気候変動枠組における発展途上国の参加問題 −中国を事例として− 周 Ⅰ.緒言 生 3.気候変動問題における中国の具体的行動 1中国における温暖化対策の具体例 Ⅱ.何故途上国・中国か 2グローバル対策とローカル対策の統合 1.気候変動枠組条約における途上国及び中国の定位 2.中国におけるCO2排出の現状と排出要因分析 Ⅳ.気候変動枠組における中国参加の課題 1これまでの中国のCO2排出量 1.中国参加問題の特徴 2中国のCO2排出要因分析 2.中国参加問題の基本的課題 1削減基準―どれだけ削減すべきか 3.中国の今後のCO2排出見通し 1中国のエネルギーシステムの将来像 2削減方法―どの方法で削減すべきか 2今後のCO2排出見通し 3削減時期―何時から削減すべきか Ⅲ.気候変動枠組における中国の主な行動 Ⅴ.中国参加のタイムテーブル 1.温暖化防止対策戦略の基本的方向 1.気候変動枠組における参加形態 2.気候変動問題における中国政府の主張と対応 2.中国参加のタイムテーブル 1中国政府の基本的な考え方 Ⅵ.結言 2中国における主な削減対策 3中国政府の対応体制 Ⅰ.緒 言 せるにはどうしたらよいかはともかく、本論文では、途 上国の気候変動枠組における参加問題に関して、G77+ 今年3月28日に、アメリカブッシュ政権が京都議定書 CHINAという発展途上国グループで交渉に臨んできた からの事実上の離脱を表明した。その「離脱」の原因と 中国を事例として中国のCO 2 排出の現状と今後の見通 して、実は10数年前から議論してきた課題、すなわち米 し、中国の気候変動枠組における行動を分析したうえ、 国経済に悪影響を及ぼすこと、途上国が削減義務を負わ 中国参加のタイムテーブル等について検討する。 ない京都議定書は不公平であること、温暖化は科学的根 Ⅱ.何故途上国・中国か 拠があいまいで、科学的不確定性が多いこと等が挙げら れている。また、最近米大統領は声明で、インド、中国 1.気候変動枠組条約における途上国及び中国の定位 など発展途上国に削減義務が課されておらず、先進国の 削減目標も達成不可能として京都議定書を新たに拒否し 気候変動枠組条約 3)は、1992年5月に開催された気 た。このように、米国が不支持を表明したことで、京都 候変動枠組条約交渉会議において採択され、同年6月の 議定書の発効は危機にさらされている。 ブラジル・リオの「地球サミット」 (「環境と開発に関す 気候変動枠組みにおける参加問題には、先進国か途上 る国連会議(UNCED)」において中国、日本を含む155 国かに関わらず、削減基準(どれだけ削減すべきか) 、削 カ国が署名し、1994年3月に発行した。気候変動枠組条 減方法(どの方法で削減すべきか) 、削減時期(何時から 約は26の条文(Article)と2つのANNEX(付属書)か 1、2) 削減すべきか)といった基本的で共通の課題がある 。 ら構成されている。このうちANNEX-1は経済協力開発 世界の温室効果ガス排出量の4分の1を占める最大の排 機構OECD加盟諸国とロシア・東欧の経済移行国が含ま 出国であるアメリカに、経済的に最も豊かで、かつ技術 れる先進国リストである。ANNEX-2はロシア・東欧の 的政治的腕力のあるリーダー国にふさわしい行動をとら 経済移行国を除いたOECD加盟諸国リストである。NON −1− 政策科学9−1,Nov. 2001 表2-1 気候変動枠組条約の概要 目 的 原 則 気候系に対して危険な人為的影響を及ぼすこととならない水準にお いて大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること 1.共通であるが差異のある 責任に基づく気候系の保護 先進国のより大きい責任の明確化 2.特別の状況への配慮 発展途上国の個別のニーズ、事情 に配慮 3.予防的対策の実施 不可逆的な損害のおそれに対する認識と科学 的不確実性を対策の延期の理由としないこと 4.持続的開発を推進する権 利・責務 地球温暖化により、将来の世代のニ ーズを損なわない形での開発の推進 5.開放的な国際経済のシス テムの推進・協力 温暖化対策を国際貿易における不 当な差別制限としないこと 先進国 途上国 1.温室化ガスの排出・吸収の目録作り ○ ○ 2.温暖化対策の国別計画の策定と実施 ○ ○ 3.エネルギー分野等での技術開発、普及 ○ ○ 4.森林等の吸収源の保護・増進対策の推進 ○ ○ 5.科学的な調査研究・観測等の国際協力 ○ ○ 1.温室効果ガスの排出量を2000年までに’90 年レベルに戻すこと ○ × 2.’90年レベルに戻すための政策・措置の立案 ○ × ○ × ○ × ○ × 条文第4条 コミットメント(約束) 約 束 3.排出と吸収の予測について締約国会議への 通報、レビューの実施 4.条約の義務を実施するための措置に関する 資金の提供* 5.開発上適切な技術・ノウハウの移転(技術 移転)* *旧ソ連・東欧については途上国への資金・技術の支援は免除される 総排出量は約6.8億トン(炭素換算、以下同)に及び、 ANNEX-1は中国を含む発展途上国地域である。 3,4) を示したもの 世界全体の排出量の約13%を占め、更に今後も大幅な排 である。先進国と途上国とでは温室効果ガスの過去、現 出増大が見込まれるため、中国の今後の動向は世界的に 在の総排出量および一人当たりの排出量に差があること 関心度が高い。 表2-1は気候変動枠組条約の概要 から「共通ではあるが差異のある責任」 、「持続可能な開 発を推進する権利を考慮」等、途上国に配慮した内容が 2.中国におけるCO2排出の現状と排出要因分析 盛り込まれている。そのため、条約第4条のコミットメ 1 これまでの中国のCO2排出量 中国の場合、国民一人当たりでみた環境負荷は決して ント(約束)においては、先進国と途上国とで約束に差 大きくない。1人当たりのCO2排出量は世界平均値の半 がつけられている。 分以下にすぎない。しかし、その大きな人口(図2-1)、 中国は、気候変動枠組条約のANNEX-1には記載され ておらず、現時点では直接的な排出削減義務の対象国と 急速な経済成長(図2-2)、石炭を中心としたエネルギ されていない。またG77+CHINAという途上国グループ ー消費構造(図2-3)のため、CO 2排出量(図2-4) を形成し、途上国に対する削減目標の議論になれば一致 は急速に増加し、総量ではアメリカに次ぐ世界第2位と 団結して反対する行動をとってきた。しかし、1995年の なって各国特に米国から問題視されている。 −2− 気候変動枠組における発展途上国の参加問題(周) 図2-1 中国における人口の経年変化 図2-2 中国におけるGNPと伸び率の推移 2 中国のCO2排出要因分析 平均年率約5%で増加してきた。その排出要因は図2-5 こ こ で 、 ま ず は 中 国 の C O 2排 出 量 増 加 の 要 因 を 分 に示すものである。まず経済成長率は80年代後10%前後 析してみよう。エネルギーシステムから排出する で続き、それによる寄与(⊿(GNP/P))は約9%前後で CO 2 の排出量増加率⊿(CO 2 )は人口増加率⊿(P)、経 最も大きい。一方人口増加率による寄与(⊿(P))は2% 済成長率⊿(GNP/P)(1人当りGNP成長率)、省エネ 前後で相対的に小さい。これは、膨大な人口を抱えてい 率⊿(E/GNP)(エネルギー消費量/GNPの変化率)、エネ る中国では一人っ子政策が少数民族(漢民族以外の民族、 ルギー転換 ⊿(CO2/E)(CO2排出量/エネルギー消費量の 例えばウェイウール族、チベット族など総数55有り)以 変化率)の各要因に分解できる。