環境・社会報告書 - 岩谷産業株式会社|Iwatani

環境・社会報告書
Sustainability Report 2013
経営者からのメッセージ
ガス&エネルギーの未来を切り拓き、
社会の発展に貢献してまいります。
岩谷産業は、産業や暮らしを支えるガス&エネルギーを事業の核とする総合エネルギー企業として、
LPガスや水素ガスをはじめ、
各種工業ガスの安定供給に取り組んでいます。今や、環境問題は地球規模で語られる大きな課題ですが、地球環境を守りながら、
資源を確保し、
エネルギーの安定供給を図らなければならない難しい時代でもあります。
そんな中、当社の基幹ビジネスであるLPガスは、都市ガスや電力と並び広く世の中に普及しており、
とりわけ東日本大震災を機に、
災害に強い分散型エネルギーとして注目を集めています。現在、
その調達は中東からの輸入が主ですが、
これらに加え、新たに
米国からシェールガス由来のLPガスの輸入契約を行うなど、
ソースの多様化に努めています。当社はLPガスのサプライヤーとして、
有事の際に都市機能を維持し、
ライフラインを確保する為に、単一エネルギーに依存しないリスク分散型のエネルギーインフラ社会
の実現を目指しています。災害時にエネルギーの安定供給を図るには、平時から複数のエネルギー源を確保することが重要であり、
都市ガスや電気と、LPガスを併用することが有効な手段となります。現在、非常時に安定供給の拠点となる基幹LPGセンターを整備
中ですが、本年度中に全国38ヵ所の整備を完了する予定で、
タンク基礎の耐震強化やLPガス発電機の設置、
オートガススタンドの
併設を推進、合わせて災害用バルクの普及にも取り組んでおります。すでに全国310万世帯にご利用いただいている当社のLP
ガスブランド
『Marui Gas』
は、
おかげさまで今年発売60周年を迎え、
その販売ネットワークは益々強化されています。
一方、究極のクリーンエネルギーといわれる水素への取り組みも、既に半世紀以上の歴史を重ねており、
いよいよエネルギーとして
広く世の中に普及する段階に入りました。既に実証試験に入った北九州水素タウン、2015年に迫った燃料電池自動車
(FCV)
の
本格販売開始など、水素社会の扉が開かれる瞬間がすぐ目の前に迫っています。
そのような中、水素の大量製造・大量輸送・大量消費時代に備え、大阪府堺市、千葉県市原市に続き、本年6月に当社三番目の
液化水素製造拠点となる
『山口リキッドハイドロジェン』
を山口県周南市に竣工、本プラントの稼働開始により、万全の供給体制が
整い、今後は、
FCV用のインフラの要と
なる水素ステーションの拡充を始め、
更なる技術改善と利用技術の開発に
注力することになります。
また、需要が増大するヘリウムはカタ
ールからの輸入権益を獲得、
これまで
のアメリカ産に加え、輸入ルートに大き
な安定供給の道が拓けました。ガス&
エネルギーに関する幅広い技術開発を
目指し、今年は新しい技術拠点『中央
研究所』
を開設、
「技術のイワタニ」
とし
ても新たな一歩を踏み出します。多くの
お客様との共同研究・委託実験・技術開
発など、
「技術のワンストップサービス」
を提供すべく、課題解決や新商品開発
を進めて参ります。
当社は、
いつの時代にも
「世の中に必要
とされる企業」
として、広くエネルギー
社会の未来を見据えながら、
ガス&エネ
ルギーの可能性を探求し続けます。
代表取締役会長 兼 CEO
代表取締役社長
CONTENTS
経営者からのメッセージ
01
岩谷産業環境方針
環境憲章
岩谷産業環境方針
岩谷産業は「ガス&エネルギー」を企業コンセプトに、LP
ガス、各種高圧ガスを中心とし、生活商品、食品、機械、溶接
材料、電子機器、金属、化学品、鉱産物など広範な事業を
展開しています。
当社はこれら全ての事業活動において、
「イワタニグループ
環境憲章」の精神に則り、地域社会との共生に努め、循環型
社会の構築に貢献します。
1. 資源を有効利用するための技術、社会の持続的発展に寄与する
新エネルギーの研究・開発ならびに、環境良品の普及拡大を通じ
て、温暖化をはじめとする地球環境の負荷低減に努めます。
2. 事業の諸活動を通じて、省資源・省エネルギー及び廃棄物の低減
に努めます。
特集
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
社会の必要に応え、未来に挑む
新しい技術の創造 − R&Dの強化
新しい技術の創造 − コラボレーション
新しい技術の創造 − 広く社会へ向けて
スマートコミュニティへの挑戦
FCV時代の幕開け
災害に強い社会の構築
エネルギーソリューションの提供
環境負荷の低減
希少資源の確保
3. 環境関連法規および、当社が同意する環境に係わる要求事項を
遵守します。
4. 環境目的および目標を設定し見直すことにより、環境マネジメント
システムの継続的な改善を推進し、汚染の予防に努めます。
5. 当社および、
グループ全社員に対し環境啓発・教育を実施します。
2012年7月26日
岩谷産業株式会社
代表取締役社長 野村 雅男
環境憲章
マネジメント
12
コーポレートガバナンス
社会報告
13
地域社会
海外支援活動
14
技術支援活動
お客様とともに
15
お客様への情報発信
社員の尊重
環境報告
16
18
環境マネジメントシステム
環境パフォーマンスデータ
データ集
掲載しています。
【参考にしたガイドライン】
環境省:環境報告書ガイドライン
(2012年度版)
GRI:サスティナビリティ・リポーティング・ガイドライン第3.1版
20
21
21
財務データ
環境年表
会社概要
Sustainability Report 2013
本報告書は、
イワタニグループの2012年度の活動を
1
特集
社会の必要に応え、未来に挑む
イワタニの今を語ること。それは明日の社会を語ること
「世の中に必要なものこそ栄える」
―この企業理念のもと、
イワタニは社会がもとめる技術や製品を長期的な視野でとらえ、
その実現を事業活動の根幹に据えています。ガス&エネルギーを核にした多岐にわたる取り組みは、着実に成果をあげ、
社会の課題やニーズに応えています。
クリーンエネルギーの普及。低炭素社会の追求。その先にある水素エネルギー社会の実現。日本の社会がめざす未来は、
その大きな鍵をエネルギーが握っています。総合エネルギー企業であるイワタニは、事業活動を通して、めざす未来を引き
寄せる力になりたいと考えています。
新しい技術の創造
スマートコミュニティへの挑戦
希少資源の確保
社会とともに。イワタニの取り組み
環境負荷の低減
Sustainability Report 2013
2
エネルギーソリューションの提案
FCV時代の幕開け
災害に強い社会の構築
新しい技術の創造 ― R&Dの強化
新しい技術やイノベーションを生み出すためには、
新しい技術やイノベ
シ ンを生み出すためには 種を蒔き
種を蒔き、育てる「環境」が必要です
育てる「環境」が必要です。
イワタニは、最新の設備・機器を揃え、人・技術・叡智の交流を促す、社会に開かれたR&Dセンターを誕生させました。
イワタニの取り組み
イワタニの新しい技術拠点
「中央研究所」
が活動を開始
2013年4月、イワタニの新しい技術拠点「中央研究所」
が、兵庫県尼崎市に
完成しました。中央研究所は、
イワタニの技術力を集約し、独自の発想で技術の
ブレークスルーをめざすとともに、
さまざまな企業・機関との共同研究にも取り
組み、広く社会に貢献できる要素技術を開発することを大きな目的としています。
初代所長には、奈良先端科学技術大学院大学の前理事・副学長であり、有機
合成化学・触媒化学分野における世界的権威である村井眞二氏を招聘。その
幅広い知見を仰ぎながら、未来を見据えた真に社会に貢献できる技術の研究・
開発に取り組んでいきます。
中央研究所全景
CASBEE
(建築環境総合評価システム)
のSランクを取得
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3
新しい技術の創造 ― コラボレーション
急がれるエネルギーや環境問題の解決。
急がれるエネルギ
や環境問題の解決 企業や組織の枠を越え
企業や組織の枠を越え、
さまざま
さまざまな叡智を結集することが重要な時代。
まな叡智を結
結集することが
が重要
イワタニは、新たな可能性を生むコラボレーションにも力を入れています。
イワタニの取り組み
技術のワンストップサービスを提供する中央研究所
中央研究所は、顧客やパートナー企業の要請に基づく共同研究、委託実験、
技術支援やコンサルティングなど、技術のワンストップサービスを提供します。
その要は最先端の実験・計測設備。世界でもトップレベルの各種分析装置を
揃え、
とりわけ液化水素に関しては、民間では国内最高レベルの研究拠点です。
○超高圧・極低温。他に類を見ない
「環境」
先進の技術を生み出す実験に必要なのは
「極限」
を見極める環境。中央研究所には、
超高圧水素実験室
機器や設備の実用試験に活用できる大型の実験室、恒温・恒湿環境をつくりだす
設備、超高圧での水素実験室や極低温など、多様な試験環境が整っています。
○先端の研究課題に対応する分析装置
半導体製造で使われる特殊材料ガスの分析、
ナノテクノロジーの進展を左右する
ナノスケール分析、世界トップレベルの高純度ガスを管理できる分析装置など、
次代を切り開く技術を正確にコントロールするための最新・高精度分析装置が用意
されています。
○各種公的認定を取得
特殊材料ガス実験室
中央研究所は、環境計量証明事業所の登録をはじめ、国際的な試験所としての
証明となるISO17025の認定も取得。広く社会に開かれた公的分析センターと
しての信頼性も確保しています。
