2017年大統領選・利上げ後の 米国経済、株、為替見通し 投資戦略部 壁谷 洋和 2016年のマーケット振り返り 主要株価指数の推移 115 (15年末=100) 110 105 100 95 90 85 80 75 NYダウ 日経平均 FTSE100 DAX 上海総合 (月/日) 70 12/1 1/5 2/8 3/11 4/14 5/18 (出所)Bloombergより大和証券作成 (注)2015年末を100として指数化 6/21 7/25 8/26 9/29 11/2 12/6 米大統領選以降の3つのマネーフローの変化 ① 債券から株式へ ② 新興国から先進国へ ③ ニューエコノミーから オールドエコノミーへ 米大統領選後のマネーフローの変化 米大統領選以降の3つのマネーフローの変化 120 米長期金利とドルインデックスの推移 (%) (15年末=100) NYダウ(左軸) 115 米大統領選前後の米国株のパフォーマンス 2.8 2.6 米長期債利回り(右軸) 金融 2.4 110 2.2 105 産業用財・サービス 2.0 100 通信サービス 1.8 95 1.6 90 エネルギー 1.4 (年/月) 85 1.2 16/1 2 3 4 5 (出所)Bloombergより大和証券作成 6 7 8 9 10 11 消費- シクリカル 米大統領選後1ヶ月間の主要株価指数の騰落率 8% 素材 12 テクノロジー 6% 4% 不動産 2% ヘルスケア 0% 大統領選後1ヵ月 消費ディフェンシブ -2% 10月~大統領選直前 -4% 公益 -6% 日本 米国 ドイ ツ 中国 英国 南ア ブ ラ ジル インド フィリピ ン メキシコ (出所)Bloombergより大和証券作成 (注)日:日経平均、米:NYダウ、ドイツ:DAX 中国:上海総合、英国:FTSE100、南ア:TOP40、ブラジル:ボベスパ、インド:センセックス、フィ リピン:フィリピン総合、メキシコ:ボルサ -10% -5% (出所)大和証券作成 0% 5% 10% 15% 20% 米景気は個人消費主導で安定的に拡大 実質GDP成長率と項目別の寄与度(前期比年率) 6 4 2 0 -2 -4 個人消費 設備投資 住宅投資 純輸出 政府支出 実質GDP成長率 在庫 -6 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 2011 (出所)米BEAより大和証券作成 2012 2013 2014 2015 2016 米国の雇用環境は順調に回復 80 非農業部門雇用者増加数と失業率 (万人) (%) 11 10 4.0 9 3.5 20 8 3.0 0 7 2.5 -20 6 2.0 5 1.5 4 1.0 3 0.5 2 0.0 60 失業率(右軸) 3ヵ月移動平均 40 -40 非農業部門雇用者増加数(前月比、左軸) -60 -80 平均時給とインフレ率 4.5 (前年同月比,%) 平均時給 3ヵ月移動平均 インフレ率(PCEコア) (年) -100 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) 17 07 08 09 10 11 (出所)トムソン・ロイター等より大和証券作成 (出所)トムソン・ロイター等より大和証券作成 FOMCメンバーによる経済見通し(16年12月) Median Central tendency Variable Change in real GDP September projection Unemployment rate September projection PCE inflation September projection Core PCE inflation September projection Federal funds rate September projection 250 Range 2016 2017 2018 2019 Longer run 1.9 2.1 2.0 1.9 1.8 1.8-1.9 1.9-2.3 1.8-2.2 1.8-2.0 1.8-2.0 1.8-2.0 1.7-2.4 1.7-2.3 1.5-2.2 1.6-2.2 1.8 2.0 2.0 1.8 1.8 1.7-1.9 1.9-2.2 1.8-2.1 1.7-2.0 1.7-2.0 1.7-2.0 1.6-2.5 1.5-2.3 1.6-2.2 1.6-2.2 4.7 4.5 4.5 4.5 4.8 4.7-4.8 4.5-4.6 4.3-4.7 4.3-4.8 4.7-5.0 4.7-4.8 4.4-4.7 4.2-4.7 4.1-4.8 4.5-5.0 4.8 4.6 4.5 4.6 4.8 4.7-4.9 4.5-4.7 4.4-4.7 4.4-4.8 4.7-5.0 4.7-4.9 4.4-4.8 