即ち、CO 2排出量の増 外の漢民族(中国総人口の約9割)に厳しく執行されて、 加率は以下のような茅恒等式で求められる。 人口増加率は95年で約0.8%にまで減少したからである。 一方、省エネ要因(⊿(E/GNP))はCO2排出量を毎年6% ⊿(CO2)=⊿(P)+⊿(GNP/P)+⊿(E/GNP)+⊿(CO2/E) 前後で大幅に削減させている。これはこれまで中国のエ 式(1) ネルギー利用効率がかなり低かったためである。ただし、 低炭素燃料への転換による削減が小さい。図2-3に示す 1975年から1995年までの20年間、中国のCO2排出量は ように、中国における一次エネルギー消費のうち、石炭 −3− 政策科学9−1,Nov. 2001 図2-3 中国におけるエネルギー総消費量とその構成(実績) 出典:中国統計年鑑2000年より作成 図2-4 中国における燃料別CO2排出量の変化 図2-5 中国におけるエネルギー総消費量とその構成(実績) −4− 気候変動枠組における発展途上国の参加問題(周) の比率は1995年まで約75%、1999年では約67%にまで減 でにはならないと推定される。また図2-8から、この 少しており、この石炭中心のエネルギー構造は自国の大 場合、石油のみならず石炭も21世紀の後半から大量に輸 気汚染例えば酸性雨被害がますます深刻になっていくの 入する状況に転じる可能性を示唆している。 みならず、地球環境にも重大な負荷を与えることが懸念 次に、環境制約下(550ppmケース)では、中国の一 されている。そこで、三峡ダムのような世界最大級の水 次エネルギー供給量がBAU ケースより減少し、例えば、 力発電所の建設や原子力発電の大幅導入(2050年までに 2100年にはBaUケースから更に約40%の省エネルギーを 原子力発電設備容量を350GW(これは1990年世界全体の 促進する必要がある。550ppmケースで最も大きな影響 原子力保有量に相当する規模)まで導入する計画)など、 を受けるのは石炭であり、例えば、2100年の石炭供給量 新・再生エネルギーの開発や導入計画が進められてい はBAUケースの約15%にまで減少する。また、石油の供 る。ただし、中国の資源分布、経済性、生産技術等から 給も抑えられる。そのため、2050年以降原子力・バイオ 考えるとこの石炭中心のエネルギー構造は、2100年まで マス、太陽光、水力等を中心とした非化石エネルギー、 は大きく変化しないと見込まれている1、5)。 および化石エネルギーの中で最もCO2排出原単位の小さ い天然ガスの供給量が増大する。BAUケースで見られな 3.中国の今後のCO2排出見通し かったメタノールや水素などの合成燃料は21世紀後半に 1 導入し始める。図2-7に示す電源構成の変化から、 中国のエネルギーシステムの将来像 今後中国はいったいどれだけのCO2排出を見通すかに 2100年時点の石炭火力はほとんどなく、その代わりに原 ついては世界的に関心を呼んでいる。このCO2排出量を 子力、水力・地熱、太陽光、風力等新エネルギーのシェ 予測するためには中国のエネルギーシステムの将来像を アが増大する。またこの場合、図2-8に示すように、 展望する必要がある。ここでは、グローバルエネルギー 石油を少量輸入に依存する以外に、他のエネルギーはほ 最適化モデルDNE21モデル 6∼8) (東京大学山地氏、藤 ぼ自給する形となる。 井氏と(財)地球環境産業技術研究機構(RITE)と共 2 同開発)を駆使して、グローバルエネルギーシステムに 今後のCO2排出見通し おける数値シミュレーションを行う。評価ケースとして 図2-9は同じDNE21モデルで中国におけるCO 2排出 は、①BAUケース(先進国も途上国もCO2削減対策を講 の見通しを示す。図中のCHINA(BAU)は上述のBAUケー じないケース)、②550ppmケース(2100年時点大気中 スにおける中国のCO 2 排出量、WORLD(550ppm)は CO 2濃度を550ppm以下に安定化させるケース)の2つ 550ppmケースにおける世界全体のCO 2排出許容量を示 である。なお、同シミュレーションに使われる潜在的な すものである。図に示すようにCO2削減対策を講じない エネルギー需要シナリオはIPCC(気候変動に関する政 BAUでは、中国の排出量は、1990年の6.6億トンから 9) 府間パネル)のIS92Aシナリオ に基いたものである。 2100年の54.6億トンに達する。この場合、世界全体の排 図2-6に中国の一次エネルギー供給量の推移を示す。 出量は1990年の約60億トンから2100年の320億トンに達 まず、CO2削減政策を講じないBAU ケースでは、21世 する。そこで、例えば温暖化防止上の許容範囲と目され 紀中は、現在と同様の石炭を中心とした化石燃料に頼っ る2100年時点の大気中CO 2 濃度を産業革命前の約2倍 たエネルギー供給が続くとの見通し。これは、石炭等化 (550ppm)で安定化させるためには、世界全体の排出量 石燃料が21世紀のエネルギーを十分供給できるほど豊富 は、2100年で55億トンにまで減少させる必要がある。前 に存在し、他の新エネルギーと比較して安価に供給され 述の対策を講じない場合の予測値(320億トン)に対し 得るため、化石燃料を引き続き利用するのが経済的に有 83%もの削減が必要となる。このようにCO2排出量の削 利であるためである。また、図2-7に示すように、こ 減が世界的課題になっている中で、このまま推移すれば、 の推定結果では、豊富な化石燃料の想定により、原子力 来世紀末には中国一国の排出量が現在の世界全体の排出 発電もほとんど選択されない。風力発電、太陽光発電は、 量に匹敵するものになり、世界が目標とする排出量を中 2050年まで年率1%、2%でそれぞれコストが低減する 国一国で排出する予測となっている。このような状況下 と想定したが、それでも太陽光発電は選択されず、風力 では、中国自身の削減努力はもとより、国際協力による 発電は徐々に利用されつつも、大きなシェアを占めるま 対応が緊急課題となる10、11)。 −5− 政策科学9−1,Nov. 2001 図2-6 中国の一次エネルギー供給量の変化 図2-7 中国の発電量と電源構成の変化 図2-8 中国における1次エネルギーの生産量と輸入量の見通し −6− 気候変動枠組における発展途上国の参加問題(周) 図2-9 中国におけるCO2排出量の見通し Ⅲ.気候変動枠組における中国の主な行動 換等;④:(CO2G/E)を減らす、すなわち燃料転換や新 エネルギー・再生可能エネルギー、原子力等クリーンエ ネルギーの導入;⑤:(CO2G/E)を減らす、すなわち宇 1.温暖化防止対策戦略の基本的方向 宙太陽光発電や核融合技術等次世代を担う革新的エネル 気候変動問題における中国の行動を説明するに先立 ギー技術の開発等が挙げられる。 排出分抑制対策としては、⑥:CO2disを増やす、すな ち、まずは先進国か途上国か関係なくその基本的な温暖 わちCO2の分離・回収・変換・リサイクル、貯留(地下, 化対策メニューを分析してみよう。 CO2のネット排出量CO2netは以下の方程式で求められ 海洋)等革新的環境技術の開発導入;⑦:CO2sinを増や る。 す、すなわち森林等吸収源の拡大、等が挙げられる。 