多岐にわたる企業・大学等と共同研究・開発を推進
商社でありメーカーでもあるイワタニは、社会のニーズをキャッチする情報力と、
さまざまな問題を解決する技術力の両方を備えています。イワタニは、
そのふたつ
液化水素実験設備
環境試験室
(恒温・恒湿環境)
の
「顔」
を活かし、大学・公的研究機関、行政団体、
さまざまな企業と積極的にコラ
ボレーション。中央研究所には、
その活動をサポートする環境が整っています。
○オープンな実験室
共同研究・開発を行うパートナーと、多様な試験・分析機器での実験を共有できる
オープンな実験室を設けています。
超高圧
(100MPa)
水素コンプレッサー X線光電子分光分析装置
○デモンストレーションルーム
新たな市場の芽吹きを促すために、小規模な実験を気軽に始められるデモテスト・
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4
サービスを提供。
イワタニの経験豊富なスタッフが実験をサポートします。
○人と人とのコラボレーション
考え方やビジョンを共有するためには、人と人のより深いコミュニケーションが
不可欠。中央研究所には学会、講演会を開くことも可能な会議室やプレゼンテー
ションルームが設けられるなど、人と人とのコラボレーション環境が整っています。
クリーンルーム
プレゼンテーションルーム
新しい技術の創造 ― 広く社会へ向けて
多くの人が活用してこそ生きる、新しい技術
多くの人が活用してこそ生きる
新しい技術。そのために必要な情報の発信
そのために必要な情報の発信、
コミ
コミュニケーションやト
ニケ シ ンやトレ
レーニング。
ニ
イワタニは、
さまざまな機会を通して、人と技術、技術と社会のつながりを深めています。
小学校で開催した
「水素エネルギー教室」
イワタニの取り組み
新しい技術を社会へ向けて発信
中央研究所は、新しい技術を広く社会へ向けて発信する役割も担います。たと
えば、
エネルギー・産業ガス・溶接のデモンストレーションルームを備え、多様な
ガスの機能をガラス張りでご紹介。技術の特長や機能・役割を社会との関わり
の中で提示しています。中央研究所は、そのエネルギー運用においても、
これ
からのあるべき姿を実践しています。水素・LPガス・太陽光・電気という4つの
供給源を組み合わせて効率化。
また、様々な実験で使用された水素を回収し、
溶接技術デモンストレーションルーム
燃料電池により電気に再利用するなど、新しい技術やエネルギー運用のあり
方を
「見える化」
して発信しています。
社会との接点を大切にした活動
中央研究所が持つ技術力を、より幅広く社会に役立てていただくために、
イワタニでは、高圧ガスの取扱講習会などのノウハウ提供も行っています。
高圧ガス取扱講習会
テクニカルサービスカー
また、社会との接点を広げるため、
ユーザーの要望に迅速に対応するテクニカル
サービスカーを運用。ガスに関する万一のトラブルに対する原因調査や現場に
出向いての分析サービスなど、技術の側面からさまざまな課題を明らかにし、
迅速な解決をはかっています。中央研究所は、ユーザーの声を新たな技術や
製品につなげていく知恵の循環を促す役割も果たします。
「サイエンスフェスタ」
の様子
燃料電池車の試乗会
次代の社会を担う子どもたちのために
イワタニは、未来を担う子どもたちに科学の面白さと大切さを伝える取り組み
にも力を入れています。文部科学省の後援を受けて新聞社が主催する、青少年
のための科学の祭典
「サイエンス・フェスタ」
ではサイエンス教室を開催。
また、
小・中・高等学校向け理科教育用WEB教材
「理科ネットワーク」
を提供するなど、
Column
過去最大の参加者を集めた、
イワタニ水素エネルギーフォーラム
(大阪)
幅広い科学技術の浸透に努力しています。さらに、世界でも類を見ない液化
イワタニ水素エネルギーフォーラム
オゾン生成の実験をはじめ、実施困難な実験・観察データの公開や、水素社会
イワタニは、水素社会の実現へ向けたネットワークづくり
実現へ向けた水素エネルギー社会の意義など、公的機関では補えない、現実
を進めるため、毎年
「水素エネルギーフォーラム」
を開催、
に根ざした教育への貢献を行っています。
すでに7回を数えています。2012年も東京と大阪で
ティにおける水素利用について」
をテーマに、民間企業・
大学・行政・NPOなど幅広い分野から多くの参加者を
集め、活発な討議と交流がはかられました。
Sustainability Report 2013
開催。東京では
「エネルギーベストミックスに向けた水素
の役割」
をテーマに、
また、大阪では
「スマートコミュニ
5
スマートコミュニティへの挑戦
水素と再生可能エネルギーによって、
水素と再生可能エネルギ
によ て 社会システムを支え
社会システムを支え、環境との共生を図る次世代の街、
環境との共生を図る次世代の街 スマートコミュニティ。
イワタニは、
その実証試験プロジェクトに参画し、水素エネルギーの実用化に取り組んでいます。
北九州水素タウン/事業主体:福岡県・北九州市・HySUT
(水素供給・利用技術研究組合)
イワタニの取り組み
3年目を迎えた世界初
「水素タウン」
の実証試験
イワタニは、2011年1月から
「北九州水素タウン」
の実証試験に参画。本プロジェクトは、
新日鐵住金の製鉄工程で発生する水素を1.2kmのパイプラインで市街地へ送り、純水素
型燃料電池に水素を直接供給して発電。公共施設・店舗・住宅のエネルギーを水素でまか
なうコミュニティ規模の実証試験です。地域内には水素ステーションが建設され、燃料
電池自動車や燃料電池搭載の自転車が走るなど、水素エネルギー社会をひと足先に実現
したモデルタウンとして注目されています。イワタニは純水素型燃料電池の運転実証と
周辺技術の検証を行い、水素エネルギーの実用化へ向けた課題に取り組んでいます。
北九州水素ステーション
「水素タウン」
から
「スマートコミュニティ」
へ
北九州水素タウンに隣接する地区
(昼間人口約6,000人)
では、市と企業が力を
北九州スマートコミュニティ創造事業
水素による電力貯蔵システム
合わせ
「北九州スマートコミュニティ創造事業」
が進行中です。イワタニが2012年
より参画する本プロジェクトは、2万kWの電力が供給されているエリア内に、
余剰電力
水素
熱
(給湯利用)
水素
1,000kWのメガソーラー発電、400kWの燃料電池、小型風力等を整備し、10%
電力
水電解水素製造装置
水素貯蔵タンク
の新エネルギー社会を構築。スマートグリッドを導入し、電力の供給と需要の管理
制御を行う地域エネルギー管理システム
「CEMS
(City Energy Management
System)
」
によって、地域全体のエネルギー効率を向上させるスマートネットワーク
固体高分子形
燃料電池
東田の愛香苑
(高齢者介護施設)
水素/燃料電池システム
(
「水素タウンプロジェクト」
との連携)
熱
(空調で利用)
水素
の実証が行われています。イワタニは燃料電池、水電解装置、水素貯蔵タンクを
設置。地域の電力が余るときは余剰電力で水素を作って貯蔵し、電力不足のときは
燃料電池で発電する
「水素による電力貯蔵システム」
の実証を行っています。水素
/燃料電池を活用し、
「CEMS」
との連携により地域エネルギーの需給バランスを
電力
100kW級りん酸形
燃料電池
いのちのたび博物館
北九州スマートコミュニティ創造事業の図
調整する試みは、
スマートコミュニティにおける水素の役割を検証するものです。
水素の需要増に、安定供給で応える
イワタニは水素の大量消費時代に備え、安定供給にも取り組んでいます。
2011年、大手化学メーカー
「(株)トクヤマ」
と合弁会社
「山口リキッドハイドロジェン
(株)」
を設立。
トクヤマ徳山製造所
(山口県周南市)
で発生する水素を利用した
液化水素製造プラントを建設し、2013年6月より稼働しました。本プラントは
山口リキッドハイドロジェン(株)の液化水素製造プラント
年間24万リットルの製造能力を有し、半導体などの産業用の他、将来的には
Sustainability Report 2013
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ロケット燃料や燃料電池車向けの出荷を見込んでいます。新プラント完成により
イワタニの液化水素製造プラントは、大阪府堺市の
「(株)ハイドロエッジ」
、千葉県
市原市の
「岩谷瓦斯(株)千葉工場液化水素製造プラント」
と合わせて3ヵ所となり、
製造能力の増強、西日本へのスピーディな供給体制が整いました。全国をカバー
する水素供給体制は、水素エネルギー社会のインフラとしても寄与します。
[スマートコミュニティ]
再生可能エネルギーやスマートグリッドの導入によって、あらゆる社会イン
フラの統合的な管理・最適制御を実現し、快適な生活と環境との共生を
図った次世代のコミュニティ。スマートシティとも呼ばれる。
[スマートグリッド]
送電網の一部に専用の機器やソフトウェアを組み込むことにより、電力の
流れを供給側・需要側双方から制御し、最適化する次世代送電網。
FCV時代の幕開け
水素で走るFCV
水素で走
走るFCV
(燃料電池自動車)
(燃料電
電池自動車)CO
。CO2をま
をまったく排出しない究極のエコカーが公道を走り始めています。
たく排出しない
イワタニは、
その普及のカギを握る水素ステーションの整備を進めています。
とよたエコフルタウン水素ステーションとトヨタ自動車
(株)
の燃料電池自動車
「FCV-R」
イワタニの取り組み
イワタニの水素供給インフラ
水素ステーション20ヵ所を先行整備
自動車メーカー各社の技術開発により、性能の向上と大幅なコストダウンが実現しつつ