4.3-4.9 4.2-5.0 4.5-5.0 1.5 1.9 2.0 2.0 2.0 1.3 1.9 2.0 2.0 2.0 1.7 1.8 2.0 2.0 1.7-1.8 1.8-1.9 1.9-2.0 2.0 1.6-1.8 1.7-2.0 1.8-2.2 1.8-2.2 1.7 1.8 2.0 2.0 1.6-1.8 1.7-1.9 1.9-2.0 2.0 1.5-2.0 1.6-2.0 1.8-2.0 1.8-2.1 0.6 1.4 2.1 2.9 3.0 0.6 1.1 1.9 2.6 2.9 (出所)FRBより大和証券作成 2016 1.5 2017 2018 2019 Longer run 2016 2017 2018 2019 1.7-2.0 1.9-2.0 2.0-2.1 2.0 1.5-1.6 1.7-2.0 1.8-2.2 1.8-2.2 2.0 2.0 1.1-1.7 1.5-2.0 1.8-2.0 1.8-2.1 2.0 1.1-1.6 1.9-2.6 2.4-3.3 2.8-3.0 0.6 13 14 15 16 17 非農業部門雇用者増加数 月別平均 (千人) Longer run 1.2-1.4 1.7-1.9 1.8-2.0 1.9-2.0 0.6 12 0.9-2.1 0.9-3.4 0.9-3.9 2.5-3.8 0.6-0.9 1.1-1.8 1.9-2.8 2.4-3.0 2.8-3.0 0.4-1.1 0.6-2.1 0.6-3.1 0.6-3.8 2.5-3.8 200 150 100 50 0 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 (出所)トムソン・ロイターより大和証券作成 (注)2010~2015年の平均 9月 10月 11月 12月 トランプ次期大統領の経済政策とは トランプ次期大統領が選挙中に主張した主な経済政策 トランプ氏の経済政策 期待される効果 政策の決定・権限の所在 法人税 最高税率の引き下げ(連邦法人税35%⇒15%)。米国企業の 生産拠点の米国回帰。設備投資 海外利益余剰金を国内に還流(レパトリ減税)。 増、株主還元強化。 議会での立法が必要。時限立法の場合、上下両院で過半数の賛 成で成立。恒久化の場合、上院で3/5以上の賛成が必要(その場合 民主党の一部の賛成も必要)《注1》。 個人税 所得税の最高税率引き下げ(39.6%⇒33%)。所得税率簡素 化(適用所得区分7→3段階へ)。相続税の廃止。 議会での立法が必要。時限立法の場合、上下両院で過半数の賛 成で成立。恒久化の場合、上院で3/5以上の賛成が必要(その場合 民主党の一部の賛成も必要)。 税 制 個人消費拡大。 雇用 インフラ投資や製造業の国内生産増で10年間で2,500万人の 個人消費拡大。 雇用創出。年率3.5%の実質GDP成長率を実現. 議会での立法が必要。上院で3/5以上の賛成が必要(その場合民 主党の一部の賛成も必要)。 貿易 TPPを離脱。NAFTA再交渉。中国を為替操作国に指定。中 国に45%、メキシコに35%の関税を課す。 生産拠点の米国回帰。国内製品 保護。 TPPは就任初日に大統領が離脱表明すると予告。NAFTA脱退は大 統領の権限で一方的通告が可能《注2》。 為替操作国認定は財務省が行う。 商務長官は、貿易相手国がダンピングを行っている場合、報復関税 をかける権限あり。 オバマケアの修正。 クリントンの薬価高騰対策に対す 議会での立法が必要。上下両院で過半数の賛成で成立。 る懸念払拭。 老朽化したインフラ投資への大型投資(1兆ドル)。 建設・建機・素材需要拡大。 金融規制 ドッド・フランク法の緩和・廃止。 金融機関に対する高リスクの金融 議会での立法が必要。上院で3/5以上の賛成が必要(その場合民 取引への規制緩和。 主党の一部の賛成も必要)。 規制緩和 パリ協定からの脱退・無効化。化石燃料の採掘規制緩和。 カナダからの石油パイプライン承認。 石油・天然ガス産業に恩恵。 パリ協定脱退は4年間の待機期間を経ないと脱退出来ないと言われ ている。カナダからの石油パイプライン承認は国務長官の権限。環 境規制撤廃は議会での立法が必要。 不法移民追放、メキシコ国境に壁。特定国からの移民受け入 れ厳格化。 米国民雇用・消費の拡大。 メキシコの壁建設は議会での立法が必要。上院で3/5以上の賛成 が必要(その場合民主党の一部の賛成も必要)。移民受け入れ厳格 化は国家安全保障省の権限。 社会保障 インフラ投資 移民 議会での立法が必要。上院で3/5以上の賛成が必要(その場合民 主党の一部の賛成も必要)。 (注1)米議会は上院が共和党52議席、民主党48議席。過半数51議席、3/5が60議席。共和党は過半数に達しているが、3/5に8議席足りない。一方、下院は共和党240議席、民主党 194議席、未確定1議席。