式(2)の③、④、⑤、⑥、⑦は、地球温暖化防止対 { } { } CO E GNP × GNP) × P ) ×P }−{CO { E )( =( ( 策技術システムを構成する5本柱であり、日本政府が CO2net= CO2G − CO2dis + CO2sin 2G 1990年に世界に提唱した、「地球再生計画」8)の基本的 ④⑤ ③ ② ① ⑥ } 枠組でもある。同計画は、100年程度にわたる超長期見 + CO2sin 2dis ⑦ 式(2) 通しの下の、地球温暖化防止技術の世界規模での研究開 発ビジョンである。次節で述べるが、中国は⑤、⑥以外 の対策がすでに実施中である。なぜかというと、これら その中、CO2Gはエネルギー総消費量Eから排出するCO2 の対策は経済性の向上、エネルギー安定供給、酸性雨、 の総量、GNPは国民総生産値、Pは人口総数、CO 2disは 生態系保護等国内問題の対策でもあるからである。 CO 2の回収、貯留、処分量、CO 2sinはCO 2の森林吸収量 地球温暖化と酸性雨問題はその主な原因物質が共に化 である。 石燃料燃焼に伴うものであり、両者の同時解決を視野に CO 2 のネット排出量CO 2net を削減するための対策は、 式(2)に示すように、排出源抑制対策と排出分抑制対 入れ、グローバル環境対策とローカル環境対策の統合を はかる対策を考えることが重要である。 策に大別できる。 式(3)は式(2)に対応したエネルギー消費から排 排出源抑制対策としては、①:Pを減らす、すなわち 出するSO2のネット排出量SO2netの方程式を示すもの 人口増加を抑制;②:(GNP/P)を減らす、すなわち経済 である。その中、SO2Gはエネルギーシステムから排出す 成長を抑止;③:(E/GNP)を減らす、すなわち省エネと るSO2の総量、SO2disは脱硫装置等によるSO2の除去量、 高効率化の推進、産業構造の改善、ライフスタイルの変 E、GNP、Pは式(2)と同じ意味合いのものである。 −7− 政策科学9−1,Nov. 2001 2 E GNP × GNP ) × P ) ×P}−{SO } ({ SOE )( ( 2G SO2net= ④'⑤' 2dis ③' ②' ①' 式(3) 中国における主な削減対策 ○ 持続可能な発展戦略と環境保護の基本国策を堅持し、 ⑥' 実施する。 ○ 人口増加抑制対策「計画出産」基本国策を堅持し実 式(2)と(3)を比べてみると、排出源における 施する。2040年前後人口のゼロ成長を実現。 CO 2とSO 2の排出抑制対策はほぼ同じであり、排出分に ○ エネルギーの構造を改善し、省エネ技術を積極的に おける抑制対策は、⑦の植林はSO2削減対策ではないも 導入し、再生可能なエネルギーの開発と利用を推進 のの、国内対策(生態系保護、洪水防災、砂漠化防止) し、エネルギー利用效率を向上する。 として途上国が実施するものであり、⑥のみが異なる。 ○ CO2吸収能力の拡大(植林等) すなわちCO2とSO2は性質の違うものなので、除去技術 ○ 人口、資源と環境関連の法制度の整備と政策研究の も異なる。 充実、経済手段を活用してGHG排出量を削減し、吸 式(2)と(3)は次節で述べる中国等途上国が気候 収源を拡大する。 変動枠組に積極的に参加するためのもっとも重要な原動 ○ 相関領域の科学研究と技術開発を増強して、気候変 力であり、また先進国と途上国が温暖化防止に協力する 動活動に参与するための技術支持能力を向上する。 ための最も重要な接点でもあると考えられる。 ○ 気候変動問題に関する公衆教育宣伝を増強して、国 民の参加意識を向上する。 2.気候変動問題における中国政府の主張と対応 3 地球温暖化問題はあまりにも政治化し過ぎたように思 中国政府の対応体制 われる。中国政府は気候変動枠組における交渉にあたっ ○担当部門:国家発展計画委員会(経済産業省相当) て、建前ではいつも「G77+China」グループと歩調を一 ○参与部門:外交部(外務省)、科学技術部(文部科学 致して行動しているようにみえるが、COP3等による中 省相当)、国家経済貿易委員会(通産省相当) 、国家環 国への潜在的なインパクトはかなり大きいことが以下の 境保護総局(環境省相当)と中国気象局等14カ部門 ような具体的行動と対策例から伺うことができるだろ ○主 任:国家発展計画委員会主任(経済産業省大臣 う。 相当)担当 ○筆頭副主任:国家発展計画委員会副主任(副大臣相当) 1 中国政府の基本的な考え方12、13) 担当 ○ 「気候変動枠組条約」の締約国として、「共通ではあ ○事務局:国家発展計画委員会国土地区局担当 るが、異なる責任」という原則の下で、UNFCCの活 動に積極的に参与する。 気候変動協調グループの主な役割は以下のようである。 ○ 中位レベル経済規模を達成できるまでには、削減義 ○ 各部局の意見を協調し、国務院の政策決定者へ提言 務を負うことがなかなか不可能ではあるものの、持 を提供する。 続可能な発展戦略及び「中国アジェンダ21」を実施 ○ 国際交渉のための事前研究活動を組織し、国際交渉 し、技術進歩により、“ノー・リグレート”の政策と に参与する。 措置を講じ、温室効果ガス排出の増加率を減速する。 ○ 気候変動に関する情報の交流活動を行う。 ○ 中位レベルの経済水準を達成後は、削減義務をどう ○ 国際協力プロジェクトの選定などを管理し、中国関 負うかについて真剣に研究する。 係部門のUNFCC事務局とIPCCとの連絡や協調等を指 ○ 科学研究を増強して、気候変動活動に参与するため 導する。 の技術支持能力を向上する。 ○ サブワーキンググループとの協調をする。 ○ 気候変動問題に関する公衆教育を増強して、国民の 参加意識を向上する。 −8− 気候変動枠組における発展途上国の参加問題(周) 速度で拡大している12)。 3.気候変動問題における中国の具体的行動 1 中国における温暖化対策の具体例 そこで、長期的、かつ持続可能な発展を目指すために は、著者が図3-1と3-2に示すような中国経済成長の 1)経済成長情勢 「753シナリオ」を提案している 15、16)。「753シナリオ」 中国経済はこの20年間平均で約9.8%の成長率で急成 とは、中国の経済成長率が2000年に7%に、2010年に 長してきたが、最新の統計によれば、中国では、年収 14) 100ドル以下の貧困人口はいまだ3000万人もいる 。貧 5%に、2020年に3%に減速し、そしてこの3%を2100 困の克服は至上の命題として、中国政府は2010年まで経 年まで維持できる場合の経済規模のことである。 済成長率7%前後を維持するという方針が打ち出されて この「753シナリオ」によれば、2020年時点の中国の いる。すなわち経済成長を犠牲にしてCO2排出を抑制す 経済規模(GNP、購買力平価換算)は日本の2倍以上 るのはおそらく当面ありえない選択であると考えられ (日本のGNP成長率は2100年まで年率1.5%維持とする)、 る。 北米(米国+カナダ)地域の総和を超える予測となる。 ただし、あまり急激な経済成長は多くの環境問題や社 一方、一人あたりのGNPでみると、2100年時点は約8万 会問題をもたらし、その負の効果も現れ始まっている。 ドルで、日本とほぼ同等なレベルとなる。これはたった 例えば、1/3の国土が酸性雨化し、砂漠化面積は国土の 100年間のシナリオである。100年は中国の歴史からみれ 約17%に相当し、しかも毎年約2500平方キロメートルの ば一瞬にすぎないといっても過言ではない。21世紀は世 753 図3-1 21世紀における中国の経済シナリオ(GNP) 753 図3-2 21世紀における中国の経済シナリオ(GNP/1人) −9− 政策科学9−1,Nov. 2001 界と調和しながら、言い換えればグローバルシステムの るといえよう。 