あるFCV
(燃料電池自動車)
。2015年には一般ユーザーへ向けた販売が開始される
岩谷産業
(株)
中央研究所
水素ステーション
(株)
ハイドロエッジ
時代の幕開け。しかし、普及には課題も残されています。その一つが水素の供給イン
フラである水素ステーションの整備です。イワタニをはじめとする水素供給事業者は
岩谷瓦斯
(株)
千葉工場
液化水素
製造プラント
JHFC有明
水素ステーション
予定で、究極のエコカーに対する期待は一段と高まっています。間近に迫ったFCV
JHFC関西空港
水素ステーション
山口リキッドハイドロジェン
(株)
国の補助を受けながら、4大都市圏を中心に、2015年までに水素ステーション100ヵ所
の先行整備をめざしています。イワタニは、
そのうち20ヵ所の整備を行います。
埼玉県庁ソーラー水素ステーション
ステーションのコストダウンに取り組む
とよたエコフルタウン水素ステーション
水素ステーションの建設・運用に関して、イワタニは、2012年までに4ヵ所の実績を
北九州水素タウン
(北九州水素ステーション)
水素工場
有しています。しかし、今後、数多くの水素ステーションを整備するには、建設・運用コスト
の低減が不可欠であり、イワタニも独自の取り組みを進めています。来春には、尼崎市の
「中央研究所」敷地内に、
ドイツ・リンデ社のパッケージ型水素ステーションを導入した
新しい水素ステーションを開設します。本ステーションは、イオニック液を使って水素
ガスを圧縮するイオニック式コンプレッサーの採用により、省スペース・省動力を実現。
また、予め工場内で機器・配管一式をコンテナ内にセットしたパッケージ型であるため、
設置面積の縮小、工事期間の短縮とコスト削減が可能となります。イワタニでは、この
リンデ社の水素ステーションを日本国内の規制に適合させるため、1年以上をかけて
リンデ社のパッケージ型水素ステーション 岩谷産業「中央研究所」
に開設する水素ステーション
仕様変更に取り組んできました。イワタニが2015年へ向け先行整備する水素ステー
ションは、低コスト&ハイパフォーマンスを実現するこのモデルを基本としていく予定です。
設備フロー
FCバスにも対応する商用水素ステーション
ディスペンサを経て、FCVおよびFCバスに水素を充てんします。
都市ガスから水素を製造し、充てん装置
(大流量圧縮機)
、
[水素を作ります] [水素を圧縮して貯めます]
[水素を車両へ供給します]
イワタニは、HySUT(水素供給・利用技術研究組合)
とNEDO(独立行政法人新エネ
ルギー・産業技術総合開発機構)
との共同研究の一環として、愛知県豊田市の
「とよた
エコフルタウン」
内に、充填圧力70MPa
(メガパスカル)
の水素ステーションを東邦
ガス(株)とともに建設、2013年6月にオープンさせました。この
「とよたエコフルタウン
燃料電池バス
都市ガス
水素製造装置
プレ圧縮機
蓄圧器
充てん装置 ディスペンサ
(大流量圧縮機)
燃料電池自動車
とよたエコフルタウン水素ステーション
(都市ガス・オンサイト方式)
の設備フロー
水素ステーション」
は、日本初の都市ガス・オンサイト方式の水素ステーションで、水素
圧縮機からFCVへ直接圧縮水素ガスを送り込む
「直充てん方式」
を採用しています。
水素ステーションを導入することで、急速充填・省スペース・低コスト化を実現。FCV
だけでなく、FCバス
(燃料電池バス)
への充填にも対応。FCバスでも約10分で水素を
充填できる能力を有しています。イワタニは、本ステーションを商用水素ステーション
のモデルの一つと位置づけ、今後の整備に向けた総合的な実証を行ってまいります。
埼玉県庁敷地内に設置された
「ソーラー水素ステーション」
(2012年開設)
水素の製造から供給までのプロセスでCO2を一切排出しない日本初のシステム
Sustainability Report 2013
国内最大級となる大流量圧縮機が組み込まれたドイツ・リンデ社製のパッケージ型
7
災害に強い社会の構築
地震などの災害が起きた時、最も重要な課題はライフラインの確保です。
地震などの災害が起きた時
最も重要な課題はライフラインの確保です LPガスは、
L
ラインのいらないライフライン。
その災害に強いエネルギーとしての可能性をイワタニは、
さらに高めて提案しています。
耐震性を高めた基幹LPGセンター
イワタニの取り組み
災害時にもLPガスを供給し続けるために
イワタニは日本で唯一、産ガス国から消費者までの一貫供給ネットワークを有する
LPガスのトップサプライヤーです。容器を設置すればどこでも使用できるLPガスは、
東日本大震災を機に、災害に強いエネルギーとして改めて注目されています。
Column
災害に強いエネルギー
LPガス
イワタニは、災害時にもLPガスの供給が途絶えないよう、供給の要となる全国の
LPGセンター
(3次基地)
を、災害対応力を高めた
「基幹LPGセンター」
として整備する
取り組みを推進。2013年、その数は大都市近郊を中心に38ヵ所を予定しています。
LPガスの常用で高める、
暮らしの安心
LPガスは、災害に強い分散型エネルギーです。2007年
都市ガスエリアの安心を支えるLPガス
の新潟県中越沖地震では、都市ガスが復旧するのに
電気や都市ガスが途絶えた場合に備えて、日頃からLPガスを併用する動きが自治体・
しました。過去の災害は、単一エネルギーに依存すること
1ヵ月以上要したのに対し、LPガスは1週間で完全復旧
企業・病院などで進んでいます。
こうした動きに応えて、
イワタニはLPガスによる
の危うさを私たちに教えてくれます。都市ガスエリアにお
様々な災害対策機器を提案。導入が容易な災害対策として評価されています。
いても日頃からLPガスを使用し、万が一の災害に備える。
その重要性と有効性をイワタニは訴えていきます。
○LPガスの貯蔵・供給【災害対応型バルク貯槽】
大容量のLPガスを貯蔵できるバルク貯槽の耐震性を高め、ガス機器と直接接続できる
ガス栓等を一体化。災害に備える企業や地域のガス供給拠点として機能します。
○LPガスによる発電【非常用LPガス発電機】
災害後、電気や都市ガスが途絶えた状況下でも、
LPガスで災害時に電気・調理・暖房を担います
デンヨー(株)と共同開発したLPガスと電気の両方を供給できるシステム。新たに
災害対応型バルク貯槽
小型タイプを加え、小規模施設にも対応。非常時の電力確保は、病院や公共施設の
災害対策、企業のBCP
(事業継続計画)
対策に不可欠です。
○LPガスで炊き出し
【炊き出しステーション】
LPガス
災害時の炊き出しに必要なものをセット。ご飯と汁物で各々50∼120人分の同時調理が可能です。
○LPガス災害対応エネルギーシステム
【防災賃貸マンション】
イワタニの
「LPガス災害対応型エネルギーシステム」
を採用した業界初の
「防災賃貸マン
ション」
が、2014年春に竣工予定。本システムはバルク貯槽を設置し、平時は各戸の給湯器
にLPガスを供給、非常時にはLPガス仕様の発電機から各住戸やエレベーターに電力を
非常用LPガス発電機
炊き出しステーション
ガスストーブ
供給。都市ガスや電気の途絶時にも一定の電力が確保され、
ライフラインを守ります。
電気
調理
暖房
『Marui Gas災害救援隊』の活動
『Marui Gas災害救援隊』は、
イワタニのLPガス『Marui Gas』の特約店約1,400社の
Sustainability Report 2013
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協力のもと、約3,200名のガス有資格者によって結成された災害時の互助支援組織です。
東日本大震災発生時にも被災地へ駆けつけ、LPガスの供給や点検・復旧に尽力しました。
年1回、全国一斉訓練を実施。2012年は全国80ヵ所で、総勢2,088名が参加。
「炊き出し
ステーション」
による炊き出し訓練や、顧客管理ツールを緊急情報システムとして応用した
出動受け入れ訓練など、防災と保安の強化へ向けた実践的な訓練を繰り広げました。
炊き出しステーション
「Marui Gas災害救援隊」
による
「炊き出しステーション」
を活用した訓練
エネルギーソリューションの提供
省エネ、節電、
省エネ
節電 CO2の削減
の削減、
さらに、
さらに エネルギ
エネルギーソースの多様化など、
ソ スの多様化など エネルギ
エネルギーを取り巻くさまざまな問題に、
を取り巻くさまざまな
イワタニは、総合力を活かし、
ソリューションを提供しています。
イワタニの取り組み
新エネルギーシステムの普及をめざして
イワタニのLPガスブランド
『Marui Gas』
は、2013年、発売60周年を迎えます。現在、約1,400社に及ぶ特約店を通じて、全国310万世帯
の家庭へ、
また、
オフィス・工場・各種施設へLPガスを供給。地域に根差した活動で築き上げた絆を活かし、LPガスを核にした新しいエネ
ルギーシステムの普及に力を注いでいます。それは、
ますます求められる省エネ、節電、災害対策などのニーズに応えるものです。
○暮らしの省エネ・CO2削減を実現
『エコジョーズ』は熱効率に優れ、CO2排出を抑えたガス給湯器。
『エネファーム』は
LPガスから取り出した水素を使って燃料電池で発電、排熱で給湯も行う家庭用コー
ジェネレーションシステム。太陽光発電を組み合わせた
『W発電』
も提案しています。
○夏の節電・電力ピークカットに貢献
+
LPガスで動くエアコン『GHP
(ガスヒートポンプエアコン)』は、
ビルや工場などの
冷暖房に活躍。消費電力は電気式エアコンの10分の1以下。冷房需要期の節電や電力
ピークカットに貢献。災害時にも安心のバルク供給システムとともに提案しています。
