世界の電波利用のルールと監視

No33
共通編
Shu-chan の
放送ネットワーク
道しるべ
甲州道(猿橋宿)
<世界の電波利用のルールとその監視について>
ラジオ放送を聴いていると、何所からともなく中国語、朝鮮語またまた
ロシア語などが飛び込んでくることがあると思います。また、ピーピー、
ガーガーなどという耳障りな音が混入することもあると思います。テレビ
放送では、かって、アナログのローチャンネル第 1ch~第 3ch に夏場を中
心に外国電波が混信しテレビ画像が乱れたり何も映らなくなることがあり
ました。
今、世界の空間は電波で充満し、放送用の電波を含め各周波数の使用は
逼迫状態にあるといえます。特に発展途上国からは多くの周波数を先行使
用している先進国に対して、電波の割譲を要求したり、それが受け入れら
れない場合は混信の発生を覚悟の上で一方的に周波数を使用する事態が起
こります。
このようになると、全世界を通じて国際的な電波の秩序を打ち立てない
と大混乱となり世界の空間は混信のため使い物にならなくなります。また、
周波数の割譲とは別に送信方式の規格等を国際的に統一が取れたものにし
ないと、文化的、経済的、技術的な交流にも支障をきたすことになります。
このため、以前から国際連盟の中に管理機関、研究機関が設けられ活動を
してきました。当初は、周波数に関しては、早いもの(国)順にリクエス
トを受け登録することにより使用できるように成っていました。発展途上
国からのニーズに対しては使用予定の周波数に先客があるかどうかを示す
のみで使用の調整までは行なわれませんでした。日本のテレビで使ってい
たローチャンネル(90~108MHz)は、世界的には FM 放送の周波数帯で
す。日本は、独自にテレビ用に使うことを決め登録して認められました。
しかし、ご承知のとおり、近隣諸国の FM 放送がこの周波数を使用したた
め、夏季に発生するスポラディックE層という電離層からの異常伝ぱんに
より大きな問題となっていたのです。
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受信サービス株式会社
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このため、現在は、国際的な統制機関と条約が設けられ、日本もこれに
加盟して秩序ある世界の一員としての立場をとっています。
図1に国際的
国際電気通信連合(I.T.U)
統制機関である
国際電気通信
連合(I.T.U.)
国際教育文化機構(UNESCO)
国際連合
(UN)
国際世界気象機構(W.M.O)
の位置づけを
その他
示し、図2に
I.T.U の組織
図1
を示します。
電波の国際的統制機関
無線通信主管庁会議
全権委員会議
加盟国政府の会議
最高意思決定
条約改正
理事会メンバー決定
無線通信規則等の改正
IFRB委員の選出
国際無線通信諮問委員会
CCIR
スタディ
グループ
SG 1~11
国際周波数登録委員会
IFRB
IFRB
事務局
国際電信電話
諮問委員会
各研究委員会
管理理事会
25 カ国代表で構成
電信電話主管庁会議
事務総局
図2
I.T.Uの組織
この機関による国際的ルールとしては、次の条約と規則があります。
①
国際電気通信条約
②
無線通信規則
③
追加
1973 年(昭和 48 年)
1979 年(昭和 54 年)
無線通信規則
1979 年(昭和 54 年)
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世界各国や地域ではそれぞれ電波環境、気候、通信の発達状況などに違
いがあるため、各種ルールの採用、適用に関しては、全世界を次の 3 地域
に分類しています。
第 1 地域
ヨーロッパ
第 2 地域
南北アメリカ
第 3 地域
イラン以東のアジア
アフリカ
ロシア
モンゴル
アジアのトルコ
グリーンランド
大洋州
以上の経緯から、これらの地域間では条約上の周波数の割当が異なる場
合があるわけです。
先ほどのラジオ放送の周波数割当に関しては、混信の軽減と発展途上国
からのニーズに対応するため、ラジオ放送が使用する周波数帯 526.5~
1606.5kHz の間を、日本では 10 kHz の間隔で使用しましたが、世界規模
でこの間隔を 9 kHz とすることになり、1978 年(昭和 53 年)11 月に実施
しました。10 kHz 間隔では使える周波数の数は 107 波です。9kHz 間隔に
したことで 120 波に増え開発途上国からのニーズはひとまず満たされまし
た。先進国サイドでもほぼ必要な波数が確保されました。
このような膨大な取り組みによって、最近のラジオ放送の聞こえ具合は
いかがでしょうか。外国語による番組の混入は無くならないと思いますが
ピーピー、ガーガーなどという耳障りな音の混入は相当少なくなったので
はないかと思います。
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