なかで発展を求めるしかない。 中国では、社会発展のための5ヵ年計画と10ヵ年計画 2)人口増加抑制対策の徹底 が5年に一度策定されるが、以上の試算結果から、中国 中国はかつて自らの人口政策の失敗により、人口は60 の経済発展は「性急」なものにすべきではなく、もっと 年代の6億人から90年代の12億人にまで急激に増加して 長期的な経済発展戦略、すなわちもっと長期的視野から きた(図2-1、3-3)。漢民族を対象に一人っ子政策 経済発展と環境保全(とりわけローカル環境問題とグロ を厳しく実行してきた結果、30年間で約3.5億人の出生 ーバル環境問題の統合ある環境保全)をバランスよく取 を抑止できた。この間女性一人当たりの出産者数は1971 入れれたシナリオを構築すべきであることを示唆してい 年の5.44人から1998年の1.84人まで減少し、1998年の総 図3-3 近年中国の人口増加傾向 省エネ効果 図3-4 中国の1次エネルギー消費料の経年変化と省エネ効果12) 図3-5 中国のエネルギー消費原単位の変化12) −10− 気候変動枠組における発展途上国の参加問題(周) 人口は12.48億まで抑えることができた14)。この人口抑 と天然ガスの大幅な導入(北京)、天然ガス自動車の導 制効果をCO2削減効果に換算してみると、一人あたり排 入(四川省4000台,上海市は2000年から5年内2万台タ 出量を炭素換算0.6トンとすれば、合計で約27億トンの クシーをLPG車に変換)等があげられる。 例えば、去年の北京市は天然ガス使用量が10億m3に 削減となる。 ただし、これ以上に厳しい人口政策を実施すると、人 達し、天然ガスを主要な燃料として使用している全国最 口の数の問題以外、例えば高齢化問題等が起こりかねな 大の都市となった。陝西省、甘粛省、遼寧省の天然ガス いため、一人っ子政策を見直す動きも一部で始まってい が北京へ輸送されるようになり、北京市の天然ガス供給 る。 は充足である。北京市政府は大気汚染状況の改善を急ぐ ために、第三環状線以内の湯沸しコンロ、ボイラなどで 3)中長期エネルギー戦略の見直し 使用されていた石炭設備を一律にガス用に改造した。現 ①省エネルギーを第1優先順位に 時点で、市内の大規模なエネルギー供給工場、医院、レ 図3-4は中国の1次エネルギー消費量の経年変化と ストラン、ホテルなどの1000台以上の石炭ボイラに天然 省エネ効果を示す。図3-5は中国のエネルギー消費原 ガス使用のための改造が施され、年間消費量2700万トン 単位の変化を示す。両図より、中国の省エネ効果が顕著 の石炭に代替できる。現在、市内の天然ガス、人工ガス、 であることがわかる。ただし、この省エネ政策はもとも 液化石油ガスの3種類を合わせたガス・パイプラインの と国内対策すなわち国内の経済の効率性、エネルギー供 総延長は3200km以上に達し、都市のガス管は、市内の 給ネックを解消するためのものであり、CO2を削減する 各区と一部の郊外における小都市にまで配管されてい ためのものではない。しかし、結果としては要因分析図 る。また2002年には、北京市のガス年間供給量は18億m3 図2-5に示したように毎年約5%ものCO2の排出削減に に上ると計画している。 寄与している。 そのほかに特に以下の二つのプロジェクトを紹介しよ う。 ②エネルギー構造の改善 ◎「西気東輸」プロジェクト(西部の天然ガスを東部に 図2-3に示したように、石炭中心のエネルギー構造 送る事業) はほとんど変わっていないものの、石炭消費量の比率は 西部の豊富な天然ガスを経済発展の速い長江デルタ 1990年の76%から1999年の67%まで減少している。その 地域に輸送して、この地域の厳しいエネルギー情勢を緩 具体的対策として、日本等の技術支援によるクリーンコ 和することを目的とするものである。図3-6に示すよ イルテクノロジ(CCT)の導入、小型石炭ボイラの廃止 うに、長さは西(新彊)から東(上海)までパイプライ 中国の「西気東輸」と炭層ガス分布 タリム 上海 >1000Gm3 100−1000Gm3 10−100Gm3 <10Gm3 図3-6 中国の「西気東輸」プロジェクトと炭層ガス分布 −11− 政策科学9−1,Nov. 2001 表3-1 中国における化石エネルギー資源埋蔵量 石炭(億トン) 石油(億トン) 天然ガス(億m3) 1145 33 11704 採取可能年限 54∼81年 15∼20年 28∼58年 採取可能時期 2050∼2077 2011∼2016 2024∼20545 資源種類 採取可能埋蔵量 (出典:中国新能源白書1999) 表3-2 中国における新エネルギー資源総容量と利用状況 資源種類 水力 太陽光 太陽熱 資源総容量 資源利用状況 大型水力開発可能容量353兆kW、小型水力 (25MW以下)76GW 年幅射量3.3×102∼8.4×105万J/m2・年、国土 の2/3で年日射量は2000時間以上 大型水力の利用量は総容量の約11%、小 型は約20% 太陽光電池13MW 太陽熱水器1500万m2 風力 資源量32億kW、開発利用可能量2.5億kW 発電量290MW 地熱 標準石灰換算2000億tce以上。 地熱発電30MW バイオマス 薪炭資源1.3億tce、穀物茎3.2億tce、畜糞便 78Mtce、生活ごみなど6.3億tce 養殖場メタン利用0.6億m3、工業排水メタ ン利用3.2億m3、薪炭材3000万トン。 潮力 20GW以上 約30MW 炭鉱ガス 採掘可能埋蔵量32.6兆m3(標準石炭換算450億 tce) 現在年間生産量は約7億m3、2005年に50 億m3、2010年に100億m3以上、2020年に 150億m3以上を目標 (出典:中国新能源白書1999より著者作成) tce:標準石炭換算トン ン4200kmで、投資額は550億元(約8300億円)、竣工期 に、上述のように石炭を中心としたエネルギー構造は酸 は2007年、年間輸送量は250億m3、30年間の安定供給を 性雨のようなローカル環境問題のみならず、温室効果ガ 確保できる能力を持つという。中国西部地区の天然ガス ス等グローバル環境問題にも大きな影響を及ぼす。中国 の埋蔵量は26万億m3で、全国陸上天然ガス総資源量の のエネルギー自給戦略を実現し、また環境問題の解決に 3 約85%を占める。現在生産量は180億m /年で、地元の も寄与する方策のひとつは新・再生エネルギーの開発・ 消費量を遙かに越えている。 導入である。 表3-1は中国の化石燃料の資源量を示すもので、化 ◎「西電東送」プロジェクト(西部の電力を東部に送る 石燃料資源の枯渇性問題がかなり厳しいことがわかる。 事業) 中国北部、中部、南部の3大送電線路を基本的な枠 そのため中国は新エネルギーの開発・導入を加速すべき 組みとし、東部地域の経済発展を強力に支援する事業。 であると考えられる。例えば、中国政府はこのほど、三 峡プロジェクトの発電所の収益を、長江上流に位置する 金沙江に渓洛渡(1260万kW、年間発電量567億kWh)、 ③新・再生可能なエネルギーの開発 中国は、人口の増加と経済の急速な成長によるエネル 向家覇(600万kW、年間発電量293億kWh)といった2 ギー消費がばく大的に増大すると予測されいる。今後、 つの大型水力発電所の建設に充てることを決定した。計 誰が中国にエネルギーを供給するかは、世界全体のエネ 画によると、これら2つの発電所における年間発電量の ルギー供給バランスに影響を及ぼすため、中国は長期的 合計は、三峡水力発電所の年間発電量を上回るものとな にエネルギー自給戦略(国外輸入に依存せず、国内生産 る。