○リスクに備える安定電源
W発電
(太陽光発電+家庭用燃料電池エネファーム)
LPガスで発電する『コージェネレーションシステム』は、オフィスや工場など使う
場所で発電し、排熱を空調・給湯に活用。送電が不要なためロスがなく、高い省エネ
効果を発揮。停電に備えたBCP
( 事業継続計画)
対策や、落雷等による瞬時電圧
低下を回避する安定電源として信頼され、病院などへの導入も進んでいます。
石油から天然ガスへ、燃料転換を促進
LNG(液化天然ガス)
は、CO2やNOxの発生が少なく、石油の代替エネルギーとして需要
が伸びています。イワタニは電力会社との提携や合弁会社の設立により供給ソースを
LPガスで節電しながら冷暖房
「GHP
(ガスヒートポンプエアコン)
」
確保。輸送・貯蔵・供給・保安のすべてを自社グループで行い、取扱量と供給エリアを広げ
ています。それを支えているのが、天然ガス導管が不要な
「サテライト供給」
です。これは
ユーザーの敷地などにLNGの受入・貯蔵・気化設備(=サテライト)
を設置し、ローリーを
使ってLNGを供給するもので、これによりイワタニは東北から九州をカバーする供給ネット
ワークを確立。クリーンなLNGへ燃料転換を図りたい産業界のニーズに応えています。
高効率ガス給湯器エコジョーズ
地域のエネルギーをLNGで支える
LPガスが実現する小さな発電所
「コージェネレーションシステム」
イワタニは、LNGを地域のエネルギーインフラに活かす事業を進めています。関西電力(株)及び
用として地域の大口需要家に直接供給。一方で、甲賀協同ガス(株)を介して地域の家庭約3,000戸
へもガスを供給。天然ガスの利用を広げる試みとして実績を重ねています。また、イワタニは京都府
舞鶴市の約3,000戸へ都市ガスを供給する「丹後瓦斯(株)」に資本参加し、都市ガス事業にも参入。
丹後瓦斯(株)は天然ガスへの熱量変更を行い、原料のLNGはイワタニグループが供給しています。
ローリーによるLNGのサテライト供給 甲賀エナジーの貯蔵タンク
Sustainability Report 2013
甲賀協同ガス(株)と設立した「甲賀エナジー(株)」は、LNGから都市ガス(天然ガス)を製造し、産業
9
環境負荷の低減
豊かな自然と共生できる社会をめざして、環境負荷の
豊かな自然と共生できる社会をめざして
環境負荷の低減を推進する取り組みが社会のあらゆる領域で進んでいます。
環境に配慮した革新的な技術や製品の開発に、
イワタニも幅広く取り組んでいます。
イワタニの取り組み
環境に配慮した技術・製品の開発
イワタニは、環境問題の解決や改善などに貢献する、環境に有益な商品および
開発技術を
「環境良品」
と位置づけて展開。日常的なビジネス活動を通じて、
CO2排出量の削減など環境改善に貢献できるよう努めています。イワタニの
「環境良品」
は多岐にわたります。たとえば、高純度炭化水素系冷媒
「エコフリーズ
(ECO FREEZE)
」
はフロンガスに替わる自然冷媒。
「バイオマスPET」
は、植物由来の
原料を使用したPET樹脂。化石資源の利用低減と焼却処分時のCO2排出量削減
エコフリーズ
を可能にし、
フィルム、ボトル、繊維などの幅広い用途への利用が見込まれています。
国内トップレベルの技術で環境に貢献
消火用ガスに用いられているハロンは、オゾン層破壊の原因物質のひとつとされ、その
使用は厳しく制限されています。消火用ガスのハロンの容器弁は、設置後15年で検査を
義務付けられており、その際、ハロンガスを回収・再充填する必要があります。イワタニが、
原料となるサトウキビ
植物由来で環境に優しいバイオマスPET
岩谷瓦斯(株)姫路工場内に設置しているハロンガス回収・充填装置は、国内最高水準の
99.9%以上の回収率を実現。ハロンを原則として大気に放出することなく回収します。
建物の屋上・壁面緑化への取り組み
都市のヒートアイランド現象の緩和やオフィスビルの節電対策として、建物の屋上や壁面
の緑化が注目されています。緑化は、植物の蒸散作用で周辺の気温を下げ、優れた断熱
既設容器からのハロンガス回収・再充填装置 回収したハロンガスの蒸留・精製装置
効果で屋内の温度上昇を防ぎ、省エネやCO2の排出削減も期待できます。イワタニの緑化
システムは、砂漠緑化にも使われる土壌改良剤「ピートモス」
を固化した基盤材を使用。
植物の生育に適し、施工や維持管理も容易なのが特徴です。その普及に向けた取り組みの
一環として、イワタニでは東京本社北側の壁面を緑化し、街ゆく人に潤いを提供しています。
総合力で、太陽光発電の普及を推進
当社本社ビルの壁面緑化
イワタニは、再生可能エネルギーの中でも特に実用化が進んでいる太陽光発電の
普及にも力を入れています。2012年7月には、産業用太陽光発電による電力の全量
買取制度がスタート。企業へ向けても積極的に太陽光発電システムの導入を提案し、
着実に実績を重ねています。イワタニならではの総合力を発揮し、施工条件などさま
Sustainability Report 2013
10
ざまな課題にも幅広く応えています。たとえば、施工が難しい工場のスレート屋根
への設置にも対応。波型スレート屋根を撤去せず、
また穴をあけることなくガリバリ
ウム鋼板製カバールーフで屋根を改修しながら太陽光発電システムを設置という
方法により、合計460kWにも及ぶ大型の太陽光発電システムも稼働させています。
工場のスレート屋根に設置された太陽光発電システム
希少資源の確保
先端産業に欠かせない希少資源。世界各国が獲得にしのぎを削る中、
先端産業に欠かせない希少資源
世界各国が獲得に
その将来にわたる安定確保が求められています。
イワタニは、独自のグローバルな活動で、希少資源の確保に努めています。
イワタニの取り組み
ヘリウムの供給拡大に向けた取り組み
ヘリウムは、ハイテク・医療・宇宙などの分野に不可欠な資源として世界的な
需要拡大が見込まれています。
しかし、ヘリウムは工業的には生産することが
できず、一部の天然ガス田から得るしかない希少資源です。
しかも、天然ガス田
は地理的に偏っており、産出国は米国、
ロシア、
アルジェリアなどわずか6ヵ国。
供給不足が続くヘリウムの安定確保は先端産業の育成はもとより、経済全体
の発展にとっても重要な課題です。イワタニは、
このヘリウムのトップサプライ
ヤーとして、
その安定確保に努めています。既存の供給ソースである米国から
ヘリウム供給拠点
「大阪ヘリウムセンター」
の輸入に加え、2010年には、
カタールの新たなヘリウム開発プロジェクトに
おいて、日本企業として初めてヘリウムを直接取引する権益を取得。2013年
夏、年間約800万㎥の取引を開始しました。従来の米国産と合わせると、
イワタニの取扱量は世界で産出するヘリウムの約8%、国内需要の半分に
及びます。このヘリウムの取扱量拡大に先立ち、
イワタニは大阪市住之江区
に国内最大級の供給拠点
「大阪ヘリウムセンター」
を設立。つくば、横須賀、
大阪、福岡の国内4拠点で、需要拡大が続くヘリウムの安定かつ効率的な
供給を行う体制を整えています。イワタニは国内トップサプライヤーのネット
ワークとノウハウを生かし、安定供給に向けた取り組みを今後も推し進めて
まいります。
MRI・半導体・光ファイバー等に欠かせないヘリウム
ミネラルサンド・鉱産物原料を世界から日本へ
イワタニは、
ミネラルサンド・鉱産物原料の資源開発や用途開発にも取り組ん
でいます。ミネラルサンドは、主にオーストラリア、南アフリカの沿岸部で産出
する天然鉱産物であり、
さまざまな産業分野において原材料として使用され
ています。プラズマパネル用硝子
(PDP)
、半導体研磨材、
セラミックス、耐火物
の原料として使用されるジルコン。酸化チタン、金属チタンや溶接材料の原料
として使用されるチタン原料。これらのミネラルサンドの輸入販売において、
貴重な資源を世界から日本へ
イワタニは長年にわたり国内トップシェアを誇っています。また、耐火物業界、
顔料業界や電子材料業界などの幅広い分野で使用される鉱産物原料を中国
やオーストラリアなど様々な国から日本への輸入販売を行っています。また、
います。
日本の産業を支えるセラミックス原料と製品
Sustainability Report 2013
時代のニーズに応えて、
アドバンスド・セラミックス分野へも活動の場を広げて
11
マネジメント
コーポレートガバナンス
経営の健全性を確保するとともに、企業としての社会的責任を果たすため、
コーポレート・ガバナンスの体制を整え、
従業員一人ひとりの意識を高めています。
イワタニ企業倫理綱領
イワタニ企業倫理綱領
イワタニは、
「世の中に必要な人間となれ、世の中に必要なものは
栄える」
を企業理念として掲げ、常に世の中が求める新しい価値、
お客様が求める価値の創造に努め、社会に貢献することを目指して
います。この企業理念をもとに、
イワタニは持続可能な社会に貢献す
るため経済面・環境面・社会面の様々な活動を行っています。また、
1998年には
「グループの経営者、従業員が企業理念や倫理観・
価値観を共有し、あらゆる事業活動の局面において遵守すべき規範」
としてイワタニ企業倫理綱領を制定し、企業不祥事の発生阻止に
向けて、
リーフレットの配布や小冊子の発行を通じて社内・グループ
会社で周知徹底を図っています。なお、昨今の企業を取り巻く社会
1.顧客が求める新しい価値を創造し、社会に貢献します。
2.関係法令の遵守及びその精神を尊重し、公正で自由な競争を通じ、社会
的責任を果たします。
3.広く社会の共感、相互理解を得るために、積極的に企業情報を開示する
とともに社会との対話を行います。
4.ゆとりと豊かさを実現するため、多様な価値観を尊重し、能力を充分
発揮できる環境をつくります。
5.