過半数218議席。共和党は過半数に達している。 (注2)NAFTAは基本的に関税がないが、仮にNAFTAを脱退した場合、メキシコから米国への輸出品目にはWTO加盟国に適応される最恵国税率(多くを占める非農産品は2.1%、農産 品は5.3%)がかかることになる。トランプ政権はその後(同時に?)、メキシコに対しアンチダンピング関税として35%の関税を設ける意向と思われる。 (出所)各種資料より大和証券作成 利上げ実施で住宅販売の拡大ペース鈍化も高原状態は続く 米新築・中古住宅販売の推移 600 (万戸) (万戸) (%) 住宅ローンの貸出基準 80 中古住宅販売(左軸) 500 50 450 40 400 30 減少←【借入需要】→増加 60 緩和=積極的←【貸出基準】→強化=慎重 新築一戸建て住宅販売(右軸) 550 住宅ローンの貸出基準と借入需要に対するスタンス 100 70 借入需要は やや後退 住宅ローンの借入需要 60 40 20 0 -20 -40 融資基準は 引き続き緩和的 -60 350 20 11 12 13 14 15 (年) 16 -80 20051 (出所)Bloombergより大和証券作成 20071 20081 20091 20101 20111 20121 20131 20141 20151 20161(年) 住宅取得能力指数の推移 持家比率の推移 70 20061 (出所)Haver Analyticsより大和証券作成 240 (%) 220 69 200 68 67 180 66 160 65 140 64 120 63 100 62 (年) 00 01 02 03 04 05 06 (出所)Bloombergより大和証券作成 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (年) 80 05 06 07 08 09 (出所)Bloombergより大和証券作成 10 11 12 13 14 15 16 適度な金融引き締めなら消費の急減速は回避可能 米新車販売台数の推移 2000 消費者信頼感指数の推移 120 (万台) 1800 1600 110 ミシガン大学 100 カンファレンスボード 90 1400 80 1200 70 1000 60 50 800 40 600 30 400 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) 20 (年) 07 (出所)トムソン・ロイターより大和証券作成 (注)年換算値 08 09 10 11 12 13 14 15 (出所)Bloombergより大和証券作成 小売売上と株価・住宅価格の関係 まだら模様の米個人消費 15 60 (前年比:%) (前年比:%) 10 40 5 20 0 0 -5 -20 小売売上(左軸) S&Pケースシラー住宅価格指数(左軸) NYダウ(右軸) -10 -40 (年) -15 96 98 00 02 (出所)Bloombergより大和証券作成 04 06 08 10 12 14 16 -60 やや不調 ① 高額消費 (ドル高) ② 旅行関係 (ジカ熱、テロ) ③ デパート (オンラインへの移行) 比較的好調 ① 家周り (HP) ② 倹約消費 (DG、TJX) →△ ③ Eコマース (AMZN) ④ こだわり消費 (FL、化粧品) (出所)大和証券作成 16 米企業業績は7-9月期に5四半期ぶりの増益転換へ S&P500増益率予想の推移 業績見通しの変遷 60 16 (%) +206% コンセンサス予想 50 (%) 14 12 40 10 30 8 6 20 4 10 2 16Q2: -2.1% 0 16Q1: -5.0% -10 14Q3 15Q1 15Q3 16Q1 16Q3 -2 -4 -6 -20 (年) -30 ? 0 16Q3: +4.2% -8 14/4 -36% 09 10 11 12 13 14 15 16 14/7 14Q4 15Q2 15Q4 16Q2 16Q4 14/10 60% ヘル ス ケア 50% 公益 40% 11/4の水準で 横ばい推移を 仮定して推計 0% -20% ドル・インデックス -30% 素材 -40% 不動産 -50% 329% エ ネル ギ ー WTI原油 (年/月) -60% 13/1 -30 -20 -10 16/10 -10% S&P500 -40 16/7 10% 通信サー ビ ス -50 16/4 20% 産業用-財・ サー ビ ス -60 16/1 30% 消 費 - デ ィフ ェン シ ブ 金融 -70 15/10 ドル・インデックスとWTI原油価格の前年比 消 費 - シ ク リカ ル テクノロ ジー -80 15/7 (出所)トムソン・ロイター等より大和証券作成 (注)11/18時点。 