2003年に予定されている三峡プロジェクトで1基目 で賄う戦略) 15)を取るべきであると考えられる。さら のユニットの発電が始まった後、続けて着工される予定 −12− 気候変動枠組における発展途上国の参加問題(周) 表3-3 中国の植林計画 である。 表3-2は中国の新エネルギーの資源量を示す 16) 。中 現在の森林面積:1億5895万ha、被覆率16.55% 国の各種新エネルギーと再生可能エネルギーの年間利用 年 量は年々増加しており、1999年時点では1次エネルギー 新規森林 面積(万ha) 被覆率 (%) 消費量14.2億tce(標準石炭換算トン、以下同)のうち、 2005 1150 18.2 約2.5億tceとなっているが、豊富な新エネルギー資源量 2010 2300 19.4 2030 4600 24.0 に比べれば、利用率はまだ低い。 ギー源なので、エネルギー構造の改善と環境問題の解決 ④原子力導入策 中国の石炭生産地が北西の内陸部にある一方、電力の の一助として炭坑ガスの開発を急いでいるようである17)。 大量消費地は東南の沿岸部に集中しているため、将来, 中国では炭坑ガスのようなクリーンエネルギーを開発 益々増大する電力需要を考慮して、沿海部に原子力発電 する際、問題となるのは開発技術、資金、インフラ整備、 建設が計画されている。中国の原子力開発計画通りに原 政策・法規の健全などが挙げられる。一方、炭坑ガスが 子力開発が行われれば、1994年時点で210万kwの原子力 そのまま大気中に放出されると温室効果ガスとなるた 発電設備容量は2050年に3億5千万kwになり中国は世 (20,21) を生かして、 め、CDM(クリーン開発メカニズム) 界一の原発保有国に転じる可能性がある。ただし、この 先進国と途上国が協力して炭坑ガスを開発し、開発プロ シナリオは1994年現在の世界の原子力発電設備容量に等 ジェクト実施前のメタンガス放出量を先進国の削減分に しい設備を、およそその半世紀に中国国内に建設するこ 算入すれば、双方に経済利益と環境利益をもたらすこと とになるので技術や資金面などから見ても無理か不確実 になるだろう。炭層ガスの開発にあたり、CDMの活用 性がかなりあると思われる。 を大いに期待したい。 現在、既に10省の14カ所が国によって原発建設用地に 4)植林と砂漠緑化事業 指定され、その内の4カ所は既に国の認可を得て、4基 原発(投資総額100億ドル)を計画中。総設備容量は670 中国の砂漠面積は168平方キロメートルで国土面積の 万kw(三峡ダム総発電量の半分に相当する)。この時 約17%を占め,毎年約2500平方キロの速度で拡大してい (2010年前後)、原子力発電量は全体の4∼5%のシェア る。中国は植林に適している荒れ山8,539万ヘクタール を擁し、長江上流域のみの植林に適している荒山は約 を占めるように建設している。 4,600万ヘクタールはある12)。表3-3は中国政府が発表 した植林の計画である。植林事業をCDMプロジェクト ⑤炭坑ガスの開発 炭坑ガス(Coalbed methane Gas)は、石炭層に随伴 として実施できれば、吸収分の計測などに多くの課題が する非在来型天然ガス資源であり、メタン(CH4)含有 残されているが、途上国には生態系の保護や洪水災害の 3 量は95%以上、発熱量は8000kcal/m 以上で、在来型天 防止など、先進国にはCO2クレジットの獲得や森林資源 然ガスよりもクリーンで且つ高効率なエネルギー資源で の確保などのメリットがあるため、積極的に対応すべき ある。しかし、炭坑ガスをそのまま利用せずに大気中に である。 放出すると、資源の浪費のみならず、CO2より60倍(放 2 出後20年内)もの温暖化指数(各気体1kgの排出によ グローバル対策とローカル対策の統合 るCO2の温暖化の効果に対する比)をもつ温室効果ガス 以上をまとめてみると、表3-4となる。同表には式 となる。1990年以降、中国が毎年石炭採掘により大気中 (2)に対応する地球温暖化対策のメニュー、その波及 3 に放出した炭坑ガスの総量は60∼190億m で、これは世 効果と中国の実施現状の概要を示す。この表より、①中 界全体の石炭採掘による大気中に放出した炭坑ガス量の 国でも、温暖化対策の中で、経済成長抑制措置、次世代 約1/3に相当する。 を担う革新的なエネルギー・環境技術などを除く対策の 3 中国ですでに判明された埋蔵量は30万億m 以上で、標 ほとんどが実施されていること、②これらの対策は元々 準石炭換算で450億tceに相当し、重要なクリーンエネル 温室効果ガスを削減するために実施されたものではない −13− 政策科学9−1,Nov. 2001 表3-4 中国における地球温暖化対策一覧表 削減対策と実施状況 (◎実施中 □研究中 ×未実施) 2010年まで年経済成長率7%前後維持を目標、 経済成長と環境保全の両立を。 × ● △ 人 口 ②人口増加抑制 × ● △ ▲ 一人っ子政策、20年間実施で約3.5億人の出生を 抑制、2040年にゼロ成長予測 ①効率改善 ②機器効率向上 ③未利用エネ・資源回収 ◎ ◎ ◎ ● ● ● △ △ △ ▲ ▲ ▲ 最優先のエネ政策オプションとして実施中(毎 年4%前後の省エネ率を達成) ①諸複合発電 ②電力貯蔵 ③燃料電池 ◎ □ □ ● ● ● △ ▲ ①集中供熱、熱電併給等 ②研究開発中 ③研究開発中 クリー ンエネ ルギー 導入 ①低炭素化燃料転換 ②クリーンコイル技術 ③再生可能なエネ ④原子力 ◎ ◎ ◎ ◎ ● ● ● ▲ ▲ ▲ ▲ 石炭利用技術向上;天然ガス自動車導入、暖房 用石灰ボイラ廃止等 水力、バイオマス、メタンガス、風力、原子力 ● △ △ △ △ 革新エ ネルギ ー技術 ①宇宙太陽光発電、核融 合技術の開発等 × ● △ 吸収源 拡大 ①植林 ②陸生生物、海洋生物 ◎ × ● ● 革新環 境技術 ①CO2分離、回収 ②固定・変換・リサイクル ③貯蔵(地下、海洋) × × × ● ● ● 出 術 省エネ と高効 率化 対 策 抑 ▲ 地 球 再 生 計 排 出 分 抑 制 具体的対策例 ①経済成長抑制 技 制 実施効果 SOX 経済 経 済 排 源 CO2 画 ▼ △ ▲ (2050年350GW導入) 国策、森林面積8%(1950)→13%(1995) (炭素資源として研究) ●:CO2削減効果有り △:SOX等大気汚染物質削減効果有り ▲:経済効果(経済性向上)あり ものの、結果的にはCO 2の削減に大いに寄与すること、 工業化の過程で積み重ねた経験・ノウハウは途上国に必 言い換えれば、温暖化対策の大半は、CO2削減効果以外 要で、エコビジネスとして途上国へ輸出すれば、自国経 に経済、環境保全(公害克服)及びエネルギー供給改善 済構造の再構築と持続可能な発展にも寄与する。 など総合的な波及効果があることがわかる。すなわち、 Ⅳ.気候変動枠組における中国参加の課題 グローバル環境対策とローカル環境対策との統合は、温 暖化問題での南北対立を解決するための最も重要な接点 1.中国参加問題の特徴 であると考えられる。 ただし、中国の現在のCO 2 排出増加率は依然として 以上の排出状況と分析を踏まえて、気候変動枠組にお 5%前後で増加している。中国や他の途上国のCO2削減 ける中国の参加問題は以下のような特徴をもつと考えら には自助努力が最も重要であるが、量的、時間的限界が れる。これらの特徴はある程度中国の今後の温暖化対策 あるため、先進国からの技術移転が必要としている。