「住みよい地球がイワタニの願いです」
との認識に立った、環境との共生
を目指す企業活動を行います。
6.国際的な視野に立った企業経営を行います。
環境の変化、法令の改正動向を踏まえ、随時改訂を致しております。
コーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンスの体制
当社のコーポレート・ガバナンスは、意思決定の迅速化・透明性の
株主総会
(コンプライアンス)
、危機管理の徹底などを図り、経営の健全性を
選任・解任
選任・解任
向上、情報開示、説明責任(アカウンタビリティ)
の強化、法令遵守
報告
確保することを基本的な考え方としています。内部統制に関する
取締役会
取締役 17名
実施できる体制を構築しており、概要は以下のとおりです。
関する知識・経験等を重視するとともに、特に社外監査役は取締役会
からの独立性や専門性の程度を考慮することで、より多角的な視点に
機能や助言機能を代替する仕組みが整っていると考えております。
Sustainability Report 2013
12
適切に行われているか監査しています。また、グループ企業全体の
リスクを統合的に管理するため、
「危機管理委員会」
を社長直轄の組織
として設置しています。当委員会の傘下に8つの個別委員会を設け、
顕在ないし潜在する企業危機への総合的な対応を行っています。
報告
連携を持って必要な内部監査を定期的に実施し、会社の事業活動が
指示
内部監査については、社長直轄の「監査部」が、監査役と密接な関係・
各営業部門・関係会社
監査部
内部監査
おりませんが、これらの取り組みにより、社外取締役に期待される監督
内部監査
基づいた監査体制を確立しています。当社では社外取締役を選任して
安全保障輸出管理委員会
個人情報保護委員会
コンプライアンス委員会
工場保安委員会
災害対応・環境委員会
海外安全管理委員会
CS委員会
製品安全・ブランド委員会
会計監査
報告
指示
報告
報告
の選任については、財務・会計、法律に関する専門性や当社事業に
連携
危機管理委員会
指示
取締役の職務執行を充分に監視できる体制にしております。また監査役
指示
監査役(うち2名は社外監査役)
で構成しており、常勤監査役は全ての
取締役会・経営会議に出席し、また独立役員も経営会議に出席するなど、
執行役員会
執行役員 34名
報告
指示
加えて、情報の共有化と意思疎通を図っています。監査役会は4名の
代表取締役
報告
報告
経営会議
役付役員 13名
指示
指示
の上に的確で迅速な意思決定及び監督を行えるよう、取締役会の機能
報告
役会は取締役17名で構成しており、取締役会が充分かつ活発な議論
ては、取締役会に付議する事項や業務執行上の重要事項の審議に
報告
監視機関である監査役会による企業統治体制を構築しています。取締
会計監査人
監査役会
監査役 4名
(うち社外監査役 2名)
選定・解職・監督
当社は、業務意思決定および監督機関である取締役会と職務執行の
を高めております。また、常務以上の取締役で構成する経営会議におい
監査
社内監査体制につきましては、十分なコーポレート・ガバナンスが
社会報告
地域社会
イワタニは、LPガス販売店など全国に広がる人や情報のネットワークを活かし、地域の安全や環境保護に貢献。
さらに豊かな文化の育成にも協力しています。
生物多様性の保全
環境良品
「ALALA」
は、100%天然素材の環境にやさしい洗剤です。環境良品
「ALALA」
の売上
の一部は、公益社団法人日本ナショナルトラスト協会への寄附を通じて、知床半島の
「100
平方メートル運動の森・トラスト」
など、自然生態系の保護に役立てています。イワタニは地道な
活動を継続することにより、地域の自然生態系保護に貢献していきたいと考えています。
文化活動
環境保護団体
「知床100平方メートル運動」
の活動
○環境フォト・コンテストへの協賛
イワタニは、プレジデント社主催の
「環境フォト・コンテスト」
に協賛。コンテストでは協賛各社が掲げたテーマを
基に作品を募集。イワタニのテーマ
「ふるさとのかお」
にも多数の応募をいただき、選考の結果、環境フォト・コン
テスト2013「岩谷産業賞」受賞作品には愛知県の玉置良宗さんの作品「祈り願い」が選ばれました。
「ふるさと」
は
私たちの心を豊かにしてくれる安らぎの原点。環境悪化によってその姿が徐々に変化しているのも事実ですが、
写真から伝わる
「ふるさと」
の人のぬくもりを、環境保護の重要性を考えるきっかけにできればと考えています。
○NHK交響楽団の活動に協力
環境フォト・コンテスト2013
「岩谷産業賞」
受賞作品
イワタニは、
NHK交響楽団が事業目的とする、
「交響管弦楽により、わが国の音楽芸術の向上発展を図り、
その社会文化使命を達成する」
ことに賛同し、特別支援企業として多角的な事業協力を行い、全国各地
でのN響の活動に協力しています。なかでも活動の柱になっているのが、大阪、東京で行われるクラ
シックコンサート
「N響
“夏”
」
で、東京公演は26回目
(協賛)
、大阪公演は23回目
(主催)
を迎えました。
○住みよい地球∼全国小学生作文コンクール
「住みよい地球がイワタニの願いです」の企業スローガンにちなみ、当社は2010年から全国の小学生を対象に「住み
よい地球」
をテーマとした作文コンクールを実施してきました。昨年は483校より3,677作品と非常に多くのご応募を
イワタニが事業協力を行う
「NHK交響楽団」
いただきました。イワタニは、作文コンクールを通して、エネルギーや環境に対する子どもたちの関心を高めています。
海外支援活動
イワタニは、海外支援活動にも力を入れています。その国の発展の原動力になるよう、技術者、留学生の支援を行っています。
アジアでの溶接技術向上と普及を支援
溶接は製造業に不可欠な技術基盤。めざましい成長を続けるアジア諸国にとって、その技術基盤
の整備と溶接技術の向上は急務の課題であり、
また進出を計画する日本の企業にとっても重要な
課題です。イワタニでは、
1997年より10年間、大連市における溶接技術の向上を目的に
「大連市・
岩谷日中溶接技術交流会」
を実施。
2007年以降はハノイ、
ジャカルタなど各地で
「イワタニ溶接
セミナー」
を開催、
ユーザー先での実地指導も含めてアジアでの溶接技術向上を支援しています。
また、
インドやタイなどにおける、進出企業の溶接機器・資材の調達もサポートしています。
海外ユーザー先での実地指導の様子
留学生奨学金
東アジア・東南アジアから来日する自然科学専攻の大学院私費留学生を援助するものです。将来
わが国と親密な関係を保ち、親善、交流の実を期待できる人材にその機会を提供し、研究を援助する
ことで国際間の相互協力と理解を深め、双方の国民生活向上に寄与することを目的としています。
Sustainability Report 2013
イワタニは、岩谷直治記念財団による
「岩谷国際留学生奨学助成」
制度を支援しています。この制度は、
13
社会報告
技術支援活動
イワタニは岩谷直治記念財団が、資源・エネルギー・環境をテーマに行う、科学技術の研究開発活動を支援しています。
岩谷直治記念賞 / 岩谷科学技術研究助成
岩谷直治記念財団は、エネルギー・環境分野における優れた研究開発に関する業績を
表彰する
「岩谷直治記念賞」
と、全国の大学の自然科学分野における研究者を対象とする
「岩谷科学技術研究助成」
を通して、科学技術に関する研究の助成および奨励を行って
います。1973年の設立当初からテーマにすえている資源・エネルギー・環境問題は、時代
とともにその重要性をますます高めています。
※第39回
(平成24年度)
「岩谷直治記念賞」は該当者がいませんでした。
○第39回
(平成24年度)
「岩谷科学技術研究助成金」受領者
所属機関
代表研究者
研究・開発テーマ
三重大学 大学院工学研究科
教授 石原 篤
新規超大型メソ多孔性触媒によるバイオマスからのクリーン燃料製造
長崎大学 大学院工学研究科
准教授 鎌田 海
発光酵素−無機層状半導体を用いた自己光源型光触媒系の開発
広島大学 大学院工学研究院
助教 下栗 大右
マイクロ渦流燃焼器を利用した超小型・高出力電源の開発
筑波大学 数理物質系
准教授 辻村 清也
糖を燃料とする高性能ユビキタス発電装置の開発
高知工科大学 環境理工学群
准教授 堀井 滋
磁場配向法を利用した低コスト高温超伝導ケーブル製造技術の新規創出
東京大学 大学院工学系研究科
助教 百瀬 健
有機薄膜太陽電池の高効率化に向けた有機半導体3次元構造形成技術の構築
(受領者全20名から抜粋:順不同)
お客様とともに
お客様からの信頼をより確かなものにするために、
「消費者保護」
の視点を、あらゆる活動において徹底するとともに、
広くお客様の声に耳を傾けています。
消費者保護の徹底
消費者保護の事例
イワタニブランド商品につきましては、安全
に配慮した製品設計、製造管理、説明書や
製品への危険を示す警告表示などにより、
