
基材の耐久性に加え、接着剤レスによる劣化剥離リスク排除
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2、新規高機能材料
太陽電池用バックシート
今後の戦略
結晶系太陽電池用バックシート
市場予測
(億円)
(百万㎡)
880
860
240
金額
面積
230
220
840
210
・結晶系太陽電池用バックシート市場は、結晶
系太陽電池モジュールの成長と連動して、市場
導入面積は伸長。
200
820
190
800
180
170
780
160
760
※富士経済を元に当社推定
150
2012
2013
2014
今後も堅調に拡大する市場に対して
高耐久性を武器に事業を拡大する。
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2、新規高機能材料
CO2分離膜
CO2分離膜とは
天然ガス田から産出されるガス中に含まれる炭酸ガスを除去するために使用される膜
CO2分離 全体像
天然ガス精製プロセス
天然ガス
天然ガス精製
燃料分野
バイオガス精製
脱硫
発電‐燃焼後
エネルギー分野
産業廃棄ガス分野
発電-燃焼前
脱水
高炉ガス
脱炭酸
水素プラント
合成ガス分野
水素ステーション
CO2除去
メタン
ガス分離膜
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2、新規高機能材料
CO2分離膜
CO2分離技術の比較
化学吸収法
物理吸収法
膜分離法
手法
アルカリ性溶液(アミンな
ど)を吸収液として化学反
応でCO2を吸収。吸収した
CO2は加熱により分離。
メタノール等の吸収液を使用して
高圧・低温下で物理的にCO2を
吸収。吸収したCO2は減圧(加
熱)により放散。
膜による気体の透過速
度の違いを利用して
CO2を選択分離。
メリット
圧力が低いガスに適する
圧力の高いガスに適する
H2SとCO2の同時除去が可能
省エネ・省スペース
コストが低い
デメリット
エネルギー消費量が多い
装置が大規模
エネルギー消費量が比較的多い
設備が大規模
現時点では化学吸収法
の方が性能がよい
(現在の主流)
低コスト・省エネ・省スペースの膜分離法は、CO2濃度の高い天然ガス田、
小規模ガス田あるいは海上ガス田開発の増加により、今後の拡大が期待される
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2、新規高機能材料
CO2分離膜
CO2分離膜 市場
CH4
<天然ガス>
-CO2濃度の高い天然ガスの増加に
より、化学吸収法との併用も
CO2
N2
<発電所CCS>
-環境規制の強化により
市場の大幅拡大が予想される
H2
<水素製造>
-水素燃料の製造で使用
※CCS: Carbon dioxide Capture & Storageの略。火力発電所や製鉄所、ガス・油田等の大規模CO2排出源で発生するCO2を分離回収し、地中等に封じ込める技術。
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2、新規高機能材料
イオン交換膜
イオン交換膜とは
イオンを選択透過させる膜で、陽イオンを通す陽イオン交換膜と、陰イオンを通す陰イオン交
換膜がある。この選択透過性を利用して、硬水を軟水化させたり、海水からの製塩、超純
水の製造などに使われる。
イオン交換膜
陰イオン
交換膜
陽イオン
交換膜
+
+
陰
極
-
+
+
-
硬水を軟水化
陽
極
選択的透過性
を利用
海水から製塩
-
+
超純水の製造
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2、新規高機能材料
イオン交換膜
飲料水用軟水器 市場
日本以外の国では、硬水が標準。
軟水器を設置することで、硬水から軟水に変えることができ、欧米等では飲料水用軟水器
が使用されている。
イオン交換樹脂
イオン交換膜
手法
樹脂への吸着性を利用
膜の選択透過性を利用
特徴
消耗品のため、定期的に塩による樹脂の
再生作業、あるいは交換が必要。
現状では飲料用軟水器向けのほとんどが
この方式。
定期的な交換が不要で、再生のための塩
も不要。
稼働時間を向上させることができ、メンテ
ナンス間隔、コストを下げることができる。
定期的な交換が不要で安価なイオン交換膜は、
特に、特定の地域において、軟水器のイオン交換樹脂を再生するための薬剤、
塩の排出規制が検討されているアメリカで、需要が高まっている。
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2、新規高機能材料
イオン交換膜
イオン交換膜 市場
海水淡水化向け
キッチン
工業用水向け
洗面所
風呂
飲料水用
軟水器向け
現在はイオン交換樹脂を使用
欧米等の飲料水用軟水器がターゲット
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3、研究開発・営業体制
社内横断的なチーム編成
太陽電池用バックシート
プロジェクトリーダー
産業機材事業部長
エクスクリア
開発
製造
営業
(先端コア技術
研究所)
(富士宮工場)
(産業機材事
業部)
ワーキングチーム
プロジェクトリーダー
産業機材事業部長
開発
製造
営業
(先端コア技術
研究所)
(神奈川工場
足柄サイト)
(産業機材事
業部)
プロジェクトリーダーの元に組織の枠組みを超えた部門横断のワーキングチームを
製品毎に作成し、顧客対応のスピードアップと真のニーズを把握する。
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4、まとめ
今後の展開
富士フイルムの基盤技術を生かして、
市場ニーズを捉えた画期的な高機能材料を開発・提供し、
事業拡大を図る
検査分野
UVスケール
新規高機能材料
創出・拡大へ
タッチパネル周辺
部材
環境・エネルギー分野
CO2分離膜
イオン交換膜
結晶系太陽電池用
バックシート周辺部材
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わたしたちは、先進・独自の技術をもって、
最高品質の商品やサービスを提供する事により、
社会の文化・科学・技術・産業の発展、
健康増進、環境保持に貢献し、
人々の生活の質のさらなる向上に寄与します。
経営企画部 コーポレートコミュニケーション室
コーポレートコミュニケーション室
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