言 のあり方と気候変動枠組における参加問題のタイムテー い換えれば、途上国は経済発展、地域環境と地球環境の ブルを決めるものであるといっても過言ではない。 保全を同時に両立させるためには、最も重要な方策の一 特徴1 貧困、公害と地球温暖化のジレンマ つは「ジャンプ方式」、すなわち先進国の商業化した技 術の導入・移転・消化である、いわゆる後発者利益であ 先進国は経済発展、公害問題と温暖化など地球環境問 る。途上国が気候変動枠組に積極的に参加するためには 題を順番に経験してきたが、中国のような途上国は表 先進国からの技術移転は不可欠である。一方、先進国は 4-1に示すように、この三つの課題に同時に直面して −14− 気候変動枠組における発展途上国の参加問題(周) 表4-1 中国が直面している課題 課 題 現 状 1.貧困問題 現在なお4000万人前後の貧困人口(<100ドル/年収)が存在している 2.地域環境問題 (公害問題等) ①大気汚染:世界で大気汚染が深刻なワースト10の8都市は中国にあり、国土の1/3は酸性雨被害 ②水質汚濁:水質汚染(500本あまりの河川や湖の汚染面積は82%以上となり)、洪水(1997年長江大洪 水、被害者は2億4000万人程度、経済損失は3.2兆円以上)、渇水(黄河、1997年断水220日) ③廃棄物:ゴミ処理(ゴミが都会を包囲) ④砂漠化:砂漠面積は国土の3.86%を占め、毎年2000平方キロの速度で拡大 ⑤生体系破壊、生物種減少 3.地域環境問題 特徴(CO2排出量を事例) 総排出量 :大 → CO2削減の必要性 1人当り排出量:小 → 一人当たりGNPが小さいため、経済発展の必要性と削減対策の特殊性 GNP当り排出量:大 → 対策の方向性(省エネ、エネルギー効率の向上等) 表4-2 地球温暖化問題での先進国と発展途上国の基本構図表 CO2排出指標 過 去 現 在 先進国 途上国 総 量 大 小 CO2/1人 大 小 総 量 大 小 CO2/1人 大 小 総 量 大(?) 大(?) CO2/1人 大(?) 小(?) CO2/GNP(現在) 小 大 削減限界コスト 大 小 将 来 結果と対策 先進国責任論の由 来(?) →率先して削減す べき 途上国/先進国の参 加が不可欠 技術・資金移転に よるCDMが有効 いる18)。また環境問題で緊急性の高いのは、大気汚染、 ギー利用技術の向上等の優先実施)が求められるといえ 水質汚濁、廃棄物など、都市化に伴う国内的な課題であ よう。 ることが多く、地球温暖化問題対策の優先順位はどうし 2.中国参加問題の基本的課題 ても低くなる。しかし、中国が直面している国内環境問 題と地球環境問題は、相反する課題ではなく、例えば、 途上国の温暖化対策のあり方を検討するにあたって 地球の酸性化と温暖化の主原因物質はともに化石燃料の は、緒言で述べたように、①排出基準、②規制時期、③ 消費に起因するため、両者の同時解決に寄与する対策の 削減対策の3つの基本課題を考察する必要がある。 実施が可能であること、温室効果ガスは長期的な影響力 1 をもつため、途上国側も有効かつ適宜な対策を講じなけ れば手遅れになることから、途上国が直面しているこの 削減基準―どれだけ削減すべきか COP3京都議定書では米国、日本、EU等先進国に90 三つの課題に同時に対応することが求められている。 年レベルよりそれぞれ7%、6%、8%削減するという 法的な拘束力のある数値削減目標が定められた19)。これ 特徴2 総排出量大、一人当たり小、GDP当たり大 は温暖化防止のための第一歩としては非常に大きな意義 表4-2に示すように、中国のCO2排出特徴としては、 をもつものではあるものの、その数値目標を決める基準 簡単に①総量が大きいこと、②一人当たり排出量が小さ が実は不明瞭である。また米国は京都議定書離脱を宣言 いこと③GDP当たり排出量が大きいこと等が挙げられ した理由のひとつに中国、インド等の途上国が実質的に る。①からは削減対策の必要性、②からは削減対策の特 参加していないことを挙げている。ただし、米国すら今 別性、③からは対策の方向性(例えば、省エネやエネル でも何を基準として途上国の参加を求めるかについては −15− 政策科学9−1,Nov. 2001 Year 図4-1 世界全体のCO2排出許容量と人口予測値 図4-2 各国のCO2排出許容量とBAUケース排出量の比較 BAU 図4-3 中国のCO2削減のポテンシャル −16− 気候変動枠組における発展途上国の参加問題(周) 明示していない。 増減により総排出量が変わるからである。 温暖化ガス排出基準を定める基本条件としては、温暖 具体例で説明してみよう。図4-1は、上述したIPCC 化を防止できること(総量規制)、公平性原則、効率性 のIS92a人口シナリオと同IS92aをもとに、DNE21モデル 原則、持続可能な発展に寄与できることなどが挙げられ による2100年時点大気中CO 2濃度を550ppmに安定化さ る。これらの条件を照らして、ここでは、以下のような せる場合に、世界全体のCO2許容排出量と世界総人口予 「総量規制下での一人当たりの排出量」を各国の一律の 測値を示したものである。2100年時点の世界総人口は約 削減基準にすべきだと提案する。 110億とする。これは国連人口基金や世界銀行等の予測 1人当りのCO 2 ネット排出量(CO 2net / P)は、式 結果とほぼ一致している。この図より1人当たり許容排 (2)より以下のように求められる。 出量、即ちここでいう削減基準を得ることができる。 図4-2は日本、北米地域、旧ソ連地域、中国のBAU { ( )}/ P E CO =( −{ { COE )×(GNP )×(GNP P ) 下のCO2排出量と、図4-1より求められた1人当たり許 CO2net/ P= CO2G− CO2dis+CO2sin 2G 2dis 容排出量を各国の人口予想値に相乗した結果、即ち各国 +CO2sin P } の許容排出総量を示す。これは各国の初期排出割当量に 式(4) 相当するものであると考えられる。 同図より、北米地域等のBAUケース排出量は許容値を はるかに超えていることがわかる。ただし米国に排出量 式中の表示は式(2)と同じである。 を許容値まで削減することを求めるのは恐らく非現実的 式(4)より、以下の知見を得ることができる。 であるし、公平性、および世界全体の削減目標を効率よ 一人当りのネットCO2排出量(CO2net/P)を抑えるため く実現するという視点から、排出許容値を超えた分は排 には、① (CO2G/E)を低下すること、すなわちクリーン 出権取引 22)で購入した排出権で賄えばよいと考えられ エネルギー(例えば、太陽光、水力、風力、バイオマス る。 または原子力等)の導入と燃料転換(石炭から石油へ、 もうひとつは、中国のケースである。中国はいままで 石油から天然ガスへなどの低炭素燃料への転換)、② 一人当たりの排出量が少ないと主張してきたが、削減対 (E/GNP)値を低下すること、すなわち省エネ(技術向上 策を講じなければ2020年前後その総排出量が許容値を超 による省エネ化)の促進や産業構造の転換等、③ える可能性がある。すなわち一人当たりの排出量を基準 (GNP/P)を適当な規模に抑えること、即ち急激な経済 とすれば、2020年から中国も先進国と類似のコミットメ 成長の抑制やライフスタイル等の転換、④CO2disの増加、 即ち炭素リサイクル等の促進、⑤CO2sinの増加、即ち植 ントを負う状態になろう。 大気は地球に生存している人類全体の公共財であり、 林事業の促進などが必要である。 