お客様が使用される際に危険となりうる
事項に細心の注意を払っています。万一、
欠陥が発見された場合には速やかに適切
な処置を行います。また、一般のお客様の
相談窓口としてお客様担当を設置し、
クレ
ーム・修理受付などに対応するとともに、
貴重なご意見を新商品開発等に活かして
います。
Sustainability Report 2013
14
○2003年8月、1997年3月∼2000年10月に
かけて製造された単機能電子レンジに不具合が
あり、最悪の場合発煙・発火の恐れがあることが
分かりました。このため、2003年9月2日に全国
主要新聞紙上にて無償点検・修理についての
謹告を掲載するとともに、
ホームページでもお知
らせして継続的に該当製品の無償点検・修理を
実施しています。
○弊社が販売いたしました小型ガス缶、商品名
「まめガスっ子」
が再充填してはいけない容器で
あることが判明しました。このため2007年11月
6日全国主要新聞紙上ならびにホームページに
回収と使用中止のお願いを掲載し、全力をあげ
て回収活動を実施しています。また本事例の
ようなことを二度と起こさぬよう法令遵守と安全
性に関する審査機能を有する組織を、社外の
専門家を入れて新たに設置し消費者保護を徹底
しています。
お客様への情報発信
イワタニらしさを感じていただき、共感していただけるよう、
お客様への積極的な情報発信を心がけています。
お客様の暮らしの視点を大切に
イワタニでは、家庭用LPガス
「MaruiGas」
をご使用いただいているお客様に向けて生活情報紙
「ムティ」
を毎月発行しています。ガスを快適にお使いいただくための保安啓発、省エネ提案、
料理や暮らしのヒントをはじめ、日本の良さを次代に伝える四季折々の企画を織り込んでいます。
既に創刊以来445号を数え、毎月の発行部数は121万部を超えています。
(2013年8月現在)
ホームページから暮らしに役立つガスの情報をご提供
生活情報紙
「ムティ」
当社の核であるガス&エネルギーを中心に、LPガスのある暮らし、さまざまな場面で使用されているガス、
環境への取り組みなどを紹介するとともに、LPガス設備や安全器具など実用的な情報、便利なLPガスの
豆知識などをご紹介しています。また、遊びながら、楽しみながらガスとエネルギーについて学べる、子ども向け
サイト
「ガスエネキッズ」
を公開し、内容を拡充。これからもガスのある豊かな暮らしと情報を提供してまいります。
価値ある商品・情報をお客様のもとへ
「イワタニi-COLLECT」
「暮らしに役立つガス&エネルギー」
「イワタニi-COLLECT」
は、
イワタニグループが提供するショッピングサイトです。クッキング用品、産直グルメ、
アウトドアグッズに加え、
化粧品や健康食品など、毎日の暮らしを豊かに彩る商品を、価値ある情報とともに提案しています。
社員の尊重
社員一人ひとりが能力を発揮し、また、安心して仕事に取り組める環境を整備することが、企業の発展にもつながると考え、制度の充実等に力を入れています。
基本的な考え方
厳しい企業間競争を勝ち抜き、会社を発展させるためには
「社員一人ひとりの高いモラールの維持と能力の向上」
が不可欠であり、
その
ための諸施策
(人事制度、教育制度、福利厚生制度等)
を講じています。
[人事制度]2004年より、成果主義に軸足を移した
『職能資格・役割制度』
を導入しています。その基本的なポリシーは
「発揮能力の向上」
と
「業績成果
に応じた処遇・評価」
であり、社員が自信と誇りを持ち、挑戦意欲とパワーを生み出す源泉となる人事制度です。
[教育制度]イワタニの企業理念
「世の中に必要な人間となれ、世の中に必要なものこそ栄える」
を実現するためには、常に時代が求める知識、知恵、
技能、能力を修得すべく、社員一人ひとりが自己研鑽することが必要です。当社は、社員の能力開発をサポートするため、
「 階層別研修」
「
、目的別
研修」
「
、海外留学派遣」
等を実施し、各種通信教育講座を開講しております。更に、近年では取得している資格に応じて支給する
「技能手当」
の内容を
拡充するなど、社員の自己啓発を奨励しております。
[福利厚生制度]イワタニでは、社員が心身ともに健康で安心して働くことができるように、以下の各種福利厚生制度を整備しています。
退職金・年金制度、弔慰金、遺児等奨学金制度、単身赴任者帰宅旅費補助、長期傷病欠勤、公傷病欠勤、
リフレッシュ休暇、
メモリアル休暇、
その他休暇
(結婚、忌引、妊娠、出産、看護)
、育児休業制度、介護休業制度、勤務時間の短縮
(妊娠、育児、介護)
、財形貯蓄制度、持株制度、住宅資金貸付制度、借上
社宅制度、転勤者子女入園・入学金補助制度、災害・傷病見舞金、海外駐在員への危機管理サービス・医療補助制度、各種クラブ活動支援
[出産・育児・介護への取り組み]イワタニでは、社員が仕事と家庭を両立させながら能力を発揮できるように、育児や介護のための休業制度や勤務
時間短縮制度などを設けています。今後もこれらの制度を拡充するだけでなく、制度を利用しやすい職場環境づくりを図ることで次世代育成支援や
介護支援に取り組んでまいります。
イワタニでは、
「労使の信頼関係なくして企業の発展はありえず、社員の生活向上と企業の発展は表裏一体の関係にある」
との認識に立ち、良好な労使関係の構築
に努めています。1988年には、岩谷産業労働組合との間で“労使共同宣言”を締結し、
「信頼関係と相互理解の維持により企業の永続的な発展と社員の豊かさを
追求する」
ことを謳いました。労使の協議機関としては労使協議会・労使連絡会議があり、労使の懸案事項や働きやすい職場環境の整備等について協議しています。
Sustainability Report 2013
労使関係
15
環境報告
環境マネジメントシステム
イワタニは環境活動にグループをあげて取り組んでいます。より大きな成果をあげるために、組織や体制の強化を図り、
また、従業員の意識の向上にも力を注いでいます。その結果、2012年度も着実な成果をあげることができました。
環境マネジメントシステム
EMS運用組織
ISO14001認証範囲
イワタニの環境マネジメントシステム
(EMS)
は、東京・大阪両
本社、中央研究所並びに全国6ヶ所の基幹拠点でISO14001
認証を取得
(人員の7割強をカバー)
しています。
また、認証範囲外の支店・営業所においても、本社・基幹拠点
社長
危機管理委員会
環境管理責任者
(環境保安部長)
災害対応・環境委員会
の指導のもとに管理体制を整えています。
内部環境監査員
EMS事務局
(環境保安部地球環境担当)
環境マネジメントの重要事項は
「災害対応・環境委員会」
で
審議され、実行に移されます。
東京本社
(16ユニット)
大阪本社
(14ユニット)
支社
(6ユニット)
支店・営業所
支店・営業所
支店・営業所
中央研究所
グループEMS・QMS推進責任者会議
2001年度より、ISOを取得している主要子会社・関係会社を
組織した
「グループEMS・QMS推進責任者会議」
を定期的に
開催し、方向性の統一・情報交換・指導等を行うことでイワタニ
グループEMS・QMS推進責任者会議
グループの環境管理体制の強化を図っています。
議長
(環境保安部長)
さらに、海外の事業会社でもISO認証取得を推進してい
ます。
事務局
(環境保安部地球環境担当)
内部監査・外部審査
ISO14001分科会 17社
ISO9001分科会 17社
海外ISO取得組織 ISO14001…13社/ISO9001…20社
EMSの内部監査は、年2回、社内全ユニットを対象に実施して
おり、発見された不適合はすぐに改善が行われます。
2012年度は9月と2月に実施し、重大な不適合は発見され
ませんでした。
また、2012年11月には高圧ガス保安協会によるISO14001
の定期審査を受審し、EMSの運用状況は良好との評価を
受けました。
環境教育
イワタニでは、社員の環境意識向上のため、右に記載の教育
を実施しています。
Sustainability Report 2013
16
2012年度ISO審査風景
教育名
時期
教育内容
入門教育
新入社員研修
環境問題全般、EMSの概要、環境活動の利点
階層別教育
管理職研修
環境関連法規の要求内容及び事業との関連
専門教育
年度始め
環境目標、環境活動の手順、法規遵守手順
フォローアップ
随時
社内LANによる情報提供、理解確認のテスト
社内LANを使い環境教育を実施
環境関連法規の遵守
環境関連法規について、関連業務に従事している社員への
周知と遵守の徹底を図っており、2012年度は不遵守事例は
ありませんでした。
グリーン調達の実施
RoHS、ELV、REACHなどのEU指令による化学物質規制は、
日本から輸出されるものであっても、EU域内で販売される
商品すべてに適用されます。このため、欧州を市場とするメー
カーは、使用する部品や原材料の履歴を詳しく調査し、規制に
○2012年度の環境関連法規一覧
当社の事業に係る主な環境法規
適用対象例
遵守状況