2016年/2017年 通期 セクター別増益率 2017年 15/4 17 (出所)トムソン・ロイター等より大和証券作成 (注)11/18時点。 2016年 (年/月) 15/1 0 10 20 (出所)トムソン・ロイター等より大和証券作成 (注)11/18時点。増益率は1株あたり利益ベース 30 4 7 10 14/1 4 7 (出所)Bloombergより大和証券作成 10 15/1 4 7 10 16/1 4 7 10 17/1 4 7 金融引き締め局面でのバリュエーション拡張も S&P500 予想PER S&P500の年間騰落率とPER・EPS変化の寄与 40% 25 (倍) 30% 20 20% 10% 1985年以降の平均 0% 15 -10% 同 ITバブル期除く 10 -20% EPS寄与 PER寄与 年間騰落率 -30% (年) 5 85 87 89 91 93 95 97 99 01 03 05 07 09 11 13 -40% 15 86 (出所)トムソン・ロイターより大和証券作成 (注)12ヵ月先予想利益ベース 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 (年) (出所)トムソン・ロイターより大和証券作成 NYダウとS&P500の 年間騰落率 S&P500の推移とバリュー/グロース選好 2250 30 2000 20 1.2 1750 10 1.1 1500 0 1.0 1250 -10 1000 -20 750 -30 500 -40 1.4 88 (%) グロース優位 1.3 バリュー優位 *S&P500の 11年は-0.0% グロース/バリュー(左軸) 0.9 S&P500(右軸 ,pt) 0.8 NYダウ S&P500 (年) (年) 0.7 07 08 09 10 (出所Bloombergより大和証券作成 11 12 13 14 15 16 17 01 02 03 04 05 (出所)Bloombergより大和証券作成 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 「高圧経済」実現なら株価上振れも 株価予想レンジ NYダウ 期末値 (ドル) 16年 10-12月期 E 17年 1-3月期 E 4-6月期 E 7-9月期 E 10-12月期 E 19,500 20,000 18,000 19,500 21,000 17,000 ~ 18,500 ~ 17,000 ~ 17,500 ~ 18,500 ~ 予想レンジ 20,000 ナスダック 期末値 (ポイント) 5,400 4,800 ~ 21,000 19,500 20,500 22,000 5,500 5,100 5,400 5,700 5,200 ~ 4,900 ~ 5,000 ~ 5,200 ~ 予想レンジ 5,500 S&P500 期末値 (ポイント) 2,250 2,000 ~ 5,700 5,400 5,600 5,900 2,300 2,100 2,250 2,400 2,050 ~ 2,000 ~ 2,050 ~ 2,150 ~ 予想レンジ 2,300 (出所)大和証券作成 2,300 2,250 2,350 2,500 為替は円安方向に/17年のドル円レンジは105~120円 • 日米の金融政策の方向性の違い、金利差もさることながら、 円に対する実需の観点からは円安シナリオが描ける。 • 資源(原油)価格の上昇とともに、17年のドル円相場はジリ安となるイメージ。 CRB指数とドル円相場の推移 260 円の実需とドル円相場の関係 円 ※CRB指数:各種商品先物価格から算出される国際商品価格指数 130 1ドル=円 25000 60 ※対外直接投資は資金流出額で表示 125 240 億円 20000 70 15000 16/12/21 220 10000 115 80 円高 120 円安 90 2016年 9月 末 101円 35銭 5000 100 200 110 0 110 -5000 180 CRB指数(左軸) 160 ドル円(6ヵ月遅行、右軸) 140 105 120 -10000 100 95 -15000 A+B(左軸) 経常収支(12ヵ月移動平均、左軸、A) ネット対外直接投資(12ヵ月移動平均、左軸、B) ドル円(右軸、1年遅行) -20000 2007 140 2008 2009 15/1 15/3 15/5 15/7 15/9 15/11 16/1 16/3 16/5 16/7 16/9 16/11 17/1 17/3 年/月 (出所)各種資料より大和証券作成 130 (出所)各種資料より大和証券作成 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 年
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