だれもこの大気を独占または多めに占有しようとするこ まとめてみると、1人当りのCO2排出量を抑えること とは不可能であるし、してはならないことである。言い により、CO2排出抑制効果以外に、①経済の効率化(省 換えれば、大気を汚すという「権利」は人間全員に平等 エネや産業構造の転換等)、②汚染物質排出抑制(燃料 である。つまり、地球上の人々は同等な「CO 2排出権」 転換、クリーンエネルギーの導入)、③エネルギー供給 をもつと考えられる。 構造の改善(炭素リサイクル)、④生態系保護等(植林 以上の分析を通じて、この「総量規制下での1人当り 等)、などのような総合効果がもたらされる。言い換え 排出量」基準は基本的に上述1)中の4つ条件を満たす ると、一人当りのCO2排出量を抑えることは、省エネ技 と考えられる。しかし、課題は以下のように幾つかあ 術の開発・導入、燃料転換、クリーンエネルギーの導入、 る。 植林等を促進するメカニズムをもつものである。 ①人口総数の規制問題。すなわち人口が多い国は総排出 上述の分析により、「世界全体の総排出量規制下での 量が多くなるため、人口の多い国が有利になること、ま 1人当り排出量」をすべての国の統一した排出基準にす たは人口を増やす政策をとる国が出てくる可能性がある べきであると考えられる。ここで、世界全体の総排出量 などの懸念がある。しかし、人口増減を左右する最も大 規制下という条件を設けるのは、世界全体の人口総数の きな原因はやはり経済自身である。一国の経済発展(1 −17− 政策科学9−1,Nov. 2001 3 人あたりのGDP)はその国の人口増加と反比例しており、 一国のCO2排出総量は規制されていないから、人口を増 削減時期―何時から削減すべきか これは米国と途上国が対立している焦点となるもので やすことはあり得ない政策だと考えられる。 ある。ただし、上述の「総量規制下での一人当たり排出 ②世界全体の許容排出総量の確定。産業革命以前の大気 量」が世界の統一した基準として決まれば、先進国か途 中CO2濃度は約280ppmvであったが、200年後の現在は約 上国かを区別せず、この基準に照らして規制すればよい 370ppmvにまで上昇してきた。さらに、削減対策を講じ と考えられる。例えば、図4-2に示すように、米国等 1) なければ、2100年時点では約800ppmvにまで上昇する 。 先進国は直ちに排出規制をすべきであるのに対して、中 このような地球の破局を救うためには、温室効果ガス、 国の場合は約2020年からCO 2 排出を規制するようにな 特にCO 2の濃度上昇を一定の段階で安定化させること る。この規制時期については次節で詳細に述べる。 (気候変動枠組条約の究極の目標:気候系に対して危険 Ⅴ.中国参加のタイムテーブル な人為的影響を及ぼすこととならない水準において大気 中の温室効果ガスの濃度を安定化させること)が必要と 1.気候変動枠組における参加形態 なる。しかし、この気候系に対して危険な人為的影響を 及ぼすこととならない温室効果ガス濃度のレベルとはど 前述のように、中国は、気候変動枠組条約の付属書I の程度のものであるかについては、現在のところ科学的 には記載されておらず、現時点では直接的な排出削減義 な見解は定まっていない。ここでは、100年後の2100年 務の対象国とされていない。しかし、これは永遠に削減 時の点の大気中CO2濃度を550ppmv(産業革命以前の約 義務を負わなくてよいのではなく、もちろん現時点では 2倍レベル)で安定化させるための排出量を世界全体の 中国自身もそうは言っていないが、いつ削減義務を負う 許容排出総量として議論してきた。この目標は野心的な かは焦点になる。以下は中国参加の可能なタイムテーブ ものなのか、それとも控え目なものなのかはさらに検討 ルについて分析してみたい。 する必要がある。 気候変動枠組み条約に定められている「共通ではある ③その他、過去のCO2排出総量及び影響の確定、森林吸 が差異のある責任」原則に従えば、図5-1に示すよう 収量(CO2sin)の計算、各種温室効果ガス間の換算、排 に、世界全体を、①先進国(米国、日本等)、②中進国 出取引問題、世代間の公平性問題等の課題が挙げられ (韓国、ブラジル等)、③途上国(中国、インド等)の3 る。 地域に分けることができる。この区分に対応して、気候 変動枠組における参加形態も強制的(法的拘束力のある 2 削減方法―どの方法で削減すべきか 数値目標をもつ)、自主的(法的拘束力のない数値目標 地球温暖化対策技術は、①ノーリグレット方策、例え を自主的設定する)、自発的(数値目標は持たないもの ば省エネ、植林等;②小リグレット方策、例えば太陽光 の、自発的に削減方策を講じる)の3つの形態に分ける 発電等新エネルギーの開発導入;③温暖化特化対策、例 ことができる。 えばCO2の海洋、地下貯留等に大別できる。各対策技術 2.中国参加のタイムテーブル のCO2削減ポテンシャルは図4-3に示す。上述のよう に、中国でも、温暖化対策の中で、経済成長抑制措置、 そこで、以上の分類から図4-2と考え併せてみると、 また③の特化技術の開発を除けば、温暖化対策のほとん 気候変動枠組における中国参加のタイムテーブルは、図 どが実施されているといえよう。なぜかというと、これ 5-1に示すように①自発的段階(∼2010年前後)、②自 らの対策は元々温室効果ガスを削減するために実施され 主的段階(∼2020年前後)、③強制的段階(2020年∼) たものではないものの、結果的にはCO2の削減に大いに のような3段階に分けることは、気候変動問題における 寄与するからである。言い換えれば、温暖化対策の大半 国際合意形成に必要ではないかと考えられる。 は、CO2削減効果以外に経済、環境保全(公害克服)及 以上のタイムテーブルからは、①中国はいずれ法的拘 びエネルギー供給改善など総合的な波及効果があること 束力のある数値目標を負うべきであること、②しかし、 がわかる。これは、温暖化問題での南北対立を解決する 京都議定書はあくまで2008∼2012年といった第1約束期 ための最も重要な接点であると考えられる。 間中の削減目標しか約束されていないため、先進国の過 −18− 気候変動枠組における発展途上国の参加問題(周) 「共通ではあるが差異のある責任」−FCCC 先進国:強制的 米国 中進国:自主的 韓国 後進国:自発的 中国 97 05 10 15 20 25 30 西暦年 図5-1 気候変動枠組における3段階論と中国参加のタイムテーブル 去、現在の排出量からもまたは中国の1人あたりの排出 はあるが差異のある責任」原則に基づいて、削減基準、 量からも、この第1約束期間で中国が先進国と同じよう 削減方策と削減時期といった3つの課題がある。 に法的削減義務を負うのは非現実的であること、③中国 2)ここでは、総量規制下での一人あたり排出量を各国 が法的拘束力のある数値目標を負うもっとも早い時期は の削減基準にすべきだと提言する。理由は、この基準 恐らく2020年からであることがわかる。その理由として は、省エネ、燃料転換、新・再生エネルギー技術の開 は、2020年時点、中国の一人当たり排出量は許容値を超 発、産業構造の変換、CO2回収、処分、貯留技術の開 える可能性があること、先進国は第1約束期間で率先し 発、植林の促進等のような削減対策を導入するインセ て削減目標を達成できたこと、中国のGDP規模は日本と ンティプがあること、大気は現世代と次世代の公共財 北米地域を超えて世界一になる可能性があること等が挙 であり、人間すべてに平等な占有権利をもつこと、言 げられる。 