高圧ガス保安法
LPガスの販売
適
毒物および劇物取締法
アンモニアの販売
適
労働安全衛生法
酸化エチレンの販売
適
廃棄物処理法
事業系廃棄物の排出
適
省エネ法
貨物運送の委託
適
容器包装リサイクル法
カセットフーの販売
適
食品リサイクル法
食品廃棄物の排出
適
大気汚染防止法
ボイラーの使用
適
土壌汚染対策法
土壌汚染の調査
適
触れる化学物質が製品に含まれることのないよう、購入品を
厳しく管理
(いわゆるグリーン調達)
しています。イワタニも、
○サプライチェーンのグリーン化
ソニーグリーンパートナーを始めとするお取引先各社の要求
調達先
事項に応えるため、納入品について環境負荷物質の含有に
要求事項伝達・調査指導
関する調査を実施しています。同時に、仕入先へはグリーン
適合商品の納入
調達を行うことで、販売先へは品質保証・環境負荷物質不使用
証明などを行うことで、
サプライチェーンのグリーン化に貢献
要求事項伝達
(グリーン調達)
しています。
環境負荷物質の不使用証明
納入先
環境対応 / 製品の販売
品質保証
消費者
イワタニは商社であると同時にガスメーカーでもあり、自社
製品として出荷するガスの品質には万全を期しております。
○イワタニグループのセパレートガスメーカー
お客様が要求されるガスの純度保証を行うため、商品本部、
および環境保安部が協働でガスの品質保証システムの構築
に取り組んでいます。さらにその運用に関しては、例えば産業
ガスについては、中央研究所が分析面
(各種ガス分析、分析
指導、分析機器選定)
でサポートするなどしています。
また、イワタニグループのセパレートガスメーカーは、品質
マネジメントの国際規格であるISO9001認証を取得し、高水準
の品質管理体制を構築しています。
プラント
ISO9001
ISO14001
岩谷瓦斯
(株)甲府工場
○
○
エア・ケミカルズ
(株)喜連川プラント
○
○
山陽エア・ケミカルズ
(株)大竹工場
○
─
北陸エア・ケミカルズ
(株)敦賀支店
○
─
ハイドロエッジ
(株)
○
─
○
○
(株)
コールド・エアー・プロダクツ
物流面の取り組み
イワタニは2006年度に
「省エネ法」※に基づく特定荷主に
指定され、グループ内外に委託している貨物輸送について、
物流拠点の統廃合、
より環境負荷の低い輸送方法へのシフト、
輸送効率改善に取り組んでいます。
※
「省エネ法」
:エネルギーの使用の合理化に関する法律
Sustainability Report 2013
エコドライブの推進、デジタルタコグラフの導入などにより、
17
環境報告
環境パフォーマンスデータ
イワタニの企業活動が環境に与える負荷をより減らしていくため、環境パフォーマンスの把握と改善に努めています。
2012年度環境活動結果
イワタニのEMSでは、環境目標を毎年設定し、
3ヵ年の中期計画である環境目的の達成を目指しています。
2012年度から2014年度の環境目的では8の項目で活動を行い、2012年度の環境目標に対する達成状況は以下の表の通りです。
○環境目標達成状況
No. 項目
2012年度目標
実績の総括
達成度
目標を達成できませんでした。
△
1
環境良品の普及拡大
目標 120ポイント
実績 100ポイント
2
環境活動の推進
目標 6,500ポイント
実績 8,384ポイント
水素エネルギーに関連するセミナーの開催や
各種イベントへの協力等により、目標を達成しました。
○
3
営業車の環境負荷の削減
(岩谷産業全社)
目標 LPG車配備 25台
実績 LPG車配備 29台
計画通りに配備が進み、目標を達成しました。
○
4
配送車等の環境負荷の削減
(関係会社)
目標 LPG車配備 50台
実績 LPG車配備 24台
目標を達成できませんでした。
×
5
工場建設・設備工事時の
環境関連法規遵守の徹底
目標 関連法規遵守の徹底
実績 関連法規の違反事項なし
廃棄物処理法、建設リサイクル法などの
環境関連法規遵守を徹底しました。
○
6
改正省エネ法特定荷主規制に基づく
物流の合理化による環境負荷の削減
輸送効率の改善
(08年度 売上高当りエネルギー使用量比) 全社的に環境負荷削減を目的とする
物流効率の改善に取り組み、
目標 効率改善 4%
目標を大きく上回る成果を挙げました。
実績 効率改善 8.4%
○
7
改正省エネ法事業者
(企業)
単位規制に基づく
全社対象エネルギー環境負荷の削減
目標 全社該当エネルギー使用量データ100%抽出
実績 全社該当エネルギー使用量データ100%抽出の実施
当社の全事業所(本社、支社、支店、営業所)
を対象に、
エネルギー使用量の集計調査を実施しました。
○
8
焼却ゴミ排出量の削減
目標 42,902kg以下(11年度比 ▲1%)
実績 42,136kg
(11年度比 ▲2.8%)
目標を達成しました。
○
達成率:○…達成/△…50%以上達成/×…達成率50%未満
○環境経営度調査結果
「第16回企業の環境経営度調査」
(日本経済新聞社)
において、商社部門4位にランクされました。更なる評価向上を目指し、環境に有益な活動に努めます。
環境会計
分類
主な取り組みの内容及びその効果
投資額
費用額
事業所エリア内コスト
①公害防止コスト
浄化槽管理費
②地球温暖化防止コスト
低公害車の導入
③資源循環コスト
廃棄物のリサイクル・処分コスト
3,044
上下流コスト
容器包装リサイクル法に基づく委託費用
1,442
家電リサイクル法に基づく委託費用
2,578
サプライチェーン管理コスト
8,000
管理活動コスト
45
15,039
56,227
EMS整備・運用コスト
2,643
環境情報開示・環境広告
15,992
環境負荷測定
Sustainability Report 2013
18
環境教育コスト
2,838
事業所付近の環境整備
1,238
研究開発コスト
環境保全に関する製品等の研究開発
社会活動コスト
環境保全を行う団体への寄付※
環境損傷対応コスト
自然修復のためのコスト
合計
※
(公社)
日本ナショナルトラスト協会への寄付など
0
785,287
300
12,350
0
907,023
( 対象期間:2012年4月1日∼2013年3月31日
[単位:千円]
)
イワタニのマテリアルバランス
イワタニの環境に与える影響の全体像を表すのが
「マテリアルバランス」
です。2003年度よりイワタニグループ国内連結対象企業の
環境負荷について調査を開始し、結果を公表しています。今後投入する資源・エネルギー量や廃棄物量、
エネルギー起源CO2排出量等を
削減していくことにより、事業活動における環境効率の改善に努めてまいります。
岩谷産業 対象範囲:国内全事業所
(75ヶ所)
集計範囲:2012年4月∼2013年3月
○岩谷産業
(単独) 注:集計範囲の限定を☆で表します。 ☆:ISO14001認証範囲
電気
リサイクル
(紙)
3,442千kWh
77t ※3
燃料
LPガス・・・・・・ 65千m3
都市ガス・・・・ 24千m3
灯油・・・・・・・・・・・ 5kℓ
熱供給・・・・・ 2,123GJ
焼却ゴミ
42t ☆
自動車燃料
(98%)
ガソリン・・・ 412kℓ
軽油・・・・・・・・・・・・・・・ 0ℓ
(98%)
LPガス・・・・・ 74kℓ
(単独)
産業廃棄物
102t
紙
63t
エネルギー起源CO 2
水
3,244t ※2
3
30千m(72%)
イワタニグループ 対象範囲:上記の岩谷産業国内全事業所に加え国内連結対象会社81社およびエネルギー使用量の多い持分法適用子会社2社を集計範囲としています。
○イワタニグループ
(連結) 集計範囲:2012年度(各社会計年度)※1
電気
248,464千kWh
(99.6%)
リサイクル
(紙)
240t ※3
燃料
3
LPガス・・・ 1,382千m(99.4%)
都市ガス・・・・・・・ 9,258千m3
灯油 ・・・・・・・・・・・・・・ 466kℓ
A重油・・・・・・・・・・・・・ 661kℓ
熱供給・・・・・・・・ 108,195GJ
産業廃棄物
自動車燃料
ガソリン・・・・・・・・・・・ 4,345kℓ
軽油・・・・・・・・・・・・・・ 3,533kℓ
LPガス・・・・・・・・・・・・ 2,744kℓ
3,806t※3
(連結)
紙
241t
(94%)
エネルギー起源CO 2
水
178,689t※2
3
993千m(96%)
なお、過去のマテリアルバランスについては、当社ホームページをご覧ください。http://www.iwatani.co.jp/jpn/csr/csr04.html
※2:エネルギー起源CO2とは、使用した電力や燃料などのエネルギー量を、
それぞれその製造や消費によって発生するCO2量に換算し合算した値です。
「事業者からの温室効果ガス排出量算定方法ガイドライン(試案)」
(環境省)を使用して算出しました。
※3:紙のリサイクル量には、新聞・雑誌・包装紙などの事業用途以外の紙資源が含まれています。
Sustainability Report 2013
注1:推計値が含まれる場合には、公表値に占める実測値の割合を
( )
内に併記しています。
※1:2006年度までのイワタニグループ
(連結)
の数値は岩谷産業
(単独)
の数値を除いた集計としています。
19
データ集
財務データ
イワタニグループは、中期経営計画
「PLAN12」
に基づいて
「成長力の強化」
と
「安定した財務基盤の確立」
に取り組みました。
景気の先行きが不透明な状況が続く中、減収減益となったものの、前期に次ぐ過去2番目に大きな利益となりました。
セグメント別連結売上高
2012年度経営成績
当社グループは、2012年度を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画
「PLAN12」
その他 13,785
(2.1%)
に基づき、
「成長力の強化」
と
「安定した財務基盤の確立」
に取り組みました。
自然産業
23,672
(3.6%)
総合エネルギー事業では、
LPガス消費者戸数の拡大に引き続き取り組んだほか、非常用
LPガス発電機の販売等、災害に強いLPガスの特徴を活かした新たな事業展開を図りま
マテリアル
117,784
(17.9%)
した。また、
「富士の湧水」等の生活関連商品の拡販を図りました。産業ガス・溶材事業は、
液化水素の第3番目となる製造工場を建設し供給力の強化を図るとともに、カタール
総合エネルギー
358,078
(54.5%)
産ヘリウムの供給開始に向けて物流拠点を建設するなど、当社グループの強みとなる
事業の更なる強化に取り組みました。電子・機械事業は、海外での販売ネットワークを
産業ガス・溶材
130,116
(19.8%)
活かした事業拡大や、機械設備の拡販を通じたグループ全体のシナジーの追求に
よる事業基盤の強化に努めました。マテリアル事業は、鉱物資源の販売が需要低迷や
電子・機械
13,568
(2.1%)
市況下落により大きく減少する中、成長市場の開拓と高機能材料の開発・販売に取り
組むことで、安定した収益基盤の構築に努めました。自然産業事業は、食品の徹底した
合計 657,006
品質管理のもと、調達先の多様化や新たな販路の開拓に努めるとともに、今後、成長が
(単位:百万円)
見込まれる植物工場ビジネスの確立に取り組みました。この結果、経常利益は174億円、
当期純利益は80億26百万円となり、過去最高益であった前期に次ぐ大きな経常
利益、当期純利益となりました。また、有利子負債額は1,513億円となり
「PLAN12」
の
目標であった1,500億円以下にわずかに及ばなかったものの、有利子負債依存度は
39.2%となり目標の40%以下を達成し、
「財務基盤の強化」
が着実に進みました。
○収益力の向上
(連結)
○安定した財務基盤の確立
(連結)
当期純利益
(億円)
経常利益
(億円)
有利子負債額
(億円)
ROA
5.1%
4.2%
3.7%
1,661
1,589
4.5%
195
有利子負債依存度
1,593
174
155
44.4%
134
43.4%
105
55
2009年度
39.2%
61
2010年度
2011年度
売上高
経常利益
連結
2012年度
2013年度
(予想)
2009年度
2010年度
2011年度
2010年度
2011年度
2012年度
5,554
6,188
6,611
6,570
6,750
134
155
195
174
180
86
55
61
105
80
4.2%
5.1%
4.5%
有利子負債依存度
43.4%
44.4%
41.3%
39.2%
売上高
4,089
4,566
4,863
4,715
75
82
105
97
Sustainability Report 2013
経常利益
当期純利益
ROA
2012年度
2009年度
3.7%
当期純利益
ROA
単独
41.3%
86
80
20
1,513
180
27
32
53
55
2.9%
3.1%
3.9%
3.6%
2013年度(予想)
(単位:億円)
環境年表
年
月
主な活動
1953年
●わが国で初めて家庭用燃料としてLPガス
「マルヰプロパン」
の販売開始
1970年
●創業40周年を記念して企業スローガン
「住みよい地球がイワタニの願いです」
を発表
1973年
●財団法人岩谷直治記念財団を設立 環境保全を含む科学技術に関する研究開発の表彰や助成、留学生に対する奨学金制度などを開始
1978年
●わが国で初めて商業用液化水素を製造開始
1980年
●堺LPGターミナル完成
1991年
●高速道路上ではわが国初のオートガススタンドが東名足柄サービスエリアにオープン
1994年
●鹿島液化ガス共同備蓄基地完成
●第1回環境委員会開催
1996年
10月
1997年
4月
1998年
3月
4月
8月
11月
12月
●環境情報誌
(社内報)
「PASSPORT」
創刊
●
「岩谷産業環境方針」
制定
●環境マネジメントシステム運用開始
●堺LPGターミナル
「大阪商工会議所緑化貢献者表彰」
受賞
●ISO14001認証取得
1999年
10月
●東京本社および首都圏支社
「リサイクル推進功労者表彰リサイクル協議会会長賞」
受賞 / ●環境報告書発行スタート
2000年
6月
12月
●大阪本社および近畿支社
「おおさか環境賞・奨励賞」
受賞
●日本経済新聞社の第4回環境経営度調査
(非製造業)
商社部門にて全項目A評価獲得
2001年
12月
●日本経済新聞社の第5回環境経営度調査
(非製造業)
商社部門1位総合4位評価獲得
2006年
4月
6月
12月
●液化水素製造プラント
「ハイドロエッジ」
運転開始
●第16回国際水素エネルギー会議にて
「コンスタンチン・ツィオルコフスキー・アワード」
受賞
●第1回イワタニ水素エネルギーフォーラム開催
2007年
9月
●
「日本縦断燃料電池車・水素自動車キャラバン」
実施
2009年
2月
7月
9月
●フジサンケイグループ主催の第18回地球環境大賞で
「フジサンケイビジネスアイ賞」
受賞
●千葉液化水素製造プラント運転開始
●北九州水素ステーション完成
2010年
6月
9月
●
「住みよい地球∼全国小学生作文コンクール2010」
を実施
●全国91ヶ所の小学校で環境授業を実施
2011年
1月
5月
7月
●北九州水素タウンプロジェクト開始
●東京本社ビル壁面緑化施工
●節電対策の一環として東京本社ビルの空調システムの一部をGHPに変換、運転開始
2012年
12月
2013年
4月
5月
6月
●
「イワタニグループ環境憲章」
制定
●「第9回LCA日本フォーラム表彰・奨励賞」受賞
(サトウキビを原料に用いた「バイオマスPET」のLCA)
●新たな技術拠点として中央研究所が完成、営業開始
●トヨタエコフルタウン水素ステーションが完成
●液化水素製造プラント「山口リキッドハイドロジェン」運転開始
会社概要
岩谷産業株式会社 Iwatani Corporation
設立
1945年2月2日
創業
1930年5月5日
代表取締役社長
野村 雅男
資本金
200億96百万円
(2013年7月31日現在)
売上高
4,715億19百万円 ※連結ベース 6,570億6百万円
(2013年3月期)
社員数
1,416名
(2013年4月1日現在)
事業所数
82ヶ所〔国内76 / 海外6〕
(2013年7月31日現在)
株主数
22,298名
(2013年3月31日現在)
決算期
3月31日
読者のみなさまのご意見を参考に、より良い報告書を
目指します。
「 環境・社会報告書2013」
に関するご意見・
ご質問等はこちらへお寄せください。
環境保安部
(地球環境担当)
TEL:03-5405-7027 FAX:03-5405-7028
イワタニの環境に関する情報開示は、本書のほか、当社
ホームページでも行っています。本書発行以降の最新情報、
本書のPDF版等がご覧いただけます。
インターネットでの情報提供
(環境・社会活動)
http://www.iwatani.co.jp/jpn/csr/csr01.html
Sustainability Report 2013
商号
21
大阪本社〒541-0053 大阪市中央区本町3-6-4 TEL(06)7637-3131
東京本社〒105-8458 東京都港区西新橋3-21-8 TEL(03)5405-5711
http://www.iwatani.co.jp/
00
このFSCのロゴマークは、
この報告書に使用さ
れている木材繊維が森林管理協議会(FSC)
のルールに則って適切に管理されている森林
から生産されたものであることを示します。
発行日 2013年9月
イワタニ携帯サイト
環境・社会報告書2013のお問合せ先
この報告書は、有害物の廃液量や使用量が
少ない「水なし印刷方式」
を採用しています。
揮発性有機化合物
(VOC)
を
含まないインクで印刷しました。
CM007
ISO 14001
98ER-011
東京本社 環境保安部地球環境担当
TEL:
(03)
5405-7027