い換えれば人間すべてはCO2排出権をもつことからで ある。 地球温暖化問題を解決するには先進国と途上国の全面 3)中国は将来的にも一人当たりの排出量は少ないもの 協力が不可欠である。その協力の方策の一つは京都議定 書に定められたCDM(Clean Development Mechanism) の、総量が膨大であり、かつ増加速度が速い。このた である。但し、前述したように途上国は経済発展、地域 め、中国は削減対策を積極的に講じるべきである。し 環境問題と地球環境問題に同時に直面しているため、 かし、中国は貧困問題と公害問題を同時に抱えている CDMが成功するには双方の国が利益を共有化できる、 ため、ローカルな環境対策とグローバルな環境対策を 特に途上国には、CO 2削減以外に、経済効率性の向上、 統合するのが有効であると考えられる。 4)経済成長抑制、CO2回収、処分、貯留、または宇宙 地域環境負荷の低減など総合的効果をもたらすようなプ 太陽発電等を除いた温暖化対策のほとんどは中国でも ロジェクトの実施と制度設計が最も重要である。 実施中である。これはこれらの対策は国内対策でもあ Ⅵ.結 言 るからである。 5)気候変動枠組においては、世界を先進国、中進国、 本論文では、中国のCO 2排出の現状と今後の見通し、 中国の気候変動枠組における行動を分析したうえ、中国 途上国に分け、参加形態も強制的、自主的、自発的と いう3つに分けることができる。 参加のタイムテーブル等について検討した。得られた結 6)中国参加のタイムテーブルは、①自発的段階(∼ 果をまとめると以下のようになる。 2010年前後)、②自主的段階(∼2020年前後) 、③強制 1)気候変動枠組における中国の参加問題は、「共通で 的段階(2020年∼)のような3段階に分けることがで −19− 政策科学9−1,Nov. 2001 きる。これは、気候変動問題における国際合意形成に 9)IPCC, 1992: 'Emissions Scenarios for IPCC : an update. In: Climate Change 1992: The Supplementary Report to the 必要なステップだと考えられる。 IPCC Scientific Assessment, [J. T. Houghton、 B. A. 7)地球温暖化が新たに南北問題化してきていることを Callander, and S. K. Varney (eds.)]. Cambridge University 十分に理解しつつも、地球温暖化問題の解決のために Press, Cambridge (1992). 発展途上国の協力が必須であることから、先進国は発 10)山口 務,周 生,中国のCO2削減に,日本の技術移転 展途上国の持続可能な開発の実現に協力し、発展途上 を 急 げ , 地 球 環 境 , 28-9, P.32-36,日 本 工 業 新 聞 社 , 国が直面している経済発展、公害克服、地球環境保全 1997.9. 11)周 という課題に同時に寄与できるような温暖化対策を検 生、日中比較からみた日本のエネ・環境技術―地 球温暖化防止への貢献―、機械学会誌、101-951、 P.9-11、 討することは重要である。 1998.2。 12)張 坤民、中国の環境対策とCDMへの対応、(財)地球環境 謝辞 本研究は、新エネルギー産業技術総合開発機構 産業技術研究機構(RITE)講演会、1999.3. (NEDO)の委託研究の一環として、また本論文でのシ 13)周 生、気候変動問題におけるCDM(Clean ミュレーション分析はDNE21モデルを援用して行われ Development Mechanism)の制度設計について、政策科学、 たものであり、ここに記して感謝の意を申し上げたい。 立命館大学政策科学会、2000.3. 14)中国人口白書、2000. 15)周 ーを供給するか、日本産業技術振興協会筑波研究推進協議 参考文献 1)茅 陽一監修、(財)地球環境産業技術研究機構(RITE) 16)中 国 新 ・ 再 生 エ ネ ル ギ ー 1 9 9 9 白 書 、 中 国 計 画 出 版 社 工業新聞社(2000)。 (2000)。 生、途上国の温暖化対策のあり方について、エネ 17)周 ルギー・資源学会第18回研究発表会論文集、エネルギー・ 生,孫 茂遠、範 志強、中国における炭坑ガス 開発の可能性とエネルギー対策の一考察、第16回エネルギ 資源学会、1999.6. ーシステム・経済コンファレンス論文集,エネルギー資源学会, 3)「気候変動枠組条約・同条約補助機関会合(AGBM、 2000.1. SBATA、SBI、COP等)資料」1996から2000年(同条約事 18)周 務局 http://www.unfccc.del) 生、アジア環境報告、技術移転、日中合弁形式で、 日本経済新聞「経済教室」、日本経済新聞社、1997.11.24. 4)(財)地球産業文化研究所、地球環境2000―'01、ミオシ 19)松尾直樹、COP3以降の気候変動問題に関する国際的枠組 ン出版(2000)。 5)周 会第143回STスクエア「環境を配慮した途上国における エネルギー需給構造の予測」、2000.5. 編著、地球を救うシナリオ―CO 2削減戦略(共著)、日刊 2)周 生、中国のエネルギー事情―誰が中国にエネルギ 生、柳沢幸雄、黒沢厚志、藤井康正、山地憲治、 ―京都議定書のポイントと排出権取引の展望、(財)日本 エネルギー研究所、1998年。 河辺豊太郎、DNE21モデルによる日・中・北米3地域の 20)周 CO2排出動向に関するシミュレーション、エネルギー・資 生、CDM、先進国と途上国が利益の共有を,日本 経済新聞「経済教室」,日本経済新聞社,1999.10.8. 源、18-4、 P.82-88、 エネルギー・資源学会、1998.7. 21)Ellis, J., 1999, Experience with Emissions Baselines under 6)Y. Fujii and K. Yamaji, Assessment of technological options the AIJ Pilot Phase, OECD Information Paper, OECD. in the global energy system for limiting the atmospheric CO2 (http://wwww.oecd.org/env/docs/cc/epoc9923.pdf) concentration, Official Journal of the Society for 22)King, K. and J. Rubin, 1997,"Bankable Permits for the Environmental Economics and Policy Studies, Vol.1, 1998, Control of Environmental Pollution," Journal of Public 113-139, Springer-Verlag Economics, Vol.64, pp.101-115. 7)山地憲治,藤井康正,グローバルエネルギー戦略,電力新 報社(1995)。 8)(財)地球環境産業技術研究機構、「地球再生計画」の実 施計画作成に関する調査事業報告書、1999.3. −20−
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